03/05/26 第20回社会保障審議会介護給付費分科会議事録          社会保障審議会 第20回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所    平成15年5月26日(月) 16時から18時    霞ヶ関東京會舘ゴールドスタールーム 2 出席委員    西尾、新井、井形、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、田中(滋)、    田中(雅)、中村、西島、橋本、堀江、村上、山口、山崎、山本の各委員    遠藤参考人    澄田、矢野の各委員は欠席 3 議題  (1)介護保険制度の実施状況について  (2)その他   ○ 資料1に沿って、介護報酬改定に関わる前回の分科会以降の経過について、資    料2に沿って、介護保険制度の実施状況のデータについて、外口老人保健課長よ    り説明。   ○ 資料3に沿って、第2期の第1号保険料と介護給付納付金について、資料4に    沿って、介護給付適正化に向けた取組について、貝谷介護保険課長より説明。   ○ 資料5に沿って、社会保障審議会介護保険部会と高齢者介護研究会について、    松田総務課長より説明。 (木村委員)  要介護度別に見た貸与種目別の福祉用具で、要支援の方が移動用リフトが使われてい るが、そもそも要支援の状態像というのは歩けるというイメージがあると思う。そうい うところはもっとケアプランの内容をしっかり見ていただきたい。  同じく車いすが増えているというのもやはり疑問に思う。なぜ要支援で移動用リフト や車いすがたくさん利用されているのか調査していただきたい。 (井形分科会長代理)  介護保険がおおむね順調に推移しているように見えるが、要支援と要介護度1の増加 が著しい。今まで恩恵に浴さなかった人が入ってきたということであれば結構なことだ が、要支援そのものは予防給付という位置付けだったと思う。例えば要介護度1が増え たのはほとんど要支援が悪くなって移行したとか、予防効果を発揮して自立で帰った人 が何%で、要介護度1に推移した人が何%であるかといったこともこれからの評価事項 になるのではないかと思う。要支援というのは海外からも注目されている制度で、予防 効果を発揮したということを是非実現してほしい。 (外口老人保健課長)  確かに要支援とか要介護1のところで介護予防の効果あるいは要介護度が軽くなるよ うな方向に進んでいるかどうかの検証が必要だと考えている。今回ケアプランあるいは ケアマネジメントの充実も目指しているが、合わせて今いろいろな研究者のグループの 中でも、例えばサービスの内容によってどう変わっていくかといった分析も進んでお り、そうしたことも含めて改めて調査検討をしたいと考えている。 (村上委員)  居宅と施設サービスの割合で、12年と14年を比較すると、金額的にも人数的にも施設 サービスのウェートが下がり、在宅サービスのウェートが上がっている。これはある意 味で在宅重視という政策が効いたのか、施設を増やすのに限界があるから待機者が増え ただけなのか。ここはきちんと分析しておかないと間違ってしまうのではないかと思う が、内訳はわかっているのか。 (石黒介護保険指導室長)  データとしてはそれぞれのサービスごとの利用者数あるいはサービスごとの金額のデ ータがあるので、次回、15年度も含めてお示ししたい。  御指摘のように施設サービス、在宅サービスは単に利用者数とか金額だけではなくて その内容も含めて検討することが必要だと考えているが、その辺も十分研究したいと考 えている。 (村上委員)  要は施設の待機者は増えたのか、減ったのか。在宅が増えているのは施設が足りない から増えたのか、どういう要因なのか。  合わせて、待機者の数は平成12年より減ったのか増えたのかも聞かせていただきた い。 (石井計画課長)  特別養護老人ホームの入所希望者が増えているとの指摘があるが、11年度までの措置 制度と12年度以降の介護保険制度では、利用方式が大きく変わったことに注意が必要で あり、現在、入所申込みをされている方の中には直ちには入所の必要のない方もおられ るものと受け止めている。このように、制度のベースが異なっていることから、措置時 代と比べて、真に入所の必要な待機者が増えたのかどうかを比較することは難しい。  