03/02/21 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会議事録             薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会               毒性・添加物合同部会議事録 【日時】平成15年2月21日(金) 午前10:00〜午前11:30 【場所】厚生労働省専用第22会議室 【出席委員】(敬称略)       井村伸正(添加物部会長)、小沢理恵子、香山不二雄、菅野純、工藤一郎、       鈴木勝士、鈴木久乃、棚元憲一、津金昌一郎、寺本昭二、長尾美奈子、       中澤裕之、成田弘子、西島基弘、林眞、廣瀬雅雄、       福島昭治(毒性部会長)、米谷民雄、三森国敏、山川隆、山添康、       吉池信男、四方田千佳子 【事務局】 遠藤食品保健部長、中垣基準課長、植村課長補佐、吉田課長補佐 【議題】   (1)ステアリン酸マグネシウムの食品添加物としての指定の可否について   (2)リン酸三マグネシウムの食品添加物としての指定の可否について   (3)酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムの使用基準改正の可否について   (4)その他 ○事務局  おはようございます。定刻より若干早うございますが、先生方が揃われましたので、 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会を開催させていただきま す。  本日はご多忙のところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。  本日の合同部会でございますが、毒性部会の委員の先生方12名中11名、添加物部会の 委員の先生方14名全員のご出席をいただいておりますので、本日の部会が成立いたしま すことを最初にご報告申し上げます。  それでは、まず初めに食品保健部長からご挨拶を申し上げます。 ○食品保健部長  おはようございます。食品保健部長の遠藤でございます。委員の先生方には、平素よ り添加物を初め食品衛生行政全般にご指導、ご協力を賜り、誠にありがとうございま す。また、本日はお忙しい中ご出席を賜りまして、ありがとうございました。  食品添加物をめぐる動きといたしまして、安全性に問題のある既存添加物の使用禁止 規定等を盛り込みました食品衛生法等の一部を改正する法律案を2月7日に閣議決定 し、国会に提出したところでございます。また、添加物の国際的整合を図る観点から、 国際的に安全性が確認され汎用されている添加物46品目について、4月からの審議開始 に向けまして資料の整備等を行っているところでございます。  このような動きとは別に、個別の企業からの要請に基づきます添加物の新規指定に関 する検討も従来どおり行っているところでございます。  本日は、ステアリン酸マグネシウムの食品添加物としての指定の可否並びにリン酸三 マグネシウムの食品添加物としての指定の可否、その他マグネシウム塩の強化剤用途へ の使用に係る使用基準改正の可否についてご審議を賜りたく、お願い申し上げる次第で ございます。先生方の活発なご議論を賜りますようお願い申し上げまして、開会に当た りましてのご挨拶に代えさせていただきます。 ○事務局  今回は先月末に開催されました審議会総会での委員改選後、初めて開催されます毒性 ・添加物合同部会でございます。先般の審議会総会におきまして添加物部会長及び毒性 部会長がそれぞれ改選されております。  前添加物部会長の山崎先生に代わりまして、新たな添加物部会長といたしまして北里 大学名誉教授の井村先生、前毒性部会長の黒川先生に代わりまして、新たな毒性部会長 としまして大阪市大医学部長の福島先生、両先生にそれぞれの部会長をお願いすること となっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  また、当部会に新たに迎え入れました委員をご紹介させていただきます。  添加物部会には、高仲先生に代わりまして昭和大学の工藤先生にご参加いただいてお ります。毒性部会には、江崎先生に代わりまして財団法人残留農薬研究所の寺本先生に ご参加いただいております。工藤先生、寺本先生、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、本合同部会の座長につきましては添加物部会長でいらっしゃいます井村先 生にお願いしたいと思います。井村先生、どうぞよろしくお願いいたします。 ○井村座長(添加物部会長)  井村でございます。大変ふつつかでございますけれども、ご指名によりまして進行役 を務めさせていただきます。先生方のご協力で何とか円滑に進めたいと思いますので、 どうぞよろしくお願いいたします。  まず、本日の議事に入ります前に、規定によりますと、先生方もよくご存知のとおり 部会長に事故か何かがあったときに職務を代理するということで部会長代理を指名する ことになっておりますので、ここでその指名をさせていただきたいと思います。  最初に、添加物部会の方からでございますが、添加物部会の部会長代理といたしまし ては東北大学教授の山添先生にお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いし ます。先生方、ご異存はございませんでしょうか。               (「異議なし」の声あり) ○井村座長  では、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。  引き続きまして、毒性部会の部会長代理のご指名を福島先生からお願いいたします。 ○福島委員(毒性部会長)  毒性部会の部会長代理としまして、国立医薬品食品衛生研究所の井上先生にお願いし たいと思います。ご異存はございませんでしょうか。               (「異議なし」の声あり) ○福島委員  ありがとうございました。 ○井村座長  それでは、引き続きまして配布資料の確認を事務局の方からお願いいたします。 ○事務局  それでは、配布資料の確認をさせていただきます。  本日、先生方のお手元に配布させていただきました資料といたしましては、座席表の 1枚紙と、あとはファイルに綴ってございます。1枚めくっていただきまして、議事次 第、委員の名簿、その後、資料を綴ってございます。  資料1といたしまして「ステアリン酸マグネシウムの食品添加物としての新規指定の 可否に関する薬事・食品衛生審議会への諮問について」でございます。  資料2といたしまして「食品添加物の新規指定に関する調査会報告について(「ステ アリン酸マグネシウム」に係る調査会報告書)」でございます。  資料3といたしまして「リン酸三マグネシウムの食品添加物としての新規指定並びに 酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムの使用基準改正の可否に関する薬事・食品衛生 審議会への諮問について」でございます。  資料4といたしまして「食品添加物の新規指定並びに使用基準改正に関する調査会報 告について(「リン酸三マグネシウム、酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウム」に係 る調査会報告書)」でございます。  それから、報告事項に関係する資料5といたしまして平成15年2月に新たに諮問した 品目関係の資料が付いてございます。  