03/03/19 薬事・食品衛生審議会生物由来製品臨時部会 平成15年3月19日議事録         薬事・食品衛生審議会 生物由来製品臨時部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年3月19日(金) 14:00〜   厚生労働省専用第22会議室 2.出席委員(8名)五十音順   岡田 義昭、 甲斐 知恵子、清水 慶彦、 菅谷  忍、   土屋 利江、◎早川 堯夫、 藤上 雅子、 山口 照英   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順   池田 康夫、○倉田  毅、 長谷川 紘司、三瀬 勝利 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、 安倍 道治(審査管理課長)、   北條 泰輔(医療機器審査管理官)、 金子 和代、 磯部 総一郎、   佐藤 大作、 辻阪 高子、 丈達 泰史  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○医療機器審査管理官  それでは定刻になりましたので、これから生物由来製品臨時部会を開催させていただ きます。各委員の先生方におかれましては、御多用の中お集まりいただきましてありが とうございます。本日は委員数12名のうち現在7名御出席でございますが、甲斐先生は 15分ほど遅れておみえになると伺っております。したがいまして定足数に達しておりま すので、生物由来製品臨時部会の開催が成立したことを御報告申し上げます。  また、審議を始めていただく前に、当部会の委員に異動がございましたので、御紹介 させていただきます。1月の委員改選におきまして、国立感染症研究所血液・安全性研 究部長の小室委員に代わりまして、国立感染症研究所血液・安全性研究部第一室長の岡 田委員が任命されましたことを御報告いたします。 ○岡田委員  よろしくお願いします。 ○医療機器審査管理官  それでは早川先生、よろしくお願いいたします。 ○早川部会長  それでは生物由来製品臨時部会を開始いたしたいと思います。始めに事務局の方から 本日の資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。始めに本日の資料の御確認をさせていただきます。資料1が諮 問書の表紙でございますけれども、「生物由来製品及び特定生物由来製品の指定につい て」というものです。資料2が「生物由来原料基準について」ということで、これも諮 問書の様式になってございます。資料3、「パブリックコメントにおいて寄せられた意 見」、資料3-2、「生物由来原料基準に対するパブリックコメントの対応について(案) 」、資料4はパブリックコメントですが、日本赤十字社からの御意見、資料5はPPT A(血漿蛋白製剤協会)からのコメントでございます。また、委員の先生方には参考資料 といたしまして、前回までの御審議で使わせていただいた表示の件と記録の保存の件に ついての資料を、念のためにお配りさせていただいております。それから一つ確認を忘 れましたが、資料6ということで「動物由来の細胞組織医薬品・医療用具の記録の保存 期間について(案)」が別途配付されております。以上でございます。 ○早川部会長  お手元よろしゅうございますでしょうか。資料の御確認をお願いいたします。これま で生物由来製品臨時部会で御審議いただいた内容を踏まえ、厚生労働省の方からしてい ただいておりましたパブリックコメントの手続が終わりまして、本日は正式に薬事・食 品衛生審議会になされた生物由来製品に関する諮問、生物由来原料基準に関する諮問に ついて御審議いただくということで、本日それに関する議題が幾つかあるということで ございます。  それでは始めに議題1、「生物由来製品の指定について(諮問)」ということに関しま して、事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。まず議題1、「生物由来製品の指定について(諮問)」でござい ます。お手持ちの資料1と資料3の「パブリックコメントにおいて寄せられた意見」を 御覧いただきたいと思います。パブリックコメントにつきましては1か月間の期間とい うことで、3月18日までの期限で実施させていただきまして、団体を含めて約60件の御 意見をちょうだいしたところでございます。  