03/04/25 薬事・食品衛生審議会薬事バイオテクノロジー部会 平成15年4月25日議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事バイオテクノロジー部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年4月25日(金) 14:00〜   厚生労働省専用第19会議室 2.出席委員(12名)五十音順    入 村 達 郎、 小 澤 敬 也、 甲 斐 知恵子、○堺   春 美、    澤 田 純 一、 島 田   隆、 清 水 慶 彦、 土 屋 利 江、    西 島 正 弘、◎早 川 堯 夫、 星   北 斗、 山 口 照 英   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(2名)五十音順    珠 玖   洋、 山 口 成 夫 3.行政機関出席者   北 條 泰 輔(医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)   磯 部 総一郎、 武 隈 良 治  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会 薬事バイオテクノロジー部会を開催させていただきたいと思います。本日は当部会の委 員数14名のうち、12名の先生に御出席をいただいておりますので、定足数に達してお りますことを御報告申し上げます。先生方には大変お忙しい中、本日部会に御出席いた だきまして誠にありがとうございます。本日は薬事・食品衛生審議会委員の改選が行わ れた後に開かれる最初の部会となります。先般、1月23日に薬事・食品衛生審議会総会 及び薬事分科会が開催されておりまして、当部会の部会長として早川委員が選出されて おりますので、御報告させていただきます。  本日は委員の改選後最初の部会でもございますので、新たにまた委員になられた先生 方もいらっしゃる関係で、まず委員の先生方の御紹介をさせていただきたいと思います。 今日お配りしております委員名簿、薬事バイオテクノロジー部会の委員名簿を御覧いた だきながらお願いしたいと思います。まず入村委員でございますが、本日はもう少した ったらお見えになるということでございます。それから小澤委員でございます。甲斐委 員でございます。堺委員でございます。澤田委員でございます。島田委員でございます。 清水委員でございます。土屋委員でございます。西島委員でございます。星委員でござ います。山口照英委員でございます。そのほか珠玖委員と山口茂夫委員、この2名の方 々も委員として発令されておりますが、今日は所用のため御欠席ということでございま す。それでは早川先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○早川部会長 早川でございます。よろしくお願いいたします。それではまず部会長代 理を決めさせていただきたいと思います。部会長代理につきましては、審議会のルール により部会長があらかじめ指名することとなっているようでございます。私といたしま しては、引き続き堺委員にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。 ○山口(照)委員 賛成いたします。よろしくお願いします。 ○早川部会長 それではこちらの方によろしくお願いします。 ─ 堺委員、部会長代理席へ移動 ─ ○早川部会長 それでは審議に入りたいと思いますが、その前に資料の確認をいたした いと思いますので、事務局の方からお願いいたします。 ○事務局 それでは机の上に御用意させていただきました本日の議事次第に資料ナンバ ーが合わせて付けられていますので、そちらに従い確認させていただきたいと思います。 まず本日の資料といたしましては、事前に先生方のお手元に資料1-1、1-2、資料2、資 料3及び資料4を送付させていただいております。また、お手元に当日配付資料として 議事次第、座席表、部会名簿のほかに資料1-3、「ACC-01概要書」というタイトルが付 いた資料、それから資料5-1、5-2、これはいずれも生物由来製品の安全対策に関する資 料でございます。それから資料6-1〜6-4までございますが、これはカルタヘナ議定書国 内担保法関連の資料です。そのほかに参考資料1〜4までございます。参考資料1は、 「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針(概要)」でご ざいます。参考資料2は「細胞・組織を利用した医療用具又は医薬品の品質及び安全性 の確保について」でございます。参考資料3が「組換えDNA技術応用医薬品の製造の ための指針(概要)」。それから参考資料4は「農林水産省組換え体利用関係通知集」で ございます。以上を御用意させていただきました。  それから平成13年1月23日の薬事分科会の申合せに基づきまして、これらの資料の 作成に関与された委員の確認を行うこととなっておりますが、本日の議題については関 与された委員の先生はおられないということを確認したので、併せて御報告させていた だきます。もし資料で足りないものがございましたら、お知らせいただければお渡しい たしますので、よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 先生方、資料の方はよろしゅうございますか。それでは審議に入りたい と思います。本日は審議事項といたしまして、「細胞・組織を利用した医薬品等の品質 及び安全性の確認について」、ACC-01自家培養軟骨がございます。それから「農林水産 分野における組換え体の利用のための指針への適合の確認について」、鶏用組換えニュ ーカッスル病・マレック病生ワクチン、この2件が審議事項でございます。それから報 告事項として、「組換えDNA技術応用医薬品の製造のための指針への適合の確認につ いて」で協和発酵工業株式会社のプラバスタチン、「農林水産分野における組換え体の 利用のための指針への適合の確認について」で東レ株式会社のイヌインターフェロン- γ(組換え型)、この2件の議題が報告事項としてございます。  まず審議事項の議題1について、事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは資料に沿いまして、御説明させていただきたいと思います。まず最 初に参考資料1、「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する 指針(概要)」に沿いまして、まず指針の位置付けについて簡単に御説明させていただき たいと思います。  まず「1.目的」でございますが、今回確認申請として提出されておりますものが、こ の指針に適合しているかどうかの確認をお願いするわけでございます。本指針は、ヒト 由来の細胞・組織を加工した医薬品、又は医療用具の品質及び安全性の確保のために必 要な基本的要件を定めたものでございまして、製造業者又は輸入業者は細胞・組織加工 医薬品等の安全性、及び品質の確保を期すために当該医薬品がこの指針に適合している ことの確認を、厚生労働大臣に求めることとされております。  「2.確認申請」の内容でございますが、「品質及び安全性」ということで、「3.確 認申請に当たって添付すべき主な資料」にございますように、製造方法、安定性、非臨 床、臨床試験ということでございます。この場合の臨床試験と申しますのは、あくまで も外国における開発状況等がある場合でございます。  それから指針の位置付けでございますが、一般的な流れということでこの参考資料1 の下に図が書いてございます。非臨床試験が行われたデータを基に今回の確認申請がな されまして、本日の薬事バイオテクノロジー部会で御審議をいただいた結果、もし次の 段階に進んでよいということになりますと、これはもう臨床研究ではなくて、薬事法に 基づく申請のための治験として治験の開始が認められるということでございます。そし て治験が行われまして、そのデータ等をベースに承認申請が将来なされますと、再度薬 事・食品衛生審議会医薬品第一部会、あるいは医薬品第二部会の方で御審議いただくと いう形になっております。つまり今日御審議いただきます指針への適合性につきまして は、これは本部会における審議の結果が直ちに医薬品等の製造あるいは輸入の承認に結 び付くというものではなくて、あくまで治験に入る前のこのものの品質・安全性の確認 であるということでございます。  それでは今度は資料1-3、「ACC-01概要書」に従いまして、品目の説明に入らせてい ただきたいと思います。まず資料1-3の頭のところですが、今回の品目はACC-01(自家 培養軟骨)ということで、申請者は株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング、 通称「J-TEC」と呼ばれている会社でございます。製品の概要でございますが、ACC-01 は患者自身の関節から採取した軟骨細胞を、コラーゲンに包埋して約4週間培養した自 家培養軟骨様組織です。1ページめくっていただきますと写真がございますが、外観は ドーム状で把持可能な硬さを有し、コラーゲンのマトリックスの中に軟骨細胞が分散し た構造をしております。  1ページに戻っていただきまして、「4.適用法」でございますが、まず患者自身の軟 骨組織の採取に当たりましては、患者さん本人のインフォームド・コンセントを取って 組織採取を行います。軟骨組織は、欠損部近傍の遊離軟骨片、又は大腿骨内・外側顆非 荷重部から採取した組織をJ-TECが供給する組織運搬用容器に封入して、さらに断熱 輸送容器に梱包して発送するということでございます。製造施設の方では約4週間の培 養を行いまして、それが終了しましたら専用の容器に梱包し、移植日に合わせて医療機 関に輸送され、手術室で無菌的に容器から取り出して元の患者さん自身に移植されると いうものでございます。資料の3ページに、今申し上げました過程を分かりやすく図示 したものがございます。  1ページに戻っていただきまして、今回特に課題となる製造方法を「5.製造方法」と して簡単にまとめてございます。まず軟骨組織に微生物による濁りがないことなどの検 査を行います。そして、組織を消毒いたしまして、軟骨細胞懸濁液を調製し、次いでコ ラーゲン溶液と軟骨細胞を混合・播種いたしまして、培地を添加して培養する。培養し たら洗浄し、次いでコラーゲン製品輸送液を充てんして包装するということでございま す。  それでは次に資料1-2、細胞・組織利用医薬品等検討小委員会の報告書の概要を御説 明させていただきたいと思います。この小委員会は部会長の早川先生に座長をお務めい ただいております。また、本部会の小澤先生、土屋先生、山口照英先生も小委員会の委 員でいらっしゃいます。品目名でございますが、ACC-01、申請者名は株式会社ジャパン ・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)でございます。小委員会はこれまで3回開 催されておりまして、平成14年の7月、9月、10月に御審議いただいておりまして、 この報告書はその内容をまとめたものでございます。  まず「調査の概要」の「1.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況について」 です。この使用状況でございますが、まず軟骨欠損による関節症患者数は平成11年度で 77万3,000人ということでございます。