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生物由来原料基準に対するパブリックコメントの対応について(案)


 全体について

1. 本基準に規定されている各基準間(たとえば、動物細胞組織製品原料基準、動物由来原料基準、反芻動物原料基準)が相互に上乗せされるのか等を明確にするため、上乗せ的でないものについては、各基準の冒頭に他の基準の対象となるものを除く旨の記載を明確にする。(動物由来原料基準においては、細胞組織製品原料基準の対象となる原材料を除く等)

 通則

1. 直接人体に接することがない製品については、基準の適用を除外する規定を加える。

2. 本基準で使用される用語について既に他の基準等で定義が行われているものの定義を追加する。

3. 医薬品や医療用具の製造工程で直接的に用いる「原料又は材料」と原料又は材料の由来となる動物等から採取された「原材料」(プールされたものも含む。)の関係を明確にする定義を置く。これに伴い、記載の整備を行う。

4. (質問)「本基準に規定する方法に代わる方法で、それが規定の方法と同等又はそれ以上の場合は、その方法を用いることができる。ただし、その場合にあっては、薬事法に基づく、承認の際に規定するものとする。」については、現行の試験方法に代わる方法が確立された場合でも、承認に規定されないと採用できないのでは最新の科学技術の進歩に会わせることが困難となるのではないか。

(答)
(1) 本基準に規定された項目と異なる考え方によらなければ実施できない場合などに、本基準に適合する場合と同等の品質、安全性を保証できるものであれば、承認毎に個別に妥当性を判断して、代替することができることとする趣旨。
(2) 本基準自体が個別の試験方法を規定するものではなく、本基準に規定された項目への適合性を代替する試験方法で行うことを制限するものではない。
(3) たとえば、細胞組織製品等の原材料の細胞・組織に規定される感染症に関する検査の再検査について、製造において製品の特性からみて再検査を行う暇がない場合に他に代替できる方法で安全性を担保する場合などである。

現行(案) 修正(案)
5 本基準に規定する方法に代わる方法で、それが規定の方法と同等又はそれ以上の場合には、その方法を用いることができる。ただし、その場合にあっては、薬事法に基づく承認の際に規定するものとする。 9 本基準の規定事項に代わる事項で、それが規定の事項と同等又はそれ以上の場合とみなせる場合には、その事項を準用することができる。ただし、その場合にあっては、薬事法に基づく承認の際に規定するものとする。

4. 「生物学的製剤基準各条医薬品中、ロットを構成する血液製剤については、医薬品各条で規定する製造工程のいずれかで無菌試験及び発熱試験を行わなければならない。また、ロットを構成しない血液製剤の場合は、医薬品各条に規定する方法で抽出した製品について無菌試験を行わなければならない。」は本来別途定められている「生物生物学的製剤基準」の医薬品各条に関する注意であるため、通則からは削除する。


 血液製剤総則

1. (質問)輸血用血液製剤総則3において、原材料を保存する場合の温度条件である「1〜10℃に置く」は、採血から製造所までの輸送を指しているものではないことを明確にしてほしい(採血直後は30℃以上。)。

(答)保存する場合は、いずれも原材料をその後の使用の目的で、製造所内で保管をする場合と解される。

2. 血漿分画製剤総則3においては、輸血用血液製剤の保存条件と整合させ、「6℃」を「原材料を保存する場合は、凍結を避けて10℃以下、原材料(2)及び(3)を保存する場合は、10℃以下に置く。」に改める。

3. 血漿分画製剤総則6の原材料及び原血漿の記録については、「原血漿の作成」を「原血漿の製造」とし、また、輸血用血液製剤総則と整合し、「供血者の検診に係る記録(診療録等)」を追加する。

現行(案) 修正(案)
(1) 原材料を採血した採血所名
(1) 原材料を採血した採血所名
(2) 原材料を採血した年月日
(2) 原材料を採血した年月日
 
(3) 原血漿に用いた供血血液の供血者の検診に係る記録(診療録等)
(3) 原材料及び原血漿の検査結果(血清学的検査、核酸増幅検査)
(4) 原材料及び原血漿の検査結果(血清学的検査、核酸増幅検査)
(4) 原材料を採血する作業及び原血漿を作製する作業の経過
(5) 原材料を採血する作業及び原血漿を製造する作業の経過
(5) 原材料及び原血漿の製造番号
(6) 原材料及び原血漿の製造番号
(6) 原血漿に用いた供血血液の供血者を特定する番号
(7) 原血漿に用いた供血血液の供血者を特定する番号