この指定に関する御意見というところで申し上げますと、例えば直接人に接すること のないような製品について、これが指定の中に入っていないということを確認したいと か、その他解釈に関するものが大部分でございます。今後出てくるES細胞ですとか、 そういう再生医療に関するものが将来的に出てきた場合についての御意見等々も頂いて いるところです。その中で一つ、溶連菌抽出物でございますけれども、資料3の1ペー ジの真ん中辺にあるストレプトキナーゼ・ストレプトドルナーゼは、指定案の中に含ま れていないということが分かりまして、これについては今回の指定案の中に追加させて いただいております。また、これは前回1月10日の審議の中でも御意見を頂いておりま すけれども、動物由来の細胞を使って製造される遺伝子組換え医薬品についても、特定 生物由来製品として指定するべきではないかということについて、再度日本赤十字社か ら御意見の提出を頂いているところでございます。  ということで、諮問させていただいている指定の成分におきましては、先ほどのスト レプトドルナーゼ・ストレプトキナーゼを追加させていただいたということで、それ以 外の部分は前回1月10日までの審議と実質的に変更はございません。事務局からの御説 明は以上でございます。 ○早川部会長  ありがとうございます。ここまでの点についてはよろしゅうございますか。今御説明 がございましたように追加が1件、それから遺伝子組換え第VII因子の取扱いにつきま しては、1月24日の血液事業部会の中でも基本方針の中で、医療現場において特定生物 由来製品とこの第VII因子は同様の取扱いをするという旨、御対応いただくということ とされましたので、それでよろしいかと思います。特に御意見がなければ、この指定案 につきましては薬事分科会に上程するということにしたいと思いますが、御意見があり ましたらばお寄せいただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。よろ しゅうございますか。それではこの指定案につきましては、薬事分科会に上程するとい うことで処理していきたいと思います。  それでは続きまして、議題2に移りたいと思います。これにつきましても事務局の方 から御説明ください。 ○事務局  議題2、「生物由来原料基準について(諮問)」ということでございます。原料基準に つきましてもパブリックコメントを頂いておりまして、今回のコメントの中では、この 原料基準の適用に関する部分で多数の意見を御提出いただいているものでございます。 コメントの中身自体は、資料2の3ページ以降ですけれども、この中のコメントを整理 させていただきまして、特に行政的に解釈を加えるとか運用に関する部分を除いて、こ の基準の本質にかかわる部分につきまして事務局の方で整理させていただいたものが資 料3-2でございます。本日は事務局の方からこの資料3-2に沿って、生物由来原料基準に ついてパブリックコメントを反映した形の案を御紹介させていただきたいと思います。 ということですので、大変お手数ではございますけれども、資料2と資料3-2を併せて 御覧いただければと思っております。  まず資料2の1ページでございますけれども、「生物由来原料基準(案)」の「通則」 というところがございます。ここにつきましては、この「通則」の4以降の部分に新た に定義を加えさせていただいております。この「ウインドウピリオド」や「ドナー」、 「代諾者」という部分につきましては、内容を明確化するという観点で、既存の基準、 法令等で使用されている用語を新たにこちらの「通則」の方に記載させていただいてい るというものでございます。  それから全体の内容にかかわってくる部分ではございますけれども、「通則」の9で 「『原材料』とは」という定義をさせていただいております。もともとのパブリックコ メント案の中では「原材料」と「原料」という二つの言葉が出てまいりまして、そこが 解釈上分かりにくいという御指摘を多々受けてございますので、こういう形で「『原材 料』とは、製造業者等が製造に使用する原料又は材料の由来となるものをいい、動物等 から採取されたものをプールしたものを含む」という形で定義させていただきまして、 基準全体もこれに整合させて修文を行っております。  それから基準全体の点でございますけれども、この基準の中にいろいろな原料の特性 に合わせて、例えば血液製剤であれば輸血用血液製剤基準、血漿分画製剤基準等々書い てあります。