そして、この軟骨欠損を修復する一つの方法と して、2ページの4行目からでございますが、スウェーデンで開発された方法で、患者 自身の非荷重部の関節軟骨を採取して分離した軟骨細胞を、in vitro単層培養により増 殖させ、懸濁液にして患者自身の欠損部へ移植するという方法がございます。この方法 は既に米国やドイツで商品化されておりまして、5,000人以上の患者に使用されている ということでございます。しかし、この治療法では、軟骨細胞を長期間単層培養いたし ますと、本来の性質を失うと。つまり健常な関節軟骨細胞は円形又は馬蹄形の形態を示 し、特徴的なII型コラーゲン及びグリコサミノグリカンを産生して硝子軟骨細胞を形成 するということでございます。これを単層培養で増殖させますと、細胞の形態が線維芽 細胞様に変化いたしまして、II型コラーゲンなどの軟骨基質産生能を失い、I型コラー ゲンを合成するようになりまして、硝子軟骨細胞本来の性質を失うということが知られ てございます。ところが、軟骨細胞をマトリックス中に三次元培養いたしますと、軟骨 細胞は円形状の細胞形態を示すとともに、II型コラーゲンやグリコサミノグリカンを産 生することが報告されておりまして、三次元培養すれば細胞が脱分化することなく増殖 いたしまして、移植に使用することができるということでございます。  その次の段落でございますが、島根医科大学の越智らはこの三次元培養法に着目して 自家培養軟骨様組織を開発したということでございまして、その技術を基にJ-TEC社 がACC-01を開発したというものでございます。2ページに「2.製造方法」がございま すが、製造方法の概略については先ほど簡単に御説明しました。4ページの「図1」及 び「図2」に組織採取の受入手順と製造工程のフローチャートが示されております。図 2でございますが、受け入れた組織は重量測定と消毒を経て、約4時間の酵素処理によ る軟骨細胞懸濁液の調製を行いまして、コラーゲン溶液への軟骨細胞の包埋、播種が行 われた後約4週間培養されるということでございます。  次に5ページの「3-1.原材料となる細胞・組織の起源・由来」でございますが、ACC-01 はそのもの自身は患者自身から採取した硝子軟骨を原材料として用いるものでございま すが、ほかに「3-2.動物由来原料」で特に生物由来で注目されるものについてまとめて ございます。  6ページを御覧いただきたいのですが、表1にございますようにアテロコラーゲン、 使用している動物部位としてコラーゲン、ペプシンあるいはウシ胎児血清、トリプシン、 ラクトースといったものが使用されております。いずれもBSEのリスクが低い国を原 産国とした動物を使ってアルカリ処理やγ線照射等、ウイルス等の不活化処理を行い、 各種ウイルス、微生物の検査を実施したものを使用しているということでございます。  次に8ページを御覧いただきたいと思います。「4.製造工程及び最終製品の品質管 理」でございますが、ACC-01の検査工程が9ページの図4に示されております。まず受 入組織に対して外観検査等が行われます。また、培養期間中には工程検査として□□□ □、□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□といったことが 行われます。さらに移植用のものにつきましては、□□□□□□□□□□□、□□□□ □□□□□□□□□□□□が行われる一方、品質検査用のものについては出荷後確認検 査が行われるというものでございます。  次に10ページの「4-2.最終製品の品質管理法」でございますが、最終製品についての 検査が11ページの表2にまとめられております。これを御覧いただきますと、出荷確認 試験として□□□□□、□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□、□□□□□、 □□□□□□等を行うこととされております。それからその次の□□□□□□でござい ますけれども、これはまた後ほど出てまいりますが、□□□□□□□□□□□□という 規格が暫定的に設定されております。これから治験を行って、その結果から改めて規格 値の設定を検討することとされております。本品に特徴的な□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□や、□□□□も行うこととされております。出荷後につき ましても、□□□□、□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□等を実施することと されております。  それから12ページの「5.安定性について」でございます。生細胞数、外観形状、形 態保持性について検討が行われまして、その結果保存2日後までは出荷判定検査の基準 をすべて満たしていることが確認されていること、4日後には生細胞数が播種細胞数以 上であることが確認されていることから、有効期間は48時間に設定されているというも のでございます。  その次の「6.前臨床試験」につきましては、「6-1.効力又は性能を裏付ける試験」と して、ウサギ膝関節軟骨欠損モデルを用いて、ウサギACC-01を欠損部に同種移植し、 ACC-01の有効性が評価されております。その結果、術後28日においてACC-01群に移植 部位の軟骨形成が見られ、84日目には内軟骨性骨化現象と考えられる移植部位での新生 骨形成が認められております。また術後168日目には、手術端及び移植部位に、より構 造のしっかりした新生骨形成が認められております。次は「6-2.□□□□」でございま すが、これについてはヒト組織を用いて作製したACC-01・最終製品を用いて染色体分染 を行い、バンドパターンが正常ヒト染色体と一致することが確認されております。「6-3. □□□□□□□□□□□」では、ACC-01は形質転換を起こしていないということが確認 されております。それが13ページの頭のところに書かれております。それから13ペー ジの「6-4.添加成分の残存」でございますが、ウシ胎児血清については□□□□□□が 移植時のACC-01に残存すると考えられるが、現在の技術では無血清培地による培養は困 難であるということから、アレルギー反応を惹起する可能性を否定できない旨の注意喚 起を行うということでございます。また、同じページの真ん中辺りに□□□□□□□、 それから下に□□□□□□□□の記載がございます。これらのものについても、□□□ □□□□については150μg最大残存量が予想され、それが□□□□□□□□□□□□で あると。それから□□□□□□□□については、最大残存量□□□□□□が予想される わけですが、これは□□□□□□□□□□の量であります。この二つの抗生物質につい ては、これらに過敏症又は重篤な中毒症状の既往がない患者のみをACC-01の適応対象と するということでございます。  次に14ページの「7.製造施設及び設備」でございますが、これはこの項目の一番下 にございますように、ハード、ソフトの両面で医療用具GMP、及び「細胞・組織利用 医薬品等の取扱い及び使用に関する基本的考え方」に準拠した管理がなされているとい うことでございます。  それからその下の「8.治験計画」でございますが、これは今後実施を予定している治 験の計画でございますけれども、本品の対象疾患については外傷性軟骨欠損症、離断性 骨軟骨炎、変形性軟骨症とし、さらにその中でもモザイクプラスティ法等の既存の治療 法で改善しなかった患者や、改善が期待できない患者に対して実施することとされてお ります。  それから最後でございますが、「9.小委員会における審議経過」ということで特に小 委員会の方で議論になった点が4点ほどここにまとめられております。まず安全性でご ざいますが、ウシ胎児血清、アテロコラーゲン、ペプシン、トリプシン等の動物由来成 分に関して、ウイルス試験を含む品質・安全性確認評価の実施内容について説明を求め たところ、ウシ由来のアテロコラーゲン及びウシ胎児血清は、ヒト又は動物由来原料を 用いた医薬品等の品質及び安全性確保に関する局長通知と、ウシ等由来原料を用いた医 薬品等の品質及び安全性確保に関する局長通知、この二つの局長通知に基づいて点検を 行ったものを使用すると。それからアテロコラーゲン、ウシ胎児血清及びトリプシンに ついては、原産国並びにウイルス等の検査内容について、原料供給業者より情報を入手 して結果を確認するとともに、製造に使用する前に自社でも受入試験を実施する。さら にアテロコラーゲン、ウシ胎児血清、トリプシンの製造工程におけるウイルス等の不活 化/除去工程の詳細条件、及びウイルスバリデーションデータを入手して不活化/除去工 程がバリデートされていることを確認したということでございます。ただし、ペプシン に関しましては、現在バリデーション試験の実施中でございまして、この結果を入手次 第提出をするけれども、このペプシンもアテロコラーゲンと同様の不活化処理が行われ ていることから、安全性は確保できるという回答が得られております。  また、最終製品の品質規格に関しまして、□□□□□の規格設定について説明を求め たところ、16ページの5行目に現在までのACC-01の作製結果のデータ、それから表3 にそのデータを基に最終製品の増殖能を確認する断定的な規格値として□□□□□□□ □□□□□□とし、治験において出荷時の□□□□□のデータを収集し、再度規格設定 を検討することとされております。それから次の(3)、□□□□□□□□□□□□□□ □□□□の規格設定につきましては、□□□□□□□□□□□の規定値を暫定的に□□ □□□□□□□とする。また□□□□□□□□に関しても、その発現量と臨床成績の相 関等の情報を蓄積し、規格設定を行う予定であるという回答が提出されております。そ れから17ページでございますが、非臨床試験に関しては動物モデルとしてウサギを選択 した理由、及びウサギ同種移植の結果から自家移植の効果を推定できるとする根拠につ いて説明を求めたところ、現在までにウサギ膝関節軟骨欠損モデルを用いた軟骨欠損修 復に関する報告が多数存在することからウサギを選択した。また、同種移植の結果から 自家移植の効果を推定できるとする根拠については、免疫反応を考慮すると同種モデル により得られる有効性、安全性の評価は自家モデルよりも厳しい環境下での評価である ため、同種モデルから自家モデルの影響を外挿できるという判断をしたとの回答が得ら れております。  以上に加えまして、有効性に関する事項として土屋先生から次のような御意見があっ たことを併せて御報告させていただきたいと思います。まず動物試験に関しまして、J- TEC社は効力又は性能を裏付ける試験としてウサギを用いた試験を行っております が、動物の大きさや荷重の掛かり方を考慮し、承認申請に当たってはヤギ等の大型動物 で行うことも検討してはどうかという御意見がございました。また、コラーゲン濃度が 有効性の点でどのような影響を及ぼすのかという点について十分検討する必要があるこ と、またACC-01の圧縮強度についても圧縮弾性率のような力学的試験を検討し、培養開 始時からの経時的変化等を測定し、品質管理の指標とすることを検討するなど、十分な データを収集し評価すべきであるという御意見を頂いております。事務局といたしまし ては、承認申請に際してはこれらの点について十分に検討するよう指導していきたいと 考えております。  小委員会では以上の回答を含めまして、ACC-01の品質安全性についての検討を行って いただいた結果これを了承し、薬事バイオテクノロジー部会で審議することとされたも のでございます。説明は以上でございます。よろしくお願いします。 ─ 事務局説明中、入村委員着席 ― ○早川部会長 どうもありがとうございました。