03/07/03 第21回社会保障審議会年金部会議事録              第21回社会保障審議会年金部会                    議事録                 平成15年7月3日 第21回 社会保障審議会 年金部会 議事録 日時  :平成15年7月3日(木) 10:00〜12:40 場所  :霞が関ビル35階 霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」 出席委員:宮島部会長、神代部会長代理、井手委員、今井委員、大澤委員、大山委員、      岡本委員、小島委員、近藤委員、杉山委員、矢野委員、山口委員、      若杉委員、渡辺委員 ○ 高橋総務課長  それでは、お二方がまだお見えになっておりませんが、定刻でございますので、第21 回年金部会を始めさせていただきます。  議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。  座席図、議事次第のほか、次のとおりです。資料1「遺族年金制度について」、資料 2「離婚時の年金受給権分割制度について」、資料3「障害年金について」、資料4 「高齢者の就業と年金制度等について」でございます。  また、参考資料として、参考資料1「第17回年金部会議事録」、参考資料2「第18回 年金部会議事録」、参考資料3−1「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」、 これは閣議決定されたものでございます。参考資料3−2、その「関連資料」、参考資 料4「社会保障審議会意見書」、参考資料5、「税制調査会中期答申」、参考資料6 「厚生年金保険等の給付誤りについて」をお配りしております。  このうち、参考資料3から6までについては、この後、簡単に御説明申し上げます。  委員の出欠の状況ですが、本日は、翁委員、堀委員、山崎委員が御欠席との御連絡を 承っております。まだ大澤委員と杉山委員がお見えになっていらっしゃいませんが、後 ほど御出席されることと思います。それから、矢野委員が途中で退席されるとのことで ございます。  年金局長は、現在国会に呼ばれておりますので、最初の方はしばらくおりませんの で、御容赦願いたいと思います。御出席いただいております委員の皆様方が3分の1を 超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。それでは、 以降の進行につきましては、部会長よろしくお願いいたします。 ○ 宮島部会長  御多忙のところありがとうございます。今回は既に議題等で御案内をしているとおり でございますように、各論の議論のほぼ最終段階に入ってまいりまして、残されており ました遺族年金、離婚時における年金受給権の分割に関する議論、障害年金といった年 金給付に関わるいくつかの問題を本日取り上げます。また、支え手を増やす取組みにつ いて若干議論してまいりましたが、その中で残っていた高齢者、派遣労働者、失業者に 関する事項についての議論を本日は行いたいと思っております。  本日の進行でございますが、前半で「遺族年金」と「離婚時の年金受給権分割」に関 わる議題について事務局の説明と討議をお願いいたします。概ね11時半をめどにし、若 干休憩をとった後、後段の議論で、「障害年金」、「高齢者の就業等」に関わる議論を 行いたいと考えております。ただ、御承知のように、実は前回の年金部会から今回まで の間に、政府内で社会保障に関わる重要ないくつかの報告や答申が行われた経緯がござ いますので、本日の議題に入る前に、経済財政諮問会議の「骨太方針」等につきまし て、この間の経緯も含めて、事務局から簡単に説明を伺い、御意見があれば伺いたいと 思っております。  それでは、事務局から、これまでの主な内閣の動きについて御説明をいただければと 思います。 ○ 高橋総務課長  お手元に参考資料3−1、4、5と提出させていただいておりますが、参考資料3− 1は、先月27日に閣議決定がされました「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2003」、いわゆる「骨太方針」第三弾であります。  毎年この時期に翌年度の予算に向けて、政府全体の財政運営の基本方針を決めて、そ れを予算に反映させますが、3回目の「骨太方針」ということでございます。  開いていただきますと、3枚目が目次でございますが、全体では「日本経済の課題」、 「構造改革への具体的な取組」、「16年度経済財政運営と予算のあり方」の三部構成と なっております。  「日本経済の課題」の3.に「3つの宣言」と「7つの改革」と書いてございます。 3つの宣言というのは、経済の活性化、国民の「安心」の確保、将来世代に責任が持て る財政の確立、これが重要だということを言っておりまして、この宣言の2番目、国民 の「安心」の確保は、宣言として、「持続可能な社会保障制度を構築し、若者が将来を 展望でき、高齢者も安心できる社会をつくる」という方針に沿って社会保障改革を行う ということが書いてございます。その辺は4ページの「改革5:社会保障制度改革」に 出てまいります。具体的な話につきましては、第2部にもう一度社会保障制度改革が出 てきます。  目次にもう一回戻っていただきまして、「7つの改革」というのは、第2部に挙がっ ている7つのものでございます。もう一度4ページにまいりますが、宣言の3番目とし て中段に書いてございますが、「将来世代に責任が持てる財政の確立」という項目に、 「宣言:財政の信認を確保し、成果を重視する」とあります。その中の第2段落以下で 「現行制度を維持する場合〜」と書いてございますが、最後に「例えば潜在的国民負担 率で見て、その目途を50%程度としつつ、政府の規模の上昇を抑制する」という部分が ございますが、この潜在的国民負担率をどうするか、数字と当面のターゲットの期間に ついてかなり厚生労働省と経済財政諮問会議との間で議論があったということでござい ます。  御承知のとおり、潜在的国民負担率は、社会保障負担と租税負担を国民所得で割った ものですが、それに財政赤字を加えたものを潜在的国民負担率と呼んでおります。政府 の規模についての1つの指標として用いられているものですが、これについて、長期的 に50%程度に抑えるという話が出てきたものですから、それではとても社会保障その他 全てを賄いきれないので、目途にいたしましても、50%程度に必ず抑えるのは無理では ないかという議論、あるいは時間的な問題として、上の方に「プライマリーバランスを 黒字化するなど財政を健全化していくため」と書いてございますが、これにつきまして は、時期的にはプライマリーバランスを黒字化することは2010年ぐらいまでの目標と考 えられていますが、潜在的国民負担率についてもそれぐらいまでの目標ではないかとい う議論がなされております。  第2部で、先ほど「7つの改革」の話が出ていると申し上げましたが、16ページに2 つ目の宣言に基づく社会保障制度改革の方針が書いてございます。16ページの頭からで すが、「5.社会保障制度改革」で、「世代間・世代内の公平を図り、持続可能で信頼 できる社会保障制度に改革する」ということで、改革のポイントが4点挙がっておりま す。「(1)社会保障給付費の伸びの抑制」、「(2)年金制度の改革」、17ページ以 下で「(3)医療制度の改革」、その他、介護等が出てまいりますが、16ページの一番 下から、社会保障制度改革の最初として、年金制度改革が出てまいります。最初を読み 上げますと、「平成16年に予定される次期年金制度改正においては、後述の課題を念頭 におきつつ、次の(1)〜(8)の基本的方針に沿った改革を行う。これにより、頻繁に制度 改正を繰り返す必要のない恒久的な改革とする」ということで、(1)〜(8)の項目を立て て、こういった基本的な方針で改革を行うということを宣言しております。  (1)は、将来の現役世代の負担を過重にしないため、早期の給付調整を図ることを基 本とするということ。  (2)は、将来の最終的な保険料については国民負担率の上昇抑制と、将来の現役世代 の過重な負担の回避という視点を重視して決定し、保険料の引上げを早期に行うという こと。  (3)その他、基礎年金の問題。  (4)給付と負担のあり方の問題。  (5)年金のモデルの考え方と高齢者の経済格差に配慮した給付抑制の問題。  (6)その他、積立金。  (7)第3号被保険者制度の見直し。  (8)未納・未加入者に対する徴収の強化。  それから、今回の改正の基本方針ではないけれども、次の課題も検討するということ で、1つは基礎年金のあり方、もう1つは、将来の生涯現役社会を展望した支給開始年 齢のあり方について、検討を行うことが宿題であるということでございます。  それから、18ページに「(5)社会保障サービスの一体的な設計」ということで、 「社会保障個人経会計(仮称)」の検討と、それに関係して現役世代にとってもわかり やすい年金制度の仕組みということを言っております。  年金制度のところは、経済財政諮問会議の決定と、それに沿います閣議決定につきま して、政府としてはこれが基本方針になっています。  参考資料3−2を付けておりますけれども、骨太方針に向けた議論の過程で、特に社 会保障の関係は2つの大きな問題を抱えておりました。1つは、先ほど申し上げました 潜在的国民負担率の問題、もう一つは年金固有の問題と支給開始年齢の問題です。最初 支給開始年齢の問題は、先ほどの(1)〜(8)の基本的方針の中に入っておりまして、支給 開始年齢は今回の改正の中の基本的方針として検討しようということになっていたもの を外したということでございます。現状、資料3−2にありますように、支給開始年齢 は昨年の2月から61歳になっております。おととしの4月に引上げがあって、61歳から もらい始める方が去年の4月から出てきたということでございますが、支給開始年齢の 引き上げに着手したばかりで、しかも高齢者雇用も下のページに書いてございますよう に、大変厳しい状況です。また、資料3−2の2枚目にありますように、65歳までの定 年延長、再雇用の場の確保はまだまだの状況であることから、今回の改正の検討課題と しては無理なのではないかという議論をしておりましたけれども、基本的方針から外れ たということで、そういった関係でこの3−2を付けております。  それから、参考資料4は、先月の16日に社会保障審議会が取りまとめました「今後の 社会保障改革の方向性に関する意見」でございます。これは全体をざっとお読みいただ ければと思います。社会保障改革の6ページあたりからでございますが、「III 社会 保障改革の基本的視点」ということで、簡単に申し上げれば「○」の2つ目、持続可能 性の確保が重要であり、それから「社会経済との調和」と、7ページにある「公平性」 の問題がポイントになります。下から3つ目の「○」でございますけれども、このよう な改革を進めることにより、社会経済の構造的変化に対しても持続可能であり、多様化 する国民の生活を支えるセーフティネット機能が維持できる21世紀型の社会保障の実現 を図っていくことが可能だということです。  8ページ以下で、「給付の在り方」について書いてございます。「○」の3つ目と一 番下でございますけれども、基本的には給付の伸びを抑制していきながら、次世代の支 援にウエイトを少しずつ移していくということであります。  9ページの下から「負担の在り方」について書いてございますが、「今後の社会保障 の負担水準については、給付の在り方とともに、経済・財政とのバランス、世代間・世 代内等の公平性の確保などの観点もあわせ考え、国民に選択を求めていく必要がある」 ということで、10ページの一番最初に「負担増は避けられない」と書いております。そ の3行目で、「将来の負担水準に関する見通しとそこに至る具体的な道筋を示し、広く 国民的議論を展開し、国民に負担増に関する理解と納得を得ていくことが必要である」 ということでございます。  3つ目の「○」で、年金保険料の引上げの早期解除が必要であるということと、国庫 負担の引上げについて必要だということを述べております。  そのほか、11ページの「○」の3つ目、国民一人一人の所得や資産には格差があると いう点から、次の「○」で、社会保障における給付と負担や、公的年金に対する課税の 在り方については見直すべきということを言っております。  次の「○」で、低所得者対策については十分留意する必要があるということを言って おります。  12ページに「(3)国民負担率をめぐる議論」、 「(4)国と地方をめぐる議論」 について述べております。国民負担率をめぐる議論は、先ほどの経済財政諮問会議につ いて述べたことと同じことを言っております。  次に、参考資料5、「少子・高齢社会における税制のあり方」でございます。これは 昨年夏に、将来の税制のあり方について議論し、今回、「少子・高齢社会における税制 のあり方」ということで答申が出てきたものでございます。目次をご覧いただきます と、第一 、第二、第三、その他のテーマでございますが、「第一 少子・高齢化と税 制」、このテーマの下に「少子・高齢社会を支える税制」といった視点から見て個別税 目の改革についてどういうものがあるか、個人所得課税、消費税、法人課税、相続税・ 贈与税についてはどうか、ということを言っております。  次に1ページで、「第一 少子・高齢化と税制」、「一 少子・高齢社会を支える税 制」と言っておりますけれども、1ページの中段あたりから3つの改革の取組みの視点 として、「(1) 将来にわたる安心をもたらす税制」「(2) 若者から高齢者までがとも に支える税制」、「(3) 個人や企業の活力を引き出す税制」ということを言っており ます。  結論としては、2ページの最後の、「少子・高齢社会を支える税制の構築に当たって は、個人所得課税の基幹税としての機能を回復すること及び消費税の役割を高めていく ことが基本となる」ということです。つまり所得税と消費税の役割を高めることが重要 だということを言っております。  では、個別の税目ではどういうことが必要なのかということで、3ページ以下にまい りますが、所得課税については昨年の答申でも空洞化について強く言われておりました けれども、3ページの頭あたりから、少子・高齢社会における個人所得課税のあり方を 言っております。ポイントとしては(1)、(2)、(3)と挙がっておりますが、(2)の少し前 の段落に、「税制の様々な歪みや不公平を是正し、個人の経済・社会活動上の多様な選 択を妨げないような負担構造を構築していく必要がある」と書いてございます。  (2)として、こういった「税制上の歪みを抱えている要因としては、公的年金等控除 のように特定の収入だけに適用される特別の控除や非課税措置が多く存在する」という ことをできるだけ直そうということで、4ページにまいりまして、「(2)年金課税等 の見直し」で、特に年金関係のことが言われております。  その具体的な話は5ページで、年金課税のいくつかのポイントについて書いてありま す。(1)は総論ですが,2行目あたりに、「年金課税の見直しについては、年金収入の みで生計を立てる低所得者の取扱いについて十分配慮した上で、給付段階での優遇措置 の適正化に取り組みべきである」という記述があります。  では、給付段階の優遇措置は何かということで、(2)で、公的年金等控除は、税を担 う力のある高齢者に対しての老年者控除と、機能が重複をしている、あるいは給与所得 と年金を受けている者について二重に控除しているというような問題があるということ を言っております。  (3)では、おしまいの方ですが、企業年金などの私的年金については、拠出時控除・ 給付時課税の枠組みを徹底する方向で基本的な改革を行い、税制適格な私的年金をきち んとしようということを言っております。  (4)ですが、これは前回、遺族給付などの問題を取り上げましたけれども、これにつ いても非課税措置を見直すべきではないかということを言っております。  7ページにまいりまして、消費税の役割について述べております。「(1)少子・高 齢社会における消費税の重要性」ということで、これは新聞にもよく出ましたけど、2 桁への税率の引上げが必要だということを8ページの最初で言っております。それと関 連して、逆進性が言われているけれども、これは歳出面を含めた財政全体の判断という ことを言っております。  