本日のデータで、在宅サービスのウエイトが上がっていることについては、介護保険 制度で在宅重視を打ち出し、市町村のいろいろな取り組みや事業者の積極的な参入など があったことが、こういう形になって表れていると考えている。 (村上委員)  この辺は研究会でやっているが、ゴールドプラン後の新しいプランをつくるときに利 用者側の実態を把握しないでつくるわけにはいかないだろう。ゴールドプランが16年度 で切れるとすれば、来年の概算要求くらいには概要を固めなければ、タイムリミットに なってくるのだろうと思う。  せっかく調べるならば、制度が違うから比較できないだけでは困るわけで、今後のプ ランをつくるためのきちんとした調査をやらないといけない。  特に、前から介護の問題のデータは非常に蓄積も薄いのかもしれないが、利用者サイ ドのいろいろな要望とか意見の積上げが非常に少ない。私は制度部会で議論するときに はそういうことをきちんと踏まえてやるべきだと思っている。 (京極委員)  特に施設サービスの待機者については介護保険の施行後と施行前では行政の数字の取 り方が違うような気がしている。措置制度の下においては市町村に申し込んでいたから 1人の人は1件だったが、今は通常は3件くらい施設に申し込んでおり、集約すると3 倍の数になる。実態の数が幾つで、延べを外した場合は幾つなのか正確に国でもつかん でいるかどうか、その辺が大事かと思う。その辺がわかれば教えていただきたい。 (石井計画課長)  各自治体で第2期事業計画を作成していただくに当たっては、御指摘の重複申込みの 整理が必要であることを注意喚起したところである。いくつかの自治体から関連データ をいただいているので、いずれ整理してお示ししたい。 (堀江委員)  特養ホームの待機者の数の問題だが、カウントの基準等もあって、大変今、混乱状態 だろうと思う。この待機者の数を元にして、各保険者から一方的に施設整備が遅れてい ると責められる場面もあるが、基本理論の整理が行われていないからこういう事態に なったのだろうと思っている。契約理論の話は基礎のベースにあるのだろうと思うが、 措置時代と違って契約論で、申し込めばよいんだと。この間の基準で、優先順位を施設 側も守るようにという指導がされるようになったが、保険者あるいは行政機関側には明 確な形での責任を取る体制がないままに行われているのだと、私はそう理解している。  他方では、待機者は現実にあり、その待機者をどうカバーするかという面について は、今後、個室化理論による特養施設の整備でなければだめだという補助基準を実行さ れているわけだが、本当に介護をしなければならない施設待機者に本当に役に立つのか どうか。そこの見込みを正確に見通されているのかどうかが大変重要な問題だろうと思 う。したがって、個室化あるいは契約理論、または待機者の区分の基準、合わせて現状 認識をして交通整理すべき。その上で施設で介護サービスをしなければならない人たち には、在宅重視の理屈は理屈で結構だが、現実の問題としてきちんとその整備を進める べきだと思っている。そういう理屈が実態と乖離しているのか、きちんとフォローして ほしいということを要望しておく。 (中村委員)  今、特養の待機者の問題が出たが、やはり実態調査が必要。なぜ特養待機者が多いの か、特養待機者の分析をお願いしたい。  もう一点は、介護保険成立への背景となった社会的入院。現在でも社会的入院が今な お続いていると言われているが、特養の待機者を分析すると同時に、介護保険導入後の 社会的入院の動向の分析、実態把握もお願いしたい。 (山口委員)  4点程申し上げる。  要支援で、家事援助だとか、あるいは福祉用具の使用とか、いろいろなデータが示さ れた。確かに要支援でこういうものはいかがかという感じがするが、いずれもケアマネ ジメントの質の問題につながる問題だろう。国でも今後調査をするときには、質という ものをどういうふうな切り口で判断するのか。要支援や要介護1が非常に多いというこ とを踏まえたときに、そういう問題を含めてデータを出していただければありがたい。  2番目は、在宅サービスが増えていることは結構だが、この中身が問題だろうと思 う。在宅か施設かだけではなくてその両方に軸足を置いているようなグループホームだ とか、ケアハウスだとかがあろうかと思うが、第3のカテゴリーという言葉で、今まで 言われてきた。