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年金資金運用基金 平成14年度第3四半期運用状況

1.資産全体の運用状況
 平成14年度第3四半期の運用環境をみると、国内株式市場においては景気の先行き不透明感、金融システム問題なども加わり、株価はバブル崩壊後の最安値を更新した。海外株式市場においては米国・欧州の利下げ、イラクの国連査察受け入れ表明なども加わり、外国株式は上昇に転じた。
  一方、内外債券市場は良好な需給関係から小幅ながら上昇した。
 このため、修正総合収益率(期間率、市場運用分)は、−0.48%となった。

(参考1) 修正総合収益率(期間率)
第3四半期(10〜12月)−0.48%
第1〜第3四半期(4〜12月)−7.26%
(注1)
修正総合収益率=(総合収益額)÷(運用元本残高平均額+前期末評価損益・未収収益)
修正運用元本平均残高(10〜12月):29兆6,569億円
(注2)総合収益額
上に述べた市場の状況から、総合収益額(市場運用分)は、−1,419億円となった。
(第1〜第3四半期(4〜12月) −2兆1,530億円)


(参考2) 時間加重収益率(期間率)
第3四半期(10〜12月)−0.44%
第1〜第3四半期(4〜12月)−7.33%

 年金資金は長期的な運用を行うものであり、その運用状況も長期的に判断することが必要であるが、情報公開を徹底する観点から、四半期毎に運用状況の公表を行っている。


2.各資産の運用状況

(1)資産構成状況(平成14年12月末現在)
(単位:億円、%)
  時価総額
構成比
国内債券 158,281
52.42%
国内株式 72,078
23.87%
外国債券 22,590
7.48%
外国株式 40,910
13.55%
短期資産 8,090
2.68%
合計 301,949
100.00%
 
財投債(簿価) 169,993
(時価総額 174,147)
注1) 上記の数値は四捨五入のため、各数値の合算は合計の値と必ずしも合致しない。
注2)財投債(簿価)は償却原価法による簿価に未収収益を加えたもの。

(2)各資産の収益率(市場運用分)の状況(平成14年10月〜12月)
(期間率)
  時間加重収益率 ベンチマーク収益率 超過収益率 参考
4〜12月超過収益率
国内債券 1.07% 1.10% -0.03% -0.08%
国内株式 -7.96% -8.40% 0.44% 0.01%
外国債券 2.33% 2.51% -0.19% -0.27%
外国株式 5.98% 6.49% -0.51% 0.23%
短期資産 0.00% 0.02% -0.02% -0.05%
〈ベンチマーク収益率(市場平均収益率)との対比〉
国内債券:ほぼベンチマーク並みの収益率となった。
国内株式:ベンチマーク収益率に比べ業種別収益率が最も低かった銀行業をアンダーウエイトしていたことが、ベンチマークに対しプラスとなった主な要因である。
外国債券:ユーロ圏における銘柄選択が、ベンチマークに対し劣後した主な要因である。
外国株式: 外国株式のうち大きなウエイトを占める米国の銘柄選択が、ベンチマークに対し劣後した主な要因である。



(参考資料1)

平成14年度 第3四半期ベンチマーク収益率(累積)の推移

グラフ

【各市場の動き(10〜12月)】
国内債券:デフレ傾向と機関投資家の資金運用難による需給面の強さや日銀の金融緩和策の継続から強含みで推移。
国内株式:月例経済報告などの経済指標の弱さから景気の先行き不透明感が漂い軟調な展開。11月後半米国株式に追随し一旦上昇するが、デフレ圧力への警戒感から12月末にはTOPIXが19年ぶりに900ポイントを割り込むなど再び軟調な展開。
外国債券:株価の上昇から横ばいで推移するが、12月に入りイラクなど国際情勢の緊迫感、株価の頭打ちなどを背景に堅調に推移。
外国株式:米連邦公開市場委員会の大幅金利引下げ、イラクの国連査察受け入れ表明などが好感され堅調に推移するが、12月に入り米大手企業の倒産などから 軟調となる展開。


○ベンチマーク騰落率
  平成14年10月〜12月 平成14年10月〜平成15年2月
国内債券 (NOMURA-BPI総合) 1.10% 1.79%
国内株式 (TOPIX) −8.40% −11.03%
外国債券(円ベース) (SSB-WGBI) 2.51% 5.70%
外国株式(円ベース) (MSCI-KOKUSAI) 6.49% 1.00%

○運用環境
  平成14年9月末 平成14年12月末 平成15年2月末
国内債券(新発10年国債利回り) 1.175% 0.900% 0.780%
国内株式(日経225) 9,383.29円 8,578.95円 8,363.04円
      (TOPIX) 921.05ポイント 843.29ポイント 818.73ポイント
外国債券(米国10年債利回り) 3.59% 3.81% 3.69%
      (SSB-WGBI) 238.69ポイント 244.69ポイント 252.29ポイント
米国株式(NY ダウ) 7,591.93ドル 8,341.63ドル 7891.08ドル
      (MSCI-KOKUSAI) 769.651ポイント 819.573ポイント 777.332ポイント
為替   (円/ドル) 121.740円 118.670円 118.225円
      (円/ユーロ) 120.316円 124.532円 127.423円



(参考資料2)

