03/02/18 新たな看護のあり方に関する検討会(第10回)議事録          第10回新たな看護のあり方に関する検討会議事録        日時     平成15年2月18日(火)        10:00〜 場所     厚生労働省専用第22会議室 出席メンバー 井部俊子、上野桂子、内布敦子、川越厚、川村佐和子、國井治子、        西澤寛俊、平林勝政、藤上雅子、宮武 剛、柳田喜美子        (五十音順、敬称略) ○田村看護課長  ただいまから第10回新たな看護のあり方に関する検討会を開催いたします。委員の皆 様方におかれましては、ご多忙のところ、当検討会にご出席いただき、誠にありがとう ございます。  本日は報告書の素案という形で前回までの議論をまとめましたので、これについてご 検討をお願いします。それでは川村座長、よろしくお願いします。 ○川村座長  それでは議事に入らせていただきます。前回はこれまでの検討会における主な意見に ついて、各意見ごとについて議論をしていただきました。そこで本日は、前回の議論を 基に、事務局と私とで報告書の素案をまとめてみました。それについてご議論をいただ きたいと思います。それでは事務局からお願いいたします。 ○勝又補佐  資料の確認をいたします。座席表、検討会の次第、メンバー表、報告書(素案)です。 ○土生企画官  資料報告書(素案) 1「患者の生活の質の向上のための専門性の高い看護判断とそ の実践に向けて」、(1)「看護をめぐる現状と課題」(読み上げ) ○川村座長  この項についてご意見はありますか。 ○國井委員  3番目の○の基礎教育の上から4行目に、「しかしながら医療現場において」という 言葉なのですが、「にもかかわらず」のほうが、よりメッセージが伝わるのではないか と考えました。 ○川村座長  「しかしながら」という文言を「にもかかわらず」のほうがいいということですね。 いかがでしょうか。 ○柳田委員  「適切な看護師の判断を活かして行うことが重要である」というくらいでいいのでは ないのですか。これは公文書ですから。 ○川村座長  どこをそのように修正するのですか。 ○柳田委員  「医療現場においては」というところから必要ないと思います。 ○川村座長  「しかしながら」からを取ってしまうということですね。 ○柳田委員  はい。 ○川村座長  実態についてのプレゼンテーションがあって、それが縮められて書かれているように 思いますが、いかがでしょうか。 ○井部委員  3つ目の○のところは、教育が現状に反映していないということを言いたいわけです よね。教育がなされているけれども、実践が十分ではないということを言いたい段落だ と思われるのですが、そうすると実践現場のことを記述しておく必要があるのではない かと思います。 ○國井委員  これは現状の課題ですから、そのままでいいのではないでしょうか。 ○川村座長  よろしいですか。 ○柳田委員  他のことですが、一連の素案を見ていて、感じることですが、私は最初にこの検討会 が行われたときに「新たな看護というのは一体どういうことなのか」ということは、は っきりとした意味がわからなかったのが事実です。一応皆様の意見に耳を傾けて理解に 努めようとしてきましたが、納得のいかない、わからない部分があるので、一応それに ついて修正をしていただきたいと思います。  1頁の4番目の○で、「法的に医師の指示を必要としない療養上の世話」とあります が、この点はいろいろと学説が分かれるところで、公の検討会の報告なので、これは断 定すべきではないと思います。  例えば入浴、歩行の介助、全身の清拭、洗髪、そういうような典型的に療養上の世話 とされる行為であっても、患者の状態によってはそれらの行為を行っていいのか否か、 そういう医学的判断が必要とされる場合があるわけです。したがって、この項は削除を お願いしたいと思います。  それから、2頁の2番目の○です。「諸外国における看護師の新たな業務と役割」と ありますが、日本と外国では医療システムが異なります。また、医療提供体制も異なり ますから、看護についても当然異なることは考えられます。ですから、ことさらに諸外 国の例を持ち出すべきではないということで、この項も削除していただきたいと思いま す。 ○川村座長  いまの柳田委員のご意見なのですが、例えば療養上の世話についてどう看護師が働い ていくかということは、その次の(2)のくだりに、「医師の指示を受けるのかどうか 」について書き込みがあって両方で絡んでいますので、次の項も読んでいただいて、一 緒に検討してはいかがかと思います。 ○柳田委員  はい。 ○土生企画官  (2)「時代の要請に応じた看護のあり方、医師等との連携のあり方」(読み上げ) ○川村座長  柳田委員のご指摘の部分についてもこういう書き込みがあることを踏まえて、ご討論 いただければと思います。 ○内布委員  柳田委員が指摘した2頁の2つ目の○で、「諸外国の状況について記載が必要ではな い」ということですが、看護教育の比較から言うと、諸外国の看護教育については平成 12年度に私どもが厚生科学研究費をいただいて研究をした範囲では、むしろ日本のほう が充実して、年数も長い場合もあります。オーストラリアなどと比べると1年長い年数 で養成しています。カリキュラムも比較しましたが、日本のほうが時間数も多く、知識 の量も非常に多く教育をしている状況にあります。  ですから、日本のほうが教育は充実しているにもかかわらず、看護師の裁量権につい ては諸外国のほうがやや勝っているということを考えると、「外国の状況を考慮する」 ということについてはどのような審議においても必要なことですので、私はここに載せ ておくべきだと思いま。付け加えて言うと、「留意は必要である」と書いていただいた ほうがいいかと思います。 ○川村座長  いかがでしょうか。 ○井部委員  1頁の4つ目の○ですが、「法的に医師の指示を必要としない療養上の世話」という 書き方が法的に正しいのかどうかという確認をきちんとしないといけないと思います。 私が保助看法の文章を見る限りは、これは言えるのではないかと思いますが、ここでは っきり了解を得た上でそのことを書くことは大事なことだと思います。  その3行目から「これらは法律や医師による要請があるというわけではなく、むしろ 単なる慣習として」というくだりがあって、確かに私の発言の中にも「慣習」という言 葉を使いましたが、なぜ慣習ができたかという点を考えると、療養上の世話は相手は患 者です。病気を何らかの形で有している人たちを対象にしているので、そうすると診断、 治療といった医師の領域に関わる問題を持っている人たちです。したがって、ここから の「療養上の世話」とスパッと線を引けない状況があります。その辺の曖昧さの中で、 結局は医師の指示を得ると傾いてきているのではないかと思います。この件に関しては、 3頁の上から2つ目の○で、「医学的な知識に基づく判断が必要となる場合もあり」と、 そのことを「適切に判断できる必要がある」ということと、密接に関連しているので、 私は3頁の2つ目の○と、1頁の4つ目の○は切り離さないほうがいいのではないかと 思いました。  もう1点は「療養上の世話」というのは医師の指示の傘下ではないことを、法的な解 釈としてを明瞭にしておくことが必要だと思います。 ○柳田委員  実質的に現場においてきちんと線引きができるものではないわけです。例えば清拭を 始めていいのかどうか、入浴を始めていいのかということは、やはり主治医が判断をし て、指示をして、それから行われるべきでものであると思います。両方の考え方によっ てするべきものですから、これは看護師の分、これは医者の分というのはおかしいので はないかと思います。  それから先ほどの意見は、外国の例を持ち出すなというのではなくて、それは参考に はすべきでしょうが、必ずしもアメリカ、イギリス、フランスなどの先進国が素晴らし い医療をしているばかりではないので、東南アジア等いろいろあるわけですから、特別 に先進国はいいということで特筆すべきではないということを申し上げました。 ○藤上委員  いまの2頁目の2つ目の○で、「外国のことに留意が必要である」ということですが、 これは外国の医療制度とか保険制度とか、いろいろなことを踏まえた上でのことでない と一概に論じられないのではないかと思うのです。「看護師の裁量の範囲、役割・業務 が変化し拡大しつつある」というのは、外国の医療制度の中で、そうしなければ患者に 適切な医療ができないことを踏まえてなってきていると思うのです。