03/03/11 第3回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録                    第3回              厚生科学審議会生活環境水道部会                    議事録                厚生労働省健康局水道課          第3回厚生科学審議会生活環境水道部会議事次第  日時  平成15年3月11日(火) 10:00〜12:21  場所  経済産業省別館第1014会議室  出席委員(敬称略)  相澤好治、赤川正和、池田耕一、遠藤誠作、大井田隆、大垣眞一郎  佐々木弘、坂上恭助、竹花恭二、眞柄泰基、松井三郎、矢口雅彦 1.開会 2.議事   (1) 水質管理専門委員会報告案について   (2) その他 3.閉会 ○谷津水道課長  おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会生活環境 水道部会を始めさせていただきたいと思います。  委員の皆様方におかれましては、年度末の何かと御多忙の折、御参集いただきまし て、大変ありがとうございます。  まず、委員の出席状況でございますが、ただいま11名の委員が御出席でございます。 規定によりまして、本日の会議は過半数の定足数に達しておりますので、成立している ということを御報告申し上げたいと思います。  それでは、議事に先立ちまして、高原健康局長よりごあいさつ申し上げます。 ○高原健康局長  健康局長の高原でございます。  第3回目の生活環境水道部会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。 委員の先生方におかれましては、年度末の大変お忙しい中、御出席いただきまして誠に ありがとうございます。また、日ごろから当省所管の行政、特に水道行政、生活衛生行 政の推進につきましては、格段の御指導、御支援をいただきまして、ありがとうござい ます。  昨年の12月に開催されました第2回目の生活環境水道部会では、水質管理専門委員会 におきます審議状況につきまして貴重な御意見をいただいたところでございます。これ を踏まえまして、専門委員会の方で更に審議を進めていただきまして、報告案を取りま とめていただいております。この報告案につきましては、今後、公開いたしましてパブ リック・コメントをいただくという手続を行うこととなっております。その前に、当部 会におきまして、議論していただき御意見をいただきまして、よりよいものにした上で 考えてまいりたいと思っています。  また、これは水質管理とは別の話でございますが、公益法人の改革ということを全省 庁で進めておりますが、水道関係といたしましては、水質検査等につきまして、現在は 検査機関を指定するという形でございますが、今後は、一定の要件を満たすものを登録 するという登録制度にするという改正を行う段取りとなりました。先週の7日付で閣議 決定をいたしたところでございます。この閣議決定されましたものを国会に提出致しま して、御審議いただくということなりましたので、御報告させていただきます。  水質基準の話に戻るわけでございますが、なるべく早い時期に安全でおいしい水道水 の供給ができるように必要な施策を進めるために、水質基準の改定等をやってまいりた いと考えております。委員方におかれましては、御多忙中誠に恐縮でございますが、引 き続きよろしく御協力賜りますようお願いいたします。  以上で、私のごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○谷津水道課長  恐縮でございますが、高原局長は所用のためここで退席をさせていただきます。御了 承いただければと思います。                (高原健康局長退室) ○谷津水道課長  それでは、議事に入ります前に、事務局より配付資料の確認をさせていただきたいと 思います。 ○松田室長補佐 それでは、事務局より配付資料の確認をさせていただきます。  1枚目、第3回厚生科学審議会生活環境水道部会の議事次第でございます。  1枚おめくりいただきますと、資料1「厚生科学審議会生活環境水道部会委員名簿」 でございます。  資料2「第2回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録」となってございます。  資料3「水質基準の見直し等について(案)」となってございまして、同じ資料3で ございますが、別紙1以降が分冊となってございます。恐縮ですが、別紙1で訂正がご ざいます。13ページをお開きいただきますと、2番の「無機物(金属等)」の基準32の アルミニウムでございますが、基準値が「0.1」となってございます。これは「0.2」の 誤記でございますので、訂正させていただきます。  続きまして、資料4「生活環境水道部会の今後の予定について」でございます。  参考資料をつけてございまして、参考資料1「平成15年度水道関係予算(案)の概要 」でございます。  参考資料2「公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関す る法律案の概要」でございます。  参考資料3「水道事業等における第三者への業務委託の対象業務の考え方について」 でございます。  資料については、以上でございます。 ○谷津水道課長  もし足りないものがございましたら、事務局までお申し付けいただければと思いま す。よろしいでしょうか。  それでは、今後の議事進行は眞柄部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしく お願いいたします。 ○眞柄部会長  まず、議題に入ります前に、先回の議事録がお手元に資料2としてございます。あら かじめ部会の委員の方々にもお目を通していただきましたが、御都合が悪いことなどが ございましたら、事務局に後ほどお申し出をいただきたいと思います。  それでは、議事に入らせていただきます。まず、第1の水質管理専門委員会報告案に ついてでございます。  前回12月20日に専門委員会の進捗状況につきまして御報告をいただきましたが、その 後、専門委員会で検討いたしまして、先週第8回の会合でお手元の資料3のような報告 案がまとまりました。今後、パブリック・コメント手続をすることとしていますが、そ の前に、この報告案について部会の委員の方々に御説明させていただきたいと思います ので、よろしくお願いします。  それでは、事務局から説明をお願いします。 ○岸部水道水質管理官  全体を御説明いたしますか、それともどこか区切る形にいたしましょうか。 ○眞柄部会長  それでは、とりあえず第1章の「基本的考え方」まで御説明いただければと思います ので、よろしくお願いします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、資料3に基づきまして御説明申し上げます。  「はじめに−背景と審議経過−」でございます。背景につきましては、今般、水質基 準の見直し等につきまして御審議をお願いすることになりました経過を説明してござい ます。水道法につきましては、昭和32年に制定され、それに基づきまして、昭和33年水 道水質基準が制定されたわけでございます。その後、逐次改正が行われてまいりまし て、平成4年に全面的な改正が行われております。その平成4年の改正のときに、26項 目から46項目に格段に項目が増え、水質管理の充実・強化というものが図られたところ でございます。  その後、10年経過したわけでございますけれども、その間の推移を見ますと、当時大 きな問題となっておりましたトリハロメタンの問題に変わりまして、やはり消毒副生成 物の問題ではございますが、臭素酸やハロゲン化酢酸の問題、新たな問題が提起されて います。あるいは、塩素の効かないクリプトスポリジウムのような病原微生物の問題が 提起されています。更に、内分泌かく乱化学物質やダイオキシン類など新しい化学物質 の問題も提起されています。  更に、海外でございますけれども、WHOにおきまして飲料水の水質ガイドラインが 10年ぶりに改訂をされるというような動きがございます。  それから、先ほど局長のあいさつにもございましたが、規制改革、公益法人改革とい うものが、この水道水質管理の分野におきましても押し寄せてくるというようなこと で、それに対する対応も必要になってくるというようなことでございます。そういった ことから昨年7月、私ども厚生科学審議会長あて水質基準の見直し等について諮問させ ていただいたわけでございます。  特に私どもといたしましては、水質基準の在り方、基準の全面的な見直しでございま すけれども、そういった点が1点、次に、規制改革3か年計画に対応するための水質検 査計画の問題について、それから、3点目といたしまして、公益法人改革に関連して水 質検査機関等の登録制度化を行わなければいけないわけですが、それの在り方につい て、この3点について重点的な御審議をお願いしたところでございます。  この審議につきましては、本部会に付議され、更に、科学・技術に係る専門的な事項 にわたるというようなことで、水質管理専門委員会に具体的な審議が委ねられたところ でございます。  2ページでございますけれども、「審議経過」のところでございますが、水質管理専 門委員会におきまして主要課題として5課題「微生物に係る基準」「化学物質に係る基 準」「サンプリング・評価」「水質検査法及び水質検査の品質保証」「簡易専用水道の 管理及び34条機関のあり方」、こういった5課題の主要検討課題を抽出していただきま した。その上で、それぞれ委員の中から担当の主査の委員をお決めいただきまして、そ の主査の委員方を中心に議論を進めてきたところでございます。  委員会の開催状況でございますけれども、昨年8月1日に第1回を開催いたしまし て、以降本年3月3日の第8回まで御審議いただいたところでございます。このうち、 第5回までの審議経過につきましては、昨年の本部会において御報告させていただいた ところでございます。その後、本年に入りまして2月3日、4日の2日にわりまして水 質基準の具体的な項目、それから、基準値について御審議をいただきました。それか ら、2月17日には、水質検査の品質保証、それから、サンプリング・評価、水質検査計 画について御審議をいただいたところでございます。3月3日、先週でございますけれ ども、ここで残っていた課題でございます34条機関の関係の御議論をいただいた上で、 本報告案の取りまとめをお願いしたところでございます。  こういった形で、今回パブリック・コメント手続の前に部会に御報告させていただい ているところでございます。  次に「基本的考え方」、第1章でございます。5ページでございますけれども、1番 目の「水質基準のあり方・性格」でございます。これは、当初の議論の中で水質基準の 適用、例えば原水に適用するといったような御議論がございましたので、整理をする意 味で、水質基準の性格とか在り方というものを再度整理させていただいたものでござい ます。  5ページの中段に「・」で書いてございますが、水質基準というのは水道により供給 される水、基本的には給水栓を出る水について適用されるものということで、原水につ いて適用されるものではないということでございます。それから、人の健康に対する悪 影響を生じさせないという観点から設定されるものである。更に、異常な臭味や洗濯物 の着色など生活利用上の障害を来たさないという観点からも設定をされるというような ことでございます。これは、水質基準の設定以来とられている考え方でございまして、 再度ここで整理をさせていただいたところでございます。  それから、次の6ページでございますけれども、2「地域性・効率性を踏まえた水質 基準の柔軟な運用」ということで、本専門委員会報告のポイントの1つかと思います。 水道に供給される水というのは、地域とか原水の種類・質、浄水方法などにより大きく 変動するということで、ここに6例ほど例を掲げてございます。地域による差異の例と いたしまして、例えば、北海道の一部水源における自然起因のひ素問題、それから、農 薬の問題でございます。  それから、原水の種類による差異ということで、トリクロロエチレンなどの揮発性の 有機化学物質といったものが多くの場合地下水を水源とする場合問題となります。それ から、ジェオスミンなどの臭い物質というのは、ダムあるいは湖沼水など停滞水を水源 とする場合に問題を生ずるということでございます。  