03/03/26 第26回厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録            第26回 厚生科学審議会生殖補助医療部会                    議事録                平成15年3月26日 第26回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録 日時  :平成15年3月26日(水) 13:00〜17:40 場所  :厚生労働省専用21会議室 第5合同庁舎(厚生労働省)17階 出席委員:矢崎部会長、荒木委員、安藤委員、石井委員、加藤委員、岸本委員、      金城委員、才村委員、澤 委員、新家委員、鈴木委員、高久委員、      平山委員、福武委員、古山委員、町野委員、松尾委員、吉村委員、渡辺委員 議事  1.検討課題のふた回り目について  2.報告書(案)について  3.その他 宮本室長  定刻になりましたので、ただいまから、第26回厚生科学審議会生殖補助医療部会を開 催いたします。  本日は、大変お忙しい中をお集まりをいただきましてありがとうございます。  本日の出欠でございますが、相良委員が欠席ということでございます。また、福武委 員、吉村委員が後ほどお見えになるということで連絡をいただいております。  それでは早速議事に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。 矢崎部会長  本日も委員の方々、特に年度末でお忙しい中を御出席いただきましてありがとうござ いました。きょうは相良委員以外は全員出席で、金城委員も久しぶりに御出席いただき ましてありがとうございました。  それでは、議事に入ります前に、たくさん本日も資料がございますので、その確認を よろしくお願いいたします。 宮本室長  資料としましては、1〜7までお配りしております。資料1につきましては、別紙を 1〜7番まで添付しております。また、資料4につきましても、別紙1〜別紙9まで添 付しております。参考資料といたしまして、2つございまして、御意見募集でいただい た御意見、これはまだ案でございますけれども、臨床研究に関する倫理指針を参考資料 として添付してございます。 矢崎部会長  よろしいでしょうか。それでは、まず最初に、きょうが最後という感じでおいでいた だきましたが、きょうが最後になるかどうかわかりませんが、一応、私がきょうどこま で議論を進めたいかということを申し上げますと、きょうは最終的な資料4に報告書 (案)がございます。恐らくこれを細かく議論するところまでには至らないと思います が、今まで資料1の要検討事項及び検討結果に基づいて、この報告書を最終的には チェックすることになるかと思います。今まで委員の皆様方に一巡目、それから二巡目 の議論をしていただきましたので、結果は大筋は定まっているのではないかと思います が、また御議論があれば、それを活かして最終的な報告書(案)に示していきたいと思 いますので、何とぞ御協力のほどをよろしくお願いしたいと思います。  それでは、最初に資料1について、前回までの議論によって加筆・修正した部分及び 残っている検討課題について逐次議論を進めていきたいと思います。まず、事務局から 資料1のうち、提供精子による体外受精、提供卵子による体外受精に関して、加筆・修 正した部分についてお願いできますか。 宮本室長  提供精子による体外受精、提供卵子による体外受精などにおける医学的な条件という 点についての議論がございましたので、そういったものを受けまして修正をいたしまし た。その前に一点だけ修正した点を確認させていただきますと、5ページの中ごろにご ざいますが、提供卵子による体外受精を受けることができる夫婦の考慮すべき基準の具 体的な内容として、当分の間、当分の間という文言ございましたが、この点につきまし て、いろいろとわかりにくいなどの御議論ございまして、削除してございます。  また、精子の提供を受けることができる医学的な条件、卵子の提供を受けることがで きる医学的な条件としまして、資料1別紙1、それから別紙2に修正したものを載せて ございます。こちらをごらんいただきたいと思います。  前回の御議論の中では、精子が存在しないか、又は、精子に受精能力がない精子の方 につきましてはそういうこと。卵子につきましては、卵子が存在しないか、又は、卵子 に受精能力がない、この部分については、明確といいますか、ほぼ御理解いただいてい るということでございますが、そのほか、実質的に精子が存在しても、精子に受精能力 がないことを明確に判断することはできないが、実質的に精子に受精能力がないことが 推定されるような状況。卵子につきましても、卵子が存在しても、卵子に実質的に受精 能力がないことが推定されるような状況、そういうものについては別項目として整理を した方がわかりやすくなるのではないかということで、整理をするように指示を受けた ところでございます。  そういうものに従いまして、このように修正してございまして、精子の提供を受ける ことができる医学的な条件につきましては、(1)「精子が存在しないか、又は、精子 に受精能力がない」ことを明確に判断できる条件として、(1)〜(4)、これは前回のもの と同様でございます。  (2)としまして、「精子が存在し、かつ、精子に受精能力がない」ことを明確に判 断することはできないが、精子に受精能力がないことが推定される場合で、(1)としま して、夫婦間の卵細胞質内精子注入法(ICSI:顕微授精)を相当回数実施したが、 妊娠には至らなかった場合で、かつ、その原因が妻側にないものと医師によって判断さ れる場合。  (2)としまして、夫婦間の卵細胞質内精子注入法を相当回数実施したが、受精卵が得 られなかった場合で、かつ、その原因が妻側にないものと医師によって判断されている 場合、こういった形に整理をしております。  当然でございますが、これまでの議論の結果の条件としまして、加齢により妊娠でき ない夫婦は対象とならない、ということも下に列記してございます。  卵子側の方でございますが、卵子の提供を受けることができる医学的な理由でござい ますが、(1)の「卵子が存在しないか、又は、卵子に受精能力がない」ことを明確に 判断できる場合ということで、(1)〜(4)、こちらは前回どおりでございます。  (2)としまして、「卵子が存在し、かつ、卵子に受精能力がない」ことを明確に判 断することができないが、卵子に受精能力がないことが推定される、ということまとめ ております。  (1)としましては、夫婦間の卵細胞質内精子注入法(ICSI:顕微授精)を相当回 数実施したが、妊娠には至らなかった場合で、かつ、その原因が夫側にないものと医師 によってな判断されるいる。  (2)としまして、夫婦間の卵細胞質内精子注入法を相当回数実施したが、受精卵が得 られなかった場合で、かつ、その原因が夫側にないものと医師によって判断されてい る。このような形に整理しております。  こちらにつきましても同様に、加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない、とい う条件を付記してございます。  以上が、修正した点でございます。 矢崎部会長  いかがでしょうか。前回、議論のあった課題を別紙1、2にありますように分けて明 記したわけでございますが、これについて御意見ございますでしょうか。専門の先生方 でいかがですか。澤委員、荒木委員、特にコメントございませんでしょうか。よろしい でしょうか。 澤委員  はい。 矢崎部会長  ありがとうございます。  それでは、この中にございますシェアリングと胚の提供について、御議論いただきた いと思いますが、そのところを事務局から、この検討の場所で参考となるようなイン フォメーション、シェアリングと胚をきっちり書いた項はございませんが。 宮本室長  直接シェアリングについて取り上げた部分はないのですが、この中ではいくつか関連 する技術がございまして、専門委員会報告の中で認められているものということで、そ ういった専門委員会報告を前提にこの文章を取りまとめております。関連する内容とい たしましては、7ページに赤字でございますように、「卵子の提供」が困難な場合に、 「卵子のシェアリング」と上記による「胚の提供」をどのような優先順位で適用する か? ということ。  10ページ目に取り上げてございますけれども、点線で囲っております専門委員会報告 書の内容としましては、他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の提供 を受けて提供卵子による体外受精を行う場合に、卵子の提供を受けた人が当該卵子を提 供した人に対して、当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費の半分以下を負担す ることは、他の方法による卵子の提供に際して当該卵子を提供する人にかかる医療費等 の経費を当該卵子の提供を受ける人が負担することと本質的に相違はないものと考えら れる、そういったところが関連する部分です。  それから、その下の検討結果しまして、シェアリングは、提供を受ける者の金額的負 担や提供する卵子を数などの諸条件について、提供を受ける者と提供者の間で匿名性を 担保できる方法で契約を交わし、その契約のもとに行うこととする、というところがご ざいます。これは、私の記憶するところでは、石井委員などから、そういった金銭のや りとりについて匿名性が担保されることが重要だというような御指摘をいただいて、こ れまでそういったものがあるということを前提に議論を進めてきたものと理解しており ます。 矢崎部会長座  ありがとうございました。まず卵子のシェアリングでこざいますが、一応そのような 準備状態を整えて、今まではおおむね認めましょうという議論にきたかと思いますが、 はい、どうぞ。 鈴木委員  その話からでよろしいでしょうか。先日、皆様あてにということで事務局からも意見 を配布していただきました。そこに卵のシェアリングに関しての意見を書いておきまし たので、ちょっと個人的な意見ということで述べさせていただいていいですか。  シェアリングを認めるかどうかという話に関しては、卵提供を認めるのであれば、こ れを認めないという理由はないだろうと考えています。方法論に関して1つ気になるの が、提供者の条件なのですが、ごめんなさい、今の資料でいうと、8ページに記載され ている分になります。精子・卵子・胚を提供できるものの条件のところに、卵子を提供 できる人は、既に、つまりこれは専門委員会報告の今のところそのまま踏襲しようとい うことになっているのですが、卵子を提供できる人は、既に子のいる成人に限り、満35 歳未満とする。ただし、自己の体外受精のために採取した卵子の一部を提供する場合に は、これが要するにシェアリングのことを指しているわけですね。この提供者には子が いることを要さない、とあるのですが、これは医学的問題というより、心理的にここに 意見も出しましたが、提供した女性が結果的に妊娠しなくて、もらった側の女性が妊娠 した場合になったとき、私はやはり心配なのですね。心理的にお互いにどのようなこと が起きるかわからないという気持ちがありまして、本当にこれでいいのか、ちょっと皆 様の御意見も伺いたく思っています。 矢崎部会長  いかがでしょうか。卵子提供を第三者の関係ない人に差し上げるというのは、既にお 子さんのいる人に限るけれども、自分の子どもがほしいとして卵子を採り出したものが 使われなかった場合に、それをほかの方に差し上げる場合には、お子さんがいない場合 がほとんどなわけですね。ですからシェアリングはお子さんがいない場合がほとんどで あるということで、今、その後、起こったことについての鈴木委員からの御指摘の件で すが、どうでしょうか。そうすると、鈴木委員の言われていることは。 鈴木委員  単純に提案としては、第1子の既にできた方が、第2子をほしいということで体外受 精なりを受ける場合に限った方が安全ではというふうに思っています。当然またさらに 該当者が少なくなってしまって、それこそドナーが出るのかという問題は危惧としては 残りますけれども、後にもしかしたら起こるかもしれないことを考えると、これでまず スタートさせた方が安全だと考えていますけれども。  もう一つ、そこも納得して受けるのならいいのではないかという御意見も当然あり得 ると思いますが、私は心配の方が強いです。 矢崎部会長  そのご心配十分わかりますけど、それでシェアリングのほとんどの部分を禁止すると いうことになってしまうので、本当にこういうものでそういうことを決めていいかとい うことですね。 高久委員  確かにその心配はありますが、あまり制限するのは問題です。ですからそういう場合 にはインフォームド・コンセントをよくとる、そういう注意事項をつければ良いのでは ないかと思うのですけれども、そうしませんと、提供を禁止するようなガイドラインに なってしまう、法律ですか。 矢崎部会長  当然そういうこともあり得るということをシェアリングされる女性の方によく納得し ていただくと。だからそういう事態に至ることを納得していただくことが大事ですね。 平山委員  エッグ・シェアリングに関してのヨーロッパなどでのカウンセリング・ガイドライン では、確かにその点について非常に重視していて、その点はちゃんと事前に話し合って おくということをほとんど義務化のようにしているところがありますね。特に先ほど鈴 木委員がおっしゃったようなケースでは、ドナー夫婦が子どもに会いたがる可能性が出 てくるわけですから、その点については、ドナーの方にもきちんとしたカウンセリング などをしていただくことが必要であろうと私も考えます。 矢崎部会長  これは出自を知る権利で、御夫婦が知る権利ではなくて、お子さんが知る権利ですか ら、直接そういうことは起こらないと思いますが、鈴木委員の危惧が現実のものになら ないようによくカウンセリングをするということを十分強調して、今、平山委員の言わ れたことでよろしいでしょうか。 石井委員  大変申し上げにくいので、先ほどから考えていたのですが、今、シェアリングは認め るということが決まっていたという前提で話されているように感じられたのですが、こ れを議論したときは、今、鈴木委員から問題提起されたようなこととか、卵子も質的に いろいろなものがあるのをどう分けるのかいろいろ難しい問題があるという話がかなり なされて、必ずしも当然認めるということをここで合意していたことはないのではない かという点が1点でございます。  鈴木委員がおっしゃるように大変難しい問題で、出自を知る権利で、子どもが会いに 行ったときに、提供者の方には子どもがいないということもあり得るということになる ので、かなりトラブルが起こるかもしれないことを十分考えなくてはいけないというこ とだろうと思います。提供のときには、先ほど説明がございましたように、匿名性を十 分担保することによって、提供した相手方が妊娠したということは即わからないよう に、そういう形の配慮はできると思うのですけど、後々トラブルが起きないということ は必ずしも保証できないという点については憂慮しますし、かなり手続的には、先ほど 申しましたエッグはいくつ、どの程度のものが採れるかも全くわからない、その段階で 契約をするということなので、相当きちんとした契約の指針みたいなものがつくられま せんと、当事者だけに任せていてうまくできるのかどうかということは私も不安に思い ます。 矢崎部会長  そのほか、いかがでしょう。どうぞ。 金城委員  伺いたいのですけれども、今のように凍結の技術ももあるわけですね。そういうとこ ろでシェアリングというのはそもそもどんな意味があるのかと。もらいたい方がいると いうのはよくわかります。でもシェアリングをしようという方はかなり少ないのではな いか。特に医療費の問題があるのかなと思うのですが、何かすごく不自然なやり方のよ うに私自身は思うのですね。今、石井委員がおっしゃったような疑問いっぱいあります ので、シェアリングを認めるのかどうか。そもそもあまりここで議論をして、詳しく決 めるよりは、当事者に任せておいて、どうこうしない方がいいのではないかと思いま す。 加藤委員  ということは、法律上はシェアリングを認めるということではないですか。当事者に 判断を委ねるというのであれば、法律上は枠としてシェアリングを認めるということで すね。 金城委員  そういう人たちが出てきて、お互いに納得してみたいなことがあったらいいのですけ ど、お医者さんが中に入った、一方に圧力かけるみたいなことになると、私はすごい変 なことが起こるのではないかという気はいたします。そうすると、ほっておくわけには いかないということでしょうか。 矢崎部会長  そうですね。当然卵子の提供ということには、ある程度の決まりをきっちり定めない といけないと思います。 加藤委員  たしかこれは未受精卵の凍結はできないというので、卵子の未受精卵の場合には、生 きたままの卵子を採取して、そこへ両方の人に来てもらって、サケの産卵所みたいな感 じになるのではないかと。提供者の人は妊娠しないで、もらった人の方だけ妊娠する と、そういう場合もあるということまで話し合った記憶があるのですけれども、そのや り方で心理的に抵抗はないかとかという話もあるのではないかと思いました。必要はあ るのではないですか、提供者が非常に少ない場合。 金城委員  必要あるけれども、提供する人は非常に少ないだろうと。だって、ご夫婦ですよね。 ですから卵がつくられれば、必ずしも妊娠するとは限らないわけですから、全部受精さ せて、そのいくつかは凍結をしておくということになるのが普通の治療の流れだと。 加藤委員  荒木先生に聞きたいのですけれども、未受精卵を凍結して、今言ったように、例えば 全然別の時間と場所でいただいて、受精卵で、片一方は御夫婦で使って、残った分は凍 結しておいて、未受精卵の状態で生殖補助医療に使うということは現実的に既に行われ ているのですか。 荒木委員  あまり行われてないと思います。といいますのは、未受精卵の凍結に関していろんな 問題点が指摘されております。ただ、近い将来にはいろんな問題も解決されそのような ことは可能な時代が来るのではないかと思いますが、現在はそういうことは行われてお りません。 加藤委員  凍結しないとすると、ある人から卵子を採って、受精させるというときには、凍結し ない状態の保存期間の中でそれぞれ受精させるわけですね。 荒木委員  現実としてはそういうことはやってませんけど、もしやるのだったらそうですね。新 鮮卵子を用いると思います。 加藤委員  未受精卵というのは保存期間というのはあるのですか。 荒木委員  胚に関しては保存期間ありますけど、それはまだ確かなことはわかりません。決まっ てないことだと思います。 平山委員  受精は大抵採卵したその日にさせないと受精しないことが多いです。シェアリングの もう一つの利点は、健康な女性を傷つけなくてもいいというのから出てきたところにも あるようです。もちろんもう一つ大きなのが経済的理由ですね。海外でも生殖補助医 療、特に体外受精に関しては保険がきかないところが多いので、どうしても低所得者層 の方は、初めから医療が受けられないという厳然たるものがあって、ですので、そうい うために出てきたという意味では、もともと矛盾をはらんだ仕組みではあるかもしれま せん。  あと、精神的な問題に関しては、一巡目で渡辺委員がおっしゃったような問題は当然 あると思いますが、エッグ・シェアリングに関する心理的な問題に関しての文献を探し たのですが、ほとんどないということでして、1件だけ見つけたのですが、元論文に当 たれなかったので、引用の分しかないのですが、妊娠しなかった人にとっても、この制 度自体を否定するほどの悪いものではないという結果を結論づけていると書いてありま した。 鈴木委員  たしか一番最初のときに、金城委員もおっしゃっていたと思うのですが、半額負担と いうところに、そこにひっかかりをお感じになるというようなことをおっしゃっていた と思うんです。それが何か商取引のような感じもどこかでぬぐえないというところが あって、そこの話は、まだ私たちの中でも解決していないものとして残っているのでは ないかと考えているのですけれども。 矢崎部会長  いかがでしょうか。確かに未受精卵が凍結できない状況の中では危惧されますが、近 い将来可能になる可能性があるのではないかと思われますね。いろんなマイナスのニュ アンスありますが、健康な方を傷つけるのではなくて、提供が得られる唯一の道ではな いかと思います。確かに経済的な負担が軽くなるとかというファクターもありますが、 逆にボランティアで提供する、臓器移植みたいなことで提供受けることもあり得る。で すから、これをマイナスのイメージからすべて規制するのはなかなか難しいと思いま す。  どうですか、今言われたようなことがきっちりシェアリングが行われる現場におい て、適正に行われるように環境を整えるという条件のもとで、シェアリングというのは どうでしょうか。石井委員が言われたような完全な匿名性が保てないと本当に金銭の授 受が行われる可能性もありますし、費用を半額負担するというのは、ちょっと考えると マイナスイメージですが、医療としてはある程度可能かなということも考えられます し、もう少し委員の皆さんの意見をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。 金城委員  そういうことを認めることになりますと、卵子については提供数の方が希望者数を下 回ることになりますよね。そうすると、希望者を登録しておいて、ウェーテングさせて マッチングさせるということになるわけですね。そのとき、これはどんなふうにやるの か。これがうまくできるのか。しかも1日ですよね。北海道の人、沖縄の人がシェアリ ングをしたいといっても、北海道の人とやっていいのか、いろいろ出てくるかもしれな いという気はするのですが。 矢崎部会長  実際にそうですね。 鈴木委員  それはシェアリングでなくても通常の卵提供でもそうことになるのではないでしょう か。シェアリングに限った現象ではないと思うのですけれども。 矢崎部会長  確かにそうですね。だから実施施設で保管している中でしょうね。ただ、そこの実施 施設の中の枠組みの中で決められないように、ある程度透明性を保つ、これは公的機関 はどうでしたか。 宮本室長  通常といいますか、卵子提供全体を含めて考えていくものだろうと思います。それで マッチング業務提供数が少ない場合には、公的管理運営機関で行うことが想定しており ますので、そういう中で検討といいますか、解決していくものというふうに思っていま す。 