03/02/06 第23回厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録           第23回 厚生科学審議会生殖補助医療部会                       平成15年2月6日(木)14:00〜17:00             厚生労働省17階専用第21会議室 宮本室長  定刻になりましたので、ただ今から、第23回厚生科学審議会生殖補助医療部会を開催 いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日の 出欠ですけれども、金城委員、新家委員、福武委員が御欠席ということでございます。 それから鈴木委員につきましては遅れて出席いただけると連絡を受けております。  本日は部会長席が空席としてございますけど、生殖補助医療部会の親審議会でありま す厚生科学審議会の任期が2年ということで、任期が切れた委員について再任・改選が 行われてございます。再任されましたメンバーの中には、これまで当部会の部会長を務 めていただきました矢崎委員、部会長代理を務めていただきました加藤委員が入ってお られるわけですが、任期が切れました時点で当部会の部会長につきましても一度解任さ れた形となっております。したがいまして、再度この部会長の選出を皆様方にお願いし たいということでございます。  部会長の選任は委員間の互選といことになっておりますので、委員の皆様にお諮りし たいと思います。どなたか適任の方がございましたら御発言をお願いしたいと思います 。 松尾委員  今まで矢崎部会長にやっていただいておりますので、引き続いて御推薦申し上げたい と思いますが、いかがでしょうか。               (「異議なし」の声多数) 宮本室長  それでは皆様の御異議がないようでございますので、矢崎委員に引き続き部会長をお 願いしたいと思います。それでは部会長席の方にお移りいただけますようお願いいたし ます。 矢崎部会長  恐らくこの部会は2年任期の間に仕上げなければいけなかったのではないかと思いま すが、任期切れになって大変申しわけございません。また御推薦を受けまして、あの部 会長では延々とまとまらないのではないかということではなくて、また再任を受けまし たので、先生方の御尽力を得て議事を円滑に進めていきたいと思います。  では、厚生科学審議会の第6条5項によりまして、部会長に事故があるときは当該部 会に属する委員または臨時委員のうちから、部会長があらかじめ指名するものがその職 務を代理するということになっておりますので、部会長代理につきましては引き続き加 藤委員にお願いいたします。 加藤委員  よろしくお願いいたします。 矢崎部会長  それでは、本日もたくさんの資料がございますので、事務局から説明をよろしくお願 いいたします。 宮本室長  資料の確認をさせていただきます。資料としましては1〜7番までの資料に加えまし て、机上配付資料としまして2種類、胚提供による生殖補助医療に関する倫理委員会見 解(案)、平成14年度厚生労働科学特別研究、生殖医療技術に対する国民の意識に関す る研究の参考資料。以上でございます。御確認をお願いいたします。 矢崎部会長  よろしいでしょうか。では、今回は岸本委員から御意見をいただいております。簡単 に御説明をお願いいたします。 岸本委員  実施医療施設の施設・設備の基準及び人的基準についてということで、前々から思っ ていたんですけど、倫理委員会の中で2人以上女性が含まれていることということだっ たんですけど、ここに書いてあるとおり、男女共同参画プランの中に、2005年までの目 標課題として3割以上の女性の参画をということですので、最低でも3名以上というこ とで、私は半分ずつが一番いいのではないかと思っていたんですけど、一応3名以上、 4名、5名でも可能であればそれ以上の方がいいと思います。  それともう一つ、精子・卵子・胚の提供を受ける夫婦に対する説明の内容についてと いうことなんですけど、予想される結果について染色体異常ということが掲載されてい まして、この染色体異常という言葉を私たち患者の中ではほとんど使わなくなった、10 年ぐらい前なら使ってたんですけど、告知するときに親御さんが受けるショックとかを 考えて、小児科医の間でもいろいろ検討がなされたりとか、いろんな先生方が講演会を される中で、染色体異常という言葉ではなくて、染色体の欠損といっている。異常とい う言葉は、差別につながると。正常・異常の境目をだれが決めるんだということで、だ れにも決めることができないものであるということで、自由と権利を侵してはならない という点で別の言い方に変えていただきたいなと思うんですけれども、その適当な言葉 がすぐには思い浮かばなくて、多種多様を受け入れるということに関しては、自分自身 でこういう名前がぱっと浮かんだんですけど、医療に関してはわからないので、お医者 さんの先生方にいい名前があれば教えていただきたいと思います。以上です。 矢崎部会長  わかりました。倫理委員会のメンバー構成における女性の割合のお話でございますが 、検討課題3に事務局より修正案をいただいておりますので、後ほど御議論いただけれ ばと思います。また、後半の染色体異常につきましては、御指摘を踏まえまして専門家 の皆様と御相談させていただきまして、できれば次回、あるいは次々回に御検討をお願 いできればと思っております。よろしくお願いいたします。  では次に、前回質疑を省かせていただきました、荒木委員からの胚提供による生殖補 助医療に関する倫理委員会見解(案)の要旨、前回机上配付いたしました。これについ て前回荒木委員から御説明いただきましたが、何か追加ございますでしょうか。 荒木委員  別にございません。 矢崎部会長  何か御議論いただくことございますでしょうか。 澤委員  意見の募集の中で、10ページの受付番号11番の方で、専門者集団の産科学会の意見と 要望が載っておりますので、これを皆様が読んでいただければそれでいいのではないか と思います。 矢崎部会長  それでは、また検討する機会がありましたら検討させていただきたいと思いますので 、よろしくお願いいたします。 荒木委員  日本産科婦人科学会の倫理委員会は野澤委員長を中心として、このような倫理審議会 からの答申を受けて委員会でまとめた案を、学会会員に私、ただ今、広く意見を求めて おります。3月31日までを締め切りとして意見をまとめておりますが、会員からの意見 は本日現在ございません。以上です。 矢崎部会長  ありがとうございました。それでは、倫理委員会の見解につきましては、また機会が あったときに追加御討論いただきたいと思います。では議事に入らせていただきます。 最初の議事は御意見募集の結果について。前回の部会で委員の皆様に見ていただきまし た原案をもとに、国民の皆様にこれまでの検討結果について御意見募集をいたしました 。その結果が出てきておりますので、まず事務局から紹介してください。 宮本室長  資料の1ということで私の方から紹介させていただきます。前回も御紹介させていた だきましたように、1月14日〜31日まで御意見を求めまして、その間に51件、個人から4 4件、団体から7件の御意見をいただきました。また、2月1日以降にいただきました御 意見が4件ございまして、こちらを合わせますと55件の御意見をこの中に記載しており ます。こちらを読んでいただければ結構なんですが、なかなか多岐にわたっているとい うこともございますし、一方私の方でまとめるというのも困難な部分がございます。一 言で申し上げますと、さまざまに意見が分かれている、多様な意見がございましたとい うことになるわけですが、その内容の端っこ、第三者が関与します生殖補助医療を一番 積極的に推進する立場からは、代理母も認めるべきであるといった御意見から、一方の 方の御意見としましては、夫婦間の生殖補助医療をも含めて何らかの規制ということを 考えるべきではないかとい御意見まで、非常に多岐にわたっておりました。  特に第三者の関与します生殖補助医療につきまして積極的な御意見をお寄せいただい た方々の典型例と申しましょうか、比較的重なった部分が多い意見を集積した一つの例 としまして、胚の提供と兄弟姉妹等からの提供を積極的に認めるというような御意見が 基本になっておりまして、その中で代理母禁止に反対するような意見を述べておられる 方も一部ございました。また、出自を知る権利につきましては、こういう方々の中では 、個人を特定するような情報については出すべきではないという御意見もございました 。一方、積極的な意見の中でも主張の色調というのはさまざまでありまして、当事者で ある患者自身が考えている倫理というものに耳を傾けてほしい。一般の方が考えられる ような考え方ではなく、そういう考え方に耳を傾けてほしいというような意見。それか ら、現在皆様方に行っていただいております審議の内容が、抑制・規制の色彩が強過ぎ るのではないかという意見もございました。  それから反対側に立たれる御意見としましては、そもそも第三者が関与する生殖補助 医療そのものについて認めがたいという御意見、さらには夫婦間も含めて生殖補助医療 そのものについて受け入れがたい、または規制すべきであるという御意見もございまし た。別な言い方でありますけれども、論点となっておりますような部分について機械的 に意見の内容を分類いたしますと、兄弟姉妹等からの提供については積極的に認めると いう御意見が8件、そういうものに反対するという御意見は10件程度。出自を知る権利 について個人を特定できる情報を含む内容の開示を進めるべきだという御意見は3件、 それに対してそこまで情報を開示すべきではないという御意見4件ございました。胚提 供についてですけれども、第三者からの胚移植を認めるかどうかについて、積極的に認 める立場の御意見が6件、反対の御意見が8件ございました。それから代理母につきま しても、かなり多くの意見が寄せられまして、代理母を禁止するのを認めるべきではな い、つまり積極的に認めるべきだという御意見が14件ございました。これに対して反対 の立場をとられる方が8件ほどあったということでございます。  こういったそれぞれの論点について、どのような代表的な意見があったかということ を簡単に紹介しますと、兄弟姉妹等からの提供の議論につきましては、賛成の立場から は、実質上肉親からしか得られないので積極的に認めるべきだ。さらには、肉親の方が 匿名の第三者よりも望ましいという御意見もありました。反対の立場から述べられた意 見の代表例としましては、家族関係を複雑にしてトラブルを招く可能性がある。家族か らの提供への圧力を排除できないというのが理由として挙げられておりました。それか ら、出自を知る内容について個人を特定できるかどうかについては、賛成の立場からは 、子供の立場から当然の権利であるという意見が代表的でしたが、反対の立場からは、 実質的に提供者が少なくなるであろうということが予測されること、提供者側の権利と して明らかにされるべきではないということが代表的にありました。胚の提供について ですが、賛成の立場からは、積極的に不妊治療を推進することを望むという基本的な立 場に加えて、予想されるさまざまなトラブルというのはあらかじめ対策を立てることで 回避できるという意見が代表的でした。反対の立場からは、両親のどちらとも血縁関係 がないという点について、子供の利益に将来つながらない可能性が高いという御意見が 代表的でありましたが、このほかに、配偶子と胚の正確な違いというのがあって、胚と いうのはより慎重な取り扱いをすべきであり、その中で胚提供というのは軽々しく認め るべきではないという御意見がございました。代理母については、賛成の立場からは、 胚の提供と同様、不妊治療を積極的に推進することを望むという基本的な立場に加えて 、妊娠のリスクですとか代理母とのトラブルについては解決可能なものであると。外国 においても既に実績があるものであるというような御意見がありました。また、推進す る立場の一つの意見としまして、卵子提供をもし認めるのであれば、卵子提供と比較し て、卵巣がない方に対する対応はなされるのに、子宮がない方に対しての対応がなされ ないという点で一貫性がないということを指摘する御意見がありました。反対の立場か らは、そもそも第三者の関与する生殖補助医療そのものを認めないという立場、代理母 への身体的な負担や家族関係のトラブルを危惧する意見が中心でございました。集約い たしますとこのようなものでございます。  幾つかこの集約された内容に含まれないような内容も若干紹介させていただこうと思 います。法律上の夫婦に限ることに反対するという御意見が16番の御意見の方、何名か の方から寄せられております。シングルや事実婚、同姓カップル家庭での養育に悪影響 があるという根拠がなく、法律上の夫婦に限るということについては根拠がないのでは ないかという内容でございます。それから、法的規制は改正が難しく不適切であり、医 療の推進の妨げにもなるということ、患者の自己決定を妨げるということもあり、厳し く法的規制をかけるということはふさわしくないという御意見もございました。  それから、かなりたくさんの内容を書き込まれて提出いただいた御意見もございまし て、32番でいただきました御意見、川井様からいただきました御意見ですが、生命倫理 法というのを制定すべきであると。生殖補助医療、クローン、親子関係問題の整理をす る法律を制定すべきであるという御意見でありまして、その中では、生殖補助医療の一 元管理を行う行政機関という性格を持つ生命倫理委員会というのを設置すべきである。 