それから、浄水方法による差異といたしまして臭素酸の問題がございますけれども、 こういった問題につきましては、多くの場合オゾン−活性炭処理をする浄水場、それか ら、消毒剤として次亜塩素酸を用いている浄水場で高い濃度が検出されるということで ございます。それからは例6といたしまして、水に不溶の化学物質といったものにつき ましては、基本的に水中では粒子状物質に吸着されておりますので、浄水操作としてろ 過操作を行っている浄水場、このろ過操作が適切に行われておれば、基本的には問題に ならないであろうというようなことでございます。  こういうように地域、原水、浄水方法によっていろいろな差異があるということでご ざいます。  そういったことで、現行の水質基準につきましては、7ページの冒頭にございますよ うに、水質基準は水質検査セットですべての水道に一律に適用するというような考え方 で設定してきたわけでございますけれども、こういった変動要素に対応するために、快 適水質項目ですとか監視項目、ゴルフ場使用農薬といった形の通知で対応してきたとい うようなことがございます。  そういうような対応をしてきたわけでございますけれども、今後はこういった地域性 というようなものを取り入れ、新たなシステムを採用すべきであるということでござい ます。7ページの中段から下のところに(1)(2)とございますが、全国的に見れば検出率 は低い物質あるいは項目であっても、地域性、原水の種類、浄水方法により問題の生ず るものについては、すべて法律の水質基準とするということでございます。  一方で、すべての水道事業者に水質検査を義務付ける項目というのは基本的なものに 限って、その他の項目については、各水道事業者の状況に応じて省略することができる ようにするということでございます。  それから、水道事業者はそれぞれの状況に応じて水質検査を省略することができるわ けですけれども、その省略が適切になされるよう、それから、透明性を確保するという ような観点から、水質検査計画という形で事前に水道事業者ごとに検査計画を立てて、 それを公表する形で需要者に対して説明責任を果たしていただくというようなことをさ せるべきであるというのが御提言でございます。  それから、8ページのところで、今回の要件の考え方からいって水質基準としては該 当しないけれども、例えば、一般環境中で検出されているとか、あるいは使用量が多く て、現在は検出されていないけれども、将来的に検出される可能性があるといったもの については、水質管理上留意すべき物質として水質管理目標設定項目という形で関係者 の注意を喚起すべきであるというようなことでございます。現行の水質基準、それか ら、3つの通知のカテゴリーというものを廃して、新しいシステムとしては法律に基づ く水質基準と、それから、各関係者が留意すべき項目としての水質管理目標設定項目、 新たなカテゴリー分けというものが提案されております。  いずれにいたしましても、こういった項目につきましては、リアルタイムでのモニタ リングというのは不可能な物質が多くございます。そういったことから、食品分野にお いて採用されておりますHACCPですとか、あるいはWHOにおける水安全計画といった 考え方というものも、今後の水質管理には必要であろうということが提言されてござい ます。  それから、3番目といたしまして「逐次改正方式」でございます。水質基準につきま しては当然のことながら、最新の科学的知見に従って見直しが行われるものでございま す。当然私どもにおきましても、理念上そういった形でやってきているわけでございま すけれども、それを実行あらしめるために本専門委員会報告では第2パラグラフのとこ ろで、常設の専門家会議を設置したらどうかという御提言をいただいております。  更に、こういった逐次改正方式の実行性を高めるために、水道事業者が行う浄水、原 水の水質検査とは別に、水道行政を担当している部局による水質監視が必要であろうと いうようなことを提言いただいております。国におきましては、全国的な水道水質の状 況の把握ですとか、水質基準設定要否の検討といった観点から行われるべきであろう。 それから、地方公共団体の水道部局におきましても、同様の形で水質監視を行う必要が あろうということでございます。当然、最後のところに書いてございますけれども、関 係部局との連携が重要であり、また、水道事業者への協力を求めることが必要であると いうようなことを記載してございます。  1章までは以上でございます。 ○眞柄部会長  第1章の部分につきましては、先回の部会でも御議論をいただきまして、その御議論 のことも踏まえまして、このような形でセットさせていただきました。それをベース に、第2章から各要因についての基準あるいは検査方法、検査計画等を準備いたしまし たので、具体的には11ページ以降の「病原微生物に係る水質基準」から御審議をいただ きたいと思います。  それでは、引き続いて病原微生物関係について、通して御説明をください。 ○岸部水道水質管理官  それでは、第2章「病原微生物に係る水質基準」ということで、資料3の11ページか ら御説明をさせていただきます。  現在の病原微生物に係る水質基準といたしましては、糞便性汚染の指標として大腸菌 群、それから、現存量の指標として一般細菌というものが定められております。今回の 専門委員会におきましては、この2つの指標が適当なのかどうかということで、現在の 知見に照らして再検討いただいたということでございます。それから、もう一点は、塩 素耐性を持つ病原微生物、クリプトスポリジウム等につきまして水質基準を設定すべき かどうかというような3点について御審議いただいたところでございます。  一般細菌につきましては、11ページ以降にございますけれども、結論部分といたしま しては12ページの第2パラグラフ、第3パラグラフに書いてございます。微生物の現存 量指標としては一般細菌というよりも、従属栄養細菌を用いるのが適当であろうという ようなことでございます。その理由といたしまして、従属栄養細菌というのが本来的な 水中細菌数を表現する、それから、培養方法も確立している、それから、配水系統での 生物膜あるいはスイラムの形成など、水道施設の清浄度の劣化を端的に表現する指標と してすぐれている。更に、現在問題になっているレジオネラの生息環境を判断する指標 としても使えるであろうというようなことで、従属栄養細菌を本来であれば用いるべき であろうというのが委員会の結論でございます。とはいいましても、現行は一般細菌が 広く使われておりまして、水質管理の工程管理の指標としても使われているというよう なことがございます。  一方、残念ながら我が国では、従属栄養細菌に関するデータの十分な蓄積がないとい うようなことでございまして、当面、一般細菌につきましては現行のまま据え置いて、 その上で従属栄養細菌に関する知見の集積を図るべきであるというのが本専門委員会の 結論でございます。  それから、2番目の大腸菌群の評価でございますけれども、本来、糞便性汚染の指標 としては「大腸菌群」ではなく「大腸菌」にすべきであるというのが本専門委員会の結 論でございます。なぜこれまで大腸菌群が指標として用いられたかということでござい ますけれども、それは培養技術、単に技術の問題であったというようなことでございま す。現在そういった培養技術の問題はクリアされておりまして、大腸菌というのが適切 に検出されるというようなことで、糞便性汚染の指標としては現行の「大腸菌群」から 「大腸菌」に変更すべきであるという御指摘でございます。  それから、3点目のクリプトスポリジウムなど耐塩素性病原微生物でございます。こ れについては、別途章を起こして議論をしていただいておりますけれども、水質基準と しては例えば、検出方法等に種々の課題が残っておるというようなことから、水質基準 とすることは適当ではないということでございまして、結論といたしまして13ページの 4「水質基準案」のところで、一般細菌につきましては「1mlの検水で形成される集落 数が100以下であること(現行どおり)」ということでございます。大腸菌群につきまし ては、「大腸菌」と変更した上で「検出されないこと」という案を御提示いただいてお ります。  それから、留意事項で先ほど御説明申し上げましたけれども、現存量指標としては一 般細菌よりも従属栄養細菌がすぐれているというようなことで、データ収集を図るべき であるというような課題が提起されております。  あとは、関係の参考資料として14ページから16ページまでつけてございます。  病原微生物については以上でございます。 ○眞柄部会長  以上のように、専門委員会では微生物関係、一般細菌については現行どおり、大腸菌 につきましては「大腸菌群」から「大腸菌」に変更しまして、基準としては検出されな いことというのが専門委員会の結論でございますが、この微生物関係につきまして、委 員方の御意見あるいは御質問がございましたら、どうぞお願いいたします。 ○松井委員  第1章のところで、ちょっとお聞きしたい点があります。8ページです。一番上の 「なお」というところで文言がございますね。ちょっと私が気になりますのはPRTR法と いう法がもう施行されておって、それとの関係性を視野に入れていないというのはどう いうことなのかなと思いました。当然法として施行されて、しかも、ここで言われてい る物質としては、まさにPRTR法で出ている375物質ですね。それが各企業から情報公開さ れてきますね。そうしますと、企業の排出を見れば水道の水源の上流側にあるというこ とも一般の人はすぐ理解できます。そうすると、企業がこういう物質をトンベースで出 していると。ですけれども、今の原案ではPRTRとの関係はどうなるのかという質問を多 分してくるだろうと思います。そういう意味で、法と法との関連性はどこかで言及して おいた方がいいのではないかと思いますけれども。 ○岸部水道水質管理官  その辺りのところは、当然3のところで、相当幅広く資料を整理した上で御検討いた だいたわけですけれども、そういった具体的なものは引っ掛かってこなかったというこ とでございます、ただ、3の逐次改正のところにありますように、今後はそういったも のも含めてRolling Revisionの中でそういったことも視野に置いた上で、具体的な項 目について検討していくというようなことかなと理解しておりますけれども。 ○松井委員  どこか説明のところでPRTRとの関係は入れられませんか。今まさにRolling Revision でやっていくときに、どうでしょうか。 ○谷津水道課長  先ほどの件でございますが、Rolling Revisionの中で厚生労働省もそれなりの Rolling Revisionの体制をこれから整備していかなければいけないという中で、水道 水中あるいは水道原水中にどういう化学物質が存在するおそれが出てくるのかというこ とがRolling Revisionの1つの出発点になろうかと思います。そういう中で、それぞ れの流域でどういう物質が使われる可能性があるのかという中で、PRTRの情報というの も非常に貴重な情報源になると思いますので、そういった全体の中でPRTRの制度に基づ く開示情報というものも頭に置いてやっていきたいなと考えております。 ○眞柄部会長  松井委員のおっしゃることは、かなり具体的なことではあるのですが、9ページの最 後のところに水質監視ということになっておりますが、これはいわゆる国による、要す るに逐次改正方式を行う上での監視ということでありまして、そこについては関係部局 との連携ということが書いてありますので、この中でPRTRに関することも考慮されてい ると御理解いただきたいと思います。 ○松井委員  勿論、理解はします。ただ、どこかこういう重要な改正のとき、そういう文言があっ た方がいいのではないかという意味で、ちょっと提案させていただきました。 ○眞柄部会長  PRTRも発生量が多いソースについては出ますけれども、要するに速報で見たときに推 定値の方が圧倒的に多いですよね。だから、必ずしもぴったり合うのかなという懸念が ないわけではないので。 ○松井委員  次のところに化学物質があって農薬があると思いますけれども、農薬についてはラン プサムの対応が出ましたね。