その中身に書いてある各基準がオーバーラップしているのか、それとも並 立的なのかが分かりにくいとの御指摘もございまして、相互に並立的な基準の場合には 他の基準の対象となるものは含まないといった形の、どの基準がどのようにかかわって いるのかという関係を明確にさせていただいております。例えば8ページを御覧いただ きますと、「III.人由来原料基準」の一番冒頭に「血液、尿及び人細胞組織製品の原材 料以外の人由来の原材料については」といった形で、要するに並立的で上乗せ的でない ということを示す形で、今回各基準において訂正させていただいております。  それが基準のところでございますが、1ページに戻りまして「通則」の一番最後の10 に、「本基準の規定事項に代わる事項で、それが規定の事項と同等又はそれ以上とみな せる場合には、その事項を準用することができる。ただし」というところがあります。 ここについては、パブリックコメントでも非常に質問の多かった部分でございまして、 これは資料3-2の1ページの一番下のところに質問という形で書かせていただいており ますけれども、今回これの解釈について明確にするとともに、その解釈を反映した形で の修文をさせていただいております。この「通則」の10の規定というのは、「本基準に 規定された項目と異なる考え方によらなければ実施できない場合などに、本基準に適合 する場合と同等の品質、安全性を保証できるものであれば、承認ごとに個別に妥当性を 判断して、代替することができることとする趣旨」のものでございます。例えば後ろの 方に出てまいりますけれども、細胞組織製品等の原材料の検査等において再検査をする 必要があるといった規定がありますが、例えば「製造において製品の特性から見て再検 査を行ういとまがない」ようなものについては、承認で規定すれば他に代替する方法で そういったものを担保することができるという趣旨でございます。  ということでございますので、HCVの抗体検査など、何か個別のやり方についてフ レキシビリティーを失うとか、そういった問題ではないというところは明確化させてい ただきたいと思います。ということで、もともとのパブリックコメント案からは下の方 の「修文(案)」という形で、「方法」を「事項」に変更させていただいているというも のでございます。  続きまして基準(案)の2ページですけれども、「血液製剤総則」の中の「I.輸血用血 液製剤総則」についてでございます。ここで一点御質問がありましたのはこの基準の下 の方、3の「原材料を保存する場合は、1〜10℃に置く」という規定について、いわゆ る採血をしてから運搬していく工程等において1〜10℃なのかということでございま す。基本的にこの原材料を保存する場合とは、製造所において保存するということでご ざいますので、ここでの原材料は製造所内で保存するという解釈であることをここに示 させていただきたいと思っております。  それから次のページですけれども、3ページの下の方から「II.血漿分画製剤総則」 が始まってまいりますが、もう1ページおめくりいただきまして、4ページの3に血漿 分画製剤のいわゆる採血方法等の基準がございます。ここの温度条件につきまして、も ともと「6℃」という形でパブリックコメント案の方をお出ししていますけれども、輸 血用の基準と整合させて「10℃」に訂正させていただいております。その他この血液、 血漿分画製剤の基準におきましては5ページに6の(3)というところがございます。い わゆる原材料の記録におきまして、輸血用血液製剤総則の方と整合させまして、実は 「供血血液の供血者の検診に係る記録」という部分が脱落していましたので、この部分 を追加して訂正させていただいております。血液製剤については以上でございます。  その次に7ページですけれども、「II.人尿由来原料基準」というところがございま す。こちらにつきましては、尿から造る医薬品等に関する基準ということでございま す。もともとこの尿由来製剤については、基本的にプール尿というものを作ってから実 際に製品を製造するというプロセスを採っているもので、プール尿のどの段階で検査を するかについてもともとの現行案では分かりにくいという御指摘もありまして、ここに ついては「ドナーごと又は複数のドナーから集められたプール尿の適切な段階において 」という形で記載を分かりやすく訂正させていただいているところでございます。  続きまして、「III.人由来原料基準」が8ページからございます。