訪問サービス、通所サービス、そして第3のカテゴリーに入るであろう と推測されるサービスというような3つのグループに在宅を分けて、利用率あるいは費 用を出していただけばありがたい。これは今後の介護保険部会での議論にもつながって いくのではないか。  なお、計画課長にもお願いしたいのだが、今、新型特養と言われている名称がよいか 悪いかは別として、これもグループホームに非常に似ているのだろう。ホテルコストも ちゃんと考えてよいということになっているから、新型特養は今は施設になっている が、将来的に施設サービスの中に入れておくべきなのか、それとも第3のカテゴリーの 中に入っていくのか。これも考えておく必要があるのだろうと思う。そういうデータの 裏付けになるようなものが欲しい。  3番目だが、先ほど特養の入所待ちの話になった。私も社会的入院はデータとして出 してもらいたい。ただ、1人の人が複数の施設を申し込んでいるケースが多く、入所待 ちの数をふくれ上がらせている可能性が十分ある。そこで、国の方で入所をさせるとき の優先順位を勘案するように通達も出しているが、その後これはきちんと守られている のかどうか。  最後になるが、介護保険部会が今度動き出していく。介護報酬改定も、この分科会で 国と一緒になって皆も意見を言ってでき上がった。介護報酬改定と今後の介護保険部会 との整合性が図られるべきであろうと思っているが、今後の介護保険制度をよりよい制 度にしていくためにはこのような視点が必要なのかなと思っている。 (見坊委員)  介護保険が始まって3年を経過したが、1号被保険者である高齢者は一人残らず保険 料を払う。そして、身近な市町村単位で介護保険のサービスが提供され、その収支決算 が次の第2期の保険料に跳ね返ってくる。この辺りがよく見える形で介護保険制度が組 み立てられた。これは保険の健全な発展の上において非常に貴重な成果だと思ってい る。高齢者自身が介護保険に関心を持ち、身近なものに感じる点でよい仕組みであると 思っているが、一面でまだ試行錯誤の段階であることは間違いないと思う。  今日説明された数字は全部全国の総平均値で、全体として眺めるには大変貴重な資料 だが、地域差がはっきりしない。介護保険の導入によってサービス事業所が増えると 思っていたら、逆に減ったような感じがするというところもある。この辺の地域差と いったものがもう少しわかるような形で資料を提供していただければありがたい。  今回は保険料が上がったが、高齢人口の多い県では1,000円とか、1,000円以上上がっ たとか聞くが、かなり厳しいと感じている。老人医療の自己負担が昨年の9月に上が り、そして今度は介護保険料がまた上がった。今日の資料でも高いところは2,000円以 上上がったのではないかと想像され、これは厳し過ぎると思う。そうした点で、地域差 について分析していただきたい。  分析する際にもう一つ大事なのは基盤の整備の状況であり、裕福なところに基盤整備 はされて、最も必要なところに十分なサービス提供ができない状況になっているのでは ないかと推測している。  いま一つ大事なのは、医療費との関係。老人1人当たりの医療費は大変に格差がある が、これが介護保険料の今回のアップの額と関係があるのかないのか。国民健康保険の データを並べてみながら、その辺の関係を分析していただきたい。  もう一つは、減免は増えているが、どういうやり方をしているのか。保険の制度の中 でやっているのか、あるいは単独の補助でやっているのか、実態をもう少しわかるよう にしていただきたい。  なお、保険料の一覧表が出ているが、引上げ額が幾らのところはどの程度あるのか、 引上げ額がどうなっているのかも合わせて教えていただければありがたい。  最後に特区制度において介護保険の問題というのはどういうふうに出ているのか、既 に承認されているのか、申請されているのか、是非教えていただきたい。 (貝谷介護保険課長)  いろいろな意味で地域差は保険料にもある。保険料にあるということは給付状況も地 域差が大きいということで、そこは十分分析をしたいと思っている。次の機会に分析を した資料を提出したいと思う。老人医療についてもどういう関係があるのかということ も合わせて示してまいりたい。  それから、減免の状況ということについては、単独減免を行っている保険者のうち3 原則を遵守し保険料財源で行っている保険者が、9割弱という状況で、これらについて は制度の趣旨の範囲内でそれぞれの保険者が実施しているということ。