その中で生殖補助医療の一元管理を行うということで、具体的な条件としましては、法 律上の夫婦に限定すること、胚提供を認めない、兄弟姉妹等からの提供を認めないなど の内容が盛り込まれております。  それから、別の団体からの意見の代表としましては、41番の優性思想問うネットワー クというところからいただいております御意見がございまして、なかなかまとめるのも 難しい点がございますけれども、配偶子、胚を個人から切り離して議論することに反対 である。卵、胚とも提供する女性に大きなリスクがあるということで、第三者の関与す る生殖補助医療そのものに基本的に反対であるというような形にまとめられるかと思い ます。  それから44番の御意見もかなり詳細な内容をいただいておりまして、科学技術文明研 究所、三菱化学生命科学研究所の研究員の方からいただいているものでして、内容とし ましては、第三者の関与する生殖補助医療だけではなく、夫婦間も含めた生殖補助医療 そのものの公的規制を検討すべきであるということを主張されております。内容としま しては、NICUなどの実施施設の基準ですとか、卵子の若返りなどの新しく開発され た生殖補助医療技術利用の是非でありますとか、死亡された方や脳死者からの配偶子の 採取と生殖補助医療への利用など、そういった内容についてより検討すべきであるとい うことをまず述べられておりまして、その次に第三者の関与する生殖補助医療について は、胚提供の禁止、兄弟姉妹等からの提供を認めない、個人の出自の関与する情報につ いては特定できるレベルまで開示する、そのような内容が盛り込まれております。  以上、簡単ではございますけれども、このような代表的な御意見があるということを 紹介させていただきまして、不十分なまとめではございますけれども、実物の御意見の 方をごらんいただいて参考にしていただければと思います。以上でございます。 矢崎部会長  どうもありがとうございました。54通ある御意見で、皆それぞれきちっと書いてある 御意見でございまして、関心が高くて、また短い間のパブリックコメントの期間でした が、多くの方々から御意見をいただきましてありがとうございました。これにつきまし て何か御意見ございますでしょうか。それでは、これをまた委員の皆様読んでいただい て、議論の中でそれぞれ生かしていただければありがたいと思いますので、よろしくお 願いいたします。それでは、議第2の生殖補助医療技術に対する国民の意識に関する研 究の結果速報について検討してまいりたいと思います。平成14年度厚生労働科学特別研 究で、生殖補助医療技術に対する国民の意識に関する研究が行われておりまして、その 速報がこのたびまとめられました。本日はその研究の主任研究者でいらっしゃいます、 山梨大学医学部保健学II講座の山縣然太郎教授に来ていただいておりますので、研究の 概要、結果について、短い時間で恐縮ですが30分ほどで御説明をいただきまして、その 後10分程度御議論をいただければと思います。山縣先生、遠いところをわざわざ御足労 いただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。 山縣教授  御紹介いただきました山梨大学医学部の山縣でございます。本日は私が担当させてい ただきました生殖補助医療に対する国民の意識に関する研究で行いました調査の概要を 、速報でございますが、御紹介させていただきます。資料2というのがございまして、 速報版概要というものがございます。別紙1で単純集計というものがございます。別紙 2にリーフレットのコピーがございます。また、ピンクの封筒の中に実際に用いた調査 票及びリーフレット、調査の要綱が入っておりますので、後ほど御参考にいただければ と思います。  では早速プロジェクターで御説明させていただきます。内容は速報版の概要に沿って 行います。本研究は平成14年の厚生労働科学特別研究として行われました。分担研究と しまして生殖補助医療を専門にされております本学の産婦人科教授の星和彦先生、平田 先生、助教授の武田とともにやってまいりました。調査の方法ですが、全国200地点から 無作為抽出、層化二段階無作為抽出法というものを用いまして、20〜69歳の男女4000名 、これは前回と同じ年代・年齢でございます。20〜59歳の男女4000名、これはリーフレ ット群としましてリーフレットを配る対象として考えました。この8000名を無作為抽出 しまして、その中から実際に調査票を配付できた方5846名がこの調査の対象者というこ とになります。  調査の方法ですが、保健所の協力によりまして留め置き法、すなわち調査票を持って まいりまして、御本人に郵送または回収に伺ったときに返していただくという方法。一 部郵送法を用いました。調査票の内容は前回に準じるものを作成しました。新たにリー フレットとして生殖補助医療について理解していただくためのものを、A4・6ページ のものをカラー版で作成いたしました。すべて無記名自記式回答としております。調査 は本年1月に10日間ほどで実施しております。終了してまだ10日ほどしかたっておりま せんので、ほんとの速報版ということになります。回収ですが、調査票のみの群、配付 が2525、リーフレット群が3321の5846、これだけのものを配付することができまして、 回収が合計で3623、回収率62%ということで、この手の調査は普通40%ぐらいの回収率 なんですが、保健所の皆様の御協力や関心が高いということもありまして60%を超える ことができました。疫学調査としてはきちんとした回収率であるということと、日本国 民の状況を知るには大体3000ぐらいの調査数が必要ではないかということもございまし て、それもクリアしておりますので、今回の調査結果は基本的に信頼してよいものでは ないかと考えております。  中身に入らせていただきます。まず各技術の利用。あなたはこの技術を利用したいと 思いますかというものに対して、AID、第三者の精子、第三者の卵子、胚、代理母、 借り腹について聞いております。調査票のみの群とリーフレット群に分けて図にしてお りますが、いずれも利用したいとお答えになった方は数%で、借り腹だけ少し多くなっ ております。配偶者が望めば利用したいということを合わせましても大体4割。胚、代 理母に関しては2割程度で、6〜7割の方が望んでも利用しないとお答えになりました 。前回は1999年、ちょうど4年前の同時期の調査と比べまして大きな変化はないと見て おりますが、今回の方が配偶者が望めばという部分が少しふえているということが見て とれますが、やはり前回同様7割ぐらいの方は利用しないとお答えになっております。 前回の問題点として、こういう問題を十分理解しないで答える場合と、十分に理解して 答える場合とでは回答に違いが出るのではないかということがございまして、それに対 する改善ということでリーフレットを配付いたしまして、その中で十分に理解できた、 6割以上理解できたという分だけ取り上げてみましたが、利用するという面に関しまし ては大きな違いは出ておりません。  次に、各技術の是非でございますが、一般論としてこの手の技術を認めるかという質 問でございます。AIDに関しては認めてよいというのが4割、リーフレット群では47 %。認められないというものが約20%ということで、各技術こういうふうになっており ます。やはり胚を用いたもの、代理母に関しては認められないと回答された方が、認め てもよいと回答された方を上回っております。借り腹に関してはその逆でございました 。これも4年前の調査との比較です。今回は選択肢の中に認めてよいというのを入れま せんでした。これは、既に条件つきでということがこれからの前提になっておりますの で、条件つきで認めてよい、認められない、わからないという3つの選択肢で聞いてお りますので、そういう意味では直接的な比較はできないのですが、これを見ていただけ るとわかりますように、条件つきで認めてよいということの前回との比較を見ていただ きましても、むしろ減っており、認められないと答えた方が同じ程度いらっしゃって、 わからない、判断がつかないという方が35%ぐらいいらっしゃるということで、一般論 としてこの技術を認めるかどうかに関して、認める方向に動いているということではな いかということが速報では考えられました。詳細な検討が必要だと思います。  次に、この問題に関するリーフレットの効果でございますが、明らかにわからないと お答えになる方が減りました。リーフレット全体に比べて、わからないという方が減り まして、どちらかにディシジョンメーキングされる方がふえると。どちらにふえるかと いうことに関しては、技術によって少し違うところはありますけれども、大体同じ感じ でいくか、どちらかといと認められない方にいくのかという、このあたりも詳細な検討 が必要ですけれども、リーフレットの効果によって何らかの判断をされるということに なっております。  次に、代理懐胎、代理母、借り腹に関しまして、社会的に認めてよいという方にその 理由を聞いております。その理由で最も大きかったのは、生まれつき病気などで子供を 産めない人が子供を持てる、病気などで子宮を摘出した人が子供を持てるということを 理由に挙げてらっしゃる方が9割近くいらっしゃいまして、依頼者と代理懐胎をする双 方が承諾しているのだからという方が4割というところが、その理由として挙げられて おりました。次に社会的に認められない理由としまして、すべての技術について聞いて おりますが、やはり妊娠は自然になされるべきというのが一番多く、ヒトを生殖の手段 として用いる、親子関係が不自然になる、商業的に利用されると思う、というところが 多くなっております。リーフレットの効果としては十分には見ておりませんけれども、 いずれもその理由として挙げているという点が特徴ではないかと思っております。  次に、精子・卵子の提供についてですが、精子・卵子をだれが提供することが認めて よいのかという質問でございます。匿名の第三者、父母、兄弟姉妹、他の血縁者のおじ ・おば、友人・知人について聞いております。精子であればどうか、卵子であればどう かということを聞いておりますが、かなり意見が割れておりまして、匿名の第三者、兄 弟姉妹に関して認められると答えた方が4割、3割というふうにいらっしゃいます。一 方で、父母、おじ・おばなどの他の血縁者に関しては、認められないという方のほうが 上回っておりますし、友人・知人も同様に認められないという方が多くおられました。 ただやはり、3〜4割の方がわからないとお答えになっていました。  次に、もしもあなたが第三者から精子や卵子の提供を受けなければ妊娠できない場合 にどうですかという質問に対してですが、これも全く意見が割れておりまして、まず男 性、女性というふうに聞いております。男性の中で兄弟がある男性、姉妹のある女性と いうふうに聞いております。左半分がリーフレットなし群、右側がリーフレット群です が、血縁者、匿名の第三者というふうに男性、女性ともに分かれておりますが、男性は 血縁者の方がちょっと多くて、女性は匿名の第三者の方が多いというところが両方に共 通していえるところでありますが、一方で知人というのは非常に少なくなっております 。しかしながら、受けないと答えていらっしゃる方が3割、4割近くいらっしゃいまし た。  次に、精子・卵子の提供について、兄弟姉妹に提供しますかという質問であります。 男性、女性、男性の中でも同姓の兄弟がある、女性の中でも同姓の姉妹がいるというこ とで見ておりますが、提供したいと思うという方、男性で3割、女性で25%。提供した いとは思わない、男性で3割、女性では5〜6ポイント多く、提供したいとは思わない と。残り4割がわからないとお答えになっております。リーフレット群の方がややわか らないという方が減っておりますが、大きな違いはございませんでした。  次に、出自を知る権利でございますが、子供は出自を知らされるべきですかという設 問に関しまして、知らされるべきであるとお答えになっている方がいずれも男性にやや 多く見られますが15%ぐらい。リーフレットの高理解群で少し多くなっております。女 性はそれよりも少なくなっておりますが、リーフレット高理解群では少し多くなってお ります。一方で知られないでいるべきというのがそれをいずれも上回っておりまして20 〜30%近く。最も多くございましたのが、それぞれの親に任せるべきというのが40〜50 %ぐらいと、この中では親に任せるべきではないかという意見が多く見れました。  次に、出自を知る権利がある場合に、子供はどこまで知ることができるのかという質 問でございます。一つは個人が同定できる氏名、住所などまで。次に年齢や身長、職業 など。それから、本人には知らせない、わからないというものですが、住所までという 方と、年齢、身長、職業程度という方が拮抗しておりますが、知らせるのであれば個人 を同定できるところまでという方がやや多くなっております。一方で、半分近くの方が 知らせないというふうにお答えになっておりました。  子供に出自を知る権利がある場合、精子や卵子の提供をしますかという質問と、知る ことができない場合にはどうですかという質問です。まず右側の出自を知ることができ ない場合に提供したいと思いますかという方ですが、男性で調査票のみの群で26%。リ ーフレット群で全体は18%、高理解群で3割近くが提供したい。女性はその半分か6割 ぐらいの方が提供。提供したくないという方が4割いらっしゃいますが、わからないと 答えてらっしゃる方もそれに近くいらっしゃいました。