それについて、私は勿論賛成ですけれども、そうします と、その発想で今度はPRTRに持ってきたらPRTRもランプサムでもって考えるという方向 に次の論理は行く可能性がありまして、そういう意味で、次の発展をこのRolling  Revisionをやっていくときに、そういう芽がもう出ているのではないかと思いましたの で。 ○眞柄部会長  ありがとうございます。  それでは、松井委員の御意見も考慮して「逐次改正方式」の注意しなければならない 情報の中に、PRTRの情報というような文言を最後の関係部局のところに挿入するように いたしたいと思いますので、文言については私にお任せいただきたいと思います。  生物関係につきましてはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。 ○松井委員  13ページの原案でいきますと、クリプトスポリジウムについては次の「留意事項・課 題」のところにも記入はございませんね。 ○眞柄部会長  クリプトスポリジウムにつきましては、別に章立てをいたしまして、そこの章立ての ところで御議論いただきたいと思いますので、お願いいたします。  それでは、化学物質をお願いいたします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、17ページから「化学物質に係る水質基準」のところで御説明をさせていた だきたいと思います。  化学物質に関しましては、先ほどの「基本的考え方」のところでも御説明を申し上げ ましたけれども、再度そこを整理した形で冒頭に「・」が3つ書いてございます。地域 的なものでもすべて基準にするというようなことでございます。  それを踏まえまして、具体的な化学物質に関する水質基準をどういうふうに考えたら いいか、それから、どういうふうに分類をしていったらいいだろうかというようなこと を整理してございます。  1点目の「水質基準等の考え方と分類方法」というようなことでございまして、(1) 「水質基準」でございます。基本的な考え方で御説明しましたとおり、現行の水質基準 への分類要件というのは当然緩和をされるべきであろうということです。その上で、よ り広範囲な項目が水質基準として含まれるようにすべきであろうということでございま す。  具体的にどうするかというようなことでございますが、ある程度化学物質について知 見があって毒性評価がされていれば、すべて基準にするということでは現実的ではない ということで、今WHOのガイドラインの改訂に当たってとられている考え方でござい ますけれども、18ページのところに「10−fold concept」とございますが、毒性の評 価の結果を踏まえて評価値、この報告書では「評価値」と言っておりますが、水質基準 の原案になるような値を設定いたしまして、その10分の1を超えて検出されるような状 況にあるものについては、水質基準にしようというような考え方で整理されておりま す。  今申し上げましたところをまとめて「水質基準への分類要件」ということで、浄水に おいて評価値の10分の1に相当する値を超えて検出され、または検出されるおそれの高 い項目を水質基準とするということでございます。  ただ、過去の経緯を踏まえて、水銀とかシアンは法律に例示されている物資でござい ますけれども、こういったものにつきましては、例外的に従来どおり水質基準として維 持をするということでございます。  それから、毒性評価が暫定的な評価であるというようなものにつきましては、このよ うな要件に合致しても水質基準とはせずに、水質管理目標設定項目に分類するというよ うなことでございます。参考に現行の要件を書いてございますが、現行の全国的な汚染 という要件から、地域的なものでも水質基準とするというような形で分類要件が緩和さ れてございます。  (2)「水質管理目標設定項目」につきましては、水質基準といったものには該当しない けれども、検出される可能性があるというような項目でございまして、資料が逆になり ますが19ページの第3パラグラフのところで書いてございます。水質基準には該当しな いものの、場合によっては浄水において評価値の10分の1に相当する値を超えて検出さ れる可能性のある項目ということでございます。  例えば、戻っていただいて恐縮ですが18ページの下でございますけれども、ニッケル というものは給水装置にも使われているというようなことから、浄水中で検出されます が、残念ながら、まだ毒性評価が基準を設定するまでに至っていない。あるいはハロゲ ン化アセトニトリルといったものも浄水中では検出されますけれども、どの程度の値に したらいいかというデータが十分ではない。こういったものについては基準とはしない けれども、監視などが必要ではないかということでございます。  それから、(3)「農薬の取扱い」でございます。農薬については委員方御承知のとお り、そこに発生する病害虫に従ってまかれるものでございますので、地域によって発生 する病害虫が異なりますので、使用される農薬が異なるということでございます。それ から、病害虫の発生時期がありますので、時期に応じて散布されるものが異なってくる というようなことがございます。そういったことから、他の化学物質に比較して使用形 態というのは非常に独特であって、通常の化学物質と同じように扱うというのはなかな か難しいであろうということでございます。  実際、浄水での検査を行っても、ほとんど農薬が検出されるということはなくて、個 別の農薬で見た場合、水質基準あるいは水質管理目標設定項目に分類されるということ はまれであるということでございます。ただ、そうはいいましても、水道水中の農薬に つきましては国民の関心が高いということで、本専門委員会におきましては特別な対応 をとったらどうかというようなことが提言されております。その上で、国民、需要者の 安心を確保していくことが重要であるという御提言でございます。  具体的には(1)でございますが、個別に水質基準への分類要件に適合する農薬につい ては、個別に水質基準を設定します。今回、農薬については相当数の農薬について状況 を調べましたけれども、個別の農薬で、先ほど申し上げましたような水質基準の要件に 該当するような農薬というのはございませんでした。  (2)といたしまして、上記(1)に該当しない農薬については、下記の式で与えられる検 出指標値が1を超えないこととする総農薬方式で、水質管理目標設定項目に位置付ける というようなことでございます。  次のページで書いてございますが、この測定を行う農薬につきましては、各水道事業 者が、先ほど御説明しましたように、農薬というのは地域や時期によって違いますの で、一番詳しいその地域の水道事業者において検討の上選ぶというようなことでござい ます。そうはいっても、なかなか農薬というのは種類が多いので、検討に当たっての母 集団を本専門委員会で101ほど選定をいただきました。その101の中から各水道事業者の 状況に応じて検査をしていただくということでございます。その上で、この式に従って 計算をして、これが1を超えるようですと、例えば、活性炭処理の追加、浄水処理の万 全を期すということでございます。  ただ、この検出指標値というのは浄水処理のための管理指標ということであって、こ れが1を超えたからといって、人の健康に直ちに影響を与える云々の議論をする値では ないということでございます。  それから、20ページの2「評価値の算出方法」でございます。先ほど10分の1議論を させていただきましたけれども、評価値というのをどういうふうに算出するかというこ とでございます。  (1)「人の健康の保護に関する項目」でございます。これは、既に国際的にコンセン サスの得られた方法に準拠してございますので、特段御説明する必要はないかと思いま す。ただ、21ページのイ「評価値の算出」のすぐ上で、いわゆる環境ホルモンについて の言及がございます。内分泌かく乱化学物質につきましては、哺乳類、特に人への低用 量域での健康影響に関して現在のところ評価が確定していないということで、現時点に おいては環境ホルモン作用に着目した評価というのは行わなかったということでござい ます。  それから、評価値につきましては、これもWHOなどで使われておる方式に従い、水 質基準を設定してございます。  22ページの(2)「性状に係る項目」につきましても、同様に障害を生ずる濃度レベル を基に評価を行ったということでございます。  (3)「有機物指標に係る項目」でございます。従来は有機物の汚濁指標といたしまし て「過マンガン酸カリウム消費量」というものを使っていたわけでございます。水道法 で水質基準が制定されて以来ずっと使ってきたわけですけれども、この指標につきまし ては、30年、40年前からいろいろ問題点が指摘されていたというようなことから、今回 よりよい指標である総有機炭素、TOCという形で略称されておりますが、TOCに変 更すべきであるという御提言でございます。  その基準値原案の算定に当たりましては、現在の過マンガン酸カリウム消費量の数 値、10mg/Lに相当するTOCの値ということで、5mg/Lという値が提案されておりま す。25ページの「留意事項」のところに書いてございますけれども、いろいろな問題点 はあるにしても、過マンガン酸カリウム消費量につきましては、工程管理の指標として 従来からずっと使われている、何十年にわたり使われているというようなことがありま すので、過マンガン酸カリウム消費量からTOCに転換するまでの間は適切な経過措置 が必要であるというようなことでございます。  それから、3番目といたしまして、先ほどの松井委員の御指摘もございましたが、ど ういう項目について検討対象としたかという整理がしてございます。(1)「人の健康に 関する項目」につきましては、こういった関係のところで既に規制をされているとか、 あるいは諸外国で検討がなされているもの、あるいは検出報告のあるものを対象にした ということでございます。  (3)「農薬」につきましては、使用量あるいはADIといったものを考慮して、第1 候補群というようなものを整理したということでございます。  最終的に28ページを見ていただきますと、4「水質基準改正案」ということでござい まして、新たに水質基準案として御提案いただいたのは、現在の46項目に変えて50項目 とするということでございます。単純に4項目増えたのではなくて28ページの(1)に書 いてございますが、新たに水質基準とすべきとした項目としては、ここに書いてありま す13項目を新たに水質基準として追加致します。一方、現行の水質基準から、ここに書 いてございます9項目については削除します。差し引き4項目増えて50項目になるとい うようなことでございます。  具体的に申しますと、別冊になっておりますけれども、別紙1の3ページでございま すが、一般細菌からpHまで50項目でございます。項目名の右側に「☆」をつけてござ いますが、これは現行から新たに水質基準項目にすべきものということでございます。  次のページに、水質管理目標設定項目としてこういったものが挙げられたということ でございます。  それから、6ページに、先ほど101の農薬ということがございましたけれども、抽出 いただいた101の農薬が目標値とともにリストアップされてございます。例えば、1番 目にチウラムというものがございますが、チウラムというものを検査したら検出値を 「目標値」と書いてございます0.02で割り算をして、先ほど言ったように足し算をする という形になります。  それから、9ページのところで「水質検査項目の省略指針案」ということでございま す。基本的考え方のところでも御議論いただきましたけれども、すべての水道に義務付 けるものは基本的なもので、あとは各水道事業者の判断によるというようなことでござ います。  1番目といたしまして「水質検査を省略することができない項目」です。1から21項 目セットされてございます。これは、基本的には病原微生物の汚染のインデックスとし て考えられているもの、それから、消毒副生成物として考えられているものでございま す。それは、すべての水道で注意すべき物質あるいは項目であるというようなことで、 21項目ここに列挙されてございます。  ただ、臭素酸につきましては、先ほども御説明申し上げましたけれども、オゾン処理 をやっている浄水場、それから、次亜塩素酸による消毒を行っている場合に限るという ことでございます。  それから、クロム以下6項目については水道資機材あるいは薬品として使われていま すので、こういったものを資機材なり薬品で使っているところでは、注意をした上で検 査の省略を判断しなければいけないということでございます。  