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第17回 社会保障審議会年金資金運用分科会

議事録(案)


平成15年3月7日


第17回社会保障審議会 年金資金運用分科会議事録

日時:平成15年3月7日(金)16:00〜17:56
場所:厚生労働省 省議室(9階)
出席委員:若杉分科会長、大和委員、小島委員、関山委員、高梨委員、竹内委員、福井委員、吉冨委員、吉原委員、米澤委員
議事(1)年金積立金の運用の在り方についての検討
(2)その他

○ 泉運用指導課長

 それでは、ただいまより、第17回社会保障審議会年金資金運用分科会を開会いたします。
 まず資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。
 資料1、株式を含む分散投資の是非に関する意見(案)、以上でございます。よろしゅうございましょうか。
 なお、議事録につきましては、本日まだ作業が完了しておりませんので、作成でき次第、分科会にお諮りしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。また、前回までの配布資料をファイルにまとめて机の上に置かせていただいておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
 委員の出欠状況でございますが、本日は、内海委員におきましては、ご都合によりご欠席とのことでございます。ちょっと遅れていらっしゃる委員、何名かいらっしゃるようでございますが、ご出席いただいております委員の皆様方3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことをご報告申し上げます。
 では、以後の進行につきましては、若杉分科会長にお願いいたします。
○ 若杉分科会長
 皆さん、お忙しい中、また足元が悪い中をお集まりいただきまして大変ありがとうございます。
 いよいよ年金積立金の運用のあり方についての基本的な考え方である「株式を含む分散投資」の是非についての、当分科会の意見の取りまとめに向けて議論を行っていくわけですが、本日は、そのたたき台として、事務局と相談した上で、意見書の分科会長案を作成しましたので、資料として提出させていただいております。
 本日の議論は、この分科会長案を中心に議論をしていただきたいと存じます。進め方としましては、まず、私から、「株式を含む分散投資の是非に関する意見(案)」の基本的な考え方についてご説明した後、事務局から、内容全般についての説明を行っていただきたいと思います。その後、委員の皆様からご意見をいただきたいと思います。
 さて、当分科会におきましては、昨年10月以来、7回にわたって株式を含む分散投資の是非を中心に積立金の運用の在り方について検討してまいりました。この間、何人かの専門家、有識者の方々からもお話を伺い議論をいたしました。今回配布しましたものは、分科会としての意見の取りまとめに向けまして、事務局とも相談しつつ、また委員の方に個別にもご意見をうかがいつつ、分科会長の総括を意見書案として作成したものでございます。
 最近の市場運用の結果は極めて厳しいものでありまして、重く受けとめる必要がありますけれども、積立金の目的や長期資金としての性格などを考えれば、株式を含む分散投資という基本方針を今後とも維持すべきというのが本分科会の意見の大勢であったと理解しております。
 このような基本認識の下で、1.はじめに、2.年金積立金の運用の在り方と株式投資、3.昨今の経済状況の下での株式投資・債券投資、4.年金積立金の運用と国民経済との関係、5.今後の課題等、という構成で皆様のご意見をまとめました。
 最後の今後の課題等におきましては、現在の分散投資を継続する前提といたしまして、いくつかの事項を指摘しております。すなわち、
 第1に、運用の基本方針に沿って、平成16年財政再計算の際に基本ポートフォリオの見直しが行われますが、その見直しは、再計算に合わせて予定されている年金制度改革や昨今の厳しい経済状況などを踏まえたものであること。
 第2に、150兆円という積立金運用による市場インパクトを回避する観点から、国債の満期保有についても検討する必要があること。
 第3に、株式運用を続ける前提として、コーポレート・ガバナンスの確立に向けた実効ある議決権行使の在り方、及び、パッシブ運用におけるベンチマークの在り方についても検討を進めるべきであること。
等々を指摘しております。さらに現状の分散投資の運用効率を改善するために財投債引き受けの在り方、運用受託機関の選定や委託手数料の在り方についても検討が必要であろうと考え、それらも意見書に盛り込みました。
 このような基本的な考え方や認識で分科会長案を策定いたしました。
 それでは事務局から内容全般についてご説明をしていただきます。泉運用指導課長お願いいたします。
○ 泉運用指導課長
 それでは、資料に沿いましてご説明させていただきます。
 1ページ目でございますが、まず1.の「はじめに」というところでございます。ここはこれまでの経緯などを書いているところですが、積立金の運用については運用の基本方針を定めて行っているわけでございます。その基本方針の中で、国内債券を中心としつつ、国内外の株式を一定程度組み入れた分散投資が行われているという現状をまず記述してございます。昨今、株式市場の低迷などもあって、運用結果は厳しい状況が続いておるわけでございます。こうしたことも反映して、株式投資の在り方を見直すべきではないかという声もあります。
 当分科会では、こうした事態も踏まえまして、株式を含む分散投資という考え方の妥当性を中心にご議論をいただき、また有識者からのヒアリングなども踏まえて、本日のような結論をいただくに至ったと、こういう経緯が1のところで述べております。
 次に2のところでございますが、「積立金の運用のあり方と株式投資」ということで、まず積立金の性格について述べてございます。公的年金は、現役世代が高齢者世代を支えるという世代間扶養の考え方に基づき、あらかじめ給付に必要な額全額を積み立てておくという積立方式ではなく、賦課方式を基本として運営がされているわけでございます。しかしながら、我が国におきましては、諸外国にも例を見ないような少子高齢化が急速に進行しているということがございます。そういう中で、2ページに移りますが、将来の保険料負担が過大な負担とならないように、一定の積立金を保有し、その運用収益を活用することによって、将来の保険料負担の軽減を図ると、こういう考え方から積立金を有しているということでございます。
 その次のパラグラフですが、(積立金の運用と予定利回り)の関係について述べてございます。運用に当たっては、予定利回りを定めまして、それに基づき財政見通しを立てていく、こういうわけでございますが、予定利回りを高く設定すれば、将来の保険料負担は低く抑えられることができるということにはなりますけれども、一方で、運用にはリスクが伴うわけでございますので、毎年の運用収益の変動も非常に大きくなってしまうということもございます。従いまして、適度な予定利回りを設定するというところが大切でございまして、併せてリスク管理を徹底していくことが不可欠になるということを述べてございます。
 そこで(運用の目標)でございますが、公的年金の給付の性格というのがございます。企業年金あるいはその他の名目額で固定された給付とは異なりまして、公的年金の場合は実質価値を維持していくという考え方がございます。従いまして、給付総額はそこに書きましたように、名目賃金上昇率に連動して増減します。こうしたことを踏まえますと、積立金の運用は、長期的に見まして、名目賃金上昇率を上回る実質運用利回り、これを確保していくことを目標とすべきではないかということでございます。現在もそういう考え方をとっているところでございます。これは言い換えますと、名目の予定利回りを常に実現しなければならないということではなく、上で述べております名目賃金上昇率を上回る実質運用利回り、これが確保されているのであれば、年金財政の安定は確保される、こういう考え方でございます。
 また、厚生年金保険法あるいは国民年金法におきまして、積立金の運用に当たっては、被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行う」ことが法律で明記をされています。従いまして、積立金の運用に当たりましては、上で述べた目標に沿うように、できる限り低いリスクで必要な収益を得る、こういうために、安全性と効率性の両面に配慮して取り組んでいく必要があるのではないかということを述べてございます。
 その次のパラグラフは(分散投資)について述べてございます。資金運用に当たって、収益率というのは事前には確定しないわけでございまして、そうしたことに対応していくときに、基本的な手段として、分散投資というのがございます。次のページにまたがっておりますが、リスク・リターンの特性の異なる複数の資産に分散して投資することによりまして、ある資産の収益が低い場合でも、他の資産が収益が上がって、それによってカバーするという関係が成立するわけでございます。そうしたことによって、全体のリスクを減少させることができるわけでございます。一般に投資対象資産が多様であるほど分散効果が大きいということもございます。安全性と効率性の両面に配慮して、そうした分散投資をすることが望ましいということでございます。
 その場合に、主たる投資対象資産としては、債券と株式が考えられるわけですが、一般に債券は相対的にローリスク・ローリターン、株式は相対的にハイリスク・ハイリターンということが言われております。
 債券と株式それぞれ異なるリスク・リターン特性を持っておりますので、これらを組み合わせることによって、リスク分散効果が期待できるということがございます。また、債券・株式のいずれの市場も流動性の高い市場ということが言えようかと思いますので、こうした諸点を考えますると、株式と債券を組み合わせた分散投資、これを行うことが望ましいということが言えようかと思います。
 その次、3でございますが、今度は「昨今の経済状況の下での株式投資・債券投資」をどう考えていくか、非常に厳しい経済状況の下でどう考えるか、ということをここでは述べてございます。そのパラグラフの中でまず述べておりますのは、年金積立金の長期資金としての性格でございます。年金制度は非常に長期のものでございます。積立金の運用も数十年にわたる長期の運用を見据えて行っていくことが必要でございます。長期といった場合には、様々な経済変動が予想されるわけでございますが、そうしたものも盛り込んだ形で、長期的に見て最も安定した収益を上げること、これを目指すべきではないかということでございます。株式にしろ、債券にしろ、いずれもリスクはあるわけでございますが、短期的な市況の予測に基づいて資産の配分割合を頻繁に変更するよりも、基本となる比率を定めた上で、それを長期間維持していくことの方が目的の達成には効果的であるということを述べてございます。
 将来の株価を確実に予測することは困難なわけでございます。そういう中で、一時的に株式投資を中断したり、あるいはまた再開したりというようなことを仮に行うとしますと、結局は短期的な市況の予測に基づいて投資を行っていくことになるわけでございますが、それは結果として非常に効率の悪いことにならざるを得ないと考えられます。長期の資金を、法律に述べられている考え方に立って、安全かつ効率的に運用する場合に、年金積立金の運用としては、そうしたことを行うのは適当ではないのではないかということがここで述べてございます。
