03/07/10 確定拠出年金連絡会議第6回議事録              ┌――――――┬――――――――┐┌―――――┐              |確定拠出年金|   第7回   ||資料12 |              | 連絡会議 |平成15年10月16日||     |              └――――――┴――――――――┘└―――――┘              確定拠出年金連絡会議                (第6回)                 議事録              平成15年7月10日 確定拠出年金連絡会議(第6回)議事録 日時:平成15年7月10日(木)10:00〜12:00 場所:厚生労働省 専用第22会議室 議事:(1)平成14年度確定拠出年金の施行状況について    (2)平成15年度の会議の進め方    (3)その他 出席委員:加子座長、太田委員、小野委員、河合委員、田中委員、徳住委員、秦委員、      姫野委員、吉田委員、渡邊委員、吉野委員 オブザーバー:      田村正雄(社団法人生活福祉研究機構理事)      石田成則(山口大学経済学部教授) 関係団体等:      松井博志(日本経済団体連合会国民生活本部副本部長)      村杉直美(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局部長)      小野 明(日本商工会議所新規プロジェクト担当付副部長)      池森啓雄(経済産業省経済産業政策局参事官)      本田 一(厚生年金基金連合会企画事業部長) 事務局     :厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課 ○ 矢崎課長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回「確定拠出年金連絡会議」を 開催させていただきます。  本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。昨年度に 引き続き、今年度もよろしくお願い申し上げたいと思います。  今回は今年度の第1回目の開催ということでもありますので、開会に先立ちまして、 私どもの井口審議官よりごあいさつを申し上げたいと思います。 ○ 井口審議官  おはようございます。今、御紹介ありましたとおり、本日は第6回目連絡会議に当た りますけれども、本年度第1回目ということでございますので、一言ごあいさつをさせ ていただきたいと存じます。  御案内のとおり、本連絡会議は昨年の6月以来、既に5回開催されまして、その中で 今、御議論いただきます確定拠出年金制度を巡るさまざまな課題につきまして、活発な 御意見をいただいたところでございますが、改めまして、この機会に御礼を申し上げた いと存じます。  これも御案内のとおりかと存じますが、来年、平成16年には年金制度全体の改革を予 定しておりまして、その一環といたしまして、企業年金全体になりますけれども、特に 確定拠出年金制度につきましても、必要な見直しがありましたら、その部分も併せて改 革に取り組みたいと考えてございます。  先般6月12日の社会保障審議会の年金部会におきましても、企業年金等につきまして、 集中的に御議論いただいたわけですが、その際におきましても、確定拠出年金制度につ いて、これまでの本連絡会議の御議論なども踏まえまして、その意見を参考にさせてい ただいた上で、拠出限度額の引き上げ等のさまざまな課題につきまして、今後の改革の 方向と言いましょうか、考え方について御説明させていただいたという状況でございま す。  この新しい確定拠出年金制度につきましては、施行から2年弱ということになってお りますけれども、まだまだその普及については課題が多いと考えており、こうした課題 がこれからうまく解決できるような方途を私どもも考えていきたいと考えております。  この連絡会議を通じまして、本制度が一層よいものとなりますように、私どもも努力 してまいりたいと考えておりますので、是非この機会に、新しくメンバーに加わってい ただいた方々もおられますので、改めまして、御協力なり御意見をいただくようにお願 い申し上げて、本年度最初ということでありますので、一言御挨拶とお願いに代えさせ ていただきたいと思っております。どうぞよろしく今年度もお願い申し上げたいと思い ます。 ○ 矢崎課長  本年度の連絡会議につきましては、昨年度座長をお務めいただきました日立製作所の 御手洗様がお替わりになられまして、そのあとを同じ日立製作所の加子茂労政人事部長 にお願いしたいと考えております。  それでは、加子座長よろしくお願いいたします。 ○ 加子座長  ただいま御紹介いただきました日立製作所労政人事部の加子でございます。私、この 連絡会議には初めて参加をさせていただきます。また、このたびは座長という大役を仰 せつかりまして、皆様の御支援と御協力をいただきながら進めさせていただきたいと思 いますので、よろしくお願い申し上げます。  私どもの会社もいち早く確定拠出年金を導入いたしまして、実際に実務を今やってい るところでございますけれども、先ほど審議官のお話にもございましたとおり、限度額 の問題であるとか、途中引き出しができない問題であるとか、課題を実感しているとこ ろでございます。  そういう意味では、このような形で関係の皆様が一堂に会してディスカッションをさ れ、かつ情報交換をやっていくというのは大変有意義であろうと思っておりまして、そ ういうこともございまして、このたび未熟ではございますけれども、座長を引き受けさ せていただくことにいたしました。  皆様の御支援、御協力を賜りながら進めていきたいと思いますので、よろしくお願い 申し上げます。  それでは、事務局よりメンバーの出欠状況を報告していただきたいと思います。また、 今年度から新たにメンバーとして参加いただいている方もおられますので、併せて事務 局から御紹介いただければと思います。 ○ 矢崎課長  それでは、お手元の資料1に「確定拠出年金連絡会議 開催要綱」がございます。そ の2枚目にこの会議に御参集いただいている方の一覧表がございますので、そちらをご らんいただきながら説明させていただきたいと思います。  今、座長の方からもお話がございましたけれども、今年度から新たに2名の方にこの 会議に御参加いただいております。お一人目が株式会社三越の小野俊一様でございます。 ○ 小野委員  小野でございます。よろしくお願いいたします。 ○ 矢崎課長  もうお一人は、日本IBM株式会社の吉田和男様でございます。 ○ 吉田委員  吉田でございます。よろしくお願いいたします。 ○ 矢崎課長  次に人事異動等によりメンバーの方の変更がございましたので、参集者の順に説明さ せていただきます。  先ほども申し上げましたが、株式会社日立製作所の御手洗様が加子茂様へ、日商岩井 株式会社の長久保様が姫野寛文様へ、東日本旅客鉄道株式会社の中村様が山根昌也様に 替わっておられます。  関係団体等の方々におかれましては、日本経済団体連合会国民生活本部副本部長の平 井様が、松井博志様に替わられておられます。  また、関係団体のメンバーといたしまして、今年度より厚生年金基金連合会の本田一 様にも御参加いただくこととしております。  次にメンバーの出席状況について御報告申し上げます。  本日は株式会社ジューテックの光谷様、東日本旅客鉄道株式会社山根様が御欠席でご ざいます。  また、関係団体等におかれましては、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長 の小島様が御欠席でございますが、代理で村杉部長に御出席いただいております。  なお、私どもから実施企業の方々に、本連絡会議については情報提供を行っておりま すが、本日は十数名の実施企業の方々が傍聴されていらっしゃいますことを御報告させ ていただきます。  以上でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。ただいま事務局から報告がありましたとおり、本日も実施 企業の方々が傍聴にお越しになっておりますので、昨年と同様、会議の最後に若干時間 を設けまして、傍聴者のうち、確定拠出年金の実施企業の担当者からの方々からの御質 問等がございましたら、意見交換をさせていただきたいと考えておりますが、メンバー の皆様、よろしゅうございますでしょうか。  それでは、そのようにさせていただきたいと思います。  次に、資料2「当面のスケジュール(案)」及び資料3「確定拠出年金連絡会議の議 論の概要」を事務局から説明をお願いいたします。 ○ 松岡企画官  それでは、お手元の資料2と3について御説明させていただきたいと思います。  本年度の「当面のスケジュール」ということで資料2に挙げさせていただいておりま すが、今回は、まず確定拠出年金の施行状況などについて御説明させていただくととも に、中小企業の取り組み事例などをテーマに挙げさせていただきたいと考えています。  