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参考資料3

 

「水質基準の見直し等について(案)」に対するご意見募集について

募集期間:平成15年3月14日(金)〜平成15年4月13日(日)

全意見集計表

個人・団体数 105件  意見数 402件


意見番号 意見到着日 氏名
(法人)番号
氏名(法人名) ご意見
1 H15.3.28 1 柏市水道事業管理者 (1)地域性・効率性を踏まえた水質基準の柔軟な運用
 今回の見直し案では、101の農薬が対象になり、その地域で使用されている農薬を水質検査対象としています。この対象農薬をどのようにして、使用実態の把握を進めたらよいのか。また、水質検査は、数年に1回程度の頻度で全対象銘柄の水質検査を行うことを想定しているのでしょうか。
2 (2)水質基準の全面的な見直し(拡大)について
 水質基準案で、21項目がす質検査の省略不可能項目となっています。
 この中で特に、飲料水の指標となって約100年と長い間用いられてきた有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)は、分析が簡便で多くのデータがあることから他の項目の目安等として活用されており有機物質(TOC)に切り替える必要はないものと考えますがいかがでしょうか。
3 H15.3.31 2 和歌山市水道局公営企業管理者 和歌山市の水源の大部分は、紀の川表流水を利用しており、過去平均10年5月には、藍藻類による異臭味被害が発生したため、浄水処理(前塩から中塩)の変更を行い対策を講じた。活性炭処理施設がなく新基準値では超過する可能性がある。現在は施設更新を計画中で高度浄水導入を検討しているのでその間、ジェオスミン及び2-MIBの項目については、相当数の猶予期間を考慮した施行を要望します。
4 H15.3.30 3 大阪府水道局
堀 真佐司
1.水循環の概念がない。
水循環の概念が重要視されている時代における水道事業者としての水質管理・水質監視の役割の重要性があまり記述されておらず、環境部局、衛生部局との役割分担についての記述がない。より大きな概念としての水循環の中で水道の水質基準の果たす役割について言及すべきである。
5 2.小規模水道事業者の検査のあり方について明確に記述がない。
水道事業者の99%は技術者がおらず資金力も劣る小規模水道事業者(専用水道を含む)であるといっても過言ではない。この小規模水道事業者の中には、非常に清澄な湧き水等を水源としているところも少なくない。各水質検査項目の省略を可能にしたというが、その水質に関して判断力も持たない小規模水道へのコンサルティングの方法や、ガイドラインなどの早急な整備が必要である。平成4年度の改訂の時には、簡易水道については、水質基準測定の移行のための課長通知(「簡易水道等における水質検査の頻度について」平成5年8月16日水道整備課長通知)が出されたが、現在は、通知は強制力を持たないので、ぜひ、このような提言においても記述して、法律ないし政令でも記述すべきである。また、専用水道の水質検査についても同列の扱いでよいのか疑問である。現状は、ほとんど、専用水道については自己責任の世界で任せてしまっているが、たとえば、国の設置する専用水道の水質検査をどうするのかというと、一律同じ考え方の適用は非常に困難であることが容易に想像できる。
6 3.飲料水水質の基準等の策定、研究、測定方法の開発を総合的に行う国立の研究機関の設置などの提言がない。EPAやKIWAのような行政とは切り離して飲料水水質を専門的に研究・調査する機関が日本として是非必要である。逐次改訂方式を提案しているものの、その実行機関がない現状は、何ら改善されないと思う。次回への検討事項とされたAOCの研究なども含め、基準の見直しの根拠データを外国文献だけではなく、日本としても発信できるようにすべきで、このための戦略も審議会の意見として提言すべきである。
7 ○化学物質に係る水質基準(P.17)
 「水質検査の省略につき、水道事業者等が適切に判断できるよう、省略の可否に関する指針が明示されるべきである」との指摘は、当然であるが、この指針の具体的な事例が紹介されていない現段階においては、省略をどのように判断するか意見を出せない。
8 ○クリプトスポリジウム対策(P.33〜)
1.感染性のクリプトスポリジウムであるか否かの判断(確率)の項もあってよいのではないか。
・2001年の兵庫県山崎町の高濃度蛇クリプトスポリジウムの事例・畜産地域における免疫保持者が通常である事例(帯広畜産大の研究)・2001.4の多摩川の下水処理放流水での高濃度クリプトスポリジウムの検出事例などのように、すでに水道原水中にたくさんのクリプトスポリジウムが存在している可能性があったにもかかわらず、患者が発生していなかったことへの理屈が欠落している。本当にどのようなクリプトスポリジウムが感染性を有する確率をどの程度もつのかについても考慮すべきである。
9 2.非常に清澄な表流水(湧き水等)を水源とする小規模水道へのろ過の義務付けは過大対応ではないか。あくまでも自己責任のもとで、選択できる余地も残すべきである。
10 3.クリプトスポリジウム暫定対策指針は廃止するというが、基準にも定めないまま、廃止しては、今後の研究・技術開発が停止するのではないか。クリプトスポリジウムは測定技術も日進月歩であるし、クリプトスポリジウムの判定そのものもPCRの活用などまだまだ変わりうるものであるうえ、紫外線消毒の効果の実用性は小規模水道でこそ期待されているものであるので、今後とも、クリプトスポリジウムは暫定対策指針として行政の表に残すべきである。課長通知がダメなら、他の方法を考えるべきである。
11 ○水質検査の精度と信頼性のあり方(P.53)
 最後に付け足しのように、「あくまでも水質基準への適合を確認するための水質検査に適用するものであり、水質管理システムの運転のために行われる水質検査に適用するものではない。」としているが、最後に記述するのではなく、最初の大前提として述べるべきである。加えて、水質管理システムの運転のために行われる水質検査の考え方については記述がないので、併記すべきである。p.47に指摘しているように「民間の検査機関では工程管理や水質事故に対してまったく経験の無いところが多い」ので、水道事業者自らが、測定すべきなどという基本方針を記述するべきである。同様に、p.48では、「現在の体制では、水質検査の精度と信頼性保証が担保されていない」と指摘しているが、水の製造業者である水道がそのように検査結果を判定する能力をもっていないことこそ指摘すべきで、みんな外注すればよいというようなニュアンスの文章は避けるべきである。基本は、自己検査・自己判断であると思う。
12 ○水質検査のためのサンプリング・評価−サンプリング個所(p.58)
 (1)で採水地点は、物質ごとに選定するような表現を使いながら、(4)では、使い分けることのないようにと矛盾した表現が使われている。(1)でより具体的に「送配水システム内で濃度上昇しないことが明らか項目」と示しているので、(4)では、「個所により濃度変化する項目と変化しない項目とを把握した上、できる限り同一の給水栓にて検査すべし」と記述すべきである。
13 ○水質検査のためのサンプリング・評価−検査の種類による使い分け(p.63)
 「一連の水質管理の状況を確認するための検査」と「水質基準に適合しているかどうかを判断するための検査」の使い分けの記述が必要である。少なくとも、前者は事業者毎に判断基準が異なるので独自に設定するとし、後者は公表も含め、第3者が見ても納得できる根拠をもとに公正に設定すべきである。
14 ○水質検査のためのサンプリング・評価−水源監視(p.64)
 (3)水源監視ではバイオアッセイについての記述があるが、どこまでが水道事業者の役割でどこまでが、環境部局や保健衛生の管轄かが不明確である。水道事業者の現状は防衛的に水源監視を行っているだけであって、水質保全のために環境改善や施策につなげる政策提言を出せるわけではない。この点、水道法のみの対応で不可能な部分はより積極的に水循環の一環を担う水道として、役割分担の明確化を提言すべきである。
 水質保全は、水道のためのではなく、公共のためのであると言う視点が欲しい。
 線引きとしては、取水場より上流は水道の関知するところではなく、環境部局にこそ責任があると明言すべきである。
15 ○水質検査計画(P.73)
 水源監視のあり方、特に農薬監視のあり方が水質検査計画にかかれていない。水道事業者として責任のあるところではないということであれば、その旨の記述が必要である。また、水道法第4条以外の水質検査項目の取り扱いや都道府県で実施している「水質管理計画」との整合に関しての記述がない。この際、水道事業者がボランティア的に測定している水源監視項目については、はっきりと都道府県の衛生行政の責務であるとかくべきである。地方議会では、法律にかかれていないものはボランティアであるので、公費で予算措置することはおかしいという議論さえでてきている。
16 ○簡易専用水道の検査機関(P.75-80)
 現在の検査率85%は一朝一夕でなったものではなく、昭和60年代から平成にかけての旧厚生省による指導と都道府県による34条検査機関の育成努力によるところが大変大きい。その結果、島や辺境地においても都道府県単位で検査が実施されてきている。この実態の把握なくして、自由競争に基づく登録制度の導入は、いわゆる「いいとこ取り」を促すことにより、検査機関の改廃が相次ぎ、検査率の低下を招くことは容易に予測できる。これを防止すためには、今一度、法律的な強制力をもたせるか、都道府県の関与を認めるようにすべきである。具体的には、法律での記述が不可能な場合には、指導として検査結果の都道府県への報告義務を課すなどにより、少なくとも、検査の実態を都道府県が把握できるようにすべきだ。34条検査機関が検査を実施しなくなった地域がどこかも把握しにくいことも問題だが、その地域を都道府県の衛生部局に実施するように指導したところで、現在のような財政難の状態では実現性はまず期待できない。
17 ○簡易専用水道の検査 (P.75-80)
 現在は、簡易専用水道の水槽の清掃に関する規定がまったくなく、清掃の現状、業者の実態すら不明である。簡易専用水道の設置者でさえ、どこに清掃を頼めばよいかわからない状態である。その一方で「検査」のみ登録制度で自由化するとしても、現在の料金体系が崩れ、検査のみでは経営が成り立たないことは容易に想像できる。そこで、発想を転換して、「清掃」と「管理の検査」をエレベータの保守点検のように同一化してしまってはどうだろうか。双方の業務を登録制度にして、セットで衛生の確保を図る方が、いままで発想が欠落していた水槽の清掃業務へのてこ入れにもなり、実効性も向上すると思うがどうか。(ただし、ビル管業者との整理が必要である)
18 ○水質管理目標設定項目の取り扱い(p.87)
 農薬類は、集水域で使用される可能性のあるものを選定して行うということであるが、利根川や淀川のように大流域の場合は、すべて100項目の農薬を測定することになるのか、そうであれば、全項目の定期的な測定は実態上はほとんど不可能である。
農薬については、非常に微量ということもあり、最初から、基準ということではなく、モニタリング監視項目として位置付け、絞り込む過程が是非必要である。また、原水の水質検査は現在の法律(水道法)では、まったく規定がないので、法律の主旨からだけでは、水道事業者にとっては測定の義務は発生しない。このことを、測定することが「望ましい」で済ましていては、現在のような財政難の中では、予算の確保もおぼつかない状況となりかねない。より具体的な水源監視のための水質測定のあり方を提言し、法律的裏付けを整備すべきである。
19 ○今後の課題(P.90)
 クリプトスポリジウム対策として「各浄水場において配水の一部あるいは沈渣を一定期間保存する制度の導入」ということであるが、食品などと違い、フローでしかも大量の水のごく一部を保存することにどの程度の意義があるのか不明である。むしろ、水質異変などの危機が発生したときの対応方法(浄水の貯留、相互融通、広域応援など)の規定こそ充実すべきと考えるがどうか。
20 ○水質検査計画(別紙P.120)
 法律で水質検査計画を位置付ける場合、水道法第4条以外の水質検査項目をどこまで記述できるのかの方針を明らかにすべきである。特に、原水監視、浄水工程上の水質監視・農薬の監視をどこまで記述するかは、水質検査計画の位置付けに大きく左右される。さらに、水質管理計画との整合も図るべきである。
21 H15.4.1 4 広島県水質管理センター
温井
(1)吸光光度法の廃止について
 有害有機溶媒を使わないという考え方は分かります。それならば,オートアナライザ ーとしての吸光光度法を残せば良いのではないでしょうか。シアンのIC-ポストカラム法やABSのHPLC法などは,ルーチン分析として適当と思えるほどに操作が簡便であるとは言いがたい部分はないでしょうか。また,フェノール類のHPLC法は,農薬のHPLC法と同時分析が前提でしょうか。もし別々に測定するのであれば,その負担はかなりのものになると思われます。また,もし同時分析であるならば,LC-MS法を考えなければ,農薬の多成分同時分析はLC-MSによらねば難しい部分があることを考えると適当ではないのではないでしょうか。また,非イオン界面活性剤の試験にトルエンで抽出して吸光光度法で測定する方法が残っているのは有害有機溶媒を使わないという趣旨からは外れるのではないでしょうか。これも,機器分析を前提にすべきではないでしょうか。
 最後に,ELISA法ですが,これまで日本水道協会で様々な発表をされていますが,本当に定量できるほどの精度を持ったものなのでしょうか。基準値に採用するからには,当然誤反応jや妨害反応についての一定の知見は必要だと思いますが,日本中の全ての水系で耐え得るといえるだけのデータは収集されているのでしょうか。もしされているのであれば,それを公開していただきたいと思います。
22 (2)糞便性大腸菌群及び糞便性連鎖球菌について
 この2種類は,クリプトスポリジウムの指標細菌として多くの機関がこれまで検査してきました。しかし,新しい対策指針では指標細菌からはずれ,今回の水質基準の改正でも,この二つの項目はどこにも出てきません。これは,このまま測定しなくなっても,水道としては問題ないという認識でよいのでしょうか。もし何らかの意味があって,余力があれば検査を続けたほうがよいというのであれば,どこかに出すべきではないでしょうか。このままでは,各機関に蓄積されたデータが無意味なものになってしまいかねないと思います。もしそれでは問題があるとお考えならば,何らかの形で盛り込む必要はないでしょうか。
23 H15.4.2 5 豊川市上下水道部
上水整備課浄水場水質係
椎葉 浩二
今回の見直し案において、シアン、陰イオン界面活性剤及びフェノール類での検査方法から吸光光度法が削除されていますが、2001年版上水試験法では、吸光光度法を用いた流れ分析法が新たに追加されました。 この流れ分析法は、3項目同時分析が可能であり、また、定量下限値が基準値の1/10を十分下回ること、CV値が10%を十分下回ることから非常に有効な分析法であります。さらに、分析は自動化され人的負担が少なく、試料は少量ですることから、試薬等についても少量ですみ、ランニングコストは経済的であり、かつ、廃液も少量ですみます。本市においては、今後もこの流れ分析法を継続していきたいと考えており、今回の見直し案において、吸光光度法が削除されず継続されることを希望します。
24 H15.4.2 6 宮内 孝夫 II.病原微生物に係る水質基準
4.水質基準案
・大腸菌群を大腸菌に変更する件
今回の提言では、技術的改善と糞便指標特異性の二つの観点から基準項目の変更を提言している。未処理の原水では糞便指標として大腸菌を選定することに一定の理解はできるが、水質基準の対象は浄水であり、糞便指標特異性は理由とならないと考えるべきである。この変更を実施した場合、「大腸菌」以外の大腸菌群の細菌が生残していても、基準合格となる。過去の水道統計によれば,大腸菌群検出が全国で年間20回程度報告され、その検出により不適切な消毒の早急な改善に役立っていた。しかし、塩素消毒に弱い「大腸菌」としたならば、これらの多くを見逃すことになると考えられる。審議の中では、一般細菌を従属栄養細菌に変更することでこの不備を回避する検討がなされていたが、今回の提言では削除されている。以上から、「大腸菌」に変更することは、国民の安全を担保していた現行の水質基準と比べて消毒要件を緩和することとなり、従属栄養細菌への変更を伴わないままで「大腸菌」に変更すべきではないと考える。なお、浄水処理の指導徹底による回避方法は不十分であることを、過去の事象が証明していることを申し添えます。
25 5.留意事項・課題
・塩素消毒への抵抗性(CT値)の調査を追加する件
塩素消毒の効果は病原微生物の種類によって異なることが知られている。先般から話題になっているクリプトスポリジウムもCT値が明確にされていないし、多くのウイルス(ノーウォークウイルス、サッポロウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス等)も不明のままである。特に、消毒効果が低くなる低水温時のCT値が必要と考えられる。現行の浄水処理でこれら病原微生物が不活化しているかいないかを判断できる資料として、各種病原微生物のCT値の調査を推進する旨の文面を追加していただきたい。
26 II.病原微生物に係る水質基準の全体を通して
丁寧に事実関係を記載しており、経過を良く説明していますが、読む側が誤解しやすい表現や事実誤認と思われる点があります。これらの公文書による誤認の拡散を防ぐべきと考え,意見を述べさせていただきます。
・「耐塩素性」あるいは「塩素耐性」という表現について
クリプトスポリジウム等に対して標記の表現を用いていますが、別の箇所でクリプトスポリジウムの99%CT値に1600や7000mg・min/Lを提示しています。この場合、1mg/Lの塩素があれば7時間か36時間で約半数のクリプトスポリジウムが不活化することになります。また、「等」に含まれるジアルジアは2時間で半数以下となります。通常、微生物学の世界の「耐性」とは、その条件でほとんど不活化しないか増殖する時に用いる用語で、現実的な塩素接触条件で減少している場合は「塩素抵抗性」と表現すべきと考えます。なお、英論文の多くもchlorine resistantとしておりchlorine tolerant の使用はまれです。
27 ・「検査」という表現について
検査とは基準に合致しているとか、適法であるかどうか判定する場合に用いるべきです。水道では浄水を試料として水質基準項目を測定した場合が当てはまります。それ以外の項目(目標値等は設定されているが基準値のない項目)、さらに水質基準項目でも基準値を当てはめない原水や浄水工程水を試料とした場合に対しては「検査」と表記するのではなく、「試験」等の用語を用いるべきだと考えます。
28 ・その他の個別表現について
1.一般細菌の3行目
チフスが発生していないことを根拠として、→チフスが発生しにくいことを根拠として、
1.一般細菌の12行目
糞便汚染の指標となり得るとも →糞便汚染を疑わせる指標となり得るとも
1.一般細菌の下から3行目
感度が劣るものの従属栄養細菌と →感度が劣るものの原水においては従属栄養細菌と
(参考)1.一般細菌の3行目
水道水を介して発生しない、 →水道水を介して発生しにくい、
(参考)1.一般細菌の12行目
1929年から37℃(24時間)が採用 →1926年から37℃(24時間)培養も採用
(参考)1.一般細菌の16行目
糞便汚染あるいは病原微生物汚染の代替指標が重複化する傾向を見せている点である。
→単に培養装置を共通化したためとも考えられる。
(参考)1.一般細菌の19行目
「一般細菌数は1ml中100を →「一般細菌数は1cc中100を
(参考)1.一般細菌の28行目
R2a 培地等 →R2A 培地等
(参考)1.一般細菌の42行目
糞便汚染の指標と →糞便汚染を疑わせる指標と
(参考)1.一般細菌の51行目
また、「一般細菌」という項目名こそ変わっていないが
→また、「細菌聚落数」、「一般細菌聚落数」、「一般細菌」という項目名の変遷に伴い、
(参考)1.一般細菌の52行目
それにもかかわらず、一般細菌の指標性について正面から再評価してこなかったことが今日の状況を招いているものと考えられる。
→この理由は,糞便汚染を「大腸菌群」で、一般的な汚染を「一般細菌」で相補うことにより、微生物学的安全性を保証しようとしたものと考えられる。
29 (参考)4.大腸菌群の3行目
腸管内に常在する菌の内で →腸管内に常在する通性嫌気性菌の内で
(参考)4.大腸菌群の10行目
1932年に判定基準(常水判定基準 →1936年に判定標準(上水判定標準
(参考)4.大腸菌群の12行目
1966年の水質基準に関する省令(厚生省令第11号
→1958年の水質基準に関する省令(厚生省令第23号
(参考)4.大腸菌群の13行目
(検水量は50ml) →(検水量は50cc)
(参考)4.大腸菌群の17行目
認識が今日の国際的な理解である。 →認識が国内及び国際的な理解である。
30 H15.4.3 7 北九州市水道局 改正案が採用されることで、実務上不具合が生じると考えられることを次のように記述する。改正案では、シアン,フェノール,陰イオン界面活性剤の分析方法から吸光光度法が削除されているが、当会ではこれらの3項目の分析をブランルーベ社製の測定装置による吸光光度法で行っている。年間処理検体数は、水道水を対象として約900検体である。自動測定装置であるブランルーベ社製の測定機器により、迅速な安全確認が必要な水道水質分析に対応しているが、吸光光度法が非適用になることで、ブランルーベ社製の測定装置が使用できなくなり、新たに測定機器を購入する必要が生じ、多額の費用を要する。また、他の方法は前処理などの工程に時間がかかり、水道水質分析に求められる迅速性の欠如につながるものと思われる。
 さらに、現状では上水試験方法に採用されている「連続流れ分析法」に適用できる装置として、ブランルーベ社製の測定装置は広く用いられており、水道水質管理を遂行するうえで有用な方法である。定量下限値が下方修正されるようなことがあれば別の方法をとることは考えているが、自動分析装置として汎用されている機器であり、連続流れ分析法として広く用いられている方法を改正後も適用されることを望んでいる。
31 H15.4.3 8 (財)広島県環境保健協会
生活科学センター
生活技術部
水質管理課
安部啓介
1 ジェオスミンおよび2−メチルイソボルネオールの項目分類分けについて
 かび臭物質であるジェオスミンおよび2−メチルイソボルネオールは、現在、水質基準を補完する快適項目となっており、その目標値は粉末活性炭処理では0.00002mg/L、粒状活性炭処理では0.00001mg/Lとなっております。今回の改正案では、基準項目として設定され、基準値は粒状活性炭等の恒久施設で対応する0.00001mg/Lとなっております。
 本市では、湖沼等で発生するかび臭の発生期間が比較的短いことから、一部の浄水場では粉末活性炭処理で対応することとしています。しかし、かび臭については発生の予知が困難なことから、対応遅れによる新基準値の超過の可能性も高く、さらに原水のかび臭濃度が高い場合、粉末活性炭の注入率を増強することにより、かび臭物質の低減は可能となりますが、その除去性能は十分ではなく、新基準を遵守するためには、現施設の大幅な改善が不可欠であり、新たな経費とともに期間が必要となる等、なお一層厳しい局面が想定されます。現在、かび臭物質は生活利便上の「臭い」の要件として設定されており、今後も基準項目ではなく、管理目標設定項目とするよう要望するものであります。なお、恒久的な高度浄水処理施設の導入が必須となる基準値を設定する場合には、直ちに対応することは困難でありますので、施行に当たっては、相当の猶予期間を設けていただきたく要望するものであります。
32 H15.4.4 9 (財)北九州生活科学センター
水質環境部
山道 靖
吸光光度法の分析について 現在、当事業所ではシアン・フェノール類・陰イオン界面活性剤の分析を「2001年版上水試験法」に準じて吸光光度法で行っている。これら3項目は分析操作が煩雑で時間を要し、マンパワーが必要となるため、自動分析装置に頼らざる得ない。吸光光度法で分析を行う連続流れ自動分析装置は、1時間当り20検体程度の一斉分析が可能で、水道水源の事故などによる緊急検査にも迅速な対応が取れる。当事業所で吸光光度法によるシアン・フェノール・陰イオン界面活性剤の分析手法が用いられなくなった場合業務上支障をきたすことが十分に予測され、検体受入件数(シアン及びフェノール類)年600件、陰イオン界面活性剤年850件もあることから検査業務体制の見直しを含め多大なリスクを負う。分析精度については連続流れ自動分析装置でも定量下限値として基準値の1/10以下の値が得られている。また、フェノール類・陰イオン界面活性剤の分析抽出過程でクロロホルムを使用することから、人体に悪影響が懸念される。連続流れ自動分析では、密閉系での分析可能なことから分析環境面でも効果がある。分析機器及び迅速性については、シアンと硝酸性窒素・亜硝酸性窒素などの分析項目がリンクすることから、カラム交換など分析機器のやりくりを含め迅速な測定に支障をきたすことが予測され、フェノール類・陰イオン界面活性剤の分析についても農薬分析とリンクするため、同様の事態が予測される。
33 H15.4.4 10 釧路市水道部 1. 農薬類の基準について
 農薬類については水質管理目標設定項目となるが、対象として101もの農薬がリストアップされている。検査項目は、地域性や季節等を考慮して選択出来るとのことであるが、流域でどのような農薬が使用されているかを水道事業体が把握するためには、農業従事者やその団体の協力がなくては無理である。しかし、現状では農業従事者は使用している農薬について商品名しかわからなく、その中に含まれている化学物質については全く分からない状況であるし、農業団体は使用農薬を公表しようとはしないか、公表しても前年度以前の農薬であり、現状がつかめない状況にある。農薬に関しての、農政サイドの協力体制の確立もしくは調整を予め行っていただきたい
34 2. 遊離残留塩素0.1mg/L以上の規定について
 水質基準の中に消毒副生成物が増え、省略不可能項目となっているため、検査の負担が増加する。更に、項目によっては基準値を超える恐れがあるため、浄水処理の見直しが必要となるところも予想される。当然塩素消毒自体を見直すことも検討されると思われるが、水道法施行規則にある「給水栓水の遊離残留塩素0.1mg/L」の衛生上の規定によって、最終的に塩素消毒が必要となる。この条文を変更する予定はないのか。
35 3. クリプトスポリジウム等の対策について
 クリプトスポリジウム等に対する措置としてろ過施設設置の義務づけが予定されているが、専門委員会でも効果が論議されていた紫外線照射設備を暫定指針の中に取り入れるなど、より実効性のあるものにしてはどうか。 現状では、浄水にクリプトスポリジウムが検出され、その後段に紫外線照射施設が設置されていたとしても、給水停止は避けられない。
36 H15.4.5 11 堺市水道局配水部配水管理課水質係
柳本
VI.水質検査における精度と信頼性保証(QA/QC)について
QA/QCについては、中小水道事業体において、委託化で対応せざるを得なくなるので、近隣中小水道事業体間が、例えば共同検査体制のようなものを組織し、高価な分析機器及び人材の有効活用等により、精度と信頼性の確保を促進できるよう、財政支援等の法的整備並びに、市町村合併に係る業務量の増大は必至となることから、実施までの猶予期間に特段の配慮をお願いします。
37 VIII.水質検査計画について
水道用水供給事業体と受水水道事業体間は、水道施設の一連のものとして機能していることから、水質検査計画を立てるに当たり、検査項目、検査場所及び頻度等を水道用水供給事業体と調整することで、より合理的、効率的な水質検査計画が策定できるよう、両者が誠意をもって、確実に協議・調整に応じるように、法的な整備をお願いします。 また、水質検査計画の策定に当たっては、需要者の意見を聞くプロセスを組み込むこととありますが、実際には、需要者の意見を適切に集約するのは難しいと思いますのて゛最良の方法等があれば具体例をご教授してください。
38 H15.4.8 12 静岡市企業局静岡水道事務所
水道維持管理課水質担当
今回の改正(案)につきましては、シアン、フェノール類及び陰イオン界面活性剤の3物質に係る水質検査法の内、吸光光度法が公定検査法から除外されることについて、次のように考えております。現在、静岡市静岡水道事務所では、平成13年の上水試験方法(2001年版)の改訂により吸光光度法による「連続流れ分析法」が採用されたことから、上記3物質について同時分析可能な自動水質分析装置を導入して検査を行っております。当水道維持管理課としましては、本装置の測定精度、再現性に問題がないこと、分析作業時間の大幅な短縮や使用薬品の減少が図れたことから効率の良い検査が実現できておりますので、このような利点を踏まえて吸光光度法による連続流れ分析法の継続を強く希望いたします。
39 H15.4.8 13 鹿児島市水道局 1.基本的事項について
 新聞報道によると、水質基準の見直し等については平成16年度からの実施を目ざすとされているが、今回の改正案の基準を達成するにあたっては、地域の現況の調査、施設用地の取得及び新たな施設の建設など相当の年数を要する。したがって答申案にも述べられているように十分な経過措置を講じられたい。
40 2.非イオン界面活性剤について
 1) 本項目についてはWHOのガイドラインとEU基準にはなく、USEPAで発泡剤として0.5mg/Lの基準が示されているだけで、0.02mg/Lの基準案は非常に厳しいものである。従来の基準、快適及び監視項目にもなく、新たに基準化された項目であるが、本市では通年にわたるデータの蓄積がない。唐突に基準項目とするのは性急過ぎる措置といわざるを得ない。各事業体での検出状況を把握する必要がある。したがって管理目標項目とし、その目標値をUSEPAと同一の0.5mg/Lとされたい。
 2) 現在の浄水試験法では、提案されている基準値の1/10である0.002mg/Lの測定は困難である。
41 H15.4.8 14 社団法人 日本銅センター
技術部
斎藤
1.ニッケルに関して健康に対して害になると聞きます。 ステンレス配管が増える中、水質基準項目にニッケルが含まれないのは奇異な感じがします。
42 2.銅の水質基準は、1mg/Lですが、WHOでも2mg/Lとなっている点、必須元素になっていて害がない点を考慮し、WHO並みまで緩和しても問題ないと考える。
43 H15.4.8 15 反農薬東京グループ
代表
辻 万千子
【意見1】飲み水についての基本的考え方
 水は多くの生物にとって命の根源であり、有史以来、人は飲み水を自然の水源にたよってきました。もともと、飲み水には、自然界に由来する多くの有機及び無機物質が含まれています。自然の水は、見掛け上清浄なものであっても、人にとって有害な病原微生物や菌、有害物質を含むこともあります。地球上で、人口が増加し、人の生産活動が進むにつれて、生活排水や生産活動に起因する有害物質等によって、水は一層汚染されるようになってもきました。そのため、安全な飲み水を得るために、殺菌消毒や浄化処理が必要になる一方で、処理によって新たな有害物質が生じて、飲み水に混入するという事態も起こっています。さまざまな水質に関する規制が行なわれているものの、私たちは、水生生物が生きられないような残留塩素濃度の水を飲むことを受忍せざるを得ない状況におかれています。私たちが、安心・安全な飲み水として求めるのは、病原微生物や菌、有害物質等を含まない水ですが、水源となる水=原水についても、水生生物等が生育できる汚染のないものであることが重要だと思います。すなはち、水道水についていえば、安心・安全な水は、安心・安全な水源からというのが基本にあるべきです。この観点からいえば、現行水道法が、供給水の水質に係わる基準に限定しているのは、問題です。せめて、水道事業者の取水口で採取した原水についても水質基準が決められるべきだと思います。特に、農薬をはじめとする合成化学物質については、取水口で、原水の汚染度をチェックし、基準を超える場合は、取水制限したり、浄水処理を強化することで、供給水への移行を防止できる場合が多いと思われます。また、分析等のチェックも、塩素処理などにより化学物質が変化することを思えば、原水のチェックの方が容易だと考えます。
44 【意見2】
 農薬について、原案では、水質管理目標設定項目になっていますが、水質基準とすべきです。基準は、個別の農薬グループと総農薬についてのダブルスタンダードとするのがよいと思います(基準値については後述)。なお、ここでいう農薬とは、活性成分だけでなく、補助成分、不純物など農薬由来の物質(消毒や浄水処理で農薬成分から新に生成する物質、たとえば、有機リン剤オキソ体など)を意味します。
【理由】
 (1)農薬は本質的に生理活性を有する毒性物質である。
 (2)農薬の多くは殺生物剤であり、開放系に散布することが避けられない。農薬空中散布においては、直接水源地域を汚染する事例が見られるし、水田で散布される農薬は直に河川水汚染に、土壌処理剤は地下水汚染につながり、大気中に蒸発・揮散した農薬は雨水により、水系に流入して、水道水汚染につながる。
 (3)本来の水は、水生生物が生育できるものであるべきで、農薬が混入することによってそれらが生育できないような水は、飲み水としては不適である。
 (4)農薬は、水質基準として、定期的に検査すべきものである。水源地域で使用される農薬の水道汚染については、一般に、季節変化があり、繁用時期後に高い濃度を示すことが知られているため、夏期における分析が重要であるだけでなく、夏期に高い濃度で検出された農薬は通年検査すべきである。
 (5)2000年、岡山市で、地下水を水源とする水道水がIBPで汚染されるという事例があった。この場合、水道水中の濃度は0.8μg/Lで監視目標の8μg/Lより低かったものの、異臭がしたため、約4ヶ月取水中止している。
45 【意見3】
 分析対象とする農薬活性成分については、原案に第1、第2、第3群候補としてあげられた約200種のほか、リストアップされていない農薬で、下記の範疇にはいる成分を追加すべきです。
 (1)PRTR法で指定された農薬
 (2)毒劇法で指定を受けている農薬
 (3)魚毒性試験でB及びC類の農薬
 (4)環境省が公共水域水質評価指針値を設定している農薬
 (5)水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準及び水質汚濁に係る登録保留基準が設定されている農薬
 (6)農薬取締法で水質汚濁性農薬に指定されている農薬
 (7)農薬取締法第12条に係る省令別表に記載された水田用農薬
【理由】
 (1)分析対象農薬の選定おいては、年間出荷量がひとつの目安になっているが、他の法律でなんらかの規制や指定を受けている農薬もとりあげるべきである。
 (2)分析対象農薬の選定においては、慢性毒性指標のひとつであるADIだけでなく、農薬の急性毒性や水生生物への毒性試験結果も配慮すべきである。
 (3)原案では農薬選定基準が年間推定出荷量50tとしているが、PRTR法第一種指定化学物質の選定基準は年間生産量10tであり、先の基準を見直すべきである。
 (4)たとえば、下記のような農薬が原案第一から第三候補群にあがっていない。
  BRP/DCIP/ETU/XMC/酸化フェンブタスズ/臭化メチル/石灰窒素/有機ニッケル/アイオキシニル/アセタミプリド/イミベンコナゾール/エチオン
/エチレンオキシド/エマメクチン安息香酸塩/オキサジクロメホン
/キナルホス/キノメチオネート(キノキサリン系)/クロフェンテジン
/クロルフェンビンホス(CVP)/シメコナゾール/ジフェノコナゾール
/ジメタメトリン/スルプロホス/チオメトン/テブフェンピラド/バミドチオン
/パラジクロロベンゼン/ビテルタノール/ピラクロホス/ピラフルフェンエチル
/ピリダベン/ピリフタリド/フェノチオカルブ/フェリブゾン
/フェントラザミド/フェンピロキシメート/フルスルファミド/フルバリネート
/プロピネブ/プロフェノホス/ベンゾビシクロン/メトキサレン
46 【意見5】農薬の一種である展着剤も分析対象とすべきです。
【理由】
 (1)農薬については、環境に散布されるのは、活性成分だけでなく、補助成分も同じである。メーカーは農薬登録の際に、補助成分として使用される物質を農水省に届出ているが、同省は、企業秘密として成分名を明かにしない。農薬は開放系に散布するものであり、企業秘密よりも環境汚染防止が優先すると考える。登録農薬に補助成分として、どのような化学物質がどの程度使用されているかの情報を開示させ、分析対象とすべきである。
 (2)アメリカでは、1997年現在2311種の不活性成分が使用されており、そのうちの26%が、連邦又は州又は国際機関により有害であるとされている物質だとのことであり、その中には、環境ホルモンの疑いのあるDEHPやDEHA、ノニルフェノールのほか、フェノール、イソホロン、ヒドロキノン、ローダミンBなど挙がっている。
 (3)日本でも、補助成分として、有機溶剤/乳化剤/界面活性剤/着色剤/嘔吐剤/共力剤などが添加されているが、化学成分名は明らかでない。
 (4)ベンチオカーブに補助成分として添加されている4−ブロモフェニルクロロメチルスルホンも水道水中に検出されたことがあった。
 (5)イナベンフィドにはアルキルポリオキシエチレンアルコールが添加されていた。
 (6)環境ホルモンの疑いのあるビスフェノールAが融点降下剤として、農薬製剤に添加される例もある。
 (7)展着剤の生産量は3500トン程度であるが、ノニルフェノール系APEをはじめ、さまざまな界面活性剤が使用されている。
47 【意見6】以下の物質は水質基準の分析対象物質とすべきです。
 (1)クロルピクリン、(2)パラジクロロベンゼン、
【理由】
 (1)クロルピクリンは、94年に串間市簡易水道に混入して被害者がでたことがあり、モントリオール議定書により使用禁止となる臭化メチルの代替品として使用が増える恐れがある。また、フミン酸の塩素処理で生成することも知られている。
 (2)パラジクは、トイレ用品として使用されており、水系汚染も懸念される。
48 【意見7】分析対象として選定された農薬を化学構造により分類し、同種の化学構造を有する農薬をグループ化します。水質基準を個々の農薬グループについては0.1μg/L、総農薬については0.5μg/Lとします。水質分析の際の個々の農薬の検出限界値を0.01μg/Lとします。
【理由】
 (1)原案にある個々の農薬の評価値の算出基準になっているADIは、数値が示されているだけで、その根拠となる農薬登録時に提出された試験成績の内容が公開されておらず、科学的な論議をすすめることができない(たとえば、情報公開法に基づき、毒性試験データの開示を求めても、試験に用いられた農薬の純度すら公開されない)。原案が挙げている各農薬のADIも、確定したものでない。例えば、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会残留農薬部会残留農薬調査会議の報告では、DEP:0.002、NAC:0.0075、メソミル:0.028、アミトラズ:0.0025mg/kg体重などとなっており、原案採用の数値と異なる。また、アメリカでは、心身が発達途上にある子供に対して、神経毒性の強い有機リン剤は、いままでのADIを10分の1とすべきとの方針で、有機リン系農薬等の使用の見直しが行なわれている。
 (2)ADIを基準に算出した個々の農薬の評価値は多くの仮定に基づいている。原案の評価値策定における、飲み水からの摂取は体重50kgの人を標準に一日水2Lとするとの仮定を認めても、ADIに乗ずる係数は0.13から0.024(=MEP(フェニトロチオン)の評価値の場合)と幅があり、科学的なものといえない。
 (3)ヨーロッパでの基準も単一農薬については0.1μg/L、総農薬については0.5μg/Lである。
 (4)すでに、総農薬で0.5μg/Lを管理基準としている水道事業者(福岡県南広域水道企業団荒木浄水場)もある(詳しくは【資料】参照)。
 (5)水道水には複数の農薬が混入するが、それらのすべての組み合わせについて複合毒性を科学的に評価することは、もともと困難で、むしろ、実測データを基に管理基準を決めた方が合理的である。
 (6)農作物の残留基準は、現状では、毒性に基づいて決められているが、残留実態調査結果を反映して、基準値を見直すことが求められている。
 (7)原案が提案している総農薬方式についても、当初案では、Σ管理目標値が0.5であったが、これは、実測値から設定された数値であった。
 (8)原案の総農薬方式でいえば、各農薬の評価値は0.0001から2mg/Lという広い範囲にある。ADIをクリアするからとはいえ、実散布濃度の500分の1の農薬(たとえば、ホセチルやグリホサート)が混入した水道水を安心して飲むことはできない。
 (9)個々の農薬で基準を決めるよりも、同じ生理作用を示す農薬(すなわち同種の化学構造を有する物質)をひとつのグループにして規制するのは、合理的考えである。
 (10)農薬グループ毎の基準を、原案の農薬別評価値の最低値である0.0001mg/L=0.1μg/Lとしたのは、合理的である。
 (11)総農薬量を規制する場合、各農薬の検出限界値を、評価値に応じて、その100分の1とか10分の1にすると、農薬総量の過小評価につながる恐れがある。個々の農薬の検出限界値を技術的にも測定可能な0.01μg/Lとすれば、農薬グループ基準0.1μg/L、総農薬基準0.5μg/Lとした場合も、原案に比べ、安全サイドで、飲み水を管理できる。
49 【意見8】農薬の分析を効率的に行なうため、関係者に以下のような点を義務付けるべきです。
 (1)農薬製造・輸入者又はそれらを管轄する農水省は、農薬製剤に含まれる活性成分、補助成分、不純物の種類と含有量を水道事業者に報告せねばならない。
 (2)農薬販売者・使用者又は農薬を取扱う農業関連団体は、水源地域で使用する農薬の種類と数量を水道事業者に報告せねばならない。
 (3)農薬と同じ活性成分を含む非農耕地用除草剤、トイレ用品、防疫用薬剤、シロアリ防除剤等の製造業者、販売者、使用者(主に散布業者や行政関係)についても、(1)(2)と同様報告義務を課する。
 (4)地方公共団体の衛生研究所等は、水源地区の農薬環境分析調査をした場合、その分析結果を水道事業者及び受給者に提供せねばならない。
 (5)水道事業者は、水源地域の事業所、ゴミ焼却施設やゴミ処分場、下水処理場等からの農薬排出量を把握しておかねばならない。 (6)農薬製造・輸入者又はそれらを管轄する農水省は、農薬製剤に含まれる活性成分、補助成分、不純物の分析用標準品を水道事業者に供給せねばならない。
【理由】 
 (1)水源地域で、どのような農薬(活性成分、補助成分等)が使用されているかを知ることは、分析調査を実施しするのに必要である。
 (2)不純物の中には、PRTRに指定されたダイオキシン類、ETU(エチレンチオウレア)や化審法で規制されるDDT類、HCB、その他、MBC(カルベンダゾール)、ベンゾピレン、ヒドラジン、カルボフラン、テトラクロロアゾベンゼン、ニトロソ体、オキソン体などがある。
 (3)農薬取締法の対象外である非農耕地用除草剤などが、河川敷、鉄道敷地ほかでも使用されている。
 (4)シロアリ防除剤の土壌処理で水系が汚染された例がある。
 (5)ハエ、カ駆除の防疫用薬剤は、河川、下水路、側溝など散布され、トイレ用品は下水に流入し、水系を汚染する。
 (6)PRTR法で、事業所からの化学物質の排出量が報告されているので、その情報を利用する。
 (7)分析用の標準品の中には、入手困難なものもあり、関係者は水道事業者の求めに応じて、提供する必要がある。
50 【意見9】水質基準にない農薬(その他の化学物質、その他の項目にも準用)について、水道受給者が水道事業者に水質検査を求めることができるような申立て制度を作るべきです。
【理由】
 (1)基準にない物質や項目についても、受給者が危惧をいだく場合は、その求めに応じて、水質検査をし、結果を公表するのがよい。
 (2)安全・安心な水を求めるのは、受給者の権利である。
 (3)予期せぬ汚染が生じた時に迅速に対応できる。
51 H15.4.9 16 苫小牧市水道事業水道部
錦多峰浄水場
水質検査係
アルミニウムの分類と基準値の設定についての要望
 当市では河川表流水を原水としていますが、年間平均濁度が非常に低濁であるため、凝集処理には大変苦労しているところです.そのため、濁度に対して大目の凝集剤を注入し、クリプトスポリジウム対策に伴う浄水の濁度管理を行うとともにアルミニウムの漏出低減化をしているところです。凝集剤は凝集処理上必ず添加しなければならない薬品であり、浄水の濁度管理の強化に伴う注入量の増加や低水温低濁度に伴う凝集不良により、場合によっては基準値を超過することも考えられます.従って、アルミニウムを管理目標とし、目標値を現行の快適水質項目の目標値として頂きたく要望いたします.
