03/06/11 薬事・食品衛生審議会医療材料部会 平成15年6月11日議事録          薬事・食品衛生審議会 医療材料部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年6月11日(水) 15:30〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(14名)   北 畠   顕、 北 村 惣一郎、 倉  田   毅、 櫻 井 秀 也、   勝 呂   徹、 武 谷 雄 二、 田 野 保 雄、◎土 屋 利 江、   橋 本 信 夫、 橋 本 久 邦、○長谷川 紘 司、 松 田 武 久、   松 村 英 雄、 山 口 照 英 (注) ◎部会長 ○部会長代理   他 参考人2名   欠席委員(3名) 小  田   豊、 川 田 志 朗、 新 田 澄 郎 3.行政機関出席者   安 倍 道 治(審査管理課長)、 北 條 泰 輔(医療機器審査管理官)、    豊  島   聰(医薬品医療機器審査センター長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○医療機器審査管理官 これから医療材料部会を開催させていただきたいと思います。 改めまして、本日医療材料部会の委員数17名のうち14名の御出席をいただいておりま すので、本部会は定足数に達しています。  それでは会議に入る前に、委員の変更がございましたので、改めて御紹介させていた だきます。日本医師会常任理事の菅谷忍先生に替わりまして、6月4日付けで日本医師 会常任理事の櫻井秀也先生が当部会の委員に御就任されました。  それでは以降の進行を土屋先生にお願いいたします。 ○土屋部会長 では審議に入る前に、資料の確認と資料作成に関与された委員の報告を 行ってください。 ○医療機器審査管理官 □□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、 □□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 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審査においては、医薬品医療機器審査センター第四部での審査に当たり、御覧の池田委 員、佐藤委員、茅野委員、野々木委員の4名の専門委員の御意見を頂きました。また、 本品は旧医療用具第三調査会においても審議されています。  本品は、血管造影術やPTCA施行後における大腿動脈穿刺部の止血に用いる生体吸 収性の医療用具です。従来の用手圧迫法に比べて、止血時間の短縮、患者の歩行開始時 間の短縮ができ、患者、医師等の負担を軽減することを期待して、米国のKensey Nash 社により開発されました。  このスライドには本品の外観写真をお示ししております。また、サンプルをお回しし ておりますので御覧ください。キャリアーチューブの先端に、アンカーとコラーゲンプ ラグが付いております。このスライドは、アンカーとコラーゲンプラグの拡大写真を示 しております。アンカーの原材料は、生体吸収性のポリ乳酸・ポリグリコール酸共重合 体です。装着操作時にアンカーが破損することを防ぐために改良が重ねられており、力 のかかるアンカーの□□□が□□□□になっております。また、□□□□□□□□□□ □□□□、□□□□□□□が付けられております。  スライド左側には、本品の止血に関与する主要な部分の模式図を示しております。こ れらはいずれも生体内吸収性のものです。スライド右側には、体内に留置された状態を 示しております。スライドの上側が皮膚、下が大腿動脈です。本品はキャリアーを用い て穿刺部の血管壁を外側からはコラーゲン、内側からはアンカーで挟むことで止血いた します。  装着のビデオを御覧いただきたいと思います。今アンカーが出ているところです。チ ューブを抜いた後は、緑色のタンパーチューブでコラーゲンを上から突き固めて、この ように血管壁を挟んでサンドイッチするというデバイスでございます。なお、今のビデ オは申請者が作成したものでございます。  本品は欧米において既に承認されておりますが、外国で市販後に発現した不具合症例 の主なものは血管閉塞、再出血、血腫、偽動脈瘤、感染等です。本品の使用と関連する と思われる死亡例は発現しておりません。  本品は御覧のとおりの規格試験が設定されており、すべての試験に適合することを確 認しております。  本品のコラーゲンは米国産の健康なウシ皮膚由来であり、BSE対策については通知 に従って対応されています。またウイルス不活化については、製造工程中の□□□□□ □□についてウイルスバリデーションが実施され、その他にもウイルス不活化に関与す ると考えられる製造工程が含まれており、更に最終製品に対して□□□□が行われるこ とから、ウイルス不活化については了承いたしております。  生物学的安全性についてはコラーゲン、アンカー、プラスチック材料について、御覧 の試験が実施されております。調査会での審議において、コラーゲン及びアンカーの原 材料であるポリ乳酸、ポリグリコール酸によるアレルギーについて説明を求めたところ、 申請者から2002年9月までの市販後情報において、本品との関連が否定できないアレル ギー関連の有害事象の発生は非常に少ないこと、また注意喚起のためにコラーゲン、ポ リ乳酸、ポリグリコール酸等に対して過敏症の既往歴のある患者を禁忌とすることを、 使用上の注意に記載するとの回答を得ました。審査センターでは専門協議での議論を踏 まえ、本品の生物学的安全性について了承しました。  本品の性能に関しましては調査会の指摘により、イヌ及びブタの腹部大動脈に本品を 留置して、有効性及び安全性を検討した四つの試験が実施されました。その結果、アン カーの細片による血管の塞栓形成は確認されませんでした。また、生体内での挙動につ いて経時的な観察を行い、生体内ではアンカーは血管内壁にて被膜形成後に内皮化され、 その後加水分解を受け同化されると推察されております。  本品の臨床試験としては、本邦の4施設で行われた試験成績が提出されました。本試 験は用手圧迫群を対象群とした非盲検での無作為化比較試験であり、症状数は1群当た り120例でした。観察期間、有効性の指標は御覧のとおりです。有効性につきましては 止血時間で比較した結果、本品群は用手圧迫群に比べて統計学的に有意に止血時間が短 いという結果が得られています。なお、本品を使用する前に使用されていた処置用シー ス径別で比較しても、本品群はシース径に関係なく用手圧迫群に比べて止血時間は短い という結果でした。  臨床試験で見られた不具合症例です。本品群において発現率がやや高い傾向があるも のの、統計学的に有意な差は見られておりません。