03/04/10 第27回厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録                          平成15年4月10日(火)                          14:05〜17:21                          於・厚生労働省省議室            第27回 厚生科学審議会生殖補助医療部会  生殖補助医療対策準備室長  定刻になりましたので、ただ今から第27回厚生科学審議会生殖補助医療部会を開催い たします。  本日は、お忙しいなかをお集まりいただきましてありがとうございます。  本日の出欠でございますが、金城委員、福武委員がご欠席でございます。また、松尾 委員は後ほどおみえになると存じております。  では早速、議事に入りたいと思います。矢崎部会長、議事の進行をお願いいたしま す。  矢崎部会長  では、本日配付された資料を確認してください。  生殖補助医療対策準備室長  本日の資料は、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告 書(案)を提出しております。  参考資料としては、ご意見募集で寄せられたご意見が4件ばかりございます。  机上配付資料として、加藤委員より提供いただきましたもの。  以上でございます。  矢崎部会長  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。  本日は27回目で、しかも年度の最後のところでお忙しいなかを委員の皆さま、ご出席 いただきまして、ありがとうございました。  前回の部会までで、検討事項についてはおおむね議論いただいたかと思います。委員 の皆さまにおかれましては、前回の部会において私から、またそのあとに事務局から再 三ご連絡申し上げとおり、前回、資料として出しました報告書(案)を十分読んでいただ いたうえで、ご意見がおありの方は事前に事務局に提出していただきたいというお願い を申し上げ、各委員からいただいたご意見については、事務局と相談しまして報告書 (案)に盛り込めるところは盛り込んだつもりでございます。その結果について、報告書 (案)として皆さま方にお送りしたところでございます。  今回は、こういう経過で各委員からのご意見を盛り込ませていただきました報告書 (案)を、最終的にご確認いただきたいと思っております。その議論の過程で、胚の提供 と公的管理運営機関、規制のあり方といいますか規制の方法の三つについて、最終的に 確認していこうと思います。私といたしましては、一応きょうでご議論を終了させてい ただきたいと思いますので、なにとぞよろしくお願いいたします。  早速、確認に移りたいと思いますが、報告書(案)の1ページから、これは、ご意見の 方はということもありますが、順次区切っていって、事務局で委員の皆さまからいただ いたご意見で追加したり、あるいは内容の少し変えたりという部分があるかと思いま す。それを中心に事務局から説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願い いたします。 まず、Iの「はじめに」の部分でございますが、変更の点とかご意見な どがございましたでしょうか。  生殖補助医療対策準備室長  特にこの点につきまして、皆さまに前回送付したものに対する変更はございません。  矢崎部会長  よろしいでしょうか。この「はじめに」は精神論的なことを書いておりますので、具 体的なことは次からになると思います。  では、IIの「意見集約にあたっての基本的考え方」の部分について確認をしていきた いと思いますが、事務局から説明をお願いします。  生殖補助医療対策準備室長  この部分につきましても、特に変更はございません。  矢崎部会長  よろしいでしょうか。  では、IIIの「本論」の部分に入りたいと思います。  1の「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受けることができるものの条件 」の部分についてでございますが、これは先ほど申し上げました胚の提供の部分と代理 懐胎の部分が含まれますが、まず事務局からお願いします。  生殖補助医療対策準備室長  変更した点だけ紹介いたします。10ページの三つ目の〇ですが、お送りしたものでは 「身体的危険性を負わせてはならない」というところでとまっておりましたが、それに 「本部会においても医学的な面から安全性について十分な議論を重ねたところである」 という部分を追加してございます。  変更点は以上です。  矢崎部会長  よろしいでしょうか。  鈴木委員  本論の文面のことでよろしいのですよね。8ページ、AIDに関して〇の一つ目です が、「AIDについては、安全性など六つの基本的考え方に照らして特段問題があるも のとはいえないことから、これを容認することとする」というのが最初にきています が、これはたぶん専門委員会の報告書の文面をそのまま踏襲した形だと思うのですが、 私はだめだというわけではないのですが、この六つの原則に照らしてということで話し 合ったとはあまり理解していなかったので、皆さんが、これはそういうことなのだとい うことであればいいのですが、ちょっと違和感は感じていますということだけ、意見と して言わせていただきます。  同じように9ページの「提供された精子による体外受精」も、一つ目の〇が「特段問 題があるものとはいえないからこれを容認する」となっているのですが、このままでい いと皆さんがおっしゃるのであれば、ということですけれども。  矢崎部会長  この六つの基本的な考え方は、一つの憲法みたいなものですよね。だから、それに基 づいて特に問題があればそこで議論する、そういう意味でこのように書いたのですが、 鈴木委員は、あえて「特段問題があるものといえないことから」という積極的な姿勢を 書いていることについてということでしょうか。一応、六つの条件を全部、議論の土台 にしてやっておりますので、そういう考え方でこういう表現になっているかと思いま す。  鈴木委員  部会長はたぶんそうおっしゃるだろうと思っていましたが、あえて違和感が私は残っ ておりますということだけしていただきたく、発言させていただきました。  矢崎部会長  そのほか、いかがでしょうか。  澤委員  15ページまでの全部でよろしいですか。胚そのものの問題をまた蒸し返すようです が、11ページに、これは部会長のお言葉だと思うのですが、「最終的な選択として提供 された胚の移植を認める」と。もうどうしようもなかった場合にはしょうがないだろう ということの次に、卵子の提供を受けることが困難な場合でも、旦那さんが精子が元気 な場合でも胚を認めようというのは、最初に最終的な選択といっていて、残りがまだ卵 子の提供を受けるのが困難な場合は胚というのはいかがなものなのでしょうか。このあ いだの議論でも両方ともの意見があって、結論づけるには非常にまだ難しいのではない かと思うのですが。  日本医師会といたしましても今、議論しているところでございますが、配偶子と受精 卵・胚というものに関しては区別をして扱っていくというのが大きな方向になっており ますので。  もう1点ですが、提供された胚の移植の解説のところに現行の特別養子制度との対応 に関してひと言も記載がないというのは、そのことについてかなりいろいろこの場で も、議論が尽くされたとは思いませんが、何度も挙がってきたところですので、たとえ ば公的管理運営機関がきちんとした家裁に準ずるような対応をしたのちに認めるのかど うかというところ、それについて言及がないのはいかがなものかと私は思いますけれど も。  矢崎部会長  それに準ずるものとしては、倫理委員会あるいは公的管理運営機関の審査会で行って いただくということなのですが、11ページの4があったうえで5があるという理解では だめなのでしょうかね。  澤委員  このあいだ、胚に対してはいかがなものかと。国民調査でもまだ認知されていないと いいますか、それが前年、矢内原先生がおやりになったのと新しくやったものでもほと んど代理懐胎と胚の提供に関してはまだまだ、不妊患者さん自身も、夫が望んでもやり たくない、夫婦のあいだでやりたくないというような、むしろネガティブなのが非常に 強いという印象を私はもったのです。  ああいう調査がどの程度のものかというのも、このあいだ、議論に出ましたが、そう いうのを受けてぼくは、部会長が最終的な選択とおっしゃったその裏には、少なくとも 卵子がもらえれば、精子が元気な場合はあるわけですから、あくまでもそれは卵子でま ずやってみる、そういう判断をされたのかと私は理解しておりましたが、今回のを見ま すとそうではなくて最終的な選択のものが、ぼくにしてみれば、安易に卵子が足りない から胚というのが、そのあたりが飛躍のように思えてしょうがないのです。  矢崎部会長  いかがでしょうかね。一応これで案を出していただいて、事前に澤委員からいただけ ればまた考えたのですが。  石井委員  前回、私は澤委員のおっしゃったような趣旨のことをひと言だけ申し上げたのです が、それに対して議論はしないまま、5番については決めないで終わったのではないか という印象をもっておりました。実をいいますと、私は今回「これについては当面禁止 」という意見を出させていただいているのですが、私自身は専門委員会では、使わない ことになった胚でだれにも侵害を与えない医療行為になるのだから認めていいのではな いかという考え方を支持していたのですが、4のほうが最終的な手段としての胚移植を 認めるという考え方からすると、精子がある場合には認められないのではないか、父と なった人が、自分の実の子が別にできたときに親としての責任を引き受けてくれるだろ うかなどと考えると、「当面禁止」という考えもあると思ったのですが。  矢崎部会長  わかりました。澤委員と石井委員のご意見では、澤委員のご意見をお聞きしますと、 夫が精子があるのに、卵子が得られないからといって安易に胚に走るのはいかがなもの か、そういうご主張ですね。そうしますと、たとえば、卵子の提供を受けることによっ て子をもつことのできる夫婦、すなわち夫の精子は使えるというような夫婦について は、提供胚の移植は当分のあいだ認めない、そういう形で修文をさせていただければよ ろしいでしょうか。  加藤委員  そうすると、なまじっか夫の精子があるためにチャンスがなくなってしまうのもかわ いそうだという説があったと思うのです。ですから医師会では、これより厳しい基準で 適正でないと判断を下して制限することはかまわないと思うのです。ただ、胚の提供に ついても絶対だめだというのではなくて、場合によっては認めるという小さな余地だけ 残しておいて、あと、医師会のほうの判断でこれはやめたほうがいいというのであれば おやめになったらいいと思う。この委員会の答申案としては絶対不可能というものでは ないという判断を示したところなのではないかと思います。やれといっているわけでは ないです。また、みんなが希望しているといっているわけでもないのです。  澤委員  前回からの議論の流れをみていると、加藤先生の言いたいことはすごくよくわかるの ですが、やはり配偶子から胚というふうにいっぺんに移ってしまうことに対してなにか しら抵抗感をもっている委員は、たしかに多数決ではないですけれども、確としてあっ たような気がいたしますが、いかがですか。  加藤委員  実際問題として、卵子の提供がふんだんにあればこういう状況は絶対に出てこないわ けですね。ところが、実際には卵子の提供のチャンスがきわめて少ないという場合に、 そのことによっていろいろな条件を考えると、不当にチャンスが制限されているように 感じるケースが出てくるかもしれない。そういう場合にも救済の手段が全くないわけで はないという判断を示しているのだと思います。だから、たしかにおっしゃるとおり飛 躍です。もし卵子の提供がふんだんにチャンスがあれば、こんなことを書く必要はない だろうと思います。ただ、ほんのわずかな余地を残しておくというのも、法的な枠を決 める場合にも必要な判断枠ではないかと思います。  新家委員  そもそも胚提供自体は私は反対であったわけですが、卵子の提供が少ないということ だけで胚の提供を認めるというのは納得いかないのです。よく考えてみた場合に、父親 には全然異常がないにもかかわらず、また血のつながりを言うとおこられるかもしれな いのですが、全然遺伝的には関係ない子どもが生まれてくるという状況になったときの 父親の気持ちというのはどうなのか、その辺が大変疑問であります。今の時点では卵子 の提供が少ないという前提に立っておりますが、そんなに遠い将来ではなく卵子の凍結 保存はできると思うのです。それまではちょっと待たれたほうがいいのではないでしょ うか。  荒木委員  澤委員の日本医師会の考え方、新家委員の日本産婦人科医会の考え方、それから私ど もの日本産科婦人科学会の考え方は、一貫して胚の提供は現時点では認めないという方 向で進んでいただきたいと思っています。  町野委員  ちょっと確認をしたいのですが、胚の提供は絶対だめというお考えが多いということ ですか、それとも、卵子が得られないときに胚の提供を認めるという考え方はよくな い、どちらなのでしょうか。両方だということはあり得ないので。矢崎部会長が先ほど 修文とおっしゃられたのは、あとのほうの考え方ですよね。  矢崎部会長  私の場合には、澤委員が言われたように、夫の精子がちゃんとしているのに、それを 胚移植に進むのはいかがなものかというご意見に対しては、それは今のご意見で当分の あいだは認めない。ただ、国で胚の移植を全面的に禁止するのは、そこまではいかがな ものかというのが私の考え方であるし、多くの委員の考え方ではないかと思うのです が。  町野委員  学会のお考えは、胚の提供自体認めないということだったと思いますが。  荒木委員  当分のあいだ認めないということです。ただ、卵子の提供者がいないから胚の提供を 認めようという意見には反対です。やってみなければわかりませんし、ないからといっ て胚まで認めるという意見は反対です。  