03/06/10 第5回医薬品・医療用具等対策部会議事録             第5回 医薬品・医療用具等対策部会                       日時 平成15年6月10日(火)                          10:00〜12:00                       場所 東海大学校友会館(富士の間) ○部会長  第5回医薬品・医療用具等対策部会を始めます。お忙しいところ御出席いただきまし て、ありがとうございます。今日は14名の委員がすべて出席です。ありがとうございま す。委員の交代、その他について事務局から御紹介いただきます。 ○事務局  委員の交代がありますので御紹介します。井堂委員に代わり日本歯科医師会の奥田勝 教委員、甲屋委員に代わり寺井美峰子委員が、本日お見えです。委員の交代の紹介は以 上です。  そのほかに本日の議題に関連して、医薬品類似性検討ワーキンググループの方々にも 本日、お見えいただいています。御紹介します。5つのワーキングがありますが、規格 ワーキンググループの代表として、あすか薬局の原先生です。注射薬の外観類似ワーキ ンググループの代表として、三菱ウェルファーマの滝沢先生です。輸液ワーキンググル ープの代表として、昭和大学病院薬剤部長の村山先生です。同じく輸液ワーキンググル ープの代表として、聖マリアンナ医科大学病院看護師長の雨宮先生です。眼科用剤ワー キンググループの代表として、ゼリア新薬工業の内野先生です。名称類似ワーキンググ ループの代表として、部会の委員でもある土屋先生です。以上です。 ○部会長  今日の議事次第ですが、1は「第5回、第6回ヒヤリ・ハット事例収集結果につい て」、2は「医薬品類似性検討ワーキンググループの設置等について」、3は「その 他」となっています。事務局から配布資料の確認をお願いします。 ○事務局  お手元の配布資料一覧を御覧いただきながら配布資料の確認をさせていただきます。 資料5−1は「第5回医薬品・医療用具・諸物品等情報の分析について」です。資料5 −2は「第6回医薬品・医療用具・諸物品等情報の分析について」です。資料5−3は 「医薬品類似性検討ワーキンググループについて」です。資料5−4−(1)は「輸液ポ ンプ及びシリンジポンプに関する事故防止対策」です。資料5−4−(2)は「輸液ポン プ等に関する医療事故防止対策について」(平成15年3月18日付厚生労働省医薬局長通 知)です。資料5−5−(1)は、医療の安全の確保に資する機械及び装置並びに器具及 び備品の特別償却制度の創設についてです。資料5−5−(2)は、平成13年3月27日付 医薬局長通知です。資料5−5−(3)は、平成13年7月30日付厚生労働省医薬局長通知 です。配布資料は以上でございます。  そのほか委員の先生方におきましては参考資料として、前回の本部会の議事録を配布 しています。これについては事前に各委員に確認いただいていますので、この後、速や かに厚生労働省のホームページに掲載したいと考えています。よろしくお願いします。 ○部会長  ありがとうございました。特に欠落等はありませんか。よろしいですか。議事次第の 1、「第5回、第6回ヒヤリ・ハット事例収集結果について」、事務局から説明をお願 いします。 ○事務局  事務局から、ヒヤリ・ハット事例の報告をいたします。資料5−1を御覧ください。 「第5回医薬品・医療用具・諸物品等情報の分析について」という資料ですが、平成14 年8月27日から平成14年11月26日に報告があった事例について分析をしたものです。総 事例数が201例、うち医薬品関連情報が153例、医療用具関連情報が38例、諸物品関連情 報が10例です。  医薬品関連情報の要因別件数ですが、要因のいちばん多かったのは「その他」という 事例です。次が「規格違い」で22.9%という頻度で起こっています。「勘違い」が15.7 %という頻度です。「名称類似」が10.5%、「薬効類似」が7.8%という頻度で起きて います。  具体的な事例として、3頁以降に医薬品情報のそれぞれのデータがあります。先ほど の要因別件数でいちばん多かった「その他」について、16頁の中ほどの137の事例です が、指示ミスという形のものが報告されています。18頁の151、152で、これも「その他 」という要因で分けていますが、151で引き継ぎを確実に行うように、152で用法指示を 記載するようにとあり、引き継ぎミスあるいは記載ミスが報告されています。次に「規 格違い」ですが、これは一般に医薬品の規格で10mg、20mgなどの複数規格があるものの 取り違えが数多く報告されています。  次に多いものとして「勘違い」があります。3頁の5の事例、7の事例が勘違いとい う要因分析をしています。取り出す際によく確認をしなかったとか、救急カートから取 り違えたなどが報告されています。次に要因の多いものとして「名称類似」が挙がって います。6頁の40の事例ですが、プレドニンとプルセニド、同じ薬品で逆のパターンに なりますが、46のプルセニドとプレドニンについて取り間違えたという報告がされてい ます。さらに12頁の98の事例ですが、タキソテール、タキソール、あるいは103、104の アテレック、アレロックなどが報告されています。次に報告が多かったものとして「薬 効類似」が報告されています。5頁を御覧ください。整腸剤ラックビーとビオフェルミ ンR、消化性潰瘍用剤でアシノンとアルタットが報告されています。  2頁を御覧ください。医療用具に関する要因別件数をまとめています。総事例数38で すが、この中には医薬品の情報が1件、諸物品と思われる情報が2件含まれています。 要因別で言うと、「その他」が44.7%でいちばん多く、「管理が不十分だった」が34.2 %、「扱いにくかった」が5.3%報告されています。  実際の事例ですが、19頁以降に医療用具の事例が報告されています。例えば扱いにく かったというのは4の事例で、シリンジポンプの流量の設定の誤りとあり、意見のとこ ろにあるように「小数点の位置がわかりにくかった」と報告されています。これについ ては前回の部会でも輸液ポンプに関する医療事故防止対策で、検討したところです。19 頁の7の事例から、「管理が不十分だった」という要因で報告されていますが、7の事 例でいうと点滴のルートがきちんとセットされていなかった。20頁の9の事例では注射 器の内筒固定部がずれていた。12の事例では輸液ポンプの設定ミスが報告されていま す。その他として分類したもので、22頁の22の事例ですが、投与量を一桁間違え入力し た。23、24は取扱いの問題としていますが、「硬膜外カテーテルに接続された注射針の 内径の影響が考えられる」とされています。23頁で28の事例でいうと、セット間違いが 報告されています。  2頁に戻ってください。4で、諸物品関連の情報が10件ほど報告されています。この 中には医療用具の情報と思われるものが2件含まれています。26頁の8、9の事例につ いては医療用具の事例で、8の事例については医療用具の24の事例と同じ情報と考えて います。以上が第5回の医薬品・医療用具等の情報の分析についてです。  次に第6回を説明いたします。資料5−2を御覧ください。「第6回医薬品・医療用 具・諸物品等情報の分析について」、これは平成14年11月26日から平成15年2月25日報 告分として挙げています。総事例数が235例、そのうち分析対象が231例になっていま す。報告のあった事例のうち4例については重複した事例報告と、検討班で判断されま したので分析対象から除いています。内訳として医薬品関連情報が171例、医療用具関 連情報が51例、諸物品関連情報が9例です。  2の表は医薬品関連情報の要因別件数です。要因別でいちばん多く報告されていたの が「規格違い」で29.2%です。2番目が「その他」で15.2%報告されています。この 「その他」の中には伝達ミスという分類で分けられるものが7件ほど報告されていま す。3番目に多く報告されているのが「勘違い」で14.0%です。4番目が「薬効類似」 の10.5%、5番目が「数量違い」で7.6%という報告件数です。全事例171例のうち、2 件ほど諸物品情報と思われる情報が含まれています。  具体的な個々の事例について6頁を御覧ください。規格違いは15、16の事例です。 30mgと15mg、25mgと50mgといった含量の異なるものを間違えたというのが報告されてい ます。16頁の109も規格違いに分類していますが、ブドウ糖の5%と50%を間違えた。 110は50%と20%を間違えた。18頁の120は、ボトルの200ccと500ccを間違えたのが報告 されています。  要因別で次に多かった「その他」ですが、5頁の5の事例で、担当医からの指示の伝 達ミスが報告されています。7頁の20の事例も伝達ミスが報告されています。このよう な伝達ミスと思われるものが7件ほど報告されています。その他として分類されたもの で17頁の112の事例ですが、これは上下隔壁のあるようなバッグ製剤です。隔壁の未開 通はこの事例と、23頁の162の事例でダブルバッグの開通忘れが報告されています。19 頁で、その他の中に持参薬の取扱いが問題になる事例が報告されています。24頁の164、 166ですが、医薬品情報の中に調剤機器の整備不良と思われる事例が2例ほど報告され ています。  次に要因で多かった「勘違い」ですが、6頁の13の事例です。プルセニド (pursennid)とパラミジン(paramidin)を、頭のpが同じということで間違えた。14 の事例ではフェルムとフルカムを間違えたという報告がされています。14頁の85の事例 ですが、ソル・メドロールのバイアルに入っているものと、それを溶かすための溶解液 で、溶解液だけを本剤と誤って取り揃えてしまったという事例が報告されています。  次に要因の多かった「薬効類似」ですが、11頁の56の事例です。アイトロールとフラ ンドル、血管拡張剤の中で取り間違えた。60のリポバスとメバロチン、61のリプルとパ ルクス、62のムコソルバンとビソルボン、こういうものを取り間違えたという報告がさ れています。14頁で名称のところですが、84でサクシンとサクシゾンを誤って処方して います。これについてはオーダーシステムの改善等ということで、オーダーシステムに よって防げるものも報告されているようです。  2頁に戻ってください。医療用具関連の情報についてですが、総数で51例ほど報告さ れています。ただ、この中に諸物品と思われる情報が7件、医薬品情報が1件含まれて います。要因別で見ると、「管理が不十分だった」が39.2%でいちばん多く、「その他 」が27.5%、「欠陥品・不良品だった」が9.8%、「故障していた」が9.8%です。  実際の医療用具の事例ですが、31頁を御覧ください。欠陥品・不良品だったと報告さ れているものが5例ありますが、この中で26、27については製品の不具合ということ で、該当する製品の回収が行われています。32頁で故障していたというものが5件ほど 報告されていますが、そのうち2件については、これも薬剤分包機関連と思われる事例 が報告されています。36頁で49の事例で、要因としてはその他になっていますが、添付 文書の禁忌事項の中に既に記載のあるものです。