戻る

国内初の牛海綿状脳症(BSE)り患牛発見後の
厚生労働省の対応(食品保健部関係)


1 経緯

 
9月10日  千葉県白井市の酪農家で飼育されていた乳用牛1頭について、独立行政法人動物衛生研究所での検査の結果、牛海綿状脳症の疑いがある旨が農林水産省より公表。

9月21日  英国獣医研究所の確定診断結果判明(陽性)。


2 厚生労働省のこれまでの対応

<平成13年>
9月10日  確定診断までの間、当該牛が飼育されていた千葉の農場の食肉等の販売中止を千葉県に指示。

9月11日  「牛海綿状脳症(BSE)に関する研究班」会議及び「牛海綿状脳症(BSE)に係る食肉安全対策本部」を設置、開催。

9月12日  都道府県等に対して通知を発出し、現在実施しているサーベイランスの徹底を要請。

9月19日  第2回牛海綿状脳症(BSE)に関する研究班会議及び第2回牛海綿状脳症(BSE)に係る食肉安全対策本部を開催し、緊急対策として、BSEスクリーニング検査を次のとおり強化することを決定。

(ア)  24ヶ月齢以上の牛のうち、運動障害、知覚障害、反射又は意識障害等の神経症状が疑われるもの及び全身症状を示すもの全頭
(イ)  神経症状が疑われない場合であっても、30ヶ月齢以上の牛については全頭

9月27日
 都道府県等の担当課長会議を開催。
 30ヶ月齢以上の牛に係ると畜場の使用の一時的制限について、都道府県等を通じて、と畜場管理者等に要請。
 生後12ヶ月以上の牛の頭蓋(舌、頬肉を除く。)及び脊髄並びに全ての牛の回腸遠位部(盲腸の接続部分から2メートル以上)を除去し焼却するよう、都道府県等を通じて関係営業者に対し指導。

10月 3日  スクリーニング検査の開始日を10月18日として全国一斉に実施できるよう、都道府県等へ協力要請。

10月 5日  牛由来原材料の点検、保健所への報告、特定危険部位の使用又は混入が認められた場合の原材料変更、当該食品の販売中止を、関係団体及び都道府県知事等を通じて、食品の製造者及び加工者に要請。
10月 9日  スクリーニング検査の対象を30ヶ月齢未満も含めた全ての牛に拡大する方針を決定。

10月11日  第3回牛海綿状脳症(BSE)に関する研究班会議を開催。
 ○ 特定危険部位の取扱いについて検討

10月12日  都道府県等担当課長会議(第2回)を開催し、再度全頭検査の実施等について改めて周知。検査開始当初の計画出荷、計画処理を徹底。

10月15日  第3回牛海綿状脳症(BSE)対策本部会議を開催。

10月16日
 BSE感染牛の公表時期を「確定診断の結果が出た段階」とする方針決定。(各自治体については本方針にしたがった対応を要請するが、各自治体の主体性を尊重する。)
 10月2日より10日間にわたって開催した都道府県等職員のスクリーニング検査の技術研修を終了。
 10月18日より実施するスクリーニング検査の要領を「牛海綿状脳症検査実施要領」としてとりまとめ、都道府県知事等に周知。

10月17日
 と畜場法施行規則の一部改正
 全ての牛の(1)頭部(舌及び頬肉を除く。)、(2)脊髄、(3)回腸のうち盲腸との接続部分から2mまでの部分の焼却を義務付け。(ただし、(1)については、施行後1年間は脳及び眼とする。)
 食肉処理における背割り時の脊髄による枝肉の汚染防止措置を「食肉処理における特定危険部位管理要領」としてとりまとめ、都道府県等に周知。

10月18日
 全国の食肉衛生検査所(117カ所)等におけるスクリーニング検査の一斉開始。(検査結果は別紙)
 厚生労働大臣及び農林水産大臣により「牛海綿状脳症(BSE)の疑いのない安全な食品の供給について」談話を発表。
 特定危険部位を含むおそれのある加工食品の自主点検の結果について、中間とりまとめを公表。
(加工食品総数…28,527件 うち、特定危険部位の使用、混入又は不明による製品回収…3件)

10月26日
 第1回牛海綿状脳症(BSE)の検査に係る専門家会議を開催。
 専門家会議の議論を踏まえ、BSE検査の判定方法を、念のため、以下のように変更する方針を決定。
(1)  スクリーニング検査により陽性と判定された牛については、確認検査としてウェスタン・ブロット法及び免疫組織化学検査を実施すること。
(2)  ウェスタン・ブロット法又は免疫組織化学検査の結果のいずれかが陽性の場合はBSE陽性と判定し、いずれもBSE陰性の場合には陰性と判定すること。