町野委員  そういたしますと、夫婦のあいだで精子及び卵子両方ともないといった場合、そうい うときにも認めないということですか、現在のところは。  荒木委員  そうです。  町野委員  そうすると、矢崎部会長の今まとめられたところとはちょっと距離があるということ ですね。  矢崎部会長  そうですね。  高久委員  両方だめなときだけ認めるというのは、なにか矛盾しているような気がするのです が。認めないなら全部認めないし、認めるなら精子だけある人も認めないと、片一方は 認めて片一方は認めないというのは、矛盾しています。私は基本的には加藤委員と同じ 考えで、卵子の凍結が可能になるのは今のところまだ予測がつかないわけですから、な まじっかご主人に精子があるからだめというのは、なかなか納得されないのではないか と思います。  矢崎部会長  これは議論がもとに戻ってしまって、とても結論がつけられないのではなくて、議論 していくと必ず一つには絶対まとまらないですよね。ですから、胚の移植を認めないと いうことはこの委員会の結論ではないと思いますし、荒木委員からも、当分のあいだは というお話もありましたし、澤委員からは、夫の精子がちゃんとしているのに卵子がな いだけで胚にいくのは、要するに遺伝的な関係が全くない状態で胚にいくのはいかがな ものか。すなわち、おそらく皆さん考えられているのは、提供配偶子がなかなか難しい から安易に胚に走ってはいけないのではないかというお考えのようでございますが、先 ほどの修文ではなかなか難しいですかね。  加藤委員  ちょっと澤さんは誤解しているのではないかと思うのだけど、こういう場合、父親の 気持ちはどうだろうかというのだけど、どうしてもその場合は胚の提供を受けなさいと いうのであれば父親の気持ちを無視することになるし、それは父親の思いはどうだろう かということになるわけだけれども、この場合は、父親がいやだといえば絶対そういう ことはするなということはわかりきっているわけですから、あくまできわめて稀な例 に、もちろんこの話全体を通じて当事者の同意のない行為は一切認めないという原則が あるわけですから、父親の気持ちを侵害するというご心配はいらないのではないかと思 うのですが。  澤委員  父親の気持ちのことを言っているのではなくて、この報告書では子の福祉ということ をいちばんにうたっているわけです。子の福祉のことを考えたときに、出自を知る権利 をもった時点で、この子には全く自分と同じブラッドリラティブのファミリーがいるわ けです。相手のファミリーも、全く違ったところで生まれた兄弟がいるわけです。医師 会で問題になるのはそれがいちばんの理由です。子の福祉をうたうのであれば、胚はほ かの配偶子と少し異なる対応をしたほうがそれはいいだろう、そこで一線を画すること というのは、なにがしか将来的に意味が絶対にあると。今、たまたま表現がそうなって いたので私はそう申し上げましたが、胚というものに一段ジャンプするときに、子の福 祉ということをきちんと踏まえて考えていかなければいけないのではないか、そういう 意味で申しました。  矢崎部会長  いかがですか。そういう議論がずうっとあって、それについては慎重に対応しましょ うということで4番の記述がいろいろあるわけですが。  澤委員  もう1点、特別養子制度との法的な兼ね合いというのは、民法上はもちろん受精卵は ヒトではないですから、生まれてくるまでというのは相続権以外の民法でも認めていな いわけですから、そうなのかもしれないのですが、実際に6か月以上の養育状況をみた うえでとか、かなり厳しいウオッチングをきちんとして特別養子をもらうわけです。実 親との離断もするわけですね。胚というのは、余剰胚だからあらかじめ切れているとみ るのか、そういうところもきちんと。前の段階でそういう議論がどの程度あったのか知 らないのですが、ここにきてかなり、鈴木委員からもそういうお話がございましたし、 もしこれをやるのであればそれに対応するなにか代行するきちんとした、この会議でこ ういうことをやれとまではいえないでしょうが、ただ、会議でそれがある程度議論され たという記載がこの中に一つもないのはどういうことなのか、よくわからないですけ ど。  矢崎部会長  特別養子法と胚というのは全然違う次元であるという。法律的にも。すでに親子関係 があるところを断ち切って新たに親子関係をつくるわけですから、法制的にある程度対 応しないといけないということで、裁判所とか、あるいは親子関係を断ち切って新たな 親子関係をつくるという状況を調べるという意味でそういうシステムがある。法的な親 子関係を切る、そして新たな親子関係を築くという視点からのいろいろな配慮が特別養 子法にはある。皆さんの議論と専門家のお話の結論として、私はそのように理解してい たので、それとこの胚の移植とは、特別にそれと関係するということはないのではない かと思いますが。  才村委員  その両方の遺伝子を引き継がない胚についてのみ、倫理委員会でまずセレクトされ て、そのうえでまた公的管理運営機関の審査会にて適否に関する審査を行うというふう になっていることが、特別養子縁組の裁判所での子の福祉のための制度であることに少 し整合性があるのかなとは思ったのです。だから、このときに医学的な適性だけではな くて子どもを安定して養育していけるかという項目を審査の中に入れてもらったのは、 そういう理由なのかなと思います。  それと、今の澤委員と意見は違うのですが、私もよくわからないですけれども、特別 養子縁組の場合には、できてしまった子どもを養子縁組するにはということで、夫婦と しての育てるいろいろな面でのチェックが厳しいわけなのですが、そのときには、その 夫婦の子どもとしては、たとえば精子が健在にあるのかとか卵子がどうとか、大体、不 妊治療をされている方が多くて、そのうえで子どもができないために養子がほしいとい うことで申し込まれる方が多いわけですが、精子だけがあるけれども夫婦としての子ど もができないから養子を選ばれるという実態がありますし、そういう意味では精子だけ を必ず血のつながりとして確保しなければならないということについてはどうなのだろ うかなと、少し思います。  矢崎部会長  ありがとうございました。あと、医師会で、ほかに兄弟がいるという点も、特別養子 法であればほかにファミリーがいるということもあるわけですね。ですから、あまり絶 対的なものにはならないような気がいたしますが。ですから、胚については最終的な選 択肢としてこういうものがありますよということで、積極的に胚の移植を、困難だった からこちらに進みなさいということをいっていることではないとご理解いただきたいの ですが。  鈴木委員  基本的には、今、澤委員がおっしゃった意見に激しく同意しています。文面上の問題 で全体的なことでもあるのですが、たとえば11ページの一つ目の〇、胚提供についての 考え方が一つ書かれてあります。たとえば「親子の遺伝的なつながりを重視する血縁主 義的な立場からは慎重な意見があるところである」とあるのですが、これは主語はだれ なのでしょう。国民のなかにもそういう意見があるということで書かれているのか、こ の委員会のなかでそういう意見が強かったという意味で書いていらっしゃるのか、これ はこの部会の報告ですので主語を明らかにしておいてくださいというのがあります。  私は、遺伝的なつながりがないから胚提供がだめなのだという意見でこの部会で話が 進んできたようには必ずしも思っていませんし、もう一つは、三つ目の〇になるわけで すね、「当分のあいだ、提供された胚の移植は認めないという意見もあったところ」 と。これだけさんざんいろいろな方が胚提供について疑念を表明してきて、それがたっ た3行で収まっているのは非常に困るなと。もう少し、このような理由から認めないと いう意見もあった、というふうに丁寧に書いていただきたいと思っています。  そしてそこのところに、先ほどの特別養子制度との整合性も議論になった、というよ うなこともやはり入れていただきたいと思っていますけれども。  矢崎部会長  この対応をどうしますかね。事務局でなにか。  母子保健課長  基本的にいくつかのご提案といいますか反対意見も出ましたが、事務局で修文という 形で引き取れるものもなかにはあろうかと思います。それから少し考えなくてはいけな いこともございますので、この点、少しあとに回していただいて、休憩のあとにもう一 度ということは可能でしょうか。  矢崎部会長  はい、わかりました。私としては、委員それぞれの思いはあるかもしれませんが、当 分のあいだ、胚の移植は認めないでいこうよという意見もあったということはちゃんと 書いてありますので、それに付随してこの中にいろいろ説明を入れろというご意見はあ るかもしれませんが、ここにきっちり書いてあるので、それぞれ委員の意見はここにま とめてあるというふうにご理解いただきたいと。それは、いろいろたくさんこの中に入 れればご満足いただけるかもしれませんが、ある程度、限度がありますし、何回もいい ますように、特別養子法とこれと全然違う次元のことをこの中に書くのもいかがかと思 いますので。今、課長が言われましたので、これについてはまたあとで振り返って議論 いただくということで、次に進めさせていただきたいと思います。  鈴木委員  一つだけ。この報告書(案)全体のことですが、私たちの納得のために書いていただく 報告では決してなくて、このあいだも、なぜこれがだめだったのか、なぜこれがオーケ ーになったのか、国民の皆さんに対する説明義務という意味での報告書なわけですか ら、ある程度、たとえばパブリックコメントなどで指摘が多かった部分に関しては答え ていく内容にしていっていただきたい、それが私の意見です。  矢崎部会長  ですから、どこまで書き込むかというのはそれぞれの委員の意識のレベルで違うと思 いますので、これについてはそのつどまたご意見をいただくということで、とりあえず 17ページ、2番目の「精子・卵子・胚の提供を行うことができるものの条件」の部分に ついて確認したいと思いますが。  鈴木委員  代理懐胎はよろしいのですか。  矢崎部会長  加藤委員、いかがですか。  加藤委員  私は代理懐胎について、この文案だと、永久にこれはいかなる場合にもいけないとい う結論になってしまって、それはこの委員会の判断としてやりすぎではないか。だか ら、もし困難があるので、この困難をクリアしなければいけないという考え方に直すべ きだと考えて、きょう、急遽、紙をお配りしていただいたわけです。ただ、これについ て、実はこれは哲学の場面では 200年間ぐらい論争の的になった概念が背後にありまし て、この委員会でそれを10分間で説明しろといわれてもとても無理なので、あとで帰っ てゆっくり読んでいただきたいと思ってお配りしたわけです。  矢崎部会長  それを踏まえて事務局で対応していただいたのですよね。  生殖補助医療対策準備室長  15ページのいちばん下の〇でございますが、3行追加したものを皆さまにお配りして おりまして、「将来、代理懐胎について再度検討するべきだとする意見もあった」とい うことで明示をしておるところでございます。  矢崎部会長  よろしいでしょうか。  では、17ページから19ページにかけての部分について、ここは特にご意見はなかった のですかね。  生殖補助医療対策準備室長  はい、特にこの部分は変更はございません。  矢崎部会長  では3番目の「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施の条件」、20ペ ージから29ページまでのあいだのなにか。  生殖補助医療対策準備室長  このあいだも、変更した部分はございません。  矢崎部会長  これは、26ページに児童相談所の対応ということを書き加えたのですね。  生殖補助医療対策準備室長  26ページのいちばん下の〇の部分でございますが、児童相談所との関係、相談に関し ての部分をつけ加えたものを、皆さまにすでにお送りしております。「開示を求めてき た者やその家族等が開示に際してさまざまな悩みをもつことが考えられるが、III4(4) で述べるように、これらの者は児童相談所等に相談できることとされており、児童相談 所等は必要に応じ公的管理運営機関と連携をとりつつ相談に対応することとなっている 」という部分でございます。  矢崎部会長  そこを書き加えたのですね。あるものを、ここにさらに述べたということですね。い かがでしょうか。  鈴木委員  20ページの対価のところで、三つ目の〇の下から2行目、「実費相当分の金銭を受け 取り、提供者に渡すこととする」となっているのですが、いわゆる保険分の話はここで どういうふうに表現されていくのでしょう。必ずしもその人が支払った医療費の実費だ けではなくて、万が一のときの補償のお金なども必要なのではないかという議論があっ たと思うのです。もうちょっとそこも含むようなうまい書き方はないかと思っているの ですが。それとも、それは実費相当分の中に入っているのでしょうか。  矢崎部会長  内容はよくわかりませんが、それを含めて実費相当分と理解していただけば。実費相 当分というのは文字通りそれですから、あらゆるものが実費としてケースバイケースで 変わってくる可能性もありますよね。  鈴木委員  だとすると、この報告書の中で万が一の補償ということに触れなくていいですか。実 費だけではなく、それについても考慮しなければならないという議論はあったかと思う のですが。提供者に万が一なにかあったときの保険分などのお金も必要なのではないか という議論があったと思いますが、そこの話は一切この報告書(案)には載ってきていな いのですが。  石井委員  もし保険に入るとしたら、保険料は提供者ではなく別の人が負担する人が違うので、 実費相当分の中には保険料は入らないのではないですか。  矢崎部会長  実費相当分というのは議論しましたが……。  鈴木委員  ただ、実費相当分ということまではとりあえずということで合意があったと思うので す。それに加えて、先ほどいった万が一のことも考えなければいけないというようなこ とがずいぶんここのなかで話されたのではないですかといっているのです。