ただいま御説明をいただきましたよう に、小委員会で三度にわたってこのものについて審議をしたということで、そのときの 基本的な考え方としてこういう申請に関しては治験に入るための品質、安全性の確認で あって、実際の有効性等についてはこれからの治験の中で評価するものであると。プロ トコル等は参考のために付いてございますが、そういう位置付けで審議、議論をしてま いったということでございます。本部会におきましても、基本的にはそういうスタンス で御審議いただくということであろうかと思います。そういうことで、先生方からいろ いろ御意見、コメントを承ればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○星委員 ちょっと教えてください。資料1-2の16ページのACC-01の作製結果ですけ れども、きっとここ以外にも書いてあるのだと思いますが、□□□□□□□□□のうち、 ここに書いてあるものは増殖能を持ったものを言っているのでしょうか。まずここに書 いてある数字ですね。  それから二つ目は、なぜ二番目が「×」、「×」となっているのですか。教えてくだ さい。 ○事務局 まずこれはすべて□□□□ということになります。この「×」、「×」とい うことについては…、増殖能を有するということは多分本文中に書かれているかと思う のですが、通常最初に培養すると一度□□□□が減り、その後増えてくるということが 実験で明らかになっております。そういう意味で言うと、一度減った後増えて□□□□ □最後の□□□□□□□□と規定されますので、そこの□□□は一応増えている過程に ある細胞ということになるかと思います。 ○星委員 なぜ「×」なのですか。 ○事務局 これについては、結果的に実験結果として増殖しなかったということであり ます。理由としては、□□□□□が少なかったということを申請者の方から確認してお ります。 ○星委員 その資料はどこに出ていますか。 ○早川部会長 今と同じ表は資料1-1の63ページでしょうか。 ○事務局 資料1-1の61ページに□□□□の推移ということで、培養日数と最初少し下 がった後増殖するという過程が示されております。この「×」については…。 ○早川部会長 先ほどの御質問の趣旨は、採取して播種した細胞と播種して培養日数35 日、あるいは27日というのをやって、実際に増えているものを増殖の「○」、「×」で 示しているということですね。「□□□□□□□□」と書いてある、この□□□□□□ □が更に増殖性を有しているかどうかに関して、星先生が今御質問されたのだと思いま すが、それについてデータはないのでしょうか。 ○星委員 つまりここに残っている細胞が増殖能を持っているという仮説で数をカウン トしているわけですね。これは一部切り取って見るわけですか。 ○事務局 この試験そのものは、正に切り取って見るということですが、今後治験で行 うためには、一応二つ作りまして、一つは使ってもう一つはどのくらい増えているかと。 そして、今後どういう効果があるのかも含めて検討することになりました。 ○星委員 その上で質問なのですけれども、添付資料4の表3の下三つの報告書はある のですが、上の四つはどこにあるのですか。 ○事務局 添付資料4については、□□□□□□□□□□□をサンプルとしてHCC10119 を使ったということでありまして、先生御指摘の上のものについてはこの試験を行って いません。 ○星委員 この作製結果の表の基になっている資料はどこを見れば出ているのですか。 ○事務局 申し訳ありません。その添付資料の中には入ってございません。この添付資 料に入っているのは、この□□□□□□□□□とか安全性を評価した試験がここに付い てございます。 ○星委員 入らなかったのは□□□□が少なかったからとさりげなく言うけれども、安 全性とか安定性を言うときに造る側は少なかったとおっしゃるかもしれませんが、この 表だけ出してこんなに生えますよと言うのに基の資料がないというのはおかしくないで すか。表だけ出してこれが結果ですと、しかしその基になっている調査報告書はありま せん、上の三つは別の試験をやっていません、別の試験の結果だけ出ていますと。それ でこれをもって□□□□倍がどうとか、□□□倍で暫定的にやるということを評価する などできないのではないですか。私だけ知らなくて、皆さんが分かるなら別として…。 ○早川部会長 これは私の理解が行き届いていなければ小委員会の先生にフォローして いただきたいのですが、こういう培養の仕方でこういう採取の仕方をして、培養後に□ □□□がどういう形で増えるか増えないかを見ていて、先生がおっしゃるように一個一 個の、例えば61ページにあるような一個一個についてどういう経時的な動向を示したか に関しては多分データはないのだろうと思います。ですから、結果としてこういうやり 方でやるとこういう状況になりますということを示しているだけのことだと思うので す。これから治験としてやろうとするときに同じようにしてやっていくわけですが、そ のときに先ほどの□□□倍以上というのはここで平行してやりながら、増えないものは 見込みがないので、それについては治験の対象とできないという規格を仮に作りましょ うということだろうと思うのです。あとは治験の臨床的な有効性を見ながら、その規格 が正しいのか、もっと別の観点で見なければいけないのかをこれから、実際の臨床上の 結果と合わせて将来的に承認していくとすればその規格が妥当であるのか、また別の考 え方をしなければならないのかを見ていきましょうということだと思います。 ○星委員 私はこの報告書がないことを問題にしているのではなくて、非常に不安を覚 えるので発言をしています。というのは、すべて原疾患がある患者さんから取り出した ものを、場合によっては組織採取量が幾らだか分からないような形で、やり方は書いて ありますけれども、少なくともそういう記録が残っているのか残っていないのか分かり ませんが、やられているということ。そして、その結果がどういうふうに使われている のか知りませんが、本人に対するインフォームド・コンセントがどういうふうに取られ たのか。これは患者さんからの摘出ですから、一番考えやすいのは手術のときについで に採ったものだと思うのですが、そういう考え方でこの先こういうことを続けられると 大変誤解を受けて、せっかくの研究あるいは努力が水の泡にならないかと。最近、有名 な大学でもそういう問題が起きていますので、私はそのことを心配するからこのことを 申し上げているのです。  すべてを原疾患をお持ちの方から採り出していて、年齢的にも相当の年齢の方たちで すよね。これが本当に同意を持って採られて、後で出てきますが、このティッシュはこ の会社から試験のために出されていると報告書には書いてあります。会社から受け取っ たと…、今の添付資料3のところですね。少なくとも人間の軟骨細胞を会社からもらっ たと言っている。そのことに対して、本当に本人たちの同意を与えているのかどうか、 私は大変気になります。  そして、更に言わせていただきますと、島根の越智先生は多分広島に移られたのだと 思うのですが、この先生は熱心にやられていて文句をつける気はありませんが、その越 智先生と会社との関係、あるいは特許はどうなっているのか、このものに対する考え方 がどういうふうに整理されているのかを…、もしかするとこれは治験に入る時点で審査 すべきことかもしれませんが、私は大変に危機感を持っています。せっかくのものが、 例えばインフォームド・コンセントが取られていなかったことが後で明らかになったと きにどうしようもありません。この研究そのものがつぶれてしまう可能性があります。 したがって、私は大変にそのことを心配しているので、もし調べられるなら調べてほし いと。特に後者の権利関係については調べられるはずですし、それから前者についても その会社に持ち込まれる、そして会社から第三者の検査機関に持ち込まれた細胞の基が 本当にそういうものに使われるということを認識した方から提供を受けているのかどう か。そうでなければ、治験計画書に書いてあるヘルシンキ宣言の考え方に基づきなどと いうのは、絵そらごとになりますから。 ○早川部会長 よろしいですか。もし事務局の方から何かあれば…。 ○事務局 分かりました。その点につきまして、確かに私どもは今まで今後の治験に対 するインフォームド・コンセントはこうあるべきだと同意書をすべて見ているわけです が、先生の御心配は、こういったものが今後市民権を得るという意味できちんとやるべ きだということでございますので、既にインフォームド・コンセントされたと書いてあ ってそう信じ切っているわけですが、今一度それを確認するという行為はしたいと思い ます。 ○早川部会長 先生どうぞ。よろしいですか。 ○清水委員 今の星先生の御指摘は、もしこれをやっていなかったら研究がスタートで きないくらい、各大学あるいは大病院の倫理委員会は今立派に育っていまして、その御 指摘がもし書類が不備であったら、その前のバイオ実験すらできないような…。 ○星委員 よろしいですか。形式的にそうなっていることは私は十分知っています。 ○清水委員 形式ではございませんで…。 ○星委員 ただし、この間問題になった事例に関して言えば、倫理委員会に通せない、 倫理委員会に申請すると通らないから分かった上で倫理委員会を通さずにやった事例が 問題になったわけです。ですから、当然それはあるのでしょうが、先生がおっしゃった ように倫理委員会を通っていれば通さずにやった可能性を否定することにはなりませ ん。したがって、それならばこれは広島大学なり島根大学の倫理委員会にきちんと出て いるのかどうかと。そして、どういう審議が行われて、どういうものが出ているのか調 べれば分かるはずですから、是非とも調べていただきたい。 ○早川部会長 ということで、そこのところはよろしくお願いいたします。それからこ れは過去に行われたケースについて、今一応インフォームド・コンセントをやってこう いうデータが出ていると。こういうデータを参考にして、実際の治験はこれから始まる わけです。つまりここで確認をして承認してやることについては、当然先生がおっしゃ るようにぬかりなくインフォームド・コンセントを取った上でやると。今から先のステ ージに関しては、これは間違いなくそういう形でやると。治験をやるにしても、そこは もう間違いないところですよね。インフォームド・コンセントに関する書類もこれに付 いていますか。 ○事務局 一応治験計画書が付いておりますので、その中に入ってございます。 ○星委員 もう一点だけよろしいですか。私が不安になった理由は、その治験計画書に 付いているインフォームド・コンセントの様式を読んだからであります。これは非常に 内容的に問題があると思います。あなたの場合には、この治療法では結果が望めないと いうふうに書いて、暗に誘導をしています。  それからもう一つの問題を指摘させていただくならば、ウサギの場合は同種であって 自家でないのです。自家よりも同種の方が条件が厳しいと書いてあるけれども、問題に しているのは自家のことです。自分の細胞が外に出た環境から戻ってきたときにどうか ということを知りたいのがこの研究の本意であるはずなのに、同種の方の成績だけを出 して同種移植でもある程度のことはできたから、当然のことながら本人のものであれば 問題ないのだという言い方をしています。インフォームド・コンセントの中にもあなた の細胞ですから問題ありません、拒絶反応が起きませんと書いてありますが、そんなこ とを本当に言ってしまっていいのか…。一般論とすればそうなのかもしれませんが、私 はそのことが非常に心配なので、そういう心配をとにかく払拭して後でいろいろなこと を言われないように、せっかくのいいアイデアならばいかすように、そのためにもきっ ちりとした検証が必要だと私は思います。 ○早川部会長 これは今インフォームド・コンセントの中身について、先生の方からも うちょっと整備というか、中身的に考え直した方がいいのではないかという御指摘もご ざいましたので、先生には少し御面倒ですが、それについてはここの点をこういう形で 整備した方が、これからの社会的認知、倫理的な観点も含めてこういう技術をいかして いく上でよろしいという点について、御指摘いただいて事務局の方で整備を進めていく という形でいかがですか。 ○星委員 そのための前提として私がするのは全く問題ありませんけれども、ウサギで 自家のものをやっていないときに、より厳しい条件でやっているからいいのだという説 明が納得いかないのです。そのままの状態において、あなたの細胞ですから問題ありま せんということをインフォームド・コンセントの中に書くのは私は納得いきません。本 当にそうだとすればそれを分かるように…、本当にそうなのか、その保証ができるのか、 私はできないと思います。少なくとも私はウサギならウサギで自家の移植手術、その実 験をするべきだと思います。ただ、それは私の本業ではありませんので、本業の先生方 がそれでいいとおっしゃるのなら、分かるように納得できる説明をしてほしいと思いま す。 ○早川部会長 ですから、あなたの細胞ですからいいですよという部分で、多分いいと 言える部分とそこまでは言えない部分があるのだろうと思います。例えば感染性に関し てはより安全といえる。他人から別の人に行く場合に感染性というのが問題になります。 自家でも、もちろん培養という途中の工程もありますが、感染性という観点に関しては 一応同種よりは危険性が少ないとか、免疫学的により問題が少ないとか幾つかの一般的 にいえる利点はある。そのように一般論として言える部分と全面的に大丈夫だという話 は違うだろうと思うので、その辺を少し細かく、どれだけ大丈夫でほかの点に関しては 必ずしもクリアではないという点を明確にした上で、インフォームド・コンセントを書 き改めていくという方向でいかがですか。 ○星委員 繰り返しになりますが、ウサギで自家移植の実験ができなかったのは多分理 由があるのだと思うのです。ないのでやっていないのなら問題だと思うのですが。この 結果を見ると、ウサギの自家移植ではなく同種移植の結果をもって大丈夫だと言ってい るのです。こちらの部会の方からも、条件はより厳しいからいいのだといって了承した というけれども、どうも私は了承できないと思っているので、同種移植がうまくいけば 自家移植の検証の必要がないというロジックがあるならば専門の先生方に教えてほし い、それが前提です。その上で危険性を100%否定したような表現は、インフォームド ・コンセントの中から除いてほしいというのが二つ目のお願いです。 ○早川部会長 事務局的にそういう形で対応できますか。 ○事務局 ウサギの自家ができないということに関しましては、申請者の方ではウサギ の軟骨を採取した後に採取した方のウサギを長く生かしておくのがちょっと難しいと。 質的に今のところ確認されていないということが原因だと言っております。 ○星委員 だとすれば、それこそ問題なのではないのですか。大きさの観点からという ことですか。それとも無菌的に取り出す技術がないということですか。それとも軟骨を 採ってしまうとウサギは死んでしまう動物なのですか。 ○事務局 私の理解は大きさの問題が大きなウエイトを占めているということでありま して…。 ○星委員 ですから、それはやった人たちにきちんと聞いてください。それで文献があ るのなら取り寄せてください。 ○事務局 その辺りは今一度聞いて、文献を取り調べしたいと思います。 ○早川部会長 先生、大体そういうことでよろしゅうございますか。ほかに御意見ござ いますか。 ○島田委員 これはFCSを使っているのですね。ちょっとここら辺が気になるのです が、このプロトコルでは組織を自分自身に何回も投与することはあり得るのですか。 ○早川部会長 それはないようにも思いますが。 ○島田委員 それは失敗しても何しても1回だけですか。 ○事務局 患者さんから採取した組織を用いて培養しまして、失敗して培養の結果軟骨 ができない場合にはもう一度採取することがあると聞いています。 ○島田委員 うまく一回生えたものを移植しますよね。それがうまく付かなかったのか。 ですから、いろいろな理由でもう一回移植する必要があるということはあり得るのです か。 ○事務局 あると思います。 ○島田委員 だとすると、この量というのは本当にこんな量なのか…、残存量はすごい 量ですよね。最大□□□□□の蛋白が入っているというのですが、これでいいのですか。 これで大丈夫だという根拠はあるのですか。無血清培地は今のところ無理だというので すが、こういうヒトに戻す培養技術でウシの血清を使って、しかもこれは洗えないわけ ですよね。こんなことをしてしまって大丈夫なのかというのが、ちょっと心配なのです が。 ○事務局 ウシ血清につきましては、対象とする患者さんに対してはまず十分問診を行 うということと、必ずアレルギーの人は除外して更に…。 ○島田委員 それはもちろんそうなのですけれども、保証できていないので。実際に例 えば我々の部会で遺伝子治療というのも大変問題なのです。いろいろな方法があって、 例えばこの場合だったら自家なのだからその人の血清をあらかじめ準備して、それでや るとか、幾つか方法はあり得るし、ああいう外に取り出した細胞を戻すような場合、徹 底的に洗ったつもりでも本当に微量な、普通の測定法では測定できないような量で残っ ていても、特に何回も投与する場合には重篤なアナフィラキシーが起こってしまうこと があるので、そういうことから考えると血清がそのまま行ってしまうという…、本当に ヒトに適用していいのかなと。そういう例はほかにもありますか。ウシの血清をこの量 ヒトに戻してしまうことが…。 ○早川部会長 量的なことはちょっと分かりませんが、皮膚などでは従来あったとは思 うのです。皮膚をこういう血清で培養して、残存量がどの程度かというのは…。 ○島田委員 培養してできるだけ洗うなり何なりしてということはあったと思うので す。これはそのまま行ってしまうわけで、それがちょっと心配なのですけれども。 ○早川部会長 現実に繰り返しということは、どの程度考えているのですか。 ○事務局 現実的にはかなりレアなケースだったとは思いますが、確かにアレルギーと いう観点から行くとそういった心配はあるかと思います。その辺りは、今既に世界的に 売られているCarticelというもの、単層培養なのですが、それが既に使われているもの がありますので、その辺りの情報も調べた上でもう一度確認したいと思います。 ○早川部会長 清水先生、何かございますか。 ○清水委員 繰り返し頻度の問題ですけれども、この技術は結構進んでいまして、外国 では一般的に手術になっているのです。これを立体にして好きなところをやろうとされ ているのです。この平板は越智先生は何十例もやられて全例成功していますが、それで 繰り返しの例はなかったと思います。問題は今後進展してきたら両方やる場合があると 思いますが、今分かっているだけのけがを中心にやっておりますけれども、片方ばかり なのです。今後は老人用をやられるので、両足それぞれしてほしい方がどんどん出てく ると思いますが、そうすると繰り返しはかなり出てくると思います。洗うにしても立体 ですから、これまで以上に洗いにくいと思いますので、そこのところはよく聞いてみて いただきたいと思います。 ○早川部会長 ここのところはよく確認していただいて、実際に治験をやってその後で 有効性の評価が出てくれば承認する、しないという話になっていくのだと思うのです。 その段階で、実際の使い方としてどういう形で承認していくかというのは、次のステー ジとしては今のような懸念も含めてきちんと議論していただくと。そういうサジェスチ ョンとして受け止めたいと思うのですが、よろしいですか。 ○星委員 かなり乱暴だなと思うのですが、島田委員の御指摘は私は正に危険かなと思 います。先ほどからすごく不思議なのは、ウサギで自家移植をすると、それも例えば繰 り返し移植をすると。明らかにその異種蛋白でよく洗えない構造のものをわざわざ造っ ているのです。単層では駄目だからといってゲルの中でやるわけですから、だとすれば 今までの単層でウシを使っているから大丈夫だという話にはもちろんならないわけで、 私はそれこそウサギがいいのかどうか分かりませんが、そういうものの反応性や何かに ついては、少なくとも想定できないのだとすれば、動物実験で確認することは必要だろ うと思うのですが、どうなのですか。例えばヒトに移行してやっていいというレベルに まであらゆる証拠が達していないような気が私はするのですが、どうですか。島田先生 の御指摘を聞いて、私は更に不安になりました。 ○早川部会長 これは厚労省の確認を経ないで、島根医大や広島大学で、今までこうい うことを多分やってこられてはいるのですね。ですから、そこからいろいろな問題点が どの程度上がってきているのか。それから外国でもこういうやり方でやっているという ところもあるのではないかと。それをどういうふうに見るかということもあるのかなと いう気がするのですが、清水先生、そこら辺で何かコメントはございますか。 ○清水委員 私は越智先生のデータを大体見せていただいて知っていまして、先ほど申 し上げたのですが、外国はまだ立体は余りやっていなくて、平板というか細胞をばらま いて閉じ込めるのを…。今の問題は一つの材料として、本当言うと人体血清でやれる技 術を開発すべきだとは思うのですが、目下まだできていないようですから、越智先生に 直接聞いていただければ、あれから半年くらいたちますからまたちょっと進んでいると 思うのですね。積極的にやっておられますので、それは事務局の方から調べていただけ ませんか。 ○土屋委員 越智先生はスポーツ治療ですが、先ほど清水先生も言われましたようにゲ ルの濃度は低いものですが、同じような培養法で実際ヒトでの医療行為としてやられて 治ったというのは聞いております。  それからまた、今いわゆる再生医療の分野でも自己血清を使って培養しようという方 向もありますので、それはやはりメーカーの方に聞いていただいた方がいいのではない かと思います。  それからもう一点は、いわゆる細胞治療はジェンザイムのものは脱分化して中での固 定といった問題もあって、有効性の評価も余りしっかりしていなかったということで今 論争になっているところでありまして、そういう意味ではこういう三次元培養の方がよ りタイプIIやグリコサミノグリカンを発現すると言われています。そのほかコラーゲン 以外のものではPGAをスミス&ネヒューがやっているようなのですが、ほかの日本の 先生のお話では、PGAではどうも炎症が出ると。いわゆる生分解性が早くて酸性にな りやすので、炎症が出るというお話を聞いております。 ○早川部会長 先生どうぞ。 ○清水委員 今の御発言にちょっと追加します。PGAよりはコラーゲンの方が、アレ ルギーの点では炎症についても絶対に有利なのです。それだけの話なのですけれども、 今のところこの先生の方法では血清だけが問題なのです。 ○早川部会長 この会として、幾つか条件を付けながら治験に移ってもいいというかど うか。将来的にヒトの自己血清を使うとか、そういう方向付けはあるのだろうと思いま すが、そういうことを要望しつつ、この会として今の段階で次の治験のステージに移っ てもいいと言うか、それともやはりちょっと待ってと言うか、これはどちらかしかない と思うのです。