03/02/19 薬事・食品衛生審議会平成15年2月19日(水)医薬品第二部会議事録          薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年2月19日(水) 14:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(12名)五十音順  ◎池田 康夫、 上原 至雅、 岡田 義昭、 折笠 秀樹、   守殿 貞夫、 神谷  齊、 川嵜 敏祐、 菅谷  忍、   早川 堯夫、 藤上 雅子、○堀内 龍也、 吉田 茂昭   (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)   木村  哲、 後藤  元、 三瀬 勝利、 溝口 昌子 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、安倍 道治(審査管理課長)、   黒川 達夫(安全対策課長)、 豊島  聰(審査センター長)   姫野 孝雄(審査センター企画調整部長)、    平山 佳伸(審査センター審査第一部長)、   森  和彦(審査センター審査第二部長)、   辻村 信正(審査センター審査第三部長)  他 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長  審査管理課でございます。それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医 薬品第二部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、 誠にありがとうございます。当部会の委員数は16名でございますけれども、うち12名の 御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告させていただきます。 木村委員、後藤委員、三瀬委員、溝口委員は御欠席ということで、なお菅谷委員におか れましては少し遅れていらっしゃると伺っております。  本日は薬事・食品衛生審議会委員の改選が行われた後に開催される最初の部会となり ます。先般1月23日に薬事・食品衛生審議会総会、及び薬事分科会が開催されまして、 当部会の部会長といたしまして池田委員が選出されておりますので、御報告させていた だきます。本日は改めて委員が任命されて最初の部会でございまして、また新たに委員 になられた先生方もいらっしゃいますので、まずは委員の先生方の御紹介からさせてい ただきます。 ○事務局  それでは本日席上に配付させていただきました医薬品第二部会の名簿に従いまして、 委員の先生方を御紹介させていただきます。まずは慶応義塾大学医学部内科教授総合医 科学研究センター長の池田康夫委員でございます。 ○池田部会長  慶応大学内科の池田でございます。引き続き部会長を務めさせていただきますので、 先生方にはよろしくお願いいたしたいと思います。 ○事務局  続きまして、国立感染症研究所生物活性物質部長の上原至雅委員でございます。 ○上原委員  よろしくお願いいたします。               ── 菅谷委員着席 ── ○事務局  国立感染症研究所血液・安全性研究部第一室長の岡田義昭委員でございます。 ○岡田委員  感染研の岡田と言います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  富山医科薬科大学教授の折笠秀樹委員でございます。 ○折笠委員  富山医科大学で統計学を専門としております折笠と申します。よろしくお願いいたし ます。 ○事務局  神戸大学大学院医学系研究科教授の守殿貞夫委員でございます。 ○守殿委員  守殿です。よろしくお願いいたします。 ○事務局  国立療養所三重病院長の神谷齋委員でございます。 ○神谷委員  神谷です。よろしくお願いいたします。 ○事務局  京都大学大学院薬学研究科教授の川嵜敏祐委員でございます。 ○川嵜委員  よろしくお願いいたします。  ○事務局  東京大学医学部附属病院教授の木村哲委員、本日は御欠席の御連絡を頂いております 。それから杏林大学医学部第一内科教授の後藤元委員、本日御欠席の御連絡を頂いてお ります。続きまして、日本医師会常任理事の菅谷忍委員でございます。 ○菅谷委員  菅谷です。 ○事務局  国立医薬品食品衛生研究所副所長の早川堯夫委員でございます。 ○早川委員  早川でございます。よろしくお願いします。 ○事務局  日本薬剤師会常務理事の藤上雅子委員でございます。 ○藤上委員  藤上です。よろしくお願いします。 ○事務局  群馬大学医学部臨床薬理学教授・附属病院薬剤部長の堀内龍也委員でございます。 ○堀内委員  堀内でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局  医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構顧問の三瀬勝利委員でございます。本日御 欠席の御連絡を受けております。聖マリアンナ医科大学代表教授の溝口昌子委員、本日 御欠席の御連絡を受けております。国立がんセンター東病院副院長の吉田茂昭委員でご ざいます。 ○吉田委員  吉田でございます。よろしくお願いします。 ○事務局  以上でございます。 ○審査管理課長  それでは池田先生、以後の進行をどうぞよろしくお願いいたします。 ○池田部会長  それでは本日の議事を始めたいと思います。まず議事を始める前に部会長代理を決め させていただきたいと思います。部会長代理につきましては、審議会のルールによりま して部会長があらかじめ指名するということになっておりますので、私から御指名させ ていただきたいと思います。これまでと同様、引き続き堀内委員に部会長代理をお願い したいと考えておりますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。                 ── 拍手 ── ○池田部会長  ありがとうございました。それでは堀内委員、こちらの席にお願いいたします。           ── 堀内委員、部会長代理席へ移動 ── ○池田部会長  それでは本日の審議に入る前に、事務局の方から配付資料の確認と資料作成に関与さ れた委員の報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。資料1〜4までがあらかじめお送りした 資料でございます。本日の席上配付資料といたしまして、議事次第、座席表、当部会の 名簿、資料1-3としましてフェマーラ、フェマーラ錠1mg等の医薬品第二部会審議結果 伝達事項回答追補というもの、資料3-2としまして注射用タゴシッドの品目の概要の差 し替え版でございます。それから資料5といたしまして、「医薬品第二部会審議品目の 薬事分科会における取扱い及び毒薬・劇薬の指定の要否について(案)」でございます。 資料6といたしまして、「フェマーラ、フェマーラ錠1mg及びフェマーラ錠2.5mgに係 る専門協議委員一覧」と「ゼローダ錠300に係る専門協議委員一覧」でございます。資 料7といたしまして、「イレッサ錠250の申請から市販後までの経緯」でございます。 以上をお配りしております。  それから平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関与された委員の 確認でございますが、本日の議題については関与された委員はいらっしゃいません。以 上でございます。 ○池田部会長  ありがとうございました。本日はお手元の議事次第にありますように、審議事項が3 議題、報告事項が1議題でございます。早速議題1について、審査センターの方から審 査の概要を説明していただきたいと思います。これは昨年医薬品フェマーラ、フェマー ラ錠1mg、同2.5mgということで御審議いただいたわけですけれども、審査センターの 方からよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは議題1、資料1-1〜1-3でございますが、フェマーラ、フェマーラ錠1mg、同 2.5mgの輸入承認の可否等について、審査センターより御説明申し上げます。  本剤はアロマターゼ阻害剤、レトロゾールを有効成分とする閉経後乳癌の治療薬であ り、前回(平成14年11月22日)開催の医薬品第二部会において御審議いただき、継続審議 となったものです。前回部会において、本剤の用法・用量1日1回1〜2.5mgについて 1mgと2.5mgの使い分けが明確でないとの御指摘を頂き、この点について審査センター において申請資料を再度精査するとともに、申請者に対しても照会いたしました。  その結果、本剤の薬物動態に関して、2.5mg投与後の血漿中濃度は日本人においても 約4週間で定常状態に達することが確認されました。また、本剤の代謝に関与する CYP2A6について、日本人に欠損型が多いものの、本剤の代謝にはCYP3A4も関与するた め、CYP2A6飽和後はCYP3A4により代謝され、欠損型患者においても血中濃度が上昇し続 けることはないと考えられました。なお、日本と同様にCYP2A6の欠損型が多いと報告さ れている韓国、中国等においても2.5mgが承認され、使われております。  安全性に関して、副作用の発現率は国内臨床試験では1mgでは154例中49例で31.8%、 2.5mgでは31例中17例で54.8%と2.5mg群が高かったものの、いずれもほとんどがGrade2 以下の副作用であり、用量の増加によって重篤度が上がる傾向は認められませんでした 。また、海外臨床試験では0.5mgで38.3%、2.5mgで39.4%と用量間に差は認められませ んでした。  有効性に関しても再度結果を整理いたしました。日本では腫瘍縮小効果(奏効率)を評 価項目として試験を実施しており、1mgについて塩酸ファドロゾールと比較して優越性 を認めています。一方、海外では奏効率及び奏効期間と共に、Time to progression(症 状増悪までの期間)や生存期間等を評価項目に加えて試験を実施しており、2.5mgについ て酢酸メゲストロール、アミノグルテチミド等との比較を行い、優越性を認めています 。