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厚生労働省医薬局食品保健部企画課新開発食品保健対策室 御中

「健康食品に係る制度のあり方に関する検討会ヒアリング申請書」(平成15年5月14日)、P-1〜P-5

○団体: NPO法人 全日本健康自然食品協会
○申請書の責任者:学術委員長 吉池 久守
○住所: 東京都文京区本郷3-31-3 本郷スズヨシビル3F
Tel: 03-3814、Fax: 03-3814-5694
○団体の概要:
1)目的(定款より): 健全で伝統的な食生活を通して、健康で豊かな社会を望む者に対して、それら食材の生産される環境の保全を目的とし、正しい食の思想と実践の普及や情報の提供を行い、それを通して国民の健康や環境の保全に寄与する。
2)会員の構成: 健康食品・自然食品の 製造業 150 社、卸し業 250社、小売り業 250社、個人会員 27人
3) 活動の内容(定款より): 1)の目的を達成するために、NPO法人として、・保健、医療又は福祉を図る活動、・環境の保全を図る活動、・上記の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡・助言・援助に関する活動。

○: 健康食品に係る制度のあり方に関する意見の内容:
「検討会」の3つの課題に対して以下に意見を記します。

 食が国民の健康づくりにとって基本であることは云うまでもない。食品に身体の構造又は機能に影響を与える機能があることは明らかであり、国がその内容を国民に知らせ、教育して、国民の健康の維持・増進を図ることは、国の役割である。この様に重要な問題であるにもかかわらず、現行の薬事法―食品衛生法の枠での「医薬品 ― 現行制度に基づく保健機能食品 ― いわゆる健康食品(「健康食品」)― 一般食品」の体系において食品の身体の構造又は機能に対する影響を表示できるのは、保健機能食品〔特定保健用食品(以下「特保」と云う)、栄養機能食品〕のみであり、我々は、これでは国の役割は果たし得ないと考えている。
 よって、我々は、「検討会」の3つの課題対して意見を述べる前に、当協会の基本となるべき考えを述べる。それは、薬事法―食品衛生法の枠から独立した法律として「食の効能普及全国会議」と「食と健康政治連盟」が作成した「食と健康教育法(仮称)」の立法化である(参考資料 -I)。この法律案は、効能がある全ての食品に適用され、現行制度の保健機能食品及び「健康食品」にも適用される。また、この法律案は、現在、内閣府において立法化が検討されている「食の安全基本法」と同列に位置づけられる重要な法律として立法化されるべく準備中のものである。この法律案の重要な骨子の一つは、消費者に食品の効能を知らせるための健康強調表示として、摂取目的に応じて、栄養素機能表示、構造機能表示、疾病予防表示、疾病改善表示を制度化することである。もう一つの重要な骨子は、かかる効能表示を裏付ける科学的根拠を評価するために、第三者機関として〔食の効能評価委員会(仮称)〕を設置することである。前述の「食の効能普及全国会議」は、食の効能評価のあり方について、「食の効能評価学術研究会」〔設立趣意書及び発起人名簿(参考資料 -II)〕を学会として設立し、現在、複合成分である食品の効能評価方法の確立に努めている。また、この法律案の作成において、「表示について」(参考資料 -III)、米国との対比における日本の表示の矛盾点を指摘している。

「検討会」の課題(1): 国民の健康づくりにおける「健康食品」の役割をどう位置づけるか。「医薬品 ― 現行制度に基づく保健機能食品 ― いわゆる健康食品(「健康食品」)― 一般食品」の体系のあり方

 食品衛生法の中に保健機能食品が規定されたことは、食品にも、医薬品の定義である薬事法第2条の「身体の構造又は機能に対する影響」があることを、法的に認めたことになるから、「健康食品」を薬事法による規制から完全に切り離すべきであると考える。したがって、医薬品の定義を見直し(第2条に「食品を除く」の除外規定を復活させること)、また薬事法に定められたいわゆる食薬区分の「食品に使用できる成分本質(原料)」の規定を食品衛生法に移行させるなど、薬事法に基づく「健康食品」に対する規制を撤廃するよう、薬事法を改正すべきである。
 当協会の会員である中小企業メーカーで「特保」を取得した企業はない。申請において医薬品に準じた効能評価が要求されるなど、コストがかかり過ぎるためである。また、取得したとしても、認められる表示が保健の用途のみに限定されるなど、販売上のメリットに乏しいからである(かかったコストを回収できない、また大企業の様に広告コストをかけることができない、など)。せめて疾病の予防効果(疾病に罹るリスクの低減)を表示することを認めるべきである。又、食品は複合成分であるから、医薬品に対する様な、単一成分に対する効能評価方法を適用すべきではない。一方、「健康食品」に係る制度は健康増進法の中に規定すべきであるとの意見があるが、「健康食品」に許される表示が「特保」の上をゆく可能性はなく、我々はこの意見に期待していない。
 一方、規格基準型として栄養機能表示ができる「栄養機能食品」の制定は規制緩和の一環として高く評価できるが、ビタミン・ミネラルなど12種の物質に対する許可に次ぐ栄養成分(その他ビタミン、ミネラル、アミノ酸、タンパク質、脂肪酸、ハーブ、生体構成成分等)の追加許可が遅れている。その理由は、規格基準型として、これらの成分に対する最大安全摂取量などについて文献が充分になく、規格基準が作れないからであると推定される。栄養機能表示の内容が非常に限定されていることは大きな問題であるが、この制度は「健康食品」にとって期待が大きいので、文献がないという理由だけから許可を遅らせるべきでない。

