資料1−2 |
「医療保険制度の体系の在り方」 「診療報酬体系の見直し」について (厚生労働省試案) |
(1) | 保険者の統合及び再編を含む医療保険制度の体系の在り方 | |
(2) | 新しい高齢者医療制度の創設 | |
(3) | 診療報酬の体系の見直し |
平成14年12月17日
厚生労働省
I.医療保険制度の体系の在り方について
1.制度改革の目指すべき方向
(1)現状と課題
(2)制度改革の方向
○ | 以上のような制度を通じた給付の平等・負担の公平を推進することによって、医療保険制度の一元化を目指す。 |
2.保険者の再編・統合
(1)現状と課題
○ | 5000余りの数多くの保険者が分立し、年齢構成や所得に差異がある。 |
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○ | 政管健保は約3600万人の加入者を抱える一方で、健保組合や国保では小規模、財政窮迫の保険者が存在している。 |
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○ | このため、保険者の財政基盤の安定、保険者としての機能の向上を図っていく必要がある。 |
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○ | 以上のような視点から各制度の課題をみると、
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(2)基本的な方向
(1) | 保険者として安定的な運営ができる規模が必要であること | |
(2) | 各都道府県において医療計画が策定されていること | |
(3) | 医療サービスはおおむね都道府県の中で提供されている実態があること |
(3)保険者の再編・統合の具体的方向
(4)保険者の再編成と地域における取組
○ | 保険者・医療機関・地方公共団体などの関係者が、都道府県単位で連携して地域の住民に対し質の高い効率的な医療を提供できるよう取り組む。
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○ | 当該計画の実施に当たり、住民の健康づくりや適切な受診、病床の機能に応じた効率的な利用の促進など、地域における取組に必要な措置に関し、国と都道府県の間で協議・検討を行う。 |
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○ | 医療の地域特性に起因して生ずる医療費の地域差部分については、地域における適正化努力を促すような仕組みを導入する。 |
○ | 再編された保険者は、レセプト点検等の取組を更に強化するとともに、被保険者相談、地域の医療サービス等に関する情報提供、保健事業を都道府県単位で共同して実施する。 |
3.新しい高齢者医療制度を含む制度改革
(1)現状と課題
○ | 少子高齢化の進展や就業構造の変化等により各保険者の年齢構成や所得に差異がある。 |
○ | 被用者保険と国保を比較した場合、現役世代の加入者は被用者保険に多いが、退職年齢の前後から、被用者保険から国保への移行が始まり、高齢者世代の加入者は国保が多いという状況になっている。 |
○ | 一人当たり医療費は、年齢が高くなるにつれて上昇しており、特に、60歳代から急激に上昇するため、一人当たり医療費の高い高齢者世代の多い国保における医療費の負担が大きくなっている。 |
○ | こうした構造による制度間格差が、近年の急速な少子高齢化や就業構造の変化により、一層顕著となってきている。 |
○ | これまでは、老人保健制度や退職者医療制度による調整を行ってきたが、現行制度では、
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(2)制度見直しの方向
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(A)制度を通じた年齢構成や所得に着目した財政調整を行う案 〈ねらい〉
〈具体的内容〉
(B)後期高齢者に着目した保険制度を創設する案 〈ねらい〉
〈具体的内容〉
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4.制度改革の手順・時期
(1) | 今年度中に策定することとされている「基本方針」の策定後、概ね2年を目途として改革に着手する。 それまでの間においても、可能な限り保険者の再編・統合を推進する。 |
(2) | 14年度改革における「高齢者医療の対象年齢引上げ(75歳以上)と公費負担の重点化(給付費の5割)」の姿が完成した段階において、改革の実現を目指す。 |
II.診療報酬体系の見直しについて
1.基本的考え方
(1)現状と課題
○ | 現行の診療報酬体系は、昭和33年に新医療費体系として構築された。 その基本的特徴は診療行為ごとの出来高払いであるが、その後40年以上が経過し、累次の改定を経る中で、点数項目は大幅に増加、複雑化し、国民に分かりにくいものとなっているとともに、現行体系には、以下のような課題が存在している。
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○ | また、診療報酬体系は、平均在院日数が長く、医療機関の機能分化が十分に進んでいないなど、我が国の医療提供体制が指摘されている課題にも影響を及ぼしており、医療提供体制の重点化・効率化の観点からの見直しが必要である。 |
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○ | さらに、少子高齢化の進展や疾病構造の変化等を踏まえ、医療保険制度の安定性や持続可能性の確保に寄与しつつ、患者のニーズの多様化や医療技術の高度化に的確に対応するとともに、生活習慣病等の重症化予防に資するような診療報酬体系を目指していくことが課題である。 |
(2)改革の基本的視点
○ | 診療報酬体系については、患者の視点から質が高く効率的な医療が提供されるよう、次のような基本的視点に基づき見直しを進める。 その際、診療報酬の評価に係る基準・尺度の明確化を図り、国民に分 かりやすい体系を目指す。
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2.改革の基本的方向
○ | 診療報酬体系については、(1)医療技術の適正な評価を重視した、診療行為別の評価(ドクターフィー的要素)と(2)医療機関の運営コストや機能の適切な反映を重視した、入院医療の総合的な評価(ホスピタルフィー的要素)に再編し、これらの適切な評価を推進する。 |
