03/04/21 第9回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会議事録                    第9回              厚生科学審議会生活環境水道部会                 水質管理専門委員会                    議事録                厚生労働省健康局水道課             第9回厚生科学審議会生活環境水道部会               水質管理専門委員会議事次第  日時 平成15年4月21日(月) 11:00〜15:21  場所 第5合同庁舎専用第21会議室  出席委員(敬称略)   安藤正典、伊藤禎彦、宇都宮暁子、江馬眞、遠藤卓郎、大谷倫子   大村達夫、国包章一、中村栄子、西村哲治、平田強、古米弘明、   眞柄泰基 1.開会 2.議事   (1) 水質管理専門委員会報告(取りまとめ)   (2) その他 3.閉会 ○松田課長補佐  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第9回生活環境水道部会水質管理専 門委員会を開催いたします。  委員の皆様には、御多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうござい ます。  本日は、委員の皆様全員御出席ということになってございます。  それでは、眞柄委員長、よろしくお願いいたします。 ○眞柄委員長  今日は本当にお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。  先回の専門委員会で報告書を作成いたしまして、その後、水道部会で専門委員会の御 報告をいたしました。部会で意見が出ましたことを踏まえまして、専門委員会の報告書 の案をつくり、それを委員の先生方にもお送りいたすとともに、いわゆるパブリック・ オピニオンの手続をとりまして、多くの方々から専門委員会の報告書について意見をい ただきました。本日は、その意見に対して専門委員会としての扱いを御相談しまして、 最終的に、この専門委員会の報告書を作成するということにさせていただきたいと思っ ております。  今日は、午前中から午後まで時間をとってございますので、できれば先生方の御協力 をいただきまして専門委員会報告書を取りまとめたいと思いますので、よろしく御協力 をいただきたいと思います。  それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。 よろしくお願いします。 ○松田課長補佐  資料の確認をさせていただきます。  配付されております1枚目が議事次第でございます。  1枚おめくりいただきますと、資料1、第8回の議事録になってございます。  資料2が「過マンガン酸カリウム消費量と全有機炭素の関係について」でございま す。  資料3「水質基準の見直し等について(案)に対する意見及びその回答(案)」でご ざいます。  資料4「水質管理専門委員会報告修正案」でございます。  参考資料をおつけしてございまして、参考資料1「WHO水道水質ガイドライン第3 版専門家最終会合報告」でございます。  参考資料2『「水質基準の見直し等について(案)」に対するご意見募集について全 意見集計表』になってございます。個別にすべて載せてある表になってございます。  資料については以上でございます。 ○眞柄委員長  それでは、資料は準備されているもので間違いないと思いますが、もし、漏れている ものがございましたら、事務局までお申し付けください。  それでは、まず、先回の議事録でございますが、委員の方々には事前にお送りして目 を通していただいておりますので間違いはないと思いますが、もし、何かお気づきの点 がございましたら、後ほど事務局にお知らせくださるようお願いいたします。  それでは、早速議事に入りたいと思います。議事は、委員会報告の取りまとめでござ います。先ほど申し上げましたように、パブリック・オピニオンについて意見をどうす るか、それを踏まえて取りまとめようということでございます。御存じのように、正式 には3月31日から4月の第1週まで、WHO本部で飲料水ガイドラインの最後の委員会が ございまして、いろいろなことが議論をされました。後の議論にも関係するところがあ るかと思いますので、最初に、そのジュネーブでの会議の概要を簡単に御紹介したいと 思っております。  会議には水道課の浅見補佐もオブザーバーとして御参加をいただきましたので、最初 に浅見補佐から、準備されております資料の御紹介をいただきまして、必要があれば国 包委員、遠藤委員、私も参加をいたしましたので、補足的に説明をさせていただくとい うことで進めたいと思います。  では、最初に、浅見補佐お願いします。 ○浅見補佐  それでは、参考資料1に基づきまして、概要を説明させていただきたいと思います。  WHOの水道水質ガイドラインのファイナル・タスクフォース・ミーティング、専門 家最終会合が3月31日から4月4日に開かれました。場所は、スイスのジュネーブのW HO本部になっております。  参加者は、まだこれは事務局からの正式報告ではないですけれども、約53名というこ とで各国から御参加があり、また、日本からは眞柄先生、国包先生、遠藤先生に御参加 をいただいております。  概要に関しましては、主に4つ議題がございまして、1番として、飲料水水質ガイド ラインの第3版第1巻の見直し、またドラフトに関するパブリック・コメント及びその 回答の方向性について議論が行われました。  また、2番として、ガイドライン第3版逐次見直し方式の実施計画について、Rolling  Revisionの実施計画について討議が行われました。  3番については、ガイドラインの発展性に関して今後の方向性と方法についての議論 が行われております。  4番に関しては、ガイドラインの最終調整において事務局側で留意すべき事項につい て議論が行われました。  ガイドラインの構成に関しましては、5番のところに示されておりますように、第1 章から第10章にわたるものでして、原案にほぼ沿ったものです。3ページ目に「会合の まとめ」があり、そちらで全体の説明をさせていただきますと、飲料水の水質ガイドラ インに関しては、ガイドライン値のみを記述するのみならず、水の安全性全体を確保す るために、計画全般について水道版HACCPであるWater Safety Plans、すなわち「水 安全計画」を策定することを推奨する内容となっております。これは、地域の実情に合 わせて目標を定め、目標を達成するために計画を策定し、計画的に監視を行うという手 法であり、これについて議論が行われました。  今回の会議では、全体をWater Safety Frameworkという形で、第3章に示されまし たような健康に関連する目標の設定、及び第5章のサーベランスと併せて、全体をまと めて事業計画を定めていくことが必要というような議論になっております。これに関し ましては、まだ最終案の図のようなものは提示されていないのですけれども、今後この ような計画が必要だという記述になると思われます。  また、国や地域、対象となる事業体の規模によっても、このような計画は大きく異な る性質を持つと考えられております。  今後の予定として、2005年には、今回の原稿ができているものの決定されなかった項 目ついて、第1次ローリングリビジョンとして見直しを行っていくことが定められまし た。  また、フェーズ2では2006年を目標に、原稿がこれから定められる項目について順次 見直しを行っていくという方向性が示されております。  また、2008年には、ガイドラインの第4版を準備したいという事務局からの案が示さ れました。これはドリンキングウォーター・ガイドラインが定められてから50周年に当 たるということもあり、2008年には第4版を出版するという方向が示されております。  また、毒性評価、暴露量につきましては、IPCSの評価を中心に行う体制に移行すると いう原案も出されました。  もう一枚おめくりいただきまして、化学物質に関しての各論になるんですけれども、 これはどのような項目が変化をしたかというところを表に示したものであります。これ は4月17日現在の事務局案からの仮訳になっておりますので、今後も若干の変更の可能 性があることを御了承いただきたいと思いますが、このように第2版から変更なしの項 目、新しい情報に基づき若干の修正が行われる項目、また新たなガイドライン値が示さ れるものと、Rolling Revisionに回すということが決められた項目というのを表にし てございます。  「NGV」となっておりますのは、今回ガイドライン値を提案しないというような方 向の物質に関してで、また微生物に関しても大きな記述の見直しが行われまして、詳細 に記されるとともに、微生物の問題の重要性というものも強調されるような内容になっ たというのが全体的な報告でございます。  以上です。 ○眞柄委員長  それでは、国包先生、何か補足的なことがあれば。 ○国包委員  特にこれということはないですが、あえて申し上げれば、今の御報告にもありました ように、Water Safety Plansというのがやはり今度のガイドライン改訂の一つの重要 な目玉であると私は思っております。内容については改めてお話しいたしませんが、要 は、水道のシステム全体を通してあるいはあらゆる業務を通して、水道水の安全性をど ういうふうに確保なり保障をしていくかということに関する計画とお考えいただければ いいと思います。こういった考え方は非常に重要ですし妥当だとも思っておりまして、 この専門委員会でもこれまである程度はこれに関連するお話もさせていただいているん ですが、今後こういったことを我が国でどういうふうに取り組んでいくかとか、あるい は活用していくかといったことが大事な課題になるだろうと思っております。  以上、簡単ですが補足させていただきました。 ○眞柄委員長  では、遠藤先生から。 ○遠藤委員  私も特に追加する内容はございませんが、印象的な点を申し上げますと、微生物関係 では従来の糞便汚染など外からの病原体の混入という問題加えて、配管系で増殖する病 原体に注目を寄せられているという印象を持ちました。微生物に関しましては、ガイド ラインの第7章で扱われているのですが、微生物関連の記載と化学物質に関する記述と をいかにハーモナイズさせていくのかというところに苦心ししまして、文章的にも大幅 に修正が加えられたという印象を持ちました。  それから、水道水との接触の方法は、飲む、接触する、飛沫で浴びるといったいろい ろな形があるのですが、接触方法の違いによって発生する感染症も異なってきます。そ の辺を整理したというところが、新機軸といえます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  では、私も。3ページの7「今後の予定」のところで、一番最後に「毒性評価、曝露 量についてはIPCSで行う体制に移行する予定」と書いてありますが、基本的にはそう いうことであります。しかし、内容の深刻さを申しますと、トリハロを含めて揮発性の 有機化学物質に対して、インハレーションの影響をどう評価するかということが、結局 は結論が出ないままに終わってしまいました。それが、トリハロを含めて多くの消毒副 生成物に関して、第1次のRolling Revisionに移った最大の理由であります。そうい う意味で、TDIあるいはADI自体は出てくるわけですが、それを水と食品と室内空 気と言っていいと思いますが、それの割り振りをどうするかというところがはっきりし ないと決められないというのが結論であります。そのために、暴露量評価に関して既に いろいろな形で我が国でもアメリカやカナダでも行われておりますが、我が国でも水道 水を中心においてというか、室内空気で言うと水道水中の消毒副生成物、アルデヒドも そうでありますが、それの寄与率が非常に高い。そういう意味で水道水がソースである ものに対して、暴露量評価に関する研究を更に積極的に進めないと基準ができないとい うことが、タスクフォースの委員会で繰り返し議論になりましたので、そういう観点に ついての研究がこれから必要になるだろうと思います。  同じような話は、実は我が国では水道水質基準の体系に入っておりませんが、ラドン もそれに類するわけでありますので、そういう意味では、これまではデフォルトで消毒 副生成物に対しては20%をとってきたわけですが、カナダやアメリカ、ヨーロッパと3 つの国で違うことを言い出して、結局はまとまらなくなってしまったという背景があり ますので、そういう点について我が国としても知見を重ねていくことが大事ではないか と思いました。  それから、もう一点は、化学物質の分析法につきましては、西村先生の御協力をいた だきまして日本側が原案をつくったわけですが、最終原案の段階で、いわゆる試験室の バリデーションのことが話題に出まして、カナダでは水道の水質検査機関は17025ベー スで認証をするようになっているという話が出まして、それについてセンテンスを追加 することになったわけであります。これは、くしくも今回の我が国の水質基準で、やは り水質試験機関のバリデーションの問題が話題になって、それなりの制度を導入しよう としておりますが、国際的にそういう方向で動いているという認識を持った次第であり ます。  今、西村先生のことを御紹介しましたが、我が国がドラフトをつくる役目を仰せつ かったことにつきましては、国立医薬品食品衛生研究所の長谷川先生、江馬先生初め、 多くの先生方に御協力をいただきまして、後から急いで修正をお願いするようなことも ございましたが、我が国の約束していたものについては、きちんと責任を果たせたとい うことで、関係していただいた先生方には感謝を申し上げたいと思います。  それから、もう一点、非常に印象に残りましたことは、6「全般的事項の変更点」と いうところで、飲料水以外の水の二元供給という項目がございますが、これは両方とい う言い方はあれですが、工業先進国からこういう意見が出たということと、開発途上国 からも意見が出たということであります。特に、開発途上国の方々からの意見は、3月 に開催されました京都で開かれた世界水フォーラムで、2015年までに安全な飲料水の供 給を受けていない人を半減するという、言わば国際行動計画が改めて再認識されたわけ でありますが、開発途上国の参加者からの意見で、とてもパイプド・ウォーター・サプ ライで飲める飲料水を供給する施設にまで向上させるのは2015年までは非常に困難が伴 う。最低限必要な飲み水はほかの手段で供給するにしても、今、既存の実質的には飲め ないパイプド・ウォーター・サプライの水質をどうしたらいいかというのをWHOで考 えてほしいという非常に強い意見が出ました。工業先進国の方は飲用水道と雑用水道と いう話で、雑用水道の基準もWHOで考えてくれという話があって、両方から飲料水以 外の水道の話題が出てまいりました。  WHOの1984年からのガイドラインの歴史の流れからいきますと、今の目次でありま す、いわゆる快適性、我が国の水道で言えば水道水の性状に関する項目というところを 旧WHOのガイドラインから切り離して、健康影響リスクに関するものについてガイド ラインを定めるんだということでずっと流れが来ましたが、今回のガイドラインで、先 ほど遠藤先生も言われましたけれども、暴露の経路というものを考えて、水の供給の体 系に応じた基準なりガイドラインなりをつくっていかなければならないんだということ が表面化してきたというような印象を受けました。  そういう意味で、この専門委員会の次の課題として、健康影響に関する水質基準と有 すべき性状に関する基準と別途考える必要があるのではないかというようなことも委員 会の報告で入っておりますが、そのようなことが我が国だけの問題点ではなくて、世界 共通の問題点になっているんだということを認識したわけであります。  