医療用具の添付文書については本年1 月より、すべての医療用具について添付文書を整備することになっていますので、今 後、医療用具のメーカーは添付文書の整備をされるとともに、医療機関の方に添付文書 を読んでいただくことをお願いしていくということによります。  諸物品情報ですが、38頁を御覧ください。この中の1の事例は28頁の医療用具の15の 事例と同一のものです。8については28頁の用具の12の事例と同様のものです。以上で す。 ○部会長  ありがとうございました。ただいまの説明について委員の方から、御質問、御意見を いただければと思います。いかがですか。 ○星委員  聞き漏らしたのかもしれませんが、よくわからないので質問させてください。1つ は、4回目と5回目の違いとして、分析の方法やヒューマンエラーに対する考え方を変 えたのかどうか。そもそもの問題として、この事例の内容や意見については、誰の意見 でどういうことなのか。もう一度確認したいのですが、この分析をした先生方が、どう いう手続でこういうものに仕上げたのか。その3点を教えてください。 ○事務局  星委員の御質問ですが、ヒューマンエラーに関しては、資料5−1の1頁の右側、前 回ですから第4回になりますが、ここではヒューマンエラーが30件ほど要因として分析 されています。その左が今回で第5回ですが、ここから第5回、第6回とヒューマンエ ラーは0件となっています。これについては、あとで説明する検討班のほうで、いまま でヒューマンエラーと取っていたものを、なるべく医薬品とか医療用具の要因と見るよ うな形で分析しています。  次の質問で、どのような形でこういう分析が行われているかですが、資料5−2の3 頁を御覧いただくと、「医薬品・医療用具・諸物品等情報検討班」の名簿を載せさせて いただいています。ヒヤリ・ハット事例についてはヒヤリ・ハット作業部会に報告して いますが、その前にこの6名の先生方に、検討班ということで要因を再分析していただ いているところです。先ほど星委員の御質問にありました意見についても、この先生方 からいただいているということです。 ○部会長  もう1つは、まとめ方の手続をどのようにしたかという質問です。 ○事務局  検討班でこれらの意見をまとめていただき、それを作業部会に上げているという形で す。 ○星委員  その上で幾つか質問させてください。先ほど気になる発言があったのですが、5−2 の14頁で、サクシンとサクシゾンがオーダーシステムを改善したらよくなったという話 は、すごいナンセンスな意見だし、すごいナンセンスな備考だと私は思います。今日、 いらっしゃる先生方で分析に関わった先生方の名誉のために、すごいを外して変だなに しますが、これは違和感を感じます。たぶん今日御参加の先生方も同じような違和感を 持っていると思います。これは、どういうふうに解釈するのでしょうか。 ○土屋委員  まず1つ、この意見というところは、報告した所がこの意見を書いてきています。 オーダリングシステムの改善だということで言ってきています。確かにサクシンとサク シゾンは、オーダリングのほうでもありますが、どちらかというと、そのときに、例え ば文字数の入力だけで済んでいるという誤解があると私どもは思っています。もし改善 だと言うならば、これは3文字入れても同じですし、そういうときに危険な薬について は、この薬を本当に選んでいますかという確認画面を取り入れるのが、いま、一方で出 てきているのです。  ですから、そういう意味で、入力システムを改善しないとまずいのではないですかと いうことです。この意見が、オーダリングシステムを改善すればいいと思っているとし たら、そうでなくて、もっときちんとやらなければいけないという意味です。  こういったように本来、このエラーは逆に言えば、例えば薬剤師が、この薬はこの科 で出るだろうかということでチェックをしたり、実際、オーダリングの入力システムに よるエラーの発見というのは、そういう形で行われています。ただ、こういった場合に は単に文字数だけでなく、より安全性の高い選択方法をしておかないと、こういうこと が起きるのではないかという意味です。少し言葉足らずだったかもしれません。 ○星委員  わかりました。ありがとうございます。 ○部会長  ほかにありますか。 ○星委員  幾つかお願いしたいことがあります。1つは、これら3つのうち医薬品関連情報につ いての分析、あるいはどこに入れるかは、少し洗練されてきたように思います。しか し、それ以降のもので医療用具あるいは諸物品に関して言うと、何かついでにやってい る雰囲気から外に出ていない感じがある。例えば「その他」や「管理不良」などいっぱ い分類されているということは、つまり分類する項目の立て方にまだまだ不十分な点が あるのではないか。私はそう疑うので、そこの検討がまず必要だろうと思います。  38頁の9に、2人分の注射を同じトレイで持っていって間違えたという話を、諸物品 情報の最後の「その他」に分類しているのは、どうも私はそのセンスを疑います。これ はむしろヒューマンエラーだろうし、2人のものを同じところに入れないというのは、 まさに決め事ですから物品の問題ではないと思います。もちろん、2人分を一遍に運べ る2段になったトレイを開発しようとか、4人分が一遍に運べるものを開発しようとい う話なら別ですが、基本的にはたぶんそういうことではないだろうと思うので、そのあ たりについて、ヒューマンエラーのほうとまだまだ情報交換が不足しているのではない かという不信感を持ちます。これらの分析は同一の次元で、それぞれの専門家が膝を交 えてするべきだというのが、初回以来の私の意見ですので、そろそろそれに対する具体 的な回答が得られることを期待しています。  もう1つは、先ほどの意見という話と改善の方向という話が非常に中途半端で、今 後、これらの問題をワーキンググループで検討していくのであれば、もう少しこの分析 の精緻化を図ってもらわないと、大きな見落としをする可能性がある。私のお願いは、 6回分のデータですから相当程度集まっていると思いますので、頭から見直して、本当 にコメントが正しいのか、本当に医療用具の範疇だけで考えていいのか、ヒューマンエ ラーと交差する部分はないのか、あるいは先ほど申し上げたような医薬品以外の医療用 具、諸物品に関する検討項目、分類項目はこれでいいのか、これらについては、もう既 にやっているべきことだろうと思います。これ以上言うとまた嫌われますから言いませ んが、そういうことについて是非とも、「やる」という返事を厚生労働省からいただき たいと思います。 ○部会長  ありがとうございました。ただいまの御意見は大変重要なことだと思います。私も意 見がありますが、その前に分析に関わった先生の話を伺ったほうが順序としていいかと 思います。土屋先生、原田先生、外先生、目黒先生、山本先生、吉澤先生がこれに関わ ったと伺っていますが、もし御発言があれば順番にお願いできますか。 ○土屋委員  薬については、実は、現在のヒヤリ・ハット事例の要因というのは、報告する側で分 類をしてくる。しかし、我々としては、例えば複数規格のものを名称類似など結構違い があるのです。ですから前回でしたか、これから要旨を再検討するというところでは、 むしろそのものを外して、ものだけの報告をきちんと数多くしていただく。それを我々 がやりますということで、むしろこの組替えを何回もやるのが非常に大きな作業になっ ていますから、そういったことを今後、変えていただいたほうが、むしろいいのかなと 思います。  我々がやっていて、先ほど伝達エラーもありましたが、4回目までヒューマンエラー と言っていたのは、むしろヒューマンエラー部会へ渡すべき話でしょうという分類で す。ヒューマンエラーというのを送るのではなく、とりあえず我々のところで無理やり 分析すると、そこに入れられるかなというので、第5回、第6回はやってみたというと ころです。  ただし、私どもが感じるのは、調剤機器の話も出てきましたし、伝達エラー、そこは ヒューマンエラー部会との共通部分ですから、そういうところでやればいいのかなと思 います。あくまでここのところは物に起因して、それを改善すれば防止できるなど、そ ういう対策ができることのデータを集めていく。そういう意味では、ある種副作用と同 じところがあって、成り行き注目ではありませんがデータ数が複数集まるのを待つ。す ぐアクションを起こすのではなく、こういう間違いは珍しいなとは思うけれども、全国 的に出てきたら気をつけなければいけませんから、これはずっと累積していき、その中 で、あのときには1件だけだと思ったのが複数起きているなど、そういうことが今後の 注意になっていくと思いますので、是非そういうふうにしたい。  それにあたっては、むしろいままでの分類項目が予め医療機関から行われるのではな く、例えば薬品名をきちんと書いていただく。輸液で生食の何ccと言われても、会社が わからないと外観が類似していたのかどうかもわかりませんから、もっと正確な報告を していただき、そこに力を入れていただく。分類のところは、我々がそれを見て、具体 的に1つの柱でやっていったほうが統一が取れるだろうと思っています。 ○原田委員  分析に携わったというよりは、今後の分析の方向性としてですが、私自身もとりわ け、医薬品以外の医療用具・諸物品に関連して、このままこういう分析を続けていてい いのかなという懸念を持っています。というのは、四半期ごとにまとめていくとどうし てもこの2分類は数が少ないので、その中で例えば今回はこれが多かった、今回はこれ が多かったと分類をしていっても、あまり意味はないと思います。むしろ、いま土屋先 生も言われたように累積をしていくことの意味が大きいかと思います。医薬品のほうは それなりの数が溜まっていますので、四半期ごとでもいいのかもしれませんが、諸物品 とか医療用具に関しては累積で例えば1年分までは溜めていくという形で、パーセント を出す意味がある程度の数をまとめて分析していくことが、まず必要ではないかと思っ ています。  それと同じ意味で、印刷されたものをめくって1つずつ読んでいくのも1つの分析の 方法だと思いますが、それなりに電子情報の形で出していくときに、四半期ごとに分け ていくのではなく、1年分なり、これまでの6回分を全部まとめて処理できる形で公表 していただきたいと思っています。  少し違うことですが、先ほどの要因の分析の件ですけれども医薬品のほうです。ヒュ ーマンエラーとしてしまわないで、できるだけ名称類似等に分けていこうというのは大 変ありがたいと思っています。ただ、今回もずっと伺っていて、私、心理学の人間から すると少し違和感があるのが「勘違い」ということばです。「名称類似」や「規格が 違った」と、「勘違い」という言葉は非常にレベルの違う言葉です。ある意味でいろい ろなものが重なって勘違いとしか言いようがないものになっているかもしれない。同じ 水準の中の1つとして「剤形が違う」と、「勘違い」が並んでしまうというのは、分析 の結果をどう活かしていくかというところで、逆にブロックになってしまう可能性があ ると思っています。1つの事例を1つの要因で語っていくほうが無理がありますので、 複数の原因にチェックができていくような形での分析なり情報収集を、今後、是非御検 討いただければと思います。 ○外委員  私も今回、この医薬品と医療用具の検討班として参加しましたが、それぞれの医薬 品、医療用具は承認されたものですから欠陥があるわけではないのです。