第13回 社会保障審議会年金資金運用分科会
議事録及び議事要旨(案)
平成15年1月23日
第13回 社会保障審議会 年金資金運用分科会議事録及び議事要旨(案)
(議事を公開した議題(1)に係る部分については議事録を掲載。議事を非公開とした議題(2)以降については議事要旨を掲載。)
日時: | 平成15年1月23日(木) 16:00〜18:20 | ||||||||
場所: | 厚生労働省 5階 共用第7会議室 | ||||||||
出席委員: | 若杉分科会長、内海委員、大和委員、小島委員、高梨委員 竹内委員、福井委員、吉冨委員、吉原委員、米澤委員 |
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議事 | |||||||||
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○ | 基金では、パッシブとアクティブの比率、それから、アクティブの中のマネジャー・ストラクチャーの管理を行っているわけだから、その管理の結果の分析を行うことが望ましい。これは、年度ごとのディスクローズも同様。 |
△ | これらの分析は、短い期間で行うのは非常に難しい。また、比較対象を何とするかも難しいが、いろいろ勉強し、改善が図れるものがあれば、対応を考えたい。 |
○ | ぜひ検討して欲しい。 |
△ | 只今のご質問だが、昨年度のディスクローズの中でも触れているが、今、電気がオーバーウエートで、金融がアンダーウエートというビヘイビアは、日本株のマネジャー・ストラクチャーが、現状でグロースにティルトしているというのが背景にある。 これは、基金がグロースにティルトしたマネジャー・ストラクチュアを意識的に構築したのではなく、この数年の間にマネジャーのスタイルが少しずつ変わってきて、特にグロースにティルトするマネジャーが増えてきたということ。 そういったグロースにティルトしたマネジャー・ストラクチュアを見直すべきだというはっきりした認識のもとに、目下、株のアクティブ・マネジャーのストラクチュアを変えるべく、従来のマネジャーの評価と同時に、新規の採用も含めて検討中であり、ほぼ最終段階にある。そこでの最大の狙いは、全体としてニュートラルなストラクチュアを構築することである。 |
○ | ファンドマネジャーやスタイルの違いの評価について、どういうタイミング、期間で行うというルールはあるのか。 |
△ | 再構築を行うに当たっての考え方は、まず、各運用機関が、バリュー、グロースないしはマーケット全体を指向したアクティブのどれであるかを、ヒアリングすると共に、基金側でもデータを用いて独自に分析する。その上で、バリュー、グロース、市場中立型、これをそれぞれ複数集めて、合計した段階で市場と比較してスタイルとの乖離が生じないようにうまくバランスした構成をとるということを考えている。 その場合、評価の際に、バリューとか、グロースに合った評価の仕方を考え、その評価が行える体制を構築しなくてはいけない。 また、マネジャーというのは、時間がたつと、スタイルを変更させることがありがちであり、そうすると管理が結果的にできなくなるので、スタイル変更をさせないように契約ではっきり確認し、その後もチェックする必要がある。 |
○ | アクティブ運用については、委員から御意見も出ているので、アクティブ・マネジャーのマネジメントのことについて一度お話しいただきたい。 |
○ | 今、外国株式のうち米国株式の比率はどのぐらいか。また、外国株式の米国、EU諸国などの比率は運用受託機関に任せているのか。 |
△ | 米国株は大体6割。イギリスが1割強、ユーロ全体で1割5分ぐらい。全体としては20か国余り。パッシブの場合は、それぞれインデックスで運用しているが、アクティブの場合は、運用受託機関が基準に合った銘柄の中から比較的割安というものを選んで投資をしており、日次、月次報告などで把握し、分析している。 |
○ | 財投債の市中発行分の年限構成はどのようになっているのか。年金で引受けている財投債の年限構成と異なるのか、異なるのであれば何故か。また、財投債は満期保有としているが、誰が決めているのか。期間構成別の利回りはいくらか。 財投債は、法律で書いてあるから引き受けるのかもしれないが、本来、年金の積立金の運用は、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的にということでなければならないはずであり、そういう観点から、財投債の引受は、被保険者のための純粋な運用の効率の追求というのを歪めているおそれがある。今は経過措置期間だが、経過措置期間が終了した段階では、基本的には財投債は引受けるべきではない。7年の経過期間が経過すれば満期前の売却というのもあってもいい。 |