 その次のパラグラフは現在デフレと言われていることをどうとらえるかということでございますが、物価の動きと株価の動きとは必ずしも連動するものではないということが言えようかと思います。そうしますとデフレ期なので、直ちに株式投資を中断すべきだというふうに断定することはできないのではないかということでございます。この点につきましては、委員の方々からもいろいろなご発言、ご指摘がございました。例えば株式の時価総額は低下し、企業が保有する資産の価値に既に近づいている、そういう水準にあり、相当調整が進んでいるのではないかというご指摘がございました。また、配当利回りが長期金利を上回る、こういうような事態になっている、こういうご指摘もございました。あるいは株主利益を重視したような経営に転換しつつある、そういう企業が現れていると、こういうようなご指摘もございました。合理的な株式市場においては、リスクに見合ったリターンが期待できるはずではないか、そうしますと、我が国の株式市場においても、そういう考え方が取り得るのだと、こうい様々なご指摘があったことをここでは記述をさせていただいております。
 一方で、債券投資をどう考えるかというのがその次のパラグラフでございますが、仮に株式投資を中止して、全部債券・国債で運用するとした場合にどうかということですが、現在の状況を見ますに、歴史的な低金利の状態ということでございます。これが賃金や物価の上昇、金利の上昇などが起こった場合にどうなるかということで、運用利回りが年金給付の増大に追いついていかないという事態も考えられるのではないかということでございます。
 また、債券の市場運用においては、金利の動向によって損失が生ずる可能性も無論もあるわけでございます。そうした場合に債券に移したから安全性が高まるというふうに簡単に言うわけにはいかないのではないかということでございます。
 次のページに移ります。また、移行ポートフォリオの中で調整ができないだろうかというようなご発言もございました。現在、平成20年度に基本ポートフォリオを達成するということで、そこに向けての移行ポートフォリオを定めているわけですが、基本ポートフォリオの達成時期を遅らせるということで、株式の購入量を減らすこともできるのではないか、こういうご意見もございました。ただ、これにつきましては、基本ポートフォリオは、基本方針の中で、最もふさわしい資産構成割合でなので、速やかに達成すべきだという考え方も述べられております。

 また、平成20年度までといたしておりますのは、財政融資資金から償還される預託金、これが20年度まで続いていくということで、当分の間はこの預託金の配分によって基本ポートフォリオを実現していくということが、いわば余分な売買コストをかけずに効率的に行っていけると、こういう観点もあったわけでございますので、そこを外してしまいますと、むしろ不要な売却コストなどが発生しかねないということもあろうかと思います。従いまして、移行ポートフォリオについては、現在の方針どおり、基本ポートフォリオの達成に向けてなだらかに移行するというふうに定めることが適当ではないかということを記述しております。
 次の4ですが、これは積立金の配分と国民経済との関係というような観点からいくつか述べてございます。
 一つ目でございますが、積立金が一部株式市場に投入されるということは、資金が民間の企業活動に還流し、経済全体におけるリスク資産への配分がなされると、こういう意味合いがあるわけでございます。これは我が国の経済活動に寄与するという意義が認められるのではないか、こういうご指摘がございました。
 仮に、全額国債運用を行った場合には、すべて国においてその資金配分が決定されることになりますが、こういうことになりますと、かつて資金運用部に全額義務預託ということが行われておりましたが、そうした財政投融資制度の抜本改革が行われた趣旨ともやや沿わないようなことになってしまうのではないかということが考えられます。
 続いて次の6ページでございますが、株式投資を行うことは市場へのインパクトという点で価格形成を歪めるおそれがある、こういうご指摘もございます。しかしながら、これについては資金の投入、回収を、特定の時期に集中させない、あるいは個別銘柄への投資割合を制限するということが今の体制の中でも行われております。そういう点で十分配慮しているということかと思いますが、これは今後とも引き続き配慮することが必要であろうということが述べてございます。
 また、民間企業支配のおそれがあるのではないか、こういう指摘もいろいろございました。これにつきましても、今、運用の基本方針におきましては、そうした懸念が起きませんよう、年金資金運用基金が議決権行使を直接行うということではなく、民間の運用受託機関の判断に委ね、その上で、対応方針あるいは行使状況の報告を求めると、こういうやり方で実施しているわけでございます。また、年金資金運用基金においては、個別銘柄の選択は行わないという方針で臨んでおります。今後とも、そういった点で民間企業支配の懸念がないように配慮していくことが必要であるということで、ここで述べてございます。
 そして、5は最後の段落になるわけでございますが、今後の課題等というところで、いわば結論及び今後の検討事項というものを述べてございます。最初の「○」でございますが、以上、述べてまいりました各検討から、今後、国内債券を中心としながらも、内外の株式を一定程度組み込むと、こういう考え方は今後とも維持することが適当と考えられるというのが一つの結論ではないかということでございます。ただ、この点につきましては、株式運用は行うべきではないというご意見も一部ございましたので、なお書きとしてここに記載をいたしております。
 次のパラグラフですが、基本ポートフォリオについて今後どう取り組んでいくかということでございます。この点につきましては、平成16年に年金制度全体の改革、財政再計算が予定をされております。その中で、予定利回りにつきましても見直しが行われる予定となっておりますが、現在の厳しい経済状況なども踏まえ、より慎重な前提を置いた上での見直しを行うということが予想されるわけでございます。基本ポートフォリオにつきましても予定利回りが変わると、運用の目標が変わるということになります。いろいろな数字も洗い直しを行いまして、そうした財政再計算の作業と歩調を合わせながら見直しを行っていくことが必要になろうかと思います。そのことをここで述べているわけでございます。
 また、その際に、国債満期保有運用の在り方についても検討を進めるべきであるということを述べています。座長からもございましたが、140兆、150兆という規模の資金をいずれ全額市場運用していくということになるわけでございますが、それだけの規模を運用していくときに、市場へのインパクトということを考えた場合には、極力市場に余分なインパクトを与えないように運用していく方法として、一部は国債満期保有というやり方も考えられるのではないかということで、ここはこれからの検討事項という意味合いでございますが、選択肢としてはあるのではないかということでここで記述をしてみているところです。
 また、そのほか、さらに検討すべき事項として、以下の点ということで記述をいたしております。
 一つ目はコーポレートガバナンスの問題でございます。企業が健全なガバナンスを確立し効率的な経営により企業の収益力を向上させていく、こういうことは、公的年金、投資する側にとっても運用成果の向上につながっていくわけでございます。議決権行使などを通じたコーポレートガバナンスの在り方については、無論民間の企業経営に影響を国から与えるということは留意しなければいけませんが、検討を行うべきではないかということで述べてございます。
 その次のパラグラフはベンチマークの問題でございます。現在運用の基本方針においては、パッシブ運用を中心とするということで、具体的には年金資金運用基金ではTOPIXをベンチマークとしてパッシブ運用を行っているところでございます。このパッシブ運用のベンチマークの問題、さらには積立金全体、それ以外のベンチマークの問題も含めましていろいろと検討しておく必要があるだろうということでございます。また、その際にはその他の市場、一部ばかりでなくて二部やその他の市場への展開ということも考慮に入れながら、投資対象の拡大、こういうことも含めて検討していくべきではないかということがここで述べられています。
 さらに財投債引受けの在り方、これについてもいろいろとご指摘がございました。また、実際に年金資金運用基金が運用を行っていくに当たって、運用受託機関の選定の問題、手数料の問題、こういった点も運用のパフォーマンスを上げていく上では重要な問題であるということで、こうした点についてもは検討していくことが必要ではないかということで最後のところに盛り込んでいるというような形でございます。
 以上、ざっとペーパーの内容についてご説明をさせていただきました。
○ 若杉分科会長
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまご説明いたしました「株式を含む分散投資の是非に関する意見(案)」に関して、これから議論をしていただきますが、本日は、できれば5時半ごろをめどにこの会を終了したいと思いますので、議事進行にご協力いただければと思います。それではご意見、ご質問等を伺っていきますが、5つのパートに分かれているので順番に議論していきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 最初に「1.はじめに」で何かご意見、ご質問等ございますか。いかがですか。
 特にここは異論がないところではないかと思うのですけれども、よろしいですか。
 それでは、もし万一ありましたら、後でお出しいただいて結構ですが、とりあえず1.はそのままということで、2.にいきたいと思います。「年金積立金の運用のあり方と株式投資」、ここは原則論を書いてあるわけですけれども、この点いかがでしょうか。積立金の性格、予定利回り、運用の目標、基本的なスタンスとしての分散投資、等々について基本的なことが書かれております。竹内委員、どうぞ。
○ 竹内委員
 昨日最後に拝見したペーパーと、今日出てきたペーパーで、若干、私の記憶がおかしいのかもしれないのですけれども、削ってあるところがあって、最初のペーパーでは分散投資の意味合いというところで、前提として株価の算定において、将来の価値を算定することが困難であると、その消去法として分散投資という考え方があるのだという飛び方をしていたので、そこの認識は、これは今、削除してあるのですね。つまり分散投資が一番いいのだという言い方を頭からしているのですけれども、要するに株価の算定そのものについてはきちんとした数式ができないことからというのは取ったということですね。それとももともと入っていませんでしたか、そういう表現は。
○ 若杉分科会長
株価の算定が難しいから分散投資をするということではなく、原理的に分散投資は望ましということです。
○ 竹内委員
 前のは取ったということですか。
○ 若杉分科会長
 紛らわしい文章だったので、誤解を避けるために取りました。
○ 竹内委員
 私はあった方がいいと思っていたのですけれども、逆に紛らわしいということで、取られたということなんですね。分かりました。
