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平成15年6月25日
「健康食品に係わる制度のあり方に関する検討会ヒアリング資料」

団体名:NNFAジャパン
会長:ランディ・デニン
代表:大濱 宏文(科学・法務担当ディレクター)
団体の概要: 栄養補助食品業界の発展ならびに消費者の栄養補助食品への適切なアクセス権の確立を目指し、1999年2月設立。米国NNFA(National Nutritional Food Association)との協力関係にあるが、組織としては独立した団体である。現在、栄養補助食品の製造・販売、その他関連の国内外企業約100社を会員として擁す。
米国NNFAはもとより、IADSA(国際栄養補助食品協会連合:本部ベルギー)他、海外諸団体との協力関係を築き、栄養補助食品に関する安全性、有用性、法規制、科学技術情報を収集し、会員に提供するとともに、セミナー、国際シンポジウム等を開催して啓蒙・教育活動に勤めている。また、栄養補助食品に係わる非関税障壁を中心とする規制緩和を目指し、活動を行ってきた。


健康食品に係わる制度のあり方に関する意見

 平成8年3月26日のOTO対策本部決定とそれに続く規制緩和推進計画で閣議決定された栄養補助食品の規制緩和が、平成8年度以来の食薬区分の見直しと、46通知の見直し(形状規制の緩和を含む)を中心に4つの検討会を通して検討されてきたところですが、平成12年3月の閣議決定に基づく新たな規制緩和推進3か年計画により、再度栄養補助食品の位置付けの明確化として、「栄養補助食品という新たなカテゴリーの設置と、適切な摂取方法、栄養補助的効能効果、注意表示等の消費者が必要とする表示に関す制度改正、形状規制の撤廃等に加えて、栄養補助食品に係る食品添加物規制のあり方について検討して結論を得る」よう求められました。これらの規制緩和要請の結果を受けて、平成13年4月1日付けで「保健機能食品制度」が発効されたことは、未だ記憶に新しいところです。
 しかしながら、いわゆる46通知の改正に基づく形状規制の廃止に対しては、薬事法違反の視点から、かえって問題を引き起こす結果となったと言う批判の声も聞きます。確かに、形状規制の廃止に関する論議の中では、国際的な形状の受容に対する議論に傾斜し、栄養補助食品に於ける形状の意味するところに関する本質的な議論の積み重ねが不足していたために、未だに形状の是非論が後を引く結果となったものと思われます。このような意味で、栄養補助食品の規制緩和問題は未だ収束していないのではないかと思われます。

 この見解を裏付けるかのように、平成15年3月19日のOTO対策本部決定により、基準・認証制度に係る課題のうち、規格・基準の策定にかかわる課題として

について措置を講ずるように決められました。これらの措置は、OTOによる「OTO案件の総点検」の結果によるもので、栄養補助食品の規制緩和要請に対する一連の対応策の再評価を受けて出されたものです。

 したがって、NNFAジャパンは、当初、在日米国商工会議所から提起された規制緩和要請がすべての健康食品を包含したものであり、食薬区分の見直し、表示の規制緩和、剤形規制緩和等を重要な問題として提起していたことから、現行の保健機能食品制度では十分な規制緩和には至っていないと思慮いたします。このような見解を前提に、NNFAジャパンは以下のように意見を具申いたします。

(1)国民の健康づくりにおける「健康食品」の役割をどう位置づけるか。
「医薬品―現行制度に基づく保健機能食品―いわゆる健康食品―一般食品」の体系のあり方。

 「保健機能食品」制度に基づいて、健康食品は「いわゆる健康食品」として、一般食品に位置づけられ、薬事法、食品衛生法、健康増進法、景品表示法,食品安全基本法その他幾つかの法制度の下に複雑に規制されています。このように、「健康食品」が常に「いわゆる」つきの曖昧な存在下に置かれているにも拘らず、その市場がすでに1兆円を超えていると言われる事実を考え合わせると、健康食品を適正にかつ包括的に取扱う法制度が存在しないことは、いかにも不自然に感じます。
 昨年後半に、深刻な問題を引き起こした、中国から個人輸入された、いわゆるダイエット食品と言われる製品は、その大部分が医薬品を含有する無承認無許可医薬品でしたが、一般には、健康食品との区別がつかず、あたかも健康食品が大部分の実害を引き起こしたかのように受け取られていました。しかも、これらの製品の殆どが個人輸入によって輸入されたものであり、正規に輸入または製造された製品とは、法制度上明らかに異なる取り扱いを受けるべきところのものであったはずですが、ここでも混同が起きて、国民を混乱させる結果となりました。このような事態の重要な原因のひとつは、健康食品を直接取扱う包括的な法制度が欠如しているからだと、私どもは考えます。