私の印象はそんなところですが、個々の化学物質につきましては4ページからガイド ラインの案が出ております。基本的には、これまで案で出されてきたものとそれほど大 きく変わるわけではございませんが、Rolling Revisionに移りましたのは結局はIPCS、 CICAD、JMPR、JECFAが現在見直しをしている項目については、それの結論が出るまで待 とうということでRolling Revisionに移ったわけでありまして、実質的には、この間 までWHOのホームページで出ていたものとそれほど変わるものではないだろうという 印象を受けました。大体そんなところであります。  ということで、この報告について何か委員の先生方から御質問があればいただきたい と思いますので、よろしくお願いします。どうぞ御遠慮なく。 ○宇都宮委員  1,4−ジオキサンはもともとRolling Revisionの方にあったのでしょうか?何か理 由があってそちらへ移ったのですか? ○眞柄委員長  いいえ。1,4−ジオキサンはもうガイドラインの値も出ていて、それでいいではな いかということだったんですが、CICADで今リスク評価をやっているところだと、もう じき終わると。内容はもうEPAもやっていますので変わるものはないと思いますが、 要するに、IPCSのグループのやることをベースに動こうという方針で1,4−ジオキサ ンが入りました。  石油については1次に入っていますけれども、これはもう無理だと思います。という のは、石油というのはいろいろなものが一緒に入っていますので、多分こういうものは いつまで経ってもガイドラインはできない性格だと思いますが、ジオキサンについては 先ほどお話ししたように、MTBEも同じですし、シアンについても同じです。という ので、先ほど浅見補佐から御紹介がありましたが、第1次に入っているものは既に原案 が実質的にできている。その原案をEHCなりCICADの結論と変わらなければすぐ印刷 に入る、そのような性格のものだと理解をしていただければ間違いないところだと思い ます。 ○宇都宮委員  もう一つお願いします。消毒副生成物のところで、1次と2次とありますが、どう違 うのでしょうか。 ○眞柄委員長  消毒副生成物で2次になっているのは、イソシアヌル酸が2次に入っております。イ ソシアヌル酸は、我が国では浄化槽の消毒薬に使われているんですが、もともとイソシ アヌル酸が上がってきたのは追補のときにも上がってきたんですが、難民キャンプの緊 急用の消毒剤でイソシアヌル酸が使えるのではないかということで、イソシアヌル酸の 評価を始めたんです。ところが、前の見直しのときに、ドイツのどこの大学か忘れまし たけれども、どこかの大学のドクター論文で、イソシアヌル酸の原体か不純物か何か知 りませんが、細胞毒性があるんだというデータが出てきて、そんなものは使えないとい う話になって、ずっとそのまま引っ張ってきて結局、JECFAの方でイソシアヌル酸の評 価をしてもらおうではないかということになっていて、イソシアヌル酸の結論がまだ出 てきていないので待とうというので第2次になりました。  ほかのトリハロから抱水クロラール、アルデヒド、その他につきましては、もう原案 が出ているのでありますが、今CICADでもう一度見直しをしている。特にインハレーショ ンのことについて見直しをしている。そのインハレーションの結果が出るのを待とうと いうことになりました。建物の構造によってあるいは水の使い方によって、この辺の消 毒副生成物の空気中への移行のメカニズムと、それから、換気のシステムによって濃度 が変わるというのは当然でありますので、我が国の環境条件で水道水が原因のこれらの ものが呼吸を通じてどういうふうに暴露されるかというようなデータを蓄積していかな いと、今回、一応トリハロなどは基準に入っていますが、より科学的に根拠のある基準 を定めようとすると、そういう研究が必要になってくるということでありまして、ご紹 介したわけです。  以上です。  ほかはいかがでしょうか。 ○安藤委員  8ページの「衛生上用いられる農薬」で「メソプレン」というのはこれでいいのかな と。ちょっと調べておいてください。 ○眞柄委員長  「メソフィレン」か「メソプレン」か。殺虫剤ですね。 ○安藤委員  私も記憶が定かではありませんが。 ○眞柄委員長  ほかにありますか。よろしゅうございますか。  それでは、そんなようなことがあるということで、WHOといえども現在の科学的な 根拠について、全体として合意されたものではなくて、議論をした上で現段階でこれで いこうではないかというコンセンサスを得たものについてガイドラインが定められてい ると御理解いただければと思います。  それでは、続きまして、安藤委員から前回いろいろとほかの委員からも御意見がござ いました過マンガン酸カリウム消費量と全有機炭素の関係につきまして、更に検討をし ていただきまして概要をまとめていただきましたので、安藤委員から資料2に基づいて 御説明をいただきたいと思います。では、安藤先生お願いします。 ○安藤委員  それでは、簡単に御報告申し上げます。資料2でございます。  これは、平成14年度の厚生科学研究のWHO云々という眞柄班というものがございま すけれども、私はその中の一般有機物の班をまとめさせていただいております。前回ま でで過マンガン酸カリウム消費量とTOCの関係ということで文献上からいろいろリ サーチいたしまして、その中からTOCとして5mg/Lということが妥当ではないかとい うことを申し上げましたけれども、我が国の水道原水、それから、水道水の状況という ものはどうなんだというのがどうしても気になるということがございましたので、もう 3年目になるんですが検討をしてまいりました。それが、これでございます。大体20あ るいはもう少し多いんですが、その水道事業体の原水及び水道水につきまして、TO C、過マンガン酸カリウム消費量、そのほか幾つかの項目、例えば、E260だとかその ほかの幾つかの項目について、すべてデータをとっていただくという作業をしていただ きました。それが、ここに書いてございます結果で、最終的には相関関係がどういう状 況になるかあるいは相関関係がないのかということについて、いろいろ検討したという ところでございます。  その結果、「研究要旨」というところに書いてございますように、水道原水及び浄水 2,200検体について全国調査をやった結果、Y=0.31X+幾つ、それから、原水のみでや ると0.3X+幾つ、それから、浄水でやると0.47X+幾つというふうに、非常に過マンガ ン酸カリウム消費税量とTOCの相関関係がいいということ、関係式ができるというこ と、それから、相関係数あるいはR2というものが非常にいいということから、今回提 案いたしましたTOCが0.5mg/Lで非常に妥当性が証明されたと考えています。  以上でございます。 ○眞柄委員長  では、これについて委員の方から御意見がありましたら、どうぞお出しください。  国包先生、何かございますか。 ○国包委員  特にありませんが、若干疑問に思いましたのは、これまでもこういったことについて は既に安藤先生の方から御報告いただいておりますし、今日改めてこういったことでお 話が出る趣旨というのがよく理解できなかったものですから。 ○安藤委員  今まで議論してきたことは、主に文献データでお話をしてきたということでございま す。水源と水道水、いわゆる限られた水源でのいろいろな情報は、前回までの報告のよ うであったということです。ですが、我が国全体としてはどうだというデータが全くな いと言っていいと思うんです。個々の河川のデータはあるけれども、日本全体としてど うだというデータが全くないというのが実情でございます。それについて、我が国全体 としてはどういう値になるかということを調べたということでございます。 ○国包委員  わかりました、ありがとうございます。 ○眞柄委員長  それを踏まえて何かありませんか。 ○国包委員  内容といいますか結論としては、これまでの考え方が妥当であるということの更なる 裏付けだということですので、私はこれまでの考え方で特に変更は必要ないと、これか らも思っております。 ○眞柄委員長  古米先生、何かありますか。 ○古米委員  この資料についてですか。この資料では、結論的にはTOCでいいということですけ れども、検討されたデータとしてはE260に関する御説明がなかったようです。相関関 係のデータプロットには何か2つグループがあるような気がします。説明とは直接的に 関係ありませんけれども、何か面白い話があるのかなと感じました。 ○安藤委員  つまり、E260と過マンガン酸カリウム消費量あるいはTOCと、それぞれに関係は あります。非常にいい相関があるというのはわかっています。どちらかというと、原水 でE260とは相関が非常に高かったなと思っております。浄水ではむしろ相関は若干悪 かったかなと思っております。当然処理をしてしまってE260というのは消えてしまう ということになるので、そういうところで、浄水と原水とのグルーピングがそこである 程度出てくるのかなと思いました。 ○大村委員  水質の基準とは直接関係ないんですが、例えば、原水の中の有機物が同じだったら、 過マンガン酸カリウムとTOCの関係は一つの直線に乗りますよね。そうしますと、例 えば、この関係によって実際に中の有機物の質的なものの差をみることが、できると思 います。したがって、浄水場の違いや処理形態による違いによって生ずる水質の差や、 浄水システムにおいての有機物の特性というものが出そうな感じがするので、これは何 かうまい具合に使われたらいいのではないかという気がしました。これは基準とは別で すけれども。 ○安藤委員  当然処理をすれば質の変わったTOCという形になって存在しているわけで、そうい う可能性は十分あるだろうなとは考えております。 ○大村委員  ですから、そういう意味でいくと、処理された水には除去されやすい有機物は残って いないので、浄水の方が恐らく有機物が均質化していて、案外TOCとの間に相関が高 いのかなと思ったら、浄水だけだと大分低いですよね。その原因として別々の処理を 行っているところを一緒にしてしまっているからそうなっているのかどうか、その辺の ところが興味があるんです。一緒にしてしまっているからそうなっているのか、その辺 のところが興味があるんです。 ○安藤委員  前回までの報告の中で、大体浄水のTOCというのは相関が出るようなものではなく て、ある一定の値以降を保っているという感じは受けております。ですから、余り処理 場との差というのは出てこないという感じはいたしました。 ○眞柄委員長  特に御意見がないようですので、これで一応終わりたいと思います。ありがとうござ いました。  先ほどガイドラインのところで、見ていてこれを言うのを忘れたなというのがありま して、12時までですからもうちょっと話をさせてください。  1つは、WHOでの次の取り組みの段階で、必須元素の関係をどうするかということが 話題になりました。つまり、人の健康を保持するためにある量以上摂取しなければなら ないミネラル分というのは当然あるわけで、セレン等いろいろあるわけですが、それか ら、必須元素がないということによるリスクと、今度はずっと摂取量が多くなってきて リスクが出てくる、そういう特に金属関係についてどう考えるかという、それも暴露量 との関係と非常に深いんですが、そういう議論をもう少し丁寧にしなければいけないの ではないかということが議論になりました。これまでは、飲料水の水質ガイドラインと いうのは、健康影響リスクを管理するためのガイドラインであって、必須元素の問題は 栄養の問題であって水道水の水質基準では取り扱わないというルールでずっと進んでき たんですが、今回もそうですが、バリウムやマンガンや銅やマグネシウムということに 関係する団体と言った方がいいと思いますが、そういうところから、これは必須元素で あるから有害の金属ではないんだと、必須元素であるんだったら、どれくらいまでは必 須元素として必要だということをガイドラインの中にきちんと科学的な根拠を入れてほ しいという要求がパブリック・コメントでたくさん来ました。そういうこともあって、 今回は間に合わないものもありますし、ガイドライン値を示しているものもあります が、Rolling Revisionの段階で必須元素をどう扱うか、水質ガイドラインあるいはW HOに加盟している世界の国々や地域がそれぞれの国の基準をつくるときに、どう配慮 しなければならないかということを次の課題にしようというのが議論されました。  それから、もう一つは、いわゆる事故時とか災害の時に、どこまでの水質が許容され るかということが議論になりました。それも、より具体的に検討しようということに なっております。現段階のガイドラインの中では、USEPAのヘルス・アドバイザリー、 それから、カナダ政府、イギリス政府が、やはりアメリカのヘルス・アドバイザリーの ような、いわゆる短期間暴露に対しての毒性評価を示しておりますので、そういうもの の資料あるいは情報を入手するためのWebサイトをきちんと明確にするということと、 それから、いわゆる今TDIの10%までとっていますが、TDIまではごく短期間であ ればトレラブルであるという文章がガイドラインの中に入るように原案が準備されてお ります。いずれも今後の課題でありますが、そういうようなところが議論をされまし て、少しずつ本文の中に盛り込むようになっているということを追加させていただきた いと思います。  あと、微生物関係では、結局、大腸菌しかガイドラインの値は出なかったんですが、 クリプトやあるいは次のターゲットとしてウイルスが焦点に上がっているというような ことについて、遠藤先生からもう少し説明していただけるとよろしいかと思います。お 願いします。 ○遠藤委員  私の理解では、今回のWater Safety Plansというものをつくった背景には、微生物 対策、特に塩素耐性を持つ微生物への対応が1つのきっかけになっているのであろうと 理解しています。そういう観点からすれば、わが国の水質基準改正でもそうですが、今 後の浄水処理は基本的にWater Safety PlansなりHACCPの概念の下で管理されること が前提であり、その先に品質管理としての微生物基準が存在するものと認識していま す。従って、クリプトスポリジウムであるとか個々の病原微生物を列挙して、それらに 一々ガイドラインバリューをつけていくという作業は行わないというのが一致した意見 です。今回の改定では,この点が強くうたわれていると理解しております。  これに呼応して、今回の我が国の水質基準に関しましても微生物には同じような対応 が望ましいのだろうと思っております。  少し具体的なことになりますが、新ガイドラインでは化学物質の個票のような形でい ろいろな病原微生物を挙げてありますが、そこではウイルス、細菌、寄生虫の専門家が 集まって書いております。その結果、微生物個票は説明が明瞭になっているとという印 象も持ちました。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  何かありますか。特になければ、午前中の部分は終わりたいと思います。予定どおり 1時から再開したいと思いますが、委員の先生方には、参考資料2のパブリック・コメ ントの集計表、それから、資料3の意見を取りまとめた事柄に対する回答案、そして、 委員会報告に対する修正案を事務局で準備していただいておりますので、お昼休みに少 なくとも資料3には一応お目通しをいただいて、午後の委員会の審議がスムーズに行く ように御協力をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、1時から再開いたしますので、よろしくお願いします。                   (休憩) ○眞柄委員長  それでは、定刻になりましたので、委員会を再開したいと思います。  