 人尿由来原料基準

1. 人尿由来原料基準において、個々の提供者の尿に対する取扱いとプール尿の取扱いが基準の記載方法が混在し、どの段階で検査を行うべきかわかりにくいとの指摘があり、記載を明確にする。

現行(案) 修正(案)
 原材料として用いられる尿について、感染症に関する適切な検査が行われ、病原微生物等に汚染されていないことが確認されていること。(以下、略)
 原材料として用いられる尿について、ドナー毎又は複数のドナーから集められたプール尿の適切な段階において、感染症に関する適切な検査が行われ、病原微生物等に汚染されていないことが確認されていること。ただし、(以下、略)
 複数のドナーから集められたプール尿については、適切な段階において、感染症に関する適切な検査が行われ、微生物等に汚染されていないことが確認され、少なくともB型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA及びヒト免疫不全ウイルスRNAに対する核酸増幅検査を行わなければならない。(以下、略)
 ドナー毎又は複数のドナーから集められたプール尿の適切な段階において、感染症に関する適切な検査が行われ、微生物等に汚染されていないことが確認され、少なくともB型肝炎ウイルスDNA、C型肝炎ウイルスRNA及びヒト免疫不全ウイルスRNAに対する核酸増幅検査を行わなければならない。(以下、略)


 人細胞組織製品原料基準

1. (質問)「採取された当該細胞又は組織について、必要に応じて感染症に関する最新の知見に照らして適切な検査が行われ、」とされているが、細胞・組織等の採取時から承認時点までの時間経過により、感染症の知見が発展し、知見に乖離がみられないか。

(答)承認され、広く医療に使用される際の審査の判断として、必ずしも最新の手法に基づくデータである必要はないが、新しい知見に照らし、リスクがベネフィットを上回ると判断されれば、承認はされるべきではないものである。


 人由来原料基準

1. セルバンクを利用した人細胞等を利用して細胞培養により成分を生産する場合があることから、他の各基準(動物由来原料基準等)の同様の記載と整合化する。

現行(案) 修正(案)
 ヒトに対して感染性及び病原性を示す可能性のあるウイルスを否定するために、原材料となる細胞・組織に対して、ウイルスを検出する必要な試験を行うこと。
 ヒトに対して感染性及び病原性を示す可能性のあるウイルスを否定するために、原材料となる細胞・組織(特性解析されたセル・バンクを出発基材とし細胞培養により生産される製品については、細胞株や培養終了後の細胞を含む。)に対して、ウイルスを検出する必要な試験を一度は行うこと。


 動物由来原料総則

1. 反芻動物原料基準: 同基準は、平成13年10月2日医薬発第1069号の原産国と動物の使用部位の規制を元に作成されているが、同通知では脂肪酸及びその誘導体、グリセリン、アミノ酸は、EU等が指定する加熱及び処理条件に合致するものは適用されていないため、反芻動物原料基準の記載も同通知と同趣旨であることを明確にする。

2. 反芻動物原料基準:反芻動物に由来する原材料の記録については、「原材料の採取日又はと畜日」について、乳糖その他の原材料では、厳密にと畜日までの記録を確認することは困難であり、それと同等の代替する記録をでも可とする。

3. 反芻動物原材料においては、原産国の規定に適合しないものであっても、その原料の入手先が限定されている場合などは、BSE感染動物を使用しない、BSE対策が実施されている、動物性飼料を使用しないことが証明できる場合には使用が認められており、その趣旨も規定から分かるものとする。

現行(案) 修正(案)
I.反芻動物由来原料基準 I.反芻動物由来原料基準
 反芻動物より採取された原材料については、次に掲げる部位に由来するものが使用されたものであつてはならない。ただし、脂肪酸、グリセリン、脂肪酸エステル、アミノ酸、(オリゴ)ペプチドその他高温及びアルカリ処理により製するものを除く。