これが出自を知ることができた 場合、それがどの程度変わるかということですが、数%〜10%、リーフレット高理解群 では、それでも提供しますという方が男性で15%、女性で約10%いらっしゃいますが、 全体としては出自を知る権利があるのであれば提供しないという方が20ポイントぐらい ふえるという結果が出ておりました。  それから、卵子のシェアリングの問題です。調査票のみの群、リーフレット群、高理 解群、これも意見が全く分かれておりまして、認めてよい、認められないという方があ ります。これはあまりなじみのない言葉のようで、調査票のみの群ではわからないとい うことが、特に女性は半分がそれにおつけになっていますが、リーフレットを読んで卵 子のシェアリングという問題を理解された方はそういうディシジョンメーキングをされ ておりまして、男性で44%、女性で37%の方が認めてよい。認められないという方が28 %と25%という結果になっておりました。  それから、胚の提供でございますが、認めてよいという方、認められないという方、 これも拮抗しておりますが、多いのは女性の場合はわからないとお答えになった方です 。認めてよいが基本的に認められないを上回っておりますが、その差はそんなにないと いうことと、リーフレット高理解群でもその割合はあまり変わっていないということが 見られます。  これが最後ですが、いろんな技術の是非に関しては、全体として見るといろんな要素 で変わってきて、前回もそういう御報告をいたしましたが、明らかに年齢による違いと いうのははっきりしておりまして、若い方は認める、年齢が上がるに従って認めるとい う方が少なくなっていくというのが、どの技術でもはっきりと出ております。資料の中 に入れておりますが、家族間とか性別の役割みたいなものに対する考え方というのも、 これに大きな影響を及ぼしておりまして、そういったことを検討しながらということに なりますが、全体としてhきょうお話ししたような結果が得られたということになります 。私からは以上でございます。 矢崎部会長  どうもありがとうございました。どなたか御意見ございますでしょうか。 加藤委員  アンケートの調査というのは、この紙だけを封筒に入れて配ったんですか。それとも 、それ以外に付属の文章や情報が同時に配られたんですか。 山縣教授  ピンクの調査票だけの方の場合には、この用紙を保健所の方に持っていただいており まして、見開きを開いたところで御協力のお願いという文章を読んでいただいて回答を 始めていただくというふうにしておりあす。リーフレットを配付する群は、青い用紙で リーフレットとお願い分、さらに中の見開きに御協力に対するお願いというのがござい まして、これを読んでいただいて回答していただくという形でお配りし、封筒に入れて いただいて返していただくという方法をとりました。 矢崎部会長  よろしいでしょうか。 荒木委員  調査の対象とした200拠点、それは全国のどういう拠点ですか。都市と地方を分けます とどういうふうになるんでしょうか。 山縣教授  まず全国を10ブロックに分けまして、その中から市郡規模で13都市と、15万、5万、 5万未満の都市というふうに層別化しまして、その中から数に合わせて200地点を抽出 して、それでその中から20名ずつプラス60名、計1カ所から80名を抽出するという形で やっております。今回基本的に全都道府県にわたっておりますが、時期が時期でして、 これは市町村に住民台帳の閲覧の許可を得なければいけませんで、市町村によっては年 度初めに一年間分の許可を与えて、それでまた来年ということで、島根県の1町村に対 しましてはその調査が不可能でしたが、ほかのところは基本的には抽出されたところの 調査ができました。 才村委員  保健所の協力を得てと書いてあるんですけど、どのような保健所の協力なんでしょう か。 山縣教授  無作為に抽出されました方が居住されています保健所管内、それを監督されておりま す保健所に要請しております。基本的には市町村で抽出されるところというのは固まっ ておりますので、一つの保健所がそこにかかわるということで、直接持っていっていた だいて手渡ししていただいて、回収を望まれる方は回収に行っていただく、そうでない 方は郵送していただくということで御協力を得ております。 矢崎部会長  そのほかよろしいでしょうか。この意識調査の基本的なことは、お子様を持ちたいと きにはどういう方法を選ばれますか、こういう方法もありますけれどもいかがでしょう かという視点ですよね。 山縣教授  一つは、あなたは不妊で悩んでいらっしゃるときに、実際に自分が御利用されるかど うかという問題と、もう一つは、一般論として困っていらっしゃる方がいた場合に、そ れを社会として認めてもいいでしょうかという、その2つの質問からなっております。 矢崎部会長  いかがでしょうか。それでは、山縣先生のお話、どうもありがとうございました。も し可能でしたらこの後の議論にも加わっていただければと思います。よろしくお願いい たします。では検討課題3に入りたいと思います。前回は法務省の方に来ていただきま して、親子関係に争いがある場合の同意書の請求等に関しての説明をいただき、いろい ろと議論があって、専門家でない私たちにはどう対応していいか迷ったところでござい ますが、今回はこの問題について事務局と法務省との間で調整を行った資料として、事 務局から資料5が配付されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。 事務局  それでは説明させていただいております。資料5ですが、公的管理運営機関における 同意書に関する業務ということでございまして、法務省と事務局の方で調整させていた だきまして、大枠こういったところを御了解いただければ、あるいは御議論いただけれ ばということでまとめたものでございます。まず親子関係の争いの具体例ということで 、どういったものがあり得るのかということで書いてございます。  1つ目は嫡出否認訴訟と申しまして、戸籍上の父親が子供との間に血縁がないという ことで、親子関係の否定を主張されるという場合でございます。これについてはどちら が立証する必要があるかということについては、夫の同意が推定される場合とされない 場合で変わってきまして、夫の同意が推定される場合ですと原告、戸籍上の父親が生殖 補助医療に関する同意はないということを立証する必要があることになります。逆に夫 の同意が推定されない場合ですと、子供の方が生殖補助医療に関する同意があることを 立証する必要があるということになります。次に認知訴訟の方ですけれども、子が精子 提供者との間に血縁関係があるということで親子関係の形成を主張するという場合です 。これについては、精子提供者が父にならないことを立証する必要があります。上記の ような争いがある場合に、同意書というものは親子関係を確定する重要な証拠となるも のでございます。  ではその同意書をどのように入手するかということですけれども、一つが(1)文書 送付の嘱託と文書提出命令というものがあります。これは調停や訴訟という段階になっ た場合に、裁判所から文書の所持者に対してその提出を求め、あるいは提出を命ずるこ とができるというものです。恐らくこの段階になれば公的管理運営機関は裁判所からの 要望に応じて対応することになるのではないかと思われますが、今回部会の方で御議論 いただきたいのは次の方でございまして、これ以外の入手方法について何かあるのかど うかということです。調停や訴訟といった段階に入る前に、当事者が同意書を公的管理 運営機関から入手できるようにするということは、調停や訴訟に至る前に争いが解決す ることや、調停や訴訟となった場合でも、その準備が円滑に進むということが期待され るものでございます。もっとも、同意書というのは出自に関する問題でありまして、同 意書を請求できる方などにつきまして一定の限定が必要ではないかと思われます。  それで対応方針ということですけれども、公的管理運営機関が保存している同意書に ついて、開示請求があった場合公的管理運営機関はどのような対応をすることになるの かということですけれども、次のような条件を満たす場合には同意書を開示することが できるものとすると。その条件ですけれども、開示請求をできる方はどのような方かと いうことですが、争いとなっている親子関係について同意書を署名することとなる立場 にある方と。わかりやすく言いますと、提供する方と提供を受ける方ということです。 それから、親子関係の争いの当事者となっている子供。その他これに準じる方というこ とで書いております。開示請求ができるときはいつかということですけれども、親子関 係について争いがあるときということで、具体的に調停や訴訟に入る前でも可能ではな いかということで作成しております。開示の内容ですけれども、同意書があるかないか 、同意書がある場合はその同意書ということにしております。同意については撤回がで きるということをここで御議論いただいておりまして、同意を撤回する文書についても 同様の扱いとするということで書いております。以上でございます。 矢崎部会長  どうもありがとうございました。前回の御議論で、我々の用意した同意書が親子関係 を確定する重要な証拠になるということを法務省の方からもお伺いしました。実際に争 いが起こった場合一番の問題は、同意書の入手方法が訴訟に至る前に当事者が開示請求 できるということでありまして、これについてはあまり法律的な問題はないというお話 を伺ったところであります。これについては専門の方にお任せしたいと思いますが、何 か御意見ございますでしょうか。 石井委員  この対応方針の2番目の、開示請求できる者の、その他これに準じる者としてはどう いう者を考えているんですか。 事務局  今の段階で具体的にだれということで限定して列挙することがまだ整理し切れてない ということがございまして、少なくとも提供者と子供については開示してもいいんでは ないかと。その他それに準じる者ということについては、想定されるものとしては子供 の親権者たる母ですとか、あるいはほかにもあるのかもしれませんけれども、今の段階 ではそれに準じる者ということで、今後実務でどういうケースがあるのかということも あると思いますので、それを含めて検討して最終的には決めなければいけない問題です けれども、今後詰めていきたいという趣旨で「準じる」というふうにしております。 加藤委員  これに準じるというのは両方入ってるんですか。当事者となっている親の方の側と子 の方の側と。 事務局  両方含めて、全体について準じるということで書いております。 矢崎部会長  例えば当事者が亡くなっておられる場合ですよね。 加藤委員  それから高齢で代理人が必要になる場合というのは当然あるわけですね。 矢崎部会長  よろしいでしょうか。これは法務省の方から何か追加ございませんか。よろしいです か。はい。それでは、この方向で考えさせていただきたいと思います。それでは、検討 課題3についてでございます。前回事務局から事務局案について御説明いただきました 。今回検討課題3の検討を終了しまして、できれば今回から次回にかけて二回り目の検 討に入れればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。では検討課題3のう ち、資料3をごらんいただきたいと思いますが、前回御議論いただいて案がございます 。まず御議論のあった5ページです。開示請求できる年齢は何歳からというところから 、前回才村委員がいらっしゃらなかったんですね。いらっしゃらない間に15歳というふ うに決めさせていただいたんですが、何か御議論ありますでしょうか。議事録読んでい ただいたかと思いますが。 才村委員  前に私の方で、一つの提案としては15歳ということで随分前に話をしたと思うんです けれども、養子縁組で自分自身で養子縁組ができる、保護者の同意が要らないという年 齢が15歳ということでありますので、この年齢が一つの区切りかなと思ったんですけれ ども、ただ、この年齢で定めるなら開示のときのサポートがより重要になってくると思 います。 矢崎部会長  ありがとうございました。それでは、一応15歳ということにさせていただきたいと思 います。そのほか検討課題3で、事務局から特にこの部分を詰めてほしいとかそういう ことございますか。そうそう、9ページに、岸本委員がおっしゃられた兄弟姉妹からの 倫理委員会の人的要件でございますが、そのうち2名というところを事務局が30%以上 、ですから10名いたら3名以上というふうに変えさせていただきました。よろしいでし ょうか。 加藤委員  全部女性でもいいわけですね。 矢崎部会長  そうですね。 岸本委員  半分というのは不可能なんですか。国民の皆さんの意見の中にも女性を半分にすべき だという意見が何件があったので、ここで果たして3割でいいのかどうか。 加藤委員  こういう書き方自身がもう男女差別を前提としてるという人もいますよね。 矢崎部会長  半数と決めたらなかなか成立しない、それだけの人がそろわない場合もありますので 、30%以上ということで一応よろしいでしょうか。特に女性の委員の方々。それでは一 応30%、半数ぐらいは女性を入れてほしいという御希望があるということでお願いしま す。そのほかいかがでしょうか。 石井委員  質問ですが。12ページのところの2の前の四角の最後のところですが、提供者に関す る個人情報も提供医療施設から同時に実施医療施設に移管するという形になっているん ですが、個人情報も実施施設に移管する必要があるのでしょうか。 