なお、具体的な 保険者の状況については今後お示ししていきたいと思っている。  引上げ幅についても分析できるので具体的にお示ししてまいりたいが、確かに随分小 さい保険者だと引上げ額は結構大きなところがあったというふうに見ているので、そこ は具体的に示してまいりたいと思う。 (石井計画課長)  特区についてのお尋ねがあった。特別養護老人ホームの経営主体を株式会社などにも 広げるというテーマがある。特別養護老人ホームは、常時介護を要する方の入所施設で あり、その保護に配慮する必要があることから、老人福祉法は自治体と社会福祉法人に 限って経営を認めているが、構造改革特区での特例ということで幾つかの自治体から、 民間企業にも特養の経営を認めるべきという提案が挙がってきた。  検討の結果、利用者の保護に配慮しつつ、こうした要望にもできる範囲でお応えをし ようということで、PFI方式か公設民営方式、要は自治体の十分な関与が期待できる いずれかの方式の場合には、企業などにも特養の経営をやっていただける道を特区に 限って開くこととした。昨年の臨時国会に法案を提出して成立し、4月以降、具体的な 申請の受付が内閣官房で始まっているが、今日までのところでは、まだ具体的な申請は 挙がってきていない。  このほか、高齢者のデイサービスセンターを障害者にも利用していただけるようにす る特例措置も講じているところである。 (田中(滋)委員)  資料3の1号保険料の分布が4,500円を超えたところが50を超えた。これらについて、 施設が増えたからとか、利用率が増えたからとか、要介護度が重くなったからという要 因分析をどのくらいされているのか。見坊委員の御指摘は私も賛成だが、国保の保険料 との相関、逆相関などがあったら大変重要だと思う。  同じく資料3の介護給付費納付金は下村委員にお聞きした方がよいのかもしれない が、平均3,043円の分布のデータというのはあるのか。  もう一つ、言葉の使い方についての質問だが、施設系のサービスというときに今まで は第3のカテゴリーは在宅の方に入っていたと思うが、例えば資料2の5ページから8 ページにかけての施設というところにグループホームと特定が入っていて、同じく30ペ ージの図でも施設の中にグループと特定が入っている。一方で、8ページの施設と在宅 の費用を見ると、これは旧来の割り方で出入っているはず。単にグラフが書きにくいか ら書いただけならばよいのだが、カテゴリーがページによって違うのはちょっと見にく いかなと思ったが、これはどういう意味か。 (貝谷介護保険課長)  まず私の方から保険料関係について申し上げる。55の新しく高額になった保険料につ いては、次回、資料をお出ししてまいりたい。  資料3のいわゆる2号保険料、介護給付費納付金についてのばらつきというお話があ ったが、基本的に、例えば月額3,043円ということで15年度にお願いしているが、1人 当たりこの額ということなので、ここは全国同じ基準額で納めていただく仕組みにして いる。 (田中(滋)委員)  あとは所得比例ですね。 (貝谷介護保険課長)  各医療保険者の中での賦課ということでは、一般的には普通の医療費の負担と同じよ うな形で報酬に一定の率をかけるというところが多いのだろうと思う。 (外口老人保健課長)  資料は確かにちょっと言葉が混乱していて申し訳ありません。8ページの図は従来ど おり、施設サービスというのはいわゆる3施設で、そのほかが在宅サービスというふう になっている。そのほかのグラフは大分込み入っているので、いろいろ見やすさ等も工 夫して入れている。注釈が必要だったと思う。 (下村委員)  2号保険料の問題は、説明があったとおり標準報酬に応じて取るのだが、金額そのも のは全国一律の基準で取っているわけだから、地域性による影響は2号の保険料の場合 には全くないということになると思う。  今日の問題で、グラフの問題なども出たが、これだけではよくわからなくて、今後の 追加データとか分析をした上で何か議論をしてほしいということになるのか。今日の説 明だけではそこら辺がよくわからない。そこで出てくる問題をここでやるのか、介護部 会の方でやるつもりなのか。どこでどんな問題をやるのかをある程度明らかにした方 が、これからの議論が楽になっていくのではないか。全体の展望がわかるようにしてい ただきたい。  