 2番目なんですが、今、個人投資家という立場からすると、株式に投資をするという人が非常に減っているというか、余り多くないわけですね。他方でこういった機関投資家といいますか、あるいは公的資金が一定の割合で株を買っていくということが、逆に個人では恐らく買わないだろうけれども、公的であるがゆえにというのは変なのですけれども、公的な資金による株の売買が一定の形で行われるということ、この形が株式市場においてどの程度のアンバランスなものをもたらす、あるいはもたらさないのかということについて、若干の疑問を私は抱いたのですが。特にこれはパッシブ運用ということで、銘柄をピックアップするというよりは、どっちかというとインデックスに連動した形になっていきますので、その意味でも株式市場に対する影響というのはある一定の範囲で生じているわけで、この辺についての、いわゆる個人が入ってこないときに、どちらかというと組織的な形でお金が株式市場に流れていくという、ここの認識について適当なのかどうか。
 国債の世界もそうで、やはり銀行の国債保有というのが非常に増えていくというような状況が起こってきたという、いわゆる公的な世界のお金が非常に市場に大量に流れていく、こういう問題についての疑念というのは、ここには書いてなかったのですけど、私自身はひっかかったものですから。
○ 若杉分科会長
 個人の株式運用が全体的に減って、公的年金等の機関投資家が増えているというご指摘に関してですが、個人が買わないから公的年金が買っているということではありません。分散投資というものは個人にとっても機関投資家にとっても経験的にも理論的にも望ましい基本的な運用方法です。ところが分散投資の効果を引き出すためには、最低10種類、できれば20種類以上の銘柄を持つことが必要である経験的に言われております。したがって、個人の小さい資金では効率的な分散投資ができません。そこで個人は、機関投資家に運用を委ね効果的な分散投資をしてもらうというのが現代の方向なんですね。
 ですから全般的に個人の投資家は減って機関投資家が増えていくというのが世界の市場的な流れっであると言えると思います。個人がやらないから公的年金が仕方なく代わりにやっている、個人が買いたくないものを公的年金が買っているということでは決してありません。
○ 竹内委員
 その場合、個人の場合の投資家であれば、投資するか、投資しないかの結果責任は個人が負っていると。しかし、この場合は分散ということによって責任の所在は完全に明確にならなくなるわけで、この問題はいいのですかということなんです。
○ 若杉分科会長
 機関投資家としては、公的にせよ民間の金融機関にせよ、他人のお金を預かって運用しているわけで、受託者責任を当然負っているわけです。
○ 竹内委員
 機関投資家はそうですけど、お金の出しどころは国家という一つの、公的な年金ですから、この問題に関して、機関投資家はもちろんツールとしては存在しているけれども、交渉しているのは公的資金だから、ここの部分の責任はいいんですかということがひっかかるんです。
○ 若杉分科会長
 運用の基本方針を決めるときにもいろいろ議論がありましたが、運用というリスクが不可避な世界ですから、運用の結果に善し悪しがあるのは仕方がないことでして、受託者責任を全うしていれば、運用成績が悪いということだけをとらえて結果責任を負うことはないというのが大原則です。そのかわりきちんとした運用のルールを決めて公開し、それに則ってやるということと、事後的に運用状況・結果等をきちんとディスクロージャーをすることの2点が不可欠です。その意味で、公的年金積立金の場合、これまで行ってきた運用の基本方針の策定とその公表および事後的な運用状況の報告が極めて重要です。いずれにしろ、運用の過程に重大な瑕疵がないかぎり、原則として結果責任は問われないというのが現代の資産運用の考え方だと思います。よろしいですか。
○ 竹内委員
 いいです。
○ 小島委員
 「年金積立金の運用のあり方と株式投資」のところですが、これは積立金の持つ性格と運用の仕方などが、基本的な考え方に示されておりますけれども、ここについて私はこの間、意見を言ってきたところです。必ずしもこういうふうには考えてないと。公的年金の役割として賦課方式を基本にしていることはここに指摘されておりますけれども、そういう観点から、そんなに多くの積立金を持つべきではないという意見をこれまで何度も述べてきております。そういう観点からして、市場リスクを持つ株式への投資についてはやめるべきだという最後の結論に結びつくのですけれども、そういう意見をこの間述べてきました。今回、この分科会としてはこういう積立金の性格で積立金の運用の在り方を検討していることについては、それはそれとして理解しますけれども、この考え方について私としては異論を持っているということだけは述べたいと思います。
○ 若杉分科会長
 それはよく承知しております。ここでは、現在の段階保険料方式の下で積立金を持っているわけでして、その制度を前提とした積立金運用のあり方について検討するという立場からこの案をまとめました。
 よろしいでしょうか。
○ 吉冨委員
 2ページの(運用の目標)の第2パラグラフ、これはよろしいんですか。
○ 若杉分科会長
 はい。
○ 吉冨委員
 「なお、名目予定利回りの実現は」とございますが、このパラグラフはどうして必要なのでしょうか。趣旨は、上にもう入っている。
○ 若杉分科会長
 そういう意味では必要なさそうですね。
○ 吉冨委員
 では、もともと必要ないのではないでしょうか。上にサブスタンスは全部入っているような気がします。
○ 若杉分科会長
 そうですね。少し余分な解説をしたということになるかもしれません。不要ですか、ない方がいいですか。
○ 吉冨委員
 何が言いたいかが分かればいいんです。
○ 若杉分科会長
 上のことをもう少し敷衍しただけです。いろいろなところで、名目値である4%を取り上げて現在の予定利率が高すぎるという議論もなされておりますので、名目値の4%が大切なのではなくて、名目賃金上昇率を除いた実質で1.5%を上回ることが重要であることを強調するという趣旨です。
○ 吉冨委員
 では、絶対水準はと入れてはいかがですか。こういうふうに書かれれば意味がわかりやすいです。
○ 若杉分科会長
 では、「名目予定利回りの絶対水準の実現は」と、修正させていただきます。どうもありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。大和委員どうぞ。
○ 大和委員
  小島委員が言われたことなんですけれども、現在の運用の考え方、あるいはそのもとになっている法律を前提にすれば、積立金は年金財政に資するように運用しなければいけないという考え方で、従って、運用目標はこういうふうに定められると。そして、それに合わせるように運用しようとすると、こういう考え方になると思うのですけれども、そもそもこの分科会で当初積立金の在り方についても、諮問を受けたような気がするのですが。それはつまり今後の年金財政そのものとの関連性で賦課方式の中で積立金をどのくらい持つべきかということも議論していいように思っていたのですけれども、そうでないのかどうかという点です。もし議論していいということであったのであれば、最後のところにおいても、今後の課題の中で積立金の在り方を、次回の財政再計算に合わせてどう考えるかというのが検討課題として残るということにしておいてもいいのかもしれません。
 それによりまして、小島委員がおっしゃられましたように、それから加藤さんでしょうか、主張されましたように、賦課方式であれば、積立金は要らなくていい、そうなると運用の考え方は全く変わってしまいますので、それは福井委員も前にちょっと、その辺を意見集約しないと、運用の在り方をどうするかは出てこないのではないかということを言われたように思いますから、検討課題として残すのかどうか、それは私もわかりませんので、皆さんのご意見に従いますけど。
○ 若杉分科会長
 今、社会保障審議会の年金部会で議論されているわけですが、今度の財政再計算に合わせて年金改革が予定されており、給付や保険料の在り方についてかなり抜本的な変化が予想されます。そういうことを受けて、改めて予定利率の水準そのものも問題になってくると思います。ですから私の意識の中に、再計算に合わせて、改めていろんなことがリセットされるという認識があり、こういう記述になりました。
 事務局から年金改革の動向について簡単にご紹介いただけますか。
○ 泉運用指導課長
 座長からもございましたけれども、同じ社会保障審議会の年金部会、ちょうど今日の午前中も開催しておるのですが、鋭意、制度全体の在り方についての議論を進めているところでございます。今、ちょっと話題にございましたけれども、年金部会の方では給付と負担の在り方、負担の場合には保険料の在り方、国庫負担の問題、それから、それらと積立金がどれだけになっていくかという財政方式も含めて総合的にご議論をいただいているところでございます。
 この分科会でどこまで議論できるのかというところで、私どもなりに申し上げさせていただければ、基本的には制度の給付と負担、あるいは財政方式という基本の部分は年金部会の方でご議論をいただくのが基本ではないかと思っているところでございます。ただ、このペーパーの終わりの方で、予定利回りというところが出てまいりましたけれども、予定利回りの見直しとか、そういうところにつきましては、制度の立て方と同時に運用の側から見ても、どの程度の利回りが市場運用において確保可能だろうかという角度から、今後ご審議いただきたいというふうには思っているところでございます。
○ 若杉分科会長
 再計算、年金改革に関しては、6ページの下から3行目以降に、「これについては、平成16年には、財政再計算に基づき年金制度の改革が予定されており、その際には、予定利回り等についても云々」と表現されております。よろしいでしょうか。
 ただし、年金制度改革については、具体案が絞られて来ておりますが、まだ完全に絞り込まれたわけではありませんので、あまり具体的に書くことができないわけでこのような表現になりました。
 この2.についてはこれでよろしいでしょうか。では3.に行きたいと思います。どうぞ、ご意見、ご質問等をお出しください。
○ 吉冨委員
 多くの人々に分かりやすくするということが恐らく目的の一つだろうと思います。そこで、長期という意味が、ここでも何回も議論になりましたけれども、よく分からない。一番国民が知りたいのは、長期であればあるほど、いわばハイリスクの投資ができるのだと。従って、長期であればあるほど株式をたくさん持っていいのだというようなメッセージがもし出るなら、それははっきり出した方がいいのではないかと思います。10年の場合と50年の場合とこう違うかとか、なぜ、50年で考えてもいいのか。50年の目標を持っているときに、最初の10年間はロスをずっと出してしまったと。その場合でもいいのか、そういうことを恐らく国民の人は知りたがっていると思いますから、そこら辺がわかりやすく出れば、この文章は相当目的を達したと思いますけれども、この段階だとそこら辺があいまいでして。そのバックデータさえどこかに持っていけばよろしいわけですね。
○ 若杉分科会長
 分散投資の世界では、銘柄分散ということと、期間分散ということが言われまして、長く持てば一般的にリスクが小さくなるということが経験的に言われております。そのような経験的な事実を前提としてこの書きぶりになりました。
○ 吉冨委員
 ここで皆さんが心配しているのは、今のような状況が10年続いても、50年持つのだから心配するなというメッセージかどうかなんです。
○ 米澤委員