 上記のように考えてみると、「健康食品の国民の健康づくりにおける役割」を明確に位置づける状況は、法制度の立場から見る限り無いと言って、過言ではないと考えます。したがって、繰り返しになりますが、健康食品の包括的な法制度を策定して、健康づくりおける役割を明確にしていく必要があります。この場合、健康食品は海外諸国(米国、EU、韓国、中国、インドなど)で法制度として既に定着しているか、あるいは積極的に検討されているように、「健康食品は、通常の食事における栄養素の摂取を補うことを目的とした形状で、市場に流通している高濃度の栄養源、あるいは栄養学的または生理学的機能を有する成分を含む製品(EU指令における定義)」と考えるべきであると言えます。したがって、健康食品は医薬品、保健機能食品、一般食品と切り離して、健康食品を包括的に取扱う制度としての体系を築くべきではないかと思慮いたします。

(2)「健康食品」の利用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能しているか。「健康食品」の安全性・有用性の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の期待に応えうる「健康食品」はどうあるべきか。
 健康食品に係る利用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能しているとは考え難いと判断します。
 現今の健康食品に対する取り扱いは,「いわゆる」付の曖昧な状態で一般食品として括られています。ここには、前述のように、異なる様々な法体系の下に複雑な規制を受けており、健康食品の安全性、有用性、品質等に関して一貫して評価できる法制度が存在していません。したがって、消費者は上記に関する適切な情報を入手する、正規の手段を殆ど持つことが出来ない状況にあると思慮いたします。このような状況では、利用者の期待に応えうる健康食品のあるべき姿を想定することができません。

 健康食品と健康との関係は以下のように考えられます。健康から疾病までに至る状態の変化を以下のように考えて見ます。

健康 ―― 不十分な健康 ―― 疾病の前段階(または未病) ―― 疾病
 上記の「健康」から「健康状態が後退し」、疾病の前段階に至るプロセスを、どの段階でどう防ぐかが、健康の維持・増進にとって非常に重要です。そのためには欠乏症及び過剰症(古典的な欠乏症/過剰症ではなく、現代的な意味での欠乏症/過剰症)を起こさないことと、疾病(生活習慣病)に至る危険因子を除去または低減する事が、重要になってきます。とりわけ、「健康」あるいは「不十分な健康」にある状態での対応は極めて重要ですが、ここでは、平成9年3月28日の公衆衛生審議会による「21世紀の栄養・食生活のあり方検討会」が意見具申していますように、現状の生活環境に照らして栄養・食生活のあり方を考えることが重要な意味を持ちます。

 健康食品は前述のEU指令が定義していますように「通常の食事における栄養素の摂取を補うことを目的した形状で、市場に流通している高濃度の栄養源、あるいは栄養学的または生理学的機能を有する成分を含む製品」と考えますので、現状の生活環境の中で栄養・食生活が十分に機能し得ない部分を補う存在として位置づけるべきであると考えます。しかも、このような考え方を有効に活かし、消費者に健康食品を安全に供給するためには、健康食品にかかわる包括的な法制度の存在が不可欠と判断しております。

(3)(1)及び(2)を踏まえ、行政、関係業界、消費者の果たすべき役割、制度はどうあるべきか。

 上記の考え方にしたがって、健康食品が今後の食生活、国民の健康に大きな影響を与える存在であるという認識を明確にし、包括的な法制度化を採ることによって、「健康食品」の枠組みを明確にし、行政、業界、消費者の果たすべき役割の範疇を明らかにする必要があります。これは、現在の混乱した健康食品に係る状況を整理して、健康食品に関する制度を整備するための不可欠要素であります。そのためには、これまで実際に、この業界と制度が抱えてきた問題点を明確化し、健康食品が最終的には国民のためのものであるという認識の下に、健康食品を国民が適切に利用できるための法制度化と不良品(違反品を含む)を排除できるシステムの設置が早急に望まれます。

