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臨床研究に関する倫理指針 告示案及び細則案
*告示案については、現在、法令審査中であるため、今後、文言の変更等があり得る。
前文
近年の科学技術の進展に伴い、臨床研究の重要性は一段と増している。臨床研究の主な目的は、医療における疾病の予防、診断及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上にあり、最善であると認められた予防、診断及び治療方法であっても、その有効性、効率性、利便性及び質に関する臨床研究を通じて、絶えず再検証されなければならない。
また、医療の進歩は、最終的には臨床研究に依存せざるを得ない場合が多い。このため、人間の尊厳及び人権を尊重し、社会の理解と協力を得て、適正に臨床研究を実施していくことが不可欠であり、被験者の福利に対する配慮が、科学的及び社会的な利益に優先されなければならない。
こうした点を踏まえ、被験者の個人の尊厳及び人権を守るとともに、研究者等がより円滑に臨床研究を行うことができるよう、ここに倫理指針を定める。
この指針は、世界医師会によるヘルシンキ宣言に示された倫理規範や我が国の個人情報保護に係る議論等を踏まえ、臨床研究の実施に当たり、研究者等が遵守すべき事項を定めたものである。しかしながら、臨床研究には極めて多様な形態があることに配慮して、この指針においては基本的な原則を示すにとどめており、研究責任者が臨床研究計画を立案し、その適否について倫理審査委員会が判断するに当たっては、この原則を踏まえつつ、個々の臨床研究計画の内容等に応じて適切に行うことが求められる。
臨床研究が、社会の理解と協力を得て、一層社会に貢献するために、すべての臨床研究の関係者が、この指針に従って臨床研究に携わることが求められている。
第1 |
基本的考え方 |
1 |
目的
この指針は、医学系研究の推進を図る上での臨床研究の重要性を踏まえつつ、個人の尊厳及び人権の尊重その他の倫理的観点並びに科学的観点から、臨床研究に携わるすべての関係者が遵守すべき事項を定めることにより、社会の理解と協力を得て、臨床研究の適正な推進が図られることを目的とする。 |
2 |
適用範囲 |
(1) |
この指針は、社会の理解と協力を得つつ、医療の進歩のために実施される臨床研究を対象とし、これに携わるすべての関係者に遵守を求めるものである。
ただし、次のいずれかに該当するものは、この指針の対象としない。
(1) |
診断、治療のみを目的とした医療行為 |
(2) |
他の指針等の適用範囲に含まれる研究 |
|
(2) |
この指針は、日本国内において実施する臨床研究を対象とするが、日本国外で実施する場合においても、当該実施地の法令、指針等を遵守しつつ、原則としてこの指針の基準に従わなければならない。
ただし、この指針と比較して当該実施地の法令、指針等の基準が厳格な場合には、当該基準に従って臨床研究を実施しなければならない。 |
<細則>
1. |
この指針が施行される前に既に着手され、現在実施中の臨床研究に対しては適用しないが、可能な限り、この指針に沿って適正に実施することが望ましい。 |
2. |
海外の研究機関と共同で臨床研究を実施する場合には、原則としてこの指針を遵守するとともに、当該海外の研究機関の存する国における基準がこの指針よりも厳格な場合には、当該厳格な基準を遵守しなければならない。 |
(1) |
被験者の生命、健康、プライバシー及び尊厳を守ることは、臨床研究に携わる研究者等の責務である。 |
(2) |
研究責任者は、被験者に対する説明の内容、同意の確認方法、臨床研究に伴う補償の有無を含めたその内容その他のインフォームド・コンセントの手続に必要な事項を臨床研究計画に記載しなければならない。 |
<細則>
臨床研究計画書に記載すべき事項は、一般的に以下のとおりとするが、臨床研究の内容に応じて変更できる。
・ |
被験者を選ぶ際の方針 |
・ |
臨床研究の意義、目的、方法、期間、研究に参加することにより期待される利益及び起こりうる危険、必然的に伴う不快な状態、当該臨床研究終了後の対応、個人情報の保護の方法(被験者を特定できる場合の取扱いを含む。) |
・ |
共同臨床研究機関の名称 |
・ |
研究者等の氏名 |
・ |
インフォームド・コンセントのための手続 |
・ |
インフォームド・コンセントを受けるための説明事項及び同意文書 |
・ |
被験者からインフォームド・コンセントを受けることが困難な場合、実施しようとしている臨床研究の重要性及び被験者が当該臨床研究に参加することが当該臨床研究に必要不可欠な理由並びに代諾者等を選定する考え方 |