参考資料1といたしまして「食品衛生法等の一部を改正する法律案、健康増進法の一 部を改正する法律案の概要」でございます。  参考資料2といたしまして「薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会委員一覧」でご ざいます。  本日お手元にお配りしました資料は以上でございます。もし過不足等がございました ら、お申し出いただければと思います。 ○井村座長  ありがとうございました。皆様方、お手元に資料は揃っておりますでしょうか。よろ しゅうございますか。  それでは、よろしければ審議に入らせていただきたいと思います。  まず最初に議題(1)でございますが、今の説明をお聞きになっておわかりのように 今日はマグネシウムのオンパレードでございます。最初に、ステアリン酸マグネシウム の食品添加物としての指定の可否につきましてご審議をお願いいたします。  この件は平成14年2月15日付で厚生労働大臣より薬事・食品衛生審議会に諮問された ものでございまして、これまでは食品添加物調査会で2回ほど審議を行ってきたところ でございます。その結果がまとまりましたので、この合同部会に報告されておりますの で、ここで検討することになります。  それでは、まず事務局の方から関係資料のご説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料1及び資料2に基づきましてご説明させていただきます。  資料1が諮問に関する資料でございまして、部会長から今ご説明がございましたが、 平成14年2月15日付で審議会長あて諮問させていただいております。  資料1の2ページが諮問品目概要でございまして、下のあたりの(4)の1)でござ いますけれども、ステアリン酸マグネシウム、ここに記載の会社から平成13年9月に要 請されているものでございます。  資料2に移っていただきたいと思いますけれども、調査会の報告書でございます。  2ページをごらんいただきたいと思いますけれども、調査会の方では2回ほど、具体 的には平成14年5月、12月に審議を行いまして、報告書が取りまとめられたものでござ います。  3ページをお開きいただければと思います。ステアリン酸マグネシウムの指定につい ての報告書でございます。  本品の用途でございますが、保健機能食品用のカプセル剤及び錠剤の製造用途を予定 しております。  起源又は発見の経緯及び使用状況でございますけれども、ステアリン酸マグネシウム は飽和脂肪酸でありますn−オクタデカン酸のマグネシウム塩でございます。我が国に おきましては日本薬局方第二部に収載されておりまして、滑沢剤、流動化剤といった医 薬品添加物として既に用いられているものでございます。  国際的な状況でございますけれども、JECFAにおきまして1969年あるいは1973 年、1985年の三度、評価を受けておりまして、ADIにつきましては安全という評価を 受けているという意味で、「制限しない」あるいは「設定しない」という評価となって おります。アメリカにおきましては、一般に安全と考えられる物質という意味でのGR AS物質という扱いになっておりまして、食品中に潤滑剤等々の用途で使えるという形 になっております。欧州におきましては、脂肪酸マグネシウム塩という形で食品添加物 として認められておりまして、一般の食品に使用可能なものとなっております。  今回の要請でございますけれども、保健機能食品であって、カプセル、錠剤等、通常 の食品形態でない食品の成分となる物質の指定及び使用基準改正に係る指針、いわゆる 保健機能食品ガイドラインに基づいて指定要請がなされたという形になっております。  添加物としての有効性についての内容でございますけれども、(1)といたしまして滑 沢性の比較。これは食品添加物ではなじみがないかと思いますけれども、医薬品の錠剤 をつくるときに、まず成分を打錠してつくるわけです。そのときに成分が杵や臼に付着 しないようにするものが滑沢剤でございますけれども、その辺りの滑沢性を比較してお ります。具体的には、現在、滑沢剤として使われておりますショ糖脂肪酸エステルとの 比較という形で無水リン酸一水素カルシウム、リボフラビン、ハブ茶などを主剤とした 錠剤への滑沢性を比較しております。その結果としまして、成形時の抜き出し力を比較 したところ、有意に低い値を示した。すなわち滑沢性が優れているという結果を示して おります。  (2)としまして流動性、これは粉末や顆粒の流動性を比較しております。同様にリボ フラビン等を主剤としまして同じくショ糖脂肪酸エステルと比較して、ふるいを透過す る率を比較測定しております。その結果、ショ糖脂肪酸エステルを使った場合に比べて 有意に透過率が増した。すなわち流動性が優れていたという結果が出ております。  食品中の栄養成分に及ぼす影響も調べられておりまして、無水リン酸一水素カルシウ ムあるいはリボフラビンといった主剤に対して影響を及ぼすかどうかということを比較 しました。室温で6カ月間の期間にわたって比べましたところ、いずれも影響は与えな かったという結果が出ております。  調査会におきましては、現在、滑沢剤あるいは流動化剤として用いられていますショ 糖脂肪酸エステルよりも添加効果に関しまして優れていることを確認しております。  6.体内動態でございます。一般に脂肪酸塩は体内では解離した状態で遊離酸として 吸収あるいは代謝されることが知られておりますけれども、ステアリン酸あるいはマグ ネシウムにつきまして、それぞれ体内での吸収あるいは排泄に関する文献の内容が報告 されております。  まず、ステアリン酸に関しまして簡単に申し上げれば、ほかの脂肪酸に比べまして吸 収が悪い。あまり吸収されずに排泄されるといった動態を示すという報告がされており ます。  5ページでございますけれども、マグネシウムの人での排泄量を比較しております。 結果としましては、水酸化マグネシウムの投与に比例して糞中へのマグネシウムの排泄 量が増した。すなわち、過剰に摂取したとしても大部分は排泄されることが文献情報で 報告されております。  7.安全性でございますけれども、冒頭に申し上げましたとおり本品については既に 医薬品添加物として長年使用されてきておりまして、これまで特に安全性に関し問題が あるという報告はございません。  今回の要請に関しまして、単回投与毒性試験、90日間反復投与毒性試験、変異原性試 験といった内容について改めて報告がされております。  単回投与毒性試験としましてはラットで行われておりますけれども、いずれも最高投 与群でも死亡例は確認されず、LD50は最高投与量以上という形になっております。  90日間反復投与、ラットを使った試験でございますけれども、投与濃度が0%から20 %までの混餌投与で実施されておりますが、20%投与群あるいは10%以上投与群でいろ いろな影響が出ているという結果が出ております。後ほど申し上げますけれども、投与 量に関して試験デザインに若干問題があると思われますが、仮に相対腎重量の減少で毒 性等を見た場合には、この試験からの最大無毒性量(NOAEL)は5%投与群の 2,500mg/kgになるという形になっております。  6ページでございますけれども、変異原性試験の結果といたしまして、復帰突然変異 試験、ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験、マウスを用いた骨髄小核試験などが報 告されておりますけれども、いずれも問題がないという結果になっております。  