先ほどお話しいたしましたように、パブリック・コメントに対する意見とその回答に つきまして、水道課と御相談しながら基本的な考え方の案を作成いたしましたので、委 員の方々にその案を御紹介、御意見をいただいて、回答案をまとめ、それを踏まえて報 告案の最終案をセットしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  一応、進め方としては、見直し案についての報告の章ごとに進めていきたいと思いま す。  では、事務局から最初の概要と第1章の基本的考え方について御説明ください。 ○岸部水道水質管理官  本水質管理専門委員会報告案につきましては、前回の専門委員会におきましてお取り まとめいただきました。その後、生活環境水道部会に御報告をいたしまして、多少コメ ントをいただきまして修正した後、去る3月14日から今月の13日まで1ヶ月間にわたりま して、厚生労働省のホームページ上で広く各界からの御意見の募集を行いました。その 結果、この1ヶ月間に105の団体、個人から項目にいたしまして402の項目にわたりまし て御意見、要望、質問などが寄せられたところでございます。  具体的にどのような御意見が寄せられたかにつきましては、参考資料2という形で受 付順に並べてございます。多くは水道事業者あるいは20条機関でございまして、水道法 に関する質問ですとか、過去の行政通知に関する質問あるいは補助制度の要望といっ た、本報告書の内容に直接関連しないというものも多く含まれております。そこで、水 質管理専門委員会報告案の内容に関する御意見とか要望、質問に限りまして、その主要 なものを要約してここに抽出したということでございます。  まず、用字法でございますけれども、いろいろ御指摘いただきました。それぞれの用 字法につきましては、私ども事務局と担当の先生と御相談した上で再度見直しをさせて いただきたいというようなことで回答に代えさせていただければどうかと思っておりま す。  それから、化学物質名につきましてはIUPAC名を用いるべきという本委員会でも御指 摘がございました。当然のことでございますけれども、これまで従来名で議論させてい ただいたというようなことで混乱を避けるために、本報告では慣用名で整理をさせてい ただきたいということでございます。なお、私ども今後措置をとるわけですけれども、 その措置をとるに当たってIUPAC名の形で整理をさせていただきたいと思っております。  以上が全般的なところでございまして、早速、第1章「基本的考え方」の部分でござ います。  1つ目の御意見でございますけれども、水道水源の保全対策についても言及すべきで あるというようなことでございます。答えの案といたしまして、当然のことながらそう いったことは重要でございます。ただ、今回の検討というのが水質基準の設定に重点が 置かれるということ、それから、本報告案においても必要に応じてこの重要性について 言及をしているというようなお答えにしたらどうかということでございます。  2つ目が、水道財政の圧迫によって逐次改正には対応できない。また、自己検査体制 の崩壊が懸念されるというような御意見でございます。答えの案といたしましては、水 道に限らず、地方公共団体の財政が悪化しているというのは承知しておりますけれど も、やはり水質というのは安全な水の供給の原点でございますので、最新の科学的知見 に照らして適宜基準改正を行っていくということでございます。  それから、自己検査体制の崩壊でございます。これにつきましては、第6章で具体的 に述べていますけれども、水質検査につきましては高いレベルのものが求められておっ て、自己検査を行うか、あるいは委託するべきか、各水道事業体の状況に応じて十分検 討いただく必要があろうということでございます。  最後ですけれども、水質検査計画の実効性を高める観点から、その策定に関する事項 は法律事項として、その内容については政令ないし省令で定めるべきであるということ でございます。これにつきましては、私ども法令の形式はどのようになるかというのは まだ検討中でございますけれども、何らかの措置を講じたいと考えております。その意 味で、本委員会としてはここに書いてございますように、行政において措置がとられる と理解しているというようなお答えにしていただいたらどうかというようなことでござ います。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。最初の基本的な対応と第1章の「基本的考え方」につきま して、意見を集約した形で大きく3つの点について解答を準備いたしましたが、これに ついて御意見ございましょうか。 ○伊藤委員  前段の化学物質名のところですけれども、これはただいまの説明で結局、水質基準の 表の中では修正は行われるのでしょうか、行われないのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  今、御説明申し上げましたとおり、今回この報告をいただいた後、水質基準の改正を したいと思っておりますけれども、その改正の省令におきましてはIUPAC名に整理をさ せていただきたいと思っております。ただ、報告書の中ではここに書いてございますよ うに、慣用名で整理させていただいたらば議論が混乱しないでありがたいかなと思って おります。 ○伊藤委員  だから、水質基準表の中では訂正されるんですね。この報告書としてはこのままだけ れども、実際にオープンになる基準の表としては違うものが出てくると。 ○岸部水道水質管理官  法令上の水質基準の省令におきましては、IUPACで再度整理をさせていただきたいと 思っております。 ○眞柄委員長  IUPACあるいは学術用語。 ○岸部水道水質管理官  基本的に、化学物質につきましてはIUPAC名で整理をさせていただきたいと思ってお ります。 ○眞柄委員長  例えば「濁度」なんてありましたか。 ○岸部水道水質管理官  ありません。 ○眞柄委員長  でしょう。 ○岸部水道水質管理官  それは化学物質ではございませんので。 ○眞柄委員長  そういう意味ですね。わかりました。  ほかにございますか。よろしいですか。  江馬先生が2時ごろにはというお話ですので、できるだけ江馬先生に関係していただ いているところを進めたいと思いますので、II「病原微生物に係る水質基準」はちょっ と後回しにさせていただけますか、お願いします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、III「化学物質に係る水質基準」でございます。  1点目は、本専門委員会でもご議論いただきましたけれども、人の健康の保護のため の項目と生活上の支障を生ずる項目とでは性格が異なっている、そのために、その性格 に応じた位置付けを区別すべきであるというような御指摘をいただきました。これにつ きましては、私ども再三御説明申し上げてございますけれども、現行の法制度上は人の 健康の保護、生活の利便上の観点から水質基準を設定するということになっております が、一度設定された水質基準については区別はない、同列に扱うべきものと考えられて おります。そのために、この報告書におきましてもそのような扱いをしていただいてお ります。ただ、ここで指摘された点につきましては、前回、眞柄委員長の方でおまとめ いただきましたように、現在の法律の考え方がいいものかどうかということにつきまし ては、今後の検討課題というようなことで本報告書の課題に掲げられているところでご ざいます。  それから、2点目といたしまして、水質管理目標設定項目について水道事業者に一定 の義務付けをする必要があるという御指摘でございます。このお答えでございますけれ ども、これは結論を申し上げますと、義務付けを行う必要はないというお答えでござい ます。もし、義務付けをする必要があれば、水質基準項目にするというのが今回の整理 だということでございます。  それから、要検討項目でございます。要検討項目は、試験方法が確立されてから提示 すべきである。それから、要検討項目のうち塩化ビニルについては、水質管理目標設定 項目とすべきであるというような御指摘でございました。これらにつきましては、本委 員会で御審議いただいた結果、直ちに水質基準あるいは水質管理目標設定項目に分類す るだけの十分な情報がなかったというようなことでございます。本来ならばこれで注意 喚起のために提示するということではないんですが、情報公開の観点からここで提示し たというような回答になってございます。  次の御指摘でございますけれども、住民同意を条件とするならば、省略不可項目につ いても水道事業者の裁量に委ねてもよいのではないかというような御指摘でございま す。今回、この報告書案で省略不可能の項目とされておりますのは、病原微生物による 汚染を疑わせる項目、それから、消毒剤・消毒副生成物に関する項目である。これの項 目については、すべての水道事業者に通じることであり、検査をしていただく必要があ る。省略不可項目、この21項目については事業者の裁量には委ねられないというような お答えでございます。  次に、省略項目の選定は非常に難しい。それから、「検出しない」ということで安心 感になるのではないかということで、省略について全国一律とすべきではないかという 御指摘でございます。それにつきましての答えといたしましては、省略項目の選定を行 うためには原水の状況ですとか浄水処理の状況を十分把握する必要がある。そういった ことは当然でございますけれども、そういうことが水質管理の質の向上に寄与すると考 えられるので、この報告書で示した柔軟性については維持すべきであろうとお答えした らどうかと思います。  次に、シアンについて、従来どおり省略不可項目から外すべきではないかという御指 摘でございます。シアンにつきましては、本専門委員会でも2回にわたって御議論いた だきましたけれども、本報告でシアンが表すものは遊離のシアンイオン、それから、そ の消毒副生成物である塩化シアンでございまして、これらを合わせてシアンということ で基準設定がなされております。その意味から、シアンについては消毒副生成物といっ た側面を有するということから、先ほどの御説明のとおり省略不可項目というようなこ とにしたというお答えでございます。  次の御指摘でございますけれども、1,4−ジオキサンは上水試験法にも登載されて おらず、いきなり水質基準となるのは段階を踏んでいないのではないか。それから、も う一点、監視項目となっていないクロロ酢酸がいきなり基準となるのはおかしいのでは ないかという御指摘でございます。これについては、この基準設定の手続を誤解されて いるのではないかという点が1点、必要があれば当然のことながら水質基準を設定する というようなことでございます。なお、その根拠については既に公表済みの資料に書い てあるというお答えでございます。  それから、次の御指摘は、臭素酸については測定器が余り普及していないのではない か。それから、臭素酸の測定には1社の会社の機器しか測定できないのではないか。そ のために基準から削除すべきであるというような御指摘がございました。臭素酸につい ては人の健康を確保するという観点から水質基準とすべきということでございまして、 機器の普及が進んでいないとの理由から目標に落とすというようなことはできないとい うことでございます。  それから、臭素酸の測定が可能な機器が、今回コメントで指摘があった1社に限らな いということは安藤先生の方で確認をいただいております。そういったことから、臭素 酸については原案どおり基準値を設定するというようなお答えでございます。  それから、臭素酸については、水道用薬品である次亜塩素酸ナトリウムに起因するこ とがあるとの知見があるので、施設基準の早急な見直しが必要であるという御指摘でご ざいます。この点につきましては私どもでも承知しておりまして、私どもといたしまし ても施設基準の薬品の項を改正しなければいけないということは認識しております。そ ういったことから、本委員会としては行政において処理されると理解しているというよ うなお答えをしていただければいいのかなと思っております。  それから、臭素酸の制御方法が確立するまで基準とすることを猶予してほしいという ようなことでございます。これにつきましては、WHOのガイドラインにおきまして も、本委員会の議論におきましても、基準値0.01mg/Lというのは達成可能というか、W HOにおきましては技術的に達成可能な水準として0.01mg/Lがガイドライン値として定 められているというようなことがございます。その意味から、この基準値は適正な管理 で達成できるというようなことで、適用猶予の必要はないというお答えでございます。  次に、原水の性状から凝集不良等が発生する場合には、アルミニウムを提案の基準値 以下で運転することは困難なので、基準とはせずに水質管理目標設定項目としてほしい という御意見でございます。アルミニウムについては10年以上の間、快適水質項目とさ れている、あるいは凝集剤にはアルミニウム系以外の代替物も存在するというようなこ とでございます。今回の基準値も、そういった観点あるいは達成可能な濃度という観点 から0.1mg/Lが提案されましたが、これらと同様の御指摘を踏まえて0.2mg/Lに修正して 原案とされたところでございます。したがいまして、この基準は達成可能であり、水質 基準項目とすべきであるというようなことでございます。  次に、銅についてはWHO並みに2mg/Lとしてよいのではないかということでござい ます。答えといたしまして、銅については生活利便上の観点から1mg/Lが設定されてい るものであり、実際WHOのガイドラインでも生活利便上の観点、acceptabilityから は1mg/Lが設定されているということでございます。  次に、ジェオスミンと2−メチルイソボルネオールの基準への対応は、大幅な施設の 改善が必要であり、水質管理目標設定項目とすべきであるということでございます。こ れに対して、これらの物質につきましては、現に異臭味被害が発生しており、仮に施設 の改善が必要であるとしても、水質基準とすることは適当であるということでございま す。  これから、ジェオスミンと2−メチルイソボルネオールは臭いの観点から設定されて いるものであり、水質管理目標設定項目とすべきであるということでございます。これ につきましては、基本的考え方でも申し上げましたけれども、水質基準というのは人の 健康と生活利便上の要請の両面から設定されるというようなことなので、臭いの観点だ から水質管理目標設定というのは理由がない。したがって、水質基準として設定すると いうお答えをしたらどうかということでございます。  次は、ジェオスミンと2−メチルイソボルネオールについては、基準達成のため施設 整備が必要であり、経過措置と財政支援が必要であるというようなことでございます。 財政措置につきましては、既に私どもの施設整備補助の対象になっているという事実関 係がございます。経過措置についても、本報告において規制の円滑な実施の観点から必 要な経過措置などを設けるよう提言されているということでございます。  次の御指摘でございますけれども、現在の基準や快適水質項目あるいは監視項目に規 定されておらず、本市においては通年にわたるデータの蓄積がない、唐突に基準にする のは性急に過ぎるということでございます。これにつきましても、先ほどのお答えと同 じですけれども、水質基準の設定手続に関しての誤解があるのではないか、必要ならば 設定しますというようなお答えでございます。  次に、非イオン界面活性剤に関する御指摘でございます。排水規制の対象ではない、 原水にも含まれているというようなことで、的確な対応がとれるようになるまで水質基 準とすることは猶予してほしいというような御指摘でございます。お答えとしては、そ のような状況があるので水質基準とすべきであるという判断をしたというお答えでござ います。  それから、非イオン界面活性剤の数値についての御指摘でございます。ロスマイルス 法0.1mg/Lで泡立ちが認められたということで、基準値としては0.1mg/Lとすることが適 当であるということでございます。