それから、第7回といたしましては、9月か10月ごろに開かせていただきたいと思っ ておりますけれども、新しく御参加いただいたメンバーの方からの発表をお願いしたい と考えておりますのと、関係機関として運営管理機関や資産管理機関の方などからもヒ アリングをさせていただいて、意見交換の機会を設けたいと考えております。  それからアンケート調査も昨年度に引き続いて実施をしていきたいと思っております ので、その項目などについてもお諮りをさせていただければと思っております。  第8回といたしましては、11月か12月ごろということで、引き続き参加メンバー の方からも御発表いただくとともに、関係機関からのヒアリングも続けたいと考えてお ります。  それから、第9回には、アンケートの結果がまとまってまいりますので、その報告を させていただくとともに、フリートーキングをさせていただきたいと考えております。  今のところ、大体こういう目途で考えておりますけれども、逐次新しいテーマなどご ざいましたら、加えさせていただきたいと思っておりますし、委員の方々から御意見等 ございましたら、加えさせていただきたいと考えているところでございます。  続きまして、次のページでございますけれども、参考までに「意見交換を行う主な課 題(例)」ということで挙げさせていただいております。  これは資料3にお付けしております昨年度の議論の内容を踏まえて、特に今年度、御 議論いただきたい事項として、課題例として挙げたものでございます。これ以外にも委 員の方々から会議の中でこういったテーマをということで御意見等ございましたら、取 り挙げさせていただければと考えております。  その第1といたしましては、確定拠出年金制度の普及についてということでございま して、特に中小企業への普及というのも大きなテーマでございますので、ここに掲げさ せていただいております。本日は特にこの件につきましては、事例について御報告をさ せていただくとともに、意見交換をさせていただきたいと考えております。  それから、2つ目が「投資教育について」でございます。昨年度は特にこのテーマに つきまして、活発な意見交換が行われておりますので、このテーマについては引き続き 御議論いただければと思っております。  この2つ目でございますけれども、可能でございましたら、連絡会議のメンバーの方 々にも御協力をいただいて、投資教育の事例集のようなものをつくっていくようなこと を考えておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。  3番目に、各種運営面の改善について、このテーマについてはいろいろございますけ れども、運営管理機関や資産管理機関に関する事項などがテーマとして挙がっておりま すので、その関係機関の方にもまた御出席いただきまして、意見交換をさせていただけ ればと思っております。  4つ目が制度の改善についてということでございます。年金制度の改革の中て確定拠 出年金の問題についても、いろいろ議論されていくことになると思いますので、連絡会 議の中でも御意見を賜れればと考えておる次第でございます。これが資料2でございま す。  続いて資料3でございますが、14年度の議論が行われた内容についてまとめさせて いただいたものでありまして、1つの意見に集約するという訳ではございませんので、 こういう御意見が出たという形でまとめさせていただいております。  第5回の会議でお出しした第4回までをまとめた議論の概要に、第5回の会議の議論 を加えさせていただいたものでございます。内容的には簡単に事項だけ申し上げますと、 1つ目が確定拠出年金の導入理由、意義について事例などを御紹介いただいて、発表し ていただいたところでございますけれども、企業を取り巻く環境の変化への対応や、従 来の企業年金制度を取り巻く環境の変化への対応、人事制度を取り巻く環境の変化への 対応、こういったところが挙げられていたところでございます。  2つ目の項目として、投資教育についてでございますが、導入時だけでなく、継続し た投資教育の重要性ということが議論になったところでございます。その中で投資教育 のガイドラインみたいなものが考えられないかといったことなども御議論として挙がっ たところでございます。  企業型のみならず、個人型の加入者の方への投資教育についても御議論があったとこ ろでございます。  次のページになりまして、「資産運用について」ということで、運用商品の問題につ いて、いろいろ問題が挙がったところでございます。  それから、商品の売買のタイミングの問題、自社株の取扱いについてもいろいろ御意 見が出たところでございます。  4つ目が「運営管理機関及び資産管理機関について」ということで、1つはレコード キーパーのことについての、より効率化が図れないかということが挙がったともに、運 営管理手数料の問題についても、御議論いただいたところでございます。  そのほかの各種運営面についてということで、企業型から個人型への円滑な資産移換 についてといった問題でありますとか、あるいは次のページになりますけれども、企業 の個人情報の取り扱いということでありますとか、それから、連合型規約の普及という ことで、中小企業が導入を図っていく上での1つの方向というのが御意見として出され たところでございます。  6点目が「制度の改善について」ということでございまして、税制についてというこ とで、非課税限度額の問題、特別法人税の問題、マッチング拠出の問題などについて御 意見が出たところでございます。  それから、制度についてということでございまして、脱退一時金の問題で、少額資産 について、特に手数料などが目減りするといったような問題が御意見として出たところ でございます。  4つ目でございまして、加入対象者の拡大ということで、3号被保険者への拡大など、 あるいは実施企業の増加を図ることが必要であるといったことなどが御意見として出た ところでございます。主な事項としては以上でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明に関しまして、御質問 等ございますればお願い申し上げます。  特に御意見がないようでございますので、今年度の本会議につきましては、今、説明 のあったとおりの形で進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、早速議事に移りたいと思います。まず資料4「確定拠出年金の実施状況に ついて」事務局から御説明をお願いします。 ○ 松岡企画官  それでは、お手元の資料4の「確定拠出年金の施行状況について」を御説明させてい ただきたいと思います。  まず、1ページ目をお開きいただければと思います。本年度5月末の状況であります が、企業型年金の承認規約数として412件でございまして、加入者数が45万1,0 00人ということでございます。具体的な企業名につきましては、2ページ目以下に挙 がっておりますので、御参照いただければと思います。  それから、個人型年金の加入者につきましては、1号の加入者が7,800人、2号 の加入者が8,000人ということで、大体1万6,000人といった数になっており ます。  それから、登録運営管理機関としては、643 社ということでございます。  お手元の資料4の9ページでございますけれども、今日のテーマにも少し関連します ので、従業員数の状況、企業規模別の状況を申し上げますと、99人以下の企業につき ましては129件。100人〜300人未満が105 件ということで、それぞれ31%、25%、合 わせて56%となっており、大企業のみならず中小企業でも導入が進んでいるということ がうかがわれるところでございます。  それから、10ページは、この掛金の状況です。それから他制度からの資産の状況など がございますけれども、11ページ、「他の企業年金の有無」といったところでございま すけれども、厚生年金基金や適格退職年金と合わせて実施しておられるところもござい ますけれども、この確定拠出年金だけで実施しておられるところも258 件ありまして、 全体の63%を占めているといったような状況になっております。  資料8を御参照いただければと思いますが、この中で参考資料として12ページ、15年 3月末現在の数値ということで挙げさせていただいております。企業型年金の数が361 件、加入者数が32万5,000 人。個人型の方が1万4,000 人という状況になっております。  以下に少し細かい資料を付けておりますので、御参照いただければと思います。  以上でございます。 ○ 加子座長  どうもありがとうございました。  それでは、次の議題であります資料5「複数の事業主で実施する企業型年金規約につ いて」をまず事務局から、引き続きまして資料6「中小企業の年金・退職金制度の実態 と商工会議所の役割について」を日本商工会議所の小野様から、最後に本日御参加いた だいております株式会社ブロードネットマックスの福田総務部長から資料7「確定拠出 年金導入事例」につきまして、企業型年金の取り組みを御報告願いたいと思います。