矢崎部会長  まずその問題から、この間のアルゴリズムみたいなのがありましたよね。そのときに 、提供された精子・卵子・胚を実施施設に移す、個人情報も同時に移行するということ に一応なっていましたが、これは実施する吉村委員に何か御意見ございますですかね。 吉村委員  具体的に申しますと、精子に関してはこれでいいと思うんですが、胚もこういうこと があり得ると思います。凍結ができますから。しかし卵子に関しては、現在のところ凍 結が不可能で、こういった医療に未受精卵の凍結したものを用いるということは不可能 ですから、現実面においてこういうことはないと思うんですね。だから、実施医療施設 で卵子を取り扱うことになりますので、その辺を考えていただかないといけないのでは ないかなと思うんですが。恐らくこの実施医療施設では、精子・胚については情報はな ければならないのではないかと私は思いますが。それでお答えになってるでしょうか。 石井委員  必要というのはどういう理由ですか。 吉村委員  何も知らないで実施医療施設は、だれの胚だということも知らないで移植するという 、情報も全くないと。 石井委員  個人情報の中身にもよると思いますけれども。 吉村委員  提供医療機関は知ってて実施医療機関は知らないということですか。 石井委員  公的管理運営機関が情報を一括管理するならば、実施施設に情報がいく必要はないの ではないかと。 吉村委員  この提供医療施設の考え方がよくわからないので、急に出てきたので私はちょっと理 解できないところがあるんですが、実施医療施設がすべてそういうことをやると思いま したので、そうすると3つあるということになりますよね。提供があって実施があって 公的管理運営機関がある。私は実施医療施設で全部行うと思ってましたので。その辺が ちょっとこの文章からはわからないんですが。 宮本室長  今の御議論いただいている点なんですけど、関連する点としては10ページに(3)の 1)の3つ目の○にございます。個人情報を移管先の医療施設に対して上記により提供 された個人情報をあわせて移管しなければならないというのがあるわけですけれども、 最初に部会長がおっしゃったフロー図の流れ、資料4の別紙4で見ていただくとわかる んですが、実施施設が情報を一元的に公的管理運営機関で管理するということを想定し ておりましたので、その議論の流れを受けましてこのようにまとめているということで ございます。 矢崎部会長  石井委員の御質問は、実施施設で提供者のデータがないと医療的に行うのに支障があ るかどうかという御質問ですか。 石井委員  今の御説明では実施医療機関から公的管理運営機関に情報がいくシステムを考えてい るということでしたが、それ以前に公的管理運営機関がこの図のようにコーディネート やマッチングを行うとすれば、情報は公的管理運営機関にいくのではないかと思ったも のですから。とすれば、実施機関に個人情報がいく必要性はないと思ったのです。 加藤委員  石井さんの発言で、「いく」という言葉の意味がよくわからないんだけど、この場合 情報の管理・登録がどこで行われるかということで、移管というと、例えば戸籍謄本が 情報が提供される場合には移管といわないですよね。情報の移管といった場合、情報の 元そのものが動いていっちゃって、例えばA病院からB病院へ移って、A病院にはなく なっちゃうと。あるいは公的管理運営機関にはなくて、いつも現物について情報が回っ てるという意味だったらわかるんですけど、公的管理運営機関に情報そのものはずっと 管理されていて、情報は提供されるという意味で情報がいくということもあるわけです よね。だから移管という言葉は私はおかしいのではないか。情報そのものは公的管理運 営機関に既に管理されていて、そして実施機関に情報は提供されるものとするというふ うにいうべきなんじゃないかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。 矢崎部会長  そうですね、そういう整理の仕方もありますが。 吉村委員  今、加藤先生がおっしゃったことだとよくわかるんですけど。 矢崎部会長  さっき室長が言われた、移管先…配偶子を移管する場合には、その移管先の医療機関 に対して上記より提供された個人情報をあわせて移管しなければならない、ということ による御説明ですよね。ですから、個人情報というのが公的管理運営機関で一元的に管 理されていれば、当然実施施設にもその情報が必要に応じて伝えられるという理解であ ればいいわけですよね。 鈴木委員  まだよくわかっていないんですが、そもそも前回のときに、例えば凍結された精子や 受精卵、胚ですよね、これを移動させてよいということになったんでしたっけ。まずそ れが一つ。ここで言っている話は、先ほど吉村委員がおっしゃったように、提供だけを 担う施設があるというわけじゃなくて、ここで言っている提供施設というのは、実施機 関の中で今回は提供を担当した施設という意味なんですか。実施施設と提供施設という 2つの枠組みがあるんですか。今までそういう話はしてないですよね。実施施設という のは例えば5カ所なら5カ所あって、そこの間での移動の話をしているのか、提供施設 というのが何か別に枠組みとしてあって、そこから実施機関への移動の話をしているの か、そこがちょっとよくわからないんですが。 宮本室長  これまで御議論いただいていたもの、繰り返しになりますけど、流れ図を御議論いた だいていた際には、提供側と提供を受ける側のフローをそれぞれ分けて書いてきたわけ ですけれども、それが分かれてきたことの前提には、そういった医療機関に提供側と実 施側とが分かれる可能性があるということを前提に御議論いただいていたというふうに 私は認識しておったところなんですが。 矢崎部会長  吉村委員から、実施施設で提供施設は考えられないのではないかと言われましたが、 ほんとにそうなんでしょうか。 吉村委員  バリエーションとして厚生労働省の方がおっしゃったこともあり得ると思うんですが 。提供機関と実施機関を分けて考えるという方法はあまり議論されてなかったんじゃな いかと私は思いますけど。そういうことを考えなくてはいけないということかもしれま せんが、私たちは提供機関であり実施機関であるという理解で話を進めてきたのではな いかなと、理解しています。こういう提供機関があった方がクライアント夫婦にとって は大変いいことだと私は思います。そうしますとES細胞と同じように、提供機関とE S細胞樹立機関というのをまた分けて考えていかなくちゃいけなくなってしまうのでは ないですか。提供機関においても倫理委員会の規程をつくらなくてはいけなくなります し、分けて考えますと非常に難しくなってしまうのではないでしょうか。ですから、私 の考えでは、実施機関という考えでやっていけば初めはよろしいんじゃないかなと思っ たんですが。実施機関が提供機関であり、実施をするところであるという理解をしてい たんですが。もしクライアント夫婦のことを考えて初めからこういった提供機関という ことを想定しておくならば、それはこういう考え方も大変私は大切だと思いますけれど も。ですから石井先生のおっしゃったことも、ちょっと私には理解できなかったところ があったんですが。 加藤委員  ちょっと聞きますけど、実際に例えばA病院で提供された胚をB病院で使う、胚を移 動させるということは実際にはあり得ないというか…。 吉村委員  可能です。それは可能だと思います。精子と胚についてはこういったことは実際可能 ですので、そうすればクライアント夫婦にとっては、提供者にとっても、どこも動かな くていいわけですし、そういう意味では非常に便利だと私は思います。 加藤委員  事情によってはB病院が提供者になってA病院が受け入れ側になるということもあり ますし、同じ病院が同時に提供者と受け入れ側を両方引き受けているという場合もある わけですね。ですから、実施機関というのと提供側というのは機能的な意味であって、 実態的に慶応病院は実施機関であるとかそういうことはないわけですよね。 吉村委員  そうですね。 加藤委員  そう考えればこの文面でかまわないんじゃないかと思いますけれども。 吉村委員  わかりました。 矢崎部会長  そうしますと、13ページにある、今まで御議論いただいた提供医療施設の指定という のは、これは独立した提供医療施設の存在というのはあまり考えられないという吉村委 員の…。 吉村委員  私はそう思ってたんです。 矢崎部会長  私は脳死臓器移植みたいな感じで、そういうケースもあり得るのではないかなという ことで、提供施設というのもある程度国の指定基準というものがあって、そこで提供す る機能が付与されるということもあり得てもいいのではないかなという気がしましたが 。もちろん実施施設が提供施設になるというのは、当然そういうことはあり得ると思い ますが。 宮本室長  繰り返しになりますけども、これまで議論いただいていた内容といいますのは、例え ばマッチングの話を検討いただいていた場合には、同一施設だけではなく他施設間で、 一人の提供者があらわれた場合の、どなたに提供を受けていただくかという優先順位を つけるというような話をしていただいたかと思います。その前提には同一施設に限らず 、他施設間での優先順を決めていくということも認識の背景にはあったと理解していた んですが、そういったものについての認識が変わるということになるんでしょうか。 矢崎部会長  それは変わらないと思いますね。提供施設はたまたま実施施設の中の一つであった場 合、自分のところで全部医療が終わるということではなくて、マッチングというのが途 中で入るということはあり得ると思いますね。待機の御夫婦が施設ごとに何人かおられ るわけですから。ですから、ここでの議論は、提供医療施設がすべてイコール実施医療 施設であるという吉村委員の認識ですが、そうでない場合もあり得るんじゃないかと思 いますよね。ですから、あまりこれはイコールだということではなくて、加藤委員が言 われたように、一応情報は公的管理運営機関が保持して、必要に応じて実施施設にお教 えすると。医療上の必要性があったらそちらにお知らせすると。石井委員、そういうこ とでよろしいでしょうか。 加藤委員  だから情報の移管ではなくて伝達ですよね。 石井委員  それと関連してなんですが、情報をどう管理するかという点です。先ほど、同じ施設 であると当然わかるというようなイメージを吉村先生おっしゃったと思うんですが。提 供施設と実施施設がたまたま同じであったとしても、提供者がだれであるかを、実施す る医師は必ずしもわかる必要はない。いわゆる連結可能匿名化のような形が公的管理運 営機関でされて、番号などで管理されて直接すぐに個人が特定できる形の情報が提供施 設から実施施設にはいかないというシステムの方がいいのではないかと、思ったのです 。 矢崎部会長  それで何か医療に支障を来すということはございませんですか。 吉村委員  ないと思います。 鈴木委員  採卵のときは大丈夫ですか。卵提供の場合の、患者さんの名前も知らない…。 吉村委員  僕も今思ったんですが、詳しいことを言うと、精子に関しても胚に関してもそういう ことは可能だと思うんですね。ところが卵子に関しては、そんなに匿名で卵子を提供す る方がたくさんお見えになるわけではないし、ある程度わかってしまうことはやむを得 ないのではないでしょうか。これを全部わからないでやるというのは、それだけたくさ んの方がお見えになるとも思えませんし。例えば5人、6人が来られて、それが一遍に 採卵をしてということがあればそれは可能ですが、現実面ではどこもここもわかってし まうという。卵子の場合は、例えば提供機関と実施機関が分かれていましても、それを 輸送したところで御主人に来てもらわなくちゃいけないわけですから、胚を早くつくっ てしまわなくちゃいけないわけですから。現実には匿名でやるということは非常に難し いと僕は思いますけれども。だけど、今おっしゃったようで私はいいと思いますけれど も。現実面としては非常に困難であると。石井先生の言うようにはできないと思います 。 矢崎部会長  でも、その趣旨を生かしていただくということで、可能な限り。 吉村委員  それで結構だと思います。 澤委員  受精して妊娠が成立するまではunknownでも何でもいいんですよ。周産期で赤ん坊をず っと見ていくときにある程度の情報がないと、血型ぐらいの情報はないとさまざまなこ とが起こったときに予測できないんですよね。 矢崎部会長  今のは要するに匿名化した情報はお教えすると。 澤委員  わかるわけですね。 矢崎部会長  だから医療上必要な情報は必要に応じて。 澤委員  わかりました。 加藤委員  簡単に言えば、固有名詞は抜きにするけれども、年齢だとか健康状態だとか血液型だ とか、そういう医療上必要な情報は提供されるという意味ですよね。 矢崎部会長  必要に応じてですね。それでは、これでもいいですかね。移管するというところが日 本語がちょっと問題なので、それを事務局で考えていただけますか。そのほかいかがで しょうか。 石井委員  13ページと14ページ両方にあるんですが、(2)の実施医療施設を指定した者は、提 供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施について、必要に応じて当該医療施 設から報告を徴収し、立入検査をすることができることとする、ではなくて、毎年報告 を徴収し、必要に応じて立入検査をすることができることとする、という方がよいので はないか。 矢崎部会長  定期的にしっかりということですね。いかがでしょうか。こういうのは毎年というこ となんですかね。