研究会は既にかなりの実績があって、その結果がある程度出ているのならば、何か話 をしていただいてよいのではないか。これはゴールドプランでこことは関係ないかのよ うにも聞こえたが、ここでの議論の前提になるのかもしれないし、制度論とも当然絡む ところがある。  それから、4月の改定の評価をするというのは大変結構で、是非やるべきだと思う が、その評価の方法論。国保連合会で審査とか支払いをやっているというのは承知して いるが、具体的にどういうやり方をしているのかというのは少なくとも私は知らないの で、その辺の実態も教えていただけないか。どういうデータが連合会のシステムにはイ ンプットされていて、どういうデータに基づいて支払いが行われ、審査が行われている かというふうなところ。そのデータを使って当然評価をするのだろうから、どんな種類 のデータがこれから先に期待できて、どういう評価ができるのかというところに我々と すれば当然関心があるわけだから、それを是非一度お願いしたい。 (松田総務課長)  介護保険部会と介護給付費分科会との関係については、基本的な制度の見直しについ ては介護保険部会で検討するということだが、介護報酬、サービスの運営基準について は分科会の審議事項ということとなっている。制度の見直しの中で介護報酬の設定等に 関係する部分というものが出てくるような場合については、必要に応じて給付費分科会 でも審議事項の調整を行いながら御審議をお願いするということを考えている。  ただ、介護保険部会はこれからスタートするものであり、会議の進め方等については 今後部会の方で御審議をいただきながら進めてまいりたい。  高齢者介護研究会の件だが、現在までかなりの検討回数を行ってきたということで、 幅広い検討項目について御審議をお願いしており、まとまった議論の結論というものに ついての報告はまだこれから取りまとめるということだが、これまでの審議の中でどの ような御意見をいただいたかということについては、要点をまとめて公表しているの で、御要望があればお出ししていきたい。研究会では、10年後の高齢者像とか地域ケ ア、小規模・多機能地域分散ケア、第3のサービス、痴呆性高齢者対策、サービスの質 の向上等について、各委員からさまざまな御意見が出ている。 (中村局長)  大事なことなので、総務課長から制度的には答弁したとおりだが、そのほか先ほど 来、施設整備のお話、ゴールドプラン21との関係などのお話もあったので、考えている ことを御説明させていただきたい。  この分科会で一昨年の10月から審議いただいているときから制度問題について総合的 に審議しなければならないのではないかという御指摘をいただいていたので、介護報酬 の改定の取りまとめの際にもできるだけ早く検討の場を設置するということにさせてい ただき、社会保障審議会で介護保険部会を立ち上げることになった。  審議事項については資料5で総務課長から御説明したとおり、ある程度法律の附則で 審議する注文もついており、介護保険制度施行前の問題意識で見直しの検討の項目が出 ているが、介護保険がスタートして丸3年たち、介護報酬の改定をして、また各市区町 村の方で保険料の見直しもしたので、まさに今動いている介護保険制度の実施状況を踏 まえて、まず3年間の実績を検証し、検討課題を洗い出すという基本的な作業からお願 いできないかと考えている。そういう意味では、介護報酬の設定、改定について、検証 が必要であるので、この4月にもこの分科会の方も議論しようということであったと思 うので、分科会の方は介護報酬の側面から、また部会の方は制度論の側面から、それぞ れ材料としては重なる部分もあるかもしれないが、観点を違えて御議論いただくのだと 思う。  その際の整理としては、制度論に関わるようなところは部会の方を中心に審議をお願 いすることになるのではないかと思うが、また介護報酬の見直しの検証の中で、例え ば、訪問介護についても類型がどうかとか、施設サービスについても検証している過程 の中でいろいろ出てきた場合には、制度論の方にフィードバックして、必要があれば両 部会合同というようなこともあるかもしれない。あるいは、代表の方に相互に出ていた だくというようなこともあるかもしれない。その辺は新しく立ち上げる部会の審議のや り方について御相談する中で整理をさせていただきたい。  