審査センターは、乳癌の内分泌療法においては腫瘍縮小効果のみならず、奏効期間や TTPも有効性を評価する上で重要な評価項目であると考えており、豊富な症例数を基 にエビデンスを蓄積した海外の試験成績を尊重すべきと考えました。  これらの結果から、本邦においてもよりエビデンスの蓄積がある2.5mgで治療を行う ことが望ましく、また忍容性も認められると判断いたしました。なお、2用量間の使い 分けに関しては、国内臨床試験において、いずれの製剤も同じ患者群を対象に投与され ており、国内外の臨床試験及び海外の市販後成績において用量を増減した症例がないこ とから、それぞれの用量の対象となる患者群を明確に分けるのは困難と考えられまし た。  このため、用量を1日1回2.5mgと変更するとともに、市販後の安全性を確保するた め、通常行われる市販直後6か月間の市販直後調査のほか、市販開始後1年間の全症例 を対象にした使用成績調査、長期使用に関する特別調査、並びに本剤の有効性、安全性 の更なる明確化を目的とした市販後臨床試験の実施を行わせるとともに、CYP2A6の遺伝 多型と本剤の薬物動態の更なる検討を行わせることが妥当と判断しました。なお、これ らの市販後の安全対策については、当日配付させていただいた資料1-3において計画の 概略が示されておりますので、併せて御確認ください。  なお、本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間6年、また原薬及び製 剤は劇薬に該当すると判断しております。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長  ありがとうございました。前回御出席された委員は御記憶かと思いますけれども、前 回は申請用法・用量が1〜2.5mgということになって、この使い分けがどうなのかとい うところに議論が集中したように思います。非常に熱心な御討論を頂いたわけですけれ ども、ただいま報告がありましたような薬物動態と臨床効果というところから2.5mgで 今回申請しようというお考えであります。二つの問題点があると思いますけれども、そ れぞれについて御議論いただきたいと思います。委員の先生から何か御質問、御意見ご ざいますでしょうか。前回は2.5mgに関しては国内における投与の例数が限られている ということで、その安全性、特に日本人では代謝に関係すると言われているCYP2A6が欠 損しているわけで、非常に症例数が少ないのでそれについて問題になるのではないかと いう御意見が堀内先生からもあったと思います。しかし、CYP3A4も非常に重要な代謝経 路であるし、韓国、中国も遺伝子多型の面からいうとほぼ同じパターンをとると考えら れているけれども、韓国、中国では1999年から2.5mgを使用しているということが一つ の考え方として今示されたというふうに思います。いかがでしょうか。まずこの点につ いて、先生方から何か御意見ございますでしょうか。薬物動態の面からその安全性につ いて…。堀内先生、どうぞ。 ○堀内部会長代理  特にCYP2A6の多型については、アジア人、特に日本人で20%の変移があるということ ですから、ホモでも日本人の数%は欠損している可能性があると考えられます。白人の 場合は1%以下ということですから、かなり大きな差だと思います。それでいわゆるブ リッジングスタディーが問題になっていますが、このように明らかに遺伝子多型が日本 人で多いものについては、きちんと検討するのが筋だと思います。  サチュレーションの問題は、CYP2A6とCYP3A4で代謝されることになっているので、サ チュレーションするのではないかということですけれども、あくまでin vitroで遺伝子 導入をした細胞における実験における結果です。個人個人の患者にどういうことが起こ るかについては、やってみないと分からないのではないかと思います。ですから、in vitroの系を持ってきてCYP2A6はサチュレーションして残りはCYP3A4で代謝されるから 問題ないという可能性も十分考えられますが、個人によっては大きな影響を起こす可能 性も考えられます。したがって、本来これはエビデンスに基づいて議論すべきことで、 特に用量の問題では、1mgについては日本のデータがあるわけですけれども、今回の 2.5mgについては外国データによるところが多いわけですから、治験では余り大きな副 作用が出ていないと考えられるから2.5mgでいいではないかというのは飛躍があり過ぎ ると思います。ブリッジングスタディーは何をやればいいのかということになってしま う感じがいたします。ですから、治験をやる段階ではCYP2A6について明確でなかったか もしれませんけれども、本来こういうものについてはきちんと代謝酵素を同定して、そ れから治験の段階できちんとチェックをしていく必要があります。患者の代謝酵素など の遺伝子多型もできるだけチェックをして投与を開始すると、血中濃度が上がっている 患者ではどうなったかという分析もかなりできると思います。そうでないと、今やって いるのはマスとしてしか見ていないので、いつまでたっても同じレベルの治験になって しまうと考えられます。ですから、今回いろいろな観点を考えて2.5mgが妥当と考えら れるとしても、これが前例となってブリッジングをやらないでいいのだということにな ってしまうのは大変困ると思います。 ○池田部会長  そのほかにどなたかございますでしょうか。今日の資料1-2の2ぺージには症例は少 ないのですけれども、日本人2.5mgの25名のトラフ値と外国人2.5mgの125例のトラフ値 の比較のデータはあるということ、あとサチュレートしているというところが一つの根 拠かと思いますけれども、いかがでしょうか。何か御意見ございますか。 ○堀内部会長代理  このトラフ値は非常にばらつきが大きいですね。ですから…。 ○池田部会長  菅谷委員、どうぞ。 ○菅谷委員  前回私は1mgでほとんどの治験をやったことの理由を求めたはずですけれども、それ に対する回答がないわけですね。この際、関連して二つの点について指摘をしておきた いと思います。一つは、この報告書作成に当たる審査センターの姿勢の問題です。最近 非常によく目立つ二つの例があるので申し上げるわけですが、一つはこの報告書であり ます。もう一つは、前に議論した日赤のインターフェロンの報告書であります。日赤の 場合には最初から承認できないという書きぶりで、今回のは最初から承認してよろしい という書きぶりになっているわけです。こういう姿勢は良くないということは以前にも 申し上げておきましたが、直っていないと。これは十分に注意して同じ視点、同じ観点 から、同じような条件で報告書を作るように改めて要求をしておきます。  もう一点、1mgで治験をしたことの回答がないのは回答できないからですね。なぜで きないか、1mgでやった方が有害事象が出るのは少ないだろうと、副作用の発現が全面 的に出てこないだろうということで、1mgでほとんどの治験をやったと。本当は2.5mg でやりたい…、あとはこれは明らかにこじつけですよ。こういう人の生命にかかわる医 薬品を製造している企業のモラルというか倫理観の欠如、こういうものは認めるわけに いきません。市販後でやればいいというのはよく出てきますけれども、こんなことは最 初にやって、それを検討した上で承認すべきであると私は思います。したがって、今回 のこの件については私は承認できないということを申し上げておきます。 ○池田部会長  ありがとうございました。そのほかにどなたか御意見ございますか。吉田委員、どう ぞ。 ○吉田委員  今のお話ですけれども、これは国際化の中で世界的な形で薬剤を開発していくとき に、我が国の治験体制が不慣れであったというか、思慮が足りなかったことによる混乱 が多少あったと思います。しかし、1mgの根拠はこうであるということで出されたもの というのは、アーリークリニカルトライアルの段階で理論的に言えばそのとおりなので すが、片や世界的に2.5mgで投与されているときに、安全性、有効性の成績が我が国と 世界とで共有できないという状況は、臨床現場にとっては非常に難しいといいますか、 不安定な状況をつくってしまうということを懸念します。例えば1mgしか認められない ということになりますと、2.5mgと1mgの有効性が違ってくるというときに、すべて適 応外使用といいますか用量オーバーになってしまって、日常診療として非常にやりづら い部分があります。それから初期の臨床試験の成績の評価についてですが、やはり最終 的なエビデンスとなりますと多数症例によって大体の評価が決まってきます。フェーズ IIIだけでなくてフェーズIVの段階でも決まってくるわけで、そういうことでいうとや はり基本的には世界と足並みをそろえた形で認めるという方向であった方が、臨床現場 としては非常に有り難いと思うのですが。 ○池田部会長  ありがとうございました。吉田委員、腫瘍縮小効果のみならず、奏効期間あるいは Time to progressionというものに、やはりこの場合は重きを置くという方に…。 ○吉田委員  乳癌の場合は特にそうだと思います。私が申し上げたかったのは、これからのそうい う薬の開発や評価というのはやはり世界的な視点で考えなければいけないのですが、ど うもこの薬剤の試験では、今までどおりの視点で開発したような経緯があるように思い ます。これは治験を担当された医師あるいはメーカー側にも責任があるのだと思うので すけれども、きちんと世界的な情報を手に入れながら日米欧と目線を合わせてコミュニ ケーションをとりながら開発していかないと、せっかくの薬が各国バラバラの条件で承 認されるような状況になりますし、薬の本当のパワーがどこにあるかということが最後 まで分からないということにもなります。その点はメーカー側にも十分注意をしておく べきだと思います。 ○池田部会長  菅谷委員、どうぞ。 ○菅谷委員  今吉田委員の言われたことは、一般論としては私もそのとおりだと思います。しか し、今回は個別の事例として先ほど申し上げた理由で、私は先にやるのだったら今ここ で出された市販後の対策をやった上で再度承認申請すべきだと思います。 ○池田部会長  ありがとうございました。