その他の試験結果といたしましては塩違い、すなわちステアリン酸ではないほかの塩 を使ったマグネシウムの試験成績も報告されております。具体的には塩化マグネシウム の成績が主に報告されておりますけれども、それによれば慢性毒性試験、催奇形性試験 が実施されており、特に問題はないという結果になっております。  調査会での評価結果でございますけれども、6ページの下からでございます。  (1)としまして、今回提出された試験成績はいわゆる保健機能食品ガイドラインで添 付を要求している試験成績は満たしていることを確認しております。  (2)としまして、ステアリン酸マグネシウムは体内でイオン化すること、マグネシウ ムについては慢性毒性試験、催奇形性試験成績が示されており、塩化マグネシウムを 使っての結果ではあるものの、安全性が確認されていること。  (3)としまして、医薬品添加物としての長い使用経験がある。それから、安全性に関 する特段の問題は生じていないといったことから、「保健機能食品に係るカプセル剤及 び錠剤」に使用を限定する場合においての安全性評価は可能であると判断しておりま す。  8.のADI(1日摂取許容量)でございます。ADIの評価といたしましては、先 ほどラットの90日間反復投与試験におきまして、こういう投与量で毒性が見られたと申 し上げましたけれども、この試験は実際に肝への影響が見られている用量が10%以上の 用量であったということでございまして、通常の毒性試験のガイドライン上は栄養障害 のおそれが見られることから、5%以上の混餌投与は実施する必要がない、あるいは意 味がないとされていること。それから、ステアリン酸マグネシウムは体内でイオン化さ れ、マグネシウムとしての安全性の懸念も少ないと考えられていること。それから、国 際的な評価としてはJECFAの評価としてもADIを設定する必要はない、あるいは アメリカでもGRAS物質、EUでも濃度的な制限は特に課されていないことを考えま して、ステアリン酸マグネシウムについてADIを設定する必要はないという結論に なっております。  10.使用基準でございますけれども、今回の要請は保健機能食品ガイドラインに基づ く指定要請であることから、その要請に基づき、使用基準としましては保健機能食品に 係るカプセル剤及び錠剤の製造以外の用途に使用してはならないといった使用基準案を 設定することを考えております。  成分規格は別紙2に付けてございますが、基本的には日本薬局方に収載されているも のでございますので、その規格を参考として必要な規格を設定したという形になってお ります。  以上、本件についての説明を終わります。どうぞよろしくご審議をお願いいたしま す。 ○井村座長  どうもありがとうございました。  事務局からのただいまのご説明につきまして、調査会の座長を務めておられます廣瀬 先生から何か追加あるいは補足説明がございましたらよろしくお願いします。 ○廣瀬委員  それでは、ただいまの事務局のご説明に加えまして、調査会での審議のポイントを若 干補足させていただきます。  一番重要なポイントはステアリン酸マグネシウムのADIに関してと考えられますけ れども、今回、ラットの90日間反復投与毒性試験の結果から、10%及び20%の投与群で 相対肝重量が有意に減少するなどの影響が認められております。しかしながら、先ほど 事務局からのご説明がありましたように、毒性試験のガイドライン上は通常、5%以上 の混餌投与は栄養障害のおそれから実施する必要がないということになっておりますの で、結局、これらの高濃度で観察された所見をもとにNOAELあるいはADIを設定 するのは不適当だと判断いたしました。  また、ステアリン酸マグネシウムは体内で、これは胃腸管で解離しましてマグネシウ ムとステアリン酸に分けられるわけですけれども、その解離後のマグネシウム及びステ アリン酸それぞれの成分の毒性については、まず問題ないと考えられること。更に、J ECFAの評価ではADIは設定せず"not allocated"とされておりまして、アメリカ でもGRAS物質、EUにおきましても濃度的制限を課すことなく使用可能とされてい る点などを考慮しました結果、ステアリン酸マグネシウムにつきましてADIを設定す る必要はないと評価いたしました。  以上でございます。 ○井村座長  どうもありがとうございました。  それでは、このステアリン酸マグネシウムの食品添加物としての指定につきまして、 委員からのご意見、ご質問等を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○山添委員  廣瀬先生からも今ご説明があったんですけれども、5ページの表記のことについて少 しお伺いしたいんですが、「病理組織学的検査では」というのが下の方にございます。 その行に「対照群の雌では全てに腎の石灰沈着が見られ、13匹は重度であったが」とあ りますが、これはどういう対照群なのか。これは「対照群」という言葉でいいのか、投 与群の雌ですか。 ○廣瀬委員  これは「投与群」ではありません。コントロールの群で自然発生的に腎の石灰化があ るんですけれども、マグネシウムを投与することによってカルシウムの石灰が溶かされ る作用がありますので、腎臓からカルシウムが除去されて石灰沈着が少なくなったとい うことです。 ○山添委員  ということは、一般に通常の状態でもこういう石灰沈着は見られると理解すればよろ しいということですか。 ○廣瀬委員  そうです。コントロールで見られます。 ○山添委員  どうもありがとうございます。 ○香山委員  私も疑問に思っていたんですが、それと関連して給餌している餌の中のカルシウム量 とか、水はタップウォーターであって硬水であったとか、そういう情報はあるんでしょ うか。全く一般的にどういうラボでもこういう状況になるんでしょうか。それをお教え ください。 ○廣瀬委員  水につきまして特に硬水かということはわかりませんけれども、一般的にラットの系 統によっても違うと思いますが、腎臓の石灰化はラットではよく見られる現象であるわ けです。 ○三森委員  今の5ページですけれども、相対肝重量の減少が雄で認められています。それが根拠 でNOAELが設定されていると思うんですが、肝臓には病理学的な所見がほとんど書 いていないんですけれども、何か所見があったんでしょうか。 ○廣瀬委員  特に所見はなかったと記憶しています。 ○米谷委員  成分規格の方にいってよろしいでしょうか。  11ページに成分規格が載っておりますけれども、これは日本薬局方第二部を参考にし てつくられたということでございます。私は長い間、医薬品添加物の委員をしていたも のですから、食品添加物公定書と日本薬局方で表面上の字面が同じであっても内容が 違っていることに非常に悩まされたんです。その観点から今回の規格を拝見させていた だきますと、性状のところに本品は水またはエタノールにほとんど溶けないというのが ございます。これは日本薬局方にいつも書かれているものですけれども、日本薬局方で は性状のこういうものは適否の判定外になっております。一方、食品添加物公定書では たしか形状、結晶形とか、そういうもの以外はすべて適否の判定になってまいります。 ですから、これを食品添加物の方で書かれますと適否の判定対象になりますけれども、 それでよろしいんでしょうかということが質問の一つです。  それから、これは非常に細かいことですが、エタノールというのは日本薬局方ではエ タノール95から99.5かという問題がありまして、これはどちらから来たのかということ です。 