名前にも欠陥 があるわけではなく、実際はそれを使う場においてヒヤリ・ハットというようなインシ デントが発生したということ。必ずそこには人が介在するので、すべての事例がヒュー マンに関するものです。だからヒューマンエラーがやはり存在しているわけです。  そこで検討班では、ヒューマンはエラーをするものだという認識のもとに、医薬品や 医療用具の問題で何か解決する糸口はないか検討しているわけですが、今回もそうです けれども、そのたびに出てくるのが200例くらいなのです。200例くらいで、それぞれ1 例、1例が名前が類似してミスを起こしそうになった、規格なりが違うので間違えそう になった、こういうのを分析するのは非常にむなしい作業なわけです。  そこから何か用具に起因するものを見つける、あるいは用具を改良することによって 事故防止につなげるというのは、なかなか難しい。例えばサクシゾンとサクシンという のがありました。こういうものが2つ存在する以上、間違う可能性はあるわけです。 オーダーのところである研修医が間違った。それは当然あり得ることです。ただ、それ をその後の事故にならないようなシステムはその病院で作るべきだし、これが複数例出 てきたら、やはりこれは名前が類似してどうしても避けられないのではないかというこ とで、解決の糸口を探ることはありますが、いまは非常に上がってくる例数が少なくて 単発的なのです。そこから解決というところには、なかなかヒヤリ・ハット事例ではい かないのではないか。  いま、これまでの非常に重大なアクシデントとして、事故報告として上がっているも のは幾つかあるので、そういうものの検討はもう一方で進めるべきだろうとは思いま す。私たちが関与したのは何百例ですが、国全体では1日で何千例のヒヤリ・ハット事 例があると想像します。そういうことからすると、これぐらいのことで新しい何かを 探っていくのは非常に難しい状況です。ですから、もっと件数を集める努力は必要だ し、星委員が言われたヒューマンエラー部会との共同作業も大事な作業だろうと思いま す。今回、要因の分け方もこれぐらいでしか分けられていないし、ここに当てはめられ てきた事例をさらに検討する状況ですので、なかなか有効打が打てない状況での作業で した。 ○目黒委員  いま、参加している先生方が言われてきたことに尽きるのですが、私も医療用具の立 場で、前回から細かい部分ではお話に参加していますけれども、種類が多いのと、実際 に自分で使っていない部分のものは報告書の中から類推しながら、あるいは委員の先生 たち、事務局でいろいろ収集してくれたお話の中から、想像しながら話をするしかない 部分がある。  私はいつも現場サイドから発言するようにするのですが、病院の中で医療用具、医療 機器をシステムとして全部一括してまとめている部署がない。例えば医薬品だったら薬 剤部があるし、検査であれば検査部がある。これは私が一貫していつも言っていること ですが、病院の中で医療用具、医療機器なりを1つにまとめていて、それを貸し出す場 合でもまとめてやるような部署が病院の中にできていない。そこから目が行き届かない 部分、管理が行き届かない部分、マンパワーの部分でいろいろ出てきているところがあ る。手法に関して言えば、こういうふうに分類してしまうと、そこに入れざるを得ない かなという部分は拭いきれないところがあると思っています。 ○山本委員  この検討委員には入っていません。 ○吉澤委員  私も入っていません。 ○部会長  よろしいですか。ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。 ○堀江委員  実は私たちもサクシンとサクシゾンの事例で、ずいぶん前のことですけれども救急外 来で経験したことがあります。同じインシデントでも、もし実際に行為が行われた場合 の危険度は全く違うと思います。類似薬と言っても片方は筋弛緩剤ですから、これが実 際に使われた場合の危険度は全く意味が違う。そうすると、同じようなヒヤリ・ハット と言っても、その内容にはかなり差があるのではないか。  特にこういう事例を実際に経験されたことがあれば、ここでもってただ単にオーダリ ングがどうとかの改善で済む問題ではなくて、もっと深刻な警告がされるべきことなの だろうと思います。幸いに実際には行為が行われませんでしたが、しかし、そういうこ とが起こったこと自体は大変深刻に受け止めて、サクシンを別な場所に移すことで対応 しました。この内容については、ただ単にこの事例1つで看過されるのではなく、もっ と重要な警告につなげていく必要があるのではないかという気がします。 ○部会長  わかりました。ほかにございますか。 ○菊地委員  分析作業の中で分類項目に問題があるということについてですが、適切な分類項目を 導き出すには、その基になる報告書に負うところが大ですので、分析以前にヒヤリハッ トやインシデント報告書の記述内容を整備することに重きを置くことができればと思い ます。と言いましても事実を詳細に記述するには限界があり、報告様式の整備とも関係 すると思います。現場サイドの例で言いますと、報告書の記述内容がいくらか不足で も、リスクマネジャーなどの担当者が現場に出向いて、起こった事柄の事実を詳細に調 べる、すなわち、ヒューマンエラーを誘発した背景の要因を明らかにする作業を組み合 わせて行うことで不足を補っています。こうした補完作業を通して、例えば、点滴の薬 剤の混入間違いが一度ならず起こると、それを誘発した何かがあるのではないかと推測 し、その病棟へ行って、実際に見たり聞いたりと現場検証をしてみると、薬剤混合の作 業台の壁の上部にナースコール盤が設置してあり、何度も作業を中断して病室へ行かな ければならない状況が明らかになった、といった具合です。本部会でのヒヤリハット事 例の分析作業における分類項目という問題に対しても、人の安全でない行為に影響した 要因まで明確になるような、言い換えれば組織に潜在するリスク情報を把握できるよう な、記述内容のものが提供されるようになることが先ず重要ではないかと考えます。 ○部会長  まとめて言うと、どういうことですか。きちんと書きなさいということですか。 ○菊地委員  適切な分類項目の整備には、分析作業の基になるヒヤリハット報告書の記述内容の充 実が先ず優先される必要があるのではないかということです。 ○部会長  ほかによろしいですか。 ○寺井委員  先ほど堀江先生が言っておられましたが、サクシンとサクシゾンの報告で、この期間 中に起きたのかどうかはっきりここには記載されていませんが、こういったことが報道 された後にまた起きたということで、警告を発することが必要なのではないかと先生は 言われましたけれども、名称類似あるいは剤形類似で、こういった薬剤に関しては非常 に頻度が高いことを警告として発することは、どのように考えているか聞かせていただ けますか。あるいは今後のワーキンググループの課題なのか、その辺をどのように展望 されているのか伺いたいと思います。というのは、現場でもこういった情報があると、 現場で対策を立てる上でも活かしていけるのではないかと思うし、すぐ対策に移せる情 報でもあると思ったので、そういった公表に関して少し教えていただければと思いま す。 ○部会長  いまは分析の話ですよね。リスク分析、リスク評価、リスクコントロールと順番があ ります。いまの先生のお話は、もう少し後のほうの話かと思うので後でさせていただけ ればと思います。ほかによろしいでしょうか。  私は大変労作だと思います。失礼なことを言って恐縮ですが、玉石混淆というかミソ もクソも一緒と言ったらいいと思いますが、そういうふうにどうしても思ってしまうの です。出口をちゃんと設えないような分析は、いくらやってもあまり意味がないのでは ないか。Garbage in, Garbage outという言葉がありますが、要するにゴミをいくら入 れてもゴミしか出てこないということです。  いま、いろいろな先生方の御意見にあったのですが、1つはデータベースのサイズの 問題と、堀江先生が言われたリスクに応じた対処の問題で、これは非常に重要だと私は 思います。要するに、どうでもいいようなことを一生懸命やってもどうでもいいこと で、大事なことをきちんとやることが非常に大事だと思います。  それと効率化です。最近、Evidence Based Medicineというのが流行っていますが、 例えばペースメーカーという言葉を入れると何百という文献が出てきて、それを真面目 に1から読むのが仕事なのかなと思ったら、そういうのがEvidence Based Medicineで はなく、2次情報としてそれをまとめた文献が必ずあるので、効率よくEvidence Based Medicineをやる。むしろ主力は患者さんに対する対応に持っていくべきであって、文献 を隅から隅まで読むのがEvidence Based Medicineではないのだという本を読んだので す。  それと全く同じように、リスク分析の場合も個々の症例を綿密にやるのがメインでは なくて、出口のリスクをいかに減らすかが主目的なものですから、出口の分類という か、先ほどもお話がありましたが、そういうものを決めて、まとめたものを分析あるい は評価するやり方が必要なのではないか。そういう気がちょっとしました。  その出口を決めるについては、いろいろな方面の情報伝達が必要かとも思いますが、 例えば前回の4回、5回の要因と今回の要因は大分違っているのです。もちろんパーセ ントも大分違っています。そうすると、これが5回、6回の検討を踏まえて、また7 回、8回で違ってきたりする。失礼な言い方ですけれども、もう少しスタートする前に 物をよく考えてからスタートしたほうがいいのではないか。その辺、お考えいただけれ ばと思います。  ヒューマンエラーというのは必ずあることなので、これをなるべく物のほうにくっつ けて、物の安全を確かにするというのは、やり方としては私は大変いいと思います。そ れでもヒューマンエラーというのは残ります。それはシステムの問題であったり、運営 の問題であったり、マネージメントや環境の問題であったり、いろいろな問題がある。 要するに何か1つの事象が起こって、それを分析して、どこをつまんだならば危険がな くなるのかが大事なので、それを考えないといけない。ヒューマンエラーはなくして勘 違いにしたほうがいいということですね、失礼な言い方かもしれませんが、それだけで は解決にならないという気がしました。御努力は大変なことだと思いますが、もう少し 事務局のほうでも出口をお考えいただいたらどうかと思います。出口というのは解決策 です。そこへ結び付くようなことです。 ○星委員  報告をしている病院にとっても、ただ報告をして、こんな結果でしたよとばらばら送 られても何も面白くなくて、協力してやろうという気にならないわけです。例えばサク シンとサクシゾンの話があって、これは死に至る可能性があるからといってどちらかの 薬がなくなる。このどっちかやめてくれという話は長年あるわけです。そして、そうい う我々の報告が、例えばどちらかの名称を変える、あるいはどちらかの薬がなくなるこ とにつながる。そしてより安全な環境がつくられるということになれば、各医療機関に はより積極的にこの問題に取り組んでもらえるだろう。いま言われた出口というのは、 まさに全く出口のないところに、ただ出せと言われて何か嫌々書いているのです。  分析をするときも、院内での分析が十分ではありませんから大変に難しい。