03/02/14 不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会(第15回)議事録      不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会(第15回)議事録 1 日時   平成15年2月14日(金) 14:00〜16:00 2 場所   職業安定局第一会議室(厚生労働省13階) 3 出席者 (1) 委員(五十音順、◎は座長)   (1)伊藤 眞(東京大学大学院法学政治学研究科教授)   (2)岩村正彦(東京大学大学院法学政治学研究科教授)   (3)小幡純子(上智大学法学部教授)   (4)毛塚勝利(専修大学法学部教授)  ◎(5)諏訪康雄(法政大学社会学部教授)   (6)村中孝史(京都大学大学院法学研究科教授)   (7)山川隆一(筑波大学社会科学系教授) (2) 行政  青木審議官、熊谷労政担当参事官、中原調査官、山嵜中労委事務局審査第一課長、  荒牧参事官補佐 4 議事 ○ ただいまから「不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会」の第15回会合を開  催する。   本日は、前回に引き続き、中間整理の取りまとめに向けた検討を行いたいと思う。  まず、本日配布されている資料の取扱いについてお諮りしたい。今回の資料及び議事  録についても、円滑に検討を進める観点から前回と同様に非公開としたいとしたいと  考えるがいかがであろうか。 (了承)   それではそのようにしたい。それでは、前回の議論を踏まえ修正した資料を事務局  に用意させたので、説明をお願いする。   それでは、前回の議論を踏まえ修正した資料を事務局に用意させたので、説明をお  願いする。 (事務局より中間整理(素案)修正案説明。本日欠席の委員の意見についても紹介。) ○ それではこの中間整理(素案)修正案について議論したい。   再び第1、第2という順番で良いだろうか。   それでは、第1についてはよろしいと思うので、第2「不当労働行為審査制度の現  状」ということで、一体過去何年分を取ったらいいのかということから始まって、い  くつかお気づきの点があったらご指摘、あるいはご意見いただきたい。 ○ あまり古いのは意味がないかという気がする。事件の性質等も変わっていると思う。  昔は素朴な不当労働行為事件が多かったからという気がする。今のようなタイプの複  雑な事件が出てくるようになったのは、やはり昭和60年代なのではないか。 ○ たしかに昭和60年代だと思う。先ほどの取消しの話で言うと屈折点のようなところ  があって、平成になってから取り消されることが非常に増えたようである。一つには  JRがあるということがあるが。  ただ、何度も申し上げるようだが、数字というのは得てして一人歩きするので、でき  るだけ実態を反映した数字であると同時に、今度我々が見直し、改革をするというの  は、一体何に基づいてやるのかという根拠にもなる。それをどういう形で示すか。委  員は10年平均ぐらいでもっと大局的に見よというご意見であり、たしか前回もそう言  っていたと思う。 ○ 昭和60年ぐらいからだと、いろいろな解雇事案、JR等が入ってくるのであろう。民  営化が1986年であるので、命令が出るのがもう少し後だとしても、この統計は平成元  年まで入っているので。内訳を見ないとわからないとは思うが。 ○ 平成2年以降の数字にはJR事件がかなり寄与していると思う。 ○ 地労委と中労委は5年ぐらいずれる。地労委に関しては昭和55年ぐらいから数字が  跳ね上がっている。 ○ 何か良い知恵があるだろうか。 ○ 本来、既成の制度をすごく変えるというときには、ある程度体系的に見る必要があ  るかもしれないが、JRという特殊な事情がある中で、平成11年以降はそのバイアスが  消えるということなのだろうか。平成11年以降の数字の方がより実態を反映している  ということであるなら、その3年分を取った方が良いのではないか。 ○ では、その議論ばかりしていても仕方がないので、どれを取っても似たような部分  があるし、数字の根拠というのも難しいが、とりあえず3年ぐらいという原案を、今  日のところは残しておいて他の部分に移りたい。   それでは、第2の部分は良いだろうか。第3の「問題点」に入りたい。第3で前回  の議論がまだ不十分だと思われる点、あるいは言い足りなかった点等があったら、是  非ご指摘いただきたい。 ○ 3ページの(1)(1)の「当事者主導で行われていること」という点については、強  すぎるという指摘があったのではないかと思うが。 ○ ご説明させていただくと、平成10年にとりまとめられた労使関係法研究会報告にお  いて、同報告は「公益委員の審査指揮における主導性の発揮を期待したが、その点で、  審査手続は全体としては当事者主導のまま推移してきていると言わざるを得ない。」  という表現があった。それから、昭和57年の労使関係法研究会報告においては、「審  問に長期間を要する原因の一つとして、証人尋問が交互尋問方式によって、しかもそ  れがあまりにも当事者主導で行われている点が挙げられる。」という指摘、それから、  「審問の適切な進行」で、「審査委員は権限を適切に行使し、審問を行うにあたって  主導性を発揮することが必要である。」という記載が過去にあったということだけご  報告したい。 ○ 「…のような形で」というふうに、ややぼかした表現の方が良いのではないかとい  うことを言っていたと思う。 ○ 過去にそういう表現があって、それが物議を醸したということがないのであれば、  良いのではないか。 ○ 完全に当事者主導と書いてしまうと、審査委員が何もしていないように受け取られ  かねないので、「…のような形で」という提案でも良いかなと思う。 ○ それでは、柔らかい表現にしていただくということにする。 ○ それから、書証調べということについて指摘しているが、たしかに書証調べという  よりは、膨大な書証が出てくるということだと思う。だから、場所を変えればいいと  思う。「当事者の求めに従って多数の書証調べ…」というのではなくて、「…十分に  行われない上、多数の書証が提出され、また当事者の求めに従って、多数の証人尋問  が行われるなど…」というふうにする。「多数」というのは表現がだぶるので、書き  ぶりは工夫いただくということになると思うが。   確かに多数の書証が出てくると、紛れてしまって何が重要で何が重要でないかとい  うのがわからなくなってしまう。 ○ 体系的に整理がされていないので、本当に見つけづらい。   ではそこも多少表現を整理するとして、他にあるだろうか。 ○ (2)の「地労委においては…」というところであるが、これは一般的に地労委全体  に言えることなのだろうか。