御 質問につきましては、まとめてお時間を取りたいと思いますので、まず事務局から説明 をよろしくお願いいたします。 ○ 松岡企画官  まず資料5をお開きいただければと思います。「複数の事業主で実施する企業型年金 規約について」ということでございます。お手元の資料1ページをお開きいただければ と思いますが、この確定拠出年金制度につきましては、企業型年金では単独で行う場合 のみならず、この法律の第2条第2項でございますけれども、単独または共同で行うと いうことができるとなっておりまして、厚生年金の適用事業所の事業主が単独又は共同 して実施できるということになっております。  共同で実施するメリットにつきましては、加入者数が多くなるということでございま すので、それにより手数料等の低減が図られ、事務コストが抑えられる。  それから、規約の策定作業が軽減されますので、事業主の事務量が軽減される。そう いったことから中小企業の場合でも導入しやすいということが言われております。  こういった形態が最近少しずつ出てきておるところでございます。2ページ目をお開 きいただければと思いますが、複数で実施している規約につきましては、いろいろパタ ーンがございますので、その類型化をいたしたものが2ページでございます。事業所が 主体になっているものでございますが、親会社が代表事業所になりまして、系列の会社 も共同実施をするというものが1つでございます。  もう一つのパターンとしては、厚生年金基金が代表事業所になりまして、傘下の事業 所と実施しまして、主に基金の一部の給付の移行、あるいは適格年金の受け皿として実 施しているものがございます。  それから、業界団体の幹事会社などが代表事業所となって、団体加盟事業所と実施し ているというものがございます。  商工会議所が中心になってやっているものもございまして、これは後に日商の小野様 から御報告いただくこととなっておりますけれども、そういった形態も出てきておりま す。  運営管理機関として、金融機関などが主体になりまして、ある事業所を代表事業所に して、それで中小企業などを募集するという形などが出てきておりまして、特に損保会 社や生保会社などでこういった形が出てきているところでございます。  次に「主な事例」でございますけれども、3ページでございます。事業所が主体とな ってやっているものとしては、トヨタグループで連合型の年金規約をつくっておられる といったものがございます。このほかにも幾つか、こういった形態のものが出てきてい るところでございます。  それから、厚生年金基金を主体とするものがございまして、この例としては、日本複 写産業厚生年金基金でありますとか、東北六県トラック厚生年金基金といったものがご ざいます。  それから、業界団体を主体としているものとして、社団法人日本ホテル協会が代表事 業所になって規約をつくっているものがございます。  それから、商工会議所が主体となっているものとして、札幌の商工会議所コンサルタ ントが代表事業所になってつくっているものがございます。  それから、幾つかの運営管理機関、すなわち確定拠出年金の専門機関、金融機関で募 集をしているものがございます。こういった事例が出ているところでございます。  4ページが複数の事業所で実施をしている例でございますけれども、代表する事業所 が規約の作成等々行いまして、運営管理契約、資産管理機関などの契約を行って実施を いたしますけれども、事業主・従業員で合意ができた事業所から加わっていくという形 態が大体の概略のものでございます。  簡単ではございますけれども、以上でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。それでは、続きまして、小野様から御報告をお願い申し上 げます。 ○ 小野副部長  それでは、御報告させていただきます。  お手元の資料に「中小企業の年金・退職金制度の実態と商工会議所の役割について」 ということで資料6がございますので、恐縮でございますが、ごらんになっていただき たいと思います。  今、商工会議所として、この問題に対してどういうグランドデザインを描いて取り組 んでいるかという点と、今、お話にもございましたけれども、実際に札幌の会議所と大 阪の商工会議所で401 Kプランを導入してございますので、その点と2つについて簡単 に御説明、御報告させていただきたいと思います。  まず、資料6の最後の8ページをごらんいただければと思います。  御案内のとおり、新企業年金二法の設立に伴いまして、私ども日本商工会議所としま しても、どういう形で取り組んでいくのかということで、各界からも御議論いただきま して、一昨年、平成13年9月12日に商工会議所年金教育センターというものを立ち 挙げました。商工会議所としましては、その前に日本商工会議所、それから各地の会議 所、社団法人金融財政事情研究会とともに、年金の総合的なプランナー、アドバイザー 役という位置づけで人材育成・専門家の養成という観点でDCプランナー認定制度とい うものを立ち上げておりましたので、それとこの商工会議所年金教育センター、これは 主に年金教育啓発事業を展開していくということで設立されたセンターでございますが、 それらが商工会議所の大きな枠組みの中で動いているということでございます。  御案内のとおり、商工会議所組織というのは連合体でございまして、私ども日本商工 会議所の会員というのは、各都市にある商工会議所、例えば東京であれば東京商工会議 所、大阪であれば大阪商工会議所とこのような構図になってございます。  したがいまして、日本商工会議所としましては、特に企業年金、退職金問題に取り組 むために、商工会議所年金教育センターというものを立ち上げたわけで、そこを中心に して、各地の商工会議所と連携をしながら進めていくということで、各地の商工会議所 に直接働きかけを行う唯一の企業年金、退職金に関わるセクターであると御理解いただ ければと思います。ですから、必ず私ども日商と御議論いただいた内容につきましては、 商工会議所年金教育センターを通じて、各地の会議所と連携しながら行っていくとい うスタンスを取って参ります。  次に、具体的な活動についてご説明申し上げます。各地の会議所に対しては、商工会 議所年金教育センターを通じまして、8ページの下の方にございますが、相談会の実施 や大阪と札幌等のように、既に確定拠出年金を導入しているまたは、研究する商工会議 所に対して側面的な支援を行っております。  あるいは、商工会議所自身が、特定退職金共済制度等々、いろんな共済事業を展開し ていますので、それとの連携事業を行っております。  また、国の事業でございますが、私ども商工会議所、商工会と力を合わせて今、経営 改善普及事業を推進しておりますが、その担い手である経営指導員について、これは中 小規模事業者の経営改善ということを担う商工会議所等のフロント部隊として全国に配 置されておりますけれども、その経営指導員への研修を通じて年金・退職金問題に対す る意識、関心を高めて、日々の経営指導業務に役立たせていくということがございます。  更には、人材育成という観点から、先ほど申しましたDCプランナー資格制度の普及、 あるいは資格までは取らなくても、それを勉強していただいて、知識を持っていただく という、企業の中や、金融機関の窓口業務をしていただく方の教育として人材を育てて いくことを考えております。その他、企業年金をテーマにしたビジネス講座を開設して いくというように、以上6つのアプローチを通じて各地の商工会議所に働きかけており、 会議所もそれに対応した活動を行っております。  これは御案内のとおり、商工会議所は法律に基づく唯一の地域総合経済団体というこ とで、どうしても地域の産業構造等が強く反映されてきて、裏を返すと、地元に一番密 着し、根差した形で、例えば今回のテーマでごある、企業年金・退職金制度、あるいは 確定拠出年金制度の問題を含めてでございますけれども、それらを考えていくというこ とで、常に地域性を考えながらやっていくということが大きな特徴としてございます。  したがいまして、私どもの商工会議所の取り組みとしましては、地域によって正直言 いまして、例えば地元の中小企業の方々の認識、関心の度合もばらつきがございます。 非常に関心の高いところもあれば、余り関心がないというところがございますので、そ の地域事情に合わせた形で、先ほど申し上げました6つのアプローチの仕方で、現在、 それぞれの会議所の活動を通じまして、中小企業の皆さんに、あるときは年金セミナー や相談会を開催したり、あるときは経営指導員が各中小企業、小規模事業者を回るとき に、啓発したり相談に乗ったり等々、あるいは人材育成ということでビジネス講座を開 設したり、DCプランナーの通信教育を進めたりとかいうその地域に応じたあるいはそ の状況に合わせた形でバリエーションを付けて行っているということでございます。  