現状の日本の医療 制度とは違ったところでの判断ではないかと考えています。 ○國井委員  ただ、この検討会は医療提供体制見直しの中で、もう一回新たな看護のあり方を検討 しようという視点なのではないのでしょうか。 ○藤上委員  それはわかります。あくまでも諸外国の医療制度とか、なぜこういう形になってきた かをいろいろきちんと踏まえた上でのことならば、私はいいと思います。しかし、ただ 「看護師の裁量の範囲、役割・業務が変化し拡大しつつ」というところだけを取り出し て論ずるのはおかしいと思います。 ○川村座長  1つは書き振りというか、このプレゼンテーションがあって皆様で討論をしていただ いたときには、それが中心ではありませんでしたが、医療体制や社会のあり方が違うと いうことはあるのだけれども、このように働いているという説明であったと思うので、 そういったことをここに書き込むのはまずいでしょうか。誤解された使い方をされない ようにということで、藤上委員のご意見はよろしいでしょうか。柳田委員、いかがでし ょうか。書き振りについては検討をしていただくとして、まだ討論の機会がありますの で見ていただくチャンスはありますが。 ○柳田委員  そうですね。表現とか文言とか、その辺りがちょっと短絡的だと思うので、よろしく お願いします。  3頁の1番目の○の3行目です。「医師の指示のあり方として」とありますが、これ は「看護のあり方」を述べるもので、医師について記述していただくことはないわけで、 この部分は削除していただきたいと思います。  それから4行目で、「それぞれの資格、経験、専門性」とありますが、資格によって 差別しなさいという感じを与えるので、こういう書き方は不必要だと思います。  7行目の「専門性、自律性」というのは、看護は独立すべきであると考えられないこ ともないので、少なくともこれは公の報告書ですから、本文からは削除していただきた いと考えます。  それから3頁の4番目の○の4行目で、「様々な看護技術を駆使して、患者の安楽を 確保することが重要である」と書いてあります。後で出てきます麻薬の投与とか、そう いうものと考え合わせると、「安楽」という言葉は安楽死を連想させるのです。ですか ら「症状の緩和」「鎮静」「鎮痛」とすべきだと思います。 ○平林委員  柳田委員にお伺いしたいと思います。極めて総論的に伺いますが、柳田委員が考える 「新たな看護のあり方」はどういうイメージを持っているのですか。 ○柳田委員  最初に言ったように、「新たな看護」というのがどういう意味かということははっき り掴めませんでした。皆さんの意見を聞くうちに、こういうことだなということで今日 の報告書が出たと思います。 ○平林委員  しかしそうは言っても、いろいろとご意見を言われて、「ここを削除、ここを削除」 とおっしゃっているわけですから、削除をする前提として柳田委員の考えている「看護 のあり方」が当然あるはずで、そのことをお聞きしているのです。 ○柳田委員  医師と看護師が離れてものを考えるという考え方がなされているような気がするので す。そして、そのほうが便利であるとか、効率がいいというふうな考え方が見られるも のですから、そういうところの文言を少し直していただかないといけないということで す。 ○平林委員  「離れている」というのはどこにそれが表われているのでしょうか。この中で「連携 」ということをたくさん謳っているわけです。その連携をすることでも、それは離れて いると柳田委員はお考えなのでしょうか。 ○柳田委員  一つひとつの文章は非常にきれいに流れていていいのです。しかし文言をよく見ると、 「医師の指示のあり方」とか、医師に関して書かれているのであって、そういう点が少 しおかしいのではないかと思います。 ○平林委員  医師のあり方については、あくまでも看護のあり方との関連で必要最小限度触れてい るだけだと思うのです。医師の指示のあり方によって看護のあり方も違ってくるわけで すから、そこの医師の指示のあり方を全然無視して看護のあり方だけを考えるというの は、そもそも看護のあり方を考えることができなくなってしまうので、ちょっとそれは いきすぎではないかと思います。あくまでも新たな看護のあり方を考えるコンテクスト の中で、医師との連携をどう取っていけば、よりよい看護が国民に提供できるかという 観点から、我々はここ何回か議論をしてきたつもりですので、その点について先生のお 考えを伺いたいと思います。 ○柳田委員  もちろん望むところはそうなのです。しかし文言の隅々に、医師のあり方を論ずるよ うなことが出てくるのです。やはり公文書ですから、そこはもう少し記述を考えていた だきたいということを申し上げております。後でまた出てきますので、その辺りを参考 にしていただければいいかと思います。 ○平林委員  それはまたご意見をお伺いするとして、最初の1頁に戻ります。「しかしながら」以 下の文章を削除したほうがいいという理由は何でしょうか。そこが理解できなかったも のですから。 ○柳田委員  「医療現場においては看護師の判断が重要である」というくらいに留めたらどうかと 思います。 ○平林委員  いや、事実の認識の問題として。そうするとここを削除するということは、柳田委員 のお考えの中で、看護業務がそういう基礎教育に基づいた十全な看護が提供されている という認識をお持ちなのかどうかということです。 ○柳田委員  「医療現場においては看護師の判断を活かした適切なケアが行われているとは、必ず しも言えない実情がある」と。これはこういう実情があるということですね。 ○川村座長  ある意味では看護側の反省のような意味を込めているところかとは思われますが、い かがでしょうか。 ○藤上委員  この報告書を読んで、この検討の場にいた方々は流れはわかると思うのですが、前提 がすべて書かれていなくて、結果だけが書かれているところに誤解を生むところがたく さんあると考えました。 ○川村座長  藤上委員のご指摘は、例えば前文のようなものを入れるということでしょうか。 ○藤上委員  例えば3頁のいちばん最後の「更に医薬品等による症状緩和が必要である云々」のと ころですが、これは例が出されて、下剤の使い方とか、頓服的に使う解熱剤の使い方の ようなものの範囲の中での形のものでした。それはもうすでに先生方の指示の中で行わ れていることであるからというお話もありました。ということは、改めてここに出す必 要もないのかと思いながら考えていました。  「患者の症状を観察した看護師等が必要に応じて医薬品等の量を増減する」とあって、 医薬品の量を増減するのはあくまでも医師の指示だと思うのです。ただし、下剤とか、 頓服的に使うものは例外だと思うのですが、それはすでになされているのではないかと いう話だと思うのです。  例えば大衆薬や患者さんに売った薬では、患者の裁量で飲む範囲を決めているのは下 剤だけなのです。1回に1ないし3錠の間で飲みなさいとなっています。ただし、他の 薬はすべて1日2回、1回に何錠と限定されているのです。患者のほうで裁量するとい うことは前提にしていないのです。それだけ使い方というのは危険で難しいものがある のではないかと思うのです。 ○内布委員  いまの文章はその前の行に「医師により処方された医薬品等の使用方法の範囲内にお いて」とありますが、それがあっても駄目ということですか。 ○藤上委員  医薬品等の内容が問題なのです。すでに看護師のほうで裁量ができる範囲のものは、 下剤とか、解熱剤の頓服的な使用ということが例に出ていました。酸素の使い方に関し ては別途考えなければならないとなっていたのではないかと思うのですが、そういうこ とに関してもきちんと書かれていないということは、あらゆる医薬品に対してこれがで きるということにつながっていってしまうので、これは危険ではないかと思うのです。 ○上野委員  この文でいくと、あらゆるというよりは医師の指示があったものに関しての裁量です ので、私はこのままでいいのではないかと思います。 ○藤上委員  ただ医師の裁量の範囲というのは、すでにできる範囲のものは行われて。 ○上野委員  そうではなく、医師が処方したものの範囲という意味だと私はとらえています。例え ば医師がAという患者に対して、これだけのものを処方したとします。その中で、これ とこれに関してはということではなく、限定しているのだと思います。 ○藤上委員  この文章から限定しているとは思えないのです。