消費税の「今後の検討課題」として、「(1) 税率構造」、「(2) 仕入税額控除」、 これはいわゆるインボイスの問題です。「(3) 消費税の使途」として、特に8ページ の最後、税率の引上げに際しては、国民の理解を得るために社会保障支出や社会保障負 担との関係を明確に説明することが必要になるということを言っております。  以上でございますけれども、税の関係、経済運営全体の中で、年金関係についていろ いろな議論が出てきたということでございます。  以上が御報告でございますが、最後に1点、先週多く新聞に出ておりましたことにつ いて申し上げたいと思います。先週、報道で、年金関係に関しての厚生労働省案の提示 の前倒しという報道がございました。その経緯を簡単に御説明しますと、先週の火曜日 の閣議後の記者会見で、坂口厚生労働大臣が発言したものでございますけれども、坂口 大臣の意図は、この経済財政諮問会議での潜在的国民負担率、財政負担をからめての年 金の議論、あるいは財政制度等審議会での議論において、いろいろな数字が出てきて国 民は困惑しているのではないかということで、骨太方針が閣議決定されて一区切りつい た段階での発言ということでございます。様々な数字が出てきたので、今後に向けて給 付と負担の問題について論点を絞っていった方がいいだろうということで、8月までの 段階でいくつかの給付と負担の選択肢をもう一度お示しして議論をしていただいたらど うかといった意味で、いくつか給付と負担の選択肢を出したいと大臣から発言をしたも のでございます。  全体の年金関係に関する厚生労働省案は、これはもちろん前々から申し上げているよ うに、秋口での作成を念頭に置いております。その辺につきましては全く変更がないと いうことでございます。 以上でございます。 ○ 宮島部会長  いくつか重要な議論がございましたので、総務課長からかいつまんで4件御報告あり ましたが、何か御質問なり、御意見がある方はどうぞ。 ○ 小島委員  今、いくつかの報告がされましたけれども、意見と質問を1つします。経済財政諮問 会議の骨太方針の件ですけれども、この中でも、来年度の年金改革に向けた基本的な方 向について言及されております。具体的には16、17ページに関わるところで、社会保障 改革の中での5つ目の改革に当たるところです。この中で、(1)〜(8)まで、先ほど総務 課長から御説明ありましたように、そこを中心に次の改革では行うべきだということに なっております。この内容自体に私としてはいくつか異論があります。1つは、17ペー ジの(3)に示された国庫負担の引上げについて結局ここは結論は出してないということ です。本来、諮問会議としてはここのところをきちんと方向性を示すべきだろうと思い ますけれども、そこがないのは不十分だと思いました。  それに引き換えて、給付の調整や引下げ、保険料の引上げが目立つ中で、果たしてこ れで国民の安心の確保につながるかという感じがします。  さらに、今回、最終的に(8)の「また」以下に落とされていますけれども、その中の 2つ目の支給開始年齢の問題ですが、今回の改正ではなく、さらに検討というような表 現になっております。これも先ほど総務課長から御説明ありましたように、前回の改正 のところで、2階の報酬比例部分も65歳に引き上げていくことが決まっていた。それに ついては、私どもとしては反対をした経過がありますけれども、そういうことで、今は 1階の定額部分の引上げが順次行われているというような状況の中で、さらに支給開始 年齢を引き上げるということを議論するということになれば、ますます年金に対する国 民の不信、不満が高まり、国民の安心の確保ではなくて、逆に不安の拡大につながらな いかということになります。そこはやはり慎重な対応が必要だろうと思っております。  それとの関係で言えば、この「また」以下に、もう1つ、基礎年金の負担のあり方に ついて言及されておりますけれども、これはいわば基礎年金の体系のあり方に関わると ころではないかと思います。基礎年金の負担のあり方としては、税方式にするのか、あ るいは逆に所得比例一本にするのかということを念頭に置いた表現ではないかと思いま す。これは、本当は、「また」以下ではなくて、今回の年金改革においては、年金制度 の体系をどうするかをきちんと議論すべき課題だろうと思っております。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。ほかに何か、大澤委員、どうぞ。 ○ 大澤委員  遅れて参りまして、ご説明を聞いてないので、筋違いのことかもしれないのですけれ ども、16ページ、17ページのところで、1つは項目間の整合性ということでございま す。もう一点は、(5)に関わって、給付水準の見直しについてです。項目間の整合性と いうのは、(2)と(6)なのですけれども、保険料の引上げは早期に行うと(2)で言ってい て、(6)で積立金については、抑制すると言っているのですけれども、保険料の引上げ を早期に行うということになりますと、むしろ積立金の抑制とは逆の方向に作用するの ではないかという印象がありますので、この(2)と(6)の間の整合性について疑問に感じ ました。また、(5)の片働き世帯を前提とした給付水準の見直しですけれども、いわゆ る夫40年、妻0年という今までのモデル年金ですと、給付水準は59%、概ね6割という ことですが、共働き世帯を前提とすれば、給付水準は既にそれよりはかなり低いところ にあるわけですから、この片働き世帯を前提としないで給付水準を考えていくというふ うに(5)を読むとすれば、給付水準の引下げを示唆していることにはならないのではな いかと読めますが、その辺については、何かやりとりがあったのかどうかということで ございます。 ○ 宮島部会長  一括して後でお答えいただきます。何かほかにございますか。  それでは、今、小島委員と大澤委員からありました中で、事務局からお答えできるこ とがあればよろしくお願いします。 ○ 高橋総務課長  小島委員の御発言は御意見として受けとめます。また後で、今日のテーマの4つ目の 関係で御議論いただければと思います。大澤委員からお話がありました(2)と(6)の整合 性についてでございますけれども、これは実は私ども原案を示された段階で矛盾してい るという話はしておりまして、もともとこれは抑制するという表現ではなかったのです けれども、今の表現であれば、特に矛盾ということではないだろうと受けとめておりま す。これは引上げはするけれども、将来に向けて、できるだけ積立金は過大にならない ようなことでとどめようという趣旨だということでございます。  どういう経緯で話が出てきたかといいますと、経済財政諮問会議のこの報告の中で は、公的資金の国民経済における循環という問題では、公的資金に偏り過ぎているとい うところから、この積立金の問題についても、ある程度最小限の規模に抑制して欲しい という話が出てきました。  それから、(5)の年金の給付水準については、今は、片働き世帯のモデルを見ていま すが、ほかの世帯類型を見て、いろいろなものを考えて年金のあり方を考えるという趣 旨で話はきております。 ○ 宮島部会長  ということで、とりあえずこの議論はここで終わりにさせていただきたいと思いま す。 それでは、本題の議論に入りまして、「遺族年金」と「離婚時の受給権分割」に ついて、これから事務局から説明を伺いますが、時間が押しておりますので、事務局の 説明は若干短めに心がけていただきたいと思います。 ○ 木倉年金課長  それでは、お手元の資料で、まず「遺族年金」、「離婚時の年金権分割」について御 説明申し上げます。  最初に資料1「遺族年金」の関係でございます。目次を見ていただきますと、遺族年 金の仕組みを御説明申し上げた上で、見直しに関する視点を見ていただこうと思いま す。  それから、論点として大きく3つ挙げておりますが、高齢期、御夫婦ともに老齢年金 が受け取れるようになった後で遺族になった場合の御自身の厚生年金と、配偶者が亡く なった場合の厚生年金の関係、併給のバランスの問題等についてまず挙げております。  (2)で、妻に対する遺族年金の問題について挙げております。  (3)として支給要件における男女差、男性は支給要件が非常に絞られております が、これについての論点を挙げさせていただいております。  中身に入ります。1ページ、2ページに仕組みが簡単に述べられております。1ペー ジが遺族基礎年金、2ページが遺族厚生年金でございます。  遺族基礎年金は、国民年金の現役の被保険者、受給権者が亡くなった場合に出るとい うことでございまして、要件として、ただし書きのところにありますように、現役の方 の場合、その方が加入していた期間の2/3分以上、納付済期間あるいは免除期間があ るということが求められております。ただし、これは60年改正のときにこの要件を絞っ た関係上、従来からありました直近1年間滞納がなくても要件を満たすというものにつ いても挙げさせていただいております。  それから、支給対象者でございますけれども、これは亡くなったときに生計を維持さ れていた方ということでして、遺族基礎年金は18歳までの子がある妻だけに出る仕組み です。障害を持ったお子さんの場合は20歳まででございます。  それから、生計を維持していたという意味は、その当時の生計を同じくして、将来に わたっての遺族の年収の見込みが850万円以上にならないという要件で定められており ます。金額につきましては、老齢基礎年金と同じ満額797,000円、月額6万6,000円とい う年金額にこの加算がつくということでございます。  次の2ページの遺族厚生年金でございますが、これも在職中に亡くなるか、老齢厚生 年金をもらえるようになってから亡くなるかという場合に支給され、同じような2/3 要件あるいは1年要件があります。  次に対象者ですが、これは配偶者、夫にも出るわけですが、夫や父母、あるいは祖父 母等につきましては、下の「※」にありますように、要件が絞り込まれております。配 偶者が亡くなったときに55歳以上である方で、60歳から出るというような仕組みでござ います。生計維持要件は基礎年金と同じでございます。  次のページに計算式がありますが、遺族厚生年金額の計算は、老齢厚生年金額の計算 と同じですが、そのレベルの3/4で設定をされております。なお、現役の被保険者の 時代に亡くなりました場合には、短い期間しか加入されてなかった場合もありますの で、最低300月、25年間の計算は最低保障とするという仕組みになっております。  次の併給選択の部分でございますが、これは高齢期、御夫婦ともに老齢厚生年金をも らえるようになってから配偶者が亡くなった場合の選択の仕組みですが、I、II、IIIと 3通りありまして、御自身の基礎年金は一人一人自分のものが出ますけれども、その上 にどういうものを組み合わせるかで区別されます。  まず受給方法Iは、亡くなったのが夫としますと、夫の老齢厚生年金の3/4の遺族 厚生年金額を組み合わせるという方法です。受給方法IIは、妻自身の老齢厚生年金を組 み合わせるという方法です。受給方法IIIは、これは2回前の改正で取り入れたもので、 双方の老齢厚生年金の1/2ずつを組み合わせるという方法です。こういう受給の選択 の道があるということです。  4ページに簡単な改正経緯がございますが、60年改正、基礎年金をつくりました改正 のときですが、それ以前では、厚生年金の仕組みは、定額部分+2階の報酬比例の全体 の1/2ということでしたけれども、亡くなったときの1人の生計の水準は単純に夫婦 2人の半分ではないのではないかということで支給額を見直すということになりまし た。その際に子どもを養育されている妻、中高齢になられている妻には重点的な給付が 必要ではないかという観点で見直しが行われています。  遺族基礎年金については、子のある妻等に出すという仕組み、遺族厚生年金について は、亡くなった方の3/4の支給額にするという仕組みの組み合わせになったわけで、 全体で見ますと、従来のレベルの60%前後になったのではないかということでございま す。  平成6年改正では、共働き等の増加を受けまして、片方の年金を選択してしまうと、 自らの保険料納付実績が反映されないではないかという御指摘がある中で、1/2ずつ 支給する仕組みを新たに選択肢に加えたという改正経緯でございます。  その上で、簡単に「○」、「×」表で、5ページに支給の仕組みを整理しています。 真ん中の縦の欄が遺族基礎年金の出るケースで、これはお子さんを育てている間(18歳 到達)の妻にのみ出る仕組みです。  遺族厚生年金につきましては、夫に「○」が付いている欄が少なくなっています。先 ほど申しましたように、夫でありますと、妻の死亡時の年齢が55歳以上であって、60歳 から出るという仕組みになっているというものでございます。  高齢期の配偶者につきましては、3つの選択があります。  なお、(注3)でございますけれども、中高齢寡婦加算というものがございます。こ れは厚生年金に対します加算ですが、子を育てている妻につきまして、育て終えた段階 になっても、35歳以上、あるいは40歳近いということになりますと、40歳〜65歳までの 間に遺族厚生年金に加算がされます。遺族基礎年金の3/4のレベルの加算がありま す。なかなか就業環境が厳しい状況に鑑みて、このような加算を設けているということ です。  子のない妻の場合、若い場合には出ませんけれども、夫が亡くなったときに35歳以上 であれば、先ほどと同じように、40歳から自分自身の年金が出る65歳の間、3/4の中 高齢寡婦加算が出る仕組みになっております。  (注6)は、国民年金には、60〜65歳の間だけ、夫が25年間以上加入していて、支給 を受けず亡くなった場合において、5年間だけ寡婦加算というものが出る仕組みがござ います。  論点に入らせていただきます。7ページでございますが、遺族年金の見直しにつきま しては、女性と年金検討会におきまして御議論いただいておりまして、最初にあります ように、将来的には個人単位化を貫く中で廃止すべきである、あるいは希望者だけが入 るような仕組みにすべきであるという御意見がある中で、3つ論点が挙げられておりま す。  (1) 子どもが成長するまでの間の若い遺族に対しては、その保障として、ほとんど の国について、このような仕組みがあるのではないか。  (2) 子どもを養育していない若い遺族に対しては、外国の例でも給付がない、ある いは一定期間の給付等のような絞り込んだ給付になっているけれども、これを就労との 関係を見ながらどう考えるのか。  (1) 高齢期になってからの遺族については、ほとんどの国で、亡くなった配偶者の 納付に基づく給付があり、これは必要があるのではないか というような御指摘がされておりまして、基本的な方向としては遺族年金を維持するこ ととしながらも、いくつかの論点の見直しについて綿密に議論していくべきだというこ とが挙げられております。  そこで視点と課題として整理させていただいていますけれども、そのような御指摘の 中で、ライフスタイルの多様化等を受けまして、自ら働いて納付してきた保険料が給付 額に反映される仕組みにすべきではないかという点、若い配偶者、特に子育てをしてい ない配偶者についての保障額、内容をどう考えるかという点がございます。  公平性という観点から、高齢期になってからの遺族年金について、片働き世帯と共働 き世帯の差があることをどう考えるのかという点、先ほどの支給要件について、男女間 の格差があることについてどう考えるかという点を以下見ていただいております。  中身に入らせていただきまして、9ページでございますが、高齢期に受給できる遺族 年金の3つの選択の仕組みについて、まず見ていただいております。夫の老齢厚生年金 の3/4を受給する場合には、妻自身が納付してきた保険料の実績は反映されません。 あるいは配偶者の年金額の1/2と自身の年金額の1/2を受給する方法の場合も納付 実績の半分しか反映されてないという御指摘があります。  その中で、10ページに今の受給状況を載せていますが、一番下の欄を見ていただきま すと、受給方法I:夫の3/4をとるパターンが8割程度で、受給方法II:自分の年金 をとるというパターンが1割弱、受給方法III:1/2、1/2選択が1割程度といっ た状況です。  その上で11ページで、2つの課題をもう一度挙げさせていただいております。