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健康食品に係る制度のあり方に関する検討会ヒアリング申請書

社団法人日本通信販売協会
会長 池森 賢二

1.団体の概要
目的 通信販売に係る商業倫理の確立等を通じて、その取引を公正にし、並びに購入者及び役務の提供を受ける者の利益を保護するとともに、通信販売の事業の健全な発展に資することにより、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

組織構成
 昭和58年10月に設立、特定商取引法に位置づけられた公益法人で、平成15年7月7日現在、正会員341社(通信販売事業者で1年以上の事業経験のある者)、準会員69社(通信販売事業者で1年未満の事業経験の者)、賛助会員166社(通信販売関連事業者で協会活動に賛同する者)で構成されている。組織としては総会の下に、40名の理事・監事からなる理事会、総務委員会をはじめ18の委員会、部会を設置している。また、それらの下、職員10名からなる事務局を置いている。さらに、消費生活アドバイザー5名からなる消費者相談窓口「通販110番」を設け、通信販売に関する苦情・相談に応じている。

事業内容
 協会の自主規制である、通信販売倫理綱領を作成、その普及を図っているほか、通販業界に対する消費者からの信頼を得るための活動として、前述の「通販110番」を設置。消費者からの苦情相談に応じている。これは会員、非会員を問わず消費者からの苦情を受け付け、アドバイス、あっせん等を行うものである。さらに表示審査特別委員会によって通信販売広告の自主的チェックを行い、不適正事例集の作成、セミナーを通じて広告表示の適正化について会員に周知している。また、業界の健全な発展に資するため、新人研修会、顧客対応セミナー等を通じて業界のレベルアップに努めている。さらに、通販業界を正確に把握するための各種統計調査を実施し、報告書等で発表している。最近では、オンラインショッピングの進展に対応するため、電子商取引のガイドラインを作成したほか、「オンラインマーク」を一定の基準をクリアした事業者に付与する等の活動を行っている。


−意見内容−

I:国民の健康づくりにおける「健康食品」の役割をどう位置付けるか。「医薬品−現行制度に基づく保健機能食品−いわゆる健康食品−一般食品」の体系のあり方

(1)健康食品は長い歴史の中で幾度となくブームを迎えて来ました。過去には万病に効くがごとくの売り方や買い方の中で誤った使用実態があったのも事実です。しかし、ここ10年来健康食品市場の伸長は、一部マニアックな方の使用から広く一般消費者へと拡大してきており、自らの健康を維持管理するために積極的に利用されてきております。
(2)特に、健康食品は医薬品と異なり明確な効能表記が許されていない中で、消費者はより健康でありたいとの願いから正しい情報を求めている。この情報を求める事と連動した購買行動が昨今の消費拡大の背景にあるといえます。
(3)多様化する食生活や生活習慣の中で、これを是正しなくてはならない事を消費者は理解しており、この是正手段として健康食品を用いる事を選択肢として望んでおります。
(4)今や健康食品の市場規模は1兆円を優に超えるに至っており、この消費実態こそが国民にとっての必要性を物語っていると言えます。
(5)体系のあり方につきましては、未だに不備であるといわざるを得ません。前述の国民の使用実態から導かれる事実は非常に多岐に亘っており、本件制度により包括されるものは一部であるにすぎません。特に食薬区分に基づく医薬品としての使用成分以外の食区分においては、あまりにも多くの「いわゆる健康食品」が、法の枠外に置かれている状況にあります。
(6)まずは、医薬品と食品に二分化された現行法制度に「健康食品」という概念を組み込み、これらを活用している国民がより判りやすくこれを理解し、身体の健康維持に寄与するものとして「健康食品」を摂る事への安心感を与えることが必要と考えます。

II:「健康食品」の利用、製造、流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能しているか。「健康食品」の安全性、有効性の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の期待に応え得る「健康食品」はどうあるべきか。

