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輸血用製剤及び血漿分画製剤等の安全性確保に関わる意見

 わが国は7月30日に安全な血液製剤の安定供給確保等に関する法律と係る改正薬事法が施行される。
 輸血感染症等に関わる安全確保については、供給及び原料として供される献血血液・原料血漿の質の向上が常に求められる。質の向上には、善意による献血者の血液像をチェックすることで、国内における感染症等の問題事例の迅速な把握を可能にすることや、公衆衛生的観点からの問題事例も把握でき、もって公衆衛生の向上に努められることと考える。
 そこで、この度ドイツ保健省の協力の下に、米国におけるプラズマフェレーシス供血者の血液の質及び質の向上に関わる供血者の実態として、「非合法薬物使用の米国とドイツの蔓延比較」についての調査したものが発表されている。
 この調査は、私見であるが、ドイツ保健省が、自国民の健康を守るための危機管理事項の一つとして、米国に由来する血液製剤の原料血漿及び米国で製造される血液製剤の質と係る供血者の実態把握にあると考える。

 結果として、米国における供血者中に非合法薬物使用者比率(大麻、マリファナ、コカインが多いことに驚きを覚えた。上記薬物濫用者は、HIV感染問題が惹起した時から、売血者層と重なることが指摘されており、この度の調査報告でも静脈注射等によるHIV/HCV/HBVの感染リスクが一般供血者に比べ高いことも問題視されている。
 安全な血液を患者に提供するためには、リスクの高い血液や血漿の供血者を避けていくことは重要な手段と考える。今回は一部の小規模な調査に基づく結果であるが、輸血感染症や良質な血液を患者に提供する最善の努力を行うため、今後大きな規模でのかつ定時的調査が行われる必要がある。
 さて、わが国においてもその非合法薬物使用の広がりについては大いに懸念されるところである。輸血感染症だけでなく非合法薬物使用者の血液からの将来的健康被害発生を鑑み、献血者の善意を尊重しつつも、血液の危機管理を前提に受血者である患者への安全で良質な血液の提供を考えると、国の責任の下に極力リスクの排除の調査あるいは無作為の検査が必要と考える。

平成15年7月16日
血液事業部会委員
 はばたき福祉事業団 理事長 大平勝美

プラスマフェレーシス供血者の非合法薬物使用の普及率(蔓延)について(抄訳)(略)


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