なお、本品群に死亡例が1例ありま したが、死因は原疾患である心筋梗塞と考えられ、本品との因果関係はなしと判断され ております。  このスライドには、参考資料として提出された米国の臨床試験成績の概略を示しまし た。止血時間については本邦での臨床試験成績と同様に、本品群は用手圧迫群に比べて 有意に短いという結果でした。重篤な不具合として、本品群において低血圧と感染症が 1例ずつ見られました。低血圧は本品との因果関係はないと判断されていますが、感染 症は本品の取扱いに問題があり、包装に穴が開き汚染された用具を使用したためと考え られております。死亡例については本品群に2例、用手圧迫群に1例ありましたが、本 品との因果関係はなしと判断されております。  調査会での審議では、アンカーが血管内に抜け落ちる等の予測されるリスクとベネフ ィットについて、申請者に説明を求めております。申請者からは、アンカーは装着後に 血管壁に固着し、内皮化後に加水分解を受けることから、アンカーが破損するか又はア ンカーを保持する縫合糸が切れない限り、血管内に抜け落ちることは考えにくい。アン カーが破損しても破片が血中に流れてしまうことがないように、□□□□□□□□□□ □□□□で補強されている。米国の市販後の情報では、アンカーの破損による傷害例は 報告されていない。有益性において止血に要する時間が短くなるなど、患者や医師の負 担が軽減できると回答しております。  審査センターは、術者の習熟を図るために本邦でのトレーニングプログラムを作成す るように指摘したところ、申請者からトレーニングプログラムを作成し、本品を使用す る前に研修を受けることとし、使用上の注意の「警告」欄に研修を受けた医師のみが本 品を使用できることを記載すると回答しました。  以上の審査を踏まえ、使用上の注意の記載整備が行われております。このスライドに は、「警告」欄に記載した主な項目を示しています。このスライドには「禁忌」及び「重 要な基本的注意」の項に記載されている主な項目をお示ししています。  審査センターでは、臨床試験成績について申請者の回答、使用上の注意の整備内容も 含め、専門協議での議論の結果これを了承しました。審査センターでは、提出された申 請内容について以上のとおり審査した結果、御覧のような使用目的にて承認して差し支 えないと判断いたしました。また、再審査に関しては3年間とすることが適当と考えて おります。  それでは次に、事前に幾つかの御意見を頂いておりますので、審査センターの方から 御説明、御回答申し上げます。勝呂委員から、アンギオシール部に血腫形成率が高いこ と、北畠委員から、アンギオシールの臨床試験での不具合、有害事象の出現数は有意差 はないものの用手圧迫群に比べ高いが、本品は用手圧迫群に比較して止血までの患者及 び医療関係者の時間的負担を軽減するための用具であり、止血をより確実にする用具と の誤った認識を避けるために、添付文書の「警告」欄にこの点を記載することとの御意 見を頂きました。審査センターでは御指摘のとおり、日本の臨床試験において用手圧迫 群に比べて再出血や血腫の発現率は高い傾向にあったこと、また米国のフェーズII試験 では再出血発現率が本品群で有意に高かったことから、使用上の注意の「警告」欄の項 において、「本品は止血に際して時間的負担を軽減するが、臨床試験において本品群の 再出血や血腫の発現率は、用手圧迫群に比べて高い傾向があることから、止血を確実に するための用具でないことを十分に認識した上で使用すること」と記載するように、申 請者に指示したいと思います。  次に勝呂委員より、アンギオシール使用後止血ができなかった場合、用手圧迫により 止血をしたときにプラグ、アンカー等が飛び出て塞栓を生じる可能性はないかとの御意 見を頂きました。これに対しまして申請者より、アンカーやコラーゲンが血管内に流入 した事例はないとの回答ですけれども、アンカーやコラーゲンが血管内に流入して血管 の塞栓を引き起こすことは否定できないことから、そのような場合の処置を添付文書に 記載していくとの回答を得ております。  橋本久邦委員からは、米国などでは血管造影術、PTCA後の穿刺部位の止血におい て、本品はどの程度の割合で使用されているのか、治験において遅発性出血や血腫が多 く見られているが、遅発性とはどの時間経過なのか、またこれらの処置として、用具圧 迫が必要な例はどの程度だったのかとの御意見を頂きました。最初の御指摘については 申請者から、米国における2002年1月〜2002年12月までの1年間の本品の出荷数量は □□□個で、米国における止血デバイスの使用例の約□□%を本品が占めていると報告 されています。二つ目の御指摘に対しましては、本品での臨床試験において再出血を発 生した症例数はアンギオシール群9例、用手圧迫群4例でした。アンギオシール群9例 では、いずれも止血終了後の1〜5時間、平均2.7時間以内でした。また、アンギオシ ール群の再出血が見られた9例において、用手圧迫により止血したのは7例、圧迫包帯 により止血したのは用手圧迫後の1例と別の1例、及び針で縫合した1例の計3例でし た。用手圧迫群で出血が見られた4例のうち、2例は止血終了後の1時間以内、もう1 例は7.5時間、もう1例は12時間経過後に出血が見られたということでした。以上でご ざいます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○土屋部会長 では、次に茅野先生からコメントを頂けますでしょうか。 ○茅野専門委員 先生方御存じのように、血管の中にカテーテルを入れてそれを抜いた 後は穴があるわけですから、それを止めないと患者さんは帰れないわけです。今までは 手で押さえているとそこに血のりが付いて、一時的に血が止まるということだったので すが、今御説明があったようにいろいろな器具が出てきました。我々が使っているもの は、例えばゲルのようなもので栓をしてしまうとか、あるいは縫ってしまう、「Perclose」 と言うのですけれども、そういう2種類が出てきまして、これは3種類目のものです。 我々から見ても、特に今までの2種類のものと比べてこれが駄目だというところはなく、 理屈的には非常に優れていると思いますので、御審議いただきたいと思っております。 ○土屋部会長 ただいまの事務局と茅野先生の御説明に対しましてコメント、御質問等 はございませんでしょうか。どうぞ、北村委員。 ○北村委員 「VasoSeal」という先行のものがあるのです。中側から入れるから、理屈 の上ではあれよりもこちらの方が良いような気もしますけれども、こういう薬事承認に は必要ないかもしれませんが、比較をされたことはあるのですか。つまり、もう既に VasoSealは薬事で承認されているわけですよね。