そうする と権限を持ってそこを問いただすみたいになって、これはどういうことだったのかと聞 くと、余計に面倒だから出すのをやめようと普通はなります。それでも出してきている のだから、よほどこの病院の先生方は偉いと思います。  ですから、院内体制をもっと充実させることと、もっと質の高い情報をもらうことの 引き替えに結果を出す。あるいは結果を出すことを明確にした上で、こういうものに積 極的に参加してくれと、あるいは院内での分析体制をもっと高いものにしてくれと言わ ないと、このまま続けていても私はじり貧だと思います。そろそろ分析の方法、情報の 集め方、院内でどこまで分析してもらえるのかも、同時に考えなければいけないと思い ます。その前提として、サクシンなりサクシゾンが、名前が変わるか、世の中からなく なるか、そういうことについて、1つでも2つでも答えを出してもらいたいと思いま す。  ただ、残念ながら製薬業界のいろいろな問題があるのでしょうから、なかなか医薬局 では言い難いのかもしれませんが、そのあたり、どういうふうにするつもりか、先ほど 私は厚生労働省に問いました。あるいは今後、この問題をどういうふうにしていくつも りなのかと聞いたら、部会長からこれは問題だという発言もあったので、是非ともこう しますということを明確に方向付けをしてもらいたいと思います。 ○安全使用推進室長  いまいろいろ意見をいただいた中で、何点かあったと思います。1点は、折角集まっ た情報をどのように検討して、どういう対策に結び付けていくのかということです。1 つの対応としては、このあとの議題になっている医薬品については、類似性の検討ワー キンググループを作って、これまでに集まったヒヤリ・ハット事例等について、どのよ うに対策につなげられるかという検討を始めていただいています。そういう形で、対策 につながるような検討はしていきたいというのが1点あります。  それから、収集の数も、特に医療用具等はまだまだ少ないという話でしたが、これに ついては対象の医療機関を今後全国に拡大していくことを考えています。よりたくさん の情報を収集することで、累積のデータでいろいろな情報を基にした対応を担っていく のではないかというのが2点目です。  3点目は、星先生からも話がありましたが、物について一方的な見方でこちらで議論 するだけでは不十分だろうということです。ヒューマンエラーもかなりあるので、そち らのグループと一緒に議論したらどうだという指摘もありましたが、それについては向 こうの部会との関係もあるので、少し話をして、できるだけその方向にしていきたいと 思っています。  4点目は公表の仕方で、単に集まったものはこうなっていますということだけでは足 りないのではないかということでしたが、その点は今後のワーキンググループでの検討 結果等も踏まえて、どのような形にするか考えていきたいと思います。ヒューマンエラ ーのほうも、いま公表の仕方を工夫して、電子化等でいけるようにしたいということの ようなので、少し検討させていただきたいと思います。 ○土屋委員  重大なものがあったときにどうするかという話ですが、1つは、私ども病院薬剤師会 のほうでとった対応は何かといいますと、いったいこういうものがどういう対応をとっ ているのかということを各病院で知り得るように、具体的な組み合わせをいくつか出し て、例えば薬事委員会がこういう組み合わせで対応薬を変えたなどもデータとして集め て、出版物として出しています。ほかがどういう対応をとっているのかという実情を知 ることも必要だと思い、1回から5回までのヒヤリ・ハット事例全部を出版物としてき ちんと載せたうえで、こういう対応策があるではないかと。これは1通りではないと思 うので、医療機関の規模・機能で違うかもしれないので、そういった所でどうやってい るということは病院薬剤師会としてアナウンスメントしました。  ただ、こういう問題は、最終的に名称をどうするのかという問題になっていくのだと 思いますが、それまでの間、我々は何もしないというわけではなくて、むしろ我々とし てはこういうものを防ぐのが薬剤師の役割だと考えているので、そういったことでの注 意は出しています。  いま、対象を拡大するという話がありました。それはいいのですが、この状態で対象 を拡大されるととんでもない話になってしまうので、正確なデータの収集の方法をきち んと出したうえで行っていただきたいと思います。例えば現実としては、薬品名を入力 する所はガイド画面を作る、辞書を配るなど標準的な名称がきちんと入ったうえで、要 するにそれが来れば自動的に分類ができるというフローチャートは作ってあります。あ る程度自動分類ができ、それに対して、さらに我々がもう1回チェックをするというぐ らいにしないと、対象拡大で何千も来てしまったら本当にお手上げです。そこは自動的 にとりあえずの分類ができ、それをチェックするぐらいの話でないと、結果から見てむ なしいところがあると思います。  最終的な出口はどうしたらいいかというときに、とにかく規格違いや剤形違いなど、 医療機関の中でどう考えるべきかということを、採用段階でどうするのかということも 含めて検討しなくてはいけない話と、医療関係ではどうしようもない名称を変える話と は分けていくのかという気がします。ですから、本当にアウトプットがしっかりしてい ないと出すほうは出す気にならないというのは事実だと思うので、拡大に当たっては確 実にそこのところを変えた形で拡大していただきたいという気持です。 ○部会長  どうもありがとうございました。いたずらに数を増やせば問題が解決するかという と、必ずしもそうでなくて、1例の中にもいろいろな教訓が含まれていると思うので す。それは十分認識していただいて、むしろやり方の問題を整備するということが非常 に大事だと思うのです。数を打てば当たるかもしれませんが、闇雲にやるのは効率が悪 い感じがします。もう1つは、情報提供をしてもらった所へのフィードバックの問題で す。これは先ほどおっしゃっていたインセンティブを出すということで、やっても何の メリットにもならないと、やはりだんだん先細りになってしまいます。 ○外委員  ヒヤリ・ハット事例というのは、もともとが薬や医療用具を使った医療行為の始まり の段階でミスが見つかった。実際には患者の所に危害は及ばなかったけれども、例えば 病院のシステムで事故には至らなかった、あるいは別の人の監視によって、それが事故 に至らなかったということで、さまざまな事例が報告されるわけです。先ほど玉石混淆 と言われましたが、確かにいろいろな要素を含んだものが出てくるわけです。それを分 析するというのは、困難な面が非常に大きいわけです。出口をはっきりしなければいけ ないというのは、確かにそのとおりなのです。ただ、いま明らかになっている出口は、 ここに要因として分けたものしかないわけです。その要因を私たちが物として分類し て、その物による改善点を探ろうとするわけですが、そういう物の要因に分類する一方 の方向と、リスクの大きいものをそこにどう割り付けるか。だから、リスク度から軸を もう1本作る必要はあると思うのです。  もう1つは緊急度だと思うのです。緊急に対策をしなければ患者に危害が及ぶ可能性 が出てくるのではないか。ヒヤリ・ハット事例から実際の実害に至るまでが、そのシス テムでは防げない。病院では防げない、個人では防げないものをどうするか。そして、 そこに緊急性というものが軸として出てくると思うのです。だから、リスク度と緊急性 に分けて分析は必要だと思います。  ただ、私は、これについては件数が多くないと、ヒヤリ・ハット事例からあるものの 改善というところまでは、なかなか行かないと思うのです。例えば、いま1例が非常に 意味を持つかもしれない。確かにそのとおりなのです。それは例えばコンピューターに 入力するところで、サクシンとサクシゾンを間違った。これは間違うわけです。ただ、 その病院としては、そこから先、患者に実際に打つまでのところでミスが起こらないよ うなチェック機構を作るべきだし、それができていない所にこちらから作りなさいとい うことを言う必要はあるかもしれませんが、それは複数例出てきて意味があることでは ないか。私が思うには、まだほかにもいっぱいあるのではないか。確かに、もう新聞に 出ている。事故が実際に発生しているし、医療用具や医薬品で患者に危害が及んでいる というのがいくつかある。そういうことも手を打たなければいけないけれども、そちら にはまだ手が打たれていない。  1例を挙げれば、リロカインの2%と10%ということがあって、実際に患者が亡くな っている。医薬品のグループのこれからの検討事項に入っていますが、いまでもその事 故は起こりかねないわけです。ヒヤリ・ハット事例の分析は、量と時間というのはある 要素として必要だと思うのです。それ以外の検討ということで、緊急性とリスク度の高 いのは、このヒヤリ・ハットだけではなくて、もう1つの方面から、重大事例という所 からも対策をするべきではないか。 ○部会長  私が少し意外だったのは、薬剤関係の先生からクニカルファーマシーの言葉が出なか ったことです。私は、病室なり何なりに薬剤師が参加していることが、リスクの回避に は役立つのではないかと思ったのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○藤上委員  私はこの委員会に参加した当初から、人と物を別々に考えていることに非常に違和感 を覚えていたのです。人と物を同一レベルで検討する必要性があるのかということと同 時に、インシデントをアクシデントにしないことが、専門職の存在意義の1つであるの かということで、各々の専門職としての機能が十分発揮できるような環境整備も必要な のか。いまクニカルファーマシーということで、病棟で薬剤師がかかわることが必要で はないかとおっしゃいました。もちろん、そのとおりなのですが、本当に病棟で力が発 揮できるような環境整備がなされているか、ということも1つ問題ではないかと常々 思っていました。 ○部会長  それが非常にリスク回避に役に立つのならば、そのように持っていかなければいけな いわけでしょう。 ○藤上委員  持っていかなくてはいけないのではないかと思っています。 ○土屋委員  おそらく、いま起きているヒヤリ・ハット事例を防ぐためには、薬剤の供給体制を変 えるということは、1つ必要なのだと思うのです。果たして従来やってきた供給体制が 良いのか。いま、まさにクニカルファーマシーで病棟に薬剤師がいるようになってき た。その場合の供給体制を変えることによって、おそらく看護師のレベルで起きている 事例は、かなり防ぐことができると考えています。いま試行錯誤でそういうことが始ま っていますので、そういった所のデータが出てくると、こういうことをやればこういう のが減る、というのがわかるということなのかと思います。 ○部会長  出口の要因の所にそれをちゃんと書いて、それが非常に必要性が高いということを強 調されないと、厚生労働省はわからないと思うのです。 ○土屋委員  ただ、これは事例だけで、そこのバックグラウンドのデータが全く来ないものですか ら、それは病棟に薬剤師がいて起きたのか、起きていないのかというのがわからないの が現状です。 ○部会長  もし、ほかに意見がなければ次の議題に進みたいと思いますが、よろしいですか。