03/04/25 第6回医療安全対策検討会議ヒューマンエラー部会議事録               第6回医療安全対策検討会議                ヒューマンエラー部会                    議事録                        日時 平成15年4月25日(金)                           10:00〜                        場所 厚生労働省共用第7会議室 ○矢崎部会長  ただいまから、医療安全対策検討会議「ヒューマンエラー部会」を開催いたします。 委員の皆様には大変お忙しい中をご出席いただき、ありがとうございます。本日は10名 の委員のご出席、2人の方のご欠席で、何人かの委員が遅れて来られます。また 本日 は欠席しておられますが、法政大学社会学部教授の原田悦子氏に、新たに委員に就任し ていただいておりますので、ご報告いたします。  本日は議事の関係で、ヒヤリ・ハット事例検討作業部会の委員である武藤専門委員、 医薬品・医療用具安全対策の検討状況について、日本製薬団体連合会から安全性委員会 委員長の吉澤潤治参考人、医療事故防止対策検討プロジェクトリーダーの大澤聡弘参考 人、医療事故防止対策検討プロジェクト委員の小寺重隆参考人、日本医療機器関係団体 協議会から、安全性情報委員会委員長の石川廣参考人と、副委員長の山本章博参考人が いらしております。さらに平成14年度の厚生科学研究成果の報告について、JR東京総 合病院心臓血管外科部長の川内基裕参考人に、それぞれ参考人としてご出席いただいて おりますので、何とぞよろしくお願いいたします。  では議事に入らせていただきますが、その前に資料の確認を事務局からお願いしま す。 ○宮本専門官  それでは資料の確認をいたします。まず資料1−1が医薬品にかかる安全対策に関連 して、「医薬品関連医療事故防止のための製薬企業の取組み」、資料1−2が医療用具 にかかる安全対策に関連して、「日医機協における安全対策グランドデザイン」、資料 1−3が「医薬品・医療用具等の医療安全対策の概要について」となります。資料2 が、「第5回医療安全対策ネットワーク整備事業集計について」となります。資料3− 1が「人工心肺の安全マニュアル作成に関する研究」、資料3−2が「人工心肺の安全 マニュアル作成に関する研究・中間まとめについて」、資料3−3が「医療及び療養環 境で使われる諸物品の安全性の問題についての研究」ということで、ホチキスで綴じて いる資料のほかに冊子になっている資料と、右肩に「資料5」と打たれた資料がありま す。このほかに参考資料として、「医療に係る事故事例情報の取り扱いに係る検討部会 報告書」と、三宅委員からご提出いただいた、「間違いやすい医薬品の改善に関する要 望書」を配布しております。 ○矢崎部会長  それでは議事に従って、検討課題を議論していきたいと思います。本日は、前回の第 5回会議においてお話ししましたように、医薬品および医療用具の安全対策について、 主に議論を進めていきたいと思っております。まず始めに、医薬品を提供する立場か ら、日本製薬団体連合会の吉澤参考人、大澤参考人、小寺参考人よりご説明いただき、 引き続き医療機具を提供する立場から、日本医療機器関係団体協議会の石川参考人と山 本参考人から、ご説明いただきたいと思います。その後、医薬局安全対策課の関野補佐 より、「医薬品・医療用具等の医療安全対策の概要」について、ご説明いただきたいと 思います。そして最後に三宅委員より、「間違いやすい医薬品の改善に関する要望書」 についてご説明いただき、その後、皆様からの質疑応答、議論を進めていきたいと思い ますので、よろしくお願いします。  では、日本製薬団体連合会から、資料1−1についてご説明いただきます。 ○吉澤参考人  医薬品業界では医療事故防止のための対策として、どの医薬品にも共通した対応と、 個々の製薬企業が取っている対応というように、大きく分けると2つになります。ま ず、医薬品業界共通の対応について説明させていただきます。これは平成12年9月に通 知を出していただきましたが、その前に医療関係者の方々、当局、業界が集まって検討 し、この通知内容について対応のあり方を検討したわけです。その内容は、大きく分け て5つとなります。  まず第1番目が、バイアルまたはアンプル入り経口剤および外用剤の誤使用防止対策 として行ったものです。資料の3頁を見ていただきますと、この対応は業界統一で対応 しております。この資料に変更前と変更後のバイアルの写真がありますが、まずバイア ルのラベルの名称のいちばん上に、「禁注射」という文字を入れ、バイアルあるいはア ンプル入りの注射剤でない経口剤、あるいは外用剤の場合の注意を喚起しようという共 通の対策です。さらに「禁注射」というシールを、それぞれの箱の中に必ず入れること で、バイアルの頭、あるいはバイアルから注射器で抜いた後、注射器へ「禁注射」とい うマークが貼れるようにしております。  2番目の対策が、点眼剤に類似した容器の外用液剤の、点眼剤としての誤用を防止す るための対策です。4頁を開いてください。これも名称の上部いちばんトップの部分 に、すべて赤い文字で赤い枠囲みで、「目には入れないこと」というのを共通して入れ るという対策を行っております。これは薬局や薬剤部から患者に薬を手渡すときに、こ こを指さして説明できるようにという対策です。  3番目がカプセル剤等、経口剤との先入観を与える剤形の誤用防止対策です。5頁を 見てください。PTPも含めてヒートシールの両面に、「のまないこと」という表示を 入れていきます。これも薬を患者にお渡しするときに、ここを指さして、「この薬は飲 んではいけませんよ」ということを説明しやすくするということで、これも共通の対応 として行っております。  またPTPシートに和文販売名、規格含量を統一して表記するという対応を取ってお ります。これは6頁にあります。この最もポイントになるところは、アルミ面の本体部 分に必ずブランド名と含量をきちんと印字してあることです。変更前ですと、耳の部分 に英語名の表示しかなく、あとはプロダクトマークが入っていただけなのです。この対 応については、どのPTPシートでも医療関係者がアルミ面をパッと見ていただきます と、必ず確認できるものです。ですから、あるものはプラスチック面、あるものはアル ミ面、あるいは耳の部分だけといった不統一がありますと、確認に非常に手間がかかる だけでなく、確認に見落としが出るということで、必ずアルミ面を見ていただければ識 別できるための対策です。  次は、販売名の付け方についての規定です。7頁、剤形と含量を販売名の中へ加えて しまうことで、販売名を見れば剤形と含量がわかるという対策です。これはラベルの名 称の所で、はっきり識別できるようにという対策です。  次の8頁も、同じく販売名に関してです。倍散表示の販売名がたくさんありました が、倍散というのは今の時代、医療関係者全体が頭の中ですぐにパーセントに変換する ことが難しいということで、すべて倍散はパーセント表示に変えていくという対応を 取っております。  最初の頁に戻ってください。医薬品の医療事故に対する対応というのは、物理的に医 療事故を不可能にする対応は、決して多くありません。多くの場合、識別性を向上させ ること以外の対応は難しいケースです。したがって識別性を向上させることによって、 あるいは統一した場所に表示することによって、医療従事者の調剤時、あるいは投薬時 に確認が非常に容易になるということで、作業性を落とさずに確認の精度を上げるとい う対策なのです。また勘違いに気付きやすく、販売名の変更などを勘違いしていても気 付きやすい対応となるかと思います。患者に渡すときにも説明を容易にし、患者にリマ インドしていただくことを容易にするなど、こういうことを目的として対応を行ってい ます。  この対応は、全体にほぼ確実に行わないと効果の薄いものですが、この実施状況につ いては日本製薬団体連合会が毎年実施状況を調査し、その内容から更なる実施、あるい は個別への指導等に活かしていくということでやっております。現在、平成15年4月時 点の実施状況を調査中なので、調査票はまだ回収している途中ですが、途中の集計です と、ある対応はすでに100%にいっているかなと思われるものがあります。また少なく とも90%は超えているという状況で、100%に近づいているものがかなりあります。た だし最終集計がまだ出ていないので、途中まで集まってきた調査票を見た感覚ですか ら、正確な数字ではありません。  こういう対応を行いますと、製薬企業は何を行っているのか。9頁を見てください。 製薬企業の中の医薬情報担当者が医療関係の施設を訪問し、このような変更を行いまし た、このような対応を行いました、この対応について施設内で認識していただいて、活 かしていただきたいということで、9頁のような案内のパンフレットを持って説明して まいります。以上が共通の対応です。  10頁以降は、個別企業が個別の薬剤に対応したものです。まず10頁を見てください。 これは名称が非常に小さくて見づらかったものを、各面すべてに日本語の販売名がはっ きり分かるように包装を変えました。また変更前を見ていただきますと、「点滴用」と いう文字があまり明確に浮き上がっていないのですが、非常に見やすく、気付きやすく したという対応です。  これは表示を見やすくする工夫ですが、次の11頁を見ていただきますと、従来ラベル の名称の表示は、裏表の両面しかなかったものを、すべての面から見えるようにしまし た。特に下に置いておくことの多い医薬品ですので、上から簡単に確認できるような対 応を行っております。  12頁は、医薬品の製造工程におけるスピード性とコストとの関係で、アンプル等に直 接印字している製品が多数ありました。しかし、これは表示が非常に見にくいというこ とで、ラベルへの変更を各社で進めてきております。見ていただいて、すぐお気付きだ と思いますが、非常に読みやすくなっております。これも読みやすくして知らん顔とい うのでは、医療関係者の方は非常にお困りになられます。何か製品が変わったのかと思 われるケースもありますので、ちゃんとこのようなパンフレットを持って、医療関係者 へ案内させていただいております。  13頁も同じような内容ですが、さらに加えて力価が3種類ありますので、その3種類 の力価の表示を25ミリは中抜きの黒枠、50ミリは黒塗り、100ミリは赤ということで一 見して、区別できるようにという対応を取っております。