つまり今御指摘のあったような点がクリアできなければ、この会として は確認できないというかどうか。実態として医療行為の中では、我が国では越智先生の グループはそれなりに、現実的にはここの確認作業とは関係なく、取りあえず医療行為 としてはおやりになっていくだろうということがあります。そういう状況の中で、ここ の会は、J-TECというメーカーが絡んでこういう方法で企業的に橋渡しをして患者さ んのところに持っていくということについてよろしいかという確認を求められている、 そういうことを我々はよしとするかしないかという位置付けだと思うのです。そこら辺 でちょっと御意見をお願いします。 ○清水委員 軟骨はこの世界で一番最初に始まった細胞治療で、ちょっと方法が違いま すが、アメリカでは立体培養でどんどん治しています。あそこの実績をお聞きになって ください。ハーバードそのほか、東海岸の大病院ではもう日常茶飯でやっていますから、 そこで何か問題があるか、あるいはこれに対して改善すべきというコメントが頂けるか どうかだと思うのですが…。一般の病院で実際にやっておられます。 ○星委員 反論するようで何ですが、そういう考え方は私はおかしいというか、どこそ こでやっているから大丈夫、ほかで問題ないから大丈夫だというのは、私はこういうと ころで議論すべき性質のものではないだろうと思うのです。だとするならば、そういう ことが明らかになっていって、全く同等の方法でやられているものであれば治験は必要 ないわけですから。正しい薬事法上の申請を日本で、外国での文献等で認められる事例 だってあるわけですから。しかし、これを見る限り、そこをスタート地点にしていない と読めるわけですよ。私は少なくともそう読みました。ただ、方法が違うだろうし、考 え方も何かが違うだろうと思うのです。だからこそその方法で申請が上がってきて、そ の審査をしているときに方法論が違う、似たものでいいものがあるからそれでいいので はないかという話は、私は非常に大きい問題を含んでいると思うので、もしそういう御 発言ならば、ちょっと御説明願いたいです。 ○清水委員 似たようなものでうまくいっているからいいと言っているわけではないの です。批判をしていただければ、御意見を頂けるのではないかと言っているだけです。 ○星委員 もう一つよろしいですか。別に私はここでこの研究をつぶそうと思っている わけではありません。むしろ私はいい方法ならば早く承認を与えてもらえる形にするべ きだと思うのです。既に越智先生が自分の医療機関の中で、完全にクローズのところで やっていただく分には医療行為として何ら問題はないですし、それは医学の発展のため に必要なことだと思います。ですから、その結果をスタート地点にして、例えばウサギ や何かの話を飛ばせるような状況での研究が行われてきているのであれば、そこは一つ の証拠としての足掛かりになると思うのです。ただ、少なくともこれを見る限りそうで はない、越智先生の経験は越智先生の経験であって、あくまでそれとは違う方法が入っ ているのか、同じなのか知りませんが、少なくともそれは明言していません。越智先生 の英文のレポートがありますが、もし全く同じ方法でやるのであればそれはそれで考え 方があるのでしょうが、少なくとも私はそういうふうに読めません。だとするならば、 越智先生の経験は経験として置いていただいて、先ほど申し上げたような幾つかの問題 をクリアした上で、ではウサギでどうなのかというところを一つ一つ積み重ねていくし か、やっていいというゴールにはたどり着かないのではないかと冷静に考えます。ただ、 そういうものなのか、あるいは越智先生の経験というのは全く同じティッシュ法で全く 同じようにやられているもので、実は医療行為としてはもう既に常識で、それをたまた ま外に出してやってもらうものなのだから、その部分だけの検証をするというのであれ ばそれは違うだろうと思うのです。どうなのですか。 ○早川部会長 事務局、その辺の情報はどうですか。このやり方自体、越智先生がやら れているものとオーバーラップした形で実際にやっていることなのか、独自のやり方で やろうとしているのか…。 ─ 堺部会長代理退室 ─ ○事務局 島根医科大の越智先生との作製方法の違いについてですが、基本的には同じ なのですけれども、越智先生の方で□□□□□□□□の濃度がJ-TEC社の□□倍を使 っております。そこの□□□□□□□の量は全く同じです。そのほか違うところとしま しては、□□□□□の濃度がJ-TEC社は□□□%で、島根医科大は□□□%です。そ こだけです。 ○星委員 そこだけというか、相当な違いですよね。 ○早川部会長 例えば血清等についてはどうなのですか。 ○事務局 これから確認させていただきます。 ○早川部会長 □□□□□□□の濃度についてはここでも残存量が出ていますが、それ 自体はアレルギー性などから考えて一応よろしいということになっているし、先ほどの ゲル濃度が違うということに対して安全性上、品質上何か問題になりますか。 ○清水委員 ゲル濃度がちょっと高過ぎませんか。ゲルがそれほど濃いものは造れませ んから、数字が間違っているのでは…。 ○事務局 □□□です。 ○早川部会長 それは特に…。 ○清水委員 これくらいの差ですと、大きな問題はないです。 ○早川部会長 そうしますと、あとは血清をお調べいただいて、そこが培養状況として 同等ということであれば、越智先生が今までおやりになっていたことの延長線上という 見方もできるであろうと。そこが随分違っていれば、これはもう一回ある程度の見直し をする、あるいはそのままの濃度で行くということであれば、安全性上の動物実験をど ういう形でやるかは、積み重ねをもうちょっとやった上で進めていくと。こういう話に なっていくのかというふうに整理したいと思うのですが…。 ─ 堺部会長代理入室 ─ ○星委員 もう一点、先ほど述べたことの繰り返しになりますが、この研究がどういう 倫理的な背景あるいは経済的背景で行われたのか、J-TECという会社と越智先生はい かなる関係なのか、私は大変重要なものだと思いますので、その辺りも周辺情報として 是非とも調査していただきたい。 ○早川部会長 それは越智先生と会社が相当コラボレーションしているかどうかという ことでしょうか。 ○星委員 コラボレーションしていても構わないわけですが、どちらかにとって何らか のインセンティブが働いていて、それらのことについて明らかにされていて、外から見 ても変ではないかを確認していただきたいということです。 ○早川部会長 そういう意味なのですね。ですから、科学的に言ってコラボレーション ができていればそこは経験が十分いかされた形で会社に技術移転がされているというこ とですし、別の意味でコラボレーションがあると世間から見て云々という意味でござい ますね。ですから、良い面と悪い面、両方あるかもしれません。 ○星委員 その辺が正確に記述されて、みんながそれを理解できるようなものとして、 その研究が行われたのかです。 ○入村委員 今のポイントですけれども、分からないので質問なのですが、実際に臨床 治験が行われようとしているときにインフォームド・コンセントの書面がどういう形で 取られていて、どういうふうに患者さんのセレクションが行われるかということは、こ の審議会で関知することなのかしないことなのか、これはすごく大事なことだと思いま す。 ○早川部会長 この審議会ですか。この審議会では、大いに参考にしなければいけない ことではありますね。しかし、そのもののよしあしを審議するところではないと思いま すが。 ○入村委員 ただ、今の星先生の御指摘で、要するにどういう構造になっているかを調 べていただきたいというお話は多分とても大事なのですが、最終的には患者さんのとこ ろへ行ったときに患者さんが不利益を被るような形になっていないように治験がデザイ ンされなかったら困るわけです。そこをだれが保証するか。この審議会がそこまでもき ちんとやれということを言わなければいけないのか…。 ○星委員 私の理解では、ここではそれを審査するものではないと思うのです。つまり それは治験の審査の時点で評価されるべきことだと思います。ですから、これから行わ れるべき治験についての説明書あるいは主任研究者とこの先生との関係とか、その他い ろいろなことがあると思います。そういうものの評価は、治験の届けを受理する時点で 議論していただければいいと思うのです。  ただ、私が問題にしているのは、今日ここで議論しているこの資料をもって我々はこ のものは安全性や安定性、有効性を判定しなければならないとすれば、少なくともここ までのプロセスに関する研究において明らかにすべき人間関係、そこのプロセスで行わ れた研究、あるいは治療として行われた現場で採られたインフォームド・コンセントと か、そこでの関係を明確にしないでこの評価ができないという意味で申し上げているの です。その点では、多分後者の面倒を見るのは大変です。 ○入村委員 しかし、大事な要求をしていますが。 ○早川部会長 ですから、ある程度はタッチせざるを得ないのですが、全面的にここが 最終的な責を負うということではないと私も理解しています。事務局的にはそれでよろ しいですね。事務局の方から何かございますか。 ○医療機器審査管理官 星先生にいろいろ御説明いただいたように、この部会において は基本的にはこれから治験に行く予定の物についての品質、安全性について御意見を賜 る場であるということであろうと思います。ただ、いろいろ大切な議論もしていただい ておりまして、特に星先生の方からインフォームド・コンセントの文書の有り様といっ た御指摘も頂いております。例えば治験であれば審査センターの方でその指導などを行 うわけで、これからそういうものの中に反映させるということで対応させていただくこ とになるのであろうと思っております。  今のこの品目についての御議論をいろいろ聴いておりまして、私どもはどうしても今 日これで通してくれと申すつもりはございません。とにかく科学的に見てこれから治験 に進むに十分な評価ができたということであればOKを出していただければいいし、ま だこういった点が不十分ではないかということであれば、それは指示事項なりを出して 更に回答、あるいは追加試験を求めるということで結構ではないかと思っております。 いずれにしても、こういう培養技術を使った治療法の開発というのは大変新しい技術で ございますので、早く医療現場に出すということも重要ではありますが、やはりきちん としたプロセスを踏んで進めていくことも、これから信頼を得るという意味では大事だ と思われます。ですから、そのところは、ニュートラルに科学的に御評価、御審議を賜 ればよろしいのではないかと思っております。 ○早川部会長 それで大きなポイントとしては、まず越智先生のやられてきた培養法も 含めて、その辺とこれがどういう関係にあって、もちろん会社との個人的なコラボレー ション、技術的なことと別の意味でのことがあるかもしれませんが、その辺を明確にし ていただいて、技術的に非常にオーバーラップしているということであれば、そこは状 況証拠として見られる部分があるのではないかという御議論もあったと理解しますし、 そこが欠けているということであれば、もうちょっとしかるべきデータの積み重ねが必 要であろうと。こういうような結論だと思います。一応これはそういう形でここで預か らせていただいて、その辺のところをちょっとお調べいただいて、またもう一度この部 会を開くのか、あるいは先ほどのようなある程度オーバーラップしているという話の前 提であれば、取りあえずよろしいということであれば、その方向でやらせていただくと。 それについては、また何かの形で先生方にデータをお出しするということを前提にとい うことですが…。