厚生労働科学研究費補助金研究事業の概要 | (様式例) |
研究事業(研究事業中の分野名):難治性疾患克服研究事業 | ||||||||||||||||||||||
所管課:健康局疾病対策課、雇用均等・児童家庭局母子保健課 | ||||||||||||||||||||||
予算額の推移:
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平成14年度厚生労働科学研究費補助金(特定疾患対策研究事業)採択課題一覧
単位:千円 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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平成13年度厚生科学研究費補助金(特定疾患対策研究事業)採択課題一覧
単位:千円 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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平成12年度厚生科学研究費補助金(特定疾患対策研究事業)採択課題一覧
単位:千円 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○特定疾患対策研究
研究課題 | 実施 期間 |
合計 金額 (千円) |
主任研究者 所属施設 |
氏名 |
イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義 |
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| 発表状況 | 特許 | 施策 | (4)研究の成果が分かるホームページのURLなど | |||||
原著 論文 (件) |
その 他 論文 (件) |
口頭 発表 等 (件) |
特許の出願及び取得状況 | 反映件数 | ||||||||||||
特発性造血障害に関する調査研究 | 平成11 - 13 年度 | 148,900(千) 円 | 昭和大学藤が丘病院内科 | 小峰 光博 | 再生不良性貧血(AA)では調査個人票7,800 例を集計し全国の実態を把握した。免疫抑制療法を前方視的に評価し、再治療の安全性を確認した。微小PNH 血球の高頻度検出の免疫的病態発生における意義を究明した。自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の自己抗体が認識する自己抗原を同定し、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) では多数例の日米比較研究を行い病態・予後の相違を明らかにした。骨髄異形成症候群(MDS) または不応性貧血(RA)では、1000例の予後解析、多面的な分子病態の検討、低リスク病型の免疫抑制療法の前方視評価研究を実施した。骨髄線維症(MF)の予後調査を行い規定因子と骨髄移植の実態を把握した。 AAの免疫抑制療法と骨髄移植は国際水準を越す良好な成績を得、国際誌で高く評価され、平成11(1999)年に欧米専門家を交えたコンセンサス形成会議を東京で開催し結果をまとめた。病態発生におけるT リンパ球の関与は国際的に注目される。Fanconi 貧血の分子病態も着実に進展し評価も高い。AIHAの自己抗原としてRh蛋白エピトープの構造を解明した。PNH のPIG-A 変異の解明に引き続き分子病態研究は世界をリードしており、平成13(2001)年に国際シンポジウムを開催し、国際協力の途を開いた。MDS の分子病態は重点研究(平井)班と共同し多数の個別研究が国際誌に発表された。MFの病態予後調査は内外に類をみない貴重な資料である。 |
再不貧の臨床調査個人票の集計成績は全数把握といえるものであり、今後の行政施策立案の資料として有用性が高い。診断1 年までは重症65% 、軽症7% だが、5 年までには29%、39% となるなど患者予後の改善が得られている。調査票の改訂により経過の把握がより的確となる。その他個々には挙げないが、各疾患の病態、治療、経過、治療評価などはどれも血液難病患者の福祉増進を目指す諸施策の基本資料として重要なものとなる。 | AAに対する免疫抑制療法、造血細胞移植療法の評価と位置づけが定まり予後の改善に大きく寄与した。診断・重症度基準を見直し集積されたエビデンスに基づいて治療指針の改訂を進めている。Fanconi 貧血の分子病態の解明は遺伝子治療への途を開くと期待される。PNH 研究は国際協力体制の確立へと寄与の幅を広げ、近く国際患者登録と新しい治療研究計画が提案される見通しである。不応性貧血に対する免疫抑制療法の評価が進められ、適応とともに治療体系の整理に役立つ。MFに対する骨髄移植の適応判定と薬物療法の開発を企図する。患者支援団体、難病情報センター等を通じて各種の相談に応じている。 | 英文 406件、和文 53 件( 計459 件) | 英文 22件、和文197 件( 計219 件) | 英文 32件、和文 58 件( 計909 件) | 0 (出願、取得ともに該当なし) | 3 件( 重点研究班の発足、治療研究見直しのヒアリング、AA診断・重症度・調査個人票の改訂) | なし(研究班内の情報伝達のためのサイトは設けているが公開していない) | |||
原発性免疫不全症候群に関する研究 | 平成11−13年度 | 81,000 | 信州大学 医学部 | 小宮山 淳 | 本研究班では、原発性免疫不全症候群の疫学調査、病態および責任遺伝子の解明、新しい診断法の開発、治療法の改良を行なってきた。世界で初めて、IgG2膜ドメインの遺伝子変異(J Clin. Invest.)や二次顆粒欠損症の責任遺伝子(Blood)同定を行い、Btk, WASP、SAP抗体を用いた簡易診断法を開発し、世界的に診断・治療に大きく貢献できた。 | 原発性免疫不全症候群重症度診断の策定のみならず、免疫不全患者の会からの要望を取り入れて、厚生労働行政に貢献できた。診断・治療法の改良は、いままで原因不明で治療に難渋してきた患者のQOLを著しく向上できた。インターネット上に開設したホームページを活用し、患者や家族をはじめ医療関係者の相談に応じるとともに、原発性免疫不全症候群の診療レベルの向上に寄与できた。 | 同定された責任遺伝子の解析を疾患ごとに班員が分担し、全国から依頼された患者検体の遺伝子解析を広範囲に行うことができ、原発性免疫不全症候群の確定診断に寄与できた。 | 250 | 70 | 150 | 0 | 2件( 治療研究における診断基準の見直しのヒアリング、調査個人票の改訂) | 免疫不全ホームページ: http://www2.lifepassport.or.jp/immunity/ | |||
難治性血管炎に関する調査研究 | 平成11-13年度 | 135,000 | 順天堂大学医学部膠原病内科 | 橋本 博史 | 病因・病態に関する研究、抗好中球細胞質抗体(ANCA)に関する研究、大型血管炎、中・小型血管炎の臨床に関する研究を行った。 ア 研究目的の成果:血管炎モデル動物にて血管炎患者性遺伝子明らかにした。ANCA測定試薬の精度を明らかにした。顕微鏡的血管炎患者にHLA-DRB1*0901が多いことを明らかにした。全国疫学調査を行いその実態を明らかにした。ANCA関連血管炎の免疫抑制療法と感染症対策指針を作成した。 イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義:血管モデル動物の感受性遺伝子が解明され、国際的に重要な学術的意義を得た。虚血性肢に対する遺伝子治療が行われ、難治性血管炎の新しい有効な治療が確立された。市販ANCA測定試薬の精度が明らかにされた。難治性血管炎患者の全国調査から疫学、臨床実態、QOL評価が行われた。以上、社会的意義のある成果を得た。 |
全国疫学調査から難治性血管炎患者の推定受療人数、臨床状態、予後が明らかになった。重症度分類の作製、QOL調査表の作成、臨床個人調査票の改訂をおこなった。ANCA測定試薬の精度を明かにした。EBMに基づく治療指針・感染症対策指針を作成した。以上の内容を記載した「難治性血管炎の診療マニュアル」(治療ガイドライン)を全国の各施設に配布し、理解を深めた。 | 血管炎モデル動物により感受性遺伝子および血管炎の免疫学病態が明らかになった。顕微鏡的血管炎患者の関連遺伝子(HLA-DRB1*0901)が明らかになった。全国疫学調査から難治性血管炎患者の実態が明らかになった。治療のガイドラインを作製した。ANCA測定試薬の精度を明かにした。これまで難治性であった虚血性肢に対する遺伝子治療を確立し、良好な成績を得た。 | 683 | 125 | 481 | 3件 申請中 | 1件( 治療研究見直し、臨床調査個人票の改訂) | http://webabst.niph.go.jp/ | |||
