03/06/27 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性部会・残留農薬部会・乳肉水産 食品部会合同部会議事録 平成15年度第1回毒性部会・残留農薬部会・乳肉水産食品部会合同部会議事録 ・日時:平成15年6月27日(金) 13:00 〜14:30 ・場所:経済産業省別館9階944会議室 ・出席委員(五十音順)  岡田齋夫 加藤保博  香山不二雄 刈屋明  菅野純  熊谷 進 塩見一雄  品川邦汎  鈴木久乃 寺本昭二  豊田正武 林 眞   廣瀬雅雄  福島昭冶 丸山努  三森国敏 山添康   山本茂貴 ・欠席委員(五十音順)  井上達  小川益男  清水誠   鈴木勝士 津金昌一郎  長尾美奈子 中澤裕之 成田弘子  西尾治  伏谷伸宏  米谷民雄 ・行政機関側出席者  遠藤明(医薬局食品保健部長)  小出顕生(医薬局食品保健部企画官)  中垣俊郎(医薬局食品保健部基準課長)  宮川昭二(医薬局食品保健部基準課 課長補佐) ・備考  本会議は公開で開催された。 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性部会・残留農薬部会・乳肉水産食品部会合同 部会議事次第 1.開会 2.食品保健部長挨拶 3.配布資料の確認 4.議題  (1)食品中に残留する農薬等へのポジティブリスト制の導入について  (2)その他 5.閉会 ○事務局  それでは、定刻になりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分 科会毒性部会・残留農薬部会・乳肉水産食品部会合同部会」を開催いたします。本日 は、御多忙の中お集まりをいただき大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願い いたします。  開会に当たりまして、遠藤食品保健部長からごあいさつを申し上げます。 ○食品保健部長  食品保健部長の遠藤でございます。本日は、委員の先生方には大変お忙しい中をお集 まりをいただきまして、誠にありがとうございました。  御承知のように、5月30日に食品衛生法等の一部を改正する法律が公布をされまし た。その中で、特にこの本日の議題は、いわゆるポジティブリスト制を導入いたしまし て、残留規準が設定をされていない農薬等が残留する食品の流通等を原則禁止するとい うふうな制度を、今後3年以内に導入するということになっているわけでございまし て、このポジティブリスト制の導入に当たりまして、検討が必要な事項について、その 考え方や作業方針の御審議をお願いいたしたいと思っているところでございます。  既に一部ポジティブリスト制の施行に向けての準備を始めているところでございます けれども、本日のこの合同部会での御意見を踏まえまして、今後引き続きポジティブリ スト制導入のための準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。  なお、7月1日に食品安全委員会が発足をするわけでございまして、これまで厚生労 働省において実施をしてまいりました業務のうち、リスク評価につきましては食品安全 委員会の方に移されることになります。午前中に食品衛生分科会を開催をさせていただ きまして、部会の構成につきましてこの食品安全委員会との関係で整理をするというこ とで、残留農薬部会につきまして農薬・動物用医薬品部会という形に変えていく、毒性 部会については廃止をするということになっているところでございます。  厚生労働省といたしましては、リスク管理の分野において引き続き科学に基づきまし た的確、かつ適切な食品行政を担ってまいりたいと考えておりますので、今後ともよろ しく御指導をお願いをしたいと思います。  簡単でございますが、あいさつに代えさせていただきます。 ○事務局  本日は、毒性部会の委員12名中7名の御出席。残留農薬部会は、委員11名中7名。乳 肉水産食品部会は、委員11名中7名の御出席をいただいております。したがいまして、 過半数に達しておりますので、本日の合同部会が成立しておりますことを御報告申し上 げます。  香山先生が御出席の予定ですが、2時ぐらいになるという御連絡をいただいておりま す。 それと菅野先生が若干遅れていらっしゃるようですが、こられるものと思いま す。  それでは、本日の座長を残留農薬部会の部会長でいらっしゃいます、豊田先生にお願 いしたいと思います。今後の御審議をよろしくお願いいたします。 ○豊田座長  ただいま、事務局の方から是非やっていただきたいというお話がございましたので、 大変な仕事ではございますが、是非皆様の協力を得まして、なるべく立派なものができ るようにしたいと思いますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。  それでは、議事に入らせていただきたいと思います。初めに、事務局からの本日の議 題と配布資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  お手元にございます資料は、ホッチキス止めがされているものが1つでございます。 初めに議事次第がございまして、本日の議題でございますが、3の(1)にございます 「食品中に残留する農薬等へのポジティブリスト制の導入について」、これが本日の議 題でございます。  資料でございますが、めくっていただきますと3枚目に資料一覧がございまして、す べてホッチキス止めの中に入ってございます。資料が1〜5番までございます。  以上でございます。 ○豊田座長  今、配布資料についての説明がございましたけれども、資料の不足等ございますで しょうか。もしございましたら事務局までお願いいたします。特にございませんです か。  それでは、審議に入らせていただきたいと思います。ただし、今日は非常に暑いの で、上着の方はぬがさせていただきたいと思います。皆様もどうぞぬいで、よろしくお 願いいたします。 ○事務局  それでは、資料の方、順次1〜5までございますが、すべて説明をさせていただきた いと思います。  まず資料1でございます。順次開けていただけるとありがたいですが、資料1をごら んください。  この資料1では、今回食品衛生法の一部を改正する法律、これは先月の5月30日に公 布をいただきました、食品衛生法の改正でございますが、それについて説明をしている ものです。今回ポジティブリスト制の導入に当たって、新たに加えられた条文は、資料 1の1ページの真ん中より下にあります改正法第11条第3項でございます。これに基づ いて、ポジティブリスト制に移行していこうということになります。  従来からございました、例えば残留農薬の規格基準を定める7条第1項がございます が、これは11条第1項として残るということになります。  この紙の中で御説明を申し上げるのが、今回のポジティブリスト制のまず対象でござ います。対象物質がそこの一番下にございますが、A〜Cまで条文上ふってございます が、1つが農薬、これは農薬取締法に規定をされているものですけれども。  2番目が、飼料添加物。  3番目として、動物用医薬品。この3つが対象となるということが規定をされており ます。  それに関してどのように規制をされるかというと、まず1つがEになりますが、人の 健康を損なう恐れがない量として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞い て定める量を超えて残留する食品は、これの販売等を行ってはならないというところ が、その規定の中心になります。  