それから、3番目といたしまして「地下水を水源とする場合に考慮すべき項目」とい うことで、8項目出てございます。これまでの10年の検査結果等を見ますと、こういっ たものが問題になるのは地下水を水源とする場合であるということが大体出ておりま す。そのことから、地下水を水源とする場合はこういった項目について注意をしなけれ ばいけないということでございます。  それから「停滞水を水源とする場合に考慮すべき項目」です。これは、藻類や放線菌 が発生するジェオスミンとかメチルイソボルネオールといったものについては、停滞水 を水源とする場合には検査について十分検討しなければいけないということでございま す。  それから、ほう素につきましては、海水の淡水化の場合には検査を省略してはならな いということで5番目に書いてございます。  6番目のその他については、各水道事業者の状況を判断して、省略について検討しな さいということでございます。  7「留意事項」として、2から6の検討にかかわらず、現に過去に検出されている場 合には水質検査を省略してはならないというようなことでございます。  以上でございます。 ○眞柄部会長  続いて、水質検査法まで説明してください。 ○岸部水道水質管理官  引き続き「水質検査方法」について御説明申し上げます。資料3の29ページにお戻り いただきたいと思います。  「基本的考え方」ということで書いてございます。御承知のとおり、法令で基準を設 定する場合には、いわゆる公定検査法がセットで定められております。その理由という のは、検査方法によっては同じ試料を検査しても結果が異なることがある、あるいは許 容値を設定するという関係上、その許容値が測定できないと困るというようなことで、 法令的に基準を設定する場合には基準値と検査方法がセットで規定をされております。 水質基準についても例外ではないということでございます。  ただ、水質検査に関する技術進歩は格段のものがございますので、そういったものを 適切に取り入れていく必要がある。そういったフレキシブルなシステムについても検討 しなければいけないというようなことでございます。  そういった基本的な考え方を踏まえまして、29ページに(1)から(7)まで基本的な考え 方のもとに具体的に検討をしたということでございます。  (1)といたしまして水質基準項目を確度よく測定できること、当然のことでございま すけれども、正確に測れるということでございます。  それから、微量なものまで測れるということで、基準値の10分の1の値が確実に測れ るということでございます。  それから、精度の高い方法であるということ、要するに、ばらつきの少ない方法でご ざいます。10回測定して10回の値がすべてばらばらということでは困るということでご ざいます。  ベンゼンなどの有害物質を極力使用しないというようなことでございます。  それから、(1)から(4)までが基本的な水質検査方法の要件でございますけれども、こ ういったものを同時に満たすものが複数ある場合は、多くの検査方法を提示するという ことでございます。  自動検査方法が採用できるものについては積極的に採用するということ。  検査方法の記述に当たっては、基本要件でございます(1)から(4)の要件を確保するた めに、必要最低限の記述にします。その他の文言については、検査者の工夫の余地とい うことでございます。  具体的な方法につきましては、詳細は御説明する時間はございませんが、概要といた しましては30ページから31ページ、それぞれの項目の状況に応じましてこういった方法 で検査ができる、検査方法とすべきであるという御提言をいただいております。ちなみ に、別冊になっていますけれども、11ページから119ページまで、約100ページにわたっ て具体的な検査方法を御提案いただいております。  以上でございます。 ○眞柄部会長  以上が、化学物質に係る基準と水質検査方法について専門委員会で取りまとめたもの でございますが、これにつきまして、委員方の御意見や御質問があればいただきたいと 思いますので、よろしくお願いします。 ○松井委員  20ページの一番上に総農薬方式の計算があって、その次に個々の説明がありまして、 目標値ですね。目標値は、もう一つの方の別紙を見たら記載されていますが、この目標 値がどのようにして決まったのかという記述が見当たりませんでした。それで、どこか に目標値を導入してきたというのが要るのではないかと思いました。 ○岸部水道水質管理官  これは、農薬に限らず評価値あるいは毒性評価につきましては、化学物質のところ で、国際的な方法によっているということで説明を省略させていただきましたが、評価 値の算出というのはどういうふうに設定するかというのは、20ページから21ページにわ たって説明をしています。農薬の場合は登録の際にADI設定をされます。ですので、 そのADIを基に1日に飲用する水の量が2L、それから、日本人の平均体重50kg、そ れから、水へのアロケーションとしてADIの10%ということで評価値を設定してござい ます。これは農薬に限らず、ほかのものも化学物質についてはすべて、健康影響につい てはすべてそういった形で設定しているというようなことでございます。 ○松井委員  わかりました。つまり、「目標値」という言葉がここでぽんと出てきまして、ほかの ところで出てこないのですよ。だから、その目標値が今の御説明の中に入っているとい うことをどこかで書いておいた方がいいと思います。 ○眞柄部会長  わかりました。松井委員のおっしゃるとおりですので、20ページに「目標値」という 言葉が出てきたので、目標値の説明を評価値と同じ方法で算定した値であるというのを 加筆いたします。ありがとうございました。 ○大垣委員  大腸菌を新たに大腸菌群の代わりに入れることに関連しますが、先ほどの松井委員資 料3の9ページのところに、PRTRに関連して少し表現を加えるという眞柄部会長からの 説明がありましたが、それと少し関連しますので申し上げますと、大腸菌を水道の方で 入れますと、環境基準の方は大腸菌群で現在動いておりますね。それから、海水浴の方 は糞便性大腸菌で行われていて、今後国による水質監視という意味では、水道の中だけ ではなくて広く関連法と整理していかなければいけません。PRTRもその1つかと思いま すので、PRTRを特に強調する必要があれば書き込んでもいいですが、より一般的には 「各種法規制と連携し」というのは、当たり前ですが、水の総合的な水質の管理という ようなことを考えますと、各こういう専門のところで連携を図るということを積極的に 打ち出していくことも必要なのではないかという気がしまして、先ほどの議論が出まし たので、あえて大腸菌との関連で申し上げておきます。必要ないということなら現行の ままで結構です。先ほど議論が出ましたので。 ○眞柄部会長  わかりました。  基本的なことでもありますので、先ほどPRTRの文言と言いましたけれども、どこかで 書かせていただきます。  ほかに化学物質関係でございますか。 ○松井委員  27ページの農薬のところですが、ちょっと確認の意味で質問しますけれども、国内の 推定出荷量が50tということですが、これは日本の農薬メーカーが出される年報みたい な格好で、業界が出される出荷量というものを引用されることになるわけですね。 ○眞柄部会長  実際に農薬として出荷されている統計量です。 ○松井委員  そのときに、ちょっと細か過ぎて恐縮ですが、実際の農薬はいろいろな、いわゆる増 量剤が入って使われますので、増量剤込みなのか本当にここで指定している物質なの か。 ○眞柄部会長  物質そのものです。 ○松井委員  これは物質そのものと考えるわけですね。 ○眞柄部会長  はい。 ○松井委員  わかりました。 ○眞柄部会長  ほかにございませんか。よろしゅうございますか。  それでは、続いて、クリプトスポリジウム等の微生物対策について御説明をくださ い。 ○岸部水道水質管理官  それでは、33ページになりますけれども「クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原微 生物対策」でございます。  前回、平成4年の水質基準の改正以降、大きな水道水質管理上の問題として提起され ましたのが、平成8年に埼玉県の越生町で発生いたしましたクリプトスポリジウムの集 団感染でございます。米国のミルウォーキーとかそういうところで大きな事例は報告さ れていますが、我が国でも集団感染が発生したというようなことで、厚生労働省、当時 は厚生省でございますけれども、水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針とい う通知をお示しして、その上で、こういったクリプトスポリジウムによる汚染のおそれ がある場合には、適切にろ過をするようにという御指導を申し上げてきたところでござ います。  それから、平成12年に水道施設の技術的基準というものを定める省令ができました。 そこにおきまして、原水に耐塩素性病原微生物が混入するおそれがある場合には、ろ過 等の設備を設置すべきことが規定されたということでございます。  そういうようなことから、今回クリプトスポリジウム対策についての御検討をいただ いたところでございます。特に、こういった原虫類につきましては、水道で使用されて いる塩素消毒が有効ではないということがございます。  この基本的な考え方でございますけれども、病原微生物というのは、いわゆるリアル タイム・モニタリングが技術的には難しいというようなことから、汚染のおそれを検討 した上で、未然に防止措置を講ずるというものが基本原則でございます。  その上で、現にどの程度のリスクがあるかというようなことで、幾つかの試算をして ございます。  1つは、WHOが提唱しておりますような参考許容値、DALYsという単位で表される ようでございますけれども、いわゆる発がん物質の10-5のリスク増分に該当するもの が、中段に書いてございます「1.4×10−6DALYs」に該当するというようなことでござ います。通常、暫定対策指針でお示ししていますのは、10L水を濃縮して検出されるか どうかを調べなさいと言っているわけですけれども、仮に10L中に1個のクリプトスポ リジウムが見つかった場合、どの程度のリスクがあるかというようなことでございます が、先ほど申し上げましたWHOの値1.4×10のマイナス6乗に比較して100倍程度の高 いリスクが出てくるというようなことでございます。逆に言えば、10L中に1個のクリ プトスポリジウムが見つかった場合には、問題であって適切な浄水操作を行わなければ いけないというようなことでございます。  一方、モンテカルロ・シミュレーションを用いた研究成果を見ますと、こういったク リプトスポリジウム等による感染のリスクというのは、年間を通じてというよりもある 特定の異常に高い日のリスクに左右されるということが出てきております。その特異日 を発生させないということが重要であるということでございます。特異日を発生させな いというのはどういうことかというと、暫定対策指針、これまでお示ししてきた原水が クリプトスポリジウムで汚染されている場合には、ろ過施設を整備してろ過をしなさい ということでございます。  このような試算を踏まえまして講ずべき対策といたしましては、34ページの最下段か ら35ページに掛けて提言をいただいております。ここにありますように、基本的な考え 方からも、また、リスクの試算結果からも、クリプトスポリジウム等の耐塩素性の病原 微生物対策としては、汚染のおそれの把握と適切な浄水操作が必要であるということで ございます。  一方で、現在私どもの対策指針、行政通知でございますけれども、御指導申し上げて いますが、最近の統計によりますと約3,400の浄水施設が対策が必要であるというよう なことでございますけれども、通知に従って対策をとっていただいたのが約1,900とい うことで、約3分の2ということでございます。そういったことを考えれば、本専門委 員会といたしましては対策の強化を目指して、このろ過操作というものを水道法第22条 に基づく措置に追加すべきであるというような御提言をいただいております。  御承知のとおり、水道法22条というのは塩素による消毒を規定している条文でござい まして、現在の塩素消毒に加えて塩素消毒が有効ではないこういったものに汚染される おそれがある場合には、必ずろ過操作をするように法令上に規定すべきということでご ざいます。  