ベーチェット病に関する調査研究 | 平成11-13年度 | 90,000,000 | 横浜市立大学医学部(11,12年度),北海道大学大学院医学研究科(12,13年度) | 大野 重昭 | ベーチェット病発症の責任遺伝子は第6染色体MICA遺伝子からHLA-B遺伝子間の46Kbに存在する。その遺伝子を導入したトランスジェニックマウスおよび外因として重要とされる連鎖球菌感染モデルを作成し、今後の治療研究にも応用可能な動物モデルを確立した。新しい治療では抗TNF-α抗体治療の高い有効性が示された。 | ベーチェット病のQOL調査など今後の特定疾患継続の基礎となる研究を行なった。また、新しいベーチェット病の治療薬として抗TNF-α抗体による治療研究を行なった。さらに従来の疫学調査資料をもとに患者生命予後などの追跡調査を行った。 | 200 | 100 | 30 | 1件(「ベーチェット病治療剤」2000年11月21日 | 1 | なし | ||||
ホルモン受容機構異常に関する研究 | 平成11−13年度 | 99,000 | 岡山大学大学院医歯学総合研究科小児医科学 | 清野佳紀 | 新規のリン調節因子であるFGF23のクローニングとその疾患とのかかわりを明らかにし、国内外で大きな注目を浴びている。また、ビタミンD受容体研究においては、新規のリガンドの発見とその意義など、また骨形成調節サイトカインIL-11の各種病態における関与など、いずれも国内外の反響は大きい。また、受容体共役因子と甲状腺機能に関する研究、バセドウ病の遺伝素因、バセドウ眼症の病態についての研究が進んだ。 | 全国調査の結果をもとに偽性副甲状腺機能低下症を含む副甲状腺機能低下症の診断手順を作成した。このことによって、低カルシウム血症の診断が容易になった。これによって、副甲状腺ホルモン負荷試験が診断には必須ではなくなった。また、特殊な低カルシウム血症の過剰な治療による腎機能低下を予防できる可能性も示すことができた。バセドウ病の治療の信頼しうる指標の開発、新規の眼症治療も治療の適正化に大きく貢献している。 | バセドウ病は頻度の高い疾患で、この疾患感受性遺伝子を明らかにすることによって将来的には疾患発症の予防(少なくとも眼症の予防)は可能となり、この社会的インパクトは大きい。また両グループの共通テーマである核内受容体の情報伝達機構に関する研究は、新たな疾患群の発見と新規の治療法開発につながる(ウィリアムス症候群の原因遺伝子の発見)。また、新規のリン調節因子の発見は新薬開発に直接つながりうるものである。 | 589 | 78 | 566 | 2 | 1件 | ||||
間脳下垂体機能障害に関する調査研究 | 平成11-13年 | 63,000 | 島根医科大学 | 加藤 譲 | 抗利尿ホルモン、プロラクチンおよびゴナドトロピン分泌異常症、ならびに上記以外の下垂体ホルモン分泌異常を伴った複合性下垂体ホルモン分泌異常症を調査研究の対象とし、これまでの研究からとくに重要と考えられる病態の解明に基づく新しい診断法や治療法の開発を目的とした。対象疾患の臨床的観察、病態解析、免疫機序や遺伝子異常の解析、ならびに疫学調査を分担して施行し、これらを総合解析することによって、疾患の新しい概念、病態、診断や治療を確立した。総括して、最新の診断と治療の手引き(2001)を作成した。 | QOLに影響する間脳下垂体機能障害の病態、診断、治療、予後を調査研究することは極めて大きな課題であり、長期的かつ継続的な研究が必要である。とくに、成人下垂体機能低下症の実態が明らかにされ、複合下垂体ホルモン分泌低下症において補償療法の重要性が明らかにされた、今後の重要課題は、QOLを考慮にいれた総合的なホルモン補償療法の確立であり、未解決の病態解明、正確な診断法や新しい国際的な治療法の導入に向けて不断の研究が不可欠である。また、欧米において承認されているホルモン治療が、わが国の保険医療において公認されていない点を早急に是正する必要がある。 | 成人下垂体機能低下症に対するGH治療の治験が進展した。、脳ドックの普及によって、偶発的に発見される下垂体腫瘍 (インシデンタローマ)のガイドラインが周知された。遺伝子異常による疾患の検査法が明らかにされた。 | 118 | 68 | 136 | 0 | 2 | なし | |||
中枢性摂食異常症に関する調査研究 | 平成11〜13年度 | 64,000 | 京都大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学 | 中尾 一和 | 我が国における摂食調節機構の研究の飛躍的進展を踏まえて、レプチン系、グレリン系、オレキシン系、ヒスタミン系、CRF系、セロトニン系などによる摂食調節機構の解明と、中枢性摂食異常症の成因・病態に関する基礎的な解析が著しく進展した。一方、全国的規模の疫学調査の結果、我が国の中枢性摂食異常症の臨床像は、社会の変遷とともに変化し、重症化している実態が明らかになった。 | 全国疫学調査により我が国の中枢性摂食異常症の現状を正確に把握し、現状に即した中枢性摂食異常症の診断基準の作定作業に向けた準備が完了した。 | 国際的にも高い評価を受けてきたレプチン、オレキシンの研究成果に加え、グレリンの摂食調節機能の発見および中枢性摂食異常症患者における血中グレリン濃度が著増している事実の発見は今後の臨床応用の可能性を示唆するものとして期待される。 | 273 | 47 | 326 | 1 | 1 | ||||
原発性高脂血症に関する調査研究 | 平成11年度から13年度 | 73、000千円 | 京都大学大学院医学研究科 | 北 徹 | 今回の班研究においては家族性複合型高脂血症(FCHL)の病態解析をすすめるとともにその診断基準を改訂したことが最も大きな成果としてあげられる。この診断基準の作成により、FCHLを内臓肥満、シンドロームXのようなマルチプルリスクファクター症候群のように動脈硬化性疾患としての認識をさらに深め、この基準を元に病態に関与する因子の解析を進める予定である。また、小児における高脂血症を調査した結果、小児と成人では同じ遺伝的背景があってもその表現型には大きな違いが認められ、何らかの環境因子が遺伝因子に加わることで成人の表現型が完成される可能性が強いことが明らかになった。今後は小児期に発症する遺伝素因による脂質代謝異常症の、その後の環境因子による変化の推移を小児期から成人まで追跡調査し、遺伝素因と環境因子の相互作用を検討し、高脂血症と合併症との関連及び合併症を増悪させる要因を解析していく予定である。 | この班研究において行われた西暦2000年の日本人の血清脂質調査において、20歳代から40歳代の男性において中性脂肪値が10年前と比較し、増加していることが明らかになった。この結果は今後糖尿病、高脂血症などの生活習慣病が増加する可能性を示唆しており、行政上の対応に生かすことが期待される。 | 1960年から10年ごとに行われている西暦2000年日本人の血清脂質調査を行い、日本全国で約1万4千人のサンプルを測定した。1990年と比較して、総コレステロール値に関しては大きな変化が認められなかったが、若年男性における中性脂肪の増加が際だっており、今後の動脈硬化性疾患の増加が懸念された。 | 71件 | 17件 | 39件 | 0件 | 1 | http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/028.htm | |||
アミロイドーシスに関する研究 | 平成11-13年度 | 98,000 | 信州大学医学部 | 池田修一 | ア) ALアミロイドーシスでは、その組織診断に有用な抗体が作成され、また末梢血幹細胞移植を併用したメルファラン大量療法が開始された。抗IL-6受容体抗体のAAアミロイド沈着進展阻止効果が示された。FAPの疫学調査により、その遺伝子変異の多様性と心病変の重要性が明らかにされた。透析アミロイドーシスでは骨のう胞の増大を抑制しうる薬剤が示された。マウス老化アミロイドーシスでは、アミロイド線維投与による発症促進効果が証明された。 イ) AA-、ALアミロイドーシスおよびFAPには、根治療法が確立されつつある。また本邦のFAPの疫学調査は、その成果が米国神経学会の機関誌Neurologyに掲載された。 |