そのほかに、どうぞ。 ○折笠委員  私は今データを拝見して…、資料などを初めて拝見したのですけれども、経緯は多分 1mgでも行こうという感じだったと思うのです。世界的に見たらやはり2.5mgが標準的 に使われていると、それで、1〜2.5mgという形にして標準化を、合わせて使えるよう な形にしようとされたと思うのです。ただデータを見ていると、1mgで日本の臨床試験 を前期II相からずっとやられていて、レスポンスレートしかありませんが、レスポンス レートは1mgでも海外の大規模スタディーよりもいいくらいなのですね。ということ は、この数字を見ると2.5mgはもう要らないのではないかと判断して1mgで申請された ような気がして、もし国際標準で使われているからという感じで波線で「〜2.5mg」ま でというふうにされるというのは、やはりちょっと…。取りあえず1mgで認めるなら認 めてしまって、2.5mgまで使えるようにするためにはもう少しデータを頂かないといけ ないのではないかなという気はいたします。 ○池田部会長  ありがとうございました。そのほかにどなたか。どうぞ、守殿委員。 ○守殿委員  私は今回が初めてなのですが、抗癌剤系統のものは投薬量というのは個人差が極めて 強く、かつまた疾患の重症度、浸潤度によっても異なってくるものだと思います。実際 には単純に一定の数値に決め難いものだと認識しております。そういう意味では、むし ろ1〜2.5mgという幅があってもいいかなと思ったりもしております。最初に読ませて いただいた際に、それが2.5mgにフィックスされるような形になっておりまして、それ はどうしてかなという印象が最初ありました。  もう一つは、一定の飽和レベルに抑えるという形であれば、人によってその量は違う と思うのです。少量で飽和レベルに至る人もいると思いますし、それだけで治療効果は あるわけです。そういう意味から、私が言っていることは今の2.5mgどうのこうのの議 論の中で少しピントの外れた答えかも分かりませんが、幅があってもいいという形のこ とも思っておりますので、それが2.5mgになったならどういう経緯でそういう形になっ たのか少し知りたいという気持ちはございます。以上です。 ○池田部会長  そのほかに本剤の臨床的な価値というか、その辺についてどなたか御議論ございます でしょうか。吉田委員、何かございますか。位置付けというか…。 ○吉田委員  位置付けとしては、やはり薬効の機序が違いますので、そういう意味では非常に有益 な薬であることは間違いはないと。 ○池田部会長  そのほかにどなたか御意見ございますでしょうか。菅谷委員からはこういうプロセス から言ってもこの考え方では認め難いという御意見が出されたわけですけれども、恐ら く菅谷委員が主に懸念されているのは安全性という観点ですね。その辺についてもう少 し先生方から御議論…。 ○菅谷委員  これは先ほども言いましたけれども、2.5mgで使わせたいというのはメーカーの希望 だと思うのです。ところが、治験は安全な1mgでやったというところに問題があるわけ で、最初からきちんと2.5mgで治験をさせるべきである。どこが指導したか知りません けれども、それをきちんと指導しなかった審査センターにも問題があるし、またそれを 受け入れたセンターのこの報告書にも問題があると私は思っております。したがって、 きちんと2.5mgで治験をさせる、あるいは市販後の対策をやると言っていますから、こ れを市販後ではなくて市販前に先にやってくださいと。その上で検討しても決して遅く はないわけでありますから、そういうふうにしないと今後の対応でいろいろとまた問題 が出てくる可能性がありますので、そういう意味で私は今承認すべきではないというこ とを申し上げているわけです。 ○池田部会長  市販後の全例調査ということが一つ資料1-3で提案されているわけですけれども、そ れを含めて少し御議論いただきたいと思います。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理  いわゆるアロマダーゼインヒビターは幾つもありますけれども、その中では従来のも のと比べると有効性が高いだろうと考えます。同じ会社でアフェマというものが出てい ますけれども、それから比べると有意に高いデータは出ているわけで、そういう面では 臨床的には価値がある薬だろうと思います。最初メーカー側からは1〜2.5mgという幅 のある用量設定で出てきたのだろうと思います。問題になったのは、どちらがメインに 使われるかをはっきりしてほしいということだったのではないかと思います。これは外 国でも2.5mgが使われているからということですが、個人によってやはり使用量が違う と思いますし、これを2.5mgに固定してしまうと、1mgで出てきたのが2.5mgというのは 議論の飛躍があると思います。ですから、日本でも少例ながらやっているということ で、幅を持たせることはあってもいいと思います。ただ先ほども申しましたように、ブ リッジングの問題は下手をするといろいろな治験、今後の治験に大きく影響が出てくる だろうと思いますので、そこはきちんとしていただきたいということと、市販後臨床試 験を全症例ということは通常一定の期間、あるいは一定の症例で全症例報告をやって、 フォローするという原則にしていただきたいと思います。有用性を考えれば難しい面で はありますけれども、幅を持たせてもいいのではないかと思います。 ○池田部会長  ありがとうございました。本剤の臨床的価値については皆さんもお認めになっている とは思いますけれども、本剤がほかに変わるものがないようなたぐいのものなのかどう か、そういうことも含めて…。この薬剤が仮に臨床現場で使われないという状況の場 合、患者さんに対してどういうような影響が出るか、その辺も含めてこの薬剤の臨床的 な価値について少し御議論いただきたいと思います。その辺はいかがでしょうか。これ は専門協議その他ではどのような臨床的位置付けというか、ほかにもアロマターゼ阻害 剤はあるわけですけれども、先ほど吉田委員から非常に有用な薬であるというコメント は頂いたわけですが、これに匹敵するような薬の存在その他について、吉田委員何かコ メントはございますか。 ○吉田委員  先ほど堀内委員が言われたように、アフェマは同じアロマターゼ阻害剤ですけれど も、阻害率が全然違います。フェマーラの方がかなり高い阻害率を出しています。阻害 しているから有効性が高いかどうかという問題は一つあるのですが、少なくとも阻害率 は非常に高く、有効性が期待されているということは言えると思います。今のお話を伺 いますと、フェマーラを認める認めないの話ではなくて、1mgか2.5mgかというところ のお話のような気がするのですけれども。ですから、結論としては2.5mgの安全性をど う担保するかという話にするのか、それとも1mgをどういうふうに認めてから市販後に 2.5mgと1mgとの比較試験をやれという指示を出すのか、いろいろ選択肢はあると思う のです。しかし、1mgで承認するということになりますと今度2.5mgは用量オーバーに なりまして、正しくない使い方ということになってしまいます。それでその臨床試験を うまく展開できるのかなという不安が一つあります。ですから、確かに手続き上の問題 というか、臨床試験の進め方には非常に問題があるというのは私もよく分かりますけれ ども、現場としては2.5mgを認めていただいた方が今後の展開は非常にやりやすいし、 2.5mgの安全性に問題があれば1mgに減量するという方法は承認用量内でできますので、 障害は少ないかなと思います。 ○池田部会長  どうぞ、守殿委員。 ○守殿委員  ブリッジングをしているということであれば、、大体はPK/PDなどでのデータか ら、堀内先生が専門的に見られて2.5mgで妥当といいますか、理解できるデータになっ ているのでしょうか。もしそうであれば2.5mgぐらいまで認めても別に構わないといい ますか、本来ブリッジングはそのようにデータを扱ってもいいという考え方もあります し、そこら辺で…。 ○堀内部会長代理  ここに出ているデータ自体はそれほど矛盾はないと思いますけれども、問題は酵素欠 損の人についてはやっていないことです。それを同定してどうだということはやってい ないものですから、市販後でやるかその前にやるかは別として、是非やっていただきた いということです。ここに出ているデータだけを見れば全体を平均しての話をしていま すから、それほど矛盾のあるデータではないだろうと思います。 ○守殿委員  この薬の場合、アロマターゼによって女性ホルモンを下げられるか、そういう状態を キープできるかが重要で、いわば用量は幾らでもいいわけですよね。人によって1〜2.5 mgまでの幅があるという形であれば、それは容認できることだと思うのです。 ○堀内部会長代理  ここにもデータがありますように、ばらつきがかなり大きいですね。ですから、それ で平均したらどうかという議論しかやっておりませんので、これは外国データも同じで すが、個体差が大変大きいということです。これまではその内容については議論されて いないわけですけれども、だんだんそういうことも議論していくような形にすべきでは ないかと思います。今の段階ですぐできるかどうかは別問題ですので、これを契機に市 販後でCYP2A6をきちんとやってみてどうだったかというデータを出していただければ、 それはそれでいいのではないかと私は思います。 ○池田部会長  これは10mgでも投与されている経験がございますね。そういう10mgでの安全性という ことを加味した場合、2.5mgの…、もちろん2.5mgの症例は我が国の臨床試験では非常に 少ないわけですけれども、それを加味してこのCYP2A6、CYP3A4の両方での代謝を考えた 場合に、安全性の点からはどの辺までのことが言えるかと。10mgまで外国では投与され ているわけですよね。 ○堀内部会長代理  治験の段階でですね。個々のデータは分かりませんけれども、一応副作用等は余り出 ていないということにはなっています。 ○池田部会長  どうぞ。 ○上原委員  私は基本的にはこれは二つ、1mgと2.5mgを承認してよろしいのではないかと思うの ですが、ただこういうチョイスがあった場合に実際にどういう使い方をしてもらうかと いうことについて、基準がないですね。