それについ ても、ひと言なにか書いておく必要があるのではと。  矢崎部会長  要するに障害保険みたいなシステムですよね。それはここに、どうなのですかね。  母子保健課長  報告書の中身に書く内容としてはそこまで細かいことはどうかということも一つあり まして、われわれとしますと、72ページにインフォームド・コンセント、説明の内容と いう形で、(4)の1)に「副作用等に対する補償について」ということで、こういうも のについてちゃんと説明をしておきなさいという話をここに加えております。もしこう いったものにかかるお金があるのであれば、そういった詳細についても今後詰めていけ るものとわれわれは理解しておりますので、報告書にわざわざここまで細かいものを書 く必要はないのではないかというのが私どもの理解でございます。  鈴木委員  何を細かいことと判断し、何を細かくないと判断するのか、人によってズレがあるの だと思うのですが、逆に書くとまずいことがあるのでしょうか。2行ぐらいでもつけ加 えていただければいいのではと、私は単純に考えてしまいましたけれども。逆に報告書 のページ数がこれ以上増えるのは望ましくないとか、そういった制限があるのかどう か。  矢崎部会長  そういうレベルの話ではなくて、なかなか難しいですね。ここで一応補償のことを書 いてあるので。では、補償を考えるべきだと報告書の中に入れるというお考えなのです か。  鈴木委員  「補償についても検討された」という一文があってもいいのではないかと。なになに しろという提言まではまだ私たちはあの時点でしていなかったと思いますし、その辺の ことを実施の際には考えていく必要がある、という一文だけでもよいのではと単純に私 は思っていたのですが。  矢崎部会長  それは議事録の中に何度も出ていますし、しかるべきところで障害保険みたいなもの を考えるべきだとかいろいろな話がありましたね。  町野委員  保険の話はたしかにここに書くのは適当ではないと思うのですが、問題は、なにか損 害が生じたときにそれが補償されなければいけないということは皆さん合意されている ので、ここで文章で「実費相当分及び医療費」と書いてあるから、それがどちらに入る だろうかということなのですね。それさえどちらかに1行でも2行でも書かれれば、私 はそれで十分ではないかと思います。保険をどうするかという問題は、石井委員が言わ れたように別の問題だろうと思いますが。  矢崎部会長  なかなか私にはそういう文言を、どういう意味があるかよくわからないのですが、行 政的にみてどうなのですかね。問題が起こったときに医療費としてなにか支払われるこ とはあるのでしょうか。提供者が採卵のときになにか問題があって。これは、交通事故 と同じように全部私費でやらないといけないということになるのですかね。その辺のと ころはよくわかりませんが。なにかそれについてコメントがございますか。  雇用均等・児童家庭局長  ここは、提供者と提供を受ける者のあいだの対価の授受という項目の中でございます ので、たぶん整理をしにくいということもあって原案では入っていないのではないかと 思いますが、たしかに事故に対する補償についてなんらかの仕組みがいるのではないか という議論はあったかと思いますので、場所は今、提案できませんが、そういう問題が あるということをどこかに記すことはできようかと思います。  矢崎部会長  それについては、先ほどの課長がご指摘になった部分以外に書き加えるかどうかとい うのは、ちょっと検討させていただくということで。  そのほか、なにかございませんでしょうか。  松尾委員  今の問題ですが、72ページの「提供者に関するその他の事項について」というところ で、「提供を受ける人の責任で対応する」、そういう趣旨の文言を加えていただければ いいのではないでしょうか。  矢崎部会長  しかし、この場合、1対1で対応できない可能性もありますよね。  松尾委員  それでしたら、提供を求めるべきではないと思いますが。  矢崎部会長  ですから、もしリスクがあったときに、もとに戻りますが先ほどの保険みたいなもの で提供を受ける者がある程度費用を積み立てておいて、突発的なリスクがあったときに そういうところから補填するというのが先ほどの保険みたいな考え方なのですが、そこ まで含めて松尾委員がおっしゃられるということであれば、それでよろしいかと思いま す。  松尾委員  しかし、このような特殊例をカバーする保険ができるかどうかというのは疑わしいと 思うのです。  矢崎部会長  それは言われるとおりですね。  松尾委員  やはり責任を明確にしておかないと、係争になるのではないでしょうか。  矢崎部会長  では、それも含めて検討させていただきたいと思います。  38ページまでのインフォームドコンセントの部分について、これはけっこうご意見が あったところですね。少し事務局から丁寧に説明していただけますか。  生殖補助医療対策準備室長  変更点としては、36ページの四角の中に入っている部分ですが、「担当医師が、提供 を受ける夫婦や提供者及びその配偶者がカウンセリングを受けることが必要だと判断し た場合には、当該夫婦や提供者及びその配偶者はカウンセリングを受けなければならな い」。これは、内容としてはこれまでも含まれているものなのですが、より強調すべき という部分がございまして、この中に含めてございます。  変更点としては以上ですが。  矢崎部会長  変更ではなくて、書き加えた部分も。  生殖補助医療対策準備室長  戻りまして、35ページのやはり四角の中でございますが、(1)の「専門団体等による 認定等を受けた生殖補助医療に関する専門知識をもつ人によるカウンセリングを」とい う中に、中立的なものであることを強調すべきだという意見がございまして、「中立的 な立場からの」というのを追加しております。  それから、原文では「カウンセリングを当該医療施設以外で受けることができるよう にすること」というのが、当該医療施設でもできるという部分との対比で書かれてきた 部分がわかりにくいという指摘がございまして、「当該医療施設またはそれ以外で」と 修正してございます。  その文章に続きまして次の段落で「また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助 医療を受ける夫婦、提供者及びその配偶者並びにそれらの者の家族等も、当該生殖補助 医療の実施または提供に際して、当該生殖補助医療に関する専門知識をもった人による カウンセリングを受けることができる」という部分も、内容として追加しております。  以上が、先ほど説明しましたものを含めて四角の中の変更点でございまして、これに 対応している部分ですが、36ページの二つ目の〇の中にある部分、これも同様に変更し ております。  矢崎部会長  36ページの変わったところをちゃんと読んでいただけますか。  生殖補助医療対策準備室長  繰り返します。二つ目の〇の段落二つ目のところが新しく加わったところで、読み上 げます。「担当医師は、提供を受ける夫婦や提供者及びその配偶者からカウンセリング を受けることの希望があった場合、他施設等と綿密な連携を行うことなどにより希望者 が適切なカウンセリングを受けられることを担保しなければならないこととする」とい う部分でございます。  矢崎部会長  あと、そのうえで「専門知識をもつ人による中立的な立場からのカウンセリング」と いうのが入っていますね。それと……。  生殖補助医療対策準備室長  同じく「当該医療施設またはそれ以外」。  矢崎部会長  「またはそれ以外」というのを委員の皆さまから追加させていただきました。  あと、37ページのいちばん下のところにも。  生殖補助医療対策準備室長  すでにお送りしている部分でございますが、37ページの下の〇の二つ目の段落で「特 に生まれた子が精子・卵子・胚の提供者の個人情報について開示請求を行う際には、当 該者のみならずその両親である提供を受けた夫婦を初めとする家族も、さまざまな悩み をもつことが想定される」という部分をつけ加えております。  矢崎部会長  おわかりいただけましたでしょうか。委員の方がたの意見でだいぶ書き加えさせてい ただきましたが、なにかございますでしょうか……。カウンセリングについては、ご議 論いただいたなかで、特に子どもが生まれた後の相談については手厚くするように、だ いぶボリュームをふくらませてまとめさせていただきました。よろしいでしょうか。  鈴木委員  今、30ページ、4「インフォームド・コンセントとカウンセリング」のところから始 まったわけですが、26ページのいちばん下の〇も追加されたということで、似たような ことですよね。児童相談所等に相談ができるという文面が加わったということで、ここ とも絡んでいると思うのですが。  話は飛びますが、結局、公的管理運営機関の話は、きょう、最後にしていただけるの でしょうか。というのは、データの保存とかということだけではなくて、だれがこの相 談に乗るのかというところがほんとうに大事だと思っていて、今の報告書の文面だけで は納得いっていないのです、もちろん。そしてほとんどが今、児相にいきましょうとい う話になっていて、ほんとうにこれで大丈夫なのかと。べつに児相が相談に乗っていけ ないということをいっているわけではないのですが、基本的には管理運営という、シス テムをやっていくハードというのでしょうか、そういったものではなくて、やはりソフ トをどうやっていくかということのほうが大事だと思うのです。  今までの議論のなかでは、相談場所がばらばらになってしまっていて、一括というの でしょうか、この問題に専門的に取り組める、私はたとえばサポートセンターみたいな ものが1か所なり何か所か必要だと思っているのです。そこをイメージしないままでカ ウンセリングの文面ができあがっているので、ちょっと困っているというのが正直なと ころなのです。  矢崎部会長  それについては、公的管理運営機関のところでまた改めてということで。  では、39ページの「実施医療施設及び提供医療施設」について、書き加えた部分も含 めて詳しく説明してくれますか。  生殖補助医療対策準備室長  39ページのいちばん下の〇が追加した部分になります。読み上げます。「また、実施 医療施設は、低出生体重児が出生する場合等、当該生殖補助医療や分娩に関する異常事 態に備え、原則として、周産期医療、新生児医療のために必要な一定水準以上の人材、 施設、設備、機器を備えることとする。または、そうした事態に十分対応できる施設と 綿密な事前協議・連携を起ことにより、十分対応ができることを担保しておかなければ ならないこととする」。  この部分について、別紙7「実施医療施設及び提供医療施設における施設・設備・機 器の基準」の3「周産期医療・新生児医療に必要な施設・設備・機器について」と、別 紙8の「実施医療施設及び提供医療施設における人的要件」の5「その他」という部分 にも追加してございます。  矢崎部会長  今、別紙のそこを説明してください。  生殖補助医療対策準備室長  別紙7の93ページ、3「周産期医療・新生児医療に必要な施設・設備・機器について 」という部分で、読み上げます。「実施医療施設は、周産期医療・新生児医療に必要な 施設・設備・機器、具体的には総合周産期母子医療センターまたは地域周産期母子医療 センターに準じる施設・設備・機器をもつこととする。または、周産期医療・新生児医 療に十分対応できる施設と綿密な事前協議・連携を行うことにより十分対応できること を担保しておかなければならないこととする」。  続きまして別紙8に関する部分で、96ページの最後の段落がつけ加えた部分でござい ます。「実施医療施設は、周産期医療・新生児医療に必要な人材、具体的には総合周産 期母子医療センターまたは地域周産期母子医療センターに準ずる人材を配置することと する。または、周産期医療・新生児医療に十分対応できる施設と綿密な事前協議・連携 を行うことにより、十分対応できることを担保しておかなければならないこととする 」。  以上が別紙に書かれている部分でございます。  それから40ページに戻っていただきまして、(2)の「実施医療施設及び提供医療施設 の指導・監督」という部分で、四角の中の表現ですが、「実施医療施設、提供医療施設 を指定したものは、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施について定期 的な報告に加えて」、この「定期的な報告に加えて」という部分を追加しております。 「必要に応じて当該医療施設から報告を徴収し、立入検査をすることができる」といっ た内容です。  同様の内容で、その下の〇の三行目に「定期的な報告に加えて」というところを追加 してございます。  (3)「実施医療施設における倫理委員会」の四角の中の文言で、二つ目の段落で「倫 理委員会は、II「基本的な考え方」に基づき」、この部分を追加しております。「次に 掲げる事項の審議を行う」というところでございます。  41ページでは同様の内容を本文にも掲げてございまして、二つ目の〇の二行目に「倫 理委員会は、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の個々の症例について、II 「基本的な考え方」に基づき」、この部分がつけ加えてございます。  以上です。  矢崎部会長  よろしいでしょうか。主に小児科的な視点から、松尾委員のご意見に従って修文させ ていただきました。  鈴木委員  40ページで、今つけ足していただいた2の「実施医療施設及び提供医療施設の指導監 督」なのですが、この文面の流れですと、実施医療施設、提供医療施設を指定したもの が報告を受けたり立入検査をするということになっているわけですね。たしかこの指定 をする人というのは、ここにある厚労省大臣または地方自治体長ということになるわけ ですね。公的管理運営機関が報告や立入検査をするようにずっと思っていたのですが、 違ったでしょうか。そこの確認をお願いします。  矢崎部会長  それも、先ほどのお話と一緒に公的管理運営機関の業務というところで議論したいと 思います。よろしいでしょうか。  