すでに医師の処方の内容に従って看 護師が裁量で投与しているというのはあるはずなのです。確か、あると西澤委員がおっ しゃったような気がするのですが、現実として出来上がっているものを新ためて書く必 要はないかと思います。 ○川村座長  3頁の下から2行目ですが、「医師により処方された医薬品等の使用方法の範囲内に おいて」というのは、これが上野委員が説明されたことかと思いますが、これでは読み 込めないのでしょうか。 ○内布委員  すでに行われていて文言化されていなかったということで、静脈注射もそのようにな りました。これもすでに行われていて明文化されていないので、ここに書いてあるとい う了解なのだと思うのです。 ○藤上委員  静脈注射とこれとは違うのではないかと思います。例えば下剤の使い方とか、解熱剤 の頓服的な使い方という形のものがはっきりわかる範囲ならばいいのですが、この文言 が出てきた前提がきちんと書かれていないと、非常に拡大解釈がされていくような気が るのです。 ○内布委員  藤上委員は処方されていない薬についてまでこういうことをするとお考えなのでしょ うか。 ○藤上委員  そうでなくてちょっと言い方がわかりにくかったかもしれません。 ○平林委員  私は初めから一つひとつ潰していこうと思っていましたが、議論がもう3頁に入って いますので。いま問題になっているところは川越委員がおっしゃっていたと思うのです が、処方されているということと、それについてどういう指示が出ているかということ の2つを区別をして議論をすべきだと思います。この議論は、この検討会の中でもあっ たと思うので、そこのところを少し丁寧に書き込めば、いま藤上委員がおっしゃったよ うな懸念も解消されるのではないかと思います。  これがいいとは思いませんが、例えば「処方された医薬品について使用方法に関する 医師の指示の範囲内において」と言えば、「処方されている」ということと「医師の指 示がある」という、その両方をきちんと確保した上で「患者の症状を観察した云々」と つながっていけば、それほど大きな誤解を招くことはないと思います。そのように私は 考えています。 ○川村座長  このご提案、事務局としてはいかがでしょうか。 ○田村看護課長  いままでのご議論を踏まえて、私どもとしてはこのようにまとめられるのかと思いま したが、いまのご議論を聞いていると、平林委員のおっしゃられたことも含めて、もう 一度私どもでも座長とご相談をして、次回にこの辺りのことを提案させていただきたい と考えます。 ○川村座長  西澤委員、何かご意見がありますか。 ○西澤委員  いまの議論を聞いていて、「処方」というときに私たちは考え方によっては、当然医 師の指示が入っているととらえていいのかと思ったのですが、その辺について誤解があ るのであればちょっと丁寧に書き込んでもいいのかと思います。書いてある内容につい ては委員全員で合意された内容だと思っています。 ○川村座長  「医師の処方」というのは飲み方の指示まで入っているという考えでいましたが、平 林委員の言うように、きちんと書き分けて丁寧にしておけば、誤解がないということで あれば、それをご検討いただきたいと思います。 ○柳田委員  4頁の2番目の○なのですが、「これからの医療においては、インフォームド・コン セントが重視されている現状を踏まえると、看護師等は、患者・家族と十分にコミュニ ケーションを行い、治療の内容や選択についてわかりやすく丁寧に説明する」とありま すが、「治療の内容や選択」というのは書きすぎではないかと思います。ここは削除を していただいたほうがいいのではないかと思います。 ○柳田委員  その上の「看護の自律性、専門性」ですが、この自律性というのがよくわからないの ですが、何となく一人歩きというか、そういうものを想像させます。これももう少し検 討していただければいいかと思います。 ○國井委員  先ほどもそういうご発言でしたが、看護師はそういう意味で独立した、自律した存在 ではないということですか。 ○柳田委員  そういう意味ではなくて、意味がよくわからないのです。もう少し表現方法があれば 検討していただきたいと思います。 ○國井委員  専門職としての自律性で、私は非常に重要なことだと思っています。 ○内布委員  柳田委員は専門性と自律性のどちらも引っかかっておられるのですか。 ○柳田委員  専門性はいいのですが、「自律性」という意味が。 ○内布委員  オートノミーですので、自分で判断ができるということだと思います。誰かの指示な どではなく、自分で物事を判断し、考え、行動することができることを「自律性」と言 っていると思います。  最初に会が立ち上がったときに、坂口厚生労働大臣が、「看護師の自律性をもう少し 発揮していく形で検討をお願いしたい」ということを、この会でもおっしゃったわけで、 そのことを受けての結果だと思うのです。「自律性」という言葉はこの会にとってはキ ーワードですから、これはぜひ残すべきだと思います。 ○川越委員  先ほど柳田委員が指摘された3頁の下から2番目の○で、「患者の安楽を確保するこ とが重要である」というところですが、ここを「患者の症状の緩和を確保する」という 提案でしたか。 ○柳田委員  はい。 ○川越委員  「安楽」という言葉を英語で言うとコンフォートになります。それから柳田委員が言 われたパリエーションということですが、これは同じと考えてはいけないと思います。 看護で言う「安楽」、私も門外漢ですから偉そうなことを言ってはいけないと思うので すが、「パリエーションを含めた安楽」ということがあると思うので、私はこの言葉は そのままでいいのではないかという気がします。 ○柳田委員  どう使われているかわかりませんが。 ○川越委員  医者の用語ではないのです。あまり医者では「安楽」という言葉は使いませんが、私 はよくわかる言葉なのですが。 ○柳田委員  それによって麻薬の量を増やしたり減らしたりと考えると。 ○内布委員  ここは「看護技術を駆使して」と書いてあるので、どう読んでも麻薬は範疇に入らな いのではないかと思います。ですからここで「安楽」という言葉を使うことは何ら問題 がないし、看護では安全とか安楽というのは、非常に原則的な言葉として、プリンシプ ルとして用いているので、教科書では1頁に何度も出てくるほど頻繁に用いる言葉なの で、誤解されることはあり得ないと思います。 ○柳田委員  ちょっと「安楽死」を連想させる感じがあったものですから申し上げたのですが、「 症状の緩和」「鎮静」「鎮痛」ではどうかと思って申し上げたわけです。 ○上野委員  「体位を楽に保つ」というときに、「症状の緩和」というよりは「安楽な体位を保つ 」という言い方をすると思うのです。看護技術の面においては、「安楽な体位」「安楽 な方法」という形で言うので、特に問題はないのではないかと私たちは思います。 ○川村座長  宮武委員、一般社会常識を代表していただいている委員のご意見はいかがでしょうか。 ○宮武委員  専門知識のない人間として聞いている限りは、1頁の3つ目の○の、柳田委員が削除 したらどうかとおっしゃった「しかしながら」の部分ですが、教育は随分充実してきた のだけれども、それがそのまま医療現場で十分に実施されているならば、このような会 を持つ必要はないわけで、問題意識としてこれを投げ掛けているのはそれでよいと思い ます。  4番目の○も、「法的に医師の指示を必要としない」と書いて限定されているわけで、 その場合の入浴や歩行介助や全身清拭というものは、3頁の2つ目の○で内容が書いて あって、「法的に医師の指示を受けないで済むものであったとしても、それが医学的に 医師の判断を受けるかどうかということ自体がわかる看護師を育てていこう」と書いて あるので、むしろ医師にとって見れば、大変助かる看護師が増えてくるということで、 反対する必要はないと思います。  2頁の3つ目の○の諸外国のことですが、「諸外国における看護師の新たな業務と役 割」という研究報告書を引用して言ってるわけなので、その内容を読まなければ理解で きませんが、少くとも日本人は、諸外国というと、欧米先進国、具体的には欧米の主要 先進国のことを言うのだと思いますが、どの国でも制度や報酬の支払い方は違っても、 医師や看護師がする仕事は基本的には同じで、どういう形で患者の命や健康を守るかと いうことを考えてやっているわけです。その中で看護師の裁量の範囲が、例えば具体的 に欧米のどこの国と比べれば向こうのほうが拡大しつつあると書いてくだされば、よい と思います。  