お医者さん任せにするのか、一体どういう使い 方をさせたらいいのかという方針をやはり示していただいて、その上で2.5mgについて は市販後調査を徹底的にきちんとやるというようなことをすべきではないかと思うので すが、審査センターとしてどういう方針をお考えなのか、ちょっと教えていただきたい のですが。 ○池田部会長  審査センターの方から、何かありますか。 ○事務局  審査センターの方から御回答させていただきます。私どもが先ほど御説明したとお り、申請資料を再度精査いたしまして、乳癌の評価項目といったことも勘案いたしまし て、まずは2.5mgを優先して使っていただくべきではないかと考えたところでございま す。使い分けの議論については非常に難しいところがございまして、海外では1mgの製 剤が承認されておりません。そういった意味では2.5mgだけの用法・用量になっており ますので、一律2.5mgが使われているという状況でございます。 ○池田部会長  そのほかに何か…、どうぞ。 ○神谷委員  同じようなことをちょっとお聞きしようと思ったのですが、私はこれは専門と違うの で、今後の使い方のところで吉田委員にちょっとお尋ねしたいのですけれども、実際市 販後調査を6か月なり12か月なりやると言っても、2.5mgでやれと言えばそれ以外のデ ータはほとんど出てこなくて、症例によって使い分けをするのですか。本当はこの幅の 中で使うのが一番良いということになれば、個体差によってそういうことが出るのでは ないかと思いますが、1.5mgや2mgも出てくるものでしょうか。それから先ほども言わ れましたが、トラフ値などを見ると非常に幅が広いものですから個人差もかなりあるの ではないかと思います。そういう場合に、実際に市販後調査をやって臨床的の方から見 てそういうことが出てくるようなものでしょうか。 ○吉田委員  審査センターとしては、1mgは捨てたというふうに私は理解したのですが。要するに 前回の部会で使い分けを整理するようにということが出されて、メーカー側も審査セン ター側も使い分けをするのはかえって混乱するので、2.5mg一本で行くというふうに解 釈されたと思うのですが、そうではないのですか。今現在1mgはまだ残っているのです か。 ○事務局  申請自体はまだ1mgは残っておりまして、今日の部会での御結論でどういう形になる かということになります。もう一度繰り返すような形になりますが、審査センターとし てはメインの用量がいずれか、あと使い分けをどうするかというところを問題点として 整理をさせていただきまして、やはり2.5mgを優先すべきではないかということで結論 に至っております。 ○池田部会長  前回からの御議論を御記憶の方は、このものの有用性に対しては皆さんお認めになっ ていて、1〜2.5mgということで使い分けをどうするか、どの用量にするかという点が 問題になったというふうに記憶して…。それについては皆さんも同じ考え方で問題点を 把握されていると思うので、このものの有用性そのものについては前回からも特に御異 論はなかったというように記憶しています。どうぞ。 ○吉田委員  折衷案的でちょっと恐縮なのですが、2.5mgで承認して、通常の2.5mgの市販後調査で 500なり1,000なりが終了するまでは2.5mgは限定的な施設で使わせて、その間その他の ところは1mgと、2.5mgの安全性が確認された時点で2.5mgに上げるということもあり得 るのではないかと。イレッサのときもそうなのですが、ダーッと日本中に出ますと予想 外のことが起こるのですね。限定的に2.5mgで市販後の試験なり調査なりをやらせると いうのは一つの手ではないかなと思うのですけれども。1mgに関しては問題ないという ことであれば、いわゆる通常は1mgを使ってほしいということを言って、取りあえず市 販後の調査が終わるまでは2.5mgは制限なしで使わないというのも一つの考え方かなと 思うのですが。 ○審査管理課長  もう一度全体を整理させていただきます。前回の御議論で、企業側としては1〜2.5mg の幅で医薬品としての有用性があるという形で承認申請がなされたところ、1mgと2.5mg の使い分けは分からないということで、それについて再度整理してほしいという形で持 ち帰ったところでございます。その結果として、申請企業においては2.5mgを本剤の用 量とすると。1mgについては、聞くところによりますと2.5mgが常用量になりますので 1mgの必要性はないということから、その品目についての申請は取り下げという形に、 結果としては2.5mgで御承認いただければそういうことになるのかなと理解していたと ころでございます。  今様々な御意見が出まして、吉田先生からは市場において1mgと2.5mgの使用制限を 図るような、医療現場ではこれまで採っていない手法だと思いますので、そういったこ とが誤解なく医療現場で実現できるかという問題もあろうかと思います。もう大体議論 が出尽くしたかなと思いますけれども、本剤を冷静に見たときにやはり承認申請の中で 用量設定区分に対する企業の考え方がやや甘いのではないかと。1mgと2.5mgの使い分 けを求めたところ、今度は2.5mgがいいと言っているわけでございまして、それはひと えに本剤そのものの有用性と正に一体となって考えなければいけない話でございます。 ですから、臨床の先生に特にお伺いしたいのは、医療現場において現在代替性のある薬 物が国内において入手可能かどうか、そういう観点がクリアされるのであれば、試験の 実施についてはこのような形で承認をやるというスケジュールと試験方法が出てきてい ますけれども、それも踏まえてもう一度有用性の根拠データをしっかり整理して出し直 した方がいいのかなという感じもいたします。ポイントになるところは、代替性のある アロマターゼ阻害剤で乳癌の適応を持つ基本的な薬剤としてこういうものがあるという ことで、緊急性がない話であれば、やはり今までの御議論を伺う限りにおいては、この まま承認をした後に何かあったときにまた振り返って説明をするのは非常に難しい話に もなります。繰り返しになりますけれども、ここでは代替性との関係において特に今承 認する緊急性がなければ、今一度引き戻して本剤の有用性を再整理させて、臨床試験が 必要であればそれはきちんとやるということになると思いますので、そういう方法が選 択肢の一つの基本的なものとしてあるのではないかと、このように考えます。 ○池田部会長  ありがとうございました。審査管理課長の方からそのようなコメントを頂いたのです けれども、これは一つに本剤の臨床的有用性についての御議論はずっと頂いたわけです が、代替性あるいは緊急性といいますか、そういうものについては判断が臨床の現場で 行われると思います。ここでは吉田委員が専門委員として出ていらして、専門協議でも どのような状況なのかということについて少しお話しいただけたらと思いますけれど も、いかがでしょうか。先生は先ほどからこれはアロマターゼ阻害剤でも非常にインポ ータントであるというところで、差別化をされているというふうにも伺ったわけですけ れども。 ○吉田委員  乳癌の治療において、やはり基本的には必須と言われる部類に入ると思います。です から、いつまで手間取るかということでどれくらい影響が出るかは期間にもよると思う のですけれども。 ○審議官  多分試験をやり直しても、今までの1mgの試験と外国の2.5mgの試験成績、それから 日本での2.5mgの試験が若干ありますので、我々としても一方で治験相談もやっており まして、できるだけ短期間に試験が終了するように業者の方にも指導したいと思いま す。ただ、ほかの薬におきましても今回2.5mgで来ていますので、2.5mgに必要な科学的 データがきちんとそろっているかどうか、これはどこの会社についても同じにやってお りますので、そういった意味から見たら先ほど審査管理課長の方からお話がありました ような方向でも、この部会で決まれば私どもとしてはその方向でやっていきたいと思い ます。 ○吉田委員  ということは、承認条件として更に臨床試験を追加しろということですか。 ○審議官  いや、承認しませんので、承認まで至らないので…。 ○吉田委員  承認しないと。 ○審議官  承認に至らないので、その分についてはもう一回ということになります。承認した場 合には承認条件となるわけなのですが、承認データとして、科学的なデータとして十分 かどうかと。そこに行き着くといいますか…。 ○吉田委員  懸念は分かるのですが、例えば外国でのあれだけのデータがあって安全性も確立して いるのですから、非常に危険度が差し迫っているというふうには私には思えません。不 承認というのは、確かに慎重に慎重ということでは良いのかもしれないですけれども、 ちょっと理解し難い部分があるのですが。 ○審議官  不承認ではないですけれども、データが不十分というところで、2.5mgでの臨床試験 を追加してくださいということになろうかと思います。              ── 安全対策課長退室 ── ○堀内部会長代理  ちょっとよろしいですか。この前から1mgと2.5mgで、2.5mgまでを承認するかどうか は別として、1mgについてはデータとしてはそれほど大きな問題はないと思います。で すから、少なくとも1mgを承認するのは問題ないのではないかと思います。それを2.5mg まで持っていくかどうかというところが今議論になっているのではないかと思います。 ですから、そこで症例数が少ないということとか、2.5mgで考えた場合に日本人の体内 動態はどうかという議論はありますけれども、それを治験でやるのか、それとも市販後 臨床試験できちんとやらせるのかが争点だと思います。 ○池田部会長  2.5mgを今回議論するということになればデータが足りないと。ただし、前回もこの ものの有用性、安全性に関して全く異論がなかった、1mgに関してはデータも十分であ るというところから、2.5mgよりも少ないところをどう考えるかというふうに話は発展 していったという経緯がありますので、そこのところをもう一度…。今吉田委員もおっ しゃったように、このものが医療現場ではやはり必要とされているというふうに伺いま すので、もう少し議論した方がいいのかなと私は思うのですけれども。