14頁はその続きです。  15頁は力価の違うものをはっきりと、パッケージの色、フリップオフキャップの色で 分け、キャップにもきっちりと分かりやすく含量を表示するという工夫をしておりま す。  17頁も同じような対応ですが、カラーマークで力価を区別していたのが、非常に小さ なカラーマークで分かりにくいので、大きくしているということと、フリップオフキャ ップもきちんと色分けして、識別しやすくしているという事例です。  19頁と20頁については、もうすでに取違いの事故、あるいは名称類似での事故が発生 している製品です。そのような製品については、製薬企業のほうでこのようなパンフレ ットを作りました。またウテメリンの場合は効能をラベルの中に書き込み、効能違いに ならないようにということで対応しております。次はタキソールとタキソテールです が、それぞれのバイアルにはっきりと、類似品との区別をしてください、名称類似品が ありますということを書いております。  最後の21頁は、点滴静注用ですということを、はっきり示した事例です。  このような事例については、昨年11月に更なる検討を行い、この中でもいい事例につ いては更に取り上げていきたいということで、製薬企業にお願いし、自主的に行った事 例を収集させてもらってファイルしたものがありますので、回覧させていただきます。 いまの検討としては、医薬品・医療用具対策部会の下に5つのワーキンググループがで きましたので、こういう中に提案させていただいて検討して、共通の対応に変えていき たいと考えております。特に名称については、非常に急いでやらなければいけません。 すでにここにおられる土屋先生のほうでデータベース化され、システムも作られており ますので、これを積極的に活用するということで、いま土屋先生にご協力いただいて、 すぐにも動かそうということで準備を進めているところです。 ○矢崎部会長  いろいろ工夫して対応を考えていただいて、どうもありがとうございました。その成 果が期待されるところですが、皆様からのご質問については、後でまとめさせていただ きます。  次に、日本医療機器関係団体協議会から、資料1−2に基づいてご説明をよろしくお 願いします。 ○石川参考人  ご存じのように、「医療機器」または「医療用具」と言っておりますが、非常に多種 多様です。協議会としてもいくつかの団体があるのですが、とにかくあまりにも多すぎ て、同じことをひとつの決まった方法でというわけには、なかなかいかないということ に会議を運営しておりまして徐々に気が付きました。当初は何とか共通の項目でできな いかと思ったのですが、どうもそうはいかない。例えば材料系にいたしますと、薬に非 常に近い考え方でいいのです。ところが一方、大型機器の場合で電気・機械を使うもの に関しては、それぞれの安全性や使い方等も含めて、または資格等もあり、お使いにな る方も含めていろいろ違うわけです。中間にある器材も、看護師等が使われる中におい ては、非常に使用回数や種類が多いわけです。そういう中で、ひとつの方法論では難し いということが分かりました。  そうは言いつつも3頁の下にありますように、安全性に関しての企業のモチベーショ ンを上げるためにも、グランドデザインを作りなさいと申し上げております。参加して いる工学会は15ぐらいあるわけですが、画像をやっている所から機材をやっている所、 ホームヘルス、コンタクトレンズ、眼内レンズというように、多種多様だとお考えくだ さい。  4頁の上のほうにありますように、私たちとしては、物というのは人とのインター フェースで成り立っていると考えます。物を作る、これも人ですし、お使いになるのも 人ですし、使われるのも人であるということで、人とのインターフェースということ を、よく考えなくてはいけないということをキーワードにして、いろいろなことをやっ ていこうと考えております。  5頁ですが、その中でも物作りをしている所というのは、薬事法によって構造設備の 問題から責任技術者の問題と、いろいろなことが規制されております。管理の問題とし ては今後のグローバルハーモナイゼーションも含めて、ISOの13485という基準が、 これからの薬事法上のGMPの基準になると思います。このように製造管理、文書管理 等々、いろいろな基準と規制の中でやっているわけです。  一方、使用者側においてどれだけのことが管理されてくるのかというと、多分もう少 し基準や規制はあるのだと思いますが、私たちが考えている中では、本当はもっと管理 されていないといけないのではないだろうかと思っております。そのことに関して考え てみたのが、6頁の左下にあります。私も山本も、ヒヤリ・ハットの委員会に出させて いただいているわけですが、その中でも出てきた事例として、我々用具に関する事件は 医薬品に比べて非常に少ないことは少ないのです。しかし少ないからといって安心して いるわけではなく、これが起きた場合の影響力は大きいわけですから、数は少ないけれ ど一件一件をチェックをして、私たちの中で分析しております。この中ではやはり管理 不足とか、欠陥だと思ったけれどそうではなかった、故障だと思ったけれどそうではな かったということが出てきております。なぜそういうことが起きるのか。その中にはや はり人とのインターフェースという問題があるだろうし、私たちが提供している機械そ のものに関する問題もあるのではないかということで、私たちとしても反省をしながら 行っております。  いちばん最近の問題としてあるのが、添付文書制度です。今年度1月からは薬と同じ ように、用具にも全部添付文書を付けることになりました。添付文書を付けることに よって、皆様方には安全性の情報、使い方等々に関しての情報提供をすることができる ようになったわけです。ところが10頁にありますように、私たちが添付文書を作ってお 出ししても、受入元である施設の中では、まだ添付文書の管理が一貫されていないとい うのが現状だと思います。これは始まったばかりということもあるかもしれませんが、 やはり薬と同じように一括管理をして、施設内での情報提供というシステムが必要だろ うと思います。そういう設備というか仕組みを早くつくらなければいけないのだろうと 思います。まだ始まったばかりですから、添付文書に関する色々な問題はこれから出て くるかもしれませんが、このような活動をやっております。  今日は限られた時間ですので、私たちがやった中で直近の非常に具体的な例があると 思いますので、それを山本のほうから説明したいと思います。 ○山本参考人  まず最初に18頁の下側に、「業界としての具体的な取組み」ということで、物由来の 部会の中で取り扱った製品について、4テーマあります。1つが輸液ラインと経腸栄養 ラインの誤接続防止対策、2番目が人工呼吸器の事故対策、3番目がジャクソンリース と気管切開チューブの誤接続、4番目が輸液ポンプ、シリンジポンプです。3番目と4 番目は最近まとまったばかりですので、1と2について若干話をさせていただきます。  12頁に戻ってください。これが輸液ラインと経腸栄養ラインの誤接続です。本来なら 経腸栄養ラインに投与されるべき薬剤が、輸液ラインから間違って入ったものです。そ の原因は、輸液ラインと経腸栄養ラインが同じ規格を使っていたからです。ではどうし たらいいかということで、関連企業と厚生労働省が会議を持ち、2つの対策を考えまし た。輸液ラインと物理的に接合しないサイズと、各社が互換性を持たせるために規格を 決めるということで、規格を決めたものが13頁の上の図です。従来の輸液ラインのサイ ズが4mmに対し、栄養ラインは6mmというように、見た目でもすぐに分かるサイズを決 めたわけです。このサイズがあるのは日本だけです。欧米では輸液ラインと全く同じサ イズを使っており、同じような事故が続いているけれど、栄養ラインの基準がないそう です。ですから、それを国際基準にするために、私たちは欧州の会議や国際会議に出か けているところです。  14頁を見てください。そういう基準品を作りましたので、事故対策製品が医療現場で すぐに見分けることができるようにするために、このような医療事故対策適合品マーク を業界で決めて、それを外箱や個包装、カタログに付けるということでやっておりま す。またその製品リストも現在、日医機協のホームページで公開しております。  続いて、人工呼吸器の問題です。ここに挙げておりますように、呼吸回路の外れ、警 報機能の復帰忘れ、電源切れといった問題点のあることが分かっております。そういう ことで決まったのが人工呼吸器の警報基準です。回路が外れた場合にも音声による警報 を発すること、あるいは一時的に止まったときも、2分以内に自動的に警報を発する機 能を持つことといった、5つの警報基準を決めました。これに適合しない製品について は、製造も輸入も販売も禁止するという非常に厳しい基準です。すでに1年間の猶予期 間がありましたが、昨年8月1日からは強制基準になっております。  特に2つの基準については、経腸栄養ラインが2000年、人工呼吸器が2001年というよ うに新しい基準ができていますので、過去の施策が医療現場で、本当にどの程度受け入 れられているかをアンケートで調べようということで、これは平成14年度の厚生科学研 究でやった調査結果です。15頁の下を見てください。対象医療用具は、経腸栄養ライン と人工呼吸器です。医療機関としては東京都内から472、その他の地域からは全国を6 つのブロックに分け、概ね100ぐらいを取って679、合計1,150ぐらいの医療機関を対象 にしました。アンケート期間は、今年2月5日から2月20日にかけて行った調査です。  その結果として、16頁を見てください。誤接続防止対策経腸栄養ラインについては、 医療機関の採用率で見ますと、約8割の医療機関で採用しているという結果です。「そ れらの製品は誤接続の防止に有効か」という質問に対しては、「有効と思う」というの が93%でした。人工呼吸器については、「新基準の人工呼吸器は医療事故の軽減に役立 つか」という質問には、「軽減できる」が27.3%、「多少軽減」が58.0%ということ で、合わせて85%が軽減に役立つという回答です。「適合品マークが現場で役立つか」 という質問には、6割が「役立つ」という回答です。「どちらとも言えない」という回 答が4割ありますが、その中身を精査いたしますと、マークが目立たないからというよ うな内容ですので、目立つマークにすれば有効ではないかと考えているところです。  