戻る

厚生年金基金の代行返上・物納について


1 厚生年金基金の代行返上
   厚生年金基金は、厚生年金本体の給付の一部を代行し、それに企業年金独自の給付を上乗せする制度。


図

2 平成13年に成立した確定給付企業年金法により、厚生年金基金は、厚生年金本体の代行給付義務を国に返上することが可能となった。

3 実施時期
    平成14年4月から施行
     厚生年金基金は、厚生労働大臣の認可を受けた日以降の代行を行わないことができることとする。

公布日(平成13年6月15日)から2年6ヶ月以内の政令で定める日
     記録確認などが終了した厚生年金基金は、代行を行っていた期間について代行返上を行う。

 その際、厚生年金基金は、代行給付義務に相当する額(最低責任準備金)を現金で国に納付するが、株式などの有価証券で納付(物納)することも認めることとされた。(実際に物納されるのは、本年10月以降)

 物納された有価証券は、厚生年金の積立金として運用されるが、厚生年金の積立金はパッシブ運用中心であることから、法律上、物納できる有価証券は、有価証券指数の変動に一致するよう組み合わされた資産であることが要件とされている。

 具体的な要件は政省令で定めることとされており、国内株式についてはTOPIXに、国内債券についてはNOMURA−BPIに連動するよう構成されていることなどの要件を定める方針である。


図


【今後のスケジュール(案)】
   
 2月7日〜3月6日   パブリックコメント実施
 4月   政省令公布
 5月   事前相談開始
 7月1日   代行返上、物納申請受付開始
10月1日   認可開始


物納の要件(案)


国内株式
 
○指数 TOPIX (配当込み) に連動するよう構成されていること。
○銘柄 東京証券取引所第一部上場銘柄
   受渡日において(株)証券保管振替機構において移換が行えること。
○構成銘柄数 TOPIXの構成銘柄の90%以上であること。
○銘柄毎数量 各銘柄毎に単元株で構成されていること。
○指数連動性 推定トラッキングエラーが0.2%以下であること。
○物納資産額 物納資産の合計額が最低責任準備金の額を下回っていること。

国内債券
 
○指数 NOMURA-BPIに連動するよう構成されていること。
○銘柄 指数組入れ銘柄
   事業債、円建外債は、A格以上であること。
金融債は、BBB格以上であること。
国債以外の債券にあっては、(株)債券決済ネットワーク利用銘柄であること。
受渡日において振替又は移転登録が行えること。
○指数連動性
(1) 推定トラッキングエラーが0.2%以下であること。
(2) 修正デュレーションは指標からの乖離が±2%以下であること。
(3) 国債、地方債及び政府保証債を合わせたものの構成割合の指標からの乖離が±1%以内であること。
(4) 残存年限構成の割合が次の区分に応じて指標からの乖離が±1%以内であること。
      短期  1年以上3年未満
中期  3年以上7年未満
長期  7年以上
○物納資産額 物納資産の合計額が最低責任準備金の額を下回っていること。

複数基金による共同物納
        保有資産が中小規模の厚生年金基金においても物納が行えるよう、複数の厚生年金基金が共同して物納できることとする。


物納手続の流れ(案)


物納手続の流れ(案)


(注1)  現物資産の価格は、評価基準日の時価に基づき算定することから、この時点で価格が決定する。
 ただし、物納が一時期に集中する場合は、当該期間を延長することもある。
(注2)  物納許可書から受渡しまでの期間は、原則3営業日以内とする。ただし、物納が一時期に多数集中する場合は、当該期間を延長することもある。


物納時価評価基準概要(案)


○ 考え方
      金融商品に係る会計基準及び日本公認会計士協会「金融商品に関する実務指針」に準拠

○ 国内株式
   
(1) 取引所の当日終値(注)
(2) 取引所の当日最終気配値
(3) 当日の(1)、(2)がない場合は、直近採用値
(注) 二以上の取引所に上場されている場合は、直近3ヶ月間の日々の出来高を把握し、多い方を採用する。(入換は月初)

○ 国内債券
 (1) 上場債券
    
(1) 取引所の当日終値
(2) 取引所の当日最終気配値
(3) 当日の(1)、(2)がない場合は、直近採用値
(注1) 取引所において取引が成立しているものであっても、売買高が少量であるため、店頭取引による価格の方が時価としてより妥当と判断される場合には、当該店頭取引による市場価格を用いる。

 (2) 非上場債券
    
(4) 日本証券業協会が発表する店頭売買参考値(平均)
(5) 市場価格がない場合は、理論価格方式(市場価格に基づき、利子率、残存償還期間、当該債券の発行体の信用度等を勘案して算定)又は比準方式時価(債券の種類ごとに応じて、類似する店頭売買参考値発表銘柄を選定し、その銘柄利回りを用いて算定)等により算定した価格
(注2) (1)から(5)により算出された価格に移管元で生じる未収収益を加算。
未収収益は、直近利払日から、評価基準日の3営業日後までの間の利息分とする。


トップへ
戻る