ALおよびAAアミロイドーシスに対しては、診断法の改良と新しい治療法の導入により、最終的な目的であるこれらの疾患の早期診断法と根治療法の確立へとつながる道筋を示すことが出来た。またFAPの生体肝移植に関連してFAP患者の摘出肝を用いるドミノ肝移植に対して、研究班としての指針を示したことは、このような高度先端医療を遂行する上で生ずる倫理的・医学的な問題に的確かつ時機を得た指針を示したという点で意義が大きい。 | マウス老化アミロイドーシスで、外部から投与されたアミロイド線維自体に同症の発症促進効果があることが示され、またこの発症促進効果はアミロイド蛋白質の種類が違っても存在する場合があることが示された。これらの結果は、アミロイドーシスの発症促進因子が個体間で伝播する可能性を示している。従来、ヒトにおける個体間の伝播が知られているプリオン病だけでなく全身性および脳アミロイドーシスにも伝播機構が存在するとするならば、そのことが与える社会医学的・予防医学的なインパクトは極めて大きい。 | 226 | 205 | 335 | 0 | 1 | ||||
遅発性ウイルス感染に関する調査研究 | 平成11―13年度 | 196,000千円 | 東北大学大学院医学系研究科 | 北本哲之 | ●従来、ヒトプリオンの感染実験は野生型マウスを使って600日以上の観察期間の後、20%の動物が発病するだけであったが、この研究期間にヒト型トランスジェニックを作製し、150日の潜伏期間で100%発病する世界最短のバイオアッセイ方法を確立した。 ●ES細胞を利用したヒト型ノックインマウスを作製し、このマウスによってヒトプリオンの感染を14日で確認できるバイオアッセイ方法を確立し、知的所有権として申請した。もちろん世界最短のバイオアッセイ方法であり、しかもvCJDのプリオンにも有効である。 |
●硬膜移植後のCJDやBSE由来のvCJDを常にフォローアップ可能なように日本のCJDサーベイランス・システムを樹立した。また、公衆衛生審議会にCJD特別部会の委員を派遣している。 ●クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアルを改訂し、全国に配布。 ●英国のCJDサーベイランスユニットにサーベイランス委員を派遣し、vCJD診療診断に関する報告会を平成14年1月に開催し、全国のサーベイランス担当医の教育と同時にこの報告会をマスコミを含め一般公開した。 |
●我々の開発したイムノアッセイ法が、平成13年のBSEの上陸の際、食肉用の全頭検査に役立ったのは言うまでもない事実である。 ●イムノアッセイ法より感度が高いバイオアッセイ法は、従来その長期の観察期間ゆえ実用化は困難と思われたが、最短14日まで短縮することができ、今後ヒトプリオンだけでなくBSEなど動物のプリオンの感染実験も迅速に行いうる方法論を示した。 |
英文 110件 | 日本文、総説など 46件 | これは調査しておりませんでした。 | 4件 | 3件 |
特になし | |||
神経変性疾患に関する研究 | 平成11年〜13年 | 124,000(千円) | 北海道大学大学院医学研究科神経内科学 | 田代邦雄 | パーキンソン病(PD)の発症機序に関し、ARJP(PARK-2)におけるParkin 蛋白の細胞内局在と候補基質を明らかにし、世界的に注目されている。相模原地区の家族性PDの遺伝子座(PARK-8 )を特定した。PD関連疾患の大脳皮質基底核変性症の実態調査と診断基準作成を行った。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の紀伊半島の疫学、臨床調査を行い、パーキンソン痴呆複合の存在を明らかにするなど、国際的な研究が展開された。また、現在までに効果的治療法のないALSに対し、メチルコバラミン大量療法が開発された。 | PD、ALSおよびハンチントン病の特定疾患個人票の改訂、「難病の診断と治療指針」(六法出版社)の改訂、難病情報センターの医学講座の改訂を行った。本邦でのPD疫学調査、大脳皮質基底核変性症(CBD)の診断基準と実態調査を行いCBDが新たな特定疾患として位置づけられるべきことを検討した。本研究班員の参画により日本神経学会PD 治療ガイドライン(水野美邦委員長)、ALS治療ガイドライン(田代邦雄委員長)が策定された。 | PDの特定疾患申請数が多いため対策上問題が提起されてくる事については、CBDや進行性核上性麻痺(PSP)が含まれて申請されることも関与しており、厚生科学審議会第5回難病対策委員会に研究班・班長として、CBD,PSPを新たな特定疾患として分離する事が社会的にみて必要である事を述べた。ALSに対するメチルコバラミン大量療法の臨床効果が認められ、欧米で臨床治験が開始されることになっている。 | 403(英文)、117(日本語) | 241 | 52 | なし | 3件 | なし | |||
免疫性神経疾患に関する調査研究 | 平成11-13年度 | 135,000千円 | 鹿児島大学医学部内科学第三講座 | 納 光弘 | (1)多発性硬化症、GBSの疫学調査から、本邦における病型の特徴が明らかとなり、治療戦略に重要な成果が得られた。 (2)GBSの発症機序と抗ガングリオシド抗体の関連が詳細に明らかにされ、動物モデルの作成が成功した。 (3)HAM、Isaacs症候群、Crow-Fukase症候群、傍腫瘍性症候群における、それぞれの標的抗原や液性因子の解明が進み、発症機序が明らかとなった。 (4)新たな疾患概念としてアトピー性脊髄炎の存在が明らかとなった。 (5)重症筋無力症を多発性硬化症、GBSでは、治療法に関する調査が行われ、治療ガイドライン作成に大きく寄与した。いずれの研究も専門的国際紙に掲載され大きなインパクトを与えた。 |
多発性硬化症、GBSの疫学調査は、神経難病対策の基礎資料として、大きく行政に寄与すると考えられる。また多発性硬化症、重症筋無力症、GBS、CIDPに対する治療法の研究ならびに、現在用いられている治療方法の科学的検討は、その治療法の標準化、ガイドライン作成に反映され、全国に普及しつつある。その他GBSと抗ガングリオシド抗体、HAMにおけるHTLV-I、Isaccs症候群と抗VGKC抗体、Crow-Fukase症候群とVEGF、アトピー性脊髄炎とIgE・好酸球などの標的分子の解明は今後の診断基準の改訂と正確な診断に基づく疫学的な資料の収集、神経難病対策の立案に重要な基礎資料となると考えられる。 | GBSと抗ガングリオシド抗体、HAMにおけるHTLV-I、Isaccs症候群と抗VGKC抗体、Crow-Fukase症候群とVEGF、アトピー性脊髄炎とIgE・好酸球などの標的分子の解明に関する成果は、我が国が当該分野をリードしており、今後本邦において独自に治療薬の開発が進む可能性が大きい。 | 462 | 388 | 多数(詳細不明) | 2件出願、1件取得 | 10件 | 特になし | |||
ウィリス動脈輪閉塞症の病因・病態に関する研究(H11-特疾-18) | 平成11〜13年 | 87,000 | 東北大学 | 吉本高志 | 医療の現状に即した研究班患者全国調査カード改定版の思案を作成した。脳出血発症型に対する血行再建術の再出血予防効果の可能性を示し、全国規模の「出血発症成人もやもや病の治療指針に関する研究 ─ Japan Adult Moyamoya (JAM) Trial ─ 」 を開始した。 病因遺伝子解明研究 では、新たに 8q, 12p に連鎖を示唆する領域を検出した。成果は Strok, Am J Hum Genet などの雑誌に掲載され、 研究報告書は海外にも配布している。 | 厚生労働省のデータソフトとの共有化に向けて研究班患者調査カードを改訂し、データソフトを作成した。診断指針の改訂が医療費に及ぼす効果を算出し、医療費削減に貢献していることを示した。研究成果に従って、治療ガイドラインを改訂した。疾患の地誌的分布差の原因を遺伝子学的に説明し、多角的遺伝子研究が進行している。難病情報センターホームページに疾患情報を載せ、適宜更新しており、また、患者からの質問に対応している。 | 脳出血型の治療研究では、世界初、唯一の日本全国規模の前向き無作為振り分け試験が開始され、発展している。疾患の地誌的分布差の要因と人類民族進化の歴史とを遺伝子解析により検証し、発展している。本症に対する大規模研究は、本研究班のものが世界で5唯一である。 | 38 | 27 | 20 | 0 | 5:難病の診断と治療指針1, 3(疾病対策研究会 編)、政府研究開発データベース登録、「特定疾患介護ハンドブック」改訂版厚生労働省、厚労省特定疾患疾患対策事業「特定疾患に関する評価班」との共催シンポジウム「出血発症成人モヤモヤ病への対応」開催。 | http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/115.htmhttp://www.nanbyou.or.jp/sikkan/115_i.htm | |||