● | 14年度の国債及び財投債の市中発行分の年限構成は、2年債、短期債が25.8%。3年割引債と5年債を合わせた中期債が31.3%。10年、15年の変動利付き債、20年債、30年債を合わせた長期債が42.9%。全体の平均年限は7.45年。 そもそも、財投債の引受けは、財投制度の改革に伴う激変緩和という趣旨。市中発行が基本であるが、いきなり全額を市中発行できないので、経過的に一定部分、協力している。年金の財投債の引受年限については、当面短い年限で引き受けること、また、例えば30年債のような年限の長いものは引き受けなこと、という観点から、財務省と協議している。 満期保有については、基本方針において、「財投債は、国債として発行される債券であり、金融市場において運用を行っていくことが基本である。ただし、財投改革に伴い、相当量の国債が市場に流入する可能性があり、その市場売買が債券市場を混乱させぬよう留意する必要がある。したがって、基金は財投債の管理・運用に当たって、経済全般の状況や金利水準、市場の状況等を考慮して、売買の時期や量等について慎重に判断する」とに書いてある。従って、御指摘のとおり、満期保有すべきとは書いていないが、市場を混乱させないように留意するという趣旨を踏まえ、当面、満期保有すべきであろうということで、厚生労働省から基金のほうに満期保有を指示している。 利回りについては、基本的に、その時々の市場利回りに合ったものとなっている。 経過措置期間終了後については、財投債引受は経過措置、例外的な措置と思うので、そういう観点で考えていくということになる。 被保険者の利益のために運用しなければならないのは、全くそのとおりであり、積立金全体については、そういう観点に立って運用しているが、財投債の一部引き受けは、自主運用を行うに当たって、財投改革と年金積立金の自主運用を全体として整合的に運営していくため、制度として一定期間協力することとなったもの。被保険者利益と財投の円滑な改革というのを両立させるため、毎年、予算編成の中で、引受額などあるべき姿を具体的に決めている。 |
○ | 市中発行分の年限構成についてさらに詳しい内訳、10年がどれぐらいで、15年がどれぐらいで、30年がというようなデータ、を提供して欲しい。 |
● | 長期債42.9%の内訳は、10年債が29.1%、15年変動債が 7.3%、20年債が 5.7%、30年債が 0.8%。 |
○ | 基本方針は、基金が売買することを前提に、いろいろな状況を考慮して慎重に判断するということを言っている。今、厚生労働省から満期保有の指示をしているのは、基本方針が想定していたのとは違うのではないか。 |
○ | 基本方針を策定したときの含意は、当面財投債は満期保有を原則とするということであった。ただ、未来永劫満期保有しかしないわけではないので基本方針のなかに満期保有ということは書かなかった。 |
● | 背景として、年金積立金の自主運用は、国債の金利水準が非常に下がり、キャピタルゲインがとりにくい状態で始まっている。この場合に財投債を時価評価するか、簿価評価するかという問題があり、当面、金利水準が低い間は、満期保有を宣言して簿価評価するという厚生労働省の判断があり、財投債を購入するたびに基金に指示している。 また、財投債の引受の趣旨は、基本的な自主運用法の考え方と違う部分があるが、法律的な根拠を明示して行っており、財投制度が移行していくことに伴う経過措置と考えている。7年満期で財政融資資金から預託金が償還されるわけであるが、財政融資資金は、例えば25年とか、30年という期間で貸付をしており、そこに時間差がある。また、実際の財投機能は縮小しているものの、新規事業の資金利用について市場で調達をする必要がある。この両方の側面があるが、主に期間の違いに着目して、資金運用部資金法の改正のときに、明示的にこの関係の規定を入れ、その規定に基づいて、今のような協力を経過的に行っているものである。 |
○ | 財投債を含めた国債の引受に関しては、情報がオープンになっていないという認識があるのではないか。 今後、デュレーション管理や、インフレ連動債や利付き変動債等に関して、こちらのニーズを言っていく準備をしておく必要があるのではないか。従って、財投債引受の交渉の場で、どのようなことを言っていくのかなどを詰めていく必要があるのではないか。 |
○ | 市中発行の規模と財投債として年金が引き受ける規模との関係は、その時点その時点でどういうふうになっているのかも知りたい。もう少し財投債の運用について、詳細な説明をこういう場でしてもらえればありがたい。 |
○ | 郵貯、年金の引受けの比率はどのように決めているのか。 |
● | 基本的には預託の償還額の比率で決めている。預託した額が毎年同じではないので毎年若干ぶれる。 |
○ | 財投債引受のルールについては、一度伺う機会をつくっていただきたい。 |