(1)OTO(市場開放問題苦情処理体制)勧告による健康食品関係の規制緩和により、国民はより利便的かつ効果的な摂取をする事が可能となってきております。しかし、海外においては米国を代表としたサプリメント利用先進国の使用実態からすれば、まだまだ遅れていると言わざるを得ません。
(2)米国における1994年のDSHEA法制度の施行は国民に広く健康食品のもたらす利益を与えた事を先例とするならば、この最大のポイントは消費者が商品を選択する為の情報を積極的にラベリング(表記・記載)することにありました。我が国においても消費者にとって有用な情報をより積極的に与える方向を取るべきことを前提にするならば、現状は未だ不備な状況にあり有効に機能しているとは言えません。
(3)但し、「いわゆる健康食品」の実態においては、玉石混淆とも言える状況にあり、正しい情報を提供する義務と、知る権利の中で健康食品は流通すべきであり、2003年5月施行の健康増進法や食品安全基本法等による一定の規制ルールづくりは必要と思われます。
(4)製造面においては、健康食品GMPが業界内外で既に検討されており、この指針に沿ってまずは実施する事が大事と考えます。
(5)消費者にとって安全性の問題は最も重要視すべき問題であると考えます。この問題においては、成分本質にとどまらず、摂取方法や相互作用まで研究されるべき問題であり、産官学が一体となって希求すべきテーマとして取り組む必要があると思われます。また、利用者はこれらの情報提供と開示を得る手段を持つべきでしょう。
(6)現代では、メディアの発達により消費者にとって健康に有益な情報が多くあり、これらが正確である必要があります。一部の誤った情報により消費者が、健康被害等の不利益をこうむることがないよう、メーカー及び業界関係者は、その責任を重く認識しエビデンスベースを基本にその情報提供に努めるべきと考えます。また、これに基づいた商品を提供する事が大事であり、これに反する商品は市場から排除されるものと考えます。
(7)消費者の購買行動は実際には様々な場面で展開されております。昨今の市場拡大の大きな要因として通信販売による低価格サプリメントの台頭とそれに続く大手医薬品・食品・醸造メーカー等の参入が上げられます。これらは皆、国民の健康増進に寄与する事でビジネスを構築しており、この基本精神と理念に幾ばくも懸念がないと思われます。しかし、この精神と理念に反する売り方に対しては業界及び協会としても厳重に対処する姿勢が必要と考えます。
(8)また、健康食品は正しい情報とリンクしてこそ、その目的を成し得る事を前提とすれば、店頭での説明同様に電波、インターネット、そしてカタログ等においても正しい情報を提供する正当性を与えるべきと考えます。
(9)期待に応え得る「健康食品」とは、これら(1)〜(6)に沿った理念に対応した商品を指し、情報と商品が正しくリンクしたものであるべきと考えます。

III:I及びIIを踏まえ、行政、関係業界、消費者の果たすべき役割、制度はどうあるべきか。

(1)BSE問題や食品の虚偽表示に端を発したいわゆる「食品安全基本法」の基本理念に基づき、行政が健康食品を監視する事に異論はありません。但し、多くの国民が健康食品を正しく、賢く利用したいという積極的な願いに対して、これを反故にする事は行政の本意ではないと考えます。
(2)現状では、行政のスタンスは健康食品に否定的であり、健康日本21の精神に沿った国民の健康のあり方に対して積極的に健康食品を組み込む事に踏み込んでおりません。
(3)前述した通り、国民はすでに健康食品を自己や家族の健康維持、管理の為に取り入れており、この実態を考慮したスタンスに立って調整をお取りいただきたいと考えます。
(4)ややもすれば取り締まりに重きを置いた行政のスタンスは、現在一定の規準が曖昧であり、各都道府県や各担当の心象や他府県からの指摘からの是正処置に動きがあるようです。行政は健康食品を法体系の中で正しく位置付け、これを取り締まる場合には日本国における統一的な基準をもって臨んでいただきたいと思います。
(5)また、薬事法的見地から「正当な医療機会を失わせる」事に消費者の不利益がある事は当然でありますが、現代においては「積極的に摂取する事を阻害する事」の不利益を考慮すべきと考えます。
(6)関係業界においては、自主規制としてのGMPの積極的な導入やエビデンスベースに基づく正しい情報の提供に努め、消費者の健康向上のためにより寄与する姿勢を持つ事が重要と考えます。
(7)消費者においては、疾病になってからこれを治癒する医療のあり方を今一度考え、疾病にならないための一次予防策として、健康食品を活用するために、産官学への働きかけをする事が大切であり、自らの健康のためにインフォームドチョイスの権利を主張すべきと考えます。
(8)制度につきましては、国民の健康食品に期待する所を十分にご配慮の上、国民主体に立った体系づくりが最も重要と考えます。

以上


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