受給方 法Iをとっても受給方法IIIをとっても、自分自身の保険料に基づく老齢厚生年金が十分 に反映されてないという問題点がございます。  それから、図を付けてもう一点挙げておりますが、夫婦の世帯で賃金(標準報酬)が 同じ場合に、生存中の老齢年金は基礎年金と老齢厚生年金を、2人分足しても同じ水準 になります。亡くなった場合に、一番下の図の左側、片働きの場合で夫の年金の3/4 を選択した場合に、老齢厚生年金の受給額は5.9万円だけれども、共働きの場合で、受 給額が最も高い1/2、1/2を選択したケースでは3.9万円となってしまうことをど う考えるのか。片働き世帯に当然にこういう状況が生じることをどう考えるのかという 御指摘があろうかと思います。  そこで、13ページからでございますけれども、このような御指摘に対して考えられる 仕組みとしていくつか挙げております。13ページは、自らの保険料納付が反映される仕 組みとして、2つ挙げてございます。まず上の図は、夫の3/4を選択する場合の仕組 みです。亡くなった場合は「×」を付けておりますが、現行の受給方法では、自分自身 の基礎年金に夫の3/4(7.7万円)を組み合わせることになりますが、新たな受給方 法として、まずは自分の老齢厚生年金を選択した上で、先ほどのレベルとの差(3.8万 円)だけ遺族厚生年金からの給付を受ける仕組みに変えるということが考えられます。 この方法により、自分の年金をまず優先的に受給をする仕組みが考えられないかという ことです。  もう一つは、現行制度では、1/2(3.1万円)、1/2(5.2万円)を選択した場合 に8.3万円を受給することになりますが、 それに対して、新たな受給方法として、ま ずは自分の老齢厚生年金(6.3万円)を満額受給し、差がある場合に遺族厚生年金から (2.0万円)補填をするという仕組みで受給をすることが考えられないかということを 挙げております。  次に14ページですが、共働き、片働きの均衡を図る仕組みが考えられないかというこ とを挙げております。図を付けておりますが、新たな仕組みとして、これも検討会で挙 げられている仕組みでございますけれども、まず、(1)にありますように、妻自身の老 齢厚生年金(ア)は全額受給し、その上で、生前の夫の老齢厚生年金と妻の老齢厚生年 金を足した額の一定割合、女性と年金検討会で3/5というようなレベルも例示されて おりましたけれども、一定割合を受給額とする仕組みが考えられます。妻自身の老齢厚 生年金との差がある場合は、その分だけ夫の老齢厚生年金から補填をするということで ございます。  一番下の方に書いてありますように、現在は夫の3/4、両方足したもの、1/2、 1/2というパターンしかないということですが、そうすると3/4と1/2というこ とで、レベルの差があるのではないかということでございまして、その中間的な値、例 えば3/5の60%というような値で、片働きであっても共働きであっても、この選択1 つに絞り込んでやる方が均一の給付で公平ではないかといった御指摘があったところで ございます。  その点について、次の15、16ページで課題を挙げております。16ページの図でござい ますけれども、横の一番右下の方で、夫の老齢厚生年金に対する妻の老齢厚生年金の割 合をとっております。同等程度か半分程度か、それとも0かというように左へ移ってい きます。  縦軸の方でございますけれども、これは夫婦2人の厚生年金の合計額に対して、遺族 厚生年金を選択した場合の割合をつけております。3つゾーンを分けておりますが、左 の縦のゾーンが受給方法I、3/4を選択した場合のゾーンで、真ん中のゾーンが1/ 2、1/2を選択した場合のゾーン、一番右が生きていらっしゃる御自身の老齢厚生年 金を選択した場合となっております。3/4を選択したレベルの場合と、1/2を選択 した場合のレベルの場合、真ん中辺に、例えば3/5という破線を引くと、まずAのゾ ーンにおきましては、妻の老齢厚生年金が少ないということで、夫の老齢厚生年金を選 択することになります。そうしますと、現在の3/4の水準よりも、新しい破線の3/ 5の水準にした方が遺族の受給額は減少してしまいます。  次に、BのゾーンとCのゾーンですが、Bのゾーンは妻も年金がありますが、1/2 よりも小さい場合でも、3/4をとるのが一番有利です。お2人とも同程度の年金受給 額の場合には、1/2、1/2を選択されると思います。そうすると、B、Cのいずれ のゾーンにおいても今のレベルよりも新しいレベルの方が年金額が多くなります。特に 1/2、1/2の受給方法で、お2人とも比較的高い年金額の場合、更に高いレベルに なることもあり得ます。こういうことをどう考えるかということがあろうかと思いま す。  それから、右側のDのゾーンは、自分自身の年金を使うということでありますけれど も、この場合であっても、自分自身のレベルよりも足して3/5レベルの方が高い場合 がございますので、より上乗せされた給付が生ずる場合もあるということでございま す。3/4と1/2という率だけではなくて、従来、どの程度の受給額であったか、そ れが下がるのか、上がるのかということを想定しながら見ていかないと、単純に率だけ で見直して均衡できるかどうか議論の余地があるのではないかということで挙げさせて いただいております。  次に17ページでございますが、こちらからは若年期の遺族についての論点を載せてい ます。まず、17ページは、18歳までのお子さんを養育中の方ということでございまし て、先ほど見ていただきましたように、子が18歳に到達するまでは、遺族の基礎年金が 満額が出て、子の加算もつきます。その上に夫の報酬で計算した老齢年金の計算式3/ 4レベルでございますが、これがつくということでございます。  お子さんが18歳を過ぎますと、御自身が65歳になるまでは遺族基礎年金は出ません。 遺族厚生年金だけですけれども、40歳以降はそれに加算がつきます。その上で65歳にな りますと、御自身の老齢基礎年金が出始めるという仕組みになっております。  18ページは、子どもがいない場合でございます。上の図は、夫の死亡時に妻が35歳未 満の場合には遺族厚生年金だけが計算をされまして、老齢期になると御自身の基礎年金 が発生をするということでございます。  夫の死亡時に35歳を超えていた場合には、40歳以降に、一番上の図と同じように加算 がついた形で厚生年金が出まして、老齢期に至ると、御自身の基礎年金が支給される仕 組みでございます。  19ページでございます。このような遺族年金を受給されている方の現状でございます けれども、20ページにグラフが付けてありますけれども、グラフを見ていただきます と、全体の給付額の75%は65歳以上の方が占めているということでございますが、平均 的な額、これは2階の加算付の厚生年金の額ですが、40代以前の方については、年額40 万代、月額4万円前後になろうかと思います。けれども、比較的薄い。40代から65歳ま での間は加算がつきまして、100万円強となっており、65歳以降も同様です。  従来であれば、全体の厚生年金1/2であったところを、60年改正で、子の有無、年 齢という要件で比重をつけたものがこういう形になってあらわれているわけでございま す。これにつきまして、19ページの下段に書いてありますけれども、18歳未満の子を養 育されている若齢期の妻について、この検討会でも述べられたことですけれども、お子 さんの養育等のために就業の制約等を受ける場合も多いことから、なお、遺族厚生年金 の必要性はあるのではないかということと、子どもを養育してない方については、外国 では給付がない、もしくは一定期間だけ給付をするという例もあり、就労支援しながら 見直す必要があるのではないかという論点がございます。  他方で、現実には就労環境には、まだいろいろ差がありますので、そこをどう考える かという点もあろうかと思います。  その就労の差と関係しますので、21ページの男女差の問題について見ていただきたい と思います。21〜22ページにかけまして支給要件における男女差について載せておりま す。男性は死亡時55歳以上に限られているということにつきまして、男女差をどう見直 し揃えるべきかという議論でありますが、ここではまず現状として就労の状況、賃金の 状況を挙げております。  23ページからの図表を見ていただいた方が早いと思います。こちらは、前見ていただ いた雇用の比率、及び厚生年金の適用の比率でございます。雇用比率は女性が全体的に 低く、厚生年金の適用も低くなっております。  その次の25ページ、26ページは、配偶者と死別した者の就業率で、男性が90%台、女 性が80%足らずという状況です。  それから、母子家庭と父子家庭で見ましても、若干高くはなりますけれども、10%程 度の男女差があるというような状況がございます。  賃金の状況は27ページからでございまして、一般労働者の場合、男女の賃金差は徐々 に小さくなっているかと思いますが、そんなに大幅には改善されておらず、現状で女性 の方が66.5%のレベルということでございます。  パートタイマー同士の格差は、次の28ページでございますけれども、比較的男女差が 縮小しておりますけれども、それでも89.9%レベルということでございます。  それから、一般の方の所定内給与については、29ページに付けております。男女差は 若年層では比較的小さいですが、中高齢期につきましては男女差が大きくなっていま す。  下に折れ線グラフがありますが、昭和63年からのデータを見ると、男性を100とした 場合に、この折れ線グラフの女性は、だんだんと上がってきていると思いますが、まだ 差はあろうかと思います。  31ページからは短時間雇用者数でございます。女性が39.7%あり、増えてきておりま す。  32ページは、1時間当たりの所定内給与ですが、一般労働者の方で、特に男性で普通 に働ける方の場合、時間給が2,028円であるのに対し、女性のパートになりますと、890 円ということで、レベルは44%となります。これはあまり変わらずに推移しておるとい う状況が見られます。  これらを踏まえて22ページに戻っていただきまして、男女の支給要件につきまして、 女性の方が広く認められており、男性が限定されていることにつきまして、この男女差 を、例えば女性の方に男性を近づけていく、あるいは男性の方に絞り込んでいくことに ついてどう考えるかということを見ていただきたいと思います。  それから、生計維持要件を挙げておりますけれども、一番最初に挙げましたように遺 族年金の生計維持要件、死亡したときに、配偶者の年収が850万円以上にならないとい う要件がございますけれども、60年改正前の旧法の時代においてはこの要件はございま せんでした。60年改正のときに600万というレベルを設けておりますが、これは検討会 でも指摘されていますように、配偶者が亡くなったときに、たまたま遺族の方が賃金や その他の収入があったからといって、ずっとそれが維持されるとは限らないので、権利 としては広く発生させるべきだろうということで、標準報酬の十分位の一番上のレベル である平均値600万円がとられたということでございます。平成6年改正のときに、こ のレベルについて標準報酬の伸び等で見直しされ、850万円ということになったという 状況です。  この点につきましては、遺族年金に関しては生計維持要件で判断せざるを得ないとい うことですが、配偶者の死亡時に収入が850万円以上あったが、その後において急に病 気、失業、倒産等々の予期せぬ事情で、850万円の収入が得られなくなったという遺族 に対してどう考えるのかという御指摘がございます。  以上が、遺族年金についての主な論点でございます。  外国の例を最後の方に付けておりますけれども、これも女性と年金検討会でご覧をい ただいたものです。39ページからですが、お子さんが成長するまでの間の給付、子ども さんがいない方の給付、それから、高齢期になってからの給付でございますが、一概に は言えませんけれども、一番左のお子さんを養育中の場合につきましては、国ごとに年 齢要件の違い等がございますが、年金からの給付はあるという仕組みになっています。  真ん中のお子さんがいない場合の給付につきましては、アメリカのようにない国もあ りますが、少し減額あるいは期間を限った給付という形で存在している国もあります。 それから、高齢期の遺族の場合ですが、何かしかの給付が存在をしています。それか ら、自ら年金を受給できる場合、さらに一定額のものがもらえるという仕組みがあろう かと思います。  遺族年金は簡単でございますが、以上でございます。  次に「離婚時の年金」でございますけれども、これも女性と年金検討会で議論いただ いたものですが、1ページ、2ページに簡単に女性の老後期間が長く、単身で過ごされ ることも多く、所得水準は低いということを挙げております。  それから、中高年の離婚が増えてきていますが、その離婚後の女性の所得水準は低い というようなことも書いてございます。  2ページで、今の仕組みでございますが、基礎年金は個人で分かれておりますので、 離婚しても個人が受給権を持てるということですが、2階の報酬比例につきましては、 離婚した配偶者には夫の報酬比例についての受給権はないという仕組みです。  それから、民法上の財産分与につきましても、年金の取扱いは後で見ていただきます けれども、確立された取扱いはまだないということでございます。  それから、一身専属制の規定でございますけれども、受給権を保護するという目的か ら、年金は譲り渡してはならない、担保に供してはならない、差し押さえはできないと いった規定がございます。老後の生活を保障するための制度でございますので、自由に 処分できるようになりますと、保護に欠けるということですが、この規定との関係をど う考えるかということでございます。  3ページで、今の民法の規定ですが、夫婦別産制の観点から、下に条文を付けてあり ますけれども、婚姻中に得た財産はその方のものということでございますけれども、離 婚時に発生する財産分与は請求権でございます。768条ですけれども、協議が整わない 場合においては、家庭裁判所が請求人を入れまして分与を決めるということですが、こ れはもろもろその他一切の事情を考慮して、分与すべきかどうかも含めて決めるという ことでございます。  この点につきまして、民法の改正案はまとまっております。まだ国会に出ているもの でございませんけれども、法制審議会を経たものがありまして、下に付けておりますけ れども、分与のルールをより明確なものにしている案でございます。「その他一切の事 情」については具体例が挙げられ、当事者双方が協力して取得、維持した財産、寄与の 程度等々を勘案するという勘案要素を挙げております。最後に、寄与の程度が明確でな い場合におきましては、相等しいもの、等分に分けられるということまで書いてござい ます。  この流れの中で、5ページから判例においての動きでございますけれども、まだ確立 されたものは見られませんが、一番上にあります横浜地裁の例ですと、年金そのものを 分けるということではありませんけれども、今、年金を受給しているということを加味 しまして、一定の金額を定期的に別れた方に支払うという判決が出ました。これはまだ 確定判決になっておりませんが、そういう例があります。  その次の一般的な判例の限界として指摘されているものを提示しておりますが、年金 は受給権に一身専属制があるということで、権利そのものを分割や譲渡はできないとい うことです。今現在の判決では、支払われる金額の、一部に相当する金額を定期的な債 務という形で払うことを命じているという例があります。定期的な債務の支払いを履行 しない場合には強制執行の道をとらざるを得ない、あるいは別れた方が亡くなるとその 債権そのものが消えてしまうという問題点があります。離婚後も夫の状況を確認してな いといけないということで、いわゆるクリーン・ブレークが達成されないのではないと いう御指摘がございます。  次の(2)ですが、既に受給権が発生して年金額が決まっている、あるいは64歳でほと んど決まっているということになりますと、受給額を想定して、離婚時の財産分与の計 算に入れるということがなされている例があるわけですが、遠い将来に発生するかどう かわからない、額もいくらになるかわからないというような将来の年金ですと、清算対 象とはできないという判断をする判決が見られるということです。  (3)でございますけれども、年金は一定額が2月ごとに一生涯支払われるが、いつま で支払われるかわからないということで、総額が確定をしないわけです。そうするとほ かの不動産、動産のように、離婚時点で財産評価ができるものと性質が異なりますの で、財産分与の仕方は、全体の中で一時払いで清算することはなかなか困難になります と、今のように定期的に一定額の支払いをするという判決になるという動きでございま す。  そこで、7ページから検討会での御提言でございますけれども、こちらの方では、ア ンダーラインを付けておりますように、老後の生活を支える年金ということであるなら ば、離婚しても、なお、それぞれの生活を支えるものとなるように、離婚時に夫婦の間 で年金分割が可能となるような仕組みも設けるということを検討すべきではないかとい うことが述べられております。  そこで2つほど考えられる方法を挙げておりますが、まず年金額そのものを分けると いうやり方です。もう一つは、権利そのもの、受給権という権利を妻のものとして分け てしまうやり方です。  まず最初の年金額の分割についてですが、一身専属制規定に例外を設けるという方法 が考えられます。離婚の場合に、元夫婦の間であれば、年金の差し押さえなり、譲り渡 しなりをできるようにするということです。そうなりますと、その分けられた金額を社 会保険庁から直接それぞれの方に支払う仕組みが取り得るのではないかということでご ざいますけれども、しかし、これは権利としては、もともと片方の方のものであるとい うことを前提にしておりますから、先ほどのクリーン・ブレークの問題や、片方の方が 亡くなったりすると、受給権が消滅し、支給がされないという限界があるということで ございます。  それから、次のページでございますが、将来発生するような年金、まだ確定しない年 金につきましては、現実に途中でその年金がなくなったりして発生しないのではない か、額も決まらないのではないかという不確定要素もあって、裁判上、その権利として 額が決めがたいという点があるということでございます。その辺の分割の割合や分割 ルールをきちんと決めていかなければいけないということであろうと思います。  受給権を分ける方法ですが、これは片方の方へ支払われている額を分けるということ ではなくて、権利そのものを片方の方に移すということでございますから、一定期間ご とに払うということではなくて、自分のものとして最後まで受け取ることができるとい うことです。そういう意味では、徹底すればこちらの方が望ましいということであろう かと思っておりますが、その仕組みについてはいろいろ検討する余地があるということ は後で見ていただきます。  9ページにはその図が書いてございます。上の方が権利を分ける方法で、それぞれの 65歳から亡くなるまで受給ができます。下の方は額を分ける方法で、片方の方が65歳か ら亡くなるまでの間だけ額が分けられて支給をされるという違いがあるということでご ざいます。  11ページから簡単に主要国の動きを見ておりますが、これも3号分割のときに報告を いたしましたけれども、少し丁寧に拾ってみております。若干詳細は不明な点もござい ますが、簡単に申し上げますと、離婚時における分割はドイツ、カナダにおいては70年 代からあります。ドイツの例ですと、上に書いてありますように、夫婦の共同生活で取 得されたものなのだということでありまして、民法の原理原則にもあるわけですが、婚 姻中に形成されたものは、離婚時に、付加利得を分けるということが書いてあります。 それが年金にも及ぼされているということでございます。  家族の生活を保障するという年金の概念は離婚後にも及ぶべきであるという考え方が あり、婚姻中に年金の受給額が増えがたかった配偶者にも、ちゃんと受給権を認めるべ きであるという点が述べられておりまして、受給権なり期待権なりを分けるということ になっております。それから、権利を分ける仕組みと額を分ける仕組みの両方があるの ですけれども、基本的には権利を分ける仕組みを優先させて、やむを得ない場合を除い ては受給権をなるべく分けるということです。  ドイツの場合には、必ず裁判を経ないと離婚ができませんので、裁判所の手続の中 で、分割割合が決められますが、原則は等分に分けるということでございます。  カナダも同じような考え方でして、分割対象は受給権です。カナダの方は、離婚手続 に裁判は不要でございますので、年金分割も離婚の当事者が届出をしますと権利が等分 に分けられるという簡便な仕組みをとっておるります。  イギリスにおきましては、90年代において段階的にやっておりますけれども、よく言 われておりますように、Offsetting 、Earmarking、Sharingというような仕組みがござ います。Offsettingとは、もともとあったものでございますが、財産分与と同じような 考え方で、一時金として換算し直すということでございますけれども、これは年金額の 評価になかなか難しい点もございました。Earmarkingとは、片方の方の額を、権利は移 さずに額を分割するということで、限界がありました。2000年からは受給権そのものを 分けるという方法で動き出しています。率そのものは必ずしも等分ではないということ でございます。Earmarking、Sharingともに裁判所の命令が必要であると聞いておりま す。  アメリカ等は分割する仕組みがございませんが、片方の方の納付記録で配偶者の年金 受給額の50%が出る仕組みがあります。  スウェーデンは積立部分のみに分割する制度があるということでございます。  離婚はしないのだけれども、婚姻中においても分けておくという仕組みがドイツ、カ ナダにおきまして、最近取り入れられてきています。ドイツの例ですと、背景としまし ては、遺族年金の給付を制限的に改正をしたときに、それであれば、婚姻を続けている 期間であっても分けておき、亡くなった場合に分割した年金がもらえるという仕組みが あってもいいのではないかという議論があったようでございます。婚姻中に取得した年 金受給権及び年金期待権が分割されるということで、その受給は、御夫婦ともに老齢年 金をもらえるようになってから分割された形で出ます。婚姻を継続していらっしゃるわ けですから、その時点になって分割した方が合理的であろうということで、支給がされ ているところでございます。次のページですが、分割を選択しますと、先ほどのような 背景がある中で、遺族年金の受給権はないということになっています。  カナダも同じような仕組みでございます。  15ページから論点でございますけれども、女性と年金検討会では、離婚の際に分ける 仕組みを設けるとしています。しかし、これは今の民事法制の状況や社会実態から見 て、必ず分けるということではなくて、分割を選択できる仕組みもあることが望ましい のではないかという御指摘をいただいております。日本の場合には裁判を経ない離婚が 9割以上ということで、大体変わっておりませんので、裁判手続を必ず経なければ分割 できないとすることはあまり現実的ではないのではないかと思われます。  ということで、合意に基づく分割と裁判請求に基づく分割について論点を見ていただ いておりますが、まず16ページで合意に基づく分割について載せています。これにつき ましては、双方が合意して、申し出があれば、年金制度上、受給権を分ける仕組みをつ くることができるのではないかということでございますが、それに対する論点といたし ましては、老後保障のために公法上の制度として設けられておるわけですが、当事者同 士の合意で自由に分けられるということになりますと、一定のルールがないと老後の保 障に欠ける場合が出てくるのではないかということをどう考えるか、あるいは合意が成 立できない場合にさらなる仕組みをどう考えるかということが挙げられます。  それから、民法上の分与も、先ほどのような段階にとどまっておりまして、必ず分け るということではないわけですけれども、年金の方だけでもきちんとルールを定めると いうときに、どのようなルールとすべきかを整理していかなければいけないということ ことが挙げられます。  また、これも先ほど申しましたように、将来の権利につきましては、確実に発生する かどうかわからず、額もわからないということでございますので、今後の検討課題とい うことです。例えば、婚姻期間10年なら10年の間の納付記録だけは分けて記録として残 すというやり方が考えられます。第3号被保険者問題のときに見ていただいたようなや り方をもとに、将来発生するかどうか、その後の状況に委ねる方法もあるのではないか ということも挙げさせていただいております。  次に、裁判上の請求権としての考え方ですが、これも法務省当局や裁判の実務との関 係で、最高裁事務当局あたりとも議論しておりますが、まだ詰めていく点があります。 ここで挙げておりますのは、裁判所が関与するということは、財産分与の請求権を配偶 者の片方が持つということでありますけれども、これをどう考えるのかということでご ざいます。下の「・」に書いていますように、年金には一身専属性があり、配偶者であ れば、この例外として分割を求める権利があるという構成をどう考えるか、その請求権 を有する根拠をどう考えるかということでございますけれども、現行の民法は、先ほど 見ていただいたように、もろもろの事情を考慮して分与を裁判所が決めることになって いるわけです。そういう日本の民法、財産分与体系の中で、ドイツのように割り切っ て、夫婦双方の貢献の結果として生じた財産が年金なのだということで、原則分けてい くという考え方に踏み出していけるかという権利の整理の点がございます。  それから、裁判所が離婚時の財産分与の判断をすることになりますと、具体的な権利 性がなければいけないということになりまして、将来権利が発生するかどうかわからな いということについて、裁判で権利を主張できないという問題があります。そういう将 来の権利を保護するような、具体的な権利性を与え得るのかどうかということがござい ます。そういうことを民法上の手続とは別に、年金の体系上、将来の権利というものを 固有にかけるのかどうかということもございます。  実務の問題として整理すべき点が指摘されておりますが、今は協議離婚9割というこ とでございますけれども、離婚手続の複雑化、長期化をまねくおそれがあるのではない かという点と、全体に裁判の実務として、処理時間の短縮化が求められている中で、こ ういう問題に対応していけるかどうかという問題が挙げられます。  それから、額が確定しない財産権でございますので、民法上の分与と違う手続をきち んと設けていかなければいけないと考えられます。いろいろ家事審判等の体制につきま しても、法体制、人的組織体制も違うということで、このような議論をしていかなけれ ばいけないということだろうと思います。  それから、残っている実務的な問題を簡単に申し上げますけれども、19ページからで ございますが、分割の割合といたしましては、検討会におきましても、全部自由に分け られるわけではないのではないかという点がございます。やはり一定の限度は必要では ないかということでございまして、例えば、そこに挙げましたのは、両方合わせての2 分の1程度を上限にし、その中で差を埋めていく方法です。例えば年金を片方が40、片 方が20ということですと、足して60となり、その差の30の範囲内で増減を図るという一 定の制約が必要ではないかいう御指摘があります。  なお、20ページにありますように、3号の期間について分けておくことができるかど うか見ていただいたものは、前回3号期間について、夫だけで拠出しているのではな く、夫婦が共同して拠出・納付をしていたのだということで納付の記録を分けておくと いうことでございます。これが、平穏に婚姻が続いている場合に老後分かれて給付が出 るという考え方であったわけですが、離婚をしたときに、報酬比例の記録を等分に分け ていたものをどう考えるか、別の考え方もあり得るのではないかという論点がございま す。ほかの財産と分けて考慮する中で、別の分与割合に変更するということもあり得る のではないかということを挙げさせていただいております。  21ページからは、対象となるものをどう見るかということでございまして、これも検 討会等で御指摘ありましたが、法改正があった後の離婚では、婚姻期間について法改正 前の婚姻期間も含めて考えるべきではないかということ、それから、将来発生する受給 権はなかなか難しい点があるということが論点としてあげられます。  それから、基礎年金はもう受給権が分かれており、それ以上に分ける必要はないので はないかということで、報酬比例部分を対象にしていくべきであろうという点、非常に 短期間であった婚姻についてまで分けるのかどうかという点については整理が必要とい うことを記載しております。  内縁関係、事実婚につきましては、遺族年金でワンポイントの判断はできるようにな っておりますけれども、過去にさかのぼって、一定期間、そのような関係があったかど うかということを認定をすることは実務上なかなか難しい点があるのではないかという ことを挙げております。  それから、22ページには手続について記載しておりますが、合意をして、婚姻を証明 する書類を出していただくことによって分割をすることになるのではないか。例えば公 正証書の活用、今でも協議離婚におきまして、離婚協議書等公正証書で作成をしておく ということがございますけれども、これを公正証書の形で年金についての分割割合との 合意をしていただくということがあり得るのではないかということを挙げております。  それから、裁判請求の場合でございますが、これは裁判所の決定が出ますので、これ に基づき分割する仕組みを考えていくということではないかと思います。  一番最後に、離婚時だけではなくて、婚姻中も2号・2号間、2号・1号間にも当然 に分けるのかどうかという点が挙げられます。カナダ、ドイツでは、まずは離婚時の分 割が創設されまして、その後、先ほど見ていただきました遺族年金の見直し等の背景の 中で、婚姻中についても権利を分けておいた方がいいのではないかというような流れも ございました。イギリスでは離婚時のみの分割の仕組みでございます。このようなこと で、婚姻中も分けることをどう考えるか、論点を挙げさせていただいています。  資料については割愛をさせていただきます。  以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。やや、時間が押しております。遺族年金と離婚時の年金権 分割は同じ問題ではございませんが、死亡時と離婚時という家族の問題と非常に絡んで いる問題でございますが、それでは、15分から20分ぐらい、御意見をいただきたいと思 います。どちらを対象にしても構いませんので、御意見があれば、よろしくお願いいた します。 ○ 山口委員  遺族年金の部分で質問が2点ございます。1点は、7ページの方で、女性と年金検討 会における遺族年金制度の視点のところなのですが、ここで、「将来的には、年金制度 において個人単位化を貫きこれを廃止する」という記述があります。ここを理解してい るのですが、次のところの「希望する者だけが加入する別建ての制度とすべきである」 というような1つの案があるのですが、これについては、具体的に議論がされたのか。 あるいは、後の方を見たら記入されてなかったのですが、諸外国において、このような 制度が取り入れられている例があるのかどうかをお伺いしたいということです。  それから、もう一点は、受給資格の収入制限ですが、先ほど伺った説明では、850万 という水準について、夫が死亡した時点で、将来にわたって収入が850万を超えること がないという判断が、その時点で妻の死亡時まで認定されるのか、あるいは何らかの手 続で、定期的に850万を超えているか、超えてないかというような調査があるのか、そ の2点についてお伺いしたいです。 ○ 木倉年金課長  まず、最初の検討会の場での任意に加入する仕組みについての質問ですが、これは検 討会の当時の委員の方からもそういう御指摘はあったようでございますけれども、その 御議論、詳細に今手元にございません。ただ、それに対しましても、遺族の保障の中 で、任意に加入するということをどう考えるのかということについての違う御意見も あったように聞いております。外国では調べた限りでは、任意に入れる仕組みはないと 思います。  