03/02/27 第15回労働政策審議会雇用均等分科会議事録           第15回労働政策審議会雇用均等分科会            1 日時: 平成15年2月27日(木)15:30〜17:30 2 場所: 三田共用会議所会議室 3 出席者:   労側委員:岡本委員、秋元委員、片岡委員、佐藤(孝)委員、吉宮委員   使側委員:前田委員、志村委員、吉川委員、遠藤委員   公益委員:若菜会長、渥美委員、樋口委員、奥山委員、佐藤(博)委員 ○分科会長  ただいまから、第15回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は山崎 委員が欠席です。また、雇用均等・児童家庭局長と審議官のお二方は、国会対応のため 欠席されるとのことです。  それでは議事に入ります。議題は前回に引き続きまして、「今後のパートタイム労働 対策について」です。前回の均等分科会では、これまでの議論を踏まえて公益委員を中 心にまとめた報告のたたき台をお示ししてご議論をいただきました。そのときにいろい ろご意見が出されました。その後も労使から出された意見を基に事務局を通じて公益委 員として整理をし、かつ調整したものを本日の分科会でお示ししております。お手元に お配りしたものがそれです。本日は修正された報告案についてご議論をいただきたいと 思っております。  ご議論をいただく手順として、まず公益委員から主な修正のポイントの考え方につい て説明していただきます。そのあとで事務局からその他の修正箇所について説明してい ただき、その後報告案について皆様からご意見をいただければと思います。  それでは、修正の主なポイントについて公益委員から説明をお願いいたします。 ○公益委員  それでは説明いたします。今回の報告書を取りまとめるに当たりまして審議を何度か 行いましたが、明らかになったことはパートタイム労働法の領域に関して、労働側と使 用者側の間に決定的な隔たりがあることがわかりました。公益委員として労使が合意で きていないとしても、現在の状況下において、やはりパートタイム労働者の雇用管理を 1歩でも2歩でも改善していくというような、いわば実践的な対応策を示すことで、労 使の歩み寄りを期待するというような基本的な認識に基づきまして、指針の改定という 手段を提示することとしております。  以下、主な修正点について説明いたします。2頁の第3パラグラフですが、昨年末の ワークシェアリングに関する政労使合意において、短時間正社員に関する記述について 、記述されている場所の関係で労使双方から、今後の法制化議論に言及していると読め てしまい、疑義を生ずるという指摘がありました。公益委員として、ワークシェアリン グに関する政労使合意に関しては、短時間正社員に関する取組みも取り上げられたとい う事実もありますが、今後のパートタイム労働対策として重要な意味合いを持つと考え ております。したがって、記述する場所を配慮した上で残すことと考えております。  次に、4頁の2に「短時間正社員」と出ておりますが、この報告書でいう「短時間正 社員」については、労働側から定義がはっきりしないというご指摘がありました。今後 のパートタイム労働対策との関連が明確でないというご指摘も踏まえて、短時間正社員 が何であるかという具体的事例について周知するために、モデル事業を展開することを 明らかにするとともに、確認的にここでいう短時間正社員の定義も記述しました。  5頁から6頁にかけてですが、5の「税、社会保険制度」について記述があります。 ここでは税、社会保険制度について労働側から、働き方に中立的な制度への見直しに向 けた検討が求められていることを、基本的な考えとして明記すべきであるという指摘を 受けております。これに新たに第2パラグラフを追加しました。  また、年金保険、医療保険の見直しについては、短時間労働者に対する適用拡大の具 体的な検討が今後進められようとしていることを踏まえて、労使を含めた国民的な議論 が必要との認識を示したものです。なお、企業の配偶者手当に関するパラグラフが前回 ありましたが、この点は今回削っております。その点は2頁の第3パラグラフの中の「 個々の企業において労使で議論を重ね、共通の理解を得て従来の雇用慣行や、制度の見 直しに取り組むことが必要である」という記述の繰り返しになるという判断をしたため に、労使に判断していただきたいということで、配偶者手当に関するパラグラフは削っ ております。以上です。 ○分科会長  その他の修正箇所について、事務局からご説明をお願いいたします。 ○事務局  そのほかの修正箇所について説明いたします。1頁目の第2パラグラフの下のほうで す。「パートタイム労働者の平均所定内給与を通常の労働者と比較すると」のあとの部 分に「職種や勤続年数を調整しても、なお格差が残っており、その拡大傾向がみられる 」という部分が修正されております。これは使側委員より、職種調整をしても合理的な 範囲とも言える可能性があるとの指摘がなされまして、そこについては、パートタイム 労働者と正社員の平均所定内給与を、職種や勤続年数を調整しても格差の拡大傾向が見 られるという事実で記述しております。なお、ここでの記述はあくまでもマクロ的な経 済指標で見たもので、合理的な理由に基づくものかどうかという判断は、個別の企業の 中でみていくものかと思われます。  次のパラグラフに「中長期的にみて」というところで、「多様な働き方が労働市場全 体の著しい不均衡をもたらすことのないよう、労使双方にとって望ましい形で広まって いくことが重要である。そのための」というところが追加されております。労側委員か らの意見を踏まえたものです。  3頁の上から3行目の「労使の自主的取組を促進する」というところで、「自主的」 という言葉が追加されております。4頁の上のなお書きのところですが、ここは1月31 日の報告案においては、全体と比較してやや技術的な内容であるという指摘が使側委員 からありましたので、ここではその趣旨を踏まえながらも、人材活用の仕組み等の中に 「家族的責任を考慮した運用が含まれることが望まれる」という基本的な考え方の記述 に変更したものです。  (5)の「その他」のところです。3行目の「労使が取り組んでいく必要がある」を 「労使が自主的に取り組んでいくようにする」と修正しております。次の行において、 1月31日の報告案では「業種別や規模別に企業の取組」となっていましたが、「国とし ては、通常の労働者とパートタイム労働者との間の公正な処遇の実現に向けた取組に関 する企業の好事例」と修文しております。これについて職務評価手法の開発について記 述すべきとの意見が労側委員から出されましたが、国としては通常の労働者とパートタ イム労働者との間の公正な処分の実現に向けた取組みに関する企業の、具体的な好事例 の情報収集、情報提供を行い、環境整備を図っていく中で、職務評価等についても好事 例を収集していくということで、このような修文になっております。  その下の行で、「労使団体等に情報提供をし」が前には「労使が企業において」とあ りましたが、そこが削除されております。これは企業だけでなく産別等幅広い取組みを 期待するといった観点からも削除されております。2番目の「短時間正社員」について は、公益委員から説明がありました。  3番目の「関係行政機関等の役割」ですが、第1パラグラフのところですが、1月31 日の分科会で労側委員から、労働基準監督行政についても指摘すべきとの意見が出され ました。第1パラグラフでは、監督署も含む労働局の機能について記述をし直しました 。その関係で、第2パラグラフの冒頭も「都道府県等では」という記述になっておりま す。  5頁の上から2番目のパラグラフの「これらの対応に加え」の次に「相談者への行政 サービスの観点から」を追加して記述されております。その下にある労働局、監督署、 安定所の担当業務について周知徹底を図ることについて、「相談者への行政サービスの 観点から」を追加しております。その下の行において、「関係諸機関においては、企業 における関係労使が通常の労働者も含めた処遇のあり方について、全体的な見直しを十 分に行うことも重要であることに配慮しつつ、連携の強化を図ることにより」というと ころが追加しております。この記述は2頁の「個々の企業において、労使で議論を重ね 共通の理解を得て、従来の雇用慣行や制度の見直しに取り組むことが必要である」とい う記述を踏まえての修正です。  同じ頁の4の「その他の雇用管理改善に係る事項等」という項が追加されております 。この項は1月31日の分科会における意見を踏まえまして、新たに追加したものです。 (1)は疑似パートについて、(2)は有期労働契約に関してということで記述されて おります。  5の「パートタイム労働の就業に影響を及ぼしている税、社会保険制度」のところで すが、最初のパラグラフの就業調整においては、パート自ら調整するものもいるわけで すが、「事業主から就業調整を促されている場合もある」という、労側委員からの意見 もありまして、その記述が追加されております。以下の部分は公益委員から説明をいた だいたとおりです。修正された箇所については以上です。 ○分科会長  いまご説明いただいた報告案について、労使の委員の方々からご意見があれば伺いた いと思います。よろしくお願いいたします。 ○使側委員  前文のところですが、今回修正があったところについて説明がありましたが、「職種 や勤続年数を調整しても、なお格差が残っており、その拡大傾向が見られる」というこ とですが、前にこちらの分科会の席上で販売職とSEでしたかIT産業だったと思いま すが、職種を限定して調べていただいたことがあったかと思いますが、その中では必ず しも格差が大きいということでもないのではないかという話もあったかと思います。そ ういうことはここには全く反映されないことなのでしょうか。 ○公益委員  これは職種を個別に取り出したときに、拡大しているものと拡大していないものがあ ります。販売などはそれほど拡大していないという話でした。ここでの議論は、例えば パートタイマーの職種がフルタイムと同じであればとか、どちらか揃えたときにどうか という話ですので、全体として職種を揃えたときにどうかという話です。ですから、い くつかの職種を取り出せば、もちろん縮少している職種もある。全体としてみると拡大 しているという趣旨なのですが。 ○公益委員  ご指摘のとおりです。いまご指摘の2つの職種ですが、こちらで検討したものは販売 とIT関連だったでしょうか。これについてはそれほど大きな格差はないという図が示 されましたね。そのほかの職種については、厳然とした差があったことから、細かく記 述すればご指摘のとおりになるかもしれませんが、そこは傾向として細かいことまで記 述はしていないというようなことだと思います。 ○使側委員  そうであれば、私の個人的な考えからすれば、差がない職種もあるのだということを 公にしておいてあげたほうが、全体のためにもいいのではないかと思いますし、一生懸 命やっている業種もあるわけですから、これですとどんどん悪くなる一方だけというイ メージになってしまうのではないかという危惧を持ちますが。 ○公益委員  使側委員のご意見は、販売、ITについての格差はそう大きくないけれど、これとこ れとこれとこれについては格差が大きいという記述をしてほしいと。 ○使側委員  ここでやったような、例えば販売職ですとかいくつかの業種については、改善されて いるというのか、それほど差がないものもあるけれどもというような書きぶりで入れて いただいたほうが、正しい情報を皆さんに与えることができるのではないかと思います 。 ○公益委員  差の大きい職種では逆に困りませんか、そういう記述は。 ○使側委員  どこは大きいというふうに書くのかどうかわかりませんが、ここでやったときにそう いう差のない業種もあったことはたしかですから。そして、販売の業種というのは、そ こに携わっている人数も多いとすれば、販売の業種と限定して書いていただかなくても いいですが、どう表現するかわかりませんが、職種によってはそれほどでもないものも あるけれども、ということは入れていただいたほうが、実態に近いのではないかと思い ます。 ○労側委員  いまの議論に関連して、多分ここで言おうとしている趣旨は、処遇の実態はどうかと いう、ここで記述しようとしているのは、対策を講ずるに当たっての現状認識だと思い ます。配られたデータの中にも、「企業側は何でパートの方を雇うのですか」という理 由の中に、人件費コストの削減がいちばん多かったです。調整がしやすいというのが2 番目の要因です。正社員を雇わずにパートで人件コスト削減ということからいきますと 、結局処遇格差が安く上がるかということですね。  そういう意味で考えると、もちろん厳格にどのように認識をするかということもあり ますが、そういうことも背後にあるということを言うのが大事なのであって、どの職種 がどうという個別の問題ではないのではないかと思います。そのデータを認めるか認め ないかということもありますが、出されているデータはそういうデータですから、あま り拘ることはないのではないかと思います。使用者側は差がないと言っていますから、 そうありたいですが、少し違うのではないかと思います。 ○公益委員  職種と勤続年数を調整してみたときに、ほとんど差がないという記憶はあります。マ クロで見て8割程度が平均値ではないかと思います。そうすると、やはり差がある。イ コールではないと見るべきではないかと思います。8割というのは例えば、丸子警報器 事件で、公序良俗違反になるかならないか、ぎりぎりクリアというレベルであって、こ れは格差としては厳然たる格差があるのではないか。職種や勤続年数を調整してみても 、格差はあると認識したほうが、マクロの認識としては当たっているのではないかなと 思うのですが、いかがなものでしょうか。 ○使側委員  マクロな要因で調整するとしても、勤続年数が同じパートタイムと通常の労働者がい た場合に、例えば職務の異動等の差というのはここでも調整しきれていないだろうと思 います。そういう意味では、マクロの指標をとったとしても、正確な比較になっている とは思いにくいです。 ○公益委員  ここで言っているのは事実を言っているだけで、これが差別だとか何とかと言ってい るのではなくて、賃金構造基本調査を見たときに、「事実として格差がマイルドに残っ ており」とまで言っているのです。その拡大傾向が見られるという表現です。この間の ご指摘でむしろ平均値だけでは語れないのではないかというご指摘が使用者側からあっ たと思いますので、そのためにここでこういう表現を入れたということです。 ○公益委員  別にイコール不合理な格差であるとは言ってないですか。 ○公益委員  言ってないです。 ○使側委員  もしそういう部分の文言の問題であるならば、全体的とは言わないが、「多くは職種 や勤続年数を調整しても、なお格差が残っており」という、歩み寄った言葉の表言に変 えていただくと、使側委員がおっしゃった意味は網羅できるかと思います。 ○分科会長  それはご意見として承っておきまして、次回までに調整をさせていただきたいと思い ます。そのほかの点で何かありますか。 ○労側委員  各論はいくつかありますが、先ほど公益委員から決定的に労使の隔たりがある中で、 1歩でも実践的にするために指針改正を提案しているという、ものの考え方の基本を述 べられたので、その辺の公益側のご苦労はわかりますが、私どもが今回課せられている 分科会の役割といいますか、正社員同士の問題もありますし、いくつか難しい問題もあ りますので1歩前進ということですが、難しい背景は何なのかということを考える際に 、難しいから1歩だという話と、逆に言うと10年間やって改善されていないのだから、 大胆にチャレンジしてみようではないかという発想だって、あっていいわけですよね。  私どもはまさに組合として組合自身の問題、再三述べていますが、正社員だけの組合 で、パート労働者の組合は仲間に入れてもらえない問題、何とかそこを修復改善したい と。そういう場合に、組合自身の課題も改善しなければならないと。我々自身も、いろ いろな問題にチャレンジしようとしているのです。  そういう中で、個別の企業の労使の話し合いと、我が国全体の社会的なルールづくり という問題と、レベルが違うわけです。我々が議論したのは、社会全体のところでどう 考えるか。今後の労働市場を含めてどう考えるかという方向性も視野に入れて議論すべ き話だと思います。いまこうだからということも確かにある。しかし、数年後はどうな るのかというときに、毎年毎年見直しをするわけではありません。ある程度期間を要す るわけですから、そのときに将来を見据えてどうするかというスタンスもないと。労使 の隔たりは確かに大きいですが、今後の労働市場を考えたときに何が問われるかという ことに、公益委員の皆さんの観点があっていいと思うし、多分研究会報告もそういう視 点で議論されていたと思います。  ところが、出てきているのは努力義務規定による指針改正。指針はよくなるのだとお っしゃっていますが、公益委員の皆さんはどのように改善するかという見通しが立つの かと。そこが納得できない。  一方で使用者の皆さんは労働時間の長短も合理的理由には入る。雇用形態の違いも入 る。すべて入りますと事業主の方がおっしゃっているときに、公益委員の皆さんは変わ る、変わるとおっしゃっています。どのように変わるのか、全然期待されない。むしろ 使用者側は正社員の処遇の問題がいちばん問題であって、パートと正社員の問題ではあ りませんと断言されているわけです。  最近の新聞では、日本経団連の会長さんも、正社員とパートの体系は違っていいとお っしゃっています。そういう状況の中で公益の皆さんがいくら力説しても納得できない 。こう変わるという実践的になるというけど、どのように実践的になるのか。そこをも う1回説明していただかないと、議論に乗れないのです。各論はありますが、期待して くれと言われても。  もう1つ専門家にお聞きしたいのですが、労使労働関係の法律で、10年間も努力義務 規定が続いて、なおかつ続けると。そういう法律があるのかどうか。例えば60歳定年制 を定めた雇用安定等の法律についても、60歳以上の定年制についてもはっきり入ってい ます。あるいは障害者雇用促進法だって、雇用率について罰則が入っています。法律自 身が前に出ているわけですよ。パート関係の法律では、努力義務規定を10年間続けて、 さらにまた続けるということは、果たしてどういうことなのかというのを、専門家にお 聞きしたいし、そういうものがあるのかどうか、それもわからない。そういうことを公 益委員の皆さんにお聞きしたいと思います。改善がどのように期待されるのか、もう1 つは努力義務規定を10年間続けて、さらに続けることの法律上の有効性。今日出された 「その他」でも言っていますが、多分このままいったら数年かかるでしょうね。もっと かかるかもしれません。ずっと努力義務規定が続くというのは、どういうふうに説明が つくのかお聞きしたいと思います。 ○公益委員  全部にお答えできるかどうか自信がありませんが、労働市場の見方としては、多様な 雇用形態がどんどん進行しているということだろうと思います。正社員の中にも、正社 員以外の非正社員の中にも、多様な形態がどんどん進行しています。全体として多様化 ということが、最大の労働市場を突き動かしていると。こういう状況にどう対応するの かということが大きな問題で、均等問題もまさにその問題を真正面から受けていると思 います。  パートの場合も、まさにパートタイム法が最初に発案されて施行されたときから、い ちばん大きな時代的な変化が多様化の進行の中であって、今回のような均等問題が、多 様化の現状の位相で発案されて提起されているということであると思います。  そういう観点から、この検討会でいちばん中心になっている均衡処遇を、多様な雇用 形態の中で、パートタイムとフルタイムの均等をどう実現するかという、実践的な課題 というものを我々はそれに立ち向かったのだろうと思います。ここで提案されているも のが、単に均衡を欠く職場、企業の中で実現していく1つの方法はこういう方法でどう でしょうかと。つまり、職場に実現していくための具体的なルールを提案したと言える と思います。具体的にはこれを基に各企業なり職場で労使等で話し合って、今後定着し ていってもらえたらという枠組みであると思います。その範囲を我々は議論してきたと 思います。  そういう現状と我々がようやく持ちえた道具の中で、これ以上何ができるかというと きに、法制化するとかしないとかいろいろな議論がありましたが、具体的に法律的な枠 組みを策定していくという目標を持った場合、実際に妥当なものが出せるのかと考えた ときに、我々は労働側から提起されているものを考えても、法律の枠組みの中に取り入 れてきちんと定置化するということは難しいと判断しています。  我々がようやく到達した、均衡を実現するためのこういう方法ならば、中小企業にお いても1つの基準に基づいて、パートタイムの均衡化を図っていけば、うまく定着して いくのではないかと。その位相で今回は議論していると。法制化は将来への課題として 、今後パートタイムの均衡が各職場の中で定着していく現状を見ながら、それと同時に 正社員を中心に企業の中で雇用管理のいろいろな改善が図られていくでしょうから、そ ういうものを見通しながら、それに対応して社会保障や税制度というものも、それに対 応した改革がなされていく。そういう全体的な変化の中で、法制化の基本的な枠組みが さらに構想されていけばいいと。現実的に今回の場合には、指針という形で各職場のレ ベルで実践していく枠組みを提示するのが、現実的な今日の現状を考えた場合には適切 なスタンスではないかと。  10年考えて努力で終わって、いまの段階で議論したにもかかわらず、先に行かないの ではないか。何を考えて我々はこういう案を出してきたのかと問われたわけですが、私 の考えとしては議論の経緯を踏まえると、いまのような説明になるのです。お答えにな っていませんでしょうか。 ○公益委員  パート労働法ができて10年経って改善しないというのは、努力規定だったから改善し なかったのではなくて、第3条のフルタイマーとパートタイマーを公正処遇、均衡なり 均等はいいと思いますが、具体的にどうすれば均衡なのかということが、労使で共通の 理解がなかったからです。努力義務規定だったから改善が進まなかったのではなくて、 いままでの指針でフルタイマーとパートタイムの公正処遇のあり方について、考え方が 労使で共有されていなかったというのが最大の問題です。  それについていつから議論を始めたのかというと、ものさし研です。3、4年前です 。今回それが労使である程度合意できているということは、私はすごく大きな前進だと 思います。私は努力義務規定だから改善しなかったのではないと思います。フルタイマ ーとパートタイマーの公正処遇のあり方、具体的にどうすれば公正処遇なのかについて 、共通理解がなかったから進展しなかったのではないかと理解しています。 ○労側委員  でも、研究会報告には法律上の問題があると指摘しているのではないですか。努力義 務規定という。いまおっしゃられた処遇のルールというものをものさし研でかなり整理 されたと言っていますが、先生がまとめた報告でも法律上の問題があると。加えて労使 交渉は機能していないということまで言及しているではないですか。そこが全然違うの です。確かに均衡とは何かというのは、その解釈に出ていますよ。 ○公益委員  そちらのほうが問題ではないですか。 ○労側委員  しかし、法律の欠陥だってあるのですよ。 ○公益委員  法律が明確に書かれていないという問題はありますよ。 ○労側委員  そこでまた違ってくるのですが、均等には触れていますよ。だから、タイプで議論さ れているわけじゃないですか、その流れの中で。 ○公益委員  パート労働法の中の均衡といったときに、具体的に何かということは書かれていない ですね。それは問題ですね。今回指針できちんと書いてあります。 ○労側委員  就業形態とか細かく書いていますよ。もちろん、ものさし研みたいに詳しくないです よ。最終的にこういう場合には言うと書いてありますよ。例えば流通グループなどでパ ートが多い所は、かなり進んでいるというのは、法律の解釈にかかわりなく、そこにお ける取組みをどうしようかと実質的にやっていますね。