2 の「類似性検討ワーキンググループの設置等について」、事務局から説明をお願いしま す。 ○事務局  資料5−3、「医薬品類似性検討ワーキンググループについて」です。本日はこの検 討ワーキンググループの作業状況を説明した後、各ワーキンググループから代表の方々 がいらっしゃっていますので、これからのワーキンググループの進め方等について、議 論していただければと思っています。  1頁ですが、このワーキンググループの設置の経緯をおさらいします。先ほども議論 していただきましたが、これまで蓄積されたヒヤリ・ハット事例に基づいて、今回この ようなワーキンググループを設置しています。医薬品に関しては、大体四半期ごとにア ベレージで150件ほどの報告をいただいており、第1回から第4回分ということで、お おむね1年程度の情報を取りまとめた結果が602件ありました。これらを要因別に解析 をした結果、その中で件数が多く特に重要なものということで、5つほどの切り口で ワーキンググループを設置して、医薬品にかかる取り違え等についての対策を講じてい こうと考えたものであり、前回、この部会でワーキンググループの設置について了解を いただいたところです。  具体的なワーキンググループは5つで、(1)から(5)まであります。まず、規格のワー キンググループでは、内用薬に着目して、含量の違い、規格違いに対する取り組みを検 討することを考えています。(2)の名称類似ワーキンググループに関しては、その名の とおり、内用薬、注射薬、あるいは外用薬、すべての薬剤について、名前が似ているこ とについてどう取り組んでいくか検討していただこうと思っています。(3)の注射薬に 関しては、これも解析結果に基づくものですが、特に注射薬の場合、アンプルやバイア ルという容器が非常に似ていることにより、取り違え等があるということについてどう 考えていくかという取り組みを行う予定です。  輸液ワーキンググループに関しては、注射薬のうち輸液類についてはいろいろな成分 が配合されていて、その結果、外観類似のみならず、配合されている成分の違いを記号 等で表しているわけですが、記号違いによる取り違えが多く見られたという分析結果に 基づき、それについてどう対策を講じていくかということです。(5)の眼科用剤ワーキ ンググループについては、点眼薬を中心として、容器が非常に類似している中で、取り 違えをどう防いでいくかというところの検討をしたいと思っています。  そういう目的に基づいてワーキンググループを設置したわけですが、2頁にこれまで の作業状況があるので紹介します。4月18日に、それぞれのワーキンググループの方々 にお集まりいただきました。ただ、眼科用剤に関しては、日程等の関係で、あらかじめ 眼科用剤ワーキンググループだけのメンバーで、4月15日に打合わせ会議を行いまし た。  一般的な各ワーキンググループ横断的な意見ということで、2頁に書いてあります が、作業の基本方針として、検討に当たっては、中長期的な取り組みと当面の対策に分 けて考えるべきだろう。分けるに当たっても、個別の事例を見たうえで、患者に対する リスクの大小に着目した中で問題点を考えていくべきだろうということ。実際に講ずる 対応に関しても、製品の改良あるいは情報提供等あるわけですが、この対応の内容に関 しても、患者に対するリスクの度合いによって異なってくるのではないかという意見が ありました。  実際、対策を講ずるに当たっても一定時間かかる部分がありますので、表示や情報提 供という比較的迅速な対応も、併せて行うべきだろうということです。実際に取り違え 等の可能性をできる限り低くするという目標に向かって考えるに当たっては、製品とい う物からのアプローチと医療現場での対応という、両面からの検討が必要だろうという 意見もありました。物の改善のみならず、人が介在することで取り違えを防ぐこともあ るので、人に関する対策も併せて考えるべきである。いわゆる両面から考えていくべき という意見がありました。  具体的な類似性解消のための対応ですが、ある程度取組みにはルールに統一的なもの がないと、それはそれで現場のほうが困ってしまうという意見がありました。それか ら、識別性を向上させるための表示や情報提供も大事だろうということです。  検討結果の取扱いに関しては、作業した結果が全国どこの医療機関でもある程度通用 するというか、良い方向に向かっていることを検証するために、いろいろな段階で関係 者の意見を聞くべきだろうということも確認されております。検証するための方法論と いうものも非常に難しいとは思いますが、考えるべきだろうということです。こういっ た基本的な考え方に基づいて、各ワーキンググループにおいて、それぞれ目標を設定し て、作業計画を具体的に示してあります。それが3頁目以降です。  本日は各ワーキンググループから代表の方々をお呼びしていますので、具体的にはそ の先生方から改めて紹介していただければと思います。3頁が規格ワーキンググループ のメンバー、あるいは目標設定、具体的計画、検討方法を示したものです。メンバーは 7名で構成されています。  5頁は「名称類似ワーキンググループ」に関する資料で、合計で11名の先生方の参画 により、それぞれ現段階で目標を設定して、具体的な計画についても示してあります。  7頁は「注射薬の外観類似ワーキンググループ」に関する資料で、メンバーは9名で 構成され、それぞれ目標設定、具体的な計画を検討しています。  8頁は「輸液ワーキンググループ」で、メンバーは9名で構成され、目標設定、具体 的な計画等を示しています。  10頁は「眼科用剤ワーキンググループ」の資料で、6名のメンバーで構成され、それ ぞれ目標設定、具体的な計画、検討方法を示しています。  時間の都合上、内容については省略しますが、後ほど各ワーキンググループに参画し ておられる先生方から、このあたりの紹介をしていただければと思っています。 ○部会長  どうもありがとうございました。最初に、規格ワーキンググループの原先生、説明を お願いします。 ○原参考人  規格ワーキンググループとして、資料3頁に「目標設定」とありますが、今回ワーキ ンググループでは内容を範囲として検討を行うということになっています。その中で、 複数規格の選択の誤り、これは情報、物に関してです。散剤・液剤の含量計算、これは 何パーセントということや倍算であったり、そういう計算のところの誤りを防ぐという ことで、目標設定をしました。(1)の「販売名における規格の表記について」では、複 数規格があって、規格の表記が名称の中に含まれていないものは誤りにつながる可能性 が多いということで、その辺の実際を調査・分析して検討を進めたいと思います。  (2)の「規格にかかる誤りを防止するための効果的な包装等への表示方法」は、パー セント表記や倍算表記はかなり減ってはきていますが、まだまだあります。それを実際 の物の確認ができるようにということで、表示方法を検討したいと思います。  (3)は「医療機関や薬局等における規格の確認手段の事例を示す」ということで、医 療機関、薬局等で処方の指示があって、実際に物が患者に使用されるまでのプロセスが あるかと思います。その中で、物と人と情報の確認を行いつつ進んでいくわけですが、 そこでエラーの要因となるようなものに対しての対策事例を示せればと思います。特に リスクの高い、頻度が非常に多い、あるいは重篤な健康被害につながるような事例に対 しては、個別に、できるだけ早い段階で対策等をこちらの部会に提出できればとも考え ています。  「その他、規格にかかる安全確保のための対策」は、規格という一言にも、ヒューマ ンエラーを含めていろいろなファクターが含まれているので、各医療従事者等、あるい は患者を含めた情報提供、コミュニケーションということも視野に入れて、提案できる ものがあればしたいと思っています。  また、規格の所で第1回のワーキングで出てきたのが、1つのブランドに対して複数 の規格が存在するという情報がなかなかない。それは現場で、薬剤師も看護師もそうで すが、例えば院内に、これについては複数の規格があるという情報が不足している場 合、非常にエラーにつながる可能性があります。それについて担保するような情報、仕 組み、手段等についても、併せて検討していきたいと考えています。よろしくお願いい たします。 ○部会長  名称類似ワーキンググループの土屋先生お願いします。 ○土屋委員  名称類似については、かねてからいろいろな所で指摘のある所ですが、今回の目標設 定は2つです。1つは、類似しているものをどう類似と判断するかということの評価方 法を確立しようということです。これについては、過去のデータあるいは室内実験で、 みんなが類似とみなすかどうかという実際的な実験も含めて、そういった方法を確立、 あるいは私どもで一昨年度に開発したシステムもあるので、そういったものを利用しな がら評価方法を確立させるということです。もう1つは具体的な対策を出すということ で、それは例えば入口論で言えば、承認時の名称の付け方の問題、既存のものの変更、 あるいは名称類似が起因して選択エラーが起きているオーダリングシステム等の改良と いうことについて、具体的な対策を出そうということです。  一応こういう形でやりますが、現実としては危険度の高いもの、例えば危険度が高く て1文字しか違っていないという組み合わせがあるとすれば、すべての薬をフラットに 見るのではなく、リスク度に応じた評価をきちんとしようということで今後進めていく 予定です。 ○部会長  注射薬の外観類似ワーキンググループの滝沢先生お願いします。 ○滝沢参考人  注射薬の外観類似ワーキンググループにおいては、現状どうしても注射薬というのは バイアルやアンプルという容器の形状が限られてしまうので、どうやってこの事故を防 ぐかということで話合いを進めてきました。ワーキンググループの開催に当たり、現 在、表示がされていても読めない、あるいは見えないという外観類似以前の問題がクロ ーズアップされてきました。折角表示している以上は読めなければ意味がありませんの で、アンプルもしくはバイアルについて、現状、直接印刷で表示されているものは非常 に見にくいという意見がありましたので、目標として、最低限ラベルにして視認性を向 上させていけないかということが挙げられました。  それから、表示をするに当たっても、どの情報が重要なのか。販売名であるのか、規 格であるのか、あるいは投与経路であるのか、そういった表示の重要度についてもう少 し調査をして、表示をするに当たって何が重要であるのか。重要度に応じて文字の大き さを変えていく、色を変えていく等を検討していこうということで進めています。外観 類似については、注射薬だけでは済まないところがあります。名称類似の問題などもあ りますので、ほかのワーキンググループと連携して取り進めていこうということになり ました。 ○部会長  輸液のワーキンググループは、村山先生と雨宮先生のお2人からお願いします。 ○村山参考人  輸液ワーキンググループから、目標設定、具体的な方法について提案させていただき ます。輸液ワーキングなのですが、輸液類と考えたほうがよいかと思っています。とい うのは、輸液の中には末梢で使う100ccぐらいの小さい生理食塩水から、500ccの大きい ものもあります。中心静脈に使う大きいバッグもあります。それからバンカー手術用の 2層になっている、オペのときに使う、輸液に非常によく似たものもあります。