ただ、当方が参考にした文献では、基準値案で発泡 が認められたということでございまして、後ほど先生方に御検討いただければと思って おります。  それから、これも物質名が省略されておりますけれども、これも非イオン界面活性剤 についての御指摘でございますが、定量下限値から基準値を0.02mg/Lとすることには無 理がある。基準値を考え直すか、検査方法を改善すべきであるということでございま す。確かに、案でお示しした検査方法におきましては、検査方法の定量下限値イコール 基準値だったというようなことがございます。その後、安藤先生の方で御検討を進めて いただきまして、現在0.005mg/Lの定量下限が得られることが確認されております。そ ういったことで、水質検査法の原則である定量下限値として基準値の10分の1というの は達成いたしませんけれども、基準値の0.02というのは問題なく測定できるということ で、原案通り基準値を0.02mg/Lで設定したいということでございます。  それから、TOCに関する御指摘でございまして、100年使われてきた過マンガン酸 カリウム消費量を切り替える必要はないのではないかという御指摘でございます。これ については、まさに本報告で詳述しているところでございまして、有機物指標としては TOCの優位性が明らかであるので、この機会にTOCに変更すべきであるというのが お答えでございます。  それから、TOCに移行することは賛成だが、過マンガン酸カリウム消費量というの は長年使用されてきたので、移行に際しては円滑な移行措置がとられることを希望する というようなことでございます。TOC計というのは既に広範に普及しているというよ うなことで、特段の措置を講じなくても円滑に移行できるのではないかというのがお答 えでございます。  次に、農薬関係でございます。現在、水質基準に設定されている農薬については、基 準として維持すべきである。それから、総農薬方式は化学構造による分類や濃度の足し 合わせ方式を導入すべきであるというようなことでございます。このお答えといたしま しては、近年の検出状況から考えれば、水質基準への分類基準に該当しないというよう なことでございます。ただ、農薬については国民の関心も高いというようなことで、現 時点の知見を踏まえて毒性の程度も勘案して重み付けた総農薬方式を採用して、水質管 理目標設定項目とすることにしたということでございます。当然のことながら、農薬も 含めて水質基準への分類基準に該当するということになれば、いつの段階でも水質基準 に設定するということでございます。  それから、ニッケルや農薬の補助成分などの物質についても水質基準等に位置付ける べきであるという御指摘でございます。お答えといたしましては、当然、水質基準への 分類基準に該当することが明らかになれば水質基準にするということで、逐次改正方式 が有効に機能していくということが重要だというお答えでございます。  それから、水質管理目標設定項目とれさている101の農薬に関して、水道事業者にお いてはその使用実態の把握が難しいことから、対象農薬の把握方法や分析方法等の提示 をお願いする、測定項目を指定すべきであるというようなことでございます。答えとい たしましては、本専門委員会でも議論いただきましたけれども、農薬の使用実態という のは地域によって異なるので、各水道事業者ごとに把握して検査する農薬を選定する必 要がある。各地域で使用する農薬については、農協などで配している防除暦あるいはい ろいろな名前がありますけれども、こういったもので確実に把握することが可能であっ て、もう既にこういった方法で調査を進めている水道事業者があるというお答えでござ います。分析方法については、なるべく早い時期にお示しできるように再確認の作業を 進めているというお答えでございます。  次の質問でございますけれども、水質管理目標設定項目として塩素酸0.6mg/Lを設定 することは、二酸化塩素処理の導入の機会を著しく制限する。それから、塩素酸につい ては現時点で評価値を設定するには研究データが不十分である。水質管理目標設定項目 から削除すべきであるというようなことでございます。これに対してお答えの案ですけ れども、本専門委員会における検討では塩素酸に関する評価値の設定は問題ないという ことでございます。また、WHOにおきましても塩素酸についてガイドライン値として 0.7mg/Lが設定されることになっているというようなことから、この項目を水質管理目 標設定項目とすることは適切なものであるということでございます。  それから、化学物質関係の最後でございますけれども、水質管理目標設定項目におけ る残留塩素濃度を1mg/Lを下げるべきであるという御指摘でございます。お答えの案と いたしまして、よりレベルの高い水道水の要件としては、技術的な観点も踏まえ、残留 塩素濃度は1mg/L以下にすることが適当である。ただ、より低い目標を設定して、一層 のレベル向上に努めることが重要であるということをお答えとしてはどうかということ でございます。  以上、化学物質基準の関係でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。化学物質関係については、リスク評価・リスク管理の観点 と若干後に出てまいります検査方法と関連しているものもございますが、リスク管理の ことも考慮して、検査方法に関係するものもここのIIIに入ってきておりますことは御 承知おきください。幾つかありますが、江馬先生の方から特にコメントが必要なところ があれば。よろしいですか。  それでは、ほかの先生方からIIIのことに関して、意見に対する回答で御意見があれ ばお出しください。 ○古米委員  1つよろしいですか。6ページの上から2番目のところで、ジェオスミンと2MIBの 件に関連して、回答の方で「経過措置についても、本報告において」云々と書いてある んですが、具体的に報告書のなかで書いてある場所が私は確認できなかったのですが、 どこがこれに相当する部分になりますでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  1つは、報告書の一番最後の課題のところに付言としてございます。 ○古米委員  92ページですか。わかりました。 ○眞柄委員長  よろしゅうございますか。  そのほかにございましょうか。 ○宇都宮委員  5ページの「臭素酸の制御方法が確立されるまでは水質基準とすることを猶予してほ しい」という質問と答えの内容が違うかなという気がしますが。 ○眞柄委員長  宇都宮さんはどういうふうに理解をされたんですか。 ○宇都宮委員  臭素酸の処理方法は、UV照射やオゾン分解しか今のところないというように理解し ているんですが・・・。次亜塩素酸ナトリウムの投入量を見直せばこの辺の問題はかな り解決するのかどうかというのがいま一つわからないことと、この臭素酸の制御方法と いうのは、例えば、オゾン分解やUV照射を言っているのとちょっと違うのではないか と思います。 ○岸部水道水質管理官  失礼しました。それは、私が指摘の部分を省略し過ぎたかもしれませんけれども、こ こはオゾン処理に関してということでございます。 ○宇都宮委員  前提があるんですか。 ○岸部水道水質管理官  失礼しました。オゾン処理をやっているところでは、夏場などにはオゾンを相当量投 入するので、なかなか制御が難しいのではないかということでございます。 ○眞柄委員長  4ページの一番最後の臭素酸についてのコメントは、施設基準で水道用の薬品につい て、言うなれば不純物基準があるんですが、次亜塩素酸ナトリウムについて今の施設基 準は臭素酸のことについて触れられていないので、それを入れてほしいというのが4ペ ージの一番下の質問です。それは、行政において対応してくれる。  それから、その次の「臭素酸の制御方法が」というのは、水質基準とすることを猶予 してほしいというのは、臭素酸が水質基準の対象となるところはオゾンを使っていると ころなので、オゾンを使っているところで水質基準を適用するのを待ってほしいと。そ れは、オゾンの注入量なりを制御すれば10以下になるというので、これは今のままの原 案で猶予しなくてもいいだろうという意味です。 ○宇都宮委員  わかりました。 ○眞柄委員長  ほかにございますか。 ○大村委員  6ページの一番最後の質問に対してですが、答えが「ご指摘のように基準値が数倍の 濃度で含まれるような状況があるからこそ水質基準とすべきであると判断したものであ り、ご理解いただきたい」となっていますけれども、濃度がそういう状況であるからこ うではなくて、やはり水質基準というのは前に言われたように、人の健康とか生活利便 上の要請の面から設定されるわけですから、そういう方向で答えていかないと、「数倍 含まれるから」では、みんな数倍含まれますから。これは直してほしいと思います。 ○岸部水道水質管理官  わかりました。 ○眞柄委員長  ほかにございますか。  3ページの塩化ビニルのことですが、たしか塩化ビニルについては施設基準で対応し ていますよね。だから、水道水の水質基準にはしないし、監視項目にもしないし、要検 討項目だけれども、塩化ビニルについては水道用の薬品・資機材からの溶出を考慮し て、既に施設基準で対応しているということを書き足していただいた方がよろしいので はないかと思いますので、そこは書き足していただければと思います。 ○大村委員  そのことに関連して1つなんですが、2つまとめて質問をつけておられるところがあ りますよね。その質問が同質のものなら1つの答えでいいんですけれども、例えば、塩 化ビニルのところもそうだと思いますけれども、必ずしもニュアンス的に一致しない場 合があるので、その辺のところは幾つか、はっきり答えが受け止めてもらえないような ことがあるような気がするので、それだけは精査してほしいなと思います。 ○眞柄委員長  重複してもいいからという意味ですね。わかりました。 ほかにございますか。  先ほど非イオンのロスマイルスと定量下限とのことについて、岸部管理官からコメン トがあったらということですが、これに関してはこんなところでよろしゅうございます か。  ほかはいかがでしょうか。 ○伊藤委員  すみません、いま行っている議論ではコメントに対する回答がこれでいいかというこ とも同時に議論したらいいのでしょうか。 ○眞柄委員長  一応基準値も対応して、基準値を緩くしてほしいとか、きつくしてほしいとか、ある いは基準からこっちからというようなことの意見が入っていますので、そのことに関し ての回答が適正であるかどうかという観点で御議論をいただければと思います。 ○岸部水道水質管理官  1点失礼いたします。先ほどは、気がつかなかったんですが、塩化ビニルについては 施設基準は設定されていないということでございますので、ご報告申し上げます。 ○眞柄委員長  まだ設定されていないですか、失礼しました。  ほかはございましょうか。 ○中村委員  非イオン界面活性剤のところですけれども、定量下限の10分の1のところでCV値 20%、この場合は基準値0.005でよろしいんですか。 ○眞柄委員長  それについては、検査方法のところでも出てまいるかと思いますが、それは13ページ に……。 ○中村委員  検査方法のところで結構です。 ○眞柄委員長  13ページの上から2段目のところに今のことについて出ていますし、ほかの項目もい ろいろあるのではないかということがございますので、それについては後ほどまとめて 御議論させていただきたいと思います。  それ以外でいかがでしょうか。 ○古米委員  7ページの上から4番目で、過マンガン酸カリウムからTOCへの基準項目変更に関し て移行措置がとられることを希望するとの要望に対する答えですけれども、実質的には TOCがあるので大丈夫だという回答がなされています。報告書自体の26ページに「過 マンガン酸カリウム消費量と総有機炭素との関連性を把握するのに要する期間(1〜3 年程度)については、適切な経過措置を設けることが必要である」という記述がありま すので、それなりにそれも踏まえて回答された方が、本文とのバランスがいいのではな かろうかと思います。 ○眞柄委員長  これについては、安藤先生からコメントをいただけますか。 ○安藤委員  適切な経過措置というのは、ある程度は本来は必要だろうなという気はしています。 ただ、それがずるずる長引くのは困るなということは非常に危惧する点でありまして、 場合によったらそこは、ぎりぎりの線で適切な措置というのは狭めないとまずいのでは なかろうかと。ちょっと的確な表現ではないんですが、何となくそういう気がしており ます。 ○眞柄委員長  わかりました。7ページの下から2番目の「移行に際しては円滑な移行措置がとられ ることを希望する」ということがありまして、報告書では1ないし3年ということが書 いてあるんですが、今の回答の「特段の措置を講じなくても」というところは削除させ ていただいて、「円滑に移行できることを期待しています」と書くのは不適切ですか、 「円滑に移行できるものと考えています」で、「特段の措置を講じなくても」というと ころは報告書との関係もあって削除するということでいかがですか。専門委員会の報告 書をつくってから、いわゆる水道事業体で自己検査をおやりになっているところ、それ から、今の指定検査機関などでの普及状況やあるいはTOCの測定器を製作あるいは販 売していらっしゃる会社の方々から情報を伺いましたところ、200ないし300台ぐらいが 新規に必要になるだろうと。そうすると、1年ぐらいで何とかなるのかなという感覚を 持ちました。ここにいらっしゃる先生の多くは研究室でTOC計をお使いになっていら して、それほど高度な技術がなくても比較的短期間の訓練のうちに定量性、再現性があ るデータが出せるという測定方法であるということも考えると、それほど長い移行措置 はなくても実施可能だろうと思いましたので、そういう意味では「特段の措置を講じな くても」という部分は少し言い過ぎかなと。報告書と合わないので、そこのところは削 除させていただいて、回答としては「広範に普及していると考えられることから」とい う修飾をつけて「円滑に」という回答にさせていただきたいと思いますので、よろしく お願いします。  そのほかございましょうか。では、またもし何かありましたら、最後にもう一度戻る ことにしまして、II「病原微生物に係る水質基準」について御説明ください。 ○岸部水道水質管理官  病原微生物につきましては、具体的に個別の用字法についていろいろ御指摘いただき ましたけれども、それにつきましては、遠藤先生に見ていただく形で必要なものは整理 させていただきたいと思います。  これについての御意見につきましては、主要なものは1点だけでございまして、大腸 菌群については消毒効果の確認という側面もあるので、指標として残すべきである、そ れから、「大腸菌群」を「大腸菌」に変更するのであれば、「一般細菌」もセットで「 従属栄養細菌」に変更すべきであるという御指摘でございます。答えの案として準備さ せていただきましたのは、水質基準としては糞便性汚染の指標としての観点から大腸菌 にすべきであるということでございます。一般細菌についても、従属栄養細菌に変更す る方向で考えており、データが集積され次第変更したいというお答えでございます。  なお、消毒効果の確認ということで大腸菌群が必要であるということであれば、大腸 菌群についても併せて検査していただいても差し支えないというお答えをしたらどうか ということでございます。 ○眞柄委員長  「差し支えない」というのはお役所かもしれませんが。それはいいとして、IIに対す る回答ですが、議論としてはこういう議論をしたと思っておりますが、平田先生何かご ざいますか。 ○平田委員  見直し等についての案はもう終わっていますのでいまさらという感もありますが、こ こに回答の書いていない御意見の中にもあるのですが、大腸菌の検査水量を100mlでよ いとした根拠が書いていないんですね、一切触れられていない。