その中で、ただし例外が2か所ございまして、Dで人の健康を損なう恐れがないこと が明らかなものとして、厚生労働大臣が定める物質。  それから、一番下のGにありますように、残留基準が定められたようなもの、第1項 の規格が定められたものについては、その限りではないということになります。  したがいまして、このポジティブリスト制の施行に当たって、この薬事・食品衛生審 議会の方で今後御審議をいただきたい部分は、この1ページ目の資料で申し上げます と、1つがいわゆる一律の基準と言われているEの部分。それから、ポジティブリスト 制の対象外の物質を定めるDの部分。それから、残留基準値のGの部分ということになり ます。  資料の2ページが、そのポジティブリスト制の対象物質について書いておるものでご ざいます。簡単に説明をいたしますと、農薬は農薬取締法に規定されるもの。飼料添加 物については、いわゆる飼料安全法に規定をされるもの。それから、動物用医薬品に関 しては、薬事法に規定のあるもの。それぞれが対象になるということになります。  それを絵として示したのが3ページでございまして、3ページの上が現行の規制でご ざいます。現行は、規格基準を定めているもののみが、それに違反をするものが流通の 禁止ということになりますが、それ以外のものについては、農薬等の残留があっても基 本的に流通の規制等がかかっていないという状況になります。  ポジティブリスト制の移行後、これは法律が公布された3年以内に政令を定める日で 施行をするわけですが、これらについてはまず一律の、真ん中にございますが、一定量 を超える農薬が残留するものの流通が禁止をされる。その網の中で、残留基準が定めら れたものは、その基準を超えたものは流通が禁止されるということになる。  一方、厚生労働大臣が指定する物質、これは右側にございますが、これはポジティブ リスト制の対象外ということで、規制を逃れるというものになります。法的には、こう いうような構造になっておるわけですけれども、このそれぞれを考えていくということ になります。  もう少し細かく書いたのが4ページでございまして、具体的なイメージでございま す。ここでは、後の資料もそうですけれども、基本的に農薬を例示として書かさせてい ただいておりますが、現行制度では例えば農薬のAというものについて、こういうふう に基準を決めていく。Bについては、例えば米、ばれいしょう、はくさいに決めてい る、Cについてはこうこうというふうに決めている。それから、基準の設定されていな いものも当然あるということになります。  ポジティブリスト制に移行をしていくと、すべてのところに何らかの網がかかること になりまして、斜めの線で書いてある網かけがかかっているところは、一律の基準が適 用される。それから、基準値を設け、現行のMRLとか、今後基準値を定めていくよう なものについては白いようなところ。  それから、それとは別に、後ほど御説明をいたします暫定基準値を設定していくよう な形を持って定めるものを決めていって、具体的にこういうふうに3年後に施行される ときは、こういう形でできればというふうに考えておるわけです。  5、6、7ページと、条文が書いてございますが、説明は割愛させていただきます。  資料2、8ページからでございますが、暫定的な基準の設定についての案でございま す、これは事務局の方で作成をいたしました案でございますが、まずその必要性でござ います。この暫定的な規制値を設定しなければならないということは、そこの2つ目の パラグラフにございますが、今の残留基準値のままポジティブリスト制を導入した場 合、これまで合法的に流通が可能であった食品も含めて不必要な食品の流通が妨げられ ることが想定されると。そういうことが一番大きな理由でありまして、これについて何 らかの対応を取らなければならない。  どういうことかと申し上げますと、その下の表を見ていただけるとおわかりになれる かと思いますが、黒く真ん中に囲んであるのが、現在食品衛生法で残留農薬基準が設定 されている農薬229 ございますが、それを例えば農薬取締法で国内の食用の登録農薬、 これは約350ございますけれども、この350 の中で食品衛生法の基準が定められている ものは、128 と54を足した182 の農薬についてのみということになります。  したがいまして、現在既に合法的に農薬として使用はされていて、かつ登録保留基準 などの基準、安全性も含めて検討されているものであるにもかかわらず、今の状態でポ ジティブリスト制に移行すると、一律基準がその350 から128 を引いた農薬にかかって くるということになります。  同じように、輸入食品に関して申し上げると、コーデックスの基準が定められている 農薬が130 ございますが、そのうち食品衛生法で基準が定められているのは54足す28の 82農薬しかございません。したがいまして、一律の基準値が適用されてしまうものがお よそ50ぐらいあると。それは当然のことながら、国際的なルールとしてもその厳しい基 準を適用する合理制のようなものはないということになってきます。  そのようなことから、暫定的な基準の設定というものについて検討していかなければ ならないということになります。  ただ、1つお断わり申し上げるとすれば、暫定的な基準値と申し上げましても、これ は先ほどの資料1のところにもございますが、条文的にはどこにも暫定的な基準値とい うのは出てきませんので、法的なことで申し上げると、これは11条の規格と全く同じも のになるということになります。  それから、次の9ページでございますが、その暫定基準値の設定に当たってどのよう なことを考えていくかということであります。暫定基準値を決めていくに当たって、そ の暫定的な基準値は例えば科学的な評価に基づいて設定されているもの、農薬取締法の 登録保留基準でありますとか、コーデックスの基準であるとか、こういうものは既に毒 性の試験の結果であるとか、そういうものも含めた上で設定されているものであります し。  それから、諸外国の中では当然のことながらJMPRでありますとか、そういうとこ ろで要求されるような資料に基づいて基準を設定しているものがございますので、これ らを参考として基準を設定していったらどうかというふうに考えておるわけです。  諸外国の基準については、既に作業を若干始めてございまして、4月に在京大使館を 通じてこちらの制度の説明を申し上げて、それでどのような基準の設定の仕方をしてい るのか等々の資料の提供をいただけるものかどうかということをお伺いしたところ、そ れに対してアメリカ、欧州連合、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの5つ国 と地域から申し出をいただいております。  具体的に暫定的な基準を設定していく考え方ですが、私どもとして、例えばこのよう な設定の仕方が考えられるのではないかというふうに考えております。  10ページがそのフローでございますが、まずコーデックスの基準があるものは、コー デックスの基準の方を考えていくと。かつ国内の登録がある、ないによって、その国内 の登録のある場合は、国内の登録基準なんかを勘案しながら決めていく。国内登録がな いものであれば、コーデックス基準をそのまま採用していく。コーデックスの基準のな いものについては、国内の登録のあり、なしを、これは農薬についてのみですけれど も、見た上で、国内の登録がある場合、海外の基準がある場合はそれを輸入食品の生 産、流通、使用実態なんかも勘案をした上で、外国の基準も検討を加えると。