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「健康食品に係る制度のあり方に関する検討会ヒアリング申請書」

団体の名称 食品保健指導士会
代表者の氏名 杉浦上太郎
団体の概要
 厚生労働省は、平成14年2月、「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的考え方について」を示しました。これを受けて、財団法人日本健康・栄養食品協会(細谷憲政理事長)において養成されたアドバイザリースタッフが、食品保健指導士であり、食品保健指導士の団体が当会であります。
 食品保健指導士会の設立は、平成15年3月20日です。

〔目的〕
 保健機能食品等に関する
 (1) 食品保健指導士の知識・技能の向上を図る。
 (2) 情報の収集と会員に対する普及啓蒙を図る。
 (3) 食品保健指導士相互の親睦を図る。
 このことにより、一般消費者を保護し、もって国民の健康の保持・増進に貢献することを目的とする。

〔組織構成〕
 会員数 253名(平成15年4月1日現在)
 居住地 33都府県
 資格等 学位(博士)6名、公的資格 137名 管理栄養士、薬剤師、看護師、臨床検査技師、歯科医師、医師、一級建築士、国家統計管理士等

〔事業又は活動の内容〕
 平成15年5月1日現在の活動状況
 ・ 地方自治体及び消費者センター主催講演会へ講師を派遣(3箇所3人)
 ・ 地方自治体・消費者センター・団体・企業が主催するイベントの相談コーナーへ派遣(1箇所2人)

健康食品に係る制度のあり方に関する意見内容

検討課題
1 国民の健康づくりにおける「健康食品」の役割をどう位置づけるか。
「医薬品―現行制度に基づく保健機能食品―いわゆる健康食品―一般食品」の体系のあり方

〔意見等〕
 健康食品産業は、1兆円産業といわれており、その市場は、右肩上がりに成長しており、低迷する我が国経済を、健康食品のみが必死で支えている現実があることを、先ずもって明確にしたいと思います。また、厚生労働省の「平成13年国民栄養調査結果」によれば、「ビタミン・ミネラルサプリメント摂取状況調査」で、国民の2割の者に普段からサプリメントが利用されていることが判明しています。
 こうしたことは、健康食品が、国民に広く支持され、定着しつつあることの表れといえます。このように、健康食品が、国民の健康の保持・増進に寄与していることは、医学、栄養学の面から見ても疑いのない事実であり、このことは、米国をはじめ先進諸国における活用実態が如実に示しております。
 現在、行政の喫緊の課題とされている「医療費削減」問題に対する根本的解決策は、「国民の健康づくり」をおいて他にありません。健康食品の持つ機能・有用性がこの問題に大きく貢献することは間違いありません。今後、健康食品の果たす割合がますます大きくなるであろうことも容易に予想できます。
 このような状況にあるにもかかわらず、現在の食品に関する諸制度は、複雑で専門家にも理解し難く、異次元の世界を思わせるものがあります。これは、「第1回健康食品に係る制度のあり方に関する検討会」における資料2の14ページ「保健機能食品の法令上の位置づけ」に図示されているように、種々の制度を継ぎ足したことによる絡み合い、重なり合いが生じたためと考えられます。
 これらのことから、私共が切望することは、健康食品を有効活用するための、一般消費者の理解が容易な、体系化された教育と、消費者に安全な食品を提供するための、新しい法律の制定であります。

新しい法律制定への提案

〔制定の目的〕
 食品が持つ機能・有用性を消費者に明確に示すことにより、消費者自らが、食品を通じて健康の維持増進を図ること。一方製造者は一般消費者に対して、安全な食品を提供する義務を負うことを目的とする。

〔食品分野〕
 ・ 保健機能食品(現行の特定保健用食品)―健康強調表示(個別許可型)
 ・ 健康補助食品(現行の栄養機能食品+いわゆる健康食品)−栄養強調表示(規格基準型)
 ・ 一般食品―栄養成分表示―栄養表示基準

〔製造者〕
 保健機能食品及び健康補助食品の製造者には、食品のGMP(Good Manufacturing Practice)を義務付ける。

〔販売者〕
 保健機能食品及び健康補助食品の販売者には、虚偽・誇大な説明を禁止し、利用者の立場にたった説明を義務づける。

〔体系〕
 「医薬品―保健機能食品―健康補助食品―一般食品」
 以上、食品を機能別に3分野に分類し、それぞれの食品の定義を定め、栄養表 示基準制度を整備し、新しく制定する法律に取り込みます。(現在は、健康増進法第31条等において定められています。)
 健康増進法を基盤とする「健康日本21」の栄養・食生活部門に、新しく制定する法律による、食品の教育方法を加えます。
 このことにより、あらゆる職域において、新しく制定する法律を徹底し、上記3分野の食品が国民の健康づくりのために、寄与することが期待できます。

2 「健康食品」の利用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能しているか。
 「健康食品」の安全性・有用性の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の 期待に応えうる「健康食品」はどうあるべきか。

〔意見等〕
 大多数の健康食品の利用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能していることと思料されます。日本国民が世界一の長寿となっている要因の中に健康食品の貢献もあることと思われます。
 残念なことに、現行の薬事法の解釈・運用が厳しいため、製造・販売分野においては、ぎりぎりのところで法の網を脱法的にクリアして、消費者に情報を伝えようとする試行錯誤が重ねられ、その結果、消費者が本当に必要とする情報は欠落しわけのわからない表示や表現になっているものも多く見られます。
 そのため、消費者にとっても医療従事者や専門学識者等にとっても、一体それが何であるのか、判別することが難しい食品が流通している現実があります。
 しかし、これらにおいても「健康食品」が悪いのではなく、それらを取り巻く人間のモラルの問題であります。
 したがって、ここにおいても1に示した、新しく制定する法律によって、消費者の期待に応えうる「健康食品」を提供するシステムを構築することが重要と考えます。

3 (1)及び(2)を踏まえ、行政、関係業界、消費者の果たすべき役割、制度はどうあるべきか。

〔意見等〕
 ハードとしての政策ばかりではなく、人材育成や情報提供といったソフト面の充実を望みます。関係業界においては、地道な研究や誠意ある販売方法、情報提供が必要と考えられます。消費者は、正確な情報を常に見分けられる能力を養うことが重要と思います。
 他方、例えば、健康食品が健康保険制度の適用外とされているため、医療の現場において、医師が健康食品を活用しようとしても、患者の治療費負担軽減のために利用を、躊躇するといった現実もあります。
 このようなことは、例えば、健康食品が原因と疑われる健康トラブルの相談を保健所が受け付けない場合がある、というように、他の面でも存在します。
 したがって、こうした面での規制を緩和し、健康食品を利用しやすくするための制度面の改革、環境整備が必要と考えます。


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