定期的にというのは半年ごとなのか3カ月なのか。吉村委員いかがで すか。 吉村委員  どうですかね。期間を書きなさいということですか。 石井委員  必要に応じてというと、何かあったときにだけ報告するというように私は読めたもの ですから、そうではなくて委員長がおっしゃるように定期的にきちんと報告がなされる ようにすべきではないかということです。立入検査は必ずしも定期的にしなくてもいい かもしれない。 吉村委員  これは実施医療施設は報告をするわけですよね。公的管理運営機関に。ですからそれ とは違うんでしょう、これ。そのことは毎年毎年症例ごとに報告するということになっ てるんじゃないですか。 母子保健課長  確かに御指摘の疑問があるかと思います。吉村先生がおっしゃっていただいたように 、我々の方ではもう書かなくても当たり前のように毎年定期的なものは出していただい て、その上に何かあったときには必要に応じて臨時の報告というぐらいの気持ちでこれ をつくっちゃいましたものですから、ちょっとそこは読みにくかったのかなという気が いたします。確認は必要だと思いますけれども、恐らく毎年定期的な報告ということを お願いすることになるんじゃないかと思います。 矢崎部会長  そうしますと、定期的な報告があった上で、何か問題があったときには報告を徴収し て立入検査をすると。ですから報告を徴収しというところがあれなんですかね。だから 自動的に報告はいってるという前提でこれを理解していただければということになるか と思います。それでよろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。 才村委員  前回休みましたので論議がどのようになったのか、ちょっとわからないので重なって るかもしれないんですけれども、生まれてきた子供の福祉を確保するためには、子供が 生まれた後のサポートが重要かと思うんですけれども、生まれてきた後の子供ないしは 親子への育児のサポートというのはどこでやることになっているのか。例えば7ページ の(1)に、生まれてくる子供の健康面や福祉面等での追跡(フォローアップ)が重要であ ること、と書かれてるんですけれども、これは実施医療施設でやるということになって るんでしょうか。それから、子供自身へのサポートというのも重要かと思うんですけれ ども、子供が開示請求をしてきたときに、そのフォローといいますか、5ページの上か ら4行目ぐらいの開示に関する業務を行う機関はどこかということで、公的管理運営機 関は開示に関する相談業務をあわせて行うとなっているんですけれども、相談業務を公 的管理運営機関のだれが行うかというメンバー構成みたいなものは決められているんで しょうか。この文章ではちょっとわからなかったんですけれども。例えば15歳で出自を 知りたいときたときに、アフターだけではなくて開示に伴う精神的な、または社会的な サポートをしっかりとやる必要があると私は思うんですけれども。それをどこが担うの かということ。それから、もし全部特定されるものまで開示される必要があるというふ うに決まったとしたら、提供者へのサポートも必要かと思うんですけれども、それをま たどこに置くべきなのかと。それは論議が終わってからになるのかもしれないんですけ ど、その辺については前回そこまで論議はいったんでしょうか。 宮本室長  そういった課題がありますことは私どもも承知しておるところでございます。次に検 討いただきたいと考えておりました資料4、2巡目のところで検討いただきたいと考え ておりました。例えば21ページに要検討事項としまして、カウンセリングをどのように するかというのを挙げてございます。御指摘いただきましたものすべてがこちらに含ま れているわけではございませんが、そういったものも含めて2巡目の議論の中でお願い したいと思いますが、いかがでしょうか。 矢崎部会長  これはなかなか難しい問題で、前回も議論しましたが、全部公的管理運営機関でやっ てくれといった場合、それをどこでだれがサポートするかという問題もあると思うんで すね。ほんとに財政的な経費をどうするのかとか、そういう問題もあってなかなか難し い。例えば骨髄移植とかそういう場合には骨髄移植を受ける方がお金を出して、財団が 面倒を見るという仕組みになっているわけですよね。ですから、もしほんとに第三者提 供配偶子の生殖補助医療を定着させるには、そういうシステムも考えないと、ただここ でこうなってこういうプロセスでやって、これを守ってやってくださいだけではなかな か難しい問題があるのではないかなと思います。あまり財政的にふんだんにあるという ことは考えられないので、恐らく公的管理運営機関でいろいろ審議していただくのは、 例えば厚生科学の審議会みたいに、ボランティアで集まってやっていただくようなこと を含めて考えていただかなければいけないようなこともあり得るということを、お考え いただければと思います。よろしいでしょうか。 松尾委員  どこでどういうタイミングで議論するか、非常に難しい問題だと思いますが、現在、 産婦人科学会が追跡されている調査というのは子供のことは一切なさっておられません 。日本産婦人科学会の調査日本小児科学会の調査、厚生労働省の調査、そういうものを 包括した追跡調査システムが必要だと思いますけれども、形としましては。 矢崎部会長  ありがとうございました。それでは、一応検討課題3で10分間休憩をいただきまして 、3時50分から1時間少し、この二回り目の資料4の検討を進めさせていただきたいと 思いますので、またそのときに御議論いただければと思います。よろしくお願いいたし ます。                   〔休憩〕                  矢崎部会長  そろそろよろしいでしょうか。まだ加藤委員がおられませんが、ようやく二回り目の 議論ということで、ありがとうございました。資料4が二回り目の議論をするポイント を定めたところでありまして、赤いところが二回り目に御議論いただくところでござい ます。もしこの赤字以外にまだ議論したいというお方がおられれば、後で事務局の方に お申し出いただければ、またそこで議論したいと思います。まず第1の赤字でございま すが、3ページをお開きください。マッチングする際に提供を受ける優先順位を決める 具体的な基準はということであります。これはやはり専門家の先生の御意見を聞きなが ら案を示すということで、今事務局で検討していただいておりますので、この議論は今 回はスキップさせていただきたいと思います。それから、同じく3ページから4ページ にかけて赤字がございます。これも産婦人科学会の会告その他と対応させまして、やは り専門的な要素も強いので、専門家と事務局の間で具体的な案をつくっていただいて次 回以降に検討させていただきたいと思います。この赤字はずっと残しておきますので、 忘れずに議論しますので御安心いただければと思います。6ページの、提供が困難な場 合の卵子のシェアリングと兄弟姉妹からの卵子の提供、胚の提供をどのように優先順位 で適用するか。まだシェアリングと兄弟姉妹の結論が至っておりませんので、これも後 で議論したいと思います。きょう御議論できるところは、8ページの提供に対する対価 の条件であります。これも前回相当時間をかけて議論しまして、なかなか結論が出なか ったわけであります。私、振り返って議事録などを読んで検討しまして、あまりぎちぎ ちに決めるとなかなか難しいのではないかということで、ぎちぎちにしますとどんどん 議論がああでもない、こうでもないということになって大変でございます。極めて強引 でございますが、私としては5案あるうちの真ん中の案3で、個々の事例について実際 に提供者が負った負担に応じた額を実費相当分として認めることとすると。いかがでし ょうか。実際に提供者が負った負担に応じた額を実費相当分として認めましょうという ことですので。よろしいでしょうね。 松尾委員  その意味ですけど、医療上のコンプリケーションが生じたと。そういうものまで含ま れるという理解でよろしいでしょうか。 矢崎部会長  もちろんそれは含むと思います。よろしいでしょうか。 石井委員  質問なんですけど、マッチングをしますよね。提供した人と受け取る人というのは確 かに対応するんですけれども、受け取る人は本当にかかった分を払うという形をとるの か、ということなんですね。提供者によって違ってきて、受け取ったときにいくらかか るかということは全くわからない状態の医療を想定することになるということですか。 そうではなくて、一律にいくらであって、受ける側が支払うべきものはいくらというシ ステムになるのか。実費相当分が支払われても、払う側は一律であるという方向もあり 得ると思うんですけれども、これで見ると1対1対応で、支払う分はかかった分を負担 しなくてはいけないというように見えてしまったものですから。 矢崎部会長  それはもう実際に動いたときに、いろんなケースが考えられると思いますので、1対 1に対応するというのは結構難しい問題がありますよね。ですから、これは私の考えで すが、例えばコンプリケーションが起こってどうのこうのといった場合には、それを全 部1対1で対応することはできませんので、例えば保険とかそういうシステム。あるい は財団みたいなものをつくって、そこに皆さんがお金を預託してリスクをそこからカバ ーするとか、そういうこともあって実施のときは英知を絞って組織からシステムまでつ くって、ここはおおよそのことですからこういうふうに定めていただいて、それをいか に公平・透明性を保つための経済性についてもきっちり対応できるような組織をつくっ ていただくと。我々はおおよそのめどを示せばいいのかなと感じてましたけど。 吉村委員  ちょっと質問なんですが、基本的にこの案3で私はよろしいかと思うんですけれども 、この相当分を払う者はクライアントの夫婦であるという理解ですか。それとも病院が 払うのか。これは大きな問題なんですよね。クライアント夫婦が負担するということで あるなら、保険であれ何であれクライアント夫婦が考えることになりますよね。基本的 にクライアント夫婦ということでよろしいんでしょうか。 矢崎部会長  ですから、1対1のクライアントの夫婦が払うのではなくて、クライアントになるよ うな御夫婦がいれば、そこで拠出すると。そんなことも考えてよろしいんですか。骨髄 財団とか移植財団とかいろんなところの仕組みを見ますと大体そういうことでカバーし てるみたいなんですが。ただ、具体的にどうこうするというのはここで今議論すること ではありませんので、そういうこともあり得るということを頭に入れて、めどとしてこ ういうことを決めさせていただく。ですから、いろいろなケースがあるでしょうが、基 本としてはクライアント夫婦が負うということですが、具体的にどうするかということ は我々が考えるよりは、どこかで考えていただいた方がいいんじゃないかなと思います 。 鈴木委員  これも質問で、ささいなことかもしれませんが、今不妊治療に関しては保険適用のこ とも非常に話題になっているんですけど、これに関して、例えば卵子提供をしてくださ る方に関して健康保険はきかないということになりますよね。だけれど、卵巣過剰刺激 症候群などで入院加療ということになったら、そこに関しては健康保険がきくというこ とになるんでしょうか。 矢崎部会長  それはここで聞かれてもわかりませんし(笑)。 鈴木委員  もし仮に実費がいくらかといったときには、かなりお金がかかる場合もあるというこ とを頭に入れておいた方がいいのではということを言いたかっただけですけれども。 矢崎部会長  それは十分配慮しながら今後運営していかなければいけない問題だと思います。それ では案3の、提供者が負った負担に応じた額を実費相当分として認めるということでま とめさせていただきたいと思います。その次の、提供を受ける人と提供者の間の実費相 当分の金銭の授受については、これは事務局とよく詰めて、事務局の方でも詰めていた だいて、あまり具体的な案は事務局としても出せないと思いますが、将来像として何か 御意見があれば提案していただくことになるかと思いますが、これはちょっと飛ばさせ ていただきます。次のも、シェアリングにおける金銭の授受についてと、ますます細か い話になるので、これも事務局案もつくりようがないんじゃないかと思いますが。シェ アリングのことをまだ議論していないのにそこまでいけるのかということですが。これ も事務局で考えていただきたいと思います。  次の赤字の11ページ、私としては今までなかなか結論が出なかった出自を知る権利の 、12ページのその他の条件で1)の、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に より生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲、これをちょっと御議論い ただければと思います。専門委員会報告書は出自を知る権利を認めると言った上で、当 該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることが できると。要するに出自を知る権利を認める一方、提供者のプライバシーも保たれなけ ればいけないという結論ではなかったかと思いますが。ここでは、提供された精子・卵 子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利を認めると。出自を知る 権利の範囲としては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子 が開示を希望する場合、当該生まれた子に対してということで、これが大きな論争を呼 んだところでありまして、案1が専門委員会で示したような、提供者が開示することを 承認した範囲内の個人情報。