そうしますと、今お話しになった公的管理運営機関の業務でございますが、これは、 今、鈴木委員が言われましたが、その点については後ほど議論するとして、ほかの委員 から先にいただいたご意見に従った追加の点を事務局からお話しできますか。  生殖補助医療対策準備室長  まず47ページからですが、これは、46ページの(3)「精子・卵子・胚の提供によって 生まれた子に関する個人情報の保存」の部分でございますが、最後の〇がつけ加えられ た部分です。「なお、生まれた子の発育状況に関する情報については、提供を受けた夫 婦及び生まれた子の同意を得たうえで得ることとする」。  続いて、48ページの5)「医療実績等の報告の徴収及び統計の作成」ですが,最後の 〇がつけ加えてございます。「なお、徴収した報告に基づく統計の作成等にあたって は、個人情報保護の観点から匿名化などの個人の同定ができないような処置が十分に講 じられることとする」。  その下の2)「精子・卵子・胚のコーディネーション業務及びマッチング業務」の四 角で囲っております部分の二つ目の段落で変更がございます。「精子・卵子・胚の提供 数が希望数よりも多い場合は」、これについては「原則として」という部分をつけ加え ております。「原則として、精子・卵子・胚の提供医療施設と実施医療施設が情報交換 を行うことにより、必要な精子・卵子・胚を確保することとし、公的管理運営機関は マッチング業務を行わない」。  これに対応して、49ページの本文のほうも追加してございます。49ページのいちばん 下の〇の(1)の中で、「原則として、提供医療施設と実施医療施設が情報交換を行うこ とにより、必要な精子・卵子・胚を確保することとし、公的管理運営機関はマッチング 業務を行わない」。同様の内容でそのように修正しています。  50ページの(3)「胚提供に係る審査業務」ですが、この四角の中で「公的管理運営機 関の審査会は、胚の提供が行われる場合」、これに続いて「II「基本的な考え方」に基 づき」の部分を追加して、「次に掲げる事項を審査する」となっております。  同様な内容で修文した部分がございまして、その下の〇の下から二行目の部分に「公 的管理運営機関の審査会にて、II「基本的な考え方」に基づき、提供を受ける夫婦が子 どもを安定して養育することができるかなどの観点から実施の適否を審査することとし た」、このように修正しております。  以上です。  矢崎部会長  この公的管理運営機関はきょうの2題目のテーマですが、10分間の休憩を入れて、3 時半から再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。                                    −休憩−                                    −再開−  矢崎部会長  では、先ほど議論のありました胚のところからお願いいたします。  11ページの(4)の、先ほど鈴木委員から「親子の遺伝的なつながりを重視する血縁主 義的な立場からは慎重な意見があるところである」ということで、主語はだれかという 質問があったかと思います。これについては、今まで部会のなかでもこういうお話があ りましたし、専門委員会のなかでもこういお話があり、国民のなかでもこういう意見が あるということで、これはだれがいった意見とかそういうことではないので、そういう 意味でご承知おきいただきたいと思います。  そのほか、事務局からお答えできる部分をよろしくお願いいたします。  母子保健課長  若干、順不同になるかもしれませんが、お許しをいただきたいと存じます。  たとえば、提供者が身体的な危害があったときの補償の話が一つ出ておりました。こ の点については民事的な書き込みは特にございませんでしたが、たとえば別紙4の72ペ ージで、(4)の1)に副作用等に関する補償についてございますので、「提供者への医学 的検査、医療行為に伴って発生した副作用、合併症等に対する補償について」というと ころの続きといってはなんでございますが、提供を受ける人が提供者に対してのなにか 健康被害が起こった場合にはそれなりの負担をするといいましょうか、そういった趣旨 のことをここに書き込む。先生がご指摘されたと思いますが、そういった形で対応させ ていただければと考えております。  鈴木委員からだったと思いますが、実施医療施設、提供医療施設に対する指導監督を 公的医療機関がしないのかというお話があったかと存じます。これは、今の日本の医療 機関に対する指導監督というのが、ほとんど医療法の中で厚生労働大臣、都道府県知事 が包括的に行うことになっております。生殖補助医療だけについてみるとたしかに公的 管理運営機関がやったらどうかという視点があろうかと思いますが、そのなかで生殖補 助医療がどのように行われているのかということだけではなかなか難しい面もございま して、病院全体を包括的にみたほうがいいという視点があろうかと思いますので、そう いう意味で指定したものが、生殖医療の部門だけではなくて病院全体のなかで生殖医療 がちゃんと行われているのかという視点を加味しながら指導監督をしたほうがいいとい う視点のもとに、厚生労働大臣、地方自治体と指定したほうがいいとわれわれは考えた ものですから、このように記載をしておるところでございます。  それから、相談の関係でございます。基本的には公的管理運営機関においてさまざま な相談に対する窓口の部分は当然ある程度行われるものだろうとわれわれは考えており ます。ただ、すべてを公的管理運営機関で受けるということは、はっきりいいまして実 際的でもないということがございます。できるだけ地域といいますか身近なところでの 児童相談所がございますので、そういったところで基本的にできるものはやっていただ く。ただ、もちろん拒否はしないわけでありますし、相談がくれば当然受け付けるとい うこともございまして、そこは具体的にどうするかというのは、今後また細かいところ は規定をさせていただきたいと思いますが、少なくとも国のほうでその辺は責任をもっ てちゃんと相談に対応できるような仕組みをつくりあげてまいりたいと考えておるとこ ろでございます。  公的管理運営機関絡みは一応今、ご説明いたしましたが、胚の部分は続けて説明した ほうがよろしゅうございますか。  矢崎部会長  お願いします。  母子保健課長  順序が逆になりましたが、基本的に13ページのところでございますが、胚の移植につ いては11ページの(4)に書いてあるとおりの文章でお認めをいただけるのであればその ままにしておきまして、問題になりました13ページの(5)でございますが、「卵子の提 供を受けることが困難な場合における胚の移植について基本的に認めてもいいのではな いかという意見もあった」と、少数意見といっていいのかどうかちょっとあれですが、 「認めてもいいのではないかという意見もあった」という形で書き直しまして、そのか わりに、5)以下の四角の囲みとか〇全部については、むしろ削除したほうがいいのかと いうことを、先ほどの議論をお伺いしまして事務局で考えたところでございますが。  矢崎部会長  よろしいでしょうか。先ほどのご意見があったことから、胚の移植の第1選択は、胚 の提供がなければ妊娠できない。具体的な医学的な根拠はそこに書いてあります。た だ、現実として卵子の提供を受けることが困難な場合にも胚の移植を今の段階で禁止す るというのはいかがなものかということで、今、課長が言われたような場合における胚 の移植を容認する意見があったということを加えさせていただいて、澤委員が言われた ように、こう下に書きますと積極的にそれを推進するような感じになりますので、その ように変えさせていただいたということでよろしいでしょうか。  今、公的機関の事務局からの行政的な視点からの説明ですが。  吉村委員  確認だけですが、ということは、卵子の提供を受けることが困難な場合に胚の移植は 禁止はしない、そういう理解でよろしいのでしょうか。禁止はしないという条件でいい のか、それとも、それはもう言及しないということなのか、その辺をはっきりしていた だかないと。  矢崎部会長  そういう結論にはならなかったわけです。  吉村委員  ですから、禁止するという結論にはならなかったという理解でよろしいのでしょう か。もしそういうことがやられた場合に、これはこれに反するかどうかということで。  矢崎部会長  そうです。あとの規制のあれにもかかわってきますよね。  石井委員  公的管理運営機関で認めるかどうか判断するのではないですか。  吉村委員  それは公的管理運営機関の判断にゆだねるということになるのでしょうか。  加藤委員  今の部会長の意見だと、13ページの四角いマス以下の文章は全部削るのですよね。  矢崎部会長  そう。それに一つ加えるわけです。全部削って、カッコのところを「卵子の提供を受 けなければ妊娠できない夫婦が卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された 胚の移植を受けることができるとする意見があった」と。だから、反対意見もあって。  加藤委員  では逆転ですね。事実上の禁止ですね。  矢崎部会長  そういうふうになるかな。そうすると、どこかでもう一度議論をするというところが ないといけないですよね。文章的にはどうですかね。荒木先生も澤先生も、未来永劫禁 止ということではなくて、当分のあいだということを言われましたよね。ですから胚の 移植を絶対だめだというわけではなくて、適用が限られたということなのですね。それ で意見としては、先生のおっしゃられるように卵子の提供がなかなか困難な場合にこう いう医療があってもいいのではないかという意見があったと。それと、禁止……。  吉村委員  私はそれでもいいのですが、どういうふうに扱えばいいのかなと思っただけです。  矢崎部会長  そのご意見に関してはどうでしょうかね。  町野委員  先ほどのような文章ですと、やはりそれは認めないということにならざるを得ないだ ろうと思うのです。どのように考えるかは、ここで結論は出さなければいけないと思う のです。  矢崎部会長  おっしゃるとおりです。そうすると、提供を受けることについては今後の検討に。  加藤委員  「意見があった」というだけでは、意見があっただけで結論が出なかった、という結 論になってしまうのではないですか。  矢崎部会長  そうではなくて、禁止の結論になるわけです。ですから吉村先生その他の方のご希望 は、未来永劫禁止なのか当分のあいだ禁止なのか。要するにそれを再度検討する機会が あるかどうか、それを入れるということでどうですかね。今の事務局の案は……。  加藤委員  11ページの禁止はそのまま残して、13ページについて今の説をとるわけですね。  矢崎部会長  そうです。このままだと、卵子の提供が困難な場合に胚の移植は認められないという 結論になるのですね。それでいいかどうか。事務局で、未来永劫禁止ではなくて当分の あいだというのは、将来検討して考えるということなので、そういううまい記述を考え ていただければありがたいと思います。  そのほかの公的管理運営機関については、事務局の説明で納得いただけましたでしょ うか。  町野委員  確認ですが、そうすると今の結論は、当分のあいだ、今のような状況では胚の提供は 認めないということを前提にしたということですよね。そして、これからこれについて なお検討を必要とする意見もあったので、その検討の機会をもちたい、そういうことで すね。要するに今はだめだということ。  加藤委員  13ページの枠の中を、困難な場合には当分のあいだは胚の提供を認めないという趣旨 に変えるわけです。  町野委員  そうですね。これは、胚の提供を受けなければ妊娠することはできないというのは、 通常は卵子をもらえば妊娠できる場合は入らないことは明らかですから、文理的にいう と。従って卵子の提供を受ければ妊娠できる場合は入らないわけですが、それを卵子が 提供されないときを入れるか、だからこれは例外としてという書き方になっているで しょう。ですから、それを取ってしまうということは、日本語の意味としてはだめだと いうことを意味するわけですね。  ただ、今のような状況で卵子の提供を受けられないような場合については認めていい という意見があったけれども、この点についてはなお今後検討しなければいけない、意 味としてはそういうことだと思います。要するに、今はだめだということですよね。き ちんといわなければ現場は困るだろうと思いますから、最後まで問題を回避するわけに いかないだろうと思います。  矢崎部会長  ほんとうは専門委員会と全然違う結論になるのですよね。私としては、専門委員会の いわれた、たとえば不妊治療のために精子と卵子で受精させてつくることに対してはい かがなものかということで、反対ということで明記させていただいたのです。今、町野 委員が言われたように、卵子の提供がほとんど認められないというときに、では胚の移 植をどう考えるかということで専門委員会の議論があって、ここに書いてありますよう な十分なステップを踏めばそういうことを認めてもいいのではないかという結論だった と思います。今の事務局の文面だと、言われるように、当分のあいだはだめだと、とい うことになるわけですね。  加藤委員  そういうことは、あらゆるここに書いてあることは反対も真理であると書いてもらい たい。  矢崎部会長  私の受けとめ方は、そういう胚はいかがなものかということだけれども、専門委員会 の方針で、不妊で困っている方を十分状況判断をすれば、特別養子法の判断のことを言 われた方がいましたが、特別養子法とは全然違うケースですが、十分に判断すればそう いう方にお子さんをもっていただく機会があってもいいのではないかという座長として の思い入れがあったので、前の胚の議論のときにはそれは絶対反対だという意見がけっ こう強くて、しかも声の大きい方の反対が強くて、私自身は半々ぐらいではないかとい う理解でしたが、聞いておられる方は禁止のほうが強いのではないかというご意見で あったかと思います。議事録を読んでみますと、発言することが多い方は禁止だと。