CAP Dに使う携行透析液も輸液に非常によく似ており、2層になったり、3層になったりし ています。こういったすべてのものを輸液類と考えて、これでの視認性や使い勝手に よって、どんなことが起きているかということを前提にして、それをいかになくすかと いうことに焦点を当ててやっていくことになっています。  期間が約1年間なので、具体的にこの時期までに何をすると決めてやっていかない と、1年間検討しただけで終わってしまうので、何らかのアウトカムを出したいという ことで、目標設定についても、短期ではすぐにできること。特に薬事法による規制がな くて、各医療機関と製造業者等で対策を講じて実施できること。中長期としては、輸液 の形態や表示に関して、こうあったらいいという要望を書いていただいて、それに基づ いてできる範囲の実施方法を提案して進める。長期としては、将来このようにしてやっ ていただきたいという提言。これを3本柱の目標に設定して、具体的には9頁のよう に、各委員の先生方の所で、アクシデントも含めて、実際に輸液類で起きていることの 情報収集をして、そこからのデータベース、物と人のビヘイビア、いわゆる作法という ものはどういう関連性があるか、人間工学をされている先生方とうまくカップリングし ながら、具体的にどのような対策を立てたらいいかということを進めたいと考えていま す。  現場での輸液製品のあり方についてのアンケート調査を行って、その結果からフロー スキームを作って、中長期計画として実現可能な要望を抽出して、優先順位をつけて提 案する。大体ここまでが実現可能かということになるので、ここまでを11月ぐらいまで には実現して、そのあと施行の結果を基に各担当の委員の先生の施設で、輸液に関する 医療事故防止のために実際に提案のあったことをビヘイビアとしてやっていただく。そ の結果を取りまとめて報告するという方法で進めたいと考えています。 ○部会長  眼科用剤のワーキンググループの内野先生お願いします。 ○内野参考人  眼科用剤ワーキンググループでは、これまで2回ほど打合わせを行っております。眼 科用剤に関しては、以前に水虫薬との誤使用が問題となり、容器の改善、表示について 改良を行い、かなり事故例は減ってきたということがあります。反面、点眼剤同士での 取り間違いが発生している。さらに、これは名称類似に当たるのかどうかよくわかりま せんが、点鼻薬、点耳薬というのは同じような名前になっているので、点眼との取り間 違いが起こっているということで、取り間違い防止について検討を行っています。  目標設定としては、医療現場から、持って触って、これが点眼薬だとわかるような形 状、ユニバーサルデザイン的なものを検討できないかということが求められ、課題とし て挙げられています。すべての点眼容器を統一したときには、逆に今度は他の化粧品や 小物と取り間違いが起こる可能性もあることも考えなければいけない。さらに、形状を 統一した場合に本当に取り間違いが起こらないのかといった、実際の効果の検証等につ いて、これから検討していかなければならないと考えています。さらに、排他性を持た せることができるかについても、今後検討をしていきたいと思っています。  2は、点眼剤に比べて抗菌剤、あるいは点鼻・点耳剤といった薬効群の製品数のほう が少ないこともあり、こちらのほうでもある程度の改良をしていただければ、逆に点眼 剤の差別化をすることができるのではないかということです。水虫薬に限定しているわ けではなく、ほかの剤形についても工夫を提言していきたいと考えています。具体的な 計画・検討方法についてはここに示したとおりで、視覚障害者の方についても配慮しな ければいけない。家庭に実際に持ち帰ったときに取り違えが起こるのではないかという ことについても配慮していかなければいけない、ということを検討しています。  3は、こういった製品設計が考えられるわけですが、非常に困難である場合について はラベルでの代替、ラベルである程度視覚性を高めていく、あるいは表示内容に関して の見直しを行い、必要な表示を選択していくことを考えていきたいと思います。  4は、医療と調剤と製薬メーカー、3者でそれぞれが工夫をしなければいけないとい うことで、正確な処方箋への記載、調剤、患者への理解を得るための副作用、使用方法 についての情報提供についても考えていきたいということです。誤使用に当たっては、 誤使用した場合の安全性に関する情報を積極的に収集するといった対応を考えていま す。 ○部会長  どうもありがとうございました。先ほど寺井先生が言いかけて私が止めてしまったの ですが、こういうことをまとめて御発言、御質問はありませんか。 ○寺井委員  このような対策として、先ほどの医療用具・諸物品の情報が活かされていくと認識し ました。 ○部会長  先ほどは、どのような対処をするのかという質問のように思いましたが、それはどう なのでしょうか。 ○事務局  とりあえず、いま御紹介した医薬品の関係のワーキンググループに関しては、資料の 説明のときにも申し上げたとおり600件という数が集まった中で、要因等に関する分析 ができたという中で、5つの切り口に従って検討を始められたという状況です。一方、 医療用具に関しても、アベレージで四半期ごとに50件ほどの件数が集まっています。た だ、医療用具の場合はかなり種類が多く、50件の中でも1件、2件といったものの集ま りが50件という形での報告なので、これも一定数情報が集積した段階で、こういう切り 口を変えていく中での検討課題というのは浮かび上がってくると思います。基本的には 情報を集積した結果に基づいて、同じような考え方で検討を始められるものと考えてい ます。 ○部会長  質問の意味は、いまのお答えとは少しずれています。要するに検討はわかるのです。 検討した結果が出ますね。それについての心構えというか、態度というか、そういうも のを伺いたいということだと思うのです。 ○事務局  すみませんでした。検討結果に関しては、医薬品、医療用具にかかわらず、まずは広 くこういった事例が起こっているということをお伝えすることが大事だと思っていま す。それとともに、具体的な検討結果、あるいは対策が講じられた段階では、その内容 に関して個別の製品ごとに「今後はこういう取組みがなされた結果、こういう製品が市 場に出ていきます」という形での周知はしっかり行っていきたいと思っています。方法 論に関しては、我々の方からの文書というやり方もあれば、ITを使ったやり方もあ り、複数の方法でそれらに取り組んでいきたいと思っています。 ○星委員  先ほどの話と関連するのだと思うのですが、医薬局が出した水虫の薬に、小さな字で 「目に入れないこと」、赤字にしましたと言っていたのをもって改善だということだと 仮にしたとして、何割の製品がその後そのようにしたのかということの検証がどの程度 行われているのかということを、私は前に別の委員会でお伺いしたら、必ずしもそれは 報告義務もないし、わからないのだと。ある報告によればこうだと聞いている、という レベルでしか話がなかったのです。私は、これらの結果が、みんなこれを注意しましょ うという結論だけに終わることをいちばん恐れています。なぜなら、それだけでは意味 がないからこそこの委員会を作った、というふうに私は認識しているからです。それを まず共通の認識として持っていただきたいのが1つです。  もう1つの問題は、ワーキンググループでこうしましょうと言ったことが、本当に現 場で適用されるのかどうかについて、十分でかつ迅速な検証が行われることは必須のも のだと思います。したがって、いくつかのワーキンググループは「試します」と書いて ありました。その「試します」というのは大変重要です。そして、このワーキンググル ープに参加していない施設を含めて、規模や扱っている患者の種類によって、本当に齟 齬が発生しないかどうかを十分にかつ迅速に検討してもらいたいのがもう1つです。  それから、医療業界の中の問題かもしれませんが、例えばどちらかの薬の名前を変え なくてはいけないときに、前期の利益の高い会社が変える、あるいは売上げの多い会社 のほうが変えるというルールをどこかで決めておかないと、経済的な損失をどこが引き 受けるのかということも、ある程度いまから想定しておかないと、結局、業界に話を 持っていったときに、そんなものは駄目ですということになれば、たぶん厚生労働省か らこの報告書が出る前に削除される可能性がある。ですから、そういうルートを通らな いで、表に出すときにこうしますと。つまり、この名称を変えなければいけませんとい うことをワーキンググループから出したということが、すなわち、あるルールをもっ て、製薬企業がそれに対応するということとリンクしなければ全く意味がないと思いま す。  もう1つ、先ほどの「目に入れないこと」という話と連動して、結局、どれだけの人 たち、あるいはどれだけの製薬企業が、これにどれだけの期間で対応したのか、私たち に知らされなかった。そして、「なるほど、そういうことがあるんだね」と。何年かし てから、「目に入れないこと、本当書いてあったよ」というレベルでいいのかどうか。 すなわち、ある時期までに変えるべきだという提言をワーキンググループがしたとき に、それを法制上強制できないのだとすれば、それをモニターして、この会社はやって いる、この会社はやっていない、これを明らかにするだけでも私は価値があると思いま す。それを見て、消費行動を変化させるかもしれないし、その会社の株価が動くかもし れません。  したがって、どの会社がいつまでにどんな対応をしたのかということがモニターでき る仕組みを、必ずいまから作っておいていただきたい。ワーキンググループの結論が出 ました。それを引き受けて、これから製薬企業で検討しましょうなどというプロセス を、私は容認しません。したがって、このワーキンググループの議論と連動して、ある いはそれと並行して、いま申し上げたような仕組みを厚生労働省が中心となってお作り になることを、ここで誓ってもらいたいと思います。 ○事務局  医薬品については平成13年に通知を出しており、先ほど御指摘のあった水虫薬の表示 に関しても、その中で対応を求めることとさせていただいたところです。まず、モニタ ーという話がありましたが、1度、平成13年の通知に対してどのぐらいの品目が対応 しているかということを、我々のほうで調べ、対応状況を本部会でも御報告し、対応し た品目のリストも付けたことがあります。ただ、そのときに、全体でどのぐらいの数が ある中で対応してきているのかという分母がわからない中では、何パーセントの品目が 対応しているかがわからないという指摘がありました。そのあたりも含めて、改めて製 薬業界のほうで準備なり調査をいまも引き続き行っていただいていますので、このあた りの状況がわかりましたらお話したいと思っています。  考え方としては、対応を求めた際には、今後それがどのような形で変わっていくの か、繰り返し知っていただくための努力も必要だと思いますし、その結果どのぐらいの 品目が置き変わっているかも逐次モニターしていくことも非常に重要な問題と思ってい ます。その具体的な方法に関しては、また改めてワーキンググループのメンバーの先生 方、そのほかこの部会の先生方も含めて御相談させていただければと思っています。 ○土屋委員  私は作業もしておりますが、いま必要なのは何かというと、昨年度の4月17日の医療 安全対策検討会議で出たところで、物の安全と使用の安全を両方図っていくことが医薬 品にとって不可欠なのだということがありました。現在、物の安全を図るための添付文 書はあるわけですが、使用の安全を図るための添付文書に該当するものがないわけで す。まさにいま星委員が言われたようなものは、私は使用の安全に関しては添付文書で はなくて電子的なファイルがいいと思っているのです。それはしょっちゅう変更になっ たり、改善されたりする。そうすると、電子ファイルがあれば、それを見ればどこの企 業がどうやっているのかわかります。例えば通知が出ても、その通知を前向きに取る か、後ろ向きに取るか、これは極めて限定的に取っているところもあるのです。  これはおそらく規格の所で出ていた話だと思いますが、ここでは新規の発売だけにつ いてしか言わないのだから、既存のものは変えなくていいということがある。そうでは なくて、制度趣旨をもっと考えて、使用の安全を図らなくてはいけないことがわかった ときに、我々が自由に選択できるような情報提供の場がどこかにあればいいと思いま す。したがって、私は、むしろここで使用の安全についての電子ファイルを作ることを 決めて、会社はそこに登録する。項目を決めて登録さえすれば、添付文書と全く一緒で す。例えば「相互作用」と書けば、「外観上の相互作用」の所には外観の類似性の話 で、ヒヤリ・ハット事例でこれとこれとの取り違えがあったということが書かれていた り、名称の類似ということでいえば、名称における相互作用ということでやる。  この際、まさに医薬品の添付文書そのものの形態をとって、それの内容を使用の安全 の観点から書いたらどうなるのかというものを作ることが、結果としていちばん早いの か。それを見てユーザーが「ここのものは採用するのはやめよう」ということを考えて いく、市場の論理を使うことも大事なのではないかという気がします。 ○北澤委員  今日ワーキンググループの紹介があったのですが、それぞれに取り組みがあると思う のです。このワーキンググループでの作業が、いまの対策部会にどういう形で情報の連 絡というか、ワーキンググループでこのぐらいのことをやって、いままでこういうこと を決めたという報告なのかよくわからないのですが、これからの予定はどのように考え ておいたらいいのかわからなかったので、教えてください。 ○事務局  事務局からお答えいたします。ワーキンググループの検討状況に関しては、今日の段 階で、各ワーキンググループが1回ないし2回、作業をしてきた結果を紹介していま す。各ワーキンググループの目標や実施方法の紹介をし、この辺りについて御意見等を 本日いただければと思っています。  このあとですが、その内容について精査した段階で、各ワーキンググループごとにそ の目標に向かって、あるいは実施方向に従って作業していただければと思っています。 ある程度まとまった段階で中間報告的に、再度この部会で作業状況を報告して、その内 容について改めて議論していただければと思っています。そのあと引き続き、部会にお ける意見等を踏まえてワーキンググループで作業を行って、具体的な対策に結び付けて 取りまとめが進んでいければと考えています。進捗状況に照らし合わせて、この部会に はその都度報告し、審議していただければと思っています。 ○星委員  先ほどの事務局の話は私のお願いに対して答えていないので、もう一度、端的に申し 上げます。いろいろ言いましたが、業界の中の話は業界の問題でしょうから、業界の中 で考えていただけばいいと思うのです。少なくともワーキンググループなりここで議論 した結果として、こうしてほしい、あるいはこうするべきだという意見がまとまって、 それがお願いベースならお願いベースかもしれないし、場合によっては規制ベースなの かもしれませんが、基本的にはそういうことはあり得ないと思うので、たぶんこうして ほしいということで医薬局長通知か何かを出すのでしょう。それに対して、どういう対 応をとったのか。対象となる製品が各社どの程度あって、それに対する対応がいつ何時 の時点で行われたのかということが、少なくともモニターできる仕組みを行政の責任で 作ってもらいたい。これはいまの行政のやり方として、手法として不可能なことではな いと思うので、是非とも御決断をいただきたいと思います。 ○安全対策課長  例えばこの部会で議論していただいたこと、他の安全関係のさまざまな審議会でもそ うなのですが、その結果について有効性や実施状況を把握したうえで、それをまた新た にとる施策内容などにフィードバックしていくことが必要ではないか。私どもも何らか の方法でそういった方法を組み入れたいと思っていて、御説明申し上げたように、一 部、少しずつ取り入れているところです。  今般、こういったさまざまなアイディアがある中で、魂を入れるというか、実効を挙 げるために、この会合には特に産業界に直接関係される方も出席されておられますの で、そちらの御理解も得ながら、趣旨の方向で政策を考え、ある時点でまたこの部会に お諮りすることによって積み上げていきたいと考えます。 ○星委員  もう何度も申し上げませんが、あの調査にしたって、私どもから「母数がわからなけ ればしょうがないじゃないか」と言われてやったわけです。それはごくごく最近の出来 事なのです。ですから、私が申し上げているのは、そういう仕組みを最初から内包して 作ってほしいということです。つまり、調査をかけなければわからない、業界に聞かな ければわからないというようなやり方ではなくて、何が起こったのかがアップデートに わかる仕組みを作ると言ってくださいよ。 ○安全対策課長  星委員の御指摘の点については、趣旨は私もしっかり理解していると思います。しか し、現行の枠組みの中で、どういう点を柱として組み立てていくのかについては行政の 内部で、実際にやる、やらないは、直接は個々の企業が箱の形や添付文書の書きぶりに ついて、予算をつけながらやっていくわけで、私どもで精一杯説得しながら優先順位を つけてやっていくのだと。そこについてはそういった準備もあることを御理解いただき たいと思います。いずれにせよ思いは同じだと思っています。 ○望月委員  私は体調の都合で半年以上こちらの会議に出席できていなかったのですが、最初の分 析結果の報告、先生方の議論を聞いていて、半年前とあまり変わっていないというの が、その時点での正直な感想だったのですが、いまワーキンググループが設置されて、 それぞれ具体的な検討がなされていくということを聞いて、だいぶ進歩したと思ってい ます。いくつかのワーキンググループが短期的な目標の中に挙げられていましたし、先 ほど別の委員会の意見もありましたが、集まってきたいろいろなインシデントのレポー トのフィードバックをできるだけ早い時点で行っていったほうがいいだろうというこ と、つまりどういうインシデントが起こっていて、どのような形の対策を各施設が講じ ていて、うまくいっているという当面できる対策を早くフィードバックすることは、ど のワーキンググループについてもいちばん最初にできることかと思いました。  もう少し踏み込んで、実際に名称の変更、外観の変更も検討していくことを挙げてい たワーキンググループもあったと思うのですが、そういった場合に、変更するというの は企業にとって非常にお金がかかって、人手も労力もかかることだと思います。また、 医療機関によっては、もしかしたらそういう変更をされてしまうと逆に問題が生じると いうケースもあると思うので、大きな変更については、複数医療機関でのトライアルを 行ったうえで、していただくことが必要なのかと思います。その際に、各ワーキンググ ループに何社かずつ企業が入ってはいるのですが、全企業間での調整をどういうルート を使って行っていくのか見えないところがあったので、是非そういうところも取り組ん でいただければと思いました。  統一化・標準化していくことによって、表示等をきちんと整備していくという提案も なされていたのですが、統一化・標準化をどの視点で行っていくかによっては、かえっ て類似性を招いてしまうこともあろうかと思いますので、統一化・標準化に当たって、 類似性を招かないような観点も必要になると思いました。  先ほどの分析結果の所でも出ていましたが、ワーキンググループのメンバーの中には ヒューマンエラーの視点も取り入れた意見を出される委員が入っているとは思うのです が、この医薬品・医療用具等対策部会と併せて、ヒューマンエラーの部会とワーキング グループの連動も考えていただいたほうが、一石二鳥で解決がついていくかと思いま す。  規格のこと、あるいは名称の類似性のことも含めて、処方箋の書き方が医療機関間で もかなり違いがあります。医療機関内の取り決めで書き方が決まっていたり、先ほどの 分析結果の中の伝達ミス等も、おそらく処方箋なり注射の処方箋のきちんとした書き 方、あるいはいろいろな指示をどのような形で伝達していくかという辺りが、医療機関 ごとにかなりばらついているということも原因になっているのではないかと思うので す。物の対策を講じるのと併せて、そういったところもどこかの部会で検討していかな ければいけないことではないかと思いました。 ○部会長  企業の伝達というのは、お二方の委員が出ておられますが。 ○吉澤委員  企業では、伝達に限らず、例えば規格、あるいは名称類似したときの注意喚起等につ いては、現在個別に取り組んでいます。例えば規格については、多くの企業で規格ごと に色分けをしていく。そうすると、もし医療関係者が色に頼られると、これが統一して いなかったらとんでもないことが起きてしまう。それぞれの企業は、自分の所の製品は このようにしたということを、主として薬剤部経由、あるいはDI室経由で医療関係者 に伝達を行っています。ただ、全体を統一して、きちっとした対応をしない限り、伝達 しても医療関係者全体のコンセンサスが得られていない場合には、伝達が徹底しない。 一生懸命やって叱られて帰ってくれば、もう伝達はそこで終わりということにもなって しまいます。  したがって、今度のワーキンググループではそういうきちんとしたコンセンサスが得 られること、あとがトレースしてきちんと対応をチェックできること、あるいは効果が チェックできることが非常に重要だと思っています。私もワーキンググループに入って いますが、その辺も踏まえて、緊急でやらなければいけないこととして、例えば名称類 似だとダブルチェック、あるいはトリプルチェックしなければいけない医薬品同士の類 似の場合に、どうやってダブルチェック、トリプルチェックを行っていくことが可能か というような面も含めて検討させていただきたいと思います。いま行っている個別の対 応は、できるだけコンセンサスの得られた共通の対応に変えていきたいと思っていま す。 ○部会長  海外などはどのような事情なのですか。 ○吉澤委員  海外でも、アメリカでは経口剤はPTPがほとんど使われていない等、状況がかなり 違っています。ただ、名称類似にしろ、取り違え・規格違いにしろ、状況についてはそ んなに大きな差はないと伺っています。 ○星委員  話を戻してすみませんが、期待しています。具体的に8月に概算要求がありますか ら、是非その辺りまでにどういうものを考えるのか。これから新しい財団を作るという ことは不可能でしょう。