ここも整合性の問 題ではありますけれども、いわゆる人原料に関するウイルス検査等の事項が2に定めら れておりますが、「セル・バンクを出発基材とし細胞培養により生産される」ような事 項についても、他の動物の基準との整合性ということで、この括弧書きの中に記載して 対応させていただいているものでございます。  続きまして9ページ、「動物由来製品原料総則」の中のまず「I.反すう動物由来原 料基準」でございます。こちらは、いわゆるBSE対策で設けさせていただいている基 準ということになっております。もともとこの基準を適用していく中で、薬事・食品衛 生審議会においては伝達性海綿状脳症対策調査会がありますけれども、そちらの御意見 に基づいて平成13年から現在のBSE規制というもので対応しているところでございま す。この反すう動物由来原料基準の1でございますけれども、ここの「脂肪酸、グリセ リン、脂肪酸エステル」などについては、基本的に国際的にも高温、アルカリ処理等が 施されていて、BSE対策としては安全性が確認されていると認められているものでご ざいます。ですので、現在のBSE対策でも、もともとこういったものは反すう動物原 料の規制からは適応として外している状況もございまして、それをここの基準の冒頭で 明確にさせていただいているという形での修正を行っております。  それからこの基準の3ですけれども、反すう動物に係る原材料の記録というところが ございます。ここにおいては、いわゆるトレーサビリティーという観点での記録の保管 というものを求めているわけでございますけれども、もともと3の(2)にいわゆる原料 となった動物のと畜日という記載がありまして、そのと蓄日をそれぞれ個別の動物に求 めていくことについては、例えば乳等の何かを作る牛乳などの原料を考えてみた場合 に、現実的になかなか不可能であると。それよりもと畜がどういう形で行われているか とか、飼育がどういう形で行われるかという情報の方がむしろ重要ではないかとの御指 摘もございまして、「(2)原材料を作製した年月日」というものと、「(3)原材料の由 来動物の飼育・と畜の状況」という形に分けまして、そういうケースにも対応できるよ うな形の基準に訂正させていただいております。  11ページでございますが、「III.動物由来原料基準」とは一般の動物から抽出してく る原材料に関する衛生基準のようなものであります。細菌・ウイルス等に汚染されてい ないことを確認するという部分の基準ですけれども、突き詰めていくといろいろな医薬 品の原料において、一番根っこの部分が動物から来ているといったものも多々ございま す。例えば界面活性剤などについては、通常は化学品のような形で取扱いがされており ますけれども、根っこを見てみると牛の脂から来ているといったものもございます。原 材料の部分と実際に使われる原料という部分の距離がかなり遠いもの、かつ途中でいろ いろな化学処理が相当施されていて、細菌・ウイルスの感染リスク等が否定されている ことが科学的に公知のようなものについては、この基準の対象から除外するという規定 を入れさせていただこうと思います。ここにつきましてはそういったものだけではなく て、例えば生薬などで使用されているマムシとかミミズといったものも当然あるわけで ございます。そういうもともと人との共通のウイルス感染症等のリスクが低いといった ものについても、経口や経皮等で通常の生薬的な用途で使われるようなものについて は、ウイルスなどの確認を行うまでもなく感染のリスクが低いという形で、この基準の 対象からは除外するという対応を採らせていただこうと考えております。  先ほど界面活性剤という例を申し上げましたけれども、こういう科学的に原料と原材 料の動物から物がかなり遠いものということで、一応御参考までに例示としてお示しさ せていただいておりますけれども、資料3-2の7ページにアミノ酸から脂肪酸といった ものの一通りのリストがございます。これは平成13年11月に審査管理課長通知という形 で出させていただいておりますけれども、大体ここで書かれているような趣旨に合致す るもののリストということで、今日は御参考までに提示させていただいているものでご ざいます。基本的にこの基準に関する修文につきましては以上でございまして、御意見 を頂いた結果からいたしましても、全体の基準の骨格というものに対しては特段大きな 変更はないという状況で、本日修文案を提出させていただいております。事務局からは 以上でございます。             ── 説明途中、甲斐委員着席 ── ○早川部会長  ありがとうございました。