前庭機能異常に関する調査研究 | 平成11 〜 13年度 | 75,000 | 日本医科大学 医学部 | 八木 聰明 | メニエール病及び遅発性内リンパ水腫の病因、診断基準、治療方針、予防法を明らかにすることを目的とした。内耳プロテオーム解析、遺伝子解析から病因解明に近づくことができた。治療法と予防法に関しては、活性酸素消去剤などの新しい方向性が見いだされた。成果は、多くの英文雑誌に掲載され、国内外から注目をあびた。 | メニエール病の重症度分類が作成され、本疾患の治療や予後を考える上で重要である。本分類は、学会を通して専門会員に広く行き渡り利用されている。今後は、そのフィードバックを受けて改訂作業が必要である。長期に亘るメニエール病に疫学調査に、新たな資料の蓄積がなされ、今後の調査研究に重要名資料を残すことができた。 | メニエール病や遅発性内リンパ水腫の病因の一部が、最新のアプローチを用いることによって解明に近づいたことで、今後の治療の展開が見込まれている。 | 83(内英文56) | 19(内英文13) | 国内 138、海外 61 | なし | 1 | http://mhw.go.jp/ | |||
加齢性黄斑変性症に対する低用量放射線治療、光凝固法の効果に関する多施設共同研究 | 平成10-12年 | 35,900 | 東北大学大学院医学系研究科感覚器病態学講座眼科学分野 | 玉井 信 | ア:近年我が国で急増傾向にある加齢黄斑変性は現在の所、原因は不明で確立された治療法もない。放射線治療が有効であるか、無作為割り付け比較対照試験(RCT)を全国他施設共同研究で開始し、その効果を検討したが、少なくても12ヶ月の時点では有効であることが判明した。 イ:これまで確立された治療法がないといわれた加齢黄斑変性であるが、今回我々が定めた基準を満たす症例には放射線治療が有効であることが示された。治療法に選択肢が増え、社会的に失明に至る患者を減少させられる可能性が示唆された。 |
放射線治療と初期病変である軟性ドルーゼンに対するレーザー光凝固については、ともに欧米では臨床報告があるが、本疾患は人種差も報告されており、また症例の選出方法などにも問題があり、症例は増加傾向にあるにもかかわらずこれまで有効な治療法がなかったが、今回の結果は難治性の本疾患に対して適応を定め、効果のある治療法の選択を増やすことができた。また、無意味な治療の継続による医療経済への負担軽減になるなる可能性がある。全国多施設で行う研究であるためにかかる膨大な経費に対して、有効な研究経費を使用できたと考えられる。 | 最近新たに治療法として有効性が期待されている放射線治療の今回の結果は、失明と戦う患者に希望と勇気を与えると考えられる。加齢黄斑変性の初期病変である軟性ドルーゼンに対するレーザー光凝固の有効性については、まだ効果判定は不十分である可能性があり、今後も引き続き経過観察の必要性はある。 | 本研究の結果は1(in press、日本眼科学会誌) | 13 | 12 | 0 | 2件 | 特定疾患対策研究事業、研究成果報告書 | |||
急性高度難聴に関する調査研究 | 平成11―13年 | 78,000 | 浜松医科大学医学部耳鼻咽喉科 | 星野知之 | 急性高度の難聴を来たす突発性難聴、特発性両側性感音難聴を中心に難聴の病態機構の解明、薬剤の治療効果、生活習慣の調査、遺伝子異常の関与などにつき検討した。成因解明については内耳の血流障害を中心に薬剤、音響、ウイルスなどにつき検討した。3期にわたった単剤治験の成果を最終年度に公表した。遺伝子異常については我が国に特徴的な塩基変異を見出し、これらのスクリーニング法も完成した。 | 突発性する難聴のなかでも急性低音障害型感音難聴は特異な一群で、その診断基準案を作成した。突発性難聴についても重症度分類を作成。両者ともに広く我が国で使用されている。こうした基準作成の仕事は厚生労働省の仕事として重要で、一般に広く使われるようになる。突発性難聴の生活習慣調査は今後さらに重要となると考えられる疫学的仕事で、さらに詳細に実施中である。 | 単剤6種の治験は最終的には改善率に差は認められない結果となった。研究施設への振り分けや、投与法,単剤治療終了後の治療についてさらに検討する必要がわかりインパクトに欠けるところがあったが、治療の目安を示すことができた。 | 210 | 180 | 200 | 0 | 1 | 遺伝性難聴について概説は http://www.okayama-u.ac.jp/user/med/oto/hhhjpn/hhhsub1.html 一般むけに http://www.okayama-u.ac.jp/user/med/oto/hhhjpn/hhhsub2.html |
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特発性心筋症に関する調査研究 | 平成11-13年度 | 47,000 | 浜松労災病院 | 篠山重威 | 本研究班では疫学班との共同研究により、全国的な疫学調査並びに予後調査を実施し、ウイルス感染、遺伝子異常との関連を検討した。また、心筋症の遺伝子異常を明らかにすると共に、病態形成との関連につき検討した。また、ウイルスゲノム解析やウイルス感染と免疫応答の解析によりウイルスによる心筋障害メカニズムを明らかにした。 | 今回の疫学的調査、免疫遺伝学的背景の検索、生化学的検討により、ウイルス感染による心筋症発症の機序解明へ道が開かれた。疫学的調査の結果は Heart 2002; 87:126-130 ならびに Circulation J 2002;66:323-336 に公表された。本邦における心筋症の疫学調査は、ここ10年間行われていなかった。従って今回の結果は現在の本邦における心筋症疫学データーの基本といえる。 | ウイルス感染と心筋障害の関連が明らかになれば、心筋炎、拡張型心筋症に対してインターフェロンなどの抗ウイルス療法が治療薬として期待され、ウイルス感染後の心筋障害の分子生物学的メカニズムが明らかになれば遺伝子治療を含む新しい治療法の開発が期待される。 | 67 | 353 | 38 | 4 | |||||
びまん性肺疾患に関する研究 | 平成11-13年 | 90,000 | 日本医科大学 第4内科 | 工藤翔二 | 特発性間質性肺炎について、第4次診断基準を行い「特発性間質性肺炎を原因不明の間質性肺炎の総称とする」こととした。抗線維化薬Pirfenidone(塩野義製薬S-7701)の多施設臨床第II相試験は有意差を認め、申請作業段階に入った。サルコイドーシスについて、治療指針案を策定した。P.acnes & granulusum DNAの高濃度検出は、国内他施設及び外国(英、伊、独)の患者検体でも検証された。びまん性汎細気管支炎について、診断基準改訂と14員環マクロライド療法の治療指針を策定した。副作用調査では重篤な副作用はみられなかった。マクロライドの転写調節因子抑制作用が明らかになった。HLA-A座B座間に疾患感受性遺伝子が存在する可能性を明らかにした。 | 特発性間質性肺炎:第4次診断基準改訂は、概念、分類・用語の国際的整合を図り、呼吸器学会との共同による解説書作成、治療研究事業に用いる個人調査票改訂を行い、医学教育現場及び行政面への円滑な導入を図ることが重要である。抗線維化薬Pirfenidone臨床試験の成功は国際的にも注目され、薬剤のみならず試験方法においても、わが国の特発性肺線維症治療薬開発における大きな第一歩といえる。新たな薬剤開発を意図した分子標的探索では、ブレオマイシン等の実験モデルにおいてほとんどが有効性を示し候補の絞り込みが難しく、今後、より慢性的な線維化モデルの開発が求められる。 サルコイドーシス:かつての細菌学的研究を継承する本研究班によって、病因としてのP.acnes & granulusum の役割は一層色濃くなった。その実証には、患者治療試験等を含む次の段階の研究が必要である。びまん性汎細気管支炎:本研究班によって疾患概念と特異的治療法が確立され、現在、疾患感受性遺伝子の特定作業が進められている。マクロライド療法は本疾患が集積する東アジア諸国でも取り入れられ、欧米では嚢胞性線維症への応用が進められている。今後、引き続く疾患感受性遺伝子の探索推進、5%程度の治療不応例に対する対応、本療法の健康保険適応と抗菌活性のない新たなマクロライドの創薬が求められる。 |