先生、どうぞ。 ○星委員 今課長がおっしゃったように、こういうプロセスを我々がきちんと見ている ということを、後続の研究者たちあるいは会社の人たちに分かってもらうのはすごく重 要で、それでむしろいろいろなもののやり取りのスピードを加速させると思うのです。 ですから、私は分かった時点でもう一度会議を開いていただいて、どういうことを問題 にしてどういうことを議論したのかを周りの人たちに分かってもらえるような方法を採 って、そしてその上でこの研究にゴーサインを出す。そして、それが本当に必要ならば 確認作業その他についてできるだけ急いでやっていただいて、再度開いていただくこと をお願いしたいと。 ○早川部会長 分かりました。ではそういうふうにさせていただきます。 ○入村委員 一点腑に落ちないところがあるのですが、オルタナティブがないという議 論が最初にあって、でも外国ではこんなにたくさん似たようなことをやっているという 議論があるのは矛盾していますね。 ○早川部会長 治療法としてということですね。そこは清水先生がお詳しいと思うので すが、こういうものが出てくる背景にもともとオルタナティブなものがないと。あるい は実際の治験に行くときの一つの前提条件として、ほかの方法ではなかなか対応できな いような疾患に対してこの方法を先駆的に適用していきましょうというストーリーであ ると。ここの書きぶりはそういうことですけれども、今の入村先生のお話はたくさんオ ルタナティブがあるような雰囲気を感じるのですが、どうかということですよね。 ○清水委員 一番最初にこういう世界で医者が勝手にやり出したのは皮膚です。上皮ば かりしかできなくて、今までずっと掛かってやっと皮膚ができるようになった。その次 に出てきたのが軟骨なのです。理由は簡単で、扱いが楽で免疫原性がものすごくない細 胞ですから、医者が勝手にやり出したのです。ハーバードグループが率先して火が付い たので、特別な理由というよりも、医者が安全で簡単にやれるからというのが本当の理 由で、実際やられている臨床例ではこの二つの種類くらいしか世界で広くやられている のはないようです。  それでやっているところも、会社としてやっているというより自分たちでやっていて、 細胞をいじる部分は後者の組織を使って細胞をやり取りしていますよね。そこを日本も 考えないといけないのではないかと私は思っているのですが、実情はそんなところだと 思うのです。要するに軟骨が進んでいるというのは、私が思うにやりやすいからやって いるという感じなのです。 ○入村委員 輸入してしまえば済むものを輸入しないで、自前でやろうということです か。 ○清水委員 これはこのまま行ったら輸入品が先に入ってしまって、席巻される可能性 がありますね。向こうでの会社が本気で日本に乗り出すつもりなら、日本の企業が余り 伸びませんから言いたくないのですが…、技術が簡単なものですから。ただ、余り大き なプロットがないから攻めてこないと思うのですが。  ○島田委員 そういう状況だとすると、やはりこの申請は大変問題が多くて、もう一回 きちんと考え直すべきだと思います。一つ言えることは、大体この申請書はまとまりが なくて、しかもこんな多い量を持ってきているので、とても完全にフォローできないわ けです。しかもサマリーもはっきりしていません。では現状はどうなのか、例えば今問 題になっているのが、越智先生が今やっている臨床研究と申請されているものの関係で す。これははっきり書いていないし、しかもそれは本来書くべきことというか、よほど 先に進むべきだと思うのにそれがわざわざ書いていないというのが大変不思議です。そ れから外国で同等のものがあるのだとすれば、我々もそうですが、やはり特に患者さん に対してそういう情報が行っていないと困るわけです。そういう点から見ても、この申 請書そのものが非常に不完全で、十分な情報をきちんと我々に与えていないということ で大変問題があるので、是非もう一回審議するようにした方がいいと思います。 ○清水委員 今の先生の御指摘どおりのことを私感じておりました。書き方が分かって いない、普通こういう書類は歴史から始まってだれがやり出して、だれの技術を導入し てどうやって造っているかというのが入りますよね。その辺を全部すっ飛ばしているか ら分からなくなっていると思うのです。私は個人的に会社とも越智先生とも親しいです から、漏れ聞いていて推測して読めるのですが、御存じない方がこれを読んでも順番は めちゃくちゃなので…、書き方から教えなければいけないという感じがいたしました。 これは新しい会社で二本目の申請か何かですよね。前のときはもうちょっと上手だった と思うのですけれども…、その辺のことは私も思います。内容は、越智先生の実験室で 患者さんに使っていたのをこの会社がやらせてくれと言って、両者の意見が一致して御 一緒にやっておられるのが実情なのですけれども、それ以上踏み込んだことは知りませ ん。 ○早川部会長 その辺を少しクリアにして、当然ここで載せるのか載せないのかも含め て、それを載せられるような状況であれば載せていただいて、再度審議して御納得いた だいた上で前に進めるということにいたします。ポイントは大体出てきたと思いますの で、よろしくお願いいたします。  次の議題でありますが、「農林水産分野における組換え体の利用のための指針への適 合の確認について」ということで、鶏用組換えニューカッスル病・マレック病生ワクチ ンについて審議を行いたいと思います。事務局の方から御説明お願いできますか。 ― 星委員退席 ― ○事務局 農林水産省でございます。それでは事前に配付させていただきました資料2 を御覧ください。本件は財団法人 化学及血清療法研究所から申請されました、鶏用組換 えニューカッスル病・マレック病生ワクチンの農林水産分野等における組換え体の利用 のための指針、本日参考資料4としてお配りしたこの指針に適合するかという確認申請 でございます。  では「確認申請書」をお開きいただいて1枚めくると1ページになりますので、そち らを御覧ください。本利用計画名は「鶏用組換えニューカッスル病・マレック病生ワク チンの製造及び限定的開放系利用」でございます。生ワクチンの利用区分は、GILSP利 用及び限定的開放系利用でございます。  2ページをお開きください。マレック病は家畜伝染病予防法で届出伝染病、またニュ ーカッスル病は法定伝染病に指定されているものでございますが、既にそれぞれの疾病 に対してワクチンが野外で使用されております。しかし、特にニューカッスル病のワク チンについては、その感染を予防するためには何回かワクチン接種をしなければいけな いということで、養鶏場においては非常に多大な労力を要するというものでございます。 しかし、この組換え生ワクチンは、ひなの段階で一回接種することで生涯その免疫が持 続できるという利便性があるものでございます。  次に製造工程における利用について御説明いたします。まず製造に用いる動物培養細 胞としましては、SPF鶏由来の鶏胚線維芽細胞を用いております。3ページをお開き ください。実際にニューカッスル病ウイルスの遺伝子を挿入するマレック病ウイルスで すが、CVI988株というものを用いております。このCVI988株は、「別紙5」を開 いていただくと、「表1」がありますが、その「表1」に示すように長年にわたってワ クチン株として利用されてきたものでございます。もちろん鶏に対して病原性を示すも のではありません。このマレック病ウイルスは、ヘルペスウイルスの一種でございまし て、鶏の体内では生涯神経細胞に潜伏し続け、鶏のふけを介して伝播するというもので ございます。このCVI988株というものは、当然弱毒されているものでございますが、 ふけの中に排出されます。しかし、そのふけを介して他の鶏に感染する伝染性はほとん どないというものでございます。  続きまして供与DNAでございますが、三つございます。一つ目は、別紙10に示して おりますマレック病ウイルスCVI988株のgBプロモーターでございます。二つ目は 次の別紙11に示しております、ニューカッスル病ウイルスD26株のF蛋白遺伝子でご ざいます。このD26株というのは、ニューカッスル病生ワクチンのB1株というものが 今汎用されているのですが、これよりも病原性が低いとされているものでございます。 三つ目は、別紙12に示しております、市販のプラスミドより切り出した転写終結因子で ございます。ベクターは、pUC119という、市販の大腸菌プラスミドを使用いたしま した。  実際の組換え生ワクチンの調製及び作製方法としましては、別紙14に示してありま す。順に図で説明されているわけですけれども、最終的には37ページの「図5」の一番 下に図が出てきますが、マレック病ウイルスの断片中にgBプロモーター、F蛋白遺伝 子で転写終結因子がそれぞれ挿入されているインサーションプラスミドを構築したとい うものでございます。そして、別紙15に示しますように、マレック病ウイルスの基の株 を事前に感染させているCEF細胞にこのインサーションプラスミドをEcoRIで切断し まして、それをエレクトロポレーションで導入し、相同組換えで組換えウイルスを作製 したというものでございます。  続きまして、この組換えウイルスの性状でございますが、別紙21にまずこの組換えウ イルスと親株の増殖性を調べた結果が示してあります。63ページに「図1」がございま すが、そちらに示すようにそれぞれの増殖曲線というものは同様でございました。別紙 23になりますが、この組換えウイルスの自然界における生存性が調べられています。雨 水や泥水の中では40分以内で検出限界以下になるということで、親株と同様自然界での 生存率は非常に低いとされております。  少し飛びますが、別紙40を御覧ください。この組換えウイルスの持続感染性について 示しております。初生のひなに対して2年以上持続感染するということが示されていま す。また別紙41では、このウイルスの排泄の有無を糞便及びふけから調べていますが、 市販のワクチンは冒頭申しましたようにふけから回収されるものでございますが、組換 えワクチンは糞便、ふけとも回収されませんでした。また、162ページからは同居感染 性と垂直感染性を調べていますが、いずれにおいても感染は認められていません。また 別紙45は、ヒトに対する影響として、この組換え体を取り扱っている実験従事者、及び 鶏の飼育担当者の血清の抗マレックウイルス抗体を調べましたところ、いずれも陰性で あり、ヒトへの感染性も認められていません。  続きまして、実際の製造の作業区域及び限定的開放系利用施設について御説明いたし ます。ちょっと戻りますが、別紙34を御覧ください。財団法人 化学及血清療法研究所 菊池研究所は熊本県菊池郡に位置しております。127ページにありますのがその研究所 内の配置図です。黒く塗られている部分に実際の研究棟がございまして、こちらに作業 区域がございます。128ページはその研究棟の写真でございますが、この建物の□□□ □□□がこの組換え体の作業区域となっております。129ページは、その□□□□□□ の平面図でございます。斜線部分が実際にこの組換え体を取り扱ったり、保管したりす るところでございます。これらの設備や装置の構造につきましては、別紙36にまとめて おります。特に排水については、136ページに示すように所内に設置された産業廃水漕 で活性汚泥法による処理をした後、公共排水へと流す。また、空調施設につきましては、 137ページに示してありますようにフィルターを通して吸排気がされているということ でございます。  続きまして、限定的開放系利用について御説明いたします。別紙46を御覧ください。 