それから、850万の要件でございますけれども、これは運用上は夫死亡時におきまし て、妻の方が給与でもその他の収入でもいいわけですけれども、850万以上、将来にわ たってといいますのは、概ね5年程度にわたり、その程度の収入が得られるのかどうか ということを見させていただいているということでございます。ですから、いつまでも その程度の収入が続くかということを判断しているわけではなくて、死亡されてから一 定期間、遺族としての保障が必要かどうかというワンポイントで見ざるを得ないという 事情があり、見通せるものとして、年収で判断しています。  ですから、例えば配偶者の死亡時に、今は働いているのだけれども、退職が明確に決 まっているということであれば、その時たまたま年収が850万を超えておっても、850万 の要件を将来にわたって満たすことはないだろうということで、権利は発生させるとい うふうな仕組みをとっております。以上でございます。 ○ 杉山委員  若年の遺族年金について質問があります。私ごとで恐縮なのですけれども、私の場 合、3年ぐらい前に、夫が体をこわして、会社をやめざるを得なくなって、それで夫が 専業主婦になって、私が一人で片働きをしているという経緯がございます。こういう場 合に、私が死んでしまったときに何も残せないというのは、男性に対する逆差別になる のではないかと感じるわけです。この55歳という要件は、男性に対して酷かなという感 じがいたします。本当にずっと働き続けるような時代であれば、それも可能かと思うの ですが、今のようにリストラで失業したり、体をこわしてやめたり、仕事をやめて勉強 してみたりなど、様々なライフスタイルを男性も選びたいという場合も多々出てくるわ けです。そこで妻は35歳になっていなくても、65歳まで手厚く保障があって、男性は55 歳じゃないと出ないという要件の差をもう少しフラットにしていくことをぜひとも進め ていっていただきたいなと思っております。  その検討の過程で、若年の遺族で子のない方に対して、64歳までというのはやや手厚 いと思っておりまして、こちらにもいくつか出ておりますが、期限を切り、そのかわり に就業支援をしていくというような形にいく方がいいのではないかと思っております。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。それでは、小島委員。 ○ 小島委員  遺族年金に関するところについて意見だけ述べておきます。8ページに遺族年金につ いての検討すべき課題が3つほど出されております。(1)の自分の老齢厚生年金と遺族 年金との併給の問題点について3つ選択肢では、1/2、1/2でも、妻の年金が低い 場合には遺族年金3/4をもらった方が有利だということです。この矛盾をどう考える かということです。年金について損得論で議論するというのはいかがなものかと思いま すけれども、実際はやはり3/4を選んでいる遺族の方が多いということもありますの で、今の遺族年金の範囲内で財政中立ということを考えれば、まず自分の老齢年金を基 本にして、それと3/4の遺族年金との差額を、上にのせるというような考え方が妥当 ではないかという気がします。  あと、支給要件の男女間の差をなくすという考え方に立った場合、男女どちらに揃え るかという点があります。男性の55歳の要件に揃えるという方向を目指すべきだろうと 思いますけれども、逆に男も、今、杉山さんがおっしゃったようなことを考えれば、年 齢要件をもっと下げるということにもなるかと思います。将来的にどちらに向かうかと いうことであれば、男女が共に働いていくという方向でいくなら、遺族年金は中高年を 対象に考えていくべきではないかと思います。しかし、若年で子どもがある場合、まさ に杉山さんがおっしゃったような意見がありますので、その場合については、男も55歳 の要件を引き下げる配慮をしたらどうかと思っています。母子家庭だけでなくて、父子 家庭もなかなか厳しいところがありますので、そういうところが意見であります。  年金分割についてですが、いくつかの考え方が示されております。離婚時の分割につ いては、年金額ではなくて、受給権の分割について夫婦間の選択、合意に基づいた分割 という考え方をとるべきだということが説明として出されております。特に19、20ペー ジのところで分割について、最後に年金課長から指摘されたところです。前々回の部会 で示された、夫が2号、妻が3号の場合、2階部分を強制的に妻に分割するという考え 方との関係で、今回の離婚時の年金分割とをどう整理するかということがあると思いま す。もし仮に3号との年金分割を考える、あるいは離婚時の年金分割をこういう形で考 える場合には、その関係をどうするかということです。3号問題の解決の中で指摘され ているのは、報酬比例部分については、すべて強制で分割するということを前提にして いる。これは今回の場合では、夫婦の合意に基づくということですので、2号・3号に 関わらず、2号と1号、2号と2号の場合も年金分割ということを考えた場合には、当 然夫婦間の選択が前提になるだろうと思います。  そういうことで整理すると、2号と3号の専業主婦世帯の場合には、そこは強制的な 分割を前提にしておいて、離婚するときには、改めて夫婦間で分割するかどうか協議す ることで整理をするということになります。それが果たしてうまく機能するかどうかと いうことについては、もう少し細かく検討しなければならないだろうと思います。  3号が婚姻期間中、常に3号であるかどうかというのはわかりません。2号になって いる場合もありますし、1号になっている場合もあります。そういう場合も含めてうま く整理できるかどうかということが問題としてはあるのではないでしょうか。そこは問 題の指摘であります。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。ほかにどうぞ。大澤委員どうぞ。 ○ 大澤委員  何点かございますけれども、単純な質問もあります。第1は、遺族年金制度について の11ページですけれども、「○」の2番目で、「遺族年金については同一とならない場 合がある」と書いてあり、図の中の下の説明では、「遺族年金については同一とはなら ない」と書いてありまして、「ならない場合がある」というのと「ならない」というの は違うと思うのですけれども、どちらが正しいのか、単純な質問が第1点でございま す。  それから、同じ資料の4ページには、(参考)として、遺族年金の改正が、60年改正 と6年改正というふうに紹介されていまして、その上で5ページに現状の整理が表とい う形でなされております。これについて希望なのですけど、もう少しさかのぼって、遺 族年金制度の変遷をお示しいただけるとありがたいです。私がやや不正確に記憶をして いるところでは、例えば労働者年金保険というふうに年金が始まったときには遺族給付 というのがあったのか、なかったのか、その後、厚生年金になって、遺族給付始まった と思いますけれども、そのときには年齢制限とか、妻の場合であっても年齢制限、それ から、終身給付ではなくて一定期間給付だったりしたと思います。給付は亡くなった夫 の加入期間が短ければ非常に低い給付だったのが、それが順次、1960年代、70年代とい うふうに拡充をされていって、最後のだめ押し的な拡充というのが60年改正で、このと きに、被保険者期間の月数を最低300月で計算するというようになったのだと思います。 恐らくこれは障害厚生年金がそうなったことと歩調を合わせたのだと思うのですけれど も、当時審議会では、それに伴って、少なくとも子がない場合には一定期間にするとい うような議論もあったのではないかと思います。その辺は不正確な記憶でございますの で、そういった制度の変遷をお示しいただけると、今恐らく世界で最も手厚い妻に対す る遺族年金になった経緯がわかると思いますので、お願いしたいと思います。  3点目なのでございますけれども、いろいろ遺族年金の見直しについての留意点とい うことで、資料が多々提供されております。ただ、例えば25ページの図表5、26ページ の図表6等々ですけれども、就業率はなお男女差が大きくなっています。これは恐らく 女性に対する手厚い遺族給付の存在理由のバックデータで、図表6もそうだと思います が、現行のような遺族給付の制度があるから、こういう状態が起こっているとも考えら れるわけでありまして、特に図表6、母子世帯と父子世帯の比較ですけれども、これは 死別、離別両方入った母子世帯、父子世帯でしょうが、離別母子世帯に関して言えば、 恐らく世界で最も高い就業率を日本の母子世帯は誇っていると思います。なおかつ就業 支援というのがここ近年は非常に強調されている状況だと思いますけれども、それに比 べて死別の場合、就業支援にやや及び腰な気がします。  次に、離婚時の年金受給権分割ですけれども、19ページの下を見ますと例示がありま して、分割義務者の年金受給権40で、権利者の年金受給権20の場合云々という例示なの ですが、これは簡単に言えば2号と2号の間の分割ということになるわけです。逆に離 婚しない場合でも年金を分割するという案では、現状では2号と3号の間だけという想定 をされているわけですが、離婚のときだけは2号間の分割も認めるということになりま すと、数字の上でのことですが、離婚した方が有利という印象を与えて離婚を促進する 制度になりはしないか、離婚のときに認めるのならば、添い遂げる場合にも2号間でも 分割を認めるとしたらいいのではないかと、改めてその問題に立ち戻って印象を受けた わけです。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。ほかにまだ少し御意見あれば。 ○ 矢野委員  遺族年金のことで3点ほど申し上げたいと思います。1つは、3つの選択肢がござい ますけれども、原則としてシンプルでわかりやすい制度にするという考え方で整理をす る必要があるだろうと思います。  2つ目は、これから社会も就労可能な配偶者を必要としますし、また、特に若い方々 はそういう思いを持っている人も多いと思いますから、まず就労促進という観点から見 直しをしていく必要があるのではないでしょうか。例えば、遺族厚生年金の受給期間に 限度を設けるといったような考え方もあり得るのではないかと思っております。  3つ目は、遺族年金の選択方法の違いで、課税上の取扱いが変わってくるように思わ れるのですが、遺族年金が老齢年金化している現状から考えますと、遺族年金について は、原則課税という考え方もあるのではないかと考えております。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。まだ御意見はあると思いますが、この議題につきまして は、多少時間の関係がありますので、ここまでとさせていただきたいと思います。いろ いろ資料についての御質問は残っておりますが、次回、必要があれば示すことにしま す。ただ、この議論につきましては山口委員から、例えば生計を維持する所得水準など についての御指摘がございました。  また、杉山委員、小島委員含めて、男女の支給要件の取扱いが現在の日本の社会経済 情勢なり今後に沿ったものかどうかについて意見等がございました。  それから、特に小島委員と大澤委員から、第3号被保険者制度をめぐっての議論の関 連で、そちらをどのように考えていくのかという御指摘がございました。少し制度をさ かのぼった議論につきましては、次回もし必要があれば出していただくことにいたしま す。  矢野委員からは、とにかくシンプルでわかりやすい制度ということと、就労促進とい う観点を特に考える必要があるというご意見、それから、最後に御指摘ありましたよう に、先ほどの税制調査会の答申の中には、遺族年金、失業保険給付等の課税ということ でも将来検討という指摘がございますので、そういうことを踏まえまして、今、御指摘 の論点が出てくるだろうというふうに考えております。  まだ、ほかにもいろいろ御意見があると思いますが、前回の企業年金に関しても意見 書を少しいただいておりますので、次回からの総括的な討議の方で、それらの意見書は 取り上げて活かしていきたいと考えておりますので、遺族年金制度及び離婚時の年金受 給権分割制度についての皆様の御意見で今日御発言の機会がございませんでした方、あ るいは発言されても十分意を尽くせなかった方につきましては、意見書の提出をお願い したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  初めに5分ほど休憩をとりたいというふうに申し上げましたが、全体に少し時間が押 しておりまして、この後、もう一つ、重要な議題がございます。申し訳ございません が、休憩はとらずにこのまま進めさせていただきますので、どうぞ、各自休憩をとって いただきたいと思います。  それでは、事務局の方、申し訳ありませんが、続けて、障害年金と高齢者の就業に関 しての説明に入りたいと思います。 ○ 木倉年金課長  それでは恐れ入ります、お手元の資料3と資料4でございまして、障害年金と高齢者 の在職老齢年金等についてございます。  まず障害年金でございますけれども、1ページを見ていただくと、今の仕組みが簡単 な表で挙げてあります。支給要件でございますけれども、先ほどの遺族の支給要件と同 じようなものですが、60年改正で国民年金の被保険者の障害、厚生年金の方の障害要件 を揃えております。加入期間のうちの3分の2以上を納付している、あるいは免除も含 んで納付をしていることが必要であるということです。  それから、20歳前に障害を負った方々につきましては、20歳になったときに、この障 害状態が発生したということで、基礎年金が出るという仕組みをとっております。厚生 年金の方につきましては、基礎年金の支給要件を満たしていることを前提に、厚生年金 の加入期間に発生した傷病ということであれば、厚生年金の障害が併せて出るというこ とでございます。  なお、(注1)にありますように、こちらの方でも、60年改正で、直近の1年間に滞 納がないということを要件に盛り込んだ関係上、経過的に18年までの経過措置として設 けられておるというような状況にございます。  それから、年金の額でございますが、これは2級の額をそれぞれ基準にしております けれども、2級の額は老齢の基礎年金の満額と同額で、それに加算がつきます。1級は 介護等にかかる費用ということで25%増しの給付になっております。  厚生年金の方も2級の額は老齢厚生年金と同じ計算でございまして、1級がその25% 増しということでございます。300月に満たない加入期間で事故が起きたときには、300 月とみなして計算するということになっております。なお、厚生年金には従来からのも のですけれども、独自の給付として3級の給付がございます。これは60年改正時に国民 共通の給付として基礎年金をつくりましたので、この障害等級の1級、2級の要件も揃 えております。これは労働能力に着目した厚生年金と日常生活上の制限に着目した国民 年金、それも基礎年金でございますので、日常生活上の制限がどの程度あるかというこ とに1つの視点に揃えておりまして、1級、2級は共通の等級となっております。  なお、従来からありました厚生年金の3級につきましては、現在も残っておりますけ れども、労働に対しての制限がある、2級程度ではないのですが、働けるけれども、制 限があるということに対しまして3級の給付があります。ですから、これは基礎年金を 伴わない厚生年金だけの給付ということになりまして、最低の保障として満額レベルの 4分の3程度の給付があるということでございます。  この組み合わせは、今のように、障害基礎年金と障害厚生年金、同一事由で組み合わ せで出るということでございます。老後を迎えられたときに、老齢厚生年金になるとき に働いていらっしゃる方であっても、原則は今の併給の仕組み、同一事由で一年金で調 整をしておりますので、障害年金の方は障害・障害で組み合わせていただく。もし老齢 年金の方の選択を65歳時点で求められるときには、老齢基礎年金と老齢厚生年金の組み 合わせということでやっていただいている、そういう仕組みでございます。  その上で、2ページの方でございますけれども、給付の状況でございまして、国民年 金の方で、一番右、140万程度の受給者で1兆2,000億ぐらい、厚生年金は32万ぐらい で、2,900億ぐらいの給付という状況でございます。  