これは提供した人が個人が特定できる個人情報も結構です よと言った場合には、それを含めて開示する。2番目は、当該提供した人を特定できる 個人情報まで開示するということで意見が分かれました。  これについては極めて大きな問題でありますので、私がこう考えますと言う前に委員 の皆様方から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 加藤委員  この出自を知る権利の中で、提供者の固有名詞はわからないけれどもここまでは知る ことができるという、連結可能型の権利の規定はここに入ってないですよね。固有名詞 まで知ることができるのか、それとも提供者の意思によって範囲が決まるのか、それだ けの問題視か入ってなくて、提供者の意思とは関係なく、少なくともここまでは要求す れば出自についての情報を知ることができるという範囲もあるんじゃないでしょうか。 例えば自分が結婚するに際して近親関係になるかならないかの情報だとか、もしかした らもっとそれ以外の情報もあるかもしれませんけれども、出自を知るというのは提供者 の意思に関係なく、子供はどこまで知ることができるかということの規定をまず入れて 、その次に残りの分について提供者の意思をどのぐらい認めるかという組み立てにした 方がいいんじゃないかという気がします。 宮本室長  今の御発言に関連しまして、12ページの点線で囲まれております部分の3つ目の○、 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は…この部分は既にあ る程度皆様方の認識となっているということで検討課題としては挙げていないというこ とでございます。 矢崎部会長  加藤委員が言われたのは、要するに個人が特定できないぎりぎりの情報は知る権利と して認めていいのではないかと。 加藤委員  近親婚の場合だけじゃなくて、例えば何があるかわかりませんけれども、趣味だとか 特徴だとかで知りたいという範囲が、もしかしたらあるかもしれないですね。それは考 えなくていいかということなんですけどね。 矢崎部会長  恐らく、生まれたお子さんが自己のアイデンティティを確立したいという純粋な気持 ちで知りたいと言った場合、個人を同定できないけれどもぎりぎりの情報まで伝えると いうことと、個人が同定できるところまで伝えるか、この2つだと思うんですよ。 加藤委員  もう一つ、この3番目は、結婚について子供が合理的な選択をするのに必要な情報提 供を受ける権利があるという考え方ですね。結婚についてだけではなくて、例えば自分 の健康管理について合理的な選択をするのに必要な情報というのもあり得るんじゃない かと思うんですけれども。 矢崎部会長  案1というのは加藤委員が言われたのに近いものだと思いますが、その場合に提供者 が範囲を決めることができるというのは、ぎりぎり個人が同定できない線までは提供す ると。それが原則であると。要求に応じてですね。案2は、ほんとにぎりぎりの要求で 妥当性があるとした場合には、個人を同定するような情報まで教えることもありますよ ということですよね。案1と案2というのはそう離れてないのではないか。最終的に議 論した上でどうしても個人の情報を開示する必要があるし、提供者も納得すれば開示で きると。 加藤委員  提供者の意思によって一々、あなたの場合はここまで開示されます、あなたの場合は ここまでしか開示されませんて、場合場合によって違うというのは非常にやりにくいん じゃないかと思うんですね。ですから、提供者について、あなたの固有名詞はわかりま せんけどここまでは開示しますと画一的に決めておいて、それで両方が納得できる線が 出るのであればその方が実際的にはいい基準になるのではないかと思うんですけれども 。 矢崎部会長  それと、やっぱり同定までいかないとだめではないかという意見があるので。 加藤委員  同定できるところまで知る権利があると決めると、実際に提供する人がいなくなると いうのがほんとだと思うんですけどね。 吉村委員  急激に話が進んでしまったんですけども、これはもう少し真剣に考えないと、これを ほんとに認めるのか認めないのか。認めないという立場だって僕はあると思うんですよ ね。それが子供の福祉を考えていないかといったら、それはそうともいえないところも あると思う。ですから、例えば近親婚にならないことの確認を求めることができる。こ れはイギリスではこういうことをしているわけですけれども、恐らく近親婚にならない ことの確認を求める人というのは受けた人の1割にも満たないだろうと思うんですね。 親が告げないという状況があると思うんですね。ということは、前提として出自を知る 権利を認めるということになるということなら、受ける前に両親に、子供に対して知ら せなくてはいけないということを義務づけることが必要になってくるのではないかと思 うんですね。特別養子制度の場合なんかはリコメンドするということになっていると思 うんですね。ところが実際に行われているのは4分の1しか告げられてないわけです。 要するに子供が知った場合には自分には権利があるということだけでいいのであればよ ろしいんですけれども。その辺をよく考えないといけないんじゃないかと。 加藤委員  もう一つ違う話が、今までの日本の法律だと、出自がわかった場合には親子関係の確 認を求められる可能性があり得たわけですね。しかし新しい制度ができて、配偶子の提 供者は父や母にならないという法律上の規定が明確に出された場合には、そういうリス クは提供者の側になくなるわけですよね。ですからその場合には、極端に言うと名前が わかっても構わないと。それによって法律的なトラブルに巻き込まれることはない、そ れがわかればそれでいいというやり方もあり得るんじゃないかなと思うんですけれども 。 矢崎部会長  今のはもう法務省により、、我々の同意書によって巻き込まれないということが法的 にある程度担保されているわけですから、そういうトラブルに巻き込まれるということ は避けられると。しかし、それ以外のものが幾つか、これは前も数時間にわたって議論 していつも同じところにきてしまうので。要するに、ぎりぎりのところで最終的に個人 を同定するものを知らせるかどうかという一点にかかるわけですよね。 才村委員  私はずっと前から案2なんですけれども、人の生命自身、存在自身の一部がわからな いということは非常に不安なことで、絶対に一生死ぬまでわからない人もそれはいるで しょう。でも、やはりわかる可能性はゼロではないわけですね。どこかでわかる場合も ある。そうした場合には親を恨むという人ももちろんおりますし、自分自身が生きてい く上でどういうところから生まれたのかということが、知ってどうするものではないに しても、あすを生きるためには必ずそれは知りたいと願う人たちがたくさんおられると 思うんですね。そういう意味から特定できる情報を開示する方に賛成なんですけれども 、ただ、先ほど吉村委員がおっしゃったように、特別養子縁組の調査、あれは大分前で 、養子縁組制度ができてから開示する年齢までが低年齢のところのアンケートでしたの で、現在ではもっと高い率ではないかと、これは想像ですので全然根拠はありません。 ただ、養子縁組で告知している人たち、子供自身が告知された人たちの話をいろいろ聞 いていますと、やはり告知されてよかったという話がかなりあるわけなんですけれども 。ここでも親御さんが生殖補助医療で生んだんだよということの真実告知をするように というカウンセリングはありますけど、今の段階では必ずしなければならないという義 務ではないし、養子縁組でも告知することが大事だと条文でも載っていますけれども、 実際にはしない人ももちろんいるわけで、告知するかしないかはその親に任せられるべ き、べきというか実際にはそうなっていくだろうと。そうすると、告知する自信がない 人はしないということが実際にありますし、告知する人は子供さんがそれを知ってもあ る程度耐えられる、事態に対していろんなことがあると思うんですけれども、提供者の ことはもちろんありますけれども、そういうことに実際面としてはなっていくのではな いかということが一つ。  それと、先ほどの15歳のところの開示の年齢とも関係してくると思うんですけれども 、成人後というのは15歳以上ということで、私としては15歳以上という子供の知る権利 を保証すべきだと思うんですけれども、15歳という年齢は思春期の真っただ中で、一番 実の親との人間関係が悪くなるといいますか、思春期のぶつかり合いが一番高くなって くるところの年齢でありますので、育ててもらってる親御さんとの関係が悪くなってし まってる場合もありますよね。だからこそ余計に、15歳という年齢で開示して、特定で きる情報まで開示して、知りたいと思う場合にはということで、その知りたいと思う人 は全部ではなくて、実際に動き出すのはごく一部だと思うんです。提供者まで会いに行 くということがほんとにはごくごく一部だと思うんですね。そのときのサポート体制を 十分にとるということを、私はこの案2を採って、そして15歳という年齢を選択するな らばサポート体制をしっかり持つということと同時に行わなければ、開示します、あと は何もしませんでは全然親子のためにはならないし、子供のためにもならないと思いま す。だから案2でいいんですけれども、どこになるのかわからないんですけど、開示す るときにすべて知りたいから自動的に15歳でぱっと教えるのではなくて、この子の精神 的な成熟度が開示することに耐えられるのかどうかという判断をちゃんとできる人が必 要ですし、開示するための精神的なプロセスにつき合う援助者が必ず必要だと。そして 提供者へのサポートする人が必ず必要で、それでないとこれは私は是認できないし、ま たそれはもし用意すれば私はできるものかなと思います。 矢崎部会長  全くおっしゃるとおりで、最終的にお教えするときにはきっちりしたシステムができ てないとなかなか、ただ教えるということにはならないとは理解しています。ですから 案2というのは、才村委員が言われた包括的なものを踏まえた上で最終的にはこういう 場合もありますよというのが案2であって、案1は、個人を同定するまでの情報は絶対 教えないと。絶対教えないというのは、要するに提供者が承諾すれば教えますよという ことになるかと思うんですね。ただ、そうしますと実際問題として教えていいですよと いう人と、絶対教えちゃだめですよという人が分かれちゃうと、現実問題として極めて 深刻な状況を来す可能性があるので現実できはないと思うんですね。ですから案1は個 人情報の同定までは認めないと。それから案2は、御両親とお子さんと状況をきっちり 判断して、最終的にお教えした方がいいということが出た場合には、最終的にはお教え する状況もあり得るというのが案2じゃないかと思います。 鈴木委員  部会長、きょうこの話をやっつけてしまうおつもりでいらっしゃるんでしょうか。い きなりきょうこれと言われたので、まだ頭がついていってない、切りかわってないとこ ろもあるんですね。今後のタイムスケジュールについて、私たちの任期もたしか6月ぐ らいまでになってましたから、この二回りの議論をどのぐらいのペースでやっていかな きゃいけないのか、ちょっと見通しの件を後でお願いいたします。 矢崎部会長  これはもう何回もお話ししたように、できれば3月いっぱいで終わりにしたいと思い ます。 鈴木委員  3月いっぱいといいますとあと私たちは3回ぐらいですね。それで何とか結論をと。 矢崎部会長  ちょっと、やっつけという言葉は訂正してもらいたい。 鈴木委員  なかなか合意に至るのが難しいと思いますので。 矢崎部会長  専門委員会と同じくもう23回もやってますので、議論を重ねればいい結論になるとい うことにはならないのではないかということで、あまり強引にするということではない んですが、そろそろ皆さんまとめていただければというふうには思います。 鈴木委員  わかりました。 加藤委員  矢崎さんがおっしゃった絞った論点ですね。つまり、必ず提供者の名前を子供に教え るという原則にするのか、提供者をアイデンティファイできる情報は必ず教えないとい うことにするのか、提供者が同意すれば教えるということにするのか、突き詰めればそ の3つですよね。 矢崎部会長  提供者が同意すれば教えるということは、現実問題としてかなり難しいのではないか と。だから同意する人と同意しない人がいたら、それこそ個人を同定する情報を得られ る人と得られない人が出てくる。 加藤委員  才村さんの話を聞いていると、提供者が同意しているのに画一的に教えないというこ とにする必要はないかもしれないですよね。知らせてもらえば安心してうまくいくのに 、わざわざそれを意地悪して教えないという必要はないんじゃないかという。 矢崎部会長  それはそうですね。 加藤委員  3つあってね、提供者が同意すれば教えていいというのは、それをわざわざ禁止する という理由はないとすると、結局絶対教えないという方針にするのか、絶対教えるとい う方針にするのかですよね。 鈴木委員  今の話よりちょっと前段階の話なんですが、先ほど吉村委員がおっしゃった告知の義 務づけと関連するのですが、基本的には15歳になったら開示請求できるという話でこの 間まとまりまして、そのときには例えば私はAIDで生まれた子なんではないかという 疑いを持った子たちが問い合わせをするわけですよね。