なし | 224 | 152 | 372 | 0 | 2件(治療研究における診断基準の見直しのヒアリング、調査個人票の改訂) | http://mhlw.go.jp/ | |||
呼吸不全に関する調査研究 | 平成11-13年 | 90,000千円 | 千葉大学大学院医学研究院 加齢呼吸器病態制御学 | 栗山 喬之 | 成熟マウスに喫煙を6ヶ月間継続されることにより、肺気腫モデルの作成に成功した。肺凍結組織標本から、Laser capture micro-dissection systemを用いて、終末細気管支上皮細胞を選択的に採取して、total RNAを抽出する技術開発を行った。呼吸不全における組織低酸素の改善を目標に、低酸素親和性ヘモグロビンPresbyterian型モデルマウスの作成に成功した。また、COPDの発症機序の解明を目指して、多方面からの遺伝子解析を施行した。 | わが国において、病院受診患者を対象とした全国規模の疫学調査により、COPD患者数を明らかにした。さらに、早期COPD患者の疫学を調査し、わが国における全体像を把握した。「肥満低換気症候群、原発性肺胞低換気症候群の診断および治療のための指針」を作成した。在宅人工呼吸療法の実態を把握する目的で、在宅呼吸ケアの現状調査を施行した。原発性肺高血圧症治療指針案の妥当性を検討した。 | a1-antitrypsin欠損症のデータベース作成を目的として、全国実態調査を施行した。アジア太平洋地域におけるCOPDとa1AT欠損症の疫学の必要性に対する認識が向上した。その結果、この地域におけるa1AT欠損症症例の登録の必要性、a1AT遺伝子多型の共同研究、共通のCOPD診断ガイドラインの必要性が認識され、今後検討を続けていくことになった。 | 236件 | 62件 | 140件 | 1件 発明の名称:慢性肺気腫の発症リスクを予測する方法発明者:佐々木英忠、冲永壮治、山谷睦雄、中山勝敏 |
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難治性の肝疾患に関する研究 | 平成11年-13年度 | 98,000 | 東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科 | 戸田 剛太郎 | わが国の自己免疫性肝炎(AIH)のアンケート調査の解析を踏まえて、AIHの国際診断基準の改定が行われ、AIH研究の基盤が整備された。原発性胆汁性肝硬変(PBC)に対するursodeoxycholic acid(UDCA)治療が予後改善に有用であることが明らかとなった。わが国の劇症肝炎(FH)の成因にAIHも関与することが明らかとなった。また、FHの内科的治療による予後改善傾向が認められ、生体肝移植による治療も定着してきている。 | 新たな治療方策として、AIHに対するUDCA、PBCに対するベザフィブラートの有効性を明確にするための試験研究が実施され、さらなる治療および患者のQOL改善への貢献が期待されている。また、B型肝炎の劇症化予防に対するラミブジンの効果についてもその有効性が示唆された。成果にもとに当該疾患の診断指針、治療指針の改定が策定され、臨床個人調査票にも反映させた。 | 診断困難な自己免疫性肝疾患の診断に有用な、論理判別式をアンケート調査成績に基づき作成し、今後の応用が期待されている。 | 124 | 174 | 942 (消化器病学会、肝臓学会、総会、大会) |
0 | 2 | ||||
難治性膵疾患に関する調査研究 | 平成11〜13年度 | 74,000千円 | 熊本大学医学部第二外科 | 小川道雄 | 急性膵炎の重症度スコアリング、およびステージ分類を作成した。Pancreas誌等の雑誌に掲載され、国内外から大きな反響があった。 | 本研究班の成果をふまえて、本研究班、日本腹部救急医学会、日本膵臓学会の合同で、エビデンスに基づく急性膵炎の診療ガイドラインが作成された。 | 家族性膵炎、若年性膵炎患者の解析から、膵炎を惹起する遺伝子変化(遺伝性膵炎の原因遺伝子)を明らかにした。 | 134 | 278 | 多数 | 1 | 2件(治療研究における診断基準の見直しのヒアリング、調査個人票の改訂) | http://www.nanbyou.or.jp/ | |||
稀少難治性皮膚疾患に関する研究 | 平成11年度から平成13年度 | 93,785,940円 | 順天堂大学医学部皮膚科 | 小川秀興 | 疾患遺伝子同定、遺伝子診断法開発、再生医療的治療法開発、疾患モデルマウス作成など、多くの成果が得られている。これらは、Nature Genetics等国内外の雑誌に掲載され、大きな反響を呼んでいる。 | 対象3疾患(天疱瘡、膿疱性乾癬、表皮水疱症)全ての診断基準、重症度判定基準、治療指針を完成した。遺伝子診断法を確立し、遺伝子治療の基礎研究を継続している。疫学調査により、特に天疱瘡の予後が著しく改善され、約半数の症例が治療無しで経過観察されていることが判明している。 | これら研究は、世界的にも他をリードするものである。各疾患の致死率は著しく低下し、QOLは向上した。特に天疱瘡は、もはや難病とは言えない状態になっていると考えられた。 | 301 | 170 | 300以上 | なし | 2 | http://mhlw.go.jp/ | |||
強皮症調査研究 | 平成12-14年度 | 63,000 | 千葉大学大学院 医学研究院 | 新海 浤 | 強皮症の病態であるコラーゲン線維の硬化性変化に新規細胞外マトリックス分子デルマトポンチンが関与することが判明。コラーゲン遺伝子発現とともに本分子はIL-4がかかわり、強皮症ではその受容体の発現が亢進していることが判明 | 強皮症には各種自己抗体が見られるが、病型と合併する疾患との関連性が見いだされた。とくに腎硬化症を伴う型では抗RNAポリメラーゼ抗体と関連することが判明。この抗RNAポリメラーゼ抗体の検出の簡易検出法を開発した。 | ヒトHGF遺伝子どうにゅうによる治療の化膿性を見いだした | 129 | 59 | 60 | 抗RNAポリメラーゼ抗体の検出の簡易検出法 | 2件(治療研究における診断基準の見直しのヒアリング、調査個人票の改訂) | ||||
混合性結合組織病の病態、治療と抗U1RNP抗体に関する研究 | 平成11-13年度 | 87,000 | 北里大学医学部 | 近藤啓文 | 混合性結合組織病に必須の自己抗体である抗U1RNP抗体の産生機序の解明に関してモデル動物で進展が見られた。さらに、抗原をコードする遺伝子に変異が発見された。本症の予後を左右する肺高血圧症の発生にエンドセリン-I、自己抗体の関与を明らかにした。本抗体陽性無治療例を登録、経過観察が開始され、データべースが作成された。この研究から国際的に認知されているわが国の混合性結合組織病診断基準の根拠に基づいた改定を計画している。 | 混合性結合組織病の診断に重要な抗U1RNP抗体の新しい測定キットが開発され、その有用性を検証した。国際的に評価された検査法で、本症の診断が正確になることが期待される。全国の臨床個人調査票(約4000名)の集計を行った。診断基準を満足しない患者が約30%みられた。本症の予後を決定する肺高血圧症の治療ガイドライン(案)を作成した。この普及により治療が標準化し、予後の改善に貢献できることが期待される。今後このガイドラインの検証が必要である。 | 原発性肺高血圧症に適応があるエポプロステノールの本症を含む膠原病肺高血圧症に対する治験を推進した。治験でその有用性が認められ、承認されれば本症患者の予後の改善に貢献する。さらに、同疾患に効果が期待されるエンドセリン・レセプター拮抗薬(ボセンタン)の治験にも協力している。 | 54 | 35 | 50以上 | 0 | 3件(治療研究における診断基準の見直し、同事業における寛解基準の作成、調査個人票の改訂) | 難病情報センターhttp://conquest.nanbyou.or.jp/sikkan/041.htm | |||
脊柱靭帯骨化症に関する調査研究 | 平成11─13年度 | 120,000 | 青森県立中央病院 | 原田 征行 | ア. 原因究明のため、遺伝子解析、骨形成因子と骨吸収因子について研究され、多因子遺伝形式であること、骨形成には、全身的、局所的因子が関与し、靱帯細胞基質のプロテオグリカンの加齢的変化と骨化靱帯の変化のそれは一致した。その結果、骨化は遺伝的素因のもと、全身的・局所的要因が加齢と密接に関係し発症することが推定された。早期発見と転倒などの外傷を予防することで重篤な脊髄症障害を防ぐことが出来る。検診などで発見につとめるべきである。 イ. 200対を用いての遺伝子検索の方法は、本邦での遺伝子解析のパラダイムである。骨化靱帯細胞培養による分子・細胞・生物学的な研究は、骨形成因子究明の手懸かりとなっている。細胞基質のプロテオグリカン分析による新しいデコリンの分析は学術的にも国際的にも高い評価を受けている。細胞へのメカニカルストレスと細胞変質は新しい手法でもあり、各種骨形成因子の発現様式などが解明される事が期待できる。 |