ゴールドプラン21の問題もあるわけだが、利用者のニーズであるとか、保険、財政の 観点からいろいろ考えなければならないということで、我々もポストゴールドプラン21 の策定作業については役所の責任としてある程度自分たちで心積もりをし、また部会な り分科会の方にも御相談していくということをしなければならないということで、老健 局長の私的諮問機関、勉強会として有識者の方々の胸を借りながら、論点を固めていき たいと思っている。  研究会の成果についてはもちろん御報告もするし、我々の方で更にそれをこなして、 役所の考え方あるいはこういう方向でどうかということで、相談していくというような こともやらせていただきたいと考えている。  なお、これまで御議論の出たデータの件については、我々の方も更に作業をして、次 回の分科会の検討に間に合うようにしたいと考えている。私の方はそういう整理でいる が、御意見があれば承りたい。 (田中(雅)委員)  資料4の介護給付適正化に向けた取り組みについて、厚生労働省内において、社会援 護局でも同じように福祉サービスの運営適正化事業というものが行われてると思うが、 その事業と老健局の事業との関連性、あるいは別々に動くのかということについて少し お聞きしたい。既に都道府県段階では、例えば東京都の場合は別個に認証機関といった ものを設置しながら進めているということがあるが、イメージとしてどんなものを考え ているのか。  合わせて、資料4にある、既に厚生労働省老健局内において介護給付費適正化対策本 部というもので検討されているわけだが、ここにおける検討内容等があったらお示しい ただきたい。 (貝谷介護保険課長)  1点目の介護給付の適正化の取り組みということだが、考え方を整理して適正化の取 り組みを強めていきたいと思っている。社会福祉全体の運営の適正化の方は、評価も含 めた動きだったと思う。それも活用してももちろん構わないわけだが、直接それとリン クさせてということを条件にしていない。介護給付の適正化を図るということで各保険 者なり各都道府県が自主的、積極的にやっていただくのであれば、できるだけ対象にし ていきたいと考えている。  1月20日に老健局の中に介護給付適正化対策本部と銘打ち、取り組みを強めてきた。 基本的に適正化といっても各保険者はなかなか今まで十分取り組んでいない。イメージ を各保険者に持っていただくために、市町村における取り組み例といったものを幾つか まとめて、この適正化対策本部で検討した結果として2月に各自治体向けに具体的に示 している。引き続きこの対策本部は活動しており、適宜各保険者、都道府県の取り組み をバックアップしていきたいと考えている。 (笹森委員)  訪問介護の類型別の利用回数のところに複合型ということで、特に家族の方で複合利 用者が多かったせいもあって、多少戸惑っているという声も聞こえてくるので、分析す るということだったが、それを是非重ねてお願いいたしたい。  それと福祉用具。余り議論はなされなかったというか、意見はそんなになかったよう な気がする。冒頭に木村委員から発言があったが、多いとか少ないというより、全体を もう少しきちんと分析していただければと思っている。  なお、福祉用具と一緒に議論された住宅改修について、「サービス利用の動向」の中 にデータが無いが、可能ならぜひお示し頂きたい。 (木下委員)  先ほど来、社会的入院という言葉が度々出てくるが、定義や基準とかは全くないまま に言葉だけが一人歩きしているような状況で、その辺は少し議論した方がよいのではな いか。それから、介護保険の下で社会的入院という言葉が存在し得るのかということも 疑問なところがあるので、その辺は広く考えるべきだと思っている。  データのところに在宅サービス、施設サービスと別々に出ているが、在宅サービスを 進めていくためにはある程度の施設のバックアップというものがないと進まないと思っ ており、その辺の関連が示せるようなことができればよいのではないか。  昨年の12月9日に当分科会で介護報酬見直しの考え方というものが出されているが、 介護保険部会でも是非そこで議論されたことは尊重していただきたいと思う。 (橋本委員)  1つは、報酬改定の結果というのは夏くらいに出てくるのだろうと期待しているが、 特に居宅介護支援の加算、減算の結果などはどうなったかというようなことを私自身も 調査しようとしているところだが、規模を大きく調査していただきたい。  これから始まる部会へのお願いだが、1つは制度部会。