外国の基 準がない場合は、登録保留基準を定める。  コーデックスの基準も国内の登録もないものについては、外国の基準、先ほど申した ところを参考にして決めていく。そういうものがないものは、当然設定をしないという ことになります。こういうような考え方で、基準の設定をしていってはどうかと考えて いるわけであります。  ただ、幾つか私どもの方でこの考え方で少し問題点があるものが10ページの下に2つ パラグラフとして設けてあるもので、1つが農薬等に該当するものであるわけですが、 いわゆる汚染物質とかと同じもの、それで自然に含まれるようなもの。例えば、ヒ酸鉛 のような農薬であれば、そういうような物質が含まれるわけですので、それについて何 らかの措置を講ずる必要があると。  もう一つは、農薬に該当するものと添加物であるようなもの、これについては例えば 暫定的な基準の策定はしないと、こういうような考え方でやっていってはどうかという ふうに考えております。  この暫定的基準値ですけれども、11ページでございますが、暫定基準というふうな形 にはするわけですが、当然ことながら何らかの見直しを講ずる必要があると思いますの で、マーケットバスケット調査などで、農薬摂取量とありますけれども、農薬等の実態 調査をして、それでそれらの結果によって優先順位を付けて順次見直しをしていこうと いう形を考えております。  12、13ページには、コーデックス基準、それから登録保留基準等の設定の仕方、それ から設定の内容、そういうようなものが書かれてございますが、ここは説明を割愛をさ せていただきます。  14ページにまいりまして、次にいわゆる一律の基準の設定でございます。時々資料1 の1ページを見ていただきながら、どの辺りの話をしているのかというのを見ていただ ければと思いますが、いわゆる厚生労働大臣が健康を損なう恐れがない量として定める ものということになりますが、これについて私どもとしてこのような設定の仕方という ものが考えられるのではないかとして、1つ案を御提示したいと思います。  この考え方でございますが、要するに人の健康を損なう恐れがないというものを設定 するに当たって、それの適用されるものというものは、「はじめに」にございますが、 国内外で使用されていない農薬、つまり安全性の評価が行われていないようなもの、A DIが不明のような未知の物質を広く対象にしておりますよということであります。  こういうような考え方は、ポジティブリスト制を導入しておるような国であれば、既 に取り入れられておって、例えばカナダでありますとか、ニュージーランドであります とかは、こういうような数字を置いているということになります。  この一律の基準をどのように設定していくかなんですが、まず最初にこれまでどれぐ らいの評価されたADIというものは、どの程度一般に、例えば農薬に関して言うと、 どのぐらい低いものがあるかというのを列挙したものがそこになります。これは単に低 い順に上から並べているだけですので、こういう物質とADIの値があるというもので す。  15ページを見ていただきますと、この一律基準値を仮に0.01、0.05、0.1 と設定した 場合、海外でもそういう例がございますし、分析技術なんかも考えると、この辺りを仮 に考えた場合に、ADIが一番最小なもの、それは0.0001mg/kg/day でありますが、こ れを一律基準値の限度量まで残留した食品であれば、どのぐらい摂取が可能であるかと いうものを試算をしてみた表が、その下の表になります。  例えば、0.01ppm と仮に一律の基準を考えた場合、これはADIから体重50キロをか けるわけですから、農薬の限度量は0.005mg になります。これを上回らない量として、 食品に摂取できる量、0.01ppm まで残っていてもいい量というのは500 g、0.5kg にな ると。同じように、0.05の場合は100 g、0.1ppmは50gということになります。  そこで、例えばどれぐらい個別の食品を食べているかというのは、そちらにあるよう な数字でございますで、この辺りのどこかを考えてみて決めていってはどうかというふ うに考えております。  その下にもう一つ参考としてございますが、JECFAの場合は香料になりますけれ ども、毒性の評価が十分でない未知の化学物質について、発がん性の有無を問わず、許 容される暴露量の域値として1.5μg/day というようなものが設定をされております。  したがいまして、これを参考にして、同じように一律基準値を0.01ppm とした場合、 0.05ppm とした場合、0.1ppmとした場合というふうに計算すると。暴露量に相当する食 品の量というのは、150 、30、15というような数字になっています。  16ページは、現在およそ基準が設定されている、農薬の種類、それから品目をかけ合 わせたものですから、9,000 ぐらい数字が出ておるわけですが、これを見た場合、最初 が0.005ppmで、次に小さい数字としては0.01ppm と、これぐらいの数字の基準を設定し ていると、これは御参考ということになります。  続きまして資料4でございますが、17ページでございます。これは食品衛生法の11条 第3項にございます、人の健康を損なう恐れのないことが明らかなものというものを、 どのように考えていかくという考え方の案をお示しをしようとしているものです。  通常、食品に含まれているような、食品を摂取することによって健康が損なわれてい ないもので指定していくことになるわけですけれども、例えばミネラルでありますと か、農薬、飼料添加物、動物用医薬品のような物質の中で、例えばミネラル類、ビタミ ン類、アミノ酸類、そのようなものについては、人の健康を損なう恐れがないことが明 らかなものというふうに考えられる。  あと農薬取締法で規定がある、天敵でありますとか、特定農薬のようなもの、こうい うようなものも同じように考えられる。  ただ、天敵に関しては、そこにありますけれども、農薬にみなされるわけですけれど も、食品に残留すると、ハチとかクモというは観点が違うでしょうから、これも該当し ないというふうに考えていってもいいんではないかということになります。  最後に資料5でございますが、これは19ページでございます。これは従来からも私ど もである程度こういう考え方に従ってやってきているわけですが、今回食品衛生法の改 正に当たって、対象物が単に食品と規定されております。1ページのところを見ていた だくとあれなんですが、Fというところでアンダーラインを付けてございますが、人の 検討を損なう恐れがない量として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞い て定める量を超えて残留する食品は販売、製造、輸入等々をしてはならないという規定 でございますので、これは当然のことながら加工食品も含まれるということになりま す。19ページの上の方の第1パラグラフに書いてございますが、そういうことでありま す。  ただ、同じ原材料でいろんな加工食品をつくっていくわけですけれども、加工の程度 でありますとか、臭って検出される農薬の量とか幅というのは大きく変動していく可能 性があると。したがいまして、これを運用していくというのは、かなり難しい問題であ ります。ですから、その取り扱いについて検討が必要であるということがございます。  現在、どのように規制をしているかというと、まず農薬に関していうと、基準を設定 しているものは、いわゆる農作物、小麦でございまして、残留基準は当然のことながら 調理、加工のような、かなり細かな情報が必要であることとか、加工食品ごとの分析法 が必要であるということで、技術的な理由から残留基準の設定は行われていません。  