だから最初の問い合わせ、ある いは開示請求の中身というのは、私の親はこの技術を受けていますかというのがまず第 一段階で、いきなり私の親はだれですかという請求ではなかろうと思うんですよ。だか ら開示してほしい情報には3つあって、まず親がこの技術を受けたかどうかが一つあり ますよね。 矢崎部会長  それはもう議論していて…。 鈴木委員  それでいいんですよね。だから考え方としては、まずそこについて受けてます受けて ませんという返事の仕方が一つあって、もう一つ近親婚に関しても返事はしようという ことになっていて、それで3つ目に関して、じゃあその精子なり卵子を提供したのはだ れですかという問い合わせに対してどこまで答えようかという話をしてるんですよね。 矢崎部会長  そうです。でも第一段階目も、自動的に全部教えるわけではなくて、ある程度必要な 場合にはこういうことで医療が行われたかどうかというのは、聞かれたらすぐお知らせ するというわけではないと思います。この間町野委員から、提供者のプライバシーの権 利もあって、最終的には教えるということに対していかがなものかという御意見があっ たと思いますが、私としては2つしかないと思うんですよ。提供者がいいと言ったら教 えるというと、やはり子供の立場から見ると、いいですに当たった人とだめですに当た った人の大きな差が出てきちゃう。それは極めて大きな問題になってしまうので、やは りぎりぎり個人の同定できるところまで、最終的には教えるということになるのかなら ないのか、その辺の判断を迫られていると思うんです。案2というのは、単に請求があ ったら教えるということではなくて、いろいろ議論した上で判断として教えなければな らない場合には教えることもあり得ると。 町野委員  この間というのは大分昔のような、少なくとも去年ですね。私はやっぱり分けて考え なきゃいけない。つまり本人の知る権利というのは絶対に、提供者の側がノーと言おう と認めなきゃいけない範囲というのは必ずあると思います。近親婚を避けるため、これ はそうですよね。次の問題は、それ以外の出自を知る権利、親をどの範囲で特定できる かという問題で、これについて提供者の側が何と言おうと絶対にこの範囲で認めるべき ものというものを決めなきゃいけないだろうと思うんですね。そしてそのときには、ど のように決めようとも今の趣旨は提供者の側に告知しなければフェアじゃないというこ とですよ。それだったら私提供しませんと、その権利がなければおかしいだろうと思い ます。だから今のインフォームドコンセントの問題とこの問題は全然別の問題です。た だ、どの範囲でそうするかを決めなきゃいけないといことだろうと思います。そして、 例えば町野が提供者だというようなことまで知る権利があるとしますよね。そうします と恐らく私は提供しないという方になるだろうと思うんですね。そのことを考えなけれ ばだめだろうということなんです。そしてもしそこまで、多くの方がお考えのように、 AIDで生まれる子供については親を知る権利、出自を知る権利がそれだけ大切なもの だとするならば、私はそこまでいくべきだろうと思います。もしそうじゃなくて、提供 者の側がイエスと言ったときじゃなければだめだという具合にしますと、人によって違 いが出てくるのは困る。そうお考えならそれも採るべきじゃないということだろうと思 うんですね。だけど、先ほど加藤委員が言われたとおり、本人がいいと言ってるんだか らいいじゃないかという議論は、私はこれは否定するわけにはいかないだろうと思うん ですけれどもね。 石井委員  町野先生は提供者がいなくなると、加藤先生もそうおっしゃったんですが、個人を特 定できる情報を開示するということの問題点というのは、それだけということなんでし ょうか。 吉村委員  それもあると思いますが、もう一つはクライアント夫婦がそれを希望しないというこ とですね。それが非常に大きなファクターだと思いますが。クライアント夫婦が例えば AIDをしたということを子供に告げたくない。これも非常に大きなファクターだと思 う。僕はそちらの方が大きいと思います。 鈴木委員  私が先ほど言いたかったのは多分そこなんです。つまり、親が知らせまいとしても、 疑いのある子が15歳になったら、自分の親が受けたかどうかを開示請求できるという のがさっきの話だったじゃないですか。少なくともうちの両親はAIDを受けたという ことは、親が絶対知られたくないと思っていても、子供がその気になればわかるという ことですよね。違いますでしょうか。 矢崎部会長  要するにこれが決まれば自動的に親が子供に知らせなければいけないということでは ないと思います。 吉村委員  それは大変よくわかるんですね。私たちはこの前データをとったんですね。父親と母 親、8歳ぐらいになる子供をもつAIDを受けた父親と母親に対して、これは皆さんに 現実を知っていただきたいと思うので出したいと思ったんですが、死ぬまでAIDをし たという事実を知らせないで持っていくという方が7〜8割いるんですよ。黙ったまま でね。子供にはそれは知られたくないと。例えば知っても親を捜しますかというと、探 してほしくないという方が圧倒的に多いんですよ。ですから、そういうときに出自を知 る権利を考えていく場合に、受ける方の考え方もある程度理解した上で把握していかな いと混乱を招くと思うんですよ。それはなぜかといいますと、スウェーデンのように出 自を知る権利を認めても、なお半数以上の方がテリングを行われていないという現実。 これはアメリカでもAIDに関して半数以上は知らせてないんですよ。それがいいかど うかはまた別ですよ。ですから、その現実を我々がこういった医療を受ける場合に、ク ライアント夫婦がどういうことを考えているのかということも少し考慮に入れるべきで はないかと。先生がおっしゃったように、告げるかどうかと子供が知る権利は違うと。 しかし、これはある程度リンクするものだと思うんですね。ですから、この辺はやはり 慎重に、子供にとってはAIDを受けたとすればそれはだれでも知りたいと言います。1 00%言うと思います。しかし、それを全部知らせるのが子供にとってほんとに幸せかど うかはだれも結論を出すことはできない。ですから、この中で一番難しい問題だと思う んですね。世界のこういった医療をやられているすべての国が結論を出し得ていないん ですから。日本がスウェーデンの次に出自を知る権利を認めるということを言ってもい いんですけど、そこまでほんとに日本の家族社会というのが出自を知る権利に対して成 熟しているかどうかということをもう一回考え直して、いただきたい。しかしこういっ たことを新しくやるんだから絶対にこういう方法でやりましょうということが皆さんい いとおっしゃるなら、それはやむを得ないと思います。そうすると一番現実面で困るの は、今までAIDを受けていた人たちが大変困るだろうと。1万何千人生まれているか もしれませんが、この人たちは大変困るのではないかなと私は思いますが。 矢崎部会長  これは振り返って全部適用されるものではないですよね。 吉村委員  もちろんそうですし、しかし、私は実際において今後やる場合に現実を理解してほし いと。 矢崎部会長  そうですね。 町野委員  遡及しないかと言われれば、これは遡及しない理由はないと言わざるを得ないでしょ うね、恐らく。権利としてみんなに保証すべきだということなら。不利益をさかのぼら せることはできませんけれども、事態がよくなったことは前の人にも保証されるのは当 然のことですから。何月何日以前にやった人についてはだめですという理屈はないでし ょうね。 才村委員  それは同意を得てなくてもですか。提供者に開示するという同意を得ていないですよ ね、今のところは。 町野委員  もし提供者側が何と言おうとも出自を知る権利を認めるという理屈ですと、前の人ま でさかのぼらなければならないということになると思います。提供者側がOKと言って いればもちろんこれは差し支えないという考え方です。問題は提供者が嫌だと言ってい ても教えちゃうか、あるいは何も言っていないときについても知る権利があるかと、そ こまで認めるべきだという方がおいでならそうなりますね。 才村委員  私の理解では、今から実施する医療で提供者の方に説明をし、同意を得られるならば 提供していただくという、インフォームドコンセントをとりながら、その方についての み開示をするという理解をしてたんですけど、そうではないんでしょうか。 町野委員  私は才村委員が違う見解だと思っていましたけれども、わかりました、私の見解と同 じだということですね。 矢崎部会長  ですからしっかり医療として定着させるという意味では、ちゃんとインフォームドコ ンセントをとって、システムができた上でそういう対応をこれからやっていかないとい けないということと理解していますが。 才村委員  今から実施するということは、結局15歳以上ということは今から15年後にその体制が どの程度までできてるかということでの論議だと私は思っていて、15年後にそういう体 制を目指すべきではないかと私は思うわけです。 矢崎部会長  私もそういう理解で、これからの問題としてどういうふうに英知を絞ってそういうシ ステムをつくるかということと理解してたんですが。 吉村委員  これは非常にプラクティカルなことなので理由にはならないといつも言われるんです が、スウェーデンも提供者が減りました。提供者が減ってもやむを得ないという状況で あるならば、いたし方ありません。その際にはテリングが前提となり得るということを 言わないと、この出自を知る権利とはリンクしていかない。なぜかといいますと、出自 を知る権利を認められた子供というのはごく一部の子供になってしまうわけですね。こ れも非常に変な話だと私は思うんですね。 矢崎部会長  でも先生、必ずテリングしなくちゃいけないという理由あります? 吉村委員  ということは、知る人と知れない子供がいてもいいということですね。 矢崎部会長  それはしょうがないんじゃないでしょうかね。 吉村委員  なるほど。 加藤委員  強制的に知らせろ説は石井さんなんじゃない。 石井委員  いえ、私は強制的に知らせるではなくて、子供が本当に知りたいと思ったときに、知 らせるという意味です。案1を採ってしまった場合には知ることができないということ になってしまうということですよね。ですから、そうではなくて、知りたいと思った子 供が知ることができる、それを保証するためには案2を採るしかないんじゃないかと思 うということです。 矢崎部会長  案2を採った場合には相当深刻な選択ですので、やはり法的に提供者をしっかり守る とか、あるいはほんとにアイデンティティが必要なために出自を知る権利が行使されて いるかとか、そういうしっかりしたプロセスを踏んだ上で、やはり渡辺先生みたいな方 が…ただ、ほんとに精神的に相当なトラブルになって、教えないとということになった ら、それはまた今度は法的な親子関係以外のトラブルに提供者が巻き込まれてしまう可 能性もありますよね。だからあらゆるケースをよく考えて判断しないといけない問題で 、どうなんでしょうかね。松尾委員いかがですかね、その辺の問題は。 松尾委員  石井先生と同じ見解ですが、第一に守られるべきは子供だと思います。親はいろいろ な選択肢の中からこういう方法を選択して子供を産んだわけで、子供には選択権はあり ません。 矢崎部会長  子は守らなきゃいけませんが、今度そういうときに精神的なトラブル、要するにアイ デンティティを知りたいというときにどうこうというのはいいんですが、ずっとトラブ ルがあって、最終的に治療の一環として提供者の情報をお教えするというのは、これも また大きな問題で、それこそ子供を守ると同時に提供者を守らないといけない。ですか ら、親子関係で提供者を守るというのは法的にできますが、精神的ないろんなトラブル のときに先生は提供者をどういうふうに守ることができるかということですよね。そこ は大きな問題。だからこの立場から見た場合に、親を知らせるというのはよくわかりま す。自己のアイデンティティを確立するために必要だという議論はわかりますが、そう いうときに提供者をお教えするというのが、そうすると今度は提供者はどう守られるの かということにもなってしまいますよね。だからその辺も考えていただかないと、なか なか難しいかなということなんです。 松尾委員  全くそのとおりだと思いますけれども、それは運用の問題やそのときの状況への対応 の仕方の問題で、やはり原則としては子供がアイデンティティクライシスになった状況 で情報を開示しないというのは、どう考えても矛盾していると思います。 矢崎部会長  渡辺先生の発言の前に少し状況を固めておかないといけないと思うんですが、そうし ますと、松尾委員が言われたようなアイデンティティクライシスのときに、提供者を守 ることができますでしょうかね。 澤委員  最終的には提供者がすごく少なくなると、この医療が非常にやれる確率が少なくなっ ちゃうという現実はあると思うんですけれども、先ほど松尾委員がおっしゃったように 、クライアントはいろいろな選択肢からこの選択ができた。提供者も最終的にはそうい うこともあるかもしれないということをきちんとインフォームドコンセントしなければ フェアじゃないですし、子にはそれが何も与えられてないわけですから、それをすべて 言った上で提供者になっていただくということが原則になってきちゃうんじゃないです かね。もちろんそれで減ってしまうということはわかるんですよ。わかるんですけれど も、それは大原則になるような気がするんですけど。 才村委員  先ほどの提供者が被害を受けるというのはね、どういうことが考えられるんでしょう か。提供者自身は生命の一部を既に提供してつくってるわけですね。