お手元に、これは東京の場合でございますが、御参考にお入れしましたけれども、セ ミナー・相談会のチラシが1枚入ってございます。これは参考例でございますが、具体 的なアプローチの仕方で、例えば東京商工会議所、東商401 Kプランというのはまだで きていませんので、今後、どう展開していくのか、東商内部でもいろいろ議論をしてい るとは存じます。そして23区には、それぞれ単独で支部がございます。支部と言っても、 独自に支部の会長がいらっしゃいますし、また、支部の事務局長がいらっしゃいまして、 1つのミニ商工会議所の機能を持っているわけでございます。  例えばこのチラシの内容のスタイルで、企業年金・退職金のテーマと、投資教育を組 み合わせて形で、これは、たまたま豊島支部と板橋支部の共催でありますけれども、こ んなような形で地元の中小企業の方々を啓発していく。これは必ず相談会とリンクさせ てございますので、お陰様でこれを皮切りに今年の12月までに23支部、多少バリエーシ ョンはございますけれども、このようなパターンでセミナー等を展開することとしてお り、これを延べに直しますと、23区内で1,000 社以上に上る中小企業の皆様方に啓発、 教育、特に確定拠出年金も含めてでございますけれども、企業年金、退職金制度に関す る、あるいは適格年金の移行も含めて総合的に啓発活動がしていかれるということでご ざいます。  裏のページで、これは静岡県商工会議所連合会主催ということで、静岡の会議所が行 ったものでございますけれども、ここに書いてございますが、日本版401 Kの仕組みと 事例ということで、対象者は静岡県内116 名の経営指導員を対象としたセミナーを行い ました。私ども中立公平な立場で進めているものですから、登録講師ということでDC プランナーの方、それから社労士の方、あるいはファイナンシャル・プランナーの方、 そういった独立系の専門の方々を再研修させていただきまして試験を受けて合格した方 を本センターに登録して、紹介しているわけでございますけれども、その方を担当の講 師として、更には、アルバイトタイムス社という、確定拠出年金を導入した中小企業で ございますが、そこの方にもお越しいただきまして、事例発表しながら進めていくとい うようプログラムを組みました。  以上、今の商工会議所の全体のグランドデザインを描いた現在の取り組みということ として御理解いただいた上で、もう一度資料6に戻っていただきますけれども、今、中 小企業の実情、これは言わずもがなでございますが、ハードルはいろいろありまして、 特にここに書いてありますように、情報の部分、相談相手の部分、受け皿の部分という ことで、非常にハードルが高いということで、これは2ページ目以降に、これは中小企 業庁が行った適格退職年金の移行に絡めて調査したアンケートから抜粋して再構成した ものでございますけれども、やはり中小企業の分野にいきますと、中小企業における情 報格差も非常に多い。先ほど地域格差と申し上げましたけれども、これは地域も中央も そうですし、同じ中小企業間でも非常に情報格差がある。  それから、相談相手がいないということが3ページ目にも出ておりまして、中立公平 な立場でだれかに相談したいのだけれども、なかなか敷居が高い。あるいはコストがか かるということがございまして、このアンケート結果でも御案内のとおり、従業員規模 が100 人以上、100 人未満では回答がくっきりと分かれていまして、100 人以上ですと、 生保、信託等々に相談する人が多いですけれども、100 人未満になりますと、顧問契約 を結んでいる専門家の方に相談をするということがありまして、どうしても100 人を区 切りにしますと、相談相手先も変わってきているというのがございます。  それから、4ページ目に回答内容が出ておりますとおり、受け皿がないということで、 適格年金の移行ということで、廃止もしくは移行はわかっているのだけれども、どんな 形で移行を考えているのかわからないということが非常に多いということがございます。  そのようなことを含めまして、6ページ目でございますけれども「商工会議所401 K プランのポイント」ということで、総合型という仕組みを商工会議所という機能で提供 していこうということで、今回、札幌の会議所と大阪の会議所が言わば先進的な事例と して、それぞれ401 Kプランをつくったわけでございます。  なお、全部の会議所が総合型を採用すると決めているわけではありませんことをあえ て、付け加えさせていただきます。  7ページ目にその比較がございます。基本的には同じでございますが、ここに書いて ありますが、運営管理機関、これは大阪の場合にはりそな信託銀行が1社、札幌の場合 には大和、野村ということです。  先ほどお話に出ていましたけれども、代表企業は事前に札商の方で2社分用意しまし て、大阪の方は1社という、加入企業が選定していくということで、現在加入の募集を 札幌と大阪はしておりまして、まだ、具体的な数として上がってきておりませんけれど も、相談の企業が非常に多くなってきているということで徐々に関心は高まってきてい ると思われます。ただ、両方の会議所とも4、5年の長いスパンでこの事業は考えてお りまして、確定拠出年金制度だけを進めていくというスタンスではなくて、確定拠出年 金制度も含めて、中小企業にとっての最適な企業年金制度、退職金制度の再構築はどう したらいいのか、適格年金の移行、廃止等とも絡めまして、そういう観点から総合的な 年金相談という形の中で確定拠出年金もとらえていくということでございます。  401 Kプランは非常に制度設計が弾力的にできるというメリットもありますし、勿論、 まだまだ私どもも要望させていただいて参りますけれども、制度改善する余地はありま すが、商工会議所としましても、この確定拠出年金制度につきましては、非常に高い大 きな期待を寄せているというところでございます。  現在まだ401 Kプランを具体的に上げているところは2つの会議所だけでございます が、それぞれ多少の温度差はありましても、他の商工会議所も確定拠出年金も含めた形 での中小企業の取り組み、再構築をどうしていこうかということを今考えておりますの で、ちょうど火山で言えば、噴火がぼんと上がっているのが、この2つの会議所かもし れませんけれども、地中のマグマのところはぼこぼこと煮えたぎってきているという状 態でございますので、ここ1年以内で大きな動きが出てくるのではないかと思っており ますし、私ども日商としましても各地の商工会議所に対し、年金教育センターを通じま して、働き掛けているということでございます。  以上、簡単ではございますが、ポイントを説明させていただきました。どうもありが とうございました。 ○ 加子座長  どうも小野様、ありがとうございました。  それでは、続きまして、福田様から御報告をお願い申し上げます。 ○ 福田総務部長  ブロードネットマックスの福田でございます。よろしくお願いいたします。  早速お手元の資料7に基づきまして、当社での導入目的、プロセス、現状等の御報告 をさせていただきます。  まず、会社のアウトラインを簡単に触れさせていただきます。  当社ブロードネットマックスは、ちょうど4年半前になりますけれども、1999年1月、 電線メーカー及び電機メーカーから営業譲渡を受ける形での合弁により設立された企業 でございます。  従業員は現在約100 名。応援者等を含めまして、体制としては150 名ほどの体制で事 業をしている会社でございます。  事業内容の方は、ケーブルテレビを中心とするブロードバンドネットワーク、プラッ トフォームのシステム設計、開発、インテグレーションになります。  高速回線を利用した映像サービスというものが開始されたり、また今年末には地上波 のデジタル放送が始まるということで、話題には事欠かない業界ではありますが、非常 に混沌とした世界におります。  退職金・企業年金制度の方は、会社設立時に、一応退職一時金の制度は制定をいたし ましたが、それに上乗せする形で昨年確定拠出年金を導入しております。2本立ての制 度になっております。  次のページで当社での制度導入の目的というところを御報告させていただきたいと思 います。  新しい会社でもございますので、まだまだ福利厚生制度というは不十分でございまし て、その辺の充実を図って、社員の士気向上を図ることということがまずございました。 特に営業譲渡を受けたというお話を申し上げましたけれども、営業譲渡とともに、職場 を移してきました出向社員がおります。この出向社員は出向元企業年金制度の範囲の中 におりますので、彼らと当社で実際に採用してきたプロパー社員の間に処遇面でかなり 差があるということで、プロパー社員に不公平感、不利益感が芽生える前に早く手を打 ちたかったということがあります。  また人材流動化への対応ですけれども、当社のような会社では、エンジニアの質が、 直接的に事業を左右すると言っても過言ではありませんので、優秀な人材の採用を少し でも有利に進めたい、そういうポイントになればという思いもありました。  