平山委員  今、金城先生の言われたことなのですが、イメージとしてはシェアリングに関しても 体外受精、誘発に入る前にシェアリングをするというドナー希望の登録をしておくわけ ですね。今回のシェアリングに関する希望、例えば卵を半分ずつにするとか、半分を提 供する、そういう契約。それからイギリスなどではあるのですが、取れた卵の数があま りにも少ない場合はシェアリングをしないとか、初めにいろいろ決めるみたいなんです ね。そういうふうにしておくと。また、卵子提供のウエーティングリストでレシピアン トの方も、ドネーションがいいのか、シェアリングがいいのか、両方いいのかみたいな ことをしておけば、マッチングというのはそれほど難しくはないようにも思います。 矢崎部会長  いかがでしょうか。そうしますと、卵子が関係するこういう医療は極めて提供が少な いので、すべて最初の公的機関の組織図で、胚と卵子提供に関しては公的機関がマッチ ングをやるというふうに、それが最初から前提になっていましたよね。 宮本室長  提供の数次第ということでまとめてはございますが、もし提供数が少なければ実質的 にそのようになるというふうに理解しています。 矢崎部会長  そうすると、シェアリングの意思をある程度前もって、これはインフォームド・コン セントをとっていただくので、採卵のときは、そうしますと、実施施設内だけではなく て、少し広い範囲でマッチングはできるということになるかと思います。  卵の凍結はどのくらい、遠い将来ですか。あるいは比較的近い将来でしょうか。 荒木委員  私はあくまでも予想ですが、近い将来ではないでしょうか。 矢崎部会長  そうしますと、一応シェアリングの道は残しておくと。それを排除するという理由は あまり強い理由ないと思いますがいかがでしょうか。あまり傷つけるとか、そういうこ とはございませんよね。 金城委員  1点だけ気になるのは、これはまさに卵の売買になるということですね。医療費が40 万円ぐらいとすると、半分持ってもらうということになるわけですよね。特に医療費の ほとんどは採取にかかるわけですから。そうすると、アメリカで2,000ドルで売ってい ると。あまり違わないお金になるなという気はいたしますけれども、それには目をつむ りますかということです。 矢崎部会長  売買とはちょっと違うような気がしますけれども。 金城委員  そういう医療を促すものだと思います。 平山委員  確かにイギリスでも、シェアリングをどうするかというときに、これは無償ではない のではないかという議論があったようです、文献を見ると。ただ、否定するほどのこと ではないというのもあるようです。確かに売買と言われれば売買だと思います。ただ、 現実として、今、生殖補助医療自体に物すごいお金がかかっているわけですね。もとも と健康保険きかないわけですから、そういう中で、そこの矛盾というか、そういう問題 が私はあるように思いますが。 金城委員  でしたら、私は、保険を適用する。きちんと回数を設定して適用する。そして、自分 から出た卵は、自分の子どもを産むためにできるだけ使った方がよろしいのではないか と思います。 矢崎部会長  保険の適用までの話が広がると、この部会の検討の範囲超えてしまうので、今、平山 委員が言われた、そういうことがあっても、法律で排除すべきものかどうかということ と、それから科学の進歩で凍結ということができるようになれば、ボランティアで出し ていただける方も多くなってくるのではないかということで、今、この時点で、これを 排除するということでいいかどうかということだと思います。 金城委員  そういうことであれば、あえて医療費半額ではなくて、まさにボランティアというこ とで無償で提供、シェアリングということでいいのではないかと思うのですね。医療費 を半額負担してもらうということになれば、これは商業化ではないかという気がいたし ますが。 石井委員  普通に卵子を提供していただいた場合には、提供を受ける側は卵子の採取にかかった 全額を払うわけです。この場合は、卵子の採取は半分は自分のためであり、半分は提供 を受ける人のため、だからその費用を半分ずつ持つというふうに考える。うまく言って いるだけではないかと言われれば否定できませんが、卵を売っているわけではない。医 療費は提供を受ける側が負担する。それを全額ではなく半分しかもらわないということ なのだという説明で、私たちは専門委員会のときには納得していたのではないかと思い ます。 金城委員  わかりました。売買については撤回いたします。 矢崎部会長  よろしいでしょうか。それでは、今挙げられた問題点については十分皆さんの理解得 られるように報告案のところに少し強調させていただければと思います。また委員の皆 様に御検討をいただくと思いますので、よろしくお願いいたします。  もう少し複雑なのが、卵の次に胚の提供についてでございますが、今までの御議論で は、まず卵の提供をボランティアでいただくと。それがなかなか難しい場合には卵の シェアリングをお願いすると。それも不可能といった場合には、御夫婦が凍結していた 受精卵をいただいてお子さんをつくるというのが胚の提供になるわけですから、最終的 な手段という位置づけになるかと思います。これについては、卵子のシェアリングより も議論が分かれていたような記憶がありますが、これについてはいかがでしょうか。 荒木委員  厚労省の意見募集に際して日本産科婦人科学会の中野仁雄教授及び倫理委員会の委員 長の野澤教授からパブリック・コメントあるいはパブリック・オピニオンとして、本会 に意見が提供されています。先生方いろいろ内容をごらんいただいたと思います。しか し、これはについて深く議論されたという認識は私は持っておらないのです。一応、精 子・卵子・胚として一括して今まで議論されて、いつかは胚に関しての議論があるかと 思って今日に至ったような感じです。胚の提供に対してのコンセンサスは必ずしも本部 会では得られてないと思います。専門委員会では胚の提供も可としているように解釈は できますけど、ここで一度はっきり結論を出していただきたいと思います。  ただ、日本産科婦人科学会としては胚の提供は認めないという方針で、その理由は資 料6に書いてあるとおりでございます。本日、胚提供に関しての皆様方の御意見を伺っ てまとめをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 矢崎部会長  確かにおっしゃるように、今までの議論で、出自を知る権利に関してはある程度まと めるということで議論を集中させましたが、胚に関しては、最終的な結論を得ないで延 ばし延ばし議論したきらいがあって、荒木委員のおっしゃるとおりでありますが、議論 の筋道としては、日本産科婦人科学会がそういう会告を出されましたが、この委員の中 には胚の提供も選択肢として残すべきではないかという御議論があったかと思います。 石井委員  胚の提供というのは、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦が胚の提供を受け る問題でしょうか。そうではなくて、一般的に胚の提供を認めるかどうかという議論で すか、今、問題にしているのは。 矢崎部会長  今のは委員がおっしゃったとおりです。 荒木委員  いや、全体の胚の提供というものです。 矢崎部会長  この委員会では、要するに卵子・シェアリングで、最終的に最後の手段として胚の提 供を考える筋道で、一般的な胚の提供。 石井委員  その問題ではなく、卵子をもらえば妊娠できるのだけれども、卵子がもらえない場合 は、胚の提供を受けることを認めるかという方の問題ですね。今、部会長が問題にして いらっしゃるのは。 矢崎部会長  私は理解していましたけど、どうでしょうか、委員の皆様の理解は。 荒木委員  私は胚そのものです。胚の提供を認めるか、認めないかを原点に返って議論して決め ていただきたいということです。 矢崎部会長  荒木委員のおっしゃるのは、すべて胚は生殖補助医療に使ってはいけないと。原則と して全面禁止だというふうに理解してよろしいわけですね。 荒木委員  そのとおりです。 鈴木委員  これも確認です。今の話で、今現在6ページで、男性の方にも問題があって、女性の 方にも問題がある場合は胚提供を受けることができると今のところ文章上はなっている わけですよね。もう一つのパターンとして卵の提供が出ない場合は、それの代わりとし ての感じで胚ももらえますよという2つのパターンがあったのだと理解していますけれ ども、荒木委員がおっしゃったのは、当然のことながら、どちらも胚の提供は認めるべ きではないというお考えですし、私もそちらの意見に賛成です。  これも意見出させていただきましたけれども、実質的に養子と変わらないという話 は、この話をしたときに随分多くの方からも出ていましたし、特別養子制度との整合性 の問題、もし、これで実施するのであれば、そこをまず私はクリアーにしていくべきだ と思っています。考え方としては、当然受精卵養子ということも全く認めないのかと言 われると、そうでもないのかなという理論も当然あり得ると思いますので、ではどうし たらいいのかというふうに前向きに考える方法もあると思いますけれども、生まれた子 がそれを知ったときの気持ちを考えると、私はあまり心理的には賛成できないという立 場ですけれども。 矢崎部会長  どうでしょうか。 石井委員  この点については、精子も卵子も、夫の側にも妻側にも問題があって妊娠できない場 合に、胚の移植は公的管理運営委員会の審査を条件として認めるということで合意がで きていたと思っていました。ですので、今、問題になるのは、先ほど部会長がおっしゃ った卵子の提供を受ければ妊娠できるにもかかわらず、卵子の提供がない場合に胚の移 植を認めるかという問題なのかと思っていたのですが、そもそもに戻って議論する必要 があるとおっしゃっるのでしたら、否定はしませんけれども。 矢崎部会長  いろいろな立場で、議論がどこまで進んだかの理解が違ってきて大変難しい課題です が、荒木委員は最初から学会の立場で、反対、反対と言われていて、大勢の委員の方々 は、卵子の提供は難しい、シェアリングも簡単にいかないだろうということで、胚の移 植は認めてもいいのではないかという議論の流れだと思ったのですが、今、絶対反対と いうのは、荒木先生は立場上反対で、会告に書いてありますが、ポイントとして断乎反 対と言われる、法律でいけないということを規定する倫理観とかそういうことでなく て、何かございますでしょうか、医療上の。 荒木委員  むしろ皆様方の意見を聞いて、私どもの意見を出して……。 矢崎部会長  会告で禁止ということですね。 荒木委員  部会長、「会告」とおっしゃっていますけど、まだ学会は会告としては出しておりま せん。倫理委員会の案で出して、本年の3月末日をもって会員からの意見を聞いている ところですが、会員から強く反対意見もないし、意見も全くございません。会員はこの 方向で認めてよろしいという意見だと私は推測しているのですけれども。 矢崎部会長  産婦人科学会がこういう医療を反対とされている根拠というのはどういうことなので しょうか。 荒木委員  この資料6に書かれているとおりでございまして、何回かこれを提出させていただい たので……。 矢崎部会長  もう一度すみません。 荒木委員  私は、提供卵子がほとんどないから、胚の提供まで認めるという考え方にそもそも反 対です。卵子の提供がなければ何でもやろう、技術があればやろう、なんでもやろうと いうことにも私は反対しております。  それから、やはり一番大きなのは両親の遺伝子がない胚提供、母と子の遺伝子関係は 全くないわけですね。そういうところが大きな1つの問題点だと思います。それから、 遺伝子がつながってないところにいろいろな子どもの福祉に関する問題点が出てくると 思います。私どもの学会としては、生まれてくる「子の福祉」を最優先、最も優先した いという考え方からいろんな問題点が出ていくことをおそれているわけでございます。  あとは詳しいことは、2ページとかそういうところに書かれているとおりでございま す。また、これは平成11年でございますけど、矢内原班の統計を見てみますと、不妊患 者の8割ぐらいですか、あるいはそれ以上だと思いますけど、胚の提供はあっても、私 はそれを利用しない、と答えている人が80%以上あるという調査結果も出ております。 世の中がまだ胚の提供をしてほしいという社会的な盛り上がりや要求というものにはま だないのではないかと考えております。 矢崎部会長  いかがでしょうか。 鈴木委員  私は特に親子で血がつながらないからこの技術が問題だというふうには思っていませ ん。むしろ逆に、これは石井委員にもお尋ねしたいのですが、一番今解いていただきた いこの件についての疑問は特別養子制度との整合性なのです。なぜ、こちらは、向こう はかなり厳しいいろんな審査もあったり時間もかかったりするわけですが、これは倫理 委員会での審査が同列に当たるものなのか、例えばそれを実施するということだけは倫 理委員会が審査なりして、その後は特別養子の方の制度に流れていくというのでしょう か、そういうことも可能なのか。そういうことならいいのか、その辺は逆に石井委員ど のようにお考えですか。そこが私納得できてないのですけれども、養子とどう違うので すかという。 石井委員  養子の場合は、既にそこに人、生まれた子どもがいる。まだ胚は人ではないですね。 子どもの場合にはそこに人格があるわけですから、人格のある子どもと受け入れる両親 との間がうまくいくかどうかを見る必要がある。けれども、胚の場合にはそういうマッ チングの問題ないだろうと思うのです。 矢崎部会長  もう一つは、人格と同時に、既に親子関係が確立しているところを切り離さなければ ならないというステッフがありますよね。それは裁判所のプロセスがそこに入らないと 親子関係というのがなかなか難しくなりますよね、法的に。 石井委員  はい。 矢崎部会長  だから、私は裁判所が関与しているのではないかと思ったのですが。 石井委員  特別養子の場合には、既にある親関係を切る。この場合そもそも実親子との関係を生 じさせないわけわけですよね。その点については、卵子の提供、精子の提供それぞれ 別々の場合については、裁判所の関与なくていいということになっていますので、それ が重なった場合については、必要だと考えるかどうかということになると思います。 才村委員  私も特別養子縁組との整合性をずっと言ってきたのですけれども、今言われたよう に、既に生まれた子どもが実の親との親子関係を見て、虐待等望ましくないと、そうい う判断を家庭裁判所がするというところが裁判所が関与する理由なのかなと思うのです けれども、この場合は、その辺の審査は、ある程度医学的な判断だけではなくて、夫婦 が安定して子どもを育てていけるかという判断をしっかりしてほしいと今でも思ってい ますし、言い続けているのですけれども、この胚提供の場合には、特別養子縁組とはそ の辺の違いというか、実の親が育てることがよくないという判断がまずあって、そして 養子縁組できる夫婦との親子関係であれば大丈夫であるという、そういう裁判所がお墨 つきを与えるというところでの判断というのと、生殖補助医療、これから子どもをつく っていくというところでは、その辺の関与の違いは少しはあると思うのと、胚について は、私は意見としまして反対するのではなくて、むしろ裁判所とは同じとはいえないと 思うのですけれども、むしろ判断基準をしっかりと、医学的な判断だけではなくて、私 は夫婦として、子どもを安定して育てていけるか、倫理委員会ないしは公的管理運営機 関の判断をしっかりやっていくということと、生まれた後で複雑な家族関係の中でいろ んな問題が生ずる社会的な支援体制、心理的・社会的な支援体制といいますか、そんな ものを充実して認めていくべきではないかと思います。 加藤委員  特別養子制度の場合に養子縁組を認めないという場合、どういう理由で認めないとい うケースがあるのですか、才村先生。 才村委員  実の親御さんが子どもさんを育てることが望ましいという考えがまずありまして、そ れで実の親御さんが、例えば子どもを育てることが子どもにとって幸せでないといいま すか、この親ではその子どもを幸せにできないという、そういう厳然とした虐待が将来 にもわたってあって、助言やいろいろな相談をやってもそれは改善できないとか、将来 にわたってずっと子どもを育てることはできないと、それだけの親御さんの事情がしっ かりあるという場合、親子関係を終了するということになっているようなのです。  ということは、例えばその終了というのは、よく児童相談所で児童虐待で親権喪失と いうことを児童相談所長とかが申請できるのですけれども、親権喪失よりも特別養子縁 組の方がもっと強い断絶だと家庭裁判所の方はいつもおっしゃっています。だから、か なり強い判断で親子関係を終了するということになっているのです。 矢崎部会長  そのほか、いかがでしょうか。 澤委員  「子の福祉」をうたっている以上、多分この前の報告書でも、余剰胚のドナーは、既 にお子さんがいる方から余った胚を持ってくるということになりますと、その子どもに とっても、自分と同じ遺伝子が全く違う家庭の中に出てくるという、そういう点でもも う一度考えてみなければいけないのではないかと考えますし、配偶子が足らないから胚 というのはちょっと飛躍し過ぎている。  先ほど荒木委員からも、まだ社会はそこまで望んでない。この間の矢内原先生の報告 書もそうですが、先日の再調査、もう一度御説明いただいたものでも数字がほとんど変 わらないので正直驚いたのです。まだ余剰胚を持ってきて、それを生殖補助医療に利用 するというところまで社会のニーズはそんなに高くないぞ、というのを再認識して、こ れは本当にもう一回考えてみてもいいのではないかと思いました。  私自身は卵が足りないからといって、そのまますぐ胚という訳にはいかないと思いま すし、今の才村先生からもお話があったように、これは医療の問題というより社会制度 そのものが一緒に入ってこないと到底解決しえないだろうと。つまり特別養子制度との 調整をどうなるか?というところ。お医者さんと患者さんだけの間でとても解決できな い問題で、ある程度それを踏み越えるためには、何かしら立法機関でありますとか、そ ういった横断的な対応に解決するところがないと到底なし得ないのではないかと思いま す。 矢崎部会長  いかがでしょうか。 町野委員  認めるということは、恐らく皆さん一致していると思いますが。荒木先生を除いて は。              (「そうではない」と声あり)  専門委員会の報告書から、胚の提供自体は認める方向でいくという方向になっている と思っていました。ただ、それをどの胚にするかということが問題で、6ページの下の ところに引用がある専門委員会の報告書の前段の方、それは卵子の提供が得られないと きも、これはいいという趣旨だったのですが、それをめぐっての議論ということが1つ あると思います。もう一つは、それをもし認めるとしたときに、その手続がレッセフェ ールで構わないかという問題だろうと思います。後者の方については、恐らくこれは自 由で構わないという人はなくて、特別養子縁組の制度がある以上、少なくともそれに準 じたものでなければいけないという考え方は合意はあるように私は思います。ただ、問 題は、今、胚の提供をそもそも認めないという議論をもう一回するかということ、認め るとして、それはどのような条件で、つまり卵子も精子も、要するに自分たちにはない という人だけに限るかということだろうと思いますが、そのような理解でよろしいで しょうか。 矢崎部会長  私はその理解でどういう場合に胚の提供があるかということまで進んでしまったので すが、胚そのものの提供もいかがなものかという議論があったので、振り返って議論し たらどうかということで、今議論しているところであります。 澤委員  町野先生、どうして配偶子から……産婦人科学会は反対しているのですね。産婦人科 医会もこれは反対していまして、医師会としても、これは医療ではないだろうというよ うなことで、逆にこの委員会で、どうしてすぐ簡単に胚までジャンプそのときにしたの かという方が私は理解できないのですね。かなり前の委員の方でも、胚に関しては、た しかあのとき、コメントの中にも、不妊の患者さんから来たコメントは、そんなのは私 としてはいらないというコメントがたしかついていたと思うのですけれども。 加藤委員  胚の提供を認めるか、認めないかという問題よりも、禁止するか、禁止しないかとい う問題で、実際問題として卵子の提供が非常に少ない場合、しかし、胚の場合にはスペ ア・エンブリオというのが、確実に既に赤ちゃんができて、この部分については、その 御夫婦はいらないというケースが出てくるので、そういう胚を使っても赤ちゃんがほし いという人の場合に、あえてそれを禁止しないと、そういう考え方だったと思います。 だから、禁止するか、しないかという問題なんです。 町野委員  わかりました。私は、「禁止しない」ということは「認める」という趣旨に、言葉を 使っておりました。 加藤委員  そうなんですけど、それを勧めるとか、推奨するとかという意味ではないし、もし、 誰も希望しないというのであれば、そのままでいいわけで、今、澤委員がおっしゃった ように、ほとんどの人が希望しないというのであっても、法律上は、ともかくそれを希 望する人がいれば、認める枠をつくっておいて、実際には実行例がないというのであっ ても差し支えないということだと思います。 福武委員  澤先生がおっしゃったように、私はこれ自身は医療の問題ではなくて社会制度の問題 だと思っているんです。先ほど特別養子の話が出ましたけれども、普通養子の場合にし ても、全く夫婦と血のつながりのない子を養子をする場合には家裁の許可そのものは必 要なのですね。ただし、それぞれの夫婦の連れ子さんを養子にする場合には要らない。 それは片一方が親なのだからということがあるのだと思うのです。  そういう意味では両方とも親が違うということで、子どもさんが生まれて、子どもさ んの出自を知る権利ということがはっきりしたら、あの夫婦があなたの親ですよ、あの 夫婦のあの子どもがあなたの兄弟(姉妹)ですよという形になってしまうのだろうと思 うんですね。卵子の提供または精子の提供による直接対象となっている1人の女性、1 人の男性以上の問題が出てくるのではないかという気がするのです。  それで、きちんとした形の、社会制度として成り立っているのだったらまた別とし て、今の時点ではやはり時期尚早ではないかと私は思っております。 矢崎部会長  そうしますと、認めないという。 福武委員  当面の間は認めないという意味です。 平山委員  そういうふうに結局血縁主義というのが出てくるわけですね。