 今のところの問題で、長期投資でリスクが減るかどうかというのは、リスクのはかり方にもよるのですが、最近はいろいろ厳しい見方をすると、必ずしも長期投資で、当初思われていたほど時間的に分散効果はないという考え方の方がやや強くて、そうなのかなと思っているんですが、ここで言っているのは、むしろ長期の基本ポートフォリオをつくるときのリターンとかリスクの予測のところで、短期で見て、リターンが低かったから割合を低めるとか、そういうふうに動かすのではなくて、本当の長期的なデータで、どんと座ってやりましょうということのメッセージだと私ば理解しています。足元、例えば10年、15年ぐらいとると、もしかしたらマイナスのリターンになるかもしれませんが、そこのところで基本ポートフォリオはそういう数字でつくるかというと、それは適当ではないでしょうと、そういう理解ではないかと思うんですね。
 ですから国民に対しても、そもそも国民に、20年とか30年後といっても、なかなか説得力はないわけですが、これは組織としては長期で運用していって、そのときの長期のリターンというのは、足元のリターンとは違うのではないだろうかということを説得していくということではないかと思うのですが。
○ 吉冨委員
 ロジックが二つ分かれていると思うんですね。それで分かりにくくなっていると思うんです。といいますのは、短期的にフラフラするなという理由は、長期的にもっていけばうまくいくからだということが前提にあるわけですから、そこを今問うているわけです。
○ 若杉分科会長
 一人一人についていえば、大体20歳から65歳までということで、40年以上のタイムスパンの投資になるわけです。しかし、加入者が入れ替わりつつ、一定額の積立金は維持されます。したがって、積立金の投資期間は無限であると考えることもできます。もちろん、このような積立金をもつ財政方式は採るべきでないという小島委員のような意見もありますが、今は積立金があることを前提とした議論です。時間を限ると期間分散にも、今、米澤委員が言われたように限界があるのですが、投資期間が無限ということであれば、期間分散の効果は非常に大きくなると考えることができると思います。
○ 寺田年金資金基金投資専門委員
 株式は基本ポートフォリオには12%入っていますよね。これは長期分散投資ということはもちろん前提に入っているのですが、もう一つ、それを決める重要な要因はリスク許容度なんですね。ですから、これが、かなりリスクがとれる投資家だったら12%よりもっと高くてもいいと。公的年金制度はリスクを余りとれないと、ほどほどのリスクしかとらないと。そういう公的年金のリスク許容度と分散投資効果を、両方同時に考慮して、12%という数字が出てきているのだろうと思うんですね。
 それともう一つ、時間的なリスク分散効果というのは、これはツヴィ・ボディーというボストン大学の教授が書いた論文がちょっと変なふうに受け取られているのですけれども、いわゆる分散投資効果というのは、投資収益率の分散投資効果で普通議論するのですけれども、彼は金額でやっているんですよ。例えば正規分布で、悪いパフォーマンスで下がる5%目の数字を金額でとらえると1年後、5年後、10年後とると確かに増えていくんです。だけど、それは時間分散効果がないということではないので、ほとんどこの論文というのはアメリカのアカデミックな世界では無視されていると言っていいのではないか。時間分数の概念を否定する意味では。
 ただ、生命に限度がある個人のライフスタイルの最適な投資戦略を考える場合は、そういう金額的なものも要素に入れて考えるという彼の影響力は見られますけれども、年金などの場合の時間分散効果に対する考え方は、彼の論文が出たからといって変わってないと私は思いますけど。
○ 若杉分科会長
 ありがとうございました。竹内委員、どうぞ。
○ 竹内委員
 表現の問題なのですけれども、4ページの一番頭の「○」のところの部分なんですね。それと似たような表現が次の「○」の一部にも出てくるのですが、「合理的な株式市場では」とこうくるのですけれども、「合理的な株式市場では」という合理的なものは存在しないという意味合いで言っているのか、現在の株式市場はそれに近いものだというふうに信じて言っているのか、この「合理的」という言葉は非常にわかりにくくて、わかりにくい言葉を使うのであれば取った方がいいと私は思うんです。
 また、その後の、「こうした運用方法は」の「こうした」という部分が余りはっきりしないんです。3行目の下の最後の「こうした」の部分、これを短期的運用方法といっているのか、あるいは途中な中断したりすることを言っているのか、どういう運用方法を言っているのかが、前の文章のことを何となく指しているなというのはわかるのですが、主語に当たるワードが明確ではないんですよ。だから、それに近いのは「株式投資を中断したり、再開しようとしたりすれば」、ここの部分に当たるのかなという感じはするのですが、きちんとした言葉が前にないので、「こうした」が何を言っているかわからない。
 全体的にこれを受けてという感じではないのですが、次の「○」の中にいくつか、中断すべきかをどうかという議論の説明があって、最後にまた同じように繰り返されるのですけれども、「合理的な株式市場においては、リスクに見合ったリターンが期待できるはずであり、我が国の株式市場においても、こうした原理が成立すると考えるべきとの指摘があった」、ここまで言ったのかというのはちょっと記憶にないが。
 若杉分科会長も言っていましたし、何人かの方がアナリストとかファンドの方が説明に来たときにも言っていましたけど、本当にきちんとしたリターンは予測できるかといったら、予測できないとみんな言ったわけです。
○ 若杉分科会長
 そうです。
○ 竹内委員
 それでは大丈夫なんですか、みたいな話をさんざんやったわけで、これほど委員の方が確信しているというふうには思えない。なぜ、「合理的」という言葉で隠してしまうのかというのが、このペーパーのやや信憑性が欠けるところといいますか、リーディングしすぎている感じがして、かえってこのペーパーが軽いような、余りプロフェショナルでないような感じになるのですけれども、こういう言い方をしない方がいいのではないか。取ればいいのではないか。
○ 若杉分科会長
 「経済原理が概ね働いている株式市場では」という意味ですけれども、ない方がよければ取ります。
○ 竹内委員
 いや、使うのであれば定義がないと。
○ 若杉分科会長
 もう少し学問的に言えば、「効率的な」と表現する方がいいと思いますが、それはそれで議論があるかもしれません。
○ 小島委員
 うまくいかなかったら、それは合理的な市場になってないという話になる。
○ 若杉分科会長
 もちろん人間のつくっているものですから、完全には理論が言うような効率的市場になってないわけです。あくまでも概ねという意味で、「概ね合理的」ということですが、「合理的な」という表現自体が、何か言い訳じみているということであれば取りますけれども。
○ 吉冨委員
 ここは意見の紹介ですか。
○ 若杉分科会長
 4の上のほうは違います。経済原理が働いていると市場では、短期的な市況に合わせた運用手法、タイミング戦略というのですけれども、それは得策ではないということが経験的に知られています。
○ 吉冨委員
 4ページの、今の現在の状況における株式投資の話のところと別なんですか。
○ 若杉分科会長
 そうです。
○ 吉冨委員
 そこの「合理的」はいいんですね。
○ 若杉分科会長
 竹内委員は「合理的」という表現は両方とも。
○ 吉冨委員
 下の方はワン・オブ・ザ・オピニオンズというやつですね。
○ 若杉分科会長
 そうですね。
○ 吉冨委員
 だから、別に正しいとか、正しくない、こういうことを考えている人もいたよという意味で、それは正しい。
○ 米澤委員
 それこそ上は足りるぐらいでいいですね。
○ 若杉分科会長
 そうですね。
○ 米澤委員
  理論どおりに必ずしもならないということは、もう皆さん重々承知、わかっていることだと思いますので、これ自体は私はいいと思いますので、言葉の問題だけだと思います。
○ 若杉分科会長
 一般にというようなことで修正したいと思います。
○ 吉冨委員
 これは合理的であればしにくいという意味ではないでしょう。
○ 若杉分科会長
 違います。
○ 吉冨委員
 だから別になくてよろしいのではないでしょうか。
○ 若杉分科会長
 では、そういうことで修正させていただきます。
 ほかにいかがでしょうか。小島委員、どうぞ。
○ 小島委員
 5ページ、移行ポートフォリオによる調整のところです。ここは私の意見を整理していただきましてありがとうございました。結論は変える必要がないということなんですけれども、私はデフレ下、基本ポートフォリオを達成するまでの7年間こそまさに一番最悪の状態だというふうに思っていますので、そこで何か調整をすべきではないかということです。7年後に基本ポートフォリオにきっちりいくのではなくて、10年なり、12年後に基本ポートフォリオに持っていくというような考え方に立って、なだらかに持っていくということの方がより現実的ではないかという意見です。
 結論としては、速やかに基本ポートフォリオに7年間でいくのだということです。しかし、その後の検討課題で、16年度の財政再計算のときに、その運用利回りの見直しも図るのだから、そこのときに改めて基本ポートフォリオのあり方について検討するというニュアンスになっています。そうしますと、今は、年金本体の方の運用は4%で回せという話になっていますけれども、この状況で16年財政再計算を行うと、4%よりも高いことはない。下がることは目に見えているということになります。昨年の12月に厚労省が出したいくつかの試算の中では運用利回りを3.25に落としてそれで試算をしている。それが妥当かどうかというのはこれから検証されますけれども、4%よりは低いのは明らかになっているということであれば、期待収益率はそれに+0.5ぐらいのっけるので4.5%よりも低いということになる。それを前提にした基本ポートフォリオを組むと株式比率をもっと下げなければならない。国内12%を1桁ぐらいに落とすということになると思います。前回の検証の結果によると、4.5%よりも低い期待収益率で推計すると、国内株式の比率は落ちていくということになっています。16年の財政再計算を念頭に置くなら、当然国内株式の比率が落ちるということになると思いますので、それとの関係でいって、7年後に基本ポートフォリオに持っていくということで、高めの株式比率であれば、16年度の財政再計算に伴って見直して株式比率を下げるということになった場合には、ここで言っていることと同じようなことが起きるのではないかと思います。
○ 若杉分科会長
 それは違います。
○ 小島委員
 違うんですか。
○ 若杉分科会長
 現在の金利は前回の再計算時よりも下がっていますから、全体的に各資産の期待収益率は低めになるかもしれません。その場合には、効率的フロンティアが全体的に下方にシフトする可能性があります。そのような状況でも、それなりに一定の運用利回りが必要なわけですから、予定利率が下がったからといって、自動的に株式のウエイトが下がるとは限りません。それは、実際に効率的フロンティアを引いてみないと全くわかりません。金利低下の下で見直したからといって、株式のウエイトが下がるとは限らないということです。増えることも、逆にいえば、あり得ます。