そ して声なき声があまり出てこなかったので、それは私が一生懸命声なき声で言っていた のですが、これはきわめて重い判定になってしまいますね。だから、専門委員会の卵子 の提供が困難な場合は認めるということを、ここでは、当分のあいだ認めないという結 論に。  平山委員  当面のあいだ認めないという結論を出すのもぼくはありだと思います。しかし、部会 長の思いをもし尊重するのであれば、実際に認められる例があるかどうかは別として、 公的管理運営機関の倫理委員会及び審査会で認められるものに限り認められる場合もあ る、とかいうのを書くのもあるのかもしれないのですが、それはどんなプロセスを踏ん でも当分のあいだは絶対やってはいけないのだということなのか、部会長がおっしゃっ たように、そういうプロセスを踏めばいいという書き方をするかだと思うのですが。  矢崎部会長  私はその前段だったのです。公的機関でも、なかなか個別的に判断というのは難しい ですよね。AカップルはいいけれどもBカップルはだめだというのは、なかなか。その ほかにいかがでしょうか。  では、文面をもう一度考えていただいて、最後の残ったのがありましたね。規制の方 法をお願いできますか。規制の方法は特にご意見はなかったのですかね。  加藤委員  代理懐胎のことは、施術をする人をどうするかということは大切な問題だと思うので す。  生殖補助医療対策準備室長  では、関連してこちらから説明いたします。  52ページから53ページ、54ページと続いて規制方法について記載しておりますが、こ の内容は、皆さま方もお気づきのとおり、基本的には専門委員会報告をベースにいたし まして、それに従って追記をしているというものでございます。  そのなかでは四角で囲まれております部分、「以下のものについては、罰則を伴う法 律によって規制する」というところで、特に議論になっているのは二つ目の・で、「代 理懐胎のための施術・施術の斡旋」という文言について、罰則を伴う法律によって規制 するという部分でございます。  このままの記載としておるところでございますが、事務局側から数回にわたりまして 説明いたしましたとおり、53ページの二つ目の〇、こういった部分が一つ、むしろ重要 な観点だろうということで、読み上げますと、「最も重い罰則の規制の様態である罰則 を伴う法律によって規制する範囲については、他の法律における罰則との均衡をもかん がみ、立法過程においてさらなる慎重な検討が行われることが必要」、こういったもの がもともと専門委員会の報告においても前提とされていたところで、今後も他の法律と の関係の整理といった事務的な整理とか国会における審議とか、そういったなかで具体 的には決まっていくのだろうということでございます。  新しくこちら側でつけ加えましたのは、53ページの下から二つ目の〇ですが、「な お、医事に関して犯罪または不正の行為があった医師については、医師法に基づく免許 の取り消しがあるなど、医療の適切な実施について現行においても規制があるところで あり、代理懐胎のための施術を行った医師に対して、別途、罰則規定を設ける必要があ るかどうかについては、これらの規制との関係にも留意する必要がある」。  これは繰り返しにもなりますが、いろいろと資料を見て比較していただいたとおり、 私ども、現在の把握している状況としては、代理懐胎のための施術、施術の斡旋に対し て罰則を伴う法律によって規制するということは、事実上、難しい状況になるのではな いかという認識をもっておりまして、今後、具体化については、そのものの過程におい てそういうものが実現される。医師についても、医師法の枠内での対応というのは想定 されるわけですが、直接罰則を科すというようなことはなかなか難しいのではないか。 このように想定しておりますので、そういった立法の手続のなかに任せていただければ という内容でございます。  矢崎部会長  斡旋については罰則ですよね。  生殖補助医療対策準備室長  ここももちろん、今後の立法の過程における検討の状況次第でありますが、営利目的 での精子・卵子・胚の授受の斡旋、それから3番目の・「職務上知り得た人の秘密を正 当な理由なく漏洩すること」、そういったものは罰則を伴う法律によって規制されると いう内容については想定されるという状況でございます。  矢崎部会長  よろしいでしょうか。規制の方法というのは専門委員会のいわれたのにのっとってこ こに書いてあるわけですが、実際に規制をどうするかというのは、これから立法の過程 で議論されて、最終的に決まるのではないかと思いますが、一応こういうことを規制す る方法を担保してほしいという報告になっておりますが、いかがでしょうか。  鈴木委員  二つ質問があります。どういう議論になったのか記憶が定かではないのですが、一つ 目の・に関係すること、営利目的でなければ精子・卵子・胚の授受及び斡旋はオーケー なのかが一つ。いわゆるNPOなりNGOなりでやりますといったときにはやるのか。  二つ目は、それと関連することですが、例の実施医療機関の認定みたいのをとるわけ ですね。それ以外の施設が行ったときにどうするかという話もずいぶんされていたと思 うのですが、本文の中にもそのことは一つも入っていないのですが、どうするのでしょ うか。  生殖補助医療対策準備室長  これも私どもからお話しいたしますと、実際上、規制を行っていく方法として、最も 重い規制の様態である刑罰を伴う法律によって行うかどうかというのが検討いただいて いる点でありまして、そういうものを裏表の議論として抑制していくためにいろいろな 方法があって、法律であっても、たとえば医師法の免許の取り消しという方向で事実 上、担保をしていくということもあるだろうということでございます。  ですので、今、指摘を受けましたお金をとらないで斡旋をしたものについて、それか ら指定されていないところで施術を行うようなものについて、それぞれについてもそこ だけを取り出しますと罰則がついたもので規制をすべきかどうかという議論があるわけ ですが、たとえばお金をとらないでNPOが実施するかどうかということについてだけ 取り上げますと、実施医療施設というのは、この仕組みの中では提供施設についても指 定された施設でなければならなというなかで、実施医療施設、提供医療施設に対して は、必要に応じて当該医療施設から報告を徴収し立入検査をすることができる、という なかで指導監督を行うことができるということがございます。さらに、こういったもの を担保するものとして指定の取り消しのような処分ということもありますので、全体を 取り上げますとそういったものを規制するということは可能なのではないかということ でございます。  指定されない施設で行うものについてどうかというところですが、こちらも、ここで 行った議論のなかで、医師法の免許取り消しという一つの対応で行っていくことも一つ の方法でありますし,実際上、そういったものを規制する方法はあるのではないかとい うところでございます。  繰り返しになりますが、そこだけを取り上げてどうかということではなく、事実上、 抑制する方法があるかというところみますと、整理はされていると理解しております。  矢崎部会長  専門委員会でこれは、吉村委員、営利目的以外のというのは、今いわれたとおりで… …。  吉村委員  今いわれたことでいいと思いますけど、後段にも書いてありますが、実効性を担保で きる他の対応によって規制するということがありますので、そこにあてはまるだろうと 思います。  ただ、私は前から言っておりますのは、代理懐胎をすることが刑罰にあたるかどうか ということは、われわれが、これは刑罰ですよということを統一したガイドラインをつ くるところでいえるのかと。私は刑法の専門家でもありませんので、そのとき思いまし たのは、斡旋をしたのはおそらく刑罰にあたってもいいのではないかという感じがする だけですが。  矢崎部会長  罰則を伴う法律によって規制するという範疇に三つあるから。  吉村委員  その三つに入りますね。これはおそらく、専門委員会ではやってはいけないことを、 われわれの意見では代理懐胎しかなかったから代理懐胎が入ってきたと思うのです。禁 止をしたというのは代理懐胎だけでしたから、だからここに代理懐胎が入ってきたと思 うのです。ところが、代理懐胎をしたからこれは刑罰ですよ、それはほんとうに刑罰に なるのですかという疑問を、私は前から投げかけていたのです。これだと簡単にいえ ば、やりますと刑務所に入らなくてはいけないということですね。  矢崎部会長  それが、今お話ししたように刑罰になるかどうかというのは、おそらくそうならない と。  吉村委員  おっしゃっていることはわかりますが、それをわれわれがここの四角の中に書くこと がいいのですかといっているだけです。  矢崎部会長  おっしゃる意味はよくわかるのですが、どうしたらいいかということは……。  吉村委員  ですから、加藤先生の改定するという案だと私は非常に納得できるのですが。  加藤委員  私は、刑罰の対象にしないという判断でいいのではないかと思います。  矢崎部会長  そうしますと、斡旋だけということですね。  加藤委員  斡旋も、金銭目的の斡旋ですね。実際には今、コンピュータであらゆるご要望をマッ チングさせるソフトをだれかがつくったときに、たとえばこういう古本がただでほしい というときに、では提供しますという需要と供給のマッチングをやるソフトをつくった とすると、とてもそれは規制できないと思います。  矢崎部会長  それはいけないと思いますよ。マッチングは公的機関で、基本は透明性、公平性です から、それはきっちりやらないといけない。だから、斡旋に関しては私は罰則を伴う。  加藤委員  無料でも罰則なのですか。  矢崎部会長  ええ。それは公的機関がちゃんとやらないといけない、私はそういう理解で。ただ、 手術した方をほんとうに刑罰で罰せられるのかどうかというご疑問ですよね、吉村委員 は。  吉村委員  そうです。  石井委員  斡旋はいけないのであれば、手術を行う人だっていけないことになりませんか。  吉村委員  たとえば国民の調査をみてくださるといいと思うのです。私は代理懐胎はやるべきで はないと思いますが、国民の調査をみると、40%以上の方はIVFサロゲートを賛成さ れているのです。それをたとえば、半数ぐらいの方が賛成されていることをやったから これは刑罰ですよと、私はほんとうに言い切れるのかなと思います。その他の対応で規 制できるのではないかと思います。  斡旋はやはり問題だと思います。たとえば営利目的にかかってきたりすると、これは 非常に大きな問題だと思いますから。ただ、やったからそれで刑罰というのはどうなの かなと思っただけです。  石井委員  何をもって実行性を担保するかという問題だろうと思います。  加藤委員  それについては、今、事務局から説明があって、他の法的規制との整合性を考えて慎 重に判断するという趣旨ですから、今のところ、この骨子案のままでいいのではないで すか。  新家委員  古い法律ですが、母体保護法で実施者、被実施者は両方とも罰則です。いわゆる刑法 の堕胎罪というのは生きているのです。だからこれも、ほかの類似の法律をすると、両 者とも罰則になってしまい。  加藤委員  代理懐胎も堕胎罪に入るのかな。  新家委員  いや、堕胎罪には入らないですけど、ほかの法律の例をみればそういう法律が残って いるということです。  加藤委員  罰則の例があるということですね。  矢崎部会長  そうしますと、専門委員会の方式で、ただ、実際に法律でどうなるかというのは、 今、事務局のお話のように、そのなかでいろいろディスカッションがあると思いますが ……。  吉村委員  それはいいと思います。  矢崎部会長  だから、これがイコールすぐ刑罰ということではありませんので、そのなかでどうい うふうに罰則を法律的に整えるかというのは、あとの議論でいかがですか。  町野委員  私は加藤委員の意見に賛成でございまして、処罰すべきではないという考え方なので す。いちばん最初は「人間を生殖の道具として使ってはならない」と大上段に構えたわ けですね。だから処罰すべきだという議論は出やすかっただろうと思いますが、これは 加藤委員が紹介されていますとおり、もともと無内容な言葉なのです。ここからすぐ処 罰ということは出てこない。そういうことになると、罰則をつけるのは、原理的には難 しいだろうと思います。  もう一つは、それだったら斡旋はどうするかというと、議論は逆で、処罰すべきでな いなら斡旋も処罰すべきではないということにもむしろなるわけです。片方だけ処罰し て、片方だけOKというには、それを正当化する理屈がなければいけません。しかし、 そうする理屈はないように思います。  また、あとで議論されるだろうと思いますが、これを犯罪としないです。医師法によ る免許の取り消しがあるというのですが、こういうときに医師免許の取り消しをやられ た例が今までに1回でもあったのでしょうか。医師免許の取り消しというのは、私の記 憶では、たとえば脱税したとか、脱税も入ったかどうかわかりませんが、かなり悪いこ とをしたとかいう場合です。たとえば某医師のように学会の戒告に違反して代理懐胎を 行ったといったときにも、医師免許の取り消しなどは考えられませんでした。  処罰するのは、実効性を担保すべきだだからということですが、実効性を担保すべき ではないという議論も十分あるだろうと思います。むしろこれは、加藤委員の意見も一 貫するとおそらくそういうことになるのではないかと思います。  矢崎部会長  加藤委員は違うのですよ。先生が反対されている手術のほうはいいけれども斡旋は、 両方とも外すということですか。  加藤委員  その行為それ自身は、違法ではあるけれども罰則の対象になっていない。しかし斡旋 は罰則の対象になっているというのは、売春の場合にあるのではないですか。  町野委員  そういう議論をし始めますとかなり大変なのですが、あのとき、どうして単純売春を 処罰しないことにしたかというと、あれをやるとベッドサイドにポリスが入ってくるか らという理由によるのです。その周辺だけを処罰するという格好にしたので、それだけ の理由があったのです。  