一方、抗生物質、今回ポジティブリスト制の対象になります動物用医薬品の一部でご ざいますが、抗生物質に関して申し上げると、抗生物質についてはあらゆる食品につい て含有してはならないということを規定した上で、更に成分規格において適合した原料 を用いて製造され、加工された食品について、その規制を除外していると。ちょっとそ ういう意味では基の原料が問題なければいいという考え方がここに示されているわけで す。これは既に告示をして規制をしているということになります。  化学合成品である抗菌性物質について、食鳥卵、魚介類についても同じような考え方 が示されております。  19ページ下は、その告示の条文をそのまま張り付けてあるものです。  20ページの真ん中にございますが、国際規格の状況ですが、コーデックスでは加工食 品に暫定規制値というものが設定されておりますが、これも一部限定的で食用の油であ りますとか、乾燥果物、乾燥野菜のようなものに残留の基準値、これは主に農薬ですけ れども、そういうものが設定をされているということになります。  したがいまして、私どもとしてこの加工食品についてポジティブリスト制に移行する 際に、どういう考え方でやっていこうかというものがその次の3でございますが、次の ページを見ていただいた方がいいと思いますが、まず原則として規格基準に適合した原 材料を用いて製造されたものは、流通を可能にしましょうと。ただし、コーデックスに あるように、食用の油であるとか、簡易な加工をしているものについては、個別の基準 を設定していきましょうと。  その運用については、まずその一律な基準を適用すると。ただ、超えた場合について は、それぞれの基準の設定、原料になっている農産物ごとの残留基準を基に判断をして いきましょうと。それが、21ページの横長の図であります。  例えば、右側の方から見ていくと、10%のリンゴ果汁からAという農薬が0.05ppm 見 つかったと、これは当然、例えば仮に一律の基準値が0.01の基準値を定めていたとする と。当然ポジティブリスト制の世界では一律の基準は超えている。リンゴの果汁につい ても、基準が設定されてないわけですから、当然そっちがはまってくるわけですが、そ のリンゴについてAという農薬が0.2ppmがあって、それと比較してみようと。この場 合、リンゴから10%果汁をつくっているわけですので、0.2ppmを10の1に希釈されてい るだろうという判断をして、判断目安とすれば0.02になるだろうと。これで検出値を比 較すると、0.02より超えているわけですからこれは違反と判断していく。  その次に、うどんについては、例えば小麦を65%使用しているもので、例えばBとい う農薬が0.5ppm検出されたと。当然うどんのこのB農薬の残留農薬基準が定めていない 場合、一律の基準値、例えば0.01ppm を超えているわけですので、これも違反かどうか というのは問われると。  小麦の場合、このB農薬が仮に1ppm という基準値が定められていたら、それからつ くった小麦粉300 g、塩、水でつくっていくわけで、小麦が65%であるとすると、0.65 までが許容されるでしょうと。したがって、今回検出された0.5 は合格と考えていけな いのかと。そういうような考え方を示していければと。これはかなり単純化したもので すので、もっと細かな加工品であれば、こんな絵のとおりいけるかどうかという問題が 当然出てくるわけですが、そういうような考え方で動いていってはどうかというふうに 考えております。  以上、非常に中身の濃いものを短時間に説明をいたしましたので、いろいろ御質問も あろうかと思いますが、最後に参考資料が付いてございますが、これは諸外国、先ほど 申し上げました5か国がどのように、これは農薬の規制をやっているかというところの 資料を簡単にまとめたものであります。  とりあえず、私どもの方から御説明をする部分は以上でございます。 ○豊田座長  ありがとうございました。今日は、今回の食品衛生法の一部改正に伴う、食品中に残 留する農薬等のポジティブリスト制導入につきまして、その施行に向けて具体的な内容 を御審議いただくということになっております。  ただいま、事務局の方よりまとめて資料の御説明をいただきました。これから質疑、 あるいは審議に入るわけでございますけれども、それにつきましては非常に多い資料で ございますので、資料ごとに順番に行っていきたいと思います。  初めに、一番最初の資料1というものが1ページから7ページまでございますけれど も、「食品衛生法等の一部を改正する法律について」というところでございますけれど も、これにつて何かございますでしょうか。  これはもう法律で決まっているということでございますので、今さら特にということ は多分ないと思いますが、もし全般的な考え方ということで何かあればということで、 ちょっと皆様に問いかけたわけでございますけれども、特にございませんでしょうか。  ないようですので、それではこのような特に3ページのところの下の部分、先ほど御 説明がございました、現行の規制から変えまして、ポジティブリスト制へ移行するとい うことで、このようなフローチャートに従いまして、基本的にこういったスタイルで 行っていくということにしたいと思いますけれども、その点については特によろしゅう ございましょうか。  それでは、このような考え方、全体的な流れに従いまして、実行していきたいという ふうに考えます。  それでは、次の資料2、ここから実際的にかなり具体的な話になりますので、皆様の いろいろな意見もあるかと思いますけれども、8ページから13ページまで「暫定的な基 準の設定について(案)」ということで、事務局の方で作成いただきました案につきま して、何か御質問、ほか御意見等がございますでしょうか。よろしくお願いいたしま す。  今のところまだないようでございますけれども、例えば8ページぐらいですけれど も、必要性ということで、これは現状とこれから将来行わなければいけない部分につい ての内容、農薬、これは主に対象の方について記載されてございます。これはよろしい ですね。 その次に9ページの方にまいりまして、ここでは暫定基準を設定するという ようなことになっております。その場合に、当然のことでございますけれども、最近で は国際的な基準、そういったものに準じるということが非常に大事でございますので、 国際基準であるコーデックス、あるいは従来ある農薬取締法、登録保留基準、あとJMPR の方でいろいろ御検討されておられますようなデータ。  あと最近では、その下に書いてございます、諸外国のいろいろな御意見というものも 考えて暫定基準を設定していこうというお考えであろうというふうに考えます。この部 分は特にございませんでしょうか。  特になければ、10ページ目のところでございますけれども、これからが実際の中身の 部分に入っていくということだと思います。実際的な作業ということでございますけれ ども、これは暫定基準の設定につきましては、このようなフロー、あるいはそういうよ うな考え方ということで行っていきたいという御希望が事務局の方から提案されておら れます。ここら辺について、何かございますでしょうか。  特にございませんでしょうか。どうぞ。 ○中垣基準課長  まず、10ページの下から2行目、「農薬等に該当するものであって、かつ、添加物で あるもの」というところでございますが、確かに農薬の中にも食品添加物と同じ成分が 使われておるというのがございます。