もう一つだけ、12ページの一番下の定量法のところで0.1mol/lのEDTA溶 液1mlが2.431mgのマグネシウムに相当するということがあるんですが、これは公定書 でも局方でも2で始まるときは有効数字5桁を取るのではなかったかと思うんですけれ ども、その辺を確認していただければと思います。 ○井村座長  いかがでございましょうか。事務局の方からお答えいただけますでしょうか。 ○事務局  大変細かいことなので十分お答えできるか自信はございませんが、まず最初のご質問 の性状の中の溶解性を適否の判定とするかどうかということでございます。これは個別 のところで対処できる話ではなくて、そもそも公定書の全体的な通則のところで考えな ければいけない話になってくるだろうと思いますけれども、そういった意味では全体的 に考えなければいけない問題なのかと思います。すなわち大改正とか、公定書の改正の ときにどうするかというのを議論させていただきたいと思っておりますが、少なくとも 今回要請が来ている品目についての状況を申し上げれば、溶解性についてのデータは出 ておりまして、それについて適合していることは確認しておりますので、本品について これが適否の判定になったとしても、今回の要請については問題ないと考えておりま す。  それから、エタノールの規格でございます。中身は確認できませんが、それについて は公定書の溶媒規格か何かのところで規定されていると思いますが、濃度が何%かは今 すぐ確認できません。申し訳ありません。  最後の定量法の有効数字の関係でございますけれども、日本薬局方を見ますと確かに 有効数字はもう1桁多く5桁とっておりますので、ここは並びを見せていただきまし て、どちらかに合わせさせていただきたいと思っております。合わせるというのは公定 書の一般ルールに従ってやるか、薬局方どおり5桁であれば薬局方の5桁の数字でやら せていただきたいと思います。 ○米谷委員  公定書の方に合わせていただければと思います。 ○事務局  わかりました。その辺はこちらで確認させていただきまして、整備させていただきま す。 ○井村座長  細かく見ていただきまして、どうもありがとうございました。  毒性の方でも規格の方でもよろしいと思いますが、ほかにございませんでしょうか。  5ページ目の毒性のところで今気になったんですけれども、(2)のマグネシウムの ところの人での試験結果がございます。健常人19例と慢性下痢患者359例というのがご ざいますが、なぜ慢性下痢患者が359例なんでしょうか。マグネシウムというのはたし か便を柔らかくする作用がございますね。そんなことから考えるとどうしてなのかと 思ったんですが、これは調査会で何か話題になりましたでしょうか。 ○廣瀬委員  これについては特に話題にならなかったと思いますけれども、事務局の方ではいかが ですか。 ○事務局  この内容でございますが、代謝を見るという目的で新たにマグネシウムを投与して排 泄量を調べたという実験系ではございません。むしろ疫学的なデータといいましょう か、慢性下痢患者がいたとしまして、それがマグネシウム由来の下痢なのかどうか。そ の辺のことを調べるといいましょうか、そういう疫学的な調査結果の一部としての解析 結果が出ているということでございます。従いまして慢性下痢患者の症例でのデータが 出ているということになっております。 ○井村座長  いずれにしましても排泄量に関する記述でございますので、それが何であろうとあま り影響はないだろうと思うんですけれども、ちょっと気になりましたので。ありがとう ございました。  ほかに何かご質問なりご意見はございますか。よろしゅうございますか。                  (発言なし) ○井村座長  それでは、一通りご審議いただいたということにさせていただきまして、このステア リン酸マグネシウムの食品添加物としての指定につきましては可とするということで構 いませんか。いかがでしょうか。               (「異議なし」の声あり) ○井村座長  ありがとうございました。  それでは、この品目につきまして食品添加物としての指定については可とすることに いたしまして、分科会長と相談し、分科会への報告等の手続をとらせていただきたいと 思います。  それでは、次の議題に移らせていただきます。議題(2)のリン酸三マグネシウムの 食品添加物としての指定の可否についてと議題(3)の酸化マグネシウム及び炭酸マグ ネシウムの使用基準改正の可否についてという2つの議題がございますけれども、いず れもマグネシウムを栄養強化の目的で添加することに関連しておりますので、まとめて 審議をしていただきたいと思います。  この件につきましては平成13年5月14日付で厚生労働大臣から諮問がありましたもの でありまして、食品添加物調査会でこれまで4回審議を行っていただいております。そ の結果がまとまったので、この合同部会に報告されたものでございます。  それでは、まず事務局から関連資料につきましてご説明をよろしくお願いいたしま す。 ○事務局  それでは、資料3及び資料4に基づきましてご説明させていただきたいと思います。  資料3が部会長から今ご説明がありました諮問についての書類ということで、1枚め くっていただきまして1ページでございます。諮問書の写しでございますが、平成13年 5月14日付で諮問させていただいた他の品目と同様に1.の最後にリン酸三マグネシウ ム、2.の最後に酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムの使用基準改正の可否について という形で諮問させていただいております。  その品目あるいは諮問内容の概要でございますけれども、3ページをお開きいただけ ればと思います。真ん中あたりに(4)といたしましてリン酸三マグネシウムの新規指定に ついてとございますが、用途としましては強化剤用途を考えている。要請者としまして は太陽化学株式会社となっておりまして、要請は平成13年5月10日付でなされておりま す。  更に1枚めくっていただきまして、4ページでございます。真ん中あたりの(3)酸化 マグネシウムの使用基準改正、(4)炭酸マグネシウムの使用基準改正ということで、そ れぞれここに記載の要請者から出されたものでございます。  資料4に移っていただきますが、これについての調査会での審議の報告書でございま す。  2ページをお開きいただきたいと思いますけれども、調査会におきましては平成13年 12月から今年の1月20日まで合計4回ご審議をいただいております。かなり時間がかか っているわけでございますけれども、その理由は次の3ページで今回の要請の背景に関 連してご説明させていただきたいと思います。  マグネシウム塩に係る要請の背景でございますけれども、まず強化剤がどういうもの かというものでございます。ビタミン、ミネラルあるいはアミノ酸といった重要な生理 作用を有する栄養素の中には、食生活によっては不十分であったり、あるいは食品の製 造、加工あるいは保存の過程で分解されたりして失われるということから、それらの成 分を補充し、栄養価を保持する、いわゆる栄養強化目的で使用されるものがございまし て、そのうち、ミネラルの成分について添加物として現在認められているものは鉄とカ ルシウムの2つのみという状況になっているわけでございます。  今回、マグネシウム塩の要請が増えている背景でございますけれども、平成11年に第 6次改訂日本人の栄養所要量が公表されております。その中でマグネシウムの所要量が 明確に規定されるなど、マグネシウムなどのミネラル類が栄養成分として注目されるよ うになってきたといった背景がございます。