どうぞ。 ○事務局  今本剤の位置付けに関する御質問がありましたので、審査センターの方から補足をさ せていただきたいと思います。現在日本で承認されている閉経後乳癌に関しましては、 アフェマ、先ほど1mgの比較の対照となりました塩酸ファドロゾール、それからアリミ デックス、アロマシン、そしてタモキシフェンという5剤がございます。このうちタモ キシフェンが世界的な一次治療の標準薬という形になっております。アフェマに関しま しては日本だけの承認ということで、本剤フェマーラとの比較試験をしてフェマーラの 方が優越性があったということで、申請者は同じでチバガイギーが承認を持っているも のでございますが、将来的にはフェマーラに切り替えていきたいというようなことが来 ております。  そしてこれは先の部会で御承認を頂いたアロマシンに関してでございますが、こちら については閉経後乳癌の二次治療薬、二番目に使う薬ということで承認を下ろしており ます。今回のフェマーラに関しましてはタモキシフェン、閉経後の一次治療薬である標 準薬との比較をして、海外の試験ではございますが、優越性が認められていますので、 本剤の位置付けとしては閉経後乳癌の一次治療薬としても使用可能であろうと考えてい るところでございます。 ○池田部会長  どうぞ。 ○川嵜委員  全く専門ではないのですが、先ほど吉田委員がおっしゃいました2.5mgで有効性を認 めて認可しておいて、それを限定的なところである数の成果を見るというお考えが、私 は何となく良い考えではないかなと感じたのですけれども。吉田先生がおっしゃるとい うことは、それが恐らく可能であるということを含んでいるのではないかと思います が、その辺りはいかがなのでしょうか。              ── 安全対策課長入室 ── ○池田部会長  先生方にいろいろ御議論いただきましたが、今回申請者の方は2.5mgで申請してきた ということなので、この2.5mgの申請に関して御議論いただくということにしたいと思 うのです。といいますのは、やはり今回の申請もそれに沿って御議論いただかないと、 今回のこの部会での議論が非常に紛糾するだろうということで、先ほど菅谷委員がおっ しゃったように、2.5mgに関しては非常にデータが不足していると、そういうことで考 えた場合には2.5mgでこのまま承認することは難しいのではないかというような御意見 が何人かの先生からは出たわけですね。このものの位置付け、それから重要性について も御議論いただいたのですが、部会長としては、この場では2.5mgで申請してきたこと について御議論いただくということで話を進めたいと思うのですが。先生方、そういう 考え方でよろしいですか。どうぞ、菅谷委員。 ○菅谷委員  ちょっと待ってください。前回と何も新しいデータが出ているわけでもないし、議論 のしようがないのではないですか。 ○池田部会長  ですから、今1mgか2.5mgかという話がまた戻ってきましたので…。 ○菅谷委員  堂々巡りですから、幾ら議論したってこれは一緒ですよ。そうすると、前回と同じ結 論にならざるを得ないではないですか。 ○池田部会長  どうぞ。 ○審査管理課長  今の状況をちょっと整理させていただきますけれども、企業サイドにおいては1mgと 2.5mgの使い分けについて、今回1mgについては常用量として不適当ということで、2.5 mg一本に申請を絞りますということでまず提案があったわけでございます。ですから、 1mg製剤についてはこの場で議論する必要はないというふうにしませんと、企業の申請 のある枠はこの範囲ですから、この範囲において有効性、安全性が評価できるかどうか の議論に絞っていただくと、これがまず一つです。したがいまして、2.5mg製剤で通常 これを使うこととしたときに、提出されたデータに過不足があるかどうか、これで十分 かどうかというところに絞って御議論いただく、確認させていただければ結構でござい ます。 ○池田部会長  ありがとうございました。ということで、今回ここの議論は2.5mgの申請ということ で、それについて幾つかの根拠を挙げて申請者は申請してきたわけです。しかし、菅谷 委員が言われたように新しいデータということではなくて、むしろ解釈、あるいは今ま でのまとめで2.5mgの安全性を確認したということですので、そうだとするとそれをど ういうふうに考えていくか、この考え方で良いかどうかも含めて御議論いただいて結論 を出したいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○堀内部会長代理  申請が2.5mgに変わっているということであれば、これは根拠から言えば治験のデー タがそこまできちんとやっていないということになってしまいますね。要するに用量設 定が1mgを中心にやっていて、それを2.5mgで申請した形になってしまいますから、幅 があるのでしたら話は別ですけれども、やはりこの提出の仕方に問題があると言わざる を得ません。 ○池田部会長  そのほかにいかがでしょうか。 ○吉田委員  対象が乳癌なのでちょっと違うかもしれませんけれども、基本的には承認申請の場合 に外国データを外挿できるものは外挿してもよいということになっていて、我が国では 非常に少ない症例数でも認められている薬剤はあると思うのです。乳癌は対象症例が比 較的多いので、臨床試験を追加しろと言ってもそれほど難しくないかもしれませんが、 外国データを外挿できるとしたことの妥当性との絡みが一つは問題になると思います。 それからもし臨床試験を追加するとすれば、安全性を担保すればいいわけですから、第 II相試験、後期第II相ぐらいのレベルのものでいいのではないかと思います。 ○池田部会長  ありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。どうぞ。 ○守殿委員  ブリッジングというのは本来は投薬量が導入先のものと同一でないといけないという ことが、一応原則ではあるのではないのですか。一応2.5mgなら2.5mgで、その場合に投 薬量が増えるのであれば絶対的にトライしなければいけないと思うのですが、低ければ しなくてもいいと。同等の場合もPK/PD等で…、例えば現在韓国人と日本人が体内 動態等すべて一緒で副作用も変わらないという形のものがあれば、むしろ臨床試験をし なくても、それがブリッジングだと思うのです。そのような記載のあるデータを私はま だ詳しく全部読み切っていないのですが、それはこの中にあるのでしょうか。もしあれ ば私は全然問題ないと…。 ○池田部会長  アジア人のデータについては何かございますか。中国、韓国は1999年にもう2.5mgで 承認されているわけですけれども。そのデータについては特に…。 ○事務局  審査センターよりお答えいたします。2.5mgについて申請されている資料の中には、 中国あるいは韓国で行われた治験のデータというのは入っておりません。米国あるいは ヨーロッパの方も含めて臨床試験が行われておりますが、その中にアジア人種がどれく らいいるかということについては、ちょっと確認しないと今お答えできない状況です。 ○池田部会長  そうですね。先生方からいろいろ活発な御議論を頂いたのですが、今回申請者が2.5mg で申請してきたということで、それに限って先生方の御議論をまとめさせていただく と、やはり2.5mgは今の時点で日本人の症例数が非常に少なくて、安全性の担保ができ ないという御意見を表明した方が何人かいらっしゃるというふうに、私は今までの御議 論を聞いて理解しました。ただ一方、この薬剤の有用性に関しては皆さんもお認めにな っているということですけれども、今回2.5mgの申請に関しては、このままこの時点で 承認ということは非常に難しいのではないかというのが、私が今までの先生方の御議論 を聞いてまとめさせていただいた考えですけれども、いかがでしょうか。このものの有 用性がはっきりしていますので、今後どういう方向で企業が新たに申請してくるかとい うことについては、審査センターの方と十分に話し合っていただいて、臨床現場で使え るようにしていただきたいと思うわけです。今回の2.5mgの申請については、何人かの 先生から非常に懸念を表されましたので、もし先生方に特別な御異論がなければ今回こ れは不承認という形に…。どうぞ。 ○審査管理課長  不承認というよりも、2.5mgを裏打ちする日本人の臨床データについてまだ十分なも のが集まっていないということで、そこをきちんと追加してやるという指摘が適当だと 思うのです。この場で不承認ということではなくて、臨床データが不足しているという ことで注文を付けるという形にまず整理できないかと思うのです。それから資料1-3に 書かれております□□□□□□□との比較試験を今後やるようになっております。これ はあくまでもフェーズIIIの試験として位置付けておりますので、試験のやり方、どう いう形でやるか、例えば2.5mgの国内臨床試験を50例とか100例とかもう少し実地にやっ てみて、そこで2.5mgとしての有効性、とりわけ安全性についてきちんとした臨床的ア プローチをしていただくという形も一つの方法だと思います。ですから、その点の指導 については治験相談で機構がやるなりして、できるだけ効率的な試験の実施と資料の再 提出という方向で整理させていただけたらと考えております。 ○池田部会長  ありがとうございました。私が不承認と言ったのは、この時点ではこのまま2.5mgを 承認するわけにはいかないということで、恐らくデータを追加して再提出ということで ございますので、よろしゅうございますでしょうか。どうぞ、菅谷委員。 ○菅谷委員  部会長の言ったとおり、これはこの場では不承認でしょう。それ以外にありません。 承認するかしないかだけの話であって、審査管理課長がそんな変なへ理屈を言うのはお かしいことなので。 ○池田部会長  これは言葉の問題かと思いますが、このものの有用性が確認されておりますので、一 刻も早く臨床現場で安全に使えるようにということで、追加の資料をそろえて再提出し ていただくようにお話をするということも踏まえて、恐らくそうお話されたのだと思い ますので、それで御了解いただけますでしょうか。