   脳、脊髄、眼、腸、扁桃、リンパ節、脾臓、松果体、硬膜、胎盤、脳脊髄液、下垂体、胸腺又は副腎
 反芻動物より採取された原材料(脂肪酸、グリセリン、脂肪酸エステル、アミノ酸、合成オリゴペプチドその他高温及びアルカリ処理により製するものの原材料を除く。以下反芻動物由来原料基準において同じ。)については、次に掲げる部位に由来するものが使用されたものであってはならない。

   脳、脊髄、眼、腸、扁桃、リンパ節、脾臓、松果体、硬膜、胎盤、脳脊髄液、下垂体、胸腺又は副腎
 反芻動物に由来する原材料(乳由来成分及びラノリンを除く。)の原料動物の原産国は次に掲げる国以外の国であってはならない。ただし、羊毛、ラノリンは除く。また、乳由来物は、英国、ポルトガル以外の原産国を除く。
(国名略)
 反芻動物に由来する原材料の原料動物の原産国は次に掲げる国以外の国であってはならない。ただし、羊毛、ラノリンは除き、乳由来物(英国、ポルトガル以外を原産国とするもの。)を除く。
(国名略)
 反芻動物に由来する原材料は、安全性確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項に関する記録が整備、保管されていなければならない。
(1) 原産国
(2) 原材料の採取日又はと畜日
(3) 原材料について伝達性海綿状脳症を防止するための処理及び作業の経過
(4) 原材料ロットの製造番号
 反芻動物に由来する原材料は、安全性確保上必要な情報が確認できるよう、次に掲げる事項に関する記録が整備、保管されていなければならない。
(1) 原産国
(2) 原材料を作製した日
(3) 原材料の由来動物の飼育・と畜の状況
(4) 原材料について伝達性海綿状脳症を防止するための処理及び作業の経過
(5) 原材料ロットの製造番号
4  治療上の効果が原材料のリスクを上回る場合において、反芻動物由来原料基準1又は2に適合しない原材料をやむを得ず使用する場合は、その妥当性につき、薬事法に基づく承認の際に規定することとする。
4  治療上の効果が原材料のリスクを上回るその他必要な場合において、反芻動物由来原料基準1又は2に適合しない原材料をやむを得ず使用する場合は、その妥当性につき、薬事法に基づく承認の際に規定することとする。

4. (質問)動物由来原料基準: 動物に由来する原材料から生産される医薬品等の成分であっても、複数の製造工程を経て製造される物等原材料の由来となる動物の健康状態の確認が困難なもの(通常化学物質と同等に流通される物、家畜として飼育される以外の動物に由来する物、昆虫等)の取扱いを明確にしてほしい。

(答)
(1) 脂肪酸誘導体、界面活性剤、ステロイド、合成ペプチド、ゼラチン等については、動物に由来する原材料を用いていても、化学物質として同定できるまで分解され、無菌性及びウイルスの確認を行うまでもなく、細菌、ウイルスによる感染リスクが極めて低いことは科学的に公知である(別紙にリスト)。その過程で熱処理、化学処理が通例行われている医薬品等の原料については、「動物由来原料基準」の適用からは除外する。ただし、プリオン伝播のリスクについては、単に化学処理等によっても消滅しない可能性が否定できないものであり、反芻動物原材料の場合は「反芻動物原料基準」は適用されるべきである。
(2) 魚類並びにまむし等のは虫類、昆虫類、みみず及びその類縁動物の原材料は、人との共通のウイルス感染症のリスクの可能性が低く、経口・経皮で使用される限りにおいては、無菌性及びウイルスの確認を行うまでもなく、細菌、ウイルスによる感染リスクが極めて低いことは科学的に公知であり、「動物由来原料基準」の適用からは除外する。

現行(案) 修正(案)
III.動物由来原料基準
 動物に由来する原材料は、承認において別に規定する場合を除き、健康な動物に由来するものでなければならない。健康な動物に由来することが確認できない場合にあっては、無菌性が担保されており、ウイルス感染リスクの検証が行われていることを確認すること。
III.動物由来原料基準
 動物に由来する原材料(細菌・ウイルスの感染リスクが否定されていることが科学的公知のものとされるものの原材料を除く。以下動物由来原料基準において同じ。)は、承認において別に規定する場合を除き、健康な動物に由来するものでなければならない。健康な動物に由来することが確認できない場合にあっては、無菌性が担保されており、ウイルス感染リスクの検証が行われていることを確認すること。