52 H15.4.9 17 セントラル科学株式会社
松永 広助
44 有機物質(TOC)/総有機炭素計測定法
本検査法は、有機炭素(TOC)の測定が新たな試験項目として水質基準に加わるに当たって、このたび掲載された水質検査方法でありますが、種々ある有機炭素(TOC)分析法の中にあって、「燃焼+NDIR」方式のみに当てはまる様な記述内容となっており、他方式の有効なTOC分析計の適用が阻害されることが懸念されます。現に多くの水道事業体等から他の方法は該当しないのかという問い合わせを受けております。従いまして、市販の、水道水TOCに適用可能なTOC分析計が、公平に扱われますよう、検査法案の修正をお願いするものであります。
尚、厚生労働省におきましては、日本薬局方の「一般試験法」の中でTOC試験法が規定されており(62.有機体炭素試験法)、TOC分析計の方式について特に限定的に書かれていないことを附記いたします。念のために参考情報として本メールに添付致します。
53 H15.4.9 18 (財)島根県環境保健公社 吸光光度法による分析方法の排除について
 今回の「水質基準の見直し等について(案)」によりますと、現行の水質基準分析法で採用されている吸光光度法が大幅に排除され、『非イオン界面活性剤』の分析法にのみ採用されています。
 今、分析業界では微量分析等の高度分析と同時に分析作業の効率化を目指して自動化も進められていますが、その手法として吸光光度法による連続流れ式分析法も有効な分析システムとして広く普及しています。
当公社においても『シアン』、『陰イオン界面活性剤』、『フェノール類』について吸光光度法による一斉分析を行っており順調に稼働していますが、今回の(案)に示されたように吸光光度法が排除されますと、同分析システムは利用できなくなります。同システムは、水質検査の迅速化及び多検体処理に不可欠な機器として、水道水質検査機関で相当数稼働しており、【2001年版上水試験方法】による分析精度面でも所定の精度が確保できています。基準値がさらに厳しくなり、「吸光光度法」では上記検査項目の分析方法として、定量下限値の保証ができないなどの欠陥及び限界が示されれば排除も止むを得ないと考えますが、基準値の改正がない以上、少なくとも『シアン』、『陰イオン界面活性剤』、『フェノール類』については、「吸光光度法」が引き続き採用されることを強く要望いたします。水質検査方法については、分析精度面で所定の条件を満たす方法が複数ある場合には、柔軟に対処して頂きますよう重ねてお願い致します。
54 H15.4.9 19 全日本水道労働組合
書記次長
水越隆
今回の水質基準等の改正案については、基本的な考え方については評価ができると考えています。ただし、地域性・効率性を踏まえた水質基準の柔軟な運用に関する仕組みについては、下記の理由により補強すべきと考えます。今回の改正案では、水質基準の柔軟な運用に関する判断は、水質検査計画を策定して利用者への速やかな公開などを前提とはしていますが、基本的には事業者の「自己責任」とすることを基本としています。
 このことについては、2002年4月から施行されている改正水道法において、極めて小規模な事業体が多く、技術的・財政的基盤の弱い日本の水道制度の現状のもとでは、将来に亘って「安全な水を供給」してゆく上では「十分」とはいえとの現状認識から、第三者委託の制度化等、水道事業の「広域的管理」の方向を目指す施策を法制化してきたと理解しています。その意味で、全ての水道事業体が自己責任に基づき、水質基準の柔軟な運用を図り得るだけの技術的基盤があるとの前提に立つことは極めて困難であり危険といわざるを得ません。また一方、「安全性」の論議よりも「効率性」を求める風潮が大きくなるような昨今の経済情勢や地方公共団体の財政難の中にあって、効率性を追い求め、水質検査費の削減効果の点からのみで水質基準の弾力運用の判断をする事業体がでてこないとも限りません。そのような点から、省略指針案にある「水質検査を省略することのできない項目」がいつのまにかナショナルミニマムとなる「危惧」を感じています。以上の点から、事業者が作成する「水質検査計画」については、その適正化を図るためのスキームが必要であると考えます。今回の改正案の中にも、水質検査計画のスキームが示されていますが、法的にどう位置づけられるかが明確とはなっていません。
2.以上のような理由により、次の点の補強を求めます。
(1)法律事項である水質基準の柔軟な運用を図る根拠となっている「水質検査計画」の策定に関する事項は、法律事項として定めること。
(2)「水質検査計画」のスキーム概念図で示されている内容は、少なくとも政令ないしは 省令事項として定めること。特に、計画書の届け出の義務化、需用者に対する計画書の公表・意見聴取に基づく合意、国又は都道府県の監督権、助言・指導に関する事項については明文化すること。
55 H15.4.9 20 京田辺市水道部 病原性微生物対策の強化についての意見
 クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原微生物に対する措置につきましては、汚染のおそれがある場合はろ過施設を用いた適正な浄水処理の実施を義務付けるように、水道法の改正が答申されています。これにつきましては、法改正ではなく、水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針の中で対応して頂きますよう意見を提出します。本市主力浄水場である薪浄水場は深井戸2本、浅井戸2本、伏流水2ヶ所から取水し、除鉄除マンガン処理を行って配水しております。クリプトスポリジウム対策として大腸菌と嫌気性芽胞菌の原水毎月検査を実施しておりましたところ、伏流水の1本から大腸菌が検出されました。このため、暫定対策指針に従って平成14年度に原水濁度計を設置して濁度を常時監視し、濁度が通常より上昇すれば取水を停止する体制を整えたところです。この体制はろ過装置を整備するまでの過渡的措置として承知しておりますが、現在のところ具体化されていない状態です。水道事業者として水道水の安全性に対する認識を欠くものではありませんが、このような水道事業体の置かれた状況をご理解いただき、現在の暫定対策指針の見直しの中で、安全性と経済性の両立が可能な、原水の監視強化等の対策を検討いただきますようお願いいたします。
56 H15.4.9 21 横浜市水道局浄水部
水質課
梅原
1 現行の水質基準から外れる項目と新たに加わる基準項目について
 大腸菌群から大腸菌、及び過マンガン酸カリウム消費量から総有機炭素(TOC)への基準項目の変更についての根拠は記述されておりますが、その他、新たに基準項目となった物質や外れた物質についての根拠を各々、示していただきたい。
57 2 水質管理目標設定項目に設定されている残留塩素について
 平成4年の改正では残留塩素が快適水質項目で目標値として「1mg/l程度以下」であり、今回の改正案では水質管理目標設定項目に目標値「1mg/l」と設定されましたが、「1mg/l」とされた根拠は何かを伺います。併せて水道事業体では、いわゆるカルキ臭対策のために残留塩素の低減化に努めているところであり、良質な水道水質の向上に向けて残留塩素の目標値を下げるべきと考えます。
58 3 非イオン界面活性剤の基準項目設定について
 今回の改正案では、非イオン界面活性剤は、「発泡」に関しての性状に関する項目として基準項目に設定されていますが、陰イオン面活性剤も同様な理由で設定されております。この場合、「発泡」を総量で規定する手法を検討していただきたい。また、分析方法として挙げられた方法では基準値が定量下限値付近であり、精度管理が確保される分析方法を確立していただきたい。
59 4 かび臭物質のジェオスミンおよび2−メチルイソボルネオールの基準項目設定について 湖沼、貯水池等で増殖した藻類が産生するかび臭物質を除去するために、かび臭発生期間が長い地域の水道事業体では、粒状活性炭等恒久施設を設けて対応していますが、かび臭発生が短期間である地域の水道事業体では粉末活性炭注入で対処しています。現行では、かび臭物質は快適水質項目に位置づけられ、粉末活性炭処理では0.00002mg/l、粒状活性炭等恒久施設では0.00001mg/lが目標値に設定されております。今回の改正案において恒久的な高度浄水処理施設の導入を必要とする0.00001mg/lの基準値に一本化されることとなりますが、その根拠を示していただきたい。
60 5 塩素酸の水質管理目標設定項目の目標値設定について
 塩素酸は、平成15年2月、WHOから提示された飲料水水質ガイドライン・ドラフトによれば、不確実係数が1,000であることから、ガイドライン値は暫定的扱いとなっております。このことから、今回の改正にあたっては、暫定目標値とすべきと考えます。
61 6 二酸化塩素の水質管理目標設定項目の目標値設定について
 二酸化塩素は残留性が低く、有機物質等と反応して分解する消毒剤として知られております。今回の改正で、二酸化塩素の目標値として0.6mg/lが設定されておりますが、最終消毒剤として遊離塩素の併用を考慮すると目標値を下げるべきと考えます。
62 7 塩素イオンの名称について
 省令を改正する際に、「塩素イオン」という名称を学術用語としては使用されている「塩化物イオン」に統一すべきと考えます。
(参考)(文部省学術用語集(日本化学会編))
63 1 水道水質検査における精度と信頼性の保証のあり方について
 信頼性保証体制の導入として、ISO17025レベルとする事が望ましいとされていますが、中小規模の水道事業者が業務量増大・人員不足などにより自主検査から委託検査に切り替えた場合、委託先の登録検査機関のレベルをどのように判断すれば良いのか伺います。また、水道事業体が信頼性保証体制の導入を図るためには、財政的措置が必要となりますが、国としてフォローや補助金等の措置を考慮されたい。
64 2 アルミニウムの基準項目設定について
 湖沼、貯水池等での富栄養化に伴うアオコなど藻類の増殖により、原水pHが上昇し、凝集性が悪くなるため、凝集剤の注入量が多くなっています。また、平成8年から始まった「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」では、ろ過池出口の濁度を0.1度以下に維持する厳しい濁度管理が求められ、アルミニウム凝集剤の注入量を増加させる原因となっています。従って、凝集剤の使用の増加は避けられない状況にあります。アルミニウムは平成4年の水質基準改正でも着色による生活利便上の「色」の要件として快適水質項目に設定した経緯がありますので、今後、0.1mg/lに改正することを検討する場合には十分な配慮されたい。
65 H15.4.10 22 兵庫県伊丹市水道局 基39 陰イオン界面活性剤
【意見】
・「吸光光度法(連続流れ分析法)」を採用していただきたい。
【理由】
・原則(4)の有害物質(クロロホルム)を使用する方法であるため除外されたものと思われるが、連続流れ分析法ではクロロホルムの使用量(当所では1回500mL)が少なく、装置が閉鎖系であるため検査従事者への曝露は著しく少ない。
・検査検体の多い事業体(指定機関を含む)においては、吸光光度法(連続流れ分析法)が効率の良い分析法として普及しており、機器整備の負担、検査現場の混乱を招いてまでこれを直ちに検査方法から除外する必要性がない。
66 基42 フェノール類 
【意見】
・「吸光光度法(連続流れ分析法)」を採用していただきたい。
【理由】
・フェノールが塩素処理後に吸光光度法では感度の悪いクロロフェノール等になるため、原則(1)の確度よく測定できる方法にならないと除外されたものと思われるが、原水の水質試験も同時に行って基準値を下回っていることが確認できれば、水道水の水質検査において実用上問題がない。また、水質検査方法が水道水に適用されるものであり、原水等の水質試験方法と異なるとなると、水質事故時に短時間で多数の検査が行える「吸光光度法(連続流れ分析法)」と水道水の検査方法の双方を行わなくてはならなくなる。
・原則(2)の定量下限として基準値の1/10以下の値が得られないため除外されたものと思われるが、性状に関する項目であり定量下限が基準値の5/10を確保できれば事実上問題がない。
・原則(4)の有害物質(クロロホルム)を使用する方法であるため除外されたものと思われるが、連続流れ分析法ではクロロホルムを使用しない。
・検査検体の多い事業体(指定機関を含む)においては吸光光度法(連続流れ分析法)が効率の良い分析法として普及しており、機器整備の負担、検査現場の混乱を招いてまで、これを直ちに検査方法から除外する必要性がない。
67 III 化学物質に係る水質基準
X 水質管理目標設定項目等の取扱いについて 
目 農薬類
【意見】
・総農薬方式による水質管理目標設定項目への位置付けについては、今後の検討としていただきたい。
・農薬類の対象農薬リストにかかる農薬の集水域での使用状況情報を国等において事業体に提供できる体制を構築すること、一斉分析方法の確立など、事業体の負担軽減を図っていただきたい。
【理由】
・現在の財政下においては、検査技術者の確保、検査機器の整備、外部への検査委託費など負担が大きく、水道料金への転嫁も困難な状況であり、国民、需要者の安心を確保するため水質管理目標設定項目とすることについては、市民、需要家への明確な根拠説明が必要である。
・今後の検討により水質管理目標設定項目とすることになった場合においても、集水域が6府県にもわたるため農薬の使用状況を把握することは極めて困難である。事業体規模が小さく集水域で使用される可能性のあるものを選定する作業負担は極めて多く、実務上限界を超えるものである。
・農薬の検査は、検査項目の中では最も操作が複雑で検査技術者の技量によって定量下限、精度が異なってくるものであり、また、検査時間の短縮が増大する検査業務の負担軽減に不可欠である。このため、一斉分析法の確立なくしては事業体において事実上対応できないものとなる。
68 VI 水質検査における精度と信頼性保証
【意見】
・信頼性保証制度の導入に一定の猶予期間を設定し、その間の水道事業体の自主的な取り組みを支援するようにしていただきたい。
【理由】
・審議において中規模水道事業体への影響は深刻であることが指摘されているとおり、現在の財政下においては、制度維持のための要員確保、財政負担は極めて困難である。精度と信頼性保証の体制を確立するには、標準作業書による作業のマニュアル化など各事業体が共通するような事項、具体的な方法について積極的な支援が不可欠である。
69 VII 水質検査のためのサンプリング・評価
鉛に係る水質検査における試料採取方法について
【意見】
・「流水」を採用していただきたい。
【理由】
・「15分滞留水」、「30分滞留水」の方が「流水」よりも平均曝露濃度に近い結果が得られるようであるが、平均曝露濃度との関係についてはよくわかっていないため、関係を明らかにした後に採用を願いたい。
・「15分滞留水」が採水作業の実務上の許容限界となっているが、原水関係の水質試験も同時に行わなければならない現状では、鉛の採水だけで30分を要し採水作業の負担が大きく、要員の確保が困難である。
70 H15.4.10 23 鹿児島県薬剤師会試験センター
水質検査課
寺園 学
〇吸光光度法について
“水道法に基づく水質基準に関する省令”において、検査方法として吸光光度法は『シアン』, 『亜硝酸性窒素』, 『亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素』, 『フッ素』, 『陰イオン界面活性剤』, 『フェノール類』の項目に採用されていますが、今回の「水質基準の見直し等について(案)」においては、これら6項目から吸光光度法が除外され、新規項目である『非イオン界面活性剤』にのみで採用されていることについてお尋ねいたします。当試験センターでは『シアン』,『亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素』, 『陰イオン界面活性剤』, 『フェノール類』の4項目については、吸光光度法での連続流れ分析法を採用しておりまして、特に『シアン』,『陰イオン界面活性剤』, 『フェノール類』での3項目一斉分析法については、廃液の縮小化や検査効率等において多大な実績且つ効率的な作業性を得ているところであります。
Q1, 上記6項目での“吸光光度法”については、試験的な欠陥または何らかの問題等がありましてのことでしょうか?
Q2, “吸光光度法”が除外されている実態の中で、新規項目の『非イオン界面活性剤』にのみで何故に採用されているのでしょうか?《2001年版 上水試験方法》で記載されております“吸光光度法”が、今回の改正において除外されている実態を踏まえまして、上記2点の質問等を回答して頂くと共に再度検討して頂き “吸光光度法”を継続して採用して頂けますよう提言し、強く要望致します。
71 H15.4.10 24 千葉県水道局浄水課
浄水管理室
1 2-MIB (基準項目)
手賀沼では毎年夏季にカビ臭濃度(H14年度最高6.2μg/L)が上昇する。その放流水の影響を強く受ける利根川の当局の木下取水場では、臭気濃度が粉末活性炭で除去できない高濃度(0.1μg/L以上)の場合には、手賀沼放流量の減量・停止要請、取水量の減量、取水停止等でこの事態に対処している。
2-MIBが基準化され今以上の厳しい濃度規制を受けると、水運用が非常に難しくなり、場合によっては断水せざるを得ない状況が懸念されるため、水質管理目標設定項目としていただきたい。
72 2 鉛 (サンプリング方法)
15分停滞法は管の長さ、管径を考慮していないため正確な測定が出来ない。また、サンプリングに時間がかかり過ぎる。当局の主要な給水栓のサンプリング地点は保育所等の公共施設であるため、水道水が常時使用される施設での15分間の停滞時間確保が困難である。調査地点におけるこのサンプリング方法の適応が難しいことから見直しを願いたい。
73 3 臭素酸 (基準項目)
印旛沼及び高滝ダムを水源とする当局の浄水場では、カビ臭やマンガン対策などのためにオゾン処理は不可欠である。特に、印旛沼では高濃度のカビ臭が発生するためオゾンの高注入が必要である。印旛沼では臭化物イオンの濃度が高く(平均0.1mg/L程度)、また、高滝ダムを水源とする福増浄水場では平成14年度からBAC化を実施しており、今後、活性炭吸着池における臭素酸の除去率が低下した場合に、基準値を超過するおそれがある。現在、オゾンの最適注入条件や吸着池の除去特性を検討中であり、臭素酸の制御方法が確立されるまで基準化は猶予願いたい。
74 4 シアン、フェノール類及び陰イオン界面活性剤 (検査方法)
当局では「上水専用オートアナライザー(テクノサイエンス社製)」を使用して、シアン、フェノール類及び陰イオン界面活性剤の一斉分析による検査の能率化を図っている。今回示された検査方法はクロロホルム等有機溶媒の使用を制限するものであるが、上記検査システムは使用溶媒量が少なく精度も同等以上である。また、クローズドシステムを採用して環境影響及び検査員の健康影響に対し十分配慮されていることから、シアンについては吸光光度法を今後3年間の暫定的な使用とせず、また、陰イオン界面活性剤及びフェノール類については検査方法から吸光光度法を削除されないことを強く要望する。
75 5 非イオン界面活性剤 (基準項目)
江戸川の河川水からは基準値の3倍(0.06mg/L)が検出されており、常時粉末活性炭での対応が必要となる。的確な対応がとれるよう監視方法の見極めができるか、または非イオン界面活性剤との相関項目が確定されるまで基準化は猶予願いたい。
76 6 農薬 (使用実態の情報提供等)
水質管理目標設定項目として農薬101物質が提示されているが、調査計画の基礎となる地域の農薬使用実態の情報提供の方策を整備願いたい。
77 7 その他
今回の水質基準改正の対応には水道事業体のみでなく、公共用水域の水源水質の保全を図る観点から環境基準等の法整備や、下水処理場の排水等について関係省庁から規制の強化を願いたい。
78 H15.4.10 25 川崎市水道局工務部参事
水質課長
大澤英治
(1)検査頻度の関係
 検査頻度省略可能項目で、平成4年の改正では、「過去5年間の水質検査結果の最大値が基準値の10%以下の場合は1年に1回以上まで省略できる。」とある。 今改正案では、「過去3年間の水質検査結果が基準値の20%以下の場合は1年に1回以上、10%以下の場合は3年に1回以上」とあるが過去3年間の水質検査結果が最大値なのか平均値なのか明確にした方が良いのではないか。
79 (2)鉛に係る水質検査における試料採集方法について
 水道法20条の定期水質検査では、水源種別、浄水場・配水システムごとに選定した採水地点において基準項目を検査しているが、全ての給水管等に鉛が使用されているのではなく、すべての給水栓で「流量5L/分で5分間放流後、15分間滞留させた後、同じ流量で開栓直後から5L採取」という採取方法は合理的・効率的に適切とは思わないので鉛管使用の可否を考慮にいれる等一考願いたい。
80 (3)水道水質管理計画
 現在、水道水源において監視項目(消毒副生成物を除く)を、県単位等で河川等を縦断的に監視している体制をとっているが、今回の水質管理目標設定項目がこれにあたるのか明確にした方が良いと思われる。
81 (1) 陰イオン界面活性剤:ELISA法は、日水協水質試験方法等調査専門委員会で検討実績が少ない。また、基準が発泡の観点によることからHPLCは分離分析法で総括的分析法ではなく一考を願いたい。トルエンを使用する非イオン界面活性剤のPAR法を採用するのであるならば同様にトルエンを使用し、JISで実績のあるエチルバイオレット吸光光度法を検討すべきであると思われる。  
82 (2) 非イオン界面活性剤:ELISA法は熟練度が高くないと一定の測定結果が得られないので一考願いたい。300ml共栓付三角フラスコを用いて、精製水や原水に非イオン界面活性剤濃度を基準値0.02mg/Lに調製した100mlで強く振とうしたが発泡は認めがたかったので基準値を再考されたい。
83 (3) 陰イオン・非イオン界面活性剤:発泡の観点から設定されているので、合量の形で求められる、JIS K3362に定められたロスマイルス試験方法の採用を検討して欲しい。
84 (4) 鉄:赤水等から検査請求で要請される頻度の高い項目なので簡易に検査ができる吸光光度法を存続して欲しい。
85 (5) 1,4-ジオキサン:検査に使用する固相を活性化するため、ジクロロメタンを使用しているが、ジクロロメタン検査でも1,4-ジオキサンと同じカラムを使用する。また、室内汚染の観点からもヘキサンに変更願いたい。ヘキサンを使用する活性化に問題は無く実績もある。
86 (6) シアン:吸光光度法では、ピリジンピラゾロン法が暫定的に3年間使用しても良いということであるが費用軽減、操作の煩雑さ及び分析時間短縮の面からピリジンカルボン酸-ピラゾロン法を公定法として採用されたい。また、「水質基準の見直し等について(案)」のp30に「・・同等以上の方法と認められる検査方法については、これを積極的に公定検査法と認める・・」の記載があるが解釈としてピリジンカルボン酸-ピラゾロン吸光光度法を採用することは可能か。
87 (7) アルミニウム:審議の経緯があるものの基準が現行通り0.2mg/Lとなったが、試料をろ過する根拠を示して欲しい。
88 (8) シアン・ふっ素等:公定検査方法は、過去の経緯から複数設定されているが、1つの検査方法の場合は現行の検査方法を1つ残して欲しい。
89 (5)環境基準等との整合性(水質規制の縦割排除)
(1)生活環境の保全に関する環境基準及び排水基準の大腸菌群を大腸菌に変更。
90 (2)人の健康の保護に関する環境基準、地下水水質環境基準及び排水基準に1,4ジオキサンの新設の要望
91 H15.4.10 26 市原市役所水道部
新井浄水場
(1) 精度管理の制度について
検討されている内容におきましては、中小規模の水質検査機関では、業務量の増大が明らかで、人員確保による経費の増大、高度な人材の確保の困難さがご指摘されております。本水道事業体におきましても、ちょうど同規模の水質検査体制であり、水質検査項目の大幅な増加も示され、これまで整備してきた検査機器の取り扱いや新たな検査項目への対応のための経費負担増などから、水質検査体制の抜本的な見直しを迫られることになろうかと思います。水質検査体制の整備と整理について検討する期間について、十分な時間的猶予をお願いいたします。
92 (2) 水質検査計画について
 水質検査計画の策定にあたっては、需要者の意見を聞くこととなっております。出された意見に対しては、それぞれ検討を行い、意見の採用不採用の理由を明確にし、また計画の変更を必要とする場合は予算的な措置も講じなければならない場合もあろうかと思います。施行にあたっては、需要者の意見を聞き、審査し、また予算的な措置も講じられるためのシステムを構築しなければならないため、十分な時間的猶予をお願いいたします。
93 H15.4.10 27 大津市企業局水道整備課
藤本 雅之
1、 臭気物質(2MIB、ジェオスミン)は水質基準に設定されていますが、管理目標等の項目にするべきであると考えます。理由 (1)健康に関する項目でなく性状に関する項目であること(2)琵琶湖等の湖沼では、プランクトンの異常発生により原水の臭気物質濃度が2000ng/lを超えることがあり、粉末活性炭を30ppm注入しても基準の10ng/lを満足できない場合があること
94 2、 アルミニウムについても水質基準に設定されていますが、管理目標等の項目にするべきであると考えます。理由 (1)健康に関する項目ではなく性状に関する項目であることや基準値0.2mg/lに設定した根拠として白濁するとのことであるが、この濃度では性状的に問題が起こっていないこと(2)琵琶湖等湖沼水を原水としている浄水場では、プランクトンの影響で浄水処理に凝集剤が多く必要となり、アルミニウムの濃度が上昇する場合があること。また、その対策が難しいこと
95 H15.4.10 28 淡路広域水道企業団 1、シアンが今回から省略不可の項目となったが今までと同様に省略不可の項目からはずしてもよいのではないか。毒性の面では重要だが、設備面、人員面がすごく負担になる。
2、シアンの検査は、塩化シアンを測定することになるようだが、遊離シアンの扱いはどうなるか。遊離シアンを扱わないならば、塩化シアンと項目を改めてはどうか。
96 3、ハロ酢酸の検査法は、溶媒抽出の後GC/MS測定のようだが、LC/MSで良好な分析が可能である報告を聞いたことがあります。溶媒抽出-GC/MSだと、人員の問題があります。LC/MSだと、深夜運転等が可能であるため、たの分析に人員を配置でき、この面で有利です。
97 4、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の項目について、硝酸イオン、亜硝酸イオンとして別々に定量してはどうか。硝酸イオン、亜硝酸イオンの計量検定つきの試薬は市販されているし、窒素分の濃度で測定する意味はあるか?疑問です。
98 5、小数の表記になるものでは、単位をmg/lでなくμg/lを採用してはどうか。0がたくさん並び基準値、測定値共にわかりにくくなってしまう。
99 H15.4.11 29 東京都水道局 水道水源の保全について
・水道原水における着臭被害が多数発生している。これは、水道水源となる湖沼や河川の窒素や燐による富栄養化が原因である。ジェオスミン及び2−MIBが水質基準となることから窒素・燐の環境基準の見直しや早期達成を図るよう意見具申すべきである。また、両物質は活性汚泥法等による排水処理設備から突発的に排出されて水道水が影響を受けることがあるため、これらに関する排水基準の設定を今後の課題として明記すべきである。
・水道原水中の異臭味原因物質の除去やトリハロメタン等消毒副生成物の低減化等を目的としてオゾンによる高度浄水処理を導入しているが、水道原水中に臭化物イオンがあるとオゾン処理副生成物として臭素酸が生成する。原水中の臭化物イオン濃度が高い場合には、基準値の超過も想定される。そこで、臭素酸の水質基準を設定するにあたり、臭素に関する環境基準及び排水基準の設定を今後の課題として明記すべきである。
100 水質検査方法の改善について
・水道原水中の非イオン界面活性剤濃度が上昇した場合、粉末活性炭を注入して対応することとなる。しかし、提案されている非イオン界面活性剤の検査方法ではその定量下限値が水質基準と同じ値であるため、検査結果から粉末活性炭注入を制御することは不可能である。したがって、このような浄水処理に対応できる改善された水質検査方法を提案すべきである。なお、非イオン界面活性剤は複数の物質を総称しているため、水道原水中における存在比、浄水処理後の存在比によって発泡性が異なると考えられることから水質基準値等に関する検討を引き続き行うべきである。
101 水質基準のあり方・性格について
・水質基準項目は、「人の健康の保護のための項目」と「生活上の支障を生ずる項目」とではその性格が異なっていることから、その性格に応じた法的位置づけを区別すべきである。
102 H15.4.11 30 富田林市水道事業
富田林市長
内田 次郎
A「におい」に関する項目を「ジェオスミン」、「2−メチルイソボルネオール(2−MIB)」を水道水質基準に位置づけることなく、下記表にまとめたとおり再考されたく、要望いたします。
ジェオスミン (粒状活性炭)  0.00001mg/リットル(粉末活性炭)  0.00002mg/リットル2−MIB
(粒状活性炭)  0.00001mg/リットル(粉末活性炭)  0.00002mg/リットル
103 H15.4.11 31 伊勢崎市水道局
水質検査センター
菊池武則
●吸光光度法の取扱について
現行の水質基準に関する省令に於いて、検査方法として吸光光度法は『シアン』、『亜硝酸性窒素』、『硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素』、『フッ素』、『陰イオン界面活性剤』、『フェノール』、の6項目に採用されていますが、この度の【水質基準の見直し等について(案)】では新規項目の『非イオン界面活性剤』にのみ採用されている事についてお尋ねします。
1)水道水及び原水の検査法として、吸光光度法が排除されていることに関しまして、当方法にどのような欠陥なり限界があるのでしょうか。また『非イオン界面活性剤』にのみ敢えて採用されている意味合いについても、見解をお聞かせ願います。
2)現行6項目検査は、効率処理、人事管理、予算面からも当センターにとっては貢献しており、とりわけ、陰イオン界面活性剤、フェノールの検査は吸光光度法を採用することにより、実績と実効をあげています。しかし(案)に示されましたように、吸光光度法が排除された場合、上記一斉分析方式も排除されることとなり、当センターの業務遂行に混乱と非効率をきたすことが危惧され、また当センターは【2001年版上水試験方法】に従い吸光光度法による一斉分析方式システムを一昨年導入しましたが、このシステムは当然休眠とならざるをえないと考えられます。聞くところ同上システムは多くの施設で既に稼働中とのこと。財政の逼迫している厳しい現状の中、新たな機器の購入は不可能です。結論といたしまして、吸光光度法は引き続き採用されますよう提言させて頂きます
104 H15.4.11 32 梶野 勝司 水質基準項目の表記について意見を述べさせていただきます。これまでも、「環境基準」、「JIS工場排水試験方法」などと水道水の「水質基準」が水質項目の表現で異なることは議論されてきました。今回の水質基準の見直しにおいても、水質管理専門委員会の中で「化学物質名についてはIUPACの命名法にしたがい命名し、それを日本語化してというようなことが基本的な決まりになっているので、今回の改訂に当たってはそういう形で整理したいと考えている」と述べられていますが現時点ではまだ変更されていません。現在の水質基準項目の表現は必ずしも統一されているとはいえません。たとえば、「ふっ素」と「塩素イオン」のように「分子」と「イオン」が十分区別されていません。塩素は水中で分子状の「塩素」、イオン状の「塩素イオン」、どちらも存在しますが、ふっ素は通常水中では分子状の「ふっ素」として存在することはなく「ふっ素イオン」として存在します。今回の改訂で特に再考いただきたいのは、「有機物質」です。水質管理委員会の中でも説明されておりますように、「過マンガン酸カリウム消費量」は100年以上前から用いられている有機物指標です。当時は有機物の総量や有機物を個々に測定する方法がなかったので「過マンガン酸カリウム消費量」を有機物汚染の指標にしたものと思われます。今回の改訂で、「有機物質(TOC)」となっていますがこの表現方法は誤解を招きやすいと思います。環境基準においても、「生物化学的酸素要求量(BOD)」,「浮遊物質(SS)」のように、日本語の水質項目に対して括弧内は対応する英語名の略語になっています。これにならって、水質基準項目を表現すると「総有機炭素(TOC)」となります。過去に、水質試験結果を水質の専門家がみている時代には、「有機物等」は「過マンガン酸カリウム消費量」で表しましょう、でよかったかもしれませんが、現在では水道を利用するお客さんも水質試験成績に関心を示します。「有機物質(TOC)」では表現が間違っているといわれかねません。私の考えでは、「有機物質」、「有機物等」の言葉をはずして、「総有機炭素」、「過マンガン酸カリウム消費量」のみでよいのではないかと思います。「環水第47号、水道におけるトリハロメタン対策にかかる留意事項について」の中でも「有機物等」とはいわずに「過マンガン酸カリウム消費量」が使われています。ご検討をお願いいたします。
 更に付け加えて申し上げますと、「TOC」の試験方法は「燃焼酸化法」と「湿式酸化法」があり、一般的に多く用いられている「燃焼酸化法」を用いる場合、この方法は必ずしも総有機炭素だけを測定するものではありません。水中の炭素成分をすべて燃焼してそこから発生する炭酸ガスを測定するものですから、同時に存在する、不揮発性の炭素成分も測定します。すなわち、水中の木炭、石炭、活性炭などの微粒子も有機炭素として測定されます。このことは、水道で農薬や臭気対策で粉末活性炭を注入した場合に障害になります。粉末活性炭を長期または多量に注入した場合には、粉末活性炭の微粒子がろ過水に微量ながら漏出してきます。 ろ過水や浄水の「TOC」が突然、原水より高い値になることが考えられます。すなわち、TOC計に試料水を50マイクロリットル注入する場合、250ナノグラム以上の活性炭微粒子が1個入っただけで水質基準値を超過します。私は以前このことを利用して、粉末活性炭の注入が正しく行われているかを検証したことがあります。粉末活性炭注入時には「TOC」測定時にろ過をするようにとの注釈をつけることも考えられますが、その場合には溶存有機炭素になります。何らかの注意書きが必要だと思います。 次に、水質管理目標設定項目では、「有機物質(KMnO4)」とありますが、これはこれまでの「有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)」と同じ意味であるとすれば、混乱を招くことになります。過マンガン酸カリウム消費量を表現する言葉として「有機物質」と「有機物等」は同じではないと思います。過マンガン酸カリウム消費量は有機物以外にも水中の「被酸化物」を同時に測定するので「有機物等」と表現されていました。水質基準項目では「有機物質(TOC)」、水質管理目標設定項目では、「有機物質(KMnO4)」となりますと有機物質」が二通りあることになります。それぞれ「基準値」、「目標値」が異なりますので、「総有機炭素(TOC)」,「過マンガン酸カリウム消費量」でよいのではないでしょうか。また。水質管理委員会でも議論されていますように、過マンガン酸カリウム消費量は現在ではほとんど水道だけで用いられている指標ですから、水質管理目標設定項目では新たに、水質基準項目をふまえて、「溶存有機炭素(DOC)」という考えを入れてはどうでしょうか。いろいろと意見を書きましたが、参考にしていただければ幸いです。今後とも皆様方のますますのご発展をお祈りいたします。
105 H15.4.11 33 藤田 利彦 案p29・「IV水質検査方法」についての要望
公定検査法が定められた場合、水質検査員は公定法以外の検査法は基本的には採用できないと理解します。また、本文1.の基本的な考え方の中で今後の科学技術の急激な進歩も考慮され「より柔軟な検査法が可能となるように配慮されるべきである」と述べられています。公定検査法外の水質検査方法について要望します。公定検査法と異なる検査法、新しく開発された検査法の採用について、公定検査法制定の留意事項を満足し尚且つ公定法と同等以上と認められる検査法について、各検査機関で採用できる道を認めて頂きたい。新検査法が公定法との関係において、標準作業書・関係資料等を添付した申請で、専門家会議や水道協会等の認証を受ける等の一定のルールのもとで公定検査法に準じた別の検査法の採用が可能となるように希望します。