よろしいですか。それではこの議題 1に関してはそのような形で進めさせていただきたいと思いますので、審査センターか らも申請者にその旨を伝えるようにお願いいたします。ありがとうございました。どう ぞ。 ○川嵜委員  全然本質的な問題ではないのですけれども、この承認のあちこちに「日本人」、「外 国人」という表現がありますね。「外国人」というのはどこを指しているのかというの がもしはっきり分かれば、こういう問題の場合特にきちんと書いていただく方が有り難 いと思います。 ○池田部会長  ありがとうございました。それは承っておきたいと思います。どうぞ。 ○折笠委員  資料1-3で今後の指針というかやり方などが書いてあるのですが、今の話だと日本で は31例しか2.5mgをやっていないと。それに関しては、サチュレーションとかいろいろ 耐久性も問題ないということで安全だというのかもしれないけれども、まだ安全性に関 するデータは不足であると。ですから、2.5mgの安全性のデータを日本人でももう少し 追加して、それで1mgでも効いているくらいだから効く方は多分2.5mgで十分なデータ だと思えると思います。安全性に関してデータを入れていただくのは構わないのです が、これを見ると□□□□□□□との比較試験を1群100例、200例と、こういう比較試 験を単剤でやる必要があるのですか。つまり有効性も更に2.5mgで日本人で確認する必 要性があるのかどうか。資料を拝見していると、これは100例でやっても結局パワー不 足で、こういう結果を海外誌にも発表できないような感じなのです。今さらこのような ものを出してもアメリカでもフェマーラ2.5mgは効くというデータは出ているわけです から、比較試験を日本で出してもまたパブリッシュできないデータになってしまうの で、それなら安全性の方だけきちんとしたPK/PDでも何でも結構ですけれども、そ ういう指導をされた方がいいのではないかと思うのですが。 ○池田部会長  ありがとうございました。その御意見はセンターの方から申請者に十分に伝えるよう に。どうぞ。 ○審査第一部長  あくまでも今日本に出ているのは奏効率、レスポンスレートだけで、本来日本人にお いても延命率なりあるいは最低でもTTPなり、その辺りのデータは必要です。単剤同 士といっても単剤で使われる患者さんがおられますので、特に□□□□□□□とこのフ ェマーラについては海外でもまだ比較試験になっておりませんので、それなりの意味が あると考えております。 ○折笠委員  この試験では結果が出てこないでしょう。ただこういう数値になりましたということ だけで…。 ○審査第一部長  そうなるかもしれませんし、あるいは非劣性のところで何か工夫があるかもしれませ んので。 ○池田部会長  その点はセンターの方から申請者の方に伝えていただきたいと思います。ありがとう ございました。それでは議題2に移りたいと思います。審査センターの方か ら説明をお願いします。 ○事務局  それでは議題2、資料2のカペシタビン及びゼローダ錠300の承認の可否について、 審査センターより御説明申し上げます。  本剤の有効成分であるカペシタビンは、日本ロシュ株式会社(現中外製薬株式会社)で 合成されたフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤です。本剤は既に承認されているドキシフ ルリジン(商品名フルツロン)の誘導体であり、肝臓及び腫瘍組織で代謝され、ドキシフ ルリジンに変換された後抗腫瘍効果を発揮するとされ、今回は乳癌に対して承認申請が なされました。海外における乳癌効能については、2002年8月現在で、単剤療法につい てはアントラサイクリン及びタキサン類に耐性を示す患者に対する三次治療薬として65 か国で、ドセタキセルとの併用については、アントラサイクリンに耐性を示す患者に対 する二次治療薬として20か国で承認されています。  本剤の専門協議では専門委員として、当日配付資料6の2枚目に記載のとおり、赤座 委員、有吉委員、井上委員、鹿庭委員、竹内委員、林委員、安原委員、吉田委員の合計 8名の委員を指名しました。  規格、安定性、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して提出された資料の内容 は妥当であると判断しております。臨床試験成績については、有効性に関して前治療1 レジメンまでの進行・再発乳癌に対する後期第II相臨床試験において、奏効率27.7%、 ドセタキセル無効の進行・再発乳癌に対する第II相試験において、奏効率20.0%が示さ れております。当初効能を乳癌として申請されましたが、提出された試験成績から効能 を手術不能又は再発乳癌とし、「効能・効果に関する使用上の注意」で術後補助療法に 関する有効性・安全性は確立されていないこと、単剤投与の場合にはアントラサイクリ ン系薬剤の耐性例に限ること、併用療法の場合には初回化学療法での有効性、安全性は 確立していないことを注意喚起する必要があると判断されました。なお、本剤はドキシ フルリジンの誘導体であるにもかかわらず、ドキシフルリジンとの比較試験を実施せず に申請がなされたことに関して、審査センターは市販後臨床試験においてドキシフルリ ジンとの位置付けを明確にする必要があると考えております。  安全性に関しては、本剤との因果関係が否定できない有害事象は187例中93.0%に認 められました。主たるものは、手足症候群が51.7%(うち、Grade3が11.8%)に認めら れたほか、Grade3以上のリンパ球減少、総ビリルビン減少がそれぞれ18.2%,10.7%に 認められました。特に手足症候群については、ドキシフルリジンではほとんど発現が認 められない副作用であり、添付文書の「重大な副作用」の項に記載し、注意を喚起する こととしております。  以上のとおり、審査センターの審査及び専門協議における議論の結果、手術不能又は 再発乳癌に対する本剤の有用性は認められると判断し、国内で適切な市販後臨床試験を 行い、ドキシフルリジンに対する位置付けを含む有効性、安全性を明確にすることを条 件に承認して差し支えないと判断し、医薬品第二部会で審議することが妥当と判断いた しました。なお、本剤は新有効成分であることから再審査期間6年、また原薬及び製剤 は劇薬に該当すると判断しております。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長  ありがとうございました。カペシタビン、ゼローダ錠ですけれども、これは日本で造 られた5-FUの誘導体でありまして、フルツロンの誘導体というふうに理解すればい いかと思います。日本で造られて海外で多く使われているというお薬でありまして、進 行性の乳癌に使いたいということであります。御議論をお願いしたいと思います。委員 の先生方から何か御議論ございますか。再発乳癌、手術不能乳癌への効能、そして安全 性について、先生の方から御議論いただきたいと思いますけれども、ございますでしょ うか。現在使われているフルツロンとの比較を行っていないということ、それから海外 とは用法・用量が少し異なるというところですけれども、我が国では1日2回21日間連 日の経口投与ということで、体表面積当たり1回の用量を三つに分けて投与して、有効 性が確認されているというお薬でございます。吉田委員、何か御意見ございますでしょ うか。 ○吉田委員  今言われた点、用法・用量をどういうふうにするかということと、それからフルツロ ンとの関係をどうするかということが専門協議で議論になっております。フルツロンと の単剤比較をしようとしても、恐らく現実的にもう実行不可能であろうということで、 その辺について専門協議の場でメーカー側に問い合わせたところでは、こちらのカペシ タビンが承認を受けた時点で、フルツロンの乳癌の適応を除外する方向を考えたいと御 返答いただいております。 ○池田部会長  ありがとうございました。安全性について、先生方…。どうぞ。 ○藤上委員  報告書の4ぺージに「副作用の軽減と抗腫瘍効果の増強を意図して開発された」とあ るのですが、これを読む限り副作用の軽減は全く書かれていないのではないのかなと思 うのですが。多分フルツロンなどの消化器症状等の副作用の軽減が目的の一つとしてあ ったのだろうと思うのですけれども、消化器症状に関しても、あるいは造血機能に対し ても、かなり多くなっているのではないかと思うのですが。 ○吉田委員  どちらが高いとかということではなくて、プロファイルが違ってしまったのですね。 副作用の軽減をねらったのだけれども、違った形のプロファイルが出てしまって、です から有害事象の発現率からは大して差がないという状況だと思います。 ○池田部会長  消化器症状に関しては、これは明らかに少なくなっていると。それは当初のねらいど おりだったわけですね。 ○堀内部会長代理  投与設計が海外では2週間投与で1週間休みと、日本では3週間投与で1週間休薬と いう違いがありますが、副作用の現れ方や有効性の問題については専門協議会で議論さ れているのでしょうか。 ○吉田委員  これも先ほどの2.5mgの議論と同じで、日本では昔から長期投与がいいと信じられて いたものですから、4週間とか6週間とか長期間経口の5-FU剤を飲ませて休むとい うやり方を採っております。それに対して、外国では集中的にドーズを上げて投与して 休んでというインターミテントにやるという格好が採られていて、その使用の違いで投 与スケジュールが変わってしまったということがあります。しかし、今回の得られたデ ータの中では、3週間投与1週間休みでもそれなりの成績が出ておりますので、あとは この承認の範囲内で承認していただいて、外国で使われている方式との使い分け等につ いては、市販後の臨床試験で何か考えてもらうということでいいのではないかと思って おります。 ○池田部会長  よろしいですか。どうぞ、藤上委員。 ○藤上委員  もう一点よろしいでしょうか。手足症候群の発生率が51.9%となっておりまして、同 一の薬剤から比較すると非常に多いのですが、これはプロドラック化したことが原因な のでしょうか。 ○池田部会長  確かに手足症候群はこの薬剤では非常に特徴的だと思うのですが、それについては何 かコメントはありますか。 ○事務局  手足症候群について、審査センターの方から御説明させていただきます。まず手足症 候群についてなのですが、5-FUの持続静注の用法・用量などでも初期症状として認 められている副作用ではございますが、実際に発現メカニズムなどが明らかになってい るわけではありません。仮説的なものとしては、皮膚の基底細胞の増殖能の阻害、ある いはエックリン汗腺からの薬剤の分泌などが原因ではないかと考えられているところで ございますが、まだ確たるところは分からないということでございます。本剤について は5-FUの血中動態を改善するというようなことがございましたので、恐らくこうい った発現するようなものの血中動態がフルツロンとは変わってきたという辺りが原因で はないかと考えております。 ○池田部会長  これは48ぺージに「手足症候群の予防方法及び発現時の対処方針について」と書いて ありますね。それで比較的早めに周知させることによって、やめるとプログレスしない と考えてよろしいのですか。 ○事務局  現在のところ治療法についても確定したものはございませんが、薬剤を早期の段階で やめることによって症状が消失するということが確認されております。 ○池田部会長  そうするとここに書いてあるように、少しの発赤とかピリピリ感などが出た時点で注 意するということで重症化を防げると考えてよろしいわけですね。 ○事務局  御指摘のとおりです。審査報告にもございますけれども、この点については患者用の 服薬指導資料というものを作成いたしまして、初期症状などについて注意を喚起したい と考えております。 ○池田部会長  ありがとうございました。そのほかにどなたか御意見ございますか。どうぞ。 ○川嵜委員  これは単なる質問なのですが、用量のところに体表面積を基準にして投与するとあり ますが、これはやはり比較的分かりにくい表現ではないかと思うのです。体重とか身長 などであればすぐに分かりますが、こういうふうなものはやはりこうしなければいけな い、この薬剤に関してはこれがほかの表記よりもいいのだという根拠が何かあるのでし ょうか。 ○吉田委員  抗癌剤一般には体表面積で換算して使うというのがルールでありまして、実際に体重 当たりでやった場合と体表面積でやった場合ですと、身長が小さくて太っている方とや せていて背の高い方で違ってきますので投与量が変わってきます。いつかは忘れました けれども、20年くらい前にその比較をやって体表面積がいいのだということが示され て、それ以来基本的には体表面積が用いられています。こういった薬を使う場合、必ず 体表面積の換算表を持っておりまして、それを見て用量を決めるのですが、この場合は 経口剤でございますので許容範囲がかなり広く、それほど難しいことではないと思いま す。ただ、2mを超えるようなすごい大きい人に関しては過大な量が行きますので、こ れは上限を決めた方がいいのではないかという意見もあることはあります。 ○池田部会長  よろしいでしょうか。そのほかに委員の先生方から…、どうぞ藤上委員。 ○藤上委員  ちょっとよろしいでしょうか。承認条件で「本薬の有効性及び安全性の更なる明確化 を目的とした適切な市販後臨床試験を国内で実施すること」となっているのですが、こ れは仮に承認されて使われるようになったらすぐにでも行うのが筋ではないのかと思う のですけれども、どのようなプロトコルでなさるのでしょうか。 ○池田部会長  審査センターの方からお願いいたします。 ○事務局  審査センターの方から回答させていただきます。申請者の方からは第III相臨床試験 の骨子といたしまして、アントラサイクリン系の抗癌剤に無効の進行乳癌の患者を対象 に試験を実施したいと言っております。これについては二次治療薬ということになりま して、標準的にはドセタキセルなどのタキサン系の薬が使われるということでございま すが、今回の試験についてはドセタキセル単剤に対して、ドセタキセルプラスカペシタ ビンの併用を比較するという臨床試験が組まれているところでございます。 ○池田部会長  よろしいですか。実際にドセタキセルとの併用というのは海外などではかなりこまめ にやられているわけですね。そのほかいかがでしょうか。折笠先生、特にコメントはご ざいませんか。よろしゅうございますでしょうか。特に御異論がなければこれは承認を 可とさせていただきまして、薬事分科会に報告とさせていただきたいと思います。あり がとうございました。  それでは議題3に移りたいと思いますので、事務局から説明をお願いします。               ── 吉田委員退席 ── ○事務局  それでは資料3、医薬品注射用タゴシッドの再審査期間の延長について、御説明いた します。資料に若干の訂正がございました関係で、当日配付資料3-2に従いまして簡単 に御説明いたします。品目の概要ということで注射用タゴシッドとなっております。  この注射用タゴシット、有効成分テイコプラニンにつきましては、平成10年4月10日 に成人の用法・用量ということで、効能・効果が「メチシリン・セフェム耐性の黄色ブ ドウ球菌のうち本剤感性菌による下記感染症(敗血症、せつ・せつ腫症・よう、皮下腫 瘍・膿皮症、手術創等の表在性二次感染、慢性気管支炎、肺炎、膿胸)」ということで 承認を取ってございます。そのときの再審査期間が6年ということで、平成16年4月9 日までとなってございました。また、先日当部会でも御審議いただきましたが、小児用 量の用法追加がございまして、それについては1月31日付けで承認してございます。小 児用量に関しましては再審査期間が4年ということで、平成19年1月30日までとなって ございます。  また今般、成人の用法について新たにTDM実施症例200例を追加して集めまして、 これまでの市販後調査で集められたTDMの症例200例と合算しまして、「トラフ値と 臨床効果の相関性」を比較検討したいと、そのような使用成績調査を追加したいという ことが承認取得者であるアベンティス・ファーマから提出されてございます。またそれ に伴いまして、成人の用法・用量の再審査期間につきましても、小児と合わせて平成19 年1月30日まで延長してほしいという要望が出されております。  このように小児製剤に関係して再審査期間の延長を当部会で御審議いただくのは初め てのケースとなりますが、小児用量や小児製剤の開発というのはなかなか進んでいない という状況がございます。そういう状況を何とか打開したいということもございまし て、平成12年に関連する通知を出させていただきました。当日配付いたしました資料 3-2の2ぺージからがその通知となっております。平成12年12月27日付けで出しており ますが、これの一番最後のぺージを御覧ください。下線部を引いております上から5行 目のところ、(2)の「特に」から始まるところの2行目でございますが、「小児の用量 設定等のための臨床試験(治験又は市販後臨床試験)を計画する場合にあっては、再審査 期間中に行う特別調査等及び臨床試験を勘案し」、これは成人用量のことでございます が、「再審査期間を10年を超えない範囲で一定期間延長することとする」と。このよう な措置を講じまして、何とか小児製剤の開発等を促していきたいということでございま した。  本薬につきましても、小児製剤又は用法の開発を促進していくという観点から、成人 についてもTDMの使用成績調査を行うことを条件といたしまして、成人の用法につい ても再審査期間を小児の再審査期間に合わせて、平成19年1月30日まで延長することが 適当ではないかと事務局として判断いたしました。御審議よろしくお願いいたします。 ○池田部会長  ありがとうございました。注射用タゴシット、テイコプラニン、MRSAに対する抗 生物質ですけれども、小児用量の追加取得があったということで再審査期間を延長した いということです。先生方から何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。 ○堀内部会長代理  よろしいですか。小児用量をこのようにきちんと出してきたことは大変評価できると 思います。違う薬でもどんどん出てくればいいと思いますので、大変結構だと思います 。 ○池田部会長  よろしいですね。それでは延長を可とさせていただきたいと思います。再審査期間の 延長をお認めいただいたということで、これも薬事分科会へ報告ということにさせてい ただきます。ありがとうございました。  それでは報告事項に移りたいと思います。報告事項については審査センターの方から 説明いただけますでしょうか。 ○事務局  医療用医薬品の再審査結果について、御報告いたします。資料としては、資料4-1の ニゾラール(原体)、ニゾラールクリームから、資料4-3のゾビラックス軟膏5%まで、 合計3件の再審査報告でございます。  これらの品目につきましては、市販後の使用成績調査・特別調査の成績等に基づいて 再審査申請が行われ、それぞれ審査の結果、いずれの品目についても薬事法第14条第2 項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量 等の承認事項については変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものであります 。これらの結果につきましては、近く各々通知する予定といたしております。以上でご ざいます。 ○池田部会長  ありがとうございました。医療用医薬品の再審査結果についてですけれども、何か御 質問ございますでしょうか。どうぞ。 ○神谷委員  ゾビラックス軟膏ですが、これはこういう場合に小児にもかなり使う薬でございまし て、そこの最後の方の添付文書にも「小児37例における有効率は、97.3%であった」と いう臨床成績が書いてありますが、こういうものを再審査するときというのはセンター の方から業者に対して…、これは実際に子供に対する症例もたくさんあるし、治験の追 加が出てきて幾らでも小児用量がとれるようなものだと思うのです。こういうものは積 極的に進めていくというような方向にはできないのでしょうか。 ○事務局  審査センターの方からお答えさせていただきます。