大学へ新卒者の募集をするときに、求人票を企業として提出しますけれども、求人票 上のいろんな制度のチェック欄に最近は確定拠出年金という欄があったりします。当社 のような規模の会社ですと、ほとんどチェックするところはないものですから、やっと チェックするところがあったと、ちょっとうれしい瞬間があります。  あと、株主の企業の方も、当然いろんな確定給付型の年金の再構築に直面しておりま す。したがいまして、いずれ部分的にでも確定拠出年金というものに移っていくのでは ないか。そのときに社員の異動と言うか、転籍等があったときに、あわてて受け皿を用 意することなく、スムーズに移行ができるとか、あるいは株主企業の方でできたスキー ムをむりやり押し付けられなくても済むとか、色々な思いがあって、先手を打っておき たいという気持ちから制度をつくりました。株主企業の方はちょっと違う方向を向いて いるような感じですが。  また、確定拠出年金というのは、我々のような規模の会社から見たときに、小さいな がらも独自の、フレキシブルな制度設計が比較的容易にできるというのが非常に大きな メリットだと私は思っております。  我々の業界にも一応総合型の厚生年金基金というのはございましたが、最終的には、 将来を見て、我々自身でいろいろなことが改革、変更していきやすいということもあり まして、確定拠出年金の導入を決定した次第です。  独自設計ができるというせっかくのチャンスでありますので、中小企業においては、 コンサルティング会社さんからひな形というか、そういうのをいただくというケースも あろうかと思うのですが、自らいろいろ考えていく、そのチャンスを生かすということ が必要だと思っています。  最近見たある本というか、福利厚生の手引きに、中小企業の場合、効率が悪いため、 資産管理機関さん、運営管理機関さんに、委託を断られるケースがあるのが確定拠出年 金のデメリットだと書いてありまして、そんなことは実際にはないのだろうと思います が、ああいうコメントもどうかなと感じた次第です。  それから、次に導入のスケジュールでございます、制度開始までのスケジュールを記 載させていただいております、導入の意思決定が2001年3月、制度開始は2002年4月と いうことで、ちょうど1年間の準備期間となりました。この年の10月に法が施行され、 あるいは運営管理機関さんの登録もそのときにされておりますので、実質的には半年か ら8か月間くらいの期間で詰めたという形でございます。  主に当社での制度設計上の課題、検討事項のようなものを次の4ページに挙げさせて いただいております。  1つは、先ほど申し上げましたように、一応退職一時金の制度がございましたので、 それを廃止して、確定拠出年金に統合するかということでございました。退職一時金の 規定の中にも、将来この制度は確定拠出年金制度ほか、その他の制度へ移行することが あるという条文をもともと入れていたものですから、いっそのこと統合してしまおうか ということがありましたが、1つは、一時金の必要性というのは必ずしも定年のタイミ ングだけではなく独立開業の資金でもあること。それから、限度枠の問題で確定拠出年 金単独では余り十分な額にならないということがございまして、併用という形にいたし ました。加入資格でございますけれども、一応有期で雇用している契約社員と、役員は 除外をいたしました。  先月、改正労働基準法が参議院を通過して、多分今年施行されるのかと思いますけれ ども、有期の労働雇用契約をする場合の期間が原則1年から3年、専門性を持った方に ついては3年から5年とだんだん延びていく傾向にあるかと思います。当社でもそうい う人の雇用ニーズというのはあると思っていますので、一旦外しましたけれども、今後 は対象にする方向で検討してまいりたいと思っております。  もともとポータビリティということで、本制度自身、こういう方々にメリットがある 制度かなと思っております。  役員についてですが、コーポレートガバナンスの強化という観点から、取締役は従来 のように、社員の出世の最終到達地点というよりも、ある期間商法上のミッションを果 たしてください、その後、降格という意味ではなく、もう一度ラインの責任者として指 揮をとってくださいみたいな、そういう双方向化というのがあると思っています。そう いうときに、役員を対象から外しておりますので、その都度資格喪失させてまた取得さ せてと、それを繰り返すのもいかがなものかと。今のところ結論はないのですけれども、 悩んでおります。  掛金の方は利回りを2%で想定をしてシミュレーションをいたしました。社員の資格 別に月1万1,000 円から3万2,000 円の掛金設定をしております。  「57歳到達者は60%」と書いてありますのは、57歳に到達しますと、その時点でのそ の人の職責にもよるのですが、給与規則上資格給が若干減額されるようになっておりま すので、それと連動するような扱いをしたということです。また、57歳以降ずっと60歳 まで社員としての退職金と確定拠出年金の最大の掛金が続いていくと、実は最終的に平 取の役員退職慰労金を上回る可能性があるということもあり、これは多分当社の役退の 額が低いせいだとも思いますが、最後の方は低減するような設計にいたしました。  5ページ「掛金中断期間」は、給与が有給か無給かという基準に合わせて設定をしま した。  「事業主返還」の方は若干厳しいかなと思いましたけれども、原則3年未満は全額返 還ということにいたしました。  事由は自己都合退職、懲戒解雇ということでございますので、関連する企業へ会社・ 本人合意の上に、加入1年で移籍したというものが先月出たのですが、こういう場合は、 全額返還ではなくて、本人に帰属するという取り扱いをしております。  手数料については、ここに記載のとおりで、運用指図者と加入者について、取り扱い を分けております。  「委託機関の選定」でございますけれども、各機関さんの体制とか、公平性云々ある わけですけれども、当社の場合、その企業規模に見合った料金体系を御提示いただける かどうかというのが一番のポイントだったと思います。例えば運営管理手数料などでも、 固定費が90万で、1人当たり3,000 円ですよというお話があると、そもそもその90万を 90人で割ったら一人1万円がもうそこでかかっているわけです。企業規模に合った変動 費と固定費のうまいバランスでメニューがある機関さんにお願いをするということにな ったということでございます。  6ページが運用商品でございます。社員数も少なくて、また最初の説明会等のときに、 ヒアリングをしましたら、ほとんどが商品の運用経験もないということでしたので、か なり絞った形で少なめに始めております。元本確保型が3本と、投資信託が4本。約半 分が元本確保型の方へお金は振り向けられているという感じです。ニーズを聞きながら 徐々にメニューとしては増やしていきたいと思っております。  4月に、資産評価額と会社がそれまで1年間拠出してきた累計額を比較したら、評価 額が96%と4%ほど拠出額に対して目減りをしておりました。それが先週確認しました ら、102 %になっていましたので、投資環境の方は、少し良い傾向にあるかなと思って おります。  最後のページ「その他」で2点挙げさせていただいています。  まず「投資教育」の問題です。投資というとどうしても敷居が高いと言いますか、人 によっては投機に近いようなイメージを持っていて、そのせいでこの確定拠出年金がリ スクを社員に押し付けていると言われる側面もあると思っています。そこで、社内では 資産形成教育という言い方をしようということで始めております。教育の中身の方は、 現在アンケートを取ったりして、ニーズ調査をしているところであります。  投資信託に関する商品説明を求める声が一番多くて、またこれはちょっと意外という か、Webとかコールセンターの利用方法を今更聞きたいという意見も結構多かったの は、ちょっと残念ではありました。  昨年は余り運用環境は良くなかったということで、前年のマイナスを取り返すぞとい う意気込みを書いてきた社員もいました。  最後に「課題」ということで、この連絡会議でも既に取り上げられていて重複するか とも思いますが、「加入年数と受給開始年齢」をあげています。例えば加入期間が非常 に短いと支給開始が65歳ということになってしまいますが、少し条件が緩和されること を個人的にというか、企業としても希望しております。  50歳以上で、制度スタート時に60歳まで10年ないことがわかっている者は、加入をさ せずにほかの制度で代替するということがあるわけですけれども、中小企業の場合、複 数の制度をいろんな形で持つのは非常に負担になるものですから、できればシンプルに、 一律的に行きたいというのが正直なところです。  国全体としても普及段階ですので、転職者について期間が短いという人も出ると思っ ております。  マッチングにつきましては、実現されれば、財形などと一体化して自分の資産を一元 管理できるようなことになると思っております。  