それとも、係属件数の多い地労委とか、一部の地労委の  ことなのだろうか。 ○ わからないが、少なくとも都労委は大変だと言うと思う。 ○ 事件数が少なくても日程調整が大変だということなのだろうか。全公益委員が出て  くるということになれば、それは大変なのかも知れないが。「…長くなる場合もある  こと。」という表現にするのはどうか。 ○ たしかに、あまり一般化するのも良くないかも知れない。 ○ これは、ここには書かれていないが、公益委員が非常勤だからという理由だろうか。 ○ それだけではなくて、両参与の日程、事務局の日程、当事者の日程ということであ  る。 ○ 事務局はそれほど問題ではないのではないか。 ○ 中労委は割とその日は入っているということが多い。同じ人が、その日には別の事  件をやっているということがある。 ○ 都労委は、その場合一人で良いということにしている。普通は二人付けるが、その  ときは一人にしてしまうので、事務局の日程がないということはまずない。最近は部  屋がないということはごくたまにあるが、本当に最近の現象である。それより双方の  代理人の問題が大きい。 ○ 多数の日程の問題だから書いていないということなのであろう。 ○ 前にこの研究会で紹介したときに、実際の審問間隔の平均はそれぞれ取れていない  が、一般的な審問間隔については、アンケートなので、どの地労委も一応1ヶ月に1回  と書いてきている。それとともに、3ヶ月以上間隔が空いた事件数について書いてもら  っている。それを審問自体の期日が入らないのか、和解作業をやるから止まっている  のかの区別なしで見てみると、東京・大阪の数字とその他の数字はほとんど変わらな  い。3か月以上空いているのがだいたい20%ということである。調査をやっている過  程であるとか、単純に審問間隔が空いたのか、それも期日が入らないためなのかとい  う要因分析はできていないが、東京と他のところでそれほど違うわけではない。 ○ ここはもう少し書き込まないと、何が問題なのか分からないのではないか。代理人  側の問題、公益委員側の問題、それから、これは後の争点整理との関係で出てくるが、  そもそも審理の最初にあたって全体的な審理計画を立てないでやること。もし計画を  立てていれば、極端な話、5回ぐらい期日を最初から決めておけるから、何とかなると  いうこともあるのに、そういうことがないとかいうことがある。それをある程度書か  ないといけないと思う。長くなっているのは現象であって、問題が何かというのは読  みとれないのではないか。 ○ 書くとすると、「審査委員、両参与委員、当事者(代理人を含む)の間の日程調整  が困難で、…」というふうになるだろうか。 ○ その日程調整の困難さは審問だけではない。調査もそうである。そういう意味では、  両方合わせて「審査」としておく方が良いかも知れない。 ○ 非常勤だからということであるなら、(5)で出てきているが、それとは違う観点と  いうことであろうか。非常勤であるから、複数日程は入れられないと思う。私もやっ  てみたが、結局本務の方が入ると、せっかく決めているのを変えなければならないの  で、たくさんの回数を決めておくというのは難しい。常勤ならあり得ないことだと思  う。 ○ 要するに、(2)は、一般の人が読んだときに、もう少し具体的イメージがわくよう  にするということにする。   これは大きな要因ということなので、小さなものは省くとすると、(1)から(5)の中  に小さなものがあったら、外した方が良いかも知れない。あるいは、「大きな」とい  う形容詞は取った方が良いのか。 ○ 新しい(3)であるが、これを読むと、いかにも命令原案の起案はできているのだけ  れども、公益委員会議の日程が入らないから、多数の審理待ちの事件が溜まっている  というふうに読めるが、ここでの議論はそういうことだっただろうか。これはあまり  関係がないという議論が前にあったのではないかという気がする。 ○ これはなぜ残したのか。先ほど説明していただいたが、(3)についてはどうなのだ  ろうか。 ○ これは、日程を入れるのであれば週1回でも入れたらいいのではないかとか、ある  いは週2回入れたらもっと事件を処理できるのではないかとか、そういう含意を前提に  してのことであろうか。 ○ もともとは、平成12年に全労委運営委員会の、労働委員会制度の在り方に関する検  討委員会の方から、「滞留している事件の処理を促進するためには、公益委員の一部  を構成員とする会議によって命令を決定できる小法廷方式を採用する。このため、施  行令、規則の制定を行う。」という報告が出たのを受けて、当時労働大臣宛にそうい  った小法廷方式を採用できるような法令の整備というご要望をいただいたという経緯  を踏まえて書いたものであるが、今回議論いただく中で、ここの記述については、ま  たご検討いただきたいと思う。通常だと、月2回の公益委員会議に、仮に1日2件ずつ  入ったとすると、年間40数件入る。40数件しか入らないという事態はないのではない  かというご指摘かと思うが、そういった観点からの問題の他に、例えば2週間に1回ず  つだと1件の事件の合議に十分な時間をかけきれていないという問題はないのかとい  うこともあり、その辺りを御議論いただければということである。 ○ この「在り方に関する検討委員会」の一つの趣旨は、どんどん審査を進めようと思  っても期日が入らないということがあるのだが、もう一つ、小法廷方式でやるという  のは、中労委などが主として念頭にあるが、15人などという人数で議論するというの  が、本当に議論としての質を確保できるのだろうか。むしろ、分けて少人数で、その  代わりきちんと議論の質を高めてやった方が良いのではないかという含意が一方にあ  る。だから、必ずしも日程が入りづらいということだけではないのではないかという  気がする。 ○ 審査の遅延の原因として書かれているので、ここで出たのとは違うかも知れない。 ○ 大きな原因かと言われると、多少原因になっている場合はあると思う。例えば、我  々は3月に臨時の公益委員会議を1回入れる。というのは、ちょうど職員の異動の時期  になるので、何とかその前に処理しようということになる。だから、来週の公益委員  会議では3件かける。こういうことがあったりするので、多少は原因になっていると  は思うが、大きな原因ではないのではないか。 ○ その話のようなことであると、今の制度では(2)の「命令・決定に対する再審査、  取消訴訟」のところで、命令の質を高めるというか、そういう観点から問題意識を持  ち、小法廷方式が従来から選択肢の一つとして指摘されていることを踏まえて、どこ  かに頭出しをするとすれば、この(2)の方で考えた方が良いということであろうか。 ○ 大きな原因であると書くから皆が違和感を持つのであって、原因の一つにならない  わけではないという程度であれば反対ではないと思う。