・ |
臨床研究の資金源、起こりうる利害の衝突、研究者等の関連組織との関わり |
・ |
補償の有無を含めたその内容 |
(3) |
研究者等は、臨床研究を実施する場合には、被験者に対し、当該臨床研究の実施に関し必要な事項について十分な説明を行い、文書でインフォームド・コンセントを受けなければならない。 |
<細則>
研究者等ごとに同意文書を受理しなければならないわけではなく、研究責任者が代表で受理する等、被験者ごとに一つの同意文書を受理することで対応可能である。
(4) |
研究責任者は、臨床研究に伴う危険が予測され、安全性を十分に確保できると判断できない場合には、原則として当該臨床研究を実施してはならない。 |
<細則>
1. |
研究責任者は、日頃から、危険の予測や安全性の確保について必要な情報を把握しておかなければならない。 |
2. |
臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究の安全性を十分確保することが特に重要である。 |
(5) |
研究責任者は、臨床研究を実施又は継続するに当たり、臨床研究機関の長に許可を求めなければならない。 |
<細則>
1. |
「臨床研究の継続」には、臨床研究を何らかの理由により中止し、再開する場合が含まれる。 |
2. |
臨床研究機関の長とは、例えば、以下のとおりである。
・ 病院の場合は、病院長
・ 保健所の場合は、保健所長
・ 企業等の研究所の場合は、研究所長 |
3. |
臨床研究機関が小規模であること等により研究責任者と臨床研究機関の長が同一人物にならざるを得ない場合には、共同臨床研究機関、公益法人、学会等に設置された倫理審査委員会に審査を依頼する等により、臨床研究における倫理性に十分に配慮した上で実施しなければならない。 |
(6) |
研究責任者は、臨床研究計画の中に、臨床研究の実施計画及び作業内容を明示しなければならない。 |
(7) |
研究責任者は、臨床研究を適正に実行するために必要な専門的知識及び臨床経験が十分にある者でなければならない。 |
<細則>
1. |
人を対象として健康に影響を与えると考えられるような行為を伴う研究(介入研究)を行う場合には、専門的知識を有する医師による適切な助言を得なければならない。ただし、臨床経験が十分にある医師が当該研究に参加している場合には、この限りではない。 |
(8) |
研究者等は、臨床研究を実施するに当たり、一般的に受け入れられた科学的原則に従い、科学的文献その他科学に関連する情報源及び十分な実験に基づかなければならない。 |
(9) |
研究者等は、環境に影響を及ぼすおそれのある臨床研究を実施する場合又は臨床研究の実施に必要な実験若しくは臨床研究において動物を使用する場合には、十分な配慮を行わなければならない。 |
(10) |
研究責任者は、臨床研究機関の長に対し、重篤な有害事象その他の臨床研究の適正性及び信頼性を確保するための調査に必要な情報を報告しなければならない。V
|
(11) |
研究責任者は、他の臨床研究機関と共同で臨床研究を実施する場合には、当該他の臨床研究機関の研究責任者に対し、臨床研究に起因する重篤な有害事象を報告しなければならない。 |
(12) |
研究責任者は、臨床研究により期待される利益よりも起こりうる危険が高いと判断される場合又は臨床研究により十分な成果が得られた場合には、当該臨床研究を中止又は終了しなければならない。 |
<細則>
1. |
研究責任者は、日頃から、臨床研究に関する国内及び海外における学会発表、論文発表等の情報(以下「発表情報」という。)を把握しておくとともに、把握した当該発表情報について、臨床研究機関の長に対し、報告することが望ましい。 |
2. |
研究責任者は、他の臨床研究機関と共同で臨床研究を実施する場合には、当該他の臨床研究機関の研究責任者に対し、把握した発表情報について報告することが望ましい。 |
3. |
研究責任者は、臨床研究を中止又は終了した場合には、その旨を臨床研究機関の長へ報告しなければならない。この場合において、研究責任者は、臨床研究により期待される利益よりも起こりうる危険が高いと判断される場合等緊急性の高い理由により、臨床研究を中止した場合については、遅滞なく、その旨を臨床研究機関の長へ報告しなければならない。 |
(13) |
研究責任者は、臨床研究を実施するに当たり、被験者の個人情報の保護のために必要な措置を講じなければならない。 |
(14) |
研究者等は、臨床研究の結果を公表する場合には、被験者を特定できないようにしなければならない。 |
(15) |