それもあります。  もう一方で、そうでない産業もある中でどのように我が国全体としていろいろつくる かというときにも、法律上というのは我が国の労使に与えられたルールですから、その ことが努力義務だと。やる企業はやりなさい、やらない企業はそれでいいというところ に大きな問題があったのではないかと私は思っていますし。 ○公益委員  私は禁止規定にしたとしても、何が差別的に禁止かということが具体的に書かれてい ない限り、改善しないということを言っているのです。ですから、その内容について今 回指針に書いたということです。私はそのほうが大きいのではないかと思います。 ○公益委員  法律的な強制力を持つと結果が出るかというと、最大のパートタイムの均衡に関する 問題としては、何が均衡であり、それを実現するために具体的にどうすればいいかとい うことが不明確であったというのは、ものさし研以来ずっと議論して、労使両方のご意 見もそうであったわけです。具体的にツールができたときに、非常にわかりにくいとい う議論を皆さんされましたが、わかりにくくてもそのように考えれば、均衡が何か、こ れを是正するためにはどうしたらいいのかということがまだわかると。そういうベスト なモノサシではないですが、そういう意味では現状においてはベターな1つの提案であ るという評価が与えられたほどに、均衡均衡という言葉だけが独り歩きしているという 現状はあったと思います。  それはまさにパートタイムの労働の量的、質的な変化というものにも対応しているわ けです。パートタイムの労働の質的、量的な変化の中で、均衡というものについてこう いうふうに考えたらどうかという状況が出来上がって、ようやく労使の合意がなされた モノサシのような道具ができたという認識は、何回もこの検討会でも議論されています から。いまのレベルにおいての認識は一致すべきではないかと思います。 ○労側委員  仮にできたとしても、それは行政側のお勧めでしょう。勧められたほうは結構ですと 言えばそれまでではないですか。この間の使用者側のご議論を聞くと、ちょっと待って くれと言っているわけです。改善するなとおっしゃったじゃないですか。改善するとい うふうに、努力義務規定のときにどれだけするというのは、それは限界はあると思いま すよ。いくら皆様が力説したとしても。これは受け手の判断ですから、努力義務という のは受けるわけだから、企業側が判断しますから。それをちゃんと法を直せば、それは 罰則規定は別ですけど。要するに均一な公正なルールでやりましょうということになれ ば、それは各企業とも公正な競争で入るということですから。公益の皆さんが一生懸命 言っても、使用者側の皆さんはそうではないと言っているわけだから。  事業主に対する枠組みですよね。「事業主は」と言うわけですから。我々の言葉で言 えば雇用管理を進めなければならない。進めるほうはちょっと待ってくれと。もう1歩 前に進んでいるでしょう、使用者の皆さんも。しかし、待ってくれと言っているのに、 いや、できるんだというふうに。そこがわからないです。ただ良くなると言われても、 どこが変わるのか。 ○公益委員  使用者サイドからも、そういうものが必要だというご意見もあります。 ○労側委員  それはおっしゃるとおりです。 ○公益委員  それは1枚岩では必ずしないということですね。労働側もいろいろなご意見もある。 だから、それはこの分科会の中で議論を詰めていけばいいと思います。 ○労側委員  連合もそうではありませんか。連合としても判断基準をつくったりしているわけです よ。それは難しいと言うけど、チャレンジしようと努力しているのです。そのときに法 律のいう議論をしているこの場がどういう方向で労働市場を見るのかということを視野 に入れてやらないと、10年先に考えますでは、労働市場がどうなっているか、私はもの すごく乱れている状況になるのではないかと見ています。  派遣法が改正され、労働基準法も改正され、いろいろなタイプの法律がどんどん増え ていく中で、いちばん大事なのは均等問題です。均等問題は政治の話をしているのでは なくて、モノサシの話をしているのだから、それは正社員が下がるのかもしれない。そ ういう意味で各個別の企業で工夫されています。ルールの話ですから、その労働市場が こういうときに、いまこそ均等待遇はものすごく大事だと見るのか、進めていくところ は進めていくのか、全然違ってきます。 ○公益委員  公益委員も、それぞれ自分たちのフィールド、バックグラウンドを持っていまして、 法律の方もいらっしゃれば私のような経済学をやっている者もいるわけです。経済学を やっている立場から考えて、均等が非常に重要だということは、これは間違いがない。 これについては、経済学の世界を超える話だと思います。経済学のスタンスから見て、 本来企業側のパートに対する労働需要がこれだけ高まっているとすれば、本来であれば パートの賃金のほうが上がっていいはずだと思います。にもかかわらず現実としては、 必ずしもそうなっていない。  それは何かというと、1つは供給圧力がある。なぜ供給圧力があるのか。これは夫の 所得が伸びないとか、いろいろな事由もあると思いますが、1つはこれまでの社会保険 制度、税制とういったものが、パートに就くことを有利にしてきたということがあって 、ある意味ではそこに供給が全部押し込められてきたという側面があるのではないかと 、個人的には思っています。  今回のところでも税、社会保障については言及をすると。法律を通すことも確かに社 会に大きなインパクトを与えて、引金、インパルスになるだろうと思いますが、それだ けでは問題は解決しない。どうしても市場の力を考えなければいけないと。法律で通せ ばこれでOKですよという生やさしい問題ではないと思います。ですから、総合的な問 題を考えていかなければいけないと。  これまでは指針の中においても、均等をどう考えるのかということが明記されていな かったという点について、今回明記して、ほかでも雇用保険法の改正を一昨年やりまし た。そのとき私は雇用保険の部会長をやっていましたが、短時間雇用保険についての90 万円の条件をなくして、パートの人にも雇用保険に入りやすくしました。その成果が少 しずつ上がっている感じがしました。  12年度は短時間雇用保険に入っている方は94万人でした。これが13年度になりますと1 28万人ですから、34万人この条件が外れたことによって、1年間で短時間雇用保険の加 入者が増えてきました。また、今回一般労働者と短時間雇用保険についての一元化とい うことが審議会で答申されているということで、こういう総合的な対策を進めていくこ とが、結果として格差問題にアプローチする有効な手段ではないかと私は思っておりま す。 ○公益委員  先ほどから労側委員から、公益委員のスタンスという基本的なところでご質問があり ましたので、公益委員の1人として簡単にお話をしたほうがいいと思いますので、私も 少しお話させていただきます。公益委員もおっしゃいましたように、公益委員といって もそれぞれ専門領域が違うところもありますし、それに基づいて価値観も違いますから 、必ずしもこれまで1枚岩で通してきたわけではありません。公益委員の中でもいろい ろな議論を繰り返しながらすり合わせをしてきて、今日の審議会の報告案という形にな っています。私自身は公益委員の中でも労働法をやっている人間の1人ですから、労側 のおっしゃることは基本的には理解が十分できますし、同じスタンスを持っております 。ただ、個人として同じスタンス、共通の理解を持ち得ても、公労使三者の構成の審議 会の中で、パートタイム労働ならパートタイム労働の雇用管理改善、特に公正な処遇の 実現を図っていくときに、どういう観点からいくかということを考えたときに、個人の 意見だけでなかなか物事は決まっていくわけではないということは、労使双方の委員の 方もご理解いただけると思います。  ある意味で雇用の流動化の中で、新しい働き方として短時間労働というものがどんど ん、従来の補助的な形から主流に乗っていくときに良好な雇用機会、公正な処遇が確保 されることが第一義的だと思います。それは目的の点であります。その点では労側のお っしゃるとおり、まさに私は同じ理解です。  問題はそれをどのような形で具体的に方向づけていくか、方法論であります。方法論 として考えたときに、1つは労側が主張されていますように、例えば現行のパート労働 法の第3条などの事業主の「責務」の規定を、努力義務からもう少し強い形に変えるこ とも1つの手立てだと思います。ある意味でそれができればいちばんいいことだと個人 としては考えておりますが、やはり法律というのは適用される当事者があって、適用の 方法等を考えていかなければ、例えば公益委員だけが理想を掲げて、時代の流れの中で こうあるべきだということを考えても、それが2歩も3歩も労使関係の当事者の意識、 あるいは企業を取り巻く現状から離れてしまっては、なかなか実効性が図れないと私個 人は考えています。  では方法論として、労使の皆さんの不満ながらも仕方がないというところで、部会案 をまとめて1歩でも前進できるかというと、基本原則のところで当事者の間に大きな隔 たりがある以上、次善の策ということでいくならば、いまの指針の中身が、先ほどから これは議論に出ていますが、ものさし研の中では明確な基準もなかなか立てられない。 しかもそれが行政指導の中でも十分生かされていないことになるならば、指針の中身を もう少し明確にして基準を立てて、より強い形で行政指導のとっかかりというものを考 えるのが、いまのところは現実的ではないかと理解しています。この理解については、 それぞれ公益委員の専門領域は違えども、現在は基本的な認識の下に立っていると思い ます。そういう点では、ここに至るまで公益委員の中でも意見の違い、いまでも個人的 なレベルからすると違いがあろうかと思いますが、こういう場での公益委員案をたたき 台にしたときの基本的な公益委員のスタンスとしては、その辺りだと考えております。  もう1点、これは法律的な話ですが、パート労働法が制定されてから10年。しかも事 業主の責務という形で指針を中心に管理改善が図られてきた1つの法律の中で、こうい う努力義務の指針に委ねるものが10年も続くのは異常ではないかとおっしゃいました。 私もそういう気がしないでもありませんが、かといって10年経ったから直さなければい けないというような議論も、法律のレベルからするとなかなか難しいところがあります 。そういう点では、むしろ10年経ったからどうのこうのというよりも、10年経ったとき に労使当事者の現実的なスタンスと、企業及び労働者を取り巻く社会経済環境の現実を 踏まえて、法律の具体的な中身というものも見ておかないと、非常に難しい部分がある かと思っております。私は公益委員の1人としていま考えていることは、そういう辺り のことを考えて、皆さんの前に座っていろいろご意見を聞いているのが現実であります 。 ○分科会長  いまの点について私からも申し上げたいのですが、最初公益委員から実践的な対応策 を示す、これがいちばんベストな選択だと。そこなのです。現状を踏まえると、こちら が提案している指針の改正が、実践的な対応策としてはベストではないかというところ は、結論としては一致しています。  その理由は前にも何回も申し上げたと思いますが、パートタイム労働者について、働 きに応じた公正な処遇を実現するためには、この前提条件がいくつかあるわけです。そ の中には先ほど公益委員がおっしゃったように、社会保障制度の改善とか、いろいろな ものが入ってくる。それだけではなくて、雇用システムも変える。つまり、通常労働者 も含めた総合的な働き方を見直すことも必要なのです。そういうことを考えてくると、 均衡処遇の方式を法律に義務化して書いたところで、現実はどれだけ改善されるのかと いうところに疑問を持っているのです。  おっしゃるように、いままで全然改善されなかった、この轍は踏むまいということで す。公益委員もおっしゃるように、過去のことについては基準が明確ではないことは、 これは単純な話のようで非常に重要な話で、これを改善することはポイントになるとこ ろだと思います。