平成14年度・第3四半期における他の年金資金運用状況について

1.厚生年金基金・税制適格年金の運用成績
  第3四半期(10〜12月)の推定値は、▲0.78%

(運用収益の低迷の原因)
景気低迷や円高による企業業績への懸念、不良債権処理の加速に伴う大手銀行の信用懸念の高まりなどにより、国内株式が大幅に下落したこと。

2.生命保険特別勘定第一特約(総合口)の運用成績
  第3四半期(10〜12月)の推定値は、▲0.78%

3.年金投資基金信託(信託銀行合同運用)の運用成績
  各資産の運用状況
国内株式は、全ファンドで基準価格騰落率が、マイナス。
国内債券は、全ファンドで基準価格騰落率が、プラス。
外国株式は、1ファンドを除いて基準価格騰落率が、プラス。
外国債券は、1ファンドを除いて基準価格騰落率が、プラス。

《データ出所》格付投資情報センター(R&I)発行「年金情報(2003.1.20,2.3)」

厚生年金基金・税制適格年金は格付投資情報センター(R&I)推定
(約170の厚生年金基金・税制適格年金が運用委託している信託銀行・生命保険・投資顧問など約2000ファンドのデータを基に推計。)
生命保険特別勘定第一特約の総合口は、格付投資情報センター(R&I)取材(15社16ファンド)
年金投資基金信託は、格付投資情報センター(R&I)の調査(国内株式53ファンド 国内債券30ファンド 外国株式40ファンド 外国債券27ファンド )



(参考資料3)

平成13年度・14年度四半期区分総合収益の状況

(単位:%、億円)
四半期区分 修正総合収益率(%) 総合収益額
13年度 4〜6月 1.13% 2,943
7〜9月 -7.84% -20,399
10〜12月 3.30% 8,203
1〜3月 1.02% 2,690
14年度 4〜6月 -3.03% -8,343
7〜9月 -4.08% -11,768
10〜12月 -0.48% -1,419
(注)修正総合収益率は、期間率である。



(参考資料4)

資金運用に関する専門用語の解説

修正総合収益率
 運用成果を測定する尺度の1つ。
 従来の簿価ベースでの運用元本に時価の概念を導入した収益率で、総合収益率よりさらに時価ベースにした収益率。算出が比較的容易なことから、運用の効率性を表す時価ベースの資産価値の変化を把握する指標として広く普及している。
 (計算式)
修正総合収益率 ={売買損益 + 利息・配当金収入 + 未収収益増減(当期末未収収益−前期末未収収益)
+ 評価損益増減(当期末評価損益 − 前期末評価損益)}/(運用元本平均残高+前期末未収収益+前期末評価損益)
時間加重収益率
 時間加重収益率は、時価に基づく運用収益から運用機関が自ら決めることができない運用元本の流出入の影響を排除した収益率であり、その運用実績とベンチマーク収益率(市場平均収益率)との比較により、運用能力を評価することが可能。基金では、時間加重収益率の市場平均対比での超過収益率を測定し、運用行動の自己評価と、運用受託機関の定量評価に使用。

ベンチマーク
 運用成果を評価する際に、相対比較の対象となる基準指標。運用収益率の絶対値の高低による評価は、投資環境の違いを反映せず、運用期間が異なる場合に横並びの比較が不可能である。しかし、投資環境を反映する基準指標(TOPIX等)があれば、基準指標に対してどの程度上回る収益率を達成できたか(超過収益率)を算出することにより、運用期間の異なるものの横並び比較が可能。
NOMURA−BPI総合
 NOMURA−BPI総合(ボンド・パフォーマンス・インデックス)
 野村證券金融研究所が作成・発表している国内債券市場のベンチマーク。国内債券のベンチマークとしては代表的なものであり、基金もベンチマークとして採用。
TOPIX(配当込み)
 東証一部上場全銘柄の株価を株式数で加重平均して算出したもの。国内株式市場の代表的なベンチマークであり、基金もベンチマークとして採用。
SSB−WGBI(除く日本)
 ソロモン・スミス・バーニー世界国債インデックス(除く日本、円貨換算、ヘッジなし)
 ソロモン・スミス・バーニー社が作成・発表している世界国債のベンチマーク。時価総額につき一定基準を満たす国の国債について、投資収益率を指数化したもの。国際債券投資の代表的なベンチマークのひとつ。基金も外国債券のベンチマークとして採用。
MSCI−KOKUSAI(配当込み)
 モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)・KOKUSAI(円貨換算、配当込み、GROSS)
 モルガン・スタンレ−・キャピタル・インターナショナル社が作成・発表している日本を除く先進国で構成された世界株指数。対象国の包括性、切り口の多様性等の点で国際株式投資のベンチマークとしては代表的な存在。基金も外国株式のベンチマークとして採用。
ベンチマーク収益率
 各市場(国内債券、国内株式、外国株式等の市場)における平均的な収益率をいい、市場を代表する指数(東証株価指数など)の騰落率により算出可能。いわゆる市場平均収益率。
償却原価法
 債権あるいは債券を、債権金額あるいは債券金額よりも低い金額又は高い金額で取得した場合、差額が発生するが、これらの差額を弁済期又は償還期までに毎期、一定の方法で貸借対照表額に加減する方法


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