あとは先ほどから議論になっている3頁のいちばん上の「専門性、自律性を発揮し」 というところと、4頁のいちばん上の「看護の自律性、専門性を考えて」というところ ですが、3頁の1番目の○では、きちんと「医師等との適切な連携の下に」と書いてあ るので、何も看護師が医師を振り切って独立しようというわけではないと思うので、む しろ患者や家族側にとっては専門性や自律性の高い看護師でないと困るわけですので、 社会が望んでいることだと私は思います。 ○川村座長  「安楽」ということについては。 ○宮武委員  私はコンフォートという意味で取りました。 ○川村座長  安楽死というイメージは持たなかったということですね。 ○宮武委員  ただ柳田委員のご心配のような誤解はあるかもしれません。表現はもう一回考えたほ うがいいかもしれません。 ○國井委員  同じく3頁の2つ目の○ですが、「医療の現場において、療養上の世話を行う際に医 師の意見を求めるべきかどうかについて」というくだりなのですが、上に書かれている ように「療養上の世話と診療の補助」というのが我々の保助看法に謳れている業務です が、診療の補助行為においても医師の指示を受けて、それが問題がないかどうかを判断 する看護師の能力も非常に重要だと思うので、療養上の世話に限らないので、ここの「 療養上の世話を行う際の医師の意見を求めるべきかどうかについて」というところを削 除して、「医療の現場において適切に判断できる看護師等の能力、専門性を養っていく ことが重要である」というのがいいと考えるのですが、いかがでしょうか。 ○平林委員  ちょっといまの意見は私は賛成できないので、この流れとして読むと、療養上の世話 の問題について、先ほど来柳田委員が問題とされているようなことをここで言っている わけですから、これは落とすべきではないと思います。國井委員がおっしゃっているこ とは別の論点ですので、書き込むとすれば別の○を作ってきちんと書かないと全体とし てぼやけてしまうと思います。この○の部分では國井委員がおっしゃったようなことは 削除すべきではないと思います。 ○川村座長  この委員会の第1回目でも説明があったと思うのですが、「訪問看護の推進」という 課題が最初に出ていました。訪問看護というのは主治医と看護師とが同じ建物の中にい ないとか、常時一緒にケアをしていないとか、観察をしていないという条件の下で、ど のようにきちんと医師の指示を実行していけるか、安全な医療を提供できるようにする か。または患者の意見を聞いて、それを取り入れた形での鎮痛、緩和、安楽を看護師が できるようにするかという観点がいちばん基礎にあったことを思い起こしていただきた いと思います。その上に立っていかがでしょうか。病院の中ですと両者が一緒に働いて いるということですので、非常に話ははっきりしてくるかもしれませんが。 ○柳田委員  訪問看護の現場においては、おそらく皆かなり進んでいるわけです。静脈注射が行わ れていたように進んでいるのですが、この検討会では方向性を示すべきであると。訪問 看護事業協会でもガイドラインができていると聞いていますが、初めて公文書として出 るわけですから方向性は決めるべきだけれども、個々の小さなことについては、それぞ れが対応すればいいと思います。そこは十分理解しているつもりです。 ○川村座長  だいぶ討論が広範囲にわたっているので、最初のところに戻ります。1頁の3番目の ○の「しかしながら」というところですが、これについては基本的趣旨ということでよ ろしいでしょうか。多少の文言を変更したほうがいいということがあれば、そのように していただければいいと思います。  1頁の4番目の○ですが、「法的に医師の指示を必要としない療養上の世話について も」という辺りについてはいかがでしょうか。後ろのほうには実際的には医師の指示を 得る必要があることなのか、得なくてもいい、ある意味では日常生活上の世話と解して もいいのかということを判断をするということを、もう一度改めて看護師が思い起こし て、自分の責任をきちんとして仕事をすべきだといったようなところだったと思います。 ○川越委員  先ほど柳田委員に「法的に医師の指示云々」というところで、いろいろな法的な解釈 がなされているところだということを伺って、私も少しわからないので、平林委員のほ うからコメントをいただければと思うのですが。 ○川村座長  平林委員のほうからでも、行政解釈でもどうぞお願いします。 ○平林委員  私は1回しゃべったような気がするのですが、もし厚労省のほうで公的な見解があれ ばそちらをお聞きして、必要があれば私も若干お話をするというふうにさせていただき たいと思います。 ○土生企画官  行政解釈以外にももちろん学説というのはあり得るので、唯一絶対ということではな いかもしれませんが、厚生労働省の解釈としては、第7回の検討会の際に前提としてご 説明したところです。 ○土生企画官  第7回の資料1−1で、そこに保助看法の抜粋がありますが、第5条に看護師の業務 として「療養上の世話と診療の補助」ということが併記されているわけです。  それから一方第37条において、「保健師、助産師、看護師等は医師または歯科医師の 指示があった場合を除くほか」というところで、診療の機械を使用する、医薬品を授与 する等々ということで、医師または歯科医師が行うのでなければ、衛生上危害を生ずる 恐れのある行為をしてはならないということです。この行為は「医行為」と解釈をして いるわけです。  そういうことから医行為の補助ということで、診療の補助については第37条というこ とで、「医師・歯科医師の指示があった場合を除くほか、してはならない」ということ です。そういうことで、少なくとも法的にはその裏返しですが、「療養上の世話」とい うのはそこに含まれていないということですので、医師の指示は必要ないという解釈を 取っているということです。  一方、先ほどからご議論があったように、3頁の2つ目の○で、一つひとつの行為を 見たときにそれがどちらに入るのかということも、確かにクリアには分けられないとい うこともあります。また、同じ行為であっても、それぞれの状況とか場合に応じて、こ こにも書いてあるように、基本的には「療養上の世話」の範疇だけれども、医師の医学 的な判断が必要だということもあるということも事実ですので、そういうことで、法的 なことと実際上の話を区分して書いております。先ほどご議論がありましたように、場 所が離れていることから、そのつながりが見えにくいということもありますので、書き ぶりについてはさらにご議論を賜ればと思います。行政解釈については、いまご説明し たとおりです。もちろん、そうではないという学説というのはあり得るのではないかと いうことです。 ○井部委員  確認をさせていただきたいと思いますが、保助看法の第37条の「衛生上危害を生ずる 恐れのある行為」ということは、つまり医行為であるということですね。診断や治療と いうのは医行為であると解釈することができますね。つまり看護診断ではなくて、医学 的な診断をしたり治療行為をする、あるいは治療の指示を出すといったことについては、 医行為であるということですね。 ○土生企画官  はい。 ○井部委員  「衛生上危害を生ずる恐れのある行為」というのは、解釈が非常に多岐に及ぶ可能性 があって、私はこの文言が混乱を招いているのではないかと思っています。 ○土生企画官  医師または歯科医師が行うのでなければ、衛生上危害の生ずる恐れのある行為という ことで、ある意味ではトートロジーというか、そういう規定ぶりにならざるを得ないと いいますか、もちろん医療の専門性の高さとか範囲の広さから、法律として表現したと きにこういう書き方になっているのではないかと思います。この行為というのは医行為 であると理解しております。 ○平林委員  補足をしたいのですが、この検討会に臨むに際しての私の基本的な立場は、ここは研 究会でもないし学会でもないので、自説に固執することはしないつもりです。したがっ て、この問題を考えていくときには、基本的には厚生労働省の行政解釈の範囲内で、そ れが明らかに不当である場合には問題ですが、それがそれなりの一応の合理性、妥当性 を持っている限りにおいては、その範囲内で議論を進めていくべきだと思いますので、 別に私見に拘泥するつもりはありません。  1つだけコメントを付けさせていただきますと、私も原則的に厚生労働省がいまご説 明された基本的な考え方でよろしいと思っております。