過去の轍を踏まない、それには基準を明確にすることだし、かつ、い ろいろな前提条件があるわけですから、その様子も見ながら、社会的な合意も得ながら 現実も変え、ルールも少しずつ前進させていく。現状に合ったルールを、ステップを追 ってつくり上げていく。これが責任のある施策として提案できるものではないかと考え たところです。私はそんなふうに考えています。 ○労側委員  もし私の理解が違っていたらご意見をいただきたいのですが、労使の共通の理解がな かったことが進まなかった理由であって、努力義務規定という法律の効果ではないと先 ほど公益委員がおっしゃった点、あるいはそれ以外におっしゃった公益委員の方の意見 を聞いていて、感じた点が1つあります。公益委員がおっしゃるように、労使の「労」 と「使」を考えたとき、パート法ができて10年も経ったけれど、自分はずっと正社員で いきましたし、労働組合の役員でずっとそのことを中心にやってきたことを振り返ると 、私自身は当事者という意識をなかなかそこに持ち込めなかったと思っています。当然 当事者である人たちは、パート法ができたときに、これを自分たちの1つの手立てとし て、尊厳ある労働に就きたいということを実現していく方法として、パート法を十分生 かそうと努力をされたと思います。  ただ残念なのは、そのとき労使という共通の土俵に立てていたかといえば、いまでさ え3%という組織率の問題だけではありませんが、有期である不安を抱えて、雇用不安 があったら有期であることを無期に変えてくれと言うことだって、言いづらい状況もあ ったでしょうし、女性が多いということで言えば、やはり両立するという働き方を目指 すということでは、自己矛盾を抱えながらやってきたと。  つまり、当事者がこれを有効に使えたかどうかを考えたい、押えたい。その点で正社 員である労働者の反省がすごくあるので、半分公益委員のおっしゃることはそうだなと 思いつつ、もう一方で、だからこそ当事者がこの法律を有効に使って、自ら尊厳ある労 働を目指そうとするには、パート労働法そのものが現行の3条のあり方、つまり努力義 務ということでは、当事者の立場に立てば非常に限界があると思います。  ここで話していると、当事者の中にそういう人たちをどこまでとらえているか、非常 に不安に思う状況があります。指針の改正が実践的であるという部会長のお話も、法の 当事者ということについて触れられた公益委員のお話も、これを使いたい当事者にとっ て有効であるかどうかという意味では、先ほど労側委員がおっしゃったことに戻ります が、現行法3条、あるいは現行法が10年経って努力義務規定できたことが大きな問題で 、きちんとした均等待遇を原則に置いた法律にすることが、いちばん実効性があると思 います。 ○労側委員  ちょっと重複するところがあるかと思いますが、これまでの審議会の中で私も何度も 違うテーマで審議会に出させていただいておりますが、私自身の感想を言えば、スター トと結論がこれだけ違ったのはなぜかなとずっと思ってきました。それは先ほどからお っしゃっているように、労使の考え方の隔たりが非常に強いことが、こういう結論にな ったのではないかと思います。何度か審議会の中でも申し上げましたし、いまもお話が ありましたが、労使自治の限界ということをだいぶ私たちは申してきました。労働組合 の立場でそのことを申し上げることは、ある意味で非常に恥ずかしいことではあります が、いま労側委員もおっしゃったように、この10年間の部分で言えば、私の個人的にみ ても正規労働者でない方たちにどれだけ思いを寄せてこれただろうかということを思っ ています。  本当にそういったことの状況の中で、もちろん変わっていこうということで、できる ものは連合もしていますけども、一方で経済状況がこれだけ悪くなっていて、ますます 労働者の側にとってみれば、不利な状況というのはものすごく深まっているのです。こ れは10年前と明らかに違う状況になっているなかで、労使自治に委ねていくということ が、どれだけ今回の部分で有利に働くのだろうかということを非常に疑問に思います。  使用者側の方たちの今回の報告書への訂正部分を伺ってみても、本当に労使できちん と取り組んでいこうという決意が表われているのだろうかということは、実は非常に疑 問に思っています。この「自主的な」という言葉が入ることの意味も含めて、理解がで きないというのでしょうか。どういう思いでこのことを入れたのだろうかということも あります。是非、使用者側の方たちの労使できちんと取り組んでいくのだということの 思いを、私は聞かせていただきたいということを、まず申し上げたいと思います。 ○分科会長  どなたか使用者側の方、いかがですか。 ○使側委員  私も前から何遍も申し上げて繰り返しになりますけど、先ほども公益委員の言葉の中 にありましたように、市場というものを考えないいろいろな制度というのは成り立たな いと思います。ですから、このパートタイマー法ができてから10年と言われますが、こ の間、日本はどういう経済状態でしたか。ずっと下降局面に入っている。いま銀行が潰 れる世の中です。  それからパートタイマーどころではないですね。一般の正社員が、これからどんどん 給料をカットされるというような状況に入っています。その中で法律を作ってそれで解 決するかというと、私は解決しないと思います。ですから基本的には景気がよくなれば 、この問題はスーッとなくなっていくのです。私はそう思っています。いいですか。こ の法律を作った後は、すべてそういう状況に落ち込んできているわけです。  それと企業の存続ということで、労使の問題どころではない。いま考えなければいけ ないのは企業の存続なのです。ですから厳しい状態がぶつかり合っているというか、そ の結果、ちっともいい方向に向かっていかないということを生んでいるのだと、私は思 っています。ですから早くこの状態を脱却するような効果的な経済に持っていくという こと。それから考えても遅くないのです。いま法律を作ったからすぐ変わるというもの ではないです。指針で十分です。 ○労側委員  先ほどの労側委員の質問にまだ答えていないと思います。実はいま、ちょうど春闘を やっていて全国を回って歩いているのですが、運動の方針があるように、パートタイマ ー問題も大々的に取り上げているわけです。これは昨年あたりからやっているのですが 、すべての経営側ではありません。我々の取組みというのは反省の上に立って申し上げ るのですが、要求すら受け取らない。要求書を受け取っても交渉のテーブルにさえ着け ない。要するに組合員でない要求書を持って来ても、これは交渉の対象にしませんとい うことを、特に中小企業を中心として全く話にならない。我々はフード連合ですが、フ ード連合の多くの組合で実はそういう状況があります。  そういう中にあってこういう文書が、労使の自主的な取組みに委ねるというような表 現が、どういう意味を持って出されているのか。その辺の真意をもう少し聞きたいとい うのが、先ほどの労側委員と同じですけども、そういう表現に変えたということが、そ ういうような現状の中で、どういうふうに受け止めて考えているのか。全くそういうよ うな話にならないというのを、いまの現状としては現実問題としてあります。幾つかの 組合は、組合員の要求をしないでパートタイマー要求だけしても、全く受け取らない。 こういうような実態があることについて、どういうふうに考えているのかお聞きしたい と思います。 ○分科会長  これは、どなたに質問しているのですか。使用者側に向けてということですか。 ○労側委員  使用者側に聞きたいです。 ○使側委員  そもそもが、このパートタイム労働法の第3条が、事業主が自主的に取り組むべき指 針ということの性格であると理解していますので、ここでも一応、そのことを改めて明 確化しておくということが、まず1つあります。  それから使用者側としては、もともと前回のこの分科会の場で申し上げましたように 、(1)と(2)については、これまで以上に取り組んでいこうというスタンスを示し ましたが、それにつきましても趣旨は、その企業の中において取り組むべきことだ。そ れが自主的なものであるという範囲で、やっていこうというふうなことを明確化させて おきたいということで、私としては、ここの「自主的」という言葉を入れ込んでいただ きたいということで、お願いしたところでございます。それ以上のものでは、とりあえ ずないということです。ただ、これまでよりも前進させるという意味合いはあるという ことで、ご理解をしていただきたいと思います。 ○労側委員  そういうふうに、結局、「労使」という表現が何箇所か出てきますが、労使という表 現が結局、ある面では曖昧で、「労」の個人を指しているのか組織を指しているのか、 「使」のほうはおそらく組織を指しているでしょうから、「労」のほうも組織を指すと いうのが普通だと思います。それに対して、その辺が労使の使い方の表現が、そういう 意味では曖昧である。パートタイマーの個人を指して「労」と言っているのか、その辺 が幾つかの箇所で出てきますけれども、その辺の言葉の解釈といいますか、その辺が少 し曖昧ではないかと思いますが、どうでしょう。 ○公益委員  ここ何箇所か、この部会案について「労使の自主性」とか「自主的」という言葉が出 てきています。いま、使側委員がお話されましたように、使用者側が、ある程度こうい うことの言葉遣いを強調されているところもあるのですが、いまのご質問の限りにおい ては、この「使」は使用者全般を指すのに対して、「労」は何か個別的に個々の労働者 の意味合いと理解できるみたいな言い方をされましたが、決して公益委員の中ではそう いう認識はないと思います。  これは、あくまでも基本的な原則において労働条件の設定については、法の枠組みと して憲法28条などを持ち出さなくても、基本的な原則としては労使の自主的な取組みの 中で団体交渉等を通して、改善をさせていくべきものだと思っています。そういう意味 では、この「労」も労働者全体を指す。またある意味では、労働者の利益を擁護してい く労働団体というものをイメージしているわけです。  その場合、これまでの現実からしますと、パートタイム労働者はどうしても正規の労 働者と違って、なかなか労働組合という1つの組織の中に組み込んでいくということが 、現実問題として難しかったという点では、同じ「労」の中でも、いわゆるパートで働 く人たちと通常の正規で働く人たちの間の利害の違いというのは、あったかと思います 。  でも、ここで書かれていることはそれを越えた上で、いわゆる正規でいままで組合員 となっていた労働者だけを代表するのでなくて、労働団体、労働組合というものはこれ からは、いわゆる憲法28条の下での労働者の概念というものをよく理解し認識して、パ ート労働といえども、そういう人たちの権利とか利益というものを擁護していく形での 利益団体、そういう観点からの労使自主的な交渉ということをイメージしていると思い ます。ですから、ちょっといまの点では違うと。 ○公益委員  何度もこの審議会で、使用者サイドからのご意見が出されているのですが、私の理解 では、おそらく使用者サイドもいろいろ、この案について捉え方が違って、かなりユニ ークなそれぞれの捉え方をされているのだろうと思います。今日はお見えになっていな いので欠席裁判になってしまいますが、使側委員が前のときにも、ここで示されている ようなルールというものはあったほうが、企業サイドとしても、こういう問題に取り組 みやすいのではないかというご意見でした。  いまも使側委員が、(1)(2)に関しては自主的という言葉もあるかもしれないけ ど、取り組むのだと言われているのですが、そのご意向をよく理解しようとするならば 、おそらくこの(1)の説明というようなものを、具体的に企業で実践をしていこうと 、そういうふうになったときには、やはり説明するために基準なり方法が必要なわけで す。これをずっと突き詰めていけば結局、下のほうで言っている、特に(4)のような 働きに応じた公正な処遇という観点から、説明していかなければいけないと。結局、そ こに行き着くだろうと思うわけです。  ですから、この中身をもう少し具体的に使用者サイドにおいても、各組織に持ち寄っ て各現場で検討していただいたら、こういう案が非生産、非合理的、非妥当的であって 、とてもじゃないけど、うちではやれないといような、そういう反応では必ずしもない のではないかという期待を持ちます。