 それから、基本ポートフォリオの実現時期の問題については次のような経緯がありました。全額自主運用への移行に先立ち、運用基本方針を検討した際、基本ポートフォリオ実現の時期については、実は、最初、多少幅を持たせ固定しない方向で検討していました。しかし、基本ポートフォリオの実現時期を固定しておかないと、移行ポートフォリオが一意的に決まらないので、政治的な配慮とかPKOに利用されるおそれが出てきます。そこで、現在の預託が全額償還されるときに基本ポートフォリオを実現するということで固定することに決めました。そして、そういうことで現在まで来ているわけです。平成20年度に実現するということで固定し、かつ移行ポートフォリオを直線的、機械的に変更させていくということには、もしかしたら不利なことが生じ機会コストを招く可能性もあるかもしれない、そこのところを曖昧にというかフレキシブルにしておいて、政治的な意図とかPKOとかに利用されるおそれがあるよりは、裁量の余地がない方が良いのだという明確な判断がありました。2001年2月、運用基本方針に関して最初の答申をしたときにそのことを議論いたしました。
○ 小島委員
 そういう判断というのは、この分科会で判断したということですか。
○ 若杉分科会長
 そうです。
○ 小島委員
 7年じゃなくて、10年、12年後に、基本ポートフォリオに到達すればいいという私の意見に対して、この分科会としては、そうじゃないと。やはり7年間でいくのだということを改めてこの分科会で確認したというわけですか。
○ 若杉分科会長
 最初の2001年にそう定め、2回目の昨年も、厚生労働大臣の諮問に対してその決め方を確認いたしました。
○ 小島委員
 移行ポートフォリオを7年後に、即基本ポートフォリオの資産比率に移行するというのではなく、もう少し遅らせて到達してもいいのではないかというのが私の意見です。
○ 若杉分科会長
 小島委員はずっとそういうご発言をなされて来ましたが、それについてご賛同がありませんでしたし、むしろ既定路線にそって株式投資を続けるべきという趣旨の意見が出されました。また、私が現在の基本方針を確認した際、特に異論は出ませんでした。そのようなことから、従来通りということが分科会の大勢であったと理解しました。
○ 小島委員
 もう一ついいですか。今、分科会長が言われましたけれども、期待収益率が落ちても、株式比率が今よりも落ちることはないのは何故ですか。
○ 若杉分科会長
 各資産の収益率等をどう見込むかにもよるので、必ずしも落ちるとは限らないと思います。
○ 小島委員
 限らないというふうに言われましたけれども、前回、事務局で示された期待収益率を4.5%よりも落として、それで基本ポートフォリオをもう一度組んでみた比率によると、期待収益率が4%に近づけば近づくほど、株式比率が低いという結果が出ていましたけれども、それとはまた別の基本ポートフォリオの考え方で組むということも含めておっしゃっているということですか。
○ 若杉分科会長
 各資産の期待収益率に関する前回の予想を前提とした場合はそうなりますが、基本ポートフォリオの見直しに当たっては、各資産の期待収益率も見直すので、この期待収益率をどのように考えるかによって効率的フロンティアは変わってきます。従って、最適なポートフォリオは効率的フロンティアを引いてみないと分かりません。
○ 小島委員
 期待収益率は4.5%、いわゆる運用利回り4%よりは高いことはないだろうと私は思っています。下げるのだろう。そうすると期待収益率は、今は4+0.5上にのせていますけれども、下がって、例えば3というふうになった。それで期待収益率をそこに、0.5じゃなくて、もう1%のっけようか、あるいは2%のっけようかということもあるのだという話なんですか。
○ 若杉分科会長
 そうではなくて、全体としては金利も低いわけですし、各資産の収益率も、低めに見直されることが考えられるわけです。
 実際にもし、今、小島委員が言われるように、予定利率が3%であるとすると、国債の収益率が低ければ、とても国債を持っているだけではそれを達成できないわけですから、その分、リターンの高い株式等を持たざるを得ないということになります。
 従って、予定利率を下げたからといって、必ずしも株式の組み入れ比率が下がるとは限りません。下がるかもしれないし、上がるかもしれないし、それは今何とも言えないということです。
○ 小島委員
 わかりました。今後、分散投資を行う際に、債券、株式などの収益率をどう見るかということによって変わってくるのだという話ですね。
○ 若杉分科会長
 はい。
○ 吉冨委員
 当たり前です。
 それはとても大事な話でもあります。というのは、現在、賃金上昇率とここで言うベンチマークになっている国内債券の収益率とは大体同じなんですね。それが下がるということを言ってらっしゃるわけだから、それとの相対的なリターンで株がどうかにより、最適ポートフォリオは決まってくるわけですから、先ほどのフロンティア全体が下がるときには当然ウエイトがどうなるかということの問題が直接関係してこないのは当たり前じゃないでしょうか。
○ 若杉分科会長
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○ 吉冨委員
 今の現下の経済情勢をどう見るかというのは私知らないんですけれども、ここでの結論はデフレ、デフレというけれども、全く関係ないよということですか。
 そこは、結論はそれでいいんですけれども、コンビンシングかなというのがあるのでしょうから、デフレであるがゆえに、どこがどうちょっと違うのかということを言って、しかし、そんなに心配しなくていいよとあった方がわかりやすくないのでしょうか。これは結論ありきで大丈夫と。物価と株価は連動しない、こんなのは誰でもわかると思うんですけれども、問題はデフレと企業収益がどう連動しているかというところが物すごく興味があるわけですから、そこを触れてないので。
○ 米澤委員
 それを含めて、大丈夫だ、大丈夫だと言っているわけではないと思うんです。それは、大丈夫か大変かといえば、大変なのだと思うんです。誤解は、国債で運用していけばすべてが解決されるということです。それは錯覚ですよということは大きなメッセージだと思う。国債も含めて日本のアセットで運用している場合、歴史にないぐらい大変なわけだという理解はする必要があると思うんですよ。しかし、国債で運用しておけば全部クリアーされるかといえば、それは大きな間違いで、そこのところを認識していただいて、大変なんだけど、大変の中でやっていきましょうと。そのときには、その中で、なんとか工夫した構成割合を考えていきましょうということだと思うんですね。ですから大変なんだけど、決して国債にいくことによってすべてが解決されることではないと。
 もし、これで大丈夫だ、大丈夫だというニュアンスが出ちゃうと、少しトーンダウンした方がいいのかなということも、そこまで言われるとそういう感じもします。
○ 若杉分科会長
 そういうことで、有識者の方々に来ていただいていろいろ伺ったわけですが、結局、決定的な意見はありませんでした。
○ 吉冨委員
 結論はよろしいんですよ。説明してあげなくちゃいけないわけでしょうから、我々も説明してもらいたいわけですから。
 例えば、デフレというのを、消費者物価が今1〜2%仮に下がることとしましょうか。かつ、根本的にみんなが心配しているのは、デフレスパイラルが働くのではないかということです。過去2〜3年はそういう傾向を示しているわけですね。物価の下落率そのものの加速よりは全体がリセッション型になっていくのではないか。いずれにしても利益が悪くなるのではないかということを危惧しているわけです。実際にそれを反映して、名目賃金の上昇率も恐らくマイナスになっているはずです。それが−2%になっていると。国債の金利は、しかし例えば+1%ですと。
 すると、デフレのときには、国債の名目金利は0以下には絶対にならない一方、賃金の上昇については0以下に今なっているので、そうするとそこで3%リターンが実質稼げるというのが出てくるわけです。このときには株の収益が悪い背景には、デフレのスパライル的な影響もあって、利益がどうなるかわからないという不安定性が非常にあるわけですね。
 それに対して株は当然調整していきますから、PERにしろ、ROEにしろ調整していくのでしょうけれども、そういうマクロ的なデフレというところに着目すれば、先ほどから問題になっている賃金が重要になってきて、賃金との実質利回りだと名目金利はゼロにならないと必ずプラスになるんですね。そうすると国債をたくさん持っていたらいいのではないかという議論になりえてしまう。全部持ってという議論ではないでしょうが、少なくともそういう議論がある。けれども、それにはこういうリスクがありますよ、だからやらない方がいいですよと言った方が、国民はわかってくれるのではないかと思うんです。そういう意味合いであります。
 全部国債を買ったらという一番悪いケースだけを取り上げて、そのような悪い運用をしないためには株を買った方がいいというよりも、株を買った場合にこういうリスクがあるけれども、それを避けようとしたら、こういうことをしたらどうかというふうに言った方が国民はわかってくれるのではないかと思うんです。
○ 若杉分科会長
 わかりました。最終案に向けては、そういうことをできるだけ明快に書き込むように考えてみます。
○ 吉冨委員
 いろんなレクチャーにおいては、デフレが名目賃金を下げて、名目利子率との間では必ず実質的な利回り額をできるのか、そうでないのかという議論は皆無だったんですね。といいますのは、年金運用との関係での利回りの話ではなくて、利回りそのものの話だったわけですから、そこはそういうメッセージは出てこなかったわけです。
○ 米澤委員
 仮にデフレが長く続くというのであれば、債券の実質利子はますます出ます。ですから、それが我々確実にそれが予測できるのか。逆にインフレになりますと、もろに今度は債券のデメリットが出てきちゃうわけですね。実質でマイナスになると。名目賃金が上昇するけれども、クーポンは固定されてしまっているということで追いつけないということです。
○ 吉冨委員
 私もコメントで書きましたけれども、インデックスボンドを買えばいいんですね、そのときは。
○ 米澤委員
 インデックス債が出て、しかも大量に買えるようになれば、それは大分話が違ってくると思いますし、それはかなり頼りになるようなアセットだと思います。当局がそういうのを喜んでたくさん出すかどうかは問題だと思いますけど。
○ 吉冨委員
 そのような話は、リコメンデーションしていいんですかね。
○ 若杉分科会長
 わかりました。よく考えます。ほかによろしいでしょうか。
 では4に移ってよろしいですか。「年金積立金の運用と国民経済との関係」ということで、マーケットインパクトのこととか、あるいは議決権行使のことなどを説明しました。いかがでしょうか。
○ 吉冨委員
 議決権行使というのは、株主総会を通してやるということなんでしょうから、株主がみんな寄り集まって頑張るというのは非常に適していると思うんです。だから、これは公的年金であるがゆえに問題になるのですけれども、もしこれだけの規模の私的年金があれば、全く違った議決権行使なんかなくて、それも含むのでしょうけれども、直接的なアプローチがほかの国の年金運用で見られるわけですから、何かそういうものを考えない限り、議決権行使だとほかのところでやっている議決権行使、3兆円ぐらいしか持っていないところの議決権行使と同じになってしまいますので、そこの工夫はやはり必要なのではないでしょうか。私は回答は持っておりませんけれども、そこを何か探っていくということでもない限り、永遠にこれはギャップがあると思いますね。
○ 若杉分科会長