かと言って、厚生科学研究費でやるということでなくて、是非 とも予算本編の中にこのことについての情報センターのようなもの、あるいはその機能 を担うものの創立、あるいは運営ができるという報告を期待しています。今日は報道の 皆さんもお出でですから、私は是非ともお願いしたいと思います。  先ほど製薬企業もお金をかけるとおっしゃいましたが、金はかかるけれども、お金を かければ確実に変えられるものなのです。それについては、やはり国民的なコンセンサ スも必要だと思います。私どもの医療現場において言えば、根性出せ、根性出せと言わ れて、お金もなければ何もない。しかし、金が入ったからといって、全部がうまくいく という保障もない。そのような中で一生懸命やっているわけですから、「お金をかけれ ば直ることがあるなら、金をかけて直してください」という声は私は非常に素直な声だ と思うので、その辺は是非とも業界の方にも理解してもらいたいと思います。 ○部会長  安全というのはただではなく、コストがかかるということです。もう1つ私がよく言 うのは、安全についてはハイテクを使うべきだと思うのです。今日もバーコード等の話 はあまり出なかったですね。薬剤の確認などは、スーパーでやっているバーコードを使 えば、一発でわかってしまう気もするのです。それは経済的な要因に付着するのかとも 思います。 ○土屋委員  バーコードおよびICチップについては、今週の末に医療情報学会で「医療ICタグ に対する研究会」が発足して、医薬品にICタグを付けたときにどういう問題がある か。ある意味では、究極の所をきちんと押さえておくという活動がスタートします。 ○審議官  名称や表示の関係は、究極的には日本においてもバーコードシステムを導入する等し て、ミスが起こらないようにすることが大事だと思います。それは私どものほうでも研 究しながら、できるだけ早く方法を確立していきたいと考えています。また、医療機関 からのヒヤリ・ハット情報等は、改正薬事法において医療機関からの安全情報を報告し ていただくことが規定され、「報告せねばならない」となりました。我々としても安全 情報の収集、ヒヤリ・ハット事例の収集を積極的に行っていくためのシステムも今後 作っていく必要があると考えており、予算的においても、できるだけ前向きの方向で努 力していきたいとは考えています。 ○原田委員  いまの話に関連して、安全情報、ヒヤリ・ハット事例などのように、実際に何か問題 が起きてしまったとか、その可能性があるという所から情報を集めるのも大事だと思う のです。しかし、先ほど星先生も言われたように、ヒューマンエラー関係に比べると、 物というのは対策を立てやすい所があるわけです。新しく出た薬のラベルに関しては、 全部画像情報をデータベースにしていくとか、外瓶の外形も全部データベースにしてい くという形で、いま何が出ていて、どういう形になっていて、どれだけのものがあると いうことで、外から見る人にとってもどれだけ類似があるのか見える状態にしていくの は大事だと思います。  ですから、ヒヤリ・ハット事例も大事なのですが、そこの所でのデータベースをきち んと作っていく。薬品名のデータベースでさえも、土屋先生の個人的な御尽力でできた と伺って、非常にびっくりしました。各企業の方がそれぞれに工夫している。しかし、 全体としてはこれだけのものがこれだけあるというのを見せる形にしていくというのは 厚生労働省ならではのお仕事だと思うので、そこのところのデータベース化を是非お考 えいただければと思います。それを基にして、私たちは安全を考えていくことができる のだと思っています。 ○審議官  確かに新薬の場合、その安全情報、ヒヤリ・ハット事例も含めて、情報をきちんと伝 えるとともに、積極的に情報を収集していきたいと思います。いま先生のおっしゃった データベース化についても、私はできる可能性はあるかと思っており、約束はできませ んが、検証してみたいと思っています。医薬品も1万3,000品目あります。成分的にも 7,000程度あります。したがって、新しく出てくるものから事故が起こらないように、 セーフティーガードが働くようにしていくのが1つの方向でもあり、我々としても検討 してみたいと思います。 ○部会長  この親委員会である医療安全対策検討会で報告書を出すというときに、私が申し上げ たのは、クリントンがIOMにおいて5年間で事故を半分にするという具体的な目標を 掲げたのです。親委員会の悪口を言っても何なのですが、報告書の中にきちんと数量的 な形で目標を掲げなければ、意味がないのではないか。何をやりたいと思います、何を やります、何をすべきだというのはみんな思っているわけで、それをやるか、やらない かということが問題なのです。やはり数量的な、あるいは数量的な数値目標なり目標を 掲げないとならないので、先ほどから星先生が言われていることも、そういう具体性の ある目標を固めて、世の中ですからそれがうまくいくか、いかないかはわかりません が、そういう必要があるのではないでしょうか。そうでないと、リスク管理といった、 はっきり言って儲けにならないような仕事はうまくいかないと思います。  時間が過ぎて恐縮ですが、輸液ポンプの問題があるので、説明をお願いします。 ○事務局  本件は報告ですので、資料5−4−(1)以降の資料をすべて使って説明いたします。 資料5−4−(1)ですが、後ほど説明する、この部会で御議論、御意見をいただいた中 での対策として、税制上の優遇措置を行いました。その前提になる資料として、前回の 部会で議論して、輸液ポンプ、シリンジポンプに関する事故防止対策ということで取り まとめた際の資料です。ここに掲げた内容に関して、前回の部会で議論していただい て、対策を講ずるべきということで取りまとめた資料です。  資料5−4−(2)ですが、具体的な対策を我々のほうで通知という形にして発出した ものです。資料5−4−(1)と同じ内容を通知にしたものです。  我々は昨年、輸液ポンプ、シリンジポンプに関して一定の基準化を図ったことに伴っ て、ある程度基準を満たした製品に関して特別償却制度での対応を検討しました。その 内容を報告します。資料5−5−(1)の中で、3.に「対象機器」とあります。(1) 人工呼吸器、(2)輸液ポンプ、(3)シリンジポンプという3つの品目に関して、先 ほど紹介しましたように通知等により基準化が図られましたので、その基準に適合する 製品を医療機関側が買った場合、優遇措置を講ずることにしています。2.ですが、適 用期限としては平成15年4月1日から平成17年3月31日ということで、2年間です。 4.ですが、内容については取得価額に20%を掛けたものが限度額ということで設定し ています。それ以下の資料に関しては、取扱いを示した官報の内容を参考までに付けて います。  いま紹介した人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプ以外にも、今回の対応の中で まとめて対応した品目があります。1頁に戻って、(4)から2頁の(8)までです が、生体情報モニター、自動錠剤分包機という5種類の製品に関しても、同様の取扱い としました。そのうち、(1)から(3)の人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプ に関して、一定の基準を満たした製品ということでの取扱いが明確になったものです。  資料5−5−(2)と資料5−5−(3)は、人工呼吸器に関する基準を示した際の通知 で、既に平成13年の段階で発出したものです。先ほどの輸液ポンプの通知と併せて、3 種類の基準ができましたので、それに基づいて、今回、特別償却制度の対象としたもの です。したがって、参考として付けてあります。 ○部会長  どうもありがとうございました。いまの報告について御質問、御発言はありますか。 ○星委員  これは前々回お願いしたことで、それがうまくいったという報告だと思って大変うれ しく思いますが、同じように今日申し上げたことも、是非とも実現してほしいと思いま す。 ○山本委員  業界のほうから、お願いを含めて報告します。1つは輸液ポンプについて、新しい基 準、あるいは規格に基づいて現在申請中のもの、これから申請しようというものがある ので、できれば迅速審査の制度を取り入れていただきたい。そのことによって、医療機 関に素早く提供できるのではないかと考えています。  もう1つは、適合した製品とそうでない製品が医療現場で混在することになるので、 それを見分けることができるように、私たち業界としては「医療事故防止対策適合品マ ーク」を付ける予定にしています。いままでも誤接続防止製品、あるいは人工呼吸器に そのマークを付けていて、それによって現場では見分けることができるのではないかと 期待していますので、是非とも御協力をいただきたいと考えています。  輸液ポンプについても、十数年経って部品がない製品で、医療現場では非常に丁寧に 使われているものもあります。そういうものは事故の起こる可能性が非常に高いと考え ているので、私たちはホームページ等で部品のない製品については通知していきたいと 思っています。その点についても御協力いただきたいと考えているところです。 ○審議官  審査については担当課が審査管理課になっていますので、私のほうから安全性の観点 からその線に沿って努力していただくように話はしておきたいと思います。 ○部会長  ラベルは、「医療事故適合」というのはおかしいのではないですか。「安全適合」で はないですか。 ○山本委員  「医療事故防止適合品マーク」ということで、青いマークです。 ○部会長  「安全適合」のほうがいいのではないですか。 ○山本委員  「医療事故防止対策適合品マーク」は、一応、基準に適合している製品ということ で、パンフレット、あるいは人工呼吸器の場合は本体に付いているのです。そうするこ とによって、現場で、これは適合しているということが一目でわかるということです。 ○部会長  予定の議題は以上なのですが、特に何か御発言はありますか。 ○寺井委員  最後に1つだけ、医薬品の類似性検討ワーキンググループのことですが、先ほど委員 の方々から意見のあった項目に関して、ワーキンググループに加える必要がないのか、 またはどこかで検討することができないのかということを考えていただきたいと思いま す。1つは、処方箋の書き方、処方箋の中の表示方法、表示内容に関して、これにまつ わるエラーも大変多いので、必要なのではないかと思います。もう1つは、櫻井先生か ら出ていましたが、バーコードでの指示と薬剤との照合を書くものです。これは非常に 有効な手段だと思うので、これに関しても検討の必要がないのかどうなのか、確認をお 願いしたいと思います。 ○部会長  土屋先生、これはどうですか。実際問題としては、処方箋は入っていないですね。 ○土屋委員  全く別のチームで、処方箋の書き方に入っています。 ○新木室長  ヒューマンエラー部会で検討するべく、いま処方箋の書き方等、調査研究を進めてい ますので、まとまり次第、ヒューマンエラー部会等で検討したいと考えています。 ○部会長  それはそれで違うのですね。よろしくお願いします。そのほか何かありますか。時間 をオーバーして恐縮ですが、これで第5回医薬品・医療用具対策部会を終了します。ど うもありがとうございました。 照会先 医薬食品局安全対策課安全使用推進室 電話 03-5253-1111(内線2751)