106 H15.4.11 34 大阪府立公衆衛生研究所
生活環境部
環境水質課
環境水質課長
渡辺功
水質基準項目
シアンについて(基9)
シアンの汚染事故が発生した場合、危機管理上、事故現場において迅速にシアンを試験できる分析方法も必要である。ピリジン・ピラゾロン吸光光度法や4−ピリジンカルボン酸・ピラゾロン吸光光度法も従来通り、水質検査法に残すべきである。
107 1,4-ジオキサン(基14)
(1) 水質検査法(案)において、固相のコンディショニングにジクロロメタンも使用することになっているが、当所では固相のコンディショニングにアセトン及び再精製水で十分測定できることを確認している。水質検査方法の基本的考え方で、有害物質を極力使用しない方法が望ましく、コンディショニングの溶媒からジクロロメタンを省いてもよいのではないか。(2) 水質検査法(案)では、サロゲート(1,4-ジオキサン-d8)を内部標準として1,4-ジオキサンの定量計算を行う。しかし衛生試験方法※1で注釈されているように、本法による1,4-ジオキサンの回収率は40〜60%と必ずしも高いものではなく変動も大きい。また極端に低回収率の場合には定量値の誤差が大きくなる。そこで、最終溶液にシリンジスパイク(例えばクロロベンゼン-d5)を添加し、シリンジスパイクを内部標準としてサロゲートの回収率も同時に測定し、サロゲートの回収率が一定の許容範囲(例えば40〜120%)であることを定量条件にしてはどうか。
※ 1:日本薬学会第122年会 公衆衛生協議会資料 pp29-30、2002
108 クロロ酢酸(基27)
基準値(案)が0.02mg/lであるため、定量下限値としては0.002mg/l以下を得る必要がある。しかし本法を用いた場合、その確保は難しい。上水試験方法2001においても本法を用いた定量下限値は0.005mg/lと明記されている。対策として抽出時の検液(50ml)と溶媒(4ml)の比を変える、メチル化前に抽出液を濃縮する、あるいはGC注入方法(量)を替える等の操作が必要となる。試験法の検討が必要であると提案する。なお、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸については本法での定量下限値の確保は可能である
109 亜鉛(基31),鉄(基35),銅(基36),ナトリウム(基37),マンガン(基38) ナトリウム、亜鉛、銅、鉄、マンガンの分析方法に、フレーム原子吸光分析法を採用してはどうか。ナトリウム、亜鉛及び銅は基準値が他の元素より高く、フレーム法により前処理(濃縮)無しで、フレームレス法より精度良く分析出来る。また前処理(10倍濃縮)を行うと鉄、マンガンも感度、精度とも十分に満足できる結果が得られるので、これらの元素の分析法にフレーム原子吸光法を是非とも採用して欲しい。
110 陰イオン界面活性剤(基39)
(1) 陰イオン界面活性剤の測定はLASのみの測定であるが、陰イオン界面活性剤にはベンゼン核を持たないもの(AS)もありそれらも測定対象とすべきではないか。その理由として、LASで汚染されている水はASにも汚染されている可能性が高い。
(2) LAS測定法である固相抽出-高速液体クロマトグラフ法は、標準物質のみの時は問題ないが、実試料を濃縮すると汚染の高い試料はLAS以外の蛍光物質が妨害し、定量性に問題がある。この点は十分検討されているか。
(3) 酵素免疫測定法についても、原報告ではLAS測定に対し、他の陰イオン界面活性剤が妨害しないとされているが、実試料で陰イオンや非イオン界面活性剤の汚染がある場合でも使用可能であることが十分検討されているか。
111 ジェオスミン(基40)と2-メチルイソボルネオール(基43)
両化合物の基準値案の1/10は1ng/Lであり非常に低濃度である。これをPT-GC-MSで測定を行うと、回収率により実験結果にバラツキが生じ易いと考える。ジェオスミンと2-メチルイソボルネオールの重水体または炭素13体等のサロゲート物質の使用が必要ではないか。
112 非イオン界面活性剤(基41)
酵素免疫測定法はアルキルフェニルエーテル(APE)を測定するキットと考えられる。一般に市販されている洗剤にはAPEとアルキルエーテル(AE)が混在しているものが多く、汚染が高いところにはAPE以外に高い確率でAEも検出される。従って、AEも測定対象とすべきではないか。また、実試料において、本法は陰イオン界面活性剤等の影響はないことを十分確認しているか。
113 フェノール類(基42)
(1) フェノール類の汚染事故が発生した場合、危機管理上、浄水場においては迅速に多数の試料を試験できる分析方法が必要である。この考えに沿った分析方法(4−アミノアンチピリン迅速法、自動分析化された4−アミノアンチピリンによる吸光光度法)も試験法として認められるべきと考える。
(2) フェノール類の水質基準は、臭気の観点より濃度が設定されている。しかし、この分析方法では、臭気が強く、現在でも消毒剤として医療機関等で繁用され、廃液が水道水源に混入するおそれの高いクレゾール類が測定されない。4-アミノアンチピリン法においては、フェノールの発色率を100とした場合にo-クレゾール(77)、m-クレゾール(66)、p-クレゾール(2)と測定感度はフェノールに比較して低いものの、フェノール類として包括的に測定が行われる。臭気の観点から、分別定量分析にクレゾール類も含めて行った方が良いものと考えられるが、分析が煩雑になるため、4-アミノアンチピリン法も公定法として存続させるべきではないか。
114 TOC測定(基44)
TOC(有機体炭素)濃度は、TC(全炭素)濃度からIC(無機体炭素)濃度を理論上は引けば求められる。しかし、実際の水試料はTOC濃度に比べIC濃度が非常に高く、IC及びTCとも測定値のバラツキが大きい。また測定中にも部屋の環境等で濃度が増減し、誤差が大きくなる可能性があり、正確なTOC濃度を求められない可能性が高い。従って、上水試験法に従い、試料を酸性下で曝気処理しICを除去後、TC濃度を測定する方法でよいと考える。なお、曝気処理により、揮発性有機化合物(VOC)も除去されるが、VOCのTOCに対する寄与は僅かであると考える。
115 水質管理目標設定項目
農薬類について(目15)
(1) 農薬類の測定方法の例を示してほしい。できれば一斉に測定した際の問題点なども提示してほしい。
(2) 農薬類の検出値を計算する際、各農薬の目標値の1/10未満の結果を0とするのか、1/2とするのか、さらに目標値以下の低い値を出すのか表示されていない。目標値の1/10未満の結果は0とするのが妥当であると考える。計算法に明記して欲しい。
(3) GC-MSで測定できる農薬も、高濃度の場合はSIM測定で妨害は少ないが、低濃度になると、カラムや実試料からのマトリックスの影響が考えられる。一部の農薬において目標値の1/10まで検出されない場合はどう取り扱うのか。
(4) 測定を行う農薬については検出状況、使用量などを勘案し、浄水で検出される可能性の高い農薬をリストアップするとあるが、大阪府の淀川を例にすると、琵琶湖、桂川、宇治川、木津川が合流している。このような河川を水源としている場合、上流の滋賀県、奈良県、京都府、三重県における使用農薬の種類まで調べる必要があるのか明記してほしい。
(5) 農薬の選定基準を浄水で検出される可能性の高い農薬とするならば、チウラムのように塩素により容易に分解するような農薬は、残留塩素がある場合には測定する必要がないと提案する。
(6) 測定する農薬類の対象農薬は、今回基準値が設定されると、基準値のない他の農薬類に移行される可能性がある。何年ごとかに対象農薬の種類を見直すのか。また、対象外の農薬が検出された場合はどうするのか
116 要検討項目
(検11)塩化ビニル
案では要検討項目に入っているが、水質管理目標設定項目に追加することを提案する。すなわち、シス-1,2-ジクロロエチレンが検出される地下水中に僅かながら塩化ビニルが検出されることがある。これはシス-1,2-ジクロロエチレンが微生物により変化した可能性が高い。また、水道管が鉛管からプラスチック管に移行した結果、その内側のコーティング材から溶出される可能性もある。
117 GLP
(1) 細菌は生物であるため菌数が安定しないので、陽性コントロールの作成が難しいのではないか。特に大腸菌などの定性試験での検出限界付近の陽性コントロールの調製が難しく、どのように対応すればよいか。
(2) 地方公共団体の検査機関では、既に食品分野で体制の整備が完了し機能しているためGLP体制を組み入れていくことは比較的容易であるとされている。しかし、食品分野とは検査体制が異なっており、GLP導入に対し、設備、機器、検査体制の充実及びそれに対する予算措置等を計らなければならず、GLP導入には十分な猶予期間が必要である。
118 水質管理目標設定項目の取扱い
優先度が高いとされた項目以外の水質管理目標設定項目や要検討項目に分類されている項目についての水質検査について検査頻度等具体的に示されていないが、水道企業体、地方自治体また国民に対して参考となるようできる限り詳細な検査基準(頻度等)等を示すのが望ましいと考える。
119 登録検査機関
登録機関制度の導入に伴い、登録の要件により予算的措置も必要となるので、登録及び登録更新の要件を早期にできるだけ詳細に示し、十分な猶予期間が必要であると考える。
120 H15.4.11 35 阪神水道企業団 1.農薬に関して
 製造及び使用されている種類、出荷量、使用(散布)時期などについては、水道事業 体で掌握することは困難であるため、測定項目や頻度の対応に苦慮するところです。国 や都道府県は、農薬の種類、出荷量などの情報を掌握し、水道事業体へ情報提供される ことを要望します。
121 2.要検討項目に関して
1、「要検討項目」の一部には、試験方法が確立されていない項目があります。測定項目方法については、早期に確定して提起されることを要望します。
2、新規項目については、事業体単独で測定が可能かどうか、困難な場合は他の事業体との共同も含めて検討しなければなりません。そのため、検討する猶予期間が必要です。
122 3.精度と信頼性保証体制の導入に関して
 優良試験所基準(GLP)を取り入れた、精度と信頼性保証体制の構築が新たに求められる方向でISO9000シリーズなどの導入が考えられています。精度と信頼性を高める方法には、水道事業体として積極的に取り組む課題であります。しかし、信頼性保証システムのISO9000シリーズは、食品や医薬品等のロットごとにおける品質管理であることや、国内外へ流通する商品を対象とするものであります。一方、水道水は24時間連続的に給水していること、限定された供給地域・住民に責任を持つ特性等があります。 水道事業体の精度と信頼性保証制度は、ISO9000と整合性がある基準を作成すべきと考えます。その内容は水質検査管理システム、技術的な適正等を網羅したものであり、日本水道協会が作成すべきと考えます。
123 H15.4.11 36 芹井 幸雄 1 一つの例としまして、鉄の分析は分光光度計による測定方法が削除されているようです。
赤水苦情及び地下水の浄水管理「鉄」に対して、中小の水道事業体及び保健所等は分光光度計による測定結果により判断しております。分析法として認められなくなりますと、迅速な対応ができなくなり本当の利用者の立場にたったものとは考えられませんし、水道水質管理にも影響し場合によっては管理の全面委託等につながります。
少ない予算と限られた人員の中で水道水の安全確保のために自前で行っている水質管理及び検査業務を無くすような、今回の水質基準の見直しを考え直してほしいとお願いします。
124 2 審議会議事録から、安藤委員の発言スタンスには大規模水道事業体以外は検査能力がないからダメだというように見えます。
水道水の水質基準値以下だからといって絶対安全と断言できるものではなく、医者で言えば詳しい検査をしなくても初めの問診で患者の健康状態が分かる、それも一つの管理だと思うのです。
国包委員が発言されている「工程管理のための検査と品質管理のための検査」で品質保証のために工程管理が手薄になるおそれがあるのはまずい。と、おっしゃつておられますが、そのとおりとだと思います。
その後、真柄委員長が「きちんと報告書の中に盛り込むようにご配慮を願いたいと思います。」と言われていますので、具体的に基本的考え方で触れていただくようによろしくお願いします。今は使われなくなった言葉かも知れませんが、定量試験と定性試験があります。できるだけ良質の原水を取水している水道事業体では、工程管理に必ずしもGLP等が必要と思われず、むしろ数値ではなく有るか無いかの定性試験で充分だと思うのですが、その辺のところを見直しに反映させていただけないでしょうか。
125 3 クリプトスポリジウム対策についてですが、暫定対策指針が廃止され、水道法22条で義務付けられた場合、地下水を水源として除鉄・除マンガン設備ではろ過施設と見なされず施設改良をする必要があります。
現状での対策は、原水及びろ過水に濁度計を設置し、大腸菌及び嫌気性芽胞菌も検査し、対策に努めています。
除鉄・除マンガン装置には鉄・マンガンによる共沈作用により、濁度成分はもとよりヒ素も除去できています。
従いまして、凝集剤によるろ過設備がなければ、対策済みと見なされないのは如何なものでしょうか。
水道水には出来るだけ添加物(凝集剤、フッ素、アルカリ剤)等を加えずに、安全な飲料水を供給するというのが水質担当者の考えです。基本的な考え方にも示されているように、「水質基準は、水道により供給される水(基本的に給水栓を出る水)について適用されるものであり、原水について適用されるものではないこと。」となっており、浄水での濁度により判断が可能となるようにお願いしたいと思います。
126 4 今回の見直しから視点がずれるかも知れませんが、水道事業に携わる多くの人が「基準値さえ守ればよい」という考え方のようで、それ以上余計なことをするな、あら捜しは止めろ、という水質管理に対する取られ方をされています。
水質事故で行政側は処分されないし、知らなかった、分からなかった、で済むので余計なことをするな。と言われている現状でございます。従いまして、問題がありましても調査・研究が中々出来ない現状です。
この辺のことにつきましては、今回の見直しで需要者の意見を取り入れて判断するようにと、一歩進んではいるのですが、都合の悪い問題点は指摘しないで隠しておけば今までどおりとなります。
対策を講じないで重大な水質事故が起きた場合は、水道事業認可の取り消しを含むような責務の明確化を計っていただけないでしょうか。そうすれば手法・手段としての検査の見直しはもとより、必然的に水道事業者自らが緊張感を持ち、水道水質の安全を図れるのではないでしょうか。
127 5 また話がずれるかも知れませんが、残留塩素について是非ご検討いただきたいことがございます。
私の勉強不足かも知れませんが、一つは残留塩素の精度管理ですが、標準比色列を作って比較するのですが、精度をどうしているのでしょう。下限値の10分の1の精度はいらないのでしょうか。
それから残留塩素の0.1mg/lの値ですが、文献等を見ますとpH値によっては80倍もの殺菌力の違いがあるにも関わらず、同じ0.1mg/lというのもおかしいような気もするのですがどうでしょうか。
128 6 検査頻度の設定についてですが、何故必要なのでしょうか。
自己責任の明確化と需要者の意見を取り入れて頻度を決定するようにしたほうが水道法改正の趣旨から言っても妥当とはおもうのですがどうでしょうか。検査頻度の省略がありますと、返って公務員的な考え方から言えば、出来るものは省略しないと損になると解釈します。どうしても検査したいのなら根拠を出せ。と言われる恐れがあり、現にそうなっているところも多いと思われます。
検査の頻度は目安にして、各水道事業体が自己責任において判断することにしてはいかがでしょうか。
129 7 今、私たちの現場では水道離れが進み、需要の伸びが落ちてきています。
水質の苦情にいたしましても水道水の安全性に疑問を持っておられる方が増えています。
今回の見直しで、こうした水道水に対する不信感が止められたらよいと思うのですが、失礼ながら現場の担当者としては、そうは思えません。基準値や精度管理をいくら厳しくしても、前の第2回の審議会で佐野委員が言っておられました雪印乳業の件を出され、(HACCP)を導入していても事件が起きたことを言われていました。このことは需要者も知っておりますので理解は難しいと思います。やはり、数値も大事ですが、国による水道事業体への積極的な情報公開の指導と安全を守る姿勢を見せなければならないと思います。クリプトスポリジウム・四塩化炭素・フェノール事故等の水質事故が起きても倒産しない。これは民間企業では考えられないことです。この辺のところを整理されてはどうでしょうか。
130 8 認可申請のときに水質検査結果が必要となりますが、その辺の整理はどうなるのでしょうか。
131 9 数値と精度管理の重要性を強調されていますが、それでは指定検査機関の精度管理結果を実名で公表してください。現在46項目の検査価格が4万円程度となっていますが、公的機関ではとても無理だと思うのですが、その辺のところどうでしょうか。
132 10 私の水道事業体の水源は伏流水・浅井戸・深井戸とあります。
この内、深井戸ではORPがマイナス100~200程度で鉄・マンガンを多く含み、硫化臭もしていますがこの硫化水素等の検査は必要ないのでしょうか。より柔軟な考え方で、水質管理とは数値も大切ですが、毎日原水から給水栓までの水の表情と言いますか、水の顔を見たり、水の声を聞いたり、水との会話することも大切なのではないでしょうか。そのことも見直しに反映してほしいと願っています。
133 H15.4.11 37 京都市上下水道事業管理者
吉村 憲次
基40: ジェオスミン 基43: 2−メチルイソボルネオール
かび臭の原因物質であるジェオスミンと2−メチルイソボルネオールは,現在の水質基準を補完する快適水質項目となっており,その目標値(より質の高い水道水を供給するための目標値)は,粉末活性炭処理施設の場合0.00002mg/L,粒状活性炭等恒久施設の場合0.00001mg/Lとなっている。
両物質は,健康影響がないことが報告されていることから,あくまでも生活利便上の「臭い」の要件として設定されている。臭いの感じ方は,個人差が大きく,また水質(共存する物質),水温,生理状態(体調),環境条件等によっても大きく異なることが知られている。本市では,現行の水質基準を超える水質項目が存在していない中で,かび臭発生状況については,近年発生していない年もあれば,3ヶ月間に及ぶ年があるなど恒常化していない状況である。この対策としては,粉末活性炭処理や塩素注入点変更等の浄水処理強化で脱臭に努めているのが実情である。今回の水質基準改正案で示されている基準値0.00001mg/Lは,熟練した臭気試験担当者でさえ,水道水のかび臭をかろうじて感知する値であり,また,これまで,0.00002mg/L程度では,市民からの苦情は殆ど無い。新基準値0.00001mg/Lに対応するには,粒状活性炭等恒久施設が不可欠であるが,導入については,莫大な設備投資を伴うことから,現下の財政状況から困難である。また,導入は安全性と経済性の両視点から,水道事業体に委ねられるべきものと考えている。従って,今回のかび臭の原因物質については,今後も基準項目ではなく水質管理目標設定項目として,その目標値も現在と同じ値にするよう要望するものである。なお,恒久的な高度浄水処理施設の導入を必要とする基準値を設定される場合には,直ちに対応することは困難であるので,この施行に当たっては,相当の年数の猶予期間を設けていただきたい。
134 2 基準項目及び水質管理目標設定項目の検査方法
今回の改正においては,より一層機器分析法の導入が求められるが,水道事業体としては,検査体制準備などのために相当年数の猶予期間を設けていただきたい。
135 H15.4.11 38 大阪府泉大津市
上下水道局水道工務課
1. 水質検査における制度と信頼性保証について
 GLPを核とする信頼性保証体制の導入には理解できるものの、水道事業者の規模は千差万別であり、全量浄水受水で、かつ、小規模な事業体は、組織体制の問題から自己検査の継続は不可能であると考えます。しかし、水質に関する需要者からの苦情・相談に応じるとき、或いは、災害時の運搬給水の飲用の適否の判断を行うときなど、突発的、早急に水質検査が必要な場合を考慮すると、水質検査の全面委託には、検討を要します。また、指定検査機関については、ISO9000シリーズやISO17025の導入により、一部水質検査委託の際、信頼できる検査機関に依頼が可能となります。以上のことから、水道事業体については、水質検査精度の向上を図ることとし、外部機関による定期的な精度管理体制の充実を図ることが、より現実的と考えます。
2. 鉛に係る水質検査における試料採水方法について
 鉛に係る水質検査における試料採水方法については、配管路に鉛管を使用した場合にのみ、提示された「15分滞留法」が有効な採水 方法となり、配管路に鉛管を使用していない給水栓については、従来の「流水」も採水方法とすべきと考えます。
136 H15.4.11 39 財団法人 大阪防疫協会 「IX.簡易専用水道の管理及び34条機関のあり方」について
〇検査手数料について 登録制となると、同一地域に複数の検査機関が登録されることが想定されます。検査手数料の自由化は、手数料の値下げ競争につながり、適正な検査のための一定のコストを下回る料金となる恐れもあり、検査精度の低下を引き起こすことが考えられます。本来、行政機関が行うべき検査を登録機関が代行するのであるから、手数料及びその積算根拠については、 行政機関が示すべきであり、少なくとも、適正な検査ができるような検査料金の算出基礎の提示をすべきであると思います。
〇新規登録機関について 登録機関については、適正な検査を行うためにも、簡易専用水道に関して、清掃業務や維持管理に関する業務を行っていない機関とすべきであると思います。
  〇行政機関との連携について
   元来、この検査業務は、地域密着性の高い業務であり、登録制度導入により同一地域に複数の検査機関が登録されること等から、検査の統一性、公正性等を維持するため、都道府県行政機関による一層の指導強化と、連携がより必要となると考えられます。検査機関は、公正・適正で確実な検査の実施に努めると共に、行政機関と連携をはかり、その指導を受けながら検査員の資質の向上と、受検率の向上に努めるべきであり、登録制度となっても、新規及び更新申請等に関して都道府県経由、現場調査、指導等を行っていただける等、国においては、検査機関と都道府県行政機関とのより一層の連携について考慮すべきであると思います。
137 H15.4.11 40 守口市水道局
浄水課
課長
補佐堀賢二
○農薬について
 「水質管理目標設定項目」15の農薬類については、当事業体レベルで出荷量・流通量についての情報把握が困難なものが多くあります。これらの情報を開示いただき、地域性をも加味した具体的な指針をお示しいただきたいと考えています。また、検査方法についても同時にお示しいただきたいと思います。
138 ○検査方法について
水質基準項目および水質管理目標設定項目については、検査方法が例示されていますが、これ以外でも同程度なみの精度を有する方法については柔軟に対応できるようにお願いします。例えば、陰イオン界面活性剤やフェノール類についての、吸光光度法による自動分析。シアンについての、GC-MSによる分析。(塩化シアンとして分析)
139 H15.4.11 41 長野市水道局
上下水道部長
保谷宗男
1.水質検査項目の省略について
地域性等により水質基準項目を省略できることは、水道事業体にとってありがたい面があると思いますが、省略項目の選定は非常に難しいものであり、最終的に省略しない事業体が多数あると考えます。また、「検出しない」という結果が、「安全性」や「安心」の担保となるものと思われ、全国一律基準適用で良いのではないかと考えます。
140 2.水質検査項目の省略について
地域性等により水質基準項目を省略できることは、水道事業体にとってありがたい面があると思いますが、省略項目の選定は非常に難しいものであり、最終的に省略しない事業体が多数あると考えます。また、「検出しない」という結果が、「安全性」や「安心」の担保となるものと思われ、全国一律基準適用で良いのではないかと考えます。
141 3.経過措置について
施行に当たっては今までの改正以上に、十分な猶予期間を取られるようお願い致します。
142 H15.4.11 42 神奈川県企業庁水道局
浄水課水質班
田中
1 病原微生物に係る水質基準
・ 水質基準項目を大腸菌群から大腸菌に変更することについて
 原水の糞便汚染を把握する指標として大腸菌は有用であるが、浄水における消毒効果を確認する指標としては、大腸菌以外の大腸菌群の細菌が生残していても水質基準を満たすことになり問題が残る。過去の水道統計によれば、浄水からの大腸菌群の検出が毎年報告されており、塩素消毒に弱い大腸菌を水質基準とすると、これらの多くを見逃す可能性が高くなる。専門委員会では、一般細菌を従属栄養細菌に変更することでこの欠点を回避する検討が行われていたが、見直し案では削除されている。
 以上のことから、水道水による水系感染症の防止を目的として水質基準項目を大腸菌群から大腸菌に変更するなら、従属栄養細菌も水質基準項目とすべきである。
143 2 化学物質に係る水質基準
・ 水質基準等の考え方と分類方法について
 湖沼水を水源とする場合、藍藻類に由来するジェオスミンや2−メチルイソボルネオールは基準値を超過するおそれがあり、粉末活性炭の注入が必要となる。さらに、活性炭注入時は凝集剤の注入量も増加し、生物数も多いため凝集不良が起こりやすく、ジェオスミンや2−メチルイソボルネオールとともに凝集剤に由来するアルミニウムも基準値を超過する可能性が高くなる。また、珪藻類が大量に発生した場合も、生物由来の凝集阻害物質による凝集不良とともにろ過閉塞が起こりやすく、アルミニウムを基準値以下に抑えながら浄水処理を行うことは困難である。以上のことから、ジェオスミン、2−メチルイソボルネオール及びアルミニウムについては、水質管理目標設定項目としていただきたい。
144 3 水質検査方法
・ 陰イオン界面活性剤、フェノール類の分析方法について
 見直し案では、従来の検査方法に採用されていた吸光光度法が削除されている。吸光光度法は上水試験方法(2001)にも記載されているほか、工場排水試験方法(JIS K 0102) や環境基準等の検査にも採用されており、水源水質の汚染状況について環境サイドの検査結果と比較検討するためにも、同じ方法で水質検査を実施すべきである。また、過去の検査結果との継続性等の確認も必要であり、検査方法として吸光光度法を残すべきである。
145 4 クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原微生物対策
 現行の暫定対策指針には、ろ過水濁度0.1度以下の保持による浄水処理の徹底、浄水からクリプトスポリジウムが検出された場合の給水停止などが記載されている。しかし、見直し案では、汚染のおそれがある場合、水道法22条に基づく衛生上の措置としてろ過施設の導入を義務づけているが、ろ過水濁度0.1度以下の管理やクリプトスポリジウムが検出された場合の対応が言及されていない。クリプトスポリジウムによる水系感染症発生の社会的影響の大きさを考えた場合、今後も浄水処理の強化が求められることから、厚生労働省としてろ過水濁度の管理や浄水からクリプトスポリジウムが検出された場合の対応も含めて、より充実した管理指針の策定をお願いしたい。
146 5 水質検査における精度と信頼性保証
 GLP導入にあたっては、ISO9000シリーズと互換性のあるシステムを想定されているが、見直し案にも記載されているように、中小規模の水道事業体ではGLPの導入は困難と思われる。前回の水質基準改正以後、水質基準全項目の自主検査に対応できる水道事業体数は増加してきているが、GLPを導入することにより委託に切り替える事業体が出てくる可能性がある。これらのことは、自主検査を推進してきたこれまでの方向性に逆行するため、水道事業体の現状をよく考慮したGLPを導入すべきである。
147 6 水質検査のためのサンプリング・評価
 見直し案では、現行の快適水質項目や監視項目から新たに水質基準となった項目があり、水道事業体としてはより厳しい浄水処理への対応が求められる。特に、アルミニウムは原水水質の悪化やクリプトスポリジウム対策としてろ過水濁度を0.1度以下に保持するよう求められていることから、基準値を超過する可能性がある。
 現行の水質基準では、健康に関連する項目のうち短期的な検査結果から評価すべき項目、長期的な検査結果から評価すべき項目、さらに水道水が有すべき性状に関連する項目など設定根拠に応じて基準値を超過した場合の対応が規定されている。しかし、見直し案では設定区分が明記されてないため、すべての基準が一律に扱われている。
 日々刻々と変化する原水水質に応じた浄水処理を求められる水道事業体としては、基準値超過に伴う給水停止の社会的影響の大きさを考えた場合、厚生労働省として設定根拠に応じた水質基準項目の検査結果に係る評価指針を策定していただきたい。
148 H15.4.11 43 エンテストジャパン株式会社
取締役技術部長
佐々木哲朗
特定酵素基質培地の成分として表記されている文中に、「ソラニウム」と記載されている化学物質がありますが、弊社にていくら文献を精査いたしましても、この物質の詳細に関する記述を見出すことができませんでした。 貴省では、この物質の粉塵をヒトが誤って吸入した場合の安全性や、そのまま環境中に放流された場合の安全性等々に関する詳細な情報や文献を保有されているのでしょうか? 弊社が調査したところによると、この物質は「抗菌剤を含む数種の化学物質の混合物」であると記載された公的な文書と、「界面活性剤」と記載されている文書の2件のみをみつけることができました。
 この成分の詳細や安全性が確認されないまま、省令で使用が公認・奨励されることに関して、大いなる矛盾を感じます。
149 H15.4.11 44 岡山市水道事業管者水道局長
植松 健、
阪本 博
1.ジェオスミン及び2-メチルイソボルネオールの水質基準項目化について
 ジェオスミン及び2-メチルイソボルネオールなどのかび臭物質を水質基準項目とし、その基準値を0.00001mg/L(10ng/L)とするとの案ですが、この基準は多くの水道事業体にとって遵守することが不可能であると考えられます。
オゾン+粒状活性炭等の高度浄水処理施設を整備していない事業体にあっては、かび臭発生時には粉末活性炭処理により対応していますが、現行の快適水質項目目標値すら達成するのに困難を感じているのが現状であります。もちろん、良質な水道水を提供することは事業体の努めであり、そのための高度処理施設の導入も選択肢の一つではありますが、現在の財政状況から見て非常に困難であると言わざるを得ないのが実状です。したがって、ジェオスミン及び2-メチルイソボルネオールを水質基準項目とせず、水質管理目標設定項目として設定することを希望します。
150 2.総有機炭素(TOC)の水質基準項目化について
 総有機炭素を水質基準項目とすることには、基本的に賛成です。この基準化を契機にして、BODやCODを基本とした我が国の水環境行政の転換が図られることを期待したいと思っています。しかし、過マンガン酸カリウム消費量は長年使用されてきた指標であり、総有機炭素への変更に際しては、暫定期間を設けるなど円滑な移行のための措置が講じられることを希望します。
151 3.陰イオン界面活性剤の検査方法について
 報告案では、高速液体クロマトグラフ法や酵素免疫法が採用され、吸光光度法が削除されています。吸光光度法は分液ロートでの抽出操作が必要なことや大量のクロロホルムを使用することなど問題のある検査方法ではありますが、これらの問題点を解消するために多くの水道事業体や指定検査機関では流れ分析法を採用するなどの対応をとってきています。報告案で採用されている高速液体クロマトグラフ法や酵素免疫法は、操作性や精度を考えると必ずしも優れた方法とは思えません。したがって、陰イオン界面活性剤の検査方法として、吸光光度法を残すことを希望します。
152 4.非イオン界面活性剤の基準値について
 非イオン界面活性剤を水質基準項目とすることは、必要なことだと考えています。しかし、基準値を0.02mg/Lとすることには、定量下限値から見て無理があるように思えます。基準値を見直すか、あるいは検査方法を改善することを希望します。
153 5.ガスクロマトグラフ(ECD検出器)法について
 ECD検出器付きガスクロマトグラフはハロゲン化物に対して高い感度があり、これまでも消毒副生成物の検査に使用されてきた実績があります。報告案では、検査方法としてガスクロマトグラフ法が削除されていますが、ガスクロマトグラフ法やガスクロマトグラフ−質量分析法を使い分けることで、多様な検査項目に対応しているのが実状です。したがって、ハロ酢酸類、ホルムアルデヒド、抱水クロラール及びジクロロアセトニトリルの検査方法として、ガスクロマトグラフ法(ECD検出器)を残すことを希望します。
154 6.クリプトスポリジウム等に対する対策について
 クリプトスポリジウム等に対する対策については、報告案でも述べられているように原水の保全が基本であり、国において関係部局との連携により必要な対策が推進されることを強く希望します。
 また報告案では、汚染のおそれの判断基準については、より精緻なものにする必要があると述べられています。水源ごとにクリプトスポリジウム等による汚染リスクの具体的な評価ができないなか、現行の大腸菌と嫌気性芽胞菌による定性的な判断が本当に適切なものであるのかどうか再検討をお願いしたいと思います。堤外地から伏流水を取水している水道事業体にとって、リスク評価をどのように行うかは非常に重要な課題であると考えています。
155 7.鉛濃度検査のための試料採取方法について
 鉛の暴露量を推定するための統一的な試料採取方法が示されたことは、評価したいと思います。しかし、定期検査における給水栓の採水地点は、各配水系統の水質を適切に評価できるところを選定しており、鉛製給水管の使用等を考慮したものではありません。配水系統の水質を評価するのであれば、現在行っている流水を採取する方法で十分であろうと考えています。
「15分滞留水」法に変更することにより、1地点における採水時間が約20分程度(3地点で約1時間)長くかかることになり、定期検査における採水に支障をきたすことになります。採水当日の検査時間等を考慮すると、対応は困難であると言わざるを得ません。需要者からの請求検査や調査目的の検査において、鉛製給水管からの鉛暴露量を評価する統一的な方法として、「15分滞留水」法が使用されることが望ましいと考えます。
156 8.農薬類の検査について
 農薬類は水質管理目標設定項目として、対象農薬リストを参照にして集水域で使用される可能性のあるものを選定し、散布時期に合わせて水質検査を集中的に行うようにすべきであるとされています。しかし、水道事業体にとっては、その検査の基礎となる集水域で使用されている農薬の実態を把握することは大変な努力が必要であり、継続的に実施することは困難であると思われます。
また、農薬類は使用時期とその種類が限定されているため、同じ流域内の水道事業体では同様な対応を迫られることになり、流域全体での対応が重要になってくると考えられます。したがって、水道担当部局、環境担当部局、河川担当部局、農林水産担当部局等関係部局との連携なしでは、有効な監視は不可能と思われます。そこで、農薬類の使用実態が水道事業体に提供されるような制度の構築を、行政施策としてお願いしたいと考えます
157 H15.4.11 45 河内長野市水道局
水道総務課
(1)ジェオスミン、2−メチルイソボルネオール(2−MIB) について
(意見)
 下記にまとめたとおり、「におい」に関わる2項目については、水質管理目標設定項目と位置づけ、当該基準値は現行どおりとすることを要望します。
●<本市要望>●
「項目」ジェオスミン 「分類」水質管理目標設 「区分」におい 「基準値」(粒状活性炭) 0.00001mg/l,(粉末活性炭) 0.00002mg/l,「項目」2−MIB 「分類」水質管理目標設定項目 「区分」におい 「基準値」(粒状活性炭) 0.00001mg/l,(粉末活性炭) 0.00002mg/l,
(理由)