とりわけ非常勤が中心である  中で、できるだけ全員が参加できるようにと考えると、確かに入れようとしても期日  は入れづらい。 ○ 事件を実際に担当する委員で、審問が終わってから結論を出すと思う。それ以外に  もう一度公益委員全体で合議がいるということであろう。合議がいらないということ  になると、その分が飛ぶということだろうか。 ○ というか、その合議は小法廷方式であるから、例えば5人とか7人とか、今の中労委  は15人いるので、それを2つとか3つに分けて、そこで議論するというやり方で良いの  ではないか。そういう中で、特にこれは全体で議論しないといけないというような、  ある一定のものは全体でやる。そうでなければ小法廷で、少人数の合議で良いのでは  ないかという意見である。 ○ それから、小法廷方式を採るとすると、合議の事務コストが下げられる可能性はあ  るし、人数をそんなに集めなくて良いわけだから、今の都労委だと公益委員会議は月  2回しか入らないけれども、2回にこだわる必要はなくなると思う。例えば3人が集まれ  るときに、事務局さえ都合がつけばやりましょうということになり、日程調整は楽に  なると思う。現在は合議が1回で終わらないことがたまにあるが、そうすると最低2週  間飛んでしまうということもあるし、場合によっては休みが入ってもっと飛んでしま  うこともある。そういう意味で、制約要因になっていることは確かだと思う。最後の  段階で命令を出すときの足かせになっていることはある。ただ大きな原因と書くから、  ということである。 ○ 都労委の場合、月2回、1年間の予定が全部決まって入っているので、そこはやるに  決まっており、コンスタントに1件ずつかければ消化できるはずであるが、出てこな  いのでということである。つまり、原因はそこではない。 ○ むしろここは、含意として、3ページの一番下の行の、「公益委員全体の合議によ  り」というところに、実は重点があるということなのではないか。 ○ そういうことである。 ○ それでは検討いただくということにする。例えば、前の方の「大きな原因」の「大  きな」を取ってしまうということもあるだろうか。しかし、(1)から(5)の中には大き  な原因もあるわけだから、検討いただく。他の点はいかがだろうか。 ○ 4ページの「命令・決定に対する再審査、取消訴訟」の新しく加わった部分の前の  行で、取消訴訟が多い原因として「…主に(1)の(3)が当てはまる…」というのは、  直す前の(3)であろうか。 ○ そうである。申し訳ないが、(5)に訂正する。 ○ これは命令書ができるまでにすごく時間がかかるということであろう。それが原因  というのは何かおかしいのではないか。それとの関連で言うと、(4)というふうにな  るのではないか。 ○ 考え方としては、(4)もあるが(5)の方である。命令書を迅速に処理するためには、  専門的な知識や経験が必要であるということで、(5)と書いている。 ○ 私個人の経験からすると、命令書の起案作業が遅れる理由としては、この新しいペ  ーパーの3ページで言うと、(1)と(4)と(5)である。 ○ 先ほども質問したことであるが、原因として、この研究会としては、やはり(5)が  行政事件全体の中でも、極めて労働委員会命令に対する取消しが多いということの根  拠として納得し、それは仕方ないということで、他の要因というのは考えられないの  だろうか。つまり、先ほど時系列で見たとき、取消訴訟の提起率というのは、最初か  ら高いのか、労働委員会全体に対する信頼が欠けてきて高まったのか、その辺の要因  というのがはっきりしない。従来の労働委員会の在り方研究会に関しては、その後で  裁判所の問題点の指摘と絡めて、労働委員会からの言い分というパターンであると思  う。 ○ この点はいかがであろうか。 ○ 難しいところであると思う。裁判所と今の段階でけんかしても仕方がないというこ  とはある。先ほどの議論に戻ると思うが、あくまでも私の個人的な見解ということで、  判決を精査しているわけではないのだが、労働委員会のやっていることとの関係で見  たときには、やはり先ほど申し上げた(1)、(4)、(5)に戻ると思う。とりわけ、命令  の 傾向として、(4)が延々と書いてあって、いきなり「だから不当労働行為である  」と いう結論が出てきてしまう。それが裁判所にとっては、法的に見たときに、き  ちんとした根拠に支えられていないというふうに見えてしまうという、一つの原因な  のではないか。あくまでも感覚であるが、そう思う。その辺りが全部、一緒になって  今の状態の原因となっていると思う。それ以外にも、もちろん不当労働行為の要件事  実をどう考えるかとか、労組法7条各号の解釈、いわば法のルールということについ  ての、労働委員会と裁判所の見方の違いであるとかは、当然個別事件においてそれぞ  れのケースごとに反映するとは思う。しかし、全てひっくるめた大きな要因、背景事  情として考えて、特に労働委員会の問題として、こちら側の制度を変えるときにどう  するかという議論としての素材として考えたときは、やはり(1)、(4)、(5)に戻るの  ではないかと思う。 ○ その辺りには私も異論ない。しかし、取消訴訟が多いということの分析として、こ  れだけ、この形で良いのか。例えば、昔から労働委員会命令があって、統計的に見た  ときに、やはり取消率を含めた訴訟提起率は変わっていないのかどうかとか、いろい  ろな要素があるだろうし、あるいは昔の労働委員会命令が裁判所から見てしっかりし  ていたと言えるのかどうかとか、その辺は私は分からない。だから、使用者側の意識  で労働委員会に対する見方も変わるだろうし、裁判所の見方も変わっているだろうし、  そういう不当労働行為制度全体に対する認識の問題もあるのかなという気がしなくも  ない。ここは制度論であるので、このことはいいのであるが、間違いがないのかどう  かということである。背景との関係で言えばもう少しあるのではないか。もう少し労  働委員会として言って良いことがあるのではないかという感じがする。 ○ 確かに、JR事件での突出した取消率などはそうだと思う。解釈の違い、立場の違い  以外の何者でもないので、例えば「その原因としては」のところを、「労働委員会側  における原因としては」という書き方にしてはどうか。もちろん原因がないわけでは  ないと思うので。   あと、先ほどの4ページの(4)についても、幅広に記載するのがなぜいけないのかと  いうことを多少説明する必要があると思う。先ほど委員が言ったように、「…幅広に  記載されるため、時間がかかる上に、法的な説明としての明確性を欠くことがある…  」、あるいは「法的判断として明確性を欠くことがある…」という感じになるだろう  か。 ○ しかし、それだとむしろ取消しの方につながっていってしまう。