ただいま御説明いただきましたように、生物由来原料基準 に関するパブリックコメントの主なところといいますか、問題のあるようなところをお まとめいただいて、それに対する答えを資料3-2にそれぞれ記載してございます。その 答えを反映して、今回資料2の「生物由来原料基準(案)」の下線部のところが修正され たということでございます。これに対しましてこの場で御議論がございましたら、お出 しいただければと思います。いかがでしょうか。どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員  この下線部に関連してなのですが、最初の1ページの「通則」の2行目に、「原料又 は材料(添加剤、培地等製造工程中で使用される場合を含む)」と書いてありますけれど も、私は医療機器の方をやっていまして、普通医療用具の世界で原料は添加物などをい って、材料といいますと大体高分子系の天然由来のものや合成高分子もあります。そし て下の方に行きますと、原料の「『原材料』とは」という表現があるのですが、材料単 独の説明というのはやはり規定で少しここに入れていただいた方が、工学系のハイブリ ッドタイプのものも入ってくると思いますので、そういう先生に誤解がないと思いま す。先ほどそれに関連しまして、8ページのIIIの2で「セル・バンクを出発基材とし 」というところに、御説明では「出発原料として」という言葉をお使いになっています が、基材といいますとプレートなのか何なのかというところで、そこの原料・材料のと ころが意外と医療機器の世界ではかなり違ったものとしてとらえられていますので、少 しその辺りに手を加えていただけると助かると思うのです。 ○早川部会長  事務局の方から説明はございますか。 ○事務局  御指摘の点につきまして、もともと「原料又は材料」とは、医療機器に関する材料と いうものを意識した形で書かせていただいているところでございます。中にその定義を 置くということにつきましては、今後施行までの段階でまたこの文書自体に法律的なチ ェックが入るところでございますので、その際に加えさせていただこうと考えておりま す。それから「セル・バンクを出発基材」というところにつきましては、文章上「出発 基材」と書いている理由が一つございます。例えばセル・バンクから製造してくるよう な、これは医薬品の場合だと例えば遺伝子組換えの医薬品等があるわけでございます が、そうした場合にはセル・バンク自体に対して基準をかけるというよりは、むしろ実 際にそこからマスターセル・バンクを構築いただいて、そのマスターセル・バンクの特 性解析をする際に、こういった感染症の検査をしていただくということが一つの趣旨に なってまいります。そういうことで、ここの文章上はあえて「原材料」という言葉を使 わずに「出発基材」という用語を使わせていただいているという理由でございます。 ○早川部会長  よろしいでしょうか。言葉をいろいろきちんと定義しないといけないということがあ るとは思うのですが、先ほどの「生物由来原料基準(案)」のところの「通則」の9に、 「『原材料』とは」ということがございまして、そこで「製造業者等が製造に使用する 原料又は材料の由来となるもの」を「原材料」と。ですから、要するに最終製品が何で あれ、最終製品を目指してやるあるレベルのものを「原料又は材料」と言っているわけ です。そのまた大もとを「原材料」と定義しているということで、原料又は材料にはい ろいろあるだろうと思います。それは多分解釈の段階で、個々の製品によってこの場合 には原料又は材料、あるいは大もとをたどれば原材料はこういうものであるということ になるかと思いますので、そういう中で対応できるのではないかと私は思っているので すが、行政上はそれで不都合はないですね。ということで、よろしゅうございますか。 ○土屋委員  先ほど施行までの間に少し考慮していただくということを…、例えば「材料」といい ましても材料自身にいろいろな可塑剤とか、ポリマーではないからあれなのですが、あ らかじめそういったそのほかのアディティブが処理されたような可能性もあるわけで す。その辺りがいろいろ複雑になってきますので、一応どういったものを言うというこ とをざっと書いていただいた方が分かりやすいかと。生物系の方で「材料」と言われる のと、工学系で今組織ハイブリッドをやられている方の「材料」というのは、ニュアン スがちょっと違うようにとられる可能性があると思うのです。 ○早川部会長  私の理解が正しいかどうか分かりませんけれども、「原材料」とか「原料又は材料」 と言っているのは生物由来のことであると解釈しているのですが、それでよろしいです ね。 ○事務局  少し具体的な事例を申し上げますと、例えばゼラチンのようなものを医薬品ではいわ ゆる原料と見ていくわけですけれども、例えばカプセルの基材などの原料としてのゼラ チンがあると。そうした場合に、ゼラチンを何から造ってくるかといいますと、動物の 骨から造ってくると。骨を砕いて採ってきたいわゆるオセインといったものが、「原材 料」という部分に当たるわけでございまして、それ以外にもゼラチンを作るプロセスで オセインに対してアルカリ処理をする、化学処理をするといった形で、いろいろなアデ ィティブをお使いになると。それは先生の御指摘のとおりだと思います。そうした場合 に、原料というものはゼラチンだと考えれば、そこで言っている「原材料」というのは 骨のオセインやアルカリ処理に使う液などが、動物由来、動物由来でないもの、すべて あるわけでございます。その中で特に動物由来のものは何かというと、その場合骨から 来ているオセインになってまいりますので、ここで基準がかかってくる対象は動物由来 の原材料であるオセインという形になってくるわけです。そういう意味で「原材料」や 「原料」と言っているのは、根っこの動物から見た場合の使うところのレベルが一段階 違うという形で御解釈いただければと思っております。 ○早川部会長  よろしいでしょうか。一般にいう材料を造るための化合物であったり、必ずしもそう いうことをここで言っているわけではないということです。ほかに御議論ございますで しょうか。もし特に更なる御議論がなくてこれでよろしいということでございましたら ば、本基準案につきましては薬事分科会に上程させていただきたいと思います。最後に 「その他」ということでありますけれども、事務局の方から何かございますでしょう か。 ○事務局  「その他」ということでございますけれども、これまでの当臨時部会におきまして は、この指定と基準という部分以外にも記録の保存期間、表示といったものについて御 審議いただいております。これは明確には薬事法上の諮問事項ではないということで、 本日議題にはなってございませんけれども、これらについてのパブリックコメントの御 意見も、基本的に先ほどの資料3の中に含まれております。ただ、この辺の表示や記録 の保存という部分についての御意見は、基本的に行政的な取扱いに関するものでござい まして、事務局の方で施行までに運用の中で適切に対応させていただきたいと思ってお ります。ただ、こちらの方の記録の保存の関係と表示につきましても、薬事分科会に御 報告という形で取扱いをさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いし たいと思います。  それ以外にも事務局の方から二点ほど追加事項がございます。まず、本日お配りさせ ていただいている一枚紙の資料6、「動物由来の細胞組織医薬品・医療用具の記録の保 存期間について(案)」ということでございます。前回まで特定生物由来製品については メーカー30年、医療機関20年、生物由来製品については10年という形で、記録の保管期 間を設定するということで御審議いただいたところでございます。現在、日本でそうい った製品につきまして承認はありませんけれども、動物由来の細胞組織医薬品・医療用 具、例えばブタの生きた肝細胞などを用いて人工肝臓装置などを作成するといった、動 物の細胞が生きた状態で使用されるような医薬品・医療用具というものでございます。 これにつきまして米国においては、NIHとFDAの方から取扱いのガイドラインの案 が示されているところでありまして、ここに二点、(1)と(2)に書いてございますけれ ども、こういう理由から記録の保存期間を50年という形にしております。記録といって も、これはサンプルも含んだ記録ということでございます。一つには動物の細胞を生き た状態で使用しているということでございまして、ある意味では不活化処理等がなされ ることがないといった点があります。それとこういう動物の細胞組織そのものを使った 製品をお使いいただく場合には、免疫抑制剤等を組織適合性の観点から御使用される場 合がありまして、投与される方の免疫力が低下しているという状態において、通常は人 に感染しないような病原体が感染する可能性があるといった理由によっているところで ございます。  