研究責任者は、臨床研究終了後においても、被験者が当該臨床研究の結果により得られた最善の予防、診断及び治療を受けることができるよう努めなければならない。 |
4 臨床研究機関の長の責務等
(1) |
倫理的配慮の周知
臨床研究機関の長は、当該臨床研究機関における臨床研究が、倫理的、法的又は社会的問題を引き起こすことがないよう、研究者等に対し、臨床研究を実施するに当たり、被験者の個人の尊厳及び人権を尊重し、個人情報を保護しなければならないことを周知徹底しなければならない。 |
(2) |
倫理審査委員会の設置
臨床研究機関の長は、臨床研究計画がこの指針に適合しているか否かその他臨床研究に関し必要な事項の審査を行わせるため、倫理審査委員会を設置しなければならない。ただし、臨床研究機関が小規模であること等により当該臨床研究機関内に倫理審査委員会を設置できない場合には、共同臨床研究機関、公益法人、学会等に設置された倫理審査委員会に審査を依頼することをもってこれに代えることができる。 |
<細則>
1. |
臨床研究機関に既に設置されている類似の委員会を本指針に適合する倫理審査委員会に再編成すれば、名称の如何を問わない。 |
2. |
共同で臨床研究を実施する場合においても、臨床研究計画については、それぞれの臨床研究機関に設置された倫理審査委員会の承認を得ることを原則とする。 |
(3) |
倫理審査委員会への付議
臨床研究機関の長は、研究責任者から3(10)の規定により臨床研究の適正性及び信頼性を確保するための調査に必要な情報が報告された場合には、倫理審査委員会に報告しなければならない。ただし、研究責任者から3(5)の規定により臨床研究の実施若しくは継続について許可を求められた場合又は3(10)の規定により重篤な有害事象が報告された場合には、臨床研究の実施又は継続の適否その他の臨床研究に関し必要な事項について、速やかに倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。 |
<細則>
臨床研究機関の長は、共同で臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究の実施又は継続の適否について、倫理審査委員会への付議にあたり、共同臨床研究機関における臨床研究計画の承認状況、インフォームド・コンセントの取得状況等の情報も提供しなければならない。
(4) |
臨床研究機関の長による許可
臨床研究機関の長は、倫理審査委員会の意見を尊重し、臨床研究の実施又は継続の許可又は不許可その他の臨床研究に関し必要な事項を決定しなければならない。この場合において、臨床研究機関の長は、倫理審査委員会が実施又は継続が適当でない旨の意見を述べた臨床研究については、その実施又は継続を許可してはならない。 |
<細則>
臨床研究機関の長は、公衆衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため緊急に臨床研究を実施する必要があると判断する場合には、倫理審査委員会の意見を聴く前に許可を決定することができる。この場合において、臨床研究機関の長は、許可後遅滞なく倫理審査委員会の意見を聴くものとし、倫理審査委員会が臨床研究の変更又は中止の意見を述べた場合には、これを踏まえ、研究責任者に対し臨床研究の変更又は中止を指示しなければならない。
(5) |
臨床研究計画等の公開
臨床研究機関の長は、臨床研究計画及び臨床研究の成果を公開するよう努めるものとする。 |
第3 |
倫理審査委員会 |
5 |
倫理審査委員会の責務及び構成等 |
(1) |
倫理審査委員会は、臨床研究機関の長から臨床研究計画がこの指針に適合しているか否かその他臨床研究に関し必要な事項について意見を求められた場合には、倫理的観点及び科学的観点から審査し、文書により意見を述べなければならない。 |
(2) |
倫理審査委員会は、学際的かつ多元的な視点から、様々な立場からの委員によって、公正かつ中立的な審査を行えるよう、適切に構成し運営されなければならない。 |
<細則>
1. |
倫理審査委員会は、医学・医療の専門家等自然科学の有識者、法律学の専門家等人文・社会科学の有識者及び一般の立場を代表する者から構成され、外部委員を含まなければならない。また、男女両性で構成されなければならない。 |
2. |
審議又は採決の際には、人文・社会科学面又は一般の立場の委員が1名以上出席していなければならない。 |
3. |
臨床研究機関の長等審査対象となる臨床研究に携わる者は、審議又は採決に参加してはならない。ただし、倫理審査委員会の求めに応じて、会議に出席し、説明することはできる。 |
(3) |