それとこちらの用手圧迫という昔から のやり方と比べての比較はされているけれども、現品としてあるものの類似品といいま すか、先行類似品との比較は薬事法上は無意味なのですか。 ○土屋部会長 よろしくお願いします。 ○事務局 その点につきまして審査センター、調査会等からも申請者に回答を求めてお りまして、概要の237ページ以降にも記載されています。これは外国でも比較試験は実 施されていませんが、論文が幾つか出ておりまして、直接比較ではございませんけれど も、論文上での有効性、安全性の比較ということでまとめられております。本アンギオ シールはVasoSealに比べて止血時間は少し短い傾向にあるということと、有害事象の発 生頻度はほぼ同じ程度であるという申請者の回答を得ております。 ○北村委員 茅野先生、これは一応そのときはうまく止まっているわけですね。それで 後は包帯の玉を押さえてばんそうこうで巻くという処置は一切なしで、すぐに歩行させ たりした後の再出血率ですか。この再出血率7.7%というのはどういう状態でのもので すか。つまり再出血が一番怖いわけですよね。監視がなくなったときに出てくると。 ○茅野専門委員 一応この処置をして1分で血は止まってくるわけですが、その後安静 時間をとっていて、安静時間が終わった後、歩いていいということになっているはずで す。その安静時間の解除、歩いていいという時間のことですが、例えば手で押さえた場 合は10時間、しかしこの方法を使うと平均5時間、それぐらいに止血時間だけでなくて 歩行開始までの時間も有意に短くなっているという報告です。 ○北村委員 そのようなデータは全然出てきていないですね。 ○茅野専門委員 スライドには出ていないのですけれども、一番最初の方に書いて…。 ○事務局 資料概要にまとめられておりまして、219ページでございます。先ほど御紹 介させていただいたように、アンギオシール群で再出血の見られた症例は9例あります が、それらの平均の出血時間が2.7時間、1〜5時間後までの間に9例が起きておりま して、アンギオシール群の絶対安静解除、歩行開始までの平均が約5時間でございます ので、むしろ歩行開始の時期までに再出血が起こってきているということではないかと 思います。用手圧迫群については絶対安静解除まで、及び歩行開始までそれらの約倍の 時間が掛かっているということでございます。 ○北村委員 分かりました。ありがとうございます。それからもう一つ、コラーゲンの バイラスのバリデーションの過程で□□□□□□とか□□などをされて、生物あるいは 核酸は分解されているという方法ですけれども、この方法は実際バイラスをPCRか何 かで探すのですか。実際バイラスバリデーションという方法と、どういうもののバイラ スのフラグメントを探すのか。実はほかのヘパリンなどでもなかなか承認の下りないも のがたくさんありまして、今バイラスバリデーションをするということが必要なのでし ょうね。 ○土屋部会長 その点、山口委員が専門ですので…。 ○山口委員 少し前に事務局の方にコメントさせてもらったのですけれども、このバイ ラスバリデーションは4種類のウイルスを使って、一般的にはRNAウイルス、DNA ウイルス、エンベロープの有無、それからウイルスの大きさなどで分けてモデルウイル スを選ぶわけですけれども、そのモデルウイルスを幾つか組み合わせまして、そのバイ ラスの…。 ○北村委員 具体的には何のウイルスですか。 ○山口委員 使っているのは□□□とか…。 ○事務局 資料概要の95ページの表-2に、ウイルスバリデーションについてのデータ がありまして、ウイルス名が載っております。4種類のウイルスとは、「□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□」、「□□□□□□□□□□□□□□□□□□」、「□□ □□□□□□□□□□□□□、「□□□□□□□□□□□□□□□」でございます。 ○北村委員 これで10−6以下のフラグメントであればOKという…。ウイルスのカウ ントはどうしてやっているのですか。 ○山口委員 これはすべてPCRとかではなくて感染性で見ております。ほとんどの場 合感染力で見ております。 ○北村委員 ネズミに接種したりするわけですか。 ○山口委員 いえ、ほとんどin vitroの培養細胞でできるモデルウイルスを選んでおり ます。 ○北村委員 その培養細胞はヒト培養細胞ですか。 ○山口委員 例えば□□□ですと□□□□とか、割とプライマリーに近い細胞、要する にウイルスに感受性の高い細胞を選んで、大体決まったウイルス指向性細胞を使うよう になっております。 ○北村委員 しつこいようですけれども、それは一応国際的にスタンダードのものにな っているわけですか。 ○山口委員 このウイルスのバリデーションに関しては、ICHという医薬品のハーモ ナイゼーションの会議のハーモナイゼーションドキュメントが出ておりまして、その中 にモデルウイルスとしては10種類ぐらい上っておりまして、大体その中から先ほど言っ た基準に照らして適当なものを選んで、そのバリデーションを行うとなっております。 ○北村委員 新しい生物由来の素材のときは、先生のところでそれをやってもらえると。 ○山口委員 いえ、これは一般に製造業者が自分たちで安全性を保証しないといけませ んので、製造業者がその安全性についてバリデーションデータを出さないといけないと いうことになると思います。 ○北村委員 自分たちで信用できるのですか。 ○山口委員 その点に関しては、こういうバイラスバリデーションをやる会社が多分世 界にほとんど数社しかないといいますか、有名なところではアメリカのFDAの…。 ○北村委員 日本ではどこがやるのですか。 ○山口委員 日本ではこういう公的に受け入れているところはたしかないはずです。 ○北村委員 それは国としては大きな問題ですね。日本でできない…。そのようなもの を全部外国で行ってもらえ、信用しろと持ってきて、日本ではできませんという状態で ほうったのではいけないのではないですか。 ○倉田委員 ウイルスは細胞の中でしか増えないですし、コラーゲンは細胞ではないで すから、そもそもウイルスの混合汚染する可能性が非常に低いということがまず一つ。 それから大抵これは塗りたくっているのですが、それではほとんどバリデーションにな らないのです。それでコラーゲンの使い方がちょっとよく分からないのですが、まず最 初の採り方が非常に大きな問題になると思います。その後それに熱をかけているから、 ほとんどのウイルスがその過程で死んでしまっていますので、バリデーションそのもの の意味が実際にあるかどうかということもありますが、一応やるということでやってい るわけで、本来のウイルスの存在系から考えたらコラーゲンの中にウイルスがいてとい う話はいかがでしょうか。