1.資産全体の運用状況
○ | 平成14年度第3四半期の運用環境をみると、国内株式市場においては景気の先行き不透明感、金融システム問題なども加わり、株価はバブル崩壊後の最安値を更新した。海外株式市場においては米国・欧州の利下げ、イラクの国連査察受け入れ表明なども加わり、外国株式は上昇に転じた。 一方、内外債券市場は良好な需給関係から小幅ながら上昇した。 | ||||||||||||||||||
○ | このため、修正総合収益率(期間率、市場運用分)は、−0.48%となった。
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※ | 年金資金は長期的な運用を行うものであり、その運用状況も長期的に判断することが必要であるが、情報公開を徹底する観点から、四半期毎に運用状況の公表を行っている。 |
2.各資産の運用状況
(単位:億円、%) | |||||||||||||||||||||||||
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注1) | 上記の数値は四捨五入のため、各数値の合算は合計の値と必ずしも合致しない。 |
注2) | 財投債(簿価)は償却原価法による簿価に未収収益を加えたもの。 |
(2)各資産の収益率(市場運用分)の状況(平成14年10月〜12月)
(期間率) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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国内債券: | ほぼベンチマーク並みの収益率となった。 |
国内株式: | ベンチマーク収益率に比べ業種別収益率が最も低かった銀行業をアンダーウエイトしていたことが、ベンチマークに対しプラスとなった主な要因である。 |
外国債券: | ユーロ圏における銘柄選択が、ベンチマークに対し劣後した主な要因である。 |
外国株式: | 外国株式のうち大きなウエイトを占める米国の銘柄選択が、ベンチマークに対し劣後した主な要因である。 |
【各市場の動き(10〜12月)】
国内債券: | デフレ傾向と機関投資家の資金運用難による需給面の強さや日銀の金融緩和策の継続から強含みで推移。 |
国内株式: | 月例経済報告などの経済指標の弱さから景気の先行き不透明感が漂い軟調な展開。11月後半米国株式に追随し一旦上昇するが、デフレ圧力への警戒感から12月末にはTOPIXが19年ぶりに900ポイントを割り込むなど再び軟調な展開。 |
外国債券: | 株価の上昇から横ばいで推移するが、12月に入りイラクなど国際情勢の緊迫感、株価の頭打ちなどを背景に堅調に推移。 |
外国株式: | 米連邦公開市場委員会の大幅金利引下げ、イラクの国連査察受け入れ表明などが好感され堅調に推移するが、12月に入り米大手企業の倒産などから 軟調となる展開。 |
○ベンチマーク騰落率
平成14年10月〜12月 | 平成14年10月〜平成15年2月 | |
国内債券 (NOMURA-BPI総合) | 1.10% | 1.79% |
国内株式 (TOPIX) | −8.40% | −11.03% |
外国債券(円ベース) (SSB-WGBI) | 2.51% | 5.70% |
外国株式(円ベース) (MSCI-KOKUSAI) | 6.49% | 1.00% |
○運用環境
平成14年9月末 | 平成14年12月末 | 平成15年2月末 | |
国内債券(新発10年国債利回り) | 1.175% | 0.900% | 0.780% |
国内株式(日経225) | 9,383.29円 | 8,578.95円 | 8,363.04円 |
(TOPIX) | 921.05ポイント | 843.29ポイント | 818.73ポイント |
外国債券(米国10年債利回り) | 3.59% | 3.81% | 3.69% |
(SSB-WGBI) | 238.69ポイント | 244.69ポイント | 252.29ポイント |
米国株式(NY ダウ) | 7,591.93ドル | 8,341.63ドル | 7891.08ドル |
(MSCI-KOKUSAI) | 769.651ポイント | 819.573ポイント | 777.332ポイント |
為替 (円/ドル) | 121.740円 | 118.670円 | 118.225円 |
(円/ユーロ) | 120.316円 | 124.532円 | 127.423円 |
1.厚生年金基金・税制適格年金の運用成績
○ | 第3四半期(10〜12月)の推定値は、▲0.78%
(運用収益の低迷の原因)
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○ | 第3四半期(10〜12月)の推定値は、▲0.78% |
○ | 各資産の運用状況
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《データ出所》格付投資情報センター(R&I)発行「年金情報(2003.1.20,2.3)」
・ | 厚生年金基金・税制適格年金は格付投資情報センター(R&I)推定 (約170の厚生年金基金・税制適格年金が運用委託している信託銀行・生命保険・投資顧問など約2000ファンドのデータを基に推計。) |
・ | 生命保険特別勘定第一特約の総合口は、格付投資情報センター(R&I)取材(15社16ファンド) |
・ | 年金投資基金信託は、格付投資情報センター(R&I)の調査(国内株式53ファンド 国内債券30ファンド 外国株式40ファンド 外国債券27ファンド ) |
(単位:%、億円) | ||||||||||||||||||||||||
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○ | 修正総合収益率 運用成果を測定する尺度の1つ。 従来の簿価ベースでの運用元本に時価の概念を導入した収益率で、総合収益率よりさらに時価ベースにした収益率。算出が比較的容易なことから、運用の効率性を表す時価ベースの資産価値の変化を把握する指標として広く普及している。 (計算式)
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○ | 時間加重収益率 時間加重収益率は、時価に基づく運用収益から運用機関が自ら決めることができない運用元本の流出入の影響を排除した収益率であり、その運用実績とベンチマーク収益率(市場平均収益率)との比較により、運用能力を評価することが可能。基金では、時間加重収益率の市場平均対比での超過収益率を測定し、運用行動の自己評価と、運用受託機関の定量評価に使用。 | ||||||||
○ | ベンチマーク 運用成果を評価する際に、相対比較の対象となる基準指標。運用収益率の絶対値の高低による評価は、投資環境の違いを反映せず、運用期間が異なる場合に横並びの比較が不可能である。しかし、投資環境を反映する基準指標(TOPIX等)があれば、基準指標に対してどの程度上回る収益率を達成できたか(超過収益率)を算出することにより、運用期間の異なるものの横並び比較が可能。
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○ | ベンチマーク収益率 各市場(国内債券、国内株式、外国株式等の市場)における平均的な収益率をいい、市場を代表する指数(東証株価指数など)の騰落率により算出可能。いわゆる市場平均収益率。 | ||||||||
○ | 償却原価法 債権あるいは債券を、債権金額あるいは債券金額よりも低い金額又は高い金額で取得した場合、差額が発生するが、これらの差額を弁済期又は償還期までに毎期、一定の方法で貸借対照表額に加減する方法 |