倫理審査委員会の委員は、職務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。 |
(2) |
倫理審査委員会は、進行中又は終了後の臨床研究について、その適正性及び信頼性を確保するための調査を行うことができる。 |
第4 インフォームド・コンセント等
<細則>
被験者又は代諾者等に対する説明事項は、一般的に以下のとおりとするが、臨床研究内容に応じて変更できる。
・ |
臨床研究への参加は任意であること |
・ |
臨床研究への参加に同意しないことをもって不利益な対応を受けないこと |
・ |
被験者又は代諾者等は、自らが与えたインフォームド・コンセントについて、いつでも不利益を受けることなく撤回することができること |
・ |
被験者として選ばれた理由 |
・ |
臨床研究の意義、目的、方法、期間 |
・ |
被験者からインフォームド・コンセントを受けることが困難な場合、実施しようとしている臨床研究の重要性及び被験者が当該臨床研究に参加することが当該臨床研究に必要不可欠な理由 |
・ |
研究者等の氏名及び職名 |
・ |
予測される研究結果及び被験者が研究に参加することにより期待される利益及び起こりうる危険、必然的に伴う不快な状態、当該臨床研究終了後の対応 |
・ |
被験者及び代諾者等の希望により、他の被験者の個人情報の保護や臨床研究の独創性の確保に支障が生じない範囲内で、臨床研究計画及び臨床研究の方法についての資料を入手又は閲覧することができること |
・ |
臨床研究の結果を他の機関へ提供する可能性及びその場合は、倫理審査委員会により、個人情報の取扱い、提供先の機関名、提供先における利用目的が妥当であることについて、審査されること |
・ |
臨床研究の成果が特許権等の知的財産権を生み出す可能性があること及び特許権等の知的財産権を生み出した場合に想定される帰属先 |
・ |
被験者を特定できないようにした上で、臨床研究の成果が公表され得ること |
・ |
臨床研究の資金源、起こりうる利害の衝突、研究者等の関連組織との関わり |
・ |
補償の有無を含めたその内容 |
・ |
問い合わせ、苦情等の窓口の連絡先等に関する情報 |
6 |
被験者からインフォームド・コンセントを受ける手続 |
(1) |
研究者等は、臨床研究を実施する場合には、被験者に対し、当該臨床研究の目的、方法及び資金源、起こりうる利害の衝突、研究者等の関連組織との関わり、当該臨床研究に参加することにより期待される利益及び起こりうる危険、必然的に伴う不快な状態、当該臨床研究終了後の対応並びに補償の有無を含めたその内容その他必要な事項について十分な説明を行わなければならない。 |
(2) |
研究者等は、被験者が経済上又は医学上の理由等により不利な立場にある場合には、当該被験者の自由意思の確保に十分配慮しなければならない。 |
(3) |
研究者等は、被験者が(1)の規定により説明した内容を理解したことを確認した上で、自由意思によるインフォームド・コンセントを文書で受けなければならない。 |
(4) |
研究者等は、被験者に対し、当該被験者が与えたインフォームド・コンセントについて、いつでも不利益を受けることなく撤回する権利を有することを説明しなければならない。 |
<細則>
研究者等は、被験者に対し、インフォームド・コンセントを撤回する権利を有することを説明する場合には、文書によって撤回を行うよう説明することが望ましい。
7 |
代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける手続 |
<細則>
1. |
代諾者等からインフォームド・コンセントを受けることができる場合及びその取扱いは、以下のとおりとし、いずれの場合も、研究責任者は、実施しようとしている臨床研究の重要性、被験者が臨床研究に参加することが当該臨床研究に必要不可欠な理由及び代諾者等を選定する考え方を臨床研究計画書に記載し、当該臨床研究計画書について倫理審査委員会による承認及び臨床研究機関の長による許可を受けなければならない。 |
・ |
被験者が疾病等何らかの理由により有効なインフォームド・コンセントを与えることができないと客観的に判断される場合 |
・ |
未成年者の場合。ただし、この場合においても、研究者等は、被験者にわかりやすい言葉で十分な説明を行い、理解が得られるよう努めなければならない。また、被験者が16歳以上の場合には、代諾者等とともに、被験者からのインフォームド・コンセントも受けなければならない。 |
・ |
被験者が生存している段階にインフォームド・コンセントを受けることができない場合において、当該被験者の生前における明示的な意思に反していない場合 |
2. |