続いて18頁ですが、医療機器の医療事故防止対策として、どのようなことが有効かと いうことについて、アンケートをさせていただきました。1番目が「教育訓練が重要 」、2番目が「ME機器の中央管理システム」、3番目が「臨床工学技士の配置・増員 が必要」、4番目が「安全性情報の管理部署の設置が重要」という回答が、465施設の 中の非常に多くの施設から寄せられたということです。 ○石川参考人  いま山本からありましたように、465施設の回答でこのぐらいあったわけです。最後 の19頁の右上にありますように、日医機協全体としての動きですが、先ほど私が申し上 げたことと同じように、やはり安全性情報の管理部署の設置に対する要望がアンケート の結果が多かったわけです。いま私のほうで添付文書のデータベース化をやっておりま すが、その際にとったアンケート結果ともほぼ一致しておりますので、そういう情報を 提供する際の受け入れ側での整備が重要ではないかと思われております。  今後の活動として、何人かの先生にはご協力いただきましたが、日医機協としては ペーパー上での安全性のキャンペーンを、ずっとやっており、座談会等も開いておりま す。そういう形で利用者側、使用者側、または患者等々、皆様方とコミュニケーション をしながら、何かをつかんでいこうと考えております。その中でいちばん大事なのが、 やはり専門者との検討会の促進です。つまりメーカーがメーカーだけでものを考えて やっていますと、私が「井の中の蛙」と言っては変ですが、情報が限られてきます。し かし、お使いになる方々がどういう場所で、どのような環境で、どういう状態でお使い になるのかということを知りながら開発するということは、ユーザビリティの問題も含 めて、非常に重要な設計上のポイントだと常々思っております。そういう意味でも専門 者と一緒になってやることが大事ではないでしょうか。  また下から2番目にありますが、各種の通知が出ます。先ほどの人工心肺もそうです が、こういう警報にしなさいというものが出ます。そういうときにもやはり業界側とし て一列になって、即同時に対応できるような体制を取らなければいけないと思っており ます。そういう意味でのフォローアップも必要ではないでしょうか。そういうことをや るためにも、やはり専門の方々との合同の十分な検討が、多分これからはさらに必要で はないかと思っております。  具体的な話題としては、先ほどあった警報の問題があります。警報の問題について は、もうどこかから別に報告があったと思いますが、警報が鳴ることは必要だけれど、 鳴ることによる患者側の問題もあるので、誰が、どのように、いつ知らなければならな いのかということを、もう1回ゼロから見直そうと考えております。IT時代になって いるわけですから、そういうことも考えようということです。もう一つ、ここで「電気 安全」という言葉を出した理由は何かと言いますと、いろいろな施設の中でもケーブル 等がはまっているわけですが、引っ掛けたために電源が抜けてしまったというヒヤリ・ ハット事例は多くありますので、それをどうやったら我々のほうで防げるのかというこ とも考えようということで、具体的な案として、いま検討しているところです。  最後に示しましたように、医療機関側の教育というのも非常に必要です。つまり、医 療用具が多種多様であるということ、お使いになる方々には申し訳ないが、看護師が勉 強なさってきたことと、実際の現場での作業には差があるということも私たちはわかり ましたので、どういう形で私たちが支援できるか、ということも検討しなければいけな いだろうと考えます。「合法的な」というのは、変な形になることはよくないので、あ るレベルでちゃんと合法的にという書き方をさせていただいております。最後のほうに 「ご清聴ありがとうございます」と書いたボートの中に、3人おりますが、これは私た ち物を作る側と、お使いになる側と、行政側が同じボートに乗っているということで す。歌を歌っているのは仲良くという意味で、一緒にちゃんとやっていきましょうとい う意味ですので、どうぞよろしくお願いします。 ○矢崎部会長  検討の現況と今後の課題について、まとめてお話いただきました。どうもありがとう ございました。  続いて医薬局安全対策課の関野補佐から、ご説明をよろしくお願いします。 ○関野補佐  資料1−3に基づいて、医薬品・医療用具等の医療安全対策としてこれまでやってき た内容と、今後やっていくことについて、簡単に触れさせていただきたいと思います。 すでにそれぞれの業界の方々からご説明いただいた部分も重なりますので、ポイントだ け押さえてご説明させていただきます。なお、資料1−3はクリップで止まっており、 2分冊になっておりますので、そこを外して両方を並べてご覧いただければと思いま す。説明の際、それぞれを使わせていただこうと思っておりますので、よろしくお願い します。  まず、右肩に「資料1−3」と書いてあるほうをご覧ください。1頁めくっていただ きますと、「医薬品・医療用具等対策部会の開催」ということで、平成13年度に予算措 置を行い、このヒューマンエラー部会と同格の医療安全対策検討会議のもとに、医薬品 ・医療用具等の対策部会を置いております。その図式は4頁目に付いておりますので、 参考にしていただければと思います。1回目の会議が平成13年8月に始まり、これまで に4回行っております。1頁目に示したような議題について、それぞれ検討していると いう状況です。このメンバーは5頁目に付いておりますので、ご覧いただければと思い ます。なお、医薬品・医療用具に関係する医療安全対策に関しては、一応予算措置をし たのが平成13年ですので、部会の設置は平成13年からとなっておりますが、実はその前 から問題はいろいろ指摘されておりますので、平成12年5月の段階で、検討会形式で各 関係の先生方にお集まりいただいて、いろいろな検討をしてきているという経緯があり ます。その部分の結果も踏まえたものが、後ほど各種通知等でアウトプットとして出て きているという状況にあります。  2番目は、「ヒヤリ・ハット事例について」です。2頁目にいきますと、ヒヤリ・ハ ット収集事業の中で集まった医薬品・医療用具等の事例数を、表にさせていただいてお ります。四半期ごとにまとめておりますが、これまでに5回ほど行っております。医薬 品の場合が760例、医療用具の場合が168例という形になっており、諸物品・ベッド等を 含めますと、969例がこれまでに集まってきているという状況です。これらはご報告い ただいた内容をそのまま公表して、その後協力いただいた関係医療機関に送付しており ます。それと共にいただいた事例については、発生要因等についての検討も行っており ます。その検討結果も合わせた形で、協力医療機関に送付すると共に、ホームページに 掲載しているという取組みを行ってきているところです。  3番目が「これまで発出した通知」ということで、(1)から(7)まで示しており ます。ここでもう1つの分冊になっている、「これまで発出した通知」という資料も、 併せてご覧ください。こちらの「これまで発出した通知」というタイトルの資料を1頁 めくった所に、まず平成12年8月に出した医薬品注入器の基準等について示しておりま す。3頁目にまいりますと、具体的な医薬品注入器の基準を取りまとめたものがあり、 この段階で取りまとめております。13頁になりますと同じ通知の中で、経腸栄養ライン の接続部に関する基準も示しております。15頁にまいりますと「滅菌済み輸液セットの 基準」ということで、この段階から1つの通知で2、3種類の基準を示し、今後これら の医療用具に関して製品として開発されるものは、こういった基準を満たすものという 形での取組みをしております。  通知で言うと2つ目になりますが、20頁にまいりますと、注入器に付ける針の部分に 関する取組みを付けさせていただいております。これは平成12年9月の段階での取組み です。  3つ目の通知の関連で申しますと、21頁になりますが、「医療事故を防止するための 医薬品の表示事項及び販売名の取り扱いについて」というのがあります。これは先ほど 業界のほうからもご説明がありましたが、表示の段階で禁注射、あるいはいろいろな販 売名のルールを、この段階で示しているところです。  4番目が人工呼吸器の関係で、この通知は34頁に示しております。これも「人工呼吸 器の医療用具の面からのアプローチ」ということで、適切な設定・操作というものを促 すための取組みを、この段階で示しております。内容については省略させていただきま すが、後ほどの議論で、適宜ご参考にしていただければと思っております。46頁にまい りますと、人工呼吸器の警報基準を取りまとめた通知を付けさせていただいておりま す。  最後に、輸液ポンプの件です。56頁に平成15年3月の段階で取りまとめた、「輸液ポ ンプに関する事故防止対策」ということで、輸液ポンプの構造や機能といった項目に関 する基準を設け、製品開発にこの基準の適合性を当てはめたものです。以上が通知とい う形で発出したものです。  また資料1−3に戻ってください。いまご説明したのが2頁目です。3頁目に移りま すと、こういった基準化の取組みと合わせて、製品開発、医療機関における購入、採用 を促すという観点で、税制控除措置というものを行っております。これは年度末に行っ たものですが、人工呼吸器の警報基準の関係と、輸液ポンプに関する基準に適合したも のを実際に購入される際には、この措置が適用されるという取り扱いを、最近講じたと ころです。  そのほかに厚生労働科学研究ということで、5番目に掲げたようなことに取り組んで おります。平成15年度は下の3つに書いたような取組みを進めていく予定にしておりま す。併せて10頁は、これからの取組みの部分です。医薬品に関して、さまざまな類似性 の問題の指摘がありますので、ここに掲げた規格、名称類似、注射薬の外観、輸液、眼 科用剤といった5つの項目についてワーキンググループを設置し、それぞれ抜本的な対 策を検討していこうと。これは早急に取り組む予定にしておりまして、取りまとめのほ うも急ぎたいと考えております。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。先ほど石川参考人から、作る側、使う側、さらに行 政側の協力がほしいというお話がありまして、いま関野補佐からは、行政的にもいろい ろな通知を出す一方、税制の観点とか、調査研究推進のための研究費を確保するよう努 力されているというお話をいただきました。  