そういう意味では、ここで表でおっしゃっている 以上に具体的な中身に入った場合に、もっと受け入れやすい内容であろうと、私などは 期待します。  労働組合や我々公益よりも、使用者サイドの構えが非常に堅くて、一切受け入れられ ないような印象があるわけです。長く審議して非常に疲れが出てくるという面もあるの ですが、具体的にこれまでの審議の中の個々の発言を個別に捉えれば、それなりの成果 もあると私は理解しています。 ○労側委員  片思いです。 ○公益委員  片思いであったとしてもですね。 ○分科会長  いま、公益委員から話もありましたけど、1の中身についてご意見をいただきたいと 思います。 ○使側委員  前文のところで、一言だけ付け加えさせていただきたいと思います。今回、「新しく 労働市場全体の著しい不均衡をもたらすことのないよう」ということで、労働側のご意 見を基に修正を加えたということですが、例えば仮に公正な処遇を進めていった場合、 それが、いわゆる結果の格差を広げる可能性もなくはないということだと私どもとして は思っています。働きに応じた公正な処遇イコール格差がどうなるかということについ ては、結論としては必ずしも見えないわけです。しかも、それは個別企業の中で判断す べきことだと私どもとしては思っています。労働市場全体の状況をもってして、こうす ることが必要重要であるという指摘のされ方というのは、ちょっと不適切ではないかと 私のほうとしては思っているということです。そのことは一言だけ申し上げておきたい と思います。 ○分科会長  先にいってよろしいですか。 ○公益委員  ちょっと修文する上で確認したい。 ○公益委員  いまのは意味がよくつかめなかったです。おっしゃっていることの主張の意図がよく わからない。もう1回、かいつまんでお願いします。 ○使側委員  働きに応じた公正な処遇といった場合、それが徹底された場合、労働市場全体として はA職種はこんなに高いけど、B職種はこんなに低いと。それは当然出てくる結果だと 思うので、その差が著しい不均衡かどうかというのは、労働市場全体でそういうふうに 測られてしまい、労働市場全体の状況を見て個別企業の管理を改正しようという動きに なってしまうと、それは適切なことをやろうとしているのに、結果がこういうふうにな ってしまったから、またおかしなことを更にしてしまうというようなことは、事業主サ イドとしては理解できないというか納得いかないということです。 ○公益委員  職種だからこそ、ここで「職種や勤続を調整しても」というフレーズが入っている。 だから、おっしゃっているのはよくわかります。ふさわしい処遇をすれば全体として分 散が広がって、拡散、拡大するということもあるだろうし縮小することもある。それは 、ふさわしい処遇と全体の格差ということは必ずしもパラレルではない。そこまでは認 識として正しいと思います。  ただし、ここで言っているように、同じような職種、同じように働いて勤続年数も同 じというふうにしてもという、そこが入っているわけです。それが「ふさわしい」とい うことの中身なのです。同じだけ訓練を積んで同じ仕事をしている、その中で違いがあ るという問題を、ここでは均衡の問題として議論しましょうということです。 ○使側委員  ただ、ここが「労働市場全体の著しい不均衡」と書いてあるわけです。 ○公益委員  不均衡というのは賃金の不均衡とは、よく読むと書いてない。労働市場の不均衡とい うことは例えば派遣でも出てきますが、派遣労働者だけが増えていって結果的に正社員 が全くいなくなりましたとか、そういうようなことまで含めた広い意味での表現だと思 います。使側委員がおっしゃっているようなことであれば、労働市場における平均賃金 の不均衡とかいうような表現になってくるのではないか。それを、ここではそうは書い てないわけで、使側委員は、むしろこれは賃金の不均衡ということを言いたいのですか 。 ○使側委員  その前のパラグラフで、所定内給与とか何とかと比較していますので、その後を受け た文章だという意味合いからすると、そういうふうにも取れるということです。 ○公益委員  主語が「多様な働き方」なのです。 ○使側委員  その前の文章の中でも、「処遇の違いについて」云々とか、「事例も見られ」とかあ ります。 ○公益委員  著しい不均衡というのは、要するに賃金だけのことを言っているわけではない。例え ばパートについて一定の条件や社会保険は入らないという形で、企業からしてパートを 雇うほうがコストが安い。そういう形でパートが増える。そういう不均衡は困るわけで す。公正処遇がないためにパートを雇ったほうが安いというのでは困るわけです。だか ら公正処遇の仕組みなり、後から出てきた社会保障制度みたいなものが、企業がどうい う人を雇うかとか、働く人がどういう働きを選ぶかということに中立的になれば、そう いう不均衡はなくなっていくわけです。そういうことを言っているのだと思います。 ○公益委員  私が先ほど聞き直して、使側委員がおっしゃっていることはよくわかったのです。要 するにある職種とか産業の中で、通常の労働者とパート労働者の間で公正な処遇という ものの条件を設定してやったときに、職種あるいは産業によって大きな待遇上の違い、 特に賃金に代表されるものが出てくるのは、市場の競争原理みたいなものがあって当然 だと思います。人気のあるところで人がいなければ、当然、それは高い賃金設定をせざ るを得ない。その結果、ほかの業種で働いている人との間で賃金の格差が出てくる。こ れは、ある意味で自然なことだろうと思います。  でもここで言っていることは、そういうことではなくて、通常の職種とか産業とかを 越えて、通常の労働者と同じ仕事をしながら、そこに格差がある。その格差を何らかの 形で是正しない限りは、結果的に例えば雇用する側からすれば当然、パート等の短期の 人たちでやっているほうがコストが低いわけですから、結局は通常の労働者がいなくな って、派遣とかパートとか、そういう短時間で働く人だけが増えてしまう。そこで労働 の供給市場における通常の労働者と、短期の労働者との間の数的バランスが壊れていく 。こういう話をここでしているのであって、決して賃金の違いだけに着目した労働市場 全体の著しい格差という意味ではないと思います。 ○分科会長  ほかの問題で1の(1)〜(5)で、いかがですか。 ○労側委員  2頁の(1)の上のほう、「したがって、パートタイム労働法をはじめ、労働関係・ 社会保障関係法制の整備」という中に、「当面は、指針を示すことによって」でなくて 、「法改正によって」というふうに書くべきであって、それによって次に指針の中身は 違ってくるわけです。そこは是非、はっきり打ち出してほしい。 ○分科会長  さっき、それは議論しましたね。 ○労側委員  具体的にいじっていただきたい。 ○分科会長  それはわかりました。おっしゃる意味はわかりました。 ○労側委員  わかりましたというのは。 ○公益委員  さっき、それは公益委員が、それぞれスタンスを述べたではないですか。 ○公益委員  全然聞いてもらってない。 ○分科会長  でも、やはり最後に言いたかったということでしょう。そういう意味ではわかりまし た。わかりましたという意味は、そういう主張をされているということはわかりました という意味です。 ○労側委員  先ほど公益委員の皆さんからいろいろ考えをお聞きして、総合的な対策が必要という ことについては当然だと思いますが、さっきの部会長がおっしゃったところで、法律に 書いたところで現実にどう改善されるのか、というようなご指摘があったと思います。 ですから、いまの労側委員の発言との関連で言うと、ではそこに効果がないのに、なぜ 指針で書くことについて効力があるのかということについては、本当に懸念をするとい うことを、ここでも改めて述べたいと思います。  というのは、労使自治ということが先ほど来、話がされていますし、いろいろなとこ ろで出てきているのですが、現実に労使で話し合うようにできているというところは、 正社員も含めて20.2%のところしか、労使交渉に乗れるという状況ではないわけです。 そのことから考えると、いまでさえというか最近出された使用者側の意見に、こういう 部分があるのです。そのまま読ませていただきたいと思いますが、「基本的に従業員の 人事労務管理、処遇は、企業労使が自主的に決定すべきことであり、その内容について 法律などで規制を設けるべきではない。また多くの企業が現在、人事労務管理について 見直しに取り組みつつあるなかで、不利益変更が実際上難しいため、短時間就労者の処 遇改善という結果とならざるを得ない規制を設け、行政指導を強化しようとする姿勢に は反対する」というふうに、ここまで言われているなかで、指針だと効果があり法律で は効果がないということで、公益の先生が先ほどいろんなことでおっしゃっていただき ましたけど、本当にそれで実効性が上がるのですかということについては、とても心配 です。  先ほど、労働市場の著しい不均衡をもたらすというご発言がありましたけど、まさに そういうことであったり、労働条件が低下するから個々の企業労使の問題ではなく、日 本の労働市場をきちんとしていくためにルールを作りましょうということで、この議論 がずっと進めてこられていると思います。公益委員の皆さんはすごくご苦労されている と思いますが、そこは労使の隔たりがあったとしても、こうあるべきだということにつ いて先の見通しが立つようなものを、いま持ってないと、いまでさえどんどんパートタ イマーは増加しているということが報告されているわけです。  そこの中で均等処遇がないまま、このことが進んでいくことについては、先ほどから 出ている、労働市場の著しい不均衡をもたらしてしまうことになってしまいますので、 私は公益の皆さんに非常に期待というのでしょうか、いま現実そうであったとしても、 今後のあるべき姿について、またあえてということに重なることになりますけれど、わ かっていただけたらということで発言させていただきました。 ○公益委員  先ほどから議論が、法制化するのか指針にするのかという点に集中していて、問題は 指針にするにしても何を内容とするのか。そこのポイントが十分に議論されてないとい う感じがするのです。  いまの均衡に関する指針で示したものも、いままではなかったわけです。指針として 入ってなかった。これをまず入れるということは相当に大きな前進になりますし、逆を 言えば法律ではこれは入らないです。このまま法律にすることはできない。その点を考 えて、1歩2歩の前進という意味は、現実に前進させるためには、法律にするか指針に するかという議論と同時に、それも重要ですが、それと同時に指針の中身をどうするの かというところに、大きく左右されてくるわけですから、是非、そこをどう考えていく のかということについて、十分ご考慮いただきたいと思います。 ○労側委員  私どもも31日以後、書面で意見を出していまして、まず法律の中に労働時間の長短を もって差別してはならないという項目をまず書いて、それを受けて差別とは何ぞやとい ったら指針なのです。指針まで条文に書けませんから、それはそれで改めてガイドライ ンというのは否定はしてないのです。  問題は、指針がどこに根拠をおいて効力を発揮するかというのは重要でしょうという ことを再三再四、おっしゃっています。だから指針の中身についても、合理的に言えと いうことで出させてもらいましたけど、それはそれで指針でいいということ。その指針 がどこに根拠を置くかというのが、3条の問題で努力義務の指針なのか、強制力を持た せた指針かで性格が違ってきます。そういう議論をさせてもらっているのです。だから 、指針一般を否定しているわけではないわけです。指針の項目は全部、法律条文で書く などは難しい話であって、それは当然、いろんな事例もありますからね。 ○公益委員  ですから指針に書く場合にも、何をここで決めていくのかということについて、ご意 見をいただきたい。 ○労側委員  ですから「当面は」というところを、「法改正する」とまず書いていただければ、そ の指針はこういう中身でしょうという議論に発展するわけです。