5. (質問)動物由来原料基準:医薬品製造用のマスターセルバンク、ワクチン等のマスターシードの樹立に用いるバンク化され市販されている細胞等の原材料について直接的に基準は適用されず、原材料としてはマスターセルバンクにおける感染症検査等が実施されることが求められていると解してよいか。

(答)解してよい。


別紙 リスト(平成13年11月26日医薬審発第1552号審査管理課長通知による。)

DL-セリン コハク酸ゼラチン ポリエチレングリコール脂肪酸エステル
L-アスパラギン酸及びその塩類 コハク酸プレドニゾロン ポリオキシエチレンオレイルエーテル
L-アラニン コレカルシフェロール ポリオキシエチレンコレスタノール
L-アルギニン コレステロール ポリオキシエチレンセチルエーテル
L-イソロイシン コレステロールラノリン脂肪酸エステル ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート
L-カルボシステイン シアノコバラミン ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
L‐カルボシステイン 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン ポリオキシエチレンラノリン
L-シスチン ジステアリン酸ポリエチレングリコール6000 ポリソルベート
L-シスチン ジプロピオン酸ベタメタゾン マクロゴール400
L-システイン ショ糖脂肪酸エステル モノオレイン酸ポリエチレングリコール
L-システイン ショ糖脂肪酸エステル-S モノオレイン酸ソルビタン
L-システィン塩酸塩 ステアリルアルコール モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン
L-セリン ステアリン酸 及びその塩類 モノオレイン酸ポリグリセリル
L-チロシン ステアリン酸ポリオキシル類 モノステアリン酸グリセリン
L-チロジン セスキオレイン酸ソルビタン モノステアリン酸ソルビタン
L-トリプトファン セタノール モノステアリン酸プロピレングリコール
L-トレオニン ゼラチン モノステアリン酸ポリエチレングリコール
L-バリン ゼラチン加水分解物 モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン
L-ヒドロキシプロリン ソルビタン脂肪酸エステル モノラウリン酸ソルビタン
L-フェニルアラニン タンニン酸アルブミン ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲン
トリエタノールアミン
L-プロリン デオキシコール酸ナトリウム ヨークレシチン
L-ロイシン デキサメサゾン・ソジウムメタスルホベンツアート ラウリルアルコール
L‐塩酸システイン デキサメタゾン ラウリル硫酸ナトリウム
N‐アセチル‐L‐システイン デスオキシコール酸ナトリウム ラクツロース
N‐アセチル‐L‐システイン デヒドロコール酸 及びその塩類 ラクトビオン酸
N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム トリアセチン ラクトビオン酸エリスロマイシン
N-ヤシ油脂肪酸/硬化牛脂脂肪酸
アシル-L-グルタミン酸ナトリウム
トリアムシノロンアセトニド ラノリン
N-ラウロイル-L-グルタミン酸
ジ(コレステリル・オクチルドデシル)
トリオレイン酸ソルビタン ラノリンアルコール
αモノイソステアリルグリセリルエーテル トリステアリン酸ソルビタン ラノリン脂肪酸コレステロールエステル
アセチルしょ糖変性アルコール 95vol% トリ牛脂脂肪酸グリセリル リンゴ酸システイン
アマコールCAB 乳糖 リンゴ酸システイン
アルファカルシド-ル ハイドロキシアパタイト リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム
イソステアリン酸 ハードファット リン酸ベタメタゾン及びその塩類
ウルソデオキシコール酸 パナセート810 リン酸リボフラビンナトリウム
ウルソデスオキシコール酸 パルミチン酸イソプロピル レシチン
エタノール・無水エタノール パルミチン酸セチル 塩酸L‐エチルシステイン
エピジヒドロコレステリン ヒオデオキシコール酸メチル 塩酸L‐メチルシステイン
オレイルアルコール ビタミンA+D2末 還元ラノリン
オレイン酸 ビタミンB12 吉草酸ベタメタゾン
オレイン酸デシル ビタミンD 吉草酸酢酸プレドニゾロン
カプリル酸、カプリン酸 ビタミンD2 脂肪酸(牛脂由来)
ガラクトース ビタミンD3 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン
カルシトリオール ヒドロキシステアリン酸コレステリル 親油型モノステアリン酸グリセリン
牛脂 ヒドロコルチゾン 酢酸ゴナドレリン
牛脂硬化油 ファルネシル酸プレドニゾロン 酢酸デキサメタゾン
グリセリルトリアセチン フェニルエチルアルコール変性アルコール 95vol% 酢酸パラメタゾン
グリセリン フランカルボン酸モメタゾン 酢酸ヒドロコルチゾン
グリセリンオレイン酸エステル フルオシノニド 酢酸ブセレリン
グリセリン脂肪酸エステル フルオシノロンアセトニド 酢酸プレドニゾロン
ケノデオキシコール酸 プレドニゾロン 水素添加卵黄レシチン
ケノ酸 プロチレリン 精製卵黄レシチン
ゲラニオール変性アルコール 95vol% ベタメタゾン 中鎖脂肪酸トリグリセリド
コール酸 ペンタオレイン酸デカグリセリル 乳酸カルシウム
コハク化ゼラチン ペンタステアリン酸デカグリセリン 卵黄レシチン