次に三宅委員から提出された資料について、ご説明いただきたいと思います。 ○三宅委員  「三宅委員提出資料」というのは、東北大学の上原先生が受け持っている厚生労働科 学研究の中で、「医療の質安全の向上をめざす病院合同改善プロジェクト」というのが ありますが、昨年そのうちのテーマのひとつとして、誤薬防止ということで取り組んだ 中で出てきたことです。そこで「間違いやすい医薬品の改善に関する要望書」というの を出したわけです。いま製薬業界の方が、いろいろ改善されていることも含まれており ますが、ここでお話したいことは、名称の問題や外観といった紛らわしい事故が起きて いることは、かなり前から指摘されている問題がいくつかあるわけです。既存の名称の 問題や表示についても、「禁注射」とか「希釈」というような表示が改善されているこ とは分かるのですが、もう少し人間の特性を考えて、見ても触ってもわかるような容器 の改善の取組みが必要ではないかということで、こういうものを出しました。後でまた そういうことがディスカッションされると思いますが、業界にだけ改善を求めるのでは なく、やはり行政的に規制をして、安全を守るという点も必要ではないかということも 指摘しております。  頁は打ってありませんが、3頁以降、いくつかの項目に分けて紛らわしい外観、警告 表示の不備、ラベル表示が不適切である、紛らわしい名称、この名称に関しては何も改 善されていないというものがあります。早急に講じていただきたい事項としては、容器 の形状を改善することが重要ではないでしょうか。警告表示については、今いくつかさ れてきております。これは先ほどお話した薬剤名称の改善です。特にもうすでに発売さ れているものについては、できないというお話を何回か伺っておりますが、できないの で済むのでしょうか。  制度的にはある程度基準をきちんと決めていくような、公的な機構が必要ではない か。これは土屋先生が随分やられているようですが、データベースを作るといった作業 をやるとか、発売する前にモニタリングをするようなシステムをつくってはどうかとい うことを提言しております。具体的な例については、カラー写真をここに提示しており ます。これには先ほど製薬業界の方が出されたものと共通している所がたくさんあると 思いますが、まだまだ表示が不十分であるというところも分かるかと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。それでは今お話いただいた中でご意見、ご質問をお受けし たいと思います。順位不同で構いませんので、お気付きの点からご意見をいただければ ありがたいと思います。 ○星委員  ひとつ聞きたいことがあります。まず薬の話ですが、最後に、これからは共通の対応 にしていかなくてはいけないというお話をされました。ということは、それまでは誰が どうやって決めたのか。また機械のほうでもそういうお話がありました。これからは ユーザーの意見を聞いてということは、これまでは聞いてなかったということですよ ね。ですから今までは誰がどうやって安全対策をしてきたのか、それぞれの業界の方に お聞きしたいと思います。 ○吉澤参考人  これまで具体的なヒヤリ・ハット事例が企業に上がるケースは、非常に少なかったの です。いまは厚生労働省のホームページでいろいろ分かるようになったのですが、それ 以前はいろいろな医療機関から、こういう所が非常に区別しづらいというご指摘をいた だいて、それでそれぞれの企業が対応を考えてきたというのが実態でした。今後はヒヤ リ・ハット事例の情報等が、ホームページからいただけるようになってきたというの と、業界としても個別対応でやりますと、新たな事故に結び付く可能性もあるというこ とを強く認識してきましたので、共通対応に変えていきたいということです。特に規格 を色分けするということが、例えばそれぞれの会社で3規格、上、中、下とあったとす ると、逆の色分けになっていたりするケースもあります。これは人間工学的な観点から も今後は考えて、色分け等も共通の色分けを検討していきたいと思っております。その ためには、やはり先ほどの医療機器のほうも同じだと思いますが、業界だけでやったの では本当に使われる方、いちばん困られている方の意見が入ってこないのではないかと いうことで、医薬品・医療用具等検討部会のもとで出来たワーキンググループは、非常 にありがたいと考えています。 ○山本参考人  医療機器についても、ご説明させていただきます。医療機関の情報を集めたり提供し たりということは、ある意味で販促活動ですから、企業は一生懸命やっていたわけで す。今までもやっていました。今回のアンケート調査では、医療機器の情報提供と収集 についての実情調査を、企業側と医療機関の両サイドからいたしました。その結果は今 までもかなりというか、非常によくやっているということがわかりました。ただ先ほど 医薬品のほうからもありましたように、個別の医療機関の要望をお聞きしますと、個別 の企業がどんどん努力して、一生懸命医療機関の意に沿うように対応しました。ところ が結果的に新しい機能がどんどん付加されたりすることによって、ヒヤリ・ハットを招 いたり、医療事故に結び付いたりするようなケースもある。むしろ私たちとしては、医 療機関の要望もどこかでひとつにまとめていただきたい。また企業のほうも全部でまと まって対応したほうが、医療事故防止にはいいのではないかというように考えていると ころです。 ○石川参考人  私も少し付け加えさせていただきます。医療機器の大型のものと材料系とでは、ちょ っと違うかもしれないのです。ただ大型の場合等に関して申し上げると、やはり大学の 先生方、または大学病院の先生方との研究の上で、こういう装置があったらいいねとい うことで開発が始まります。それで、いま山本が言ったような形で、非常にクローズな 形での開発が、どんどん始まります。その結果、クローズ、クローズが沢山あって、過 去にどんどんいろいろなものが出来てしまったわけです。一方、先ほどの私の絵にあり ましたように、ISO、IECという国際的な基準がどんどん出来てきて、横断的に電 気安全はこうしよう、何々はこうしようというホリゾンタル(水平)な基準ができてき ました。さらに今度はバーティカル(垂直)に、例えばこの機械にはこういう安全性が 必要だ、この機械にはこういう安全性が必要だということが、いま世の中的にどんどん 進んできて、一部が翻訳JIS化されてきているというのが現状です。  厳しいご発言だと思いますが、全くやっていなかったということに対しては、私とし てはそうではなく、やっていたけれど、横の繋がりというのがこの10年間ぐらいの間 に、徐々に徐々にどんどん進んできたのです。そのスピードは、ものすごく速いと思い ます。それでハッと気が付いたら、どうも医療機関側にはそういうものがいっぱい存在 してしまったという現状がある。これでメーカー側が「ヒューマンエラーだ」「ユーザ ーエラーだ」と言って、「これは俺の責任じゃない」と言うかもしれないけれど、そう いう目を持ってはいけないというのが、私の先ほどの発言なのです。  双方が、自分の責任ではないという目を持って見るのではなく、両方が産み出してき てしまった結論なので、これからはやはりこういう機会も含めて、お互いにこうやって やったらいいのだ、こうしなければいけないのだというニーズとシーズを、うまく合わ せていかなければならないと思います。一方では国際基準を見ながらやっていかない と、標準化をしていかないと、とてもではないけれど、どんどん個別のものが出来ては 大変だというのがあると思います。そういう意味では全くやっていなかったわけではな く、やっていたけれども、ということでご理解いただければと思います。 ○矢崎部会長  今までは、どうしても個別対応ということがあったのではないかと思います。これか らはニーズに沿った対応をしていただきたいと。 ○星委員  もうひとつお聞きしたい。経腸ラインと合わないようなものを作りましたということ で、その後、平成12年9月8日付の「注射等に接続できなくて」という通知を厚生省 (当時)で出されましたね。「人に容易に刺さらずにバイアルに刺さること」というの は、非常に難しいような気がするのですが、実際にこういうものは出来たのですか。 ○山本参考人  いくつか出来ております。 ○星委員  これは使えるのですか。 ○山本参考人  使えると思います。 ○星委員  バイアルには刺さるのですね。 ○山本参考人  はい。 ○星委員  さらにお聞きしたい。バイアルから吸い出さなければいけない、つまり尖っているも のを使わなければいけないものではない容器に、こういう薬を入れてもらおうという発 想を、薬を作っている人たちにはお話されたことがあるのでしょうか。これは厚生労働 省にお聞きしたい。また、そういう改善はどの程度進んでいるのでしょうか。というの は、それぞれの対応はクローズドながらもやってきたとは言いながら、「こんな針を作 れ」というよりは、針のようなものは使わないで吸い出せるような容器に入れてくれと いうほうが簡単です。薬を作っている人たちと、道具を作っている人たちと、そして私 たちと行政当局が話をすれば、こんな遠回りをしなくても、また魔法のような針を作ら なくても済んだのではないかと私は思うのですが、その件について、厚生労働省はどん なお考えをお持ちなのか聞いてみたいと思います。 ○関野補佐  いまご指摘の点、2つほど観点があるかと思います。1つは、針をどうしても使わな ければならないような場合があるとすれば、平成12年に示した基準に適合するようなも のを用意するということ。これが全くあらゆる製品に関して、あるいは現場の実態に即 してこういった針を作るまでもないという状況であれば、それはニーズがないわけです から、こういったものに対応する必要はなくなってくると思います。ただ、現段階で は、こういったものも少なからず残っているという中で、とりあえず現場で使うにあた っては、できるだけ直接人に刺さらないもので、バイアルには刺さるようなものという ところでの対応をお願いしているということになろうかと思います。ただ、一方でご指 摘のとおり、針を使わないでバイアルから吸い上げるものができるか、あるいはそもそ も吸い上げるような方式をとらずに、そのまま注射等を使わなくても実際にその製剤が 使えるようなものができれば、当然それにこしたことはないわけです。具体的には、そ の両方から徐々に進んできている状況にあろうかと思います。  