再審査の時点でかなりの小児の症 例数が集まっているものについては、通常企業の方から添付文書の書きぶりを変える と、通常小児に対する安全性は確立されていないと書いておりますが、それを書き換え たいということがあって、その可否については再審査の段階で判断いたしまして、可と するものについては書換えを認めているということになります。本剤については特にメ ーカーの方からそういう申出がありませんで、こちらの方からも尋ねたのですが、一応 そういう意向はないということで、これについては今のところはそういうことはないと いうことです。ただ、将来的に更に症例が集まって書き直したいという相談があったと きには、また個々に審査センターで判断するということになっております。 ○神谷委員  そうすると、主体はメーカーの方にあるということなのですね。 ○事務局  ちょっと補足させていただきます。現在のゾビラックス軟膏の小児用量なのですが、 通常経口剤ですと「成人には」という記載があるのですけれども、こちらは軟膏剤です ので、用法・用量には適量を数回となっております。それから小児等への投与なのです が、「低出生体重児及び新生児に対する安全性は確立していない」という記載ですの で、これは乳児、幼児、小児の用量は既に承認されているという理解だと思います。 ○神谷委員  分かりました。ただ、このゾビラックス軟膏というのは、新生児そのものよりも新生 児に近い年齢のところではよく使いますから、次のときでもいいですけれども、是非メ ーカーになるべくこういうことが抜けるように指導していただけると有り難いと思うの ですが。 ○事務局  承知いたしました。 ○池田部会長  ありがとうございました。どうぞ、菅谷委員。 ○菅谷委員  今の質問に対する回答は審査管理課長がすべきです。これは前にも申し上げたと思い ますが、ここでの議論は審査センターとするわけではないので、課長の方できちんと回 答するようにしないといけません。 ○審査管理課長  多分審査センターの方は提出された資料についてということで、どちらかというと受 け身の立場になりますのであれですが、審査管理課としての考え方を申し上げますと、 最初に承認申請をするときには成人で申請をしていただく。これは小児も老人も全部含 めて完璧な資料データで出すというのは望ましい姿ですが、そうするといい薬が患者の 手に届くまで時間が掛かってしまうということから、まず成人でのデータで承認を取っ ていただくことが基本でございます。それからその後でございますけれども、私どもが 折に触れて企業サイドに申し上げているのは、再審査期間中に少なくとも本剤の特性と して小児、老人に使われる可能性があるものについては、引き続きその分野での臨床試 験を積み重ねて、追加承認申請をしてくださいということをこちらから提案しておりま す。今言われた御意見についても真摯に、まだ不十分なところもございますので、個別 の承認のときもそうでございますけれども、承認するときに改めて私どもの方から申請 会社に対して、引き続き小児、老人の検討をするように重ねて申し上げるということで 対応させていただきたいと考えます。 ○池田部会長  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。本日予定しました議題は以上 でございますけれども、事務局の方から何か報告はございますか。 ○事務局  事務局から御報告させていただきます。当部会で昨年御審議いただきましたイレッサ 錠250、有効成分ゲフィチニブでございますが、市販後に副作用等のいろいろな情報が 出てございますので、資料7に基づきましてその経過等を御報告いたします。  資料7の「イレッサ錠250の申請から市販後までの経緯」でございます。イレッサ錠 250、ゲフィチニブでございますが、平成14年1月25日に承認申請ということで、当部 会では5月24日、それからその後薬事・食品衛生審議会薬事分科会で6月12日に御審議 いただきまして、承認して差し支えないという結論を頂きまして、7月5日付けで承認 したところでございます。その後販売、薬価収載ということでございますが、間質性肺 炎等の報告がございまして、10月15日付けで緊急安全性情報を発出しております。この 時点では間質性肺炎等の肺障害の症例が26例、そのうち死亡が13例ということでござい ました。この時点で添付文書等の改訂も指示しております。その後症例数が増えてきて おりまして、12月25日にゲフィチニブ安全性問題検討会を開催いたしまして、この中で 承認審査の有効性、安全性をどのように評価したかという点、それから今後の安全対策 について御検討いただいたところでございますが、その時点で12月13日での症例数を公 表してございます。その報告でいきますと、間質性肺炎等の肺障害が358例、うち死亡 例が114例ということでございました。その翌日の12月26日ですが、検討会の検討結果 に基づきまして、承認取得者でありますアストラゼネカ社に対して対応を求める通知を 発出したところでございます。その通知が2ぺージからになってございます。その通知 の4ぺージでございますが、「今後の対応」という資料がございます。これが昨年12月 25日に開催いたしましたゲフィチニブ安全性問題検討会の結論といいますか、今後の対 応としてまとめられたものでございます。これを簡単に御紹介いたします。  幾つかの事項がございまして、「1 インフォームド・コンセントや情報提供の徹底 」ということで、患者等について十分に説明し同意を得た上で投与することという点。 「2 より適切な管理の下での使用の徹底」ということで、肺癌化学療法に十分な経験 を持つ医師が使用すると。それから緊急時に十分に措置できる医療機関で行うと。ま た、投与開始後4週間は入院又はそれに準ずる管理の下で行うと。「3 間質性肺炎、 肺線維症、又はこれらの疾患の既往歴のある患者への使用を慎重投与に設定」という 点。それから、「4 『服用者向け情報提供資料』の作成等」、これは改訂でございま すが、改訂等を行うということ。次のぺージに行っていただきまして、「5 企業によ る市販後安全対策の強化」ということで、承認条件として付されたものについて早急に 実施するということ。それからハイリスクの患者背景等を明らかにするためのプロスペ クティブな調査・分析を行うということを求めたわけでございます。この対応に基づき まして、昨年の12月26日にアストラゼネカ社に対して指示をしたということでございま す。イレッサについてこのような経過となってございます。 ○池田部会長  ありがとうございました。ただいまのイレッサについては、先生方もいろいろ御心配 くださっていると思いますが、事務局の説明について何か御質問ございますか。どう ぞ、菅谷委員。 ○菅谷委員  説明については別に申し上げるつもりはありません。余り言いたくないのですが、こ の資料7は「厳重管理」となっていますけれども、これはおかしいのではないですか。 既にみんな公表されている資料ですし、何でも判こを押せばいいという問題ではないの で、やはりきちんとした対応をしてもらわないと困りますので、今後十分注意してやっ ていただきたいと思います。 ○池田部会長  ありがとうございました。どうぞ。 ○守殿委員  ちょっと専門外なので教えていただきたいのですが、このトライアルでの死亡症例 は、治療しないと予後があと3か月前後という方がやはり多かったのでしょうか。 ○事務局  基本的にはこのイレッサ錠250につきましては、シスプラチンなどの白金系のもの、 それからタキソール等のタキサン系、そのような既存治療で効果がない患者さんに対し て使うということになってございますので、そういう患者さんにつきましては予後は非 常に短いということで、7か月とかそういう形と聞いております。 ○池田部会長  どうぞ、上原委員。 ○上原委員  イレッサについてこういうことが出てきて、審査センターの方は大変御苦労されたと 思いますが、12月26日にこのような通知をされた以降の使われ方というか、新たに出て きた死亡者数というのは現在どういうふうに把握されているのか教えてください。 ○事務局  御報告いたします。完全に集計が済んだわけではございませんが、先月の24日時点だ ったかと思いますけれども、副作用として肺関係が10例、そのうち死亡が2例という報 告を受けております。かなり症例数が少なくなった可能性もありますけれども、報告と しては10例でそのうち2例が死亡と伺っております。 ○池田部会長  よろしいですか。 ○堀内部会長代理  12月26日以降のということですか。 ○池田部会長  1か月の調査ですね。 ○事務局  はい。 ○池田部会長  よろしいでしょうか。どうぞ。 ○堀内部会長代理  「今後の対応」をメーカーの方に通知されたということですが、実際にどのくらい実 施されるかということのチェック機構はどこが果たすのでしょうか。安全対策課という ことですね。例えばここに「1.インフォームド・コンセントや情報提供の徹底」、 「4.『服用者向けの情報提供資料』の作成等」ということがありますが、最終的にど ういうものができたのかは私は見ておりませんけれども、メーカーが作った案の段階を 見せてもらったことがあります。EGFRは癌細胞に多いので正常細胞に対する作用は 余りないので、安全であるというような書き方がしてあるのですね。どういう内容かと いうことも含めて是非適切に実施されるように指導していただければと思います。 ○池田部会長  よろしいですか。では安全対策課長、よろしくお願いいたします。それではこれで本 日の議事、報告事項を終わりたいと思います。課長の方から何かございますか。 ○審査管理課長  どうもありがとうございました。次回の日程でございますが、次回は年度が明けてか らということで、4月23日水曜日、10時30分からということで御連絡を差し上げました ところでございます。しかしながらちょっと都合ができまして、4月16日水曜日、時間 は10時30分からということで変更させていただきます。御迷惑をお掛けしますが、どう ぞよろしくお願いいたします。 ○池田部会長  ありがとうございました。それでは本日はこれで終了させていただきます。どうも御 協力ありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2743)