無機質な制度の検討になるは ずもないが、利用者にとってのサービスの質ということに着目して議論していただきた い。東京都の国保連合会の苦情の中で制度に関する苦情が今までは多かったが、質に対 する苦情がどんどん出始めた。そのことを踏まえても是非、質の議論をしていただきた いと思う。  このごろ気になっているのは、介護保険はいろいろな事業者が参入しているわけであ り、自由な競争があってもちろん問題ないが、どうも儲けからの世界に入ってしまって いるのではないかという気がして大変残念に、不愉快に思っている。公的介護を非保険 の世界にしてはならないと強く思っている。  在宅と施設ケアの関係だが、確かに在宅サービスを利用する人が増えているというこ とで、データとしてはそのとおり。ただ、施設に入れないから在宅サービスを利用しな がら待っている方が非常に多いということも事実。  コストは施設サービスが断然高いわけで、資料を見ても要介護1で施設サービスが5 倍、要介護5で2倍以上も使っているわけだから、本当に自宅で暮らしたいという人に は自宅で暮らし続けられる在宅サービスの整備を、是非制度を検討する部会にお願いし たい。 (山崎委員)  介護保険の利用状況の報告をみると、確かに利用が進んできているという感じはする が、要介護度5でもサービスの種類で見ると平均で2.7と、まだまだ家族介護力の負担 軽減にはなっていない数字だったかなというふうに感想を持った。  本日、サービスの種類と利用種類数、それと組合せについてのデータの提供はない が、例えば東久留米市辺りでは既にこの評価調査をしており、ケアプランの分析で要介 護度とサービスの種類や組合せで、ある程度の相関があるということをお聞きしてい る。こういった調査に基づく検証は、国よりも保険者にお願いすることになるかもしれ ないが、どのようなケアプランがどのように要介護度に寄与しているのかということが 把握できるのではないか。  その意味では、資料の4の介護給付の適正化事業というのがむしろこういうところに この費用が使われると意味をなすのだろう。この介護給付適正化ということを耳にした ときに、私は即4年目にして政府は介護給付費を抑制するのかと。適正化というのは何 か抑止みたいな感じの響きがあるので、質を向上させ、本当に利用者や家族にメリット のある制度にしていくためにどうするかというようなことの適正化ならそれがわかるよ うに、PRをしていただきたいと思う。  それと、適正化事業のところだが、1保険者当たり1,000万円くらいということで、 これは要件に該当する保険者というと、例えば認定率が高いとか、次期保険料が高額だ とか、それぞれの事由というものが多分あるのだろうと思うが、どんなふうに具体的に 取り組みを要請していくのか。  それから、事業者団体とかNPOについても保険者が委託をできるのか。むしろ事業 者団体などがこういうお金を使わせていたただいて質の向上適正化のリサーチをすると もっとよいのではないか。少し具体的なところを伺いたい。  もう一点、先ほど保険料の8割が引上げということで説明があったが、2割の据置き または引下げといった市町村の背景、理由がもしおわかりならお聞きしたい。 (貝谷介護保険課長)  適正化は補助を付けようが付けまいが、保険者として努力していただきたいというの が本来だと思っているが、今回特に第2期に向けて予算的にバックアップしたいという ことで1,000万円を標準として助成をしたいと思っている。  具体的にこういう保険者ということではなくて、適正化への取り組み姿勢が積極的で あると認められる保険者を中心にお願いをしていきたいと思っている。手を挙げていた だけるところは幅広く考えていきたい。認定率が高いとか保険料が大変高いとか、いろ いろな意味でお悩みの保険者がある。そうしたところは仮に手が挙がらなくても、都道 府県を通じて要請したい。  NPOなり事業者団体、ここでは保険者等から委託とあるが、必ずしも直轄ではなく てもよいという趣旨で、いろいろな意味で地域で事業者団体に活躍していただいてお り、そうしたところも弾力的に地域で頑張っていただければ含めていくという趣旨で、 そういった方向で呼び掛けていきたい。  2点目は、2割のところで今回保険料は据置きあるいは引き下げがされている。当初 の全国平均からすると大変その地域の認定率が低いというのが一般的な傾向で見られ る。