 そのための最も重要な課題として、「健康食品」の製品及び原材料の安全性、有効性、品質などに関する情報を消費者に提供するシステムを設置することが挙げられます。特に、科学的な根拠の曖昧なあるいは科学的な根拠のない、国民をミスリードする情報をどう排除するかという基本的な問題の解決が必要です。このための責任は、行政、学会、業界それぞれが負わなければならないと思慮します。そのために、いわば産・官・学の間での密な情報・意見の交流の場を作ることは、具体的な対応の重要な鍵になると考えます。様々な制度化、取り扱い、政策決定の場に産業界の参加を認めて、十分な現状認識と意見の交流を可能にする事が具体的な対応になると思います。このような状況下においてこそ、関連業界に対して現状認識の適正化、自浄作用、責任の取り方などに真剣に取り組む姿勢を促すことになると考えます。

 一方、消費者の立場では、「健康食品」に対する正しい知識を身につけ、必要な情報を入手するように心がけ、正しい判断の下に健康食品の適切な摂取を心がけるべきです。これに合わせて、健康障害などの不都合を生じた場合には、速やかに報告する必要性を理解し、またこれを可能にする制度化が早急に望まれます。最終的な健康食品の選択とそのために必要な判断は、国民の手に委ねられるのですから、国民自ら健康と健康食品に対する認識を高める必要があります。また、国民がこれらのことを可能にできるように、適切な情報を提供できる体制の整備と、健康食品を適正に利用できるための制度的、社会的枠組みの整備が必要です。

 NNFAジャパンでは、栄養補助食品の規制緩和の検討会に関与してきた経験を踏まえ、欧米諸国の栄養補助食品に対する法的な取り組みを参考にし、更に日本における「健康食品」とその市場における現場を踏まえて、いわゆる「栄養補助食品法(試案)」を提案いたしましたので、参考資料としてここに添付させて頂きます。この試案には、栄養補助食品=健康食品の役割を明確に位置付けております。また、この法案に基づいて、栄養補助食品の品質を確保するために、NNFAジャパンでは栄養補助食品のGMP制度を確立するための検討を進めていることも付記致します。

以上


参考資料
栄養補助食品法(案)


平成14年7月24日

NNFAジャパン

事務局
〒229-1133 神奈川県相模原市南橋本4-3-36
Tel. 042-700-0057 Fax 042-700-0058



平成14年07月24日 NNFAジャパン
栄養補助食品法(案)
目次

背景説明

第1章 総則
第1条目的
第2条定義
第3条栄養補助食品の成分
第4条栄養補助食品の形状
第5条栄養補助食品の表示
第6条栄養補助食品の発売に際しての届け出
第2章 栄養補助食品の安全性
第7条栄養補助食品の安全性
第3章栄養補助食品に関連する情報の提供と表示
第8条栄養補助食品又はその成分の有効性、安全性、品質等に関する情報の開示
第9条栄養補助食品の栄養機能表示
第10条関連文献資料の提供
第11条栄養補助食品の成分表示及び栄養表示等
第4章栄養補助食品の品質基準
第12条栄養補助食品又はその成分の品質基準
第13条品質不良品
第14条製造・品質管理基準(GMP)
第5章 栄養補助食品の品質及び表示に係わる専門家委員会
第15条栄養補助食品専門家委員会の設置
第6章栄養補助食品推進会議の設置
第16条栄養補助食品推進会議の設置
第7章本法に対する違反の取扱
第17条罰則規定



平成14年7月24日
栄養補助食品法(案)
NNFAジャパン

栄養補助食品の法制化を求める主旨

 従来、栄養補助食品/健康食品を特定して制度化する法律がなく、薬事法に根拠を置く、昭和46年に出された局長通知、いわゆる46通知によってこれらの食品は規制されていた。このような状況に対して、平成8年3月のOTO対策本部決定に基づく規制緩和政策の一環として、栄養補助食品の新たな制度化の検討が行われてきた。平成13年4月1日付で発効された「保健機能食品」制度によって部分的にではあるが、栄養補助食品/健康食品が法的に取り扱われるようになった。しかし、大部分の栄養補助食品/健康食品については、剤型規制緩和等のごく部分的な規制緩和を除くと、「一般食品」の範疇の中で従来と変わらない取り扱いを受けている。そのために、効能効果的表示、用法用量に関する表示、注意喚起表示,食薬区分等において制限され、消費者がこれらの食品を選択し、摂取する際に必要な判断基準となる情報が著しく制限される状況が続いている。

 一方、国際的にみると、ビタミン、ミネラル、ハーブ、その他の多くの栄養成分が持つ機能性と安全性に関する研究は著しく進展し、これらの栄養成分を含有する栄養補助食品の有用性が明らかになってきている。即ち、有効性に関する科学的な研究が進んでいると同時に、有害性に関する事例の蓄積と安全な使用法に関する検証が行われ、その結果を反映した表示の検討が進められている。この意味では、日本は欧米の状況と比較してかなりの遅れをとっていると言わざるをえない。