ここで言おうとしているのは、そういうものでは ございませんで、ポストハーベストの抗菌剤みたいなものについては、食品添加物に該 当してしまいますから、食品添加物としての指定も必要となると。ただ、今回のこの暫 定基準の策定の中におきましては、その使用を認めることが食品添加物の使用を認める ことにつながるようなものというのは、作成の対象にする必要はないだろうというのが 1つの考えでございます。  もう一点、先生方、何もこの議論というのは今日が最後ではございませんで、今日が 皮切りでございますから、また作業を進行していく上で、その作業の進行の結果も見な がら御判断をいただければいいんだろうと思いますけれども、作業をする上でどうして もある程度の方針をかためざるを得ないことから本日御議論を願っているわけでござい ますが、その作業をするという上で申し上げますと、ここに外国基準というのがあるわ けでございます、すなわち申し出があった、アメリカ、EU、オーストラリア、ニュー ジーランド、カナダと、この外国基準をコーデックスもない、国内の基準もない場合に 外国基準を取るというのは、それでやむを得ない選択肢だとは考えておりますが、アメ リカが1だったと、EUが2だったと、これをどうするのかというのは、作業をする上 ではこれで作業をしてみろというような方向性でもないと、なかなか作業が前に進まな いということもあって、御意見賜れればと思っています。 ○豊田座長  今、事務局の方から補足的なお話がございましたけれども、最初の部分につきまして は、ちょっと教えてほしいんですけれども、諸外国ではポストハーベスト農薬、農薬の 方に分類されているということなんですけれども、それが日本だけなぜ添加物の方のま まにしておるのか、そこら辺のところは何か動かすということはないんでしょうか。 ○中垣基準課長  これは我が国の食品衛生法の添加物の定義が食品に充填して使用するものという形に なっておりまして、ポストハーベストで申し上げますと、小麦になった後防かび剤とし て使われるものでございますから、そういう意味で申し上げますと、添加物の定義に当 たってしまうというものでございまして、これをやめるためには食品衛生法をもう一回 改正して添加物の定義を改正するしかないわけでございますが、国会においてもそのよ うな議論というのは、少なくともそのような提案というのは受けておりません。 ○豊田座長  すみません。ありがとうございました。  それから、もう一つの方の、外国基準を使わなければいけない。国内登録がなくて、 コーデックス基準もなくて、外国の基準を参考にしなければいけない場合に、実際問題 として今、御紹介がありましたように、国ごとの、これは当然でございますけれども、 食習慣の違いということで、摂取の量も違いますし、いろいろなそういった影響により まして、基準値が相当異なっている場合もあり得るということですけれども、そういっ たことについて何か御意見ございますでしょうか。  どうぞ。 ○熊谷委員  まだ余りよくは飲み込んでないんですけれども、外国で異なる規準値というのは、恐 らく摂取値が非常にきいているんだろうというふうに想像するわけですけれども、日本 で暫定規準をつくる場合の摂取量を全く考慮しないでいくという考え方でしょうか。 ○豊田座長  それでは、事務局の方でお答えよろしくお願いいたします。 ○中垣基準課長  今までの経験から申し上げますと、国によって基準値が違う最大の原因は、食品とし ての摂取量というよりは、農薬としての使用方法が違うと。例えば、苗の段階だけで使 うのか、それとも大きくなって、レタスですともう葉っぱ巻き始めたころに使うのかと いうような、あるいは気候が違うことによって、農薬の使用量が違うというのが大半で ございます。  例えば、日本人は米をよく食べるから米がというような例というのも、勿論ないわけ ではないんだろうと思いますし、国際基準との間では確かに我が国にも幾つかあるわけ でございますが、大きく違うのは農薬の使用方法の違いによるものだろうと考えており ます。 また、今回この基準をどのようにしてつくるかということでございますが、摂 取量を勘案したところで、一方では毒性評価をやらないと、摂取量と毒性評価があって 始めてリスクが評価されていくんだろうと思いますが、それではこの毒性評価をやろう とすると、今までこの審議会でいろいろ御努力願ったわけですが、年に10、20やってい ただくのが本当に精一杯、勿論今のマンパワーを事務局も含めて10倍、20倍にできれば 一番いいのかもしれませんが、なかなかそうもまいらないということを考えますと、今 回のポジティブリスト制の導入というのが社会的に求められておると、あるいは国会で も政府提案ではございますけれども御了承いただいたという背景には、暫定的に基準を つくってでも早くポジティブリストを導入しろと、その後で基準値を精査していくとい うような方法を取るということを、厚生労働省としてもホームページでいろんな方々か らの御質問に対して答えておりますし、国会においても一応そのような方向性というの は御理解願ったんだろうというふうに考えておりまして、実務的に申し上げますと、ま ず信頼できると考えられる国々を参考に暫定的な基準をつくって、それをポジティブリ スト施行後により精緻なものとして見直していくというような方向性を是非取らせてい ただきたいと考えているところでございます。 ○豊田座長  ただいま御説明がございましたけれども、主に外国基準で違う理由としましては、使 用方法、あるいは使用量が相当異なるということでございます。  ほかに何か御質問、また考え方についても何かございますでしょうか。  どうぞ。 ○福島委員  そうすると、例えば外国の基準値を使う場合に、2つか3つに分かれた場合、それは 暫定的に高いといったらいいのか、厳しいといったらいいのか、どの値を取るのがよろ しいですか。 ○中垣基準課長  その方向性というのは、正直申し上げて2つの議論があるんだろうと思います。  単純なことを申し上げますと、農薬メーカーから申し上げますと、より数字の大きな 基準、それだけ農薬が売れるからなのかよくわかりませんが、恐らくいろんな方に聞い ても大きな基準というのを望まれるんだろうと思います。  一方、消費者サイドに立つと一番低い基準に、要するに5か国の中で一番低い基準に しろと、世界で一番厳しい基準ということになるんだろうと思います。ただ、一番厳し い基準にした場合に、諸外国からの貿易というのが当然ある一定の制約を受けるという のも勿論でございますし、世界で一番緩い基準にする必要もまたないんだろうと考えて おります。 ざっくばらんに申し上げますと、真ん中で1回作業をさせていただいて、 またその作業も見ながら先生方の御意見を聞くというのが現実的な解決策かなと考えて おりますが、いやいやそれではけしからぬということでもございますれば、是非教えて いただければと思っております。 ○豊田座長  ありがとうございました。そのほかに何かございますか、どうぞ。 ○山本委員  やはり外国で基準があって日本に基準がない場合にどう判断するかというのは、マネ ージメントの問題だと思います。今、事務局の方からおっしゃったような、半分でとり あえずやってみるというのは、非常に妥当な線かとも思うんですが、今後やはり安全委 員会とかそういうところでリスクの評価をきちっとやって、更に詰めていくという作業 は当然していくべきだと考えておりますので、その辺は順次進めていただきたいと思っ ております。  意見としてはそうなんですが、もう一つ一律基準値の話も、まだですか。 ○中垣基準課長  山本委員の御意見、すなわちリスク評価を順次やっていくべきだというのは、食品安 全基本法にも書かれておりますしと、我々としてもそのような方向だろうと思っており ます。  それが11ページにございますけれども、暫定基準というのは、何で暫定と言っている かと申し上げますと、将来的により精緻なものとしていくと、そのときに何から手を付 けていくのかと、対象となる農薬が、先ほど図で見ていただきますとおわかりのよう に、400 とか500 とかいう農薬になってまいる可能性があるわけでございます。今まで 年間20ぐらいしかできていないということを考えますと、20年かかるわけでございま す。ですから、そこはプライオリティーを当然のことながら付すのだろうと、どうやっ てプライオリティーを付すかと申し上げますと、その暴露の健康影響というのが懸念さ れるものからということで、そういう意味ではマーケットバスケット調査をやってみ て、それで御判断を仰ぎつつ、そのプライオリティーを付けていくという方向性を考え たらどうかと思っているところでございます。 ○豊田座長  今、事務局の方からその部分につきましてお話がございました。ほかに何かございま すでしょうか。  どうぞ。 ○福島委員  細かなことをお聞きするんですが、この申し出があった国というのは、例えばここの 辺りにはイギリスが入ってないとか、中国が入ってないというのは、基準値の有無と関 係があるのですか。 ○事務局  まず、先生がおっしゃられた例でございますが、1つは協力をいただくような申し出 をお願いしますということで、在京にあります大使館の方々にお願いを申し上げたわけ です。実際にいろんな資料の提供等をお願いしなければならないので、まずそういうよ うなことで申し出があったか、なかったかと、それがまず一番大きな点になります。  したがいまして、その基準があるから、ないからということで申し出のある、ないとい うふうにやったものではないです。  更にイギリスに関して申し上げると、個別のイギリスとしての国の基準というのはお 持ちでしょうしあれなんですが、まずお申し出がなかったというのが1つですけれど も、EUに関しては若干個別の国が申し出をいただいたんですけれども、これについて は御承知のようにEUは域内でデイレクティブによってMRLを設定していますので、 今後そういうものにそろっていくだろうということで、欧州委員会なんかともお話をし て、そちらをまとめて判断していこうということになります。 ○豊田座長  菅野委員、どうぞ。 ○菅野委員  毒性評価をやる前に、とりあえず全くないところに線を引くということで、この方法 自体は非常にいいんだと思うんですが、今までの国の問題をお話を聞き出すと、例のWTO とか、流通を妨げないというキーワードを入れておられる場合の、WTOとかからの圧力 に対して、ここはどのような態度で実質的には事が行われるのかというところを伺いた いと思うんですが。 ○豊田座長  ただいまの御質問に対して、事務局からどうぞ。 ○中垣基準課長  まず、WTOというのがございます。その中にはSPS協定という協定がございまして、 そこに書かれておりますのは、国際基準を基本としろ、国際基準よりも厳しい基準を取 るというのは、科学的知見がある場合に限れというような規定があるわけでございま す。今回、そういうことから申し上げますと、科学的知見があるわけではございません から、まず9ページの2の(1)をごらんいただきますと、Aとして国際基準であるコ ーデックス基準、これを持ってこようと言っておるわけでございまして、まずここでS PS協定をクリヤーしていると。  2番目には、国際基準以外の場合にも科学的に合理的なものでなければいけないとい う一般抽象規定があるわけでございます。その科学的、合理的なものというのを、どの ように解釈するかということでございますけれども、今回はC、すなわちJMPRという国 際的な組織でやられているような基本的な原則にのっとって策定された基準、そういう 基準であれば参考としましょうと、すなわち無視することはしませんと。  先ほど中国のお話が福島委員からあったわけでございまして、そういった個別名を挙 げて論ずるのがいいかどうかわかりませんが、基準をただ決めている国というのはたく さんあるんだろうと思いますけれども、その基準が、こんなことを言ってはいけません が、余り科学的な根拠がなくてぽっぽっとつくられたものであると、やはりそれはそれ を参考とすること自体が科学的じゃないんだろうということがございまして、今回はC に挙げた条件、すなわちJMPRでやっているような手法を用いて基準がつくられている 国、ここが申し出してくださいと。申し出の条件はそれですということで進めてきてお るところでございます。 ○豊田座長  ありがとうございました。  どうぞ、お願いいたします。 ○鈴木委員  全く素人でわからないんですが、例えばコーデックスという規準とか、あるいは今の 国際的な規準の中で、いろんな農薬の毒性に対してある程度の結果をいろいろ学者の先 生方が討議なさって、今後もいろいろ進められていくということが想定されるわけです ね。  そのときに、先ほどお話の中で、農薬というものの扱い方、あるいは土地の気候条件 等によって違うということを含めると、いわゆる食品に残留する農薬の違いみたいなも のが当然出てくる。といったようなことについて、日本の中におけるいわゆる当然農作 物というものを考えたときに、たくさん何百とある農薬の中で、そういうことを評価し なければならないリスクの最も高いのはどういうところなのかといったような、そうい う研究のようなものはあるんでしょうか。  そういったようなものを今後評価するときに、実際に食品に残っている部分のもの を、何種類かの農薬のトータルでもって評価するということと、もう一つはそれが土壌 なり水なりに影響するような、そういう条件も含めて検討するといったようなことがな されるんでしょうか。 ○豊田座長  ただいまの御質問がございましたけれども、事務局の方でお願いします。 ○中垣基準課長  回答が的外れでございましたら、また御指摘いただければ幸いでございますが、現在 基準をつくっている229 農薬で約九千の基準がございます。このうち、国際基準がござ いますのが、8ページをごらんいただきますとおわかりのとおり、54農薬と28農薬です から、82農薬でございます。この82農薬でちょっと記憶が定かではございませんが、 1,000 〜2,000 ぐらいの基準がございます。これを国際基準との間で解析いたします と、6割程度が国際基準と同じ値、2割が日本の方が数字が大きい、2割が国際基準の 方が数字が大きいというような、大体の傾向でございます。  と申しますのも、農林水産省からもいろんなお知恵、知識を借りているんですが、我 が国の場合にはビニールハウスでつくられるケースというのがかなり多くて、そういう ところで使われる農薬というのは、残留量もある程度多い。  一方では、この部会でも御審議願ったADIに余裕があるのであれば、何もそういう ことを否定する必要もないというようなことから、そういうケースがあると。  また一方では、国際基準よりも厳しい基準を採用しなければ、あるいは採用できた ケースもあるわけでございまして、先ほどちょっと議論がありましたミカンであります と、ミカンの接収量がかなり日本は多いということでございまして、そういう例もある というのが大体でございます。  また、もう一つ複数農薬の話があったと思いますが、複数農薬につきましては、幾つ かの実験、例えば20農薬混ぜたらどういう影響が出るのか。