 水道事業においては、高度成長期の水需要の急速な増大に対応するため、その水源をダム等の湖沼水に求めてきました。その後、生活様式の多様化、上流域の生活排水の流入及び湖沼水の宿命である水の滞留等により、湖沼水の富栄養化が進行し、これまで全国的に異臭味被害をもたらせてきました。その後、水道水に対しては、これまでの「衛生的側面」から「おいしさ等を追求する良質な水道水」へのニーズが高まってきたことにより、「水道離れ」を食い止めるべく、湖沼水源の水質保全への積極的な取り組みや大規模水道事業体においては高度浄水処理の導入など、各水道事業体の財政状況や需要者の理解度等の実情にあわせ、水道事業体個々に対応してきたことは周知のとおりです。本市におきましても、水源の約40%を大阪府滝畑ダムに依存していることから、様々な異臭味対応を行っています。
<ダム水処理浄水場の概要>
・水源名・・・・大和川水系石川の表流水(大阪府滝畑ダム)・浄水場名・・・日野浄水場(河内長野市、富田林市共同施設)・浄水能力・・・43,750トン/日(二市分)・処理方・・・凝集沈澱、複層ろ過(アンスラサイト)、粉末活性炭処理
<本市水源水質保全の取り組み>
・水道水源保護条例の制定(水源保護地域に指定)・ダム周辺の清掃及び水源保全PR・間欠式空気揚水筒によるダム水の強制循環(大阪府)・ダム周辺地域の特定環境公共下水道の建設・水源保全林の購入このように、本市においても異臭味物質の逓減のため関係者と協力のもと、様々な取り組みをしております。
しかしながら、その効果が即効的にあらわれることは期待できず、平成3年、平成6〜7年、平成11年、平成12年、平成14年等(平成6〜7年と平成14年は渇水)の原水に異臭味が発生した折には、粉末活性炭の投入等を行い、現行の快適水質基準値(0.00002mg/l)を遵守してきたところであります。このような経過と状況の中で今般、快適水質項目(おいしい水の指標)から水道基準項目に編入し、なおかつ準値を強化されることは、本市のような小規模水道事業に与える影響は非常に大きいものがあり、水道事業の死活問題となることが懸念されます。
 仮に、特定年の一定期間時のみの臭気対策のために、高度浄水処理を導入した場合約30億円と多額の費用を投資することは、非効率的であり、またその操作には高度な技術力と管理体制の充実が必要とされます。また、長期的な景気低迷の中で、需要者に新たな負担(料金改正)を求めることも困難な状況であります。以上のことから、「におい」に関わる2項目を、ナショナルミニマム的に基準化するのではなく、各水道事業体が経営への影響、住民のニーズ、水質保全の取り組み成果等を勘案し、いつどのような対応(例:高度浄水処理の導入等)を図るかどうかは、改正水道法の趣旨にもあるように、需要者とのパートナーシップによって立案され、各水道事業体の需要者の理解と判断にゆだねるべきものであると考えます。
よって、「におい」に関わる「ジェオスミン」「2−メチルイソボルネオール(2−MIB)」の2項目を水道水質基準に位置づけることについて再考願いたい。
158 (2)非イオン界面活性剤について
(意見)
 下記にまとめたとおり、「発泡」に関わる非イオン界面活性剤の基準値については、0.1mg/lとすることを要望します。
●<本市要望>●
 「項目」非イオン界面活性剤 「分類」基準項目 「区分」発泡 「基準値」0.1mg/l(参考;陰イオン0.2mg/l)
(理由)
 現在、陰イオン界面活性剤のみが性状(発泡)の観点から水道水質基準に定められていますが、公共用水域における、環境基準及び水質汚濁防止法に基づく排水基準においては、陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤ともに、規制対象項目にはなっておりません。このような状況の中で、各市町村において生活環境及び河川環境の向上並びに水道水源の水質保全の向上に資するため、公共下水道の推進や合併処理浄化槽等の普及に努めてきたところであり、本市においても現在、水洗化率は約85%に達しております。しかしながら、生活排水対策は、長期計画のもと住民の理解を得ながら推進しているものであり、河川水質向上の効果があらわれるまで、期間を要するものであります。今回の改正(案)において、非イオン界面活性剤を、新たに水道水質基準に組み入れるとのことであり、また、その基準値においても陰イオン界面活性剤の10分の1の0.02mg/lとされていますが、合成洗剤の起泡性を定量する試験方法であるロスマイルス法による非イオン界面活性剤の発泡性試験の結果、0.1mg/lで泡立ちが認められたことから、規制値としては0.1mg/lが適当であると考えます。
159 H15.4.11 46 神奈川県衛生部
生活衛生課水道班
山本 喜徳
1 専用水道等における水質検査について(P7、別紙2関係)
 (1) 専用水道における水質検査については、水道事業の水質検査制度が基本になると思われるが、見直し案には専用水道の記述がない。水道事業とは規模格差のある専用水道の取り扱いについての議論を深め、見直し案に反映させていただきたい。
 (2) また、受水型専用水道の水質検査に関しては、水質検査項目の省略について、現在も水道事業とは異なる扱いが示されているが、水質検査計画の取り扱いも含めた議論 を見直し案に反映させていただきたい。
 (3) 水質検査項目の省略について、別紙2の指針案の中で「十分な検討が行われた上でなければ省略をしてはならない。」とさているが、小規模な水道事業者のために、「十分な検討」の具体的な取扱い例を示すなどについて、見直し案に反映させていただきたい。
160 2 検査法について(P29、別紙3関係)
 「検査者の工夫の余地」については、「工夫の余地」の解釈に過大なバラツキが生じないようにするため、検査法の基本的事項について日本薬局方(薬事法第41条)及び食品添加物公定書(食品衛生法第13条)に準じた構成で基本的事項(通則等)を記載し、その上で別紙3の水質検査方法を各論として収載するなどの記述方法を検討されたい。また、水質検査方法の詳細な解説書を公表していただきたい。
161 3 統一精度管理の実施について(P52関係)
 国の統一的な精度管理の実施にあたっては、民間の登録機関とともに地方公共団体の検査機関も加わり、同一の土俵で参加することができる制度となるように検討されたい。
162 4 簡易専用水道の管理について(P75関係)
 指定検査機関は、簡易専用水道の管理状況の検査において「衛生上問題があった場合」 には必ず所管保健所に通報するなど衛生行政との連携を保ち、簡易専用水道の適正管理に大きな役割を担っている。検査の実施結果や不適合施設の通報については、簡易専用水道の適正管理を推進する上で不可欠な要件であり、登録制に移行した後も、登録業者に対して通報を義務付けるように制度検討されたい。
163 5 水質管理目標設定項目の取り扱いについて(P73,P87関係)
 水質管理目標設定項目について、水道事業者の検査結果を通じて全国的な水道水質状況を把握するのであれば、水道事業者に一定の義務づけをするなどの措置が必要と思われる。
164 H15.4.11 47 札幌市水道局水質試験所
水質検査担当係長
高田 敏夫
1)IIの病原微生物に係わる水質基準について
 (1)大腸菌群を大腸菌に変更する趣旨は理解できる。しかし,原水の保全対策上,環境保全機関との連携は重要かつ不可欠であるため,環境基準も大腸菌を採用するなど整合性をとるよう,関係機関との調整が必要である。
165 2)IIIの化学物質に係わる水質基準について
 (1)農薬類について
・農薬情報の収集にあたっては,現状では,特に,流域の水道事業体では,的確な情報の収集が困難と思われる。このため,国から農政機関に強力に要請するなど,水道事業体が継続的に情報収集が可能となるよう情報提供ルートの整備が必要である。
・検査値の評価に総農薬方式を導入した趣旨は理解できる。しかし,水質管理目標値を1とした経緯等の詳細な説明をしていただきたい。また,総合評価するうえで,混乱が招かないよう,検査対象項目個々の定量下限値を早急に示すと供に具体的な評価事例を示していただきたい。
・農薬類として101項目がリストアップされており,新規項目については,検査機器等検査体制の整備を行う必要があるため,測定方法について早急に情報を示していただきたい。また,新たな高額検査機器の整備が必要となる事業体があることから,国の積極的な財政支援が必要である。
166 1)IVの水質検査方法について
濁度測定法について,濁度の管理目標値をクリプトスポリジウムの管理指針である0.1度とすべきとの観点から,その10分の1の濁度を測定可能である高感度濁度計も公定法として採用してほしい。
167 2)VIIの水質検査のためのサンプリング・評価について
採水地点及び地点数について,要件として,「採水地点は配水系統ごとに1地点以上選択すること」とあるが,浄水場ごとに配水系統が区別されている場合,浄水場系統ごとに1地点以上選定することと理解してよろしいか。
168 H15.4.11 48 松山市公営企業局
管理部水管理センター
柿内 尚
(1) 水質基準改正により、高額な検査機器を購入する必要が生じるので、補助制度の適用範囲の拡大、補助採択基準の緩和、補助金申請事務手続きの簡素化を実施していただきたい。
169 (2)「ほう素」については、ICP−MSを購入しなくても測定できるよう、現行法の分光光度法を公定法に取り入れていただきたい。
170 (3)「臭素酸」については水道用薬品の次亜塩素酸ナトリウムに起因する物質と言う知見があるので、次亜塩素酸ナトリウムの施設基準の早急な見直しを実施していただきたい。
171 〇 病原微生物対策の強化
汚染指標菌が検出されたからといって必ずクリプト汚染が生じるとは限らない状況で、また、クリプト自身を不活性化する浄水処理方法も開発されているので、ろ過施設の設置というような負担は緩和していただけるよう取り計らっていただきたい。
172 〇 水質検査等の質の確保
日水協が検討している一般水道事業体向きの水道版GLP制度を認証制度として確立していただきたい。
173 H15.4.11 49 豊田市上下水道局
上水運用センター
水質管理担当
1 検査機器の取り扱いについて
(1) シアン、陰イオン界面活性剤等の分析機器で、分析方法が変更になるものについては、機器の延命化を図るため耐用年数まで従来の方法を認めてもらいたい。
174 H15.4.11 50 全国給水衛生検査協会
会長
小林 康彦
1 .移行期間の設定
新水質基準の検査方法全般に関して、平成16年4月1日より一斉に完全実施するのでなく、従来法も暫定的(期間限定・・・例えば3年間)に認めて頂きたい。何故なら、機器を新規に導入し、原価償却も済んでない事例もあり、且つ新規の分析法の修熟に時間がかかる。従来法に決定的な欠陥があるのではなく、より適切な分析法を設定する改正であるので、一斉実施でなくても問題を生じるとは思わない。
175 2 .陰イオン界面活性剤およびフェノール類の検査方法
現状の陰イオン界面活性剤及びフェノール類の検査方法では、それぞれメチレンブルー活性物質及び4−アミノアンチピリンに反応する広範囲な対象物質の総量が結果として得られていた。しかし、新しい検査方法では機器分析となり、検量線の標準品が明確に規定されたことから、標準品以外の界面活性剤及びフェノール類が存在しても対象外となる。
 これらの項目は、発泡及び異臭の観点から水質基準に採用された経緯があり、新しい検査方法では標準品以外の項目が測定されないこととなる。従って新しい検査方法で分析された数値は従来の結果と比較できなくなり、これまでのデータの継続性が無くなる可能性が危惧される。そこで、データの連続性について配慮されたい。
176 H15.4.11 51 池田市水道部 1.ホウ素測定法について
 設備面の準備が早急には整わないので、従来の測定方法であるクルクミンによる吸光光度法の存続を希望する。
177 2.フェノール測定法について
 設備面の準備が早急には整わないので、従来の測定方法である4-アミノアンチピリンによる吸光光度法の存続を希望する。
178 3.陰イオン界面活性剤測定法について
 設備面の準備が早急には整わないので、従来の測定方法であるメチレンブルーによる吸光光度法の存続を希望する。
179 4.鉛の採水方法について
 採水のための時間が非常に長くかかり、実際に苦情先での採水方法としては馴染まないので、再考を希望する。
180 5.農薬の項目について
 農薬の測定項目が多すぎるので、都道府県によって各流域ごとに測定すべき項目の設定を希望する。
181 6.アルミニウムの前処理について
 浄水についてもろ過が必要なのか疑問がある。
182 7.中小規模の水質検査機関では、規制項目の増大、高額な分析機器の必要性、人員の確保等、影響は深刻であるので、近隣事業体の共同検査体制の強力な指導を願う。
183 H15.4.11 52 株式会社 荏原製作所水環境・開発センター
応用技術室
小島康成
1.「IV.水質検査方法」の内「有機化合物」の検査法についての意見
ガスクロマトグラフ法(GC法)が含まれていませんが、この方法は存続するのが適当と考えます。
 理由:ガスクロマトグラフ法(GC法)は、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC−MS法)と比べて装置の保守・維持の面で安価で容易です。また、性能面でも問題は無いと考えます。具体的な根拠を以下に述べます。
(1)保守・維持費用について
分析装置に使用するキャリアーガスは、一般的に、GC−MS法では超高純度ヘリウム、GC法では超高純度窒素ですので、GC法の方が安価です。また、消耗品に関しても質量分析計関連の消耗品が無い分GC法の方が安価ですみます。
(2)保守・維持の容易性について
装置のメンテナンスを考えた場合、GC−MS法では質量分析計のイオン化部の汚れや真空度に対して常に注意を払う必要があるのに対して、GC法ではその必要がありません。GC−MS法において質量分析部に汚れの生じた場合のメンテナンスは手間のかかる作業ですし、ある程度の熟練を要します。このことから、装置維持の面でGC法の方が容易と考えます。
(3)性能面について
【別紙2】水質検査項目の省略指針案 において、1.水質検査を省略することのできない項目をみると、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム、総トリハロメタン、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ホルムアルデヒドがGC−MS法の対象物質です。いずれの物質も、2001年版の上水試験方法によると定量下限値および定量下限値付近での精度はGC法とGC−MS法で遜色はありません。
以上のことからGC法は存続するのが適当と考えます。
184 2.「VII.水質検査のためのサンプリング・評価」の内「検査頻度」についての意見
「過去3年間における検査結果がいずれも基準値の1/10以下の場合であって、原水の変動による汚染のおそれがないときは3年に1回以上に検査頻度を下げることができること」とされていますが、水質検査の頻度は少なくとも年1回以上は必要と考えます。
 理由:3年に1回でも良いとするのは、その水質項目については問題がないとの判断ができる場合であるとのことと考えます。一般的にはこの判断には問題はないと考えられます。しかし、3年に1回のみ分析する場合、その水質項目への関心が低下する懸念があり、事業者内の担当者の異動等を考慮した水質面での技術継承をも考慮すると、少なくとも1年に1回の分析は必要ではないかと考えます。
185 H15.4.11 53 奈良広域水質検査センター
組合検査課
技術員
森本 好
当センターでは、シアン、フェノール、陰イオン界面活性剤を吸光光度法にて3項目連続流れ分析装置で、年間約550検体を測定しています。4年前に1500万円をかけ連続流れ分析装置を導入し、大きなトラブルもなく順調かつ精度良く測定しております。
 この度の「水質基準の見直し等について(案)/平成15年3月」以下(案)では、上記3項目について吸光光度法が排除されていますが、どのような経緯があったのでしょうか?現場サイドといたしましては、驚きと戸惑いを感じております。一斉分析では、前処理をほとんどすることなく迅速に測定することができ、測定結果は5分程度で得ることができます。また、有機溶媒等の有害物質も少量かつ密閉系で使用しており、検査員の作業環境の改善に多大な貢献をしております。必要なサンプル量は少量であるので、試薬の量も少量で済みランニングコストの面でも優れております。定量下限値は、3項目とも水質基準値の1/10程度まで測定可能です。測定精度におきましては、基準値の1/10において5%前後と良好な結果を得ております。(案)が採用されますと、作業効率、設備導入コスト、作業環境の面で大変な混乱をもたらす事になると考えられます。結論といたしまして、時代の流れとともに分析法そのものの見直しも必要かと思われますが、(案)に示されているような分析法と吸光光度法の併用を採用されることを提言させていただきます。
186 H15.4.11 54 築山 俊彦 1. クリプトの暫定対策指針はガイドライン又を解説書が出来るまで中小の水道事業体のために残しておく。
現在の水道法第5条に基づく政令のみでは、ろ過を設けることしかないので、実際のクリプト対応が難しい。このため、より具体的に対応方法を解説したガイドラインができるまでは、現在のガイドラインを残しておいてほしい。
187 2. 組織・管理が不十分な中小の水道事業体の管理監督は府県に任されている。しかし、府県の体制は十分とはいえない。府県の組織造りと指導ガイドラインをこの際提示すべきである。
188 3. ひ素の水質管理目標設定値を定め、基準の1/10にする。ひ素の水質基準は0.01mg/lです。施設の設計の際、基準値の1/10まで処理できるように指導を受ける。故に、目標値設定を定める事により設計・管理が明確になる。
189 4. 将来の水道水質についてその方向付けが必要だ。それは、より安全な水道水を造って行くことである。例えば塩素の使用量をゼロに近づける等。方向を示す事により目先の対応のみに捕らわれることなく、研究機関・事業体・企業が研究を行ない、新しい水処理システムが創られる。また、アメリカのEPAやオランダのKIWAのような強力な研究機関の設置も提示すべきである。
190 H15.4.11 55 株式会社静環検査センター 今回の水質基準見直しにおいて、シアン、フェノ−ル、陰イオン界面活性剤等について、比色法が削除され、イオンクロマト法およびGC-MS法が採用されています。水質基準および水質検査方法の見直しの経緯について、厚生科学審議会生活環境水道部会 水質管理専門委員会の議事録を見ますと、新しい分析方法の採用理由は妥当と考えられますが、実際の水道水の水質管理の運用上において、比色法(特に、連続流れ分析法については精度等充分満足するものであり)でも充分に検査方法として対応可能と考えられます。比色法を用いる分析法は、浄水施設においても一般的に用いられている分析方法であり、今回の見直しに際しても上記の三項目に関しては、複数の方法を併記する形で再検討願いたいと考えます。
191 H15.4.11 56 大阪市水道局工務部
水質試験所
1 水質検査における精度と信頼性保証について意見
 水道水質検査機関に対し、「信頼性保証体制の導入に当たっては、外部機関による査察・認証が不可欠」とされているが、適合性評価を行う制度の一つとして確立されている「自己適合宣言」も選択できるよう検討してほしい。
192 2 農薬に関する情報提供ルートの整備について意見
 提示された101種類の農薬の使用状況等、選定に必要な情報について、国・都道府県等が水道事業体に提供する制度の整備をお願いする。理由 提示された101種類の農薬のうち、水道事業体が測定対象とする農薬の選定作業については困難が予想される。
193 3 鉛のサンプリング方法について意見
 15分間滞留及び5リットル採取の方法については、水道事業体として実施不可能な条件、場所が数多く想定されるとともに、これまで得られたデータとの整合性を保つため、現行のサンプリング方法の継続をお願いしたい。理由 鉛を含め、すべての水質検査項目の測定には流水を採水しているが、提案された方法では、不特定多数の方が利用する施設や1本の給水管で複数の方が利用する住宅等を採水地点とする場合、他の給水栓を使用せずに15分間滞留させることは事実上不可能と考えられる。
 5リットル採取の際、バケツを用いて採取すると空気からの汚染が考えられ、また、同一の容器では他の試料からの影響が懸念される。一方、採水容器を採水地点毎に用意することは現実的ではないものと考える。
194 4 水質検査方法について(全般)意見
 提示された水質検査方法以外の検査方法を提案する場合に必要となる要件の明示をお願いする。また、提示された水質検査方法について、採用されるに至ったデータ等の明示をお願いする。
195 ○クロム(6価)
 提示された方法は、総クロムの定量法であり、6価クロムの定量は不可能と考え、6価クロムを分別定量できる方法を提示してほしい。
196 ○シアン
 塩化シアン標準液濃度の正確性・安定性に問題があると考え、標準液の問題のない現行法(比色法)を継続して採用してほしい。
197 ○アルミニウム
 提示された方法では、濁質成分を含む水試料を測定する場合、濁質成分由来のアルミニウムも合わせて測定されると考え、溶解性アルミニウムのみを測定する現行法(比色法)を継続して採用してほしい。
198 ○陰イオン界面活性剤
 提示された方法のうちLC法について、陰イオン界面活性剤の種類は多く、またその構造異性体も多いことから、LCで得られたピークに相当する物質を確認することは困難であると考え、また、発泡性の観点で基準化されたことを考慮すると、陰イオン界面活性剤の総量を把握する現行法(比色法)を継続して採用してほしい。
199 ○非イオン界面活性剤
 比色法について、定量下限値を基準値の10分の1とするのは極めて困難であると考え、精度・感度のよい別の方法を提示してほしい。 標準品としてヘプタエチレンオキシドデシルエーテルが使用されているが、この物質は環境で容易に生物分解され、標準品として最適でないと考え、標準品に他の非イオン界面活性剤を付け加えてほしい。
200 H15.4.11 57 佐賀県鳥栖市水道部
水道課水質係担当
前間
○吸光光度法の取り扱いについて
現行の水質基準に関する省令に於いて、吸光光度法による検査方法としてシアン、フェノール類、陰イオン界面活性剤、フッ素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の6項目が採用されおり、2001年度版上水試験法では吸光光度法による連続流れ分析法も採用されました。これに伴い当事業所では2002年度にブラン・ルーべ社製のオートアナライザー3を購入、シアン、フェノール類、陰イオン界面活性剤を2002年度より一斉連続流れ分析法で検査をしております。この方法を採用した理由としましては、陰イオン界面活性剤を検査する際、手分析では検査担当者がクロロホルムを吸引するなど検査担当者の健康に対するリスクの問題、フェノール等を検査する場合では蒸留装置等、検査機器の設置スペースなどの問題、又、危機管理の面からシアンやフェノール汚染事故時などに効率よく一斉に検査できる体制の確立などから、吸光光度法による一斉連続流れ分析システムを導入し検査いたしております。
この上記システムは、定量下限値は現基準値の1/10まで測定でき、1時間当たり20サンプルを検査することができるなど、精度面、効率面で日常的にも大いに検査業務に貢献しており、またシステム自体がコンパクトである為、設置スペースが少なくて済んでいます。このように吸光光度法による一斉連続流れ分析システムは効率面、精度面、危機管理、検査担当者の健康へのリスク管理の面から当事業所に多大な貢献をしております。しかし、この度の「水質基準の見直し等について(案)」では吸光光度法が新規の非イオン界面活性剤のみの採用となっており、この(案)に示されたようにシアン、フェノール類、陰イオン界面活性剤の検査方法には吸光光度法は採用されておらず、したがって上記連続流れ分析法も排除される形となります。そうなると当事業所の検査体制からも上記システムを排除しなければなりません。こうなりますと購入時に投資された多大な公費も無駄となり、新たな分析機器購入という当水道事業にとっては、新たな多大な負担が増え、さらに現場での検査業務に大きな支障をきたす危惧を、禁じえません。水質検査業務さらには、水道行政を円滑に遂行する上でも上記検査項目に於きましては吸光光度法を削除されないことを強く要望いたします。
201 H15.4.11 58 大牟田市企業局
水質管理課
1.重金属測定で鉄がICP-MSでの測定対象になっておりませんがヒ素などと同様に注釈付きでも公定法として認めて頂きたい。 御承知の通り、従来のICP-MSでは鉄の測定は不可能でしたが、近年のICP-MSでは種々のガスを導入することにより、アルゴン起因の副生成物などを除去する機能を有する機種が市販され、基準値の1/100以下まで精度よく測定できるようになっております。この機種を有していても、原案だとICP-MSとは別に鉄のみをフレームレス原子吸光などで測定しなければならなくなります。
一斉分析にて測定可能な試験方法を取り入れていくという観点からも、注釈付きででも公定法への採用を強く希望します。
202 2.重金属の「試料の採取及び保存」で、アルミニウムについては、採取後、メンブランフィルターでろ過後硝酸を加えるとなっていますが、この操作は不要ではないでしょうか。第7回水質管理専門委員会の議事録を拝見すると、地下水を塩素処理だけしてしている場合に土砂との分離が必要との判断からの採用のようですが、私どもも地下水を塩素処理して浄水にしておりますが、通常の清浄な地下水ではまず濁質は出てきませんし、実際にアルミニウム濃度も10ppb未満です。また、以前私どもが行いましたアルミニウムの測定では、溶解性のアルミニウム(メンブランろ過処理した試料のアルミニウム)はPACでの凝集沈殿−急速ろ過での浄水処理の良不良に関わらずほぼ一定で、凝集剤由来のアルミニウムはメンブランろ過で除去されてしまうという結果になりました。つまりメンブランでのろ過は凝集剤由来のアルミニウムをも測定出来ないということになろうかと思います。
203 3.重金属の試験操作の前処理で濃縮操作を記述してありますが、これについて御一考を願います。
フレームレスについては100mlを10mlへ、ICP-AESでは500mlを50mlへと10倍濃縮、ICP-MSについては内部標準液を加えた後の加熱濃縮が記載されておりますが、この操作は長時間を要すること・濃縮操作中の汚染(コンタミ)が気になることなどの問題があろうかと思います。確かにフレームレス原子吸光などでは濃縮操作なしでは基準の1/10をCV10%以下で測定できない元素もありますが、すべての元素に濃縮操作が必要とはならないのではないかと考えます。
また、ICP-MSでは内部標準液の自動添加機能を有する機種がありますが、その場合加熱分解操作だけが必要というのであればビーカーでの加熱濃縮はかえって汚染の危険性を増やすだけではないのかと危惧いたします。近年はマイクロウェーブ試料分解装置なども市販されており、そういった前処理方法も柔軟に取り入れていただきたく思います。因みに、私どもでは金属類の前処理に、硝酸添加後に耐熱性プラスチックで加熱分解処理(オートクレーブ加熱)をして汚染がなかったことを確認しております。
204 4.吸光光度法について非イオン界面活性剤のみが残っておりますがその他の項目についても再考をお願いします。
現在私どもは、上水試験法2001年版に記載のある自動流れ分析計による一斉分析測定をシアン、フェノール、陰イオン界面活性剤の3項目についてブランル ーベ社のオートアナライザーで行っておりますが、新しい試験法の原案によりますと、フェノール、陰イオン界面活性剤は不可、シアンは3年間の猶予はあるもののその後は不可となってしまいます。上記機器はいくつもの水道事業体に導入されており、その性能は事業体の水質年報等で発表されております。
水質管理専門委員会の議事録でその経緯は読ませていただいておりますが、シアンと塩化シアンで毒性評価が同じで基準値はその合計量というのであれば、個別に測定できるのが勿論ベターではありますが現行の測定方法でも問題無いのではありません。 フェノール類については有機溶媒を極力使用しない方針とのことでガスマスへの変更ですが、上記の連続流れ分析法はクロロホルムによる抽出濃縮工程が不要な4アミノアンチピリンによる吸光光度法による測定で、基準値の1/10でのCVは10%以下が確保できております。陰イオン界面活性剤についても有機溶媒を使用しないということから液クロとELISA法が示されていますが、上記機器では手分析に比してクロロホルム使用量は1/10以下に削減できており、迅速な測定が出来ております。有機溶媒を極力使用しないとの方針は望ましい事ではありますが、発泡性や異臭味等での基準でその総量が問題というのであれば、従来の方法も残していただきたいと思います。
205 5.分析方法全般について
時代の要請で、いくつもの物質を低濃度まで精度よく測定する必要性については十分理解しておりますが、中規模の水道事業体にとって検査項目や分析方法の急激な変更等には予算的・人的対応が取り難い面があります。なるべく従来からの方法を残す方向で、また変更後の対応にはせめて3年以上 の猶予期間を持っていただきたいと思います。 (長期的な機器整備計画を作成し機器の整備を図っておりますが、高価な機器の購入後に1、2年したら使用不可というのでは、大手の事業体以外では水質検査に対応できなくなり、その結果が20条機関への委託ということになれば、 水質検査部門は縮小され大事な浄水処理の水質管理がおざなりになる等の悪影響を危惧いたします。)
206 H15.4.11 59 弘前市水道事業 (案)では、基準項目の中に現行の快適水質項目である「ジェオスミン」と「2-MIB」も含まれています。等事業体では表流水を原水としておりますが(ゴム引布製起伏堰を設け、取水)現在のところ、良好に浄水処理されており、特に問題は生じておりません。
しかしながら、今後住民が求めるより質の高い、よりおいしい水道水を供給するためには、活性炭等の高度浄水処理が必要であると認識しており、設備構築について検討しているところでありますが、設備構築には膨大な費用を要することから、早急な建設は困難な状況にあります。このような事情から、当面、この2項目については水質管理目標設定項目とする等のご検討をしていただきたい。
207 ほう素の検査方法について、(案)ではICP発光分光分析法及びICP質量分析法の2方法が示されておりますが、当事業体では現在、ICP分析機を有しておらず、新たに設置するには多額の費用を要することから、現行の検査方法の1つであるクルクミンによる吸光光度法も加えていただきたい。 
208 H15.4.11 60 島津製作所
分析機器事業部
応用技術部
京都カスタマーサポートセンター
◇公定検査法について
 公定検査法とはどのような意味合いのものと考えれば良いのでしょうか?また、今回の報告書で提示されたメソッドのみが水道法でいう公定検査法なのでしょうか? 
◇公定検査法と上水試験方法
 財団法人 日本水道協会から上水試験方法が公表されていますが、上水試験方法は公定検査法として認められるのでしょうか?
◇公定検査法に準拠する検査方法
 公定検査法に準拠する検査方法の取扱いについて、“水質検査技術の革新等に柔軟に対応できるようにするため、上記の方法以外であっても、これらと同等以上の方法と認められる検査方法については、これを積極的に公定検査法と認める柔軟なシステムを工夫することが必要である。”(水質基準の見直し等について(案)p30)と記載されており、また、委員会でも議論されたようですが、柔軟なシステムについて具体的な内容は今回の報告書には盛り込まれなかった理由はあるのでしょうか?また、公定検査法に準拠する検査方法であるための要件を可能ならぜひ明示するようにしていただきたいと考えます。
◇基準項目以外の公定検査法または検査法
 公定検査法は基準項目のみに提示され、水質管理目標設定項目、要検討項目や総農薬として検討対象とする農薬の関しては検査法が提示されていませんが、今後も提示されないのでしょうか?
◇公定検査法と精度管理
 米国EPAメソッドや環境省から公表される最近の公定検査法においては精度管理(QC)についても記載されていますが、水道法の公定検査法では精度管理(QC)に関し記載されないのですか?
209 ◇ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ−質量分析法によるによる揮発性有機物分析{別紙3 p36}
 “・・・バイアルに検水の採取量とバイアル容量の比が0.7ないし0.85になるように採り・・・”となっていますが、感度を満足すればこの比でなくても良いのですか?
210 ◇1,4‐ジオキサン{別紙31 p59}
・公定検査法では、1,4‐ジオキサンを固相抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析法で行なうことになっています。ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ−質量分析計やパージ・トラップ−ガスクロマトグラフ−質量分析計による検査も一部の水道局で行なわれていると思います。これらの方法は公定検査法に加えられないのですか? ・(五)検量線の作成において(p61)、“(四)の((2)と同様に操作して”とありますが、空試験のピーク高さ又はピーク面積の比を差し引かなくていいのではないでしょうか?また、空試験のピーク高さまたはピーク面積の比を差し引いた後、検水中の濃度を算定するとありますが、算定した検水中の濃度から空試験の濃度を差し引いても同じではないでしょうか?
211 ◇2-メチルイソボルネオールおよびジェオスミン{別紙3 p75(ジェオスミン)、p91(2-メチルイソボルネオール)}
 いずれも個別分析法が公定検査法として提示されていますが、これらの2成分を一斉にする方法を公定検査法とするほうが実状にあうと考えます。
◇2-メチルイソボルネオールおよびジェオスミン{別紙3 p75(ジェオスミン)、p91(2-メチルイソボルネオール)}
 ・ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ−質量分析計およびパージ・トラップ−ガスクロマトグラフ−質量分析計による検査方法で塩析が用いられていますが、塩析は必須なのでしょうか?
◇ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ−質量分析法によるによる2-メチルイソボルネオールおよびジェオスミンの検査{別紙3 p77(ジェオスミン)、p93(2-メチルイソボルネオール)}・“・・・バイアルに検水の採取量とバイアル容量の比が0.7ないし0.85になるように採り・・・” (p78, p94)となっていますが、感度を満足すればこの比でなくても良いのですか?
◇固相抽出-ガスクロマトグラフ-質量分析計による2-メチルイソボルネオールおよびジェオスミンの検査{別紙3 p75(ジェオスミン)、p91(2-メチルイソボルネオール)}
 ・“カ. イオン源温度 250℃にしたもの”(p79,95)と値を指定しておられますが、機器により最適値が異なるため、他の公定検査法と同様、記載しないか、“機器の最適条件に設定する。”との記載のほうが良いと考えます。
 ・(五)検量線の作成において(p80,p96)、“(四)の(2)と同様に操作してと”ありますが、空試験のピーク高さ又はピーク面積の比を差し引かなくていいのではないでしょうか?また、空試験のピーク高さまたはピーク面積の比を差し引いた後、検水中の濃度を算定するとありますが、算定した検水中の濃度から空試験の濃度を差し引いても同じではないでしょうか?
◇マイクロ固相抽出法(SPME法)による2-メチルイソボルネオールおよびジェオスミンの検査{別紙3 p75(ジェオスミン)、p91(2-メチルイソボルネオール)} マイクロ固相抽出(SPME)-GC/MS法による2-メチルイソボルネオールおよびジェオスミンの検査は既に多くの水道局で実施されています。今回、これらの成分が基準項目なりSPME-GC/MS法が公定検査法として適用されないと、本法を使用している水道局で不都合が生じてしまいます。SPME法も公定検査法として採用することは出来ないのでしょうか?
212 ◇ 固相抽出-誘導体化-ガスクロマトグラフ-質量分析法によるフェノール類の公定検査法{別紙3 p83}
 ・(11)フェノール標準原液部分(p86)で滴定により定量をおこなうのはなぜでしょうか?比色測定法の一部が間違って書かれているのではないでしょうか?・(五)検量線の作成において(p88)、“(四)の(2)と同様に操作して”とありますが、空試験のピーク高さ又はピーク面積の比を差し引かなくていいのではないでしょうか?また、空試験のピーク高さまたはピーク面積の比を差し引いた後、検水中の濃度を算定するとありますが、算定した検水中の濃度から空試験の濃度を差し引いても同じではないでしょうか?