注) 上記のリストに収載されているものと同等の成分(例えば、アルキル基の異なるエステル、側鎖の長さ等が異なるのみの脂肪酸、界面活性剤、重合度が異なる脂肪酸エステル等)については、客観的に上記のリストに収載されているものと同様とみなすことができる。


(参考)

BSEに関する不活化処理条件として現在適当と考えられているもの
(平成13年10月16日医薬審発第1434号審査管理課長通知から)

(1)  脂肪酸及びその誘導体、グリセリン等
 欧州医薬品庁の発行する「人用及び動物用医薬品を介した伝達性海綿状脳症の伝播リスクを最小限とするためのガイダンス(2001年5月発行)」では、脂肪酸及びその誘導体、グリセリンであって、過酷な物理的・化学的工程を経て製造されるものによる感染は起こりにくいと考えられているとされているが、その場合の処理条件としては、次の例示がなされている。
(1)  加圧下で、200℃以上最低20分間のエステル交換反応又は加水分解を行うもの
(2)  12M水酸化ナトリウムで処理を行い、
 バッチプロセスとして、95℃で3時間以上の工程
 継続プロセスとして、加圧下140℃以上8分以上、又はそれと同等の工程

(2)  その他の原料
 異常プリオンの一般的な不活化方法は、「WHO Infection Control Guidelines for Transmissible Spongiform Encephalopathies,Report of a WHO Consultation (2000.3) AnnexIII)」に掲げる次の方法を参考とすることができること。
(1)  高圧蒸気滅菌、化学的方法(耐熱性のもの)
 水酸化ナトリウム(1モル濃度121℃30分間)で処理後、水で洗浄し、通常滅菌。
 水酸化ナトリウム又は次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度2%)で1時間処理後、121℃1時間の高圧蒸気滅菌、洗浄、通常滅菌。
 水酸化ナトリウム又は次亜塩素酸ナトリウム溶液で1時間の処理後、水洗い、121℃又は134℃1時間高圧蒸気滅菌後、通常滅菌。
 水酸化ナトリウム(大気圧下、10分間煮沸)処理後、洗浄、水洗い、通常滅菌。
 次亜塩素酸ナトリウム(こちらを優先)又は水酸化ナトリウム(室温下1時間)処理後、洗浄、水洗い、通常滅菌。
 134℃18分間の高圧蒸気滅菌(脳組織が表面に焦げ付いて完全には取り除くことができず、感染性が高い状態のもの)
(2)  化学的方法(非耐熱性のもの)
 水酸化ナトリウム(2モル濃度)又は次亜塩素酸ナトリウム原液をかけて、1時間放置後、水洗い。
(3)  高圧蒸気殺菌、化学的方法(乾燥したもの)
 121℃1時間高圧蒸気滅菌(水酸化ナトリウム又は次亜塩素酸ナトリウムに抵抗性の小さい乾燥物)
 134℃1時間の高圧蒸気滅菌(大きな乾燥したもの及びその他の大きさの水酸化ナトリウム又は次亜塩素酸ナトリウムに抵抗性のないもの)


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