血縁主義というのはや めようというのがもともとの、やめようというか、それは事実としてあるのだけれど も、そういうことにこだわらない親子関係、家族関係を考えていこうというのが本部会 の趣旨だったように思うので、私はその意味で、血縁関係がないから禁止というのはど うも納得がいきません。卵子提供や精子提供よりリスクは高いとおっしゃいますけど、 片方だけつながっている方が難しいケースもあります、前も言いましたが。  先ほどニーズの問題もありましたが、ニーズの問題でいうと、ああいうふうな統計 は、私はあまりニーズを拾っているとは思えませんので、ニーズはないと結論づけるの は尚早であろうと思います。それから、私は実際に患者さんから、卵子提供や精子提供 は嫌だけれども、胚提供をしてほしいと言われたことは何回かあります。そういう意味 ではニーズはないわけではないと思います。 鈴木委員  例えば平山委員は、先ほど澤委員が指摘なさっていた兄弟(姉妹)がばらばらになる ようなことも逆にいえば、カウンセリングと制度と準備で乗り越えていこうというよう なお考えなのでしょうが、そこについてはいかがですか。 平山委員  乗り越えていくというのは私たちが軽々しく言えることではもちろんないと思うけれ ども、結局それは国家がいけないとかという筋の問題ではないと私は考えているので、 禁止するか、しないか、という意味では、あえてそういう選択をしようとする方に対し て、できるだけの援助をしていこうということだけであって、それを国家が禁止するこ とは私は納得がいかないという意味です。 矢崎部会長  委員の皆様は、これを認めて、どしどしやりましょうという気持ちは一切ないと思う のですね。ですから本当にお困りの方に、いろいろな問題があるけれども、それを克服 するような環境を整えて、サポートにできればという考えで、認めてもいいのではない かというお考えですから、先ほど私、座長でありながら踏み込んでしまったのですが、 こういうのは相当考えた末に認める医療ではないかということですね。  それと遺伝子がつながらないというと、どうしても血縁主義になってしまって、そう しますと前に出た兄弟姉妹とか、そういうふうなことに結局はなってしまう可能性があ りますので、その辺も考え直さないといけない。我が国は1つの人種的にもまとまった 国ですので、皆さん意識の中では、そういう血筋ということがプライオリティーの高い 位置にあるので、一般的なアンケートでとりますと、それはいかがなものかという反応 は返ってくるのは当然だと思います。そういうことに対して、我々がどういう対応をと るかというのはいろいろ考え方があるのではないかと思います。 加藤委員  血統主義について、血統主義を守るためには、こういう例えば配偶子の提供を受ける 権利があるという主張を特に採用しないと。また、血統主義の立場に立つから、これは 禁止してやろうとか、血統主義だからいけないとか、どちらの立場もをとらないという ことで考えを進めてきたのではないかと思うんですね。ですから実際には、ある機会が 与えられたときに、それを血統主義的な理由で選ぶ人もいるし、反血統主義的な理由で 選ぶ人もいると思うのですね。  この委員会として、例えばこれは血統主義を守るためにはどうしても必要だから、こ ういう場合には卵子の提供を認めてくださいというのは認めてないし、しかし、また、 これは血統主義を排除するから禁止するというのも認めないというのが今までの委員会 で基本的にとってきた姿勢ではないかと思います。 才村委員  ちょっと戻ってしまうのですけど、福武委員にお伺いしたいのですけれども、特別養 子縁組は家庭裁判所のかなりの判断というものが入ると私は認識しているのですけれど も、もちろん連れ子の場合は裁判所の関与がなしで届出だけでできると。普通養子縁組 は確かに家庭裁判所の関与はあるのですけれども、だけど考え方としては契約ではない かというふうな考え方もあるように思うのですね。普通養子縁組を申立てた場合、あま り親子関係がだめだから、普通養子は認めないというのが実際にすごく家庭裁判所の判 断として入っているのかどうなのかというところはどうなんでしょうか。 福武委員  それはほとんど入ってないと思うのです。というのは、もともとの親子関係はそのま ま残るから。だから子どもさんにとっては4人親がいるという形になるのです。そこは 特別養子とは全く違うものですから、親子関係を切るかどうかというところの判断で、 裁判所はきちんとした判断をしているようですけれど、普通養子の場合にはさほどして ないと思います。 才村委員  普通養子縁組の方は契約的なことが多いので、私も児童相談所のときに、実の親御さ んが同意していれば、子どもさんを普通養子縁組をあっせんした場合あるのですけれど も、ほとんどそれでだめというということはなくて、形式的な感じでの家庭裁判所に通 るというふうな感じでしたので、そういう意味では、先ほど平山委員が言われましたよ うに、できるだけ血縁でしか固めないと生きられないという、そういう社会を固めてい くというのはよくないのではないかと思います。 松尾委員  一番基本的な問題の一つですけれども、本部会の冒頭で矢崎部会長が、前の委員会の 結論に100%こだわる必要はないけど、一応それを基盤に考えましょうという御発言だ ったと思っておりますので、この問題に個人的な見解は申し上げませんでした。個人的 には荒木先生と同じ考え方です。この問題について一回も発言なさっておられない委員 の方に発言の機会を与えられて再確認した方がいいと思います。  子どもの福祉にかかわっている立場で気になっていますことは、第1に生殖補助医療 自体がリスキーな治療であることが利用者に必ずしも十分伝わってないことです。第2 に未熟児医療は極小未熟児の増加にすでに十分に対応出来ない状態にあります。「子の 福祉」を担保するということは非常に難しいことをぜひ御理解いただきたいと思いま す。 矢崎部会長  いかがでしょうか。 加藤委員  荒木先生のお考えというのは、子どものアイデンティティーの問題というのと、それ から親子関係が混乱するというのと、特別養子制度との整合性が保たれない、その3つ になるわけですね。 荒木委員  今の社会の現状がそれを急いで決めてゆくような状況になってないのではないか。 矢崎部会長  御発言いただいてない方々。 安藤委員  この胚の提供に関しては、私は最初のころからあまり賛成はしていなかった立場なの ですけれども、そういう意味でずっと来ているわけなのですが、いろいろ生殖補助医療 というところで、不妊の方たち、子どもを持てない方たちに対しての医療を提供すると いうところで少しずつ拡張していった方がいいのではないだろうかという話の流れの中 で、自分の気持ちが変わってくるようなところがあったのですけれども、いろいろまた もとのところに振り返って自分のことを見てみますと、やはり胚の提供というところま ではまだ早いのではないかというのを感じております。  といいますのは、先ほどから統計のこととか出されていましたけれども、調査され て、それを活用するかどうかというところのニーズの問題が出ていましたけれども、そ こら辺のところは、先ほど平山委員が言われたように、私も調査のデータがそのまま真 実であるというところはちょっと疑わしいというところがあるように思います。実際に そういう方たちと接していますと、子どもはほしいのだけれども、どちらかの血縁を 持ったというところでの子どもがまずほしいというところが圧倒的に多いんですね。た だ、どうしても子どもがほしいので、もしそういうふうな胚の提供を受けられるのであ るならば、それは公にはしないところで自分はほしい、そういった方もいらっしゃいま すので、本音と自分の希望、理想とするところとの調査のときの違いというのが出てく るように思います。  胚の提供を受けて子どもさんが生まれた場合に、出自を知る権利、親をまたたどって いくときに、先ほど来から出ていましたように、4人の親ということになってきますの で、ますます複雑になってくるというところもあるのではないかと思います。  そういうところからも考えまして、私は胚の提供というところはまだちょっと賛成し かねるところがあります。確かに卵子の未受精卵は凍結はまだできないというところな のですけれども、私も近い将来はできるのではないかというところは感じておりますの で、そちらの方に期待をかけていきたいと思いまして、まだ胚の提供のところまでは広 げたくないなという自分の考えでは思っています。いろいろ心理的に複雑な問題が多く なってくるのではないかと思いまして、そんなふうに感じております。 矢崎部会長  いかがでしょうか。 金城委員  やはり不妊の原因は様々で、不妊の人たちの気持ちも様々だと思います。ですから、 これはいかん、あれはいかんということではなくて、いろいろ複雑な問題はカウンセリ ングで十分対処すると、事前にきちんとお話しするということをして、そして胚の提供 は認めるということで私はいいと思っています。  ただ、卵がないときにというところに限定をすると、また後で議論した方がいいと思 うのですけど、胚の提供は原則として認めるということは、先ほど石井委員がおっしゃ ったように、既にお話し合いができたというふうに私も理解しておりました。 矢崎部会長  いかがでしょうか。 安藤委員  いろんな問題が出てきますと、カウンセリングとか相談に対応していくというところ で全部集約されていくのですけれども、実際この委員会ではその点について議論するべ きところだったと思うのですけど、そこはあまりにも簡単に過ぎていっているように思 います。そこが本当にきっちりと議論して定めていただかなければいけないのではない かと思うのですね。まず、不妊治療をするか、しないか、生まれた子どもだけではなく 不妊治療する段階のところからしっかりとしたカウンセリングの体制をつくっておかな ければいけないのではないかと思います。そこが今非常に欠けているのではないかとい うところがあるのですね。 矢崎部会長  少なくとも今まではですね。これからは違うということで考えていただきたいのです が。 渡辺委員  例えば、平山委員が国家が禁止すべきではないとかおっしゃっていますけれども、そ ういう観点からそのとおりだと思うのですけれども、もう一方で、澤委員が指摘された ように、出自の権利を認めなければいけない流れになってきた背景には、やはり生まれ てくる子どもが一人の人間としてその人の一回限りの人生を生きるということですね。 自分自身の人生が、例えば両親との間でできた人生であれば、両親との関係で、親子の 関係で葛藤があればカウンセリングなりで解決していけばいいのですけれども、全然見 ず知らずの人の人生も巻き込んだ自分の人生ですね。しかも主体である自分自身が巻き 込んでいる別の人の人生とコンタクトもとれないし、その実態もわからないという中で 生きていかなければいけないことはおそろしいことだと思うのですね。つまり人の人 生、人の命をも巻き込む医療であるという認識ももう少し持たないといけないと思いま す。  例えば、ここに「御意見募集で寄せられた意見」の3ページに代理懐胎3月6日フジ テレビ(とくダネ!)という記事があります。そのテレビのビデオをたまたま御親切に どなたかがお送りくださって私見たのですね。それを見て本当に仰天したのですけれど も、国民が茶の間でこういう現象をすごく浅いレベルで論じている。この番組に出演さ れた家族内でおきたことは家族病理の1つの典型例として、もし国際学会で精神分析学 会や家族学会で出せば問題になると思います。この「とくダネ」に出ていた女性が一番 必要としているのは、長期的な深い精神的なサポートであるという専門家の意見になる と思います。この女性は我が子が順調におなかの中で大きくなっていたのにある日子宮 内の胎児死亡を経験した。そしてその後子宮全嫡になったのです。この方にまず必要な のはこの理不尽な運命に対する恨みを長期的に時間をかけて乗り越えていくというプロ セスです。それが第一医療選択なのですね。第一医療選択で産婦人科医が勧めなければ いけないのは、こういう運命の仕打ちを生き延びてきたことに対する自分自身への振り 返りなんですね。それを代理懐胎という形で置き換え、それを美談にしていくという日 本の状況を見たときに、私は日本の心理学者や大学の心理学科は何をやっているのだ と、本当にお恥ずかしいと思いましたね。  これは結局は、自分がおなかの中で育てた赤ん坊を奪われた体験を、義理の兄嫁にも 同じように味あわせないと、あんたは兄弟でないよという無意識の怨念を向けているの です。その怨念を向けられた兄嫁は、自分がすでに産んだ子どもを自分の親戚の義理の 妹の怨念から守るために、いわば無意識の母性本能からあえて同じ体験をかってでてい るのです。そして自分のおなかの中で大きくなって出産した子をぱっと差し上げている わけですね。これは人身御供だと思うのですね。  こういうことは、私ども専門家はわかりますけれども、一般の方はわからない。つま り日本の心理療法のレベルは、まだそれくらいであって、これはむしろ文学者とか詩人 とか、あるいは常識豊かな方はわかるけれども、日本の大学で教えているレベルの心理 学ではわからないのだと思ったときに、まだまだ日本はカウンセリングなどできないと 思いました。またカウンセリングの適応であることの判断のできない産婦人科医が、生 殖補助医療という形で置き換えているのがもし生殖補助医療だとしたら、私は断乎反対 です。つまり産婦人科医の方々が産む性である女性の自分の胎内の命が奪われたときの 怨念の深さを簡単に生殖補助医療で置き換える問題に気づかないでやっているのであれ ば、生殖補助医療全体をもう一度勉強し直す必要があると思いました。申し訳ありませ んけれども、生殖補助医療のライセンスを持つ方は、少なくとも周産期精神医学と女性 心理をもう一度勉強見し直すべきだと思いました。  普通の国民の生活や家族関係が、こういった中途半端なものに汚染されていくことに 危惧を憶えます。もっと根源的に、例えばその兄嫁の人生が深いところでトラウマを受 けた可能性があります。それは二度と口に出してこの体験にまつわる本音が言えないと いうトラウマですね。しかもその兄嫁のお子さんが赤ちゃんのときから、そういう母を 見ていくというサディズムですよ。サドマゾの関係ですね。弟嫁が子宮の中の赤ちゃん を奪われたという被害者としての体験を今度はサディスティックに兄嫁に、無意識に強 いて、そして兄嫁がそこにマゾヒストになることによってのみ家族が円満になっていく という、これは私の読みなので、ちょっと強調して申し上げますけど、これはもっと痛 ましいことであって、それを美談としてやっていくというのは考えられない。  たまたまビデオをきのう、きょう見たのですけれども、つまり次の世代が巻き込まれ ている。つまり胚の提供の場合も提供した御夫婦の姉妹が必ずこの問題に巻き込まれ る。それは私たちは死んでいなくなるけれども、私たちが勝手にやったことの結果を次 のジェネレーションの見ず知らずの家族が負っていくことになるわけでやはりもっと真 剣に考えるべきだと思ったのです。そういう意味では国家が入らないと、国が責任を持 たないと、これは誰も責任を持たないで命をつくるとか、命をいろいろと選択するとか ということになっていきかねないと私は思ったのです。平山委員、どう思われますか。 平山委員  そのとおりなのですが、私が、なぜあえて今回の部会でいろんな非配偶者間生殖医 療、に対し賛成の立場をとっているかというと、そういうシステムにのせたいんです、 ちゃんとまずは。つまり、もし制限的にすればするほど全部闇に流れる、海外に流れる という現実を私は見ていますから、そうなると、それこそフォローが全くできなくな る。  先ほど渡辺先生おっしゃったように、まだまだ心理学のレベルは低いというか、私が 言っていいとはとても思えないのですが。なぜなら私は大学関係では全然なくて、自分 で不妊の心理の勉強や訓練を受けたものですから。まだ心理学会でも、私が去年初めて 発表したようなレベルです。ですので、不妊のことに関しての認識があるとはとても思 えません。そういう意味で、どうやってシステムをつくっていくのかと言われたら、本 当にそれは難しい問題がある。ただ、制限、制限としても、禁止することによって、す べて歪んだ形で行われてしまうところがあるのですね。そのときに少なくともまずはシ ステムに、全部するという意味ではないんですよ。システムにのせるということは候補 者として登録をした人に対しては、少なくともまだかかわる時間がとれる可能性がある のです。だけど、それさえできなくなってしまうということにすごく危惧を抱いている のです。その意味で賛成というふうにしています。 渡辺委員  私が言っているのは制限ではなくて、立ちどまったらどうだろうということだと思う のですね。立ちどまって、そしてこういう医療が進んでいくときに、社会のコンセンサ スと比べてどうなのか。社会がまだ準備ができていないのであれば、本当にいい医療で あれば、もうちょっと待てばいいわけですね。それからやみというふうにおっしゃって いますけれども、恐らく世界的に、例えば私なりに調べたものによりますと、アメリカ でも、特にイギリスの中にはアメリカの野放図なやり方に対するあからさまの批判があ りますし、それを受けてアメリカの議員などが、こんなことではいけないという声もあ りますし、やみはいつの時代にもあると思いますけれども、世界が同じように平気で野 放図にやっているということではだんだんなくなってきているし、それから誰よりも一 人の人間として、こういう生殖補助医療で大人になった人たちが、その人たちが発言し 始めているのですね。ですから、その人たちの声がもう少し集約されるまでもうちょっ と待ってみたらいいのではないか。その人たちが「胚の提供も大丈夫だ」と、「胚の提 供でもいいけれども、ただし、こういう制度はとってほしい」とかという、そういう意 見が十分にたまってくる時代が必ず来ると思うのですよね。ですからそれまではとまっ たらどうだろう。  それまで産科婦人科学会の会告のように、この資料にもありますけれども、エビデン スとして安全だということが出ていない限りとまるべきだというのですね。薬もそうで すよね。安全だということがない限り、使ってはいけないというのが医療の原則ですか ら、まず害をしてはいけない。「まず害をするなかれ」ソクラテスのギリシャの時代か らの医療の1つの流れがあると思うのですね。  ですから私はもう一度慎重になったり、地味になったり、スピードをおそめるという こと自体によって、この医療がもっと国民のコンセンサスを得たり、もっと安全なもの になっていけば、それはこの医療の可能性をより堅実に開いていくものではないかとい うふうに思います。もし生殖補助医療で生まれて不幸な人が、例えばどこかのビルを爆 発するということが1件でも起きたら、そのときに生殖補助医療は本当に崩壊すると思 うのですね。  私どもの臨床現場では、精神的に不安定な子どもたちが生まれておりますし、その不 安定さの中に高齢出産とか、一人っ子とかいろんなことが既に起きておりますし、そう いう中でも、突出して生殖補助医療の中で子どもを育てるということは、私は親御さん にとっては大変なことだと感じますので、そこら辺の丁寧な振り返りというのですか、 みんなで、ここは大丈夫そうだから、というコンセンサスをやっていくというプロセス が中心になっていくことは大事だと思うのですね。  この委員会はそういう精神を大事にしながらやってきたと思うのですね。ですから制 限とか国家ということではなくて、まだ見ぬこれから生まれる人間が、私たちに対し て、時間軸をワープして、ここの委員会にもし座ったとしたら、この委員会のこの議論 であれば、まあ納得できるというものにしていかないといけないという、そういう建設 的なことで考えているのではないかと思うのですけれども。 矢崎部会長  そのほか、いかがでしょうか。なかなか1つにまとめるのは至難のわざですが、私、 先ほど松尾委員が言われたように、この会は、専門委員会で議論された結果を踏まえ て、医療に移すための実際の検討事項を検討する会という位置づけではありしたが、し かし、極めて重い課題が次々とありましたので、専門委員会の結論とは必ずしも一致し ない結論が結構多く出てきたと思います。しかし基本は、専門委員会の報告に沿うかど うか別として、現状のAIDを含めた生殖補助医療がきっちりしたシステムのもとで行 われていなかったと。もしここで何か手を打たないとこのまま進んでいくということは 許されないことで、今、渡辺委員が言われたケースとか多くの問題が出てくるので、あ るいは松尾委員が言われたいろんな危惧を今後なるべく少なくするように、医療への信 頼を取り戻すのにはどうしたらいいかということで、きょう26回ですから、もう一回あ ると前回の専門委員会で、27回やられて、石井委員と加藤委員は五十何回ですか、これ は大変な議論であると。  ですからあまり検討してないとかおっしゃられる委員の方もおられますが、その都度 その都度時間を割いて議論していますが、恐らくこの方向性にあまり納得されない方は 十分な議論してないのではないかという意見にどうしてもなってしまうのですね。それ は当然だと思います。ですからどういうふうにシステムとして持っていったらいいかと いう話になるかと思いますね。その辺をよく考えていただいて議論していただければ大 変ありがたいのですが、いろんな危惧があるから、すべて認めないというのが一番楽な のですが、やはり信頼持った医療として行うにはどうしたらいいかという英知を絞らな いといけませんし、それは専門家の意見、あるいは心理学の方々、カウンセラー、ソー シャルワーカーの方々の専門の意見、あるいは法律の関係、倫理学の関係から、ここの 委員会は集まって英知を絞って、どういうことを提案し、それが実際に法律になってい くかということを視野に入れながら議論を進めていただければと思っています。  今までの御意見をお聞きしますと、精子と卵子の提供は皆さんいいだろうと、お認め いただいたと思うのですが、卵子のシェアリングについてはいろいな御注文があるの で、その点については、禁止はしないけれども、十分配慮をしないといけない。卵子の 提供以上にやはり注意しないといけないということを御指摘いただいたと思います。  そうすると、卵子と精子の提供のみを認めてほかは認めないとすると、血縁主義とい うことで、血縁を重視するという立場で生殖補助医療を考えていくという、従来の日本 人の考え方がそういう方向だと思いますが、そういうものでいいのか。これからグロー バルな時代ですので、もう少し考え方を広げてもいいのではないかということではない かと思います。  