 ビタミン、ミネラル、ハーブ等様々な成分を含む栄養補助食品の、日本を含む国際的な市場における流通はますます増加し続けており、アジアを含む国際的な状況は、栄養補助食品の制度化に向けて動いていると言える。米国では、すでに1994年10月に「栄養補助食品、健康及び教育法」が制定され、法的な整備に向けて様々な努力がなされてきている。ヨーロッパでもEU統合による栄養補助食品制度の統一化が図られてきたが、その結果である「EU指令」の最終案が採択され、2002年7月10日からFood Supplementの制度として加盟各国で実施される。

 日本では、栄養補助食品/健康食品の取り扱いに関して、種々の法律、政令・省令、通知・通達等が輻輳して規制しており、国民のみならず関連業界にとっても理解し難い制度となっている。それにもかかわらず、栄養補助食品を全般にわたって一つの制度の下に取り扱うという考え方は、日本にはまだない。しかしながら、市場における流通実態の現実を見ると、すでに一兆円に達するところまで栄養補助食品は成長しており、国民の生活にも経済的にも少なからぬ影響を与えていると考えざるを得ない。

 翻って、日本国民の健康に関わる環境について見てみると、我が国は世界で最長寿国であり、この傾向は高齢化・少子化傾向と相まってさらに促進されると考えられる。それ故、生涯にわたる健康管理と疾病予防は政府と国民に対する大きな課題として、今後、ますます重要になることは間違いない。しかも、日本経済の低迷するなかで、国民医療費は年々増大し続けている。このような状況において医療費を抑制していくためには、国民一人一人の自助努力と、日常生活における健康保持のための意識改革が不可欠の要素であることは、論をまたない。殊に食生活の変化が国民の健康の重要な課題となってきているなかで、栄養補助食品が、国民の自助努力による健康の維持・増進と疾病予防に最も有効な手段の一つであることは、様々な科学的データによって検証されつつあるところである。また、栄養補助食品を安全に使用するために必要な情報についても、適切なかたちで国民に伝達し、適切な対応をとることのできる社会的な環境整備の必要性についても認識が高まってきている。このような状況下で、栄養補助食品に関する新しい制度の制定によって関連業界の活動が活発になれば、ひいては日本国経済の活性化、雇用の促進等の好ましい効果にも繋がるものと考える。

 したがって、栄養補助食品に係わる法律を新たに制定し、その製造及び流通が適切な形で行われ、国民が健康の維持・増進と疾病の予防に栄養補助食品を有効に役立たせ、かつ国民がこれを安全に使用しうる環境を整えるためには、栄養補助食品にかかわる法律を従来の食品にかかわる様々な法律と切り離して、独立に制定することが望ましいと判断する。

第1章 総則

〔目的〕
第1条この法律は、栄養補助食品の意義を明確にし、製品の安全性を確保し、消費者による製品の適切な選択を可能にし、流通の適正化を図ることによって、国民の健康の維持増進及び疾病の予防を図ることを目的とする。

〔定義〕
第2条栄養補助食品は通常の食事を補充し、又は通常の食事の摂取からは期待し得ない、機能性を有する成分の摂取を目的とするもので、以下の成分を一つ以上含む。
1)ビタミン
2)ミネラル
3)ハーブ又はその他の植物、藻類及び菌類(タバコを除く)
4)たんぱく質及びアミノ酸
5)単糖類、多糖類等の糖質及び食物繊維
6)脂質
7)上記以外の天然成分で人間が食用に使用することができる成分
8)上記の成分の抽出物、濃縮物,代謝物、混合物又は代謝産物で、人間が食用に資することができるもの

〔栄養補助食品の成分〕
第3条栄養補助食品の成分は、原則として医薬品成分に区分されたものを含まない。但し、医薬品に区分されたものであっても、食経験や食品としての使用実態のあるものについてはこの限りでない。
(2)栄養補助食品に用いる成分は、食品衛生法が定める食品添加物の取り扱いを受けない。
(3)栄養補助食品に用いる成分は、その成分の製造方法、精製法等によって規制を受けない。
(4)栄養補助食品に用いる成分が新規の成分である場合には、食品成分としての流通実態、食経験の実態等に基づき、第15条に規定する専門家委員会の意見を聞いて食品としての使用を認める。