本疾患は年間約700人の特定疾患研究医療受給者が織り、年々増加している。高齢社会到来と共に本疾患が増え、四肢の不自由な、あるいは重度な脊髄障害患者が増加する。本疾患は重篤になると高度な治療が筆お湯となし、高額な医療費と長期にわたり療養が必要である。医療費抑制、社会的資源の活用の面から、早期発見により、重要な脊髄障害を未然に予防すべきである。従って高齢者の健康診断などに積極的に取り入れる事も大切であろう。 | 研究班の研究は第19回日本骨代謝学会(名古屋市)でのシンポジュウム、第26回日本医学会総会(福岡)のシンポジュウムに取り上げられた。さらに患者家族の会である脊柱靱帯骨化症患者・家族の会とも密接な関係を保ち、研究成果の報告と研究への協力が行われている。本疾患の社会的認識を高めて、早期発見による転倒予防、頸部への外傷予防など積極的な生活指導が大切である。 | 190 | 25 | 177 | 0 | 2件(治療研究における診断基準の見直しのヒアリング、調査個人票の改訂) | http://webabst.niph.go.jp/ | |||
特定疾患対策研究事業 進行性腎障害に関する調査研究 | 平成11〜13年度 | 98,000 | 東海大学 医学部 | 堺 秀人 | 進行性の4つの腎疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、難治性ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)について全国的な患者データベースを構築し、わが国のevidenceに基づいて各疾患の診療指針を公刊した。 | これらの4つの進行性腎疾患の診療指針が、わが国の一般臨床医および腎臓専門医の診療ガイドラインとなり、それぞれの疾患を有する患者の早期発見、早期治療と、より適切な治療方針の決定に役立ち、腎疾患診療の向上に寄与すると考えられる。 | わが国における全国規模の調査研究に基づく診療指針であり、より多くの疾患にもわが国独自の調査研究によるevidenceを作成する動きをリードしている。 | 10 | 10 | 6 | 0 | 1 | http://www.nanbyou.or.jp/ | |||
特定疾患の微生物学的原因究明に関する研究 | 平成11〜13年 | 104,000 | 国立感染症研究所 | 倉田 毅 | 神経変性疾患ではボルナ病ウイルスとパーキンソン病との関連が示唆され、このウイルスが神経機能の発現を抑制することが明らかになった。P. acnes菌がサルコイドーシスの原因の可能性については分子病理学的免疫学的検討(国際比較を含む)の結果強く示唆された。ギラン・バレー症候群ではC. jejuniの関与が一部のもので強く示唆された。慢性肺気腫の呼吸不全では難治化要因としてバイオフィルムの形成関与が上げられ、これを破壊する酵素の治療への実用化のための研究が大きく進展した。慢性呼吸器不全発症機序の一つとして菌と上皮細胞の荷電状態が解析され、それを抑える方法の開発がみえてきた。これらの成果は世界的な英文誌に論文掲載することにより学術的にも評価される。 | 特定疾患を引き起こす病原体、その発症機序を臨床研究班と密接に連携をとり、明らかにすることにより原因究明を行い、その結果として発症の予防あるいは効果的な治療法の開発に結びつける。 | 約200 | 約170 | 約250 | 5 | 2件(治療研究における診断基準の見直しのヒアリング、調査個人票の改訂) | |||||
特定疾患対策のための免疫学的手法の開発に関する研究 | 平成11-13年度 | 100,000 | 東京大学大学院医学系研究科 | 山本一彦 | ア)免疫疾患解析や制御のための新しい手法の開発や特異的免疫制御のための標的抗原の検出などに絞って当班の研究を進めた。それぞれの班員はオリジナルな研究テーマを設定し、研究を展開した。幾つかの目覚ましい成果が出たと考える。 イ)Natureをはじめ、J. Exp. Med.、J. Clin. Invest.やJ. Immunolなどのトップジャーナルへの掲載論文が相当数あり、かなりの成果であると考える。 |
本研究班は免疫が関与する特定疾患の横断的基盤的研究を推進することを目的とした。この様な研究組織の構築は初めてであり、今後の厚生科学研究の一つの方向を作ったと考える。 | 実際の疾患への応用の可能性が高いものが多く出てきており、状来的に十分に社会に貢献出来るものがあると思われる。ただしこの方面の臨床に直結した免疫学の研究は、特に欧米では種々の補助を受けて進展しており、我が国全体を考えると決して十分とは言えない状態である。 | 201 | 86 | 海外を含めて多数あるが、正確な件数は不明 | 0 | 1 | 特になし | |||
特定疾患の分子病態の解明に関する研究 | 平成11-13年度 | 105,000 | 東京大学大学院医学系研究科、循環器内科 | 永井良三 | 特定疾患の病態の解明に必須の細胞分化、慢性炎症、血管障害の分子機構に関して多くの重要な研究成果を得た。成果はNature、Nature Medicineなどに発表され、国際的に大きなインパクトを与えた。また、基礎的知見を創薬・再生医療・遺伝子治療に応用し、治療法開発に関しても大きな成果を得た。 | 血管形成の基礎的解明とともに、HGF、NFkBデコイの臨床応用のための基礎的臨床的研究を行っており、今後の虚血性心疾患、腎不全、心不全の治療法の変革、行政に示唆を与えるものである。 | 今後の創薬・再生医療・遺伝子治療の開発に必要な細胞分化、病態形成の分子メカニズムの解明を行うとともに、治療法開発に関しても国際的に研究をリードしている。 | 280 | 6 | 27 | 2 | 1件( 治療研究における診断基準の見直しのヒアリング) | http://www.cdb.riken.go.jp/japanese/research/index_j.html, http://beta-lab.umin.ac.jp/, http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/cardio/CSMFiles/Contents.html, http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/gts/division/r_03.htm |
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自己抗原ノックアウトマウスを用いた自己免疫モデルの開発に関する研究 | 平成11-13年度 | 75,000 | 慶應義塾大学医学部皮膚科 | 天谷雅行 | 自己抗原ノックアウトマウスを用いる新しい自己免疫モデルマウスの作成法を確立し、皮膚を標的とする天疱瘡モデルマウスを作成した。作成されたモデルマウスは、自己免疫疾患の病態、並びに自己寛容の成立および破綻のメカニズムの解明に大きく貢献した。作成法は、全く新しい独創的なものであり、他の自己免疫疾患への応用性も広い。J Clin Invest等の雑誌に発表され、国際特許出願するなど、国内外での大きな反響があった。 | 具体的な実用例は未だないが、作成されたモデルマウスが各種免疫抑制療法の前臨床試験として使用されることが期待される。 | 本研究による自己免疫モデルマウスの作出法により、病態が未だ不明であるシェーグレン症候群、ギランバレー症候群、自己免疫性間質性肺炎などのモデルマウスが開発されつつある。モデルマウスの解析により、未だ不明である自己免疫疾患の病態が解明されることにより、大きく社会貢献することが期待される。 | 80 | 40 | 40 | 出願7件、取得2件 | 1件(治療研究における診断基準の見直しのヒアリング) | ||||