胚の場合には、そういう遺伝子の生物学的な関係は全くないということと、もう一つ は、配偶子ですといいのですが、胚となると既に命が芽生えているのではないかという ことで、それを命ということではなくて、どこかで勝手にいろいろ処理していいのかと いう、そういう倫理的な観念から拒否感を示す方も実際多いと思いますし、極めてそれ は倫理的な観点から強い御意見があることも私ども承知しておりますが、それを踏まえ て、これをどういうふうにするのか。胚の提供を認めるということで、どんどん胚を生 殖補助医療に用いましょうということは皆さん全然思ってないと思うんですね。ですか ら、そういう道もありますよということにするのか、いや、それは絶対認めないという ことにするか、どちらかと思うのですが。 町野委員  「絶対反対」という人は荒木先生だけだと、申し上げまして大変失礼しました。かな りの人がいらっしゃるということがわかりました。ただ、レベルは、つまり先ほど加藤 委員が言われましたとおり、法律で禁止しろという人は恐らくいらっしゃらないのでは ないかと思います。もしかしたら、また、これも見込み違いで、かなりの人がそうだっ たりすると困りますけれども。産科婦人科学会はこれを認めないと、私はこれで結構だ ろうと思います。法律が認めたとしても、産科婦人科学会の会告がリプロダクティブラ イツ(生殖)の権利を侵害するもので不当であるという趣旨ではない。他方、法律で禁 止して、それを行ったことを罰するようにしようという人もおられないと思います。そ こまで皆さん考えていらっしゃらないと思います。  リプロダクティブライツについては石井先生で専門ですから後で言っていただきたい と思いますけど、恐らく生殖補助医療を受けてまで出産する権利があるということは皆 さん考えていらっしゃらないだろうと思いますね。ただ、それをやることについて、と められない自由はあるというレベルだろうと思います。どこまでで立ちどまるか、ブレ ーキをかけるかという先ほどの話になるわけですけれども、私は基本的に、まだ世論が 受け入れてないから、これを禁止すべきだ、法律でそれをやったら処罰すると、そこま ですることは私は到底できないというぐあいに思います。  ですから産科婦人科学会の会告が、これについてネガティブな態度を当面の間とると いうことは私はそれそれで結構なことだろうと思います。しかし、法律でそれを最初か らだめだとしてしまうことは私はすべきではないだろうと思います。 矢崎部会長  いかがでしょうか。 澤委員  直接携わっている医療者が、現場がこれに対してかなり慎重論があることは事実なの で、机上での議論はたくさんあると思うのですけれども、特に周産期をやっている専門 医たちは、生児獲得というか、何の障害もなくきちんと生まれてくるということまで、 かなり苦労していますから、いわゆるこういったARTしてまで分娩する権利があると 言われると困ってしまうのですけれども、私たちが普通に言うのは、子を持つというこ とは、要するに胚を自分で持ってきて、ただ、妊娠と分娩がしたい。それはあまりにそ の子どもたち、次の世代にとってエゴが強過ぎないかという理論は、今、町野先生みた いなお話されてしまうと、その話も全部覆ってしまうわけですけれども、私は保守的と 言われても、どうしてもそこに結びついてしまって、分娩というのが、普通のICSI をやっても24%ぐらいが限界なのもわかっているんです。4回から5回やって初めて1 人できる、その程度の技術であるというのがまず最初にあって、それから本当に生児が きちんと獲得できる率というのは、さらにそれ以下。卵子提供やれば、少し流産率など は下がることは、アメリカのデータでエビデンスありますけれども、必ずできるのでな くて、どうもそのあたりの5分の1ぐらいしか成功率がない。一番いい状況で4分の1 か、5分の1ぐらいしかないという成功率のもとで妊娠が成立すると、それが何の障害 もない分娩がきちんと終わるか。母子ともに全然問題がないのが終わるかというと、決 してこれはいえないわけで、そういうところからすると、私は「当分の間」という言 葉、さっき不適切なところありましたけれども、逆に「当分の間」だけでも、そういう 点で、まだ現場がちょっと了解できていないというのが率直な状況ではないでしょう か? 荒木委員  町野先生、我々の見解といいますか、私どもの見解は、現時点で、胚の提供は反対、 しかし将来、再検討する余地は残してあるわけです。それはいろいろな社会的な要求、 技術の改善・改良が行われれば、その時点でもう一度検討しようという意見です。それ から法規制をもって禁止するということは一言も言っておりません。 矢崎部会長  これはどうなんでしょうか。この報告書に認めないということは、法的に禁止すると いうイコールになってしまうのでしょうか。この報告書の理解としては。 谷口課長  この前も似たような議論があったかと存じますけれども、罰則の話が後で出てまいり ますけれども、もちろん部会の御意向というのは、当然我々事務方としては最大限尊重 するべきものでございますけれども、仮に法律で禁止すべきだと書かれても、それがそ のとおりになるかというのは、これは国会マターでございますので、そこはわからない わけです、はっきり言いまして。我々としては部会の報告書の中に書かれてあるものを 最大限活かすべく努力はいたしますけれども、それ以上のことまでは我々としてはさす がに言いづらい部分がございますので。 加藤委員  報告書のレベルでは認めないというのはどういう意味なのですか。法律で禁止しても らいたいというのは、刑法上の禁止体制とか、そういう意味ですか。 谷口課長  そういうことをおっしゃっているのだろうと、我々としては理解せざるを得ないのか なと。 矢崎部会長  いかがでしょうか。 町野委員  報告書でそう書かれていても、そういうことにならないと思います。いろんなやり方 については、実行する人たちの考え方ですから、行政指導とかそういうことではそれは 出てくるだろうと思いますけれども、法律で直ちに禁止すると、そこまでの意味を持つ ものではないというぐあいに思います。法律が出てくるというのはかなりのことです。 厚生労働省の方も理解しておられるとおり、生殖医療の問題というのは非常にセンシ ティブな問題ですから、そこのところに直ちにに法律でいって、これはやってはいか ん、これをやったら刑務所だということはなかなかできないわけですから、まさに澤委 員とか荒木委員がおっしゃいましたとおり、医療現場、子どもの福祉の問題を考慮しな がら、現場は考えていくべき問題だろうと思います。  それを最初から、やってはいかん、あるいはどんどんやれというようなことは法律と してはかなり不遜な態度ですから、そういうことには私はあってはならないことだと思 います。 矢崎部会長  ぜひ、これは言っておきたいという御意見の方はいらっしゃいますでしょうか。特に 御発言なかった岸本委員、新家委員。 岸本委員  患者会の皆さんの意見を、このことに関しては全然お聞きしてないので、個人的な意 見になるのですが、先日ある雑誌に、不妊患者のうち男女両方に原因があるのは7%を 占めるというふうに書いてあったんです。 女性のみに原因が43%男性のみに原因が25%原因不明が25%。 その7%の中には、精子・卵子 御夫婦でどちらもなくて、養子をもらいたいと思う方 もいらっしゃると思いますし、子どものいない人生というふうに考えている方もいると 思うんです。またこの胚提供をして子どもを産みたいという方もその7%の中に本当に 少ないと思いますが、いると思うんですね。これは自分が思うというだけなので、現実 わからないんですけど、それをこういう場で禁止して、絶対認めないというのは、個人 的には反対なのです。もっともっとやれとかいうのではなくて、希望している人に関し ては、きちんとカウンセリングした上で、認めていってもいいのではないかと思うので すね。 先ほどどなたの委員が言われたかちょっと忘れましたけど、受精卵がいくつかできます よね。私自身の考えなのですけれども、受精卵があって、できた時点でもちろん生命と いうことになると思うのですね。 一方では夫婦間でできた受精卵を子宮に入れて子どもを出産すると。 もう一方は、もちろん御夫婦のどちらにも遺伝的なつながりのない受精卵を子宮に入れ ることになると思うのですが、精子、卵子のない御夫婦のところに着床しますよね。 着床したと同時に、その御夫婦の子どもになると思うんです。 私はその不妊夫婦の奥さんの子宮に着床した時点で人間生命というふうになると思うん ですね。 受精卵では生命で、人間生命になるのは子宮に着床した時、その夫婦に縁して人間形成 していくと思うので、胚提供に関しては、カウンセリングを受けて、後のフォローと か、そういうのも考えた上で行うのは、賛成です。 古山委員  生殖補助医療部会の委員をお引受けしたときに、この生殖補助医療部会がなぜ設置さ れたかということは、先ほど矢崎部会長もおっしゃいましたけれども、専門委員会の報 告に基づく制度整備の具体化のための検討を行うということですので、専門委員会報告 は、一応アグリーしているという立場で、今までこの委員会に出席して協力させていた だきました。只今提供された胚の移植についてどう考えるか、個人的な意見も含めて、 意見を述べてもいいような雰囲気になっておりますので、個人的な意見を述べさせてい ただきますと、胚移植の帰結は問題をはらんでおります。日本民族という、先ほど矢崎 部会長もおっしゃいました血統主義ということからいいましても、大変問題を含んでい ますし、「子の福祉」という観点とか、出自を知る権利の中で、親が4人も出てくると いうような、大変な問題を含んでいますので、個人的には賛成したくないというのが本 音であります。そういうところです。 矢崎部会長  そのほか、新家委員。 新家委員  日本産婦人科医会は、日本産科婦人科学会に賛成したわけでして、胚の移植には絶対 に反対なんです。私どもがわかるのは、生殖補助医療をやっている産婦人科の医師があ まりにも結果だけにとらわれている。つまり妊娠する率が高ければいい、子どもが生ま れる率が高ければいい。そこにかなり神経が今まではいっていたのだろうと思うので す。子どもの福祉ということを考えてきたときに、これは私自身もよくわからないので すけれども、生まれてきた子どもが、出自を知る権利があって、そして、産んだ親は当 然不妊症で悩んでいたわけですから、子どもをかわいがって大事に育てるのだろうと思 うんです。そこまではわかるのですけれども、ただ、出自を知る権利が認められてしま うと、この胚の提供者がいずれわかるわけです。  そうなってきたときに、その子どもの持つ気持ちというのが、果たしてどっちへいく のか、それが私にはよくわからないです。ですからそれが国民のコンセンサスが認める というならば、その時点で胚の提供を認めてもいいと思うので、ちょっとまだ時期が早 いのではないかという気がしております。 矢崎部会長  特別養子縁組という制度が認められても、この胚の提供は問題があるのではないかと いうお話ですか。そのほか。 松尾委員  「当分の間」という条件をつけて、少し先延ばしするというのに賛成ですけれども、 当分の間という意味は、野放しの生殖補助医療がなされているアメリカにおいても、生 まれてきた子どものフォローというのはされているわけですね。EUは全体を包括する レジストリーができておりますし、さらに北欧を中心に次世代の姓より性までフォロー アップする体制が確立しています。  しかし、日本においては産婦人科学会でしょうか、専門学会は、子どもについては全 くフォローされていません。少なくともそういう体制ができるまではちょっと待ってい ただきたいと、そういう意味で「当分の間」というのでどうでしょうか。 矢崎部会長  いかがでしょう。 石井委員  積極的にぜひ認めたいというわけではないのですが、反対意見が多いのであえて申し ますと、先ほど岸本委員がおっしゃったように、精子のない人は精子をもらうことがで きて、卵子がない人は卵子をもらうことができて、たまたまそういう人が夫婦だと胚を もらうことはできない。その胚は既につくられていて、その胚を提供することに誰も身 体の侵襲が、精神的にはいろいろ問題あるかもしれないけど、身体の侵襲はなく提供が できる。それを認めないというふうに言えるのだろうかということ。ただ、確かに提供 されなければ生まれないのだけれども、生まれたこと自体を子どもが嘆き悲しむ。自分 と血のつながった、そういう意味では生物学的には兄弟(姉妹)は血のつながった両親 に育てられていて、自分はそうではないということをどう受けとめるかということは私 もわかりませんから、子の福祉の観点からやはり認められないというふうに言えるので あれば、それは認めないということは可能かとは思うのですが、たまたま夫婦それぞれ が別々であれば、子どもを持つことができたのが、ともに精子がない、卵子がない場合 にはだめということはどうなのだろうかということが1点。  先ほど平山さんがおっしゃったように、この医療そのものを認めるというのは、血の つながった親子が親子という考え方をとらないという前提なのだと思うんですね。育て るために精子・卵子をもらって、その育てる人が親になるのだという考え方をとるとい う立場なのではないかと私は思っていましたので、片方が血がつながればいいけれど も、両方ともつながらないとだめですよという考え方もどうなのだろうかと思うという ことであります。 福武委員  日本でもほかの国でも養子制度というのはきちんとあるわけですから、別に血縁関係 が必要だから、片一方はオーケイで、両方とも違うのはだめだよという意味では私はな いのだろうと思うんです。当面やらない方がいいのではないかと思っている最大の理由 は、特別養子制度ですと、家庭裁判所という1つの機関があって、それはそれなりに夫 婦の状態だとか、いろんなことを調査し得る、そして公的な意味での決定を出し得る機 関だと思うのですね。ところが今回出されている公的管理運営機関とか、あるいは審議 会という内容がはっきり言ってよくわからないんです、現実に。一体どこがどのような システムでやるのか。どの程度の予算があって、どの程度の人数なのかわからないまま そこが審査をする。子どもを安定して養育することができるかどうかについても審査を 行うという形になっているものですから、それが本当に今の時点で、家庭裁判所に代わ るようなシステムになり得るのかどうかというのについて、私は今の時点でかなり疑問 を持っている。  ですから、むしろこういった公的管理運営機関とか審議会とかいうのが、今後それな りに健全に発展していくということがはっきりしてくるのだったら、それが全く血のつ ながりのない子どもを育てる、ただ、戸籍上は実子として育てるというのは私はひっか かるのはひっかかるのですね、そういったシステムをとることは社会としてはあり得る だろうと思うんです。  ですから、今回、3つの検討課題のうち、第3の部分が何かはっきりしないままずっ ときているものですから、それがひっかかっているということなのです。 矢崎部会長  今の特別養子縁組の裁判所の介入というのは、親子の関係を切るというところがメイ ンで、それを養子としていただく方の夫婦についても、裁判所が相当検討されるので しょうか。 福武委員  すごく小さな子どもについては、特別養子と普通養子の両方の選択肢はあるのです ね。ただ、特別養子にしたいと思う人たちの最大の希望は実親との関係を断ちたいと。 そのためには家庭裁判所が養子になる人たちについての調査その他もやるし、実際に6 カ月は育ててみるという状況をつくっているんです。効果として実親との関係を断つと いうのが非常に大きいものですから、家庭裁判所の関与が必要だということなんです ね。  だから、公的管理運営機関なり審議会が本当にそこまでできるのか。それができれば 胚提供もあり得るかなとは思いますが、今、不安ということなのです。 矢崎部会長  大体この問題については、委員の皆さんに意見をお伺いしたと思います。ちょっと10 分間休憩をとって、それで少し頭を冷やして話を進めたいと思いますので、大変恐縮で すが、3時15分からまた開始させていただきたいと思います。よろしくお願いします。                   (休憩) 矢崎部会長  時間が5分過ぎていますが、再開したいと思います。  先ほどの議論で、1つに集約するのは難しいのではないかと。無条件で認めるという のは、皆さん反対であると同時に、一切法的に禁止するというのもいかがなものかとい う御意見があったと思います。それで、まとめは、ちょっとお聞きください。  「子の福祉のために、安定した養育のための環境整備が十分になされることを条件と して」、これは恐らく公的管理運営機関も含めたことだと思いますが、「〜最終的な選 択としての胚移植を認める。ただし、現状においては、そうした環境整備が不十分であ るので、『当分の間、認めない』という意見もあった」と、こういう趣旨で。 荒木委員  今、お聞きしていて、「ただし」の前までは「認めない」としていますから、これが 走っちゃいますね、多分。「ただし」なんていうのは問題ではなくなってしまいます ね。 矢崎部会長  「ただし」でなくて、「一方」。荒木委員の意見も入っているわけです。「一方、現 状においては、そうした環境整備が不十分であるので、『当分の間、認めない』という 意見もあった」。 荒木委員  「意見もあった」ということは、少数意見か、大多数の意見かも、はっきりしません から、「意見」の前で切っていただければ、「当分の間、認めない」と。その後は、削 除ということにさせていただきたい。 矢崎部会長  これは多数決ではないので、それぞれのお立場もあるかと思いますが、やはり「当分 の間、認めないとする」。 加藤委員  意見も有力であった。少数派ではなかったと。 矢崎部会長  これは、皆さん全部意見なんですよね。ですから最終的な決定はないので。「意見が あった」と。 石井委員  もう一度、読んでいただけますか。 矢崎部会長  「子の福祉のために、安定した養育のための環境整備が十分になされることを条件と して、最終的な選択としての胚移植を認める。一方、現状においては、そうした環境整 備が不十分であるので、『当分の間、認めない』とする意見もあった」か、「意見があ った」か、ここのところはどうなんでしょうね。「意見もあった」。  一応、これでまとめさせていただきたいと思いますが。 石井委員  質問ですが、言わんや、卵子の提供を受ければ、妊娠できる人は胚移植は認められな いということですね。 加藤委員  今は適用例について書いてないんですね。 矢崎部会長  書いてない。だけど、私としては「最終的な選択」というところに、これは……。 松尾委員  よろしいでしょうか。修正案なんですけれども、「2つの意見が相半ばした」という 形でまとめられたらいかがでしょうか。 矢崎部会長  そういうあれもあるのですが、「半ばした」ということだとどうですか、全体の。 松尾委員  ほぼ事実ではないでしょうか。 矢崎部会長  ですから、環境整備、同じことなんですよね。環境整備が十分になされることを条件 として、最終的な選択としての胚移植を認めろと、だから、同じことを言っているんで すよね。違いは、認めないというと、最初から認めない。何かあったら認めましょうと いうことなんですね。だから、全部認めるということではなくて、環境整備が十分にな されることを条件として、最終的な選択としての胚移植の条件ならいいのではないかと いう意見が多くの方が占められた。いやいや、当分の間は認めないということを強調し たいという意見もあったと。 松尾委員  もし、そうでしたら、後半の部分を取ってしまった方がかえってすっきりしません か。矢崎部会長  要するに安定した養育のための環境整備が十分になされることを条件として。 福武委員  「条件として」と書かれるとちょっと弁護士としては、誰が判断するのか、客観的に 判断できるのかという問題がどうしてもひっかかるのです。例えば何月何日になったか らというのだったら、よくわかるんですけど、十分な環境整備がなされたと、一体誰が 本当に判断するのかなというのがわからない。それでは条件にはならないと思えるので すが。 矢崎部会長  そうすると、逆に「当分の間、認めない」ということは、また難しいですよね。 福武委員  とりあえず法律を作るのですから、現状ではどうなのか、当分の間、認めないのだっ たら、当分の間、例えば数年後に見直すとか、そういう話になるのだろうと思うのです が、今の時点で、何々を条件として認めるといったら、それが今現在認められるのか、 認められないのかはっきりさせておかないと難しいのかなと思うんですが。「条件」と いう言葉にひっかかってしまったということです。 矢崎部会長  ちょっとその「条件」というのは、そう言われると困る……。 金城委員  「条件」ということになると、誰が判断するかということがあると思うんですね。そ もそもこの生殖補助医療部会が置かれましたのは、そういう条件をきちんと決めて、そ して生殖補助医療が妥当なやり方で行われるようにということでいろいろなことを考慮 しているのだと思うんですね。ですから、条件が整うこととしてぐらいで、ずっと前か ら読んでいただきたいのですけれども、「条件」は取ってしまっていいのではないかと 思います。もう一度、ちょっと読んでいただけますか。 矢崎部会長  「環境整備が十分になされることとして、最終的な選択としての胚移植を認める」 と。金城委員  現状はその条件が整っていないことは確かだと思います。個々の医師がやっているわ けですから。でも、この生殖補助医療部会で検討した結果、様々な管理機構その他が出 てくるわけですよね。ですから、その後には、これはそういう条件が整うということを 前提にして様々な議論をしているわけですから、「こととして」ということでよろしい のではないかと思うのですが。 加藤委員  「こととして」というのはもっとあいまいではないですか。「こととして」というの は、どういうことなのか、よくわからない。 金城委員  ですから、これができれば、そうなるのだということですよ。そうでなければ、私た ちがここで議論をしていることの意味が全くなくなってしまうのではないかと思いま す。 加藤委員  だけど、仮定条件か、確定条件がどちらかわからないこととしていて、条件としてと いうのは仮定条件のうちに入ると思うんですね。どっちだか、わからないようにした方 がうまくいくかもしれないけれども。 荒木委員  2つの文章があると思うんですね。後ろの「ただし」以下を前に持ってきていただけ れば、ただし、条件が整ったときは認めるというのが現状ではないでしょうか。皆さん の意見がそうじゃないかと思うんです。 矢崎部会長  要するに、荒木委員は、まず法律で禁止したいところですね。 荒木委員  法律で禁止と言っていません。認めるか、認めないか、我々は医療関係は法律は ちょっとなじまないので、コメントも一切申し上げてないんですけれども、条件かどう かわかりませんけど、環境が整ったら認めると。前後を逆にしていただきたいと思いま すけど。 