戻る

(別添2)


パート労働者に係る就業調整等について


就業調整等の方法 現行制度の適用基準 就業調整の可能性等
就労時間等を適用基準以下に調整する場合 「通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上」であれば適用
(昭和55年6月6日 各都道府 県保険課(部)長あて内かん)
 現行制度において、パートの所定労働時間(或いは所定労働日数)を3/4以下に抑える等の就業調整がみられる。

 「平成13年パートタイム労働者総合実態調査」によれば、就労調整を行っているパートは全体の22.6%、そのうち「所定労働時間を正社員の3/4以下に抑えている」と回答した者は5.2%。

 「多様な就業形態のあり方に関する調査研究((財)21世紀職業財団)」によれば、「パートの社会保険の適用」について、パートがいる調査対象事業所のうち47.5%の事業所が「適用の有無については、パート本人に選択させる。」と回答、21.5%の事業所が「適用されないようにしている」と回答。

 適用基準を「週所定労働時間20時間以上」または「年収65万円以上」 とした場 合、以下の理由から就業調整が生じる可能性は一層小さくなると考えられる。

(1) パート労働者側における調整行動

   週所定労働時間を20時間未満にした上で、年収も65万円未満とするパート労働 者は、以下の理由から限定されるものと考えられる。

(1)  労働時間を週20時間未満となるよう調整することは、本人負担分の保険料を免れることを考慮しても、却って手取収入の減少につながる可能性があること。

(2)  厚生年金が適用されることによって、報酬比例部分の給付につながるとともに、障害厚生年金等の保障にも及ぶことから、調整ニーズは小さくなると考えられること。

(3)  「平成13年パート労働者総合実態調査」によれば、パート労働者(女子)の過去1年間の平均年収は115.8万円であり、70万円未満の者も全体の12.7%程度にとどまること。

(2) 事業主側における調整行動

   事業主側が、週所定労働時間を20時間未満、年収65万円という就労に調整する可能性も、以下の理由から限定されるものと考えられる。

(1)  週所定労働時間の短縮による調整を行おうとすれば、かえって管理コスト等(例えば採用コスト、交代・代替要員の確保や、通勤補助、厚生施設等員数に応じた費用)がかさむおそれがあること。

(2)  週所定労働時間のみならず、賃金水準を含めた見直しが必要となること。このため、パート労働者の納得を得るのは難しく、ひいては就業意欲や帰属意識の低下、良質な人材の確保・定着といった面での困難を招くおそれがあること。

 「週所定労働時間20時間以上、年間収入65万円以上」という基準の下で就業調整する場合、週所定労働時間を19時間まで短縮した上で、更に時給を658円未満という低い賃金にとどめることが必要。

 他方、例えば女子のパート平均時給890円(平成13年賃金構造基本調査)で就労する場合には、週所定労働時間を14.1時間より短くしなければ、厚生年金の適用を回避できない。

 ┌
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 └
(参考)「第3回雇用と年金に関する研究会 資料1」−企業ヒアリング結果より−

 所定労働時間を引き下げた(20時間未満)場合には、人員の確保が困難になること、サービス面の低下が懸念されること1日の労働時間が細分化され勤務ローテーションが組みにくくなるといった問題が生じる。これらを考えれば、労働時間の引き下げによる厚生年金の適用回避は、現実的ではないと考える(C社、E社、H社)。

 収入要件(60万円〜65万円)が導入された場合、適用から外れる勤務形態をつくることは難しいと考える(F社)。















パートを外部委託に置き換える場合 適用事業所とその事業所従業員との間に使用関係があると認められる場合は適用
(厚生年金保険法第9条)
 パートに対する適用拡大を行った場合、企業がとる行動として、現在雇用しているパート労働者を外部委託に置き換えることが考えられる。

 「多様な就業形態のあり方に関する調査研究((財)21世紀職業財団)」よれば、「現在の3/4基準を1/2に適用拡大した場合の対応」について、「対象者全ての適用を避けようとする」と回答した事業所が全体の12.8%、そのうち33.0%の事業所が具体的な対応として「パートを外注に置き換える」と回答。

 外部委託等に置き換えた場合、「適用事業所」と「受託会社の従業員(以下「従業員」)」との間には使用関係はないため、当該事業所での厚生年金適用はない。
 一方、受託会社と従業員との間には使用関係が生じているため、従業員が適用基準をクリアーすれば、受託会社において厚生年金が適用。

 なお、外部委託の典型的な事例として派遣労働者の活用が想定されるが、派遣労働者に対する年金適用の取扱いについては、別途検討(登録型派遣労働者の待機期間中の取扱いなど)。
2月以内の期間を定めて使用する場合 臨時に使用される者で、2月以内の期間を定めて使用される者は適用除外
(厚生年金保険法第12条)
 2月以内の期間を定めて使用される場合であっても、社会通念上、使用関係の連続性が認められる事情にあれば厚生年金は適用。

 「平成13年パートタイム労働者総合実態調査」によれば、パートのうち「雇用契約期間が決められている」パートは全体の44.3%、そのうち「2ヶ月以内の契約期間」のパートは11.1%である(2 か月の期間を定めて使用される者は全体の5%程度)。
さらに「雇用契約期間が決められている」パートのうち、更新したことがないとする者は14.4%。


トップへ
戻る