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III.確定給付企業年金制度

1.ポータビリティへの対応

(1) ポータビリティの現状
 「個人単位での移動に伴うもの」をポータビリティととらえた場合、その現状は下図の通り。
(注) 制度を全面的に切り替えたり、事業所(営業譲渡等の場合には事業所の一部)単位で企業年金間を移動したりといった、企業年金間の移行等については、平成13年の確定給付企業年金法で、ほぼ対応済み。
  転職先企業の制度
厚生年金基金 確定給付企業年金 確定拠出年金 厚生年金基金連合会
元の企業の制度 厚生年金基金 × × ×
(注2)
確定給付企業年金
(注1)

(注1)
×
基金加入期間の
ある者のみ
(注2)
厚生年金基金連合会
元の基金への
復帰者のみ
× ×  
(注1) 双方の企業年金制度の規約において、あらかじめ、給付の支給に関する権利義務承継を定めている場合。
(注2) 制度終了時の年金通算を含む。

(参考)規制改革推進3か年計画(再改定)[平成15年3月28日閣議決定]<抜粋>

就労形態の多様化に対応した社会保険制度の改革等を速やかに検討する必要がある。

(中略)

 さらに、従来型の年金や退職金といった長期勤続を優遇する制度が人材流動化の阻害要因とならないようにする必要がある。企業年金については、転職が不利にならないよう、確定給付型年金の中途脱退者の通算制度の拡大、個人型確定拠出年金への資産移換の仕組みの検討など確定給付型年金のポータビリティ向上に努めるとともに、コストを抑えた効率的な運営システムの整備等による確定拠出型年金の拡大を図るべきである。以上のほか、退職金についても、長期勤続者を過度に優遇する現行制度の見直しを図る。

(2) 課題

(1) 確定給付企業年金からの中途脱退者の年金化

 確定給付企業年金を実施する企業の従業員が離転職した場合に、確定給付企業年金から支給される脱退一時金については、現在、年金として通算して受給する途が開かれていないが、これをどうするか。
 また、確定給付企業年金が終了した場合に分配される残余財産についても、年金として受給する途が開かれていないが、これをどうするか。

(注) 厚生年金基金加入者(厚生年金基金の加入員期間を有する確定給付企業年金の加入者を含む。)については、本人の希望に応じ、厚生年金基金連合会が「年金通算センター」の役割を果たし、年金原資を受け入れ、年金化。


(2) 厚生年金基金・確定給付企業年金相互間のポータビリティ

 厚生年金基金を実施する企業の従業員が離転職した場合に、転職先企業の厚生年金基金又は確定給付企業年金への年金原資の移転について、どう考えるか。
 厚生年金基金から確定給付企業年金へ移転する途を開く場合、代行部分をどう取り扱うか。例えば、厚生年金基金連合会に移換する方法は考えられるか。

(注) 確定給付型の企業年金は、各企業の人事政策等を反映した給付設計となっており、一般化したポータビリティの確保は現実的には困難(ただ、系列企業間等では双方の合意により可能。)。
 なお、今後、個人別の仮想的な資産管理も可能なキャッシュバランスプランが普及すれば、移転の可能性は大きくなる。


(3) 厚生年金基金又は確定給付企業年金から確定拠出年金へのポータビリティ

 厚生年金基金又は確定給付企業年金を実施する企業の従業員が離転職した場合に、転職先企業の確定拠出年金(企業型又は個人型)への年金原資の移転について、どう考えるか。
 また、厚生年金基金から確定拠出年金へ移転する途を開く場合、代行部分をどう取り扱うか。例えば、厚生年金基金連合会に移換する方法は考えられるか。


ポータビリティの拡充イメージ

図


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