これは遅延のこと  であるので、「…記載される傾向があるため、時間がかかる…」ということだと思う。 ○ 2つにかかっているということであろう。 ○ これだとやはり現象だけ書いていることになる。ここの議論でもさんざん出たが、  なぜこういうことになっているのかというと、争点についての判断に直接関係のない  背景事情のようなことを延々と書くということであろう。それはやはりそう書かない  といけないのではないか。「あまりにも詳細かつ幅広」ということだと、現象を書い  ているだけで何が問題なのかということが分からないと思う。 ○ そうすると、「…命令書に、争点の判断には直接的には関係のない…」とか、「…  必ずしも関連するとは言えない…」とか、そこはいろいろ意見があって、背景事情が  大事だという意見もあるので、あまり明確に書くと物議を醸すと思う。 ○ それは書かないといけないのではないか。そこで「しかし、意見が分かれている部  分がある」といったことを書くのは良いが、その問題点の指摘をはっきり書かないと、  読む人は一体なぜこうなるのかということが全然受け取れないと思う。「しかし、そ  ういうことについてはある程度配慮する必要があるという意見もある」とか、それは  そういうふうに書くべきなのではないか。 ○ その点は他にいかがだろうか。やはり、読む人、誰に読ませるかということである  が、関心がある人が読めばそれなりに分かるという程度に書いていないと、あまりに  も抽象的だと、例えば委員でさえも違ったことを念頭に置いてしまうような書き方だ  と、あまり好ましくないということかも知れない。 ○ 「あまりにも」という表現も、何かを基準にしてそのようにいうことになると思う。 ○ だから、そうだとすると、先ほど申し上げたように、「争点の判断に必ずしも必要  とは言えないような、事件に至るまでの労使関係の経緯が、詳細かつ幅広に記載され  る」という程度でかなり分かるのではないかという気がする。 ○ それでは、そちらの方はそういうふうに直していただくことにして、取消しの原因  の部分が十分に詰まっていないような感じもするので、「取消率が高くなっている原  因は…」というのを、委員が言った「労働委員会側の原因としては、主に(1)の(5)  」という書き方でよろしいだろうか。(1)、(4)も言っているが。 ○ その後の具体的な話に、どこに結びつけるかということとも関係するから、研究論  文ではないので。 ○ 大事なところは文章にした方が良い気がするのだが。(1)、(2)、(3)、(4)、(5)と  遅延の理由を並べたということで、それがどういう意味を持つのか。(4)が単なる現象  であって、(5)も単なる現象であるというのであれば、むしろ(5)ももう少し書いた方  が良いのかも知れない。 ○ (5)、(4)で分かるのかということであろう。我々から見れば、公益委員が非常勤で  あるというだけではなくて、必ずしもロイヤーではないため、それから事務局職員も、  同じくロイヤーでない、あるいはそこまで法的知識のある人とは限らないということ  の上に、不当労働行為という制度に必ずしも通暁していない人が来て対処する問題で  ある。それから、さらには取消訴訟になって、裁判所に対応するときに、都労委のよ  うに弁護士が代理人で付く場合もあるが、中労委のように指定代理人でしかやってい  ないと、これは十分に訴訟の場で対応できない。こういう要素が今までの議論の中で  あったわけである。それが(1)の(5)であるが、分かってもらえるだろうか。 ○ 間違えないように、丁寧に書いておいた方が良いのではないか。大きな問題だから。 ○ この、ロイヤーでない人が入っているというのは入れた方が良いと思う。 ○ 同じ(4)でも違う側面が原因になっているということもあるので、全く重複にする  必要はないが、ちょっと繰り返しになっても書いた方が良いという感じはする。 ○ 繰り返しになって書いても良いと思うし、確かに取消訴訟における対応の問題とい  うのも、労働委員会側の対応の問題というのも関係するという気はする。 ○ その点で、(1)も、全部書くかどうかはともかく、やはり裁判所側としては、争点  等が整理されていないような審理を行って、いろいろなものがごっちゃに入っている  ようなものを一件記録で提出されても困る。それは全体としても影響を与えるかなと  いう気がする。 ○ 非常に見た瞬間の印象を悪くするわけである。 ○ 審査の遅延の理由をそのまま持ってくるのは無理なのではないか。(5)にしたって、  問題は非常勤だけではないわけであろう。 ○ ここはやはり書き分けた方が良いかも知れない。 ○ 法律家でない人がいるからということか。それは書かない方が良いと思う。非常勤  で十分だと思う。かえっていらざる波を起こしてしまうのではないか。 ○ それは確かにある。 ○ 労働法でない、というのも駄目だと思う。 ○ それでは、そこはかとなく、しかし読めば分かるような書き方の工夫をお願いする。  無理な注文ではあるが。   結論的に言えば、遅延の原因と取消率が高いことの原因は、ぴたっと合っているわ  けではないので、取消しの方は取消しなりの書き方で書いた方が良いのではないかと  いう、後は工夫をしていただいて、ということで。 ○ 細かいことで恐縮だが、4ページの(2)の2つ目の段落で「また、…」というとこ  ろがあるのだが、そこの最初が「これらの取消率」というふうになっていて、その次  に訂正されて「認容率」というふうになって、その後2行下に行くとまた「取消率」と  いうふうに、ちょっと表現が揺れているので、そこはどちらかに統一していただいて、  分かりやすくしていただいた方が良いのではないか。 ○ それぞれの出元が使っている言葉を使っているので。 ○ 裁判所は取消請求の認容率ということになるのか。 ○ 立場の違いが現れている。 ○ 取消請求も含め、行政事件訴訟全体における認容率を示している。認容という言葉  は、統計数字の表現をそのまま書いている。 ○ でも、これだと、ぱっと読んでもちょっと分かりにくくなってしまう。 ○ そこは工夫していただいた方が良いのではないか。 ○ あるいはカッコ書きを付けるかとか、そういうような形で同じ意味だというふうに  対応していただければ良いと思う。 ○ では、ちょっと工夫していただく。他にいかがだろうか。 ○ なお書きはどうするかというのが、確か、これは削ったらどうだというのがあると  思う。これはむしろ、私も「そのような行為」というのが分からないと思ったので、  もしここを、取り消される原因という形でもう少し書き込んでということになれば、  その中に入れ込んでしまえばよろしいのかなと思う。一つの原因として。 ○ そうすると、上に遅延の理由を(1)、(2)、(3)と書いたように、ここも取消しがな  ぜ行われるのかというのを(1)、(2)、(3)というふうに書いてみるというのも一つの  方法だと思う。