11月 2日  特定危険部位を含むおそれのある加工食品の自主点検の結果について、公表。
(加工食品総数…132,645件 うち、特定危険部位の使用、混入又は不明による製品回収等…22件)


11月 6日  厚生労働大臣及び農林水産大臣の私的諮問機関として「BSE問題に関する調査検討委員会」を設置。(第1回委員会は11月19日に開催。)

11月19日  第1回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。
 北海道猿払村の酪農家で飼育されていた乳用牛1頭について、スクリーニング検査で陽性結果。

11月20日  全頭検査開始後、初めて確認検査で陽性判定。(11月 19日にスクリーニング検査で陽性結果となった牛)

11月21日  第2回牛海綿状脳症(BSE)の検査に係る専門家会議を開催。
 専門家会議の検討の結果、BSEであるとの確定診断。
(国内2頭目)


11月29日  群馬県宮城村の酪農家で飼育されていた乳用牛1頭について、スクリーニング検査で陽性結果。

11月30日  確認検査で陽性判定。(11月29日にスクリーニング検査で陽性結果となった牛)

12月 2日  第3回牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議を開催。
 専門家会議の検討の結果、BSEであるとの確定診断。
(国内3頭目)


12月 7日  第2回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。

12月10日  第4回牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議を開催。

12月21日  第3回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。

12月25日  第4回牛海綿状脳症(BSE)に関する研究班会議を開催。
 研究班会議において、
(1)  背割りの際の脊髄による枝肉汚染については、背割り後の高圧洗浄で効果があることを確認。
(2)  更なる予防的観点から、背割り前の脊髄除去技術の検討を進めるべきとの意見。

12月27日  乳用種廃用牛の円滑な処理体制の確保について、都道府県等に要請。

<平成14年>
1月17日  第4回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。

1月31日
 第4回牛海綿状脳症(BSE)に関する研究班会議結果を踏まえ、
 背割り後の高圧洗浄による効果が確認されたところであるが、更なる予防的観点から背割り前の脊髄の除去技術の導入を進める旨
を、都道府県等に要請。
 第5回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。

2月13日  第6回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。

2月22日  乳用種等廃用牛の円滑な処理体制の確保について、都道府県等に要請。

2月26日
 第7回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。
 高橋委員長等と厚生労働大臣との懇談会開催。

3月14日
 第8回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。
調査検討委員会報告スケルトン(委員長メモ)の公表
 乳用種等廃用牛の円滑な処理体制の確保について、都道府県等に要請。

3月22日
 第9回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。
BSE問題に関する調査検討委員会報告要旨(案)の公表
 第5回牛海綿状脳症(BSE)に関する研究班会議を開催。

3月25日  第10回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。

4月 1日  第5回牛海綿状脳症(BSE)に関する研究班会議結果を踏まえ、めん羊及び山羊の取扱いについて、都道府県等を通じて関係営業者に対し指導。
(1)  と畜・解体時に生後12ヶ月以上のめん羊及び山羊の頭蓋(舌、頬肉を除く。)、脊髄及び胎盤並びにすべてのめん羊及び山羊の扁桃、脾臓及び小・大腸(付属するリンパ節を含む。)を除去・焼却すること。
(2)  めん羊及び山羊に係る伝染性海綿状脳症サーベイランスの対象月齢を18ヶ月から12ヶ月に引き下げること。

4月 2日
 第11回BSE問題に関する調査検討委員会を開催。
 BSE問題に関する調査検討委員会報告書を高橋委員長から厚生労働大臣及び農林水産大臣に手交。
  (1)  「消費者の保護を基本とした包括的な食品の安全を確保するための法」を制定し、食品衛生法、と畜場法、飼料安全法、家畜伝染病予防法その他の食品関連法を抜本的に見直すこと
(2)  リスク評価機能を中心とし、独立性・一貫性をもち、各省庁との調整機能をもつ新たな食品安全行政機関を設置すること
について、6ヶ月以内に成案を得て、必要な措置を講ずるべきとの提言等
 厚生労働大臣及び農林水産大臣がBSE問題に関する調査検討委員会の結果を小泉総理大臣に報告。
 総理より、
  (1)  食品の安全性の確保に関連する法制度の抜本的見直しを含め、対応に万全を期し、
(2)  内閣官房長官、厚生労働大臣、農林水産大臣及び関係大臣による関係閣僚会議を設け、新たな行政組織のあり方を中心に、本年夏頃を目途に具体案を作成し、平成十五年度予算に反映させるよう
指示。
 廃用牛の円滑な処理体制の確保について、医薬局長より都道府県知事等あて要請。