あるいは、40農薬混ぜたら どういう影響が出るのかというのを、前の食品衛生調査会時代の会長もなさっていた伊 東先生を中心に、幾つかの研究がございますが、ADIレベルであれば複合的な影響、 相乗的な効果というのは考えなくてもいいんじゃないかというような実験結果でござい ます。  更に、水あるいは土壌への影響という御指摘もございましたし、農薬取締法におきま す農薬の使用を認める段階におきましては、土壌への影響、水への影響というのを考え て規制がされております。  我々といたしましては、そこの規制をくぐり抜けてきたもの、これから食品に残留す るわけでございますから、そういう意味では1回そういう土壌、水への影響というのを パスしたものに対する、健康への影響というのを考えておるということになろうかと 思っております。 ○豊田座長  ありがとうございました。よろしゅうございますか。  実際問題として、もうちょっとほかにも後ろの方にテーマがございますので、もしよ ろしければこの10ページにございます、先ほどのフローがございましたけれども、こう いった考え方で、要するに振り分けていくという方式で事務局の方で作業したいという お考えがございますけれども、こういった方法で暫定基準を策定するということで、よ ろしゅうございますでしょうか。  特に御異議がなければ、そうさせていただきたいと思います。どうもありがとうござ いました。  それでは、次の資料3のところ、14ページから16ページのところ、一律基準値の設定 案ということにつきまして、御質問・御意見等がございましたら、よろしくお願いいた します。  三森委員、お願いいたします。 ○三森委員  この一律基準値の設定なんですが、ADIの不明な未知の物質ということを対象にし ているわけですが、どこまで毒性があるかどうかもわからないものに対して、一律の規 準値をつくるということに対して、ちょっとわからないところがあるんです。これは事 務局に聞いた方がいいと思うんですが、通常であれば毒性試験、すなわち遺伝子障害性 があるかないかとか、その辺のことについてはある程度のデータがないと規準値という のは出てこないと思うんですけれども、今回のこれについてはどういう規準から、とに かく安全性、ADIの設定がないというもの、そんなものが大体あるんでしょうか。世 界で売られているかどうかということですね。そこからお聞きしたい。  それと毒性評価が本当になくてよろしいんでしょうかという、その2点を事務局にお 伺いしたいんですが。 ○中垣基準課長  資料3の「1.はじめに」のところで1点訂正をまずお願いをしたいと思います。 「1.はじめに」の2行目、「一律基準値が適用されるのは、国内外で使用されていな い農薬等」と書いてあるわけですが、国内外で使用されている農薬に適用するものがあ るわけがないわけでございまして、これは全くの間違いでございまして、基準が設定さ れていない農薬であるということでございます。  次に、三森先生の今の御質問にお答えしていくわけでございますが、先ほどごらんい ただきました8ページの図でごらんいただきますと、国際的に食用農作部に使用が認め られている農薬数約七百と書いてあります。この700 という数字はどうして出したかと いうと、アメリカ、ヨーロッパの主な国々、ここで承認、認められている農薬の数が、 大体延べにすると700 であると。では、世界で幾つ農薬が使われておるかというのは、 だれも知りません。統計がない。特に途上国になればなるほど、もうわからない。  アメリカの農薬の会社のある方に聞くと、900 〜1,000 じゃないかというふうな大ざ っぱな数字を言われますし、ある学会の方に聞くと、1,000 〜1,200 の間じゃないかと いう話があるわけでございます。そこを規制するのが今回のポジティブリストの一番の 特徴でございます。  では、規制の仕方としてどうするのかというのが、次の問題となってまいるわけでご ざいます。今、国際的というか、主な国々では評価されていない農薬が、例えばリンゴ に入っていたときに、pptレベルでも、あるいはもっと下でも今はもうはかれていく と、測定できるような現状となっているわけでございます。それをすべて違反とするの かというのがあるわけでございます。  また、この一律基準値というのはもう一つ目的が実はございまして、資料の4ページ をごらんいただきますと、この斜線部分というのが一律基準値が適用されるものでござ いますが、今、三森委員から御指摘いただいた典型的な例で申し上げているのは、農薬 のFというものでございます、すなわち国際的にはどこにもデータも何もないと。けれ ども食品からみつかったと、これが農薬Fの例でございます。  もう一つは、Aはみんな基準があるという前提でございますから、B〜Eの中で基準 が設定されてない農作物の問題があるわけでございます。このとき考えなければいけな いのは、ホウレン草にまこうと思ったら横に植えていたレタスにも影響してしまったと いうようなことも当然考えられるわけでございます。  そういうようなケースの場合に、先ほど申し上げました検出できる、例えばいろんな 手法を使って、ごく微量まで検出できるという時代の中で、どういう規制をするかとい うことで考えますと、諸外国の例を見てもある一定の数字を考えておるようでございま すので、我が国としてもそのような方向性が取れないだろうかと考えているところでご ざいます。 以上です。 ○豊田座長  三森委員、お願いします。 ○三森委員  今の4ページの、農薬A〜Eに関して、一律規準値を適用するというものは、既に安 全性評価がされているものがありますので、それから1日摂取量を換算していけば、一 律規準値を設定してもいいと思います。一方、農薬Fについては、ほとんどの安全性の 担保がされてないわけですね。 今までの農薬や残留動物薬では、遺伝毒性物質のよう に、閾値がないものについてはADIは設定しないという形で規制されてきているわけ ですね。農薬Fが域値があるようなものであれば、今の一律規準値を設けるということ に関して問題はないと思うんですが、安全性のデータがなく、閾値があるかどうかわか らないようなものに対して、一律規準値を設けてよろしいのでしょうか。 ○中垣基準課長  まず、データがあればデータに基づくというのは、先生のおっしゃるとおりだろうと 思います。域値が設定できないような、例えばある種のジェノトキシックなカルシノゲ ンであるということがわかれば、それを測定方法を決めて不検出という形で、A〜Eの 中に入っいくわけでございます。  それがわからないものをどうするのかということでございます。確かに、今、域値が ある、ないということを、食品の基準設定の基本にしてきておるわけでございますが、 このようなポジティブリストで制度を導入するために、そういう意味ではデータがもの すべてをひとくくりということで考えますと、少し違う概念を持ってくる必要があるん だろと思っております。  例えば、ここにJECFAにおける香料の評価と、アメリカの間接添加物の評価の例 を挙げておるわけでございますが、これは三森先生がよく御存じの、100 万分の1の障 害リスクを考えて、ジェノトキシックな発がん物質も含めてこれぐらいであればという ような線が出されたものでございます。  100 万分の1の障害リスクと申し上げますと、交通事故の障害リスクが10のマイナス 3乗ですから、1,000 分の1ぐらいのレベル。