213 H15.4.11 61 東和化成工業(株)
富士工場
小澤久仁子
意見:pHの基準値 5.8-8.6 を 5.0-8.6 に変更して頂きたい 
理由: 食品メーカーです。 水道法の基準をクリアしている水をさらにイオン除去し、製造用水に使用し、定期的に管理していますが、 pHは5.8前後で、pHの基準値ぎりぎりのところを推移しています。 水道法は飲料水だけでなく、食品・医薬品の製造用水の基準となっており、製品の安定化を図る為にも イオン除去が必要なケースが多々あると思われます。 イオンを含む溶液からイオンを除去すれば、pHがやや酸性に傾くのは周知の通りで、pHが5.0-5.8の水が飲用に問題がないことは明らかです。 水道法におけるpHの基準は次亜ソーを添加してある水道水だけをターゲットにしてはいないはずですので、 是非この件に関し、考慮頂きたいと思います。
214 H15.4.11 62 関西水道水質協議会 1 農薬に関して
 検査対象農薬選定に必要な情報について、国・都道府県等が事業体に提供する制度の整備をお願いします。理由 検査対象農薬選定に必要な情報の入手は現状では困難です。
215 2 GLPについて
 意見これまで各事業体とも国や府県レベルの精度管理に参加し分析精度の向上に努力してきました。今後は、国の方で外部および内部精度管理システムを提案していただき、自己検査機関がそれに参加し、一定の評価を得られれば、GLPとして認証いただけるような制度にしていただければと思います。理由ISOにつきましては、国際間の相互承認を進めていくことを目的としていますので、水道水の自己検査機関におけるISO規格の適用はなじまないと思われます。
216 3 水質検査計画について
 各水道事業体独自で、適正な根拠のもとに検査計画を策定することとなっていますが、水質専門の職員の存在していない様な小規模水道事業体でも、計画の策定がスムーズに行われるように種々の例を含めた詳細なマニュアルの作成をお願いします。
 用水供給側と受水側は水道検査計画を策定するにあたり項目頻度等を調整し、効率的な検査計画を策定できるよう法的整備をお願いしたい。また、策定にあたり需用者の意見を聞き集約することは困難でありますので最良の方法あれば示して下さいますようお願いします。理由現在示されている検査計画には具体例が示されておらず理解がしにくい。
217 4 要検討項目について
 意見 要検討項目の中には、試験方法が確立されていないものもあるようですので、確立されてから提示してください。新規項目については、十分な猶予期間を設定してください。
 理由 新規項目については試験体制の確立に時間がかかることが予想されます。
218 5 鉛のサンプリング方法について
 意見 鉛の採水については、今回の改正で15分滞留後の流水を5L採水することになっていますが、鉛の検査請求での採水方法としては理解できるものの通常の水質検査時もこの方法で採水することは実務上困難です。
 理由 不特定多数の方が利用する公共施設等を採水場所とした場合、そのような場所で15分間滞留させることは不可能と思われます。
219 6 水質検査方法について
 意見 吸光光度法が削除されたものが多いようですが、シアン、フェノールなどについては、緊急時の測定方法として残してください。
 理由 有機溶媒使用量削減については理解できますが、水質事故などの緊急時の測定では迅速に測定できる試験方法が必要です。
220 7 かび臭物質、アルミニウムについて
 湖沼を水源とする事業体では高濃度のかび臭発生が常態化しており、設備更新等を適宜行ってきてはいるものの活性炭処理のみでは今回の基準値の遵守は困難です。また、通水しながら新システムの導入を行うことは敷地等の制限もあり簡単には実施出来ないのが現実です。これらの基準値化には十分な猶予期間の設定と補助金制度の確立をお願いします。またアルミニウムについても高pH値の処理には酸注入設備等の整備が必要であり、猶予期間と対策施設の補助金制度を確立してください。 理由かび臭、アルミニウムの低減には施設の更新が不可欠です。
221 H15.4.11 63 坂戸、鶴ヶ島水道企業団担当
浄水課
高橋俊行
I. 基本的考え方
1.水質基準のあり方・性格
2.地域性・効率性を踏まえた水質基準の柔軟な運用
■理由
 おいしい水で炊事や洗濯、入浴、洗車をする必要はないであろうことから
■意見
 快適性に関する消費者の嗜好についてですが、水道水の用途で人の口に入るのは1%といわれており、ほとんどは炊事、洗濯等に使用されています。こうした使用状況を考えれば、水道は安全な水を供給すべきではあるが、低廉な水を供給する趣旨からことさらおいしさを追及するのではなく、嗜好については多様にそろえてあるボトルドウォーターでよいのではないかと考えます。
222 H15.3.逐次改正方式
■理由
 水道行政の財政的圧迫が懸念されるため
■意見
 1〜2年前に水質検査機器を整備し翌年度から分析方法が変わったので使用できない、あるいは浄水場のろ過施設を改修し、ある基準に対応したらその2〜3年後に新たな施設基準が要求され達成できないといったケースが生まれてくると予想されます。水道施設や水質検査機器は数年から数十年の減価償却期間を設けていますが、検査方法や浄水処理の逐次改正は、耐用年数前の機器の更新あるいは施設の改修頻度が増加する懸念が生じます。これは水道行政を財政的に圧迫するおそれがあるため、場(末端)の水道事業体でどのような整備がなされているかを十分に把握、考慮の上、ご検討がなされるよう要望いたします。
223 (3)農薬の取扱い
■理由
 農薬の使用状況の調査について現実的に困難が予想されるため。また(案)の中でp20の4行目以降で述べられている「測定を行う農薬については、・・・資することとした。」で水道事業体独自で調査選定することは困難が予想されることから検出される可能性の高い農薬をリストアップしたとあり、p87の中段「農薬類については・・・すべきである。」ではリストから集水域で使用される可能性のあるものを選定しとあり、結論的にはリス全部を測定するのか調査して選定したものを測定してもよいのか判断に困惑しているため
■意見
 調査して選定したものを測定してもよいのであれば、農薬の使用状況の調査について法律的にバックアップはあるのでしょうか。農協など農薬を販売目的で売買している事業者は何をどれだけどの地域に売ったのかなどの情報はなかなか開示しないのが現実です。この情報をスムーズに開示していただけるような法整備は行われるのでしょうか。行われない場合、情報を得ることは非常に難しくなることが予想されます。一度、そのような調査を行ったことがありますが、ご協力いただけた事業者は1社もありませんでした。よって調査して選定したものを測定してもよいのであれば、農薬の使用状況を簡単に把握できる法整備を強く要望いたします。
224 (1)クリプトスポリジウム等による汚染のおそれの判断
■理由
 クリプトスポリジウム暫定対策指針における汚染の恐れの判断について混乱していることから
■意見
 指針自体は法制化と共に廃止ということになるとのことですが基準施行後(法制化と同時なのかもしれませんが)、クリプトスポリジウム暫定対策指針においての汚染の恐れの判断「大腸菌群が検出されたことがある場合」は「大腸菌が検出されたことがある場合」に読み替えるようになるのでしょうか。大腸菌群に糞便汚染の指標としての役割が低いと考えるのであればこれについても変更が必要になってくるのではないでしょうか。
225 VII. 水質検査のためのサンプリング・評価
1.採水地点及び地点数
■理由
 需要家からのご意見で、需要家の近隣で水質検査をしていなければ不安であるとのご意見から
■意見
 「配水系統ごとに1地点以上選定すること」となっていますが、サンプリング数が少ないのではないでしょうか。配水系統ごとですと、一つの配水系統で人口が50万人以上のところも1万人満たないところも1地点でよいということになりえます。また、配水量が多い少ないも関係なく、1地点でよいということになりえます。給水人口xx万人ごとにxx地点追加や配水量xxm3ごとにxx地点追加などのサンプリング数に関しての規制は必要だと思います。
226 2.検査頻度
■理由
 需要家からご理解を得ることが難しいと予測され、自己(共同)検査体制を築いた水道事業体に対し、財政的に非常に不利であるため
■意見
 「水道法が制定されて以来約50年の実績から、毎月1回の検査を行えば大きな問題は生じないという経験則を有している。」とありますが、今や水道水源の汚染、テロ、犯罪による水源に対する毒物投入も考えられ、いつ何が起きてもおかしくない時代です。
今のような水源汚染も少なく給水人口が増えていない50年前や犯罪の少なかった20年前ものデータによる経験則では、需要家からご理解を得ることが難しいと予測されます。毎月1回の検査でも、31日分のうちの1日のさらにたった5分程度の採水の水でしか検査をしないということです。安全のための水質検査だけではなく、品質保証という意味を含めればさらに多くの検査頻度が必要になるはずです。 各水道事業体は水道管の更新などこれから先、苦しい財政の中で最低限の項目しか実施しない事業体が増えると予測され、さらに年1回、3年に1回で良いという項目は、各水道事業体の機器整備を遅らせることになると思います。3年に1回の割合で分析を行う機器のメンテナンス費用、カラム等の消耗品費用の方が、委託分析に比べて莫大に費用がかさむことから、最悪のシナリオとしてようやく伸びてきた自己(共同)検査体制を築いた水道事業体が撤退という結果になることも予測されます。頻度が余りにも少ないと作業を忘れてしまう可能性もあり、作業効率の低下や人事異動して実際には誰も分析をしたことがないということにもなりかねません。たった3年に1回の分析のために精度管理をすると分析をするよりも、負荷がかかると思います。さらに、3年に1回を検査頻度とするとメンテナンスは該当年度にしか行わないであろうし、その時まで薬品は保有しないと考えられるため、急な事故などの分析はできなくなると思います。 これらのことから水道行政が円滑に遂行されるよう、検査頻度を見直していただくよう要望いたします。
227 (1)毎月1回の検査が必要な項目
(2)その他の項目
■理由
 p60(4)b「新たな汚染の恐れが生じた場合」はどのようなものを想定したものなのか捉えにくいため
■意見
 これは外部からの情報など事故や異常であることの事象が目に見えて発生した場合を想定しているのでしょうか。外部からは見えないような汚染の場合、水質検査を省略しきっていて数項目しか検査していない状態ではその変化は見出せないのではないでしょうか。(これも確率論で極めて少ないであろうことから想定外とのことなのでしょうか。)現状かそれ以上の数の採水地点及び検査回数を要望いたします。
228 (3)検査省略項目
■理由
 水質検査項目の省略指針と本文p58,59,60,65のものと異なっているように思え、混乱するため
■意見
 水質検査項目の省略指針には「水質検査を省略することのできない項目」(月1回)が21項目あり、(案)本文p58,59,60,65では月1回、年4回、年1回、3年1回と細かく省略についての規定があり、異なっているように思え、大変混乱します。省略指針の「水質検査を省略することのできない項目」は年4回、年1回、3年1回までは省略できず月1回必ず行うことと理解してよろしいのでしょうか。それによっては全項目を自己検査しているところなどでは機器整備などの都合上、非常に重要なファクターとなります。月1回必ず行うこととなれば、機器整備も考えられますが、将来的にも年4回、年1回、3年1回まで省略可能ならば、整備しないところも多くなり(検査の外部委託が進行)、水道行政全体の水質検査体制が手薄になる可能性は十分ありえると考えます。中小規模の水道事業体にとっては非常に危機感を感じます。さて項目の省略と検査頻度は相俟って成立するものと理解していますが、省略指針には省略することができるかできないかだけではなく、どの程度まで省略できるのかまでを整理(本文のものを整理した形での指針と)すべきではないでしょうか。混乱しないよう一つにまとめていただくよう要望いたします。
229 別紙3 水質検査方法案
1.一斉分析法
■理由
 水道行政を円滑に遂行するためには可能な限り現行の設備にて対応することが財政的にも有利となるため
■意見
 現行の水質基準の検査方法として溶媒抽出−ガスクロマトグラフ(電子捕獲型検出器)法はフタル酸ジエチルヘキシル、ホルムアルデヒド、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロアセトニトリル、抱水クロラールの6項目に採用されていますが、この度の(案)ですべて削除されていることについては、この方法に水道水及び原水をサンプルとする検査方法としてどのような方法論的欠陥なり限界があるのか見解をお示しください。現行試験法と前処理がほとんど変更されていないこの度の見直しにおいて、溶媒抽出−ガスクロマトグラフ質量法に移行される背景をお示しください。溶媒抽出−ガスクロマトグラフ(電子捕獲型検出器)法は、検出器が放射線源を用いているので管理面等の問題はあると思われますが、水質検査方法の基本的考え方の原則に定量下限値として基準値の1/10以下の値が得られ、精度の高い方法であるなどの条件を満たす方法が複数ある場合には、可能な限り多くの方法を提示することとなっております。溶媒抽出−ガスクロマトグラフ(電子捕獲型検出器)法は条件を満たしていると考えられます。
 すでに整備が進んでいる機器に関しては再考して頂くことを要望します。結論として、溶媒抽出−ガスクロマトグラフ(電子捕獲型検出器)法を現在使用している場合は引き続き採用できるよう要望いたします。
230 2.個別分析法
 基01 一般細菌
 基02 大腸菌
■理由
 培地が高価なため可能な限り使用量を減らしたいため
■意見
 検水量100mlとした背景をお示しください。
231  基05 水銀
 基06 セレン
 基08 ひ素
 基09 シアン
■理由
 現在、シアン・陰イオン界面活性剤・フェノール類の検査法は吸光光度法を採用することにより3項目一斉分析方式で実績と実効をあげています。しかし、吸光光度法が排除された場合一斉分析方式も排除されることとなり業務遂行は混乱と非効率をきたすことになります。万が一、原水へのシアンやフェノール類の流出事故が発生したとしても吸光光度法による連続流れ分析法では一斉方式ではなく容易に設定が変えられることにより、単独測定モードに変更すれば時間当たり60サンプルを上回る高速測定、フェノール類なら単独測定モードで時間当たり60サンプルの高速モードで対応可能であり、リスク管理の一側面を補完できる貴重な検査法であることを申し添えたいと思います。また、この一斉分析方式システムは水質検査全項目実施可能な約400施設のうち100を超える施設ですでに稼働中と聞いておりますし、メチレンブルー吸光光度法においては、クロロホルムを用いない方法も検討されているとの話も聞きます。さらに水道行政を円滑に遂行するためには可能な限り現行の設備にて対応することが財政的にも有利であると考えます。
■意見
 現行6項目から吸光光度法がすべて排除されていることについては、水質検査法基本的考え方の原則の(4)ベンゼンなどの有害物質を極力使用しない方法であること、という項目を満たさないという理由から排除されたと考えられますが、以下の方法は考え方の原則(1)〜(7)をすべて満たすと考えられます。 3項目一斉分析方式は、シアン・フェノール・陰イオン界面活性剤共に、定量下限値として基準値の1/10以下の値が得られ、精度も高い方法(基準値の1/10付近においてCV10%以内)であります。有害物質の使用ということでは、シアンは使用しませんし、フェノール類も連続流れ分析法なら分析工程においてサンプルのクロロホルムによる抽出/濃縮工程も不要です。また、陰イオン界面活性剤においては、クロロホルムの使用量は、用手法に比較して使用量は1/10に削減されており、なお分析工程と回収工程は密閉系で構成されているので有害物質を極力しないという項目を満たしていると考えてよいのではないかと思います。これらのことから、吸光光度法による3項目一斉分析は、基本的原則を全て満たしていると考えられます。結論として上記3項目の吸光光度法は一斉分析法として、水道行政を円滑に遂行する上でも引き続き採用されますよう要望いたします。
232 基39 陰イオン界面活性剤
■理由
販売量から推測される環境への放出量に対する回収率の低下が懸念され、本来の陰イオン界面活性剤としての評価ができないことが予測されるため
■意見
試料:経済産業省鉱工業動態統計室、作表:日本石鹸洗剤工業会(案)では、陰イオン界面活性剤はHPLC法(LASのみ測定可能)により測定となりますが、上記の表をみると2001年陰イオン界面活性剤販売量(303,767トン)のうちHPLC法で測定できるものはアルキル(アリル)スルホネートのみ(80,249トン)となり、同じ割合で環境中に放出されたと想定すると全体の約1/4程度しか回収できないことになります。1/4程度しか把握しないことから基準項目として陰イオン界面活性剤が検出されなくても、発泡が起こることが懸念されます。吸光光度法ならば、メチレンブルー活性をもつ陰イオン界面活性剤すべてを測定することができるため、発泡の観点から基準化された項目本来の持つ意味をフォローできるのではないでしょうか。結論としてシアン・フェノール類と同様、吸光光度法は一斉分析法として、水道行政を円滑に遂行する上でも引き続き採用されますよう要望いたします。
233 ■理由
 需要家からの問い合わせに返答できなかったため
■意見
 トリハロメタンを代表とするVOCsのシャワー時(入浴時)の寄与率は評価(計算)されているのでしょうか。シャワー時(入浴時)に水道水中のVOCsがどの程度揮発するかや、換気扇を使用するしないにもよると思いますが、その気体として人体(肺)に取り込まれる量はどの程度なのでしょうか。それともこのような場合は、アロケーションは空気からの暴露で評価されているのでしょうか。もし上記評価が必要ない理由などありましたらお示しください。またトリハロメタンは寄与率が20%となっていすが、その他のVOCsは10%になっています。トリハロの20%は消毒副生成物であり他の事象に比べ、暴露が多いであろうことからそうなったと理解して問題ないでしょうか。
234 ■理由
 需要家からの問い合わせに返答できなかったため
■意見
 非イオン界面活性剤おいて発泡観点からではなく健康影響での評価はなされたのでしょうか。性状項目に位置しているということは利用上あるいは管理上の基準値で、単に利用上の評価しかしていないのかそれとも健康影響評価がなされていて健康影響についての評価値はその基準値より上にあるとしたものなのかどちらでしょうか。環境ホルモンとして疑いがあることから需要家が心配しております。
235 ある製品における品質管理にかかるコストは製品単価の何%くらいが妥当か?
共同検査体制における国庫補助事業は現存(新規機種のみ)
236 H15.4.11 64 大阪府水道部
服部和夫
1.臭素酸について
意見:臭素酸については、水道水への規制と併せて水道水源での検出実態を踏まえ、環境基準や排水基準の設定など、公共用水域の水質保全施策も講じられるよう要望する。
根拠:
(1) 大阪府による、淀川水系での臭素酸濃度実態調査結果によると、淀川水そのものに最大で1μg/Lの臭素酸が検出されている。また、淀川に流入する支川では最大で8μg/L、また下水処理場放流水に最大9μg/Lが検出されている。(大阪府水道部水質年報。第42集、平成13年度)
(2) このような検出実態は水道水への規制とあわせて、製造・使用の禁止を含めた排水基準や環境基準での対応が必要であることを示している。
237 2.塩素酸について
意見:毒性が低い塩素酸については水質管理目標設定項目(案)から削除し、将来的な検討項目の一つとして位置付けされるよう要望する。
根拠:
WHOによる評価WHO改訂第3版(Chemical draft 2003/19))によると、(1) 動物を使用した毒性実験において、塩素酸のNOAELは30mg/kg/日(90日間の短期間実験)、亜塩素酸のそれは2.9mg/kg/日である(2世代にわたる影響実験)とし、塩素酸の毒性は亜塩素酸の1/10である。(2) また、12週間のボランティア実験では、亜塩素酸については確実な影響が発現したが、塩素酸については明らかな毒性影響は認められなかった(3) このような点より、現時点で塩素酸の評価値を設定するには研究データが不十分ではないかと考えられる。
238 新たな水処理技術の導入(二酸化塩素処理への期待)
(1) 高度浄水処理ではオゾン酸化と粒状活性炭処理によりマンガンを除去しているが、確実なマンガン処理を確保するためには溶存オゾン濃度として0.2mg/Lを確保する必要がある。しかし、臭素酸が生成するために、夏季の高水温時に臭素酸を10μg/L以下に管理するためには溶存オゾン濃度を0.1mg/L以下に制御する必要がある。
(2) 二酸化塩素処理に関する実証実験を行った結果、マンガンは沈殿操作までで完全に除去し得ることが分かった。さらに、高効率浄水技術開発研究(ACT 21)では、原水への二酸化塩素の注入は臭素酸の生成を1/10に低減し得ることを報告している。
(3) 二酸化塩素はこのように優れた水処理性能を持つが、注入された二酸化塩素の70%が塩素酸に変化するために、提案されている設定値(0.6mg/L)では注入率は最大でも1mg/L以下に抑制しなくてはならない。ところが、マンガン対策には少なくとも2mg/Lの注入が必要であることが実験により指摘されている。この場合、塩素酸は1.4mg/L生成する。
(4) 二酸化塩素処理への期待と新たな導入を考慮した技術開発実験への取り組みに対して、今回の塩素酸の規制(0.6mg/L)はその導入機会を著しく制限するものである。
239 3 発ガン性のおそれのある物質の規制に関する考え方
意見:発ガン性のおそれがある物質については年間平均値に基づく規制が妥当であると考える。
根拠:
(1) 発ガンは長期間摂取に関わる問題であり、基準値を超過したからといって直ちに影響が発現するものではない。この観点から、超過を規制するその他項目とは同列に議論することはできないと考える。
240 4.意見聴取への配慮
意見:水質管理専門委員会には水道事業者の代表が委員として参画していないことから、水道事業者の意見を十分考慮した上で最終結論をまとめていただきたい。また、今後は審議過程において水道事業者の意見もできるだけ反映いただけるよう、審議委員に水道事業者を選定されるよう要望する。根拠:(1) 水質基準の制定には、技術論的・財政的対応性の検証が必要である。
(2) 技術論的・財政的制約をクリヤーして導入した浄水処理方式(高度浄水処理)に対して、臭素酸のように新たな規制をかける結果となっている。(3) 臭素酸問題をクリヤーする目的で二酸化塩素処理技術を新たに検討しようとしたが、毒性の弱い塩素酸について規制がかけられており、二酸化塩素の導入機会を著しく制限する結果となっている。
241 臭素酸生成が問題となっているオゾン処理の必要性
(1) 水道水のおいしさを確保するためにはオゾン処理が不可欠である。
かつて琵琶湖で発生するかび臭により、水道水がかび臭くなり、水道離れを引き起こすと共に、社会的問題にまでなった。これに対して、大阪府水道部は全力を挙げてオゾンと活性炭による高度浄水処理の技術開発に取り組み、巨額の投資をして施設整備に取り組み、かび臭がなくなり、不評・不安が解消してきている。
(2) 色度の無い利便性の高い水道水を供給するためにもオゾン処理は不可欠である。
色度の原因となるマンガンについてもオゾンと粒状活性炭処理により除去しており、確実にマンガンを除去して色度のない水を供給するためには、溶存オゾン濃度として0.2mg/Lを確保する必要がある。
(3) 低廉な水道水を供給するためにもオゾン処理は不可欠である。
水道事業においては、効率的な浄水処理が求められている。オゾンを注入することによって、高価な粒状活性炭の寿命を長持ちさせることができ、低廉な水道水のためにもオゾン注入が不可欠である。(大阪府水道部の実験ではオゾン注入によって粒状活性炭の寿命が約1.5倍に延びた)
242 5 大腸菌試験法
意見:特定基質酵素法の試薬廃液処理を提示されたい。また、試験法の中で、例えば「MMO-MUG培地の製作で、粉末試薬を無菌的に混合する」となっているが、この点について「市販の滅菌済みMMO-MUG培地の使用も可能」と表現されたい。
根拠:
(1) 特定基質酵素法には高濃度でフェノールを含有している試薬を使用している。
(2) クローズドシステムを採用している浄水場では、滅菌後の廃液が原水に返送されるので、想定外のフェノール負荷が発生するおそれがある。
(3) 「粉末試薬を無菌的に混合する」操作は大学等の研究室レベルでの操作であり、日常的な水質管理を行っている現場試験法としては現実的ではない。
243 H15.4.11 65 西宮市水道局施設部 水質試験所長
米家正朗
要望1 カビ臭物質の基準値について
 基準値10ng/Lは厳しすぎるので20ng/Lに緩和するよう要望します。又水質管理目標設定項目の方に設定されるよう要望します。
(理由)本市では高度処理がまだ出来ていないため、カビ臭発生時には10ng/Lを目標に粉末活性炭処理を行い、目標を達成できない場合には取水量を減らすか取水停止により対処してきました。しかし代替水源が確保出来ない場合もあり10ng/Lを越えることが十分考えら、即水質基準違反となります。それを回避するため、現行の快適水質項目の目標値の値と、水質管理目標設定項目の方に設定されることを要望します。
244 要望2 アルミニウムの基準値について
 水質管理目標設定項目の方に設定されるよう要望します。
(理由)本市では硫酸ばんどの過剰注入法によりフッ素除去を行なっております。アルミニウムは通常の状態では十分下回っておりますが、冬季の低水温時では一時的に超えることが考えられます。フッ素除去をしなければ給水不能になることも考えられますので、アルミニウムについては水質管理目標設定項目に設定を要望するものです。
245 要望3 農薬類の測定について
 測定の優先順位を示してください。
(理由)今回の101項目については全てを実施することは不可能です。地域ごとに使用されている農薬の情報(使用量、使用時期)を公表し、測定項目の取捨選択の方法や優先順位の決定方法を示してほしい。
246 要望4 鉛に係る採水について
 従来の採水方法を要望します。給水栓水での採水が1試料採水するのに25分以上かかり、通常の検査にはなじみません。又、一般家庭で試料水を頂いている関係上、捨て水や待機時間に対する違和感がありますので、従来方法を要望します。なお、新しい採水方法は使用者から鉛溶出検査の依頼を受けた場合に適用することは可能です。
247 要望1.金属類の分析方法としてフレーム型原子吸光光度計を公定法として残して下さい。
(理由)フレーム型は機器の安定に要する手間が少なく、扱いが簡単である。(フレームレスはベースラインの安定に時間がかかる)検量線の直線性が良く、かつ広い。検出感度も十分ある。
 以上、金属の種類(特に鉄やマンガン)や測定頻度によりフレーム型の原子吸光光度計の方が便利です。
 鉄・マンガンの多い地下水を水源とする本市では、原水と浄水がフレーム型原子吸光光度計の同じ条件で測定でき、時間の短縮になっております。
248 要望2.陰イオン界面活性剤及びフェノール類の測定方法に吸光光度法を公定法として残して下さい。
(理由)抽出溶媒としてクロロホルムが使われているので、分析者の人体に対する悪影響を考慮、併せて分析者による測定値のばらつきの解消、精度向上のために、オートアナライザー(現公定法に準拠した吸光光度法を使った自動分析装置)を使用しています。即応性、安全性にすぐれ、陰イオン界面活性剤は0.02mg/L、フェノール類は0.005mg/Lまで十分測定できております。吸光光度法を用いたオートアナライザーについては、これまで種々改善され安定した分析法として確立されており、是非公定法として残すことを要望します。
249 3 クリプトスポリジウム対策について
要望1.浄水場のクリプト対策を水道法22条に基づく措置とすることについて、その施行にあたっては、十分な猶予期間をお願いいたします。
(理由).本市には浅井戸を水源とし、原水の鉄・マンガンを接触酸化処理で除去し、塩素消毒で配水している浄水場系統が2箇所あります。暫定指針に基づき、原水(6本)は月1回大腸菌とウェルシュ菌の検査と年1回のクリプトスポリジウムの検査を行い、浄水(2系統)についても年1回のクリプトスポリジウムの検査を行っています。いずれも不検出であり良好な状態を保っております。新たな浄水処理に向けては早急に対処が求められていますが、浄水場のリニューアル(1浄水場を廃止、水源を統合して凝集沈殿又は膜処理)を検討しているところです。その完成までには約10年を要します。
250 H15.4.11 66 社団法人 関西環境開発センター  水道法34条指定検査機関として、昭和54年から大阪府において法定検査業務を実施してきました。今年度から登録機関による検査へ移行するとの予定になっていますが、それについての意見を述べたいと思います。従来から本検査制度は衛生行政を事務代行するとの立場から規制緩和には不向きであるとの意見が出されていました。しかしながら系統ごとの均一料金体系や検査頻度、建築基準法やビル管理法との整合性の問題などいくつかの懸案事項が存在していたのも確かです。一方、同検査担当地域において長期間、保健所などと緊密な連携体系のもとに検査実施することによって受険率の向上と公衆衛生の改善に寄与してきたのも事実です。また、検査項目の適否の判断基準の多くは水質分析等のように数値で表現できないため、精度の信頼性確保するうえで、大阪府では検査機関連絡協議会を設置し、当会において技術委員会や研修会を定期的に開催しています。そこで検査員の資質、技術レベルの向上と検査項目の判断基準の詳細な検討を重ねてきています。よって簡易専用水道の設置者と保健行政と検査機関との間には何ら利害関係が生じることはなく、簡易専用水道の設置者や管理者にはそれに基づく適正な助言をし、公正な検査判定が下されてきたものと考えます。今後、公益法人に限定しない登録検査機関体制で検査が実施されるのであれば、従来の検査精度が維持されていくのか疑問が残りますし、全国レベルで考えた場合にさらにバラツキが存在するのではと危惧されます。営利目的の自主点検とかわらないような検査が横行しないよう、国や都道府県による厳しい監視体制が望まれますし、貯水槽水道の利用者が安全で衛生的な水を利用する権利が後退するような制度改革であってはならないよう願っています
251 H15.4.11 67 東大阪市水道局配水管理センター 1.標記見直し案は全体的に本市のような水質検査担当者4名という、中小事業体の立場に理解を示された内容となっており、特にVII.水質検査のためのサンプリング・評価での(5)「水道用水供給事業者においては採水地点として受水団体への受け渡し地点を含めること」とされたことで、基準項目50項目への増加、測定方法の変更にもかかわらず、新たに水質分析機器の購入や委託検査項目の増大というような大きな負担にならないで済むため実施しやすいと考えています。
252 2.有機物質の測定はTOCに変更になりますが、現行基準の2/10を超えないような原水の場合、年一回の全項目測定時はTOCで測定し(実際は外部に測定委託する)、毎月検査を過マンガン酸カり消費量法での現行の11回(全項目時省略)をTOC測定時も行う12回とし、基準の2/10を超えないことを確認するとしたい。本市の場合、給水栓水測定個所は7箇所あり、配水場出口の測定も行うことを考慮すると、TOC計では時間がかかりすぎる恐れもある。(対案)有機物質の測定はTOC(基準5mg/L)とする。ただし、原水水質及び給水栓でともに基準の2/10を超えない場合は毎月の検査をTOCに代えて、過マンガン酸カリ消費量で測定し、この数値も旧基準(10mg/L)の2/10を超えないことを確認することを認める。
253 意見1 検査機関による検査の登録事項のうち、「検査を行う区域」に関して、政令又は省令等の規定により、大阪府域においては、現行の検査機関による検査対象区域(4ブロック)の1ブロック区域以上の区域を最小検査対象区域とするとの規定を設けていただきたい。検査ブロックの設定については、各府県により状況が異なるので各府県の考えを聞いていただきたい。
 また、検査が公平・公正かつ確実に行われるための手数料が設定されているか審査される必要があり、最低検査手数料が示される必要があると考えます。
(意見の説明)
 検査の効率性(検査件数/日が限りなく大きくする)が追求された場合、単位面積あたりの対象施設数が多い区域(大規模な都市中心部、一市内であっても市の中心部の区域のみ)を対象区域として登録申請され、都市周辺部が検査機関による検査区域とならない(空白区域)場合などが想定されます。
 これら検査機関の登録のない都市周辺部においては、地方公共団体(保健所)に依頼されることにならざるを得ないと思われますが、大阪府域においては、対象施設の設置件数から判断して、保健所では数多くの他業務を兼務している状況や、このための人員増は厳しい財政状況からは考えられず、とても対応でない。
大阪府においては、簡易専用水道の規制開始(昭和53年)に際して、設置施設数が多く「地方公共団体の機関のみでは検査の需要に対応できないおそれがある」ことから、大阪府域を4ブロックに分割し、1ブッロクごとに公益法人による検査機関が1機関ずつ指定を受け検査ができるよう体制づくりが行われてきた経緯があります。
 今回の登録制への移行に際しては、大阪府域においては、現行の1ブッロクを最小の「検査対象区域」として登録がなされるよう政・省令とうによる規定を設けていただきたい。
 一方、登録検査機関が複数登録されると想定される都市部においては、複数の検査機関による競争原理が働き、低料金・低収入、ひいては検査精度の低下につながるのではないかと懸念されます。
法に基づく公平・公正かつ確実な検査が行われる必要があることから、現行では公益法人が指定を受けて行われていますが、検査手数料の自由化は複数の検査機関による手数料の値下げ競争につながり、ひいては検査精度の低下、衛生行政との緊密な連携がそこなわれるおそれがあります。
現行の公益法人による定期検査手数料は、検査業務に要する経費等を基に算出された検査手数料が設定されているとものと思われますが、検査が公平・公正かつ確実に行われるための手数料が設定されているか審査される必要があり、最低検査手数料が示される必要があると考えます。公平・公正・確実な検査が行われるための「最低検査手数料」が示される必要があると考えます。
254 意見2 検査機関による検査結果は、設置者に対しての助言のほか、改善指導権限のある衛生行政に対しても報告するよう規定すべきである。
(意見の説明)
(1)p82「簡易専用水道の管理の検査方法(案)7.検査後の措置の(1)の(2)」に関して
○「検査を行った結果、衛生上問題があると認められた場合には、設置者に対して次に掲げる事項について助言を行うこと。
 ア 直ちに立入検査、改善命令等の行政権限を有する者にその旨を報告すること。
 イ 速やかに対策を講じること。」
と、検査結果は設置者のみに行われ、衛生上問題がある場合にも、設置者を通じて衛生行政に報告されることになっています。
衛生上問題がある場合の衛生行政への通報に関しては、「水道法第34条の2第2項の検査の方法等について(昭和53年6月5日衛水第63号 改正昭和61年10月30日衛水第205号)」において「8 検査後の措置の(二) 検査を行った結果、衛生上問題があると認められ他場合は、直ちに立ち入り検査、改善命令等の行政権限を有する者にその旨に通報するとともに、設置者に対しても速やかに対策を講じるよう助言すること。」とされており、本通知の前文において、「……左記により取り行うこと行うこととしたので、これが円滑な運用に格段のご協力をお願いする。」とされており、衛生行政への通報されることになっている。
大阪府では、本通知を受けて、4検査機関と協議調整を行い、各検査項目の検査結果の判定において「衛生上問題がある等」のレベルを「適:判定1」、「概ね適:判定2」「不適:判定3」「不適:判定3のうち衛生行政への<速やかな通報を行う>」と設定し、各検査機関から検査結果報告を受け、設置者への衛生行政からの改善指導を行っています。
特に、「速やかな改善が必要な<速やかに通報がなされる不適>」事項については、検査直後に電話、FAX等により衛生行政(保健所)に対して、通報される体制となっています。
 衛生行政(保健所)ではこの通報を基に、直ちに立入検査を実施し、設置者(管理者)に対して、不適事項の速やかな改善を行うよう指導を行い、簡易専用水道施設の管理不備・水質の悪化による利用者の健康が阻害の未然防止につとめています。
 このため、検査機関から衛生行政への検査結果の報告の規定が必要です。
 衛生行政として、定期検査の受検状況や受検結果を把握しておく必要があります。
 衛生行政と検査機関との密接な連携による衛生確保の推進は今後とも維持できるような検査体制が必要です。
255 意見3 p76「管理の現況」の受検率「85%程度にとどまっている」について 受検率100%はあり得ない。 対象施設の適正管理の指導啓発のためには施設の所在状況の正確な把握が必要であり、都道府県等(衛生行政)への設置者からの届出制度が必要です。併せて、検査機関からの検査結果の報告制度も必要です。
(意見の説明)
 85%が決して高くはなく、「……1年以内ごとに1回、定期に、……検査を受けなければならない。」の法の規定から100%受検されるべきと考えるが、設置者の判断として「1年以内ごとに」の規定からは、「例えば、6月1日に設置・使用を開始した場合には、水道法上、翌年の5月31日までに受検する義務があることから、設置直後に受検することはなく、通常1年経過する直前の時期に受検される場合が多い。受検率は、(受検施設数/総設置施設数)から算出されるため、翌年に受検する施設は当該年度の受検率に反映されないため、受検率100%はあり得ない。ちなみ大阪府所管施設で見ると、毎年3%程度の新規施設の届出(府要領に基づく)があります。また、小規模貯水槽水道(受水槽有効容量10立米以下)の施設については水道法上、定期検査の受検義務はないことから、この施設に関しての受検率は議論できないことと考えます。
256 意見1 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素における検査頻度に関しての記載に矛盾があります。
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素に関する検査頻度については、統一して省略可能項目として記載するべきではないでしょか。
○硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の検査頻度については、「水質基準の見直し等について(案)」中の「VII.水質検査のためのサンプリング・評価2検査頻度(1)毎月1回の検査が必要な項目(59P)」の項で、「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については、これまでの原水及び浄水の検査データからみれば、その変動はあまり大きくなく、病原微生物汚染の指標的性格は薄いものと考えられ、他の健康に関する項目と同等の扱いをしてよいものと考えられる。」と記載されており、(65p)の「別表 定期水質検査における採水地点及び検査頻度」においても、一定の要件を満たす場合には、検査頻度を減らすことが可能な項目として位置付けている。
○一方、「【別紙1】水質基準等の改正案」中の「1.水質基準(案)(3p)」における硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は、検査の省略が「不可」と記載されている。
○「【別紙2】水質検査項目の省略指針案」中の「1.水質検査を省略することのできない項目(9p)」として、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が記載されている。
○上記のように、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の検査頻度については、省略の可否について矛盾した記載がなされていると考えられる。
○「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については、これまでの原水及び浄水の検査データからみれば、その変動はあまり大きくなく、他の健康に関する項目と同等の扱いをしてよいものと考えられる。」との根拠があるのであれば、検査省略が可能な項目として統一して記載し、「不可」との記載を訂正が必要です。
257 意見2 水道事業者における「水質検査における制度と信頼性保証」については、水道事業者が実施するのが原則であるとの表現にするべきである。
○水質検査については、法第20条第1項で、水道事業者が行うことが原則であると記載されているにもかかわらず、今回の案(51P等)では、民間検査機関等第三者に委託すればよいと受け取れるような表現がなされていると思われる。
 基本は水道事業者の自主検査・自己判断であり、現時点では水道事業者による「水質検査の精度と信頼性保証の担保」がなされていないところが多いことを指摘するような表現にすべきと思います。
○民間の検査機関は、「工程管理や水質変動あるいは突発水質汚染等への対応には、全く経験がない機関の多いことに留意すべきであり、水道水質の危機管理に対応できない可能性が高い。(47P)」のであれば、水道事業者が自ら測定すべきとの基本方針を記載すべきと思います。
258 意見3 p65「別表」で性状項目のジェオスミン、2−MIBについて、送配システムでの濃度上昇があり得ないことから、給水栓に代えて浄水場出口等を採水場所選定できるのではないでしょうか。(「注)1」の表示)また、過去3カ年の検査結果により検査頻度は減らせるのではないでしょうか。(「注)2」の表示)
259 意見4 p65「別表」で浄水受水の水道については、『「給水栓」に代えて浄水場出口等送配水システムへの流入点において採水場所を選定することができる』の考え方にならって、用水供給が受水地点で検査している場合には、用水受水の水道での、注1)の項目は省略できるのではないでしょうか。
「p57 VII.水質検査のためのサンプリング・評価」関係について
意見5 「配水系統ごとに1地点ごとに1地点以上選定すること。この場合において、配水池も採水地点に含めることが望ましい。」について、
(1)「配水系統ごとに」検査の必要性についてもう少し詳しく説明願いたい。
(2)「配水池も採水地点含めることが望ましい。」について「望ましい」の意味は「検査しなさい」との思いを込めているのか、「どちらかというと検査しておいた方がよい」との意味合いなのか判断しかねますので、これについても、もう少し詳しく説明願いたい
260 H15.4.11 68 愛知県健康福祉部生活衛生課水道計画・管理グループ Q1:9ページのI.基本的考え方−3.逐次改正方法−(2) 地方公共団体による水質監視において、「水質基準設定の要否の検討」とあるが、具体的にはどのようなことか。
261 Q2:27ページのIII.化学物質に係る水質基準−3.検討対象化学物質の抽出方法−(3) 農薬−(1)において、「国内推定出荷量が上位30位」とあるが、国内推定出荷量を確認する方法を明示されたい。
262 Q3:【別紙2】水質検査項目の省略指針案において、「海水の淡水化を行う場合には、ほう素に係る水質検査を省略してはならない」とあるが、海水を淡水化していない場合は検査を省略してよいのか。
 また、ほう素について、65ページの注2)に「一定の要件を満たす場合には、年1回以上又は3年に1回以上に検査頻度を減らすことが可能」とあるが、「一定の要件を満たす場合」とはなにか。
263 Q4:同一河川から取水をしている上流と下流の水道事業者間で、水質検査を省略する項目及びその理由に差異が生じた場合、行政として支障をきたすおそれがあるため、現在の「水道水質管理計画の策定について」(平成4年12月21日付け衛水第269号水道環境部長通知)及び「水道水質管理計画の策定に当たっての留意事項について」(平成4年12月21日付け衛水第270号水道整備課長通知)に替わる「策定方法」を示されたい。
264 Q5:GLPについての導入時期はいつごろか、また、どのような方法か。
265 H15.4.11 69 豊中市水道局 I.効率的・合理的な水質検査について
1.農薬の分析項目の指定
水質管理目標設定項目である農薬について101種類の指定がなされているが、その地域で使用されていない農薬についてまで分析を行うことは、中規模水道事業体において人的にも金銭的にもかなりの負担が見込まれ、費用負担の発生が考えられる水道使用者からの理解は得がたいと考える。そのため、農薬の使用状況が把握できる農林水産省や都道府県の農林関係部局、農協等からの情報提供ルートを確立し、水系毎及び取水点を考慮した農薬の分析項目を季節や年度ごとに指定して欲しい。
266 II.検査方法について
1.鉄分析に吸光光度法を併記
1,10−フェナントロリンによる吸光光度法は、現在の基準濃度における分析では、コスト的にまた時間的に有用であると考えるので、併記をお願いしたい。
267 2.鉄分析にICP−MS法を追加
無機物(金属等)の分析方法において、水銀は仕方がないにしても鉄の分析にICP−MS法を導入すると、ほぼICとICP−MSでの一斉分析が可能である。装置の改良により、現在の基準レベルではICP−MSでの鉄の分析は可能であると考えるし、中規模水道事業体ではFAASかICPとICP−MSの2台を導入し維持することはコスト的にも時間的にも難しいと思われる。以上理由により、鉄分析法にICP−MS法を追加してほしい。
268 3.シアン分析に吸光光度法を併記
分析法がIC−PC法だけに限定されているが、暫定3年間使用可能である吸光光度法においても現在の基準濃度の分析では問題がないと考える。シアンの毒性を勘案すると、機器の立ち上げ時間がかかるIC−PC法だけでなく、迅速分析が可能な吸光光度法も併記した方が良いと考える。
269 4.硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素分析にUV検出器の使用を併記分析法がIC(陰イオン類)による一斉分析法で電気伝導度検出器使用となっているが、塩素濃度が高い場合に微量の亜硝酸性窒素の分離が難しいため、UV検出器の使用を併記してほしい。
硝酸性窒素の分析においても、選択性がよいUV検出器は有効であると考える。
270 5.臭素酸分析方法の検水濃度を変更
基準値が0.01mg/lに設定されているのに、検水濃度が0.0002ないし0.0005mg/lとなっている。現在の分析方法では、このレベルまでの微量分析は難しいと考えるため、もう少し検水濃度を上げた方が実務的であると考える。
271 6.IC(陽イオン類) による一斉分析法の溶離液にメタンスルホン酸の追加現在市販されているイオンクロマトグラフで、陽イオン類の溶離液にメタンスルホン酸を使用するものがあるので、追加をお願いしたい。
272 7.IC(陰イオン類)による一斉分析法のろ過を約0.2μmに変更IC分析法を利用する陽イオン類、シアン及び臭素酸において、試料をろ過するための器具として0.2μmのメンブランフィルターを使用することになっているが、陰イオン類の分析だけ0.45μmのメンブランフィルターを使用することになっている。陰イオン類と臭素酸を同時に分析するイオンクロマトグラフを使用している所もあるため、ICの試料のろ過は0.2μmに統一してほしい。
273 III.財政援助について1.分析機器導入に対する財政補助システムの確立水質基準改正の趣旨はよく理解できるものの、新基準の分析に対応するために新規分析機器の導入が必要不可欠となってくる。しかしながら、各水道事業体の現在の財政状況は非常に厳しいものがあり、高額な分析機器を導入することはかなりの財政負担となるため、国レベルでの財政補助のシステムを設けて欲しい。
274 H15.4.11 70 (社)大分県薬剤師会検査センター
検査一課 
宮川 昌孝
フェノール類・陰イオン界面活性剤の試験方法に従来の吸光光度法を残してほしい。
275 H15.4.11 71 大阪府箕面市
水道部浄水課
1.水質検査方法に現行の公定法を併記するべきである。
○水質検査方法の設定に当たっては、示されている単一の検査方法だけでなく、現行の方法を削除するのではなく、現行の検査方法に投資をしてきたことも勘案し、併用できるように配慮して欲しい。
○特に、フェノール類、陰イオン界面活性剤及びシアンの測定における「吸光光度法」が削除されると、新たな設備投資等の問題が出てくるので現行の公定法を残して欲しい。
○いずれにせよ改正するに当たっては、事前に各水道事業体の意見を十分聞く必要があると思われる。
276 2.採水地点及び地点数に配水池でなく、従来の浄水場の出口等送配水システムの流入点を採水地点に選定するのが望ましい。
○採水地点及び地点数については、給水栓を基本とし、配水系ごとに1地点以上選定することは合意できるが、配水池も採水地点に含めるのは、地点数が増加し、各水道事業体に相当の負担をかけることになる。よって従来の解釈のとおり配水池でなく、浄水場の出口等送配水システムの流入点を採水地点に選定するのが望ましいと思われる。
277 3.検査頻度を検討する上での一定の要件の解釈を明確にする必要がある。
○一定の要件を満たす場合に検査頻度を減らすことが出来るようになっているが、一定要件の過去3年間の検査結果というのは、新基準が実施されてから、3年間データを取ってからなのか、改正前の過去3年間のデータで判断するものか、その扱いが不明である。改正前の過去3年間のデータで判断する場合、年1回しか測定していない場合にそのデータで要件を満たしていると判断して良いのか。いずれにせよ一定要件の解釈を明確にする必要がある。
278 4.施行には適切な経過措置を設け、段階的な実施が必要である。
○供給する水の安全性を確保するために、全項目の検査を実施しているが、今回の改正により、業務量が増大するのはもとより、多くの時間と人数が必要となり、さらには設備投資が重なることで水道事業者の負担が増え、それが水道料金に跳ね返ることも考えて欲しい。そのため、施行には適切な経過措置を設け、段階的な実施が必要である。
279 5.分析機器導入に対する費用などに対する財政補助制度が必要である。
○総有機炭素(TOC)の測定機など、新たな設備を導入するのに費用が必要になるため、国が主体的な補助制度を導入する必要がある。
○精度管理と信頼性保証のシステムを構築するに当たっては、水道事業体の検査業務に大きな負担が生じるのはもとより、それに要する費用も出ることから財政補助制度の確立をして欲しい。なお、実施に当たっては水道事業体の意見を聞く必要がある。
280 6.鉛濃度検査のための試料採取方法案が、現状に即していない。
○鉛濃度検査のための試料採取方法案が、現状に即していない。一つは一カ所の採水地点で15分間以上かかるため、非効率的である。二つ目は、お客様の水を検査する場合、10L以上の水を使うことになり、さらに15分以上水の使用を控えてもらわなければならないことが起こる。
281 H15.4.11 71 大阪府箕面市
水道部浄水課
7.農薬の分析項目を指定すべきである。
○水質管理目標設定項目である農薬について101種類の指定がなされているが、農薬の使用状況が把握できる農林水産省や都道府県の農林関係部局、農協等からの情報提供ルートを確立し、各水道事業体に対し、水系ごと及び取水点を考慮した農薬の分析項目を指定することにより水道事業体の負担が軽減できるようにしていただきたい。
282 H15.4.11 72 兵庫県企業庁管理局
水道課利水調整係
片山、前川
「カビ臭物質について」
 2−MIB、ジェオスミンについては水道水の性状に係る項目であること、凝集沈殿・急速ろ過プロセスなどいわゆる高度浄水処理以外の方法では水源における局所的、突発的なカビ臭の発生に対する完璧な対応が極めて困難であることから、快適水質項目として運用するほうが現実的であると考えます。
283 H15.4.11 73 株式会社沖縄環境分析センター
化学環境室
富名腰 紀子
1. 水道法第20条第3項に規定する厚生大臣の指定を受ける際、水質基準項目(46項目)については、上水試験方法に記載されている方法にて、自社分析可能なことが条件となっていたようですが、今回の見直し(案)の中の基準項目(50項目)の分析法方では、装置が無い、カラムが無い、検出器が無い等の理由から、現時点で分析不可の項目がいくつか発生します。この場合指定機関としては見直し(案)が正式に施行されるまでに、自社にて分析が可能な状態にしなければならないのでしょうか?また、基準項目の中に自社分析が不可な項目がある場合、登録取り消し等の措置が考えられているのでしょうか?