インセンティブについては、人事考課とか業績考課の結果を反映させて、ポイント制 で退職金を計算するという企業さんが増えていると思いますけれども、本制度の掛金も もう少し柔軟な運用ができればと思っております。  最後ですけれども、当社でも既に2名が退職に伴ない資格喪失しました。個人型への 手続をするように指導しましたけれども、この辺りの手続は余りシンプルではないので、 もう少しわかりやすくなればと感じております。  以上でブロードネットマックスの状況についての御報告とさせていただきます。  ありがとうございました。 ○ 加子座長  福田様、どうもありがとうございました。それでは、ただいま御報告いただきました 資料5、6、7につきまして、何か御質問ございましたらばよろしくお願い申し上げま す。何か御質問ございますでしょうか。  では、私の方から1点、小野様に御質問させていただきたいと思います。  こういう格好で複数企業が確定拠出年金を導入するというのは、中小企業にとっては 大変いい制度でありますし、御報告の中にもございましたように、スケールメリットと いう意味では大変適切なものだと思っているんでございますけれども、一方で複数の企 業が集ってやるということになりますと、1個1個の会社の事務はそれぞれ低減されま すけれども、代表企業は全部事務を集約するような形に多分なるのだと思うので、大分 事務が大変になるのかなということ。  もう一つは、商品の選定等をやるにしても、各社ごとにそれぞれニーズがあったりし ますと、調整するのが事実上は大変難しいのではないかなと思っておりまして、具体的 にどういうふうに代表企業を選定されるのか。あるいはどんなふうに各社の意見を求め ながらやっていかれるのか、その辺のところを教えていただければと思います。 ○ 小野副部長  まず先ほどの事務の件でございますが、確かにそのままいけば代表企業の方に事務負 担が増えるということで、ここの部分につきましては、商工会議所がそれをカバーして いくという形で、そこは連携しながらやっていくということで、先ほどのスケールメリ ットのほかに、そういった事務労働の部分をもともと商工会議所の機能として、中小企 業の皆さんのいろんな事務を代行して処理をしていくというのを1つの会員サービスの 一環としてやっていく部分がございますから、それを拡充させる形で行っていくという ことで対応しています。  したがいまして、それに伴って、いろんなマンパワーが必要な部分が出てきますので、 そういう部分につきましては、私どものような公的団体がマンパワーの部分でも側面的 に支援をするというふうに考えております。  それから、2つ目の、確かに金融商品のラインアップが非常に難しい部分でございま すが、これはやはり中立公平というのが商工会議所の一つの大きな金看板でございます から、そこの観点から、例えば運営管理機関と、ライバル同士の関係にあるような他社 のものを均等に入れていくという形で、ここのところはできるだけだれが見ても、バラ ンスがいいなという形で、見直しや加入している企業とも相談しながら行っていこうと 考えております。常にその辺の再検討はしながら行っていくということでございます。  以上です。 ○ 加子座長  どうもありがとうございました。 ○ 秦委員  小野さんとはしょっちゅうお話をさせていただいているので、今更というところもあ るのですけれども、私の方から2、3、今せっかく加子さんからもお話が出ましたので、 ややクリティカルな話をさせていただきたいと思うのです。  小野さんの7ページに、運営管理機関として大和ペンション・コンサルティング、野 村ディーシー・プランニング、りそな信託銀行と並んでいます。私の知識が間違いでな ければという前提なのですけれども、大和ペンション・コンサルティングと野村ディー シー・プランニングはかなり投資信託について、自身で運用する商品を並べることが可 能だろうと思います。でから、確定元本の商品以外は自社の商品を並べることが可能で す。  それに対してりそなさんの場合はかなりそれは苦しいだろうと思うのです。そうなっ てくると、今、例えば、典型的なのは野村さんとか日興さんとかですけれども、インデ ックス型のもの、TOPIXとか、日経225 とか、そういうものを中心にして、かなり 外貨も含めてですけれども、御自身が運営される場合の信託報酬というのは下がってお ります。恐らく通常ベース以上、多分、実態は半分以下になっているのだろうと思うの です。  そうすると、同じ日経225 なり、TOPIX連動などの商品が、大和さんは逆にそう いうポリシーを今は取ってないのです。そのうち崩すかもしれませんけれども。そうす ると、この2つを並べたときに、例えば野村さんの日経225 というのは相当低い。大和 さんのものは高いかもしれない。どちらを選ぶという話は例えばあるのだろうけれども、 もっと大きい問題は、大阪の場合は、りそなさんの場合は、自分で運用する商品をほと んど持っていない。ということは全部他社から持ってくるということになりますね。 そうすると、すべて信託報酬は、言ってみれば中間マージンの問題がありますから、高 いものになってしまいます。ですから、どういう運営管理機関で、どういう商品を並ば せるかという、言ってみれば運営力の強い金融機関を並べるか並べないかでもって、実 は手数料が全然違ってしまうという状態が起きてくるわけです。その責任をだれが、ど う取るのかというのが非常に私は総合型の1つの欠陥だろうと思います。  ですから、例えば社員から見たときに、なぜおれのところはこんな信託報酬は高いの だ。隣の人はもっと低い信託報酬で全く同じ運用形態のものをやっているじゃないかと 言われたときにどうされるのかという問題です。  これは1つの例ですけれどけも、もう一つの観点からしますと、総合型の厚生年金基 金の場合に非常に問題になっているわけですけれども、悪い言い方をしますけれども、 足抜けが非常に難しいのですね。今などは抜けようと思ってもなかなか抜けないという 状態になっています。総合型の確定拠出年金のときも、どういうふうなことをすれば、 いつでも自分が独立の形で、自分が総合型から抜けて、単独型へ移ろうということがで きるような仕組みを事前にきちっとつくっておいていただくというのが必要なのではな いか。確定給付に比べれば、確定拠出の方がやさしいとは思いますけれども、やはり一 番メジャーなプレーヤーが、大きな人数を抱えていたところがぼんと抜けると、やはり 手数料とかがめちゃくちゃになってしまうということはあり得るわけです。その辺りで すね。どんどん先に抜けた方が勝ちで、後に残った人はどんどん不利になるという可能 性もないわけではありませんから、その辺りのところは是非御工夫をいただければと思 います。 ○ 加子座長  ありがとうございました。ほかに御質問等ございますでしょうか。 ○ 矢崎課長  ブロードネットマックスの福田さん、御説明ありがとうございました。ちょっとお伺 いしたいのは、7ページの御説明の中の最後、課題の中で個人型への移換というお話が ございました。国基連の方へ個人型は行くわけでありますが、1つは、そういった仕組 みをそれぞれ確定拠出年金の実施企業の方で従業員の方に御説明いただくというのは必 要だと思うのですけれども、おっしゃっていました手続のシンプル化というお話で、何 か具体的にもうちょっとここら辺を工夫した方がいいという具体的なイメージがおあり でしたら教えていただければと思います。 ○ 福田総務部長  退職した場合、個人型に1回移すことになりますが、その手続きを他の様々な手続の 中の1つとして、企業が何か手続を一遍に代行して上げられれば非常に簡単かなと思う のです。今のところ私の認識では、あくまで個人が金融機関さんに足を運んで、資格喪 失の証明を提示し、個人型への手続をすると。特にニューマネーを入れることもないと いう人や、非常に短期で辞めた人は、なかなか自分で手続に行かないのです。全額が事 業主返還だということになると、自分で行くメリットがありませんので、全然行かない ということになります。会社が何か手続を代理としてあげられればなと思います。 ○ 加子座長  今のテーマに関連して御意見等ございますでしょうか。 ○ 吉野委員  今の御指摘は全くそのとおりだと思いまして、例えば最後にお話になられました事業 主返還があるケースですね。企業の皆さんは早目に掛金を回収したいということだろう と思うのですけれども、今の在り方では、現金化するためには、必ず個人型に移換手続 をしてもらうとか、脱退一時金を請求してもらうとか、そういうアクションをしてもら わないとだめなのです。ところが全額事業主返還をする場合がかなりありますので、御 本人としては、お金が全然返ってこない。あるいは移換すべき資産もないことがわかっ ているにもかかわらず、事業主返還のために資産移換の依頼をするといった例も実際に 起こってきていますので、今の御提案にありましたように、企業型サイドでできること はしていただくというのも1つの在り方なのかというふうに実務面からは感じておりま す。 ○ 加子座長  ありがとうございました。進め方としては、こういう形で御意見をいただきながら、 その都度お答えするということでよろしいでしょうか。 ○ 矢崎課長  勿論、この場合、実際に取り組んでいらっしゃる皆様方ですから、忌憚のないいろん な御意見をお伺いできればということでございます。この場でその都度これはできます、 これはできませんと答弁するというものでもありませんので、本当に自由にご意見をい ただければと思います。 ○ 加子座長  わかりました。ありがとうございました。それでは、ほかに御意見等ございますか。  よろしゅうございますでしょうか。それでは、資料5、6、7につきましては、以上 で終了ということにさせていただきます。  それでは、続きまして、資料8「企業年金等について」につきまして、事務局から説 明をお願い申し上げます。 ○ 松岡企画官  それでは、お手元の資料8をお開きいただければと思います。「企業年金等について 」でございますが、これは先般の6月12日に開催された社会保障審議会年金部会の資 料で、この確定拠出年金に関連するものを抜粋したものでございます。全般的な状況や ポータビリティーへの対応、それから拠出限度額の見直し等を課題として提示させてい ただいております。  まず、お手元の1ページをお開きいただければと思います。全般的な見取り図という ことで、挙げさせていただいておりますが、企業年金等は公的年金を補完して多様化し た老後生活のニーズに対応していくということで、それぞれ組み合わせて老後の収入を 確保するということでございますが、その下の制度体系にございますように、厚生年金 基金、確定給付企業年金、適格退職年金とともに、確定拠出年金がございまして、それ らは組み合わせて取り組まれているということでございますが、この網掛けの部分がそ れでございます。  次が2ページ目でございますが、確定拠出年金の平成13年に確定給付企業年金法と確 定拠出年金法によって新しい制度が導入されておるわけでございますが、その見取り図 でございます。  現状を取りまく状況でございますが、運用環境が非常に厳しいということと、それか ら、雇用退職制度の変化が生じてきているといった点が大きな状況としてあるわけでご ざいます。  その中で、実際の今後の検討すべき課題ということで、3ページ以下、挙げさせてい ただいておりますが、1つはポータビリティーへの対応ということでございます。制度 間移換という道はほぼ13年の法律で対応しているわけでありますけれども、個人単位で の移換について、確定拠出年金の方は進んでおりますけれども、確定給付型年金の方が まだ進んでいない点がございますので、そういった点の問題があるということでござい ます。ここに現状として挙げさせていただいております。×印のところが移換できない ということになっております。  規制改革の推進3か年計画の方でこの問題について取り上げられておりまして、下に 線がございますように、企業年金については転職が不利にならないように、確定給付型 年金の中途脱退者の通算制度の拡大、個人型確定拠出年金への資産移換の仕組みの検討 など、確定給付型年金のポータビリティー向上に努めるといったことが課題として出さ れているところでございます。  具体的には4ページでございますけれども、確定給付企業年金から中途脱退者の年金 化といったことですが、現状は脱退一時金だけでございますので、そこが通算化できな いかということでございます。  それから、厚生年金基金、確定給付企業年金相互のポータビリティーの問題がござい ます。  5ページ目でございますが、ここが確定拠出年金制度とも関係してきますけれども、 厚生年金基金、または確定給付企業年金から、個人で離転職された場合に、確定拠出年 金の方へ移せないかといった課題がございます。これは、企業型、個人型への移換と2 通り考えられるわけでございます。  それから、6ページでございますけれども、確定拠出年金制度そのものの問題でござ いますけれども、まず第1が、拠出限度額の見直しといったテーマでございます。現行 の限度額というのは、厚生年金基金の望ましい給付水準、努力目標水準ということで代 行給付の2.7 倍といったものを基本にして、拠出額を算定する形で設定いたしておりま す。下に掲げておりますように企業年金がある企業とそうではない企業で分かれている といったのが企業型でございます。  自営業の方については、国民年金基金との共通の限度額ということになっております のと、それから、企業年金や企業型の確定拠出年金のない企業については1.5 万円とい うことで設定されておりますけれども、今回、年金制度改革の中で、公的年金の給付の 在り方の見直しといったものが今後議論されるわけであります。その際、これを補完す るという意味で、確定拠出年金制度の拠出限度額をどう考えていくのかというのが1つ の大きなテーマになっているわけでございます。  それから、制度的事項として、主な事項として3点挙げさせていただいております。  マッチング拠出と、中途引き出し、3号被保険者の取り扱いといったことでございま す。現行の企業型の確定拠出年金について、本人のマッチング拠出を認めるべきではな いかという御意見がございますけれども、これについてどう考えるかということでござ います。この制度をつくるときに貯蓄か年金かという仕切りの点から、マッチング拠出 といった点について、認められていないということがございますけれども、この点につ いてどう考えるかという課題がございます。  7ページでございますけれども、中途引き出しについてでございます。基本的にこの 制度は老後になって、年金として受給するというのが前提でありますので、脱退一時金 というのは加入期間が短い方など、特例的に認められているわけでございますけれども、 これについて中途引き出しを容認すべきであるという御意見がございます。  これについても、やはり貯蓄と年金の区別の問題というものがございまして、この点 をどう考えるのかという問題があります。  なお、少額資産については、この会議でもいろいろ御意見がございましたように、手 数料によって資産の減少などがあるといったことがございますので、そういった対応が 必要ではないかという点も挙げさせていただいております。  それから、3号の被保険者の取り扱いというのも制度をつくるときの課題としてござ いますので、挙げさせていただいております。基本的に自ら保険料の負担をしていない ということや、税制措置の対象となる所得がないということから対象となっておりませ んが、これをどう考えるかということでございます。  年金制度の中で3号被保険者の取り扱いについて検討が行われますので、この取り扱 いが変わった場合に、どういうふうな扱いにするのかというのが1つポイントして挙げ られようかということでございます。  8ページ以下は参考資料でございますので、御参照いただければと思います。  以上でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。それでは、引き続きまして、資料8への質疑を含めまして、 これからフリートーキングという形にさせていただきたいと思います。何か御質問・御 意見等ございましたら、よろしくお願い申し上げます。 ○ 秦委員  先ほど松岡さんからの話がありました例の確定給付型の資産移行のアイデアというの はすばらしい、グッドアイデアだと思うのです。これは是非進めていく方向だろうと思 うのですけれども、問題になりますのは、やはり受け取る側の企業が将来的に追加債務 を負う可能性があるという部分をどう考えていったらいいのかということなのだろうと 思うのです。  そこのところのうまい解決方法がないとなかなか受け取る側の企業の方が苦しいのだ ろうと思うので、合理性のある考え方が必要になってくるのかということです。  すべて一回連合会に移してしまって、何らかの形で受け取る側の企業の方の、あたか も昔からいた社員だったらこうなっているという金額に戻してやっていただくというの が今、私の思いつくアイデアなのですけれども、それをやると連合会さんの方の負担が 大きくなってしまうので、そうじゃないとすると、例えば社員を中途採用が今はやりに なってきておりますから、そういう中で中途採用を増やしていくと、企業にとって、そ ういうのがあるかないかが合否の1つの決定の目途になってしまうと、本末転倒になっ てしまうようなことになると思いますので、是非いい解決方法はないのかということを 御配慮いただければと思います。 ○ 矢崎課長  給付建てタイプの年金のポータビリティーについては、経済界からの御要望もありま して、大きな課題の1つだろうと思います。この資料にも入れてございますけれども、 例えば、今、松岡が説明しました資料8の4ページの(注)辺ですけれども、基本的に は給付建てのものというのは、それぞれ各企業での人事政策に立脚した給付設計ですか ら、前の会社の給付設計をそのままそこに移すというのは難しいということはあると思 います。  