そして、その中になお以下を入れる。「問題である」とか、評価まで  書く必要はないのではないかと思う。 ○ 「そのような行為は」以下はいらないので、とにかく提出されなかったというより  も、提出しろと言うのに出さないでおいて、というのがあるので。 ○ そこはもう少しはっきり書いた方が良いかも知れない。出さないで、裁判所になっ  て初めて出すという。 ○ 提出を要請したにも関わらず、ということである。 ○ 審査の方式を経ないからそういうことになるのではないか。 ○ 結局そこに行き着くと思う。 ○ そこはその先の話である。どう見直すか、ということになる。   それで、「和解による解決」の部分はいかがだろうか。 ○ 今ぱっと見て思ったのが、5ページの算用数字の3に入る、一番直前の段落、「し  かしながら、…」というところに始まる段落であるが、「しかしながら、不当労働行  為審査制度は、…」というふうになっているが、「現行の」というふうに付けると、  より趣旨がはっきりするのかなと思う。そういう制度として作ってあるので、結局和  解というのが法律上は視野に入っていないというのが現行である、ということなので。  どこかでうまくそういうふうに入れないと、もし、そもそも不当労働行為制度はこう  いうものであるという話になると、和解などとんでもないという話にまたつながって  しまうので、少なくとも現行制度はそうなっているが、現実の機能がそうでないのだ  からという議論に持っていくような趣旨に変えて、そういう組み合わせにしていただ  ければ良いのではないか。 ○ そのまま読むと、確かに現実が悪いというふうに読めなくもない。 ○ 現実が悪いと言っている人もいるわけだから。 ○ それでは、そこはそのようにしていただく。他にあるか。 ○ ここでの議論で、和解というのが審理というか、手続全体の遅延の一つの原因であ  るという話であろう。ここで書いているのは、和解の法律的な位置づけを明らかにす  ると。それは大変結構であるが、それと同時に、当事者主導というか、表現はともか  く、事件の全体像を把握したり、争点を整理しないままに和解の期日を積み重ねると  いうような和解の運用の問題があって、そういう点についても、この際制度上きちん  と整理すべきだということはどうだろうか。それがここでのある程度の共通認識だと  いうなら、私はそれを入れていただきたいというように思う。 ○ 私もそう思う。これだと、何となく趣旨が生かされていないというか、現実の法律  が和解について何も触れていないというだけでなく、大きな問題点が、和解が本来の  不当労働行為制度の審査に関してゆがみをもたらしているという部分が出てこないの  で、両方書き込むということが必要である。現実の機能を法律の中に生かすと同時に、  元々の法律の趣旨を生かしたような形での運用というか、それを求める趣旨での書き  方というのがあるのではないか。 ○ それでは、和解の功罪の罪に当たるような部分、罪というか問題点、それに注意し  つつ位置づける。 ○ 要するにそれは、委員の言ったことは和解の位置づけの問題である。特に審査手続  との関係で、その境界線がぐちゃぐちゃになっているからということが一因である。 ○ それから、前の委員がいつも言っていたことに、裁判所ではいつまでもずるずる和  解をやらないという問題がある。労働委員会はその見切りがどうも良くないと指摘さ  れた。労働委員会は労働委員会で、また主張があり得るのだろうと思うが、委員が言  うように、それが遅延につながっていること、これも間違いない。では、少しそうい  うことを工夫していただきたいと思う。   地労委に対する規制の部分はよろしいと思う。   では、第4の「見直しの方向」という重要な部分で御議論いただきたい。順番に1  ,2,3と行きたいと思うが、第1点目の「今後の不当労働行為審査制度の役割」と  いう部分はいかがだろうか。 ○ 事実認識の問題として、5ページの第4の算用数字の1の最初の段落で、「…新規  申立件数はピーク時に比べかなり減少している。」というところである。それはそう  なのであるが、また反転して増えているので、今の時期にこれを書くとちょっとずれ  てしまうので。まだ統計も平成13年までしか出ていないが、昨年の都労委も125件で  あったか、増えている。 ○ 今の経済的な社会背景からすると、件数が減るというのはおかしくなってくる。 ○ 減るということはちょっと考えられなくなっている。 ○ では、そこは書くということで。 ○ ものが違ってきているということはある。成熟してきたということで。 ○ ものが違うということはあるのだが。 ○ トレンドとしては、調整も含めて、バブル経済破綻後の不況時においては、むしろ  件数は増えている傾向があると思うので、それは後の説明にもむしろつながっていき  やすい気がする。 ○ そうであるが、非常に書きぶりが難しいのは、「特定の地労委において」というの  が付くので。ただ、そういうふうには書けない。 ○ だから、「また」以下でつながっているのだけれども、正確に書いているし。でも、  前の段落で数はこうだと言ってしまっている。その上で、その中に差があるという話  なので。 ○ 「ピーク時に比べるとかなり減少している」というふうに言っているのは、ピーク  時に比べるとそうなのであるが、ちょっとやや誤解を招きかねないので。 ○ それでは、これは「…比べ、かなり減少してきているが、最近になって…」という  ふうにちょっと入れる。 ○ 最近の経済状況の話をして。 ○ 増えているのは未組織の分であろうか。 ○ 必ずしもそうではなくて、駆け込み訴えがあることはあるのだが、それ以外でも新  しいタイプで出てきているのは、リストラがらみで組合が分裂して申し立ててきたり  とかいうものが出てきている。ちょっとまた違ってきている。 ○ 大阪も増えているのであろうか。 ○ そうでもない気がする。 ○ そうすると都労委だけであろうか。 ○ 私は都労委しか知らないのでよく分からない。 ○ 参考資料1−2の2ページ目に平成13年までのデータは出ている。 ○ 都労委は、平成14年は大きく反転したので。 ○ 1ページ目に、係属件数のところで、「…40年代後半をピークとして現象に転じ、  平成初期には年300件を割り込むに至ったが、その後はやや増加し、最近は年330〜  400件の間で推移している。」と書いてあるが、この辺はもう少し直近のデータを確  認してみるが、その上で、最近増えてきたようであれば、そういう雰囲気を持たせる  ということでよいだろうか。 ○ できれば。特定のところだけだとは思うが。全般的にというのはなかなか難しいと  思う。 ○ それでは、他にあるか。では、2「現状の問題点解決のための基本的考え方」とい  うところはいかがだろうか。 ○ 2段落目に「…実現されなかった。」