事務事業名 | 難治性疾患克服研究経費 |
担当部局・課主管課 | 健康局 疾病対策課、雇用・児童家庭局 母子保健課 |
関係課 | 大臣官房厚生科学課 |
基本目標11 | 国民生活の向上に関わる科学技術の振興を図ること |
施策目標 2 | 研究を支援する体制を整備すること |
I | 厚生労働科学研究費補助金の適正かつ効果的な配分を確保すること |
根本的な治療法が確立しておらず、かつ後遺症を残すおそれが少なくない神経疾患、自己免疫疾患、先天性代謝疾患等の難治性疾患については、依然、完治に至らない疾患、国外の診断・治療技術に頼らなければならない疾患等が存在する。 このような状況を踏まえ、(1)難治性疾患の状況把握と診断・治療指針の維持・整備に関する研究、(2)難治性疾患に対する再生医療・遺伝子治療等の技術を駆使した画期的治療法の開発に関する研究、(3)難病患者の社会生活支援に関する研究等を重点的・効率的に行うことにより進行の阻止、機能回復・再生を目指した画期的な診断・治療法の開発を行い、患者のQOLの向上を図る。 本事業においてはこのような行政上必要な研究について公募を行い、専門家、行政官による評価により採択された研究課題について補助金を交付する。また、得られた研究の成果は適切に行政施策に反映される。 |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 |
2,022 (特定のみ) |
2,022(特定) 100(こども) |
2,322(特定) 100(こども) |
(未確定) |
(現状分析) 現在、難病対策においては、医療技術の進歩に伴い、難病の一部ではあるが、原因の解明が進んだものや一定の治療が確立したものが生じているなど、事業を取り巻く環境が大きく変化してきている。 (原因) 難病の中では、研究推進の結果大幅な予後の改善がみられた疾患があるが、一方で原因の解明すらも未確立の疾病も多く存在する。また、最近、ゲノム研究等の先端技術を駆使した研究・医療が急速に進展している現状を考えると、より高水準の研究体制を構築していくことが必要である。 (問題点) 個別の難病の克服を目指し、治療法の改善等、明確な目標を設定した上で、期間限定の目的達成型で取り組むプロジェクト研究を推進するなど、大幅な研究体制の充実を図る必要がある。 また、こころの健康科学研究等、他の研究事業の成果を適切に把握・活用し、効率的な研究の推進を図る必要がある。 (事務事業の必要性) 難病について、(1)難治性疾患の状況把握と診断・治療指針の維持・整備に関する研究、(2)難治性疾患に対する再生医療・遺伝子治療等の技術を駆使した画期的治療法の開発に関する研究、(3)難病患者の社会生活支援に関する研究等を重点的・効率的に行うことにより進行の阻止、機能回復・再生を目指した画期的な診断・治療法の開発を行い、患者のQOLの向上を図るため、必要な研究について公募を行い、研究を推進する。また、得られた研究の成果は適切に行政施策に反映することを想定している。 |
専門家、行政官による事前評価委員会を設置し、評価を行い、研究課題を採択する。また、中間評価、事後評価については、中間・事後評価委員会を設置し、専門家、行政官による事後評価を行う。 |
難治性かつ患者数が少ない疾患の病態の解明、治療法の開発を進めるためには、行政が、難病患者の臨床データを収集し研究者の英知を集めて、個別の疾患の克服を目指した研究を推進する必要がある。 本事業は、疾患克服に関して行政上必要な研究課題について公募を行い、採択課題に対し補助金を交付し、その研究成果を施策に反映させるものであるため、事業全体を外部に委託することは困難であるが、事務的な手続きを外部へ委託することは可能である。また、補助金を受けた研究者が調査や資料の解析を外部に委託することは現状でも行っている。 予後の著しい改善がみられない難病の対策を進めるためには、世界標準の診断法・治療法を確立し、病状の進行阻止を図ることが急務である。また、患者の生活の質(QOL)の向上についても積極的に研究を推進していく必要がある。 |
難治性疾患克服研究事業においては、研究班を構成する研究者から幅広い情報、患者の臨床データが収集され、先端技術を駆使した適正な研究を効率的に進めることが可能である。また、積極的に他の研究事業の成果を適切に活用している。 評価方法についても外部の評価委員で構成される評価委員会が、多角的な視点から評価を行い、その結果で研究費の配分が行われており、効率的に事業を進めている。 本事業の目標は、研究費を重点化し革新的技術の導入することによって治療成績の向上を図ることである。本事業は (1)臨床データに基づく調査研究グループ (2)社会的・政策的な問題や基盤となる研究を進める横断的基盤研究グループ (3)新しい診断・治療法の開発等を進める重点研究グループ が共同して疾患の克服を目指している。 今後も、近年の科学技術の進歩に対応した(ゲノム関連技術、再生医療等)診断・治療技術の開発や国内で開発された新しい治療法の実証的臨床研究を行うことによって、難治性疾患疾患の治療成績向上と治癒・寛解した患者の社会復帰の促進を図る。 |
本事業においては、調査研究の結果として多くの成果が得られている。また、厚生科学審議会難病対策委員会において大きく死亡率が改善した疾患もあるが、予後やQOLが改善しない疾患も多く存在し、研究の推進が必要と指摘されている。
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本事業では、これまでに、特定疾患治療研究事業の対象疾患について、患者の療養状況を含む実態、診断・治療法、行政施策等、密接な関連があり、患者の医療環境の向上に寄与してきたが、今後は、医療水準の向上、患者を取り巻く療養環境の変化にあわせて、行政ニーズと学術的な問題点とを十分把握した上で、効率的に研究を進める必要があると思われる。 |
特になし |
難治性疾患に対し、各疾患群別に国際標準の診断基準と治療方法の導入を図るための調査を行うとともに、対象を重点化し明確な目標を持った上で、ゲノム関連技術、再生医療等の革新的技術を基にした診断・治療法の開発と実証的臨床研究による実用化を目指すべきである。また、難病患者の生活の質の向上を図るため、難病相談支援センター等の難病患者を取り巻く社会基盤の効果的な活用方法に関する研究や患者の心理的カウンセリングに関する研究を実施する必要がある。本事業では、疫学的手法や先進的な自然科学的手法により、特定疾患の診断基準作成を進めるなど、難病施策と密接な関係があり、行政的にも効果的な成果が期待できる。また、いわゆる「難病」については、特定疾患調査研究対象疾患以外にも様々な疾患が存在する。このような疾患の臨床像・疫学像等の実態を把握し、「難病」における特定疾患調査研究の位置づけを明らかにする必要がある。なお、事業実施に当たって、こころの健康科学等の他の研究事業における研究成果も積極的に活用し、効率的に研究を推進させるため研究全体の評価体制の強化を図ることが重要である。 |