284 2. 水質基準の変更はいつ頃になる予定ですか?それに伴って上水試験方法(2001年に改訂されたばかりですが)も更に改訂されるのでしょうか?
285 3. 見直し(案)に記載されていない分析方法は、今後上水試験方法から削除されるのでしょうか?
286 4. ICPの分析方法において、イットリウムの濃度が0.5mg/lとなっていますが、超音波ネブライザーを用いて分析を行った場合、発光強度が強すぎる為、この場合0.05mg/l程度が適当だと考えられますが、今回0.5mg/lのみに限定された理由があるのでしょうか?
287 5. 残留塩素の分析方法について、現在弊社では吸光法(DPD)を採用しており、正式な試薬を用いた吸光度計での測定と相関をとったうえで、簡易測定キットを用いて分析を行っている(上水試験方法の水質試験方法等調査専門委員会の委員の方に問い合わせし、助言を頂いた)が、今後もこの方法で問題はありませんか?
288 6. 大腸菌の分析方法について、見直し(案)では48時間後に判定することになっていますが、市販の試薬では24時間で判定のものがある。この様な培地を用いた場合は24時間後の判定で問題はありませんか?
289 7. ひ素の分析方法について、平成12年1〜2月に厚生省水道環境部水道整備課の行った予備調査で、ひ素をフレームレス−原子吸光光度法で分析を行いましたが、水素化物発生−原子吸光光度法と比較すると、ばらつきが大きくなりました。弊社ではD2補正の装置を使用していますが、ゼーマン補正の装置だと良い結果が得られるのでしょうか?
290 8. TOCの分析について、分析方法の中では明記されていませんが、TC(全炭素)−IC(無機体炭素)の方法と考えて良いですか?あらかじめ酸性化した試料を高純度空気で通気処理し、ICを除去したのちTCを測定する方法とどちらを採用してもかまわないのでしょうか?VOC(トリハロ)を含んでいるのでやはり前者が適切かとは思いますが。
291 9. 以下に示す試薬を探しきれないので、メーカー及び商品名の例を教えてください。
(1) ポリスチレン系粒子
(2) ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(3) トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(4) ペルオキシダーゼ酵素
(5) ドデシルベンゼンスルホン酸抗原
(6) 抗直鎖アルキルベンゼンスルホン酸抗体
(7) ツイーン20溶液
(8) ダルベッコリン酸緩衝生理食塩末
(9) 3,3’,5,5’-テトラメチルベンチジン
(10) 4-(2-ピリジアルアゾ)-レゾルシノール
(11) ヘプタオキシエチレンドデシルエーテル
(12) ウレアハイドロゲンペルオキサイド
(13) ヘプタオキシエチレンドデシルエーテル抗原
(14) 抗ポリオキシエチレンアルキルエーテル抗体
(15) ペンタフルオロベンジルブロマイド
(16) 18-クラウン-6-エーテル
292 新たに採用された分析方法で使用する試薬や装置を扱っている業者と分析機関を集めて、試薬や商品の説明会のようなものを行ってほしいです。又は、業者に水道法第20条第3項に規定する厚生大臣の指定機関を公開し、カタログを送付するようにしていただけると助かります。
293 H15.4.11 74 神奈川県内広域水道企業団
浄水部水質試験所
大谷喜一郎
1.水質基準値設定の有無について各項目ごとに明確にしてください。
 特に農薬は、その利用の多様性や特異性等から原水の汚染確率が非常に高く、他の水質基準に設定された項目と同程度以上の重要性があると考えます。また、101項目以外で使用実績のある農薬についての取り扱いの考え方及びADI値等を示してください。
294 2.クリプトスポリジウム暫定対策指針廃止について
 暫定対策指針に代わる「耐塩素性微生物対策」や「その法令の解説書」がどのようなものになるか明確に示されていませんが、ろ過設備があっても、過度な原水汚染があった場合や管理が十分でない場合には、漏出の可能性が考えられます。
 煮沸利用等の大規模水道が可能な対策も視野に入れてください。
295 3.水質基準50項目(案)には、健康影響項目と利便性項目が混在しておりますが、維持管理上の管理目標値等は異なるものと考えます。各項目ごとに、それぞれ評価方法等について明確に示してください。
296 H15.4.11 75 兵庫県生活衛生課
河野 義一
「IX.簡易専用水道の管理及び34条機関のあり方」
3.簡易専用水道の管理の徹底について
 (3) 登録制度のあり方
<79頁の下から7行目>
 登録制度は、これまでの検査の質を低下させることなく、簡易専用水道の管理の一層の充実に資するものでなくてはならない。(危惧される内容1)昭和53年6月5日付け環水第64号厚生省水道環境部長通知により、これまでの大臣指定検査機関が指定申請に際して添付していた検査実施予定地域の市町長同意書により、管轄市町長は管内の施設の検査実施機関が確実に検査を実施できるか確認することができ、且つ、空白区域が生じないように調整がなされてきましたが、今回の登録制度への移行により、申請地域が自由に選択されて、結果として空白区域が生じる可能性が出てくることになります。
 兵庫県ではこれまで、公益法人4機関が県下の政令市等を含み4区域で適正に検査業務がなされてきましたが、今後、空白区域が生じないような登録要件等の設定が望まれます。
⇒ 空白区域の生じないよう現在の区域設定を維持できるような措置をお願いしたい。出来れば、そのための管轄県又は政令市に対する事前協議を義務付けるような仕組みも必要ではないかと考えます。登録検査機関との連携も必要です。
 (危惧される内容2)登録検査機関が増加すれば、検査手数料の値下げ競争による検査の質の低下を招く恐れがあります。現在の指定検査機関による手数料については、指定申請の際に、積算根拠を明らかにした資料の提出が義務付けられており、公益法人として適正な手数料設定になっていると考えます。
⇒ そのため、検査の質の低下により、ユーザー側の衛生的な事故に伴う不利益が生じないよう、最低検査手数料等の設定が必要と考えます。今回の見直しにおいては、QA/QCを考慮したISO取得等が登録の要件に加わるということも考えられていますが、検査内容と手数料設定の外部監査を組み入れて検証するシステムが必要と考えます。(危惧される内容3)82頁「簡易専用水道の管理の検査の方法(案)」7.検査後の措置の(1)(2)についてですが、検査後の通報体制については、昭和53年6月5日付け衛水第63号厚生省水道環境部長通知に基づき、衛生上問題があると認められた場合には、直ちに立入検査、改善命令等の行政権限を有する者にその旨通報するとともに、設置者に対しても速やかに対策を講じるよう助言するとなっています。
⇒ 今回は大きく変わり、設置者が行政側に報告するよう助言するとなっていますが、これでは緊急を要する場合の措置が遅れ、大きな水質事故等を引き起こすおそれがあります。現行のシステムを踏襲するべきと考えます。
297 <意見2>
 VI.水質検査における精度と信頼性保障
<49頁の上から5行目>
 「水道事業者等は、必要な場合、水質検査を地方公共団体の機関又は指定検査機関に委託することができるが、こういった意味で、精度管理や信頼性保証に関する考え方を確認した上で委託していくことが重要である。」 この部分に関連して、兵庫県では現在、民間の指定検査機関の検査料金の値下げ競争が激化しており、精度管理上の問題が危惧されています。特に、中小の水道事業者にあっては、財政的にも人的な理由においても、自己検査能力を持つことは困難であるので、外部への委託が必然的に選択されています。 今回の見直しにおいて、登録制度への移行に伴い、GLPが何らかの形で導入されるようですが、例えば、国が実施されている外部精度管理の成績表を登録検査機関に委託しようとする水道事業者に開示するか、或いはランク付けを行い、その評価が開示されるようなシステムが必要と考えます。精度管理を実施して、例えば成績が悪くても、その後の改善措置がされており、現状は問題ないとの評価を精度管理実施機関(例えば、国)が行えば、大きな支障はないのではと考えます。何れにしても、市町等の水道事業者が安心して委託できるような登録検査機関個々の情報が必要と考えます。
298 H15.4.11 76 竹本雅之 「IX.簡易専用水道の管理及び34条機関のあり方」について
<指定検査機関制度についての認識>
 今回、検査機関の厚生労働大臣指定制から登録制へ移行するについては、「公益法人に対する行政の関与のあり方の改革実施計画」を受けて、水道法が改正されると説明されている。
 諸法の目指すところは「公共の福祉」であり、「公益法人の改革に関する法律」の施行により、現行の「水道法」の規定や施行が阻害される(後退する)ことがあってはならないし、また、阻害される(後退する)要素があればこれを排除する手だてが必要も考えておく必要があると考えます。
 水道法は人の健康に直接関わる飲用水に関わる施設管理や水質そのものに関して規定されているものであり、「指定制から登録制へ移行に関する法律」は水道法の目的を遂行するため手段方法論に関する法規定であると考えます。
 大阪府内においては、指定検査機関による検査結果により衛生行政の指導が必要な施設がスクリーニングされ、検査結果が衛生行政(保健所)に報告(通報)され、これを基に衛生行政による効率的な改善指導等が行われています。
 簡易専用水道の管理に関する規制開始以降、衛生行政と各検査機関こより長年の連絡・協議・調整が行われ今日の検査制度が維持・推進されてきていることを十分に認識していく必要があります。
 検査機関と衛生行政との連携により効率的に推進されている「定期検査」システムを維持こそすれ、後退させるべきではありません。
 今回の(提案)、あるいはすでに公開されている情報(厚生労働省ホームページ)からすると、簡易専用水道の適正管理に関する水道法規制開始以降(昭和53年)、検査機関との連携を密に推進されてきた簡易専用水道の検査及び適正管理に関する指導の体制・業務が弱体化することが懸念されます。以下に、具体的な懸念について、記述します。
意見1 検査機関による検査の登録事項のうち、「検査を行う区域」に関して、政令又は省令等の規定により、大阪府域においては、現行の検査機関による検査対象区域(4ブロック)の1ブロック区域以上の区域を最小検査対象区域とするとの規定を設けていただきたい。
 検査ブロックの設定については、各府県により状況が異なるので各府県の考えを聞いていただきたい。
 また、検査が公平・公正かつ確実に行われるための手数料が設定されているか審査される必要があり、最低検査手数料が示される必要があると考えます。
(意見の説明)
 検査の効率性(検査件数/日が限りなく大きくする)が追求された場合、単位面積あたりの対象施設数が多い区域(大規模な都市中心部、一市内であっても市の中心部の区域のみ)を対象区域として登録申請され、都市周辺部が検査機関による検査区域とならない(空白区域)場合などが想定されます。
 これら検査機関の登録のない都市周辺部においては、地方公共団体(保健所)に依頼されることにならざるを得ないと思われますが、大阪府域においては、対象施設の設置件数から判断して、保健所では数多くの他業務を兼務している状況や、このための人員増は厳しい財政状況からは考えられず、とても対応でない。
大阪府においては、簡易専用水道の規制開始(昭和53年)に際して、設置施設数が多く「地方公共団体の機関のみでは検査の需要に対応できないおそれがある」ことから、大阪府域を4ブロックに分割し、1ブッロクごとに公益法人による検査機関が1機関ずつ指定を受け検査ができるよう体制づくりが行われてきた経緯があります。
 今回の登録制への移行に際しては、大阪府域においては、現行の1ブッロクを最小の「検査対象区域」として登録がなされるよう政・省令とうによる規定を設けていただきたい。
 一方、登録検査機関が複数登録されると想定される都市部においては、複数の検査機関による競争原理が働き、低料金・低収入、ひいては検査精度の低下につながるのではないかと懸念されます。
法に基づく公平・公正かつ確実な検査が行われる必要があることから、現行では公益法人が指定を受けて行われていますが、検査手数料の自由化は複数の検査機関による手数料の値下げ競争につながり、ひいては検査精度の低下、衛生行政との緊密な連携がそこなわれるおそれがあります。
 現行の公益法人による定期検査手数料は、検査業務に要する経費等を基に算出された検査手数料が設定されているとものと思われますが、検査が公平・公正かつ確実に行われるための手数料が設定されているか審査される必要があり、最低検査手数料が示される必要があると考えます。公平・公正・確実な検査が行われるための「最低検査手数料」が示される必要があると考えます。
299 意見2 検査機関による検査結果は、設置者に対しての助言のほか、改善指導権限のある衛生行政に対しても報告するよう規定すべきである。  
(意見の説明)
(1)p82「簡易専用水道の管理の検査方法(案)7.検査後の措置の(1)の(2)」に関して
○「検査を行った結果、衛生上問題があると認められた場合には、設置者に対して次に掲げる事項について助言を行うこと。
 ア 直ちに立入検査、改善命令等の行政権限を有する者にその旨を報告すること。
 イ 速やかに対策を講じること。」と、検査結果は設置者のみに行われ、衛生上問題がある場合にも、設置者を通じて衛生行政に報告されることになっています。
衛生上問題がある場合の衛生行政への通報に関しては、「水道法第34条の2第2項の検査の方法等について(昭和53年6月5日衛水第63号 改正昭和61年10月30日衛水第205号)」において
「8 検査後の措置の(二) 検査を行った結果、衛生上問題があると認められ他場合は、直ちに立ち入り検査、改善命令等の行政権限を有する者にその旨に通報するとともに、設置者に対しても速やかに対策を講じるよう助言すること。」とされており、本通知の前文において、「……左記により取り行うこと行うこととしたので、これが円滑な運用に格段のご協力をお願いする。」とされており、衛生行政への通報されることになっている。
大阪府では、本通知を受けて、4検査機関と協議調整を行い、各検査項目の検査結果の判定において「衛生上問題がある等」のレベルを「適:判定1」、「概ね適:判定2」「不適:判定3」「不適:判定3のうち衛生行政への<速やかな通報を行う>」と設定し、各検査機関から検査結果報告を受け、設置者への衛生行政からの改善指導を行っています。
特に、「速やかな改善が必要な<速やかに通報がなされる不適>」事項については、検査直後に電話、FAX等により衛生行政(保健所)に対して、通報される体制となっています。
 衛生行政(保健所)ではこの通報を基に、直ちに立入検査を実施し、設置者(管理者)に対して、不適事項の速やかな改善を行うよう指導を行い、簡易専用水道施設の管理不備・水質の悪化による利用者の健康が阻害の未然防止につとめています。
 このため、検査機関から衛生行政への検査結果の報告の規定が必要です。
 衛生行政として、定期検査の受検状況や受検結果を把握しておく必要があります。
 衛生行政と検査機関との密接な連携による衛生確保の推進は今後とも維持できるような検査体制が必要です。
300
意見3  p76「管理の現況」の受検率「85%程度にとどまっている」について
受検率100%はあり得ない。
対象施設の適正管理の指導啓発のためには施設の所在状況の正確な把握が必要であり、都道府県等(衛生行政)への設置者からの届出制度が必要です。併せて、検査機関からの検査結果の報告制度も必要です。
(意見の説明)
 85%が決して高くはなく、「……1年以内ごとに1回、定期に、……検査を受けなければならない。」の法の規定から100%受検されるべきと考えるが、設置者の判断として「1年以内ごとに」の規定からは、「例えば、6月1日に設置・使用を開始した場合には、水道法上、翌年の5月31日までに受検する義務があることから、設置直後に受検することはなく、通常1年経過する直前の時期に受検される場合が多い。
 受検率は、(受検施設数/総設置施設数)から算出されるため、翌年に受検する施設は当該年度の受検率に反映されないため、受検率100%はあり得ない。
 ちなみ大阪府所管施設で見ると、毎年3%程度の新規施設の届出(府要領に基づく)があります。
 また、小規模貯水槽水道(受水槽有効容量10立米以下)の施設については水道法上、定期検査の受検義務はないことから、この施設に関しての受検率は議論できないことと考えます。
301 H15.4.12 77 草津市水道事業
浄水場勤務
前田邦博
1. 今回の水質基準の項目追加および基準値強化案に対して、水道事業体の出来得ることは、受身としての水源監視や浄水処理強化となるが、水源地への農地、住宅地、道路等からの様々な排水に対して法的根拠をもって水道水源保全対策を講じる行政組織の連携・体制整備が必要である。
302 2. 現状の浄水施設は従来からの水質基準に対応できるよう施設整備を行ってきたが、湖沼(琵琶湖)を水源とする浄水場では、粒状活性炭ろ過による高度処理施設を設置しているものの、臭気物質が水質基準となる場合、原水に特に高濃度で異臭味が発生すると新基準に対して処理能力の限度を超える恐れがある。オゾン処理との併用により新基準達成可能と分かっても、敷地の制約や稼動しながらの施設改良は困難な状況である。
303 3. アルミニウムについては、0.1mg/Lから0.2mg/Lに改正案の見直しがなされましたが、浄水場(凝集沈殿‐急速ろ過)における凝集剤(PAC)に由来する浄水中の残存ALは、琵琶湖湖面に水草異常繁茂する時期で原水PHが9.0を上回るとき、新基準0.2mg/Lを満足出来ない場合がありました。この時一部の水道水利用者から、「水が油っぽい。」、「水が手をはじく。」、「水がぬめる。」、「身体を洗ってもさっぱりしない。」等の苦情がありました。新基準が施行される際には、凝集剤の適正注入の徹底、硫酸注入による原水PHコントロール、急速ろ過水濁度管理の徹底、凝集剤のバンドへの変更、ALの測定監視強化など検討をする必要があると考えますが、参考事例のご教授をお願いしたい。<低濁度・高PH原水に対するAL対策>
304 4. 水道水質基準はあくまで人の健康と飲料水としてのより高品質の水を求める一方で、飲料以外の水についてはそれほどの品質は必要ない。飲料以外の水は質より量的な要求がある。こうした質と量の両面を求められる水道事業で水質基準項目と要求レベルを高度化すれば量的確保が困難になることは自明である。この問題を解決する方法は、現行水道法の根本的改正(高品質な飲料水を供給のための法、洗い流すことを目的とした水洗法などの2本立て)を検討する時期になっているのではないか。高品質の飲料水を一定量確保することは技術的にも可能と考える。「瓶詰め水」や「ボトル水」への方向と家庭用浄水装置による高品質化の方向など、高品質飲料水をどのように供給するのか研究する必要がある。
305 H15.4.12 78 杉本 智美 大学時代化学を専攻した、2児の母です。健康にはとても興味があります。今回の水質基準の改正によりアルミニウムについて、ろ過後の測定値が基準の対象となると知りました。実際に私たちの飲む飲み水には溶けていないアルミニウムが含まれているのに、それをろ過して取り除いたもののアルミニウムの濃度を測定し、その値が基準値を満たしていればいい、というのはどう考えても変です。これは、特に化学的知識のないものでも説明を聞けば感じる不誠実さです。実際にとても高濃度の溶けていないアルミニウムが存在した場合、それを長期間摂取しつづけてほんとに大丈夫なのでしょうか。アルミニウムはアルツハイマー病の発症との関連が疑われていると聞きます。どうか、測定前にろ過をするのをやめ、正しくアルミニウム濃度を評価し、必要なら水道局での処理の方法を改善していく方向で進めてください。薬害エイズ問題や抗がん剤の副作用の問題では、行政の利用者よりも供給者を重視いた、国民に対する不誠実さをみせつけられました。またしてもか、ということにならないような誠実な対応を求めます。
306 H15.4.12 79 神戸市水道局技術部
水質試験所
矢野、有本
1.臭気物質の水質基準化について
1) かび臭物質は水源域での汚濁や富栄養化の進行等のため、検出濃度が高くなり、粉末活性炭や粒状活性炭等の処理を実施しても基準値をクリアーできない可能性も生じております。一方、かび臭物質をほぼ完全に除去するためには、オゾン処理の導入は避けられず、当該事業体への財政上大きな負担となり、需要者の理解を得て高度浄水処理を建設し稼動するまでにはかなりの期間が必要になってきます。以上のことよりかび臭物質の基準化については、
(1) 健康項目でなく、性状項目であることを何らかの方策で示していただくこと(現行の水質基準のスタイルで分けて記載または付記)(2) 基準超過時の評価:給水停止を伴わない解釈の導入(一時的な場合、長期的な場合の評価と対応マニュアルの作成)(3)高度浄水処理導入に対して国の補助制度の拡充等を考慮に入れたものとして、検討いただくことをお願いいたします。
307 2)かび臭発生は湖沼・貯水池及び河川等の公共水域の水源域での汚濁と富栄養化傾向の進行に伴い、藍藻類等の増殖により発生するものであり、本来公共水域での水質保全が最も重要となっています。公共水域管理者や水道事業者等はダム等で水質改善のために空気揚水筒等を導入し、諸対策を実施しています。しかし、これら諸対策はいずれにしろ根本的な解決にはなり得ず、対症療法となっているのが実状です。水道の水源等公共水域の水質保全には環境、農業及び公共水域の管理等広く水行政全体で解決されるべきものと考えられますが、水源域での水質保全対策の強化等、いっそうの働きかけをお願いいたします。
308 2.水質検査における精度と信頼性保証のあり方について
水質検査の精度と信頼性保証(QA/QC)制度については、現段階では直ちに高いレベルでの導入は難しいのが実状です。このため、水道用GLP(例えば、日本水道協会を認証機関とし、各水道事業体が認証を得る、当面 ISO 9001 レベルを目指す)制度の構築を行い、第三者認証機関での監査、職員研修制度等の確立を図って行くなど、その方策につきご指導願います。
309 3.水質検査計画の策定について
各水道事業体は水質検査の採水箇所の選定、サンプリング方法、検査頻度等について、それぞれ適正な根拠のもとで水質検査計画を策定しなければならず、その策定方法についての詳細な指針等が是非必要となります。このため、全国のどの水道事業体でも計画策定ができますよう、具体的な水質検査計画策定指針をご教示願います。
310 H15.4.12 80 東洋検査センター
環境計量部
伊藤 泰信
臭素酸の水質基準からの削除をお願いいたします。
・ 理由:分析方法は、イオンクロマト−ポストカラム法となっておりますが、実はダイオネクス社製の機械、当然カラムもダイオネクス社製でないと分析できないようです。つまり、1社だけの独占ということになります。この状況は機械の安定供給やテクニカルサポートを考えた場合、さけなくてはいけません。現在においても、ダイオネクス社のサポート体制は十分ではないと感じております。また、分析機器はそろえるとなると1千6百万を必要とし、さらに硫酸を使用することなどから機械のメンテナンスも3ヶ月に一度のペースでやらなくてはいけません。年間のメンテナンス契約を結ばないと、維持費が膨大になります。実際の分析にも、かなりの技量を要求し、むずかしいという。関係者談より。感じるにまだ研究室レベルで分析が可能という話ではないでしょうか。技術的や機械的にまだ安定したものではないと感じます。指定検査機関は、当然この臭素酸を分析できなくてはいけないが、現在150の機関があり、この設備をそろえようとするとどうなるでしょうか。また業者によるメンテナンスも1社だけの独占状態では事実上不可能であると思われます。また、次亜塩素酸やオゾン処理をしている場合に省略できない検査で、実際の稼働率はかなり低いと考えられます。以上を考慮したとき、水質基準とするのは、まだ早いと感じます。
311 ・ フェノールの分析方法から吸光光度法及び連続流れ方式の復活をお願いいたします。
・ 理由:フェノールの分析方法では、従来より吸光光度法が公定法として分析されております。さらには2001年度上水試験方法では、連続流れ方式が採用され、原理を同じにし、効率よく、しかも精度よく分析できるようになりました。当社でも公定法となったことより、この方法による分析を取り入れたばかりのところであります。まず、今回の改正で吸光光度法及び連続流れ方式が削除された正当な理由が見つかりません。特に連続流れ方式は採用されたばかりで、不採用となるのはどうしてでしょうか。また、固相抽出誘導体化ガスマス分析という、手間の係る方法、当然コストがかかります、にするよりも比較的簡便に測定できる吸光光度法及び連続流れ方式のほうが、お客、分析機関両方にメリットがあると思われます。
312 ・ シアンの分析方法から吸光光度法及び連続流れ方式の復活をお願いいたします。
・ 理由:フェノールとほぼ同様です。
313 ・ 1,4−ジオキサンを水質基準から削除願います。
・ 理由:1,4−ジオキサンは、分析項目として2001年度上水試験方法の中にも登場しておらず、それがいきなり、水質基準となるのは、どういうことでしょうか。少しでも水質基準に昇格する可能性があったら上水試験方法に掲載されてしかるべき。段階を踏んでいないと感じられる。もう少し期間を置いてから、その時点で考え、水質基準とすべきならすればいいと考える。今まで分析方法も紹介されていないのにいきなり、水質基準となるその理由を教えていただきたい。
314 ・ 試薬に水質基準であるジクロロメタンを使用しなくてはいけない方法はすべて改善願いたい。
・ 理由:ジクロロメタンがベストなのかもしれないが、試薬としてジクロロメタンを使用すれば、水質基準であるジクロロメタンの分析に必ず影響します。また発ガン性も認められており、発ガン性のあるものを分析に使用することは絶対さけたい。分析者としての意見です。
315 ・ 指定検査機関から登録制への移行期間として3年をお願いいたします。
・ 理由:すでに平成15年度の予算は確定しており、平成16年4月1日に間に合わせるためには、別個に予算を組まなくてはいけません。実際には、平成16年度の予算で設備を揃え、技術者の養成はそれ以降となります。また大型の機械の導入となれば、一部平成17年度の予算でということも避けられない可能性があります。現時点では、性急な話であると考え、十分な準備期間を頂きたく存じます。
316 ・ 農薬の水質基準について、その運用が不明瞭な為、再考願います。
・ 理由:101の農薬がリストアップされているが、第1候補群、第2候補群はだれが抽出するのか不明です。結局のところ分析機関はすべての農薬の標準品を持っていなければいけないのか不明です。個別に水質基準が設定されない農薬については、総農薬方式で1を超えないこととしているが、残りすべての農薬を分析しなくてはいけないのか、しなくていいなら、実施した分だけでカウントすればいいのか。その正当性はだれが判断するのか。よくわからないことのほうが多く、是非とも再考をお願いいたします。
317 H15.4.12 81 大阪府藤井寺保健所
生活衛生室検査課
幸田三惠子
私は、金属の測定法について前回の平成5年の水道法改正時から疑問に思っていることがございます。
それは、フレーム原子吸光法が公定法からはずされたことです。フレーム原子吸光法は、NaやCa、Mg、Znについては感度が非常に良く、一般的に水道に含まれる濃度の検体を測定することでは、一番優れた方法だからです。Znを除く、Na、Ca、Mgについては、フレーム法でも水道水レベルの濃度では、前処理は一切いらず安定して、精度良く測定できます。現在、Na、Znの公定法になっているのはフレームレス法ですが、原子吸光法では非常に感度が良い元素で環境中に豊富に存在するこれらの金属をフレームレス法で測定する場合0をとること自体に非常な困難がございます。また、水道水で一般的に含まれる濃度レベルを測定する場合は、かなりの希釈が必要で、希釈による誤差も無視できません。フレーム法は、フレームレス法よりマトリックスの影響を受けにくく、精度もよく、定量下限は基準値の1/10値を充分にクリアできる優れた検査法です。その他、水道水で測定頻度の高いFe、MnについてもZnと同様の簡単な前処理で、基準値の1/10の定量下限をクリアできます。また、一般的にフレーム法は、測定時のコストもフレームレス法に比較して、安価でメンテナンスも容易です。測定にかかる時間もフレームレス法に比較して短時間で済みます。フレームレス法と共用できる機種も多く、公定法としていまはないこの機器を使用できる検査機関は現在も多数あると思われます。現在、大阪府の保健所では,Na、Ca、Mg、Znについてはフレーム法を採用しております。
水道水に含まれる濃度レベルがMoやNi等の程度の元素やU、Bのように他に精度良い測定法がない元素ついては、フレームレス原子吸光法やICP、ICP-MS等の導入での一斉分析を行うことについては重要だと思いますが、水道水に多く含まれる元素については、フレーム法も公定法として採用していただきたいと強く感じております。ICでの陽イオンの測定はカラムの交換を行って陰イオンと共用することは日常検査では困難で、複数のICを設置する必要があり、また臭素酸やシアンのIC−PC法の導入により多数の新規の機器を導入する必要があることからも,現状の機器の活用を考えていただきたいと思っております。
318 H15.4.12 82 広島市水道局施設部
水質管理課課長補佐
友安 勇
1 カビ臭物質について (1) 多くの水道事業体では、粉末活性炭で対処しているが、原水のカビ臭濃度が高くなると、浄水は基準値を超えることが予想される。(2) 改正案を遵守するには高度処理等新たな浄水処理施設の導入が必要となり、これに伴い水道料金の値上げなどにつながり、市民に多くの財政負担を強いることになる。また、水道事業にとってもランニングコスト上昇など問題・課題が多い。(3) カビ臭物質は、健康に影響する物質ではない。こうしたことを考慮し、カビ臭物質は、現行で快適水質項目の目標値として位置付けられているのと同様に、新水質基準においても、基準項目ではなく水質管理目標設定項目とするように要望する。もし、水質基準項目として位置付けられるのであれば、粉末活性炭注入設備で十分対応できる範囲で、基準値を設定していただきたい。また、2-MIB、ジェオスミンは、臭気の閾値濃度が異なっているのに、基準値が同じ0.01μg/Lとなっている根拠を示してほしい。  
319 2 農薬類の情報収集について
地域性、効率性を踏まえた、水質基準の柔軟な運用とあるが、農薬について、使用農薬等の把握は水道事業体独自での情報収集は困難である。国の方で、水道事業体に情報が入るような方策をとってほしい。
320 3 水質試験結果の公表について
水質検査結果は、同じ試験方法でも、各都市により定量下限が異なる。このため、試験結果の表示は各都市でまちまちとなっている。このままでは、市民に誤解や混乱を招く恐れがある。こうしたことから、結果の表示方法を、例えば、水質基準の1/10以上の数値を表示する等、全国で統一すべきである。
321 H15.4.12 83 千葉県衛生研究所
日野隆信
一斉1 フレームレス-原子吸光光度法(別紙3 p.15)
