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HTLV−1抗体検査の実施について(案)


I HTLV−1抗体検査の取扱いについて

 ・ HTLV−1(成人T細胞白血病ウイルス)は、まれに成人T細胞白血病を起こすことがあるレトロウイルスである。

 ・ 輸血による感染のおそれがあることから、
(1) 昭和61年9月18日付け薬発第775号「献(供)血血液に対するAIDS及びATL抗体検査の実施について」(薬務局長通知)等により、
全ての献血血液に対する抗体検査を実施すること
全ての血液製剤について検査済みのものが供給されるよう
としていた。
(2) 昭和61年9月18日付け薬発第776号「献(供)血血液に対するAIDS及びATL抗体検査の実施について」(薬務局長通知)においても、
また、ATL(成人T細胞白血病)抗体検査についても・・・(略)・・・国内における供血血液において、AIDS抗体検査と同様に実施
としていた。

 ・ HTLV−1は、分画製剤の原料血漿による感染の可能性が低く、感染事例の報告もないことから、
(3) 昭和61年9月18日付け薬生第105号「献(供)血血液に対するAIDS及びATL抗体検査の実施に伴う血液製剤の取扱いについて(通知)」(薬務局生物製剤課長通知)により、
(1)国内献(供)血血液を原料とする場合
「(中略)原料となる血液は、AIDS及びATL抗体検査を行ない、陰性のもののみを使用する。」
(2)上記(1)以外の場合
「(中略)原料となる血液は、AIDS抗体検査を行ない、陰性のもののみを使用する。」」
としていた。

 ・ また、以下のような通知も発出されている。
(4) 平成11年3月30日付け医薬血第32号「HTLV−I抗体検査陽性献血者に対する結果通知及び相談事業について」(医薬安全局血液対策課長通知)
HTLV−I抗体陽性血液は使用しないこと

(5) 平成12年12月28日付け医薬審第1848号「生物学的製剤基準の一部改正について」(医薬安全局審査管理課長通知)
輸血用血液製剤の原料たる血液について・・・(中略)・・・抗HTLV−1抗体検査を義務付けたこと。・・・(中略)・・・血漿分画製剤の原料たる原血漿についてB型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA及びヒト免疫不全ウイルスRNAに対する核酸増幅検査を行なわなければならないこととし、・・・(以下略)


II 現在の検査体制

 ・ このように(1)・(2)・(3)・(4)では、輸血用血液製剤、血漿分画製剤を問わず、国内献血血液を原料とする場合は、HTLV−1抗体検査を行なうこととしているのに対し、(5)は、輸血用血液製剤のみについてHTLV−1抗体検査を義務付けており、矛盾した内容である。

 ・ 現在、(1)・(2)・(3)・(4)を根拠に、現在、国内献血血液については、輸血用血液製剤のみならず、血漿分画製剤に用いる場合についても、HTLV−1抗体検査が行なわれている。


III 今後の取扱いについて

 ・ 今般の薬事法改正に伴い、薬事法第42条第1項に基づき新たに生物由来原料基準を制定することとしている。この基準(案)の検討に当たって、日本赤十字社から別添1のとおり要望があったことから、平成15年1月10日に開催された薬事・食品衛生審議会生物由来製品臨時部会において、国内献血を血漿分画製剤の原料とする際のHTLV−1抗体検査の実施の要否について審議が行われた。

 ・ その結果、別添2のとおり、血漿分画製剤の原料血漿にはHTLV−1抗体検査を要しないとする生物由来原料基準(案)が同部会で了承された。

 ・ このため、(1)・(2)・(3)・(4)の通知について、国内献血血液についても、血漿分画製剤に用いる場合は同検査を要しないと改正することにより、今般策定する生物由来製品原料基準との整合を図ることとしたい。


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