 そういう意味で言いますと、議決権行使についてはいろんな動きが出てきておりまして、正確な名前は忘れましたけれども、公的年金の関係団体が8つ集まって連絡協議会のようなものをつくっておりまして、議決権行使についても情報交換をしていると聞いています。機関投資家、特に公的年金の間でそういう動きなどが出てきております。
○ 竹内委員
 2点あるのですけれども、4と5の両方に議決権行使及びコーポレートガバナンスについての考え方が2回出てくるのですけれども、4の方については議決権行使は直接行うのではなくという、そういう言い方をしていますよね。それは公的なものだから、直接的な支配はしないという、そういうニュアンスです。
 5の方で出てくるのはどちらかというと、コーポレートガバナンスに対しての取り組み、特に「運用対象となる企業が、健全なガバナンスを確立し、効率的な経営により企業収益率を向上させ」、ここについて、議決権行使を通じたガバナンスの在り方について検討を行うべきであるというふうにややボジティブに書かれているんですね。それで本来公的年金に見合った影響力の行使の仕方というものが、議決権行使なのか、それとも本来ならば、株を売ったり、買ったりというのは変ですけれども、そういう形によって本来ならば、企業に対していろんな形でマーケットから圧力がいきますけれども、この公的資金の場合は売ったり、買ったり余りしないわけですから、議決権行使以外のその方法が何があるのかということから考えると、余りコーポレートガバナンスに頼れないのではないかというのが私の感じなんですね。
 その場合に、例えばIRとか、企業からの非常に定期的な、もっとミクロな報告ないしは、経営の改革・改善とか質的な改善についての情報がある程度データベース化されるとか、何かもう少し議決権行使以外の定常的なといいますか、コンティニュアスな方法で、これを見張るというのは変なのですけれども、そういうようなことのニュアンスは出ないのですか。
○ 若杉分科会長
 年金のコーポレートガバナンスへにおいては企業に株主重視を目指した経営体制をつくってもらうことが大きな目的だと思います。そのためには企業とコミュニケーションをとる必要があるわけでして、その一つが議決権行使ですし、その他にも、IRの機会などを利用して株主の声を伝えるということも大事だと思います。7ページの方では議決権行使等を通じたコーポレートガバナンスへの関与のあり方について触れています。
 企業経営者との対話とか、コミュニケーションということにふれてもいいのですけれども、議決権行使について、運用の基本方針が限定的な形であるけれども、議決権行使をするということを宣言しているわけですから、最初にまずそれを実効あるものにすべきではないかという観点で、7ページのこの段落を入れたわけです。
○ 高梨委員
 ここの7ページの段落を本当に書く必要があるのかどうかという問題はあるのですけれども、この程度の表現であればいいと思っています。コーポレートガバナンスは年金のことだけ考えているわけではないんです。年金にしても、公的年金もありますし、企業年金もあるわけです。もちろん株主のことも考えますけれども、従業員のことも考えますし、地域住民のことも、一般国民あるいは消費者のこともいろいろ考えてやっています。ここのところだけで議決権行使で、企業にこうしろ、ああしろとか、あるいはIRで説明に来いというのを、何百社の企業が公的年金のところに説明に行けと言われるのも、これは非常に困るんです。
 企業としては、一般的にIRは進めます。それは、一生懸命やっていきますけれども、年金資金運用基金のために説明に来いという、そういう形で企業の経営に非常に対して、企業側からすれば支配とまでは言いませんが、言われるのは非常に迷惑な話だと考えます。
○ 若杉分科会長
 運用の基本方針では、実際に運用を行う基金が直接銘柄も選択しないし、また直接議決権行使をしないということが明確に述べられています。それを限定された議決権行使と言っているわけです。そして、また、長期的な株主の利益という観点から議決権行使をするとも明記しています。いずれにしろ、それらは民間の運用機関にお任せしますというわけです。その脈絡の中で7ページはあるわけですから、その基本方針で決めた議決権行使を有効に使って、企業にコーポレートガバナンスの確立をお願いするという趣旨です。
○ 高梨委員
 大事なのは6ページのところです。こういうやり方で行きましょうと、きっちり書いてあるわけです。個別銘柄を選択することはやらないとか、あるいは議決権行使は直接にはやらないで委託先に任せると、こういうやり方であれば、それは理解をして、その方向でやっていける。こういう範囲内で、次のところで検討を行うと、こういうことであれば、表現についてはやむを得ないと思っています。
○ 若杉分科会長
 7ページの議決権行使は、あくまで6ページの議決権行使を受けたものとして書かれていますります。どうぞ、吉原委員。
○ 吉原委員
 私も今までこの場でこの議論をしてないものですから、よくわからない点が多いのですけれども、6ページに書いてあることと、7ページに書いてあることというのは少し何か逆方向、6ページに書いてあるのは慎重にやれということが書いてある。7ページば最初にいただいたやつはもっと積極的にやる方法を考えろと書いてあったんですね。多少、そういう積極的にという文言は落ちていますけれども、これはどうなのかなと。
○ 若杉分科会長
 積極的にというのは、検討を積極的にという意味です。
○ 吉原委員
 だから、どういう方向で検討を積極的にやるかということはよくわからないですね。それから、国が民間企業の経営に与えないようなコーポレートガバナンスなんていうのは一体何ですかと。何らかの形で企業の経営に影響を与えない、コーポレートガバナンスはないのではないか。それは国がやってはいかんということかもしれませんけれども、何をおっしゃりたいのかなという気がしてならないのですけれども。
○ 若杉分科会長
 厳密に言いますと、最近の大きな流れは、ガバナンスとマネジメントとを分離する方向に動いています。マネジメントを適切に方向付けるガバナンスを確立するということです。
○ 吉原委員
 ですからガバナンスを確立するというのは、経営に影響を与えないように留意しつつ、コーポレートガバナンスというのは一体何なんですかと。何らかの形で影響を与えないと意味がないのではないですかという、私はそういうふうに思いますけれども、国がしかも支配をしちゃいかんと。それは当然だと思いますけれども、「国の支配」という言葉も私も適当かどうかわかりませんけれども、支配の懸念なんていうのはあり得ない、あってはいかんことだと思いますけれども、どっちにウエイトを置いてあるのかなと、読んで意味がわからないですね。
○ 若杉分科会長
 わかりました。今の説明で趣旨はご理解いただけたと思いますが、高梨委員はここのところはもっとマイルドにすべきだということで。
○ 高梨委員
 むしろ7ページは本来は要らないんだと思うんです。前の6ページだけあればいいですね。
○ 吉原委員
 世の中では大事だということが言われていますし、私もそうだと思います。
○ 若杉分科会長
 「国が民間企業の経営に影響を与えないよう」というフレーズは最初なかったのですけれども、委員からそういうことをきちんと書いていただきたいという要請がありまして、追加しました。もし削除すべきというご意見が強ければ、そうさせていただきます。そのほうが全体として論旨が一貫すると思います。
○ 吉原委員
 影響を与えないコーポレートガバナンスというのは私はよくわからないです。どうなんでしょう。
○ 若杉分科会長
 表現上は確かに混乱しているという感じがありますので、少し工夫をいたします。
○ 高梨委員
 我々が決めたというと語弊がありますが、運用の基本方針を定めているわけです。その中に、「国が民間企業の経営に影響を与えないように」というのは既に入れてあるんです。そういう前提条件がありますので、積極的という表現は、私たちとしてはどうしても受入れられないので、削っていただいたのです。
○ 若杉分科会長
 繰り返しますが、積極的というのは、積極的な検討という意味で入ったのです。
○ 吉原委員
 どういうスタンスでやるかということがある。
○ 若杉分科会長
 ここは確かに紛らわしいので、運用基本方針の表現を使うなどしてもう少し工夫し、混乱が生じないような表現に変えます。
○ 寺田年金資金運用基金投資専門委員
 今の議論と絡むのですけれども、私も2箇所に出てくるから、最初の方をもう少し字句を少し直すなりして、ここに議決権行使は株主の利益を最大化するような観点を持ちながら、運用機関がそういうことをやるのだという表現にすれば、それでいいと思うんです。こういう二つ分かれている問題点は、後ろの方は年金の運用の在り方でなくて、これは社会的な発言なんですよね。こういうことをやるのだったら、例えば運用機関はもっと競争的になりなさいとか、運用機関の運用の質を高めなさいとか、そういういくつかの問題が重要なことがあると思うんですね。なぜコーポレートガバナンスに限って社会に発言するかと、そういう問題があると思うんですよ。
 何か二回も出てくると、そういうバランスの問題も考えて、年金資金の運用の向上というのが我々のねらいなのですから、それはコーポレートガバナンスも絡むのだけれども、もっとほかにもいっぱいあると思うんですよ。このままだとコーポレートガバナンスだけが突出した印象になります。
○ 若杉分科会長
 6ページの「民間企業支配」という語を削除しまして、7ページのコーポレートガバナンスのところにうまく盛り込むということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。6ページにそれがあるのは国が株を持つことによって、国の企業支配になるのではないかという多くのかたがたの懸念を払拭するためです。
○ 米澤委員
 これは十分に議論をされて、我々としては当たり前の前提であって、今回新たにつけ加えるというほどのものではないですね。6ページは取って、さらにそれに関していろいろ議論してくださいということで7ページに付けるというのは、その方がすっきりしているなという感じです。
○ 若杉分科会長
 コーポレートガバナンスというかどうかは別として、株主の長期的な利益という観点から、企業がそういう経営をしてくれるように、議決権行使を通して要請をするという趣旨がはっきりするように7ページのその部分は書き換えます。
○ 竹内委員
 それだと、さらに問題が全然解決されない。要するに、6ページを活かすのであれば、7ページの「一つは」というところの、「コーポレートガバナンス(企業統治)への取り組みである」というのを取ってしまって、「運用対象となる企業が、健全なカバナンスを確立し」、ここの文章は非常に重要なんですよね。これは絶対残したいわけです。つまり何らかの形で影響力を行使したいという意思は出すと。その後で受けるのであれば、「議決権行使等を通じないコーポレートガバナンスのあり方についても」じゃないですか。もし整合させるのであれば。いわゆる質的な運用体制あるいは競争体制、公的年金として、こういう経営のあり方等々、社会的な意味を持たせるのであれば、通じないコーポレートガバナンスを検討すべき。
○ 若杉分科会長
 行使しないなんて言っていません。
○ 竹内委員
 しないとは言ってないけど。
○ 若杉分科会長
 直接は行使をしないということを言っているだけで、株主の利益の観点から議決権行使をすることは名言しています。直接行使しないことを限定された行使と表現しているわけですけれども、それをきちんと民間の運用機関にやってもらおうというのが7ページの趣旨です。6ページと7ページということで、確かに近いところにあって重なっている気がしますので整理いたします。どちらかということであれば、7ページを残すべきだと私は思います。
