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資料1


家族以外の者がたんの吸引を行う場合の条件について(案)


 趣旨
 ALS患者に対する家族以外の者(医師及び看護職員以外の者をいう。以下「家族以外の者」という。)によるたんの吸引については、医師及び看護職員により十分にサービスが提供されるならば、実施する必要はないと考えられる。
 しかしながら、在宅療養の現状にかんがみれば、家族以外の者によるたんの吸引の実施についても、一定の条件の下では、当面の措置として行うこともやむを得ないものと考えられる。この場合においても、医療サービスを受ける機会が閉ざされることのないようにすべきである。
 なお、この取扱いについては、訪問看護サービスの更なる充実やたんの自動吸引装置の開発・普及の進展等、今後における在宅療養環境の変化に応じて、適宜・適切に見直すことが必要である。
 以下は、家族以外の者が患者に対してたんの吸引を行う場合の条件を示したものである。

 療養環境の管理
 主治医は、患者の病状を把握し、退院が可能かどうかについての判断を行う。
 主治医・看護職員は、患者が入院から在宅に移行する前に、当該患者について、家族や専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、家族以外の者等患者の在宅療養に関わる者の役割や連携体制などの状況を把握・確認する。
 主治医は、患者や家族に対して、在宅に移行することについて、事前に「説明」を適切に行い、「同意」を適正に得る。
 家族は、患者の在宅への移行に備え、物品等必要な準備を関係者の連携の下に行う。
 家族、地域の主治医、専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、家族以外の者等患者の在宅療養に関わる者は、患者が在宅に移行した後も、相互に密接な連携を確保する。

 在宅患者の適切な医学的管理
 主治医・看護職員は、当該患者について、定期的な診療や訪問看護を行い、適切な医学的管理を行う。

 家族以外の者に対する教育
 主治医・看護職員は、家族以外の者に対して、ALSやたんの吸引に関する必要な知識を習得させるとともに、当該患者についてのたんの吸引方法についての指導を行う。

 患者との関係
 患者は、必要な知識及びたんの吸引の方法を習得した家族以外の者に対してたんの吸引について依頼するとともに、当該家族以外の者が自己のたんの吸引を実施することについて、文書により同意する。

 医師・看護職員との連携による適正なたんの吸引の実施(注:別紙参照)
 適切な医学的管理の下で、当該患者に対して適切な訪問看護体制がとられていることを原則とし、当該家族以外の者は、主治医・看護職員の指導の下で、家族及び主治医・看護職員との連携を密にして、適正なたんの吸引を実施する。
 この場合において、気管カニューレ下端より肺側の気管内吸引については、迷走神経そうを刺激することにより、呼吸停止や心停止を引き起こす可能性があるなど、危険性が高いことから、家族以外の者が行うたんの吸引の範囲は、口鼻腔内吸引及び気管カニューレ内部までの気管内吸引を限度とする。
 主治医・看護職員は、定期的に、当該家族以外の者がたんの吸引を適正に行うことができていることを確認する。

 緊急時の連絡・支援体制の確保
 家族、地域の主治医、専門病院の専門医、看護職員、保健所保健師、家族以外の者等の間で、緊急時の連絡・支援体制を確保する。


(別紙)

在宅ALS患者のたんの吸引における訪問看護と家族以外の者との連携


在宅ALS患者のたんの吸引における訪問看護と家族以外の者との連携



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