〔栄養補助食品の形状〕
第4条栄養補助食品は錠剤、ハードカプセル、ソフトカプセル、粉末、液状等の形状をとり、通常の食品の形状をとらず通常の食品の代替又はその一部として使用しない。

〔栄養補助食品の表示〕
第5条製品には、栄養補助食品と明示しなければならない。

〔栄養補助食品の販売に際しての届け出〕
第6条栄養補助食品を製造し又は販売しようとする者は、当該表示内容を発売時に厚生労働大臣に届け出る必要がある。厚生労働大臣は必要に応じて、当該表示内容に疑義があるか否かを判断するために製造者又は販売者に必要な資料を求め、第15条に規定する専門家委員会に判断を委ねることができる。当該表示内容に問題があると判断された場合には、厚生労働大臣は表示内容の修正をその製造者又は販売者に求めることができる。

第2章 栄養補助食品の安全性

〔栄養補助食品の安全性〕
第7条栄養補助食品及びその成分は基本的に食品であり、本来安全でなければならない。栄養補助食品又はその成分を製造し販売しようとする者は、製造者又は販売者の責任において、当該食品又はその成分の安全性及び安全な使用方法を担保しうる根拠を持たなければならない。なお、科学的な根拠については有効性、安全性を問わず、原則として公開とする。
(2)栄養補助食品又はその成分の発売当初、病気や傷害を起こす重大なリスクの可能性を認識できないにも係わらず、発売以後にリスクの可能性が明らかにされた場合には、国がその立証責任を負うものとする。
(3)栄養補助食品又はその成分の摂取によって生じる病気や傷害等のリスクを明らかにするために必要な措置は、第15条に規定する専門家委員会の検討に委ねるものとする。
(4)栄養補助食品又はその成分に病気や傷害を起こす重大なリスクの存在が確認された場合は、そのリスクの状況に応じて適切な措置をとり、速やかに国民に公示しなければならない。
(5)厚生労働大臣は、栄養補助食品の発売後に生じうる、健康に対する障害等のリスクの有無を適切に把握することのできるモニタリング・システムを策定し、当該栄養補助食品に付随する有害事象を最小限にするための措置を講じなければならない。なお、モニタリング・システムについては、その方法、運用、組織機構等を別途定めるものとする。

第3章 栄養補助食品に関連する情報の提供と表示

〔栄養補助食品又はその成分の有効性、安全性、品質等に関する情報の開示〕
第8条栄養補助食品又はその成分の有効性、安全性、品質等に関する情報は、消費者が健康の維持・増進及び疾病の予防を図ることを目的として、自らの状況に適した製品を選択するために重要である。
(2)栄養補助食品又はその成分を販売しようとする者は、法に準じて必要かつ十分な情報を消費者に提供しなければならない
(3)上記の消費者に提供される情報は公正かつ倫理的、客観的であって、科学的な根拠に基づいたものでなければならず、偏りのある、特定の商品を推奨するものであってはならない。
〔栄養補助食品の栄養機能表示〕
第9条栄養補助食品又はその成分の栄養機能表示として、消費者に適切な情報を提供するために、次に示す内容を製品の包装、添付文書、パンフレット等の宣伝媒体、その他に記述することが出来る。
1) 栄養成分の欠乏を補う旨の記述
2) ヒトの身体の構造と生理的な機能に対する当該栄養成分の影響と役割及び その役割に対する作用機序の根拠に基づく記述
3) 根拠に基づく疾病のリスク低減に関わる記述
4) 当該の栄養成分の摂取によって得られる一般的な健康上の利点
(2) 表示の妥当性に関する判断は、第15条に規定する専門家委員会の検討に委ねる。
(3) 上述の栄養機能表示に係わる記述を行う場合には、以下の条件を満たすこと。
1) 当該の栄養補助食品又はその成分を発売するものは、表示される記述が真実であって、虚偽又は誤解をまねくものでないことを示す根拠を持つこと
2) 上述の栄養機能表示は厚生労働大臣の認可を受けたものでないことを示す記述を、栄養機能表示記述と併記すること
3) 上述の栄養機能表示が病気や傷害の診断、処置及び治療を目的としたものでないことを明記すること