努力義務規定に基づい て3条をそのままにした指針ですから、それはちょっと駄目だよと。だって研究会報告 だって言っているのです。 ○公益委員  例えば均衡についても、賃金の決め方について、機会の均等をここでは議論してきた わけです。それに対して例えば労働側が考えているのは、そうではありませんと、結果 なのですと。例えば同じ仕事であれば、同じ賃金を結果として払いなさいというふうに 言っているのかどうかというところも、なかなか伝わってこないのです。何をもって均 衡というのか、その具体的内容を是非議論してほしいと思っているのです。 ○労側委員  この前、うちの考え方は出したと思います。合理的理由というところに出しています 。その話をしているつもりですけど、問題はその前の話であってね。 ○公益委員  ただ、法律にしたときにどういう指針を作るのかという内容を出していただかないと 、どちらにしても指針が必要だと言われているわけですから、そのときにどういう指針 なのですか。基本的にはここで書いてあるものと同じものになるのか、違うものなのか というのが大事なのです。そうしないと法改正をするにしても、どういう指針を作るか を決めないと法改正はできないです。 ○労側委員  そこで一致したら、では法律改正はできるのですか。 ○公益委員  どういうものを出していただくか議論をしているのです。 ○公益委員  内容を議論しないと、できるかできないか。 ○公益委員  法律改正は乗れないではないですか。どういう指針の内容なのですかということがわ からないと、法律改正はできないではないですか。 ○労側委員  それはだって、法律にする強制力があるのとないのでは、指針だって違ってくる。そ こを曖昧にして、まず指針の中身を決めて、これなら法律できません、できるという話 になるのですか、逆の話では。そこはちょっと違うのではないですか。公益委員が出し た研究報告で書いているではないですか。3条が問題だと書いている。 ○公益委員  法律改正の是非については書いてないです。 ○労側委員  労使自治も機能してないと書いている。公益委員がおっしゃったように、いろんな手 法はある。それでぽんと指針改正が、何で3条をそのまましているか本当にわからない でしょう。中身はどうかと言われますけど。  私どもは、最終報告は1つの参考ですよと。しかし事務局を含めて、これは重要な資 料とおっしゃったではないですか。その重要な資料のところに3条が問題と書いている にもかかわらず、それはそうではない、指針が問題だなんて、これは書いていませんよ 。42頁の政策の方法というところに書いているではないですか。 ○公益委員  3条の問題というのは、その後の指針についても、均衡の中身が明記されてないとい うことです。だからその中に、それについて解説を書いたわけです。それを押さえて今 回の指針が基本的にはできているのです。 ○労側委員  3条をどうするかと、いま指針を立派に作りましたと、だから法律そのままというふ うに、いま労側委員がおっしゃったように、使用者側の受け取る事業主団体が、そんな こと介入するなとおっしゃっているじゃないですか。介入するなと言ったときに、強制 力があれば使用者は否応なしにやらざるを得ません。お勧め商品のときに、使用者側が 乗るかは使用者の判断ですから、それが10年続いたでしょうと言っているのです。それ がどうも、公益の皆さんと合わないです。指針の中身でやるなら、法律を議論しましょ うというふうになるなら乗ります。そうでないでしょう。それは無理だとおっしゃって いるではないですか。 ○公益委員  まず均衡についての理解は、この審議会の場でも相当に距離がある。いまでも正直言 って、組合でも使用者側でも十分な理解がされてない。私はそういう認識です。そうい う意味では何度も言うとおり、指針に均衡とは何かということを書くことはすごく大事 です。  もう1つは、(1)と(2)について実質的な取組みについてパート等の意見を聞く とか、これはパート個人とも限らない。仕組みを作ってくださいという枠組みは用意し ているわけです。単に自主的にやりなさいと言っているだけでなくて、その枠組みにつ いて(1)と(2)で書いてあるわけです。それはかなり前進ではないか。  その上で共通認識ができた後、もちろん法改正という選択肢もあり得るでしょう。し かし、いま共通認識がない。ここに書いたことについても私は相当認識の距離が大きい と思います。 ○労側委員  そうですかね。(1)のイ、ロ、ハですか、これは私どもは法律で使用者に処遇差の 説明責任を課したらどうですかと、我々は言っているわけです。それは使用者団体だっ て否定はできません。パートの人が聞いたら答えましょうというのは、それは否定でき ません。 ○公益委員  そのときに何が合理的かについて、考え方が共通認識がないと説明できませんよね。 ○労側委員  私が言ったのは、たぶん使用者側は労働時間の長さが短いのも合理的であると、たぶ ん答えるのではないですか。 ○公益委員  ですから(4)を作ってあるわけです。 ○労側委員  必ずしも(4)の維持には、たぶん拘わらずにいるのではないか。使用者側は長短で も合理的なことを言っているわけだから、8時間労働の皆さんと4時間労働は違います よと説明されるのではないですか。それだって説明ですからね。それをおかしいと判定 するところはどこもないわけですから、それは合理的な説明にならないと、その場合に 誰が判定するのか。どこもないではないですか。(4)に違反していても、雇用形態が 違うから下がるという、使用者に言わせればそれも説明ではないですか。イの場合はそ うなってしまうのではないか。使側委員が出されたのを見ると、そういう説明をします ということになっているでしょう。必ずしも(4)のイ、ロで説明すると言ってないで しょう、反対しているわけだから。 ○公益委員  ですから、この指針について、ここで合意できるかどうかだと思います。ですから( 1)と(2)でなくて、(3)と(4)も含めて公益案としては提示しているというこ とです。別に(1)と(2)だけで出しているわけではない。 ○労側委員  もちろんです。おっしゃるとおりです。 ○公益委員  ですから、そこは(1)と(2)だけでなくて、(3)(4)を踏まえて労使で取り 組んでくださいというのが公益案です。 ○労側委員  私もだから、使用者の説明については、聞かれたらちゃんと法律で返したらどうです かと言っているわけです。 ○公益委員  今日の冒頭の話で公益委員の観点から、少なくとも私は労側委員のいまのお話を踏ま えて、公益委員の1人として私なりのお答えはしたつもりなのです。だからその点では 繰り返しませんけども、先ほど会長も言われたように法律では駄目で指針だからいいと いう、決してそういう意図ではなくて、もちろん法律である程度具体的なことが書けれ ば、これは望ましいことは、それはおっしゃるまでもないことです。  ただ、そうであっても現実問題として、こういう労使当事者の意見、立場が大きく違 うし、また、こういうパートタイム労働者の雇用管理改善というものを、公正な処遇と いう観点からしていこうとするときは、どうしても必然的に、これまで通常の正規の形 で働いてきた人たちの雇用管理にも、大きく影響を与えていくわけです。そちらとの併 せて1本の形で、これからの雇用管理を考えていかなければいけないということは現実 です。それが、どっちが先に進むかどうかということの議論でなくて、併せて1本でい くことがいちばん望ましいと思う。  でも現実はまだまだ、そうは進まないようなところがありますから、しかもその上で 労使の立場とかスタンスが違うなかで、では目的を進めていくときに、いま、何をいち ばん考えなければいけないかというと、それがベストとは私個人は思いませんけど、法 規本体にそういうことを挙げることが、いまの時点で難しいのであれば次善の策として 、やはり指針ということになる。  その指針が、いままでは指針の中に公正な処遇を判断していこうとするときの基準が 、モノサシ研では一応提示をしましたけども、それがなかなか明確に理解されて使われ ていない。それを改めて指針の中に新しい基準等を取り込んでいくと、何かそういう相 談とか出れば行政機関としても、その新しいものを踏まえて、より強い形で助言、説得 、場合によっては勧告等を出せるだろうということなのです。  ですから、おっしゃることは非常によくわかるのですが、なかなかいまの現状の中で は、そういう法規本体、それ自身についての改正ということが、言ってみれば難しい現 実があるということが、この報告案の背景にあるということだろうと思います。ですか ら先ほどの議論を聞いていると、指針の中身についての基準が明らかにならなければ、 法律本体のほうがうまくいかないというのは、ちょっと違う議論かなと私個人は聞いて いて感じました。 ○使側委員  質問を1つさせていただきたいのですが、2頁の下から6行目の後ろのほうに、「今 後とも必要な法的整備を着実に行っていくこととするが」とあります。非常に初歩的な ことで申し訳ないですが、主語は何になるのですか。私の理解からすると、法的整備を 着実に行っていけるのは最終的には国会だと思いますが、ここで仮に審議会の報告とし て出すのであれば、ここまで書けるかなと。 ○分科会長  これは文言の問題だと思いますが、この意味は、今後とも必要な法的整備を着実に図 っていくべきであるがと、本来はそういう意味です。ちょっとこれは文章がおかしいと 思います。 ○公益委員  使側委員がおっしゃるように、当然、我々のここの分科会というのは公開でもありま すし、実行権を持っているわけでもありませんから、もちろん、おっしゃるとおりです けれども、趣旨はそういうことです。 ○分科会長  だから我々、報告する人として、この分科会としてはこう考えるべく、着実に向かっ ていくべきだとするがと、そういう趣旨でワープロのミスとは言わないけど、そういう 意味です。 ○公益委員  ここで何か、これからやりましょうということではない。 ○分科会長  それは、この審議会で考える。 ○使側委員  審議会の立場であれば、法律等の整備の必要性等を検討していくというふうな、そう いうスタンスにとどまるのではないかなと思うのです。 ○公益委員  すみません、もう一度、最初のところを聞かなかったので。 ○使側委員  「今後とも法律等の整備の必要性等を検討することとするが」とか。 ○公益委員  法律。 ○使側委員  ええ。ここは審議会のスタンスとしては法律とか、あるいはここで言うような指針と か。 ○分科会長  法的整備、今後とも必要な法的整備ですから別に。 ○公益委員  使側委員が法律の整備とおっしゃるから。 ○分科会長  それは、それでいいです。 ○使側委員  私は、「法律等の整備の必要性等を検討する」とかいうこと。 ○分科会長  それで、ちょっと誤解があるといけないので、この法的整備というのは、その前から の流れで、この均等分科会が管轄する法的整備だけのことを言っているわけではないで す。 ○公益委員  それについては前回、説明しました。 ○労側委員  枠組みをちょっと改正し、検討したほうがいいとおっしゃっている。 ○使側委員  いいえ、そういうことではない。まだ、その前段階として必要性のところです。 ○公益委員  法律整備を検討すると。必要性を検討していく。 ○使側委員  行っていくという前の段階として検討するとか。 ○労側委員  その検討というのは、課題もあると。 ○使側委員  所掌の事項は当然あるでしょうからね。 ○公益委員  だから使側委員のおっしゃっている趣旨は、ここは立法権を持っているわけでないか ら、最終的には国会で議論して国会で承認されるのが、行っていくということの意味だ から、ここまで書くのは要するに越権的であると。ここはあくまで、そういうことの前 提として整備の必要性等を検討していくというような形で、とどめるべきだというのが 趣旨でしょう。 ○使側委員  そういうことです。 ○公益委員  そのときに、法的整備でなくて法律というのに書いてよろしければ、そちらのほう、 私どもとしては書かせていただいたほうが非常にありがたいと。 ○使側委員  私としては法律改正等の必要性は、前からずっと申していますように必要かどうかと なると、いまは必要性はないというふうに判断しているということです。