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介護給付適正化に向けた取組について


1.基本的考え方

 介護保険制度は、施行後3年を経過し、要介護認定者やサービス利用者の増加に見られるように着実に定着しつつあるものの、一方で、提供されるサービスについて、真に利用者の自立支援に資するものになっているのか疑問をもたざるを得ないものも多いとの指摘がある。

 また、事業者による過度の利用者掘り起こしや不正請求等、制度の趣旨からみて不適正ないし不正な事例も一部で見られ、介護保険事業所及び施設の指定取消に至るような悪質な事例も発生している。

 このような状況を踏まえ、介護サービスが本来の目的に沿った形で提供され、高齢者の自立支援に資するものとするためには、
介護サービスが真に所期の効果をあげているかとの観点 【サービス内容の適正化】
不適正、不正な介護サービスはないかとの観点 【介護費用の適正化】
の両面から、国、都道府県、市町村をはじめ、高齢者介護に関わる様々な主体が連携して介護給付の適正化に取り組んでいくことが重要である。

2.これまでの取組状況

  (1) 介護給付に係る適正化対策事業の実施
 市町村等における介護給付適正化対策を推進するため、平成14年度補正予算及び平成15年度予算において、以下の事業を計上。

平成14年度補正予算(約15億円)
 国民健康保険団体連合会において、給付状況を多角的に分析し、市町村等に情報提供するシステムを構築するための費用を計上。

平成15年度予算(70億円)
 介護給付適正化にむけて積極的に取り組む市町村等を支援するため、介護給付に係る適正化対策特別事業費を計上。

(参考)適正化特別対策事業の概要(平成15年度予算)

 予算額    70億円
 助成対象
[ 適正化に取り組む都道府県
市町村等の保険者
都道府県が適正化への取組内容、姿勢が積極的と認める保険者
次のいずれかの要件に該当する保険者(都道府県から取組み要請)
(1)認定率が高い、(2)次期保険料が高額、(3)サービス利用状況に偏りがある等
小規模保険者については原則国保連に共同事務処理を行う体制を整備し対応
事業者団体、NPO等についても、保険者等からの委託等による場合に助成
 助成額
 1保険者当りの基準額:1,000万円(地方負担を前提としない形で助成)
  保険者ごとの額は、その取組みに応じて、都道府県が必要と認める額を助成
事業見込額が基準額に満たない場合→ 事業見込額を助成
事業見込額が基準額を超える場合  → 一定額内で都道府県が認める額を助成

(2) 介護給付適正化対策本部の設置(1/20)
 1月20日、介護給付の適正化に向け、市町村等の取組を積極的に支援するため、厚生労働省老健局に「介護給付適正化対策本部」を設置。

(3) 全国高齢者保健福祉・介護保険関係主管課長会議(2/25)
 介護給付適正化対策本部での検討を踏まえ、市町村等における給付適正化に向けた取組メニュー例をとりまとめ、都道府県に対し提示。
 適正化特別対策事業(平成15年度予算)について、
  介護給付適正化の取組を積極的に行おうとする市町村等を対象とするほか、適正化の取組が特に必要と考えられる市町村についても対象とする
市町村、都道府県が行う事業のほか、事業者団体、NPO等の団体の取組についても助成対象とする
ことを明示。

(4) 適切なケアプランの確保に向けた介護報酬見直し等
 平成15年度介護報酬見直しにおいて、居宅介護支援に関し、その評価を引き上げるとともに、4種以上の居宅サービスを定めたケアプラン作成への加算制度の新設等の見直しを実施。
 さらに、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」を改正し、指定居宅介護支援事業者及び居宅介護支援事業所の管理者は、居宅サービス計画の作成・変更に関し、介護支援専門員に対して、特定の居宅サービス事業者等によるサービスを位置づけるべき旨の指示等を行ってはならないこと等を規定。

(5) サービスの質の向上に向けた指定基準等の見直し
 「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」等を見直し、サービス内容等の記録、利用者に対する提供の義務付けや、個別サービス計画作成における利用者の同意の義務付け等を規定。


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