○ 高梨委員
 5ページのところから6ページにかけては、運用と国民経済との関係という、そういう観点からいくつかの項目について意見を述べているわけですね。そういう意味で、民間企業に資金が還流するということはいいじゃないか、国民経済の発展にも貢献するのではないかと、こういうことを書いたり、それから市場へのインパクトの問題も、こういう点があるから大丈夫ですよと。それから、また企業支配につながるおそれがあるというご心配もあるけれども、株式の運用は、こういう制約の下でやるようにしているから、そういうご心配は当たりませんよと。こういうふうに、国民の中にはご心配なさっている方もいるわけですので、そういう観点からここのところで書いている。そこのところの一つを飛ばしてしまっては、ちょっと私としてはどうかなと思いますね。
 そういう意味で、6ページの方はきちんと活かしておく必要があると思うんです。
○ 若杉分科会長
 6ページはそういう配慮から書いているのですが、7ページはまた別の観点から書いています。したがって7ページを削ると意見書の趣旨がまったく異なってしまいます。ですから、ここはもう少し書き方を工夫して、残すべきだと私は思います。表現はもう少し変える方向で検討してみたいと思います。
○ 高梨委員
 書きぶりが大事なんです。問題は書きぶりがどっちの方向に行くかというのが大事でございます。
○ 若杉分科会長
 いい企業になってくださいと言われることが、なぜ、そんなに困ることなのですか。そこがわかりません。それはともかく、表現を見直す方向で検討します。
○ 高梨委員
 現在の7ページの表現については、民間企業の経営に影響を与えない、こういう条件といいますか、それがきちんと記載されておりますので、そういう前提で、コーポレートガバナンスの在り方についての検討を今後もすることについては、その場でまたいろんな意見は申し上げるにしても、それはやむを得ないかなと思っています。
○ 若杉分科会長
 ありがとうございます。吉原委員の言われた民間企業に影響を与えないようという文言は、場所とかをちょっと工夫しまして、マッチポンプにならないような表現にしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。高梨委員、どうぞ
○ 高梨委員
 今はどこを議論していますか。
○ 若杉分科会長
 最後までとなりました。
○ 高梨委員
 5もひっくるめてよろしゅうございますか。
○ 若杉分科会長
 5もひっくるめて結構です。
○ 高梨委員
 5だけで申し上げるわけでもないのですが、私自身、株式を含む分散投資で行くべきだと申し上げてきましたし、また、基本ポートフォリオを今直ちに変える必要はないと、申し上げてきました。今回のペーパーはそういう内容になっておりますので、この点についてはいいのではないかと思っています。
 ただ、6ページの一番下の「○」のところ、16年度に改革が予定されているから、「その際には、利回り等についても」云々のところなのですけれども、「厳しい経済状況を踏まえ、より慎重な前提を置いた上で」というような表現は私は要らないと思います、というのは、まだ、これからその議論をするということで、先ほど分科会長もおっしゃっておられましたが、年金部会の方でも議論をしていくわけです。それから、我々この資金運用分科会の方においても、これからどうするかということの議論をしていくわけでございます。
 当然のことですが、昨今のような厳しい経済情勢も勘案しなければならんと思いますけれども、前のところに書いてありますように、年金は数十年という単位での制度といいますか、長期のことを考えていくのが年金の運用なわけです。ここで厳しい経済情勢を考える必要はないとは全く思いませんけれども、そういう諸々のことを考えれば、今の時点でこういう方向性みたいなことを書く必要はない。いずれこういうことでいくかどうかということの議論は進めていくのでございましょうから、ここのところは今申し上げたような部分は切ってしまって、利回り等についても所要の見直しを行うことになるとか、あるいは必要な見直しを行うことになるとか、そういう表現にして、その所要の、あるいは必要な見直しはこれから分科会なり、年金部会なり、そういうところで進めていけばいい。さっきの期待収益率がどう変動するかということによって、構成比がどうなるかというのもあるわけです。それは一方的に今どうだということにもならないわけでございますので、そこのところはここまで書き込む必要は今の時点ではないと思います。
○ 吉原委員
 今の高梨さんのと私は違った意見といいますか、感じを持っているのですけれども、要するにこれは全体として読みまして、先ほどもお話が出ましたけれども、今のままでいいのだというニュアンスが非常に全体として強いんですね。それでいいのかなという、何かもう少し、別に株式の投資がもちろんあっていいのですけれども、ですから結論的にはこれでいいと思うんですが、全体の状況認識というものがいかにも、これでいいのかという感じを個人的には持つし、一般の国民の方々も、運用は今までどおりでいいのだということを、そういう答申をしたと、意見を出したと。果たしてそれでいいのかなという感じを、大和委員なんかも今の経済状況、これは単に厳しいとか、厳しくないということではなしに、今までとは全く違った、構造的に変わりつつある、その認識が足りないのではないかというふうにも思えるので、私は状況としては、厳しい認識をしているよと。しかし運用そのものは、だからといって、株をすぐやめる必要はないのだという感じがもう少しうまく、表現は難しいですけれども、出た方がいいのではないかということで、いかにもこれは保守的でこのままでいいのだと。今、株をやめろというのは間違いだというような全体としてのトーンが強過ぎるのでどうかなという感じを持っているということを申し上げておきたいと思います。
○ 若杉分科会長
 確かに6ページから7ページにかけては、吉原委員のおっしゃることもっともですが、読む人によっては方向を感じるかもしれませんですね。「平成16年には財政再計算がなされるが、そこでは前述したような厳しい経済状況を踏まえ、年金制度の改革が予定されている」という表現についてはいかがですか、高梨委員。それに伴って、当然、予定利率等についても検討が行われるでしょう。ここで「より慎重な前提を置いた上で」という表現は確かに方向をはっきり示唆しているようにも読めます。その文章は除いた方がよいかもしれないですね。もちろんここで「考えられる」と言っているわけですから、あくまで方向については曖昧です。予定利率は、本来、年金部会が決める話ですからこの辺で打ち切って、そろそろ結論に移りたいと思います。ここで「より慎重な」というフレーズはなくてもいいような気がします。大和委員何かありますか。
○ 大和委員
 今の点につきましては、私も吉原委員や、あと吉冨委員が指摘されましたように、もっと多くの人は本当に心配をしているので、それを取り除くようにもう少しきちんとした論証をしてあげた方がいいと思うんですけれども。今の文言の問題に関しては、厳しい経済情勢を踏まえ、「より慎重な」というのを除くだけでもいいと思いますが、この点についてはそういうことなんですけれども、もう一つ、この中で指摘させていただいてよろしいですか。
○ 若杉分科会長
 はい。
○ 大和委員
 4行目ぐらいからなんですけれども、「その際には、国債満期保有運用のあり方」云々という文言がありまして、直前にいただいたペーパーでは、安全性を重視するという観点からこれを検討するという書き方であったのですが、安全性重視のことは消えたのですけれども、ここに突然出てくる趣旨がよく分かりませんでして。先ほど事務局の方のご説明ですと、市場へのインパクトとか、あるいはそもそも債券を持つとして今のインデックスをそのまま持つのが適切であるかどうか、という問題は、いろいろと今までも議論されておりますし、債券の持つリスク・リターンの特性がそのまま活きるような形であれば、インパクトをなくし、あるいはコストが少なくなるような方法としての国債満期保有、あるいはイミュナイゼーションという言葉が適当かどうかわかりませんが、もうちょっと満期構成を考えて頻繁に入れ換えしなくていいような方法を検討すべきだというのは、そういう趣旨であればわかるのですけれども。そうであれば、ここに挙げるよりは、もう一つ別の項目として、株のパッシブ運用に対応するものとして、債券の保有の仕方としても、もう少しコストをかけないインパクトの少ない方法を考えるべきだというふうな書き方がいいのかなと、その方が意味がわかるのではないかという気がいたしました。
○ 若杉分科会長
 7ページの、「その際には」のところを「○」で独立させて、「債券運用については、国債満期保有のあり方を含めて運用の仕方を考える」と、いうようなことですか。
○ 大和委員
 その趣旨がわかるように、これですと、どういう趣旨で書いたのかわからなかった。
○ 若杉分科会長
 わかりました。
○ 大和委員
 もう一点、よろしいですか。小さなことなのですが、6ページ目の5の最初の段落ですけれども、「以上の検討から……適当と考えられる。なお、……株式運用は行うべきではないとの意見もあった」というのは、ちょっと文言、文章の表現の仕方について、少し唐突なので、これを一番最初に持ってきまして、「株式運用を行うべきではないとの意見もあったが、以上の検討から……大勢を占めた」というような書き方の方がいいと思いました。
○ 若杉分科会長
 わかりました。そういうことで、小島委員、どうぞ。
○ 小島委員
 今、指摘されたことですが、私はこの結論に対して異議があるという立場で、賛成しかねるということで、最後に「なお」書きで私の意見を書いてもらいたいということです。私も意見をいろいろ言ったけれども、全体としては、変える必要がないというのだふうになると、結論として、私もそれに同意したことになります。大勢はそうかもしれませんけれども、私としてはそれには同意しませんということで、「なお」書きでぜひ入れてくださいということです。分科会の総論に対して別の意見があったということをはっきりと明記してもらいたい。
 それと、委員からという表現が適切でなければ、「被保険者の立場から」、あるいは「被保険者を代表する委員から」ということを明記してもらいたいと思います。ここの分科会というのは、まず保険料を払っている被保険者、そして、もう一方の事業主の代表と経済・金融の専門家の皆さんでつくっているということになりますので、被保険者の代表である私の意見でありますので、そこをはっきりと明記していただきたいと思います。
 それと結論だけの文章になっていますけれども、もう少し説明文を付けてもらいたいと思っております。今まで言ってきたように、「株式運用は運用リスクが高い、あるいは市場リスクが高く、公的年金の性格からいって、安全性を最優先する観点から、株式運用は行うべきではない」といったような、少し理由を付けてもらいたいと思っております。また、「との意見も」でなくて、「意見があった」ことにしてください。
○ 若杉分科会長
 わかりました。この5のところは、今、「今後の課題等」となっていますが、このタイトルは「結論と今後の課題」にいたしまして、最初のところは結論を述べます。内容が区切れますので、「○」をもう一つ追加しまして、「被保険者を代表する委員からは、これこれこういう理由から、株式運用は行うべきではないとの意見を主張した」というようなことで、全体のボリュームのバランスをも考えながらそういう趣旨のことを入れてみたいと思います。