「検討会」の課題(2): 「健康食品」の利用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能しているか。「健康食品」の安全性・有用性の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の期待に応えうる「健康食品」はどうあるべきか。

 「健康食品」の有用性は、消費者に食品の機能性成分(栄養素、身体の構造・機能に影響する成分、疾病予防成分、疾病改善成分)を、健康づくりの目的にそって、高効率かつ簡便に提供することにある。すなわち、「健康食品」の有用性は、天然食品起源の機能性成分を濃縮し、単独或いは配合した形で、消費者に提供することにある。これらの「健康食品」の成分は、通常の食生活で摂取しようとしても不足するか、或いは摂取が困難ないし不可能なものである。これらの食品の機能性成分に関する研究は非常に進展しており、関連成分の抽出、濃縮、製剤化などの技術も非常に進歩している。よって、「健康食品」の有用性はますます高まっている。製品の流通も、店舗販売、通信販売、インターネット販売など多チャネルになり、消費者が購入しやすい形態になっている。消費者の健康意識の高まりから利用者は増加し、その摂取体験から「健康食品」の有用性は着実に消費者によって評価され、定着している。
 「健康食品」の有用性の確保について:効能の科学的根拠の充実が必要である。我々は、前述の「食の効能評価学術研究会」が複合成分である食の効能評価のあり方について議論し、確立しようとしている食の効能評価法が最も適切であり、科学的であると考えている(参考資料 -I参考資料 -II参照)。
 「健康食品」の安全性の確保について:国としての安全性の基準或いはガイドラインづくりが必要である(ただし、それは医薬品的思考で設定されてはならない)。(財)日本健康・栄養食品協会の健康補助食品に対する安全性基準及びGMPや、業界或いは製造者の自主基準があるが、これを国として統一する必要がある。また、内閣府が検討中の「食の安全基本法」の遵守は重要であり、とくに食品原料及び処理に対する遡及調査(traceability)の確保が重要であると考える。
 消費者に対する適切な情報提供について:冒頭にも述べた様に、身体の構造又は機能に影響を与える食品の機能について、その内容を消費者に適切に知らせ、教育して、国民の健康の維持・増進を図ることは、国の役割である。この点で、現行の体系は全く不十分かつ不適切である。保健機能食品に認められている表示の内容は、制限され、不十分かつ不適切である。また、「健康食品」については全く認められていない。これらの食品の機能性成分がもつ栄養素機能、身体の構造又は機能に影響する機能、疾病予防機能、或いは疾病改善機能について適切に消費者に知らせる必要がある。前述の様にして「健康食品」の有用性及び安全性が確保されれば、表示に対する制限は緩和されてしかるべきである。また、薬事法第2条を根拠として食品の効能に関わる情報提供を制限すべきではない。又、表示内容については製造者責任とし、前述の「食と健康教育法(仮称)」に定める範囲において、裏付けとなる科学的根拠の担保を必要条件とした上で、効能の表現の自由を製造者に与えるべきである。また、現行制度の中で「健康食品」の表示に対して議論する場合、現行保健機能食品の表示のあり方について根本から検討し直す必要がある。

「検討会」の課題(3)の中: 「健康食品」に対する厚生行政のあり方について:

 保健機能食品を食品衛生法の中に規定したことは、食品の身体の構造又は機能に対する影響を法的に認めたことであるから、薬事法第2条において従来あった「食品を除く」の除外規定を復活させるなどの法改正を行い、「健康食品」に対する規制は、食品衛生法、健康増進法、及び内閣府で立法化中の「食の安全基本法」をもって、及び「健康食品」の誇大広告に対する規制は景表法のみをもって行われるべきである。
 厚生労働省は、1) 「健康食品」の有用性の確保において、効能評価のあり方についてガイドライン作りをいそぐべきである、2)「健康食品」の安全性の確保において、安全性の基準或いはガイドライン作りをいそぐべきである。この様にして「健康食品」の有用性及び安全性が確保されれば、保健機能食品及び「健康食品」の効能表示をあくまで製造者責任とし、かつ、前述の様に、効能の表現の自由を、裏付けとなる科学的根拠の担保を必要条件とした上で、製造者に与える方向で制度化すべきである。

 以上、 健康食品に係る制度のあり方に関して意見を申し述べます。なお、意見の内容を明確にするため、参考資料-I(「食と健康教育法(仮称)」、食の効能普及全国会議・食と健康政治連盟の協同作成)、参考資料-II(食の効能評価学術研究会の設立趣意書及び発起人名簿)、参考資料-III(「表示について」、食と健康教育法(仮称)に付帯した資料)を添付いたします。

参考資料-I
(1-4ページPDF 491KB)、(5-8ページPDF 465KB)、(9-11ページPDF 372KB)
参考資料-II

(1-2ページ
PDF 284KB)、(3-4ページPDF 237KB)
参考資料-III
PDF 490KB)

以上



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