その上で、3ページ以降でございますけれども、従来から年金部会との関係もござい ますけれども、年金を受給していない障害者がいらっしゃるではないかということにつ いての御議論がございます。3ページにございますように、2回前の改正、平成6年の 改正におきまして、若干障害年金を見直したときに、衆参両院で附帯決議が付いており ます。「無年金である障害者の所得保障については、福祉的措置による対応を含め検討 すること」と書いてありますが、これは年金に加入していなかった、あるいはできな かった時代に障害事故が起きた、あるいは滞納していたり、未加入であった時期に起き たということで、年金の支給要件を満たしてない場合に、年金がないという状態の方が あるわけでございますけれども、これにつきまして、年金での対応が可能なのかどうか という御議論がございますが、年金での対応はなかなか限界がある。保険料を納めてな い方に給付が難しい中で、福祉的措置も含めた議論をすべきだということで、このよう な指摘がなされたということでございます。  その後、平成7年に決定されました障害者プランでございますが、この中にも同じよ うな規定が盛り込まれておりまして、年金制度の中で対応するか、福祉的措置で対応す るかも含めて幅広い観点から検討していくということでございました。  前回の改正時の、年金部会の前身であります年金審議会でございますけれども、これ におきましては、御議論をいただいた上で意見書の中でこのように述べられておりま す。一番下の方の3行でございますけれども、年金制度に加入していなかったり、保険 料を納付していないことによる無年金障害者の問題については、社会保険方式をとる現 行年金制度では年金給付を行うことは困難である、今後、障害者プランを踏まえて検討 が必要であるということでございます。  そういう流れがある中で、後に付けておりますけれども、昨年の夏に坂口厚生労働大 臣から、福祉的な措置で考える場合の試案が示されております。また、去年の暮れには 新しい障害者基本計画の中で、この福祉的観点からの措置で対応することを含めて検討 していくということが述べられておる経緯がございます。  大臣試案でございますけれども、次のページからでございまして、4ページの上の中 段辺でございます。附帯決議を踏まえられた上で、福祉的措置によって解決する以外に 方法は残されていないという判断で述べられております。対象者としていくつかのパタ ーンが述べられた上で、一番下の方で、こういう方々の大多数が家族等の支援によって 生活を確保しているものと推測されているということでございますが、その上で5ペー ジ、福祉的措置の問題点ということで、「福祉的措置をとったとしても年金給付に相当 する給付が行われることになれば、保険料を拠出してもしなくても同じ給付が得られる こととなり、拠出制の年金制度に重大な影響を与えることになる。したがって、年金給 付よりも給付額や給付条件を制約のあるものにせざるを得ない。しかし、福祉的な観点 からの手当であってとしても、政策効果の期待される給付額でなければならない」と書 いてありまして、対象者は無年金の方すべてを対象とすること、あるいは要件としては 在宅の方であり、または所得制限が必要ということが述べられておりますし、水準につ きましては、年金制度の均衡を図る中で、旧福祉年金等を勘案の上、今後決定するとい うことです。  調査ということで、福祉的措置を講ずるに当たっては、どういう方がどういう生活状 態にあるかという実態を至急に調査しなければ、どういう給付が必要かということもわ かりません。福祉的措置が必要かどうかわからないということで、このように述べられ ているという経緯でございます。  この調査でございますが、7ページからでございまして、厚生労働省の障害保健福祉 部で現在調査を行い、その精査をしておるところでございます。簡単に御報告申し上げ ますと、調査対象、身体障害の方、精神障害の方と挙げております。知的障害の方につ きましては、20歳前の発生の方がほとんどでないかということで、年金の受給があり得 るのではないかということで調査の対象にしてない。身体障害につきましては、どこ に、どういう形で無年金障害者の方がいらっしゃるか、なかなか把握できません。それ から、生活状態を相当立ち入ってお伺いしなければいけないので、国立の障害者の施設 に入所され、訓練を終了された方について、フォローの形で調査をさせていただいてい ます。1,300人余の方に対して、次のページにありますような障害の状況、資産、収入 の状況、支出の状況、年金を受給していない理由等々を聞かせていただき、今整理をし ている段階にあると聞いております。  それから、精神障害の方につきましては、精神病院協会の協力をあおいでの調査があ りまして、次のページにあるような項目を、入院中、通院中の方々、あるいは社会復帰 施設に入所されているような方々について調査をさせていただき、こちらの方も精査を 行っておるということでございまして、このような精査を踏まえて、今後生活等の実態 を踏まえた福祉のあり方を検討していくという段階に来ていると聞いております。  障害年金については、簡単でございますが、以上の御報告でございます。  それから、最後の資料でございますけれども、高齢者の就労と年金制度、あるいは派 遣労働者や失業との関係ですが、これは神代先生に座長としてまとめていただきました 雇用と年金研究会の報告書に含まれております短時間労働の方以外の残りの部分でござ います。  この中身でございますけれども、1ページ、経済社会の活力を増していくためには、 高齢者の方々に能力を発揮していただく、就労していただくことが非常に必要になって きています。特に年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられる中で、60歳台前半の雇用 の確保が大事になってきているということでございます。  他方で、老齢厚生年金、在職支給停止の仕組みがあることにつきまして、これが就労 に抑制をかけて調整行動をもたらしているということが指摘されていまして、年金と就 労の関係については、退職年金の仕組みにするのであれば、退職促進の方向に働くけれ ども、在職中も制限をしないということであれば、就労に対しては、就労抑制的になら なくて中立的になるのではないかというような御指摘があったところでございます。  他方で、年金の立場から言いますと、次のページ、賦課方式で保険料を現役世代に支 えてもらっていることのバランスという財政の問題も考えていかなければいけないので はないかということもありまして、現在の在職老齢年金制度というのは、現役世代との バランスを考える中で、賃金や年金の額に応じて一定程度が支給停止をされているとい う中間的な仕組みになっているのではないかということでございます。  これで退職要件との関係を整理したものを見ていただきたいと思いまして、3ページ に付けております。歴史的経緯でございますが、厚生年金の在職中の支給の仕組みは、 40年前、これは厚生年金、老齢年金は退職年金ということで整理されておりまして、60 歳以上で退職した場合に支給するという仕組みでございました。これが40年の改正のと きに、在職中は被保険者にとどまれるのですけれども、65歳以上という時期を迎えた場 合には、一定割合は支給することもあり得るのではないかということで、国庫負担の2 割程度を除いた8割程度を支給する制度が創設されました。  さらに、44年の改正で、60代前半の方につきましても、一定程度以下の賃金の方につ きましては必要性があるということで、在職をされておりましても、カットが非常に厳 しかったわけですが、8割、6割、4割、2割というように、働いてもカットが非常に 大きくなってくるという仕組みではありましたが、そういう支給の制度が設けられまし た。  60年改正、基礎年金をつくったときに、基礎年金の支給の要件は65歳からということ でございましたので、厚生年金の方の被保険者の資格も65歳までのものとするというこ とで、65歳以上につきましては、厚生年金を支給するという仕組みに変えられたわけで ございます。  6年の改正につきましては、次の4ページにありますように、44年の仕組みが非常に 厳しい60代前半の年金の支給停止の仕組みであったものを、賃金と年金を合わせて働け ば少しずつ増えていくような仕組みに変えよう、働く意欲をあまり阻害しないように少 しでも改善しようということで見直されまして、4ページの仕組みが設けられたという ことでございます。  前回の12年の改正につきましては、次の5ページでございますけれども、65歳で完全 に年金から引退をする、被保険者資格を失い、年金を満額受給するということについ て、現役の方も保険料負担が厳しくなってくるが、ぎりぎりの調整をお願いできないか ということで、60から70までの間でございますが、働いている方は被保険者にとどまっ ていただくとともに、厚生年金の部分について、一定程度以上については、若干の支給 調整の御協力をお願いをしたということでございまして、基礎年金は65歳から出て支給 調整されないわけですけれども、基礎年金とそれに上乗せされる厚生年金及び賃金を合 わせると、13.4万円に現役の平均賃金程度37万を加えた50万円程度以上になる方に ついて、2分の1の調整ということが行われるということが改めて導入をされたという 歴史的な流れにございます。  4ページの方での仕組みでございますけれども、60台前半の在職の支給停止の仕組み は、働き始めた段階、賃金を得た段階で、従来からのように2割の年金がカットをされ る。それから賃金と年金を合わせてだんだん増えていって、22万円、大体現役男子の方 の37万円の6割ぐらいの水準になると思いますけれども、22万円を超えますと、賃金が 増えると年金の2分の1がカットされます。それから賃金と年金を合わせまして、現役 の男子の方の平均程度、37万円程度になりますと、賃金が増えた分だけ年金を停止する ということで横ばいになると、このような線になっているというふうな仕組みでござい ます。  5ページの60台後半の在職調整の仕組みは先ほど申し上げたようなことでございま す。  6ページの方で、総報酬にかわりまして、少し基準点が変わったりしますので、若干 御報告申し上げます。ボーナスも含めて保険料の負担をお願いし、給付も計算をすると いうことにこの春から切り替わっているわけでございますけれども、これにつきまし て、この賃金と年金を合わせての併給調整の仕組みも、ボーナスがある方、ない方含め て均等になるように、月々の賃金+ボーナスの12分の1を月々のものにのせて計算をす るという仕組みに変わるように前回改正で改められております。実際にボーナスが対象 になりますのはことしの4月からでございますが、この1年間のボーナスの支給状況を 踏まえまして、来年の4月からの在職調整の基準点が変わるというように既に定められ ております。その基準点は、先ほど見ていただきました2分の1の調整が始まる22万円 のラインは、ボーナス分を加味しまして28万円に上がり、37万円のラインは48万円に上 がるというような改正が既になされております。  7ページからでございますが、見直しの議論でございますけれども、今の在職老齢年 金の支給の仕組みも一定の役割があるのではないかということも検討会でも言われてお ります。賃金が低い方に年金との組み合わせで老後の所得が保障されている、あるいは 働けない、働き方が減ってしまうという方についても、その賃金との組み合わせで手取 りが改善されることで、働く意欲が増すのではないか、高齢者のコスト分について補填 することで企業が雇用しやすくなっている面もあるのではないかという点もあります。  一方で、しかしながら、就労に対しては抑制的に機能しているのではないかという御 指摘があって、そこで研究会におきましては、この在職老齢年金につきまして、できる 限り、就労に中立的な仕組みになるような見直しの検討が必要という御指摘がなされて おります。  また、先ほど見ていただきました基本方針の今年の閣議決定におきましても、この在 職老齢年金についての検討を行うようにということが求められています。  それからもう一つの背景といたしまして、次の8ページの後半でございますけれど も、支給開始年齢の引上げ等への対応で、これは60代前半の支給開始年齢が、先ほど見 ていただきましたように、だんだんと引き上がっておりまして、既に定額部分は、61歳 からの支給が始まっていまして、3年に1歳ずつ引き上がっていく段階にございます。 その段階で、報酬比例部分のみの年金という方も増えてくるわけでございます。  また、短時間労働者への厚生年金の適用拡大を行った場合には、60台前半で短い時間 だけれども、頑張って働いている方につきましても、仮に適用拡大しました場合に、在 職支給停止の仕組みがかかってくるのかという論点があります。このことで、2階だけ の年金あるいはパートタイマーとしての年金ということについても、当然に在職支給調 整の仕組みがかかることを当然とみるかどうかという御議論があろうかと思います。こ の点も検討会で指摘をいただいております。  それで、9ページからでございますけれども、研究会におきましての見直し案が挙げ られておりまして、それをもう一度見ていただいております。去年も9月に見ていただ いたもの、それをもう少し詳細に挙げておりますけれども、まずは現行の仕組みにつき まして、A案、B案、C案が議論をされております。A案は次のページの図で見ていた だいた方がわかりやすいかと思います。先ほど60代前半の支給調整の仕組みにつきまし て、A案は、点線のように、働き始めるとすぐ2割をカットしてずっと上がっていきま す。それで28万を超えると2分の1カットが始まるわけですが、それにつきまして、ま ず当然に一律2割カットとすることをやめてみてはどうか。そうしますと、実線のよう に少し持ち上がります。下の方の階層の方は全部2割持ち上がるわけでございまして、 それから28万円以上の方は2分の1調整がききますので、1割持ち上がる形になろうか と思います。そのような改善がなされるということです。ですから、このA案の場合に は、12ページに書いておりますように、特に28万以下のような低い年金で働いていらっ しゃる方につきまして改善がなされるという、特に大きめに改善なされる。上の方も半 分程度改善がなされるということになります。真ん中のB案、28万円以上の2対1の カットのラインを、例えば3対1のカットに変えていく。これで見ますと、従前の点線 に対して、だんだん上の方に行くほど3対1に変えますと大きく改善をされるという仕 組みになります。これはより働けている方、賃金も年金も高い方でしょうが、そういう 働ける方について、さらなる改善がされ、働く意欲が増すという点もあろうかと思いま す。  それから、C案ですが、これは例えば28万円という2分の1カットのラインそのもの を上に持ち上げてみたらどうかということです。例えば5万円持ち上げて、33万円と書 いておりますけれども、そうしますと上の層の方が、一定割合、一律の割合で改善をさ れるということでございます。これにつきまして、これも上の層の方について、就労意 欲をより改善することになるのかどうか、それを見ていただいております。  12ページの方でございますが、「○」の上で、先ほどの定額部分の支給開始年齢が上 がっているということを載せております。報酬比例年金だけの方も増えてきているとい うこと、それからパートタイマーの適用の問題についてどう考えるかも論点として挙げ させていただいておりまして、これらを改善するために、これらに伴う現役の世代の 方々が、この60台前半でありましても、保険料として支えているわけですので、そのバ ランスをどう考えるかという点を挙げさせていただいております。  13ページからは、研究会でもう一つ御指摘いただいた案でございます。これも9月に 御報告を一度申し上げておりますが、これは60台前半について、在職支給停止、働いて いる方について、そのとき年金が必要ないということであれば、在職支給停止しない年 金、それをまるまるの年金として、65歳以降に受給をすることでいいという判断の方で あれば、それを繰り下げることを認めることはどうかということです。この案につきま しては、研究会の場におきましては、しっかり就労しても、支給調整されないというこ とで、就労を抑制しないようになるのではないか、中立性が前面に出てシンプルでわか りやすいという御指摘をいただきました。  