矢崎部会長  その判断は専門家に任せていただいて。  鈴木委員  たぶんこの三つの中で代理懐胎だけが対象になったのは、さきの専門委員会で代理懐 胎のみは禁止という結論だったからなわけですね。今回の部会では兄弟姉妹もだめとい うことになってしまったので、ここだけ逆に代理懐胎のみが対象になっているのもおか しいという理屈も、先ほど吉村ドクターがおっしゃっていたのはそういうことも含まれ ていますよね。  矢崎部会長  そういう意味ですかね。違いますよね。  吉村委員  専門委員会のときはそうだったですか。  矢崎部会長  兄弟姉妹と代理懐胎とは違う……。  鈴木委員  もちろん同じレベルかどうかということは別にしても、専門委員会では、禁止されて いることをやったら……。  矢崎部会長  専門委員会でということではなくてここでの話ですので。  鈴木委員  だから、専門委員会のときに代理懐胎が罰則があったのは、禁止されているからとい う理由だったわけですよね。  矢崎部会長  もちろんそうですよね。  鈴木委員  では、この部会では何を基準に逆に代理懐胎のみをここで取り上げるのか。  生殖補助医療対策準備室長  その部分も、もとのものの構造にそのままあてはめることができまして、四角の中の 三つ挙げられたもの以外については、規制が過度のものにならないように、規制が現実 に柔軟に対応できるように、一方で規制の実効性が担保できることをやるということ で、その他というものについては、そのほかの対応で実効性をあげる方向で取り扱って いくという基本的な枠組みの中には含まれるものと考えております。  鈴木委員  だとすると、代理懐胎のみとりわけ厳しく扱うということですか、という質問です が。  矢崎部会長  そういうことになりますよね。あと、兄弟姉妹、胚の移植をしたとかそういう場合に は、ほかの法律に基づく指針などの規制で実効性を担保する方法で規制する、というく くりになるかと思いますが。よろしいでしょうか。  あと、別紙の中で何か訂正その他ございますでしょうか。  古山委員  65ページ、68ページ、76ページ、78ページに同じ文言があるのですが、まず65ページ を見ていただきますと、別紙4は「精子・卵子・胚の提供を受ける夫婦に対する説明の 内容」、「概要」、1「生殖補助医療の医学的事項について」、(1)「生殖補助医療に 関する一般的な医学的事項」の3)「予想される結果について」というのがあります。 その次に(1)で、妊娠率、流産率、生産率、突然変異の遺伝病の発生率等について、そ れから染色体欠損等の発生率等について、形態的な先天異常等の発生率等について、と いう文言がありますが、4番目の「突然変異の遺伝病の発生率」というのが言葉として おかしい。 突然変異というのは一定の確率で起こる変異のことです。自然界で一定の 確率で起こる変異ですが、遺伝病もそういう変異によって起こるわけです。ですから、 接頭語として「突然変異の」とつきますと、新しく起こった変異に限定するようになり ますので、「突然変異の」というのを取っていただいたほうがいいのではないかと思い ます。  それと「遺伝病」というのがここで初めて出てきているのですが、同じ言葉で「遺伝 性疾患」というのが前に何回もあります。同じ言葉ですから、「遺伝性疾患」というふ うにこれを置き換えたほうがいいのではないかと思います。「突然変異の遺伝病」とい うのをとってしまって「遺伝性疾患」にするという提案です。  その次に「染色体欠損等」というのがありますが、これは岸本委員のご意見でこう なったのだろうと思いますが、実は医学用語の中に「染色体欠損」という言葉はござい ません。厚生労働省が出している医師国家試験出題基準という中には「染色体異常」と いう言葉で表現されています。これは医師が説明をするわけですが、「染色体欠損」と ここに書いてありましたら、いったい何を説明したらいいのかわからないということに なります。ですから、岸本委員のいわれた趣旨は非常によくわかるのですが、今、突如 として出題基準を無視して「染色体欠損」という言葉に書き換えるのはいかがなものか と思います。  それから、岸本委員は「ターナー症候群のことをX染色体の欠損による体質と呼んで いる」といわれました。ターナー症候群というのは、普通の女性はX染色体を2本もっ ていますが、ターナー症候群は1本しかない。1本が欠失している。これは医学的用語 では染色体の欠失ー染色体制・モノソミーといいます。染色体異常の中には数の異常と 構造の異常があります。数の異常の中には染色体の過剰と欠失というのがあって、構造 異常はやたらとたくさんございます。ですから「染色体の欠失」とこれを置き換えたと しても染色体異常の一部しか指していないことになりますので、現段階では「染色体異 常」という言葉を使わないとまずいのではないかと考えます。  以上でございます。  岸本委員  ターナー症候群は、もちろん染色体の欠失なのですね。あと、ほかの病では染色体の 過剰な方もおられるということで、これは「染色体障害」というふうにするのが適当で はないですかね。  古山委員  「染色体障害」という言葉を使っておられる方がおられますが、たとえば細胞に放射 線を当てて、そのときに染色体に障害が起こった。ラジエーションを当てたら障害は起 こるものです。その異常のことを染色体障害といっているわけで、人間の場合、普通、 染色体異常という場合は、ラジエーションを当ててわざわざ人工的につくったというも のではございませんので、「障害」という言葉も一般的ではないような気がします。  ですから、もし「異常」という言葉が悪ければ、また関係者がこれからそういう方向 で考えていってもらうということで、今すぐこの場所でいきなり「染色体欠損」に替え てしまうというのはちょっと無謀ではないかと思います。  岸本委員  今後、「異常」という言葉はなくして、もうちょっと言葉を替えていただきたいと思 います。「異常」という言葉自体が、ここからが異常でここからが正常という境目、区 別がほんとうにないと思うのです。だから、ターナー症候群は染色体の異常や、といっ てしまうと、それは絶対違いますし、徐々に小児科の医師のあいだでも、ターナーに 限っては染色体の欠失ということになっているのですが、ほかの染色体のなにか障害が ある方でも、「異常」という言い方をやめて別の言い方に今後替えていただきたいと要 望します。  矢崎部会長  ぜひそういう方向でね。よろしいでしょうか。  松尾委員  今のところで「形態的な先天異常」というのはたしかにおかしいので、「形態的な」 というのは取ったほうがいいと思います。  矢崎部会長  そのほか、いかがでしょうか。  では、先ほどの私がじくじたる思いがあるのは胚の移植です。これに関しては最終的 にどうするかというのが、この審議会だけではなくて、審議会の外の国民の皆さんもど うなるのかということで関心があると思います。国民のアンケートでは、このあいだの お話では、胚の移植はむしろネガティブなご意見が多かったですね。それは、やはりま だ遺伝的なつながりのない子を育てる場合のいろいろな問題と、ちょっといわれた特別 養子縁組とは根底が違いますが、それと同じような問題、たとえばほかの自分のファミ リーがあるといういくつかの問題があって、胚の移植というのはなかなか国民的にも受 け入れにくい部分があるわけです。  繰り返しになりますが、私自身は、そういう状況を十分かんがみながらもやはり医療 として、あるいは国としてすべて禁止というのはいかがなものかと。だいぶこれには反 対意見をこの審議会以外でも個人的にいわれていまして、私もずいぶんそのあいだに 入ってつらい立場にありますが、専門委員会でせっかく一歩踏み出してそれを認めてい ただいたので、私自身は医療として定着させたいという思いがあったので、少し座長が 皆さんの意見をリードしていた部分があるかもしれないということで、全然違う結論に なると私としても対応が難しいところがありますが、どうですかね、考えていただけま したか。  母子保健課長  13ページについて、急場で考えてみた文章でございますが、読ませていただきたいと 思います。13ページの5)でございますが、先ほどのご議論で……。  矢崎部会長  5)は残すのですか。  母子保健課長  ですから、5)のところをそれ以下を削除したうえで、〇を一つつけて文章を加えては どうかというご議論だったと存じますので、その文章を読ませていただきたいと思いま す。「なお、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦であって卵子の提供を受ける ことが困難な場合において、提供された胚の移植を受けることについては当分の間、認 めないこととするが、この件については、将来、再検討を行うものとする」、というの がたぶん先生方のご意見ではなかったかと思いますが。  松尾委員  賛成です。それが意見を最もよく集約していると思います。  矢崎部会長  よろしいでしょうか。では、そういうまとめにさせていただきたいと思います。専門 委員会で29回ですか、専門委員会は1回2時間ですよね。  吉村委員  3時間です。  矢崎部会長  3時間ですか。そのうえで議論させていただきましたが、これはきわめて意見を集約 するのは難しい課題でありまして、また時代とともに考え方は変わっていくと思うので す。ですからおそらくいちばん大きな問題は、出自を知る権利についてのこの委員会で の意見が違ってきたというのは、わずか2年のあいだでいろいろDNAの検索で親子鑑 定ができるとかそういう状況と、それから子の福祉の立場あるいは子の権利という観点 から、2年のあいだにずいぶん意識が変わってきたことが大きかったと思います。  それからいくつか変更させていただいた点もありますが、この部会については、ほん とうに皆さん、忌憚のない意見を言っていただいて、私としては、議論を誘導した点は あるように思いますが、皆さんの意見をできるだけ聞かせて、あるいは発言していただ いたというふうにこの部会を運営してきたように思います。  ご意見はございますでしょうが、今、一応こういう案にして作業を進めていきたいと 思います。  母子保健課長  先ほどの罰則のご議論を承っておりまして、事務局として若干気がかりなところがご ざいますので、お願いを申し上げたいと思います。53ページの二つ目の〇のところで、 先ほどからのご議論では罰則の適用についてはかなり慎重に考えねばいけないというご 意見がかなりございまして、それに従いますと、この二つ目の〇は書きぶりがどちらか というと罰則を是とするようにとれなくもないので、今は「罰則を伴う法律によって規 制することが適当である」とくくっておりますが、むしろその前段と後段の順序を入れ 換えまして、「さらなる慎重な検討が行われることが必要である」というところを最後 の締めにしたほうがいいという感じがいたしますので、ここは事務局で引き取らせてい ただきたいと考えておりますので、ご了解いただけますでしょうか。  矢崎部会長  よろしいでしょうか。では、ぜひ慎重に検討していただいて、最終的には各委員の方 にもう一度送っていただければと思います。  鈴木委員  公的管理運営機関についての話はしてくださらないのでしょうか。  矢崎部会長  では、ご質問してください。先ほど課長からいろいろご説明いただいたと思います が。  鈴木委員  私は、報告書の文面というより、公的管理運営機関について議論が完璧というか、ま だ議論が残っているのではないかと、前回の部会が終わったあとに認識していますが、 それが一つ。  そして、今現在の報告書(案)に書いていただいた42ページからの業務の内容というこ とで、順番にいきます。  一つ目は「情報の管理業務」ということで、同意書の保存、次も配偶者の同意書の保 存、そういった同意書の開示請求への対応、そして個人情報の保存、それから最終的に そういったものを80年保存して、出自を知る権利というか開示請求に対しての対応をし ていくということ、それらについて統計の作成ということまで、ここに書いてあること はもちろん仕事としてそうだなと思っているのですが、私は前々からいっている広報活 動とかドナーの募集はどなたがやってくれるのですかということ、それから、先ほど 言ったように相談業務がばらばらになっている。最初は実施機関というところで相談し てくださいとなって、生まれたあとは児相にいってくださいとなる。  この問題は、管理運営機関がデータの保存とか事務的なことだけを担うというなら、 それはそれでいいですけれども、メンタルに関してのサポートが集約できるサポートセ ンターみたいなのが絶対必要だと思っているのです。その辺について私はずっと話がし たい、話がしたいとうずうずしていたのですが、全然そちらの話にいかなくて困ってい たのですが、どうなのでしょうか。  先ほど言ったように、一つ気にしているのはドナーの募集です。これは実施病院にゆ だねるのは非常に無責任というか、実施病院でドナーを募集するのは現実的には非常に 難しいですよね。今までのように学生さんに声をかければいいということでは全然すま ない。もっと一般の方にドナーになってくださいという呼びかけをしなければ逆に成り 立たないシステムなのに、これをだれがどのようにしてくださるのか、私はそのことが はっきりわかってからでないと、とても寝覚めが悪いのですけれども。  矢崎部会長  公的管理運営機関の業務、ここにずっと書いてありますよね。公的管理運営機関とい うのは行政的にある程度考えるところではないかと思いますが、今、鈴木委員が言われ たことに関して行政的な立場からお話しできますでしょうか。  母子保健課長  大きく二つ、ドナーの問題と相談業務という形のご指摘をされたかと思います。  ドナーをどういう形で呼びかけて増やしていくのかというのは、私どもはなかなかデ リケートな問題だろうと思っているのです。それを公的管理運営機関がやるのかどうか というのは、若干微妙なところがあると思います。やらないといっているわけではない のですが、ここに明示的に国なに公的管理運営機関が率先してやるべき話なのかどうか ということについては事務局としては疑義をもたざるを得ないというところで、あえて 書いていない部分がございます。  