5月10日  北海道音別町の酪農家で飼育されていた乳用牛1頭について、スクリーニング検査で陽性結果。

5月11日  確認検査で陽性判定。(5月10日にスクリーニング検査 で陽性結果となった牛)

5月13日
 第5回牛海綿状脳症に関する専門家会議を開催。
 専門家会議の検討の結果、BSEであるとの確定診断。(国内4頭目)
 農場において死亡した牛に係るBSE検査に万全を期するよう、農林水産省に要請。

6月14日  牛海綿状脳症対策特別措置法公布。

7月 1日  厚生労働省関係牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則公布。

7月 4日  牛海綿状脳症対策特別措置法及び同法施行規則施行。
 本法律では、BSEの発生予防及びまん延防止のための措置を定めるもので、国や都道府県の責務、基本計画の策定のほか、
  (1)  と畜場におけるBSE検査の実施
(2)  特定危険部位の除去・焼却
(3)  特定部位による枝肉等の汚染防止処理
等が明記されている。

8月21日  神奈川県伊勢原市の酪農家で飼育されていた乳用牛1頭について、スクリーニング検査で陽性結果。

8月22日  確認検査で陽性判定。(8月21日にスクリーニング検査で陽性結果となった牛)

8月23日
 第6回牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議を開催。
 専門家会議の検討の結果、BSEであるとの確定診断。(国内5頭目)

9月24日  第7回牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議を開催。
  自治体におけるBSE確認検査実施方法の検討について
BSEスクリーニング検査の精度管理について

10月 2日  米国、カナダからの鹿肉及びその加工品について、引き続き輸入を行わないよう検疫所を通じて、輸入者等関係営業者へ指導。
(指導理由)
  韓国においてカナダから輸入された鹿についてCWDの感染が確認されたこと
CWDはシカ間の感染性が高いとの専門家の指摘があること
ヒトへの感染が科学的に否定されていないこと

10月10日  頭部を含む特定部位の焼却について、
(1)  と畜場等の焼却施設における焼却のほか、専用の化製場において肉骨粉及び油脂等に処理した上で全て焼却すること
(2)  ただし、地域において専用の化製場が整備されていない場合に限り、関係業者間で合意を得た上で、その他の化製場において特定部位を肉骨粉及び油脂等に処理し、これらを全て焼却することも可能であること
を都道府県等あてに通知。

11月19日  英国食品基準庁(FSA)において、従来に比較して数百倍以上の高感度試験法を用いた結果、牛の扁桃にBSEの低レベルの感染性が発見されたという暫定的研究結果が発表されたことを受け、念のため、
  (1) 扁桃については頭部に含まれること
(2) 頭部から舌を取り除く場合には、扁桃に接触しないよう除去する旨、
都道府県等を通じて、と畜場設置者及び管理者並びにと畜業者等関係営業者に周知した。

12月27日  第8回牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議を開催。
  BSE確認検査要領について
スクリーニング及び確認検査の外部精度管理について
新しいスクリーニング検査キットの検討について

<平成15年>
 
1月20日
 第9回牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議を開催。
 専門家会議の検討の結果、BSEであるとの確定診断。(国内6頭目)

1月23日
 専門家会議委員の検討の結果、BSEであるとの確定診断。(国内7頭目)

2月 8日
 第11回牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議を開催。
確認検査の結果を精査したところ、病理組織学的検査及び免疫組織化学的検査の結果は陰性と判断されたが、ウエスタンブロット法による検査結果は陰性と判断するに至らなかった。このため、今後、
(1)  送付された検体の残りを用いて条件を変えたウエスタンブロット法による検査を実施すること
(2)  現在、と畜場に保管されている脳(頭部として保管)を検体としてウエスタンブロット法、病理組織学的検査及び免疫組織化学的検査を実施すること
(3)  検体の残りを用いて、バイオアッセイ等の研究を行うこと
等によりさらに検討をすすめることとする。

2月28日
 都道府県等における牛海綿状脳症(BSE)確認検査実施要領の制定。

3月27日
 第12回牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議を開催。
(1)  神奈川県のスクリーニング検査陽性牛について、これまでに実施されたウエスタンブロット法、病理組織学的検査及び免疫組織化学的検査の結果を精査したところ、病理組織学的検査及び免疫組織化学的検査の結果は陰性と判断されたが、ウエスタンブロット法による検査結果については陰性と判断するに至らなかった。
(2)  新しいスクリーニング検査キットの使用を認める。


トップへ
戻る