希少性疾患における遺伝子発現変異の包括的解析のための遺伝子データベースの構築に関する研究 | 平成11-13年度 | 116,000 | 東京大学先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス分野 | 油谷浩幸 | 遺伝子発現プロファイルデータベースの構築と共に、ホームページ上での開示へ向けてインターフェースの作成などの準備を整えた。ヒト30種類の正常臓器について4万個の遺伝子の発現プロファイルデータから、発現量に変動が少ない「ハウスキーピング」遺伝子を同定した。実際の臨床材料から得られる微量検体からの高品質なcRNA増幅操作を確立した。多数の臨床検体データを取り扱う際には測定間のデータの標準化が大きな問題である。 | 他施設に先駆けて取り組んだ遺伝子発現プロファイル解析について国内の研究者との共同研究やデータベース公開を通して情報基盤の整備や提供に貢献できた。アレイ解析はオーダーメード医療を実践するための中核技術としての期待も大きく、国内の多くの研究者が病態解明に活用している。 | マイクロアレイによる遺伝子発現プロファイル解析は、微量の疾病組織検体からの網羅的な病態解析を可能とする手法として確立することが出来た。創薬の分子標的探索から薬剤投与症例の層別化まで幅広い応用が期待される。診断用機器としての高感度解析技術の開発も産学連携で進めている | 31件 | 総説16件 | 66件(うち国際学会15題) | 出願5件 | 1 | http://www2.genome.rcast.u-tokyo.ac.jp/index.html | |||
特定疾患の疫学に関する研究 | H11−13年度 | 134,000 | 順天堂大学医学部 | 稲葉 裕 | 発生関連予防要について、潰瘍性大腸炎、クローン病、後縦靱帯骨化症、特発性肺線維症と生活習慣との関連をある程度解明とした。特定の難病の全国疫学調査で肝内結石症、特発性心筋症、門脈血行異常症、先天性水頭症等、27疾患の調査を実施し、推計患者数と臨床疫学像を明らかにした。予後調査についてはIgA腎症患者の登録時腎機能低下の程度が累積腎透析導入率に影響していることを明らかにした。定点モニタリングシステムにより特発性大腿骨頭壊死症とNF1を対象に検討し、記述疫学特性の経年変化を調べるのに有効と考えられた。 | H11年度の医療受給者の臨床調査票による患者実態調査とその体系的利用について検討したが、調査票の形式が異なる疾患が多く、数疾患のみの解析となった。全国統一の調査票入力様式の策定に協力した。1997年度医療受給者の全国調査資料の分析を行い、40万人のデータを解析し、3冊の報告書を公表した。難病患者の保健医療福祉のニーズについて、患者のニーズと保健所側の実情とニーズをある程度把握した。地域ベースのコホート研究を実施し、30保健所管内で1500人の難病患者情報システムを構築した。行政資料を利用し、特定疾患の性別年齢階級別死亡率、性別都道府県別年齢標準化死亡比、特定疾患別性別総患者数の推計と受療率を算出し報告した。 | 29 | 5 | 不明 | なし | 1 | なし | ||||
特定疾患患者の生活の質(Quality of Life,QOL)の向上に関する研究 | 平成11-平成13 | 84,551 | 国立療養所犀潟病院 | 福原信義 | ア 研究目的の成果:(1)「難病の緩和ケア」に関する研究:特定疾患研究「筋萎縮性側索硬化症の病態の指針作成に関する研究」班での成果と併せて、日本神経学会のALS治療ガイドライン小委員会の「ALS治療ガイドライン」として集大成された。(2)難病医療における情報機器の利用については、視線入力装置の改良を進め、商品名「愛言葉」として発売した。(3)「人工呼吸器装着ALS患者訪問看護ガイドライン」を出版し、全国の関係医療機関に配布するとともに、インターネットを利用して内容の普及を図った。(4)難病における心理カウンセリング、セルフグループの育成に関しては、心理サポートグループの働きが病院内の患者グループ、保健所による患者グループ、何れにおいても重要であることを明らかにした。神経難病の患者・家族の心理援助のための技術を普及するために、「神経難病患者のためのりハビリテーションと心理サポート技術の全国研修会」を開催し、関係者にこの問題に対する重要牲を喚起した。「神経難病患者におけるサポートマニュアル:心理的サポートと集団リハビリテーション」を出版、配布した。 イ 研究成果の学術的・国際的・社会的意義:(1) ALSの医療内容における地域差は極めて大きいが、「ALS治療ガイドライン」の作成により、ALS医療における地域差の解消に役立つものと考えられる。(2)「愛言葉」の問題点は、高価格であることであるが、今後これが刺激となり、もっと安価、小型化された機器が開発されることと考えられる。(3)「人工呼吸器装着ALS患者訪問看護ガイドライン」は、ALSの在宅医療、訪問看護の推進に極めて役立つものである。(4)神経難病患者のサポートグループの働きは患者・家族の苦痛を和らげ、彼らが希望を取り戻すために有用であることを示した。臨床心理士の直接の援助の得られない地域においても、このようなサポートグループの働きがなされるためには、現場の保健婦、ヘルパーなどにこの技術を普及することが急務であり、この神経難病での心理カウンセリングの教育ガイドラインの作成は他の多くの難病のケア、保健所での難病医療活動においても非常に役立つものとなる。 |
介護保険が出来、訪問看護ステーションが次第に普及してきたが、神経難病患者の在宅医療については、これからも地域保健所が難病患者の在宅訪問を受け持ち、在宅ケアにおけるコージネート機能を担うことが重要である。この研究において、それぞれの保健所において難病患者の心理サポートグループを育成することが重要であることを指摘し、その育成方法についてのマニュアルを作成した。 | 39 | 132 | 47 | 1 | 「ALS患者訪問看護ガイドライン」については、http://www.saigata-nh.go.jp/nanbyo/houmon/houmonindex.htm 「神経難病患者におけるサポートマニュアル:心理的サポートと集団リハビリテーション」については、http://www.saigata-nh.go.jp/nanbyo/shinri/shinriindex.htm |
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特定疾患対策対象疾患の評価に関する研究 | 平成11-13年度 | 49,000 | 東邦大学医学部衛生学教室 | 杉田 稔 | ア 難病対策の評価方法を開発し、それによる評価をした。 イ 全国の衛生学・公衆衛生学関係者を対象とした質問票調査で難病対策の評価の枠組みを決め、難病研究の臨床班の班長に対する難病の実状に関する質問票調査を実施した。その両者の情報を結合させた難病対策の評価方法を開発した。その方法は恣意的ではなく、より客観的である。 |
本研究における難病対策の評価結果は、治療費の公的補助のある治療対象疾患が難病対策上の優先順位の上位を占めることはなく、難病周辺疾患も優先順位の高い疾患から低い疾患まで広く分布したことを示した。したがって、難病対策を見直す必要性があることが示唆された。 | 治療費の公的補助のない難病周辺疾患で、本研究における難病対策の評価優先順位の高い疾患がある。その種の疾患に対する対策が今後重要である。 | 2 | 0 | 3 | 0 | 1 | ||||
特定疾患に関する評価研究班 | 平成11-13年度 | 99,070千円 | 京都大学大学院医学研究科病態代謝栄養学 | 清野 裕 | 特定疾患を科学的に評価する方法を向上させるためでなく、患者サイド・医療福祉・医療経済・医療政策面からの評価を行い、特定疾患対策研究事業の見直しを行い、研究班の統廃合とともに、新たに14の研究班の提案を行った。 | 治療研究事業の対象疾患の見直しも行い、継続が不要と考えられた疾患を挙げる一方、疾患の病態の解明・診断の確立・治療法開発への期待などから10疾患を新たに対象疾患として取り上げることを提案した。また、侵襲臓器や重症度に基づく治療研究事業を推進するために指定医制度の検討も行った。 | 特定疾患対策研究事業の推進のため、現行の評価体制の評価および事業全体の見直しの再評価を実施し、特定疾患対策研究事業における新たな提言を行った。これらの研究成果は今後の特定疾患研究事業の方向性を決める上で重要であると考えられる。 | 106 | 19 | 3 | なし | 1 | なし | |||