冒頭に申しましたように、FDAからこういう特殊な動物由来のものにつきまして50 年という考え方が示されておりますけれども、これらの製品自体が現在日本には存在し ていないといった状況でもございまして、もともとの現在の指定という考え方において は、生物由来製品にも特定生物由来製品にも含まれているものはないという状況がござ います。今後科学技術の進歩に応じて、日本でもこういった製品が出てくる場合におい てはやはりまた別の機会に、例えば薬事・食品衛生審議会においては薬事バイオテクノ ロジー部会等の場で、技術的な検討を行っていただきたいと考えているところでござい ます。一応事務局の方から、こういう事例があったということを御報告させていただき たいということです。  それからもう一点、本日配付した資料5でございます。パブリックコメントにつきま しては資料3という形で冊子にまとめていますが、資料3に含まれたものもあるのです けれども、昨日の締切りの時間等々から時間的に含まれなかったものということで、本 日ここに資料5として追加で提出させていただいております。これは米国等の血漿分画 製剤の団体から、今回薬事法の下で規定する予定にしている献血表示、非献血表示につ いての御意見ということでございます。献血表示、非献血表示というものにつきまして は、前回までの御審議でも国会の附帯決議を踏まえて対応させていただくということを 御紹介しております。こちらにつきましては、引き続き開催される血液事業部会にて御 意見を頂きたいと思っておりますので、一応資料5は御紹介までということとさせてい ただきたいと思います。事務局からのその他補足事項の内容は以上でございます。 ○早川部会長  ありがとうございました。始めにお話しいただいた生きた動物の細胞組織そのままを 使用するという問題につきましては、現在該当する製品がないという事情もあります し、今後こういう製品が実用化される場合には、別途バイオテクノロジーに関する基準 の作成等を行っている薬事バイオテクノロジー部会がございますので、そこにおいて御 議論いただくという整理でよろしいのではないかと思います。それから採血国、献血表 示も血液事業に特定された問題でございますので、血液事業部会にゆだねるということ でよろしいかと思います。それから当部会で御意見を頂いた範囲においての記録の保存 期間、表示につきましても、薬事分科会に御報告するということで御了解いただきたい と存じます。特にコメントがございましたらばお寄せいただければと思いますが、いか がでしょうか。よろしゅうございますか。それでは特にコメントがございませんようで すので、事務局から今後の予定等について御紹介いただければと思います。 ○事務局  本日御了解いただいた事項につきましては、この後開催される血液事業部会にも御紹 介させていただきまして、その後3月24日の薬事分科会に上程して御審議いただく予定 でございます。それが終了いたしましたら、WTO通報等の手続を経まして省令告示 等、4月末をめどに公布したいと事務局は考えております。以上です。 ○早川部会長  ありがとうございます。では審議官の方から。 ○審議官  それでは本部会も今日で最後ということでございますので、私の方から委員の皆様方 に一言お礼を申し上げたいと思います。当部会は3月までの期限ということで臨時部会 であったわけですが、非常に過密なスケジュールでございまして、それからまた熱心に いろいろな角度から御意見を頂き、御議論していただきまして本当にどうもありがとう ございます。各委員の先生方には事務局を代表いたしまして、この場をかりまして厚く お礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。 ○早川部会長  これで審議事項も一通り終わりましたし、事務局、審議官からの御案内のとおり、こ の臨時部会は制度の施行のために設置された部会でございまして、皆様方の御協力を得 まして一通りの使命を果たしたということで、この年度末で解散という運びになると思 います。臨時部会としては今日が最後の会議ということでございまして、半年間委員の 先生方にはいろいろと活発に御審議いただきまして誠にありがとうございました。改め て御礼を申し上げたいと思います。本日はこれで散会とさせていただきたいと思いま す。どうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 審査管理課 専門官 齊藤(内線2743)