 (一)試薬(5)金属類標準原液の項で,金属又は金属化合物から調製するようになっていますが,これらの物質の品質が示されていません。GLP体制の導入を図るためには,国家標準にトレーサブルである必要があります。そのためには,JISに規定する標準物質又は計量法トレーサービリティ制度適合標準液を使用する必要があります。基準項目中の金属は,JISに規定する標準物質及び計量法トレーサービリティ制度適合標準液が市販されております。
322 一斉4及び5 イオンクロマトグラフ(別紙3 p.25及び27)
 (一)試薬の項で陽イオン類及び陰イオン類標準液は,金属標準液と同様に国家標準にトレーサブルが理想です。
323 一斉6 パージ・トラップ-GC/MS(別紙3 p.31)
 (一)試薬 (6)揮発性有機化合物混合標準液の項で,アンプルに入ったそれぞれの揮発性有機化合物標準原液から,使用時に調製するようになっていますが,使用の都度,11種類のアンプルを開封して調製することは非現実的な記述です。保存期間を明示して現省令と同様に,「混合標準液をアンプルに入れて約-20℃で保存する」とした方が検査法を遵守すると考えます。
324 一斉8 溶媒抽出−GC/MSによる一斉分析法(別紙3 p.37)
・p.37 (一)試薬 (5)内部標準原液
 原文:調製後10mlずつをねじ口バイアルに入れて 修正:製後10mlをねじ口バイアルに入れて
・p.37 (一)試薬 (8)ハロ酢酸混合標準液
 原文:及びトリクロロ酢酸標準原液の標準原液を1mlずつ 修正:及びトリクロロ酢酸標準原液をそれぞれ1mLずつ
・p.38 (二)器具及び装置 (1)ねじ口瓶
 「パージ・トラップ−ガスクロマトグラフ−質量分析計による一斉分析法」の例によると記述され,該当のねじ口瓶の容量は40ないし100mlです。使用する検水量は50mlなので,ねじ口瓶の容量は200ml以上必要です。
・p.39 (五)検量線の作成
 (四)試験操作 (1)前処理の項で,「検水50ml(又は対象物質を0.001ないし0.1mg/lを含むよう検水を調整したもの)」を定量範囲とすると,ハロ酢酸混合標準液は各ハロ酢酸濃度 0.01ug/ulなので,メスフラスコに採るハロ酢酸混合標準液の液量は5〜500ulとなります。抽出溶媒(MTBE)4mlに対し標準液500ul(MTBE)の添加量は,精度に影響を与えると考えられますので,添加量を少なくするためにハロ酢酸混合標準液の濃度を10倍にした方が良いと思います。
325 1 一般細菌(別紙3 p.40)
 (二)器具及び装置 (1)採水瓶の項で,採水瓶の容量が100mlとなっていますが,2大腸菌で検水量が100mlですので,採水量として200ml以上必要です。また,採水瓶の種類として,ガラス瓶の他にプラスチック製の容器も併記すべきと考えますので,下記のとおり記述案を示します。 「容量200mlのねじ口栓付きのガラス製で高圧蒸気滅菌したもの又はプラスチック製でエチレンオキサイドガス滅菌したもの。なお,残留塩素・・・・・あらかじめ試料200mlにつき・・・・・の粉末0.04ないし0.10gを入れ,高圧蒸気滅菌又はエチレンオキサイドガス滅菌したものを使用する」
 (2)メスピペットの項では,プラスチック製のピペットも併記すべきと考えますので,下記のとおり記述案を示します。
 「容量・・・・・のガラス製で乾熱滅菌したもの又はプラスチック製でエチレンオキサイドガスあるいはガンマー線で滅菌したもの」
 (3)ペトリ皿の項では,ガンマー線滅菌も併記が必要と考えますので,下記とおり記述案を示します。
 「直径・・・・・オキサイドガスあるいはガンマー線で滅菌したもの」
326 2 大腸菌(別紙3 p.41)
 今回の水質基準改正案で大腸菌群は,大腸菌に変更になっています。糞便汚染を検知する観点からは,大腸菌を検査することが適正だと思います。しかし,過去2年間の飲料水169検体をMMO-MUG法で検査した結果,大腸菌群陽性が13検体,その中で大腸菌陽性は0検体でした。もし,新水質基準を適用すると大腸菌群が陽性であるにもかかわらず13検体のすべては,大腸菌について適合と判定することになります。大腸菌だけを検出する検査法であれば,検査過程で疑義を抱くことはないのですが,MMO-MUG特定酵素基質培地法の検査では,大腸菌群が存在すれば培地は黄変しますので,紫外線を照射する前に大腸菌群の有無を判別できます。新水質基準では,培地が黄変したにもかかわらず紫外線照射で蛍光が見られない場合は,大腸菌適合になりますが,検査者にとっては,この飲料水の微生物学的安全性に不安を残します。大腸菌群の検査の目的は,私は,糞便汚染を検知すると同時に,細菌汚染に対する消毒剤の効果を確認することと考えております。WHO飲料水質ガイドライン第2版では大腸菌群検査の意義について,「大腸菌群は処理された浄水の中では検出されてはならない。もし検出されたなら,それは不適切な処理,処理後の汚染または栄養過多を示唆する。この意味で,大腸菌群試験は処理効果と配水システムの総合を評価するのに使用可能である。」と記述しております。また, MUGを分解するベータ-グルクロニダーゼが陰性の大腸菌0157やクレブシェラ属菌は, MMO-MUG法による紫外線照射の観察で陰性になることが知られており, 安全側に判定する水質基準とするためにも大腸菌群基準を残すべきだと考えます。一般飲用井戸の判定標準にもかかわる重要な問題でもありますので,再度ご審議くださるよう,お願いいたします。
327 9 シアン(別紙3 p.51)
  p.52(一)試薬 (16)シアン標準原液の計算式 シアン(mg/ml)=5.204×b×f/100
とp.55(一)試薬 (12)シアン標準原液の計算式 シアン(mg/ml)=(b×f/100)×5.20
の係数が異なっています。
328 12 ほう素 第1 誘導結合プラズマ発光分光分析法(別紙3 p.57)
 (四)試験操作 (1)前処理の次の記述,「検水500ml(又はほう素として0.006ないし0.6mg/lを含むように検水に精製水を加えて500mlとしたもの)をビーカーに採り,・・・・・静かに加熱する。」となっており,他の検査法と表現を統一した方が良いと考えます。
 下記の分析法の前処理は,すべて「検水○○ml(△△として××ないし××mg/lを含む)又は適量をビーカーに採り,・・・・・」となっており,12 ほう素 第1 誘導結合プラズマ発光分光分析法だけが,違っています。
  一斉1 フレームレス−原子吸光光度法
一斉2 誘導結合プラズマ発光分光分析装置による一斉分析法
一斉3 誘導結合プラズマ−質量分析装置による一斉分析法
6 セレン
 第1 水素化物発生−原子吸光光度法
 第2 フレームレス−原子吸光光度法
 第3 水素化物発生−誘導結合プラズマ発光分光分析法
 第4 誘導結合プラズマ−質量分析法
8 ひ素
 第1 水素化物発生−原子吸光光度法
 第2 フレームレス−原子吸光光度法
 第3 水素化物発生−誘導結合プラズマ発光分光分析法
 第4 誘導結合プラズマ−質量分析法
12 ほう素 第2 誘導結合プラズマ−質量分析法
 
329 14 1,4-ジオキサン(別紙3 p.59)
 p.60(四)試験操作 (1)前処理の項で,2種類の固相カラムを連結させるのですが,この表現ではどのカラムが上で,どのカラムが下になるのかはっきりしません。下記のとおり記述案を示します。 「スチレンジビニルベンゼン固相カラムの流出側に活性炭カラムを接続し,スチレンジビニルベンゼン固相カラム側からジクロロメタン10ml,・・・・・」。
330 30 ホルムアルデヒド(別紙3 p.65)
・p.65 (一)試薬 (6)チオ硫酸ナトリウム溶液(0.1mol/l))
 原文:ヨウ素酸カリウム溶液(16.67m mol/l)
 修正:ヨウ素酸カリウム溶液(0.017mol/l)
・p.66 (一)試薬 (14)ホルムアルデヒド標準原液
 原文:ホルマリン10/C(g)をメチルアルコールに溶かして100mlとしたもの。ただし,Cはホルマリン中のホルムアルデヒドの含量(%)であり,次に定める方法により,その含有するホルムアルデヒドの濃度を測定する。ホルマリン約1gを精製水5mlを入れた褐色メスフラスコに採り,精製水を加えて100mlとする。その10mlを共栓付き三角フラスコに採り,・・・・・,次式によりホルマリン中のホルムアルデヒドの含量(%)を算定する。ホルムアルデヒドの含量C(%)= 1.501×f×(b−a)/W この式において,Wはホルマリンの採取量(g),fはチオ硫酸ナトリウム溶液(0.1 mol/L)のファクターを表す。この溶液は,調製後直ちに10mlずつをねじ口バイアルに入れて冷凍保存する。
 修正案:ホルマリン約1gを精製水5mlを入れた褐色メスフラスコに採り,精製水を加えて100mlとする。その10mlを共栓付き三角フラスコに採り,・・・・・,次式によりホルマリン中のホルムアルデヒドの含量(%)を算定する。ホルムアルデヒドの含量C(%)= 1.501×f×(b−a)/W この式において,Wはホルマリンの採取量(g),fはチオ硫酸ナトリウム溶液(0.1 mol/L)のファクターを表す。
 ホルムアルデヒド標準原液の調製は,ホルムアルデヒドの含量を算定したホルマリン10/C(g)をメチルアルコールに溶かして100mlとする。この溶液は,調製後直ちに10mlずつをねじ口バイアルに入れて冷凍保存する。
・p.68 (四)試験操作(1)前処理
 原文:検水50ml(又はホルムアルデヒドとして0.001ないし0.1mg/lを含むように検水に再精製水を加えて50mlとしたもの)を共栓付き比色管に採り,ペンタフルオロベンジルヒドロキシルアミン溶液3mlを加えて混合する。2時間静置後,硫酸(1+1)0.8mlと塩化ナトリウム20gとを加えて混合する。次に,分液ロートに移し,ヘキサン5mlを加えて5分間激しく振り混ぜ,数分間静・・・・・
 修正案:検水50ml(又はホルムアルデヒドとして0.001ないし0.1mg/lを含むように検水に再精製水を加えて50mlとしたもの)を分液ロートに採り,ペンタフルオロベンジルヒドロキシルアミン溶液3mlを加えて混合する。2時間静置後,硫酸(1+1)0.8mlと塩化ナトリウム20gとを加えて混合する。次に,ヘキサン5mlを加えて5分間激しく振り混ぜ,数分間静・・・・・
331 33 塩素イオン(別紙3 p.69)
 高等学校の化学の教科書では,塩化物イオンに統一されております。塩素イオンの名称は,塩素chlorineと混同されやすく,塩化物イオンに修正すべきと考えます。
332 40 ジェオスミン(別紙3 p.75)
 重水素化物ジェオスミン-d3が国内で市販(林純薬)されているので,サロゲート法を採用した方が分析精度を確保できると思います。
・p.79(二)器具及び装置 (1)ねじ口瓶
 「パージ・トラップ−ガスクロマトグラフ−質量分析計による一斉分析法」の例によると記述され,該当のねじ口瓶の容量は40ないし100mlです。しかし,使用する検水量は500mlなので,ねじ口瓶の容量は2L以上必要です。・p.79(二)器具及び装置 (4)ガラスフィルターろ過装置(四)試験操作中に,この器具を使用する記述がありません。
・p.80(五)検量線の作成
 試料調製に用いる溶媒(ジクロロメタン)と検量線用標準液の調製に用いる溶媒(アセトン)が異なっております。
333 41 非イオン界面活性剤 第1 固相抽出−吸光光度法(別紙3 p.81)
・p.82(四)試験操作 (1)前処理 5行目
 「次いで,固相カラムの下端からトルエン」の意味が不明です。
334 42 フェノール類 第1 固相抽出−誘導体化−GC/MS(別紙3 p.85)
・p.86 (一)試薬 (11)フェノール標準原液
 原文:フェノール濃度の算定式の(2b-a) 修正案:(2c-b)
335 43 2-メチルイソボルネオール(別紙3 p.91)
 重水素化物2-メチルイソボルネオール-d3が国内で市販(和光純薬,林純薬)されているので,サロゲート法を採用した方が分析精度を確保できると思います。
・p.95(二)器具及び装置 (1)ねじ口瓶
 「パージ・トラップ−ガスクロマトグラフ−質量分析計による一斉分析法」の例によると記述され,該当のねじ口瓶の容量は40ないし100mlです。しかし,使用する検水量は500mlなので,ねじ口瓶の容量は2L以上必要です。
・p.95(二)器具及び装置 (4)ガラスフィルターろ過装置
 (四)試験操作に,この器具を使用する記述がありません。
・p.96(五)検量線の作成
 試料調製に用いる溶媒(ジクロロメタン)と検量線用標準液の調製に用いる溶媒(アセトン)が異なっております。
336 44 有機物質(TOC)(別紙3 p.97)
 (三)試料の採取及び保存の項に「残留塩素の除去方法」を記述すべきです。
 (四)試験操作(1)前処理の項の「溶存有機炭素の測定は,・・・・・その後のろ液を試験溶液とする。」は不要ですので削除すべきと考えます。
337 46 色度(別紙3 p.100)
 色度の測定方法として,現省令と同様に比色法(目視による)及び透過光測定法が併記されています。pH値の測定法に比色法(目視による)を削除したのは,分析方法間の差と個人差をなくすためだと思います。同様に,色度の測定は,透過光測定だけにすべきであると考えます。参考として,水道水に色度約5度になるように調製した試料を,研修生が比色法で測定した結果を下表に示しました。
  H14年 H13年 H12年 H11年 H10年
計器 4.8 5.0 5.1 5.0 3.0
A >5 6 6 2.5 1
B 5 5 4 2.5 3
C 4 3 5   3
D   5      
E   6      
・p.101 第2 透過光測定法(その1)(五)検量線の作成の項の「比色管」は,精度管理上,「メスフラスコ」にすべきだと考えます。
338 49 濁度(別紙3 p.105)
 濁度の測定方法として,現省令と同様に比濁法(目視による),透過光測定法及び積分球式光電光度が併記されています。しかし,水質基準の濁度2度を目視で見ると個人差が非常に大きくなります。参考として,水道水に濁度約2度になるように調製した試料を,研修生が比濁法(目視による)で測定した結果を下表に示しました。色度と同様な観点で,比濁法は削除すべきだと考えます。
  H14年 H13年 H12年 H11年 H10年
計器 2.3 1.9 1.5 1.8 1.5
A 2.5 1 4 3 2
B 2.5 2 3 2 3
C 1 4 5   2
D   3      
E   3      
・p.106 第2 透過光測定法(その1)(五)検量線の作成の項の「比色管」は,精度管理上,「メスフラスコ」にすべきだと考えます。
・p.108 第3 積分球式光電光度法(その1)(五)検量線の作成の項の「比色管」は,精度管理上,「メスフラスコ」にすべきだと考えます。
339 H15.4.12 84 宝塚市水道局水質検査課
技術吏員
山口廣行
1、 吸光光度法及び連続流れ分析法に係る検査方法について
 宝塚市水道局では、平成4年の水道法の大幅な改正を受けて、限られた人員の中で、増加した検査項目に対処するため、検査の自動化を進めると共にクロロホルムの使用量の削減と安全性を目的に、平成6年から連続流れ分析法の導入を図ってきました。その結果、現在のところ、全窒素、全リン、シアン、フェノール、ABSの5項目について、吸光光度法及び連続流れ分析法に係る検査方法で実施しています。また、本市水道局におきましても、これらの検査方法の導入に際して、事前調査と導入後の比較検討を行いましたが、測定精度、迅速性、省力化と共にクロロホルム使用量の減少と検査室内の安全性(クロロホルム臭がしなくなった)が保たれることを確認しております。今回、水質基準の改正が検討されていますが、その中で吸光光度法及び連続流れ分析法が「無くなる、否認される」方向にあるのではないか、と危惧しております。もし、これらの検査方法が出来ないことになりますと、検査体制の見直しや新たな検査項目の増加等に対応していくには、多大な経済的負担が伴うこととなり、かつ現在の水道事業の経営を踏まえますと、早急に新たな検査体制を整備することも困難な状況であります。従いまして、従来の検査方法についても長年に培われた経験とデータ量の多さ等を御高配頂き存続される事を切に望むものであります。
340 2、 検査項目別に採水を行って検査を行うことについて。
 今回の見直しに伴い、検査項目が大幅に増えることが考えられます、この結果、同一試料で全ての検査項目を行うとなると、金属類の検査については、後日に行うことは出来ても、農薬類を含む有機系の検査項目については、即日検査を行い、また必要な前処理等の処置を行う必要があります。
そのためには検査機器の整備と人員が必要となってきます。そこで私の提案は検査項目別、目的別に採水(サンプリング)を行って検査を行う、即ち検査項目によって採水日が異なっても良いのでは、と言うことです。これが出来るなら限られえた人員と機器で対応する事が出来るからです。
341 3、鉛の採水方法について。
 見直し(案)に示されている様な採水方法を、他の検査項目の採水と同時に行うとなると、採水時間が長くなり、とても出来るものではありません。しかし、前項に提案させていただいた事で行うなら可能です。
342 4、農薬類の検査について
 101項目は多すぎて、対応は不可能に近く、標準試料の入手も困難なものとなってきます。農薬類の混入経路の主な原水は河川からと考えられますので、各河川流域の関係事業体で分散検査等の手法を取り入れて、対処して行くと言ったことを考慮していただきたく考えます。
343 H15.4.13 85 日本人口学会
河野 道和
標記報告案(一部)は、水道法の理念(清浄にして豊富低廉な水の供給)に反しており、再考を要する。該当箇所については、見識のあるものには一目瞭然であるので、敢えて触れない。
344 H15.4.13 86 日本ダイオネクス(株)
上久木田 務
<シアン>
・ 反応コイル温度を従来の100℃から80℃に下げられているのは、擬似シアン様ピークや塩化シアン様ピークの対策としてだと思いますが、温度を下げることだけでは解決できないので、反応温度の記述に幅を持たせてはどうかと思います。
・ 【別紙1】p51の試薬の項で、「精製水」と書かれていますが、市販の精製水では実際の分析はできないため、比抵抗18MΩ以上のイオン交換水、または純水と書かれている方がよいと思います。
・ 【別紙1】p51の分離カラムの項で、「内径4ないし8mm」と書かれていますが、弊社のシアン分析用のカラムは内径が9mmのタイプしかありません。できれば、9mmまでとしていただけないでしょうか?
・ 【別紙1】p51の溶離液流量の項で、「毎分1.2mLの流量」と既定されていますが、これには何か理由があるのでしょうか?弊社では現在「毎分1.0 mLの流量」を推奨しています。
345 <臭素酸>
・ 【別紙1】p62の試薬の項で、「精製水」と書かれていますが、市販の精製水では実際の分析はできないため、比抵抗18MΩ以上のイオン交換水、または純水と書かれている方がよいと思います。
・ 【別紙1】p62の溶離液の項で、溶離液濃度が既定されていますが、これはカラムのメーカーやカラムの種類によっても異なるかと思います。参考例とするとよいのではないでしょうか?
・ 【別紙1】p63の試験操作、前処理の項で、「検水(臭素酸として0.0002ないし0.0005mg/Lを含むように調製したもの)」と非常に低い値になっているのには何か理由があるのでしょうか?基準値0.01 mg/Lの1/10濃度である0.001mg/Lよりも低い濃度なのですが。実際の臭素酸分析において、0.0002ないし0.0005mg/Lの測定は非常に難しいと考えます。
・ 臭素酸分析において、三臭素イオン法を応用した方法として臭化カリウム/硫酸溶液の代わりに臭化水素酸を用いる方法が報告されています(古谷博、関口恵美、天羽孝志, 水道協会雑誌, 第72巻, 第3号, 平成15年3月)。臭化カリウム/硫酸溶液を用いる三臭素イオン法では、高濃度の塩によって反応ポンプの耐久性が低下したり、液の粘性が高くなるため反応コイルでの混ざり具合が不十分になる場合があります。弊社ではこれらの問題点を解決できるような装置を開発していますが、臭化水素酸を用いれば特殊な装置も不要で、定期メンテナンスも非常に容易になると考えています。臭化水素酸を用いる方法は感度面でさらなる検討が必要のようですが、将来的にはルーチン分析法として有望だと思います。
346 <硝酸性および亜硝酸性窒素 >
・ 実試料の場合、高濃度の塩素イオンと微量の亜硝酸を十分に分離できない場合があるため、UV検出器の併用を記述して欲しい。
347 <イオンクロマトグラフ(陰イオン類)による一斉分析法>
・ 【別紙1】p27で、溶離液の濃度を既定していますが、溶離液濃度はカラムによって異なるため、省略または参考濃度とした方がよいと思います。
・ 【別紙1】p28のイオンクロマトグラフの項で、「イ. 分離管」となっていますが、陽イオンの表記と合わせる意味で「分離カラム」とするとよいのではないでしょうか。
348 <イオンクロマトグラフ(陽イオン類)による一斉分析法>
・ 【別紙1】p25の試薬の項で、「精製水」と書かれていますが、市販の精製水では実際の分析はできないため、比抵抗18MΩ以上のイオン交換水、または純水と書かれている方がよいと思います。
・ 【別紙1】p25の溶離液の項で、サプレッサ型では塩酸とジアミノプロピオン酸のみの記述となっていますが、現在ではメタンスルホン酸を使用されている所が多いので、「0.02 mol/L メタンスルホン酸」も併記していただければと考えます。
・ 【別紙1】p25の除去液の項で、現在では水酸化バリウムを使用する条件はほとんどないため、できれば水酸化テトラメチルアンモニウム、または水酸化テトラブチルアンモニウムの併記をお願いいたします。
・ 【別紙1】p25の試料導入部の項で、「サンプルループ容量50ないし200μl」となっていますが、低い方の値は10μlでも十分です。
・ 【別紙1】p25の分離カラムの項で、「内径2ないしH15.4.6 mm」と記載されていますが、できれば「内径2ないし5mm」と変更できないでしょうか。弊社で販売しているカラムで、水質分析用の高分離能カラムの内径が5mmとなっています。
349 H15.4.13 87 ブラン・ルーべ(株)
埜村
l はじめに
「上水試験方法 2001年版」が一昨年8年ぶりに、日本水道協会のもとで改訂されたところです。 その改訂に伴ない新規に採用されました“連続流れ分析法”(吸光光度法による一斉分析装置)は、飲料水の分析目的として本年3月末現在に於いて、既に90施設(添付ファイル1,3ページ)に導入されており、現在に至るまで全て問題なく安全に稼動しており現業場における十分なご満足とご評価をいただいております。
しかしこの度の【水質基準の見直し等について(案)/平成15年3月】[以下(案)とする]について、多くのユーザー様からつい先般購入したばかりの装置が活用できなくなるとのご心配や、購入を検討されているお客様からも同様に多くのお問い合わせを戴きましたので、ここに弊社と致しまして謹んで意見募集に参加させて頂いた次第であります。
350 l 吸光光度法の排除について
現行の水質基準に関する省令に於いて、検査方法として吸光光度法は『シアン』、『亜硝酸性窒素』、『硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素』、『フッ素』、『陰イオン界面活性剤』、『フェノール類』の6項目に採用されております。 しかしこの度の(案)ではシアンについてのみ3年間の暫定使用期間が設けられてはいるものの、上記6項目全て排除されていることについて【水質検査法/基本的考え方/(1)〜(7)項の原則】[以下(原則)とする]を踏まえつつ、一斉分析/吸光光度法として再考頂けますよう以下提案の理由を述べさせて頂きます。
19世紀の初頭に「ランバート・ベールの法則」が提唱され、この2世紀にわたり吸光光度法に基づく用手法比色分光分析は試薬の開発、比色計をはじめとする分光ディテクターの開発にささえられ、それの応用範囲は拡大を続けてまいりました。 一方化学分析の自動化は1957年に世界で始めて“連続流れ分析技法”に立脚した自動化学分析装置が発明されやっと半世紀が経過しようとしています。ご存知のように、ここ数年はコンピュータハードウエアー、ソフトウエアーの進歩はめざましく、安価でなおかつ性能、機能の進歩と相俟って、比色分析装置にコンピュータを組み込むことにより、比色分析法と言えども分析精度の向上、感度の向上、データの信頼度向上、精度管理技法の充実等、現在に於いても日々確実に前進しております。そのあたりを以下ご説明させて頂き、2世紀にも及ぶ人類の慣れ親しんできた学術文化の遺産、吸光光度法の到達レベルの一端を紹介させて頂きます。

1. 飲料水の吸光光度法による一斉自動分析装置(シアン、フェノール類、陰イオン界面活性剤;処理速度20サンプル/時)は前段でもご紹介しましたように、既に90施設の現業場に於いて稼動しております。 以下シアン、フェノール類、陰イオン界面活性剤の順序で仕様と性能等につきまして紹介させて頂きます。
? まずシアンにつきましてはフリーシアンをクロラミンTで塩化シアンに変換し、既存の塩化シアンとの合計値として一斉分析/吸光光度法による測定結果を報告しています。同時再現性精度は基準値の1/100に於いてもCV=4.1%を確認しております。(添付ファイル 2、1ページ)またフリーシアンと塩化シアンの分別定量測定が必要であれば、クロラミンT試薬を純水に変更することにより分別定量測定は可能であります。
? 次にフェノール類についてですが、サンプルの蒸留処理を行い、その後クロロホルム等有機溶剤は一切使用せず、4-AAとの反応色素をセル長50mmの高感度フローセルを用い一斉分析/吸光光度法による測定結果を報告しています。
同時再現性精度は基準値の1/10に於いてCV=6.2%を確認しております。
(添付ファイル 3、1ページ)素朴な疑問ですが、浄水場には塩素処理でなくオゾン処理施設もございます。
そのような施設でも(案)に示されている2つの検査法について各々5種類の塩化フェノールごとの検量線が必要なのでしょうか?そのような施設はフェノール単独の検量線では駄目なのでしょうか?
また陰イオン界面活性剤におきましては、メチレンブルー法による抽出及び廃液回収の工程を密閉系設計とすることにより、検査担当者はクロロホルム試薬瓶の開栓と廃液瓶の交換時に僅かな暴露を受けるであろう以外は密閉システム設計でありますから、装置の稼働中は用手法で受けるような暴露の心配は全く有りません。
そのクロロホルムも1サンプル当りの使用量は5mlにまで削減されており、同時再現性精度も基準値の1/100に於いてもCV=2.0%を確認しております。(添付ファイル 4、1ページ)現在(原則)(4)項「ベンゼンなどの有害物質を極力使用しない方法であること」に抵触するやに思いますが、メチレンブルー法とエチルアルコール抽出と言う方法で既に簡易測定キット(添付ファイル 5、1ページ)が販売されています。この簡易測定キットの手順工程の一斉自動分析化は現行の基準値/下限値の要求精度を踏まえ十分に達成できると考えております。

以上が仕様と性能についての概要であります。 シアン、フェノール類については一斉分析/吸光光度法として上記(原則)に抵触するところはなく、むしろ(原則)(6)項に適うものと考えます。
また陰イオン界面活性剤につきまして、今回の(案)は提案されているいずれの検査法もLAS(直鎖アルキルスルフォネ-ト)のみを検査するもので非直鎖スルフォネ-トは測定できません。
このことは別添の経済産業省鉱工業動態統計室の資料(添付ファイル 6、2ページ)に基づき、例えば陰イオン界面活性剤の2001年販売量から統計的視点に立って推計をすれば60%以上が補足されない可能性のあることが強く示唆されます。 
陰イオン界面活性剤を改めLASと言う検査項目名に変更されるのであれば別問題ですが、水道水の陰イオン界面活性剤の基準値を担保していると利用者に説明することは無理が有るように思います。
その一対応策として、メチレンブルー法による一斉分析/吸光光度法は同時に“公定検査法と同等以上の検査法”の認定制度のご議論もなされていましたので、
その体制確立スケジュールに連動して暫定猶予期間を設ける形ででも残留させる必要が有るものと考えます。
以上の見解を踏まえまして、シアン、フェノール類、陰イオン界面活性剤の一斉分析/吸光光度法は現状に於いても自動化法の一翼を担う公定法として水道行政を補完しており、今後についても十分に貢献できる

351 2. 上記6項目の一斉分析/吸光光度法によるバックデータについて
「上水試験方法 2001年版」に自動化法として「連続流れ分析法」が採用される根拠となったバックデータを提出します。(添付ファイル 7、39ページ)
3. 吸光光度法による高感度測定技術について
現行上記6項目の吸光光度法が全て排除されることに関しまして、それらは水道水(及び原水等)をサンプルとする検査法として、どのような方法論的欠陥なり限界が存在するのかについて議事録で拝見する限り十分なご指摘が無かったように思われました。 過去2世紀の時間をかけ築き上げてきた人類の比色法の遺産を当改訂に向けて精査、取捨選択の為の十分な時間を確保していただきたかったと感じています。比色法でも自動分析装置とコンピュータを接合することにより、例えば金属関係の分析に於いても、ICPレベルの感度を確保することが可能であることを、事例をもってご紹介させて頂きます。
(添付ファイル 8,1ページ)・・・各種測定項目の定量下限値表
(添付ファイル 9、5ページ)・・・琵琶湖に於けるバナジウム(IV、V)の分離定量
4. 連続流れ分析法はISOメソッドとしても認定されています。
今回の見直しは、WHOの見直しがきっかけであると理解しています。国際間に於けるデータのトレーサビリティーの立場からも、連続流れ分析法は一分析技法として既にISOメソッドの認定を受けています。
シアン、フェノール類、陰イオン界面活性剤(MBAS)についてのドキュメントの表紙のみですが 提出致します。尚ご要請があれば全ドキュメントを提出させて頂きます。(添付ファイル10、3ページ)
5. 連続流れ分析法とデータの信頼度管理、精度管理について
 連続流れ分析法を自動分析装置として機能させるには、高度なコンピュータソフトウェアーが不可欠な要素であります。そこに於いてソフトウェアーは装置の機械動作、電気信号及び試薬/サンプル間の反応工程の状況を全て監視しており、結果として一サンプル毎のデータの信頼性を“ピークモニター”と言うパターン認識ソフトを介し確認/立証しております。(各サンプル毎に、分析工程異常の有無を、連続的に波形形状としてモニターしています)
 更に、精度管理用サンプルを用意することにより、当該測定バッチ(一回ごとの測定開始から終了までのサンプルの一塊)ごとの変動(CV%)状況を自動的に把握することも容易なことであり、毎測定ごとの測定精度の把握とその管理は連続流れ分析法の採用により初めて可能となります。(添付ファイル11、2ページ)
 例えば、ELISA法を例に挙げて恐縮ですが、検査の供された一テストチューブから得られた測定結果の信頼性はどのような裏付けに基づいて担保されうるのでしょうか?
(例えば、酵素試薬の安定性の確認(?)や、各テストチューブごとのモノクロナール抗体の安定性/均一性の確認(?))