これは将来どなたか現場を見に行くのでしょうか。そういう ところでどのような扱い方をしているかは大体見当がつくでしょう。あとはそのリスク を減らすためにやってみるというところでしょう。ですから、細胞を扱う場合とコラー ゲンを扱う場合では、リスクというのは全然違った次元なので…。  もう一つは、ウシ本体の方はチェックをやっていましたか。これを採ってくるウシ本 来の本体における感染の問題があるでしょう。ウシが本来体内に持っているウイルス等 そちらの方が問題なので、抗体チェックから始まってそちらのチェックがなされている かどうかということが、むしろ大事ではないですか。ですから、コラーゲンそのものの 中にいるかと、それはあり得ない話です。コラーゲンの中にウイルスが増殖し生きてい るということはないので、それ以前の話ですね。あとは操作のところで汚染が起きたか どうかということの方に比重があってその後…、これの熱処理は何度でしたか。 ○事務局 製造庫では□□□℃です。 ○倉田委員 □□□℃ですと、今ここに挙がっているウイルスはほとんどその過程で死 滅しますね。この中のものでは残っているウイルスは一つもないです。 ○北村委員 この製品についてはおっしゃるとおりなのですけれども、他の生物由来の ときのいわゆるバイラスバリデーションという、ヘパリンについても同じことが…。い わゆるヘパリンの中になぜウイルスが生きているのかという問題があって、やはりそれ は審査を通せということになるのだけれども、日本でそういうことが一つもできないと いうのはやはり問題なような気がしますが、先生のところぐらいしかやれないのでしょ うか。 ○倉田委員 やれますが、我々の業務はそういうことではないので、これは将来的には 何か作られたらどうでしょうか。非常にフェアにやれる機構を作って、どなたかベンチ ャーでも起こしてやられたらいいのではないでしょうか。しかし、日本の製品ではない から、いつ入ってくるか分からないものに対してなかなかそういう…。コストのことを 考えたらこれはまた非常に難しいですね。 ○北村委員 おっしゃるとおりですけれども、日本発が全然できないとなると、やはり アメリカに依頼しないとできないということになりますね。アメリカに依頼したらいい ではないかと言えばそれまでですけれども。 ○倉田委員 私はそういうことは言いませんが、どなたかそういう会社を興されたらい かがですか。 ○土屋部会長 日本の会社の方は、外国に持っていってやっていただいているみたいで すね。そうすると、やはりお金が高いということはお聞きしています。それはまた…。 ○医療機器審査管理官 いずれにしても大事な話なので、医政局の研究開発振興課には よく伝えておきます。 ○土屋部会長 そのほかにございますか。 ○櫻井委員 先ほど少し話の出たこの資料の219ページに、アンギオシール群と用手圧 迫群の単純な比較の表があります。「観察項目」のところに「アンギオシール留置時間」 が入っていますが、どこのところを留置時間と言っているのですか。例数が書いてあっ て、「止血時間」と「絶対安静解除までの時間」は分かるのですけれども、「アンギオ シール留置時間」が「2.6±1.3分」というのは何の時間なのですか。 ○事務局 これはアンギオシールの操作時間とお考えいただければよろしいと思いま す。ちょっと操作方法が複雑なので、「添付文書(案)」の41〜43ページまでを御覧くだ さい。治験のプロトコルを見ますと、41ページの右上の方に書いてある処置用のシース を抜いたところから、ちょっと見にくいのですけれども、最終的に43ページの右側のカ ラムの上から二つ目の絵でございますが、スプリングを架けるところまでがアンギオシ ールの操作時間ということで、治験では評価されていると。 ○櫻井委員 用手圧迫と比べると、「止血時間」のところへ入れてしまってもいいよう な数字ですか。用手圧迫はすぐ手で押さえ始めるのでしょう。それまでの操作時間だか ら、左と右の止血をするまでの時間という単純なものであれば、このアンギオシールの 方は二つを合計してしまっていいということですか。 ○事務局 その点も調査会で審査センターから指摘しておりまして、資料の222ページ を御覧ください。ここに「表-20」が載ってございますが、装着時間と止血時間を加味し た合計の時間も評価されております。「表-21」のアンギオシール群の一番下にある「3.3 ±3.7」という数字が、装着時間と止血時間を加味した時間でございまして、これをもち ましてもやはり用手圧迫群の数値に比べて短いという結果が得られております。 ○櫻井委員 それは分かりましたけれども、この表も合計していいということでしょう。 何か少しは違うのかもしれないけれども、この表で単純に例数はいいとして、両方の比 較で止血するまでの時間は操作時間という…、留置時間が操作時間という意味だったら、 用手圧迫の方は操作する時間がなくてすぐ押さえればいいという話ですから、この差だ ということでしょう。そのように考えていいですかと聞いたのです。 ○事務局 3.3分では実際の時間…。 ○櫻井委員 それから余計なことですけれども、これは値段的には大体幾らぐらいのも のなのですか。 ○事務局 米国では大体□□□ドルということでございまして、日本では□□□□円ぐ らいを予定していると申請者から聞いております。 ○櫻井委員 使用予定数のようなものはあるのですか。どのくらい使われそうだとかは 全然分からないですか。 ○事務局 まだ聞いていませんが、米国では止血デバイスの中では50%ぐらいの占有率 です。 ○櫻井委員 半分ぐらいはこれを使うと。 ○事務局 米国ではそのようになっております。 ○櫻井委員 そうすると日本でも相当な数ですよね。細かいことは別として、約□□円 掛かりますと。それがどのくらい使われるか分からないということですが…。どうもメ リットは時間が早くなるということで、もちろん患者さんのQOLなどがあるのだろう けれども、それを今のお金で買いますかという話のような…。要するにこの方がよく出 血が止まるとか、止血がいいとか、そういうことでしたら少しぐらいお金が掛かっても いいのですけれども、そこのところの判断が難しいような気がするのです。 ○土屋部会長 今のコメントに対して、茅野先生。 ○茅野専門委員 櫻井先生に対して、まずアメリカと日本で事情が少し違いますので、 日本で使われる症例はアメリカほどは多くないと思われます。一つ目は医療制度の問題 で、アメリカの場合は早く帰る、つまり検査をしたその日に帰ればいろいろ有利です。 例えば外来で帰れば出来高で払ってくれるとか、患者さんが全体的に若いから早く帰り たがるとかということがありますが、日本の場合は早く退院できても病院はそれほどメ リットはないということです。それから二つ目に、日本では足ではなくて手を刺す例が 非常に増えております。