矢崎部会長  同じようなことでも、ちょっと意味合いが違うんですよね。その辺を。 才村委員  私、出自を知る権利を認められたということはすごいことだと思っているんですね。 出自を知る権利を認めたということは、どのような、前にも危惧がありましたような事 態にも耐えられる、そういう環境が整っているという条件でないと、出自は認めて、あ とは体制は知りませんではあまりにも無責任だと思うのですね。ただ、出自を知る権利 については、今から実施をした子どもだから、今から、例えば15年後、55歳以上ですか ら、15年後に整うために、今から徐々に、児童相談所になるのか、公的管理運営機関が 中心になるのかわからないのですけれども、整えていきながらやっていくと。でも、こ の場合は、別に15年後ということではなく、今、すぐ整っているかどうかと。あまりに も環境整備というと、環境がどんなものか全くわからない中で、「環境整備を条件とし て」と言われても、なかなか具体的なイメージが、先ほどから皆さんが心配しているよ うな社会制度の問題、国民のコンセンサスの問題とかフォロー体制の問題などが、どの ように環境が整備されるのかというのが全くわからない中で、なかなかこの言葉が出さ れても、「環境整備を条件として」というのですっと納得しがたい感じになるのですけ れども。 矢崎部会長  これはイメージとしては、公的管理運営機関が中心となって、これをサポートしてい ただくということです。それで、すべての環境を、社会的コンセンサスまで全部とると いうのはなかなか不可能ですし、できれば、「子の福祉」のために、ある程度、国は責 任を持ってやっていただきたいという条件で、だから、事務局がどれほどやっていただ くか、その条件だと思いますが。 鈴木委員  そうすると、これは国の義務なんですか。 矢崎部会長  国の義務というか、周りの環境ですよね。 鈴木委員  に、対しての条件になるんですか。何かそれも今おつくりになった本来の趣旨とは違 うのではないかという気がするのですが、御夫婦とかの気持ちのことも多分1つの条件 というふうにお考えになっているでしょうし、それからもう一つ、社会的なその人たち のサポート体制ですよね。が、2つ条件として揃わないと、なかなかこれは成り立ちに くいという意味で、「条件」は入れた感じですよね。 矢崎部会長  それを整備するには、少し中心的に、どこかがやらないと、ただ言っても効果がない と思いますので、我々としては公的運営機関が、この医療の透明性・公平性とか、社会 的影響、倫理性、そういうものを加味して環境整備をやっていただきたいという気持ち はありますけれども。 鈴木委員  また、下手な突っ込みを入れるようですが、例えばこれも一応審査というような話に 今のところなっているわけですよね。そうすると審査機関が、いや、今そこまで、私た ちの準備、受け入れ態勢のサポート体制ができていませんので、ちょっと今回はお待ち くださいということも考えられるということになるのでしょうか。あなた方の気持ちは 十分準備はできていると思うが、サポートの体制できていませんと。なので、待ってく ださいということもあり得るのですか。 矢崎部会長  これは御夫婦だけの問題ではないという意味ですよね。全部整わないと行われない。 これは兄弟姉妹のところと同じところなので、ひとまず、これはこういう括りにしてい ただいて、怒られるかもしれませんが、法律的に条件というと、どういう条件なのかと いうこともありますが、私の責任でもって、「〜ことを条件として」ということで、一 応まとめさせていただいて、後でもし御意見があれば、御議論いただきたいと思いま す。  次に兄弟姉妹のところがありまして、これも今と同じような、皆さんの御意見を聞い て、一応青字で書かせていただきました。11ページの兄弟姉妹等からの提供について、 議論の結果を踏まえて行いましたが、これについては、改めて今御意見をお聞きしたい と思いますが、事務局から読んでいただけますか。 宮本室長  11ページの匿名性の保持の特例に関します検討結果を青字で書いてあります部分を読 み上げます。  ○ 精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、兄弟姉妹等からの精   子   ・卵子・胚の提供を認めることとするかどうかについては、当分の間、認めないと    する意見が多数占めた。  ○ 一方、精子・卵子・胚の提供が少なく、提供された精子・卵子・胚による生殖補   助医療の実施を実質的に困難にしかねないことから、匿名での提供がない場合に限   って兄弟姉妹等からの提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を認めるべき   だという少数意見もあり、精子・卵子・胚の提供者の匿名性が保持された生殖補助   医療が実施されてから一定期間経過後、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供に   よる生殖補助医療の実施の是非について再検討するこことする。 という部分でございます。  それから、平山委員から途中で御意見がございました。  自らの兄弟姉妹や友人知人等を提供者として登録することにより、優先的に提供を受 けることができる制度を認めるか?  というのが課題として出されておりまして、これについては、資料2にございますの で、こちらの方も併せて紹介させていただきます。  精子・卵子・胚の提供を受けることを希望する者が、自らの兄弟姉妹や知人友人等を 提供者として公的管理運営機関に登録することにより、優先的に提供を受ける(マッチ ングにおいて優先順位が(最)高位になる)ことを認めるか?  ということでございます。こういった制度の存在につきまして、私どもも外国の実情 を知る方などに伺ったのですけれども、確かにフランスなどにおいて、そういった制度 というのが運用されているということでございます。ただし、法的な枠組みとして、そ ういった制度が確立しているということではなくて、各施設において、実態上なされて いるということで、そういった性格のものとしてされているというように聞いてござい ます。  そういった制度の利点と問題点を、私どもなりに整理をしたところでございます。 利点:  (1) 提供を受ける者は、あくまでも匿名の提供者から提供を受けることに       なることから、生まれる子の身近に遺伝上の親である提供者が存在するな       どの複雑な人間関係が発生せず、子どもの福祉としては、通常の精子・卵       子・胚の提供の場合とかわらないものと考えられる。       (2) 提供を受ける者と提供者の間における匿名性の原則を保持しながら、       提供数が増えることが期待される。 問題点: (1) 兄弟姉妹等から直接提供を受けることができる制度の場合と同様、提       供を受けることを希望する者の兄弟姉妹等に対して心理的圧力が加えられ       ることにより、本人が望まない提供が行われるおそれがある。      (2) 提供を受ける者と提供者とは、顕名の関係、お互いを知った関係であ       るということであって、金銭等の対価の供与が行われるおそれもあるので       はないか。  このように整理をしてございます。 矢崎部会長  ありがとうございました。それでは、まず青字の部分について、これは前回の御議論 ではこういう意見でまとまったように思いますが、いかがでしょうか、御確認いただけ ますでしょうか。あと、優先的に提供を受けることについての事務局が利点と問題点を 書いていただきましたが、これについても含めて御議論いただければと思います。 岸本委員  ここの「一定期間経過後」となっているのですけれども、この一定期間というのが、 兄弟姉妹を認めてほしいという立場からして、2年、3年、5年なのか、10年なのか、 ということが随分かかわってくると思うんですけれども、妊娠の適齢期といいますか、 生殖年齢というのがありますので、1年ごとに女の人ももちろん年取っていくわけです ので、一定期間経過後ということが、すごく兄弟姉妹を望む人にとっては、今、現在 待っている人にしたら、すごく長ければ本当に時期を逃してしまうということもあり得 ると思うんです。個人的には一定期間後でなくて、兄弟姉妹も並行に認めてほしいとい うことなんですけれども。 矢崎部会長  前回、岸本委員の御意見もここの中に載せましたが、いかがでしょうか。 金城委員  ある程度、確定的な期間を入れた方がいいと思うんですね。ただ、確定的な期間を入 れるといっても、公的運営機関ができるとかいろいろあるわけで、ですから公的運営機 関が成立後何年間、こういう問題については、改めてこういう部会をつくるのではなく て、公的運営機関が問題を検討していくことになると思いますので、ですから、成立 後、何年間ぐらいのことは入れられないでしょうか。 矢崎部会長  年限は無理だと思います。どうぞ。 加藤委員  当分の間でいいのではないですか。確かにあいまいだけれども、「当分の間」という 期間も、条件がいろいろあると思うんです。公的管理運営機関ができるとか、できない とか、それから、未受精卵が凍結して利用できるようになれば、随分また変わってきて しまう。技術的に条件が変わってくる場合もあるわけですよね。ですから「当分の間」 というのを限定しないで、むしろ「当分の間」のままにしておいた方が正しいのではな いかと思うのですけど。 金城委員  20年ほどということになりませんか。 加藤委員  20年ということはないと思う。 矢崎部会長  先ほどの議論の蒸し返しになりますが、実際に実施してみないと、本当にどうなるか わかりませんので、安易に兄弟姉妹に走ることをやめてもらうということではないかと 思います。 岸本委員  安易に走るのではなくて……。 矢崎部会長  ごめんなさい。 岸本委員  安易にというと、そうすると第三者の方が正しいことになってしまいますよね。第三 者からもらう方がベストだと。匿名の保持を守るのがいいといった形になってしまっ て、兄弟姉妹は、こっちに安易に走ってしまったら困るというのは、ちょっとそれは違 うのではないかということで、兄弟姉妹を第一希望にしている方が本当にたくさんい らっしゃるという事実をもっとわかっていただきたいと思います。 矢崎部会長  すいません、言葉が……先ほどの議論と同じことになってしまうんですよね。 町野委員  「当分の間」と書いてあるのですけど、本当に意味がわからなくて、どうしたら一体 認められるのか、それがわからないので、かなり不安だということでしょう。もし、こ れが原則的に絶対だめだということだったら、「当分の間」なんて書くべきではないと 思います。もし「当分の間」ということを書くならば、先ほどのように、これこれの条 件の整備とか具体的に書かれて、それをするのが筋道だと思います。 矢崎部会長  そうですね。でも、これ以上、どうですか。 加藤委員  現実に決めようがないのだから、だから、「当分の間」と書くよりしようがないと思 いますよ。 谷口課長  この点につきましては、兄弟姉妹からいただくということをむしろ優先的に認めると いう話があれば別ですが、これまでの部会の議論は、卵子がいただけないということ の、そういう実情を見まして、こういうことも特例として認めるべきではないかという 議論が一方であったはずでございます。そのために、今後、卵子提供をオーケイとした 場合に、実態として、本当に提供者が少ないのかどうか、そういう実態調査が出てき て、それで大丈夫だということになれば、逆にあえて兄弟姉妹を認めなくてもいいとい う結論も1つあるわけでございます。  全然出てこない場合には、確かに兄弟姉妹も認めてもいいのではないかということが たしかあったと思いますので、そういう調査がはっきりとある程度わかるまでという意 味で、我々としては一定期間後、再検討する。また、当分の間というぐらいの気持ちで 理解はしておるのですけれども、それで間違いでございましょうか。 矢崎部会長  いや、間違いないのですが、「当分の間」の、今言われたことがどのくらいの期間に なるのかわからない。さっきもお話にもありましたが、誰がどう判断するかということ をもう少し明確にしていただかないと、当分の間ではちょっと不安だという御意見だと 思うんですね。 平山委員  期間の問題もあるのですけど、どうして兄弟姉妹だと問題があるのかということが はっきりと伝わってないからだと思うんです。それはこの部会の仕事かどうかはちょっ と別として、それを理解していただかない限りは、どういうふうに表現してもそれは理 解は得られないのだと思うんです。どうして私たちの部会の大部分の委員が、兄弟姉妹 というのは、本当にこういう問題が起こり得て、これは当分の間、やるべきではないの だという結論を出したのかということをきちんと何らかの形で出していかないと、議事 録だけではちょっと弱いかなと。弱いというのは、理由が弱いという意味ではなくて、 わかりにくいので、そこら辺を出していく必要があるのかなと、今、議論を聞きながら 思いました。 鈴木委員  それで、補足というか、つまり、この文面ですと、一定期間、第三者からの提供がな ければ兄弟姉妹が認められるのね、という希望を持つ方がいらっしゃるということなの だと思うんですね。いつまで待てばいいのか、1年後に再検討されるなら、それを待と うかという方もいらっしゃるでしょうし、それが3年後になるのであれば、それこそ私 は外国に行ってもらうわ、という方も当然いらっしゃるわけで、そこがあいまいなまま で、これだけ審議してきた経過の中で、結論を待ってらっしゃった方はたくさんいたと 思うんですね。それに対しては、見通しということはきちんとわかるように答えた方が いいと。私は別に数が足りなければ兄弟姉妹オーケイになりますよという意味では決し てなかったと思いますし、最終的には。何かうまい文面がないかと思うんですが。 矢崎部会長  吉村委員に、この「当分の間」というのはどのぐらい、わからないですよね、これに ついては。 吉村委員  最後に付記として、何年後に見直すとか、そういうことを書く。書いてもわからない と思いますけど、こう書かざるを得ないようなところもあると思うんです。今、おっ しゃいましたように、兄弟姉妹が本当になぜいけないのかということを兄弟姉妹から受 けたいと思っておられる方に説得する必要性はあるような気がします。匿名の第三者に なって、そして無償で、出自を知る権利も認められても、皆さんは提供者がお見えにな るという方もおられました。ただ、本当にやってみないとわからないということもおっ しゃいました。私は実際にそういった方がお見えになるとは思えない。そうなると兄弟 姉妹が本当にどうしていけないのかということを説得させるようなことは必要かもしれ ないなと。  一定期間後というのは、3年とかそのくらいをやってみて、一例も行われなかった ら、この委員会はできないような制度をつくったということになるわけですから、私は もし書くのだったら、3年ぐらいやってみて、だめだったら、というようなことも必要 になってくるかもしれない。「当分の間」ということになりますと、10年も当分の間で すし、20年も当分の間だと、そういうような感じしますので、3年から5年ぐらいがめ どではないかと私は思いますけど。 宮本室長  よろしいでしょうか。制度全体についても見直しをするということが想定されるわけ でありますけれども、後ほど時間があれば検討いただきたいと思っておりまして、ま た、皆様方にも事前にお送りしておりますけれども、報告書(案)の中にも、制度を実 施をして、一定期間経過後にいろいろな問題点、状況に従って見直しが行われるべきで はないかというようなくだりをこの中に入れております。そういったところにも、現在 検討いただいている部分も当てはまるのかなというふうに思います。  それから、どのように記述をしていくかということですが、この報告書の中にはまだ 確定してない部分については盛り込んでないということで、匿名性の保持の特例の検討 状況については報告書の中には盛り込んでおりません。ただ、専門委員会報告の中で規 定されていたことと違う展開となったものにつきましては、かなり丁寧に記述をしてい くという方針のもとにいろんなパートを書き込んでおりますので、青字の部分で大体こ れでいいということでお認めいただければ、そういった結論に至った経過も含めて報告 書の中に盛り込んでいきたいと思っています。 矢崎部会長  そうですね。これは報告書の土台のあれですから、今、お話になったいろいろな議論 の経緯については、最終的な報告書の中で活かしていくという方向に持っていきたいと 思いますが、検討の結果としてはこうであったということで、お認めいただけますで しょうか。  あとは変更のところありましたか。 石井委員  すいません。優先的に提供を受けることについてはどうするんですか。 矢崎部会長  これも、今、含めて議論してくださいと申し上げたのですが。 加藤委員  優先的に提供を受けることができる制度も検討に値するぐらいでいいのではないです か。今から、これもまた議論全部して、一日ではとても済まないから、受けることがで きる制度も検討に値する。 石井委員  一定期間経過後に見直す中で、兄弟姉妹……。 加藤委員  今、すぐやってもいいけれども、ともかくこの答申案のレベルでは、そういう案も出 ましたということを書いておけばいいのではないですか。 矢崎部会長  よろしいでしょうか。すべての危惧される点を、ここで全部結論で、しかもいろんな 考えの方がいる中で、全部まとめるというのは至難のわざですから、これはそういうま とめでよろしいですか。報告(案)をつくるときの対応していかがでしょうか。事務局 として、今の加藤委員の。 谷口課長  基本的に法律にすべき問題と、それ以外の問題と分けて考えてもいいと思いますけれ ども、そういう法律にしろということで必ずしもなければ、我々としては、加藤先生の 御発言のとおり、ひとつも構わないと思いますけれども。 矢崎部会長  それでは、優先的に提供受けることについては、加藤提案でまとめさせていただいて よろしいでしょうか。大分、26回も議論していると、皆さん議論疲れしてしまう。あ と、ございますか。最終的に何か御意見。  一応、今までの御議論をもとにして表に出るのは資料4ですね。「精子・卵子・胚の 提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」になるかと思いますので、これ について事務局から……。 宮本室長  すいません、その前にいくつかまだ検討すべき課題が残っておりまして、それについ て紹介させていただきます。  一番最後、39ページに赤字で残っている部分がございまして、こういった規制に関し てどのように行っていくべきかという考え方を整理しなければいけないのではないかと いう課題が残っておると認識しております。それについて考え方を紹介したいと思いま すので、よろしいでしょうか。 矢崎部会長  はい、どうぞ。 事務局(重永)  それでは、説明させていただきます。前回の生殖補助医療部会におきまして、石井委 員から、国外犯の罰則規定についてどのようなものがあり得るのかということで、そう いう御意見を踏まえてつくったペーパーが資料3の「法律に基づく罰則規定の例」とい うものでございます。海外の例ということだったのですが、そもそも国内と国外、日本 の刑法においてどういう関係になっているのかということから書いてございます。  それが1つ目の「刑法の場所的効力」というところでございますけれども、今の刑法 においては3つの考え方に基づいて行われております。  1つが、(1)の属地主義というもので、国内で行われている限り、何人に対しても刑 法の適用があるというもの。  2つ目が、属人主義というもので、自国民(日本人)である限り、犯罪地の内外を問 わず刑法を適用する。  3つ目、保護主義ですけれども、自国または自国民の法益を侵害する犯罪に対して は、犯人・犯罪地の如何を問わず、すべての犯人について刑法を適用するという考えに なっております。  それら3つの考えをどう組み合わせかというのが「○」のところですけれども、現行 の刑法におきましては、〔国内犯〕属地主義を原則としまして、属人主義〔国民の国外 犯〕と保護主義〔すべての者の国外犯〕により補充されております。国民の国外犯やす べての者の国外犯については、国内犯よりも重いものに限定されて規定があるという状 況になっております。  2.のところでございますけれども、「国内犯規定」ということで、1つが、医師の 行為に対する罰則規定がどうなっているのかということと、2つ目が、すべての者に対 して適用される罰則規定(医療関連)ということで整理しております。  1つ目の医師の方でございますけれども、医師の行為に関しまして、秘密の漏示や報 告義務違反については罰則付きの禁止規定というものはございますけれども、医療の適 切な実施につきましては、医師法や医療法等により、こういった医療に関する一般法に より包括的に担保されておりまして、個別の医行為について罰則付きの禁止規定を設け ている例は承知している範囲ではございませんでした。  「※」の医師法のところですけれども、医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者に ついて、厚生労働大臣は、その免許を取り消すこと等ができる。医事に関して不正な行 為があった者については、免許取り消しという、そういう規定が包括的にあるというこ とになっております。  (2)のすべての者の関係ですけれども、医療の関係だけ抜き出しておりますが、臓 器の売買等ということが1つあります。  何人も、移植術に使用されるための臓器を提供すること・提供を受けること及びその あっせんをすること・あっせんを受けることの対価として財産上の利益の供与を受け・ 供与してはならない。  何人も、上記に違反するものであることを知って、臓器を摘出し、又は移植術に使用 してはならないということで、懲役・罰金の罰則がございます。  2つ目が、生殖を不能にする手術等ということで、何人も、母体保護法による場合の 外、故なく、生殖を不能とすることを目的として手術又はレントゲン照射を行ってはな らない。これも懲役と罰金両方の規定がございます。  2枚目に行っていただきまして、「国民の国外犯規定」というものを書かせていただ いております。  まず、1つ目は医療の関連というもので、医療の関連では、先ほど申しました臓器の 売買についてだけが国民の国外犯の規定があります。  「※」のところですけれども、臓器の売買の禁止については、WHOの総会で採択さ れた指針というものがございまして、この中で、人体及びその一部は商取引の対象とな り得ない。