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参考資料1

児発第573号
昭和59年7月10日

[改正経過]
第1次改正昭和63年4月12目児発第338号
第2次改正平成11年4月14目児発第363号
第3次改正平成12年4月5目児発第415号

 都道府県知事

 指定都市市長
  殿

厚生省児童家庭局長


神経芽細胞腫検査の実施について

 神経芽細胞腫は、乳幼児に発生する小児がんの1つであるが、早期に発見治療すればその多くが治ゆすることが近年における研究で明らかにされ、また、厚生省心身障害研究により本症のマス・スクリーニング検査が国民への保健サービスとして有効であることが確認された。
このため、別紙要綱により乳児を対象に尿によるマス・スクリーニング検査を実施することとし、従来から行われている小児慢性特定疾患治療研究事業による治療研究に係る医療給付とあいまって、早期発見、早期治療の徹底を期することとしたので、これが実施にあたっては遺漏のないよう十分配慮されたい。

別紙

神経芽細胞腫検査実施要綱

 目的
 神経芽細胞腫は、腹部腫瘤として出現することが多いが、本疾患が、特異的に尿中にバニールマンデル酸(VMA)、ホモバニリン酸(HVA)を排推することから、尿検査による早期発見が可能であり、早期に治療すれば、その多くは治ゆすることから、乳児について尿によるマス・スクリーニング検査を行い、異常を早期に発見することにより、後の治療とあいまって、乳幼児の健康の保持及び増進を図ることを目的とする。

 実施主体
 事業の実施主体は、都道府県及び指定都市とする。

 検査対象者
 乳児(6か月児及び7か月児に対して行われることが望ましい。)とする。

 検査機関
 検査は、原則として各都道府県及び指定都市の地方衛生研究所等の機関において行うものとする。ただし、必要に応じ、検査を適切な機関に委託することができるものとする。

 検査の実施等関
(1)  実施主体は、検査対象児の保護者等に対し、あらかじめ必要な検査用具等を配布するものとする。
(2)  検査機関は、保護者等から送付された検体について速やかに検査を行うものとする。
(3)  検査終了後、検査機関はその結果を速やかに実施主体へ通知するとともに、保護者等に対する検査結果の伝達にも十分配慮するものとする。
 なお、異常あるいは異常の疑いのあるケースについては、早期治療の重要性にかんがみ、迅速かつ的確に通知するものとする。
(4)  実施主体は、検査により、対象疾病の患者であると確認された乳児及び保護者の氏名等の情報を把握するため、患者台帳を作成することとし、別に定める様式により本職あて報告するものとする。

 精度管理の実施
 都道府県知事又は指定都市の市長は、本事業の検査精度の維持向上を図るため、検査に関する精度試験等を適当と認める精度管理機関に委託して行い、その結果に基づき、関係者に対し、必要な指導を行うものとする。

 市町村及び医療機関等への協力依頼
 本事業を円滑に行うため、あらかじめ、市町村及び医師会等と十分協議し、市町村及び医療機関等に対し協力を依頼するものとする。

 周知徹底
(1)  神経芽細胞腫の量的・質的な違いなどにより本検査では発見できない場合があることについて、保護者等の十分な理解が得られるようあらゆる機会の活用に努めるものとする。
(2)  本検査は、小児がんのすべてについての検査法ではないことについて、あらかじめ保護者等に周知徹底を図るものとすること。
(3)  上記(1)及び(2)の事項を踏まえつつ、保護者等関係者に対し、本検査の意義と協力の必要性について、十分周知徹底を図るものとする。

 実施上の留意事項
 本事業の実施にあたっては、責任ある体制を確保し、対象者のプライバシーには十分留意すること。

10  経費の補助
 本事業に要する経費については、都道府県又は指定都市の支弁とし、国は、予算の範囲内において別に定めるところにより補助するものとする。


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