そういう背景を受けまして、栄養強化を目 的としてマグネシウム塩を添加することを主な目的とした添加物の新たな指定、あるい は現在あるものの使用基準改正の要請が多くなされてきているということでございま す。  調査会が4回も、かなり長きにわたって審議した背景には、これらミネラルが本当に 欠乏しているのかという実態や、栄養強化をする必要性が本当にあるのかということを 明確にするにはデータが不足していたということがあったわけでございまして、平成13 年度の国民栄養調査の結果が昨年12月に公表されましたけれども、そういったデータも もとにして栄養学的な見地からの検討も重ねたということでございます。その栄養学的 な見地からの検討という意味では、その前の2ページをごらんいただければと思います けれども、調査会におきましては参考人といたしまして独立行政法人国立健康・栄養研 究所から3名の栄養学の専門家の先生もお招きして2回ほど審議を賜った。そういうこ とも調査会の方で行ってきております。  また3ページに戻っていただきますけれども、真ん中の2.でございます。マグネシ ウムの1日摂取量、強化剤用途としての有効性あるいは意義でございますが、今申し上 げました平成13年度の国民栄養調査の結果を見ますと、マグネシウムの摂取量はかなり ばらつきがありましたけれども、大きく3つのことが言えるというものであります。  (1)としましては、国民全体で見ますと平均摂取量は平均所要量を満たしているとい う結果であった。(2)としましては、15歳から49歳という年齢層におきまして平均摂取 量は所要量を満たしていないことから、不足傾向を示している。(3)としましては、1 歳から6歳におきましては逆に平均摂取量が所要量の2倍に達している。そういったこ とが示されたわけでございます。  この結果をもとに、平均で見ると国民全体での不足傾向は示されていないと言えます けれども、15歳から49歳という年齢層を見ますと、個人差は大きいものの所要量を満た していないことが客観的に確認されたと判断いたしまして、栄養強化用途の添加物とし ての意義あるいは必要性が認められるのではないかという形になっております。  3.マグネシウム塩の安全性に関する一般的知見でございますけれども、リン酸三マ グネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムのいずれも、国際的な評価としまし ては、マグネシウム塩で見た場合には安全であるので1日摂取許容量(ADI)は制限 しないという評価をJECFAにおいて受けております。実際の疫学的な安全性に関す る知見としましては、第6次改訂日本人の栄養所要量の報告の中でも好ましくない影響 はない。あるいは、その他の疫学的なデータからは安全性に問題があるという情報は得 られていないという状況になっております。  1枚めくっていただきまして4ページでございますけれども、以上のことから、一般 にマグネシウム塩の過剰摂取時の安全性に関しましては、下痢などの消化器症状が主で あって、過剰摂取による安全性の懸念は、今、強化剤用途で認められている添加物であ ります鉄あるいはカルシウムというミネラル成分と同じぐらいではないかと考えられた わけでございます。  しかしながら、特段の安全性の懸念があるという報告はないんですけれども、先ほど の国民栄養調査の結果から1歳から6歳児におきましては実際の摂取量が平均所要量の 2倍程度、あるいは7歳から14歳においても平均所要量を上回るマグネシウムを摂取す る可能性が示唆されていることから、専ら乳幼児から小児が食する食品に対してはマグ ネシウム塩の添加を控えるように通知等で指導するような対応をするのが適当ではない かと考えております。  マグネシウム塩についての全体的な方針はそういう形になっておりまして、個別にリ ン酸三マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムを見た内容を5ページから 綴ってございます。  5ページをお開きいただきたいと思いますけれども、まず、リン酸三マグネシウムの 新たな添加物としての指定についてでございます。真ん中あたりの4.の2つ目のパラ グラフでございますが、リン酸三マグネシウムは難水溶性のものでして、苦みが少な く、嗜好性の高い加工食品を提供することが可能になるという点で有用であると考えら れ、今回、添加物としての新規指定の要請がされたものでございます。  JECFAの評価でございますが、マグネシウムといたしましては先ほど申しました とおりADIを設定する必要はないという形になっております。ただ、リン酸塩でござ いますので、JECFAの評価といたしましてはリン酸塩についての最大耐容1日摂取 量をリンとして70mg/kg/日と規定する。そういう形でリン酸三マグネシウムの安全性 評価を行っている状況でございます。  アメリカにおきましては、リン酸三マグネシウムは一般に安全と言われるGRAS物 質という扱いになっております。EUにおきましては、いわゆる栄養強化用途で使う場 合には制限なく、食品成分として使っていいという形になっていると聞いております。 コーデックスにおきましては、ミルクやクリーム粉末の固結防止といった使用に対して 使用基準が若干あるという状況と聞いております。  有効性でございますけれども、既存の添加物と比べての有効性を味、嗜好性の面とい うことで比較しております。具体的には硫酸マグネシウムや塩化マグネシウムと比べ て、このリン酸三マグネシウムを各種食品に配合して食べた場合の官能試験を行ってい るわけですけれども、これらに比べて味がいいという結果が出ております。  食品中での安定性でございますけれども、クッキーとか、そういうものを使って影響 がないか、安定であるかどうかということを確認しております。  それから、食品中の他の栄養成分に及ぼす影響を見ております。たんぱく質、脂質あ るいは糖質に対して影響がないかということを含量を測定して比較しておりますけれど も、いわゆる対照群と差がないことを確認し、栄養成分に影響を与えないことを確認し ております。  体内動態に関する知見でございますけれども、人工胃液中での解離性が検討されてお ります。誤植がございまして申し訳ありません。難水溶性の「溶」が抜けておりますけ れども、難水溶性の塩と言われております酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン 酸三マグネシウムの水に対しての溶解性は確かに悪いんですが、人工胃液の中で見た場 合には、これらの塩も、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどの水溶性の塩と同様 に、ほぼすべてイオン化されることが確認されております。  7.安全性に関する知見ですけれども、リン酸三マグネシウムのデータとしましては ラットでの90日間反復投与毒性試験が実施され、その結果が報告されております。具体 的には混餌投与で0から5%までで実施しておりまして、5%投与群で腸捻転の死亡例 が1例ありましたけれども、その因果関係は明らかでなかったという結果になっており ます。それから、1.5%あるいは5%投与群で軟便や泥状便の排泄が認められ、それに 関連した所見もあるといった結果になっております。それから、0.5%投与群で摂水量 の増加に伴う所見も見られております。  