前も安藤先生の方から 大腸菌群と大腸菌では約200倍ぐらい違うだろうという指摘がありました単純に考える と基準が緩くなっているように見えるよという御意見が、このご意見の中にもあると思 うんです。100mlで検出されないこと、そこの言及が一つもないというのが大変気にな ったなというところが私の感想です。これは直せという意見ではないですが。この問に 対する答えとしてこれでよいのか,疑問に思います。 ○眞柄委員長  遠藤先生、今のことに関して。 ○遠藤委員  「大腸菌群」を「大腸菌」に変えたという一番の目的は、製品の品質管理面で糞便性 汚染のないことを確認・保証するための指標として大腸菌を用いました。従って工程管 理に大腸菌を使うという想定はしておりません。換言しますと、工程管理には例えば残 留塩素濃度、pH、濁度、あるいはその他の物理化学的なパラメータが用いられるという のがHACCPあるいはWater Safety Planの発想だと理解しています。また、回答にある ように、大腸菌を工程管理の指標として使いたければ、それを一切規制制限するもので もないとも理解しております。 ○平田委員  おっしゃるとおりです。大腸菌群よりも大腸菌の方が糞便汚染の指標性に優れる、そ れは皆さん共通の認識ですし、ここ何十年世界がそういう認識で来ているわけですよ ね。ただ、これまでは大腸菌群が50mlで検出されないこととなっていたんですが、その 数値と仮に対比しないとしても、大腸菌が100mlで検出されないこととした根拠はどこ にあるんですかというのが、私は素直な疑問だと思います。それに対して、そういう視 点からは一切触れてないですよね。前、委員長の方からもお話があったと思いますが、 大腸菌群自体は従来と大して変わっていないけれども、大腸菌レベルそのものが落ちて きている。それは、下水道の整備といったことによって汚染源の微生物的資質が変わっ ている。特に、病原微生物の汚染のおそれが変わっているというのが1点ございます ね。それから、明治の時代のコレラなどか大流行したような社会システムと、現行のよ うな感染率が逆に言えば何けたも違うというような社会環境に日本はあるわけですね。 それが、東南アジアとか開発途上国と日本との違いでもあるだろうと思うのですが、そ ういうようなことを盛り込んだらどうかというのが1つ、この委員会の中でも議論が ちょっとあったと思うんです。それが外から見ると大腸菌群で50で今までよかったと。 それだけの質を水道は担保してきたんだというスタンスがあるわけですね。それは工程 管理とか何かではなくて、先生がおっしゃる品質管理のレベルでやってきたと思うんで すよ。視点は両方あると思います。それを大腸菌に変えても同じような単位ですよね、 50mlと100mlですから倍違うぐらい。一方では、大腸菌群と大腸菌の濃度を比較すると、 約200倍違うよというのが水道の原水の調査結果からも出ているわけですね。だから、 これをホームページで見られた方がどう考えたらいいのだろうかというのが素直な疑問 ではないかという気がちょっとしたものですから申し上げたんですが。 ○遠藤委員  誤解を招くかもしれませんが、例えば、私の理解では大腸菌群の中で測っている大腸 菌というのは、大腸菌のうちの何割かに過ぎないわけですよね。 ○平田委員  水源によって違いますね。 ○遠藤委員  仰るように、水源によって違うからこそ、大腸菌群では糞便汚染を的確に評価できな いと考えるわけです。一方、大腸菌を用いれば糞便汚染を的確に評価できるわけです。 ○平田委員  大腸菌群よりも大腸菌のほうが糞便汚染の指標性が高いということは間違いないで す。 ○遠藤委員  そうなりますと、これまでの50mlに比べ、今回の100mlでは大腸菌に関して感度は上 がっていると理解しております。 ○眞柄委員長  わかりました。それでは、先ほどのパブリック・コメントを平田先生が御紹介してい ただいたことも踏まえて、試験法のところで大腸菌の試験法についてのコメントに対す る対応で、要するに、50から100になって、その前段としてダイレクトに糞便汚染の指 標で100にとってあるので、糞便汚染を感度よく把握する試験方法になっておりますと いうのをパブコメの対応に追加したいと思います。それについては、安藤先生と御相談 してコメントをつくっていただきたいと思いますので、お願いします。 ○大村委員  やはり最後の「差し支えありません」というのは別に必要ないのでとってもいいので はないですか。 ○眞柄委員長  それは、差し支えないと言うよりも、「なお、工程管理のために必要な場合には、大 腸菌群をこれまでと同様に検査をすることが望ましいと考えます」。だから、ずっと工 程管理のことを随分報告書の中で議論しているので、「差し支えない」と言うよりもこ れまでと同様に測定していただくことは望ましいと考えますと。「差し支えありません 」というのはちょっとあれなので、そういうふうにここは修文をさせてください。  逆に、ここで書くことかどうかわからないんだけれども、ともすれば、これまで水質 検査結果で大腸菌群数と一般細菌に対しての不適合に対する指導が少しあいまいだった ので、今後はむしろ不適合に対する水道事業者の対応が適正に行われるように期待した いんですが、そこまで書くこともないと思いますが、そういうことがあるから工程管理 ということを専門委員会でこれまで何回も議論してきていますので、この対応とは別 に、勿論、報告書にも書いてありますので、機会があれば先生方にもそういう趣旨を関 係者にわかっていただけるように御努力をしていただきたいと思います。  ほかにございましょうか。国包先生ありますか。 ○国包委員  特にありません。 ○眞柄委員長  よろしいですか。それでは、IV「水質検査方法」、9ページをお願いしたいと思いま す。 ○岸部水道水質管理官  それでは、IV「水質検査方法」についてご説明します。ここに取り上げてあるコメン トも多いんですが、実際各界からいただいたコメントも検査方法の部分が一番多かった ところでございます。先ほど委員長から御指摘がございましたけれども、この部分に大 腸菌の試験方法に関連して検水100mlの問題を追加するというようなことでございます。  まず、化学物質の試験方法でございますけれども、吸光光度法の連続流れ分析法とい う方法があるらしいんですが、それを水質検査方法として存続させるべきであるという ような御指摘でございます。水質検査方法については確度の高い方法を採用する必要が あるということがございます。この連続流れ分析法というのは吸光光度法の原理を用い ています。吸光光度法というのは一般的に選択性が低いので、ほかの確度の高い方法が あれば、そちらに移行していくべきものであるというのが基本的な今回の報告の考え方 でございます。  この連続流れ分析法で対象とするシアン、フェノール類、陰イオン界面活性剤でござ いますけれども、シアンについては吸光光度法は選択性に非常に大きな問題がある。そ れから、フェノールについては選択性の問題に加えて定量下限、それから、クロロホル ムを使うという問題がある。陰イオン界面活性剤については、選択性の問題とクロロホ ルムという有害な物質を使用するという問題があるというようなことで、このような方 法は水道水の検査方法としては適当ではない。ただ、そうはいっても広く使用されてい るということで、今回新しくお示しした方法に必要な機器整備には多少時間を要する可 能性もあるというようなことで、別途お示しする流路型吸光光度法については、期間を 限り暫定的に認めるというようなお答えにしたらどうかということでございます。  次に、鉄、ふっ素、硝酸性窒素・亜硝酸性窒素についても、吸光光度法を復活すべき である。これらの方法については複雑な機器を必要とせず、緊急時にも対応可能という 利点があるということでございます。これについては、吸光光度法一般の問題でござい ますけれども、前述したような問題、それから、ほかに確度の高い検査方法があるとい うようなことで、水質検査の検査方法としては削除したということでございます。  なお、今回お示ししている検査方法というのは、水質基準の適合確認のための検査方 法でございます。緊急時や工程管理などの検査について規定しているものではないの で、そのような場合にはこれらの方法によらなくてもよいということでございます。  それから、非イオン界面活性剤のみ吸光光度法を採用しているのはなぜかということ でございます。これについては、いろいろ吸光光度法について述べてきましたけれど も、残念ながら現段階では、この物質につきましては吸光光度法以外の方法が見つから ないということで、やむなくこの方法を採用しているということでございます。  次に、ガスクロマトグラフ法、特に検出器としてECDを使うものについて、検査法 に採用すべきであるということでございます。検出器としてECDを用いた場合、カラ ムのリテンションタイムだけで判別することになります。検出器に選択性がないという ことでございます。現在はこれに代わってGC/MSによる方法が普及しているので、水道 水の検査方法としてはMSを検出器として使用したものに移行すべきであるというお答 えでございます。  それから、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガンなどにはフレーム式原 子吸光光度法での分析も可能とすべきであるというご指摘でございます。これについて は、確かに精度あるいは確度の問題がないものもあるので、可能にできるように一部修 正をするということでございます。  特定酵素基質培地の成分に特性が不明なものがあるが、安全性は問題ないかというこ とでございます。これについては、確かに不明な部分があるけれども、諸外国で採用さ れていること、あるいはこれまでの使用実績を踏まえて今回は公定法から削除しない。 ただ、使用・廃棄に当たっては製品の留意事項に注意をするということでございます。  それから、クロムの分析方法は全クロム分析になっており、六価クロムの分析法と修 正すべきではないかという御指摘でございます。答えといたしましては、水道水中では 塩素消毒というのをやるので、おおむね六価として存在すると考えられるほか、安全側 に立って従来から項目は六価クロムということですが、全クロムで測定しているという ことでございます。  それから、次の1,4−ジオキサンについては、ヘッドスペース−ガスクロマトグラ フ質量分析法やパージ・トラップ−ガスクロマトグラフ質量分析法についても採用すべ きではないかという御指摘でございます。これについては、確かにその可能性というの はありますけれども、今回、公定法として採用するだけのデータの蓄積がなかったとい うことで、今後データが蓄積された段階で再度検討したいということです。  次にジクロロメタンを試薬に使用しない検査法とすべきであるということです。基本 的に、ジクロロメタンについては使わないということでございます。ただ、一部フェ ノール類については、必要な感度を得るためにやむを得ず使用している例があるという ことでございます。  これは前のところと同旨ですけれども、臭素酸イオンを分析できる機器は単一メーカ ーのものしかない。それから、あとは臭素酸イオンの分析法が確立していないというよ うなことですけれども、これについては、そのようなことはないということを確認して いるということでございます。  それから、アルミニウムの分析では、懸濁物とともにアルミニウムが除去されてしま うので、メンブレンフィルタでろ過すべきではないという御指摘でございます。懸濁性 のアルミニウムを除去するという意味でろ過ということも検討されたわけですが、結論 として、ろ過してもしなくても値が変わらないということが確認されましたので、ろ過 はしないというお答えでございます。  鉄については、ICP−MSも検査方法として加えたらどうかということでございますけ れども、これは妨害物質の存在から困難であるということでございます。  陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤については、両者一括の測定方法とすべき であるということでございます。これについては、それぞれ基準値案が異なるというよ うなことで別々に基準を設定し、それぞれに検査方法を設定しているということでござ います。  それから、HPLCはLASのみの測定方法であって、陰イオン界面活性剤全体を把握で きない。陰イオン界面活性剤の総量を把握できる現行比色法を採用すべきであるという 御指摘でございます。今回の水質検査方法は、確度の確保を基本方針としておりまし て、安藤先生の方で市販の洗剤成分の調査をしていただきまして、その結果を踏まえ て、現在、市場に出ている陰イオン界面活性剤のうち主要なものは現在の方法で測定で きるという形で測定方法を設定していただいているものでございます。  それから、ELISA法については実績も少なく、一定の検査結果が得られないので現時 点で水質検査法として問題ではないかという御指摘でございます。これについては、再 度、安藤先生の方で御確認いただいたところでございますけれども、御指摘のとおり現 段階では今回の水質検査方法の基本方針で求める確度・感度が得られないということ で、御指摘のとおり削除をするということでございます。  ジェオスミン及び2−メチルイソボルネオールの分析には、サロゲートを追加するべ きであるということでございます。これについては、御指摘の点は確かにありますけれ ども、それを採用するだけのデータが現段階でないということで、今後の課題というこ とでお答えをしているということでございます。  非イオン界面活性剤の定量下限から考えて、この項目は水質管理目標設定項目とすべ きであるという、先ほど同旨の御指摘がありましたけれども、これについては安藤先生 の方で再度御検討いただいた結果、基準値の4分の1以下とすることができたというこ とで、この方法を採用するということでございます。ただ、更に定量下限を下げるべく 検討が必要であるというお答えでございます。  フェノール類については、クレゾールも測定されるようにすべきではないかという御 指摘でございます。フェノール類につきましては、今回の方法を設定するに当たって、 フェノール類の製造・出荷量を調査し、今回お示しした方法で把握できるフェノール類 で十分水道水の中のフェノール類はつかまえられるというようなお答えでございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  中村先生、先ほどの非イオンのことですが、4分の1までしかとれないんですが、一 応基準としては入れておいた方がいいだろうというのが判断ですが、いかがでしょう か。 ○中村委員  そうしますと、報告書の82ページの非イオンのところでは、例えば検量線等が基準値 のところでしかとっていないんですが、これはそれでよろしいんですか。 ○眞柄委員長  試験法の82ページ。 ○中村委員  82ページのところで、「試験操作」のところでもいいんですが、ヘプタオキシエチレ ンドデシルエーテルとして0.02から0.2という。もうちょっと下というところは必要な いんでしょうか。ほかの方法は、かなり定量限界ぐらいのところが標準液の濃度が一番 低いところになっているんですが、ここは基準値がそのまま。 ○安藤委員  これは更に4分の1下げて0.005ですね。 ○中村委員  変えられるということですね。 ○安藤委員  そうです。 ○中村委員  それから、もう一点。考え方として、なるべく一斉分析をして感度が高いものという 考え方なんですが、例えば、検査の省略が可能なものがありますよね。陰イオン界面活 性剤等が検査の省略が可能になっていて、HPLCを年に1回だけ使うというようなことも あるので、勿論クロロホルムを使うという問題点があるんですが、その辺はどういうふ う考えていったらいいのかなと。流れ分析を残すという考え方があっても。 ○眞柄委員長  それは別にして。 ○中村委員  その辺の考え方。 ○眞柄委員長  それは、これまで余りディスカッションしてこなかったことなんですが、つまり、省 略できる項目があって、場合によれば3年に1回でもよくなるわけですよね。前の方で 自己検査云々というお話もありますが、そのために分析用の機器を十分整備しておかな ければならない。3年に1回だったら、多少ラボラトリアンにリスクはあるけれども、 クロロホルムでもいいではないかということだと思うんですが。 ○岸部水道水質管理官  水質検査は、確度の高い方法で行われる必要があります。3年に1回しか使わないも のを整備するかしないかは、水道事業体の考えていただく問題と考えます。そのため に、20条機関という制度がございますので、そういった施設整備をするのが大変だとい う場合には20条機関に委託していただくし、そういったものもやろうという水道事業体 では施設整備をしていただく。どちらを選ぶかというのは、今回の報告書でも書いてご ざいますように、各水道事業体で考えていただくというようなことかなと行政的には思 いますけれども。 ○宇都宮委員  界面活性剤についてですが、陰イオン界面活性剤はその中の主成分がLASというこ とで、LASをターゲットにしたHPLC法をとっていますよね。それは一つの考え方かと 思いますが、片や非イオン界面活性剤の方は、包括的に量を定量するという吸光光度法 がとられていて、要するに内容が同じ界面活性剤でも少し違っている。もう一つ、発泡 ということを対象にして基準値が決められていますけれども、界面活性剤の組成は非常 に複雑で、こんなことを言っては遅いかもしれませんが、もう少し発泡濃度についても データの蓄積が必要かなと思います。ただ、私は実際にロスマイルス法で発泡の実験を しておりませんので、発泡限界濃度が今ひとつわかりません。今回の指摘にも、どこか の指定機関がロスマイルス法で非イオン界面活性剤の発泡が0.1であると報告していま す。多分それはその検査機関でおやりになった数字ではないかと思うんですが、0.1だ ったら確実に発泡しますけれども、今度の場合は0.02が基準値ですから、0.02くらい 低くなりますと界面活性剤の種類、組み合わせなど何を対象としたか、どういう水温、 硬度条件で実験を行ったかということでも多少結果にばらつきが出てくる濃度と考えら れます。  非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤については、その構成成分をこの委員会と してどういうふうに整理するのか、それから、発泡濃度のデータ-の蓄積について、こ のままゴーサインを出していいのかという、その2点について疑問に思っています。 ○中村委員  安藤先生がお答えになる前に、今決められている非イオン界面活性剤の方法というの は、トータルではなくてポリオキシエチレン系の非イオン界面活性剤だけですよね。そ うすると、今、宇都宮さんがおっしゃったようなトータルではなくて、ポリオキシエチ レン系の非イオン界面活性剤で、それが実際に非イオン界面活性剤全量の中のどのくら いの割合であるかというのがちょっとわからないので、そういう観点でも安藤先生から 御意見を聞きたいなと思います。 ○眞柄委員長  それでは、私からお話ししますが、0.02という数字は、非イオン界面活性剤のいろい ろな種類のものについて全部試験をしています。そして、最も今、市場に出ている非イ オン界面活性剤の中で使用量が多いものに対してチェックをして、0.02という数字は十 分である。それから、実際にマーケットに出ているいろいろなものを混合してやっても この範囲で、むしろ相加性が出るというデータをとっております。そういう意味では、 0.02という数値に関しては、発泡限界としては数値的には間違いないだろうと思ってい ます。しかも、非イオンと陰イオンと混合していても、それぐらいのことは起きるとい うのは把握しております。ただ、発泡ですから界面張力が影響しますので、当然、水温 と関係しますから、いつでも0.02だったら起きるかと言われれば、それは水温条件と共 存の要するにキレートをつくるようなものの存在によっても違いますので、それはある と思いますが、少なくとも0.02よりも下では泡は起きないという意味の、ある意味では 安全サイドで、なおかつ、現実の問題を踏まえてやっている。  それから、試験法のときのスタンダードを何にするかということですが、今、御質問 がありましたように、いろいろな種類のものが使われています。しかし、それをすべて アーティフィシャルにミックスをつくるわけにはいきませんので、試薬として調達可能 な範囲で、なおかつ、市場で使われているものを代表的に取り入れるということでござ いますので、そういう前提に立ってつくられているということは、こっちの方にも書い てありますので、ある意味では、まだまだ検査なりマネージメントで工夫しなければな らない範疇にはあると思いますが、今やらないともうできないということがあります し、国民の関心も非イオンに関しては高い。  一方、陰イオンについてもおっしゃるように、いろいろなものが絡んできているで、 数値は変わらないけれども、ある程度工夫をしていただいたということでありますの で、そういう意味では、試験方法なりあるいは基準値そのものも今後どうするかという ことは逐次改正の中で議論していくべき課題ではないかと思っています。  安藤先生、そんなところでいいですか。あと追加することはありませんか。 ○安藤委員  では、追加させていただきます。まず、対象化合物のお話を申し上げます。イオン界 面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸をスタンダードにしております。それは本当 のLASではなくて、本当のLASというのはほとんど市販ではないんです。私どもは 何を調べたかと申しますと、一応、家庭の洗剤が一番陰イオン界面活性剤のシェアとし ては大きいだろうと。そのうちのいわゆるアルキルベンゼンスルホン酸型が非常に多 い。いわゆるスルホン酸型は大体生産量の6割以上だろうと思います。そのうちのアル キルベンゼンスルホン酸というのは4割ぐらいというお話です。  では、そのシェアとして洗剤で非常に多いシェアの中の各メーカーの陰イオン界面活 性剤というのは、一体どういうものになっているのかということを調べました。それ は、全市販の20社近くを集めて、それを液クロに掛けました。その結果、各社ともほと んど同じ組成でございました。それぞれデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、 それから、テトラデシル、大体この5つの炭素鎖の同じようなアルキルベンゼンスルホ ン酸型で、しかも、炭素鎖および異性体の比率というものはほとんど同じであったとい うことを確認しています。そういうことから、スタンダードの問題も当然今までトータ ルで吸光光度法でやっていたものを液クロに変えたわけですから、そのスタンダードの 問題も発生しますので、化学構造とクロマトグラフという観点からそういうものをすべ てチェックいたしまして、決めてきたということでございます。ですから、陰イオン界 面活性剤というものはシェアが非常に高いアルキルベンゼンスルホン酸というものを対 象にしているということでございます。  それから、非イオン界面活性剤につきましては、先ほど中村先生がおっしゃいました ように、ポリオキシエチレン系というものでございまして、このシェアもやはり生産量 としてはこれが一番高いということでございますので、これを対象にしようというとこ ろでございます。  吸光光度法でございますけれども、これはあくまでトータルを測っているわけではな くて、ポリオキシエチレンを調べているということになるということでございます。  したがって、この委員会での定義としては、陰イオン界面活性剤あるいは非イオン界 面活性剤というのは、ここで対象としているのは、こういうものですということを明確 に今までの議論でしてきたということでございます。  それから、発泡性のお話は、先ほど眞柄委員長からお話がありましたように、特に陰 イオン界面活性剤については既にいろいろな情報がございますので、それはそれとし て、非イオン界面活性剤の発泡性については、前後を含めると4〜5年ぐらい検討して おります。非イオン界面活性剤だけの発泡性、それから、そこに陰イオン界面活性剤が 混合された場合、どのくらいの発泡性があるかとかいろいろな検討をいたしました。そ の中で、限界としてこういう値が出てきたということでございます。これが少なくなっ た場合どうなるかというと、発泡性ではわからなくなるということになります。つま り、発泡性を一つの検査方法とするのには限界を超えているという状況でございます。 そういうことから、やはり化学分析という方向に行かざるを得ないというところかと思 います。 ○眞柄委員長  それで、先ほどの3年に一遍とか何とかということですが、水質検査方法が記述され ているんですが、前の基準のときは同等なものとか何とかというのは考慮の余地があっ たのではなかったですか。 ○岸部水道水質管理官  前のと言いますと。 ○眞柄委員長  現状の試験方法のところで。記述しているか、それと同等の制度か何とかというのは 書いていませんでしたか。 ○岸部水道水質管理官  いえ、現行の試験法は省令に何々法と書いてあるだけです。 ○眞柄委員長  専門委員会の報告のときには、それと同等以上の精度を有するとか書いていませんで したか。 ○安藤委員  前のですか。 ○眞柄委員長  今回は書いていない。 ○安藤委員  今回はそうしたいねという話で、同等というのは何らかの体制をつくって、それを証 明しなければいけませんねというのが今回。 ○眞柄委員長  それはどこかに書いてありましたよね。 ○安藤委員  書いてあるはずです。 ○眞柄委員長  「これを積極的に公定検査法として認める柔軟なシステムを工夫する必要がある」と 書いてあるんですね。 ○安藤委員  そういうことです。それが今回。 ○眞柄委員長  だから、積極的に公定検査法と同等と認める柔軟な姿勢になるんですね。 ○岸部水道水質管理官  そういったシステムをご提案いただいているので、どういうシステムにするかについ ては、また今後御報告いただいた後、私どもなりに先生方と相談しながら進めていくこ とになると思います。 ○眞柄委員長  だから、先ほど中村先生が言われたのは非常に重要なポイントで、一斉分析法でなく ても、たまたま陰イオンになってしまったんだけれども、3年に一遍しかチェックする 必要がないといったときに、従来のクロロホルム抽出で発色する方法だって、今の基準 値の精度で出るわけでしょう。ただ、それはクリーンラボの観点からそれが外れただけ ですよね。しかも、今度は精度管理をISO9000なりISO17025と同等のものをするわけで すから、精度管理に足りるトレーサビリティが保障されている範囲にあっては、従来の 陰イオン界面活性剤の試験方法を持って新しい液クロ法に変える、3年に一遍だったら ということはあり得る。 ○岸部水道水質管理官  行政の立場から言わせていただきますと、そういったクロロホルムなどの有害物質に つきましては、エッセンシャルユースでないと採用しないというのが他分野での時代の 流れです。クロロホルムを使わなければ絶対にできないというのであれば別ですが、先 ほどもありましたけれども、それを使わない方法があるのであればその方法を使うべき であるということかと思います。例えば分野は違いますが、モントリオール議定書の発 効に関して四塩化炭素などは禁止されるということになり、一斉に四塩化炭素などを使 用した検査方法、公定検査法を変えていったというような経緯もございます。水道水質 検査は水の安全性の検査でございますので、率先してやっていただければなと思いま す。便利性のためにちょっとクロロホルムを使うというのは、できれば行政としては避 けたいと思います。 ○眞柄委員長  なるほど。そうすると、ケース・バイ・ケース。 ○岸部水道水質管理官  エッセンシャルユースの場合はやむを得ないと思います。 ○眞柄委員長  その違う話で、さっきGC−ECDの話があったでしょう。そうすると、トリハロ関係は GC−ECDで測れるわけですよね。あるいは農薬関係でGC−PIDとか測れるわけですよね。 丁寧にずっと持っておられるところが、今までトリハロをGC−ECDで測っていたかとい うと、今後GC−ECDは使えなくなるのかという話、そっちはいいわけですよ。要するに、 この柔軟なシステムというのは運用として。 ○岸部水道水質管理官  その辺は、これから安藤先生とも御相談することになるのでしょうが、ただ、他の方 法の中でMSでないとできない方法があり、そのためにMSが整備されているはずだか らECDを残しておく必要はないのではないかということとと思います。 ○安藤委員  今ECDのお話でしょうが、ちょっと違う議論をしていました。ECDのお話を削除 するという意味は、いわゆるECDで対象となる化学物質というのは、我々が議論して いた中では5〜6くらいですが、実は30とか50化合物もあるんです。それをECDで確 認するというのは危ない。先ほどから言っている確度が非常に低くなる。平成4年のと きになぜECDを入れたかと申しますと、MSという今でこそ当たり前ですが、平成4 年の時点ではどう見ても当然無理だと判断いたしました。したがって、MSでなくても ECDで確実に測れるものを入れておこうと。入れたくて入れたわけではなくて、厚生 省が水道というものをしっかり安全性を担保するという観点からすると早急にMSを用 意してもらうのは無理だと。とにかく測ってもらうことが先決だということで入れたと いうことでございます。そういうことから、今回は省くべきだということでございま す。 ○眞柄委員長  それでは、これくらいにして、どこかパブコメのところで、さっきの30ページの公定 法と認める柔軟なシステムについて報告書に記載して、それについてはシステムについ て速やかに検討されることを期待しているというのをどこかに書いておいてください。 どこでもいいです。一般論でも結構ですのでお願いします。 ○中村委員  パブリック・コメントには出ていなかったんですが、是非、金属の標準液などを市販 のものを使っていいというふうにしてほしいと、私は報告書が出る前に要望書として出 しているんですが、それはここに書かれている標準溶液のつくり方、例えば、鉄などは 結構ファイブ・ナインの鉄というのは得られにくいですよね。でも、鉄と書いてあるだ けで、一方、市販の金属標準液というのはトレーサビリティがかなりとれているのが 売っているし、それから、硝酸・亜硝酸については、標準液にクロロホルムを使わなく ても標準液であれば安定性があるというのは環境庁でデータが出ているんですね。あれ はクロロホルムを削ってほしいというのも前回、要望は出してあるのですが、是非その 辺は御検討いただければと。検査のところなのでちょっと申し上げておきたいんです が。 ○眞柄委員長  それは、安藤さん大丈夫ですか。 ○安藤委員  大丈夫な面とそうではない面があるかと思います。 ○眞柄委員長  これは非常に難しいんですよね。だから、標準液と言っていても、品質管理がしっか り行われている標準液として販売されている場合と、ただ標準液として売っている場合 と両方ありますので、その辺が安藤先生が悩まれるところなのでしょうと。 ○安藤委員  そのとおりです。つまり、トレーサビリティのお話を出しますと、確かにJISで金 属はあります。だけれども、いわゆる経済産業省が押さえているJISというものは、 実は何のことはないと言ったら怒られてしまいますが、重さが明確なものなんですね。 要するに、経済産業省が計量法か何かそういう範疇で規定しているのは長さと重さ、あ と、もう一つあるかもしれませんけれども、有機物は全部外れているんです。つまり、 これを言い出すと、では、我々は経済産業省に対してちゃんとつくってよ、これを当然 要求したい。私は個人的には要求していましたが、何ら返事はありません。これが事実 です。