それから、水質基準につきましては、微生物対策に対する基本的な考え方からもなか なか現実的ではないのですが、仮にアメリカの環境保護庁、USEPAが用いている微生物 許容感染リスクの考え方を採用したとしても、15t程度の試料水を濃縮しないと確認が できない、あるいは検査方法についてまだ問題点も残っているというようなことから、 水質基準については現実的ではないということで、先ほど御説明申し上げたような結論 になったところでございます。  それから、「留意事項」として3点ほど御提言いただいておりまして、汚染のおそれ の判断については、更に精緻なものにすべきであろうというようなことでございます。 基本的には、温血動物から排出される糞便による汚染でございます。ですから、人が住 んでいるあるいは家畜が飼われているその下流部では、こういった汚染のおそれがある ということでございます。それから、常時住んでいなくても、例えばレクリエーション で人が入るというようなところの下流部についても問題があるということでございま す。  それから、今、排水処理として塩素消毒がされているような排水処理施設の下流の場 合には、現在の指標菌とされていますような大腸菌などは殺菌されて出てこない可能性 があります。それでも、クリプトスポリジウムとしては汚染のおそれがあるというよう なことで、更に汚染のおそれについて検討を加えて、より精緻なものとする必要がある というような御提言をいただいております。  (2)として「規制の円滑な実施」ということでございます。確かに、22条の条文で義 務付けるわけでございますけれども、具体的にはろ過設備の設置が必要であるというよ うなことから、直ちに規制をした場合、法違反状態がすぐ生ずるということでございま す。そうはいってもハードウェアの整備でございますので、期間を要するというような ことで適当な準備期間を用意したらどうかという御提言でございます。  それから、暫定対策指針については法令で規定されるというようなことから、指針を 廃止したらどうかということでございます。ただ、耐塩素性微生物対策というのは、こ れらの措置に限られるものではないということで、これまでの知見を踏まえて解説書と いうような形で提起をしたらどうかというような御提言をいただいてございます。  それから、37ページ以下は、先ほど御説明申し上げましたDALYsですとか、あるいは 感染リスクの関連資料でございます。  以上でございます。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。  それでは、クリプトスポリジウム関連につきまして、このように章を設けました。ど うぞ御質問や御意見をお出しいただきたいと思います。 ○松井委員  そうしますと、22条で義務付けが入ると、ここの場合はろ過という言葉で代表されて いますけれども、対応方法としては、ろ過に限定されるのですか。 ○岸部水道水質管理官  今回の御提案あるいは私どもの考え方としても、勿論いろいろなろ過方法はあります けれども、ろ過ということで考えております。 ○松井委員  ろ過以外の方法、例えば、まさに暫定期間ですけれども、要するにオゾンを使って濃 度と時間の関係で一時的に対応するということも考えられますね。もっともこういう簡 易水道は非常に装置が簡単ですから、そこへそういう装置を持ち込んで実際にオペレー ションできるかどうかというのは、また難しいかもしれませんけれども、ろ過という形 で限定してしまっていいのかなという疑問があったものですから。 ○岸部水道水質管理官  その点につきましては、専門委員会でも御議論いただきました。最終的にはサイクロ スポラの話もあるので、ろ過装置をつけるべきであろうということです。ただ、それま での間は何もしないのでは困ります。そのための期間、例えばクリプトスポリジウムと かジアルジアに限定すればUVがよく効くとかそういったこともあるので、それまでの 期間についてはそういった汚染のおそれの把握と、それまでのつなぎ措置としてUVな どの措置をとるというようなことも必要であろうというようなことで、その辺のところ は、先ほど御説明を省略したかもしれませんけれども、施設整備が完了するまでの間は 安全な飲料水の確保の観点から、原水の監視を強化するとか、あるいは先ほど御説明し たような暫定的な対策をとるといったことが必要であろうというようなことが議論され ております。 ○松井委員  解釈できるわけですね。 ○眞柄部会長  ただ、オゾンについてはオゾンの副生成物のことがありますので、オゾンは今のとこ ろはクリプト対策としては入れていません。  ほかにございますか。よろしゅうございますか。  それでは、VI「水質検査における精度と信頼性保証」と、その次のVII「水質検査の ためのサンプリング・評価」まで、ちょっと長いですが、進めてください。 ○岸部水道水質管理官  それでは、まず「水質検査における精度と信頼性保証」ということで、43ページのと ころから御説明させていただきます。  水質検査におきましては、現在は水道事業者が自ら水質検査を行うというのが原則に なっております。そうはいっても設備の問題がございますので、厚生労働大臣の指定す る者、指定検査機関、通常私どもは20条機関と略称していますけれども、水道法第20条 に基づいて厚生労働大臣が指定する機関に委託することができるというようなことに なってございます。  この20条機関につきましては、先ほど局長のお話もありましたけれども、これが登録 機関になるというようなことでございます。そうはいいましても、水質検査というの は、飲み水の安全性を確保するための最後のチェックの機会でございますので、その検 査の質については技術的に必要なものは確保しなければいけないというようなことでご ざいまして、指定制度から登録制度への移行に当たっての検討事項というようなことで 検討をお願いした部分もございます。  そういうような背景を踏まえて御議論いただきたいわけでございますけれども、私ど も水質検査機関のレベルがどのくらいのものかというのを平成12年度から調査してござ います。これは、資料の順序が逆になって恐縮ですが54ページでございます。平成12年 度から厚生労働大臣の指定する機関、20条機関に対して、その水質検査のレベルがどの くらいかというのを調査してございます。それから、平成14年度、今年度でございます けれども、今回これはボランタリーでございますが、水道事業者、法律上は規定がござ いませんが、水道事業者の水質検査機関についてどのくらいのレベルがあるのかという ことで呼び掛けまして、自主的に参加していただいた機関がございます。そういうよう なことから、私どもが指定しております20条機関158機関と水道事業者の検査機関の中 で私どもの呼び掛けに応じて参加いただいた155機関、合わせて300余の機関について同 一のサンプルを送って、その検査をしていただいて、その結果を私どもに戻していただ いて、その結果を整理したというようなことであります。  その結果が55ページの右の表でございます。検査のレベルを見るのにZスコアーとい う統計量を用いることにしてございます。ISOなどではZスコアーという数値を基に 評価をしてございます。そのZスコアーの絶対値が2を超えると「質疑あり」と書いて ございますけれども、問題ややありです。それから、絶対値が3を超えると非常に問題 ありというか不満足な検査であるというようなことでございます。  それを見ていただきますと、指定検査機関におきましては、150のうち2以上が三十 数機関でございます。それから、水道事業者におきましても大体同じようなことでござ いまして、総括いたしますと、現在私ども国内の指定検査機関あるいは水道事業者の水 質検査機関におきましても、150機関のうち30機関、5分の1ぐらいの機関については、 必ずしも実施している水質検査結果というのが満足のいくものではないというような状 況にございます。  その上で、水質検査の質の確保はどうあるべきかというようなことでございます。ほ かの部分でございますけれども、47ページのところでございますが、下のところで食品 分野につきましては、食品衛生法に基づいて食品の検査の質の確保というものがもう既 になされております。平成8年から食品衛生法の規則が改正されまして、GLPという 形で検査結果の質の確保が行われております。  それから、医薬品の分野におきましては、国際調和の関係から、質の保証に関する制 度というのが検討されていまして、1980年代の初めからスタートしてございます。一般 に検査の部分につきましては、ISO、国際標準化機構でその規格がつくられてござい まして、ISOの9000というシステム、それから、更に進んだ17000というシステムが できてございます。  冒頭も御説明申し上げました水質検査のレベルを踏まえてどうすべきかというような ことでございますが、その結論部分が49ページに書いてございます。「水道水質検査に おける精度と信頼性の保証のあり方」ということで、信頼性保証体制の導入というよう なことでございます。水道水質検査においても、その精度と信頼性の保証というのは極 めて重要かつ喫緊の課題であって、その課題の解決のためには、GLPの考え方を取り 入れた制度と信頼性保証体制を導入する必要があるということでございます。  このシステムについては、論理的には水道水質検査独自のシステムというものを導入 するということも可能ではございますけれども、現にISOの先ほど御説明いたしまし た17000あるいは9000というものがデ・ファクト・スタンダードとして国際標準となっ ております。将来の国際的な調和も考えれば、こういったシステムと互換性のあるシス テムで、その質の確保を図っていくということが適当であろうというようなことでござ います。  ただ、現状を見ますと、直ちに17000のシステムにステップアップするというのは多 くの困難が予想されるということで、とりあえずISO9000のレベルで水質検査システム というものをレベルアップさせて、その上で更にステップアップをしていこうというよ うなことを御提言いただいてございます。  具体的には次のページでございますけれども、(2)「指定検査機関」につきましては、 今度、指定制度から登録制度に改められますが、今申し上げましたような信頼性保証シ ステムの確立を登録の要件にすべきであろうという提言をいただいております。  それから、(3)水道事業者の検査機関でございます。当然のことながら、水質検査に つきましては、検査する実施主体によって質のレベルが異なっていいという理由にはな りません。そうはいっても、現行の水道事業者の検査機関を見ますと、必ずしも水質検 査に特化した業務を行っていません。どちらかというと、水質の工程管理という業務が メーンになっています。直ちに、水道事業者に対して、水質検査に限ってはそういった システムの導入をすると、逆に、水質検査の目的でございます水質管理自体に混乱を生 じかねないというようなことで、一定の猶予期間を持った上で、この間をどうするか検 討いただくべきではないだろうかというような結論でございます。  あとは留意事項が書いてございますけれども、結論としては今御説明したところでご ざいます。  それから、57ページでございます。水質検査をどこでどういう頻度で検査をするかと いうようなことでございます。前回も御説明申し上げたかと思いますけれども、水質基 準というのは給水栓を出る水が満たすべき要件で、それはすべてどこでも満たされる必 要があるということでございますが、そうはいっても、すべて毎日検査することは現実 的ではないということで、一定のところを選択して一定の頻度で検査をするということ でございます。  どういうような地点で、どういうような地点数を選んで検査すべきかというのを御審 議いただいたところでございます。採水地点と地点数につきましては、58ページ(1)か ら(5)に書いてございますけれども、採水地点としては給水栓を基本とするということ でございます。それから、採水地点は配水系統ごとに1地点以上を選定する。採水地点 の選定に当たっては、配水管の末端等水が停滞しやすい場所も選定する。それから、採 水地点としての給水栓を選ぶに当たっては、検査項目ごとに給水栓を変えないというよ うなことでございます。例えば、Aという給水栓ではAという項目を測って、Bという 地点ではBという項目を測るということではなくて、Aという給水栓を選んだらば、そ こですべての項目を測るというというようなことでございます。