これらについての評価としましては、マグネシウム過剰摂取により下痢が出るという 消化器症状が見られることは既知の情報であることから、各投与群で見られた変化でご ざいますが、新たな毒性があるかどうかという意味での毒性学的意義は少ないと考えら れております。  その他の試験としましては、マグネシウム塩について変異原性試験が報告されており ますが、Ames試験、染色体異常試験などの結果として変異原性は確認されていない という結果になっております。  7ページですけれども、調査会での評価でございます。今回提出された資料から、体 内ではリン酸三マグネシウムはほぼ100%イオン化することが科学的に確認されたとい うことでございまして、既に塩違いの塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどが添加 物として指定されていることから、それらの安全性データの転用といいましょうか、そ ういうものを使った評価もできるのではないかと考えられます。  それから、マグネシウムの過剰摂取による安全性への懸念でございますが、これも先 ほど全体像のところで申し上げましたけれども、既に添加物として栄養強化目的で認め られている鉄やカルシウムと同程度であると考えております。  問題はリン酸塩でございますけれども、JECFAの方でリン酸塩についてのTDI を70mg/kg/日と定めていることから、今回、リン酸塩を使うことによってリンの過剰 摂取にならないかどうかということも検討しました。その推定方法としましては、現 在、添加物として使われているマグネシウム塩たる添加物がすべてリン酸塩に置き換 わったと仮定して、リンの推定摂取量の増加分を推定しましたところ、それは1日当た り200から300mg程度の増加分であろうと。他方、第6次改訂日本人の栄養摂取量で定め られていますリンの許容上限摂取量は1日当たり4,000mgとされております。先ごろ公 表されました国民栄養調査の結果から見れば、現在のリンの平均摂取量は1,057mgにな っておりまして、仮にリン酸三マグネシウムを使ったとした場合の増加分、200から 300mgを加えたとしてもリンの許容上限摂取量には達しないだろうということから、リ ンの過剰摂取による安全性の懸念は少ないという評価をしております。  8.使用基準でございますけれども、リン酸三マグネシウムの安全性の懸念は今まで も申し上げましたとおり少ないだろうということから、特段の使用基準は設定する必要 がないという結論に至っております。「しかしながら」以降のところは、冒頭ご報告申 し上げました全体的な方針ということでの指導通知の内容を書いてございます。  成分規格でございますけれども、JECFAの規格を参考にしまして設定しておりま す。調査会の方では、水和物に関する規定について若干整備しているという状況でござ います。  1ページめくっていただきまして8ページですけれども、酸化マグネシウム、炭酸マ グネシウムの使用基準を改正する件についての内容でございます。現状は9ページをお 開きいただきたいと思いますけれども、参考のところで、酸化マグネシウムと炭酸マグ ネシウムには現在ここにございますような使用基準が設定されております。こういう使 用基準が設定されていることから、今のままでは栄養強化目的で使用することができな いということで使用基準を見直してほしいという内容でございます。  戻っていただきまして8ページの2.でございますけれども、これらのマグネシウム の安全性についての評価でございます。この使用基準がなぜ定められているかという説 明でございますけれども、先ほどありました酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムは他 の塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムと異なりまして水に溶けにくい性質がございま すので、いわゆる不溶性鉱物という扱いになっております。不溶性鉱物一般につきまし ては、ここにありますように無味無臭の物質が多く、また、かつては加工食品に増量剤 として使用された。そういうことでかつては悪用されるおそれがあったということか ら、ここにありますように食品の製造または加工上必要不可欠な場合に使用を限る必要 があったため、現在の使用基準が設定されております。  調査会では今回の酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムについての安全性をどう評価 したかということですけれども、(1)といたしまして、先ほどの説明にありましたよう に酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムのいずれも人工胃液中では完全に解離してイオ ン化されることが確認されております。(2)といたしまして、JECFAにおいてはこ れらの物質もすべてADIは制限しないと評価されていることから、結論としては、安 全性についてはこれらのマグネシウム塩についても他のマグネシウム塩と同じ程度では ないかと評価しております。  3.としまして外国の状況を書いておりますけれども、結論として安全性についての 評価を他のマグネシウム塩と同程度と考えたことから、現在の使用基準を廃止しても差 し支えないのではないかという結論になっております。  9ページの「しかしながら」以降に書いている内容は全体的な取扱いでご説明した内 容ということで、詳細な内容については割愛させていただきます。  以上、マグネシウムについてのご説明です。よろしくお願いします。 ○井村座長  どうもありがとうございました。詳細なご説明をいただきましたが、たびたびで申し 訳ないんですが、調査会の廣瀬先生、何か追加がございましたらよろしくお願いいたし ます。 ○廣瀬委員  ただいま事務局の方から非常に丁寧な説明があったんですけれども、若干補足させて いただきます。  まず、リン酸三マグネシウムでございますけれども、本調査会におきましては栄養強 化の目的で使用することを意図した添加物といたしまして、今回のマグネシウムのほか にも種々のミネラル類について新規添加物指定あるいは使用基準改正の要請が寄せられ ておりますので、これらの取扱いをどうするかということにつきまして栄養学の専門家 を交えて検討いたしました。その結果、栄養強化を目的とするミネラル類の取扱いとい たしまして、まず、先般公表されました国民栄養調査の結果等におきまして当該成分の 不足が客観的に示されているものを強化剤として認めること。更に、強化剤等を使用す るに当たりまして使用基準などで使用制限を加えるかどうかにつきましては、過剰摂取 時の健康影響の程度に応じて個別に判断するという方針で取り扱うことにいたしまし た。今回のマグネシウムにつきましても、その方針に則って審議を行ったわけでござい ます。  引き続きまして、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムの使用基準に関しましては、 これらは不溶性鉱物の一種ということで現行の使用基準が定められているわけでござい ますが、調査会では両方のマグネシウムとも人工胃液中ではイオン化することが確認さ れたこと、また、国際的な評価におきましても安全であるということからADIは設定 しないと判断されていること。これらの点を踏まえまして、このような塩類についての 安全性も、塩化マグネシウムや硫酸マグネシウムなどのほかのマグネシウム塩と同程度 であると判断いたしまして、現行使用基準を廃止して差し支えないと判断したわけでご ざいます。  