研究責任者は、代諾者等について、一般的には、以下に定める人の中から、被験者の家族構成や置かれている状況等を勘案して、被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者を選定することを基本として、臨床研究計画書に代諾者等を選定する考え方を記載しなければならない。 |
・ |
任意後見人、親権者、成年後見人、未成年後見人、保佐人及び補助人が定まっているときはその者 |
・ |
被験者の配偶者、成人の子、父母、成人の兄弟姉妹若しくは孫、祖父母、同居の親族又はそれらの近親者に準ずると考えられる者 |
3. |
研究責任者は、遺族について、一般的には、以下に定める者の中から、死亡した被験者の家族構成や置かれていた状況、慣習等を勘案して、被験者の生前の意思を代弁できると考えられる者を選定することを基本として、臨床研究計画書に遺族を選定する考え方を記載しなければならない。 |
・ |
死亡した被験者の配偶者、成人の子、父母、成人の兄弟姉妹若しくは孫、祖父母、同居の親族又はそれらの近親者に準ずると考えられる者 |
(1) |
被験者からインフォームド・コンセントを受けることが困難な場合には、当該被験者について臨床研究を実施することが必要不可欠であることについて、倫理審査委員会の承認を得て、臨床研究機関の長の許可を受けたときに限り、代諾者等(当該被験者の法定代理人等被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者をいう。)からインフォームド・コンセントを受けることができる。 |
(2) |
研究者等は、未成年者その他の行為能力がないとみられる被験者が臨床研究への参加についての決定を理解できる場合には、代諾者等からインフォームド・コンセントを受けるとともに、当該被験者の理解を得なければならない。 |
(1) |
臨床研究
医療における疾病の予防、診断及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究であって、人を対象とするもの(個人を特定できる人由来の材料及びデータに関する研究を含む。)をいう。 |
<細則>
1. |
「医学系研究」には、歯学、薬学、看護学、リハビリテーション学、予防医学、健康科学等が含まれる。 |
(2) |
被験者
臨床研究を実施される者若しくは臨床研究を実施されることを求められた者又は臨床研究に用いようとする血液、組織、細胞、体液、排泄物及びこれらから抽出したDNA等の人の体の一部(以下「試料等」という。)を提供する者をいう。 |
(3) |
研究者等
研究責任者、臨床研究機関の長その他の臨床研究に携わる関係者をいう。 |
(4) |
研究責任者
個々の臨床研究機関において、臨床研究を遂行するとともに、その臨床研究に係る業務を統括する者をいう。 |
(5) |
個人情報
個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。 |
(6) |
臨床研究機関
臨床研究を実施する機関(試料等の提供が行われる機関を含む。)をいう。 |
(7) |
共同臨床研究機関
臨床研究計画書に記載された臨床研究を共同して行う臨床研究機関(当該臨床研究を共同して行わない機関であって、試料等の提供を行う機関を含む。)をいう。 |
(8) |
倫理審査委員会
臨床研究の実施又は継続の適否その他臨床研究に関し必要な事項について、被験者の個人の尊厳及び人権の尊重その他の倫理的観点及び科学的観点から調査審議するため、臨床研究機関の長の諮問機関として置かれた合議制の機関をいう。 |
(9) |
インフォームド・コンセント
被験者となることを求められた者が、実施研究者等から事前に臨床研究に関する十分な説明を受け、その臨床研究の意義、目的、方法、予測される結果及び不利益等を理解し、自由意思に基づいて与える、被験者となること及び試料等の取扱いに関する同意をいう。 |
(10) |
未成年者
婚姻をしたことがない満20歳未満の者をいう。 |
(11) |
行為能力
法律行為を単独で確定的に行うために必要な能力をいう。 |
第6 |
細則 |
9 |
細則
この指針に定めるもののほか、この指針の施行に関し必要な事項は、別に定める。 |
第7 |
見直し |
10 |
見直し
この指針は、必要に応じ、又は施行後5年を目途としてその全般に関して検討を加えた上で、見直しを行うものとする。 |
第8 |
施行期日 |
11 |
施行期日
この指針は、平成15年7月30日から施行する。 |
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