しかしながら、在職支給停止しなくていいのか、現役とのバランスがどうかというこ とで、3月の研究会報告では、制度設計等も踏まえながら、検討をさらに進めていくと いう御指摘をいただいております。それにつきまして、少し制度のイメージを見ていた だきます。13ページの@、Aに書いておりますように、60台前半の特別支給の老齢厚生 年金につきまして、在職してい間は年金は必要ないということであれば、65歳以降に繰 り下げられる仕組みをつくるということです。これにつきましては、在職支給停止をか けないで全部の額が受給できる。あるいは研究会でも全部が一時支給ということであれ ば、一定額は必ず支給停止がかからずに繰り下げられるという仕組みもあり得るのでは ないかということでございます。ここでは全部繰り下げられる仕組みと就労の状況に関 わらずに半分(5割)は支給調整なしに繰り下げられるという仕組みの2つを見ていた だいております。  まず、16ページの全部繰り下げられるというI案でございますが、イメージ図として、 グラフを3本載せております。これは63歳から定額部分を支給されるというイメージ図 を書かせていただいております。一番下のグラフを見ていただきますと、63歳から2年 間定額部分を受け取り、それから2階の報酬比例部分を60歳から受け取るというケース を示しており、これは利子等を全く考えずに割り切った計算しておりますけれども、総 額で776万円ぐらいになるだろうと思われます。それを仮に支給調整せずに、黒い部分 でございますけれども、65歳以降を15年間、いろいろな受け取り方はあり得ると思いま すけれども、15年間で均等に受け取るとする場合には、これは利子を入れておりません が、4.3万円ずつの年金になるのだろうというイメージでございます。  これを今でございますと、一番上の(1)でございますけれども、例えば比較的低い15 万円ぐらいの賃金で働いていらっしゃる方でありますと、白い部分が支給停止され、黒 い部分の支給総額は559万2,000円ぐらいになろうかと思います。ですから、こういう方 にとって、働くとこれぐらい支給がカットされてしまいます。さらに、真ん中の図の賃 金40万円、比較的高い賃金で働いていらっしゃる方になりますと、全部支給停止されて しまうというような計算になります。ですから、これを65歳以降に受給できるようにす る、すなわちいくら働いても、今は年金要らないということで後で受給できる仕組みに なりますと、一番下のようなケースが考えられるということですが、これについての論 点としまして、14ページに戻っていただきまして、この案は、60歳台前半の働き方、賃 金に関係なく受給を遅らせることができまして、就労を抑制しないので、中立的だと思 いますけれども、一方で現在の在職支給停止の仕組みの効果がなくなることについてど う考えるのかという論点が考えられます。  それから、こういったものは比較的賃金とか年金の合計額が高い方、働ける能力の高 い方が繰下げを選択されるだろうと思われます。働けるので今は年金がいらないという ことでしょうから、そういう方について、繰下げが認められることについて、全額受給 できることをどう考えるかという点があります。  あるいは技術的な話としても、65歳以降も就労を続けていたら、その間になって、改 めて在職支給調整をするのかという点もあります。考え方として、65歳以降について は、先ほど見ていただきましたように、前回、調整するということで新たな仕組みをつ くったわけですが、60歳台前半はなるべく働けるようにする期間ということで割り切っ て、調整をせずに働いてもらった方がいいのではないかという判断もあろうかと思いま すけれども、60歳台前半で調整されないけれども、60歳台後半は働けたら、少し調整を させていただくことについての整合性、バランスをどう考えるのかということがあろう かと思います。  また、この案は、一番下に書きましたように、賃金、稼得能力が高い方が利用可能と いうことであろうと思いますけれども、働くけれども、年金も必要だという方について はどう考えられるのかということでございますが、仮にそういう方に何のメリットもな いということであれば、15ページのように、先ほどのA案のような一律2割カットする 仕組みを廃止することもあり得ると思いますけれども、そうしますと、A案で見たとお り、下の方についても、在職支給停止の仕組みが働かなくなってしまいます。上の賃金 の高い方についても下の方についても、支給の停止の仕組みが機能しなくなることをど う考えるのかということがあろうかと思います。  また、17ページ、18ページで、5割だけ割り切って支給調整をしないで繰り延べられ ることについて、本質的には同じような問題点があろうと思います。18ページの下の方 で見ていただきますと、半分だけ繰り下げられるケースですが、働き方に関係なしに繰 り下げられるということになりますと、391万円程度が、例えば繰下げ支給期間が15年 間であれば、月額2万2,000円ずつ繰り下げて支給されるという黒い部分になろうかと 思います。ですから、これを前提に、これ以上の支給停止がありそうな働き方をしてい る人は、働けるのだから必要ないということで繰り下げる方があるでしょう。しかし、 今でも(1)の図のように、15万円程度の賃金で働いていらっしゃる方もいます。そうす ると、この方の支給は559万円ですから、半分繰り下げるよりも、このときの方が有利 ですから、年金をもらいながらでも働くということを選ばれるだろうと思います。  そのように分かれてはきますけれども、基本的には一定割合以上は繰下げが無条件に 認められると、賃金と年金の合計が比較的高い方は、65歳以降、現行よりも高い水準の 年金が受けられることになることをどう考えるのかという論点が考えられます。これも 働ける方にしっかり働いてもらうという考え方を基にしています。それで被保険者とし て、保険料の面からも貢献してもらえる面もあるのではないかという考え方もあろうか と思います。この辺の論点をどう考えるのかにつきましても、A案との組み合わせのよ うな議論もあり得るのではないかと思っております。  19ページでございますけれども、こういうことで、繰下げの仕組みにつきましては、 いずれの案につきましても、賃金、稼得能力の高い方が選択しやすい仕組みとなってい ます。割り切って、そういう方に就労抑制が効いているのであれば、そういう方につい て、しっかり働いていただける仕組みになろうかと思いますが、これをどう考えるのか ということでございます。  また、他方で在老の財政効果が減少することになります。これは特別支給の老齢厚生 年金につきましても、保険料を負担しているのは現役世代です。こういう方々の理解が 得られるのかという論点が考えられます。  それから、12年改正で、65歳以上の方も、70歳までは在職調整するという改正をした わけで、この際に、70歳以降への繰下げは廃止をする。繰り下げて調整を受けないとい うことのないようにしようということで廃止をしたわけですが、これとの整合性をどう 見るのかということ、あるいは途中で働けなくなった場合に選択を撤回するという道も 当然あり得ると思いますが、そういうことをどう見るか、このような点を挙げさせてい ただいております。  それから、20ページでございますが、在老と関係して、御指摘のある点を若干述べさ せていただきますが、一定以上の高い収入がある方については、在老だけではなくて、 年金の支給調整をしてはどうか、制限をしてはどうかという御指摘もあるわけですが、 これに対しましては、論点として「○」の2つ目ですが、年金制度は、あらかじめ保険 料を拠出して不確実な高齢期に備えておくという制度であるわけですけれども、仮に老 後になってからの所得の状況で支給制限を行うことになりますと、実際に老後になるま で給付が受けられるかどうかわからなくなってしまい、あらかじめ拠出をしていくこと への理解が得られなくなるのではないかという論点が考えられます。特に国民年金、自 営業の方の場合で、稼得能力が高いということになりますと、保険料拠出をしていく意 欲を失われてしまうのではないかという問題点を出させていただいております。  また、在老につきましても、今見ていただいたとおり、60年改正で割り切った改正を しましたが、もう一度、平成12年改正で、65歳以上につきましても、70歳まで、現役 でとどまっている限りは、賃金がある場合に支給調整を行うという仕組みを設けたとい うことでございます。一番下で、一方での御意見として、収入のある方については、年 金も含めた収入全体で適切な課税を求めていくということでバランスをとっていくこと が妥当ではないかという御指摘もあるということでございます。  最後に派遣と失業につきまして、簡単ではありますが、論点を紹介させていただきま す。派遣で働く方々の数も増えてきている中でありますが、こういう方々についても、 社会保険の適用をきちんと考えていくべきであるということを御指摘をされておりま す。その中で、この厚生年金の適用の仕組みは、9月も見ていただいたとおり、特別の ルールがあるわけではございません。常用労働者の方々と同じように、就労の実態に応 じて適用する、すなわち派遣先におきまして、常用労働者と変わらない働き方をされて いる、パート的でない場合には適用されるということですが、これは派遣が繰り返され る場合は問題ないのですが、派遣が途切れてしまいますと、厚生年金の適用対象から外 れてしまって、国民年金に戻ってしまうということが断続的に起きるという問題点があ るということでございまして、以下にはその実態を書いておりますが、派遣の適用実態 67.4%と、厚生年金の適用状況が研究会で報告がありましたけれども、直近の数字はも う少し上がって、8割前後の適用があるように伺っております。  次に、去年の春からは、こういった断続的に国年、厚年の適用を繰り返す期間が生じ てしまうことにつきまして、若干の改正がなされておりまして、「待機期間」とされる 期間が1月以内と短い期間であり、次の派遣が、必ず1月以上また続くということにな ると、間であく期間が1月期間、小さい期間であるということで、年金の適用は月末で 判断しておりますけれども、月末に次の厚生年金の適用が始まっているということにな り、この間は待機期間も含めて使用関係は継続している、厚生年金の被保険者資格喪失 してないという扱いを健保、厚年ともに去年春からやっております。  しかしながら、1カ月を超えてしまうような方については、こういう適用はできませ んので、その間は国民年金の適用対象にならざるを得ません。そうしますと実態として はサラリーマン的な働き方でありますけれども、国民年金の保障で十分かどうかという ような問題があります。  それから、待機の期間中は手続をしっかりとっていただかないといけませんけれど も、事務が煩雑で適用がしっかり行われない場合も出てくるのではないかという問題点 があるということでございます。  23ページで、失業している期間につきましても同じような論点がありまして、失業率 も高どまりをしている状況でございますので、労働者の方々は、職業生活の中で失業期 間を経験される方も多くなってくるのではないかと思いますけれども、国民年金につき ましては、失業をされますと、去年からは免除の基準も改善をしておりまして、従来の ように所得が急に落ちたとかという要件を見なくても、失業したということで保険料の 負担が免除される仕組みに改善はしております。このような仕組みでカバーはされてお るということでございますけれども、派遣と同じように、サラリーマン的な働き方を続 けていかざるを得ない方について、国民年金の保障で十分なのかというような論点があ るということでございます。  最後に24ページからは、厚生年金について研究会で議論されたのは、任意継続加入の 仕組みが取り入れられるかどうかということで、これを紹介させていただいておりま す。この「待機期間」につきまして、厚生年金の方に継続して任意で加入できるような 仕組みがあり得ないのかどうかということですが、この「待機期間」の性格付けについ て若干難しい点の御指摘もございました。  (1)、(2)でありますように、「待機期間」というのは、次の派遣を待っているという ことで登録はされているわけですが、しかし失業者と本質的に変わる点があるのかどう かということです。もし同じようなことであれば、失業者への対応とバランスとって考 えなければいけなくなります。  それから、制度的に難しい点として、登録は1カ所なり複数なりしているのだけれど も、再度派遣就労する意思があるのかどうか、その区別がつくのかどうかというような ことです。「待機期間」が非常に長期にわたる場合もあり得るのではないかということ が考えられます。  それから、保険料を労使折半分、負担をどうやっていくのかという点でございます。  次の25ページ、失業中につきましても、同様に任意継続加入の御指摘があるわけでご ざいますけれども、これにつきましても、同様に再就職を結果的にされずに非労働力化 しているような方との区分けができるか、必要かという点がございます。  それから、どの程度までを任意加入の考え方がとれるのか、事業主の負担をどう考え るのかという点があるということでございます。  なお、今の仕組みとしては、健康保険制度に任意継続の仕組みがございますが、これ は被保険者資格の喪失後、2年間、本人が両方の負担することによりまして、引き続き 健康保険にとどまって同様の給付を受けられるということの仕組みはございます。  しかし厚生年金では、次のページにありますように、例外的な一部のものしかござい ません。高齢任意加入制度ということで、25年の受給資格要件を満たさない方が、70歳 以上でも、25年を満たすまでの間に限って任意加入できるという仕組みがございます。  それから、経過的なものでも、対象者ゼロになっていると思いますけれども、60年改 正のときに、従来の縦割りの仕組みの中で、受給期間20年を満たせないという方につき まして、当時の45歳以上の方でございますけれども、その期間までの間、任意加入が認 められていたというものはございました。このようなことで、基本的には厚生年金の場 合には、きちんと入っていただくことを原則にしていますが、その中でどう考えていく のかという点がございます。  ただし、最後のページでございますが、事務的な問題がまた別途あろうかということ で、先ほどの派遣労働者のように、厚生年金の適用を繰り返す実態があるわけでござい ますので、その間、どのように手続をしてもらうかという問題があるわけでございます ので、一番左に書いてありますように、派遣をされた場合に、年金手帳を付して事業主 が事務所に取得届を出すという方法が考えられます。  それから、派遣が切れてしまった場合に、2番目のように事業主が資格喪失届を社会 保険事務所に出して、御自身は1号に変わったという届出を、住所を確認できる市町村 へ取得届を出していただくということを繰り返さなければいけないということにつきま して、これからの事務の改善の中でより簡便にできる方法がないのか、この点は検討し ていかなければいけないだろうと思っております。  長くなりました。以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○ 宮島部会長  障害年金とその後の高齢者の在職老齢とか、失業期間に関わる話は性格が違うので一 緒に議論するのは多少無茶かもしれませんが、時間がございませんので、申し訳ありま せんが、よろしくお願いします。どうぞ、近藤委員から。 ○ 近藤委員  今、御説明いただいた20ページですが、経済財政諮問会議のいろいろな議論を見てい ますと、高所得者に対する年金給付の削減について議論され始めました。また、参考資 料3−1で17ページに、経済格差に配慮した給付抑制について書いてありますけれど も、これは賃金以外の所得や資産も含めて、経済力のある高齢者に対しての給付削減だ と思いますが、これについて、私は公正な実施はできないのではないかと考えておりま すけれども、このことについて、この資料であまり明確にされていませんが、どのよう に対応するつもりなのか、お答えいただければと思います。 ○ 木倉年金課長  今の御指摘でございますけれども、先ほども一定以上の収入のある高齢者に対するこ とで述べましたが、そもそもの考え方として、実際の年金の権利をどう考えるのかとい うことがございます。