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資料5

加工食品の取扱いについて


1.法改正の内容
 食品規格に残留基準が定められていない農薬、動物用医薬品及び飼料添加物(以下「農薬等」という。)は、原則として食品中に残留してはならないことを法制化(いわゆるポジティブリスト化)することとしており、その対象とする食品の範囲は、加工食品も含めた全体である。
 ただし、同じ原料を用いた加工食品であっても、その加工の程度により検出される農薬の量が大幅に変動する可能性があることから残留基準の設定が困難な食品もあるため、加工食品の取扱いについて検討する必要がある。

2.農薬等の残留規制
(1) 国内の規制状況
(1)農薬の基準設定状況
 現在の残留農薬基準の設定範囲は、農作物及び小麦粉に限られており、いわゆる加工食品については、加工調理による濃縮等の様々な情報が必要であること、個別の加工食品ごとに分析法を開発する必要があることなどの技術的な理由から、残留基準は設定されていない。

(2)抗生物質等の残留規制
 現行、抗生物質の残留規制については、あらゆる食品について、抗生物質を含有してはならないとしており、その上で、成分規格に適合した原材料を用いて製造され又は加工された食品については、この規制を除外している。
 また、化学合成品たる抗菌性物質については、食鳥卵及び魚介類は抗菌性物質を含有してはならないとしており、その上で同様に成分規格に適合した原材料を用いて製造され又は加工された食品については、この規制を除外している。

(食品、添加物等の規格基準)
第1 食品
A 食品一般の成分規格
1 食品は抗生物質を含有してはならない。ただし、次のいずれかに該当するものにあっては、この限りではない。
 (1) D 各条の項及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)別表の二 乳等の成分規格並びに製造、調理及び保存の方法の基準の部(一) 乳等一般の成分規格及び製造の方法の基準の款(6)に定める成分規格に適合するもの
 (2) (1)に該当するものを原材料として製造され、又は加工されるもの
2 食肉、食鳥卵及び魚介類は、科学的合成品(化学的手段により元素又は化合物に分解反応以外の化学的反応を起こさせて得られた物質をいう。以下同じ。)たる抗菌性物質を含有してはならない。ただし、次のいずれかに該当するものにあっては、この限りでない。
 (1) 食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第6条の規定により人の健康を損なうおそれのない場合として厚生労働大臣が定めた添加物を含有するもの
 (2) D 各条の項に定める成分規格に適合するもの((1)に該当するものを除く。)
 (3) (2)に該当するものを原材料として製造され、又は加工されるもの

(2)国際規格の状況
 Codex基準では、一部の加工食品で残留基準が設定されており、例として、植物油(粗製、精製)(例 オリーブ油、菜種油等)、乾燥果物(Dried Fruits)(例 レーズン等)、乾燥野菜(Dried Vegetables)があげられる。


3.加工食品に対する基準の適用
 原則として、規格基準に適合した原材料を用いて製造され又は加工された食品は、流通可とする。ただし、植物油等については個別に基準を設定するものとする。
 その運用にあたっては、まず一律基準値を適用するものとし、超えた場合は原材料段階の濃度を推定し、農畜水産物毎に設定された特定の残留基準をもとに判断することとする。
 例えば、10%りんご果汁の場合、水による希釈等を考慮し、原材料であるりんごに設定されている基準値の10分の1をその判断基準とする。


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