とあるが、理由は書くことがないのだろうか。  今まで何回も同じことを言ってきたではないかということをずっと言われるわけであ  ろう。 ○ これは正面からは書かれていないが、もしかしたら「…運用面を中心に提言された  ところであるが、…」というところと、下の方の「…最早運用面にとどまらず、…」  というところで、運用だけの提言に留まっていたからということが含意としてあるの  だろうか。 ○ ご指摘の通り、そのような趣旨で書いている。 ○ ただ、これは委員も指摘していたが、法律を変えても変わらないという指摘もある  ので、「したがって」以下のところは、書き方が「…法的整備を含む抜本的な見直し  を行い、…」というところをむしろ先に持ってきて、「それを背景に運営面での取組  も強化し、…」というふうに、工夫をするというのも一つの手かなと思う。たしかに、  法律を一生懸命いじっても変わらないものは変わらないというところはあるだろうか  ら、必要な法改正を行った上で、それをてこにして運用を変えていくのだ、それで迅  速化を目指すという論理のつながりの方が、良いのかも知れないという気がする。 ○ それではそこも検討する。そちらの方が良いような気もするし、「…最早運用面に  とどまらず、…」というところに決意があって、私は前向きで良い気がしているのだ  が。 ○ そう言われるとそうかも知れない。 ○ そこはちょっと検討させていただく。 ○ ちょっと戻るが、件数の話で、最近の経済情勢の企業再編とか書いてあるが、持株  会社とか営業譲渡とか、難しい話が山ほど出てくるようになっていて、その新しい傾  向なのだと思う。だから、今後どういう展開をしていくのか。ずっと上がり続けるの  かわからない。少なくとも落ち着いて、ただ落ちているという感じでもない。非常に  新しい形を含めて、駆け込み訴えというのもあるが、非常に難しくなっている。 ○ 確かに難しくなっている。 ○ だから、一種の定常状態に入ったと見るか、また上がっていくのか、それとも一旦  上がったように見えてまた下がるのか。その辺の読みである。 ○ 平成14年の初審であるが、速報であるが、民間では368件、全体では394件というこ  とで、やはり若干増えている。 ○ しかし、今度は特定独立行政法人が入ってくる。 ○ それは国営の方である。特定独立行政法人については国営扱いになる。非特定につ  いては民間扱いになるので。 ○ それに関しては来る可能性もある。 ○ そうすると、6ページの「しかしながら」の点も、もうちょっと書き込んでも良い  ような感じがする。「しかしながら」の第一文は、集団的労使関係システムの重要性  は変わっていないという原理的なことで、「また」以下は、最近の情勢の中でそれが  一層重要になっているということ。「さらに」以下は、制度の問題点があるためにそ  の重要性が生かされていないという、3つのことが1つのパラグラフに入っているが、  それぞれが重要なのではないかと思う。 ○ 今、委員が言ったことを普遍すると、第1と第2から労働委員会がやる不当労働行  為制度というもの、組合の役割との関係もあるが、不当労働行為制度という救済制度  の重要性というのは、依然として存在意義があるということであろう。しかし、他方  で今抱えている問題のために、それが必ずしも十分に機能しない面があると。そうい  うコンテクストのつながりなのであろう。それがうまく書き分けて、並べていただけ  ると良いと思う。 ○ では、また少し工夫をまかせていただくということでよろしいだろうか。   それでは、3「見直しの基本的な方向」という部分はいかがだろうか。 ○ ぱっと見て気が付いたところは、7ページの(1)(1)である。第一段落は「審査」  となっているが、第二段落が「審問」になってしまっている。争点・証拠の整理とい  うのが入ると審問ではないので、そこを少し「調査」と「審問」というふうに書き分  けるのか、それとも「審査」というふうに一本化してしまうのか。「審査」としてし  まった方が良いような気がするが、そこをそういうふうに整理していただきたいと思  う。  それともう一つは、前に出てきた「当事者主導」という言葉がもう1回出てくるので、  若干ここは前を変えるのであれば、ここも平仄を合わせて、表現を変える必要がある  と思う。 ○ 最初に言った「また」以下の「審問」は、上の方が「審問」で始まって、その段落  の最後の文章では「審査」になっている。 ○ そこは整理する。 ○ 審問と調査だと、調査の方が、一般的に公益委員が指揮権を発動しやすいというこ  とはないか。 ○ それは調査の方がやりやすい。 ○ それがあってここが「審問」になっているのかと思ったのだが。 ○ 審問は証人尋問なので、こちらが主導権を取ってやるというのは難しい。尋問する  のは向こうなので。知っているのは向こうなので、こちらが主導権を取って審問とい  うのはちょっと難しい。 ○ 完全な職権主義と考えれば、こちらがいろいろと書証その他の準備書面等を読んで、  こうかなと思ったことを次から次へと聞いていくと。 ○ それは常勤でないと。 ○ 職権主義は、対審で両当事者とも付いているのでやりづらい。変なことを言うと、  どちらかから文句が出る。一人だけ呼んで、情報公開審査会のように、他の職権でや  れるものはこちらがどんどん質問し、答えてもらうというシステムになるが、対審で  というのは職権の行使の仕方が難しい。裁判所も裁判官によるようである。割と自分  でどんどんやってしまう人と、任せる人と。 ○ 労働委員会もそういう傾向があるのではないか。 ○ そうであると思う。 ○ では、ここは少し整理していただくということで、他にいかがだろうか。 ○ 7ページの(1)(2)であるが、これは私が前回言って付け加えていただいたところで  あるが、言わずもがななので、和解を軽視しているようなイメージになるようであれ  ば、取っても差し支えないと思う。「…事実を認定し、法令を適用するものである…  」というのは、そういう意識をもって当たることが必要ではないかという趣旨で、言  わずもがなのものを加えていただいたのだが、なくても論理的には問題がないと思う。 ○ 削った方が良いか。 ○ なくても良いということは確かだという気がするが。 ○ そうすると、和解の見切りの付け方についてはどこも触れていないということにな  るのではないか。 ○ そうだと思う。 ○ 入れるとすると、「審査手続の改善」のところに一言入れるということになるだろ  うか。入れるとすれば体制の問題ではなくて、手続の問題であろう。 ○ 特に体制ということとはあまり関係ないと思う。「的確な和解の進行が図られるよ  うにしなければならない」とかいった程度だと思う。中間整理なので。ちょっとそれ  にも注意する必要があるという程度の何かをちょっと入れる。 ○ 一言何か入れる。 ○ 1行ちょっと入れる。 ○ 1行でも良いし、数言葉でも良いので。 ○ 一言ではないが、「審査の迅速化と適正な和解の進め方の両立の工夫」とか、そん  なことになるだろうか。 ○ そんな感じである。 ○ 具体的にどうするかというのは難しいのではないか。 ○ 難しいと思う。 ○ 都労委も事件数が増えたから、なるべく和解でというインセンティブになるだろう  か。 ○ 要するに、和解については、審査・審問に悪影響を与えないという考慮と、見切り  方と2つの留意点があるということだろうか。 ○ そうである。 ○ 審問に入る前に、あまり長くやって駄目で、審問に入って、最後に和解というのも  結構辛いと思う。当事者、組合が求める場合は探っても良いと思うが。団交拒否事件  がどうだというのはあるだろうか。大体団交命令をもらってもしょうがないので、本  当は和解したいというのは大体言うと思う。 ○ そうである。 ○ それも困る。団交拒否事件だから早くやれと言っていて、向こうは団交せよという  命令をもらってもしょうがないから和解したいという実質がある。 ○ だから、実質は、都労委の場で、審査という形を取りつつ団交をやっている。結局  そういうことである。 ○ それでは、ちょっとそこは工夫をすることにして、先ほど、取ってしまったらどう  かと指摘されて、別になくても良いから、元通りにしようかと言っていた部分をどう  するか。 ○ ここはやはり、現在の不当労働行為の運用が、どうしても和解を意識しているから  ということがあるということか。 ○ そもそも、という意味で念のために書いたのだと思うが。   それでは、ここも表現の工夫をしていただくということで。他にいかがか。 ○ でも、取ってしまって良いのではないか。表現の工夫といっても、工夫してくださ  いと言って投げても、事務局が苦労するような気がするので、和解について何か書く  ということで。 ○ では、それとのバーターで落とすということにする。   他の点でいかがであろうか。 ○ 前回、再審査の在り方のことで、例えば法律審ということを言ったと思うが、そこ  まで具体的に皆さんの間でまとまらないということであれば、一番最後の「その他の  検討課題」のところに、司法審査の話が出てくるけれども、この「なお」というとこ  ろに、再審査の在り方とか、司法審査の在り方については云々と、せめてその程度に  は入れてほしい。 ○ そういう議論もたくさんしたので。 ○ 言うことはわかるが、書き方を気を付けないと、再審査をなしにするのかという言  われ方もされうる。地労委には、非常にその意見が強いし、労働弁護団も、経営法曹  も本当はいらないと言っているので。 ○ 関係者が期せずしていらないと言っているので、そういうことにもなりかねないと  いうことであろう。 ○ 具体的なことは言えないだろうから、「さらに検討する」という程度なら良いので  はないか。これだけ議論したのであるから。 ○ 裁判所の上訴の制限ということについて、例えば不当労働行為に関して上訴に関し  て一定の許可といった議論というのはあり得ないだろうか。 ○ それは合理的根拠というのが示されればあり得ると思うが。 ○ それは、結局やはり、あるとすると、審級省略と同じような議論になって、もう初  審段階はやっているとか、そういう議論がないと、そもそも控訴も裁量許可だという  ふうにするのは大変難しい。結局一審を飛ばせというのと実質的には同じ議論になっ  てしまう気がする。 ○ 労働委員会と裁判所の差異の問題というのはあるが、裁判所の中での問題として議  論すべき。 ○ それは主として在り方だけれども、この報告書は労働委員会側の方の在り方という  ことである。 ○ ただ、司法制度改革の方で、審級省略の話が出ているので、審級省略の中の検討項  目の中には、そういうことも含めてやっても良いのかなという感じがしないでもない。 ○ 今までには他にもそういう議論がたくさんあったわけであるから。 ○ 地裁を飛ばして高裁に、という話が難しいとなれば、上訴の制限が場合によっては  あっても良いのではないか。 ○ それをやるのであれば、命令に執行力を付けてしまった方がまだ良い、という気が  する。 ○ これも委員の説明によれば、最近行政処分に関する議論を概観して、今までと違う  考え方が台頭しているということであるので、執行力もそう簡単にはいかないかも知  れない。 ○ あるいは緊急命令制度の改革というのもあるかも知れない。全然緊急でなくなって、  意味がなくなってしまったので。 ○ そうすると、緊急命令制度を実効性あるものとするためにはどういう条件を整えれ  ば良いか。労働委員会側では何か。裁判所側では何か。 ○ そういえばそこには触れていない。 ○ それは(1)(1)の「さらに、審査が長期化した場合に、…」というところで、長  期化した場合に限らないかも知れないが、早期救済という表現はそういう論点も含め  てということであろうか。 ○ それも含めて考えたらということで、あまり書き込むと中間整理なので。 ○ 中労委まで行ったら、審級省略を本当はもっと現実的に考えて良いはずだが。 ○ それには中労委の体制を整えるということであろう。 ○ いろいろあると思う。履行確保の勧告や、他に執行力付与であるとか。 ○ いろいろあり得る。緊急命令も一つの処置だし、執行力を付けるとか、実効確保の  措置とか、いろいろなチョイスがあって、そのうちのどこを攻めるかという戦略の選  択の問題はあるが。 ○ 司法制度改革でやっている方で、五審制の問題について、今回割と抜本的に、行政  法も改正するという話もあるのであるが、割とドラスティックに、という動きはある  のだろうか。こちらを待っているということがあるのだろうか。 ○ 司法制度の方で、労働委員会の命令に対する司法審査の在り方については、3月7日  の労働検討会で議論のテーマになることになっていて、その場に、労働委員会の方を  どのように直すのかということを報告するということである。 ○ 待っているということもないが、こちらの出方によって考えるということはどうし  てもあるのではないか。少なくとも、現状を前提にそのまま変えようという議論には  なりにくい。 ○ でも、割と目に見えるものがほしいというか、今回の改革にはそういう雰囲気があ  ると思う。今回の改革に限っては、これが、という話であり得なくもないかも知れな  いと思う。 ○ 中労委を残すのであれば、もう少しはっきりと審級省略、変え方を打ち出さないと。 ○ そう思う。どっちをどうするかという話があると思う。 ○ そうではあるが、2つ問題がある。中間整理であるが、今までの議論の整理という  意味ではその辺りについて、必ずしも十分に煮詰まった議論をしてきていないことが  ある。それから、書き方の問題ということもある。「その他の検討課題」も、「その  他」とはあるけれども必ず実現するのだということになると、またそういう書き方に  なるし、「その他」だから将来とも検討しようということになると、そういう書き方  になる。