ただし、「医師の指示」という ふうに言った場合に、「医師の指示」という言葉の中でどういう内容をそこに込めるか が、いろいろな場面で違ってきていることは確かだろうと思います。いま厚生労働省か ら出された法的な解釈については、例えばどういう内容の療養上の世話をすべきかとか、 いつ患者に対してすべきかという判断については、これは看護師が自らの責任において、 それこそ自律的に行うことができるという限りにおいては、私はそのとおりだと思って おりますし、それが大原則だと思います。したがって、それに賛成するわけです。  柳田先生も少しおっしゃっていましたように、療養上の世話をしていくプロセスの中 で、この報告書の中にも書いてありますように、医師の判断が必要になってくる場合が あるわけで、そういうふうに判断をした看護師は改めて医師に対して許可を求めるとか、 指示を求める、あるいはコンサルテーションをするという形で、そこに医師と看護師と が連携をして患者に対して対応をしていくということもあり得るだろうと思います。そ の場合も「医師の指示」という言葉を使いますので、そこで言っている「医師の指示」 と最初に言っている「医師の指示」は同じ言葉を使っていますが、中身が違うものです から、そこでこの議論がすごく混乱をしてくるのだと思っております。  3番目に、「療養上の世話についても医師の世話が必要だ」とおっしゃる、これは柳 田先生もそうおっしゃるだろうと思います。それは医療の側に視点を置くのか、看護の 側に視点を置くのかで、かなり医療と看護との関係が変わってくるだろうと思います。 少なくとも私は、医師と看護師が連携をして、1人の患者に対してどういう治療方針で どういう治療をしていこうかということについては、最終的には医師が責任を持つべき だろうと思います。もちろん、方針を決定していくプロセスの中で医師と看護師が議論 をして、コミュニケーションをして、意見交換をして、最終的にはそれを医師の責任で 決定していく。医師の責任で決定された治療方針に反して、看護師が独自に動くことは まずいことだろうと思います。  治療方針の決定という限りにおいては、最終的には看護師も、その意味の指示の中に 入ると思います。したがって、それでも「医師の指示」という言葉を使いますと、前に 申し上げた2つの「医師の指示」と中身が違ってきますので、どういうコンテクストの 中で、どの内容の医師の指示かを言うかということは、この議論をするときには十分に 注意をして議論をしていかないと、そこだけで非常に無用な混乱を来たすと思っており ます。  結論から申し上げますと、原則的な枠組みとしては、先ほど企画官のほうからご説明 されたような形で、「療養上の世話については医師の指示は原則的には必要ないんだ」 というところから出発して、この報告書にあるいろいろなバリエーションを考えていく ということで、私はそれでいいのではないかと思います。 ○川村座長  例えば「法的に医師の指示を必要としない療養上の世話」に、その範囲に入るとして も、医師の方がこれは指示を出したいとお思いになった際は、OKであるということで すね。 ○平林委員  「療養上の世話」についてですか。 ○川村座長  看護側が判断をしていても、それだけではなくて、医師のほうから、この方について は足浴をするときには連絡をしてくださいとか、こうしてくださいとか、そういう指示 を医師からお出しになることは、それはいいわけですね。 ○平林委員  それはかまわないです。ただ、その前提として、足浴をするかしないかについてまで の医師の指示がなければ動けないというものではないということだと思います。むしろ 足浴をすることについて、最初から医師の指示を出すことはまずいのではないかという ことです。ただ、状況に応じて、医師がその状況を見て、先ほど先生がおっしゃったよ うな形で、連絡をしてくださいとかというコミュニケーションを取ることは、もちろん 一向にかまわないと。むしろそうあるべきだと。 ○川村座長  だいぶ整理がついてきたようですが、いかがでしょうか。 ○井部委員  3頁の上から2つ目の○の件ですが、4行目の「医療現場において、療養上の世話を 行う際に医師の意見を求めるべきかどうかについて適切に判断できる看護師等」という ことですが、「医師の意見を求めるべきかどうかについて適切に判断できる」という表 現を、たしか何回目かのこの検討会のときに、「療養上の世話の専門家として、医師と 対等にディスカッションをして、どのようにしたらいいかを判断できるようになるとい いですね」という、新たな看護に目指した発言が平林委員からありました。そのニュア ンスを生かすとすると、表現を「医師の意見を求める」というと、主−従の関係になる ような気がしますので、療養上の世話はこのようにやるべきだとか、いや、それは治療 上こういうふうに工夫したらいいとか、意見を交換し合うような関係であるということ の記述をするといいかなと、私は思います。 ○川村座長  上野委員、実際に例えばこの方はこういうふうな世話をしていますといったような、 治療方針に影響のあることについては、事前にご相談をしますよね、一般的な訪問看護 としては。 ○上野委員  訪問看護に行った場合に、例えば病状を見て、今日はこういう状況だから足浴してい いなとか、お風呂に入れていいなと考えますが、例えばすごく咳込んでいる場合はしな いという判断をします。それと、どうしてもわからない場合がありますが、そのときに は必ず医師に、どうでしょうと伺います。療養上の世話に関しては、私たちは看護計画 を必ず出しますし、毎月報告書も出してきますので、そこのところできちんと説明をし て、先生がそれをご覧になって、さらに指示をくれるという形を取っています。そこで もし不要だという場合には、指示書の中にも書かれてきますし、連絡があります。いま はファックスがありますので、ほとんどファックスでやりとりをしていきますので。 ○川越委員  いまの井部委員の話ですが、求めるべきかというのが主−従関係といいますか、従属 関係になると。そういうことがあると思いますが、先ほどからの議論を伺っていますと、 例えば療養上の世話は看護のすべてということではないし、ものによっては医師との相 談あるいは指示が必要だということはコンセンサスが得られていると思いますので、4 行目の最後の所の「療養上の世話を行う際に医師の指示あるいは意見を求めるかどうか についても適切に判断」という表現にしたら、医師会のほうからもあまりクレームがつ かないかと。ものによっては医師の指示が必要だと。ただ、全部が医師の指示というと、 逆に医者のほうとしてはえらい迷惑になりますので、その辺はやはり柔軟性を持ってや っていったほうがいいのではないかと思います。 ○内布委員  もう一つ、「新たに○を1つつくったほうがいいのではないか」と先ほど國井委員が 言われましたが、「療養上の世話」については、いまのようなご意見で私はいいと思い ますが、「診療の補助においても医師の指示の適切性について看護の視点で判断を行い、 医師と協議すべきであり、自らの責任のもとに指示を履行しないことも求められる」と いう文言をどこかに入れていただくと、もう1つの○ができるかと思います。 ○西澤委員  平たく言いますと、「医師が指示を出しても看護判断でそれをしない」ということで すか。 ○内布委員  危険がある場合は。私も実際現場で、私の場合は助産師で働いていて、助産師はかな り裁量権が認められておりますので、妊娠の診断もするわけですが、一度新米の医師が 浣腸の指示を経産婦に出しまして、私は浣腸してしまうと墜落分娩になるという判断を したものですから、そういうときには危険なので指示を履行しないこともありました。  看護師に求められるのは、1つは医師の指示をそのまま履行するということではなく て、指示が適切かどうかの判断も看護師には求められていると思いますので、療養上の 世話だけが問題になっていますが、先ほどの○のもう一つというのも明確に書いておく 必要があると私は思います。 ○西澤委員  助産師の問題は今回は別だと思います。 ○内布委員  助産師でなくても、私は看護師でも働いていましたので。 ○西澤委員  いまの助産師の例は別だと思います。全く違いますから。それと、この例示は問題が ありまして、先ほど平林委員がおっしゃったように、患者のすべての最終的な責任は医 師にある中において、「看護師の責任のもとで」と言いますが、看護師の責任よりも医 師の責任のほうが最終的にはあるはずですので。