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BSE発生時のリスク評価のまとめについて(事務局案)

平成15年7月8日
伝達性海綿状脳症調査会

1. BSE対策の原則

 医薬品、医療機器等におけるBSE対策は、よりリスクの低い原材料を使用する予防的な考え方に基づく措置であり、次の対応を原則としてきたところである。
(1) BSEのリスクの高い部位をウシ等由来原料の原産国にかかわらず使用しないこと。
(2) BSEのリスクの低い国を原産国とする原材料を使用すること。
(3) (2)の例外として、当該原材料が、(1) BSEと関係のないウシ等の動物群に由来し、(2) その原産国がBSE対策の制度を有し、実施しており、かつ、(3) 当該動物群に動物性飼料が使用されていないことが確認できるものであること。

2. BSEの発生動向を踏まえた検討

 BSEは、今後、これまでBSEが確認されていなかった低リスク国でも発生する可能性があることを踏まえ、発生時にすみやかに1の(2)又は(3)を満たす原材料への切替えが短期間では困難である場合において、予防的な考え方に加え、製品個別にBSEに係るリスク評価に基づく対応を行うための考え方を示す必要がある。

3. リスク評価に基づく対応

(1) リスクの高い部位が原材料として使用されていないことを前提とした場合、発生国での発生率、製品の製造工程中での処理過程、使用方法、使用期間等の要因を踏まえたリスク評価の理論的な評価指標を当面使用することとする。
(2) 表において○となる区分の製品については、上記1に適合する原材料への切替えを速やかに行うことが困難である場合であっても、理論的には、切替えまでの間、当該原材料の使用を継続しても保健衛生上のリスクは回避されるものと考えられるものである。当該原材料の使用を継続する必要がある場合においては、使用者へのリスク情報提供を行う必要があるものである。
(3) 表において△となる区分の製品については、製造工程でのプリオンに関するクリアランス、医療上のリスク・ベネフィットを勘案して、製品個別に当該原材料の使用の適否について評価するものである。当該原材料の使用を継続する場合においては、使用者へのリスク情報提供を行う必要があるものである。

表 長期使用されることを前提に、リスク評価を行った場合のリスク評価値からみて、詳細なリスク評価が必要な場合の目安(長期使用の場合を仮定)
  製品群 ウシ等原材料の使用工程 投与経路 評価
一般注射剤 安定剤 注射
臓器抽出液(成分) 注射
細菌等培養(ワクチン、抗生物質、遺伝子組換え)医薬品

細胞培養(遺伝子組換えを含む)医薬品
ワクチンのマスターシード細胞培養のマスターセル 注射
細菌等(ウイルスを含む。)培養 注射
細胞培養 注射
アフィニティーカラム 注射
安定剤 注射
一般経口製剤 臓器抽出液(成分) 経口
抗生物質等の培養工程 経口
10 カプセル等(アルカリ・酸処理) 経口
11 外用医薬品、化粧品・医薬部外品 基材、成分、培養工程 経皮

 ※ △については、当面の使用に大きな問題があるものではないが、継続的な原料の使用においてリスク・ベネフィット評価を要するもの
 ※ このデータは概算であり、オートクレーブ処理、イオンクロマト、フィルター濾過等によるクリアランスについては考慮していない。

4. その他

(1) 外国からの導入品においては、国内に輸入される製品と外国で販売される製品の間に原材料の差異が発生しないよう、外国での原材料の切替えの時期に国内に輸入される製品についても同時に原材料の切替えが図られるための担保を必要とするものである。
(2) 低リスク国から、発生国に移行した場合においては、上記1の(3)の(1)の確認は困難であるが、当面は、(2)及び(3)が確認できる原材料については、上記1の(3)に適合するものとみなして差し支えない。


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