それから、水道用水供 給事業者においては、受水団体への受け渡し地点を採水地点として含めるというような ことでございます。  地点の数でございますが、水道の規模に応じて、今、申し上げました(1)から(5)のよ うな状況を配慮して合理的な数を設定するということでございます。  2番目といたしまして水質検査の頻度でございます。実際、どの程度の頻度で検査を すればいいかという統計的な処理というのはなかなか難しゅうございます。そうはいい ましても、これまで私ども水道法ができて50年近く、毎月1回検査をすれば大きな問題 は生じないという、ある意味経験則がございますので、毎月1回の検査と同等な検査と いうのはどういったことがあるかということで検討いただいたところでございます。  (1)「毎月1回の検査が必要な項目」のところでございます。この項目につきまして は、基本的に現行項目に準じた形でございます。これはどういうことかと申しますと、 それぞれそれなりの意味合いは別に持つにしても、それぞれの項目が病原微生物による 汚染の指標としての意味を持つ項目でございます。こういった項目と申しますのは、年 平均値とか長期的な暴露が問題になるのではなくて、一時的な濃度上昇が問題になる項 目でございます。こういったものについては、従前の考え方を引き継ぎ毎月1回検査を すべきであろうというようなことでございます。  (2)「その他の項目」については、長期的な影響というような観点から考えれば、あ るいは年変動を考えれば、原則として年4回以上でよいのではないかということでござ います。  その辺りをまとめましたのがページ番号は落ちていますけれども、横の表で整理をし てございまして、今回の50項目を整理いたしますと、病原微生物は一般細菌と大腸菌、 それから、最終検査頻度は月1回という形で整理をされてございます。  それから、ここで注意を申し上げたいのは、そのうちの鉛でございますけれども、現 在の鉛の汚染源と申しますのは、原水由来というよりも機材として使われている鉛の給 水管でございますので、当然のことながら、そのまま水を流し続けた場合と、水を止め ておいた場合とでは濃度が変わってきますので、鉛については滞留水で測定すべきだと いうことで御提言をいただいているのが、次のページ以下でございます。  具体的にどうするかと申しますと、給水栓で毎分5Lで5分間流して捨てて、その上 で15分間水を止めて滞留させる。その上で、開栓して5Lを採取して検査試料とすると いうことでございます。  以上が、水質検査の品質保証とサンプリング・評価でございます。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。  それでは、今、御説明をいただいた部分につきまして、御質問や御意見がございまし たらお出しいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○松井委員  多分これは宿題に残ったと理解しますが、この水質検査をする登録機関と、それか ら、勿論自前でやっておられる水道事業者の水質検査部門、両方含めて品質管理の保証 ということで、例えば、何年に1回かその登録団体の能力をチェックするということは どうでしょうか。法としてそういうような仕組みをつくるのか、あるいはそうではなく て、もう少しレベルの低いところで何らかの方法でチェックをするというか、そのどち らが将来考えられるでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  その点につきましては、今、御説明申し上げましたけれども、ISO9000の中にビルト インされております。ISO9000の場合は、現行では大体1年に1回外部査察を受けると いうことにされております。したがって、そういったシステムを導入するということを 規定すれば、外部査察のシステムというのは担保されると理解しております。 ○松井委員  勿論、外部査察は当然必要なことと思いますけれども、外部査察だけで品質保証がで きるのかなという疑いを実は持ちました。というのは、私も大学の評価委員で東京大学 の評価に行きましたが、それは簡単にはいかないですよね。短時間でできなくて、今回 の場合はやはり実際に水質を分析させてみて、こういうZスコアーという格好で答えを 出すというのは、ある意味で一番評価を客観化する手法だと思います。というのは、外 部査察に行きましても、結局、査察できることはラボの状況がどうなっていて、そこに 働いている人はどういう人で、その人たちがどういう学歴を持って、どういう経験を 持ってということになってしまいます。だけれども、疑ったら恐縮ですが、ルーチン ワークになってきますと、ついつい手を抜くところが出てきます。つまり、登録機関で すから入札をして安いところに落ちますよね。今の日本のお役所のやり方にしますと、 必ず毎年入札という格好になります。そうしますと、安いところへ、安いところへとい う格好になってきまして、結果的には、疑いたくないですけれども、やはり手抜きとい うこともあり得るだろうと。そうしますと、どこで本当に品質保証をするのかという と、私は例えば54ページ、55ページに書いておられるようなブラインド・サンプルを送 りまして、それについて実際にやってもらうということが一番客観的な保証に思えま す。私は、こういうものを定期的に何年かに1回、やはり厚生労働省の方でおやりにな るというのが一番国民も納得するような方法ではないかと思ったもので、ちょっとお聞 きしたのですが。 ○岸部水道水質管理官  それについては、2点御説明を申し上げたいと思います。松井委員御指摘のとおりI SOとかGLPというのは最低限の、大学入試で言えば受験資格みたいなもので、その 入学試験に通るかどうか、信用性というものは再度別途チェックする必要があります。 したがって、登録制度を導入するに当たって最低限ここはクリアしなかったら登録しな いよということで、その機関が絶対確実な立派なデータを出すということを保証したも のではないわけです。それはまた別途審査が必要になります。法律上で申し上げます と、水道法におきまして水質検査の義務者は水道事業者でございますから、そのデータ の質の云々というのは水道事業者において検証されるべきものでございます。  それから、そういったブラインド・テストのようなことというのは、説明を省略いた しましたが、本委員会でも御提言いただいておりまして、52ページの(4)のところで引 き続きこういった調査をやっていったらどうかというような御提言をいただいておりま す。私どもは、予算が確保できるならば続けていきたい。ただ、非常に担当していただ く委員方は大変ですね。まず、送るサンプルの均一性からチェックを始めますと、相当 大変な作業なのでフィージビリティを考えながら検討をやっていきたいと思います。 ○眞柄部会長  確認ですが、登録検査機関は何年かごとに再登録する仕組みになっていますよね。 ○岸部水道水質管理官  今回の登録制度に従いまして、事後評価制度というようなことで更新制度を設けるこ とになっております。現在私どもの法律案では、3年以上で政令で定める期間となって おりますので、法律が通った後に政令を定めるわけですが、現在のところ3年というこ とで考えております。当然、更新のたびに再審査が必要になるということでございま す。 ○眞柄部会長  そういうことですので、登録検査機関につきましては、勿論3年ごとに更新の際に チェックをされるということと、水道事業体についても、同じような品質保証の制度を できるだけ早いうちに導入したいというのが専門委員会の趣旨でございますので、よろ しくお願いします。  それでは、最後の今後の課題まで通して、岸部管理官はちょっと大変ですが、御説明 ください。 ○岸部水道水質管理官  71ページの「水質検査計画」でございます。この冒頭でございますけれども、水質検 査は、水質基準の適合状況を把握するために不可欠であり、水質管理の中核を成すもの であるということでございます。一方で、その実施に当たっては、水道事業者に対して 大きな負担を強いるというようなことでございます。水質基準の適合状況の検査でござ いますので、これが確実に把握できないといけないということでございます。それを前 提に立ちつつも合理的・効率的というようなことでございます。  こういったことは従前も議論をいただいておりまして、平成12年の生活環境審議会で も御議論いただきまして、その中で水質検査計画というようなことを御提言いただいて おります。今回も基本的な考え方でも御説明申し上げましたとおり、水質検査計画によ るスキームというものを使ったらどうかということでございます。  これは72ページに概念図というようなことが書いてございますけれども、水道事業者 がそれぞれ水道の状況を踏まえて、水質検査計画を策定して、それを事前に公表する。 需要者がそれに対して意見を言う機会とか、あるいは事前に需要者の意見を聞く会を設 けたらよいだろうということでございます。その上で検査を実施して、その検査結果を 評価とともに公表するというようなことでございます。  水質検査計画についてはどういうことを定めるかということが、2のところで(1)か ら(8)まで書いてございます。  ただ、水質管理上、重要性が高いので、原水などについてもこの計画に位置付けるこ とが望ましいというようなことでございます。  次に、関係者の役割ですが、国は国として大規模水道の認可権者として、監督者の立 場から必要な指導が必要であろうし、水質検査計画を策定するための技術的な支援、全 体的な支援も必要であろうということでございます。  それから、都道府県の役割といたしましては、流域の観点から必要な助言、指導が必 要であろうというようなことでございます。これは別冊の最後のところに「水質検査計 画策定指針案」というようなことで120ページ、121ページのところに、水質検査計画と いうのはこういうふうに策定すべきであろうという指針を御提言いただいております。  基本的事項といたしましては、水質検査計画は毎事業年度ごとに作成され、事前に公 表されなければならない。水質検査計画に基づき実施した水質検査結果については、そ の評価とともに速やかに公表されなければならない。それから、水質検査計画に記載す べき事項としてはアからクまで8項目、最低限こういったものを書かなければいけない ということでございます。  記載事項の詳細はこういった形で書いてございます。  これが水質検査計画でございます。  もとの資料に戻っていただきまして、75ページでございます。IX「簡易専用水道の管 理及び34条機関のあり方」でございます。簡易専用水道につきましては、専用水道の設 置者が管理をするというようなことでございます。そうはいいましても管理の適正化を 図るために、地方公共団体の機関または厚生労働大臣が指定する者、34条機関と略称し ていますが、管理状況の検査を受けなければならないとされております。この34条機関 につきましても、先ほど御説明いたしました20条機関と同様に、指定制度から登録制度 に移行するということでございますので、これまでの34条機関の在り方、あるいは簡易 専用水道の管理の在り方、検査の在り方というようなことを整理いただいたところでご ざいます。  その辺のところをこれまでの現状を整理した上で、78ページから登録制度への移行の 議論をしていただいております。当然、今度登録制度に移行するに当たって、検査の在 り方ですとか検査の基準を法令等で明示した方がよかろうということで、81ページから 「簡易専用水道の管理の検査の方法(案)」ということを整理いただいております。そ れから、具体的な検査事項と判定基準についても具体的に整理をしていただいておりま す。  それから、進ませていただきますけれども、87ページのところでございます。これ は、事前に委員の委員方にお送りしたときから追加したものでございまして、前回の3 月3日の専門委員会の段階で、水質管理目標の設定項目といったものについての取扱い を付言しておくべきであろうというような御指摘をいただきまして、委員長と御相談し ながら87ページ、88ページを追加させていただいております。この部分につきまして は、今回初めてごらんいただくところかと思います。  水質管理目標設定項目につきましては、水質基準にはならなかったけれども、注意し ていくことが望ましい項目でございます。特に、留意すべきものとして(1)の農薬類で す。