具体的には、注射等を使うことによって間違いが起こる典型例としては、トロンビン 製剤があったかと思います。これは、外用剤でありながら注射等で吸い上げるがゆえ に、注射という行為を行ってしまう恐れがあるという指摘をいただいていた事例だと思 いますが、これに関しては注射針、あるいは注射等を使わないで、そのまま製剤を患者 に対して使用できるような容器に入ったものを開発してきているということで、間もな くこれは実用化のメドが立ってきます。いろいろな形での取組みが同時並行で進み、な おかつそれが究極の段階にくれば、全く針を使わないで済むような現場の状況にもなる のではないかと思っています。 ○矢崎部会長  厚生労働省の出している厚生科学研究費で、例えば再生医療遺伝子病に数千万単位の 研究費が出ています。その領域も大変重要だと思いますが、こういう容器そのものを工 夫しながら、安全性を高める開発研究費というのも、あってもよさそうに思うのです が、それはなかなか難しいのですか。産学共同で研究する方法もあってもよろしいので はないかと思います。  先ほど三宅委員からお話があったように、現状はラベル類に関してのご努力ですが、 見ても触っても分かる、さらに識別性を向上し、確認を容易にするような、ラベルだけ ではなく、容器そのものを変えていただく。そういうことも、今まで大変なご努力をさ れていますが、もう一歩進めて、今後さらにそういうことを工夫いただきたい。おそら く、いろいろな経費がそこに上積みになっていくと思いますが、先ほど星委員が言われ た画期的な方法論とともに、こういう容器の工夫もやっていただければ、随分進歩する のではないかと思います。 ○三宅委員  やはり、ワンショットで与えると死んでしまうという薬剤は、バイアルにすると大体 10本ぐらいだと、私は救急医学会で聞いているのですが、そういう危険な薬剤について は、バイアルの形状を三角形にするとか、明らかに分かるものにする。現在でも、KC Lを投与して亡くなっている事故が起きているのです。それを、いつまでも表示の字を ちょっと大きくしたとか、そんなことで済ましていること自体、私はおかしいと思うの です。  製薬業界が出されている4頁の、「点眼薬と間違わないように、目には入れないよう に」と、こんな小さい字で書いただけで、これで良しとしているところが大間違いだと 思います。明らかに、目的に応じて剤形を変えるというのは原則です。こういう対応が どうしてできないのか。私は、薬業界の人を責めようとは思わない。これは規制すべき 厚生労働省が規制すべきことなのです。それを何もやっていないということです。共通 の、安全の基準を作るような公的な何らかの機関を作らない限り、おそらく何かが起き れば、業界に対して「あなた方はこれをやりなさい」という指導で終わっているのが現 状ではないでしょうか。それを改めない限り、これは直らないと私は思います。  先ほどの経腸栄養剤の管についても、80%の医療機関が使っている。20%の医療機関 は使っていない。それで良しとしているというところが、私はおかしいと思います。 20%の医療機関で事故が起きたら、それはどこの責任になるのですか。これこそ、行政 的にきちんと規制すべきことだと思うのです。何が行政として指導すべきことなのか、 そこがどうもはっきりしない。常に責任の所在がはっきりしていない。何か起きたら業 界の責任に転嫁するというと悪いですが、「改善しなさい」と。それだけでは済まない のではないかと思います。 ○松月委員  関連したことですが、三宅委員の資料の中にもありますが、実際にそういう医薬品、 機械を使って仕事をしている者は、非常に業務が多重です。時間切迫です。このことは ご存じだと思いますが、そういう状況でこういうものを使うときに、はっきり申し上げ て教育をしても、例えば「人工呼吸器があなたの病院では3種類入っています」という ので講習会もやりますし、私たちはそのチェックもします。でも、本当に緊急事態にな ったときに、その教育を受けた3種類、4種類のものについて、「これは何だったっけ 」と、当然混乱します。いくら教育をしても限界があります。素晴らしい医療機器をど んどん開発していただくのはとても良いことだと思いますし、是非お願いしたいことな のですが、その操作パネルはどの業種も1種類にしていただきたい。そうすれば、緊急 事態になったときに「このボタンを押せばいいんだ」ということで、1年生から10年選 手まで変わらない対応ができるわけで、いろいろなものを通知で出す必要がないと思う のです。  ゴールはエラープルーフであり、フェールセーフだと思いますので、是非その機能を 目標にやっていただきたいと思います。何かがあって大変そうだからやらなくてはいけ ない、というところからスタートしたのだと思いますが、誰がやっても、絶対間違いな いというところをゴールにして、是非討議をしていただきたいと思います。明日それは すぐに達成できるものではないかもしれませんが、是非それをお願いしたいというのが 現場の希望です。いろいろな検討をすると、これはこんなふうに形状を変えてもらえる といいという話は出るのですが、それを夢物語ではなく、現実に是非していただきた い、それを目標にしてやっていただきたいと思います。 ○石川参考人  それに関して、先ほど私のほうでご説明した中に警報の例を挙げましたが、警報だけ ではなく、いまおっしゃったパネルに関しても検討に入ろうとしています。これは、い ろいろな所でいろいろな先生方から私も聞き、何とかしようという考えを委員長として も持っています。これを実行するには、非常に大変なことがあります。いろいろな種類 があり、それぞれメーカーの考え方も違います。ただ、例えば緊急のスイッチの場所な ど、最低そのぐらいは決められないだろうかというアイディアがあって、皆様方に検討 するようにお願いしています。これをやるときには、私たちだけでは駄目で、実際に使 う現場の看護師さん方のご意見を聞き、さらには行政のほうからある意味での形をとっ ていただくことをしないと、なかなか一度にはいかないと思うのです。そういう意味 で、私は三者と申し上げましたが、その三つが一緒にならないと多分難しいだろうと思 います。  もうひとつ、これに関連しますが、現場が非常に混雑している中、時間的に追われて いる中で、看護師が右手と左手が違うことをしなければならないかもしれない。そうい う状態においての作業ということを考えたときに、何か標準化できないかと思うので す。メーカーとして、標準化しろということは、自分たちの特殊性を殺すことになって しまう。そこをどこかで考えて、トレードオフをしない限り、多分安全性は確保できな いのではないか。そのせめぎ合いにものすごく今かかっている。ただ、皆さんも業界 も、そのことに徐々に気がつき始めている段階だと思うのです。即は無理かもしれませ んが、そういう考えを持ちながら動いている、ということはご理解していただければと 思います。その場合に、また看護師協会等にもいろいろお願いすることになりますの で、是非ご協力をお願いします。 ○矢崎部会長  人工呼吸器の警報装置云々というのは、先ほど三宅委員が言われたラベルの交換に等 しいのであって、一歩進めた工夫、パネルの位置その他を統一するとか、基本的な問題 を是非解決していただきたいと思います。当然、人工呼吸器は、例えば手術室で使うも のとか、大学で使うものとか、呼吸器なしでは生命が維持できない患者に付けている呼 吸器とか、使途は全然違うと思うのです。それをみんな同じ高価な人工呼吸器を作って 販売されているというところも問題があるかと思います。人工呼吸器も、ニーズに沿っ たものを作っていただくことが大きな問題です。先ほど三宅委員から、使わない20% と、パネルの統一というお話がありましたが、当然これはある指導でできる部分もある と思いますので、何か今後の対策で、そういう課題について行政のお考えはあります か。 ○安全対策課長  いくつか行政の役割について、お考えあるいはご指摘があったかと思います。私ども がいま考えていること、これまでの姿勢も含めて説明申し上げたいと思います。医療安 全ということで広くとらえて、関係者、ステイクホルダーが多々いる中で、私どもの医 薬局が管轄している医療用具、医療機器、医薬品というところで、安全性の向上のため になすべきことはたくさんあるという認識であり、今日ご紹介したようなところがこれ までの蓄積になっているわけです。  しかしながら、例えば量的なものとか、あるいはまだまだ改善の余地があるのではな いかというご指摘があったと思うのですが、例えば医薬品1つをとっても、あるいは医 療機器1つをとっても、個々の医薬品1つを見れば、あるいは用具を1つ見れば、機能 としては決して瑕疵のあるものではないわけです。要するに、それを単品で使う、ある いは医療の場でちゃんと使っていこうということであれば、そのひとつひとつについて は、間違いのない製品であるということは言えると思うのです。それが医療の現実の中 で、間違いやすい環境の中で、どうやって解決しようかということになります。  ある程度自信のある製品を、さらに変えていくことになる。型を変える、またパンフ レットを変えるなど、すべて変えていかなければならないわけです。それぞれ事情のあ る中で、一歩一歩理解を得ながら、患者の安全のために何とかしてほしいということ で、そうした場を作る。例えば、ワーキンググループなどもそうですが、そういった努 力をこの数年間やってきましたし、今後も続けていくつもりですが、気がついてみると 相当改善され、標準化が進んでいる、というのが現実の姿ではないかと思います。満足 のゆく姿ではないというご指摘があるかもしれません。確かに理想を言えばそうかもし れませんが、私ども行政の立場も含めて、そういう意識の中で、努力をしているという ことは申し上げられると思います。  いくつか安全の問題が出ましたが、もちろん懸命に努力はしますが、やはり私がここ で申し上げたいのは、医療用具や医療機器、医薬品はそもそも不安全な製品である、不 安全なところを残しているものであるということです。関係者すべてが、常に安全に 使っていこうという意識で、緊張して使わないとたちまち牙をむく性質があります。  先ほど、塩化カリウムの話が出ましたが、確かに塩化カリウムはワンショット入れれ ば心臓が止まりますが、経口の糖尿病薬であっても、何杯か飲んでしまえば、あるいは 普通の人が飲めば植物人間になってしまう可能性もあります。