そういうこと をまず理解した上で、いまのこの発言がある。 ○公益委員  いまはなくても検討してよろしいとなれば、ありがたいです。 ○分科会長  結局、どうなったのですか。使側委員の意見をはっきり聞いておきたい。 ○使側委員  法律の必要性を検討ということで、いいのではないでしょうか。 ○分科会長  それはそれで、それこそ検討させていただきます。 ○使側委員  先ほどのお話とちょっとダブる部分で、戻ってしまうところがありますが、私はこの1 0年間、何も進んでないというところは、先ほど公益委員、使側委員のお話にもありまし たように景気の動向が多くて、やはり努力義務規定だから改善されなかったというふう には思っていないのです。それで私は、やはり人間として法律ですべてを決めて縛るの でなくて、人間本来の持ち味というか、その人のものを生かしていくということで、や はりこういう方向の指針というものを出していくということが、私は大事ではないかな というふうに感じております。  先ほどお二人の労側委員から、大変謙虚な発言がございましたけれども、やはりご自 分が本採用、あるいは逆にこちらからというと、大手企業の社長さんの、ある意味では 交代していってしまって、責任を取らない中で決められる立場の方と、最終的には全部 個人保証して、いろいろな責任を全部取っていく中小企業の人たちの考え方とは、多少 の差があるように思うのです。  繰り返しになりますが、私は人間を法律で縛っていくのでなくて、やはりもっと人間 としてどういう方向、労使がどういう方向で話し合って進めていって、いまの閉塞感の ある日本経済を、どういうふうに持って行こうかということの方向づけというものを出 していくことが、私は大事だと思いますので、指針ということでしていくことがいいの ではないかというふうに思っております。 ○公益委員  私の発言が不適切というか、誤解を与えているかもしれませんが、私は立法化すると か、あるいは指針を出すということが、均等条件に影響を与えないというふうに申し上 げているのでなくて、例えば需要とか供給という話を考える上でも、あくまでも一定の 制度の下で、あるいは一定の法律体系の中での議論であるわけです。その枠が変われば 当然、労働の需給も変わってくるということです。ですから、ここで指針を出すことが 意味がないとか、あるいは法律化することが意味がないということを申し上げているの でないということだけは、確認したいと思います。 ○分科会長  それでは先ほどのところに戻るというか、全般的にご意見はいただいておいたほうが いいと思いますので、1の(1)〜(5)について、ご発言があればお伺いします。ま た後で戻っていただくこともあるかと思いますが、2のほうはどうでしょうか。短時間 正社員のくだりです。 ○使側委員  この短時間正社員のところですが、今回、変えていただいて、私は率直な感想として 、逆に非常にわかりにくくなってしまったのではないかと思っています。以前から事務 局のほうで短時間正社員ということについて、モデル企業等の研究をされるということ について私は全く反対するつもりもありませんし、是非やったらいいのではないかと思 います。  ここで定義が書いてありますが、この定義をこういうふうに載せるのであるとすれば 、私はもっとここで議論をしていただきたいと思います。特に「通常の労働者と同一の 処遇決定方式が適用される者を指す」というふうになると、今日も処遇ということが賃 金だけでなくて、全体的なことがあるというふうに言われていますけれども、そうだと すれば、ますます賃金以外の総合的な労働条件すべてについて見るべきだと思います。 そういう定義ということではなくて、短時間正社員という定義をどうしたらいいかとい うことから、モデル企業などを研究しながら勉強していく。そういうようなことをする ということを書いていただいたほうがいいし、この分科会でも、たぶんそういう認識だ ったと思います。これから、こういうことをやっていこうとすることのためにも、私は いいのではないかと思います。 ○労側委員  前回、短時間正社員の定義が、それぞれ受け取る人にとって違い過ぎて、この言葉だ けが歩くのはいかがかということで、きちんとすべきではないかという意見を出させて いただきました。その後、労働側としては、短時間正社員の定義を均等待遇が保証され た無期の雇用であることを明記することについて、意見を述べたところですが、この定 義のところについては、例えば厚生労働省から通常の労働者、現在の正社員の労働者の ことを、「継続的な雇用関係を前提として雇用された者」というご説明を受けた経過か らいうと、ここのところについても、きちんと「継続的な雇用関係」ということが明記 されるべきだと思います。  前との関係があるのですが、政労使のワークシェアリング合意のところで、短時間正 社員ということが2頁のところで触れられて、ここでいう短時間正社員と、2でいう短 時間正社員は、どういう関係になるのですかという質問に対して、局長から「同じこと です」と前回、お答えがあったと記憶しています。ワークシェアリングの政労使合意の 中では、短時間正社員の定義について細かな議論はいまから進むということで、その議 論が労働側と使用者側で行われていると聞いています。そういうことからいうと、定義 についてはきちんとしたそれぞれの合意が必要ではないかと思います。ここの定義のと ころはこの書き方ではなくて、労働側がいう内容を含めた、なおかつ経営側も提案され ているような内容で、きちんと書いていただけたらありがたいと思っています。 ○公益委員  前回、使側委員は欠席だったので議論が見えてないところがあるかと思いますが、是 非、短時間正社員についての内容を記述してほしいという声が出ました。これを注意深 く読んでいただくと、まず業種別に参考となるモデル企業の具体的事例を、十分に提供 してほしいというご意見がありまして、それをやりましょうということ。ついては、そ れをやる上では短時間正社員というのが何であるかを言わなければ、モデル例を挙げろ と言われても挙げようがないわけです。  そのために注意深く読むと、「なお、ここでいう」というふうな前提が付いているわ けです。一般の短時間正社員については、それぞれお考えがあると思いますが、「ここ でいう」というのは、あくまでも前文のモデル企業を提示する上での「ここでいう」と いうことであり、それに対する定義をここに書いているということで、一般にどう思わ れているかということについては、研究してないということだろうと思います。 ○事務局  2頁目の短時間正社員というところにつきましては、そのままカギが付いていません けれども、こちらのほうでは特にカギを付けて書いているというのは、ここで言う短時 間正社員ということで、そういう意味ではこの前のご指摘を受けまして、書き分けたと いう経緯があります。それで、ここの定義につきましては、いま労使のほうでいろいろ と話が進んでいるということですので、そちらのほうの話の進み具合も見ながらという ことです。 ○公益委員  いま、労働側から言われたことで、もしそれで合意できるのだったら、そのような書 き方も可能かと思いますが、いかがでしょうか。この点は、あとで議論いただいたほう が、あるいは考えさせていただいたほうがよろしいと思います。 ○使側委員  私の先ほどの発言を、申し訳ないのですが訂正させていただきます。先ほどの今後と も着実に法的整備を行っていくというところで、「法律等」というふうに書いてありま すけれども、同じ2頁の上のほうの各種の施策の拡充、整備が行われてきたというとこ ろを反映して、「今後とも各種の施策等の整備の必要性等を検討することとするが」と いふうに訂正をさせていただきたいと思います。申し訳ございません。 ○分科会長  ちょっと意味が違ってしまう。 ○公益委員  「法的整備の必要性の検討」ではまずいのですか。もともとの「法的整備」を生かし て、法的整備の必要性を検討すると。その法的整備というのは、パートタイム労働とか いろんなものが入っているわけです。 ○使側委員  法律だけに限定するという趣旨ですか。 ○公益委員  法的整備というのは、そういう意味ではありません。むしろ法律の整備というと、い ま使側委員がおっしゃったようなことに係わってくると思いますが、この法的整備は、 要するに必要な法律の制定、改変も含め、しかもそれに基づく、上のほうでおっしゃっ た各種の施策の拡充、整備も全部含めた言葉だと理解します。  いまの使側委員のお言葉に対して、公益委員の1人としてお話しますと、使側委員の おっしゃるように、ここに法律等の改変も含めた形で書かれるのは困るとなると、この 部会の役割としては、そういうものの必要性も含めた形で、当然、検討をしていかなけ ればいけないだろうと思いますし、それが、その時点でいいかどうかとか、必要性があ るかどうかは労使にご意見をいただいてもいいと思いますが、それが全くできない。あ るいはしてはいけないというような趣旨であれば、それは困るというか、私はいまのと ころは反対です。 ○分科会長  検討の素材にも乗せられないということ。 ○公益委員  そういう意味合いになってしまいますので、それはちょっと適切ではないと思います 。 ○分科会長  そこまでおっしゃっているわけではないでしょう。 ○使側委員  そこまでは言いません。 ○分科会長  ほかのところにいきます。 ○労側委員  5頁の4の(2)ですが、ここも有期労働関係のことについては労働側から意見を言 って、こういうふうに追加していただいたと思います。最後のところですが、「今後、 引き続き検討していくことが期待される」というような、例えば労働条件分科会に投げ たような書き方に受け取られるのです。ここの中でも問題があるという指摘を、ずっと してきたという経過もありますので、語尾のところについては「引き続き検討していく ことが求められている」というふうに修正をお願いしたいと思います。 ○公益委員  現行は別の部会でやっているわけで、求められているというふうに言ってしまうと、 そちらのほうで、もうやりなさいということになるわけです。 ○労側委員  ここにも求められているということにならないのですか。期待されるというほうが、 向こう側に投げかけた感じになって。 ○公益委員  客観的な問題として出ているわけです。 ○労側委員  ここでも問題の指摘をしてきたし、あっちだけでやればいいよということでない書き ぶりにしてほしいということで、いま、修正をしてほしいということで発言をしたので す。 ○公益委員  これは使用者側は、どうでしょう。 ○分科会長  組織的な問題も使用者はおっしゃるかもしれないけど、そういう枠組みになっている のでしょうか。 ○事務局  いままでの議論におきましても、労働条件分科会で議論されてきたという経緯を踏ま え、それであちらのほうで、そういった建議が出たということでありますので、均等分 科会としては、期待されるということで、こういう書きぶりになったということです。 この均等分科会で、そういう議論が求められているといった均等分科会の役割としては 、そこまではできないのではないかというのが事務局の考え方になるかと思います。 ○労側委員  労働条件分科会でやるという、その枠組みはわかっている。しかし、極めて向こうに まる投げでね。 ○分科会長  いやいや、まる投げでない。 ○労側委員  こちらのほうは、少しパート労働の観点から議論することがあっていいのではないで すかということも。 ○公益委員  ただ、前文を読みますと、平成14年12月26日に沿ってなのです。そこで言っているの は、向こうでやりますよというのは言っているのです。 ○労側委員  沿って、ここで引き続き検討していくことは求められる。 ○公益委員  求められるというのは、こちらでやるという意味だということになると、それは全然 沿ってないのです。 ○分科会長  求めるということの意味は、やはり期待されるでしょう。だって向こうが、そういう あり方について建議が出ていて、それについてやっていくということですから、その場 合の用語は期待されるのではないか。 ○公益委員  求められるで、ここから出すと、向こうに対する命令というか。 ○労側委員  メッセージなのです。 ○公益委員  それを意図しているのですか。 ○公益委員  それであれば「期待される」も「求められる」も同じなのではないか。 ○公益委員  向こうで議論してくださいということを言っている。 ○公益委員  だとしたら、でも向こうは勝手に、何か別から言われているという、そういう関係に なる。おそらく違うのではないか。意図はそうでない。 ○労側委員  取扱いについては、最初から縦割りになっているところについて意見のあるところで 、ここでもし均等対遇の関係から問題があればということで、何度も話してきた経過が あるのです。ここでは、そこの中身まで詰めるような議論には残念ながらならなかった でしょう。 ○公益委員  ただ、おっしゃることは十分理解していますが、そうなってくると、この前文のとこ ろが変わってくるわけです。これは沿ってではないのです。向こうでの建議が出ていて 、その建議に沿ってやりますというのは、どういう意味かというと、向こうで引き続き 検討しますという意味ですから、ここだけ変えれば、そういうふうに読めるかというと 、それは読めないということです。 ○労側委員  そこはわかります。ただ、向こうだけやればいいということでなくて、ここでも課題 であったし、そのことについては、いま、たまたま縦割りになっているけれども、ここ の中でもきちんと捉えるべきだということについて、記入をしていただきたいというつ もりでいます。 ○労側委員  「またパート労働者で雇い止めの問題など」と入れることによって、有期契約の果た す役割だという、そういうことと同じですかね。パート労働者の有期に係わる問題とし て若干、例示を挙げた上で、そのことを含めた議論が期待されると。 ○公益委員  それを向こうで、またやっているわけです。違ってくると困りますけどね。 ○公益委員  だから結局、どこに力点を置くかなのです。ある意味では、いわゆる短時間で働くと いう視点で、通常の労働者と同じ仕事をしている場合の公正な処遇というものを実現し ていこうという視点から、議論してきたと思います。有期というような期間雇用の持っ ている問題点ということを、もちろん短時間と有期で日本の場合、絡んで出てきている ことはご承知のとおりです。  有期ということの問題性を言うのであれば、そこに視点があってお話をされるのであ れば、むしろこれは、さっきから挙がっているように労働条件分科会で、その有期の中 での短時間で働いている人たちのものも扱っているということですから、むしろベース は向こうのほうが適切だし、向こうの議論に求めたほうが、少なくとも(2)のところ は、そういうことを踏まえて、そちらのほうでその問題も含めて議論していただくこと が期待されるということで書いてありますから、座りとしては、そういうほうがよろし いかと思います。おっしゃることはわかるのです。ずっとこれまで提言されてきたこと は、十分、公益委員としては認識しているつもりです。 ○労側委員  わかりました。 ○分科会長  では、ほかに5番とか6番はございますか。 ○労側委員  6番は要らないと言っているのですが、残すという意味が何を言いたいのか。まして や必要な措置というのも、私どもは直ちにやってといってあれだけど、こういう必要な 法的措置という書き方もあるけど、それも書いてないなかで、先ほどの2頁ですか。使 側委員も紹介していた法的な整備のところが、最初なかったときに出てきたのが、その 他です。  2頁に付け加えられて、6頁にそのまま残るということで、ここの意味というのは行 政的にはどんな意味を持つのですかね。指針改正をした後に調査をしましょう、これが ないとできないのですかね。これに一遍、パート労働者の実態調査をやっていますよね 。社会政策の影響も考慮して分析を行うという、これは調査すれば分析をやりますから 、この「その他」という意味の分科会でまとめて出す意味合いは、行政側にどういう、 これがないとできないのか、やらなくてもやるということなのか、ましてや調査検討で すからね。 ○事務局  調査自身は、もちろん行政がする話ですけれども、それを踏まえて、その後、問題点 の分析とか幅広い検討という形になりますので、そうなると行政だけではなくて、また こういったところで検討していただくということになるという意味で、ある意味で分科 会としても、そういった幅広い検討を加えて、それに基づいて必要な措置を講ずるとい うことを確認するという意味があるかと思います。 ○公益委員  最後の1行が必要なのでしょう。 ○分科会長  必要です。 ○公益委員  後半の4行ぐらいからのところが、いちばん力点です。 ○労側委員  法的措置を書いてくれればいいけど、そこも書いてない。 ○公益委員  そこは、必要な措置になればそうでしょうし。 ○労側委員  この一定期間をというのは、大体どの辺なのですか。数字は5年くらいとかでしょう けど。 ○公益委員  それぞれ企業の労働者を取り巻く環境の変化との係わりですから。 ○労側委員  来年もあり得るのか。これの理解で全然違いますよね。 ○労側委員  いままで調査というのは5年でしたか。 ○事務局  パートタイム労働者実態調査のほうは、いままで平成2年、7年、13年という形で行 われています。 ○労側委員  それはもう5年でなくて、もっと短いサイクルでやるという意味で、そうでなければ あまり意味ないですよね。いままでどおりやっている期間だったら、あえて書く必要は ないわけですから。だから一定期間行うところは、いままでのサイクルよりもっと短い 期間で行うという意味を持つのか。そうでなければ全く意味がない。 ○公益委員  よほど、これを狭く・・。 ○労側委員  これは要らないと。 ○公益委員  いや、要りますよ。 ○公益委員  ですから、そういう点から出てくるという意味は、あり得るかなと思いますけど。 ○公益委員  一定経過後って、別にパートの就業実態調査だけを指すわけではない。 ○労側委員  わかりますよ。 ○公益委員  いろんな苦情が、たくさん上がってきたりしても変わるだろうし。 ○公益委員  均衡の浸透具合だとか、いろいろそこには打つ手があるための布石なわけではないで すか。 ○労側委員  指針だけの見直しをすることについて、いかがかということで、ここは要らないとい うふうに。 ○公益委員  ただ、入れておいたほうがいいのではないか。 ○労側委員  先ほど、2のところの労働関係社会保障制度の整理は行ってという、この動きも含め てだから、年金改正は別にあれでしょう、税制だって出てますし。 ○公益委員  ですから、そういうものは急速に変わっていけば、時期は早くなるかもしれませんし 、施策は別に指針だけではないわけです。パート労働体全体について検討するというこ とですから、別に指針だけとは限らない。 ○公益委員  そこは何度も言うように、今後の動向の変化に応じて、動くわけです。可能性は高い 。 ○公益委員  変化に応じてやる。 ○使側委員  5の税、社会保険制度のところですが、6頁の年金保険及び医療保険の見直しについ てはというパラグラフです。そもそもの論議、短時間労働者に対して適用拡大に入ると いうことに伴って、一部の業種等において費用負担が増えて、経営上、非常に厳しいこ とになるということを、まず指摘をさせていただきたいと思います。  それから、ここの書きぶりなのですが、まず1つの問題点と申しますか、この年金改 革の骨格に関する方向性と論点という文章が、そもそも政府行政側の文章だというふう に理解しています。ここで必ずしも労使間等で合意が得られているわけではないと思い ますので、ここに引用するのは適切かどうかなと私としては疑問に思います。したがっ て、平成16年に行われる次期年金制度改正に向け、厚生年金の適用拡大について引き続 き検討を行うとともに、健康保険についても引き続き検討を行うことを見守るとか、先 月の文章を踏まえた趣旨で戻していただければ、ありがたいなと思います。 ○公益委員  ここでは最後のところに書いてありますように、国民的な議論の下に検討を進めるべ きだというようなことで、これを議論しましょうといっているわけです。 ○使側委員  検討を行うということを否定しているわけではありませんけれども、この審議会とし てはその動向を見守るとか、そのぐらいの表現に戻すべきではないかと考えます。 ○公益委員  審議会としては見守るべきである。 ○使側委員  他の部会、審議会等で議論されるということで理解しています。 ○公益委員  もちろん、テーマはそうです。 ○使側委員  先ほどの労働基準法の有期労働契約のところですね、あそこも一応、「期待される」 というふうな表現でもありますし、同じような性格のものではないかなと理解します。 ○公益委員  そうしますと、「国民的な議論のもとに検討が進められることを期待する」というこ とですか。 ○使側委員  書きぶりとして、年金の改正と医療保険の改正と、別立てというふうなニュアンスで 書いていただければというふうに思います。まず年金改正を、引き続き次期16年改正に 向けて行うと。 ○公益委員  ただ、ここの分科会で、こういう社会保険制度のところの動向の見直しを、まず年金 保険からやるべきだとか、医療保険からやるべきだという形の書きぶりで書くこと自身 は、できないのではないでしょうか。それは、そちらの部会が議論し判断すべき事柄で すから、こういうものを含めて短時間雇用で働く人たちの雇用のあり方とか、働き方に つながるわけですから、そういうのは期待できるとか、先ほどの有期雇用と上のところ で期待できるという書きぶりでしたら、わかりますけど、どっちが先にやるべきとかい う書き方は、ちょっと難しいのではないかと思います。 ○使側委員  だから先かどうかではなく、分けて書いてほしいということです。 ○公益委員  分けるというのは、「及び」というのは駄目だという意味ですか。 ○使側委員  「及び」でも「とともに」でも。 ○分科会長  これは「及び」と書いてあるのですが、これでは駄目ということ。 ○使側委員  この書きぶりだと、同時というか。 ○分科会長  そこまでは。 ○公益委員  同時だよとは決して言ってなくて、そこは提案というと大げさですが、いまのところ は別として、先ほどの有期雇用の問題との係わりからすると、「進めるべきもの」とい うのが使用者側からすると強いというのであれば、ちょっとそこの文言を記載するとい う形のものは、検討していただいてもいいかなと思います。使側委員、そのようなとこ ろはいかがですか。 ○使側委員  具体的な文章を拝見させていただいてから、判断させていただきます。 ○分科会長  ほかにございますか。 ○労側委員  先ほどの短時間正社員有期のところは、どういう回答なの。 ○公益委員  ですから、その事実関係がどうなっているかがわかってないので、それを調べた上で 、どういうふうに直すか、このままでいくのかという提案をさせていただきたい。 ○労側委員  私どもが言っているのは、短時間正社員という言葉は、パート社員と違うのですかと いうふうに言って、同じですと言っていて、しかし括弧書きでも、パートと短時間正社 員では違うのだというのはまずいので、だから正社員というのは、継続的な雇用の全体 のものを正社員と言うというのが、お互いの共通認識であればね。 ○公益委員  ですから、お互いというか三者の理解ということです。まだ事実認識を把握してない ということですから、それを把握した上で。 ○分科会長  ほかにございますか。特にないようでしたら時間も超過していますので、本日はこれ で終了したいと思います。今日の報告書案につきましては、いまのことも全部含めまし てご議論のあった点について、また事務局を通じて調整をさせていただきたい。そして 次回に向けて取りまとめをしていきたいと思っています。特にご発言がなければ、これ で閉会とさせていいただきます。本日の署名委員は、労側の佐藤(孝)委員、志村委員 にお願いします。次回の日程について事務局からご連絡申し上げます。 ○事務局  後日、またご連絡させていただきます。 ○分科会長  本日はご議論いただきまして、ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課 企画法規係(内線:7876)