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資料4
1.活動状況の概要
例)いわみ福祉会(島根)の取組

(1)浜田圏域の概要
 浜田圏域(保健福祉圏域)は島根県西部に位置しています。対象となる地域は浜田市・江津市・三隅町・金城町・旭町・弥栄村の2市3町1村で人口約92,000人。平成14年3月31日現在の浜田圏域での療育手帳保持者は、640人。障害児・者施設入所は、152人、在宅者は488人です。

(2)「社会福祉法人いわみ福祉会」取り組みの概要
A.相談窓口
種別 事業名 相談センター名
障害児・知的障害 障害児(者)地域療育等支援事業 浜田圏域障害者生活支援センター「レント」
知的・身体・精神 障害者就業・生活支援センター事業 島根西部障害者就業・生活支援センター「レント」

B.サービス事業
事業の内容 施設名 定員・数
知的障害者更生施設(入所) 「桑の木園」 定員50名
   〃 更生施設(通所部) 「桑の木園」 定員20名
   〃 通所授産施設
   〃 通所授産施設
   〃 通所授産施設
「くわの木&あゆみ」
「くわの木&あゆみ」三隅分場
「くわの木&あゆみ」金城分場
定員35名
定員10名
定員19名
知的障害者福祉ホーム 「桑雲寮」 定員10名
知的障害者グループホーム 浜田市・金城町・三隅町 6ヶ所
知的障害者生活ホーム(県単独事業) 浜田市・金城町 4ヶ所
心身障害者小規模授産施設 「杉の子作業所」 1ヶ所
知的障害者ホームヘルプサービス 生活支援センター「レント」
青山ヘルパーステーション
 
障害児ホームヘルプサービス 生活支援センター「レント」  
知的障害者ショートステイ 「桑の木園」  
協力機関型ジョブコーチ事業 いわみ福祉会 2名

C.地域生活支援センターの活動について
 「浜田圏域障害者生活支援センターレント」
 「島根西部障害者就業・生活支援センターレント」
(1)地域の相談窓口としての機能
 相談を受けてサービス調整をする機能、複雑なニーズの場合は、ケアマネジメント手法を使い、関係機関との調整を行なう。
 (概略図)−療育相談・雇用相談・生活相談・進路相談・サービス調整等
(概略図)−療育相談・雇用相談・生活相談・進路相談・サービス調整等

(2)サービス提供
 個々の支援の計画(支援プラン)を組み立てる上で、地域生活を直接支援するためのサービスが必要となる。特に生活の場としてのグループホーム、個々の生活を助けるホームヘルパー、特に介護が大変な学齢期の子供さんや自閉症等障害特性に応じて柔軟に対応できるホームヘルパーが必要となった。

a.障害児・知的障害者ホームヘルプ事業

障害児・知的障害者ホームヘルプ事業
 *知的障害者へのホームヘルプサービス事業所は圏域内に10事業所。

b.グループホーム利用者・単身生活者等のバックアップ支援
 生活支援センターが町中に位置するため、地域のグループホーム利用者や在宅者が、自然と仕事帰りや通所施設からの帰りにセンターに立ち寄るようになった。そこで、地域の情報提供や他の地域の方との交流、また生活相談などを必然的に行なうようになってきた。

グループホーム利用者・単身生活者等のバックアップ支援

c.レスパイトサービス(インフォーマルサービス)―「手をつなぐ育成会」運営援助

レスパイトサービス(インフォーマルサービス)―「手をつなぐ育成会」運営援助

 育成会運営のレスパイトサービスは、運営委員会方式で実施されており、センターも運営委員会のメンバーとなっている。

(3)本人活動―余暇活動・ボランティア活動・音楽活動のサポーター

本人活動―余暇活動・ボランティア活動・音楽活動のサポーター

 定期的に会合を行い、本人たち自身が余暇活動の計画を立て実施している。また大学ボランティアサークルのサポーターと一緒に海岸清掃を行なったり、道路の花壇の管理を年間通じて行なうボランティア活動も実施している。センターでは会合の場所提供や本人たちから要望があれば大変な部分のみ支援するという形をとっている。

(4)自閉症療育活動・勉強会(自閉症を学ぶ会:保育士・保護者・施設指導員等で組織)
   療育相談(関係機関と連携)・AAPEP診断・療育セミナーの開催
   応用行動分析を用いた行動障害等への対応・分析など
   *自閉症の療育の視点は、すべての知的障害をもつ方の支援に役に立つと思われる。

(5)連絡調整会議等(個別ケア会議とは別に地域の課題を話し合う場)
    生活支援ネットワーク会議(行政・各相談窓口等)―年2回(あとは必要に応じて開催)
就労支援ネットワーク会議(行政・各相談窓口・ハローワーク・職業センター等)―年2回(あとは必要に応じて開催)
地域ケア会議(社協・各相談窓口・介護保険事業者・医療・行政等)―年6回
障害者就業・生活支援センター連絡調整会議(センター活動報告・連絡調整)―年1回


2.障害者の地域生活支援の活動を進めていく上での問題・課題等

   これまで選択肢のあまりにも少ない「施設を中心とした福祉」が長かかったため、支援費(利用契約)制度がすでに始まった今でさえも、私たちは地域資源を活用する者として、また要求する者としてのスタンスが確立できていないのが現状である。まず、本人・親を含めた支援者が、改めて地域に何を求めれば豊かな生活が営めるかを考える必要がある。そして、これを受け止めるサービス提供事業者・行政も、同様の気持ちでそれぞれに異なるニーズに応えていただく環境の設定をお願いしたい。

※情報提供・相談支援体制
行政の窓口対応における専門性が足りず、制度紹介など情報提供が不十分である。
支援費制度が開始されるに当たって、制度の誤解や認識の不十分さ、粗雑な聞き取りなどが行われている状況にある。
地域内で活用できる資源や制度への理解が不足しており、本人家族ともに生活全般のイメージが持ちきれない。
専門性のある相談窓口、マネジメント、資源開発などを中立の立場で行う支援センターの位置付け、ケアマネージャー(コーディネーター等)の公的な支援としての配置などが必要なのでは。

※サービス提供業者
地域生活において、生活部分を支えるのは「親・世話人・ヘルパー」です。特に在宅の方にとって、ヘルパーは命綱であり、ヘルパーに与えられた使命の重要性は言うまでもない。
ホームヘルプサービスの制度設計が知的障害者の特性を踏まえた内容になっていないため、制度に利用する側が合わせなくてはならないような状況になっている。
ホームヘルプサービスのヘルパー養成研修が障害特性を踏まえたものとなっていないため、既存の高齢者対応ヘルパーの事業所によるヘルパー供給では支援費制度開始以前からのサービスが利用できない。
ショートステイが入所施設における対応しかないため、資源が偏在していて、生活を維持する最低限の対応でしかなく、日常生活の支援になりきれない。

需要と供給の関係
 求めないからサービスが無い。サービスが無いから選ぶことができない。利用しない・できない。相談するところもない。こんな悪循環を繰り返していても、前進はありえません。私たちの持つニーズは、すでに現状用意されている公的サービスの範囲を超えています。

制度
 聞き取りの項目が、知的障害者の生活困難に対応できていない。


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