今このようなところからここを刺して、ここから診断カテとか インターベーションもしております。そのような意味で、私はアメリカほどは使われな いのではないかと思っております。そういうことで御検討いただきたいと思います。 ○土屋部会長 いかがでしょうか。北畠委員、どうぞ。 ○北畠委員 先ほど櫻井先生がおっしゃったようなことで、私もそういう印象を持ちま したので、最初に御紹介いただいたようなコメントをいたしました。「警告」の中に入 れていただいたということで、それでいいのかなと了解しております。 ○土屋部会長 どうもありがとうございます。そのほかにございますか。 ○武谷委員 ここで議論すべき内容かどうかちょっと分かりませんし、そっぽな質問か もしれませんが、本デバイスを使う際に血腫とか再出血が多いということが予想される と。これは軽度なアドバースエフェクトというわけではないので、あらかじめこの種の 予想されるアドバースイベンツの同意を得るとなると、事が再出血と血腫だけになかな か現場で使いづらいのではないかと。どこまでこの辺の説明と同意を得るのかと。さら に、私は生体材料に関して使用したものが全部一律かどうかはよく分かりませんが、こ のコラーゲンに対して同意を取るとなると非常に煩雑で、現場の先生は一体そういうこ とができるのかどうかということをお聞きしたいのです。 ○土屋部会長 茅野先生、いかがでしょうか。 ○茅野専門委員 まず、二つの御質問の後ろの方から答えさせていただくと、私の理解 では、そういう生物由来のものは説明文書の保存義務が10年であったものを、法律改正 して20年と。住所も始めから書けということでございます。7月1日からとおっしゃっ ておりますので、そう決まってこれが該当するというならば、私は法律は分かりません けれども、そういう説明文書の保存は必要になってくるのだろうと思っております。  それから血腫は確かにアドバースイベントでございますが、輸血を要するほどの大き なものは別扱いになっておりますので、ちょっと見た目に膨らんでしまったけれども輸 血はないというものであれば、法律はちょっと分かりませんけれども、前もっての詳し い同意文書に関しては、現場では要らないのではないかと素人目には思っております。 ○事務局 今武谷先生と茅野先生からお話がございましたが、いわゆる生物由来製品と しての規制の問題だと思います。御存じのように昨年の薬事法改正で、この前の合同部 会で医療機器の施行関係のお話をさせていただきましたが、別途生物由来製品の規制の 強化ということは、今回の薬事法改正のまたほかの柱でございます。その中で今武谷先 生からお話があった、特にリスクの高い生物由来製品ということで、基本的には血液製 剤、若しくはそれと同等レベルのリスクがある製品を特定生物由来製品として指定いた しまして、それにつきましてはインフォームド・コンセントをより入念にやっていただ くというお願いと、それから先ほど言った医療機関においての使用記録の保管を20年お 願いするということがやられております。  ただ、今回のこの製品はコラーゲンというウシの皮を用いたものでございまして、事 前の生物由来製品指定の可否の議論で、このコラーゲンを使用したものについては特定 生物由来製品でも生物由来製品でもなく、そういった生物由来製品としての規制を受け ない材料として決められました。ですので、今回のものにつきましては先ほど申し上げ たいわゆる上乗せのインフォームド・コンセント、それから使用の記録について、私ど もの方から医療機関にお願いすることはございませんので、その点だけお話しさせてい ただきます。なお、施行日は7月30日となっておりまして、また分かりやすい資料を厚 生労働省のホームページに近く掲載したいと思いますので、御参照いただければ幸いで ございます。以上でございます。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。すべての生物由来製品が今回のような 薬事法の生物由来の規制を受けるわけではないということです。もしそのほかにござい ませんようでしたら…。 ○松田委員 有効性の問題ではかなりいいという話なのです。私はもともと臨床医では ないのですけれども、実は臨床医の立場ではなく患者の立場からこれが非常にいいとい う…、こういう大腿動脈からカテーテルを入れたときに、一人の医者の方がやはり止血 するまで30分ほどずっと圧迫し続けるわけです。そういう時間のロスといいますか、経 済性といいますか、そういった点からは絶対に何かのデバイスが開発されるべきだと思 っていたら、私は国立循環器病センターにいたのですけれども、当時の放射線科の部長 がやはりこういうデバイスは絶対に必要だと。今から10何年前だったのですけれども、 残念ながら私自身は開発できなかったのですが、こういうものはやはり経済性という意 味では、積極的にインカレッジされるべきものではないかと思ったりするのです。  それからもう一つ材料ではコラーゲンの問題以外にも、先ほど下ろされた今日の三番 目の議題のポリエステルですね。合成高分子で生分解性のポリエステル、有機スズと。 やはりこれもアンカーにそのまま材料を使っていて、見ていたら□□□ppm以下だとい う感じなのですけれども、先ほどの日本からの硬膜のものは□□ppm以下と。ですから、 これからコラーゲンなどのほかにも、ポリエステルを使うと有機スズというのは合成の ときに必須のものなのです。ただ、この問題は将来大きくなってくる可能性があります ね。片一方では中スズのもので□□ppmぐらいで非常にちゅうちょされているのに、こ れは□□□ppm以下ぐらいであるという…、□□□ppm以下というのはゼロかもしれない し、どうか分からないですけれども、やはりまたこれは重要な問題になってくるかもし れませんね。 ○土屋部会長 材料の製造の御専門の立場からありがとうございました。 ○松田委員 私は患者の立場から言ったのですけれども…。 ○土屋部会長 一つはやはり無機スズを反応させると、どうも別の形になって毒性が強 くなる可能性が示唆されております。それも量の問題とか、あるいは早く消失する期間 とか、それを使用される部位によってリスクは違うと思います。やはりきちんと評価し て世の中に出すべきであると思います。 ○事務局 ただいまの件について参考までに補足説明させていただきますと、申請者に 確認したところ、アンギオシールの場合は外国では□□□ppmではなくて□□□ppm以下 で管理されているということで、まず承認までには□□□ppm以下に改めさせていただ きます。それからスズはアンカーの部分に付いているわけですけれども、このアンカー は非常に小さいもので重量では□□mg、ですからそこに含まれるスズは□□□μgと、 今日やる予定だったシームデュラに比べて含有量としても非常に少ないと。