以上です。 ○井村座長  ありがとうございました。  それでは、これらマグネシウム塩の新規指定及び使用基準の改正につきましてご意見 を伺いたいと思います。よろしくお願いします。 ○菅野委員  確認させていただきたいのですが、カルシウム、鉄に続いてマグネシウムというコメ ントがございましたが、先ほどのラットの腎臓のカルシウム沈着を減らすという観点か ら、カルシウムとマグネシウムの作用方向が逆だと仮定したときの骨形成に対する影響 の確認が、特に子供・乳幼児において必要かどうか、という事を検討されたかどうか、 という点です。さらには、例えばカルシウムで骨の丈夫な赤ちゃんをと言って仮に妊婦 が好んで摂取する場合があるとすると、それと同様にマグネシウムを摂取した場合、母 乳経由で乳児に移行する可能性があるかないか。子供・乳幼児の骨形成におけるカルシ ウムとマグネシウムの拮抗の問題が、一応科学的にクリアされているかどうかだけ確認 させていただきたいです。 ○廣瀬委員  非常に難しい問題ですけれども、マグネシウムを取るとカルシウムが減少することは 確かです。それによって、またカルシウムを取るということが発生してくるわけですけ れども、そのバランスまでは特に調査会で検討しておりません。妊婦に関しまして、特 に健常人とマグネシウムに関するセンシティビティーはほとんど変わらないということ で、妊婦に対する特別な配慮は要らないということになっていると思います。 ○事務局  安全性に関して菅野先生から今ご指摘のあったように骨形成に対する具体的な影響ま で見た文献情報があったかということについては、そこまで詳しいものはなかったかと 思います。ただ、今回の取扱いの中で最初に調査会の結論といたしまして、行政通知で はございますけれども、幼少の1歳から6歳とか、乳幼児から小児といった方々が食す る食品に対して強化目的でマグネシウムを添加するのは避けなさいという指導はしたい と思っておりますので、そういう意味では特に成長期の幼少に対しての骨形成への影響 は避けることができると思っております。 ○吉池委員  栄養所要量との比較において小児では摂取量がかなり高いということが出ております が、栄養所要量自体の策定の背景から言うと、成人ではいわゆる人体実験、すなわち食 事成分をコントロールするバランススタディでマグネシウムの必要量を求めていく。と ころが、小児に対してはそのような実験ができませんので、成人のデータあるいは乳児 のミルクや母乳からの摂取量の実態からのデータの両者をつないで外挿しているという ことがあります。従って成人における所要量と小児における所要量をデータの質として 同等に見ることは恐らく難しい。そういう意味もあって、見かけ上、所要量に対する小 児の摂取量がかなり高い。それをもってきわめて過剰摂取であるとは言えないというこ とが一つあるかと思います。  もう一つは、摂取量に関しても一昨年11月に出ました食品成分表の中で初めてマグネ シウムがすべての食品に対して収載されて、国民栄養調査でも摂取量が算出されるよう になったという状況がございますので、所要量と摂取量という比較においての議論も本 格的にはまだ始まったばかりであるということも現状としてあります。 ○福島部会長  先ほど菅野先生から言われましたマグネシウムとカルシウムで骨の変化がどうなるか ということですが、病理組織学的での所見を言いますと、これまでの毒性試験で骨の方 に変化が出ているという所見はありません。先ほど腎臓の骨の沈着がありました。これ は皮髄境界部の髄質のところに出現しまして、これは非常に動く変化で、確かにコント ロールでもよく見られる変化。それを病的ととるか健常ととるかというのは、正常な ラットで出てくるものですからなかなか難しいわけですけれども、とにかく非常に動き やすい変化ということで、その病理学的な意味付けは非常に難しいです。所見としては とられるけれども、全体から見ると毒性学的な意味はあまりないというのが今の段階で す。 ○菅野委員  特段この「1歳から6歳での投与を控える」ということでカバーされていないとは思っ ていないので、これで結構だと思うのですが、大人の動物で実施された実験と、大人で ない対象、特に乳幼児に対する判断を科学的に考察した上で、これでカバーできるだろ うという論議はしておいた方がよろしいのではないかという意味で指摘させていただき ました。この「但し書き」で担保できないというコメントではなくて、確認の意味で申 し上げたいと思います。 ○西島委員  特に反対ということではありませんが、お聞きしたいのは、成人の摂取量にバラツキ があるということを先ほど聞きましたが、不足するとどのような症状が出るのでしょう か。  私が一番気になるのは、何かの使用目的でこれを許可するというより、栄養強化剤と いうことですね。そうしますと、これは栄養強化剤としての売り方の問題になると思い ます。要するに、鉄が足りない、カルシウムが足りないというのは何となく納得できま す。しかし、マグネシウムが少し不足しているような人がいるということで恐怖心を煽 るような形で売るとなると、毒性は問題なくても、不必要なものを買って飲む人が随分 増えるのではないか。という点が気になります。 ○井村座長  ごもっともな疑問だと思うのでございますけれども、そういうことをディスカッショ ンすることになりますと、栄養所要量というものが持つ意味について根本的にディスカ ッションしなければいけなくなってしまって、それは所要量が決まったときに栄養上は 一体どのぐらいのばらつきが許されるのかという話になって、非常に大変だなという気 がするんです。お話の内容は非常によくわかりますし、私も多少そういう気はしており ますが、この辺につきましてはいかがでございましょうか。 ○鈴木(久)委員  私どもが行った種々の食生活調査からのマグネシウムの摂取量は、成人の場合ヒトに より差があります。それは、ある種の偏りのある食物摂取をしている場合に大きく不足 してきます。そのことが、健康・栄養状態にどの程度影響するのかについては、十分説 明できていないのではないのが現状でしょう。  マグネシウムが食品製造における食品添加物としての有効性に留まらず、やがて、栄 養強化として特定保健食品の申請がなされた時に、今回の報告にありましたように、カ ルシウムや鉄等の互いの拮抗作用などを含めた情報を基に検討されることを期待致しま す。 ○井村座長  ありがとうございます。事務局から何かございますか。 ○事務局  今の先生のご指摘に関しましては、いわゆる保健機能食品、栄養機能食品にマグネシ ウムの栄養機能表示ができるかということに関連したご質問、ご指摘だと思いますけれ ども、マグネシウムについての栄養機能表示の問題は、この審議会の中の別の部会ある いは調査会で審議していただく内容でございまして、現在の状況はまだマグネシウムの 栄養機能表示についてそちらの方でも議論されていない。これから議論するという状況 と聞いておりますので、そちらの方で議論するときに先生から今ご指摘のあった内容に ついてもあわせてご議論いただければいいのかなと思っております。  そういう意味で西島先生からのご指摘もありましたように現在はマグネシウムについ ての栄養機能表示はできませんので、これを使ってもマグネシウムについて例えばこう いう機能がありますと表示することは法的にはまだできないという形になっておりま す。それは栄養機能表示の審議が終わって、それが認められればそういうことができる ようになるということでございますので、とりあえず現状をご報告させていただきま す。 ○廣瀬委員  先ほどマグネシウムが不足するとどういうことになるかというご質問がありましたけ れども、私が勉強した限りでは急性の不足であると、けいれん様の変化が出るというこ とでございますが、慢性的にカルシウムが不足すると循環器の病変、特に心筋梗塞が増 えることが報告されております。マグネシウムが不足すると血管内皮に影響を与えて血 管内皮のスパスムが強くなることから、血管障害が増えるのではないかと言われており ます。 ○井村座長  先ほどの事務局からの説明を聞きますと、西島先生がご心配になったような怪しげな 売り方は差し当たってはできないということでございます。 ○棚元委員  先ほどの乳幼児に対する影響と関連するかどうかわからないんですが、コーデックス ではミルク及びクリーム等に関して使用基準があるということで、これでどういった使 用基準が設定されているのか、具体的に書いていないんですが、その辺はわかります か。 ○事務局  事務局で把握している範囲内では、コーデックスでミルクパウダーとクリームパウダ ーで固結防止目的で使う場合の使用基準としましては、ミルクパウダーの場合はキログ ラム当たり10g以下、クリームパウダーの場合はキログラム当たり1g以下という使用 基準が設定されております。  ただ、コーデックスの基準は食品ごとに決める基準という場合と、添加物を横断的に 使うガイドライン的な、目安的な基準があるのですが、このものについては横並びで見 たガイドライン的な使用量の目安といった形でついているものと理解しております。 ○井村座長  ほかにご意見はいかがでしょうか。大体ご意見が出尽くしたと思ってよろしゅうござ いますでしょうか。                  (発言なし) ○井村座長  ありがとうございました。  それでは、このマグネシウム塩の新規指定と使用基準の改正につきましては一応、可 とするというふうに判断してよろしゅうございますでしょうか。  ただし、先ほど事務局からも説明がございましたように乳幼児から小児までが専ら食 する食品についての添加は控えるようにというご指導を是非つけていただくということ でよろしゅうございますでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○井村座長  ありがとうございました。  それでは、このリン酸三マグネシウムの食品添加物としての新規指定並びに酸化マグ ネシウム及び炭酸マグネシウムの使用基準の改正につきましては可とすることにいたし まして、先ほどと同様に分科会長と相談し、分科会への報告等の手続をとらせていただ きます。どうもありがとうございました。  それ以外の議題といたしまして、事務局の方から何かございますでしょうか。 ○事務局  審議事項は以上で終わりでございまして、あとは報告事項が何点かございます。  まず最初に資料5をごらんいただければと思いますけれども、新たに諮問させていた だいた品目についてご報告させていただきます。  資料5の1ページをお開きいただければと思いますけれども、2月12日付で厚生労働 大臣から審議会長あてに大きく2つの案件について諮問させていただいております。  一つは亜酸化窒素の食品添加物としての指定の可否、もう一つは亜硫酸塩群について の使用基準改正の可否についてということでございます。  2ページをごらんいただければと思いますけれども、諮問の概要でございます。  亜酸化窒素の食品添加物としての新規指定についてでございますけれども、製造用 剤、具体的にはホイップクリームについて泡立てる用途で使う添加物ということでの要 請が来ております。ここに記載の要請者から昨年9月11日付で要請がなされたものでご ざいます。  3ページをごらんいただければと思いますけれども、既に添加物として広く使われて おります亜硫酸塩群についての適用拡大の要請が来ております。これは漂白剤等で使わ れるものでございますけれども、一つは乾燥カットポテトについての使用量を見直して ほしい、もう一つはレーズン(干しぶどう)についての使用量を見直してほしいという 大きく2つの内容について要請が来ているものでございます。これについてはこれから 添加物の調査会でご議論いただきまして、報告書がまとまりましたら、また当部会でご 議論いただきたいと思っております。  以上、簡単にご報告でございます。 ○井村座長  ありがとうございました。ただいまの事務局からの報告につきまして何かご質問等が ございましたらどうぞ。  諮問がされたというご報告でございます。簡単に片づけば、ここへ早く上がってくる ということでございます。よろしゅうございますでしょうか。                  (発言なし) ○井村座長  それでは、これに加えて事務局の方からほかに何かございますでしょうか。 ○基準課長  先ほど食品保健部長からご説明申し上げました食品衛生法等の一部改正について状況 を簡単に報告させていただきたいと思います。参考資料1をごらんいただきたいと思い ます。  参考資料1として、その概要を本日お手元に配らせていただいておりますが、一昨年 のBSEの事件を契機に政府全体として食品の安全性のより一層の確保に万全を期すと いう観点から、内閣官房において食品安全基本法という食品安全全体に係る基本的な方 針、あるいは食品安全委員会というリスク評価機関を新たに設置する件を内容といたし ます法律が国会に提出されております。また、私どもは食品衛生法改正のほか、農林水 産省におきましては食糧庁の廃止、あるいは農薬取締法の改正などの法案が2月7日付 で国会に提出されて、食品安全を万全にするための一連の措置が講じられようとしてい るところでございます。  その中で食品衛生法等の改正につきまして参考資料1に挙げているわけでございます けれども、今回の改正は法の目的規定の改正から、例えば農薬・動物医用薬品のポジ ティブリスト制の導入、あるいは監視・検査体制といたしましては登録検査機関制度の 導入、あるいは監視・指導の指針、あるいはその計画の策定・公表などなど、昭和23年 に食品衛生法がつくられて以来の抜本改正という形になっているわけでございます。し たがいまして、今後の国会審議あるいはその施行に当たりまして、また先生方のお知恵 を拝借する機会も多いだろうと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。  なお、4ページを開けていただきますと、今回の法改正の全文は省略させていただい ているわけでございますが、厚生労働省のホームページの中にその法案の全体像が掲げ られておりますので、申し訳ございませんけれども、よろしくお願いします。  また、参考資料2といたしまして本年1月に決まりました薬事・食品衛生審議会の食 品衛生分科会関係の名簿を載せておりますので、ご参考までにご報告させていただきま す。  どうもありがとうございました。 ○井村座長  どうもありがとうございました。  ただいまのご説明につきまして、先生方から何かご質問はございますでしょうか。                  (発言なし) ○井村座長  ほかに何か事務局の方からご追加はございますでしょうか。よろしゅうございます か。  それでは、大変長いことお疲れさまでございました。本日の審議はこれで終了とさせ ていただきます。どうもありがとうございました。                                     −了− 〈照会先〉厚生労働省医薬局食品保健部基準課 蛭田、加藤(2453、2444)        TEL:03(5253)1111(代表)