したがって、臓器に対する対価の授受は禁止されるべきである、ということ が世界レベルで了解されているところでございます。  (注)にありますように、この指針の中におきまして、生殖に関する組織というの は、精子、卵子は含まないという定義がありまして、臓器と生殖関係の器官ではある意 味差があるのかということで承知しております。  それから、(2)の医療関連以外のものについても挙げておりますけれども、いずれ についてもかなり重いものに限定されているところでございます。  今部会との関係で申しますと、まず2.国内犯規定のところですけれども、今の専門 委員会報告におきましては、代理懐胎について法律に基づき罰則規定を設けるというこ とがございまして、先ほど紹介しましたように、個別の医療行為について罰則付きの規 定を設けているのは現在ないということがございます。  それから、国外犯規定の方ですけれども、医療の関連ということで言いますと、臓器 の売買のみが規定されておりまして、罰則というのは一般にそうですけれども、慎重な 形で規定がされているということになっております。  以上です。 矢崎部会長  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。そうしますと、医師はある程 度罰則が及ぶけれども、国外で医療を受けられた方は、特に。 事務局(重永)  そうですね。 矢崎部会長  規制する方法はないわけですね。 事務局(重永)  臓器売買の並びでいきますと、日本人が国外で、精子、卵子の提供によって対価の授 受をした場合に罰則をつけるというのが、言葉の入れ換えとして、臓器と精子、卵子と いうのを置き換えればあるのでしょうけれども、そこまで重く扱うのかということにな ります。それに関してWHOでは一定の差があるのではないかということで説明した次 第です。 荒木委員  ちょっと質問させていただきたいのですが、医師の外国へのあっせん、紹介はどうな るのでしょうか。医師があっせん、紹介することに関しては。 事務局(重永)  専門委員会報告に既にあるのですけれども、あっせんにつきましては、何人も、有償 であっせんしてはならない、ということがありますので、そこは「何人」の中に医師も 入ってくると思います。 荒木委員  無償の紹介はどうですか。外国へ行って、こういう方がおりますというような紹介 は。吉村委員  あっせんです。 荒木委員  あっせんですか。それもだめなわけですね。 事務局(重永)  そうですね。 加藤委員  委員会報告の中に、外国で不妊治療を受けるために、精子や卵子を凍結して外国に輸 送するための作業を日本の医師が行うことを規制すると、そういう趣旨の内容の文章が 委員会報告の中にありませんでしたか。覚えてないですか。 事務局(重永)  そこは、営利目的の、精子・卵子・胚の授受のあっせん行為になるのではないかと思 いますが。 加藤委員  わかりました。それしかないんですね。 事務局(重永)  はい。 鈴木委員  今の資料の2枚目の、例えばこの臓器の場合ですと、外国に、それこそ臓器を買いに 行くというようなことがあれば、買って移植を受けるというようなことがあった場合 は、移植を受けた本人が罰せられるということですか、国外犯の規定があるというの は。 事務局(重永)  そうですね。 鈴木委員  物理的にはどのような罰則なんですか。 事務局(重永)  ちょっとここは確認してないのですけれども、臓器の売買につきましては、国内犯の ところでは、「罰則5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」とありますので、これが適 用されるか、あるいは、例えばある国でやったときに、その国でも罰則規定があるとい ったときに、日本の国外犯の罰則規定とその国における罰則規定のどちらを優先適用す るのかという話になるかと思います。 鈴木委員  具体的にはこれは何法の規定ですか。 事務局(重永)  臓器移植法になります。 鈴木委員  ですね。 松尾委員  今の資料の2ページ目のWHOの指針のことで伺います。生殖細胞は臓器というもの に入らないというのはわかったのですけれども、生殖細胞として商取引の対象にするこ とを禁止した条項はないのでしょうか。 事務局(重永)  ここは対象外にしているというだけで、それをだめという形では言っておりません。 松尾委員  そういう記載があるわけですか。 事務局(重永)  定義としまして、ここにありますように、「臓器には生殖に関する組織、すなわち、 卵子、精子、卵巣等については含まない」というのがありまして、臓器については、対 価の授受は禁止されるべきだとあるのですけれども、そこには精子、卵子は含まない、 そういう読み方になります。恐らく精子、卵子について、対価の授受をしてもよいと言 っているわけではないと思うのですけれども、WHOの総会で採択された指針において は、精子、卵子は除いて規定している。 金城委員  ちょっと確認ですけど、精巣、卵巣、これは臓器みたいですよね。でも、これは明確 に除外しているんですか。 事務局(重永)  はい、そういう規定になっております。 町野委員  あまり大したことではありませんが、先ほど外国の刑法と日本の刑法の罰則、どっち を適用するかの問題だということがありましたが、日本の裁判所でやるときは外国の刑 法を適用することは現在ないですから、必ず日本のものだけです。 事務局(重永)  そうしますと、国外犯規定があるという……。 町野委員  国外でその人が捕まって処罰されるときは、その国の刑法が適用されるだけの話です から、日本に帰ってきて、そこで捕まって起訴されたときは日本の刑法を適用すること に今なっていますから、それは大した問題ではないですけれども。 事務局(重永)  わかりました。 町野委員  それから、もう一つは、WHOの指針ですが、「何人も」と書いてあるので国外犯の 規定の適用が当然義務づけられているのだということではありません。それもあまり大 したことではないですけれども。  非常に重大なことは、前回の議論を、私は承知しませんが、国民の国外犯を処罰する ことにしたらどうかという議論なのですか。 加藤委員  いわば属人主義のような特質を強めようという、この生殖補助医療には。 町野委員  その議論に入ってよろしいですか。 矢崎部会長  はい。 町野委員  もし、そういうことですと、かなりドラスチックなものになることを覚悟すべきで、 例えば海外に行かれて、向こうで代理懐胎をお願いしたりなんかした人も、国外でそれ の共犯ですから、これも処罰の対象になるということになります。そこまで考えられた 上でやられるなら、私はそれはよろしいですけれども、あまり何もかも処罰してしまえ というのは私はいかがなものかと前から思っております。そこらまでの御議論だったか ということは知りたいと思いますが。 事務局(重永)  前回は、特にそこまでは議論という形にはなっておりませんで、例としてどういうも のがあるかということを整理するということで、今回出させていただきました。 町野委員  もう一点、よろしいですか。今のことと関係するのですが、国内犯だけしか処罰でき ないとしても、かなりのものが実際処罰し得るということに気をつけるべきです。例え ば日本国内で代理懐胎が処罰されているとしますと、代理懐胎のことを日本国内で共謀 して、国外でそれを実行したときは、それは国内犯だというのが普通の考え方です。し たがって、そのことを考えると、国外犯の処罰規定を置かなくても十分ではないかとい う議論もあり得ると同時に、今のような解釈は、刑法学者はそういうことを言っている けど、妥当かという議論もありえます。あるいは日本の判例がそういうことを言ってい るのは妥当か、そういういろんな議論があり得るところです。  国外犯の処罰というのはかなり大変なところでございますから、十分御議論された上 で決められた方がいいと思います。 矢崎部会長  どういうケースで、どういうことが起こり得るかという議論いただいたので、どうい うふうに処罰したらいいとか、そういうことはここではまだ全然議論してないので。 鈴木委員  議論の整理だけなのですが、1つには、これで漏れているのは、指定施設以外の施設 がこれをしたときにどうするかという話はあったと思うんです。それもちょっと検討事 項として。あと、これの話については、一番最初に随分不安があって、それこそ石井委 員や加藤委員にもお尋ねしたと思うんですが、罰則というか、罰するのは別に代理出産 なり、卵提供を受けた本人ではなく、施術、それを施したドクターになるのではないか という話は前々から聞いていたように思いますけれども。 吉村委員  聞いたことないです。 鈴木委員  いや、というふうな話は出ていましたけれども、まだ、そんなに突っ込んで、皆さん の御意見というわけではなかったように。 町野委員  あまりここで議論すべき場ではないのかもしれませんけど、共犯者も処罰されますか ら、必ずしもお医者さんだけとか、その実行者だけが処罰されるわけではないのです。 国内犯も処罰しろといったときは全部それも入るということになりますし、国内犯でも 同じです。これはスタートの問題ですけれども。 鈴木委員  すいません、その場合、この場合の共犯というのは誰のことになるのでしょうか、具 体的には。 町野委員  代理懐胎を依頼したり、いろいろした人間。先ほど言いましたとおり、国外に行っ て、ある人が代理懐胎を依頼した人。その人を国外犯の処罰するなら、その人も処罰す べきだということになる。 吉村委員  専門委員会で罰則規定をつくったのは3つあったんですよね。法律になるというの は、この3つと親子法と考えてよろしいですよね。法律で決めるのは。 谷口課長  はい。 吉村委員  そうですね。専門委員会では、営利目的での配偶子と胚のあっせんと授受のあっせん がいけないと、これは何となくわかる。物を売り買いしてはいけないと。それから、職 務上秘密を漏洩する。これも刑罰に処する。これはわかります。代理懐胎のための施術 のあっせんというのは、例えば代理懐胎をした者あるいはあっせんした者、これが刑罰 に処されると。  例えば、この下に書いてあるのですが、それ以外のものに関しては、「指針等の規制 の実効性を担保できる他の態様によって規制する」と書いてあるんです。代理懐胎だけ がどうしてここにぽっと入ってきたのか、それがわからない。代理懐胎をしてはいけな いということに対してはコンセンサスは得られていると思うんですが、例えばあっせん をすると、刑罰に処されるということでよろしいのですね。  私は専門委員会で、どうしてこれがここにきたのか、覚えてないんですけど、加藤先 生、覚えておられますか。ほかの態様で、規制するということはできないのかと思った りもしたんですけれども。 加藤委員  これ、専門委員会で十分議論したとはちょっと思えないんですね。代理懐胎について は厳しい処罰の対象にしようという点は合意があったと思うんです。それから、守秘義 務違反はもしかすると新しい法律をつくる必要はないのではないかと。これはあります かね。 石井委員  医師以外の者がかかわる。 加藤委員  医師以外の者がかかわった場合ですね。わかりました。 谷口課長  専門委員会においては、今、御議論いただいたように、この囲みの中の3つの要件と いうので、確かに罰則を伴う法律によってという話がありまして、それを受けて部会の 方で御議論を今いただいているわけでございますけれども、再三再四申しておりますよ うに、それがそっくりそのまま本当に罰則になるかどうかというのは、我々としても 100%担保できない部分がございますので、その部分は今後法制局と詰めたりして、他 法との横並びの中で決めていく話でございますので、その点はぜひ御理解いただきたい と思います。  吉村先生、先ほどお尋ねの中で、専門委員会ではおっしゃるとおり3つなのですけれ ども、この部会で、先ほどから出ていますように、兄弟姉妹の問題どうするかとか、胚 をどするかとか、その話になってくると、本当に禁止だと、逆にここで言われますと、 また、それはそれで同じようなレベルになってしまいますので、その点だけ補足をいた しておききます。 石井委員  先ほど町野先生が、代理懐胎を受けた人も共犯になり得ると言われましたが、もし処 罰されることになるとすれば、専門委員会で議論したときの意図は、当事者は処罰しな いということですので、法を定めるときに、そのような形で明らかにするということを 私は求めたいと思います。 加藤委員  難しすぎるからこの議論は無理だと思います。それから、大体私らにしろよく知らな いのですが、属地主義、属人主義をどちらで配分するかということの決定的な基準はな いのではないかと思うんですね。大体は属地主義が主流になっていて、属地主義以外の 方法をとる場合には、特に理由がないと属地主義とは別の属人主義をとれないというの が大まかな線で、細かく突っ込むと、これは本当にわけのわからない法理で、何かきち んとした基準がほとんど出てない法理ではないかと思うんですね。ですから、この委員 会のレベルでこの属地主義、属人主義の問題まで踏み込むのは絶対無理だと思います。 矢崎部会長  ですから、どういうことが考えられるかということを提示していただいたので、ここ の委員会で刑罰をどうしようとか、そういう議論はできませんので、一応お話をお聞き したということでとどめておきたいと思います。  もう時間も過ぎております。 加藤委員  まだ、まだたっぷりありますよ。 矢崎部会長  資料5がございますですね。「生殖補助医療全体に係る課題について」ということ で、これ、事務局から説明お願いできますか。 宮本室長  第三者の関与します提供による精子・卵子・胚による生殖補助医療だけではなく、生 殖補助医療全般に関する課題を一たん整理をすべきだということがございましたので、 私どもで思いつくもの限りではございますけれども、整理をしております。資料5、 「生殖補助医療全体に係る課題について」というところをごらんいただきたいと思いま す。  2種類の課題があるという形に分けておりまして、1つは、安全性や技術的事項に関 する課題があるということ。それから、2つ目は、倫理的な課題があるだろうというこ とで、4ページ以降にまとめております。順次、簡単に紹介してまいります。  安全性や技術的事項に関する課題の中で、(1)としまして、生殖補助医療に係る質 の担保について、ということで、1)実態把握について、ということです。  こういった状況につきましては、生殖補助医療部会、つまり第三者の関与します生殖 補助医療につきましては、各種の制度を置いていくという議論いただいているわけです けれども、国における議論のほか、そのほかの条件としましては、日本産科婦人科学会 が「体外受精、胚移植の臨床実施」の「登録報告制」についてということで、施設の登 録及び状況の報告を取りまとめているというところでございます。  続きまして、2)の多胎妊娠を防ぐための排卵誘発剤の使用量や、子宮に戻す胚の数 等の具体的なあり方について、ということで、国における議論としましては、専門委員 会報告におきまして行われたような、多胎、減数手術についてというようなものの中 で、1回に子宮に移植する胚の数を、原則として2個とし、医師の裁量で、移植する胚 や子宮の状況によっては3個までとする、という内容が決められてございました。  それから、日本産科婦人科学会の会告「多胎妊娠に関する見解」の中では、移植胚数 を原則して3個以内とすること。排卵誘発に際してはゴナドトロピン製剤の周期あたり の使用量を可能な限り減量するよう強く求める、というような内容が含まれておりま す。  続いて(2)新しい生殖医療技術・実験的医療技術の臨床応用についての取組みでご ざいますが、国における議論としましては、臨床研究に関する倫理指針というのが、全 体的な議論でございますが、されておりまして、それが参考の資料にお付けしているも のでございます。こういったものがことしの春より実施をされるというような予定であ ると聞いております。  そかから、同じく日本産科婦人科学会の会告、「ヒトの体外受精・胚移植の臨床応用 の範囲」についての見解の中で、いろいろな技術の適用範囲について十分な技術的背景 と経験を持った施設で、適正な適用範囲のもとに行われるべきであり、そのための実施 機関と適用範囲については本会において個別に審議し決定することにする、というよう な形にまとめてございます。  それから、日本不妊学会ガイドラインの中で、複数の研究機関で動物実験を含む基礎 的研究を重ねた上で、その結果を再検討し、臨床応用の適否を判定するというような方 向が述べられております。  続きまして(3)ですが、生殖補助医療における事故に対する対策について、という ことで、生殖補助医療部会、私どもの皆様方に検討いただいているものでは、施設を指 定すること。それから、施設の指定に当たっては、定められた基準に合致をした施設と すること、というような内容が決められております。  それから、その他の状況としまして、日本産科婦人科学会の会告の中で、十分な設備 を整え、細心の注意を払っていくようなことなどが決められてございます。  それから、同じく日本産科婦人科学会の会告の中でも、「ART実施および施設管理 に関しての留意点」の中で、様々な留意点について述べられているところでございま す。 こういったものが技術的課題としてあるのではないか。それに対しての対応がこ のように行われているというまとめでございます。  4ページ以降、倫理的な課題ということでまとめております。  (1)生殖補助医療の安易な実施について、ということでございますが、国における 議論としましては、生命倫理の観点から、人為的に生命を新たに誕生させる技術である 生殖補助医療の利用は不必要に拡大されるべきではなく、生殖補助医療を用いなくても 妊娠・出産ができるような場合における生殖補助医療の便宜的な利用は認められるべき ではない、ということで、専門委員会報告の中でも、生殖補助医療全般に関する記述が 一部ございますが、そういったものが当てはまるのかなというところでございます。  その他の状況としまして、日本産科婦人科学会の会告の中で、体外受精・胚移植とい ったような方法は、これ以外の医療行為によっては妊娠成立の見込みがないと判断され るものを対象とする、ということ。  顕微授精は、難治性の受精障害で、これ以外の治療によっては妊娠の見込みがないか 極めて少ないと判断される夫婦のみを対象とする、というようなことが述べられており ます。  続きまして、(2)生殖補助医療の対象について。これは法律婚に限定するのか、事 実婚を含むのかということでございますが、生殖補助医療部会における検討としまして は、法律上の夫婦に限ることとする、という検討内容でございます。  日本産科婦人科学会会告の中におきましても、被実施者は婚姻をしておるということ が条件となっているところでございます。  5ページ目に移りまして、(3)生殖補助医療を受けることができる年齢について、 ということですが、国における議論としましては、加齢により妊娠できない夫婦は対象 とならない、というようなことを基本として、医師の裁量の部分、医師が考慮すべき基 準を国が法律に基づく指針として示す、というようなことが議論いただいているところ でございます。  それから、その他の状況としまして、日本産科婦人科学会の会告の中では、育児に耐 えうる状態にあり、成熟卵の採取、着床および妊娠維持が可能なものとする。それか ら、心身ともに妊娠・分娩が可能であるというようなことが条件としてされておりま す。  (4)精子・卵子・胚の保存機関についてですが、国における議論としましては、提 供された精子・卵子・胚の保存期間について、提供された精子・卵子の保存期間を2年 間とする。提供された胚は、保存期間を10年間とする、という議論をいただいたところ です。 それから、その他の状況としまして、胚の凍結保存期間は、被実施者夫婦の婚 姻の継続期間であって且つ卵を採取した母体の生殖年齢を超えないこととする。卵の凍 結保存期間も当該婦人の生殖年齢を超えないものとする、という内容が、日本産科婦人 科学会の会告の中で示されておるところでございます。  続きまして(5)死亡した配偶者の精子・卵子及び死亡した配偶者の精子・卵子を用 いて作成した胚を用いた生殖補助医療について、国における議論としましては、精子・ 卵子・胚の提供者の死亡が確認されたときには、提供された精子・卵子・胚は廃棄する こととする、という内容で御議論いただいております。  続きまして(6)インフォームド・コンセントの実施について、特に体外受精で顕微 授精によって作成した胚の利用・廃棄についての十分な説明・同意、という点につきま しては、国における議論としましては、生殖補助医療部会の中で説明と同意を十分に入 れていかなければいけないという方向について御議論いただいているところです。  その他の状況としまして、日本産科婦人科学会の会告の中で、インフォームド・コン セントに関する規制が取り上げられているところでございます。  7ページ目に移りまして(7)非配偶者間生殖補助医療を配偶者間だと詐称して行わ れる危険性について、ということですが、これはすれ違ってしまう表現かもしれないの ですが、国における議論としましては、生殖補助医療部会の皆様方の検討でいただいて おりますように、顕名関係の男女が配偶者間だと詐称することによって行われる非配偶 者間生殖補助医療というのが、皆様方の検討いただいている制度が実施された際には実 質的に規制されていくものと。そのための具体的な方法というのもあり得るのではない かということをまとめております。  日本産科婦人科学会の会告の中では、体外受精を行う病院において、患者夫婦の戸籍 を確認しておくことが望ましい、とされているところです。  また、全体的な参考事項としまして、専門委員会報告の中に、生殖補助医療一般につ いても適用できるものが、報告書の結論の中にはあるということで、存在することか ら、他の形態の生殖補助医療についても、その適用が可能な範囲内で本報告書における 結論に沿った適切な対応がなされることが望まれる、ということで、先ほども少し取り 上げましたけれども、専門委員会報告の中では、生殖補助医療一般のことについても、 若干の検討を行っているというのが現状であるということでございます。  以上が、生殖補助医療一般に関する課題と、それに関する検討といいますか、取組み の状況ということで整理をさせていただきました。 矢崎部会長  これは改めて、これだけ取り上げられたのは、どういうことで事務局は準備されたの でしょうか。 