限定的開放系利用については2か所で行い、それぞれの施設で肉用鶏と採卵鶏について 試験を実施することになっております。具体的な試験の概要としましては、生まれたば かりのひなにこのワクチン1用量を接種しまして、その後経時的に採血をして抗体価を 測定したり、安全性を見るために臨床観察や体重測定、育成率や産卵率を調べたりする 予定です。また、周辺の環境に対する影響を評価するために、ふけや糞便、卵、排水、 土壌についてウイルス分離、又は遺伝子の検出を行うという予定になっております。  別紙47に1か所目の試験実施施設である□□□□□をお示ししてございます。本施設 は□□□□□□□□□□に位置しまして、188ページに示しますように周囲は山林や田 に囲まれ、最も近い養鶏場まで約900メートル離れております。次の189ページには、 その施設の配置図を示しておりますが、右下の5棟並んでいる鶏舎で治験をすることに なっております。191ページには、5棟並んでいる鶏舎の拡大図があるわけですが、実 際には一番小さい育雛舎1を除いた4鶏舎において試験をすることになってございま す。図中に「写真1」、「写真2」、「写真3」というものがございますが、この方法 から撮った写真が201ページに添付されてございます。  続きまして、今度は別紙48にもう一か所の試験実施施設である、□□□□□□□を示 してございます。本施設は、□□□□□□□□□□□に位置し、周りを竹やぶや空き地 に囲まれ、最も近い養鶏場までは約300メートル離れてございます。205ページにこの 施設の配置図を示してございますが、鶏舎2と鶏舎4で実際に試験を行うことになって ございます。また、ここにも「写真1」、「写真2」、「写真3」という矢印がござい ますが、その方向から撮った写真が213ページに示してあります。この鶏舎は現在使用 されておりませんで、少し汚れていたり壊れていたりするところもあるのですが、実際 に本試験が開始される前には当然壊れているところは改修いたしますし、汚れていると ころは清掃して試験を始めるということになってございます。  なお、本試験で使用した鶏、卵、糞便はすべて化学及血清療法研究所に持ち帰り、消 却処分するということになってございます。また、鶏舎からの排水は、消毒漕において 消毒後、一般排水へ流すということになってございます。また、施設で使用した器具、 器材についても消毒をするということで、このワクチン株が漏出することがないように 処置する予定でございます。また、それぞれの鶏舎につきましては、鶏の逃亡や野鳥な どの外敵が侵入するといったことを防止する構造となっておりまして、当然試験中にも 定期的に点検をするという形になってございます。以上でございます。御審議のほどよ ろしくお願いいたします。 ○早川部会長 どうもありがとうございました。それでは御議論をお願いいたします。 何かございませんか。どうぞ。 ○甲斐委員 安全性も2年間にわたって確かめていて大丈夫だと思うのですが、これは 組換えウイルスを実際に動物に用いる初めての例になるのですよね。慎重にやっていた だいて、ほとんど全部クリアしているのではないかと思いますが、MDV1はふけに出 ますよね。弱毒生ワクチン株でも、ふけから同居感染に移るものも結構あるわけですか。 ○事務局 この株もかなり古い昔から使われている株で、同居感染性というものをきち んと調べたデータはないのですが、実際もう既に野外でかなり使われている実態からし て、いわゆる打った鶏から打っていない周りにいる鶏にワクチン株が広がっているもの はないです。 ○甲斐委員 広がっているものはないと。この試験の中にあったと思うのですが、ふけ には親株のワクチンというか、ここで使った市販ワクチンというのはこの会社が使った 親株のワクチンですか。 ○事務局 CVI988というものが親株になります。 ○甲斐委員 そうすると、これは親株でクローニングはしていないのですか。 ○事務局 この試験で使った市販ワクチンですか。 ○甲斐委員 もちろん市販ワクチンはふけに出ているけれども、接種ワクチンはふけに も出なくなったということで更に安全性が高まったということからこの結果は何の問題 もなかったのですが、この説明について学問的には分からない…。 ○事務局 メカニズムまではまだ解明されていません。 ○甲斐委員 そうですね。これがちょっと難しいのは、gB領域を壊したことによって ふけのところでウイルスを造るのが何かおかしいのではないかと書いてあります。これ は分からないからいいのですが、当然ふけにも出ない、糞便にも出ないわけですから、 同居感染でも全く同居の方に行っていません。データとしてもとてもきれいなのですが、 市販ワクチンの方が同居に行っているかという、コントロールとしての試験はやってい ないのですか。 ○事務局 やっていないです。 ○甲斐委員 それがどのくらいの頻度で行くものなのかと思いまして。文献によっては、 ワクチンの中でもともとふけに出ないものもあると書いてあったのですが、出るもので あると同居には少しは行くのかと思いまして…。本質的には関係ないのですが、リコン ビナントの方が全然どこにも排池されていないし、当然同居にも行っていないし、2年 間確実に持続感染して全く排出していないという、安全性としては問題ないデータだと 思います。  データを見落としたのかもしれないですが、文章で書いてあったのですけれども、ス トレス負荷によってもこれは排出されない…。 ○事務局 別紙50に「ストレス負荷による影響」というものが付いてございます。給餌、 給水の制限を加えたり、飼っている状態を少し暑くしたりといった負荷をかけても、ウ イルスの排出は認められなかったというデータが付いてございます。 ○甲斐委員 では結構だと思います。 ○早川部会長 ほかに何かございますか。ヒトへの感染性は、いずれにしても両方とも ない…。もう一方の持続型にしても、その影響はないでしょうと。ヒトへの感染性が新 たに生じるというか…。 ○事務局 そうですね。実験従事者と鶏飼育者で抗体価が上がっていませんので、ない と考えています。 ○早川部会長 ほかにどなたか御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。そ れでは本品目につきましては、適合が確認されたということでお認めいただいて、本品 目は薬事分科会に御報告させていただくという運びにさせていただきたいと思います。  続きまして、報告事項として「組換えDNA技術応用医薬品の製造のための指針への 適合の確認について」ということで、協和発酵のプラバスタチンを事務局の方から御報 告いただけますか。 ○事務局 それでは資料3に沿い御説明させていただきたいと思います。組換えDNA 技術を利用するに当たりましては、この技術を利用する者は医薬品等の品質及び安全性 等の管理、確保を期するために製造に利用される設備・装置、その他運用管理方法等が 「組換えDNA技術応用医薬品等の製造のための指針」に適合していることの確認を厚 生労働大臣に求めることができるとされております。資料3の2ページを御覧いただき たいのですが、今回、報告をされておりますのは「(4)組換えDNA製造指針に係る確 認を受けた製造計画一覧」というものでございまして、協和発酵工業株式会社からの組 換え体に係る製造計画の確認申請でございます。本品の組換え体にかかわる製造計画の 詳細は、1ページの(3)にまとめられてございます。  プラバスタチンは高脂血症治療薬の有効成分として開発されている薬でございまし て、今回このプラバスタチンの原薬の製造工程でこの組換え体が産生する酵素が触媒と して使われるというものでございます。詳細につきましては、宿主は非病原性である。 ベクターは大腸菌常駐で自律複製するためのpBR322由来の配列を含むベクターであ る。カナマイシン耐性遺伝子やCorynebacterium属細菌で自律複製するための配列、 repCG及びCorynebacterium属細菌由来のプロモーター型領域から構成されておりまし て、既知の有害塩基配列は含まれていないということでございます。それから挿入DN Aは、目的生産物質に応じたものでございまして、病原性を持つ可能性のある塩基配列 は含まれないということでございます。組換え体の安全度はGILSPでございまして、ヒ トに対して感染性を持つカテゴリー2以上の分類に属するものではないということでご ざいます。このものにつきましては、調査会の方で既に御審議いただいて、今日の部会 で御報告させていただくという形になっております。以上でございます。 ○早川部会長 ありがとうございました。何か御質問ございますか。特にございません ようでしたら、これは報告事項ということで次に進めさせていただきたいと思います。  次も報告事項でありますが、「農林水産分野における組換え体の利用のための指針への 適合の確認について」、イヌインターフェロン-γ(組換え型)、東レ株式会社からという ことでよろしくお願いします。 ○事務局 本件は東レ株式会社から確認申請された、イヌインターフェロン-γの生産で ございます。このものは既に平成10年に東レの名古屋工場において確認が取られている ものでございます。また、今回改めて愛媛工場の方で確認ということで申請されている ものでございますが、愛媛工場においては平成5年に同様の手法を使って造られている ネコインターフェロンについて既に確認を受けているものでございます。そういったこ とで、特段の新規性がないと考えられますが、調査会の方で御了承いただいたというこ とで本日御報告させていただきます。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。何か御質問ございますか。 ○島田委員 何に使うのですか。 ○事務局 これはイヌのアトピー性皮膚炎のための薬でございます。 ○早川部会長 よろしゅうございますか。ほかにございませんようでしたら、これは報 告ということで承ったということにさせていただきます。  次に「その他」として生物由来製品の安全対策についてということでございます。事 務局の方からよろしくお願いします。 ○事務局 それでは資料5-1と5-2を使いまして、簡略に御報告させていただきたいと 思います。まず資料5-2をお出しいただきたいと思います。生物由来製品の安全対策に つきましては、昨年の薬事法改正においてその規制の枠組みを整備して、政省令の関係 についてはこれまで薬事・食品衛生審議会の生物由来製品臨時部会を設けまして御審議 いただき、既に薬事分科会の審議を経てその内容の御答申を頂いているところでござい ます。本部会の方にも関係する事項もございますので、簡単に御説明したいと思います。    資料5-2の1ページでございますが、薬事法の中にはヒト又は生物に由来する原材料を 用いて製造されるもののうち、保健衛生上特別の注意を要する医薬品・医療用具等とい うことで、血液製剤、ワクチン等が対象になって生物由来製品としての規制の枠組みに 入るということでございます。  2ページを御覧いただきたいと思いますが、このような生物由来製品について生物由 来という特性を踏まえまして、一般の医薬品・医療用具対策に上乗せする規制の枠組み をこの薬事法改正の中で入れさせていただいております。具体的には3ページをお開き いただきたいと思います。この薬事法の中では、生物由来製品の中で二つのカテゴリー を設けまして、特に血液製剤並びに血液製剤とほぼ同等のリスクを要するものを特定生 物由来製品、それ以外のものを生物由来製品として、原料段階、製造段階、市販後段階 における規制の枠組みを示しております。特定生物由来製品になりますと、生物由来製 品と異なり市販後段階についての規制が上乗せされると。