〔関連文献資料の提供〕
第10条栄養補助食品又はその成分を発売しようとする者は、専門学術雑誌に掲載された論文、評価の定まった出版社によって出版された書籍等の学術的な印刷物、磁気媒体等を販売に際して提供することができる。ただし、以下の条件を満たさなければならない。
1) 虚偽又は誤解をまねくものでないこと
2) 特定の製造販売業者又は特定の商品を推奨するものでないこと
3)当該成分に関して入手可能な科学情報を、その情報全体に渡って公平に提供し、特定の部分を抽出したり、偏ったりしたものであってはならない
4)関連文献資料が展示される場合、当該の製品と物理的に区別して展示しなければならない
(2) 前項の情報の提供に関して、記事、記述、その他の展示が虚偽又は誤解をまねく可能性がある場合には、それを立証する責任は国が負うものとする。

〔栄養補助食品の成分表示及び栄養表示等〕
第11条栄養補助食品に含まれる成分は、公的に認められた名称を用いて全成分表示の形で表示されなければならない。
(2)栄養補助食品の栄養機能表示及び栄養表示に係わる成分、並びに製造に際して使用する成分については、健康増進法の定めるところ従い、含有量、含有成分の配合比率、栄養所要量(RDA)に対する割合等を表示しなければならない。
(3)当該栄養補助食品についてその摂取目的、摂取量、摂取方法、摂取間隔、摂取上の注意喚起事項、品質保持期限、製造者、販売者等を適切に表示しなければならない。

第4章 栄養補助食品の品質基準

〔栄養補助食品又はその成分の品質基準〕
第12条栄養補助食品又はその成分を製造し又は販売する者は、当該製品の品質基準を科 学的な根拠に基づいて設定し、製品の流通・販売に際して品質が保全されるように配慮しなければならない。
(2)栄養補助食品又はその成分を製造し又は販売する者は、当該製品の安定性を科学的な根拠に基づいて判定し、適切な品質保持期限と保存条件を設定しなければならない。
(3)当該製品の開封後の品質保全についても、適切な配慮をすべきである。

〔品質不良品〕
第13条栄養補助食品について、次の各項に該当するものは品質不良品と判断し、市場において発売することを禁ずる。なお、発売後に品質不良品であると判明した場合には、製造業者または販売者は直ちに市場から当該製品を回収しなければならない。
1)表示されている方法または通常用いられている方法により摂取した場合に、病気や障害を引き起こす重大なリスクがある場合
2)新規成分で、通常用いられる方法により摂取した場合に、病気や障害を起こす重大なリスクがないと保証する情報のないもの
3)厚生労働大臣が、規則に基づいて国民の健康や安全に危害をもたらすものと宣言したもの
4)第14条に規定するGMP等の適正な製造および品質管理基準の規則に適合しない条件下で製造、加工、包装、保管、流通されたもの
5)食品に混入することが認められない物質が混入している場合
(2)栄養補助食品が本条各項の何れかに該当して、品質不良品であることを証明する責任は厚生労働大臣にある。尚、品質不良品であることを証明は第15条に規定する専門家 委員会の検討に委ねるものとする。

〔製造・品質管理基準(GMP)〕
第14条栄養補助食品又はその成分を製造するものは、定められた製造・品質管理基準(GMP)を遵守して製品を製造し、保管しなければならない。
(2)厚生労働大臣は栄養補助食品のGMPを定め、これを施行しなければならない。
(3)GMPの設定およびその改廃については、民・産・官の学識経験者で構成する、GMP専門家会議を設置して検討を委ねなければならない。

第5章 栄養補助食品の品質及び表示に係わる専門家委員会

〔栄養補助食品専門家委員会の設置〕
第15条栄養補助食品の有効性、安全性、品質及び栄養機能表示等の表示に係わる問題について検討し、適切な提言を行うために独立した機関として栄養補助食品専門家委員会(専門家委員会と略称する)を設置する。専門家委員会は内閣総理大臣により民・産・官・学から幅広く選ばれた専門家によって構成するが、その使命、構成、役割および予算等については別途定める。

第6章 栄養補助食品推進会議の設置

〔栄養補助食品推進会議の設置〕
第16条栄養補助食品の有効性及び安全性に関する科学的な研究を推進・奨励し、栄養補助食品の有効性及び安全性に関する適切な情報を国民に知らせ、国民の健康維持・増進と疾病の予防における役割を明らかにし、国民の理解を得るために、栄養補助食品推進会議を設置する。なお、栄養補助食品推進会議は内閣総理大臣の直属の諮問機関とし、民・産・官・学から幅広く選ばれた専門家によって構成するが、その使命、構成、役割および予算等については別途定める。

第7章 本法に対する違反の取扱

〔罰則規定〕
第17条本法の各条に対して重大な違反がある場合には、別途定める罰則規定の対象とする。

平成14年7月24日


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