谷口課長  ちょっと言葉足らずだったかと存じますけれども、大分前から石井先生から、提供に よる生殖補助医療だけではなくて、夫婦間の生殖補助医療についても、この部会で議論 されていたような、似たような問題があるのではないかという御提起もいただいており まして、我々としても基本的にこの部会で議論していただいたものの結果が、夫婦間に おいても適用できるものがあるのであれは゛それば整理した方がいいだろうということ で、このペーパーを実はまとめたところでございまして、大体網羅しておるかとは思う のですけれども、基本的に御議論いただいた部分について、今後、可能であれば、夫婦 間のARTにつきましても、お守りいただくべきところは、何らかの形で、ガイドライ ンにするか何にするかわかりませんけれども、そういう方向性を国としても検討してま いりましょうという趣旨でございます。 矢崎部会長  ですから、出自を知る権利とかそういうのは除いてあるわけですよね。 谷口課長  そうですね。 矢崎部会長  わかりました。これは生殖補助医療の提供、配偶子によることではなくて、夫婦間の ものを、従来の生殖補助医療全体の課題について、今までの提供配偶子による検討を踏 まえて、今、事務局で問題点をまとめていただいたというふうに理解すればよろしいで しょうか。 谷口課長  一言追加をさせていただきますけれども、基本的に夫婦間の問題につきましては、あ まり国が強烈に関与するべきものでないだろうというのが我々の事務的なスタンスでご ざいます。したがいまして、国、国と言っておりますけれども、学会ですとかそういっ たとこで自主的にやっていただく部分に負うといいますか、委ねる部分はかなりあるの だろうと私どもは考えておりまして、その辺とまたいろいろ意見を交換させていただく というふうにお含みをいただければと考えております。 矢崎部会長  生殖補助医療全体に係る課題、これはこういう整理だということでよろしいですよ ね。我々がこれについて議論するということでなくてもよろしいわけですよね。石井委 員よろしいですか、そういう受けとめ方で、何か御意見ありますか、石井委員から。 石井委員  配偶者間の生殖補助医療、顕名関係で行われるのは配偶者間の生殖補助医療であると いうこと。 矢崎部会長  例外はありますよね、兄弟姉妹の場合は。よろしいでしょうか。 平山委員  すいません、1つだけです。これは何らかの形で報告みたいにまとめられるのです か。 谷口課長  そこまでは実はあまり考えてはいないのですけれども。 平山委員  わかりました。 矢崎部会長  よろしいでしょうか。それでは報告書(案)について、大体こういうような形でまと めるというような、もう時間がありませんので、簡単に説明していただけますでしょう か。どうぞ。 石井委員  2つあるのですが、1つは、専門委員会の報告書には、公的審議会のことがあったの ですが、今回の議論の中にはそのことが出てこないのですけれども2点目は、そのこと ともかかわるのですけれども、先ほど福武委員からも指摘があったのですが、公的管理 機関の組織と権限が、必ずしもはっきりしていないということがあると思うんです。公 的管理機関はこのシステムの中では大変重要であるにもかかわらず、そこのところが必 ずしも見えないという問題があるのではないかと思うんですけれども。 矢崎部会長  これは事務局から答えていただけますか。 谷口課長  よろしゅうございますか。今後の報告書の案の中身にも実は入ってくるのでございま すけれども、まだ実は、御指摘のように書き込んではおりません。専門委員会報告の中 で書かれている部分につきましては、それを我々としては大前提をするということがご ざいますので、ずるいですけれども、基本的には引っこ抜いてくるといいますか、そう いう感覚でおります、審議会につきましては。  管理運営機関につきましては、前回も大分議論をいただいておりまして、その中身は 今後、御議論いただくような、案の中にはかなり書き込んだつもりではございますけれ ども、なお、足りなければ、また御意見を伺いたいというところでございます。 福武委員  もうこの議論に入ってよろしいのですか、報告書(案)について。これは今日はしな いということですか。 矢崎部会長  その前に。 松尾委員  実施施設の基準ですけれども、21ページ以降にまとめられていますけれども、子ども の問題は完全に抜け落ちているのですが、これは後で追加いただけるのでしょうか。 矢崎部会長  連携でいいかどうかという議論があったんですよね。 松尾委員  狭い意味の産科的な問題だけに限られていると思うんですけれども。 矢崎部会長  何ページですか。 松尾委員  21ページ以降ですね。 谷口課長  ちょっとよろしゅうございますか。今のことについてのお答えになるかどうかわかり ませんけれども、我々としては、今までの議論をはっきり言えば、まとめたものがこれ であるということでございまして、まだ、議論が足りなくて、小児科に関して、もう ちょっとこういうのを書き込むということであれば、また、ご意見をいただければ、必 要とあれば書き込むことは可能でございますが。 松尾委員  提出させていただきます。 矢崎部会長  今、随分議論しましたよね。NICUとの連携、要するに同じ施設にNICUがなけ ればならないというのは、松尾委員のずっと御主張なのですが、実施施設にそういうも のが必要かどうかという、要するに実施施設と出産施設が違う場合に、実施施設にNI CUが本当になければならないのかという議論もあって、出産するところは、やはりN ICUがあった方が望ましいと、その議論はどこにありましたか。 宮本室長  それを含めましては、22ページに検討の状況が示されているところであります。 平山委員  資料1の方の22ページ。 矢崎部会長  22ページですが……。 金城委員  検討結果の真ん中です。 宮本室長  関連する部分を、そうしますと読み上げてよろしいでしょうか。 矢崎部会長  22ページですか。 町野委員  どっちの資料ですか。 宮本室長  資料2、「実施医療施設の施設・設備の基準及び人的基準について」という関連する 記述がございまして、現在の検討の結果としましては、提供された精子・卵子・胚によ る生殖補助医療を実施する医療施設は、OHSSなどの副作用による入院が必要となる 場合や低出生体重児が出生する場合等、当該医療や分娩に関する異常事態に備え、必要 な設備等を備えることとする、又はそうした事態に対応できる医療施設と綿密な連携を 行うことによって、そうした事態に十分な対応ができることを担保しなければならない こととする、という部分が関連しているということでございます。 松尾委員  産科の方は、医師の条件とかいろいろありますけれども、それに対応する各論部分が ないんですよね。 谷口課長  部会長、よろしゅうございますか。 矢崎部会長  はい。 谷口課長  今、読み上げました22ページの部分というのは総論部分でございまして、そのブレー クダウンしたものが、実は資料1の別紙5というものがかなり細かい各論に当たってお ります。その中でも、確かに産科の部分の方が圧倒的に多いことは多いので、その中に 松尾先生の御意見もしございましたら、これからまた御意見いただきましたら、盛り込 んでいければと思いますが。 矢崎部会長  でも、松尾先生の意見を云々ではないのですが、松尾先生の思いとしての書き込み と、それから、それが現実的にどうかという議論があると思うんですが、その辺はどう いうふうに対応していきますか。 松尾委員  現実的なものを提出させていただきます。 矢崎部会長  全部整ってないといけないという御議論になるとちょっと難しくなると。ですから理 想的な状況で、こういう医療をやらなくてはいけない。国民の信頼を受けなければいけ ないということで、それが第一ですが、10年たっても20年たってもなかなか難しいとい うような状況だと医療として今後対応していくにはなかなか難しいので、松尾委員には その辺も十分理解していただいて、いい案を事務局に送っていただければと思います。  そのほか、いかがでしょうか、はい、どうぞ。 才村委員  出自を知る権利のところで、公的管理運営機関の仕事の中身なのですけれども、資料 1の本文の方の30ページのところで、これが入れられるのがどうなのか、ちょっと私が はっきりわからないのですけれども、30ページの下のあたりの開示に関する手続きは、 以下のようなものとする。(1) 開示に関する相談、(2) カウンセリングの機会の保 証。それから、請求があって開示があるとなっているのですけれども、開示の実施への 支援というふうなことが入らないのかどうなのか、それは無理なのかどうなのか。  開示自身は提供者にいきなり会いに行くとかというようなことも懸念されていたりし ますし、提供者に連絡するとか、開示するためには少しその辺の支援、本人へのサポー トも必要ですけれども、そんなことも必要ではないかと1つ思うんです。  それに関連しまして、資料1の別紙3の「出自を知る権利」の案の2枚目なんですけ れども、そこに前にも言っていたのですけれども、(4)の「開示に当たっての説明・ カウンセリング」のところで、相談業務を行うことと、カウンセリングの機会が保証さ れるところでは、「支援」と言っていたのですけど、その言葉は入らなかったのですけ ど、無理だったのかどうなのかということと、もう一つ、思いますのは、今回、鈴木委 員からも意見出していただいているストッパー機能といいますか、ストップすることは できないと思うのですけれども、延期するというのか、子どもで、私は年齢で区切るの はどうかわからないのですけれども、一応15歳以上が出自を知る権利を確保されること になったのですけれども、児童福祉の観点から、18歳未満は児童で、そして子どもの権 利条約は18歳未満ということになっていますので、18歳未満の子に関しては、「子ども の最善の利益を確保するものとする」といった一文が入れられないのかどうなのか。  時間があまりないのですけれども、一応意見として、子どもの権利条約の中で、子ど もの意見表明は大事なのですが、だけど、本当にそのことが子どもにとって必要なのか どうなのかという子どもの視点で、誰かが判断するということで、子どもの最善の利益 を確保する中で開示されるということが必要なのではないかと思います。できたら、こ の開示についても、18歳未満については、児童相談所と公的管理運営機関が連携すると いうことができないのかなというふうに思います。  鈴木委員は、それについて何か意見あると思うんですけれども、ここのことに関し て、裁判所が関与するというのは、特別養子との整合性という意味で、裁判所の関与と いうようなことも言われていたのですけれども、なかなか裁判所の関与ということは、 現時点では難しいのではないかと思いますので、せめて子どもの権利の中で、最善の利 益を確保するということで進められないのかと思います。 鈴木委員  今、おっしゃっていた別紙3は、まだ青字があって、これはどうするんでしょう。出 自を知る権利のこと。 矢崎部会長  先ほど変更部分ということで、事務局に聞いたのですが。 鈴木委員  ちょっと、またつまんないことかもしれませんが、今、資料1の32ページ、やはり開 示請求にかかわるところの話なんですが、裁判などになったとき、どうするのかという 話があって、32ページの真ん中の四角の中の2つ目の「○」ですけれども、「開示請求 できる者は、争いとなっている親子関係について、同意書を署名することとなる立場に ある者」、これはお父さんとかお母さんだったと思うんですが、あと「当事者となって いる子、及び、その他これに準じる者」というのは、これは誰のことを言っているので したか、確認です。ずっと調停とか訴訟に至る前に、同意書の開示はできるのだという ことはずっと話し合ってきたように思うんですが、「その他これに準じる者」というの は誰でしたかということだけ。これは代理人という意味だったのか。 事務局(重永)  よろしいでしょうか。ここについては、前回、石井委員の方からも御指摘ありまし て、法務省といいますか、親子法制部会の方から要請があって検討した事項なのですけ れども、こちらの部会で完全に精査するところまでいっていないということがございま して、その旨、報告書に記載すべきではないかという石井委員からの御意見がございま した。それを踏まえて、今、お配りしている報告書(案)の中にその旨記載しておりま すので、必ずしもこの「準じる者」というところを、我が部会の方では定義しきれてい ないのですけれども、そういう整理にさせていただいております。 宮本室長  すいません、1つだけ。出自を知る権利、資料1の別紙3のところで、2枚目の青字 になっているところですけれども、これ、今、部会長より指摘ございましたけれども、 前回、こちらの方にも資料1にある部分をそのまま引き写してくるようにという指示が ありましたので、21ページにある記述がそっくりそのままここにも書かれているという ものでございます。 鈴木委員  児童相談所がやって悪いということではないけれども、ファーストにこれが来ている のはいかがなものかという意見が前回あったのではないかと思います。多分そのことも 含めて、公的管理運営機関のもう少し責任なり、役割が明確になってないと、私は今回 の議論としてはまだ不安が残っていますけれども。 矢崎部会長  これは一番現実的な対応で、ですから公的管理運営機関がどういう機能を持って、ど ういうふうに関与するかということにかかわるわけですが、まず児童相談所等が現実的 には子どものいろんな問題点を担当していますので、そこをこれから、こういうシステ ムの中で位置づけをはっきりしてくださいということは、厚労省側も児童相談所にいろ いろ相談して、これから新たに枠組みとして取り組んでもらうということになるわけで すよね。公的管理運営機関というのは、児童相談所みたいに細かく配慮の行き届いたと ころまで、全部ここでやるとなると、それこそすごい大きな、もう一つ厚労省をつくら なければならないぐらいの大きな組織にならないといけないので、現実問題として、こ ういうことを窓口、ただ、現在の児童相談所が、やりますよ、ということだと、皆さん すごく不安を持っておられるので、こういう体制ができたときには、ここをてこ入れし て、やっていただけるという理解でよろしいんですよね。 中村総務課長  基本的にはそういうことでいいです。児童相談所自体の問題についても、現在、全国 で180カ所あるのですけれども、それについても、児童虐待の問題等をめぐって、もう 少し身近なところで子どもの問題について扱えるようにすべきではないかと。具体的に 言いますと、今は県と指定都市ということが設置主体になっておるのですけど、例えば 中核市ぐらいまでおろしていくとか、あるいはもっと児童の相談について市町村ももう ちょっとかかわっていくことも考えられるのではないか。  そういう議論をやっておりますので、そういう中でこうした問題についても、併せて ある程度方向性が出れば取り組んでいくということになろうかと思います。 矢崎部会長  一番この問題について、子どもの問題でなじみやすいところであるということで、こ れがこういうふうに書かれていると思いますが。  公的管理運営機関としては、今まで言われていた機能を十分に果たしていただきたい というのは、この委員会の要望ですが、実際に公的管理運営機関がどういう組織で、ど ういうふうになるかというのは、これはちゃんと責任持って行政側がやってくださると いうふうに担保してよろしいでしょうか。 鈴木委員  それは違うと思いますが、ごめんなさい。 金城委員  そういうのはちょっと困るんじゃないですか。倫理委員会さえきちんと決めているわ けですから、公的管理運営機関というのは非常に重要な役割を果たすものですから、き ちんと審議会で、大枠のところは決めなければいけないと思います。 矢崎部会長  大枠というとどこまでですか。 金城委員  委員は何人にするとか。 矢崎部会長  倫理委員会はね。 金城委員  公的管理運営機関です。公的管理運営機関と公的審議機関、新しい技術なんかができ たときに、その適用をどうするかなんていうことについて審議をする機関は置かなくて よろしいんですか。運営機関がそれをやるんですか。 矢崎部会長  倫理委員会は各実施施設にある倫理委員会と公的管理運営機関のオールジャパンの倫 理委員会をつくるということは言われていて、そこでそういうような大局的な問題と か、それから胚とか卵子の提供にかかわる問題については、マッチングを含めてそこで 行う。ただ、そこが責任持ってやってくださいよとは言えますが、何人いて、どういう 機能というのは、行政機関ですから、どうなんでしょうか。この委員会でそこの詳しい 具体的なイメージまで描けますかね。 加藤委員  無理だと思います。イギリスの機関と比べてみても、どういう機能を認めるかという 機能、この前の委員会で概略は書いてありますが、それ以外の機能があるのか、ないの か、まだ審議してないし、基本的な性格づけが、この前の委員会で出ているので、もし 具体化する場合に、それをさらに具体化していただくというぐらいじゃないんでしょう か。 矢崎部会長  それでは、時間がまいりましたので、案に入る前にいろいろな議論がございまして、 今までの議論を検討事項として、今までいろいろ赤字とか青字、あるいは「○」を「● 」にするという議論が延々26回行われてきたわけですが、最終期にはここでお示しした 報告書(案)みたいな、まず、こういう形式になりますということを委員の皆様に御承 知いただいて、そして今まで言われた議論で、きょうも御注文がありましたので、でき るだけこの中に書き込む方向で報告書を作成していこうと思います。  お願いは、26回で終わりという努力を、3月いっぱいで終わりという努力をしてきた のですが、なかなかこういう問題難しいので、期限を区切って最終的な報告書まで提出 するというのは難しいのですが、このまま議論していくと、また、いろんな問題が振り 返ってきて、最終報告が出せないということもありますので、これは国会で一応法案を 審議していただいて、成立しなければならないという過程がありますので、少なくとも 3月いっぱいには報告書を作成しようという心づもりではいたのですが、なかなか難し い状況もあります。  そこで、きょう事務局から報告書(案)を提示させていただきました。それで、事務 局も大変でしょうし、委員の方も大変だと思いますが、できるだけ細かく、ここはこう だということを出していただいて、それを酌み入れながら、事務局と私相談して、なる べく委員の皆様の趣旨がこの中に入るように努力しまして、また、ここの場で報告書の 案が、またもとに振り返って議論されると、また資料1の議論と全く同じような経過 を、また、さらに26回過ごさないといけないような状況になりますので、次回はこのま ま散会というわけにいきそうもありませんので、それまで一応皆さんから議論をここに 入れ込んでいただくということで、できれば法制は、それを確認ということでまとめさ せていただきたいというふうに思うのですが、よろしいでしょうか。 金城委員  例えば代理懐胎をどうするか、罰則の中に入れるかというのをきょうお話になりませ んでしたね。 矢崎部会長  罰則に関して、この中に入れるわけですか。 金城委員  いや、それが一応入っていたけど、加藤先生は、それは入れない方がいいとか、そう いうお話で、結局どうするかが決まっていませんよね。そうすると、事務局としても書 きようがないのではないですか。報告のところには、部会による検討結果を踏まえた記 述、規制方法ですね。50ページですけれども、でも、きょう何も決まらなかったのに、 お書きになるのは大変難しいのではないかと思うんですけれども。 矢崎部会長  罰則はどうですか。ここで罰則するとか、そういうことなじみますかね。これは専門 委員会では罰則をするべしでしたか。 宮本室長  罰則のことだけ取り上げますと、何度も御議論いただいているのですけれども、資料 1の38〜39ページにかけてのところですが、確かに、罰則を伴う法律によって規制する という段階で、専門委員会報告されているわけですけれども、一番最後ですけれども、 「最も重い規制の様態である罰則を伴う法律について規制する範囲については、他の法 律における罰則との均衡をも鑑み、立法過程において、更なる慎重な検討が行われるこ とが必要と考える」ということで、仕組みをつくっていく際に、いろいろと他制度を所 管しているところとの相談なども含めて検討していかなければ組み立てられない部分が ありますので、どうするかという結論ではなく、本日、検討いただいた内容も含めて包 括的にまとめていきたいと思っています。そういった記述をこちら側でさせていただい て、そういったものについて検討いただくということでいかがでしょうか。 矢崎部会長  とりあえず、その案をつくってお送りして。なかなか難しいですね。なるべく罰則そ のものを、ここで、専門委員会程度の記述で、立法過程で罰則については慎重に検討し ていただくということではだめですか。 吉村委員  先生、すいません。法制審議会に出ていますと、私、最近開かれていないので忘れて しまったのですが、あそこは、ここで決まった行為規制に対して、どうやって法律を決 めるかということだけやるだけであって、例えば代理懐胎が罰則規定に合うか、合わな いかということについてはやらないと思うんです。 石井委員  親子法制。 吉村委員  親子法制だけなので、そういうことは多分ないと思うんですけど。ただ、罰則は、も し、この規制方法がなくていいということであるならば、そのままでいいとは思うんで す。これは刑事罰になると大変なことですから、人を法律で裁くわけですから、最も慎 重にされるべきところではないかと私は思いますけれども。 矢崎部会長  医師はある程度罰せられますよね。医師法とか、さっきの臓器移植法とか、いろんな 絡みであって、それに関与した医師はある程度罰則は受けるのですが、それ以上のとい うのはなかなか考えにくいと思います。 金城委員  代理懐胎について申し上げれば、代理懐胎をやっても自由ということになりますよ。 きちんと書かなければ。 矢崎部会長  いや、そうではないですよね。 事務局(重永)  よろしいでしょうか。あそこの規制方法のところで書いたもので3つありますけれど も、あれはあくまでも罰則付きの法律で規定すべきもの、というふうにありまして、法 律あるいは法律に基づくガイドラインの中で、「代理懐胎は禁止」というふうにすると いうのはまた別の話だと思うんですね。代理懐胎は禁止するけれども、それについては 個別法で、医師の行為に対して罰則をかけるかどうかというのは、現行法制で見ると、 直接並びで例がとれるものはないのではないでしょうかというのが先ほどのペーパ一の 説明になります。 矢崎部会長  ですから、私の理解では、一応これを認めないといった場合に、それが法律で決まっ たときに、それに沿って関連法を駆使して対策を立てるということで、ここで罰則をど うこうするということは言えないのではないかと理解していますが、どうなんでしょう か。 