その辺の位置づけのようなものも大きいと思う。 ○ あとは、7ページ2行目の「…現行の再審査制度は…」というところであるが、「現  行の」というと全く現状に手がつかないという感じなので、「現行の」という表現を  取るくらいのことはできるかも知れない。再審査制度そのものは維持する。しかし、  その改善はまた別個考えられる、というようなことはあり得る。先ほどの執行力であ  るとか、履行確保など様々な論点があるので。 ○ では、そこは取る。 ○ あと、先ほどの審級省略の問題との関係で言うと、一番最後の段落を「なお」で始  めてしまうと、何かいかにも付け足しでということもあるので、ちょっと書き出しを  「なお」ではなくて、という方が良いかも知れない。もうちょっと前向きに考えてい  るという。「なお」だと本当に付け足しという感じになってしまう。 ○ これだととても引いている感じになってしまう。 ○ そうなので、もうちょっと前向きにした方が良いかという気がする。 ○ あちらへのメッセージとしては、引きすぎだと思う。 ○ こちらとしては引いているというニュアンスが出過ぎるという感じがする。 ○ その考え方だと、こちらの研究会ではあまり審級省略については発言しないという  選択なのであろうか。 ○ 私個人の、ということではない。考えなければならない問題が2つあって、1つはこ  の研究会に与えられた権限という問題であって、裁判所の側はやはり我々の問題では  ない。要望を出すことはあり得るが、今回は専ら我々として何ができるかということ  が一点だろうと思う。それから、もう一点は、もっと自主的な考え方で、審級省略そ  の他を求めるには、ここで言った以上の相当ドラスティックなことをしないといけな  いということが確実である。それが必ずしも打ち出せるほどではないのに、ここに来  て、突如として人のことだと思って「やれ」というのはなかなか言いづらいという気  持ちもある。 ○ 言っていることは分かるし、私も審級省略が今後どのくらいの意味を持つかという  のは、ちょっと実質としてどうかという面もあるが、「なお」だとさすがに引きすぎ  ている気がするので、ちょっと書きぶりを変えてほしいということである。 ○ それなら、「なお」というのを取ってしまう。別に意味は通じると思う。何もなし  で「審級省略…の在り方については、…」というふうにする。 ○ それだけでもずいぶん違う。 ○ 4ページの部分がどれだけ生き残るかにもよるが、新証拠の提出制限等に関する問  題意識をやはりどこかには入れておいた方が良いのではないか。新証拠の提出はおよ  そ駄目だということではもちろんないが、審査制度の意義が没却されるような問題が  生じうると言うことは、労働委員会側としてはどこかには入れた方が良いのではない  か。 ○ それは確かに入れた方が良いと思う。 ○ 証拠をめぐる問題はいくつかある。とにかく出してくれと言っても、どう見ても必  要不可欠だと思われるものも出さない。「ない」というのでないのかと思っていたら、  地裁では出てくる。こうしたことはできるだけなくす。制度の設計としても無駄が多  すぎる。タックス・ペイヤーが支えているわけであるから、それは整理をすべきでは  ないかとか。そして、経済的に考えて、出すならなるべく早く出した方が良いわけで  あるから、できるだけ初審の段階でという方向であると。 ○ 取消訴訟への対応の点が、前ではちょっと出てきたかも知れないが、最後のところ  で出てきていない。具体的な対応策は書かないまでも、(2)のところで、先ほど「不  当労働行為の審査は、事実を認定し法令を適用するものであることから」というのを  取ったため、審査以外のことを書いても構わないというような流れになるので、「事  件の迅速かつ適正な処理を進めるためには」などどして、最後の「命令書の作成」と  いうところに点を入れて、例えば「…及び取消訴訟への対応を的確に実行できるよう  にする…」というふうにする。それは公益委員、事務局の改善の記述にもそのままつ  ながっていくと思う。 ○ 審査体制の関連事項ということであろう。それはちょっと何か書いておいても良い  かも知れない。   他にあるだろうか。それでは、一渡り見たと思うので、全体のトーンであるとか、  その他全体を通じてお気づきの点があったらご指摘いただきたい。 ○ 表現であるが、3ページのところで、第3の1「事件処理」の(1)「審査の遅延」と  いうところがあるが、その3行目で「…初審及び再審を通じた…」「…近年は特に再  審における…」となっている。「再審」という表現は使うのだろうか。我々は「再審  査」とは言う。「初審」というのも言うが、「再審」というのはあまり言わない気が  する。 ○ 実務はどうであろうか。 ○ 「再審査」である。 ○ なぜか初審は「初審」で「初審査」とは言わないのだが。 ○ では「再審査」と直しておく。「再審」と言うと別の事柄になってしまうので。   他にいかがだろうか。 ○ 6ページ目の2の段落の2行目で、「不服率の高さ」とあるが、不服率が高いのも問  題であるが、「・取消率」というような記述を、取消率が高いことが問題でないとい  うことでなければ入れておいてはどうか。 ○ 細かい話であるが、今の私の話の続きで、「再審」という表現が別のところにも出  てくるので、チェックしておいてほしい。 ○ 例えば、2ページの「…初審1,290日、再審1,345日…」というふうに、  あちこちで使われているので、これは整理していただきたい。   他にいかがだろうか。   では、今日のところはご意見が尽きたということであるので、このあたりで終わら  せていただくが、この取りまとめを次回2月28日の朝10時から12時と予定しているが、  これはやはり今日の手直しを踏まえて、皆さんに申し訳ないがご足労いただき、皆で  検討した方がよろしいかと思う。 ○ 中身についていろいろとお願いしたので。 ○ 各自それぞれ回ってというよりは、その方がよろしいかと思う。委員も今日は欠席  であるので。2月28日朝10時から12時、場所は13階の第一会議室、ここである。どう  ぞよろしくお願い申し上げる。 ○ 次回は公務のため欠席であるので、何かあれば書面でお出しする。 ○ お電話いただいて、今日の委員と同じような扱いでも結構であるので。   それでは、できたらまたできるだけ早く、事前に手直ししたものをお送りいただい  て、検討したい。   では、本日はお忙しいところを参集いただいた。以上で終わりとさせていただく。  ありがとうございました。                                      以上 照会先 政策統括官付労政担当参事官室 法規第二係 村瀬又は朝比奈 TEL 03(5253)1111(内線7752)