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資料F−3

血漿分画製剤の安全性の評価について

血漿分画製剤の安全性確保について
(平成15年6月17日付け報告依頼通知)

血漿分画製剤の安全性確保について(中間報告) (PDF:18KB)
(平成15年6月20日付け日本赤十字社報告)

血漿分画製剤の安全性確保について(ご報告) (PDF:19KB)
(平成15年6月20日付け日本製薬株式会社報告)

血漿分画製剤に関する意見書
(平成15年6月30日付け安全技術調査会座長意見)




医薬安発第0617001号
医薬血発第0617002号
平成15年6月17日

 日本赤十字社社長 殿

 厚生労働省医薬局安全対策課長

 厚生労働省医薬局血液対策課長

血漿分画製剤の安全性確保について

 今般、平成13年6月26日に採取された血漿がHBV陽性と判明した供血者から同年4月10日に採取されたHBV陰性血漿を原料とする輸血用血液製剤による感染の可能性が考えられる事例が、平成15年6月10日付け医薬品副作用・感染症症例報告書において、貴職から厚生労働大臣あてに報告された。これを踏まえ、平成13年6月26日及び同年4月10日に採取された血漿から製造された血漿分画製剤の安全性に関し、下記の1の事項については、平成15年6月20日までに、下記の2の事項については、平成15年6月30日までに報告されたい。


 1 供血血液に係る血清学的検査及び核酸増幅検査の結果、梅毒トレポネーマ、HBV、HCV及びHIVについて陰性であったが、同一供血者がその後、供血した際に陽性が判明した場合、これ以前に採取された血漿を用いて製造された血漿分画製剤の安全性に係る科学的所見

 2 平成13年4月10日に採取された血漿を原料として製造された血液凝固第VIII因子製剤「クロスエイトM」に関し、
(1) 当該製剤の流通在庫、医療機関等在庫の有無及びその数量
(2) 当該製剤が使用された患者の有無及び使用対象患者数
(3) 当該製剤の使用の中止及び回収の必要性に係る科学的所見
(4) 上記(2)における使用対象患者の健康状態の確認の必要性に係る科学的所見


医薬安発第0617002号
医薬血発第0617003号
平成15年6月17日

 日本製薬株式会社社長 殿

 厚生労働省医薬局安全対策課長

 厚生労働省医薬局血液対策課長

血漿分画製剤の安全性確保について

 今般、平成13年6月26日に採取された血漿がHBV陽性と判明した供血者から同年4月10日に採取されたHBV陰性血漿を原料とする輸血用血液製剤による感染の可能性が考えられる事例が、平成15年6月10日付け医薬品副作用・感染症症例報告書におい'て、日本赤十字社から厚生労働大臣あてに報告された。これを踏まえ、平成13年6月26日及び同年4月10日に採取された血漿から製造された血漿分画製剤の安全性に関し、下記の事項について、平成15年6月20日までに報告されたい。


 供血血液に係る血清学的検査及び核酸増幅検査の結果、梅毒トレポネーマ、HBV、HCV及びHIVについて陰性であったが、同一供血者がその後、供血した際に陽性が判明した場合、これ以前に採取された血漿を用いて製造された血漿分画製剤の安全性に係る科学的所見



(平成15年6月30日付け安全技術調査会座長意見)

血漿分画製剤に関する意見書

1.経緯
 ・ 平成15年4月21日,ある患者がHBVに感染しており,原因をさかのぼると平成13年4月12日に血小板輸血を受けていることがわかった.
 ・ この血小板は,平成13年4月10日に献血者Aから採取されたものであり,同時に血液分画製剤の原料血漿も採取されていた.
 ・ 献血者Aは,それから77日後の平成13年6月26日に再度献血を行った際に,HBV抗原陽性と判明し,平成13年6月26日に採取された血液は廃棄された.
 ・ 日赤は,献血者Aが平成13年4月10日に献血した血液の保管検体を個別に取り出し,HBVの核酸増幅検査(NAT)を実施,結果は陰性であった.
 ・ 献血者Aから平成13年4月10日に採取された原料血漿から,血液凝固第VIII因子製剤(クロスエイトM)が製造,既に販売されていることが判明した.
 ・ クロスエイトMに用いられた分画以外(脱クリオ)が日赤から日本製薬に販売され,日本製薬は静注用グロブリン製剤,アンチトロンビンIII製剤,アルブミン製剤を製造中で,未出荷の状態にある.

2.安全性に関する意見
 ・ 本件では,平成13年4月10日に献血者Aによって献血された輸血用血液(血小板)がHBV感染の原因となったことを否定できない.
 ・ しかし,血液凝固第VIII因子製剤(クロスエイトM)などの血漿分画製剤を製造する過程には,複数のウイルスの除去・不活化の工程が組み込まれており、かなりの量のウイルスが万一混入した場合においても安全性が確保されることが確認されている.
 ・ 献血者Aは,平成13年4月10日にはいわゆるウインドウ期にあったと考えられるが,個別に行われたNAT検査で陰性であった事実は,ウイルスが極めて微量であったことを示している.
 ・ したがって,本件においては微量のHBVが原料血漿中に含まれていた可能性があるが,製造過程におけるウイルスの除去・不活化により,血漿分画製剤は安全であると判断する.

3.日赤に対する意見
 ・ 本件においては,平成13年6月26日に献血者AがHBV陽性であることが判明した時点で速やかに遡及調査が行われ,平成13年4月10日の献血血液に関する個別NAT検査や血液が使用された患者の調査が施行されるべきであった.
 ・ 献血血液の安全性確保に関する現時点での対策が万全であると慢心することなく,より安全なシステム作りをめざしてさらに努力されることを要望する.

2003年6月30日 岩本愛吉


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