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資料1−1

期限表示の用語の統一に関する委員の発言要旨
(第2回、3回 食品の表示に関する共同会議より)


品質保持期限と賞味期限の用語・定義の統一について

1. 品質保持期限と賞味期限の用語・定義の統一について

(1)品質保持期限と賞味期限の用語の統一について
用語 支持する理由 留意点
品質保持期限
 「品質」という用語には、「安全性」と「色やにおいなどの適切性」の両方の概念が入る。
 食品は、もともと安全であることを前提としていることから、品質の中に安全性は入らない。
 「品質保持期限」とすると、「可食限界」としか受け取られないのではないか。法律や省令等を作成しても、受け手が理解しなければ無意味であり、消費者へ浸透させることが大切である。その意味で、「賞味期限」で折り合いをつけてはどうか。
賞味期限
 消費者は、「賞味期限」に慣れており、なじみがある。統一した場合の消費者への普及啓蒙がしやすい。
 賞味期限の方が多くの商品に使用されており、包材の改版コストが低く抑えられる。
 限られた表示スペースの有効利用の観点から、文字数が少ない方がよい。
 期限が比較的長い食品の期限表示は、可食限界に安全係数をかけて短く設定しており、可食限界そのものを示しているのではないので、賞味期限という用語が適切。
 「賞味」という語は、広辞苑にも掲載されている。内容をきちんと表す日本語的に良い言葉である。外国にも、このような良い言葉はない。
 日持ちの長いものは、可食期限に安全率をかけるのではなく、食味等の劣化する期限に安全率をかけていると思う。言葉の意味からしても、「賞味期限」の方が内容を表しているのではないか。
 使用実態の調査結果は、これまでの経緯が結果に現れているに過ぎず、参考にはならない。○ 包材の件については、十分な移行期間を設けることで解決できるのではないか。
 食品の中には、味のないものや、歯ごたえを楽しむもの、おいしくないもの、だしをとるなど2次、3次加工するものもあるので、賞味では限定的すぎる。
 病気等で味覚に障害がある人もおり、この人たちにとって、賞味という用語はふさわしくない。
 法律用語には中立性が必要であるが、賞味という用語には宣伝も入っており、主観的にすぎる。
 定義と用語が一致することも必要であり、用語と定義をセットで考える必要があり、現在の統一案では、品質保持期限となるのではないか。
第3の用語
 早急に結論を得るのではなく、消費者が理解しやすい用語をもっと検討してはどうか。
 「○○日までおいしく食べられます」のような表現や、「賞味適性期間」「賞味保証期間」というような新語の導入も考慮に値するのではないか。
 「期限」という文字はこれを過ぎると即座に食せないというニュアンスがあるので好ましくない。「Best Before〜」の方がわかりやすいが、日本語でうまく表現できない。
 フランスの様に、消費期限に「勧奨」を修飾語として付すことも考えられる。こうすれば、消費者への普及啓蒙もしやすくなるので、検討の余地があるのではないか。
 「期間」や「賞味保証期間」「期限」という言葉には「それを過ぎたら食べられない」というニュアンスがあり、この言葉を使わないほうがしっくりする。「期間」は、「その間は賞味が十分に保証される」という意味になる。
 「慣れ」も分かりやすさの大きな要素である。
 現行の期限表示については、消費者、事業者の間で理解がほぼ定着している。
 「期限」以外の用語を使って、いつまで食べられるのかという判断は誰がするのか。誤解を招く可能性がある。
 新語については、期限表示導入時に議論されており、今さら困難ではないか。
 在庫の包材の廃棄等、社会的コストがかかる。特に、中小企業にとっては、大変である。
 どんなものでもいつかは慣れるのであるから、「慣れているから」というのは理由にならない。何も変えることができないことになる。
 「期間」は、どこまで食べられるのかの情報であるが、個人差もあり、それを過ぎた後の判断は、消費者により異なる。
 どんな用語を使用しても、消費者教育を充実していけばいいのであって、賞味期限でいいのではないか。
 「保証期間」には、期間を過ぎた場合は保証しないというニュアンスがあり、「賞味期限」で良いのではないか。
 賞味期限でも、品質保持期限でも、両方同じような問い合わせを受けている。新しく作っても、問い合わせの内容は変わらないと思われる。
 スペースに余裕のあるメーカーは、任意で「○○までおいしく食べられる」等と記載している。用語として規定するのではなく、可能なものについては、任意表示として推奨していくことも可能ではないか。
その他 消費者等への情報提供について
 用語の意味の消費者への情報提供に関しては、インターネットや、パンフレットの活用が必要である。
 「期限を過ぎるとすぐに捨ててしまう」などの誤解が多い。消費者への普及啓発も重要であるが、まずは消費者が誤解を生じない表現を考えるべきである。
 これだけ注目されている問題であり、新しい言葉にならないのであれば、この期限を過ぎても、「直ちに食べられなくなる」というような消費者の誤解があるという状況は解消するためにも、消費者等にどう知らしめていくのか、考える必要がある。


(2)品質保持期限と賞味期限の定義の統一について

<参考> 第3回共同会議提出 事務局案
統一案 定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限
統一案
(英訳)
"Date of minimum durability"The date which signifies the end of the period under any stated storage conditions during which the product will retain any specific qualities.

ご意見 留意点
 食品衛生法、JAS法とも「品質の保持」という概念が入っているので、食品衛生法に合わせてくれるとありがたい。
 事務局案は、妥当性の高い定義であると思う。
 Codexの定義では、最後の一文で、「日付を過ぎたものも食べられなくなるものではない旨」を記載しており、このような内容も定義の統一案に反映させる必要があるのではないか。
 期限が過ぎるとすぐに捨ててしまう消費者もいる現状を考えると、自己責任の考え方も入ることから、Codexの定義の最後の文言は是非欲しい。
 Codexの定義のHowever以下を入れれば、消費者等にも分かりやすい。
 定義案の中の「物」というのは、「食品」をさすのか、「添加物」まで含まれるのか。
 However以下は、説明的事項であり、定義自体に付け足すことが必要か、各国の国内法を調べた上で、検討が必要ではないか。


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