いままで全く議論はされていませんで したので、別に考えていただきたいと思います。 ○内布委員  議論をされていなかったので、新たに出したらどうかという意見があったので意見を 言ったのですが、議論をしたほうがよければすればいいと思います。看護師が医師の指 示を、これは非常に危険なので受けられないと判断して、そのことを医師に、看護師と しての責任のもとにおいては、それをやるのは危険であるのでやれませんということを 言うとします。そうしますと、医師は自分の責任のもとにそれを行えばいいと思います。 看護師がしなくても医師がそれを行えばいいと思うので、医師の責任のもとに行うこと についてはいいと思います。看護師は実行者としてそれを履行したものとして責任を問 われますので、もしその指示が適切ではないと自分の中で判断した場合は、受けないこ ともあると思うのですが。非常に危険だと思っても受けなければいけないという西澤委 員のご意見でしょうか。 ○西澤委員  そういうことではありません。受けなくてはいけないではなくて、それはお互いに別 の判断をして、医師がこう言ったけど私はしませんという問題ではなくて、すべて患者 さんを中心に共同して医療を行っている中で、そういう問題があったら医師にそれをき ちんと看護師のほうから説明して、最終的に、もし医師の指示が間違っているんだった らそれを医師がしっかり理解したうえで、改めて医師が適切な判断の上、指示を行う、 そういう役割を看護師がするのであって、ただ間違っているからしないということで議 論を終わられると、私は違うなと思います。 ○内布委員  私もそれはそう思います。西澤委員のおっしゃるとおりだと思います。ですから、「 医師と協議をすべきであり」というふうに申しました。 ○柳田委員  ここの検討会で、「医師の指示がある云々」というのはおかしいと思いますので、わ ざわざ報告書に書く必要はないと思います。 ○井部委員  医師の指示ではなくて、診療の補助業務に関しての意見だと思います。 ○内布委員  看護師の業務の範囲内のことを申しております。 ○柳田委員  あまり細かくする必要はないと思います。 ○川越委員  内布委員の言われたことについての議論は、私の記憶ではなされていなかったと思い ます。たしかに大事な問題であることは間違いないと思います。というのは、医療事故 が起きたとき医師の責任だけ問われておりましたが、いまは看護師の責任も十分問われ る時代になっておりますので、医師の指示をただ盲目的にやればいいという時代ではな い。特にこれからは看護師の経験的な判断が必要になってくる時代だと思います。ただ、 医師が出したけど自分は納得できないからやらないというのは、あまりに短絡的な発想 で、気持はよくわかりますが、よりよい医療を提供するためにはどうしたらいいか。医 師と看護師が喧嘩をすることはいちばんまずいわけで、そういう視点に立っていまの問 題を考えていかなければいけないなという気がいたしました。 ○平林委員  次回にじっくりと議論をするのかもしれませんが、内布委員がおっしゃられたことも いくつかのパターンがあると思います。例えば最高裁の判例にもあるように、静脈注射 をしろと言われて、自分はできないと思ったけれども指示があったからやっちゃったと いう場合と、例えばカルテを改竄しろとか、安楽死の場合で致死に至るような注射をし ろと言われた場合と、いろいろなパターンがあって、それを全部一律に議論することも、 なかなかこれは難しいと思います。どういうパターンで、どういうケースを念頭に置い てこの問題を考えるかということを少し整理して議論をしないと、これまた混乱をする と思います。そのことだけ次回のために申し上げておきたいと思います。 ○田村看護課長  2頁の最後の行から3頁の最初の行にかけて、医師の指示を受けて看護師がやった後 に、包括的な指示の話が上のほうにありますが、「患者の状態についての観察結果や、 看護の立場からの判断を医師に適切に伝えることが必要である」と書いてありますが、 その辺りをもう少し丁寧に書き込むことでどうなのかと、いま思いました。 ○川村座長  さらにご意見はありますか。 ○内布委員  書き込んでくださればありがたいなと思います。 ○井部委員  それともう一つ。日本看護協会の業務基準で國井委員が説明した中に、「医師の指示 を実施するときには、その根拠をちゃんとわかっていなければいけないし、患者にとっ て適切であるかという問題と、倫理的な問題がないかというこの3つについては、看護 師が判断して行うべきである」といったような説明がありましたので、それをうまく盛 り込んでいただくとよろしいかと思います。 ○田村看護課長  それもまた次回に少し私どものほうで案を提示させていただきたいと思います。 ○井部委員  もう一つ。3頁の上から4つ目の「苦痛の緩和」のところに、便秘、不眠、発熱、呼 吸困難等という例の中に、疼痛というものを入れて、最初に疼痛、便秘、不眠としたほ うがいいのではないかと思います。 ○上野委員  先ほどの「安楽」のところですが、いま井部委員がおっしゃったところを最初に疼痛 から始まったとして、最後は「患者の安全・安楽の確保」としてはいかがでしょうか。 ○川村座長  「安全」を入れるということですね。 ○國井委員  4頁の2つ目の○ですが、先ほど柳田先生からご意見がありましたが、説明を行う所 に「看護ケアの内容」も付け加えてほしいと。「患者家族と十分コミュニケーションを 行い、治療の内容や選択及び看護計画について、わかりやすく説明する」という、看護 の説明をほとんどしていないという現状があるので。 ○柳田委員  「治療の内容や選択をわかりやすく説明する」を、これはちょっと書きすぎではない かと。 ○國井委員  表現を変えればどうでしょうか。 ○西澤委員  これはやはり表現を変えていただいたほうがよいかと思います。特にインフォームド ・コンセントという言葉について、治療の内容や選択のところに結びつけますと、要す るにインフォームド・コンセントは説明と同意ですから、それが看護師の仕事だととら えかねない。すなわち、「どういう治療法を選びますか」までが看護師がやるのかなと、 これだと誤解される。これは柳田委員のご意見です。ですから、あくまでそれはドクタ ーの仕事であって、それを補助的により患者さんの間に立って、よりわかりやすく説明 することが看護師の役割。その辺りをもっと丁寧に書いていただければ結構かと思いま す。 ○川村座長  もう1つは、看護の行為についてのインフォームド・コンセントが必要だということ ですね。よろしいでしょうか。 ○平林委員  いまのところで、新たな看護のあり方にもかかわってくると思いますが、看護師の役 割として患者の代弁者といいますか、ペイシェント・アグリーメントの問題を考えます と、むしろそのことを書き込んでおいたほうがいいような気がしますが、いかがでしょ うか。 ○川村座長  4行目の「患者・家族の意向を汲み取る役割」ではなくて、「汲み取り、代弁するよ うな役割」ということですね。ここはこういう文章として適切にしていただきたいと。 「自律性」という言葉を議論したほうがよろしいでしょうか。医師の指示の範囲の中で の職業的な自律性ということは、既に説明されているということでしたが。 ○國井委員  これは前書きみたいな前文が出ますよね。 ○川村座長  どうでしょうか。 ○土生企画官  通常ですと、検討の経過とか、こういう趣旨で検討会をつくり、例えば第何回までこ ういう議論をしとか、そういうものを付けるのは通常ですので、検討したいと思います。 ○川村座長  次に、4頁の(3)をお願いいたします。 ○土生企画官  (3)「望ましい看護のあり方の普及に向けて」(読み上げ) ○川村座長  ありがとうございました。ここのくだりについては、かなりあちこちに議論が出てい たことをまとめていただいた中身かと思います。ご自由にご意見をいただきたいと思い ます。 ○上野委員  5頁のいちばん下の・ですが、「相互の交流や連携を深かめていくことも有益である 」ということよりも、「深めていくことが必要である」というふうに言い切ってしまっ たほうがいいのではないかと思います。 ○柳田委員  それは私もそう思います。5頁の2番目の・の所ですが、「大学教育の更なる普及・ 拡大など看護基礎の教育期間を延長していくことも検討していく必要がある」と記載さ れておりますが、地域医療を守る立場からいいますと、看護大学のみ増やすことは反対 です。