老後の所得の状況でその権利が左右され、制限を受けるというこ とについては、仕組み上、基本的に拠出をすることの仕組みにかかわってきてしまうの ではないかという論点、ここに挙げました論点以外にも、今の御指摘の公正な実施につ いて、実務上の点で問題があるのではないかという思いを持っております。すなわち賃 金以外の所得や資産を把握しながら制約をかけていくということになりますと、実際に は今は受給者は約3,000万人いらっしゃるわけでございますけれども、非常に大きな規 模で収入の把握、制限を考えていけるのか。  また、利子所得なども含めた収入の把握は、現実面でいろいろ困難な点があり、可能 なのかということで、考え方の点からも実務上の点からも、本当に公平・公正に制限が できていくのかというような問題点はあるのではないかと思っております。そういう説 明もさせていただいております。 ○ 渡辺委員  障害年金について1点だけ意見を申し上げたいのですが、先ほどの御説明の中で、障 害基礎年金には障害厚生年金との組合せしかないということですが、障害基礎年金を受 給していても働くことは当然可能なわけで、現に働いていらっしゃる方もいるわけです が、そうしますと、その方が65歳になったら、自らの労働者としての年金は、老齢基礎 年金+老齢厚生年金になるわけです。そうしますと、特に障害が1級の場合には、老齢 基礎年金の満額のさらに25%増しという金額ですから、自らの労働者としての年金をも らおうとすると、年金額が減る場合もあるわけです。また、選択や併給が認められてな いから、選択しますと年金額が増えません。つまり20年か、あるいはそれ以上働いたと しても、障害者の方の年金が増えないということはやはりおかしいのではないかと思い ます。そういった意味から言いますと、障害基礎年金と老齢厚生年金の組合も、当然私 は認めるべきであると考えます。それは特に障害者の自立促進の観点からも、併給を認 めるべきだと思いますが、これについていかがでしょうか。以上です。 ○ 木倉年金課長  確かに今の御指摘のような点は、障害者の方々からも御指摘がある点でございます。 この併給調整の仕組みは、60年改正で縦割りの制度から共通の制度に変えていくとき に、基礎年金と2階の報酬比例部分との組合せの仕組みにつきましては、複数の制度か ら受ける過剰な給付とか、重複の給付をなくすというようなことで、一人の人に1つの 事由での年金の組合せで考えていくべきだということで整理をされてまいりました。そ れで一事由でもって、1階、2階でその方に必要な所得保障の水準を考えていくという ことで原則が立てられ、今のような仕組みになっているわけでございます。確かに、障 害が1級のような非常に重い方であっても、これから働ける時代になりまして、長く働 いて高い報酬を得られた場合に、老齢厚生年金の方が高くなるという場合も考えられま す。  そうなると、65歳になってから、老齢・老齢の組合せを選択し直せばいいのではない かということもありましょうけれども、障害基礎年金を受給する権利のある方、特に1 級の権利を大事にしながら、2階の所得比例部分も組み合わせたいという御指摘がある ことは承っておりますので、この辺は併給パターン全体の整理の中で議論をしてまいり たいと思っております。 ○ 小島委員  1つ質問があります。障害基礎年金の受給者数と障害厚生年金の方の受給者数では国 民年金の方が4倍ほど多いのですが、これはどういう事情なのでしょうか。  それから意見としまして、無年金障害者の問題です。確かに福祉的措置で対処すると いう方向が示されておりますけれども、これは前回の年金改正以前からの宿題として残 されております。今回は方向性をはっきり示すべきであろうと思います。福祉的措置と しては、障害者に出されております障害者手当が考えられると思いますが、私としては 年金の方からも、福祉的な措置と併せて基礎年金からも国庫負担相当分を併せ技で考え たらどうかと思います。  あと、在職老齢年金の問題ですが、現行の制度での問題点は、賃金があれば、とりあ えず2割カットからスタートするということです。この2割カットについてはやめるべ きだと思っています。それと在老はそもそも厚生年金に引き続き加入しているというこ とが前提でありますので、賃金以外の収入がある場合には、在老の適用にはなりませ ん。先ほど近藤委員から指摘されましたけれども、在老という制度は、自らの年金を一 部カットされながら、厚生年金の支え手に回っているということです。しかし、賃金以 外の所得のある人は全額の年金を受給しており、その矛盾はあるのではないかと思って おります。そういう意味では、賃金以外の所得も含めた総収入での調整が考えられなか と思っております。  それと最後に失業中の厚生年金の継続加入の問題です。失業中でも、引き続き厚生年 金に加入できるという制度を新たにつくるべきだと思っています。ここは任意加入制度 という形になるかと思いますけれども、そこは失業中の障害、あるいは遺族になった場 合の保障ということから考えるべきだと思っております。 ○ 木倉年金課長  最初の数字の点でございますが、障害年金の資料の2ページの国民年金と障害年金、 これは国民年金の方が多いわけでございます。これは働いている間の障害事故でござい ますと、厚生年金の方は受給権が発生しますけれども、働いてない方も含めて国民年金 の方は全部障害の受給者の方が入っておりますし、それから、20歳前障害の方で基礎年 金をもらっていらっしゃる方も全部入っていますので、当然に国民年金の方の数が多く なってまいります。 ○ 宮島部会長  ほかに、杉山委員。 ○ 杉山委員  2点ほどございます。1点が、老齢年金に関してなんですが、私たちの世代以降は、 報酬比例部分の厚生年金に関しても、65歳からの支給ということになりまして、60歳か らという部分が、私としては実感として見えてこない部分がございます。何が言いたい かといいますと、若い、これからの支え手たちは、先が長いわけで、ぜひとも高齢の方 たちも働く意欲があって、力がある方は年金の支え手に回っていただくような仕組みで お考えいただければと思っております。  そういう意味では、小島委員もおっしゃいましたけれども、年金のみならず全ての所 得で課税を見直していくという方向もあるというふうに思っております。  もう一点が、派遣労働と失業に関してですが、これからは1号になったり、2号にな ったり、3号になったりということが頻繁になってくると思います。できれば一本化し ていくというのが一番いいのだろうと思いますが、とりあえず事務手続の簡素化を真剣 に考えて、若い人がコンビニですぐ手続をできるといったような仕組みも考えていただ ければと思います。以上です。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。それでは、申し訳ありません。時間が少し超過しておりま して、あまり時間もとれなくて大変申し訳なかったのですが、障害年金、それから失業 関係の議論は一応ここで終わらせていただきたいと思います。  ただ、今、伺っておりまして、例えば収入基準に関していくつか、これは前のときも 実は第3号やパート、短時間労働についての議論にもこういう収入基準の話が出てきま して、今、近藤委員、杉山委員の御指摘がありましたように、その辺のところ、実際事 務手続が本当にどのようにできるのだろうかということは大変気になるところでもござ います。それから、これまでどちらかというと、老齢年金の本体を念頭において給付負 担、いろいろな仕組みを検討してまいりましたけれども、今日議論した、例えば遺族年 金は、年金給付の15〜16%程度という高いウエイトを持っておりますし、在職老齢年金 についても、恐らく現在の仕組みのまま、影響を及ぼしてくることになりますと、遺族 年金や在職老齢年金などが、逆に全体として将来の給付・負担や財政にどんな影響を及 ぼしていくのかということについても、少し併せて見ておく必要があるだろうと思って おります。  それから、特に今御意見ございましたように、社会保障給付や社会保障の手当が、例 えば税制上の所得控除などと重複している面がないかということも実際の制度設計をす る場合には考える必要があるのではないかという気もいたしましたので、その点も事務 局の方で気をつけていただいて、今後議論の際に詰めていきたいと思っております。  それで、先ほど申しましたように、一通り各論の議論を今日までしてきたわけであり ますけれども、この間、前回の企業年金も含めまして、委員の方からいただいておりま す意見書、あるいは今日扱いました議論につきましては、今後の総括的な議論の中で取 り上げ、論点整理の中で取り上げて、その際にまとめていただくという形で整理させて いただきたいと思っております。  そのことも含めまして、今後の年金部会の進行、段取りなどにつきまして局長から発 言したい旨、依頼がありましたので、局長からお伺いしたいと思います。 ○ 吉武年金局長  大分時間が押している中で議論していただきましたが、次回は御意見が分かれている 教育貸付をどう考えるかなど、年金制度の本体の給付と負担以外の分野について御議論 いただく必要があると思っております。ほぼひとわたり御議論をしていただく形になり ますので、できれば、今、部会長がおっしゃいました総括的議論に入れたらと考えてい ます。  まず、私どもの方で、これまでの全体の議論、あるいは個別の議論で、それぞれ委員 の方々からの御意見を整理した資料を次回用意をさせていただいて、総括の議論に入っ ていただけたらと思っています。  最初から申し上げておりますが、平成16年改正でありますので、今年の秋、できるだ け早い時期に厚生労働省としての骨子を世の中に示して、それから数カ月かけて年末ま で広く議論していただいて、改革案を決定したいと考えております。誠に恐縮でござい ますが、そういう形で進めさせていただいたらと考えています。 ○ 宮島部会長  先ほど申しましたように、各論の議論はほぼ取り上げてまいりました。もし残された 問題があれば、どうぞ御指摘いただいて、次回改めて取り上げたいと思います。先ほど 局長から話がありましたように、少子化対策についての議論がまだ残されているという 点もございました。それは次回扱うことにいたします。  そのほか、委員の方から、特にこの点については、まだ各論の議論で残されていると いう指摘がございましたら、何かございますか。 ○ 小島委員  次回に向けての資料要求の要望があります。年金積立金の問題であります。これをど うするかというのは大きな問題だと思いますので、今、市場運用されています14年度の 運用結果が次回ぐらいには多分まとまるだろうと思うのですが、それがまとまっていれ ば、それをぜひ報告願いたいと思います。それと自主運用に当たっての運用機関のあり 方、経済財政諮問会議の中でも第三者機関を検討すべきと出されていますので、そうい うものについて諸外国ではどのような運用機関で行っているのか、その責任所在等につ いての関連資料を出してもらいたいです。  2つ目は積立金の還元融資の問題です。現状では、住宅融資をしていますけれども、 その状況と、年金積立金の融資先にいろんな施設がありますので、そういうものがどう いう実態になっているのか。とかく週刊誌などを見ますと、大規模保養基地等に積立金 が流れているのではないかという疑惑や問題点が出ています。そういう問題がわかりや すいような資料を出してもらいたいです。  もう一つ、たしか年福事業団時代に、堀先生が中心になってまとめられた年金積立金 を活用したリバースモーゲージについての報告書が出ていると思います。これについて も参考までにどういう内容なのかということを出していただければと思います。  それと最後に、今日出された課題は、前回の年金改正、それから前々回も含めて、い つも時間切れで結論が得られずに、先送りになってきたということもありますので、今 回はぜひそういうことがないようにお願いできればと思います。 ○ 宮島部会長  わかりました。1つは年金積立金あるいは還元融資、一部は今局長の話に含まれてお ると思っておりますが、それらの資料についての説明をしていただく。このリバースモ ーゲージの話というのは、これは事務局は承知していますか。 ○ 吉武年金局長  参考資料は出せますが、まだ、まとまっていません。一部、生活福祉資金という、昔 の世帯更生資金の中で対応がなされています。 ○ 宮島部会長  わかりました。それと、今、小島委員から御意見がありましたけれども、それから、 先ほど大臣からの御発言の紹介もあったと思いますが、今のところ、私は年金部会の全 体のスケジュールは、それによって変えるつもりはございません。そのかわり、申し訳 ないですが、小島委員からも督促がございましたので、8月も部会をやらせていただき たいということでございます。  なお、今、局長からありました今後の段取りにつきまして、次回はもちろん各論の残 された部分を取り上げると同時に、これまでの御意見をいただきながら、皆様からいた だきましたこの間の新たな意見書につきまして組み込む形で全体の論点整理の手続に 入っていきたいと思っております。年金部会では、私の希望もございまして、各委員の 方々にもそういう形で意見書を出していただくという形で、全員で常に運営をしており ますので、これから秋に向けて年金部会としての意見の取りまとめ方においても、でき るだけ全員で行っていきたいというのが私の今のところの希望でございますので、その こともあらかじめお伝えしておきたいと思っております。  それでは、概ね今日の議論終わっておりますが、総務課長の方から何かございます か。 ○ 高橋総務課長  あと、社会保険庁から、参考資料6について御説明申し上げたいと思います。 ○ 遠藤社会保険業務センター所長  社会保険業務センターの所長でございます。このたび、年金の過払い、未払いがござ いまして、多くの受給者の方に御迷惑をかけてしまいました。誠に申し訳ございませ ん。参考資料6ということでお配りしております。詳細は省きますけれども、過払いは 加給年金額の支給停止について発生いたしまして、これは資料としては4ページにその パターンが書いてあるのですが、特定のパターンについて、支給停止すべきところ、そ れについてシステムのプログラムミスがあったということでございます。そういう特定 のパターンだけミスが生じたということでございまして、社会保険オンラインシステム が非常に大規模で複雑なシステムでございまして、日ごろから誤りのないようにと気を 配っておりますけれども、今回の例を教訓にいたしまして、これからの制度改正などに 向けて万全を期して臨みたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それから、未払いについては、この資料の6ページの方で、これもパターンを書いて ございます。これはシステムの誤りということではなくて、振替加算というものを加算 する事務について、社会保険事務所と社会保険業務センターとの間で紙媒体で情報のや りとりをするのですが、それについて、一部作業漏れがあったということで、このよう なことになってしまいました。  そういうことで、年金業務処理関係を総点検いたしまして、誤りのないように万全を 期していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。  以上でございます。 ○ 高橋総務課長  それから、次回の部会でございますが、先ほど局長から申し上げましたように、今、 部会長に整理いただきましたとおりでございます。その方向で次回の議事をお願いした いと思います。開催日時につきましては、日程を調整の上、改めて御連絡いたします。  それから、御意見を既に提出していただいているところでございますけれども、本日 の議題、テーマが4つほどございましたが、これも含めまして、これまでの論点につい て、追加の御意見がございましたら、資料をまとめますので、次回の部会の1週間ぐら い前に事務局まで提出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○ 宮島部会長  どうもお忙しいところ、ありがとうございました。それでは、これで今日の討議を終 了いたします。 (照会先) 厚生労働省年金局総務課企画係 (代)03-5253-1111(内線3316)