それから、(2)として有機物質、過マンガン酸カリウム消費量でございます。農薬 については、先ほど御説明したので繰り返しは避けますけれども、有機物質につきまし ては、過マンガン酸カリウム消費量からTOCに変更するということです。そうはいっ ても地域的な関係がございますので、その関係を把握するという観点から、当面、並行 測定をするのが望ましいということでございます。  それから、ニッケルとか亜硝酸性窒素、ジクロロアセトニトリル、抱水クロラールと いったものが資機材からの溶出あるいは原水汚染、消毒副生成物ということで非常に頻 度が高く検出されるものでございますけれども、毒性を十分評価し得ないということ で、この分類になっているということでプライオリティが高い物質ということでござい ます。  それから、二酸化塩素を使って酸化とか消毒する場合については、二酸化塩素、亜鉛 塩素酸、塩素酸についても検査をすべきであろうというようなことでございます。  2番目といたしまして、水質基準は冒頭御説明申し上げましたとおり、浄水とか給水 栓からの水の基準でございますけれども、その管理のために原水の水質検査が重要であ るというようなことで、原水の水質検査についての言及をしてございます。  89ページ、最後「今後の課題」でございますけれども、今後検討していくべきものと して何点か御指摘いただいてございます。  1番目といたしまして「最新の科学的知見に基づく水質基準の見直し」ということ で、逐次改正方式でこの場合、実行を伴ったものとなるよう期待するというようなこと で、特に留意すべき項目について言及いただいております。  まず、アルミニウムでございます。アルミニウムにつきましては、水道水の着色の限 界としてWHOで0.1mg/Lから0.2mg/Lとしておりますが、「0.1mg/L」としたらどうか ということで御議論をいただいたところでございますけれども、先ほど御説明申し上げ ましたクリプトスポリジウム対策、微生物対策ということで濁度管理をしなければいけ ないということで、場合によっては多量の凝集剤を投入しなければいけない場合がある ということから、こういったときに0.1mg/Lというのは、なかなか難しいであろうとい うことでございます。  そこで当面、今回基準値としては「0.2mg/L」としました。ただ、今後は代替凝集剤 への転換の可能性も含めて、0.1mg/Lの達成可能性について改めて議論を行うことが必 要であろうということでございます。  それから、不快生物の問題についても言及がございました。直接健康被害の原因とは ならないんですが、消費者に不快感を与えたり、水道の障害となる微小生物あるいは微 細藻類といったものについても、今後検討を行っていくことが必要であろうというよう なことです。  それから、ウイルスでございます。腸管系のウイルスの水系伝播というのは知られて いるところですが、水道レベルでの分離・培養法が確立しているものは限られていると いうことで、なかなか実態が明らかでない部分が多いところでございます。現在、塩素 消毒をしているというようなことから、実質上、安全は確保されているのではないかと いうようなことは推測されますけれども、更に水道水の安全確保のためにはウイルス汚 染対策、特に検出方法に関する研究を進めていくことが必要であろうというようなこと でございます。  それから、2「クリプトスポリジウム対策」といたしましては、(1)「異常事態への 対応」ということで水を残しておいたらどうか、水が残せないというような場合でした ら、ろ過したものを残しておいて、残念ながら不幸にしてアウトブレイクと呼ばれるよ うな集団感染が発生した場合に原因究明ができるような仕組みを検討したらどうかとい うようなことでございます。  (2)「効率的な除去方法の開発・導入」ということで、UVなどの研究なども限定的 に使われることが妥当ではないだろうかということでございます。  (3)といたしまして「原水の保全対策」です。クリプトスポリジウムとかジアルジア というのは人や家畜から出てくるものでございますので、浄水処理は基本ではございま すけれども、原水についてもその対策が推進されるべきであろうということでございま す。  (4)「小規模水道における対策」ということでございます。小規模水道、特に零細規 模の水道においては財政的、人的にこういった水質管理対策を適切に講ずることができ ないということが懸念されるということでございます。このためWHO、これはEPA などもそうですが、一定規模のようなもので対策がとれないような、水質管理が十分行 えないような場合、一定の条件を満たす場合には、無条件にハードウェアの導入を義務 付けるというようなことがWHOやEPAでは議論されております。そういったこと で、今後、我が国でもそういったことを検討したらどうかということでございます。  それから、3「水道水質管理のあり方」全体でございまして、(1)「水質管理体制の あり方」といたしまして、今回は議論の関係上、水質検査に関してISOのシステムを 導入するというようなことを提言いただいたところでございますけれども、そもそもの ISO9000の規格というのは品質保証の規格でございますので、水質管理自体に導入した らどうかというようなことでございます。これは食品分野でHACCPというものがあり、 WHOの水の関係で水安全計画というものがあろうかと思います。ただ、そうはいいま しても、将来の国際調和ということを考えた場合に、先ほどの水質検査でも同じです が、デ・ファクト・スタンダードとしてISO9000というものがありますので、そうい ったものも検討していかなければいけないだろうということでございます。  それから、(2)の水質監視につきましても、当然、関係部局と連携してしっかり監視 をしていきなさいということでございます。  それから、(3)はもっと大きな課題でございまして、現在の水道法に基づく水質基準 の考え方というのを再度検討し直したらどうかという御提言でございます。現在の水道 水質基準というのは、人の健康、それから、人の生活利便上の観点というようなことが あるわけですが、米国の場合は強制力を持つ基準は人の健康確保の基準で、利便上の問 題というのはガイドラインのような位置付けというようなことがあるので、そういった ことも踏まえつつ検討したらどうかという、ある程度長いタームになるかと思いますけ れども、検討課題として御提言いただいております。  4については、水質管理計画等の整理です。  それから、最後に、いろいろ今回の報告書で提言されたものについては時間を要する ものがあるので、十分な経過措置をとるようにという御指摘でございます。  以上、駆け足になってしまいましたけれども、御説明させていただきました。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。  VIIIから最後まで御説明をいただきましたが、VIIIから最後までの部分あるいは全体 を通して御意見や御質問がございましたら、どうぞお出しいただきたいと思います。 ○赤川委員  全体を見させていただきまして、事業体等の意見、多くの意見の集約をしましたので 是非御意見として申し上げたいと思います。  第1点は、ジェオスミン等のカビ臭物質でございます。カビ臭物質のにおいは個人的 な差だとかあるいは天候、その他によっても左右されますし、そういういろいろなこと から事業体として見れば、できれば今までのように快適水質項目、今度は水質管理目標 設定項目に設定されれば一番よろしいと思います。仮に今のように水質基準項目を設定 するのであれば、これは最後に書いてありますので結構ですけれども、その施行に当た っては、相当の猶予期間を設けないと、なかなか財政的、技術的にも、特に高度浄水処 理を導入するとなると相当の時間も掛かりますので、是非その辺についてお願いした い。  もう一点は、これも途中で書いてありましたので結構ですが、例のクリプトの関係で ございますが、先ほども数字がありましたように、現在必要な対策を講じているのは6 割未満というのが実態でございます。そのためにろ過処理施設等を導入するとなると、 やはりそれなりの財政と技術的な猶予期間も是非必要なので、きちんと書いてあります が、改めて相当の猶予期間を是非、特に中小の事業体ではそういう意見が多いので、是 非その辺をお願いいたしたいと思います。  以上です。 ○眞柄部会長  今のことについて何かありますか。 ○谷津水道課長  今の点は、御提言としていただいた中身をどうやって政策化、行政化していくかとい うときの課題だろうということでございますので、現場でいたずらな混乱が生じないよ うに考えていきたいと思っております。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。よろしくお願いします。 ○松井委員  「水質検査計画」の中の73ページの一番上に書いてある「臨時の水質検査に関する事 項」ですけれども、これは今回の法の改正に伴って非常に重要な意味を持っていると思 いまして、つまり重要な機動性ということよりは、この臨時の水質検査というのは多分 それが重なるだろうということです。  それから、もう一つは、その機動性の中で新しい体制の中で、クリプトスポリジウム という難しい問題がありますけれども、それで臨時のこの水質検査に関する事項につい ては、もう少し必要性の範囲は記述しておいてもいいのかなとちょっと思いました。当 然、読めばわかると言えばわかるものですが、現実に臨時の水質検査に関する事項で、 やはり今回の法改正の関係でどうしてもコメントが必要なのはクリプトスポリジウム対 策だろうと思います。90ページの「クリプトスポリジウム対策」のところで「異常事態 への対応」ということでわざわざかなり重要にコメントされていますね。まさに異常事 態というものとこの臨時の水質検査というのはリンクしているように思えるので、その 辺のところはどんなものでしょうか。 ○眞柄部会長  61ページに「給水開始前及び臨時の水質検査」というので、現行の臨時の水質検査は こういうときにしなさいよというのが現行の案ですが、今回の改正でもここの要件につ いては踏襲することが適当であるということで、そういう意味では、今、松井委員が おっしゃったように水源付近、給水区域及びその周辺等において消化器系伝染病が流行 して、「伝染病」という言葉は古くなったので多分「感染症」に直さなければいけない だろうと思いますが、そういう意味では臨時の水質検査のところで一応入っております ので、委員がおっしゃるように、この検査計画だけがぽんと出てきたときには一つ一つ にやはり説明が要るので、それについては水質基準が改正をされましたら、先ほどのク リプトスポリジウムの対策指針も廃止されてブックになるということですので、新しい 水質基準について解説書のようなものを是非、厚生労働省がおつくりになるか、あるい は先ほどのISO9000シリーズのようなものについては、厚生労働省が書くものではなく て関係者が作成するものでもありますので、そういう作成するものと併せて、広く水道 界並びに国民が理解していただけるようなものをつくらなければならないだろうと思っ ておりますので、場合によってはまた松井委員に御協力をいただくことになると思いま すので、よろしくお願いいたします。 ○佐々木委員  まず、非常に立派なものをつくっていただいたことに対して、非常に御苦労があった のではないかと思います。高く評価をいたします。  それを申し上げた上で2点申し上げたいのですが、1つは、71ページの冒頭に書いて ありますように、今回の水質基準の見直しを実施に移そうと思うと検査が要るわけです よね。そのときに2行目から3行目にありますが「その実施に当たっては水道事業者に 対し非常に大きな負担を強いる」と。私の読み方ですと、これをどういうふうに軽減す るかということについて、ここでは2つ書いてあると思います。1つは、地域性とか効 率性を踏まえた水質基準の柔軟な運用を図るという点が1つです。それから、最後のと ころに時間が掛かると言っています。いろいろな施設整備が要るから、それには時間が 掛かる。その辺については経過措置を考えようと。ところが、やはりお金のことを言う べきだと私は思うんです。こういう施設整備を強いるのですから、当然時間も掛かる、 お金も掛かります。ところが、それについて、ここでは一番後ろの方で小規模の事業者 に対してのみ書いていますけれども、それだけでいいのかなというが1つです。  