特に医師の説明、並びに遡及 調査が上乗せになるということになっております。  4ページでございますが、特に市販後の関係者の役割ということでまとめますと、こ の図のようになっております。医療機関サイドから見ますと、特に特定生物由来製品を 使用した場合については、それを使用する患者さんへの便益と感染リスクの御説明、そ れから使用した場合の遡及調査のための記録の作成と保存。それから何らかの副作用、 感染症発生の場合には、厚生労働省への報告が義務付けられているわけでございます。 具体的には資料5-1ですけれども、特に生物由来製品の安全対策について薬事・食品衛 生審議会の御意見を頂きまとめた部分といたしまして、具体的にどういった製品を生物 由来製品並びに特定生物由来製品に指定するのか、また生物由来製品の安全対策のため の基準としてはどういう形で整備するのか、このバイテク部会のほかにも関係する部会 が多いこともございまして、臨時部会を設けて御議論をいただいてきたところでござい ます。  具体的にどういう指定製品があるかにつきましては、「別紙1」の中にリストを付け ておりまして、本文が7ページでそれ以降から1ページとなっております。生物由来製 品の指定の考え方を取りまとめて、具体的な製品としては「別紙2」ということで生物 由来製品のリストを付けさせていただいております。また、生物由来製品の原料基準に つきましても、これまでの血液製剤に関する基準、それからワクチン等に関する基準、 細胞・組織に関する基準等を取りまとめて包括した基準という形で整備させていただい ております。詳細な説明は省きますが、そういう形で生物由来製品原料に関する基準を まとめております。  2ページにまいりまして、法律上は役所の方で決めるようになっている記録の保管、 管理ということですが、先生方の御意見も伺いながら進めさせていただきたいというこ とで、具体的な記録の保管期間等について御議論いただき、このようなまとめをさせて いただいております。特に特定生物由来製品の医療機関における記録の保管については、 使用日から20年という形でまとめさせていただいたところでございます。そのほか、本 文3ページにあります表示、添付文書の内容、血液製剤の表示について縷々御意見を頂 きまして、このような形でまとめさせていただいたところでございます。この内容につ きましては、近々官報に公示いたしまして、本年の7月30日に施行される予定で今準備 を進めているところでございますので、御報告させていただきます。今後、こちらの部 会におきましては、臨時部会についてはあくまで臨時ということで昨年度3月末をもっ て解散し、今後の製品の指定については各担当の部会、原料基準についてはこちらのバ イオテクノロジー部会において、また改正の必要があった場合には御審議いただきたい ということで、私どもとしては考えているところでございます。以上でございます。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは何か御質問ございますか。先生どう ぞ。 ○小澤委員 この中には動物由来の製品なども含まれているようでして、そうすると異 種移植の問題も一部重なってくると思うのですけれども、今異種移植のガイドラインで はサンプルの保存期間がアメリカに合わせて50年というすごい年数になっているよう ですが、その辺の整合性はどうなっているのでしょうか。 ○事務局 正しく先生がおっしゃるように、異種移植についてアメリカの方で50年の保 存期間ということが出まして、厚生科学審議会の方でまたその異種移植のガイドライン についての御議論もいただいているところでございます。当然ながら、薬事法における 異種移植に相当するような製品が出てきた場合にはどうするのかということがございま すので、その点を勘案してアメリカのガイドラインとの整合も考え、今後具体的にガイ ドラインをまとめたいと思っているところでございます。 ○早川部会長 ほかに何かございますか。よろしければ、次にカルタヘナ議定書国内担 保法検討小委員会(仮称)について、事務局の方からよろしくお願いします。 ○事務局 それでは御説明させていただきます。まずこのカルタヘナ議定書国内担保法 検討小委員会の設置の背景、経緯について資料6-1に基づいて簡単に御説明させていた だきます。  このカルタヘナ議定書というのは、2000年1月に採択された議定書で、生物多様性条 約の下で遺伝子組換え生物の使用によって生物多様性への悪影響を防止することを目的 とした議定書でございます。日本としましても、この議定書について早期締結を行いた いということで、現在環境省を中心に遺伝子組換え生物にそれぞれ関係している省庁、 財務省は組換え酵母を用いて製造されたお酒などが今後製造される見込みがあるという 観点から、また文部科学省は研究開発分野の観点から、私ども厚生労働省としては遺伝 子組換え生物を用いて製造する医薬品、医療用具等あるいは遺伝子治療薬の観点から、 農林水産省では遺伝子組換え農産物の栽培、経済産業省では遺伝子組換え生物を用いた 工業製品があるといった観点で、環境省が中心となり6省庁で現在この議定書の国内担 保法を本通常国会に提出して御審議いただいております。今週参議院の方で審議が通っ たところでまだ予定は決まっておりませんが、来月衆議院に出される予定になっており ます。今申し上げましたとおり、この法律では遺伝子組換え生物の使用に関して規制を 行うということでございますので、厚生労働省としても医薬品あるいは医療用具などに おいて遺伝子組換え生物を利用したものがあるのでこの法律の対象となるということで ございます。  こういったことを受けまして、私どもとしましてはカルタヘナ議定書国内担保法検討 小委員会というものを設置したいと考えております。まずこの小委員会の位置付けです が、薬事バイオテクノロジー部会に設置させていただきたいということでございます。 それからこの小委員会での検討事項としましては、まず一つは「開放系で使用する遺伝 子組換え医薬品」についてです。そもそもこの法律の中では遺伝子組換え生物を環境中 にそのまま使用するもの、すなわち開放系で使用するものと工場などの閉鎖系で使用す るといった二つの形態に分けております。開放系で使用するものについて、遺伝子組換 え生物たる医薬品などについて、環境への影響あるいはヒトへの影響といったもののリ スク評価の指針をまず作成したいということでございます。それから二点目は閉鎖系利 用ということでございますが、工場設備などによって遺伝子組換え生物が外に漏れ出な いようにするための基準を作っていかなくてはいけないということで、遺伝子組換え生 物を利用して医薬品等を製造する際に必要な基本要件を検討したいと考えております。 また、こういったものについては先ほど申し上げた関連省庁と協議しながら告示、ある いは省令などで定めていきたいということでございます。それに関係しまして、技術的 な事項についてもこの小委員会の方で御検討いただきたいということで、この三点を検 討事項として考えております。委員につきましては、現在検討中という段階でございま す。  今後の予定ですが、委員についてはまだ検討中ですので部会長預かりということにさ せていただきまして、この小委員会の設置について本日御了解いただけましたら、委員 を選出して委嘱手続きを行った後、来月から早速審議を開始したいと考えております。 法律の施行の関係もございますので、一応取りまとめの時期としては7月くらいという ことで、それをめどに取りまとめてこのバイオテクノロジー部会でその結果について御 審議いただきたいと考えております。以上でございます。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは何か御質問ございますか。先生どう ぞ。 ○島田委員 全然知らない話だったのですが、2ページに遺伝子治療の項目が出てきま すよね。「4.法施行後の体制」ですが、ここに遺伝子治療が入ってくるのはとても違和 感があるのです。逆にこういうところに入れてしまうと、遺伝子治療が遺伝子組換え生 物と同列に考えられてしまうようで…、ここにこんなことを入れる必要がありますか。 ○事務局 時間の関係で2ページは御説明しなかったのですが、ここに書いてある事項 についてはこの小委員会の中でどういう位置付けにしていくか併せて検討をしたいと思 っております。といいますのも、法律の方はまだ審議段階ということで、またそれを受 けた細かい政省令の方も現在作っているところでございます。そもそも遺伝子治療医薬 品というものがこの法律の中にどのように位置付けられるのか、どこまで評価しなけれ ばいけないのかもまだきちんと決まった段階ではございませんので、そこも含めて今後 決まっていくということで、仮に法施行後はこういう感じになるかもしれないと、御参 考までに示させていただきたいというものでございます。 ○島田委員 組換え生物と遺伝子治療とは全然違いますから、そういう認識だと困るの です。 ○事務局 「組換え生物」と言っておりますが、遺伝子治療を行うために使う医薬品、 ウイルスなどもこの法律の中では入れるということを考えておりますので、そういった ときに遺伝子治療医薬品をこの法律の中で規制するかどうかというところ、まだこれは 決まっておりませんが、そこを今検討しているという状況でございます。 ○早川部会長 ですから、実際にこういう姿形になるのか…、この国内担保法検討小委 員会の中で議論していくということですね。 ○島田委員 経緯を見ると、生物多様性への悪影響ということは分かるのですが、その 中に遺伝子治療が入ってくるのは全く誤解を招く…。 ○早川部会長 「遺伝子治療」と言うのか、「遺伝子治療法」…。 ○島田委員 「遺伝子導入」というのでしたら、分かりますけれども。 ○早川部会長 遺伝子導入用ベクターといったものが外部に漏出していって云々という ところが、私もよく分かりませんが、遺伝子治療が将来増殖性があるようなものを仮に 使った場合にどうかとか、そういうことも議論の対象になるのかもしれないと。排泄物 からどうとか、そういうことも視野に入れてという…、これはこれからまた議論してい くという話だろうと思いますが。先生どうぞ。 ○清水委員 これは特許の問題とよく似ていて、方法と物を分けて考えたらいいと思う のです。ですから、遺伝子治療法として考えたら違和感ががありますけれども、それに 使う薬物というくくり方で考えれば整合性が持てると思います。多分そういうお考えな のだと思います。 ○島田委員 このバイオテクノロジー部会に設置するということですが、議論は出てく ると思います。 ○早川部会長 よろしいでしょうか。一応小委員会の委員につきましては部会長預かり にさせていただきまして、本部会としては本日の段階では小委員会の設置を御了承いた だいたということで今後進めさせていただきたいということでございます。  本日の議題は以上でございますが、事務局からほかに何かございますか。 ○事務局 特にございません。 ○早川部会長 よろしいですか。15分くらい遅れましたが、本日の議事は終了したいと 思います。先ほどちょっと宿題が残りましたので、それについてはお調べいただいて、 できれば早急に答えが出せるものであれば資料を整えていただくと。ポイントは幾つか あると思いますので、それに対する答えがどういう形で準備できるかということを踏ま えて次の部会でもう一度御審議いただくということになるかと思います。本日はどうも ありがとうございました。 ( 了 )           連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 齊藤(内線2743) - 1 -