あとこれは 動脈の方に入れるものですから、血流で希釈されるということもありまして、リスクは 低いものではないかと考えております。 ○茅野専門委員 先生の方から、医者が押さえている時間が短くなれば経済性がいいの ではないかという御指摘ですが、それ以上に現場の医師としては患者さんの満足度が重 要でございます。二つ申し上げたいことは、安静時間が長いと患者さんはとても腰を痛 がって非常につらい思いをなさると。カテーテル検査のときよりも安静時間の方が腰が 痛くなってしまってつらかったという御意見が多うございまして、早く歩けるというこ とは患者さんの満足にいいわけでございます。北村先生もおっしゃったほかの用具との 比較ですが、Percloseという縫うものとの比較試験は2001年に発表されていまして、 本材の方が満足度が高いと、患者さんは縫われるより楽であるということも出ておりま すので、私も患者さんの満足度という意味でいいものだと思っております。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。様々な形で御意見を頂きまして、ある 場合には必要なこともあるのではないかというコメントを頂いておりますが、この製品 について一応承認の方向にさせていただいてよろしいでしょうか。どうもありがとうご ざいます。それではこの承認を可として、薬事分科会に報告することにいたします。  では議題2に移ります。まず審査センターからもう一つ配っていただいている、「医 療用具スーパーフィクソーブ30の製造承認の可否及び再審査期間の指定について」の説 明をお願いします。 ── 茅野専門委員退席 ── ○事務局 それでは審査センターより御説明申し上げます。資料5を御覧ください。ス ーパーフィクソーブ30の審査においては、医薬品医療機器審査センター第四部での審査 に当たり、御覧の赤松委員、佐藤委員、勝呂委員、高久田委員、`島委員、米山委員の 6名の専門委員の御意見を頂きました。  本申請品目の外観写真をお示しいたします。本日は見本を御用意いたしましたので、 御覧ください。  本品目はハイドロキシアパタイト粒子とポリ-L-乳酸との複合体からなる生体内分解 吸収性骨接合材であります。骨接合、骨移植などの手術時に内固定材料として埋め込ま れるものでございます。生体内分解吸収性材料としては、ポリ-L-乳酸(以下「PLLA」) を用いた骨接合材が既に臨床で使用されておりますが、骨結合能がなく初期固定力が弱 いなどの問題点がございました。本品はハイドロキシアパタイト(以下「HA」)が骨伝 導能、骨との結合能を有することに着目し、HAとPLLAを複合させ、これにより初 期固定力が高く、より高い強度を有し、骨癒合後の分解速度が速い吸収性の骨接合材と して開発されたものでございます。  物理化学的試験としては、曲げ強度、曲げ弾性率、剪断強度、トルク強度、引っ張り 強度に関する試験が実施され、曲げ強度、曲げ弾性率、剪断強度、トルク強度について はフィクソーブと同等又はそれ以上、引っ張り強度についてはフィクソーブよりやや弱 いものの、生体緻密骨と同等以上の強度であることが確認されました。なお、フィクソ ーブについては100%PLLAの製剤で既承認品でございまして、同じくタキロンの製 品でございます。  本申請品目には御覧のとおりの規格及び試験方法が設定されており、すべての試験に 適合することを確認しております。  生物学的安全性については、生物学的安全性試験ガイドラインに従った試験が実施さ れております。審査においては本品の原材料であるPLLAについては、生体内での分 解過程で発生する結晶細片による炎症反応が指摘されていることから、この点について 考察を求めました。これに関しまして申請者から、4年間の家兎大腿骨中埋植試験にお いて、組織学的にも炎症性細胞による浸潤、炎症反応が全く認められなかったこととの 考察が提出され、この結果を了承いたしました。  本品目の性能に関しましては、初期強度試験、In vitro試験、In vivo試験、X線透 過性についての検討が行われ、PLLA単独のフィクソーブより骨結合能、骨置換性が 高く、吸収期間が短い、安定した固定力を有する骨結合材であることが示唆されました。  臨床試験に関しましては、国内6施設において術後1年以上経過観察を行う臨床試験 が行われました。本品での有効性に関しては、手術時の経過、局所所見、X線所見、総 合評価から判断されました。また、安全性については臨床検査値を含む有害事象の有無 により、治験担当医師が総合的に判断し評価を行いました。  有効性につきましては表1、2のとおりでありまして、術中の固定性、術直後の整復 状態については「良好」以上がそれぞれ86.7%、96.7%であり、固定性が「やや不良」 とされた8例中7例は順調に骨癒合が得られたとされております。術中の折損について は8例9件に認められましたが、使用方法に起因するものとされております。  有効性、安全性を基に評価された有用性については、スライドに示したように「有用」 以上が91.7%以上であり、「どちらとも言えない」とされた1例は膝離断性骨軟骨炎の 再手術例であり、移植骨片と母床の形状がやや不適合であったと考察されている症例で ございました。  臨床評価の問題点としては、まず従来のPLLAを原材料とする医療用具を十字靱帯 再建術に使用した場合、関節炎等を起こし因果関係が否定できない事例が報告されてい ることについて、十分な情報の収集と本品との関連性についての考察を求めました。こ れに対して、既承認のフィクソーブについてはそのような報告はないこと、動物実験の 結果等から炎症反応は確認されていないなどのことから、同様の関節炎の発生リスクは 低いという回答が得られました。しかしながら、使用上の注意には起こり得る現象とし て明示させることといたしました。  また、本品がフィクソーブに比べ、引っ張り強さが減少し弾性率は増加することにつ いて、締め過ぎなどによる術中の破損が懸念されることについて、専門協議の結果を踏 まえ指摘を行ったところ、申請者からは臨床試験での破損例についても、引っ張り強度 とは関係のない原因によるものであったと考察し、臨床上問題はないとされております が、使用上の注意に必要な事項を記載させ、また使用部位を制限することといたしまし た。使用上の注意事項の主なものは、審査報告書の11〜12ページに記載されております。  審査センターでは、提出された申請内容について以上のとおり審査した結果、「性能、 使用目的、効能又は効果」欄の使用目的をこのスライドのとおりとして、承認して差し 支えないと判断いたしました。また再審査に関しましては、3年間の調査を実施するこ とが必要であると考えております。  なお、事前に北畠委員より、添付文書案の「6.