危険性というのは、あり とあらゆる所にある。その1つの危険性を取り去ることによって、新たに予期しない危 険が起こる可能性も出てきます。関係者が知恵を集めて、ベストのおすすめプランを積 み重ねていく。これを続けていく以外にはないのではないかと思っています。 ○矢崎部会長  全部取り除くのは難しいわけですが、ひとつひとつ確実に詰めていっていただきたい と思います。 ○三宅委員  例えば、このタキソテールとタキソールの問題にしても、ここに書いてあるように、 こういう札をぶら下げていけばこれで済むのか。こんな馬鹿げたことにお金をかけるの であれば、名前を変えればいいわけで、どうしてそれが出来ないのですかということで す。まず初めに、人間として間違いやすいものは除きましょうという、その出発点がな いのではないかと思うのです。後から後からお飾りを付けて、それで解決するというこ とではないと思うのです。 ○長谷川委員  医療安全の最も重要な資源のひとつは、現場の医療従事者それぞれの注意力だと思う のですが、1人ひとりの注意力には限りがあります。今日、安全性が追求されているの で、あれをせよ、これをせよ、チェックをせよと、大変負担がかかっていると思うので す。私は、機械と薬に関しては、なるべく注意をしなくても済む、つまりそういうこと には注意の時間を使わずに、もっと違うことに使う。あるいは医療の判断にエネルギー を使うという形にしていっていただくのが正しい方向ではないかと思います。たくさん のものに注意を払ってやっていこう、という考え方は間違っていると思います。した がって、三宅委員のご意見には大賛成です。なるべく注意しなくていいような外形、注 意しなくていいような機械の形にしていく。車なども全部そうですね。ブレーキとかハ ンドルの位置は決まっています。そういうふうにして、医療従事者はそのほかの、患者 のほうに注意を向けられるようにしてはいかがでしょうか。  薬についても、例えば副作用何パーセント以上の薬に関しては、色を全部同じにし て、本人も看護師も配るときに気をつけるとか。根本的な発想の転換をして、なるべく 現場の医療従事者に負担をかけないような、そういうシステムを構築することが重要で はないでしょうか。 ○楠本委員  いまの長谷川委員のご意見に大賛成です。いま改善例で回ってきたものを見ても、目 に入れないというのと、目に×印というのがあって、どちらが即断して動けるか。教育 の問題が云々されていますが、基礎教育のときから、これはもう絶対に死ぬんだという ことを繰り返し繰り返し教えていくためには、やはり標準化してひとつの記号を付けて いただく。そういったことを是非お願いをしたいと思います。 ○矢崎部会長  目薬のボトルを変えればまた全然違うのですが、そこが出来ないというのがちょっ と。 ○長谷川委員  基本的なところは標準化で、差別化できないと売れないというのではなくて、私が申 し上げたような剤形を作ることが競争力というか、創意工夫されたものを機械会社なり 製薬会社で作ると、それが良い商品ということで売れていくと思うので、発想が反対で はないかと思います。 ○土屋委員  物の安全と使用の安全ということが去年の対策会議で新たに言われたわけです。その 使用の安全についての基本的な対応の仕方というものが、全くまだ手探り状態で、例え ば物の安全で副作用で何かが起これば、直ちにMRが情報提供をして回るわけです。第 5回のヒヤリ・ハット事例で、ヴァンコマイシンの経口と注射を間違えてしまったとい うのがきたときに、これは副作用のほうで出たならば、すぐにそういう情報提供を医療 機関にするという話があるわけです。  結果として、ヒヤリ・ハット事例の検討会も公開でやられていたり、情報を入手する 術がある。  ホームページからは確かに入手できるのですが、そこにはタイム・ラグがあります。 そういうことから言うと、やはりそういう体制をきちんととって、要するに物の安全に ついての情報の提供の仕方というもののルール、業界内のルールでも結構ですが、それ がないのではないか。薬物間相互作用ということがよく問題になります。しかし、各企 業が対策をとって、規格を何とかしたとか、色を変えたとか、そういうことで見ていく ならば、使用の安全で言えば、それがまさに薬物間相互作用なのです。外観でいくとこ ろの薬物間相互作用です。要するに、お互いが動いているわけで、動いたときにその情 報をきちんとキャッチして、情報を提供することは、やはりやっていかないといけない のではないかという気がします。  心配なのは、資料1−1の1頁目ですが、すでに母集団の数が違う。それでパーセン トを出されても、これは一体何なのかという気がする。販売名の付け方に対する対策を とっても、平成13年5月でもし対象が856品目だとしたら、次の年になぜ488になってし まうのか。同じものを調べたら、変わっているか変わっていないか、どちらかでなくて はおかしいわけで、上のPTPも、確かに全体的に対応しているのが増えているという 事実にはなりますが、このパーセントというのが非常に不安定な状況です。こんなに急 に1年間で、例えばバイアル・アンプルに入っていたものが15品目も増えてしまったの かということからすると、こういうことをきちんと、全体を見る人がいないから問題に なっている。  それぞれ各社は部分は見ていると思うのですが、全体を眺めている人がいないから、 ユニバーサルデザインとか、そういう話が全然統一がとれない。統計1つをとっても、 こういうことになるわけですから、そこら辺をきちんと監視する体制がもしできないの であれば、第三者機関でも何でもいい。どこかが母集団はいくつということをきちんと 教えて、それに対して対応品がいくつかということをやっていかないと、数字のマジッ クになってしまう可能性があるという気がいたします。 ○星委員  今日、来ていただいた業界の方には大変恐縮ですが、いまの我々の発言を聞いて、こ んなに怒っているのかと、たぶん驚かれたと思うのです。我々も、腹に据えかねている 部分があります。もちろん、業界が努力をしていることは認めますし、私たちが自分た ちの努力を棚に上げて、物のせいにしているからこういう発言をしているわけではない わけですが、先ほどの安全対策課長の話は、どうも私たちの心を逆撫でするようなもの があったのではないか。確かに我々の参加による、現場の声を聞きながら改善するとい う努力は前に比べれば良くなった。しかし、三宅委員が発言されたように、それを「業 界の努力」だとか、「そういう人たちも入れて」というような発想ではなく、もっと根 本的に、こういうものの考え方をしていく別の舞台を用意しないとうまくいかないので はないかと思います。  例えば、いまヒューマンエラー部会に皆さんに来ていただいて、私が普段、向こうの 部会、物の部会でワアワア言っていることを皆に言っていただいているような状態なの ですが、これらの部会を分ける必要があるのかどうか、という議論もあると思うので す。問題があって改善しなければいけないことについては、使用する人たち、作る人た ち、規制をする人たちが常にいて、結果として起こったことに対してその評価をきちん としていくという仕組みを、最初から導入してやっていく仕組みを作らなければならな い。もうこれは、業界団体にお願いします、というレベルではないのだと思うのです。  先ほどの物の評価もありました。例えば、「目に入れないこと」と赤い字で書いてあ っても、目の見えない人にどうするんだということを我々は思っているわけです。しか し、皆さんの評価は、何分の何が「目に入れないこと」と書いてありますということな のです。我々からすれば、それこそ「これは何だ」という評価です。皆さんの評価と 我々の評価が違うのに、皆さんは、こういうものを行政に言われたからやりました、そ して何パーセントこうなりましたという。これを評価というのは大間違いです。そうい うことから我々は議論をしなければいけないと思いますので、厚生労働省には責任を 持って、この問題に取り組んでいただきたいと思います。 ○三宅委員  安全管理、品質管理の方から聞いたことなのですが、車とか玩具については、業界の 自主規制と、役所の法規制の組合せがかなりうまくいっていると聞いています。こうい うことは、行政がやらなくてはいけないことは、ちゃんとやるというところが、薬とか 医療用具に関してなされていないのではないか。おそらく、これは通産省とか運輸省が やっているのだと思いますが、業界に任すことと、行政がやらなくてはいけないことと の仕分けがきちんとされていないのではないか、というのが私の感じです。 ○矢崎部会長  議論が佳境に入ったところですが、時間がきてしまい、いつも不満が残っているよう な感じではありますが、一応問題点はいま提示されたように、業界団体の方々は、一生 懸命努力されておられますが、使う側のニーズから言うと、まだまだ問題が多い。今後 も是非努力をしていただきたい。これは、使う側だけの要望では、なかなか目的は達成 できませんので、行政のほうからも、医療安全の対策から、対応をきっちり具体的に やってほしい、という委員の皆さんのご希望ですので、是非、具体化するようにお願い したいと思います。  次の検討課題は、「医療安全対策ネットワーク整備事業の集計結果等について」で す。本日は、第3回ヒヤリ・ハット事例作業検討部会の検討結果を含め、これまでの集 計結果の全体を通して、どのような問題点が明らかになったのか、橋本委員からご説明 いただき、その上で質疑応答をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○橋本委員  それでは、資料2に基づいて説明いたします。いま部会長から話がありましたよう に、1年間やってきて、その分析結果から見た主な課題ということに集約させていただ きたいと思います。1頁は、第5回の集計です。7月から9月まで3カ月間に発生した ヒヤリ・ハット事例に基づいた分析です。重要事例、医薬品、医療用具等の分析は、時 期にかかわらず報告していただいたというものです。  1頁の下に例数が書いてあります。全般コード化情報は8,375事例。重要事例情報が 583例。医薬品・医療用具・諸物品等の情報が201事例寄せられています。  3頁からは、「全般コード化情報の分析」ということで、作業部会に報告されたもの が載っています。「重要事例」については、37頁から載っています。これについては、 後ほど包括的に申し上げたいと思います。