自然災害が10の4乗ですから、1万分の 1ぐらいのリスク、100 万分の1のリスクというのは雷に当たって死ぬリスクと同じぐ らいのリスクだと言われておるわけでございますが、それぐらいのリスクであれば、ア メリカの言葉で申し上げますと、ネグリジブルだと、無視できるぐらいのリスクだとい うことから、この1.5μg という数字が出ておるわけでございまして、このような数字 も横目に見ながら議論していただくのが現実的なのかなというふうに考えている次第で ございます。 ○豊田座長  三森委員、お願いします。 ○三森委員  基準課長からの今のお話は、私にはよく理解できますが、今までの薬事・食品衛生審 議会において、食品に含まれる化学物質についてVSDを用いた評価はされてないと思 うんです。ですから、課長がおっしゃるような形でいくのも1つの方法だと思うんで す。現にアメリカ政府はそういう形で、100 万分の1の安全量という形でVSDを使っ ているわけです。しかし、VSDをこれから日本政府においても使うのか否かについて ディスカッションはないと思うんです。それも含めた上でこの一律規準値を求めるよう な考え方の導入が必要です。今までの規制法でいくとちょっと話が難しいという感じが いたします。 ○豊田座長  事務局いかがでしょうか。 ○中垣基準課長  まさしく三森委員の御指摘どおりだろうと思います。今までのやり方というのは、安 全性評価をしないものについては、規制をしないというやり方でございますから、そう いう意味では全く今までと世界が違うものでございます。また、私が申し上げているの は、基準をつくるときの考え方を変えようというものではございません。すなわち安全 性データがない、しかしながらポジティブリストで規制をするというときに、どのよう な考え方を適用しようかというところでございますから、あくまでそこに限定をしてお るわけでございますし、またポジティブリストにする、その範囲、この一律基準値を非 常に微量、pptレベルまで規制をするというのも、規制としては非常に大きなコスト になりますし、余り実務的でもないんだろうということから、今、三森委員がおっしゃ ったようなVSDと申しますか、100 万分の1の障害リスクと申しますか、そういうふ うな観点というのも参考になるのではないかということを申し上げたかったわけでござ います。 ○豊田座長  ありがとうございました。この部分につきましては、まだディスカッションしなけれ ばいけない。まだ発言のない方で意見のある方も随分あると思うので、これを続けてい ると時間がなくなりますので、申し訳ないんですけれども、実際的に作業に入っていく ときに、またディスカッションしていきたいと考えております。それでよろしいでしょ うか。  それでは、次のところに移りまして、資料4、17ページから23ページでございます。 「『人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるもの』(案)について」という ことでございます。これにつきまして、何か御意見ございますでしょうか。  どうぞ。 ○菅野委員  資料1の1ページの条文を読むと、人の健康を損なうおそれのないことが明らかであ るものとして、厚生労働大臣が認める物質と、この法律の中に入っている用語として読 む分には、それほど違和感はないんですが、この項目が人の健康を損なうおそれがない ことが明らかであるものリストとして一人立ちした場合になった途端に、毒性額的には それは情報としては間違っているわけですね。そこの一人歩きさせないところをどう担 保させるのかを伺いたいんですけれども。 ○中垣基準課長  表題を変えさせていただきます。1500年、パラケススの時代から、量と毒性の関係と いうのが、まさしく菅野先生おっしゃったとおりだろうと思いますし、そういった基本 を忘れた書き方になってしまって申し訳ございません。表題を条文どおりにいたしま す。 ○豊田座長  では、そういうふうに直すということで、御了解いただきたいと思います。 ほかに ございますでしょうか。  あとこの資料4の17ページのところで、Aの方はわかるんですけれども、Bの方のとこ ろが余り私の知識不足でございまして、こういった天敵、あるいは特定農薬のリストと いうのも余り見たことがないので、もしよろしければこの次のときそういったものも付 け加えてお願いしたいと思います。  ほかに何かございますでしょう。特になければ、次の資料5でございますけれども、 これは今後の考え方ということだけのことでございますけれども、時間も大分過ぎてお りますで、もし何かございましたら少々意見をいただくということで、もしなければこ れはまたおいおい十分にディスカッションしなければいけない項目でございますので、 次回以降に検討したいと思いますけれども。  特にございませんか。そうしたらそのようにさせていただきたいと思います。  それでは、時間もございますので、本日の審議はこれで終わりにしたいと思います。 本日の合同部会でいろいろいただきました御意見などを踏まえまして、引き続き事務局 で御検討をお願いしたいと思います。  また、次回の合同部会におきましては、今回いろいろ皆様から出された審議を踏まえ まして、事務局で暫定の基準案を作成いただきまして、それをお諮りするようにしたい と思います。  このような今後の審議の方法につきまして、何か御意見ございますでしょうか。  特にございませんようでしたら、今、私がお話しましたような線に沿って、事務局の 方で大分いろいろ作業をなさっておられるようなので、実際的なものを次回辺りに見ま して、具体的な議論の方に移っていきたいと考えております。  そのほか事務局の方で何かございますでしょうか。 ○中垣基準課長  本日、午前に開催されました、食品衛生分科会におきまして、7月1日の食品安全委 員会の発足に伴います、食品衛生分科会の内部の部会の再構成について討議されまし て、その結論が得られましたので御報告させていただきたいと思います。  今お手元にお配りした1枚紙でございますけれども、従来食品衛生分科会の中でリス ク評価を主としてきた毒性部会、バイオテクノロジー部会、ダイオキシン部会、この3 部会は廃止し、更に各部会の下でリスク評価を担ってきた調査会も廃止をするというこ とでございます。  更に、今回御議論願っておりますような、ポジティブリスト制の導入に備えまして、 これまで乳肉水産食品部会で行ってきた、動物用医薬品の審議と、残留農薬の農薬の審 議を合わせるために、農薬・動物用医薬品部会というのを新たにつくるという形になっ ておりますので、御紹介させていただきたいと存じます。 ○事務局  それと、今後の審議の予定でございますが、先ほど座長におまとめいただきました方 向に従いまして、事務局の方で作業をさせていただきたいと思います。  次回、こういうふうに組織が変わりますけれども、この合同部会の御審議を引き続き いただく内容については、7月下旬に開催する方向で、今後関係の先生方に調整をさせ ていただきたいと思います。  よろしくお願いいたします。 ○豊田座長  ほかにございませんでしょうか。  それでは、以上をもちまして、本日の合同会合を終了いたします。皆様、暑い中御協 力ありがとうございました。                                       了                      担当:厚生労働省医薬食品局食品安全部                         基準審査課                           井上、浦上                         TEL:03-5253-1111                         内線:2487,2489