妊婦、産婦、授乳婦への適用」のとこ ろで、同項に記載されている内容では臨床使用上の適宜を判断するには不十分と思われ るので、「胎児、新生児に対する影響については確立しないので」という文言を追加し たらどうかという御意見を頂いております。これにつきましては、医薬品での記載例も 考慮いたしまして、使用経験がないので慎重に使用するようにということで、記載させ ることといたしたいと存じます。御審議をよろしくお願いいたします。 ── 説明中、北村委員退室 ── ○土屋部会長 それでは、専門協議に加わられた勝呂先生の方からコメントはございま すでしょうか。 ○勝呂委員 専門協議の方でいろいろ検討したのですけれども、PLLAそのものの単 独は既に臨床使用されて特に問題がないと。それからHAそのものも骨補てん材等で歴 史的にかなり長く使われているので、いずれも問題がないという形なのですけれども、 今回この品物は両方のいいところをうまくコンビネーションして、PLLA単独の問題、 やはり少し軟らかさがあるので、そういう点をこのHAを入れて硬くして、なおかつ初 期固定を得やすいという形にしたと。  そういう点では優れたものだと思うのですけれども、問題点はPLLA単独だとプラ スチックを曲げることができますが、今度は逆にHAが入ることによって、余分な力が かかったりすると割れてしまうという点があります。ですから、使用部位をある程度制 限するという形で、体重の負荷がかかるようなところに使わないという制限を加えれば、 例えば上肢とか、荷重のかからない場所には非常にいい固定材料ではないかという結論 です。  もう一つは、従来のPLLA単独よりHAそのものが骨癒合して骨に置換されていく ので、比較的早く消退するという点でもいいのではないか。要するに抜く手間がなくな るというのが本音で、そういう点ではメリットが非常に大きいということがまとめとし てあります。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。荷重のかからないところでは骨伝導性 が高くなってそこで再置換が起こるわけで、非常にいい医療用具だということですが、 事務局と勝呂委員からの御説明に対してコメント等はございませんでしょうか。ポリ乳 酸とは骨ではどうか分かりませんけれども、早期には皮下などで割と炎症が起きると言 われているのですが、このハイドロキシアパタイトとのコンプレックスですと、その炎 症反応については弱くなるのでしょうか。 ○勝呂委員 私はちょっとそこまで記憶がないのですけれども、そちらでデータはあり ますか。 ○事務局 動物実験の結果が出されておりまして、組織学的に見て4年後までに炎症反 応が認められなかったという結果が提出されております。 ○勝呂委員 多分HAそのものがノンリアクティブですから、マスが一緒であれば含有 量が減るので少ないのではないかと。それからもう一つ考えられるのは、ポリ乳酸とい うのはどう固定してもやはり少し動くのです。マイクロモーションが炎症を誘導すると いう考え方があるのではないかとは思っています。 ○土屋部会長 緩みが起きやすいという…。 ── 北村委員入室 ── ○勝呂委員 ポリ乳酸、PLLAだけだと最後まで締め切れないところがあるのです。 そうすると、荷重のかからないところはほどほど固定してくれば、骨折というのは例え ば中指骨ならば6週あれば十分な骨になってしまいますから、その間の保持ができれば という感じです。 ○土屋部会長 そのほかにコメント、御意見等はございませんでしょうか。どうぞ、北 村先生。 ○北村委員 外国の類似品中培養して造るというものとは組成上…、どこかに何か表が 出ているのですか。 ○事務局 これの組成は、30%ハイドロキシアパタイトかどうかはちょっと確認できま せんでしたので、全く同じものかどうかは分かりませんが、類似品ということでハイド ロキシアパタイトとPLLAの混合物という…。 ○北村委員 特許の関係を聞いているのです。このタキオンというのは日本のものです よね。ですからすばらしいのですけれども、アメリカも同じように類似品でハイドロキ シアパタイトを加えているのか。3割加えているというのがいいと言うけれども…。 ○事務局 公開されている資料には、その比率までは書かれておりませんので…。 ○北村委員 この新しい製品、今配って見せていただいた白いねじは特許を取れている のですか。 ○事務局 と思いますが、確認はしておりません。 ○勝呂委員 これに関しては私たちも余り気にしなかったのですけれども、確かに海外 との特許の問題が抵触する可能性がありますね。 ○北村委員 ありますか。 ○勝呂委員 分からないのですが、もし本当に申請がされていれば。ただこの考え方は、 HAのオリジナルというのは結構日本の方が先行していたので、HAそのもののあれが 日本にあるかもしれないのです。ですから、その辺のところは業者に調べてもらうしか ないかと思います。 ○北村委員 それからこれは「スーパー」が付いて、古いものがあるのですけれども、 それはもう薬事は通っているのですね。保険の収載になっているわけですか。それはど うなるのですか。これが出てくるとやめていくわけですか。値段の問題があるかもしれ ないけれども、薬事法としてこちらの方が良いという成績を出してしまった以上は、悪 いものをなおかつ薬事承認し保険収載していくのはやめるべきですよね。こちらの方が 良いという成績を出して承認したら、悪いものは置いておくのですか。 ○勝呂委員 私が答えられるかどうか分かりませんけれども、まずPLLA骨接合材フ ィクソーブというものがもともとはあるので、これはスーパーフィクソーブの「スーパ ー」を付けたということで、PLLA単独であればまたそれなりの良さがあるのです。 ですからそういった点で、このHAが入ることによって折れるという可能性を含めまし たら、それぞれのメリットをうまく使って場所の適応を考えていくのではないかと思い ます。ただ、最終的には生産の問題でいずれ消滅しても、一つの会社ではなくて他の会 社が幾つか日本にあるので、その辺のところで多分この会社がこれを消滅させても、ほ かの会社があるので臨床的には困りません。 ○土屋部会長 どうもありがとうございます。 ○北村委員 そういうものなのですか。こちらの方が良いと言って、同じ会社が悪い方 も両方出せると。 ○医療機器審査管理官 それはむしろユーザーサイドの医療機関の選択だと思うので す。したがって、やはり使用価値があるというものは残りますし、ないものは自然淘汰 される中で…。 ○北村委員 しかし、ハイドロキシアパタイトの利点を唱える以上、そして両者それぞ れがあるというのがいいならば、やはり適応症を書かないといけないですね。「スーパ ー」の方はこういうものに適応がありますと。