金城委員  そうすると、3つにまとめてあるもの、3つは罰則で禁止するというふうに専門委員 会の報告書はあるわけですけれども、これもチャラになっちゃうということですか。 矢崎部会長  チャラというか、そういう法律をつくって罰則をするというところまで踏み込んで専 門委員会は……。 金城委員  そうですよ。「罰則付きで禁止」と書いてある。 吉村委員  だから、この前から、私が言っているのは、3つの刑罰と親子法に関しては法律で決 まるから、これに関してはもう少し慎重に、我々がそんなことを決められるのかなとい うことを言ったわけです。我々がこの部会で、それは刑罰ですよ、あなた、絶対だめで すよ、ということを言えるのかなということを言ったわけです。 矢崎部会長  そうですよね。 吉村委員  ですから、先生が今おっしゃっているような疑問を私が投げかけたわけです。だけ ど、専門委員会の報告書では、これは罰則ですとなっているわけです。例えば懲役5 年、罰金1,000万円とか、そういうのが付くわけですから。私たちがそういうことを言 ってもいいのですかということを前回の委員会で私が申し上げたんです。 町野委員  よろしいですか。 矢崎部会長  はい。 町野委員  専門委員会の報告書はもうどうでもいいという、かなりそういう傾向があるようです けれども、私は罰則については、全部、例えば政府部内の折衝に任せるというのは妥当 でないように思います。決めるというのは、我々は議論して、これはやらなければいけ ないだろうと思います。ここは決める場であるかどうかというのはわかりませんけれど も、わからないというか、議論すべき場であることは間違いないと思います。これを全 部白紙のまま委任してしまって、どこか別のところと、恐らく政府間の調整ということ でやるのでしょうけれども、それはあまり適当でないように思います。  特にきょうの御議論聞いていますと、失礼ながら、私としては刑事法の専門家といた しましては、かなり皆さん安易にお考えのように見えますし、こういうときは、これは 処罰しなければいいという、そんな理屈は簡単には出てくる問題ではないということが あります。私は一回ぐらいは議論された方がよさそうに思います。 矢崎部会長  先ほどの説明では不十分だという、今の罰則についての議論に対して、事務局として はどういうふうに、要するに3点は、いろんな今までの法令で罰則できますよね。新た な法律をつくらなくても。 事務局(重永)  代理懐胎のところについて、罰則付きの禁止にするというのが専門委員会報告の2つ 目にありまして、それについて、今後できるであろう生殖補助医療法というものにおい て、個別に罰則を付けるかどうかということについては、個別法で医師を罰則するのか という話の並びですぐにできるようなものではないのではないかということです。  ただ、先ほど金城委員の懸念にありましたように、罰則付きでなければ野放しになる のかということについては、法律に基づいて禁止というのがありますので、法律に基づ いて禁止されているものも、あえて医師が破るのかと。法律で禁止されていると、ある 程度の行為規制になっていて、医師については不正を行ったものについては、医師の免 許取り消しという医師法に基づいた規制などがございますので、そういったものもあり ますので、必ずしも罰則を付けるかどうかということについて、町野先生の話もありま したけれども、禁止ということはあるのでしょうけど、罰則付きかどうかというのは、 ほかの罰則規定との並びもあるのではないかというのが事務局の意見であります。 町野委員  それは理解いたしますけれども、しかし、だからといって、ここで議論しないでその まま決めていいということに私はならないと思いますので、議論した方がいい。ただ、 それだけです。 金城委員  よろしいですか。先ほども胚の提供をめぐって議論になりましたけれども、やはりこ れはいろんな人たちの世界観までかかわってくることですね。ですから、どこでも物す ごい議論をして結論を出しているんですね。3月中に報告書をつくるということはわか りますけれども、そういう時間的な制約ははずした方がいいと思います。 矢崎部会長  それは事務局が言っているのではなくて、私自身が。 金城委員  そうですか。 矢崎部会長  ええ。 金城委員  わかりますけれども、やはり議論するところはきちんとしておいた方がよろしいので はないかと思いますので、そう急がないできちんと議論する機会を設けるということを 提案したいと思います。 矢崎部会長  ありがとうございます。確かに議論してないところというか、抜けたところはあると 思うんです。全部1つ1つ敷石を踏んできてない点もありますが……加藤委員。 加藤委員  この委員会で、例えば、私は倫理学ですけど、小児科の先生もおられるし、精神科の 先生もおられるし、そういう先生方が、規定の内容、刑事法に該当するかどうかについ ての判断を下すべき専門家ではないと思うんですね。ですから、もし罰則規定というも のにするのだとすれば、事実問題として、先生方の御意見を聞くにしても、まず刑事法 としてどこまでできるかということについては、主として刑事法の専門家によって大枠 をつくってもらわなければ無理だと思うんですね。ですからこの委員会のレベルでは、 ちょっとそれについて、ある下敷きをつくる、下地をつくるというレベルで、本当に刑 事法をつくるとすれば、刑事法の専門家が主として枠をつくっていただくという必要が あるので、ここの委員会のレベルでは、それについて結論出せないのではないかと思い ますけど。 町野委員  うっかり「刑事法の専門家」という言葉使って後悔しています。それほど大した問題 ではなくて、私の個人的な見解では、専門委員会の報告書に反対です。刑事罰をそんな めちゃくちゃに使うべきではないと考えます。私はもうちょっとその点を議論すべきだ という意見ですが、それも含めた上で、事務的なことは私がやっても結構ですが、どの ようにしたらいいかということの議論が欠けているというのが私は一番問題だろうとい うぐあいに思います。  あるいはこれだけでなくて、もうちょっと刑事罰をかえた方がいいのではないかとい う御議論も恐らくあるだろうと思うんですね。例えば指定された医院において、このよ うなことをやらなかったときは処罰するぞとか、そういうものがあり得るだろうと思い ます。私はそうすべきだとは思いませんけれども、だから、その点の議論が欠けている ので、それを全部、ここから先はどうぞ政府部内の調整でというのは、私はそれはでき ないだろうと、そういう意見です。  矢崎部会長  今のお話のようなところまできっちり罰せるというのが専門委員会の報告なんでしょ うか。 加藤委員  専門委員会ではその議論ちゃんとしてないんですよ。刑事法として適切であるかどう かという議論をちゃんとしてないと思います。 矢崎部会長  ですから、我々は専門委員会報告を全部無視してどうのこうのではなくて、専門委員 会の線に沿って議論していくということで、私の理解では、この3点に関しては、現状 の法律によって規制していくということで、新たにここのために法律をつくってという 意見ではないということを……。 町野委員  確認ですけど、現在これは処罰できないんでしょう。ですから法律をつくるかどうか です。 事務局(重永)  現在は処罰はできませんので、もし処罰するとなると、生殖補助医療に関する個別の 法律をつくる中で、恐らく罰則というところは、法律の一番後ろに付いて、その中で書 いていく話になるかと思います。 矢崎部会長  さっきお話いただいた、いろんな縛りがありますよね、ほかの、法律によって。それ を活用して、これをということはできないんですか。先ほどのお話のように、例えば あっせんとか。 事務局(重永)  そもそも代理懐胎について、個別の医療については、個別法で書くのが適当かどうか という話があるのと、あと生殖補助医療に関する精子・卵子・胚の営利目的での授受や 授受のあっせんについてということで、今、罰則規定はありませんので、そういうこと については個別法の中でつくっていかないと罰則はかけられないと思います。  結論から申しますと、新たにつくる法律の中で、少なくとも1つ目の営利目的の授受 と、授受のあっせん、それから守秘義務違反、職務上知り得た生殖補助医療に関する秘 密を正当な理由なく漏洩することについては、新たな法律に基づいて罰則規定が必要か と思います。 矢崎部会長  そうすると、私、法律のことよくわからなかったのですが、結局こういう法律をつく るというのは、罰則をつくるというのと裏腹にこういうものをつくるということになる わけですか。例えば認めないといった場合には、それをどういうふうに規制するかとい うことを考えながらやるのですか。それで法律をつくる場合には、特別な例を限って罰 則をつくると。だから、先ほどの3項目については、特別に罰則をつくるということに なるわけですか。 加藤委員  前回の委員会では、3項目について、特別の罰則をつくるというふうに答申案は出て いますけれども、もし、それをそのまま法制化にかけるのだとすれば、もう一遍それを 原則的に見直すべきなのであって、例えば、代理懐胎について罰則を設けるという判断 についても、この委員会でそれが再確認されたわけではないと思います。 矢崎部会長  そうですね。 加藤委員  もし、この委員会の次にすぐ法制化というのであれば、それは無理で、もし法制化を するとすれば、法制化のためのまた別の委員会をつくらなければ無理だし、恐らくこれ ほど生殖補助医療全部についての法制化は無理で、代理懐胎についてだけ法的規制をす るか、しないかだとか、そういうレベルでやる必要があるのではないかと私は思ってい ます。ただ、この委員会からすぐ法制化は無理だと思いますね。 矢崎部会長  ただでさえ、1時間余計にしていただいたのに、また申し訳ありません。せっかく事 務局でこの案をつくっていただいたので、これについて皆さん、まじめにきっちり読ん でいただいて、それに対してのいろんな文言を書き加えるなり、あるいはメールで事務 局に送っていただいて、とりあえずまとめていただくということを参与したいと思いま す。議論が足りないところを最初からやると大変ですので、ポイントを絞って議論をさ せていただきたいと思います。きょう最後に御指摘いただいた、私自身が十分に罰則に ついても認識していたかどうか、理解していたかどうか不安がございますので、これに ついてもやはり議論あると思いますので、どうしますか、次回また集まっていただきま すか。 谷口課長  先生方、もうお嫌かもしれませんけど、まだ足りないということであれば、もう一度 お願いしてもよろしいのかと思います。 矢崎部会長  別に期限来て、早くまとめて、やっつけ仕事でないということは御理解いただきたい と思いますが、次回どうしましょうか、また、改めて日にちを通知申し上げるというこ とでよろしいですか。 宮本室長  現在、皆様方の御予定確認させていただきまして、4月10日(木曜日)行ってはどう かというふうに考えておるのですが。 矢崎部会長  皆さんの日程を全部調整するというのは無理で、一応4月10日に……。 加藤委員  そして、また町野さんと金城さんが来ないと、その点はまた抜ける感じになるので。 金城委員  だめなんですね。 鈴木委員  部会長。 矢崎部会長  はい。 鈴木委員  残っていて、集中してやっぱり話さなければいけない議題についてちょっと整理して いただきたいと思うんです。事務局の方からでも結構ですが。きょうの御提案では、こ の罰則の件と、私は公的管理運営機関のことはきちんともう一度整理をお願いしたい。 そして代理懐胎のことも、最終的な文言をどうするのかは確認しておいた方がよかろう と。これはむちゃくちゃどれも時間をかけるということではないかもしれませんけれど も、最後の私たちの課題だけ、そして何回というような形で示していただいた方がよい かなと。 矢崎部会長  何回というのは。 鈴木委員  それを例えば、次回に3つ集中してやりましょうというのであれば、そのつもりで気 持ちなり意見も準備してきますので。 矢崎部会長  いや、もう一回で、できれば。 鈴木委員  例えば。 矢崎部会長  例えば。 宮本室長  そういたしますと、やはり報告書の取りまとめと並行して、そういった検討をしてい ただくということになるわけでしょうか。 矢崎部会長  一応報告書は取りまとめていただいて、今までのできるだけの意見を入れて、もし、 それで足りない点について、今、鈴木委員が言われたような問題について集中的に議論 していただくと。ただ、そこで議論していただくと、報告書をつくのがまた1つかかり ますよね。ですから……。 鈴木委員  そこはペンディングにしておいていただいて。 矢崎部会長  一応、事務局案というのをつくって、もし、これは絶対だめだということであれば、 次回議論させていただきますが、また、罰則どうかというところから始まると時間がと られますので、一応案をつくらせていただいて、今、指摘されたものについての議論、 あるいはどう対応するかということをそこでお諮りしたいと思います。  やはり4時間ですと、私の能力を超えてしまって、皆さんの御意見十分取りまとめる ことがなかなか難しいので、やはり3時間が限度かなという感じがしますですね。です から、次回4月10日午後2時からということで、時間が本当に2週間で足りませんが、 大変恐縮ですが、この報告書の案にできるだけ書き込んでいただいて、なるべく議論を 集中的に短い時間で行いたいと思います。  いつもいつも長時間にわたって大変恐縮ですが、次回もぜひよろしくお願いします。 宮本室長  すいません、そうしますと、日程の方は4月10日(木曜日)の午後2時からというこ とでお願いいたします。  それで御意見なのですが、通常ですと、2日前ぐらいに締め切りをさせていただいて いるのですけれども、次回、報告書についての御意見をいただきたいと思っておりまし て、そうなりますと、かなり大部になることが予想されます。スケジュールの方、非常 にタイトでありまして申し訳ないのですが、御意見の締め切りを早めさせていただきま して、1週間後になってしまうのですが、4月2日(水曜日)までにいただけるものは いただきたいということでお願いしたいのですが、また、本日、検討いただいた内容も ございますので、そういったものも至急こちらで反映させまして、委員の皆様にはお送 りしたいと思います。  そういった非常にタイトなスケジュールになってしまいますが、よろしくお願いした いと思うのですが。 矢崎部会長  よろしいでしょうか。 澤委員  事務調整していただきたいですね。これでは無理でしょう。 矢崎部会長  もうちょっと後じゃないと無理ですかね。 鈴木委員  逆にその1回で終わるのでしょうか。私は終わらないと思って、あと2回ぐらいは、 せめて、覚悟はもともとしていましたし、ということであれば、きちんとそれでスケ ジュール示していただいた方がいいかと思うんですが。  石井先生、ちょっと伺っていいですか。専門委員会も、報告書案を仕上げるのにかな り回数かかっていたような気がするんですけれども、そうでもなかったのでしょうか。 矢崎部会長  2回ですか。 鈴木委員  2回で。 吉村委員  字句の直しは2回でしたね。12月に入ってから2回やったかもしれない。 石井委員  やりましたよね。 松尾委員  矢崎先生、よろしいですか。先ほど平山先生から御意見あった、社会に対する説明は もう少し必要と思います。我々が何故生殖補助医療に慎重、コンサーバティブなスタン スをとるかという説明です。そのことについても少し時間をいただきたいと思います。 不妊治療は不妊を次の世代に伝える可能性が高い。少子化を加速させる治療だと私は危 惧しています。 矢崎部会長  それは松尾論文で、文面で出していただくべきではないかと思うんですが。 松尾委員  1行でもいいのですけど、医療の持っている問題点というのをどこかで整理する必要 があるのではないかと思いますけど。 矢崎部会長  1行というわけにいかないわけで、それは非常に重たい問題なんですよね。1行でそ れを言って、切り捨てていいのかどうかというのも問題がありますので、それについて は、少し別添の資料みたいなものでやっていただかないと無理ではないか。こういう医 療そのものをコンサーバティブといっても、本心は反対であるということになります と、部会を否定するということにもなりますので、いかに慎重であるけれども、信頼の おける安全な医療になるべく持っていくということでまとめさせていただきたいと思い ますが、これは4月10日が無理であれば、もう少し、長く延ばせば、皆様方きっちり書 いていただけるということになりますか。書いていただけますでしょうか。 鈴木委員  集まっての議論がまず時間が必要だというお話だったと思うんですが、文面チェック だけでなく。 矢崎部会長  そうしますと、ともかく4月10日に集まっていただくことは集まっていただきます が、それに関して、あまり脅迫的に言うとまた反発とられますので、それまで一生懸命 文言を書いていただいて、それで10日で一応委員の方々の意見で報告書をまとめさせて いただいて、そこで集まっていただいて、もし、また問題があれば、またということは ありますが、10日で終わりということではない。しかし、できるだけ、エンドレス、加 藤先生は、議論を楽しむためにこの部会をやっているのか、と私言われてしまったので すが、決してそういうことではなくて、皆さん一生懸命議論されている気持ちもよくわ かりますし、私もそういう中途半端な議論で結論を持っていくつもりはありませんが、 これは大変難しい問題で、いろんな考え方、立場の方が集まった会でありますので、と ても一本にまとめるというつもりはありません。  ですから、先ほどお話になった、まとめにありましたように、難しいところは一本に まとめるということでなくて、一部こういう意見があります、ということでまとめさせ ていただきました。ですから、そういう方式で最終的にまとめていきたいと思いますの で、とりあえずは10日に集まっていただいて、そして、そこでまた次の予定を決めさせ ていただくということでよろしいでしょうか。ちょっと短いので、もし間に合わない方 は、また、一応予備といいますか、生殖補助医療部会の予備で、4月の24日にも、もし 集まる必要があれば、また、この部会を開かせていただくということで、そこでそろそ ろ……。 加藤委員  10日が実質審議のおしまいで、24日が文言の修正ということになるのですか。 矢崎部会長  そういうつもりでいきたいのですけれど、そこまでに至るかどうかという。これは委 員の任期とかなかったのでしたか。私の任期がもう4月いっぱいとか。 谷口課長  その辺は大丈夫でございます。 矢崎部会長  大丈夫なんですか。4月10日で案を全部読んでやるという、どうですか、次回の進め 方、事務局で何か腹案ありますか。 谷口課長  きょうの議論承っておりまして、いくつか積み残しがございましたですね。罰則の問 題、それから公的管理運営機関、代理懐胎についても確認しろという御議論ございまし たので、これにつきまして、事務局でもう一遍整理したペーパーをつくって、それを御 確認いただくような形が1つと、それから、まさに報告書の案でございますけれども、 これはそれまでに御意見を各委員からいただいたものをそこに盛り込んだものとして、 あまり細かい修正はちょっとやりますと大変なものですから、主な点だけの御議論して いただければと思っているんですけれども。 矢崎部会長  それを次回説明して、御了承いただければ、そこで大きな仕事は終わるというふうに 理解してよろしいでしょうか。 谷口課長  幸い、終わればそれで事務局としてはありがたいですけれども。 矢崎部会長  よろしいでしょうか。部会は26回を過ぎて、さらに延長戦に入っている感じがします が、とりあえず4月10日までは何とかやっていただいて、24日までは、あとのタイムス ケジュールとしてどうなりますか。 谷口課長  事務局の都合申し上げて本当に恐縮なのでございますけれども、今後の国会とか、そ ういうことを考えますと、本当は3月中がありがたかったのですけれども、4月中には 何とか上げていただかないと、次のステップに多分踏み込めないのではないかという感 じがいたしております。10日の日には、各委員には最大限出していただいて、それで委 員からの御意見については打ち止めをさせていただければ、本当は事務局としては一番 ありがたいのですけれども。 矢崎部会長  できれだけ文言を入れていただいて、次に一応案を出させていただくということでよ ろしくお願いしたいと思います。 町野委員  先ほどの積み残しの3点に恐らく絞られると思うんですね。事務局の方がたたき台を 事前にメールかなんかで皆さんのところに入れていただくと、少なくとも私などはやり やすいと。それに添削を加えたり、あるいは意見を添えて、そちらにまたメールで送り 返すことができると思います。出自を知る権利だとかいろいろまだ問題ありますけど、 それを今さらやるということは恐らくないと思いますので、その3点に絞るということ で、始めたら何とか済むのかなというぐあいに思いますが。 矢崎部会長  ちょっと事務局で事前に、まとめも各自委員の方にお送りして、それについてもいろ いろ文言を加えていただくということでよろしいでしょうか。 金城委員  いつごろにいただけますか。私は文書参加しかできないのですけれども。 宮本室長  努力をしますということで、申し訳ありません。 谷口課長  できたものから順番に3つ一遍でなくて。 金城委員  メールで結構ですので、ぜひお願いいたします。 矢崎部会長  では、大分時間をとって申し訳ありませんでした。この問題はなかなか難しい問題 で、簡単には結論づけられないので、まとめるということはなかなか難しいことであり まして、社会的にも与える影響は大きいので、今後、法律で決めるときにはいろんな可 能性を考えながら進めていただくということでありますが、基本的な考え方は報告書で 示すということでまとめさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  きょうも本当に長時間にわたって御議論いただきまして、ありがとうございました。 また、4月10日にお集まりいただきますようによろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。                     照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                          03−5253−1111(代)                              宮本(内線:7933)                              天本(内線:7939)