子供の生命の一部 のその人自身は提供者は既にその責任があるわけですよね。その子供が動揺しているの にどういう被害をこうむることがあるんですか。それは何もないと思います。そういう こともわかった上で提供すべきだと思いますし、人間として生きている上で、もしその 子供が何か危害でも加えるなら警察で傷害事件とかで取り締まってくれるわけですし、 だからその人が生きていく上で提供者がどんな被害が考えられるんでしょうか。それは 私は考えられないと思います。 矢崎部会長  それはいろんなケースがあって、傷害を警察がどうのこうのって、それは警察には期 待できないですよね。いろんなことが起こって、いろんなケースがあると思いますよ。 そのときにはだれも守ってくれない状況ですよ、子供も提供者もね。そういうときにど うするか。 渡辺委員  私も先生方のいろんな観点のお話を聞きながら大変勉強させられて参考になるんです けれども、ともかく全く新しい親子関係に私たちが踏み出そうとしているときに、やは りほんとに一つ一つのケースをフェアにオープンに個人を守りながらやっていくシステ ムでやっていかないと、必ず犠牲者が出ると思うんですね。そういう意味では提供する 人も人、不妊治療で提供を受ける側も人、生まれる子供も人だと思うんですね。みんな 同じ人間なんだというところで、ほんとにその人たち自身の人間としての尊厳と主体性 を守れるようなシステムを、何年かかってでもいいから一歩ずつつくっていけるのであ れば、私は生殖補助医療はほんとに子供を産んで育てたい人の福音になると思いますし 、日本のように子供を産まない人たちがふえている中で必要になってくるかもしれない と思うんですね。  でも、いずれにしてもこの生殖補助医療でなくても、親になっていくということは覚 悟が要ると思うんですね。それから、親になっていく不妊治療の生殖補助医療を受けら れる方もやはり覚悟をしていただきたいと思うんですね。提供する方たちの自己決定権 というのはやはり保証されるべきであって、その方たちの自己決定権として、今までの 時代は言わなければ知られなかったわけですけれども、これから15年間、どれくらい子 供たちがお年玉でDNAを調べ始めるかとか、子供たちのアニメの情報を見てますと、 よくも悪くもこういう問題にすごくマニアックに、興味のある方たちがすごくおもしろ いストーリーを描いて、そして先生方も知らない若者文化というのが、それはそれで一 つすごい経済的に成り立っている文化があって、そこの情報というのはおもしろいエキ サイティングな世界としてあるんですね。ですからメディアがいろいろ発展している中 で、仮に15年後にそういう情報を単なる匿名としたって、子供は探し得るということが 起きるかもしれないということを想定しておいた方がいいと思うんですね。  だから怖いから知らせるんじゃなくて、いつ何時子供に問われても、うそ偽りのない 関係で、育てている親たちが安心してその子供の問いを受けとめられるだけのプロセス を、親と一緒に歩んでいける人間関係を発達させるようなシステムを少しずつつくって いったらいいと思うんですね。提供者が減っても、その提供者の方が万が一知られても 、そのときは覚悟していますと、そのお子さんのプラスになるのであれば、それは受け て立ちましょうという覚悟をしてらっしゃる方だけでもいいですから、そういう方たち とつくっていくシステムが医療関係、行政関係、当事者の方たちの団体など、責任を持 てるボディでもってつくっていくということができないかなと。例えば医療の場面で、 血のつながりじゃない信頼関係というものを子供ともお年寄りとも親御さんとも持って いますので、その人が自分がやっていることに関して責任を持つということをもう少し 具体化して明示すれば、つまり提供者の方は子供さんが人間としてだれから生まれたか ということを知りたがるということに関して、ほんとに考えていただくという覚悟は必 要ですといったカウンセリングのレベルにもなると思うんですけれども、一歩ずつそう いうより真実で安心な関係につながっていくようなシステムをみんなで考えなきゃいけ ない。  ですから私は、機械的に教えるとか教えないとか言っているのではなくて、仮に子供 が聞かなくても、いつ聞かれても大丈夫だという中で親子関係を展開しないと、せっか く苦労して育ててもほんとに幸せな親子関係にはならないと思うんですね。提供者の方 も、いつ仮にそういう子があらわれても、自分はだれかと相談して、こういう人間的な 視点から、幸せな人生が一つでも生まれればいいと思ったというふうに答えられるよう な、そういうものがあれば私は人間皆同じだという観点を保証できればいいと思います 。ただ、やみに葬って墓場までみたいな、そんな悲壮なことを言っている方が多いとし たら、私はむしろ生殖補助医療って男性が自分の不能を社会的に隠すために行われてい るものなのかって、不能だっていいじゃないですか。そうなってきますと社会の幼児教 育や小学校の教育などの中に、いろいろな形の出自、いろんなものがあるんだというと ころも入れていかなければいけませんし、墓場までうそをついていくという男性が気の 毒だと思います。そんなことじゃなくて、たまたま運悪くそうなった場合に、もっと胸 を張ってやっていく方法もあるんだということを、オルタナティブというのを私は考え たいと思いますけれども。 矢崎部会長  ありがとうございます。必ずしも男性だけじゃないと思いますが(笑)。こういう生 殖補助医療は極めて難しい。現実にはもう、うやむやのうちにというと言葉が過ぎるか もしれませんが、現実には行われてしまっていたわけですよね。そこでいろんな問題が 起こっているので、この際この機会にきっちり、しっかりしたシステムの上で行いまし ょうということですから、これは極めて大きな進歩であり、我が国の今までの医療の姿 を大きく変える大きなステップになると思います。 町野委員  案1と案2の相違ですけれども、結局その相違というのは、案1のように、本人がこ の範囲は教えてもらいたくないと言ったときは、それにしたがって提供を受けるという ことを案2は認めないということですよね。そこは最終的なそれなので、皆さん方の御 意見を伺っていると、もしかしたら案1のような人もおいでになるんじゃないかと思う んですよ。つまり出自を知る権利を認めるべきだという人の中でも。渡辺委員は案2と いうことですから、要するに案1のような中途半端なことは絶対だめだということです よね。それだけの人がどれだけおいでになるかということを私は知りたいと。 矢崎部会長  これは多数決というわけにはいかないので。 町野委員  いや、多数決じゃなくて、どういう人がおいでかということを。 矢崎部会長  ですから議論を言っていただければ大変ありがたいんで、黙っていると私の考えと同 じだということで(笑)。そうしますと町野委員としては案1…。 町野委員  私は渡辺委員の言われることも非常によくわかるし、そうお考えだろうと思いますけ ど、やはりここは一つ一つ進んでいかなきゃいけないんじゃないかと思います。最初か らそういう中途半端な人間の提供は受けないというふうに言い切ってしまうのではなく て、提供する人の側にいろいろ聞いてみて、ここまであなたいいですかということを言 った上で、もしかしたらそれで私は私自身のことを知らせてもらっても結構という人が 出てくる可能性があるだろうと私は思うんですね。そこから始めるべきで、最初から案 2のようにしてしまってドラスティックにやるということはよろしくないんじゃないか というのが私の考えです。 矢崎部会長  すいません、案2というのは町野委員の言われた御意見に近いんですけどもね。とい うのは、機械的に開示するというのではなくて。 町野委員  もちろん違います。私は今のようなことではなくて、今言おうとした第2の問題とい うのは、今のような意味で案1を採るにせよ案2を採るにせよ、本人にある範囲のこと を知らせなきゃいけないということがあるわけですね。それも私は権利である以上、ほ んとはできるだけ本人に知らせる方向をとるべきだろうと思いますけれども、しかしな がらなかなかそれだけの体制が整っていないというのが皆さんの御意見ですから、それ はステップバイステップにいかなきゃいけないだろうと思います。つまりどの範囲で本 人が知る権利を持っているかという問題と、それを持っていたときにその権利を実効性 あらしめるような適切な方法をとるということはもう一つ別の問題なんです。そういう ことまで考えるとステップ1として案1のような考え方を採って、そして徐々に提供者 の幅をふやすと同時にその体制を整えていくということが私はいいのではないかと思い ますけれども。 矢崎部会長  ですからね、提供者に対して個人のプライバシーを守りますと。しかし、最終的には 個人を同定するような情報も公開しなければならないかもしれませんということで同意 書をとらざるを得ないんですよね。さっき町野委員はそういうふうに言われたのではな いんですか。 町野委員  その趣旨ではないです。私が提供するといったときに、ここまで教えていいと。しか しどのような人間であるか、背の高さとか性質とか顔とかそういうものはだめだと言っ たら、やはりそうせざるを得ないだろうということが案1なんですよね。 矢崎部会長  案1です。 荒木委員  提供者の意思も重要ですけど、私は松尾委員がおっしゃったように、子の福祉を第一 に考えて、せっかく開示するということであればすべて開示しなきゃいけないと思って 、私は案2にしたいと思います。 岸本委員  個人的な意見として、私は案1の方で個人情報を開示するということで、提供者には こういう場合もあり得ると、個人が特定できるような情報を生まれた子に言う場合もあ り得るかもしれないということはきちんと話しておいて、そうすることによって提供者 の数ががーんとなくなるということもなく、幅を持たせるといいますか、案1にしてお いて、子供が必ずしも親を知りたいと言うとも限らないし、15年、20年先に提供者が、 会うだけだったらいいわとか、話しするだけだったらいいわとか感情も変わると思うん です。案2にしてしまうとそれ以上引き下がれないというか、一応案1にしておいて、 こういう場合もあり得るかもしれないという幅を持たせておくというのが個人的な意見 です。 矢崎部会長  それは先ほど私が申し上げた、インフォームドコンセントでそういうふうにすると。 だから、案2を見ますとイコール開示となりますが、やはり提供者も開示を受ける側も ある程度きっちりしたステップで、ほんとにこれ大変なことですからね。やはりインフ ォームドコンセントをとるときは、最終的にそういうことが起こり得るかもしれないと いうことをインフォームドコンセントにとらないといけない。提供したらすぐにこうな りますよということじゃないと思うんですね。それをいかに案2に組み込ませることが できるかということだと思います。そのほかいかがでしょうか。 鈴木委員  提供者が減るという話に関しては、以前ヒアリングでスウェーデンのお話をしてくだ さったときに、一時は確かに減ったけれども、その後それでもOKだという提供者たち が出てきて、比較的安定した状態になってきたというお話をなさっていたと思うんです ね。15年という時間の中で日本も変わる可能性に期待したい部分はあります。もう一つ は、全面開示ということになったときに、きょうここで結論出すのかわかりませんが、 兄弟姉妹等からの提供との絡みもあるのではと思います。提供者が現実に目の前にいる おじさん、おばさんですということがわかってしまう。それをどうするか。      矢崎部会長  どうもありがとうございました。時間がきましたので、次回きょうのお話をよく考え ていただいて、案2がストレートに1対1に対応するようなので、ちょっと変えさせて いただいて御議論いただいて、その次にはもう一つ重たい兄弟姉妹のことも検討させて いただきたいと思います。 宮本室長  今、才村さんにお願いしたんですけど、スウェーデンの場合シングルマザーで生まれ た子供が実の父親を知る権利が保証されているのか。AIDの場合とシングルマザーの 場合とで違う手続きになっているのかどうか。もし情報がわかれば教えていただきたい ということです。 矢崎部会長  それでは今度2月ですね。この日の短い、5時になると日が暮れてくるような状況で この2つの重たい問題を議論したいと思いますので、よろしくお願いいたします。きょ うはほんとにどうもありがとうございました。事務局の方で何かございますか。宮本室 長  次回でございますが、2月27日木曜日、午後2時から5時までということで、場所は この隣になります17階専用第18会議室で開かせていただきます。各員の御意見や御指摘 を引き続きメールやファックスでいただくということでお願いしておりまして、こちら の締め切りを2月25日の午前中までとさせていただきます。先ほど吉村委員から御発言 のありました調査がまとまったと伺っておりまして、座長とも相談しましてそういった 内容をまた次回御紹介させていただきたいと思います。 矢崎部会長  それではよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。                     照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                         03−5253−1111(代)                         宮本(内線:7933)                         天本(内線:7939)