○ 泉運用指導課長
 多少今のあたりは、私どもでも小島委員からもいろいろご意見ちょうだいしているのでご相談させていただいて、また座長ともご相談させていただければと思います。
○ 若杉分科会長
 どうぞ、米澤委員。
○ 米澤委員
 もう時間が大分。
○ 若杉分科会長
 はい、そうです。そろそろ。
○ 米澤委員
 1点 7ページ、"パッシブ"という言葉が出てきて、私はこれも入っているかと思ったのだけど、最近、特に竹内委員などがおっしゃっている個人投資家がいない、ないしはそういう投資家がいないもとで、パッシブが中心、そのウエイトが高くなっていることによる問題点が指摘され始めたので、そのことに関してどうこうでなくて検討を加えると。要するにパッシブ中心になったのだけど、この市場環境下でそれでいいのかどうか、検討を加えるというのを入れておいた方がいいのかなという、この時期に出した報告書で、そのことが触れられてない点はちょっとまずいかなという感じが今しているのですが、私はそれで、アクティブのウエイトを高めろということまでにはまだ考えが整理されてないのですが、そのことをまるきり触れてないというのはちょっと問題かなということで、それに関して検討するというところで挙げておく必要があるのではないかということです。
○ 若杉分科会長
 ここでパッシブという私の理解では、分散投資で長期保有ということです。そういう趣旨でずっと書いているつもりです。このような趣旨だったらどうですか。
○ 米澤委員
 マーケットではもう少しアクティブを認める必要があるのではないかというのが最近出てきている。
○ 若杉分科会長
 ですから、ここでTOPIXとして、全部の銘柄を持つことについては問題があると言っているわけです。
○ 米澤委員
 そういうふうに読めということのわけですね。
○ 若杉分科会長
 そうです。
○ 米澤委員
 私も最初そうかなと思ったのですが、それでニュアンスが出てくるのか。
○ 若杉分科会長
 公的年金として、直接、東証の中に投資に値しない会社があるから投資をしないとは言えません。しかし、賢い運用の観点からは、東京証券取引所のすべての株式を持つことは好ましくないという意見が強くなっています。良い銘柄だけを選んで分散投資・長期保有のパッシブ運用をすればよいのです。全銘柄を含むTOPIXを基準にすれば、一部銘柄を持たない運用は確かにアクティブです。しかし、基本は分散投資・長期保有で、まさにパッシブ運用の考え方です。米澤委員も、単純にTOPIXを選ばないという意味でアクティブだということを言っておられるのだと私は理解しております。
○ 米澤委員
 趣旨は同じであるのですけど。
○ 若杉分科会長
 同じだと思います。
○ 米澤委員
 書きぶりで、ちょっとその後、お願いするかもしれないです。
○ 若杉分科会長
 国が指数に関して直接企業を選別するみたいなことをここで述べたくないという気持ちが働いています。
○ 吉冨委員
 最後に小島委員が言われたことでちょっと気になるけど、ここの意見は被保険者の立場も考慮した結果、こうなっているわけですよね。
○ 若杉分科会長
 はい、そうです。
○ 吉冨委員
 だから、被保険者というよりも、何といいますか、小島委員の意見というのでないと、被保険者の立場になるとこういう意見で、この意見はほとんど非被保険者というふうなトーンが出ますよね。それはまずいのではないでしょうか。
○ 若杉分科会長
 小島委員は確かに被保険者を代表する委員ということになっていますが、我々だって被保険者のことを考えている。
○ 吉冨委員
 ほとんどそうじゃないですか。
○ 小島委員
 「代表」を付けるとなかなか難しいでしょうから、「被保険者の立場から」とか、「……の観点から」とか。
○ 吉冨委員
 より被保険者の関係からこうなっている。
○ 若杉分科会長
 我々はみんな被保険者のことを考えています。被保険者のことしか考えてないと名言できます。
○ 吉冨委員
 そうです。だから「ある委員は」で。
○ 若杉分科会長
 そこももう少し見直します。福井委員、どうぞ。
○ 福井委員
 私、株式の組み入れについて、特に基本的に異議がないし、特にどこの文章を直せばというふうな修文は申し上げていないのですが、今日の議論を聞いておりましても、最後にちょっと気になりますのは、本当に最近の株式の動き、この先の経済とか株価の動きを見て、国民が何となく心配しているという部分のくみ上げ方とか、そこにちょっと丁寧に答えるとかという部分が若干欠落していないかなという少し心の中に残っているんですね。 特に4ページのところの真ん中の株の動きと物価の動きは、必ずしも連動するものではないと、これは理屈でそうなんですね。これは一つは理屈で割り切っている。その次に、これについて企業が保有する資産の価値に株価が下がって近づいているとか、配当利回りが、長期金利を上回る水準となっている銘柄があるとか、株主利益重視の経営に転換する企業が現れている。確かにこういう意見を識者がおっしゃったわけなんですが、何となく、だからもう大丈夫なんだという感じを与え過ぎるのは、心配を少し逆なでしているような印象を与えないでもないと。
 私、前にもちょっと発言させていただいたことがあるのですけれども、経済のパラダイムシフトで企業の収益の上げ方は基本的に変わってきている。だけど、企業は必ずしも、まだ新しい収益モデルに到達していないというところがあるものですから、ここまで楽観的にはちょっと言えないところがあるんですね。そのニュアンスを少し入れた方が国民の心配には丁寧に答えることになるのではないか。難しいところなんですけれども、だから、何といいますか、銘柄、過去のパターンをそのまま将来には引き延ばせないから銘柄選択とかベンチマークの立て方等々、やはり工夫が要るのだという部分が、今後の検討課題で全部先に言っちゃっていいかどうか。あるいは、それを割としっかり意識していますよという感じのことが多少あった方がいいような気がするんです。
○ 若杉分科会長
 ですから最後に言われたパラダイムシフトは議決権行使のところで思いを込めて。
○ 福井委員
 そこに込めているわけですね。
○ 若杉分科会長
 はい。それでデフレについては、理論的にも確定した議論がないわけです。短めに書こうとすれば、中途半端で論旨が偏っているなどの批判が生ずる。他方、デフレ経済論を書き出すときりがない。それでは、いろいろな有識者や何かから意見を聞いたけれども確かな結論が出せなかった、というようなことを書き入れましょうか。それとも、ここだけ詳しく展開するのは、唐突すぎますか。
○ 吉冨委員
 でも、それはわからないけれども、こう決めたという無責任な感じを与えますね。
 これ、デッドラインがあるんですか、何か分析の深みがわからないんですね。だから本当にこのバックに、例えば20ページぐらいの何かがあって、データも含めて、そして、これがエキスとして5〜6枚出てきたというのだったらわかりやすいのですけれども、中身を議論しているのか、文言を議論しているのか、ちょっとそういうところがわからないので、文章の性格をある程度はっきりした方がいいのではないか。それはデッドラインとの関係がありますから、今からいっても間に合わないかもしれませんけど。
○ 若杉分科会長
 デッドラインについて、は事務局はどういうふうに考えていますか。
○ 泉運用指導課長
 今月中にといいますか、できれば本日いただいたいろいろなご意見を踏まえて文言の修正をさせていただいて、次回、来週を考えておるのですが、そのときにはまとめていただければと。今、吉冨委員からいろいろなデータがあった方がということがありましたけど、なかなか時間との関係からいくと厳しいかなと正直思っているところでございます。
○ 高梨委員
 進め方の問題なので、事務局にお任せするしかないのですが、去年ですと、既に移行ポートフォリオをどうするかという問題の議論をしている時期なんですね。ここの方針がきっちり固まった上で、移行ポートフォリオをどうするかという議論を、もう4月からの話ですからやらないといけない。ですから、次回あたりには移行ポートフォリオの案も出してもらって議論をして、4月に間に合うようにしないといけないのではないですか。
 ですから私自身は、小島委員はいろいろなご意見もあったから、そこの表現ぶりの点はきちんと整理をした表現にしないといけないのでしょうけれども、方向としてこうだということも今日の場できっちり決めておいて、若干の字句の修正の問題は分科会長にご一任するような方向でいかないと、ちょっと時間的になかなか制約があるのではないでしょうか。
○ 若杉分科会長
 もう少し早くまとめたかったのですけれども、デフレと株式市場との関係に関して決定的な結論がなかなか出ないものですから、識者の方にご意見を聞くなどしていて遅くなってしまいました。しかし、いくら延ばしてもきりがありませんし、また、年金部会の方で新しい予定利率等の議論が始まると思いますがそうするとこちらも忙しくなります。したがって、意見書は、次回で確定したいと考えております。事務局にとってもそれが望ましいのですね。
○ 井口年金審議官
 すいません、1点だけお願いなんですが、先ほど7ページ目で、国債の満期保有運用の在り方というのが、先ほどの整理をいただいたことで全く問題ないのですが、その中身で、実は私ども関心を持っているのが財投債の引受けがかなり額がたまってきまして、その位置づけが必ずしもはっきりしないなというご意見も一部からいただいていますし、私どもも、若干そこの位置づけが不明確だなという問題意識がありまして、今度国債の中でどういう運用をするかということの中で、この議論をしていただく中で、できますれば、財投債というのが持ち切りスタンスということを原則にしているものですから、その際にはポートフォリオを組むときに、要するに満期保有ということになりますけれども、そのポートフォリオの組み方と売買を前提とするような組み方とでポートフォリオを組むときに違いがあるのか、ないのか、その辺も併せてご議論をいただくと大変ありがたいなと。
 財投債の引受けというのは、財務省との交渉ごとになるものですから、それが決まったからこれだけというのはなかなか当面はしにくいのですけれども、何らかのスタンスがありますと、いろんな議論もしやすいし、全体的な150兆の内訳の中身全体が見通しがしやすくなるのかなということですので、それも併せてご議論をいただければありがたいなということで、お願いでございます。
○ 若杉分科会長
 時間も参りました。今日も皆さんからいろいろご指摘やご意見をいただきました。これまでもいっぱいいただいていたのですけど、また、今日、今までの何倍も出てきたような感じです。次回は来週の木曜日、13日ですね。1週間しかありません。この間に新しく案をつくり直しまして、個別に委員の皆さんとご相談しながら、なるべく13日に意見がまとまるような形で努力していきたいと思います。ぜひご協力をお願いいたします。
 それでは、今日は十分に議論していただきましたので、これでおしまいにしたいと思います。
 次回以降の日程について、事務局から確認してください。
○ 泉運用指導課長
 次回は来週13日(木)午前10時ということでお願いしたいと思っております。場所はまたご連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○ 若杉分科会長
 どうもありがとうございました。本日はこれで終了いたします。


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