認定率が低いということは、サービスを使われる方がほかの地域から比べると大変 少なくなっている。施設あるいは在宅の両方を、地域の特性でなかなか使っていないと いうことが数字としては出てくる。ただ、地域的に何が事由としてあるのか、あるいは サービスの提供主体の何らかの制約があるのかといったことについては、引き続き分析 を続けていきたい。 (山本委員)  増加率が非常に大きいが、できれば全国を3つくらいの地域に分けて、どういう理由 でどういうふうにして増加しているか。下がっているところもあるかもしれないし、伸 びていないところもあるかもしれないが、こういう数値は理由を調べて、できれば地区 別に教えていただければと思う。 (新井委員)  今後の分科会あるいは部会、または研究会の進め方について中村局長から御紹介をい ただき安心しているが、日本歯科医師会の立場で一言御意見を申し上げておきたい。  口腔ケアの評価であるとか、あるいは咬合機能の回復が高齢者や要介護者のQOL、 ADLを高めるということ等については厚生科学研究等で明らかで、十分歯科医師会の 立場で貢献ができると認識をしている。  部会については明日からスタートということで、構成メンバーを拝見したら、事務方 からの事前の説明で医歯薬三団体から1名というようなお話を伺っていたところ、本日 から青柳委員に代わって医療関係から西島先生が代表で委員で出られるということだか ら、大いに御活躍を期待をするところです。日本歯科医師会の立場についての申入れに ついては御配慮いただき、制度の見直し等の部会で十分反映できるように、是非お力添 えをお願いしておきたいと思う。 (西島委員)  今の件については、私どもは勉強会をやっていきたいと考えている。  それから、資料2で痴呆対応型の共同生活介護が非常に伸びている。これは介護保険 で始まった新しい制度。それ以外のサービスはそれなりの歴史がある。それで、余り介 護とは関係ないところもこれに参入してきているような印象も受けているし、まずは人 権の保障をどうしていくのかという部分だと思う。  3施設の反省から介護保険の中で身体抑制ゼロという形での努力目標が入っているわ けで、適正化云々の中でこれだけのお金を使われるわけだから、この共同生活の介護の 中でどのような処遇が行われているかの検証をしっかりしていかないと、入所されてい る方々は痴呆があるわけだから、自分で自分の処遇に対して訴えることはできないとい う部分なので、その辺りの検証を是非しっかりしていただきたい。 (京極委員)  給付の適正化ということに関してだが、時宜を得た大変タイムリーな対応だと思う。 ただ、これが県に行くと生活保護のときもそうだったが、適正化ではなくて抑制化とい うふうにとられて市町村に行くということも多々あるので、大変立派な2つの側面につ いての指摘が書いてあったが、具体化して是非国の指導をやっていただきたい。特に市 町村の指導力強化という点と、ケアマネの倫理と水準の向上という点で是非この適正化 を有効に使う。この辺のことに関しては、やはり介護給付費分科会の議論だと思う。部 会では細かくはできないわけなので、更に今日出た意見以外も含めて決定願いたい。  特に要支援、要介護1の方などで福祉用具なども、いろいろなケースがあり、やはり ケースバイケースでリアルに対応していく。そうしないと、何となく使ってはいけない というふうにどうしても市町村に行くとなりやすいので、そこはひとつ過去の教訓を生 かして御指導願いたいと思っている。 (山本委員)  ありがとうございます。市町村の方からお礼を言っておきます。 (西尾分科会長)  それでは、本日の審議はこの程度にしたいと思うが、本日の審議の中で要支援、要介 護1と福祉用具の関係から始まり、特養入所申込者数の問題、あるいはいろいろな側面 での地域差の解明の問題等々、非常にたくさんのデータ要求あるいは要因分析要求が あった。事務局において次回までに用意のできるものは次回に準備していただくとし て、追々さまざまな御要望にこたえていっていただきたいと思っている。  次回の日程については、改めて御連絡したいと思う。  それでは、本日はこれで閉会したいと存じます。お忙しいところを長時間にわたりあ りがとうございました。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係     TEL 03(5253)1111(内3948 3949)