筋萎縮性側索硬化症の病態の解明と治療に関する研究 | 平成12−13年度 | 42,000 | 東北大学大学院医学系研究科神経内科 | 糸山 泰人 | 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病因解明の研究では、特に変異Cu/Zn SODがもたらす運動ニューロン死を惹起する機序の解明に重点をおいた。各種変異Cu/Zn SODと臨床像との相関を明らかにするために数種の変異Cu/Zn SOD遺伝子導入トランスジェニックマウスを作製した。既に数種のトランスジェニックマウスが発症し、臨床病像との相関を認めている。また変異Cu/Zn SODの糖化変化による凝集し易さおよび運動ニューロンの軸索輸送障害の機序を明らかにした。さらには治療法の開発に応用するために髄腔内への薬剤投与が可能なトランスジェニックラットを作製し、選択的な運動ニューロン障害の再現に成功した。 | 本研究班は世界的一級の基礎医学者とALSの臨床研究者が共同して運動ニューロン死を研究する組織であり、世界的にも極めて貴重な研究組織となった。2年間の班研究により基礎医学者が参入した形の多くの共同研究が開始される契機となり、運動ニューロン死の機序解明やALSに対する新たな治療法の開発研究が大いに促進された。 | 現在、世界的にみても有効な治療法のないALSに対する新たな治療法の開発研究は社会的要請が非常に高い | 76 | 18 | 107 | 2 | 1 | ||||
筋萎縮性側索硬化症の病態の診療指針作成に関する研究 | 平成12-13年度 | 20,000 | 国立療養所千葉東病院 神経内科 | 今井尚志 | ALS診断後の病名告知から症候管理・栄養管理・呼吸管理・緩和ケアに到るまで病態にあわせて診療指針を作成することを目標として完全に達成した.日本神経学会と共同作業を行ったことで全国レベルのALS診療標準化につながり,その社会的意義について大きい.国際的にも,日本独自のガイドライン作成を行ったことで高い評価を受けている. | 従来ALSの診療は,診断後どのように診療を行うか医師の裁量権に任され,施設ごとに対応が異なってきた.今回、日本神経学会と共同で診療ガイドラインを作成したことで診療の標準化につながり、日本全国のALS患者データーベースを作成し、共同研究・治療法の開発につながると思われる。 | 平成14年度特定疾患対策研究 研究成果発表会として「21世紀の神経難病医療の構築を目指して」-日米のALS診療ガイドラインの比較から-と題した神経難病シンポジウムを開催した。シンポジウムでは米国のALS診療指針作成の責任者でALS診療の世界的権威のミラー教授に特別講演をお願いした。日本から日本のガイドライン作成に携わった先生方にパネリストとして発表していただき、日米の診療における共通点・相違点を確認しあい、日本のガイドラインが高水準であると評価を受けた。 | 28件 | 14件 | 講演・シンポジウム発表など50回程度 | なし | 2 | http://www.neurology-jp.org/guideline | |||
進行性腎障害に対する進展の抑制に関する研究 | 平成12-13年度 | 40,000 | 慶應義塾大学医学部 | 林 松彦 | 骨髄細胞が腎臓の構成細胞に分化することを世界ではじめて証明するとともに、腎炎において転写調節因子を標的とする遺伝子治療が有効である可能性をモデル動物で証明し、Kidney Internationalなどの国際的専門誌に掲載した。これらの研究は、当該分野で世界をリードするものであり、国内外から高い評価を得た。 | 腎臓においても再生療法が可能であることが示され、厚生労働省科学研究費補助金の新規課題において参考とされた。 | 本研究班発足までは、他臓器に比べ、腎臓の再生療法は、国内外を問わず、殆ど省みられていなかった。しかし、本研究班の研究成果が、多くの研究者の再生療法の開発・研究への参入を促し、飛躍的に進歩を遂げつつある。また、成果を一般対象の講演会等にて発表したところ、非常に強い興味を持たれ、多くの末期腎不全患者に、厚生労働省の本疾患に対する先進的な姿勢を印象付けた。 | 39 | 4 | 58 | 1 | 1 | http://webabst.niph.go.jp/ | |||
白血球浸潤を標的とした進行性腎障害の進展抑制に関する研究 | 平成12-13年度 | 38,000 | 国立国際医療センター研究所 臨床薬理研究部 | 名取 泰博 | 腎生検によらない非侵襲的診断法として尿中微量コレステロールの測定系を開発し、これが種々の腎症の予後と良く相関することを明らかにした。既に自動化システムも確立しており、有用な診断法として臨床に貢献すると考えている。さらに当研究班では尿中巨大化マクロファージの起源の一つが尿細管上皮細胞であることを示し、尿細管上皮細胞のマクロファージ化の阻止が間質病変の進展抑制の標的として新規治療法となる可能性を示した。 | 尿中微量コレステロールに関する成果をもとに、新しい診断法の普及に務めており、今後、全国に広がることが期待される。 | 尿細管上皮細胞のマクロファージ化を標的とした新しい治療法の開発を行うべく、現在も研究を進めている。これが成功すれば、慢性腎不全患者の減少が期待され、社会的インパクトは大きいと考えている。 | 25 | 8 | 23 | 0 | 1 | なし | |||
脳磁気刺激による神経難病治療の開発的研究 | 平成12,13年度 | 42,000(千円) (12年度20,000 ,13年度22,000) | 東京大学大学院医学系研究科 | 金澤一郎 | 0.2Hz、1日100回、強度1.1TというrTMSは、パーキンソン病に対してsham刺激を超える効果を示すことはないという結果を得た。今回の研究では、sham刺激の方法が特徴的でほかの研究と異なっていた。成果は、movement disorders に掲載され、今後このような効果を判定する研究における方法論の観点からも、実際に連続磁気刺激が臨床効果を有するかという問題においても、大きな反響があった。 | パーキンソン友の会などで連続磁気刺激に治療効果が有ると言う評判が有るが、この研究成果をもとに対応できるようになった。ただし、このほかの刺激方法(もっと強い、長い刺激)でも効果がないのかを検討する必要性を示唆した。 | 脊髄小脳変性症でも、患者友の会で磁気刺激が治療効果を有するという評判がたっている。このようなほかの疾患に対しても、しっかりした研究をする必要があることが判明した。脊髄小脳変性症の治療に関しては、日本が世界をリードする形で進行しており、本研究と同様の方法で脊髄小脳変性症に対する研究が進行中である。 | 5件 | 5件 | 5件 | 2 | |||||
アミロイドーシスモデル動物における発症機序の解明に関する研究 | 平成11-13年度 | 58,000 | 山口大学医学部構造制御病態学講座(旧病理学第一講座) | 石原得博 | アミロイドーシスの発症病理において注目されているのは、プリオン病や狂牛病に見られるような、外来性の異常蛋白(線維)の発症促進効果(核依存性重合反応)である。我々は、マウスアミロイドモデルにおいて、外来アミロイドによる発症促進効果の可能性を示した。 | これまでの本研究事業においては、アミロイドーシスは異種アミロイド蛋白や異動物種のアミロイドの静注あるいは腹腔内投与、経口摂取でもアミロイドーシス発症促進効果が示され、続発性のAAアミロイドーシスにおいてもアミロイドの経口での同様の効果の可能性が示された。約1.2%(1800頭中22頭)の高齢牛(6歳以上)のいずれかの臓器にアミロイド沈着が見られたとの報告もあり、経口投与によるアミロイドーシス発症促進効果の可能性については社会的問題でもあり、厚生行政において緊急に解決されなければならない。 | 外来アミロイドによる発症促進効果の可能性は、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)患者のドミノ肝移植の問題とも関連して緊急性の高い問題であり、多様な疾患群としてのアミロイドーシスの発症機序の解明の重要な糸口になると考えられる。 | 63 | 10 | 78 | 1 | 2 | http://www.nanbyou.or.jp/ | |||
炎症性腸疾患の予後改善をめざした消化管上皮細胞回転の研究(H13-特疾-06) | 平成13年度 | 5,000 | 国立国際医療センター研究所 消化器疾患研究部 | 土肥多惠子 | 消化管粘膜の特殊な細胞分化増殖機構を明らかにすることを目的とし、特にアクチビン・フォリスタチン系の働きの解明、潰瘍性大腸炎の発癌モデルの作成とmicrosatellite marker instabilibityno (MSI)の解析は炎症性腸疾患における新しい治療法開発の基礎研究として注目された. | これらの成果は大腸癌ハイリスクグループとしての炎症性腸疾患におけるunmet needsを明らかにし、その対策の第一歩となるものである. | 消化管上皮細胞分化増殖機構の解明は再生医学の面からも注目されている。 | 23 | 3 | 18 | 0 | 2 | ||||
※本研究課題における研究班全体の成果、予定を含む ※施策への反映状況・件数は、幅広く記述する。 |