つまり昔のノンスーパーの方も全部カバ ーできるものではなくて、「スーパー」の方はこの適応があると。今先生がおっしゃっ たように、ノンスーパーにはそれなりに意味があるというならば、薬事承認において使 用の目的によった適応症に差を付けられるのかどうか。 ○勝呂委員 私勝手に個人的な意見を言わせていただきますと、PLLAとこの両方を 考えた場合に、あるものを使っていくときに、やはりこちらの「スーパー」の方が使い やすいのではないかと見た感じは思うのです。そうであるならば将来的にこういうイン プラント材料はやはり少しの流れがあって、ユーザーがより良いものへとシフトしてい きますから、かつてあったものがどんどん消滅しているというのが整形外科の領域では あるのです。ですから、臨床に実際に応用されてきて良いものであれば、ニードがどん どんそちらにシフトしていくのではないかと思います。ただ、相変わらず古いものも好 きだという先生が世の中にいるのです。そうしますと、そういうものも供給せざるを得 ないということがあるのではないかとは思います。ただ先生の御指摘のように、同じ業 者がこちらがより良いのだと言えば、前のものをやめてこちらにシフトしていくという のは、ユーザーがある程度許せばその方がいいかとは思います。 ○北村委員 ただ、今言ったようにこの会社が両方を発売していくということで承認を 下ろした場合、やはりその適応症を分けないと、今両方どちらでも全くユーザー側だけ でいいのですか。私はこちらの方が好きですからという形だけで、適応症を全く一緒に していていいのですか。 ○事務局 事務局としては勝呂先生からお話がありましたように、フィクソーブとスー パーフィクソーブはそれぞれの良さもあり、今回のスーパーフィクソーブのデータがフ ィクソーブの有害性といいますか、安全性に問題があるということを指摘したものでも ないと理解しております。フィクソーブはフィクソーブで、もちろん承認後新たに危な いという情報が入ったわけではなく、先ほど勝呂先生にちょっとお聞きした締め具合の ようなところがなかなか慣れといいますか、コツのようなものがあるようですので、フ ィクソーブのお好きな先生もいるのかもしれません。この症例についてはスーパーフィ クソーブがいい、この症例についてはフィクソーブがいいと決めるのは、ちょっと困難 ではないかということで、薬事法上は両製品とも存在できると考えております。先ほど からも御議論もあるように、スーパーフィクソーブについては荷重のかからないところ にということで、「禁忌」に規定をして適応の症例を限っております。 ── 松田委員退室 ── ○土屋部会長 このスーパーフィクソーブの場合は、少し折れやすいという欠点があり ますので少し幅が…、お互いにどちらがとはパチッと決められない製品であると。成功 してきちんと留まった場合には成績はいいけれども、ということのようでございます。 ○北村委員 それはトヨタの自動車に何種類もありますよね。それで好きなものを買っ てくださいと言うけれども、これはお金が違ってきています。片や保険収載になって、 今度のこれはいつ保険収載になるか分からないけれども、薬事だけ通るといったときに、 同じ適応でこちらは高いです、しかし良いですという宣伝が入ってくると違うかなと思 いますので。 ○土屋部会長 値段はまだ分からないのですよね。 ○医療機器審査管理官 先ほどからの御議論がございましたように、既に合成吸収性の 骨片接合材料というものは特定保険医療材料として収載されております。これについて はこれからメーカーがいわゆる保険収載への申請をいたしますので、経済課を通じて保 険局の方で価格を算定し、中医協にお諮りをしてというステップを踏みますけれども、 多分既存のものをベースに価格を算定することになるであろうと考えております。 ○北村委員 少しは高く上げていくのでしょうね。 ○土屋部会長 患者さんや国のためには、本当は安くしていただいた方がいいとは思う のですが。いかがでございますでしょうか。これは絶対駄目という製品ではないようで ございますので…。学会ではよく聞いていたハイドロキシアパタイトとポリ乳酸という ものが、ようやくここに出てきたようでございます。 ○北村委員 特許関係だけは調べておいてもらわないと、薬事は何も調べないで承認し たのかということになってはいけないので…。 ○土屋部会長 それは調べていただきまして、先生の方に御回答を…。 ○橋本(久)委員 一つよろしいですか。臨床試験で非常に有用性が高いと出ております が、患者さんの背景を見ると男性が50代以下で比較的若くて、女性が50代以上で年齢 が高いですね。そのところで、これは骨量などがいろいろ影響してくると思うのですけ れども、この男性の群と女性の群で有効性は余り違わないのか、あるいは少し違いがあ るのか、その点はどうだったのでしょうか。 ── 松田委員入室 ── ○土屋部会長 何ページですか。 ○橋本(久)委員 199ページです。 ○土屋部会長 勝呂先生、お願いします。 ○勝呂委員 では私の方から。これを見て、確かに外傷骨折を受けるのは結構男性の方 が多いのです。どうもスポーツをしたりいろいろ…。ただ、女性の場合はその辺でひっ くり返って骨折することが多いので、やはりベースにある程度骨粗鬆症があると。たと え骨粗鬆症があっても、一般的には骨癒合期間には全く差がないのです。ですから有効 性はほぼ同等と、やはりある程度の固定期間が必要ですけれども、骨癒合期間に関して は私はほとんど差に問題ないのではないかと思っております。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。それではそのほかにコメントがござい ませんでしたら、先生方の御意見で一応承認という方向にさせていただいてよろしいで しょうか。どうもありがとうございます。それでは本日これを承認といたしまして、薬 事分科会の方に御報告いたします。それでは報告事項につきまして、事務局よりお願い します。 ○事務局 それでは最後に資料7でございます。本日お机の上に配付させていただいた 資料7、「医療材料部会報告品目」でございますが、前回2月に部会を開かせていただ いた以降、専門協議を経て承認になった医療材料関係の品目を一覧にしたものでありま す。もし何かございましたら、事務局の方へ後ほど御質問いただければと思います。 ○土屋部会長 それでは審議事項と報告事項は以上です。事務局から何か連絡はありま すでしょうか。 ○医療機器審査管理官 特にございません。 ○土屋部会長 それでは、次回の部会の日程についてはまた連絡させていただきます。 本日はどうもありがとうございました。  ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 束野(内線2912) - 24 -