ただ、当然のことながらいろいろな主体が正確な情報を国民の皆さまにお知らせをす ることについてはそのとおりだと思いますので、そういったところについては当然、公 的管理運営機関からいろいろな発信をするわけですから、そのなかの一部としてドナー の募集といっては変ですが、間接的に募集になるような形の情報はあってもいいのかな という感じはいたしております。  相談の話でございますが、6の公的管理運営機関のところに必ずしもピシリと書いて いるかといわれるとそうではないのですが、たとえば37ページで、インフォームド・コ ンセント、カウンセリングといった中で、(4)「子どもが生まれたあとの相談」という ところの囲みの中に、公的管理運営機関や実施医療施設のくだりのところで、当該相談 に応ずることとか、児相をちゃんと紹介するとかいう形で相談に対応するということの 書き込み等がございまして、それをさらに下支えする形で国が相談のマニュアル、周知 といったものをちゃんとするということをうたっておりまして、この辺と併せ技といい ますかそういう形での対応ができるものと私どもは考えております。あえてということ になりますと、こういった部分をもう一回明示的に6の部分に少し書き加えることは、 それは対応させていただいてもいいのかとは考えておりますが。  鈴木委員  提供したいんですけど、という人はどこに電話すればよろしいのですか。私、卵提供 したいと思うんですが、という方は。  母子保健課長  基本的には私どもの感覚では、医療機関にまずしていただくのではないかなと思うの ですが。  矢崎部会長  今の広報とかそういうお話は、この医療がある程度固まって法律的にもきっちり施行 されるときで行為が始まると思うのです。だから、今ここで広報をどうするとかそうい うのは書き込めないと思いますので、それはそういう段階で新たに、どうしたらいいか という実際のさらに具体的な実施のこういう部会がまた組織されると思いますので、そ こで。  鈴木委員  されるのですか。されるのではないかと私も考えますけれども。  矢崎部会長  それと公的管理運営機関については、ここに書いてあること以上、今いわれたような システムをまた別につくるとなると、今、わが国は構造改革でできるだけ小さな政府と いうことをいっているので、またさらにこういうためのシステムをつくるということ は、私自身、行政的な立場でなくても、既存のものをきっちり運営をしていただくよう に厚労省でもそういうことをサポートしていただくことを確約していただければ、今あ るたとえば児童相談所の機能からみて不安だとかそういうことはあるかもしれません が、それについてはほんとうに担当官庁としては整備を一生懸命やってくださるわけで すよね。  母子保健課長  今、部会長がご指摘のとおりでございまして、私どもはこの部会の報告がこれで仮に いいとすれば、これに書かれました理念、それから実際の方法、手段といったものにつ いて、行政として責任をもってこの中身、もちろんご指摘の公的管理運営機関であると すると業務の内容はしっかり書かれておりますので、その実現に向けても責任をちゃん ととらせていただくことになろうかと思います。  安藤委員  今のことと関連するものなのですが、前に第26回の資料としていただいているブルー のところに、提供された精子・胚とか卵子とかの3ページにわたる図表がありますが、 この流れのところが、今回、報告書でまとめられたものがどれかにあたるようになるよ うなものなのでしょうか。  矢崎部会長  情報の流れとマッチング。  安藤委員  はい。それとカウンセリングの今のことも関連してくるのですね。そこら辺のところ がどんなふうに。  母子保健課長  きょうはおつけいたしておりませんが、報告書ができあがりました段階では、別添と して必ずそういったものもつけさせていただこうと考えております。  安藤委員  その際に、今、鈴木委員が言われたようなこともお考えいただいて整理していただけ ればと思うのです。カウンセリングの流れも、児童相談所というところなども出ている のですが、公的管理運営機関と児童相談所との関係の、両方にカウンセリングというの が、提供を受ける側と提供者側の端のところにあるのですが、カウンセリングの流れと かそういうところももう少しわかるようにしていただければと、私の希望なのです。  矢崎部会長  当然、カウンセリングはそうだと思うのです。公的機関にポンと直接いくといった ら、全国からいろいろな人が、いろいろなクレームがあるととても収拾つかないので、 カウンセリングというのは、身近なところからだんだんと困難なものは上にいく流れだ と思いますので、それは当然そうなると思いますが。  安藤委員  言葉として入れていただければと思います。  矢崎部会長  わかりました。  松尾委員  管理運営機関の業務について、二つ発言があります。  47ページの上から三つ目の〇で、「提供を受けた夫婦及び生まれた子どもの同意を得 たうえで得ることとする」というところですが、子どもはまだ新生児であったり乳児で あったり、同意を得ることは難しいので、ここはこういうふうに書き換えたらどうかと 思うのです。「なお、生まれた子の発育状況については、生殖補助医療施行事前に提供 を受ける夫婦の同意を得たうえで情報を得ることとする。子どもが一定の年齢に達した 後には子どもの同意も得る」という形にしたらどうかと思います。それが第1点です。  矢崎部会長  十分理解できなかったのですが、もう一度簡単に。  松尾委員  子どもの同意を得るというのは……。  矢崎部会長  それは成人後のということですね。  松尾委員  成人とは限らないと思いますけれども、とりあえず夫婦の同意を得るという形にし て、成人後、あるいは一定年齢に達したあとは子どもの同意も併せて得るという形にし たほうがいいと思います。  わが国の生殖補助医療の追跡上一番抜けているのは子どもの情報です。事前に同意を 得ておかないと、あとから得るというのは非常に難しいと思いますので、それを入れて いただきたい。  矢崎部会長  それはよろしいですね。これは、今のここに入れるよりは、インフォームド・コンセ ントの中に入れさせていただいてもいいですか。子についての情報をしかるべき機関に 義務的にしないといけませんよ、というのをインフォームド・コンセントの中に入れ て、これについてはインフォームド・コンセントをとったうえでのことに書かせていた だくということでよろしいでしょうか。  松尾委員  はい。  矢崎部会長  では、そういうふうにお願いします。それともう一つは。  松尾委員  48ページの5)「医療実績等の報告の徴収及び統計の作成」というところの四角の中の 3行目に「統計の作成等の当該生殖補助医療の云々」と書いてありますが、作成するだ けではなくて情報を公開するとか情報を提供するということが非常に大事だと思うの で、「作成・情報提供」とか「公開」とかというのをつけていただきたいということで す。  矢崎部会長  情報提供というのは、積極的にオープンにしますよということではなくて、求めに応 じてということでしょうかね。  松尾委員  少なくとも実施している医療機関には情報はフィードバックされるべきだと思います が。  矢崎部会長  その意味ですね。  石井委員  国民にも、どのような医療が行われているかということは、統計報告のような形で出 される必要がある。  矢崎部会長  厚生白書みたいな中にね。  松尾委員  これは米国のCDCの発行しているNational Summany and  Fertility Clinic Reportsですが、これは要求すれば無料で 誰にでも配布されます。一般国民に対してもなんらかの情報公開は必要だと思います。  矢崎部会長  では文言を考えさせていただいて、また最終的にはご了承を得たいと思います。  鈴木委員  次のところの(2)の「コーディネーション業務及びマッチング業務」の件ですが、私 はよくわかっていなかったようです。四角の中に、公的管理運営機関が提供数と希望数 を把握して、提供の数がワーッとたくさんあった場合は原則として提供医療施設と実施 医療施設、たいていこれは一つの、たとえば仮にA病院だとしますが、そこがマッチン グというか具体的なことをして、公的管理運営機関はそのマッチングなりコーディネー ションにはかかわらないという意味なのでしょうか。これがよくわかっていないのです が。集まった病院内で振り分けていいということでしたっけ。  矢崎部会長  これは吉村委員、そういう……。  吉村委員  ぼくも今、急に言われてもわからないので、読んでみないと。  鈴木委員  とりあえず公的管理運営機関が全国からあがってきた提供者の数と希望の数のウエイ ティングリストをつくるわけですね。  矢崎部会長  すべて情報は把握するわけですね。  鈴木委員  すべてを。  矢崎部会長  ええ。そしてマッチングが、提供数が希望数よりも多い場合には、おそらく実施機関 とかそういうところでマッチングが行われるのでしょうけれども、それについては公的 管理運営機関は、情報は把握するけれどもマッチング業務は入ってこないですよね。  鈴木委員  とすると、たとえばA病院内でマッチング業務を行うということになるのですか。  平山委員  これになんで問題が起こるかという一つのパターンとしては、国全体としては提供者 のほうが希望者数より多いことは公的管理運営機関は把握している。けれども実はA病 院では提供者がいっぱいいて、同じ実施登録施設であるB病院にはそれほどいないとい う場合に、A病院ならA病院の中だけで、公的管理運営機関のマッチング業務をせずに そこだけでやっていいよとなると、A病院ではどんどんドネーションが行われるのにB 病院では行われないことになってしまう、ということになるのかということです。  鈴木委員  そうです。  矢崎部会長  これは「行わない」とあえていったのはどういうことですかね。  吉村委員  これはぼくが書いたところではないので、ちょっとわかりません。  矢崎部会長  「行わない」とあえていうほどのこと……。  鈴木委員  全国一律ウエイティングリストをつくって、全国一律配分ではないのかと。  矢崎部会長  わかりました。だから、把握するのは把握するのだけれど、あえて「行わない」とし た理解としては、特別な理由があって、吉村委員のご意見でこうなったのかなと。  吉村委員  これは私もよく理解していません。  矢崎部会長  ちょっと心配だな。  生殖補助医療対策準備室長  数だけの問題でなくて、適正に行われないような状況がもし起これば、公的管理運営 機関がそういった事務部門を行うということで、必要ならばやるし、必要でなければや らない、そういうことを説明しているだけのものでございます。  矢崎部会長  でも、「原則として行わない」というと語弊がある。  鈴木委員  というか、公的管理運営機関が全部配分しないと。配分したりしないということがあ るのですか。  矢崎部会長  ぼくの記憶によると、吉村委員の発言で、卵子の提供があったときに、それを全国に 配ることはどうなのでしょうかね。  吉村委員  難しいですよ。なかなかできないです。  矢崎部会長  できないので、A施設ですぐ対応するのでその施設の中でやらざるを得ない場合があ るということで、積極的に「行わない」という文言はある必要はないと思うのです。で すから、まず前提は公的管理運営機関が管理するのですが、そういう場合もあり得ると いうことですね、私の理解では。自施設内でやらざるを得ないという。  吉村委員  提供者が多い場合は、実施機関は届け出をすればそこで行うことができるという意味 なのですね。現実ではたぶんこうなると思うのですが、もし希望者数だけが多くて提供 者が得られないという場合には、公的管理運営機関が出ていって、たとえばこういう人 から選択的にやったらどうか、そういう意味ではないのでしょうか。  矢崎部会長  先ほどのはぼくの間違いですね。今の吉村委員の前段の話が正確なのですね。  吉村委員  だから、提供者が多ければある程度は実施機関に任せて、その実施機関は公的管理運 営機関に報告をしなければいけない、ということだと思うのです。  鈴木委員  そうすると偏りが出ませんかという心配です。A病院にはドナーはとても積極的に集 まったけれども、別の地域のB病院にはドナーが全然きていない。そして、A病院ばか り進んでいくことになるのではないですか、全国配分でないと困るのではないですか、 ということを再度確認しているのです。  加藤委員  これは違うのではないですか。これは、全国レベルで不足している場合にはマッチン グを行うけれども、全国レベルで供給が十分であるときまでわざわざマッチングはやら なくていい、そういう趣旨でしょう。  吉村委員  そういう意味です。  加藤委員  ですから、A病院ばかり提供がたくさんあるとかそういうことは考えていないので す。全国レベルでどこかで不足があればマッチングは行うわけです。ほしいといってい るほうが多ければ、マッチングを行うことによって配分するわけです。どこへいっても 卵子がいっぱい提供されて全然不足がないというときまで、わざわざだれにしましょう かなどということをセレクションしたりする必要はないということです。  矢崎部会長  その場合に、わざわざ「業務を行わない」とここに書く必要があるか。  加藤委員  それはないかもしれないね。  鈴木委員  とりあえずそういったコントロールも、公的管理運営機関がまず数の把握はしておか ないとできないですよね。どうぞお宅の実施病院内でできますよ、という指示出しとい うのでしょうか、ほかのところもすべて足りておりますということも、まずは公的管理 運営機関が把握しないとできないことですよね。  生殖補助医療対策準備室長  もちろんそれはそのように提供と希望の数の把握が前提になることは、これまでの議 論をいただいたなかで確定しているところでございます。  矢崎部会長  そうしたら、わざわざ「行わない」というのはおかしいので、上の多い場合とかそう いうのは除いて、原則として……。  