つまり、非常にアンバランスが出てきてしまう。そういうことから、こういう形 にさせていただいたというところでございます。趣旨は十分わかっておりますが。 ○中村委員  金属については結構トレーサビリティがとれていると思うので、金属だけでも。実際 本当に皆さんこれでつくっておられるのでしょうか。 ○安藤委員  それはまた別問題です。 ○中村委員  だから、実際に合わせた方がいいような気がします。 ○眞柄委員長  両方だと思いますね。やはりかなり資金があって、省力化されようというところは標 準液を使っておられるし、相も変わらず我々が学生時代にやっていたような仕組みでや っておられるところもあったりして、なかなか画一化しにくいというところもあるのだ ろうと思います。その辺は、試験法の最後のチェックのところで御配慮ください。  では、クリプトスポリジウムのところをお願いします。 ○岸部水道水質管理官  13ページでございます。クリプトスポリジウム対策に関しましては3点かと思いま す。  1点目は、塩素耐性微生物対策としてのろ過施設の設置は、水道法に基づく措置とい う位置付けとはせず、対策指針のままとしてほしいということ。それから、法律に基づ く措置とする場合には、十分な経過措置を設けてほしいということでございます。答え といたしましては、クリプトスポリジウム等のためのろ過施設等につきましては、現在 の水道法5条に基づく施設基準におきまして、既に汚染のおそれがある場合には、その 設置が義務付けられているところでございます。今回この報告書で提言されたのは、そ の義務付けられた施設を適切に運転し、ろ過操作を行うべきことということでございま す。ただ、その汚染のおそれという考え方について、今回整理することが提言されてい ますけれども、それによっては新たな施設整備も必要となろうというようなことから、 円滑な実施に配慮すべきであろうというお答えでございます。  2点目は、暫定対策指針を廃止しないでほしい。それから、廃止される場合でも、ク リプトスポリジウム対策の解説書等による的確な汚染の判断基準等の説明をお願いした いというようなことでございます。まず、前段の廃止しないでほしいということでござ いますけれども、汚染のおそれの判断とその判断に応じたろ過措置等は、暫定対策指針 の根幹部分でございますので、これが法令上規定された後は暫定対策指針は役割を終え るということでございます。逆に、残ると混乱も生じかねないということで廃止をされ るものと考えてございます。ただ、後段の部分の解説書的なものというのは委員会でも 御指摘いただいておりまして、今後それが解説書としてまとめられて関係者に提供され るようなことが望まれるということで、本報告書でもその旨提言をしているということ でございます。  3点目は、今回クリプトスポリジウムの水質基準が設定されなかったのは問題ではな いかということでございます。そもそも水質基準の第4条において、病原微生物が含ま れないこととされている。したがって、省令で定めなくても問題ないんですという説明 でございます。それに、病原微生物については、水質検査に時間が必要だということ で、検査の結果を待っていては間に合わないということがあるから、今回の報告書では 汚染のおそれがある場合には、ろ過措置を義務付けるべきと提言しているということで ございます。  クリプトスポリジウム関係は以上の3点かと思います。 ○眞柄委員長  では、これにつきまして、いかがでしょうか。 ○平田委員  暫定対策指針の解説書ということで、その内容を再度整理するという話でしたね。そ れとの時間的な問題はどういうふうになるのでしょうか。というのは、準備期間という のをまた1番目のところに対する回答として、施設整備に要する期間を準備期間と書い てありますが、この辺とのタイムスパンといいましょうか、その辺りはどういうふうに なるのでしょうか。 ○眞柄委員長  常識的に考えれば、基準改正されて衛生的な措置に追加される段階では解説書はでき るように関係者に努力をしていただきたいというのが、私の見解でございますが。 ○平田委員  そういう意味では、来年の4月1日ごろということになるのでしょうか。 ○眞柄委員長  そうでしょうね。解説書ができるのがね。そういう理解だと思います。最後にごあい さつ申し上げますが、専門委員会は第9回をもって終わりますので、お暇になられる先 生方は、是非、厚生労働省の枠組みと離れたところでステークホルダーが集まって、い い解説書をつくっていただくことを期待しておりますので、よろしくお願いします。 ○平田委員  もう1ついいですか。言葉の解釈ですが、3番目の基準が設定されなかったのは問題 ではないかということに対する回答の2行目で、「あえて省令で水質基準を定める必要 はない」というのは、病原微生物だからそのものについての水質基準は要らないと、汚 染のおそれについては大腸菌で評価をしている。それが100mlで検出されないこと、そ れが保証されていれば病原微生物はないという解釈だからいいということですか。 ○眞柄委員長  ここは事務局に私は追加していただいた方がいいと思うけれども、検査法の問題もあ りましたよね。クリプトについては本文の……。 ○平田委員  13ページの上のところでしょうか。 ○眞柄委員長  「検出方法等に種々の問題が残っていることもあり、水質基準とすることは妥当でな いと考える」という文章があるので、この文章は1つのカギですから、回答のところで その文言を、「したがって」ということは更に検査方法で問題があるということで水質 基準を定めるには至らなかったというふうに追加していただけますか。 ○岸部水道水質管理官  わかりました。 ○眞柄委員長  それでよろしいですか。 ○平田委員  はい。 ○眞柄委員長  では「水質検査における精度と信頼性保証」についてお願いします。 ○岸部水道水質管理官  14ページからになります。  1点目でございますけれども、水質検査というのは水道事業者の自己検査を基本方針 として明記すべきであるという御指摘でございます。これにつきましては、法律の20条 にも規定されているように、水質検査の実施義務というのは水道事業者にあります。た だし、実際に検査をやるのはだれかということでございますが、既にダイオキシン類な どに代表されるように、検査機器や技術の高度化、求められるレベルなどから考える と、自ら検査を行うことを基本とすべきかどうかは議論の余地があるということでござ います。そういった方針で本報告でもまとめられておるということで、水道事業者ごと に自己検査を行うのか、委託検査にするのかというのを検討することが重要であるとい うことであります。  それから、なお書き以下は、水質基準の適合確認のための検査と工程管理の一環とし ての水質検査は分けて考えるべきものであるということでございます。  2番目は、信頼性保証制度の導入については、特に中小規模の事業者で対応が困難で あるというようなことで、一定の猶予期間ですとか、財政的措置の支援が必要であると いう御指摘でございます。答えといたしましては、水質検査はその求められるレベルと いうのは年々高度になってきておるというようなこと、それから、現在実施しておりま す精度管理調査の結果から見ても、必ずしも満足いく結果は得られていないということ で、信頼性保証制度の導入というのは不可欠であるということでございます。ただ、そ うはいっても、こういった制度を導入するときに、この指摘の中にもありますけれど も、中小規模の事業者では大変大きな負担になろうかと思います。そのために、本報告 書では一定の猶予期間を設けてあるので、その間に自己検査を行うために施設整備ある いは人員の整備をするのか、あるいは委託検査にするのか、猶予期間の中で検討いただ くというようなことだと思います。ちなみに、共同検査機関、幾つかの水道事業者が一 緒になって検査機関を設置する場合は、既に私どもの補助制度、施設整備補助の中に 入ってございますけれども、これまで30年間余り活用されていないという現状がありま すが、こういった活用も一方かなと思います。  統一精度管理について、指定機関とともに地方公共団体の検査機関も加えたらどうか ということでございます。私どもにおきまして、平成12年度から20条機関を対象として 精度管理調査を実施してございます。平成14年度につきましては、呼び掛けに応じてい ただきました150余の水道事業者の検査機関も参加しているということでございます。  ISO9000の適用というのではなくて、水道分野の特質を反映した適切な信頼性保証体 制の導入を行うべきということでございます。これについてお答えですが、確かにそう いったことはわかるんですが、既に事実上の基準、デ・ファクト・スタンダードとして ISO9000、それから、冒頭、眞柄委員長からお話がありましたけれども、ISO17025とい ったものがデ・ファクト・スタンダードとして動いている以上、これと互換性のあるシ ステムとせざるを得ないと考えているところでございます。  それから、最後でございますけれども、国の登録検査機関に関する評価の情報が得ら れるようにすべきであるということでございます。この答えですが、結論としてはそう いうものは制度上難しいというお答えになっております。  以上です。 ○眞柄委員長  大谷さん、何かございませんか。 ○大谷委員  最初の「自ら測定すべきことを基本方針として明記すべきである」というところの答 えが、ちょっと引っ掛かります。 ○眞柄委員長  これは、水質検査は水道法20条に規定されているように、その実施の義務は水道事業 者にありますと。しかし、検査施設を有していないなどの理由から、検査機関に委託す るという選択肢が残されていますというぐらいにして、「さらに」以降は削除したらど うですか。1つは、ダイオキシンは水質基準の項目ではないので。20条で実施の義務は 水道事業者にありますと。しかし、検査施設を有していないなどの場合には、検査機関 に委託するという制度が示されていますという程度にあっさりしておいたらいかがで しょうか。事務局はそれでは困りますか。 ○岸部水道水質管理官  いえ、困りはしませんけれども、ただ、そろそろこういった考え方というのをお示し してもいいのかなと思って書いたんですが。 ○眞柄委員長  次のところにも書いてあるから。 ○大谷委員  信頼性保証の体制がISO17025はすぐには難しいので9000程度という議論できたんです が、例えばそういうものを基にして、食品衛生法関連の検査であれば具体的にどのよう な手順書や記録が必要なのかが示されています。水道水質基準に盛り込まれる信頼性保 証体制はある程度水道の状況を考慮したISO9000並みのシステムと理解してきたのです が、そうではなくて、ISO9000レベルでやりなさいというような抽象的なものなので しょうか。 ○眞柄委員長  これは特質を踏まえつつも互換性のあるシステムを導入することが適当であるという のが我々の考え方であって、ですから、このコメントの方は「水道分野の特質を反映し た適切な信頼性保証体制の導入を行うべき」と、まさにそのとおりですよというのが回 答だと理解して、これと互換性のあるシステムを導入する、そのものずばりではありま せんよと。 ○大谷委員  「お気持ちはわかりますが」と書いてあるので、残念ながら意向にはそえませんとい う意味かと思いました。すみません。 ○眞柄委員長  それから、ついでに言いますけれども、その上のこれは地方公共団体の検査機関の方 のパブコメだと思うんですよ。精度管理に加わりたいというのは。今150余りの水道事 業者などで、来年手を挙げるときに地方公共団体も参加してもいいんでしょう。安藤先 生は大変かもしれないけれども。 ○安藤委員  別に構いません。 ○眞柄委員長  だから「地方公共団体の検査機関の参加も多くなることを期待しています」とか書い てくれれば。 ○安藤委員  それは私はできると思います。事実、地方衛生研究所の方々はやってくれとしょっ ちゅう私は言われているんです。お金がないからできないと言っているわけであって、 むしろやりますと言えば手を挙げてくださるかなと思っています。強いて言うならば、 保健所関係がどれだけ入るかなと、それは衛研から情報が行けば参加していただけるで しょうが。 ○眞柄委員長  衛研の方が参加したいと言っておられるんですよ。 ○安藤委員  参加したいんです。 ○眞柄委員長  衛研協議会の中でやると言っていてもなかなか動きにくいので、県レベルでおやりに なっていて、県の中核機関が入っていないので、それを全国レベルでやりたいという御 希望が強いので、そういう意味では「地方公共団体からの参加が多くなることを期待し ています」ぐらい書いておいてください。  では、時間も迫ってまいりましたので、何かあれば最後にもう一度チェックしますの で、次の「水質検査のためのサンプリング・評価」についてお願いします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、16ページのサンプリング・評価でございます。  まず、地点数でございますけれども、単に配水系統ごとに1地点以上ということでは なくて、人口当たりの地点数を明確にしてほしいということでございます。これについ ては、統計的にそういった地点数を設定することは困難であるということです。  検査頻度の検討に当たって過去3年間のデータから判断する場合、年1回しか測定し ないデータでは頻度の省略について判断してよいかということですが、難しい、まずい というお答えでございます。  それから、鉛のサンプリング方法で15分滞留法というのは、採水担当者の負担が大き いので、流水法にしてほしいということでございます。鉛管を使用していない場合は、 この方法を採用すべきでないという御指摘でございます。これについて、水道水中の鉛 というのは主として給水管からの溶出が要因ということですので、流水では難しいとい うお答えをしてございます。採水作業上の問題点も踏まえた上で、30分ではなく15分滞 留水法にしたということです。  それから、鉛の採水箇所数の基準を示してほしいという御指摘ですけれども、これも 今回の報告を踏まえて設定してほしいということでございます。 ○眞柄委員長  国包先生、いかがですか。 ○国包委員  全体としてはこういうことで私は問題ないと思っているんですが、まず、1番目の人 口当たりの地点数のことに関しましては、眞柄委員長、それから、遠藤委員も既に御承 知のように、先般のWHOの会議でもこの辺のことが話題になりました。ただ、いずれ にしても、例えば、統計学的な科学的な意味での根拠付けというのは、しょせんはまず 難しい、できない。というのは、全く先般のこの場での会議と同様でした。今回はこう いうふうに、つまり配水系統ごとに1地点以上とさせていただきましたが、今後もう一 度見直す必要があると思いますし、それから、科学的な裏付けをきちんととった上でと いうことは勿論あるんですが、それとは若干別の立場から、行政的な判断としてこうい う考え方でということは、私は場合によってあっていいのではないかとも思っておりま す。その辺のことも含めて、今後更に検討すべきだろうと思います。  それから、16ページの一番下の鉛の件なんですが、ちょっと微妙なところでして、鉛 管は使っていないけれども、鉛についての濃度の測定をするときにどうするかというこ とが1つポイントになると思うんです。少なくとも私としては、鉛管は使っていなくて も、いわゆる青銅合金とか鉛が素材として使われている部分はありますので、そういっ た意味では、鉛の濃度測定に関してはこの方法でと考えるべきだと思います。そこのと ころについては、解答の中には必ずしも明確に書いていないですが、そういったことで 合意がとれればよろしいのではないかと思います。  それから、最後の採水箇所数、これも鉛に関してですが、これについてはよく非公式 の席で私も申し上げているんですが、例えば、給水区域全体で採水箇所を10か所選ぶ というような場合に、全部が全部鉛管を使っているところにするということは必ずしも 妥当ではないと思うんです。