352 H15.4.13 88 有田 一彦 原水の水質基準について
水質基準の範囲として、浄水処理したもの(給水栓水質)だけで良いのか
(案)の「・.基本的考え方」では、水道法第四条の規定から水質基準は「原水について適用されるものではない」とされています。本当でしょうか。それで充分なのでしょうか。第四条でいう「水道により供給される水」が給水栓等から出てくる水のことだとすると、水質基準はたしかに原水についてのものではありません。しかし、「水源及び水道施設並びにこれら周辺の清潔保持並びに水の適性かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなけれならない」とする水道法第二条の規定から考えると、水道法において原水の水質基準を設定することが必ずしも排除されているわけではないはずです。後述するように、農薬やクリプトスポリジウムの汚染のように、原水に関する水質基準を設けなければ給水栓の水質に重大な支障がある場合もあり、給水栓の水質基準で対処するよりも原水基準を設けて対処する方が合理的ではないでしょうか。今回の(案)でも 謔闖繧ーられている食品衛生分野の危害分析・重要管理計画(HACCP)の考え方では、原料から製品までを包括的に対象とします。水道水質でいえば原水から給水までを対象とすることになります。実際、米国サンフランシスコ市水道局ではクリプトスポリジウム対策において、このHACCPの考え方を採用し、水源地域の家畜放牧に一定の制限を設け牛馬の糞便由来の汚染を食い止めようとしています(文献1)。 
また、欧米の水道機関では水源貯水池などに水質基準を設定して管理運営しているところは決して少なくありません。むしろ、欧米では、いろいろな規制を設けて水源保護のために尽力しているという方検討・改善の余地ありというべきところでしょう。給水栓の水質をより良いものにしていくためには、原水の水質基準や水源環境の保全規定を制定していくべきであるというのが私の意見です。今回の(案)に組み込むことは時間的にも内容的にも無理かもしれませんが、今後の検討の中でこの点について鋭意検討してほしいものです。
353 消えた農薬基準
 今回の(案)では現行基準にある農薬のシマジン、チラウム、チオベンカルブ、1,3-ジクロロプロペンが「維持する必要はなし」とされています。(案)では「水質基準への分類要件に適合する農薬については、個別に水質基準を設定する」としておきながら、現行の農薬は「適合しない」と判断したのかもしれません。しかし、これには疑義があります。(案)でも指摘されているように、農薬は対象とする病害虫や散布地域、または病害虫の発生時期に応じて散布される時期も限定されますが、使用される農薬とその汚染の程度は個々の地域間で大きな隔たりがあると考えるのが妥当です。したがって、農薬汚染は個々の水道事業体の水源後背地の土地利用形態や産業状況で判断すべきものであり、全国網羅的な水質基準からすべてを排除してしまうと、農薬汚染が発生し得る地域とそこでの汚染による問題を排除しかねません。問題となる農薬については、予め水質基準項目にいくつか掲げておき、地域特性において取捨選択できるような枠組みを作っていただくことはできない相談なのでしょうか。
また、農薬については原水基準を設けて対応してほしい、というのが私の率直な意見です。給水水質対応の「出たとこ勝負」の基準ではなく、農薬の使用状況と水源地域の汚染との関係を考慮して、それぞれの水道事業体で原水基準を設けて対処する方が、より安全度の高い給水水質を得ることができるものと期待されるからです。いずれにしても、このままでは農薬汚染に関しては水質基準項目から排除されたことになり、水道事業体での関心が薄れてしまうことを私は危惧します。
354 クリプトスポリジウム評価の誤り
最も深刻な被害者集団を無視するのは誤った対応
 今回の水質基準(案)において、クリプトスポリジウムは組み込まれませんでした。その理由について、「極めて多量の試料水を用いて検出されないことを確認することが求められていること、また、クリプトスポリジウム等の検出方法に未だ問題点が残っていることから、現実的ではない」と指摘されています。指摘されている点は理解できますが、塩素消毒に耐性のあるクリプトスポリジウム問題を放置したままで良いのでしょうか。給水栓での水質基準で対応が難しいのなら、汚染の可能性の高い地域を限定して原水基準を設けるか、あるいは定期的なモニタリングを義務付けるなどの措置がとられるべきではないでしょうか。
 今回の(案)では健常人への影響しか考慮されていません。これは誤った対応であり、深刻な被害を受ける人たちを差別するようなものです。1993年の米国ミルウォーキーでの感染被害において、健常者の死者は数人でしたが、免疫系に問題のある人たちの死亡者数は約100〜120人でした(ミルウォーキー衛生局等での聞き取り調査による)。つまり、死亡を含む重篤な影響を受けたのは健常人ではなく、HIV/エイズ患者をはじめとした免疫疾患を持つ人たちや、ガンなどの化学療法を受けている人たち、あるいは大きな手術の後で身体の免疫状態が著しく低下した人たちだったのです。最も深刻な被害を受ける集団の健康や生命を守ることを第一に考えないような(案)の考え方では、問題解決とはなりません。旧厚生省の「クリプトスポリジウム暫定対策指針」においても、免疫疾患をもつ集団への配慮が欠落していました。そのことを私らが当時の水道水質管理室長に指摘したところ、旧厚生省保健医療局エイズ疾病対策課長名で「水道水中のクリプトスポリジウムによるエイズ患者等の感染防止対策について」(健医疾発第9号 1997年8月28日付け)という通知が出ています。HIV/エイズ患者らに対して、「飲み水については、煮沸したものを飲むことが最も良い方法です」等ということを医療機関等に周知させるようにとの内容でしたが、おそらくはじめて国が水道水の煮沸の必要性を提示したものであったと私は理解しています。
そういった経緯があるにもかかわらず、今になってもクリプトスポリジウム対策の対象として健常者しか考慮していないのはいったい何故なのでしょうか。クリプトスポリジウム汚染は、比較的病原体がカウントしやすい原水レベルにおいて検査する方が検出しやすく、原水基準を設けて対応するのがベターです。また、原水においてクリプトスポリジウム汚染が判明した場合、消費者にもその情報をきちんと公開していくことも必要です。
実際、今回の(案)において微生物に係る基準の担当主査である遠藤卓郎氏(国立感染症研究所)は、「たとえ原水であっても国民に知らせるのが当然」との見解でした(1997年9月17日テレビ朝日「サンデープロジェクト」番組での取材)。
しかし、今回のクリプトスポリジウムに関する検討内容には原水の水質検査についての話はありません。既に世界各国や日本でもクリプトスポリジウムの集団感染が発生したことを考慮するなら、不幸にも汚染が給水系に広がってしまった時のことを想定することが重要です。
その場合、緊急対策として「なま水を飲まないこと」等の警告を提示できるシステムの整備も必要で、とくに被害が深刻な集団に対する警告は欠かせません。水質基準としての兼ね合いで検討しておく必要もあるはずです。
以上、クリプトスポリジウム汚染に対しては、まず、健常者ではなく最も被害の影響が深刻となる集団の健康を第一にした基準策定が必要であること。
2番目に、原水の水質基準を設けるか、あるいは水源地域の土地利用規制か監視システムを策定する必要があること。
三番目として、「なま水警報」等のシステム作りと水質基準との連係が必要であることを強く指摘しておきます。
355 基準項目の評価の問題点
 基準項目の評価にざっと目を通してみると、一見科学的なアプローチを採用しているかのように見えて、実はかなり作為的なことを行っているものが散見しました。全項目について意見を述べるのは別の機会に回しますが、とくに気になったものをいつくか示します。 まずトリハロメタンのクロロホルム。TDIを求める計算過程はWHOのガイドラインで採用されたものと同じになっていますが、TDIに対する飲料水の寄与率を20%にしているので、(案)では0.06mg/Lと計算されています。一方、WHOは寄与率50%、体重60kgを採用し、評価計算値は0.2mg/Lとなっています。どちらも同じ仮定を用い、計算過程も同一であるにもかかわらず、0.06mg/lと0.2mg/Lというように基準値が大きく異なるのは、TDIに対する飲料水の寄与率の数値の選択による違いが大きく影響しています。
 WHOの評価における寄与率50%は無前提的に決めたわけではありません。
クロロホルムが発ガン性物質であることを考慮し、ビーグル犬での7.5年にわたる毒性試験結果と照らし合わせた上、TDIを求める計算で飲料水の寄与率に50%を採用しています(文献3)。しかるに日本の(案)では無前提に寄与率を20%に設定しています。これには何か特別な意味があるのでしょうか。1992年当時に提出した0.06mg/Lという基準値にツジツマを合わせるためではないかという勘ぐりもできますが、真相は私にはわかりません。基準値は低ければ低い方が良いという考え方を採用するなら、(案)の評価値に算出された0.06mg/Lは歓迎しなければならないところです。
でも、それでは水質基準の科学的根拠についての曖昧さと不信感を残してしまいます。評価値を低く算出することで、あまり危険性のない水質項目に対する消費者の不安を煽り、水質検査の拡充や民間委託への試験内容の拡充などの便宜供与を図っているのではないことを強く願う次第です。次に鉛。鉛の水質基準は2003年4月1日から0.01mg/Lに変わりました。やっと国際的にみて恥ずかしくないレベルになったという意味で歓迎できるものですが、評価値の説明箇所には違和感があります。鉛の評価における説明は、既に前回の基準改定の1992年でも明らかになっていたWHOの説明と全く同じであり、当時はその説明を使わず、日本の鉛管などの敷設状況などを考慮して基準値が緩められていました。
今回の基準でやっと国際水準になったとはいえ、基準値が科学的根拠ではなく、別の事情で決められていること、あるいは1992年から2002年まで鉛の危険性が放置されてきた「失われた10年」の責任について、
全く不問にしたままであることに改めて不信感を持たざるを得ません。
pHについても一言。今回の(案)でも相変わらず、5.8〜8.6という基準のままとなっています。この幅広いpH範囲は、科学的根拠ではなく全国各地の水道事業体の実態に基づくものだという指摘は以前からなされてきました(文献4)。
私自身もpH基準は「基準というのは名ばかりの免罪符」だと主張してきたところです(文献5)。
金属の腐食などを防止するという目的を掲げるのであれば、真摯に評価検討を行い、妥当な基準値を策定すべきではないでしょうか。いずれにしても、水質基準項目の基準値設定には必ずしも科学的根拠には基づかない、
何か別の要因が含まれていることが明らかです。
「人の健康に対する悪影響を生じさせない」とか「生活利用上の障害をきたさない」という建前論ではなく、
基準値が規制値なのか目標値なのか、あるいは勧告値なのか、明確な定義を設けて曖昧さを排除し、科学的観点から理路整然とした評価を行って設定されることを願って止みません。
356 民営化のための水質基準とその問題点
 今回の(案)は2002年7月24日付けの厚生労働大臣の諮問の第三番目に「公益法人に対する行政関与の在り方の改革実施計画に対応するための水質検査機関等の登録制度化」に基づいた検討がなされています。これは水質検査の民営化に関するものだと推察されます。水道事業の民営化議論は横に置くとしても、水質検査を民間に委託することについては、いろいろ問題があることを指摘しておきます。まず、水質試験に関する責任問題。(案)では、水質試験の精度や信頼性、あるいはサンプリングなどについて検討が加えられています。単に作業だけの委託であれば話は簡単ですが、水道法第四条に規定する水質検査は水道事業の品質検査ですから、データの精度や信頼性はもちろん、その遂行に当たっての倫理規定についても問われてくるのではないでしょうか。つまり、試験結果の捏造や改変に関するペナルティや罰則などの予防措置、水質検査に関する守秘義務の履行措置も必要になってくるはずです。基準項目水質基準を民間委託できる形に体裁を整えただけでは、それらの責任問題が曖昧になってしまいます。 次に情報公開について。現在、水質検査の結果が消費者に充分に公開されているとは言い難い状況です。水質検査の結果を冊子等にして図書館などで公開している水道事業体があることは知っていますが、それは一部の事業体のみ。水質検査は国に報告するために実施しているのであって、市民に公開するために行っているのではない(概意)と主張する某水道企業管理者もいるのが実情で、全国を見回してみると非公開の態度をとる事業体が多いのではないでしょうか。 そのような状況下で、水質検査の民間委託が推進されるとすると、今でさえ不十分な水質検査の実態が余計に消費者から見えなくなってしまいます。つまり、水質試験結果の民営化が水質データの制度的隠蔽に繋がりかねません。そうならないためには、消費者へ検査結果を情報公開するような制度的枠組みが必要です。水質検査の民間委託に際しては、試験遂行の責任の明確化や、情報公開制度を是非検討されるように強く望みます。
(文献)
1.San Francisco Public Utilities Commission 資料  "HACCP -based Program to control 
Cryptosporidium and other waterborne pathogens in the Alameda Watershed " 1997
2.San Francisco Public Utilities Commission "Alameda Creek Watershed Grazing 
Resources Management Plan" July 1997
3.WHO "Guidelines for drinking-water quality 2nd edition Addendum to Volume 2" 1998
4.萩原耕一編著 「水質衛生学」 光生館 1985
5.有田 一彦 「あぶない水道水」 三一書房 1996
357 H15.4.13 89 樋口 慶郎
エフ・アイ・エー機器株式会社
本案では、いわゆる機器分析以外の「吸光光度法」が大幅に削除されているように拝見しました。吸光光度法は大型で高価な装置を使うことなく分析することが可能で、実際の分析業務を行っている特に小規模な現場でも日常的に遂行が可能な方法です。公定検査法の要件を満たす方法である分析項目については、吸光光度法も可能な限り選択できるようにするべきではないでしょうか。
最新の上水試験方法(2001年版)では吸光光度法は記載されていますし、その分析原理に基づく「連続流れ分析法」も最新版では無機イオンを中心に、10項目に新たに採用されて、選択の可能性が発生しました。ICのように一斉分析という観点では、その機能はありませんが確度、検出限界など公定検査法の要件は満たしているように思います。
以上、ご検討頂ければ幸いです。
358 H15.4.13 90 栄研器材株式会社
開発本部
柳沼健史
さて「水質基準の見直し等について(案),X1.今後の課題,別紙3.水質検査法
(案)。2.個別分析法 基01.一般細菌の項 標準寒天培地法(一)培地 標準寒天
培地の内容について私見を論べさせせていただきます。
「水質基準の見直し等について(案),X1.今後の課題,別紙3.水質検査法(案)。
2.個別分析法 基01.一般細菌の項 標準寒天培地法(一)培地 標準寒天培地は、「ペプトン(カゼインのパンクレアチン水解物)5g、粉末酵母エキス2.5g、ブドウ糖1g及び粉末寒天15gを精製水約900mLに加熱溶解させ、滅菌後のpH値が6.8ないし7.2となるように調整した後、精製水を加えて1Lとし、高圧蒸気滅菌したもの」とされ、培地成分(1Lあたり)に精製水を加えて全量を1Lとするようになっています。これに対しまして2001年版および1993年上水試験法(*1)、乳および乳製品の成分規格に関する省令(*2)、衛生試験法・注解(*3)また各培地メーカーの標準寒天培地の調製法は、2001年版および1993年上水試験法(*1)と同様な調製法が記載され、培地成分(1Lあたり)に精製水1Lを加えるようになっております。以上のことより標準寒天培地の調製法は、2001年版上水試験法と同じ調製法が良いと考えます。*1:2001年版および1993年版上水試験法の標準寒天培地ペプトン5.0g、ブドウ糖1.0g、粉末酵母エキス2.5g、粉末寒天15gを精製水1Lに加熱溶解し、滅菌後のpH値が7.0±0.1になるようにpH調整した後、121℃で15分間高圧蒸気滅菌する。*2:乳および乳製品の成分規格に関する省令(二)牛乳、特別牛乳、殺菌ヤギ乳、部分脱脂粉乳、脱脂粉乳および加工乳の成分規格並びに製造および保存の方法の基準(1)牛乳をはじめとする成分規格に細菌数の規定があり、標準培養基として、ペプトン5g、酵母エキス2.5g、ブドウ糖1gおよび寒天15gを精製水1,000mLに合して加熱して溶解し、高圧滅菌する(滅菌後のpHは7.0から7.2までとする。)*3:衛生試験法・注解(2000年版)では酵母エキス2.5g、ペプトン5g、グルコース1g、寒天15g、精製水1L、pH6.8〜7.2。食品衛生検査指針(1990年版)では、標準寒天培地の調製法詳細な記載なし。
359 H15.4.13 91 京都府営水道事務所勤務
近藤 博文
1 2-MIB及びジェオスミンについて
 「水質基準項目ではなく水質管理目標設定項目とする事が適当と思われます。」
(理由)
 今回の基準値設定においては高度処理施設における処理が根拠となっていますが、活性炭注入により対応している事業体も多く、それらの事業体においてはかび臭生物(物質)発生期には常態的な基準値超過も予想されることから、水質管理目標設定項目として検査優先度の高いものとして当面監視を行うことが現時点では適当と考えられるから。
360 2 臭素酸イオンについて
 「水質基準項目ではなく水質管理目標設定項目とする事が適当と思われます。」
(理由)
 臭素酸イオンはイオンクロマトグラフポストカラム(IC-PC)でのみ測定可能であり、IC-PCが不可欠といえますが、高度処理施設を有する事業体以外については導入しているところは少ないものと思われるから。また、現状のIC-PCをもちいても必ずしも基準値の1/10を精度よく測定できるとはいえず、測定方法が確立されているとは言い難いと考えられるため。
361 3 農薬について
 「101項目のうち使用状況等により選定し測定することとなっているが選定を行う際の基準(ガイドライン)を明らかにしてほしい。」
(理由)
 今回の基準(目標)値設定方法においては選定する農薬の項目により数値が異なるものと思われます。従って、選定にあたっての何らかの基準(ガイドライン)を明らかにしておくことが必要と思われるため。
362 4 水質検査における精度と信頼性保証について
 「水道の水質検査独自の制度(規格)制定のお願い。」
(理由)
 委員会の議論の中でもあったようにISO規格そのものが国際間の取引の際の規格を定めるものであり、輸出入が例外的な事例と考えられる水道水に本規格を導入するのは無理があり、水道の水質検査の性質を考慮した何らかの制度(規格)の制定の検討が必要と思われます。
363 5 移行(猶予)期間の設定について
 「今回の水質基準の見直しについては平成16年4月の施行を予定されていると聞いていますが新しい基準に移行するための移行(猶予)期間が必要と思われます。」
(理由)
 今回の見直しにより追加された新規項目への対応はもちろんのこと、測定方法の変更が必要な項目も多い事と予想されます。また、それに伴って機器等の導入が必要となることも予想されることから、一定期間の移行(猶予)期間が必要と思われます。
364 H15.4.13 92 神戸市環境保健研究所
環境化学部
地方財政状況を考慮していただきたい。
臭素酸、有機物質(TOC)、シアンについては新規機器の購入が必須である。
従って有機物質、シアンについては5年間は旧の方法でも可としていただけないでしょうか、また、臭素酸については従来のICで測定できるような暫定基準値で対応していただけないでしょうか。
365 H15.4.13 93 社団法人 消費生活相談員協会消費者情報研究所主任研究員
中村文子
1) 水質基準強化の実効性について
・ 水道水質に対する消費者の不安・不信を解消するために、水道法に定められた水質検査の実施体制の強化を要望します。
・ 中高層住宅等の高置水槽の問題の解決のために、改正水道法による貯水槽水道の水質管理について、対策の強化を要望します。
366 2) 消費者への情報提供等について
・ 鉛、クリプトスポリジウム等の問題について、消費者啓発のための情報提供を要望します。
・ 地域性・効率性・適正な浄水処理・水質検査体制等の問題について、消費者への情報の公開と、消費者の意見を反映させることを要望します。
367 H15.4.13 94 東総広域水道企業団
おいしい水づくり課
課長
名雪 輝直
水道にとりまして、水道利用者へ「より良質で安全な水道水を供給する」ために水道水質基準の見直しが必要であることは十分承知はしております。 しかし、今回の水質基準の見直し(案)につきまして、「地域性・効率性を踏まえた水質基準の柔軟な運用」の考え方になっているとのことでありますが、当方のような利根川の最下流や水源水質の悪い地域では地域特性として選択可能な水質項目には限界がありますので、「地域性を踏まえた柔軟な運用ができる」ということについては疑問を感じます。
 なお、原水水質の悪い中小規模の水道事業体等にとりましては、財政事情や水質検査職員の確保が困難な現状におきまして、今回の水質基準見直し(案)は水質管理項目の増加となり、非常に厳しい状況になることをご承知頂きたいと存じます。
368 H15.4.13 95 宮崎市水道局
水質管理課
後藤吉明
改正案にある「シアン」、「陰イオン界面活性剤」及び、「フェノール類」の水質検査方法について従来の「吸光光度法」及び「連続流れ分析方法による吸光光度法」をお認め頂けますよう強く要望いたします。理由:2001に改訂された(社)日本水道協会「上水試験法」の「連続流れ分析方法」の代表的な装置であるオートアナライザーを採用し使用しております。この分析方法が否認されますと、検査体制や今まで投入してきた経費などが多大な負担になります。現在分析方法がようやく起動に乗り、分析上では基準値に対する要求精度も問題なく、また一斉分析が可能であり迅速に試験対応ができる装置であると思っております。
369 H15.4.13 96 金陵電機株式会社分析営業部
カストマーサポート課
山下 俊幸
意見,「別紙3 水質検査方法案 2.個別分析法 基14 1,4-ジオキサン」にヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析法を追加して頂きたいこと。理由:ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析法は感度の面において、1,4-ジオキサンの基準値0.05mg/Lの1/10の濃度である「0.005mg/L」を定量下限値とすることが可能です。0.005mg/Lにおけるシグナル-ノイズ比(S/N比)は1H15.4.2であり、定量に充分な感度であることは明らかであります。さらに基準値0.05mg/Lの1/10の濃度である「0.005mg/L」における変動係数は11.6%(n=7)であり、良好な再現性が得られました。これにより、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析法による1,4-ジオキサンの測定は、水道水質の検査法として感度及び精度に関し設定されている「(1)原則として基準値の1/10の定量下限が得られること。(2)基準値の1/10付近の測定において、有機物ではCVが20%以内であること」の条件を満たすことが示されました。
また、0, 0.005, 0.05, 0.1, 0.5mg/Lの5点検量線における相関係数は0.999と良い直線性が認められました。
他の揮発性有機物質(VOC)と混合しスキャン測定した場合においても、1,4-ジオキサンは充分に分離されました。トータルイオンクロマト(TIC)では、ブロモジクロロメタンと1,4-ジオキサンのピークが重なっていますが、マスクロマト表示による確認の結果、明らかに両者は分離されていました。実試料として水道水に1,4-ジオキサンを0.005及び0.05mg/Lとなるように添加し、繰返し測定した結果(n=3)、変動係数は5.5及び5.1%であり標準液と同様に良好な再現性が得られました。以上のことから、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析法による1,4-ジオキサンの測定は、要求される条件を満足できることを確認した上で用いられるならば問題無いと考えられます。「別紙3 水質検査方法案 2.個別分析法 基14 1,4-ジオキサンにヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析法を追加すること」を御願い致します。
370 H15.4.13 97 高知衛生研究所
金田妙子
1.地域差、水源差等を考慮し、多様性に対応した基本方針は歓迎です。
適切に項目や頻度を選定できるかが鍵でしょうから、そのために水道事業体が判断しやすい、あるいは行政機関が指導しやすいように、お示しください。
*伏流水は地下水、河川水の両方の項目を考慮して選定でいいでしょうか。
*新項目1,3-ジオキサン等の検査頻度について詳細な条件
 地下水全てを3年間実施する県、MC汚染がない、あるいは汚染のおそれがないので0〜数回の測定で判断する県と、異なってきます。MC汚染がなければ省略可能等全国共通の判断条件は、できるだけ詳細にご指導ください。
*行政機関の役割を明記 私は、県で項目、頻度をチェックすべきだと考えています。
371 2.農薬は目標値だけでいいか疑問
 目標値とすれば、汚染のおそれがある機関でも検査しないかもしれない。当所では保健所が選定した約10カ所について、行政的に(無料)年1回検査を行ってきました。検出されたイソプロチオラン、メフェナセット、ブロモプチド等は全国的にも検出される項目です。項目の選定が難しければ、総農薬を基準項目とし、検査省略可能で散布時年1回以上とすれば、汚染のおそれがあるすべての機関が検査を受けるようになると思います。
372 3.試験法に追加等
*ホウ素:吸光光度法追加。十分に精度確保が可能。また、海水の淡水化のみでなく、鉱泉の影響で高い水源例はないのでしょうか?
*pH値:検体の温度も標準液と同一であることを記載。温度補償=検液の水温補償と思っている機関が多い。
*水銀:標準液、サンプルにL−システインを添加して安定化。
373 4.味の検査について
  味の検査に関する全国アンケートの資料を送付します。クリプト、化学物質等汚染の可能性のある水を口に含む検査者のリスクと、飲めない水を供給するのかというジレンマ、官能法という時代に逆行する判定の曖昧さ、全国の検査者は悩んでおります。
精度管理が要求され、GLPに従って当日検査をまもり、時にはクリプト等汚染のおそれがある試料についても、一律に検査しないといけないシステムです。
試験室では様々なトラブルがあります。例えば、私にも成績書ソフトの作成者(検査未経験者)が「外観異常があっても、項目にあれば検査しないといけない」と主張して味の項目省略用(−)を作成してくれなかったことや味検査容器にAsが多量に検出された経験があります。
おそらく、各機関では、新任者がまず担当になり、不安、不満を声に出せない・・・・・
全国アンケートでは、味の検査は「必要でない」と答えた検査者が「必要である」より上回りましたが、検査では、おいしい/おいしくないの識別、口からの臭気は鼻で嗅ぐより高感度であり、塩素イオン濃度も推定して、滴定時の希釈率を得ることも可能です。なにより飲料水である以上欠かせない項目だと思います。
そこで、次のように通知等で指導をお願いします。
*水道事業体自身が味の検査をする。
指定検査機関依頼は、採取時に味、臭気、残留塩素の検査をし、持ち込み時に指定検査機関に提出する。(試験は常温可とする。飲み慣れている者が一番異常に気づきやすい。)
これを絶対評価としたら、相対評価を指定検査機関で実施する必要があるかもしれないが、現状ではその物差しがないので意味がない。問題は、緊急時等味の検査が必要な時、検査者が識別できるかどうか。一般的に経験のない者は判断が難しいが、事業体が検査した試料を再度確認する、あるいは大人数で検査すればカバーできると思う。
家庭用飲用井戸については、原則として省略する。
*試験方法
試験法では液温40-50℃、汚染のおそれがあるときには塩素消毒。これに常温(室温)、汚染時煮沸も入れる。(クリプト汚染のおそれは煮沸と厚生労働省から回答を得ています。)
曖昧さについては、順次標準液と濃度を決めていく。塩素イオン濃度から塩味と判定する機関もありましたが、Mg等の濃度に左右されますので必要と思います。
374 5.総合的指標としてバイオアッセイが必要と考えます。将来的には、原水での魚等の飼育による急性毒性、定期的に魚等を分析した慢性毒性を把握するシステムの開発が望ましいと思います。
375 H15.4.13 98 財団法人ひょうご環境創造協会 1 吸光光度法の取扱いについて
現行の水質基準に関する省令において、検査方法として吸光光度法は『鉄』、『シアン』、『硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素』、『フッ素』、『陰イオン界面活性剤』、『フェノール類』の6項目に採用されていますが、この度の「水質基準の見直し等について(案)/平成15年3月」(以下(案)という)では、新規項目の『非イオン界面活性剤』のみに吸光光度法が採用されていますが、現行上記6項目からは吸光光度 法がすべて排除されています。水道水及び原水をサンプルとする検査法として、吸光光度法にどのような欠陥なり限界があるのでしょうか。
 現行法に問題があり変更するのであれば、やむを得ませんが、そうでないとすると歴史ある分析法を変更する理由を明確にしてもらいた。また、どちらでも良いのであれば、両法を可とすべきであると考えます。実績ある分析法を変更した場合、新法によるトラブルを解消するまでまだまだ時間が必要ではないでしょうか。
376 2 シアンについて
 当協会においては、【2001年版 上水試験方法】に従い、吸光光度法による連続流   れ分析法を既に採用し、順調に稼働しています。測定方法はクロラミンT−ピリジンピラゾロンによる吸光光度法です。定量下限値も基準値の1/100程度まで、また、時間当たり20サンプルを測定しており、精度面、効率面で大いに効果をあげています。
 以下、稼働状況の概略を示します。
 1ヶ月の平均サンプル数  800件
 精度(基準値/10=1.0ppbにおいて)  CV=(2.3〜H15.3.3)%
 なお、(案)において「今後3年のあいだ吸光光度法を使用してもよい。」と記載されていますが、当協会業務においてはなんら支障無く、かつ、効率的な方式を3年後には廃止されるということに関しては、再考いただくことを強く要望いたします。
 また、リスク管理の面から提言させていただきますが、原水へのシアンの流入事故は否定できないと思います。そのような事態がもし発生したとしても、吸光光度法による連続流れ分析法では、シアン単独モードに変更すれば時間当たり60サンプルを上回る高速測定も可能であり、リスク管理の一側面を補完できる貴重な検査法でもあることを申し添えます。
 結論として、各事業所の規模に応じて対処できるよう検査法の種類の検討は柔軟に対処していただきますようお願いします。
377 3 フェノール類について
 当協会においては、【2001年版 上水試験方法】に従い平成13年度に吸光光度法の流れ分析法による一斉分析方式を採用しましたが、この流れ分析法はその分析工程において、サンプルのクロロホルムによる抽出/濃縮工程も不要であり、所定の精度の確保が可能です。検査法は4アミノアンチピリンによる吸光光度法ですが、蒸留処理工程を含め時間当たり20サンプルを一斉分析方式で問題なく稼働しています。特に処理効率の利便性において、昨年河川へのフェノール流出事故が発生した時、原水観測に多大な威力を発揮し、フェノールの単独測定モードで時間当たり50サンプルの高速測定で対応したことを特記しておきます。原水の管理、流出事故へのリスク管理の立場からも(案)で示されているGC-MS法/HPLC法による検査法のみに限定されることは水道行政を円滑に遂行するうえでも支障があると考えます。少なくとも吸光光度法は削除されないことを強く要望します。
378 H15.4.13 99 岩手県環境保全課
水道係
1 現在の監視項目から基準項目に移行するものについては、本県の水質管理計画における水質監視地点では概ねクリアされています。
しかし、それ以外の水道において地域的な特性から、基準をクリアできない水道が存在した場合、水源の変更などの対応が早急には不可能な場合も推測されますので、対応に必要な経過措置期間及び新基準への対応に必要な特別財政支援を要望します。
379 2 本県では58市町村中40市町村が自主或いは共同検査施設により水質検査が実施されています。基準項目の追加に伴い、分析機器の整備が必要となる施設もあることから、これらの検査施設に対する特別財政支援及び整備に要するに十分な経過措置期間を要望します。
380 3 建築物の衛生的環境の確保に関する法律施行規則第三条の三第一号において、空調設備等の用水として使用される水についても水道法の水質基準が適用されることとされています。
 水道法の水質基準が準用されている他法令への影響についても熟慮のうえご検討願います。
381 4 省略不可項目の設定についても、水道事業者の裁量に委ねることを要望します。
水道事業者が事前に検査計画を公表し、住民の同意を得られるのであれば、全基準項目において検査頻度の設定ができるようにご配慮願います。(検査計画のガイドラインが示されることが前提にありますが。)  
382 5 本県では、保健所において、省略不可項目を飲用井戸の検査項目として住民からの依頼検査を受けていますが、省略不可項目の追加に伴い保健所の機器整備が必要になります。
ついては、保健所の機能強化のための財政支援について貴課から関係課への働きかけについて特段のご配慮をお願いします。  
383 6 飲用井戸等衛生対策要領(衛水第12号生活衛生局長通知)において、飲用井戸の設置者に対し、省略不可項目及び有機溶剤の中から必要な項目を検査するよう定められてありますが、基準改正後はこの要領を改正することになるのでしょうか?
本県では、飲用井戸の設置者に検査の実施を指導する場合、基本的に省略不可項目と必要項目についての検査を実施するよう指導していますが、省略不可項目数の増加で検査料金の高騰が予測されることから、検査頻度の減少など井戸水の衛生管理の低下が懸念されます。 
ついては、飲用井戸の設置者への検査実施の指導は、県の判断において現基準の省略不可項目を簡易検査項目として採用することに支障はないでしょうか?  
384 7 本県は、現在約92万人が水道から給水を受けておりますが、内約55万人は滅菌のみの処理による水道水を飲用しています。近年、そのような水道でクリプトの指標菌の検出事例がありました。法第22条に基づく措置としてクリプト対策が位置づけられた場合、全ての水道にろ過施設の設置が義務付けられることになります。その場合、各事業者に財政的のみならず管理上の膨大な負担が増え、さらに料金の高騰の原因なりますので、慎重な検討をお願いします。  
385 H15.4.13 100 仙台市水道局 給水部
水質検査課
水質第二係主任
大沼国彦
(1)今回の水質基準改正においては、水道部会や水質管理専門委員会のメンバ−のなかに 水道事業体が全く参加しておらず、実際に基準を遵守する立場の水道事業体の事情や意見などを取り入れる機会がなかったと考えられるが、その理由について教えてほしい。  
386 (2)水質管理目標設定項目については、目標値の根拠と、必要検査頻度を明確に提示して もらいたい、また、要検討項目の取扱いは具体的にどのようになるのか?(特にダイオキシン類について)、さらに、水質管理目標設定項目、要検討項目が、今後基準項目へ 移行する見通しについてどのようになるのか、教示願いたい。  
387 (3)基準項目の非イオン界面活性剤の0.02mg/lについては、現行のフェノ−ル類 と同じく、定量下限値=基準値であるが、今後、基準値の1/10の0.002mg/lまで測定できる分析方法の検討については考えているのか、教えてほしい。  
388 (4)鉛についての採水方法はどのようになるのか、今までの流水か、今回提案されている 15分間滞留法で行うのか、後者の場合には、定期検査における採水がかなりの負担になると考えられるため、この際には必要な採水箇所数の基準を示していただきたい。  
389 (5)基準項目のジェオスミンや2−メチルイソボルネオ−ルについては、基準項目として ではなく、水質管理目標設定項目とすべきではないか。また、基準項目となった場合でも、検査頻度として、これらのかび臭物質を産生する藻類等の発生時期に併せて月1回以上の検査が必要とあるが、通常時の検査頻度の目安はどの程度とすべきなのか。  
390 (6)臭素酸については、検査の省略が不可となっているが、分析用として、ポストカラム が必要となるため、実際の測定までには、機器の整備など、時間がかかることが予想される。猶予期間としてはどの程度、厚生労働省で考えているのか  
391 (7)従来監視項目であった、ジクロロ酢酸やトリクロロ酢酸が基準項目となることはしか たがないとしても、今まで監視項目にもなっていなかったクロロ酢酸がいきなり基準項目となったのは実態調査結果によるものなのか、その理由を明確にしてもらいたい。  
392 (8)水質管理目標設定項目として、対象農薬として示された101項目の農薬の中から、 実際に水道事業体で検査を行う場合の選択する基準についてご教示していただきたい。さらに、今までの「ゴルフ場使用農薬」の取扱い方が、今後、どのように変わるのか も合わせて教示願いたい。  
393 H15.4.13 101 宇治市水道部  1 GLP制度での、ISO導入については当市のような人員体制(正職員2名、嘱託1名)では、維持していくことは非常に困難であります。制度が確立されれば、外部の機関に委託せざるをえなくなり、自らが検査することによる日々積み上げられたデータに基づく、工程管理を始め市民への対応等の業務に支障をきたす事になりかねません。市民の信頼を得、正確な検査を実施していくためには、精度管理が欠かせないものであり、GLP制度の必要性は十分認識しておりますが、中小規模の水道事業者が対応しうる範囲での制度、管理体制の確立をお願いいたしたい。  
394 2 検査方法について、吸光光度法が全て無くなり機器分析主体の検査方法となっております。当市では、2001年版上水試験方法による連続流れ分析計を3年度に分け導入し平成13年度より、シアン、フェノール、陰イオン界面活性剤の一斉検査が可能になったばかりです。今回の(案)により吸光光度法が使えなくなりますと、これまでの投資と新たな機器の導入という大きな出費を招きます。一斉検査のシアン、陰イオン界面活性剤の測定では、基準の1/10以下の測定が可能であり、フェノール測定でも工程管理には十分対応可能な測定方法であり、吸光光度法の復活を要望いたします。また、鉄の測定においても、機器分析法のみになり、1,10-フェナントロリン法が削除されておりますが、測定範囲が広く、地下水を水源とし、除鉄が主目的の浄水場を有する当市のような事業所には、原水も浄水も同じ検量線で、簡便に計れる方法として1,10-フェナントロリン法の復活を要望いたします。
395 3 基準の運用について、今回の(案)では、50項目全てが一律に取り扱われておりますが、現基準では、衛生的安全性の確保「健康に関連する項目」及び、基礎的・機能的条件の確保「水道水が有すべき性状に関連する項目」と分類され、運用に関する目安が明記されております。現基準と同様に新基準においてもこのような分類分けの復活を要望いたします。
396 H15.4.13 102 飯塚市上下水道局 1 ジェオスミン及び2-メチルイソボルネオールについて
・ 現在、当市貯水池である久保白ダム(明星寺宇治浄水場水源)は、比較的水質良好であります。しかしながら、ダム周辺に私有地が混在しているため、今後の生活雑排水の影響及び多目的ダムであるため、藻類の大量繁殖に対して対応に制限があることなどを考えますと、将来、このような汚染状況に万が一なった場合、改正基準(案)を守ることは難しいと考えられます。よって、改正基準(案)は、水質基準ではなく快適項目0.00001mg/lとして基準設定して頂きたいとご要望いたします。
397 H15.4.13 103 一関市水道部 1 陰イオン界面活性剤の検査方法について
・ 陰イオン界面活性剤は「合成洗剤の有効成分であるアルキルベンゼンスルホネートあるいはメチレンブルーによってクロロホルムに可溶な青色の錯化合物を形成するものである」(2001年版上水試験方法)と定義されており、水道水の泡立ちの原因となるものなので、表流水を水源とする当市では、重要な検査項目と位置づけ、メチレンブルーによる吸光光度法の原理に基づく、連続流れ分析法により陰イオン界面活性剤の検査を実施し、水質管理に役立てております。特に連続流れ分析法では、自動測定が可能であり、制度面、作業効率面で優れており、また、この方法はクロロホルムは使用するものの、装置自体は密閉系であり、検査員の安全衛生上問題がなく当市の水質検査業務に貢献しております。さらに、メチレンブルー吸光光度法においては、クロロホルムを使用しない方法も検討されているやに聞き及んでおります。今般の見直し案で採用されているhplc法では、5種類の標準品に該当する陰イオン界面活性剤についてのみの測定で、その総量を陰イオン界面活性剤として評価することになりますが、陰イオン界面活性剤の生産、使用実績からみて、その5種類だけで代表していいのか、ELISA法においては、酵素標識抗原試薬や1本ごとの抗体固定化試験管が所定の性能品質を保持しているとの確認はどのような形で確保されるかなどの疑念があります。このような状況を鑑みますと、今までのデータとの連続性の確保という面からも、陰イオン界面活性剤を総体で評価するメチレンブルー吸光光度法を削除されませんよう要望いたします。
398 H15.4.13 104 全水道北信越地方本部 1 地域性効率性を踏まえた水質基準の柔軟化について
・ 財政力の脆弱な事業体では、「柔軟化」を「規制緩和」と受け止め、財源が乏しいゆえに50項目の水質基準を安易に大幅に省略する可能性は否定できない。「水質検査計画」の公表後の検証はどの機関が行うのか明確にする必要があると思います。
399 2 「自己検査体制」崩壊の懸念について
・ 比較的大規模な事業体では、今回の水質基準見直し(案)による検査項目の増加、検査機器の増加及び労力の確保については、対応できる可能性は高いと思われる。しかし、「自己検査体制」を現在まで必死に維持してきた中小規模の事業体では、逐次改正される水質基準に対して、柔軟な運用を図るための技術的・財政的基盤が低く、以下の問題が発生すると思われる。
○新項目対応のための機器の購入に対する財政負担の増大
○新項目の増大による人材の不足、検査技術の維持が困難、検査ノウハウの不足
○分析に係る労力の増大による水質検査以外の他業務への影響
○日々の検査業務に追われるために発生する精度管理の低下による需要家に対する信頼性の低下
 以上のことなどから、中小規模の事業体の水質検査体制は崩壊し、安易な委託化に拍車がかかる可能性があり、「自前の水は自ら検査する」という意欲が削がれる可能性があると考えられます。
 財政的補助等の拡大を考えた、何らかの対策が必要ではないかと思われます。
400 H15.4.13 105 無類井建夫 1 項目の追加について
・ これまでの46項目から50項目に増えることは望ましいことと思います。外国に比べるとまだ少ないようですが、一歩前進と思います。
401 2 検査頻度について
・ 検査頻度についても全国一律から、地域性、季節性を考慮して検査の頻度を減らせることは対象者の経済的負担の軽減にもなり、また無意味な測定に試薬、エネルギーなどの無駄使いが減ることは好ましいことです。
402 3 検査方法について
高度な技術を必要とする危機分析の項目が増え、検査法の精密化が進むことは良いことですが、以下の点は非常に深刻な問題となります。
・ 一つの項目に対して検査法が一法しか認められていない方法がかなりある。
・基準値は変わらないのに従来の試験法が使用できなくなっているものがある。吸光光度法は1項目を残して使用できなくなっています。従来の吸光光度法にはいずれも問題はなく現状の基準値には十分対応できています。新しい検査法を導入するのは大いに賛成です。ただし、その方法だけに限定して選択の幅を狭めることは、現場の技術者は非常に不便を感じます。また検査をする側に必要以上に経済的負担を強いることになります。特に精密な分析機器は故障することも考慮すべきであり、その折りには吸光光度法は大いに役立ちます。まれまで使用できたすべての吸光光度法はぜひ今後も使用できるようにしていただきたく思います。
・あまり(ほとんど)普及していない方法が、なぜか採用されています。どれほどのバックデータがあるかも示されずにその方法のみが採用され、全く問題のない吸光光度法が削除されるのはどのような意味があるのでしょうか。その理由についてはぜひ明白にすべきと考えます。
・水質検査法の基本的考え方の中に、条件を満たす方法が複数ある場合は、可能な限り多く提示すること、とあります。今回の内容はこれに自ら反するように思えます。
・猶予期間は長くとって頂きたく思います。設備投資は大きな負担になります。専用の機器が多く必要になるので、5,000万円をゆうに越える設備投資と分析技術者の増員が必要になります。この実体もご配慮して頂きたく思います。


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