生殖補助医療対策準備室長  あえて申し上げますが、ページが切れておりますが、二つに場合分けされておりまし て、提供数が希望数よりも少ない場合は公的管理運営機関が登録された情報をもとに マッチングを行う、ということと対になっておりますので、そこも併せて検討いただき たいと思います。  平山委員  この文章では、それが全体の話なのか一つひとつの実施医療機関の話なのかというこ とがわからないではないですか。それをいっているわけです。  生殖補助医療対策準備室長  これは全体の話である前提で書かれておりまして、最初の四角の上の2行、「提供医 療施設及び実施医療施設からの登録により、精子・卵子・胚の提供数と希望数を把握す る」、この中で全国のことを示しておりますので、当然それに従っての内容ということ でございます。  平山委員  全体で多くても、偏りがあった場合どうするのというのが今の問題だったわけです。 だから、この文章ではそういうふうに。  生殖補助医療対策準備室長  そこは、もともと議論いただいた内容では、提供医療施設と実施医療施設、あまりに も平たい言い方で恐縮ですが、余っているところと不足しているところとの調整ですむ ようなレベルであれば独自のあいだの調整でけっこうですし、それでも全国の中で不均 等が起こる、調整が不完全であるということであれば、数だけでみるのではなく、必要 に応じて公的管理運営機関がマッチングに乗り出す。ですから繰り返しますと、必要な らばやるし、必要でなければやらない、それだけのことは。  平山委員  すなわち、原則的には実施医療機関同士が連携をとって勝手にやってくれと。それで 困った場合には公的管理運営機関に頼れよ、そういうことですね。  生殖補助医療対策準備室長  勝手にというか、全体の状況を把握したなかにおいて運用がうまくいくのであればそ ういった形しますし、そうでなければ直接行うという内容です。  石井委員  実は私は「情報交換を行う」という2行目のところで終わって、それ以下を削除する という意見を出しました。問題が起こるのではないかと思ったのですが、すでにこれは 皆さん合意しているものだからということでしたので、「原則として」という文言を入 れてマッチングの余地を残すという形にしていただいたのです。もし皆さんが「行わな い」ということを削除していいというのであれば、そうしていただくほうがいいように 思います。  矢崎部会長  わざわざ「行わない」ということを議論した覚えはないので、これはいいですかね。  松尾委員  公的管理運営機関がどうしてもやらなければいけないのはデータの把握業務だと思う のですが、それ以外のことは、はたしてできるかどうかというのは、現実の状況として 非常に疑問だと思うのです。このマッチング業務などということをやるとなると生殖医 療の専門家でなければいけないと思うのですが、実施医療施設以外にそういう人が存在 するかというと、非常に考えにくい状況ではないかと。したがってマッチング業務とい うのは、基本的には生殖補助医療をやっているプロフェッショナルの判断基準で行うべ きではないかと思います。  矢崎部会長  また議論が振り出しに戻ると収拾がつかなくなりますので……。  松尾委員  したがいまして、あまり細かい文章を書かなければいいのではないでしょうか。  矢崎部会長  やはりマッチングは公平性、透明性を保つうえできわめて重要な基本的な原則ですの で、これはやるという大前提があるわけです。その中でマッチング業務を行わなくても よい場合があるということですよね。  吉村委員  そうです。たくさん提供者がいる場合に、わざわざ公的管理運営機関が、君はこうし なさい、ああしなさいといったことに……。  矢崎部会長  ことはない。ただ、施設による先ほどの平山委員のバラツキがあったときにはどうす るかといったときは、そういう問題も公的機関が把握していただきたいということです ね。ともかくこれは公平性、透明性ですから、施設間のアンバランスとかそういうのも 視野に入れて十分やっていただきたいという願いですよね。ですからあえて「行わない 」という文言が問題でありますので。  生殖補助医療対策準備室長  全く意味は変わらないと思うのですが、たとえば「必要に応じてマッチング業務を行 う」、これでも。  松尾委員  公的管理運営機関という主語をとったらどうなのですか。  矢崎部会長  いやいや、やはりマッチングはそういうところでやっていただかないと。  松尾委員  できますか。  矢崎部会長  できるかはともかく、ちゃんと透明性を高めてもらわないといけないということで、 これはぜひやっていただきたい。  よろしいですかね。もう時刻をすぎてしまいましたが。  石井委員  時刻をすぎているのに、申し訳ないのですが議事録にとどめておいていただきたいの で、あえて発言をさせていただきます。  事前に意見を述べたことの一つですが、公的管理運営機関がどういう組織になってど のようなものになるのかということです。それは行政的に詰めないとできないことも多 いので、今、ここで議論することが必ずしも適当ではないということは納得しました。 公的審議機関が設けられ、その公的審議機関と公的管理運営機関、そして医療施設を指 定する国、地方公共団体が有機的に連携して生殖補助医療が適切に行われるようにする システムがきちんとできることを希望する、そういう組織を行政がつくっていくことを お願いしたい。  矢崎部会長  おそらく委員の皆さんはみんなそういう意見だと思いますので、それはぜひ事務局で も尊重していただきたいと思います。ただ、この中に入れられる事項かどうかはわかり ませんので、ぜひ委員全員の希望だということで述べさせていただきたいと思います。  鈴木委員  私も、きょうで終わるのかどうかがわからなかったのですが、直接審議をしているわ けではないのですが、もし皆さんがよろしければということで最終報告書に3点ほど盛 り込んでいただきたいと思っていたことがあるのです。あるいは議事録に残したいとい うことでもいいのですが。  社会づくりということで三つの提言なのです。一つは、子どものいない人への抑圧や 差別、偏見のない社会づくりをということ。二つ目は、今回の技術、精子や卵子、胚の 提供を選択する人たちと、そこに生まれてくる子どもたちへの差別や偏見のない社会づ くりを目指していきたい。三つ目が、養子・里親制度のさらなる普及と、それをサポー トできる社会づくりということを考えていきたい。これらがもしどこかに入るのであれ ばうれしいなと思っています。  矢崎部会長  それも皆さん思っていることですので、この中に入れるかということは、なかなか入 りにくいところがあるので、委員としてはこの医療をきっちり定着させるためにはそう いうサポートが必要だということで、ぜひそれも今後のこの医療を見守っていくうえで 配慮していただきたいということをお願いしたいと思います。  では、細かい文言については、きょうは朗読の部分もありますので委員の皆さまにお 送りしてご承認を得て、一応この報告書としてまとめさせていただきたいと思います。 もう100時間近くの議論で、専門委員会の議論をいきますと150時間近い議論の結果でな んとかこの報告書がまとまりまして、議論でおそらく紆余曲折があって、こういう問題 は難しい問題だということを皆さんがよく理解していただけたのではないかと思います し、議論を進めるうちに理解も深まってきた部分もあるかと思います。  ほんとうに長いあいだおつき合いいただいて、大変ありがとうございます。私自身も 大変勉強させていただきました。当然ながら私がいちばん出席率がいいわけですが(笑 い)、苦労したといえばしたわけですが、ずいぶん長い時間この課題についておつき合 いさせていただいたことは大きな糧になったかと思いますので、委員の皆さまには心か ら厚く御礼申し上げるとともに、終わったあと、私が慰労会をしましょうかね。厚労省 では無理でしょうから。  では最後に、局長からよろしくお願いします。  雇用均等・児童家庭局長  平成13年の7月からだったと思いますが、今回で27回、ほんとうに 100時間近い長い ご審議、ありがとうございました。事務局を代表してひと言お礼のごあいさつを申し上 げたいと思います。  この部会を立ち上げましたときに、私は三つのことを考えました。私自身はほとんど 出席できませんでしたので申し訳なく思っておりますが、毎回、課長その他のスタッフ と事前によく議論して準備をさせていただきましたが、全体を通じて三つのことを心が けてまいりました。  一つは、平成12年の12月に専門委員会の報告が出まして、これも大変貴重な報告書だ ったと思いますので、その報告書をベースにしていただきたいとは思いましたが、その 報告書の結論自体に再挑戦するというのか再議論をしていただいてけっこうであろうと 思いました。その結果、大変重要な事項について結果が変更になることになったと思い ます。  2番目には、この部会の最初に構成を決めますときに専門委員会と比べてより広範な 分野からご参加いただきまして、結果として専門委員会の結論と違う部分が出てきたい うことは、そういう構成の結果でもあるかなと思っております。  三つ目は、専門委員会の報告書が出されましたときに、各紙、大きく論説で取り上げ ていただいたのですが、共通して、これは議論の始まりであり、もっと国民的な議論を してほしいという論調だったのです。そこで、この部会の運営はなるべく国民的な議論 をしていただくことができるようにということで、会議自体、公開いたしまして、その 結果、マスコミの皆さんのご関心をいただいて多くの記事になりましたし、常に国民の 皆さまからのご意見を受けて、毎回、会議に出させていただきまして、そういう形でな るべく多くの方が直接、間接に議論に参加していただくように考えてまいりました。  きょうは久しぶりに最初から最後まで出席をさせていただいて、疲れたと思ったので すが、毎回毎回、ほんとうにお忙しい先生方、そして遠くからご出席なさっておられる 先生方、お礼の言葉もございません。特に矢崎部会長には大変ご苦労をおかけしまし て、心からお礼を申し上げたいと思います。お礼の宴は、今、部会長がなさってくださ るということをおっしゃっていただきましたが、とてもそんなことをお願いするわけに まいりませんので、私たちのほうでなんとか準備をしたいと思っております。  きょう、ご報告をとりまとめていただきましたので、このあとは厚生労働省としてこ れを最大限生かして制度化に取り組むことが私たちの責任であると思っております。た だ、非常に難しい仕事であると自覚をしております。  まず、法的な枠組みをつくることになりますと国会で審議をすることになりますが、 率直に申しまして国会ではほんとどまだ議論がなされておりません。国会から質問が出 るという形もほとんどこれまでございませんでした。そういうことですから、まず与党 との調整が最初の仕事になると思いますが、大変大きな課題になっていると思います。  またきょうも、十分な議論ができなかったということでご不満が残ったかなと思うの は公的管理運営機関のあり方で、これはどういう役割を期待するかというご意見は頂戴 しましたが、公的管理運営機関の実際の仕組みづくりその他、施行体制をどうするかと いうことは、まずは一義的に責任をもってたたき台をつくることだと思いますので、こ れも大変難しい仕事であると思います。部会の議論はひとまずこれで区切りとさせてい ただきたいと思いますが、引き続きそれぞれの委員の先生方にはぜひご支援をたまわり たいと思います。  これは大変難しいテーマだったと思います。医学の進歩と生命のあり方といいましょ うか、生命倫理との調和をどのように考えるかという、まさに21世紀らしいというのか 新しい世紀らしい難しいテーマだったと思いますし、子どもをどうしてもほしくてたま らない夫婦と生まれてくる子どもの幸せをどのように調和するか、これまた大変難しい テーマだったと思います。  以上を申し上げまして、心から先生方にお礼を申し上げたいと思います。どうも大変 ありがとうございました。  矢崎部会長  どうもありがとうございました。心温まる局長の今のお言葉で、ぼくの疲れが吹き飛 んだ感じがいたします。ほんとうにありがとうございました。  たしかにこの部会は、普通、いろいろな審議会というと事務局主導で、これは議事録 から外しますが(笑い)、大体こういう結論でということがあったのですが、大体こう いう結論でというのは専門委員会の報告ですが、事務局の方がたの、この部会の結論に 従いますというお言葉でやらせていただいて、それについては私は、局長を初め事務局 の方が非常に耐え忍んでわれわれに自由に討論させていただいたと思っております。  この部会での議論は、委員一人ひとりの熱い思いで発言があって報告書がまとまると 思います。これから国会の検討の場で法律としてできていくわけですが、その過程でな るべくこの報告書に沿った形で国会の審議が進行するように、これは私どもにできない ことですので、ぜひ厚労省の方にやっていただければと思います。今、子の福祉という お話がありましたが、この報告書は専門委員会の方がたとわれわれの部会で共同で、精 子と卵子でつくった胚のようなものでありますので(笑い)、いろいろ議論がありまし たが公的機関にお預けしますので、健全な立派な子どもに育つように今後ともよろしく お願いしたいと思います。  ほんとうに事務局の方、支えていただきましてありがとうございました。また、委員 の方がたも長時間にわたってお忙しいなかをご議論に参加いただきまして、どうもあり がとうございました。  では、この部会はこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうござ いました。                     照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                          03−5253−1111(代)                              宮本(内線:7933)                              天本(内線:7939)