やはり通常の3年課程であるとか、准看護師課程の更なる普及・拡大が必要だと いうふうに思います。したがって、この項は「ことから大学教育」以下を削除していた だくとか、もう少し文言を変えていただきたいと思います。  それから5頁の4番目の・のところで、「専門看護師とか認定看護師などの・・・」 という記述がありますが、これは一団体が行っている資格について、このような公の報 告書に書くことは不適当であると考えます。  一番下の○ですが、「入院診療計画」以降の6頁からの1番目のところ、いまお読み になった所ですが、まさにこの辺りはチーム医療の話で、看護の分野だけの話ではあり ませんので、この辺の記述は不適当かなと思います。削除をしていただいたほうがいい のかなと思います。 ○川村座長  ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○井部委員  ただいまのご指摘の5頁の黒ポツの2つ目ですが、ここは「大学教育の更なる普及・ 拡大など、看護基礎教育期間の延長ということも検討していったらどうか」ということ を言っているわけでありまして、何回も出てきたように新たな看護のあり方を検討する 上にあたっては、3年の基礎教育が基本だけれども、それが十分かどうかという点につ いて、検討する必要があると私は思いますので、そういう意味では例えば准看とか、大 学教育はいかんということを後ろ向きに書く必要は全くないと思っております。これだ け専門的な知識を学ばなければならないと言っているわけですから、この文言に関して は貴重な論点ではないかと思います。 ○柳田委員  「大学教育の」と限定してあるものですから、これはどうかなと思います。 ○井部委員  既に薬剤師は大学院を入れて6年教育を推進している段階で、大学教育を受けた者が 出てきただけで批判されるという看護教育の現状そのものが問題だと私は思います。 ○柳田委員  批判はしてないですけどね。 ○井部委員  それを消せというのは私は反対です。 ○柳田委員  「普及・拡大など」と、それだけが増えるということはどうかなと思うだけです。 ○内布委員  私も大学教育は残していただいたほうがいいと思います。新しく看護師になる人で大 学教育を受けて看護師になる人は、1割をちょっと超えるぐらいまでしかいっていない のです。大学教育を受けた看護師というのは。諸外国と比べますとまだまだ普及は必要 かと思います。「など」も入っていますので、これは文言を残していただきたいなとい うふうに思います。 ○川村座長  看護界からは大変強い要望がありますね。 ○西澤委員  柳田先生は医師会の立場もございまして、なかなかつらい立場だと思いますが、かな りこれはそういうことにも配慮して、文章もすごく柔らかいなと思っております。本来 であれば看護師の方はもう少し強く言いたかったのを、かなり押えた書き方になってい るのではないかと。この委員会のある程度の妥協といいましょうか、そういう中ではこ の程度でよろしいのかなという気がしております。 ○内布委員  専門看護師や認定看護師についても、できるだけ残す方向で考えていただきたいと思 います。たしかに特定の機関が認定しているものの、「日本看護協会」という言葉は特 に出ていませんので、「特定の機関が認定した」とか、「日本看護協会」という言葉を 出さない表現を工夫していただいて、できるだけ専門性の高い看護師や特定の認定を受 けた看護師とか、特定のコースを修了したとか、特定の機関が認めたコースを修了した とか認定したとか、「そういう看護師にあっては」というような書き方で、できるだけ 残す形で検討していただきたいと思います。 ○井部委員  アメリカで用いられている、アドバンス・プラクティショナーでしたか、そういうよ うな抱括的な表現をしたらいいのではないかと思います。 ○内布委員  日本語に訳すときは上級看護師というふうに訳してありますが、そんなアドバンスの ナースで特定のコースを受けた人たちを認めていますし、実際にそういう人たちが、か なり現場でケアの質の向上に貢献しているのです。いまデータが続々と出ている段階で、 厚生労働科学研究等でも、専門看護師に関しては、癌看護、精神看護の領域の人たちが 研究費をもらって自分たちの業績等について検証しています。  実際に現場の人たちの声を聞きますと、検証するのは数字とかで出さなければいけな いので大変ですが、あの少ない人数で厳しい認定制度を、日本の認定制度は世界でいち ばん厳しいと言われていますが、厳しい認定制度を通過して出てきた人たちですから。 全体で40人しかいないのですが、その人たちが入っている現場というのは明らかに、ほ かの現場と看護ケアの質が変わってきています。それは実感としてあるわけで、それを 数字に出していこうという動きを、厚生労働科学研究などで出している段階です。確実 に彼らの働きというのはあると思います。ですから、是非、どういう形で書くにしろ、 ここに残さないといけないのではないかと私は思います。 ○井部委員  「専門看護師、認定看護師など」と、「など」という文言なので、これでいいかなと 思いますが、例えば呼吸療法士、糖尿病療養指導士といった資格を持った人たちも仕事 をしていて、専門看護師や認定看護師などと類似した力を発揮していることを実際に認 知しておりますので、この2つだけに限定しないほうがいいのではないかと思います。 様々な専門的な知識・技能を持った看護職の登場を期待する」といったようなニュアン スを含んだほうがいいかと思います。 ○平林委員  「新たな看護のあり方を考える」ということですから、上のほうに向かって看護が充 実していくということに私が反対するものではないし、看護の専門分科ということも必 要だろうと思いますし、全体としてそういう形で看護を考えていくことは十分に了解し ているつもりです。したがって、先ほど議論がありましたが、「大学教育の更なる普及 ・拡大」だけではなくて、「充実」というのも是非入れていただきたいと思っておりま す。  その真意は、看護の全体の問題として前にも申し上げたかもしれませんが、ピンから キリまでと言ったら怒られますが、看護全体の中の能力、あるいは意識のばらつきとい うのは、これは否定しえないと思うので、上のほうに伸ばすのもいいですが、下のほう をどうやってボトムアップしていくかということも、現実問題を考えた場合、新しい看 護のあり方を考えるときには落とすことができない問題であろうと思っておりますので、 その点についても是非何らかの形でわかるような文言を入れておく必要があるのではな いかと思っております。 ○川村座長  ちょっと言葉尻をとらえていて申し訳ないですが、「上のほうを伸ばすのはいいのだ けれど」というのは、もうこれでいいのだというのではなくて、それはそれで必要なん だけれどもという意味ですか。 ○平林委員  そういう意味です。 ○川村座長  字面になってしまうと誤解があるかもしれません。 ○平林委員  ですから、そのことには反対するつもりはないし、それを推進していくことには賛成 いたしますが、それだけではなくて、ボトムアップを考えないといけないだろうと。 ○井部委員  5頁の下の○のその上の黒ポツですが、ここの内容は、私の認識が間違っているかも しれませんが、「施設看護と訪問看護の交流」という話よりも、「教育の現場と臨床の 現場との交流」という話が出たように思いますが、私はむしろ教育現場と臨床の現場と の交流がもっと積極的に行われたほうがいいと思っている立場なので、バイアスがかか っているかもしれませんけど。 ○國井委員  あのときの議論で、施設看護と訪問看護の連携のなさについて意見が出たと思います。 私はこれに意見ですが、連携を深めていくことが有益であるし、さらに仕組みづくりが 必要であるぐらいの、ひとつ進んだ表現がほしいなと思っているのですが。 ○川村座長  この看護教育と臨床看護、臨床看護の中には施設と訪問看護と両方の現場が入ってい るという解釈ですね。前段のところが中身の話で、後段が相互交流のような形になって いるので、この辺を揃えていただくと皆様方のご意見がしっかり入るのではないかと思 います。 ○田村看護課長  そうですね。もう少し言葉を足さなければ意図が伝わりにくいのかもしれませんので、 工夫をして次回に提案させていただきたいと思います。ご意見は教育と現場の乖離がな いようにということと、看護師同士の、まさに地域と、その施設における病院の看護と の連携という、この2つがありましたので、それを踏まえてまとめとしたつもりです。 ○川村座長  私が意見を言うのもどうかとは思いますが、福祉施設での看護職の問題を、当事者の 方々から、看護のあり方の中に一緒に考えてほしいというような声もあります。陳情と か要望書という形ではありませんが。もし施設看護という場合には病院の話もあります が、福祉施設といった所も視野に入れていただけるような、どこに働いていても看護職 全体が相互交流を図って、きちんとやっていけるということになっていくといいかと思 いますが。  最後に柳田先生からいただいた5頁の最後の○と、6頁の最初の○について、いくつ かのご意見をいただいて終わりにしたいと思いますが、いかがでしょうか。先ほど、こ れは「医療関係の職種が全体で共通認識を持っていくものなので、ここに書き込まなく てもいいのではないか」というご意見であったと思いますが、ここに書いてきた理由と しては、看護職もそれをきちんと意識をして、むしろその中で、責任を果たしていくと いうことで、いままでは議論が進んできたように承っておりますが、いかがでしょうか。 ○内布委員  医師の場合も、例えば胃癌治療のスタンダードとか、いまスタンダードをたくさん開 発しています。そうすることによって医療の質の標準化というか、患者さんたちが行っ た病院によってとんでもない治療を受けることがないようにということも考えていたと 思います。標準化というのはやはり国レベルで考えていく必要がどうしてもあって、標 準化されたからそれを満たしていればそれ以上のことをしなくてもいいと、発達しなく てもいいということでは決してないと思いますが、標準化というのは医療の質を国民に 保証していくときにすごく必要なのだと思います。  5頁の最後では「看護プロトコールの普及」と言っていますので、特に医師の領分に 侵しているような印象はありませんので、是非残していただいたらいいと思います。  6頁の最初は、これは医療機関に関してと言っていますので、看護の領域も医師の領 域も入ってくるのではないかと思います。看護がこのプロトコールで動くということが 結構ありますので、私は両方とも医師の領分を侵して書いているというふうには思えな くて必要だと思います。そして国としても、こういう標準化したものを示していくとい うことは、とても大事なことだと思いますし、医師の領域でも既にどんどん進んでいる ことだと思います。 ○柳田委員  領域を侵すとか侵さないとかそういう次元の問題ではなくて、そういうものをどんど ん普及させていきますと、看護師さんが考えることをやめてプロトコールのとおりに動 くという結果を招きかねないということも、一方で懸念されるということで、これは本 当にプロトコールが必要であるのかどうかというのを十分検討してかからないと。 ○井部委員  柳田委員は、「診療ガイドライン」というのは医師を考えさせなくするというふうに お考えですか。 ○柳田委員  そんな短絡的ではありませんが。 ○井部委員  それと同じようなことをおっしゃっているのではないでしょうか。 ○柳田委員  そういうことを全国的にもし公文書の中に入れるとすれば、やはり広まっていくとい うことで、これはやはりその病院、病院でやればいいことであって、全国一律標準的な ものをつくる必要があるのかなと。 ○井部委員  「診療ガイドライン」というのはどういう位置付けになるわけですか。医師がやって いる「診療ガイドライン」というのは。 ○柳田委員  それとはちょっと意味が違うと思うのですが。 ○井部委員  どう違うのでしょうか。 ○柳田委員  そのとおりに動くということで、それがお気に触わったのかもしれませんが、そうい うことではなくて。 ○井部委員  医師は「診療ガイドライン」の全国的な普及版をつくっているわけで、それに関して はどのようにお考えなのでしょうか。 ○柳田委員  いまはたしかにその傾向にありますが、まだこの段階でつくっていいのかどうかとい うことは、先生方の意見を聞かないとわかりませんが。 ○平林委員  プロトコールというものに対する誤解があるように私は思います。プロトコールがで きて看護師が判断をしないでもいいというふうにはならなくて、むしろ逆で、プロトコ ールというのはどういう部分で、どういう場面で看護師がきちんと判断をしていかなけ ればならないかということを、類型別に明らかにしたものであるので、そこは是非誤解 をなさらないでいただきたいと思います。プロトコールはあくまでも標準的な基準的な ものですから、ここにもありますように各医療機関とか地域に適して、それを調整して いくことができるわけですから、もちろんその中で医師との連携を踏まえて、その連携 のあり方を踏まえながら、看護師がどういうふうに判断していくかということも盛り込 めるようになっているのがプロトコールだと私は思っております。その辺の誤解を是非 解いていただければありがたいなと思います。 ○西澤委員  柳田委員がおっしゃったのは、実は医療の標準化とかEBMと言われている事につい て、これはある意味で非常にいいものだと思いますが、実際は医師の間で混乱をしてお ります。標準化ができたら、それ以外の治療は駄目ではないかとか、あるいはほかの治 療法だと診療報酬上、それは出来なくなるのではないか。そうすると、医師の裁量権は という議論が起きているのが実際です。そういうことを医師会を中心に懸念しておりま すので、そういう誤解を解くようなことが必要だと思います。ここに書くときも、見方 によって、これに則らないと、していけないとなるのではないかという懸念が片方では あると思いますので、そのような誤解を解くようなことを是非何らかの形で示していた だきたいと思います。  もう1つ、看護プロトコールの上「入院診療計画や在宅療養者の支援をするための看 護プロトコール」と書いてありますが、この入院診療計画も看護プロトコールの1つに 見えますが、これはクリティカルパスは看護プロトコールとは別ですので、これは分離 して書いていただいたほうがよろしいかと思います。 ○井部委員  5頁の「入院診療計画」とありますが、「入院診療計画書」という診療報酬上の要件 がありますが、それと一致しているのかというのは私は紛らわしいと思います。急性期 医療の機関は入院診療計画書を要件としておりますので、そのことを指すのか、一般的 なクリティカルパスを指すのか、ちょっと混乱しやすいかなと思います。 ○田村看護課長  ここでは一般的なクリティカルパスのことを指して書いているつもりですが、そのこ とをどう明示的にしたらよろしいでしょうか。 ○井部委員  クリティカルパスという言葉を使うか、あるいは標準診療計画というようにするかで すが、あまり適切ではありません。クリティカルパスのほうが一般的です。 ○田村看護課長  クリティカルパスというふうに、その言葉を先に出してもよろしいのでしょうか。 ○内布委員  「いわゆる」を付けるとか。 ○田村看護課長  それでは、それは工夫をさせていただきます。 ○川村座長  そうしていただいて、次回はまたこの続きが残っておりますので、そこでまたご議論 をいただければと思います。  今回も有意義な議論をしていただきまして、大変ありがとうございました。今回はこ れで終わりにしたいと思いますが、事務局のほうから、どうぞ。 ○勝又補佐  次回は11回目の会議ですが、2月27日(木)の10時から、厚生労働省において開催さ せていただきたいと思います。第12回については、3月13日(木)の10時半から開催さ せていただくこととしております。さらに必要があれば3月24日(月)の15時から予定 しておりますので、併せてよろしくお願いいたします。 ○川村座長  何かお気づきのことでもあればお願いいたします。 ○田村看護課長  次回は後半の6頁の2「看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進」以降のところ から、引き続きご議論いただきたいと思っております。時間的に若干短いので、今日ご 議論いただいたことを十分に修正しきれるかどうか、私どもも定かではありませんが、 精一杯努力をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○川村座長  もし事前にご意見があれば、ファックスで伝えていただいたほうがよろしいかと思い ます。ありがとうございました。 照会先 厚生労働省医政局看護課 課長補佐 勝又(内線2599) 保健師係長 習田(内線2595) ダイヤルイン 03-3591-2206