147頁には、「医薬品・医療用具・諸物品等 の情報の分析について」ということで、その報告が載っています。いま議論されていた ようなことが、事例として上がってきているということです。  175頁「ヒヤリ・ハット事例の年間分析結果から見た主な課題」ということで、ご報 告させていただきたいと思います。今後の課題ですが、1年間集めてきまして、さらに 対応が必要と考えられる事項をとりまとめました。そして、これらの事項についてさら に検討するために、調査・研究等が必要なものについて申し上げたいと思います。  具体的な課題を、いくつか項目を挙げてありますが、第1番目に、医療機関全体のシ ステムに関連してということです。ヒヤリ・ハットの事例から出てきたことですが、相 変わらず手書きや口頭の指示による解釈の間違い、伝達不十分ということが起こってい ます。情報の伝達エラーということです。また、夜間の問題、多忙の問題がデータから 起き上がっているということです。課題としては、情報伝達に関することも検討しよう ということです。また、夜間の安全対策、要するに人が薄くなるところで起こることに ついても、対応をきちんとしようということです。  従事者に対する研修が、システムに関する次の課題です。新人特有の知識不足が指摘 される事例が出てきています。これは、1年間通してみると、ちょうど今ごろ、経験不 足の方たちのピークが1つ出てくるということが観察されています。そういった問題か ら、特に新採用の職員、配置換え直後の職員等の研修の問題をしっかり検討しなければ ならないということです。  新人が知識不足ということで起こってくるヒヤリ・ハットはあるのですが、もうひと つは、それなりに経験を持っている方でも出てくるものがあります。あとで出てくる人 工呼吸器などがそうですが、それは業務の標準化ということが必要であるという指摘が あります。要するに、教育をしていくことと、業務を標準化していくことでの研修が必 要だろうということです。  2番目は医薬品です。医薬品の取り違いの要因として、名称、外観の類似性等々、今 も議論にあったと思いますが、そのことがヒヤリ・ハットとしても出てきているという ことです。3番目は医療機器です。医療機器は、職種の経験が長くても出てくる問題が あるということです。インターフェースの問題であるということです。  課題として整理した点ですが、ものを改善していくことにより、人の認知不可を軽減 していくという考え方が大事だろう。これは先ほどから議論があったことで、そのこと の確認がされると思います。また、使用の安全ということがあります。こういうことが 昨年4月に大きく概念として出されていますので、そこをしっかり、もう一度検討して くださいということです。  4、5、6が個別の対策です。それまでにたくさん観察されたので、ここをいくつか 個別に検討した成果です。ドレーン・チューブのこと。自己抜去が相変わらず多い、と いうことが出てきています。これらの事例は、時間帯や曜日による発生頻度に変動が少 ないということです。つまり、自己抜去が多いということだろうと思います。これに対 する総合的な対策を考えなければならないということです。また、転倒・転落も同じこ とです。課題としては、「より安全な患者の療養環境のあり方」という、かなり広い言 い方ですが、そういう広い対策が必要であるということです。どこかだけをやっても、 おそらく駄目だろうということです。  6番目は、個別の医療機関のヒヤリ・ハットからは出てこない事例が、こういうふう に集めることにより明確になってきたわけです。10歳以下の患者に関する事例が多いと いうこと、なかでもNICUにおける事例の頻度は、おそらく高いだろう、これが見え てきたということです。これは新しい課題だと思いますので、小児患者や療養環境の特 性を考慮した、小児領域の安全対策を検討しなければいけないということです。  さらには、医療安全対策への患者の係わりということがあります。発見した事例から いうと、患者、家族自身が発見している、指摘を受けたということだろうと思います が、そういうことが少なからずある。これは医療の現場でも随分あることです。課題と しては、「患者の参加」という言い方をしていますが、そういう患者の係わりについて も、大いに検討されるべきだろうということです。  「ヒヤリ・ハット事例の収集・分析・提供システム」という、この作業部会のやって いることに関してですが、ヒヤリ・ハット事例の分析結果が、必ずしも医療機関で活用 されていないということがあるようです。どういうふうに活かしていくかということの 検討がされるべきだろうと思います。また、先ほどやはり議論があったところですが、 重要事例から見ると、これは専門家の間で強く指摘されているのですが、発生要因に関 して、どうしても思い込みとか確認不足とかというのを書いてしまっているということ です。そうではなくて、システムの改善に結びつくような、しっかりした分析をしてい ただきたい。これは、医療機関の内部の問題だと思いますが、そういう分析の視点を しっかりしていかなければ、結局、自分たちが注意不足だということで収めてしまって は改善に結びつかない。そのことを喚起したいということです。  課題としては、活用しやすい形での結果の提供方法を検討しようということだろうと 思います。我々がやっていく中でも、重要事例は素晴らしい情報を含んでいるのです が、それが必ずしも医療機関の中には見えてこないという声が上がってきています。そ ういうことも含めて、せっかく集めたものですので、活用しやすい形を考えていく必要 があるだろうということです。 ○矢崎部会長  多量の資料を簡潔にまとめていただきましてありがとうございました。8,000例に及 ぶ事例の解析でも、今日のご意見にありましたように、教育の徹底、あるいはシステム の改善は大事ですが、やはり一番の基本となるのは、使用安全の条件を整えてほしいと いう、それが8,000例以上の事例の解析の結果でありますので、委員の皆様方が先ほど から何度も言われている、使用安全はどうしたらいいかということを、是非実現するよ うな方向で検討していただきたいというのが、このヒヤリ・ハット事例収集事業から得 られた実感であり、そのエビデンスではないかと思いますので、今後ともよろしくお願 いしたいと思います。  本日は、厚生労働科学研究の研究結果について、2つの研究班からの報告をお伺いし たいと思います。まず始めは、人工心肺の安全マニュアル作成に関する研究について、 JR東京総合病院の川内心臓血管外科部長からご説明をお願いいたします。 ○川内参考人  資料3−1、「人工心肺の安全マニュアル作成に関する研究」です。人工心肺は、心 臓と肺の機能を一時的に代替し、心臓手術や大血管の手術を可能にするシステムです。 具体的には、生体の静脈ないし右心房から血を脱血し、また術野に出た血を吸引し人工 肺、すなわち酸素加装置に導いてガス交換を行い、これを必要に応じて冷却あるいは加 温して、人工心、すなわちポンプを使って生体内に還血するシステムです。非常に便利 なシステムで、これにより心臓外科手術や大血管手術が可能になっていますが、逆に非 生理的であるために、事故が起きたときの影響が大きいこともあります。今回の研究の 目的は、人工心肺の安全性に関するリスク分析を目的として、文献調査と国内のアンケ ート調査、それに基づいて人工心肺を安全に使用するためのマニュアル作成指針をまと めるということでした。  3頁の下になりますが、人工心肺の安全性に関する論文は、Medline等の文献検索を しても非常に少なく、人工心肺だけだと1万7,000件出てくるものが、安全性や事故を かけると、とたんに2桁に減ってきます。この中で、ほかのものを含めても、使えるよ うな文献は40数件しかありませんでした。それも、EBMに基づいた文献は、コクラウ ン・リサーチの1件しかなく、非常に少ない状況でした。その中で、レトログレートの スタディではありますが、人工心肺の偶発的合併症は、ほぼ人工心肺100〜300回に1 件、重大な合併症は1,000〜1,500件に1件起きているということは、人工心肺による手 術が始まった1970年代から現在に至るまで、ほぼ変わっていないという状況でした。  これらに基づいて、国内の事情を調査するために、平成14年11月にアンケート用紙を 日本胸部外科学会認定施設、関連施設569施設に送付し、61%、351通の回収を得ること ができました。以下にその結果の一部をご紹介します。チーム内で定期的なカンファレ ンスをしている施設は42%、人工心肺のマニュアルを作成している施設は38%、人工心 肺チェックリストを活用している施設が33%、人工心肺危機対策マニュアルを常備して いる施設は15%でした。  また、インシデント・アクシデントに関しては、過去2年間ということで聞きました ところ、494件が報告されました。2001年と2002年の人工心肺症例数をほぼ6万例と考 えると、約119件、101件の比率でインシデント・アクシデントに係わっていたことにな ります。また、そのうち46例が、陰圧吸引補助という、脱血に際して陰圧をかけて特殊 に脱血をする方法に関連していたということも分かりました。インシデント・アクシデ ントの発生部位は6頁にありますが、人工肺やその回路、貯血槽など、ハードの部分に 係わるものが多かったという報告を受けています。人工肺の中でも、酸素加の不良や、 血液・血漿リークなど、ハードの部分が多く、コネクタの破損や空気の吸い込みなど、 ソフトによるものは多少少なくなっています。しかしながら、気泡送血という、人工心 肺の回路から患者にエアを送ってしまうという重大な事件につながりかねないものが、 ほぼ0.09%程度発生しているということも分かりました。これは、米国での発生率とほ ぼ同様です。  これらの結果として、各種のインシデント・アクシデントの発生率は、わが国におい て諸外国と同様の頻度ではあるが、依然として減少していない。わが国の人工心肺実施 施設においては、手術室の環境整備、機器の安全性確保、監視装置の活用、人工心肺装 置保守点検マニュアル・人工心肺操作マニュアル・人工心肺危機対処マニュアルなどの 整備、人工心肺に関する研修など、多方面に及ぶ安全管理に対して、従来以上の注意を 払う必要があることが分かりました。  そこで、研究班員の主に経験から、人工心肺危機管理マニュアル、人工心肺安全管理 マニュアルを作成しました。8頁にその一部をお示ししてあります。