ここのところについても報告書の中で必ずしも明確ではな いと思いますが、そういった辺りのサンプリングの箇所の設定についてはバランスよ く、鉛管を使っているところが多ければ、それなりにそういった箇所も多く見込んでと いうような判断をすべきだろうと思っております。  以上、議事録にでも残していただければとありがたいと思います。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  ほかにございますか。では、続いて「水質検査計画」。 ○岸部水道水質管理官  「水質検査計画」につきましては3点でございまして、水源監視の在り方も水質検査 計画に載せるべきという御指摘でございます。これについては、そのようなことが望ま しいということで本報告にも書いてあるというお答えでございます。  それから、水質検査計画の公表後の検証はどの機関が行うのかという御質問でござい ます。これにつきましては本報告にも書いてございますけれども、水道事業者が策定し てそれを公表することによって需要者の目にさらして、需要者に対する説明責任を果た すということにより、その的確性を確保したいということが今回の報告書案の内容でご ざいます。当然のことながら、国・都道府県知事は水道事業者の規模に応じてそれぞれ 認可水道事業者がありますので、立入指導をした際には、水質検査計画について確認・ 助言・指導というのは必要であるということでございます。  水質検査計画の策定義務を法律に定め、その内容を省令で規定することという同旨の ものを前掲してございますけれども、これにつきましては前のときと同じように、行政 の方で法令の形はどうなるかわからないけれども検討しているということでお答えして いただいたらどうかということでございます。 ○眞柄委員長  これについては特に御意見ないと思いますので、これで終わります。  では、簡専水と34条機関をお願いします。 ○岸部水道水質管理官  17ページの下からでございますけれども、これは主として地方公共団体でこういった 簡易専用水道行政をやっている方々からの御質問だと思います。  1つ目の御指摘は、検査を行った機関がその検査において何らかの異常を認めた場 合、検査機関から衛生行政の当局に対しての通報制度などを設定する必要があるのでは ないかという御指摘でございます。これは法制度上、検査機関が勝手に衛生行政担当部 局に報告するというのは難しいだろうということでございます。ただ、簡易専用水道の 設置者同意を得た上で報告するよう、検査機関に対して協力を求めることは必要かもし れないということでございます。いずれにしろ、都道府県衛生部局の役割が重要になっ てくるということでございます。  それから、登録制度導入後の値下げ競争というものが懸念されるので、検査手数料や 区域設定あるいは衛生行政との事前協議設定が必要ではないかというようなことでござ います。こういうものを改めるために法制度改正がやられているということなので、こ れはまず不可能ということでございます。  簡易専用水道の清掃と検査を同一事業者にやらせたら、自動車の車検と一緒ではない ですけれども、そういったことができるのではないか。逆に、適正な検査のためには、 両者を分けて考えるべきではないかというような逆の御指摘でございます。いずれにし ろ、今回の法律改正で求められているのは、しっかりした検査というようなことでござ いますので、検査の技術基準については法律で信頼性保証の枠組みを保有していること を求めることにしております。ただ、それ以外についてはなかなか言いにくいというこ とで、そこまでで答えを止めております。  以上でございます。 ○眞柄委員長  これについて、いかがでしょうか。取りまとめた私としては、これで十分だと思いま す。  それでは、最後の「今後の課題」から通して御説明ください。 ○岸部水道水質管理官  クリプトスポリジウム対策の今後の課題として、これは沈渣あるいは水なりを一定期 間を保存するとあるが、意義が感じられないというようなことなんですが、ここに書い てございますように、不幸にして問題が発生した場合、重要なこととして原因究明があ る。そのために、飲食店における食材保存のようなシステムというものの検討の提案を したということでお答えしてございます。  それから、取水口で原水の汚染度をチェックし、基準を超える場合は取水制限や浄水 処理の強化で汚染物質の水道水への移行を防止すべきであるという御指摘でございま す。こういったことは当然の御指摘でございまして、こういったものは水質管理の一環 として水道事業者がとらなければいけないものであると考えるということでございま す。  水道事業者は積極的に情報公開を進める必要があって、国としてもこれを積極的に対 処すべきであるというようなことでございます。既に水道法の24条の2で情報公開が義 務付けられておりますので、国においてこういったものをしっかり実施していくという ようなことになろうかと思います。  水質基準の設定などに当たっては、規制される水道事業者の意見も聞くべきである。 また、水道事業者が委員となっていないのはなぜかという御指摘、御質問でございま す。これに対しての答えといたしましては、生活環境部会でもこういった水道事業者の 意見も記くべきであるという御意見がございましたので、機会をとらえて水道事業者な どの意見を聞く場を設けてまいりました。それから、水質基準については、科学的な知 見に基づき公平に設定されるべきであるという観点から、今回、学識経験者のみを委員 にお願いしてございます。  あとちょっとありますけれども、以上でございます。 ○眞柄委員長  何かございましょうか。 ○遠藤委員  19ページの情報公開の件ですが、これは必ずしも病原微生物だけに限らないと思いま すが、リスクグループに対する情報公開ということについて触れていないではないかと いう御指摘がご意見の中にあったと思います。それで、例えば、「情報公開の中には、 必要に応じて医療機関等への迅速かつ適切な情報提供」が含まれているんだということ について一言触れていただけませんでしょうか。私は当然このような措置は入っている ものだと理解しております。それがそもそもHACCP、あるいはWater Safety Plansの 中に謳われているリスクコミュニケーションの概念だと理解しております。是非よろし くお願いいたします。 ○眞柄委員長  公衆衛生機関ですね。それもそうなんだけれども、このパブコメで「国としても」と いうのは国のことを何も書いていないんだけれども。「国としても積極的に対処すべき である」の国がやっている情報公開は何という話です。 ○岸部水道水質管理官  この審議会も全部公開にしています。 ○眞柄委員長  それだったら、国としてはホームページ等を通じて絶えず情報公開を行っていますと か、更に進めたいとかやはり書いてあげなければ、せっかく意見をいただいたんだか ら。  最後に聞こうと思っていたんですが、この回答というのはまたホームページに載せる んですか。 ○岸部水道水質管理官  はい。 ○眞柄委員長  そうすると、やはりここのところは厚生労働省のWebナンバーは幾つですとか、それ ぐらい書いておいた方がいいのではないですか。 ○岸部水道水質管理官  どこですか。 ○眞柄委員長  「国としても積極的に対処すべき」というのだから、厚生労働省としてはこのホーム ページでとか水道課のホームページとか、情報公開に努めておりますとか何か書いてお いた方がいいのではないですか。  それから、ついでですけれども、管理官は省略されたんだけれども、19ページの「激 励の」というのは要らないですね。 ○大村委員  それから、ここに「46項目から50項目に増えることは望ましいことで一歩前進と思う 」と書いてあるけれども、実質的には増えるのがいいとは限らなくて、どっちかという と……。 ○眞柄委員長  いやいや、そういうコメントだから「激励」とは言えないので、「御意見も」で。 ○大村委員  この3つは書かなくてもいいと思うんだけれども。 ○眞柄委員長  それは、一応あったということで。  細かい話ですが、途中から報告書の章か何かの頭が抜けているので、それは追加して いただきたいと思います。  全般的にもう一度さっとごらんになって、これは意見として追加しておいた方がいい とか、意見に対する対応として不適切であるとか、そのようなところがございました ら。 ○平田委員  先ほどの15ページの一番下のお答えのところで、「お気持ちはわかりますが」、これ が多分先ほど議論の誤解の……。 ○眞柄委員長  「お気持ちはわかりますが」は消しましょう。 ○平田委員  それから、19ページの一番上の行で「沈砂」の字が違いますのと、「沈渣を」だと思 います。  そういうものはみんな言うのですか。徹底的にチェックはしていないですが、そうい う意味では18ページの下から2つ目の質問に対する答えの1行目「管理の検査が確保で あり」というのは日本語がおかしいですね。 ○岸部水道水質管理官  それは、整理させていただきます。 ○眞柄委員長  ほかにございますか。伊藤先生、何かございますか。 ○伊藤委員  コメントの中にあって回答では取り上げられていない点なんですけれども、こういう 基準値による規制の考え方に関することです。今回のように基準値が一旦決定されます と、一般にその値を超えた水は危ない水で、逆に基準値以下の水を配っていればそれは 絶対安全な水である、というふうに、水の安全性について白・黒を判定するような判断 材料として使われてしまうという傾向がありますよね。しかし本来そうではないはず で、例えば、発がん物質のような慢性影響の物質については、一時的にそれを超えたか らといって即それが問題だということではない。ある一定期間をみたときの積分値とし て評価されるべきもののはずだと思うんです。その辺りの注意点については、実は11年 前の前回の専門委員会の報告書の中には記載されておりまして、この委員会では第2回 目の委員会の配付資料として配られた中にそういうことが述べて紹介してあります。そ のような基準値そのものの取扱い方については、今回のこの報告書では後退していると ころではないかと私自身思っています。したがって、その取り扱い方の部分を少し本報 告書の中で追加記載できないかなと考えています。いかがでしょうか。 ○眞柄委員長  今、伊藤先生がおっしゃったことは理解しております。そういう意味では、92ページ の水質基準の在り方について、今後、法的位置付けも改めて議論すべきだということの 中に入っていると承知しておりますし、厚生労働省の方ではこの基準の関係について部 会での審議が終わったら、早急に最後のところにいろいろ書いてあることに関して御検 討を進められることを期待して、課長もいらっしゃることでございますので、速やかに 御検討を進められるようお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。いかん せん、法律の枠組みの中で基準をどう改正しようかということでありますので、当然限 界がありますから、今、伊藤先生がおっしゃったようなことは、やはり枠組みとの問題 も関係することですから、次のステップで御議論していただくということで御了解をい ただきたいと思います。  ほかにございますか。いろいろとありがとうございました。今日いろいろ御意見いた だきましたことにつきましては、用語の修正や言葉がきちんとメモとして整理されてお りませんが、修正すべきところについてはきちんと私も記録しておりますし、事務局は 当然記録しておりますが、それを受けて修正案が資料4にあります。具体的なことにつ いては、私の責任の下で修正して、28日の部会で報告したいと思いますが、資料4につ いて簡単に御説明いただけますか。 ○岸部水道水質管理官  まず微生物に関する水質基準につきましては、いろいろ細かに用字法の適正化を御指 摘いただきましたので、この辺のところは遠藤先生に見ていただきながら用字法の適正 化を図りたいと思っております。  それから、TOCと過マンガン酸カリウム消費量の関係ですけれども、冒頭、安藤先 生から御紹介がありました知見を踏まえて、多少報告書本文を修正する必要がございま すので、こういった形で修正をさせていただきたいということでございます。  それから、水質検査法につきましては、いろいろ御議論をいただきましたけれども、 それを踏まえて主たる部分といたしましては、ここに載せてあるような一斉分析法のフ レームレス分析法、それから、フェノール類、界面活性剤のELISA法の削除、流路型吸 光光度法云々の話を整理させていただきたいと思います。  それと、試験法につきましても、いろいろと用字法について御指摘をいただきまし た。これにつきましては、安藤先生に御相談して整理をさせていただき、お答えに代え たいと考えております。  以上でございます。 ○眞柄委員長  そういうことで、修正案をこういう形でセットしたいと思います。それから、パブコ メに対する回答については、御議論いただいたことを踏まえて修正をいたします。部会 に専門委員会報告として上げさせていただきます。  では、続いて、議題のその他です。よろしくお願いします。 ○岸部水道水質管理官  今後のスケジュールでございます。委員長から紹介がございましたけれども、本日こ ういったことで必要な修正をさせていただいた上で、水質管理専門委員会報告という形 で作成させていただきたいと思います。その後、来週の月曜日、4月28日に生活環境水 道部会の開催を予定しておりまして、そこでその報告書、「案」がとれたものを報告さ せていただく予定でございます。部会でお認めいただければ答申という手順を進めてい きたいと思います。答申をいただけたら、直ちに私どもで省令改正、その他必要な法令 改正を行っていきたいと思っております。  なお、本日の議事録でございますけれども、次回の会議は当面予定されておりません ので、これまで通り私どもで案をつくりました後に先生方に御相談させていただきまし て、最終的には委員長に確認をいただいた上で、公表という手続をさせていただきたい と思っております。  これまで昨年の8月からずっと毎月1回というペースでお忙しい中をお集まりいただ きましてありがとうございます。今回200ページを超える報告書をおまとめいただきま して、本当にありがとうございました。私どもはこれを受けまして適切に対応したいと 思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。 ○眞柄委員長  予定よりも少し時間が過ぎてしまいまして、申し訳ありませんでした。これで専門委 員会を終わりたいと思います。先ほどお話ししましたように、大変長い間精力的に委員 会での御議論に参加していただきまして、ありがとうございました。また、特にそれぞ れの項目につきましては、担当の委員に大変御努力をいただきましたことを改めて感謝 を申し上げます。先ほどありましたように、部会に報告をして速やかに改正ということ になると思っておりますので、もともと専門委員会は公開でございますので、専門委員 の先生方が一番審議の経過を御存じでございますので、いろいろな形で社会に情報を提 供していただきまして、正しく新しい基準が運用されるように別な形で御協力もいただ きたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、最後に課長から一言ごあいさつをお願いいたします。 ○谷津水道課長  先ほど岸部管理官から申し上げたとおりでございますが、本当に長い間熱心な御討議 をありがとうございました。これを受けまして、一段と水質管理の体制を強化したいと 考えておりますので、引き続き御指導のほどをよろしくお願いいたします。ありがとう ございました。 ○ 眞柄委員長  では、どうもありがとうございました。                    −了− 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4032)