第2点は72ページの図ですが、平成12年報告にもあると書いてありますが、特に図の 需要者いわゆる水道の利用者あるいは消費者、これは72ページの上から(1)(2)(3)とあ りますが、(3)から見ますと、この計画の策定に当たっては「需要者の意見を聞くプロ セスを組み込む」と書いてある。私は、この図が余りうまくできていないのではないか と思いますけれども、もし、(3)のとおりであると、この図の中の水道事業者による水 質検査計画の策定と需要者が何らかの形で絡まなければいけないと思いますが、これを もう少し重視して需要者あるいは利用者のかかわり方の位置付けをすべきではないかと 思います。ところが、この案の限りでは具体的なイメージが私にはわいてきません。つ まり、この需要者というのは単なる公表の一般国民だけではないのではないか、意見を 言うのですから。そうすると、どういう組織を持つのかとかあるいはどういう財源で需 要者の組織はオペレーションされるのかとか、特に独立性というのは非常に重要だと思 います。それはお金がどこから出るかということと非常に関係があります。その辺のこ とについて具体的イメージが伴ってこないということは、例えば、73ページ辺りで、こ の図の右に国とか都道府県による役割というのがあるんだけれども、もしかしたら大き な4番目として「需要者の役割」というのがあっていいと思います。ところが、それに ついては全く触れられていないし、別紙の方の120ページ121ページの指針案のところに も「需要者」という言葉さえほとんど出てきません。これはちょっと腑に落ちないとこ ろです。その2点です。  それから、もう一つ、ついでに全体のことも言ってよろしいと部会長がおっしゃった ので申し上げたいのですが、私は今回の水質管理専門委員会の案を最初に見たのが新聞 で5日でしたか、全国紙に載ったと思います。そのときにちょっと思ったのですけれど も、いただいた資料3を拝見すると、三層になっているわけですね。つまり水質管理専 門員会というのがあって、その上に我々の部会があって、その上に厚生科学審議会とい うものがある。しかも、その間にパブリック・コメントも入ります。そうすると、プレ スするというのはその段階でいいのだろうかと。つまり3日の専門委員会が終わった段 階でプレスしたわけですよね。だから新聞に出ました。ところが、そうであると、この 部会の存在意義とかあるいはパブリック・コメントして、もしかしたら非常に重要な意 見があって変わるかもしれません。それなのに、あの段階で出すということはどうなの だろうと。これは事務局に聞かなければいけないのですが、私の理解では、やはり全部 上げて厚生科学審議会がOKした段階で出すのが本当ではないかと思うのですけれど も、この辺についてどういうふうに考えたらいいのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  その辺につきましては、私どもがプレス発表したということではなくて、審議会プロ セス自体の公開という大方針がございまして、各専門委員会に至るまで公開しておりま す。その段階でいろいろな記者さんが入ってこられれば報道されるということもござい ます。システムとしては、私どもは審議会に諮問をさせていただきまして、そこがこの 部会に付議されたということで、それが更に専門委員会に具体的な議論が委ねられたと いうことでございます。ただ、こういう公開システムとする限り、いろいろな段階で記 者さんが報道されるというのは、私どもとしてコントロールできない問題かなと考えて います。 ○佐々木委員  そうですか。非常にその辺微妙な問題があると思いますけれども、公開という問題と 公式のそういうところで。 ○眞柄部会長  最終的に決まったときには、勿論、厚生労働省として公式になるということです。た だ、公式にはちゃんと官報で記載された段階でということで、現段階ではあくまでも議 論の途中であることなり、あるいは案のレベルでの議論だというふうにマスメディアの 方も扱っていただきたいとは思いますが。 ○佐々木委員  そうですね。 ○眞柄部会長  さて、部会の方でコストと需要者の役割でありますが、専門委員会ではコストのこと は、頭にはそれぞれの専門委員が意識はしておりましたが、具体的に今回の基準の改正 によってどの程度コストが掛かるかということは議論しませんでした。佐々木委員が おっしゃるように、アメリカのEPAでは水道水の基準を改正する際には、改正をした ら幾らコストが掛かるようになるというのが官報にきちんと掲載されておりますので、 今回はコストまで計算いたしませんでしたが、おっしゃることは重要な点だと思います ので、この報告書には記載しませんが議事録にはきちんと残して、今後コストの面から も記載してパブリック・コメントを求めるときに、そのコストに対して水道利用者が負 担できるものであるかどうかというようなことは進めなければいけないことだと思いま すので、今後の課題としたいと思います。  それから、需要者の役割は確かに書いてございませんが、基本的には水道法の18条 でしたか、検査請求の権利も水道利用者が持っているということで、水道法自体かなり 水道利用者が法の建前として保護されているという認識を持っておりましたので、特に 事業者の役割ということはこの報告には書きませんでした。私はもともと、水道法は言 うなれば水道利用者の権利を非常に厚く考慮している法律だと思っておりますので、そ ういう意味では書いてございませんでした。ただ、水質検査計画のスキームなどについ て、確かにちょっと図が悪いので、少し事務局と相談して工夫をさせていただきたいと 思います。  赤川委員、今のことで何か御注意いただくことがありましたら。 ○赤川委員  事業体の意見もおっしゃっていただいたのですけれども、例えば一例を挙げますと、 東京都が金町に初めて高度浄水処理を導入したときに、皆さんにもお知らせしました が、今からもう10年近く前ですけれども、給水原価が当時で210円ぐらいのときですね。 大体1m3が15〜16円ぐらいは上がりますと、それでも皆さんどうでしょうかといった ら、モニターでいろいろ調査したら、上がるのはつらいけれども、カビ臭だとかそうい うものがない方がいいという人の方が多かったわけですね。だから、確かに高度浄水処 理1つとっても200円に対して十何円ですから7〜8%ぐらい上がるわけですね。そう いう面で、水質をより厳しい基準にするというのは大変結構なことですけれども、事業 体にとっては非常に厳しい選択を迫られるということです。これだけは、私も先ほどは そういう意味で申し添えましたけれども、今、佐々木委員のおっしゃるとおりです。 ○眞柄部会長  基本的には水道事業は独立採算制でありますが、高度浄水処理などについては補助制 度もございますので、国の方としても基準を施行する上で補助制度を活用することなど も是非、御配慮いただきたいと思います。よろしくお願いします。  ほかにございますか。 ○池田委員  今までの論議は聞いていますと、いわゆる生物と科学に関する汚染物質が専らですけ れども、それ以外にいわゆる放射線、具体的に飲料水中のラドンの問題につきまして は、私が知っている限りスウェーデン、ドイツ、フランスとアメリカには基準があるの に日本はないということで、全く放っておいていいのかという問題が1点ございます。  それともう一つは、これも本当に今後の課題の最たるものになるかもしれませんが、 いわゆる最近のバイオテロとかいろいろなテロが水道水に行われたとき、どういう対応 をとるのか。あるいは実際に行われなくても、そういううわさが立っただけでもかなり 社会不安を引き起こすという、マスサイコロジェニックイルネスというのですか、そう いったようなことに関するリスクの管理についても何か一言ここでは触れておかなくて いいのかなと思いましたが、いかがでしょうか。 ○眞柄部会長  まず放射線につきましては、専門委員会でも検討すべきではないかという意見があり ました。そのことにつきましては、これまで日本の水道の体系では放射線については 扱ってこなくて、基本的には原子力安全法の枠組みの中で対応されてきましたので、今 回の水質基準の改定においては放射線並びに放射性物質は対象外にいたしました。た だ、天然ウランについては考慮してあります。  それから、危機管理につきましては、既に厚生労働省で危機管理についてマニュアル 等も作成されておりますし、それから、危機管理について赤川さんがいらっしゃいます が、水道協会を通じて水道事業体にかなり詳しくその方策を体制を整えるようになって おりますので、専門委員会としては今回は危機管理については報告の中に盛り込みませ んでした。 ○松井委員  最後の92ページですけれども、上の注意事項のところで他の部局との連携というのが あって、私は環境担当部局、その次に農水の役割が今回は非常に大きいですね。農薬の 大きな改正をしていますし、それから、クリプトになりますとやはり畜産排水等です ね。そうしますと、これはその次に「河川」ではなくて国土交通省という形にした方 が、発生源との関係はそこにあるのでと思いますけれども。この文章の表現です。 ○眞柄部会長  農水というか農業水産担当部局というのは、おっしゃるように書き足します。一応 「部局」という言葉を使っておりますが、水道事業体は基本的には地方自治体でありま すので、地域レベルでという意味で水道事業体と県の水道担当部局、環境担当部局、河 川担当部局というふうにしてございます。農水に関しては、確かに例示して書いた方が いいと思いますので、それについては書き足します。  委員がおっしゃるように、今は水道事業体の方が地域の農協に直接出向いて防除歴を もらうという水準ですね。防除歴をもらえるようにやっとなりましたが、できれば防除 歴ができたら自動的に水道事業体に流れるぐらいにまでしてもらいたいというのが我々 の希望ですし、私は環境省の農薬の部会の委員もやっておりまして、環境省の方でも農 水省がそういうふうに御指導していただけるようになるということですので、徐々にで はありますが効率的にはなってきていると思います。  ほかにございましょうか。 ○大井田委員  91ページ(4)の下から3行目「WHOが提言しているとおり」、これはどのくらいの 予算が掛かるのですか。お金の話で申し訳ないけれども。 ○眞柄部会長  膜で100tというと約200人から300人くらいで、安いもので300万円から400万円くら いです。 ○大井田委員  小さな質問ですみません。 ○眞柄部会長  いえいえ、確かにお金は掛かります。  ほかになければ、よろしゅうございますか。それでは一応、部会として専門委員会の 報告を御了解いただいたということにさせていただきたいと思います。先ほど事務局か ら説明がありましたが、資料4に部会の今後の予定というものがございます。今日、部 会を開いて専門委員会の報告案を御了解いただきましたので、一部、文言の修正をいた します。それで、来週になると思いますが、3月の中・下旬から一月間パブリック・コ メント手続をいたしたいと思います。それを受けて4月21日に専門委員会を開きまし て、修正などをして4月下旬に部会を開かせていただきまして、最終的に部会報告をつ くり上げたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  なお、WHOの方では3月31日から4月上旬までガイドラインの改訂の会議が開かれ まして、最終的にガイドラインがセットされる予定になっております。ただ、イラク関 係のことがあって、この会議が果たして開催されるかどうかはちょっと微妙な情勢にあ りますが、今のところはこの予定で進んでいるということでございます。  では、あとその他につきましては、事務局の方でよろしくお願いいたします。 ○谷津水道課長  参考資料で3つ資料をつけさせていただいておりますが、改めて御説明申し上げませ んが、高度処理クリプト対策での高度処理導入のための補助制度とか、先ほど御審議い ただきました指定から登録へ向けた法改正の要綱とか、第三者委託のガイドラインなど をつけさせていただいておりますので、御参考にしていただければと思います。 ○眞柄部会長  それでは、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。                    −了− 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4032)