上は、手術室の停 電のときに、どのようなことを確認して対処すればいいか。実際には、どういうことが 原因として起きていたのだろうかということを、フローチャートで示したものです。ま た、人工心肺の始業点検、終業点検、定期点検などのマニュアルの点検事項なども洗い 出して報告し、アンケートに参加してくださった施設に配付させていただきました。ま た、この研究の限界としては、人工心肺の安全管理、危機管理マニュアルの作成の資料 とすべきインシデント・アクシデントの発生を速やかに把握することを目的として、年 度の途中で行ったアンケートですので、正確な発生率が確定できていなかったというこ とも挙げられます。また、人工心肺の安全性としては、文献数、内容に限りがあり、マ ニュアル作成は、主として班員の経験に基づいて行われましたので、EBMの論文が ベースにないということもありました。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。  続いて、「医療及び療養環境で使われる諸物品の安全性の問題についての研究」につ いて、三宅委員からご説明をお願いします。 ○三宅委員  資料3−3です。昨年、「医療及び療養環境で使われる諸物品の安全性の問題につい ての研究」ということで、厚生科学研究を行いました。この研究の中で、療養用具の問 題と、医療施設での毒劇物の管理に関する研究の2つをやったわけです。報告書を付け ていますが、この前半が療用具に関するもの、後半が毒劇物の管理についてのもので す。詳しくは、そちらを見ていただければよろしいかと思いますが、簡単にご説明をい たします。  療養環境に使われる療養具についての話です。一昨年から厚生労働省は、「医療安全 対策ネットワーク事業」というのを始めたわけです。この事業が始まった直後に、下半 身が完全麻痺の患者の、電動ベッドの事故が起きました。患者は立ち上がり、横に倒れ て首がベッド柵に挟まって亡くなるという事故です。これが厚生労働省のほうに報告さ れ、そこで明らかになったことは、ベッドとか車椅子とか点滴スタンドとかいうもの は、薬事法における医療用具には該当しない。こういった療養具に用いられている物品 が、日本では薬事法における療養具には該当しない、ということが1つ明らかになった わけです。また、こういう療養に使われているいろいろな物品についてのアクシデン ト、その他についての報告システムもない。ですから、こういうものに関係した事故 が、どの程度起きているかということは、何も把握されていないということが明らかに なったわけです。結局、モニタリングが行われていないということです。  では、外国ではどうかというと、アメリカ、ヨーロッパでは、これは医療用具に指定 されています。米国においては、いわゆるFDA、米国食品医薬品庁が、その規制をし ています。英国においては、NHSの医療用具規制局、MDAが規制機関として規制を している。そして、欧米では、いずれも医療用具として扱われているということです。  欧米の発表でも、ベッドに首が挟まったというふうな図がいくつか発表されていま す。私どもが取り組んだことは、5つの急性病院と1つの老健施設で、アンケート調査 と聴き取り調査をしたわけです。対象物品は、ベッド、テーブル、車椅子、点滴スタン ド、ポータブルトイレ、その他ということで、最も重点を置いたのは、重要な事故が起 きたのはベッドですので、ベッドに関して重点的に調査をしました。  電動ベッドに関しては、死亡事故とか骨折という事故、転倒・転落も多いということ です。事故の重大なものとしては、ベッド柵が関係して、ベッド柵に首が挟まって亡く なるとか、挟まっていたとか、胴体が挟まったとか、骨折したというのもあります。原 因は何かというと、やはり患者の状態がさまざまである。子供から年寄りまで、急性期 の病院でもお年寄りが増えているということがあります。また、患者の体形の問題とか 病状の問題、運動能力の問題、そういったものが関係している。また、医療従事者がそ の操作にどの程度習熟しているかという問題もあります。また、その物品がもともと 持っている機能、非常に高度化された機能とか、いろいろな物品の組合せの問題、物品 と周囲の環境との関係、そういうことでこういう事故が起きているということです。  安全対策の問題点としては、医療機関による原因として、患者の多様性、用具におい ては、可動を主とする用具と、固定をして用いる用具との差があります。大事なこと は、医療従事者は、インシデント・アクシデントが起きたときに、その原因を、自分が 巡回するのが少なかったからこういうのを見落としたとか、よく使いこなせなかったと か、結局、与えられたものを使いこなすということで、何とかやり繰りをしていた。そ の物自体が持っているいろいろな問題点を指摘して、改善していくという姿勢に欠けて いたというところが1つあるのではないか。もう1つ大事なことは、業界で新しい安全 性に考慮したものができたとしても、財政的な問題でそれが購入されない、更新されて いないという問題点もあるということです。  先ほど医薬品及び医療用具の方がおっしゃっていましたが、やはり報告・連絡のシス テムがきちんとできていないということです。メーカーと医療現場との間に、非常に大 きい情報格差がある。各医療機関でのいろいろな事例が、製品の開発とか改善に十分活 用されていない。まずは、業界として、あるいは医療施設の側もそうですが、組織的な 情報の発信と受け口が整備されていないということ。現在、いろいろなインシデント・ レポートがありますが、物に関してのインシデント・レポートというものが、もっとき ちんと整備される必要があるのではないかということを指摘しています。今後のいちば ん重要な点は、先ほど業界の方がおっしゃっていたように、医療従事者、いわゆるユー ザーとメーカーと行政が、対等に議論をしていく、検討していく場が必要なのではない か。  医療用具に関しては、3月の末に療養環境研究会というのを作ろうということで、第 1回の会合を持ったところですが、そういう三者の情報が検討される場を設定していく ことが必要なのではないかと思っています。情報発信の仕組みとか、報告書、教育の問 題、そういうことを指摘しています。最後の絵が、検討の場では、こういう形で業界と 医療従事者と行政とが、対等に検討する場が必要ではないかということです。  色付のパンフレット、資料5が、「医療機関における毒劇物の管理に関する研究」と いうことで、やはり同じ医療施設で調査をいたしました。報告書に縷々書いてあります が、これは毒劇物の安全を管理していくためのパンフレットとして作ったものです。こ の研究結果と、毒劇物の管理規定と併せてこのパンフレットを作ったわけですが、毒劇 物の医療機関における管理ということで、医療機関の中に、こういう管理組織が必要だ ということです。また、それを管理していくマニュアル、内部規定と適切な表示が必要 である。医療用毒物、医療用劇物ということを必ず容器に表示してくださいということ です。  ホルマリン等は、希釈するともう毒物ではなくなってしまう。その辺りでいろいろな 問題が起きる可能性があります。それの払い出し、管理の問題があります。できるだけ 中央管理をしたほうがいいということです。保管場所も、きちんと鍵のかかる場所で保 管する必要があるということです。使用量についても管理する必要があるだろう。使わ なかったものは、やはり中央部分にちゃんと返還して、中央できちんと処理される。そ ういう仕組みを医療施設でやるべきである、という指針をお示ししたということです。 ○矢崎部会長  大変貴重な研究結果報告でした。これに対して、事務局では何か対応を考えておられ ますか。 ○医療安全推進室長  資料3−1でお話しいただきました人工心肺のマニュアル作成に関する研究について は、資料3−2に載せていますが、3月17日付で通知を発出しています。中間的なとり まとめ、3月11日付のものをいただきましたので、それを基に、都道府県に医療機関へ の周知等を依頼する通知を発出しています。なお、研究報告書もいただきましたので、 これも併せて都道府県等を通じて発出することにしております。また、この班長である JR東京病院の古瀬院長より、学会等と協力して、これを人工心肺を使用している施設 等に普及できるよう、出版物のような形で用意していただいているとも聞いております ので、普及方に努めていきたいと思っております。  また、三宅委員よりおまとめいただいた医療及び療養環境で使われる諸物品の安全性 の問題については、現時点で医療機関にお知らせする必要があると思っています。でき るだけ早く、また毒劇物のほうは担当部局と協力して、衛生担当主管部局を通じて医療 機関へ情報提供をしたいと思っております。さらに、この内容については、研究がこれ からも必要というご指摘でありますので、引き続き15年度においても、この研究をして いただくと同時に、ご提案いただきました療養環境研究会のような場所を通じて、意見 交換に努めていくということで、今後とも対応していきたいと思っております。  なお、厚生労働科学研究がこのような形で報告書としてまとまりましたら、順次この 場、もしくは他の関係する場に報告し、いろいろご意見をいただきながら、今後の対応 をより的確にしていきたいと思っているところです。 ○矢崎部会長  この問題についても、また時期を改めてこの部会でも検討させていただければ大変あ りがたいと思います。予定の時間が過ぎておりますので、これについてはまた次の機会 に議論ができればと思います。今日は、ご報告いただいたということで終了させていた だきたいと思います。今後の予定について、事務局からお願いします。 ○宮本専門官  次回の日程については、委員の皆様の日程を調整した上で、後日改めてご連絡いたし たいと思います。 ○矢崎部会長  それでは、これで本日の部会を終了したいと思います。委員の皆様には、大変お忙し い中をご出席いただき、かつ、活発なご意見をいただきましてありがとうございまし た。今後のこの部会の検討に活かしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願 いいたします。参考人の皆様には、大変ありがとうございました。                     (照会先)                       医政局総務課医療安全推進室指導係長                        電話 03-5253-1111(内線2579)