現実的にあり得るのは、双方の合意、今でも確定給付型年金については双方合意の場 合は可能でありますから、やはりプラン間の双方合意というのが1つ要るのではないか という感じはしています。また、(注)の2に書いてありますが、キャッシュ・バラン ス・タイプのものが普及してくれば、より普遍化することはあり得るのかという感じは します。  あと移転と言いましても、厳密に言いますと、多分お話がありましたような、給付の 義務の承継みたいなタイプでいくかの、資産の移換というタイプでいくのかということ も多分あると思うのです。そこら辺も実務を仕組んでいく場合には、どういうふうに考 えるか。  ここにもちょっと書いてございますが、厚生年金基金から違う会社に移っていく場合、 これは代行部分をどう処理するかという問題がありますので、まさしくおっしゃいまし たように、1つは、例えばここにも書いておりますが、厚生年金基金連合会に一役買っ ていただくという、通算センター的な位置づけも必要なのだろうと思います。  この問題、確かに方向性は余り御異論ないかもしれないですけれども、細部の詰めと いうのは大分やらなきゃいけない点があります。また、資金が動くものですから、税制 上の整理も必要でありまして、ここの場での御意見、お知恵をちょうだいしながら今後 やっていきたいと思います。 ○ 加子座長  ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等ございますか。  それでは、私の方から御質問させていただきたいと思います。ただいま御説明いただ きました資料8の12ページでございますが、この中に「確定拠出年金制度の現状」とい う中で、個人型加入者について触れられておりまして、内訳がそれぞれ第1号、第2号 と出ておるわけでございますけれども、特に第2号被保険者の中には、多分一旦企業で 確定拠出年金に加入した後に離職ないし転職等々で個人型の加入者になったという方が 相当数いるのではないかと思うのですが、そういった個人型加入者の方々の詳細と言い ますか、例えば個人別管理資産額の状況等につきまして、何か把握されていることがあ れば御紹介いただければと思います。 ○ 吉野委員  個人型を担当しております国民年金基金連合会ですが、ちょうど各運営管理機関の皆 さんから資産の状況とか運営の状況についての報告をいただいて、とりまとめていると ころでございます。おおざっぱに申し上げれば資料にありましたけれども、お預りして います資産80億のうち、15億くらいが新しい加入者からの資産、残りが運用指図者の資 産となっておりまして、多くは退職給付とかそちらを引き継いでこられたと思っており ます。そのような状況でございますが、運用商品とか、もうちょっと詳しい内容につい ては別途、よろしければ次回にでも御報告させていただければと思っています。 ○ 加子座長  ありがとうございました。ほかに御質問等ございますか。 ○ 太田委員  資料8の7ページの「中途引出し」のところなのですけれども、2番目の○のところ で、「『貯蓄』に近いものとなり、『年金』の性格を損う」というふうな考え方がここ に記載されているのですけれども、企業の実態から言うと、どちらかというと、これは 退職金と年金というような考え方で、貯蓄というよりも、むしろ退職金の一部と。特に 今、早期退職制度とか、どんどん大手の企業でも導入していますね。この制度は移換し て、そのまま確定拠出の方に膨大な資金が入って、60歳まで引き出せないということに なったら、早期退職するときにもいろいろ制約が出てくると思うのです。これは貯蓄と いうよりも、むしろ退職金の一部という方がよろしいのかなと思います。 ○ 矢崎課長  中途引出しの問題、昨年のこの場でもいろいろ御議論いただいた点でありますし、そ ういった点で私ども1つの制度的な検討課題ではないかなと考えております。ここで書 いてありますのは、まさに制度創設時の議論のありようがこうであったという御紹介な のですが、要するに、この制度というのはまさに税制上の優遇措置というのがあんこで もあり、味噌でもある制度でございますが、そういった中で貯蓄というものであれば、 税制優遇をあえてする必要はないのではないか、あくまで老後保障だというスキームで ないと税制優遇はできないという議論が税務当局との間でもございました。そういった 中で老後の保障ということにかかわらず、いつでも随時にどれだけの量でも引き出せる ということであれば、その元は退職金なのかもしれませんが、一旦預けて随時に引き出 せるということになると、貯金のようになってしまうのではないか、こういう議論もあ ったということで、こういった記述で年金部会の方でも論点として御紹介したというこ とです。  この問題については、まさにこの場でもそうでございますし、各方面からの御指摘も ある点でございまして、今後の制度改正の議論、論点、問題点の1つではあろうかと思 います。 ○ 加子座長  それでは、ほかに御意見等ございますでしょうか。 ○ 河合委員  今の件に関して要望ですけれども、税制の問題ですと、ペナルティー課税という形、 前にも議論が出ていますけれども、そういうふうなことを付した上でも、中途引出しと いうのも、最優先課題で是非とも考えていただきたいなと改めてお願いをしたいと思い ます。 ○ 徳住委員  この問題、太田さんからも話が出ましたけれども、企業サイドからすると、適格年金 とか厚生年金基金というのは、辞めて出ていくときには現金をもらえるのですね。それ なのに確定拠出年金だけもらえないというのが非常に不公平なイメージがあるわけで、 確かに成立過程からして貯蓄との問題というのは確かにあるわけなのですけれども、企 業年金全体として、どれだけ税制上の枠を与えるかという観点から物事を考えていただ ければ、おのずと確定拠出年金だからどうだ、厚生年金基金や適格年金だからどうだと いうような議論にならないで済む着地点があるじゃないかなと期待しているのです。 ○ 加子座長  今の点に関しまして、先ほど福田さんに御報告いただきました中にも、たしかその辺 のところが1つポイントということで一時金を残し、確定拠出との並存を決められたと いうお話があったかと思います。要するに、退職金というのは、すべてを退職のときに 使うわけではない。例えば開業のために使う資金ということも考えなければいけないだ ろうという御発言があったかと思うのですけれども、この点に関連して、今の途中引出 しの問題につきまして何か御意見ございますか。 ○ 福田総務部長  確かに途中引出しが可能であれば、限度額がもうちょっと高ければ、制度を一本化で きたかもしれません。  途中引出しというのも、企業掛金が続いていて手数料も企業が負担している場合と、 個人型に移っている或いは制度上資産凍結されたような状態になっている場合があると 思います。  手数料だけが、何年何十年と毎年残高から引かれていく状況にある人については、引 き出しを認めていただければなという気がいたします。 ○ 加子座長  ありがとうございました。ほかに御意見等ございますでしょうか。  それでは、この辺でフリートーキングの方は一旦終わらせていただきまして、残りの 時間を使いまして、お越しいただいております傍聴者の方から、確定拠出年金の実施企 業の担当者の方々の御質問等を受けたいと思います。本日の議事内容に関しまして、御 意見、御質問等ございますれば挙手をお願いいたします。私の方で指名させていただき ますので、事務局よりマイクを受け取り、企業名、それから御氏名をおっしゃった後に 御発言いただければと思いますが、傍聴の皆様よろしくお願いいたします。いかがでご ざいますか。  特に質問、御意見等ございませんでしょうか。  では、御質問等ございませんので、最後に次回の連絡会議につきまして、事務局より 御説明をお願いしたいと思います。 ○ 矢崎課長  本日はありがとうございました。次回の議題といたしましては、新しくメンバーにお 入りいただきました企業の方から、実施状況の方向とか、運営管理機関からお話を聞く ということを考えていきたいと思っております。  メンバーの方からの御報告につきましては、日本IBM株式会社の吉田様から導入状 況とか、問題意識といったものについて御報告をいただければと考えておりますが、い かがでございましょうか。                 (特に意見なし) ○ 矢崎課長  ありがとうございます。それでは、そういうことでた次回進めさせていただきたいと 思いますが、次回の開催は、冒頭申し上げましたように、9月ないし10月というふうに 考えておりますが、具体的な開催日時等につきましては、また、今後調整させていただ いた上で御連絡申し上げたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○ 加子座長  ありがとうございました。本日の連絡会議はこれにて終了させていただきたいと思い ます。本日はお忙しいところ大変ありがとうございました。