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「健康食品に係る制度のあり方に関する検討会ヒアリング資料」


 主婦連合会

 会長 和田正江

 団体の概要
昭和23年9月に設立
消費者の権利を守り、暮らしに役立つ知恵を集め、活動している全国組織である。消費者の権利を確立するために、政府・行政・企業に対し消費者の意見を反映させ、併せて消費者啓発を行なっている。
団体会員145団体 個人会員365人

 健康食品に係る制度のあり方に関する意見
(1) 国民の健康づくりにおける「健康食品」の役割をどう位置づけるか。「医薬品〜現行制度に基づく保健機能食品〜いわゆる健康食品〜一般食品」の体系のあり方

 ●  すべての食品は、本来人の生命・健康の維持に寄与するものである。その食品の一部を「健康食品」と区分し市民権を与えて疾病の治療や予防の効能・効果を期待させるようなことはするべきではない。

 ●  現在の「医薬品〜特定保健用食品〜栄養機能食品〜一般食品」という区分もほとんどの消費者は正確に理解していない。商品、表示、販売の実態を調査し、保健機能食品、特に栄養機能食品の制度・表示方法そのものを再検討する必要もあるのではないか。
 現状のままで、さらに一般食品を「健康食品」と「一般食品」に区別すれば益々混乱するばかりである。

 ●  健康はその人に適切な、バランスのとれた食生活によって得られるものであって、"いわゆる健康食品"で健康を得られるものではない。
 大豆、プルーン、ブルーベリー、海藻、いわしなどの青魚・にんにくなどの成分を抽出したサプリメントが売られているが、大豆であれば大豆そのもの、豆乳、納豆、豆腐など食べ物としてとればよい。それぞれの食品は抽出された成分だけが健康に役立っているわけではない。

 ●  特に若い人たちは"いわゆる健康食品"の摂取によって、バランスのとれた食生活をする努力を怠ってしまう傾向があることを見過ごしてはならない。

(2) 「健康食品」の利用・製造・流通の実態は、国民の健康づくりに有効に機能しているか。
「健康食品」の安全性・有用性の確保、消費者に対する適切な情報提供、利用者の期待に応えうる「健康食品」はどうあるべきか。

 ●  「国民生活センター編の消費生活年報2002」の全国の消費生活センターに寄せられた「危害発生件数上位10 商品・サービスの推移」によれば、1997年、'98年、'99年、2000年の4年間、連続して「健康食品」が第3位を占めている。2001年に1件の差で4位になっているが、むしろ件数は前年より増えている。
 さらに昨年の7月以降12月までの危害情報は連続して1位を占め、発生件数も6月24件、7月60件、8月143件、9月97件、10月172件、11月91件、12月97件と増えている。
 念のために、この危害情報とは「商品・役務・設備に関連して身体にけが、病気などの疾病(危害)を受けたという相談」の件数である。
 このように安全性の問題のある商品が、「食品なので心配ない」との宣伝で売られ、多くの消費者がさまざまな"いわゆる健康食品"やサプリメントを摂取している実態は非常にこわい。中には疾病の治療薬を飲んでいる人も多く問題は大きい。
 なお、2001年度の各地の消費者センターに寄せられた相談の中で、「健康食品」の契約・購入金額は、1件あたり約899,014円と非常に高く、上位から8番目となっている。1位からサラ金・フリーローン、戸建住宅、新築工事、分譲マンション、商品相場、自動車、アクセサリーに次ぐ8位であり、契約・購入金額の大きいことに驚く。
 もし期待する効能・効果がないにもかかわらず、90万円という契約・購入金額を支払うとすれば、その経済的損失は余りにも大きく看過できない。

 ●  "いわゆる健康食品"の利用・製造・流通の実態は国民の健康づくりに有効に機能しているとは思わない。

 ●  "いわゆる健康食品"であろうとなかろうと食品の安全性の確保は当然である。

(3) (1)及び(2)を踏まえ、行政、関係業界、消費者の果たすべき役割、制度はどうあるべきか。

 ●  安全性、表示、広告、売り方の問題点について厳しく対応すべきである。

 ●  "いわゆる健康食品"が、薬理作用があり疾病の治療・予防に効能・効果があるのであれば、時間がかかってもお金がかかっても医薬品として或いは特定保健用食品として許可を得ればよいのではないか。


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