(1)医療技術の適正な評価
○ | 医療技術については、医療技術の適正な評価等の観点から、出来高払いを基本としつつ、「難易度」、「時間」等を踏まえた評価を進める。
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○ | 医療の質の適正な評価等の観点から、手術の症例数や医療従事者の専門性等を施設基準に反映させるなど、「技術力」を反映した評価を進める。
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○ | 高脂血症、高血圧、糖尿病等の生活習慣病等の重症化予防を重視する観点から、生活習慣等に関する総合的な指導、重症化予防等に係る医療技術の評価を進める。 |
○ | 医療技術の進歩や治療結果等を踏まえ、費用対効果の観点も含め、医療技術の再評価を進める。
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(2)医療機関の運営コスト等の適切な反映
○ | 医療機関の運営コスト等に関する調査・分析を進めつつ、入院医療について現行の人員配置等に着目した評価方法を見直し、疾病の特性や重症度、看護の必要度等を反映した包括評価を進めるとともに、医療機関の機能の適正な評価を進める。 |
(1)疾病の特性等に応じた評価
(急性期入院医療)
(慢性期入院医療等)
(その他)
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(2)医療機関の機能に応じた評価
(入院)
(外来)
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(3)患者の視点の重視
(1)情報提供の推進
○ | 患者の選択に資する観点から、医療機関の施設基準や機能等に関する情報、診療・看護計画等の情報の提供を推進する。 |
(2)患者の選択の重視
○ | 患者ニーズの多様化や医療技術の高度化を踏まえ、特定療養費制度の拡充を含めた見直しを行うなど、患者の選択によるサービスの拡充を図る。 |
(4)その他
(1)歯科診療報酬
○ | 歯科診療報酬においても、上記を踏まえ必要な見直しを行い、特に、歯科診療所と病院歯科における機能や連携に応じた評価、齲蝕や歯周疾患等の重症化予防、地域医療との連携を重視した在宅歯科医療等の評価を進める。 |
(2)調剤報酬
○ | 医薬品の適正使用の推進の観点から、情報提供や患者の服薬状況の把握など、保険薬局の役割を踏まえた評価を進める。 |
(3)薬価・医療材料価格制度等
○ | 薬価算定ルールの見直しについて検討を行う。 |
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○ | 画期的新薬について適切な評価を推進するとともに、後発品の使用促進のための環境整備を図る。 |
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○ | 医薬品等に係る保険適用及び負担の在り方について検討を行う。 |
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○ | 医療材料価格について、引き続き、内外価格差の是正を進める。 |
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○ | 医薬品、医療材料、検査等について、市場実勢価格を踏まえた適正な評価を進める。 |
3.改革の手順
○ | 上記の改革については、次期診療報酬改定より、逐次、実施を図る。 |
III.今後の議論
○ | 今後、医療保険制度の体系の在り方及び診療報酬体系の見直しについて、各方面の御意見も伺いながら、平成14年度中に政府として基本方針を策定することとしている。 |
○ | また、先般の健保法改正法附則第2条に規定されている医療及び医療に要する費用に関する情報の収集、分析等の体制の整備、保険給付の内容及び範囲の在り方などの課題についても引き続き検討を行い、医療制度の改革を総合的に推進する。 |
財政試算
案 | 試算の前提 | ||
A案 | 制度を通じた年齢構成や所得に着目した財政調整を行う案 (制度間の年齢調整)
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B案 | 後期高齢者に着目した保険制度を創設する案 (75歳以上の高齢者医療制度の創設)
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┌ | | | └ |
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┐ | | | ┘ |
A案の財政影響(平成19年度満年度)
政管健保 | 健保組合 | 共済組合 | 市町村 | 医療保険計 | |
所要保険料(兆円) | 6.2 | 5.4 | 1.8 | 4.2 | 18.2 |
加入者数(万人) | 3,600 | 3,000 | 900 | 4,700 | 12,700 |
加入者1人当所要保険料(万円) | 17.1 | 18.0 | 19.8 | 9.0 | 14.3 |
政管健保 | 健保組合 | 共済組合 | 市町村 | 医療保険計 | |
所要保険料(兆円) | 5.4 | 5.8 | 2.2 | 4.2 | 18.0 |
加入者数(万人) | 3,600 | 3,000 | 900 | 4,700 | 12,700 |
加入者1人当所要保険料(万円) | 14.7 | 19.1 | 23.7 | 9.0 | 14.2 |
政管健保 | 健保組合 | 共済組合 | 市町村 | 医療保険計 | |
所要保険料(兆円) | ▲0.9 | 0.3 | 0.4 | ▲0.0 | ▲0.2 |
加入者1人当所要保険料(万円) | ▲2.4 | 1.1 | 3.9 | ▲0.0 | ▲0.2 |
政管健保 | 健保組合 | 共済組合 | 市町村 | 医療保険計 | |
所要保険料(兆円) | ▲0.7 | ▲0.2 | ▲0.2 | ▲0.0 | ▲1.1 |
加入者1人当所要保険料(万円) | ▲1.9 | ▲0.7 | ▲1.7 | ▲0.0 | ▲0.9 |
政管健保 | 健保組合 | 共済組合 | 市町村 | 医療保険計 | |
所要保険料(兆円) | ▲0.2 | 0.5 | 0.5 | − | 0.9 |
加入者1人当所要保険料(万円) | ▲0.5 | 1.8 | 5.6 | − | 0.7 |
B案の財政影響(平成19年度満年度)
(75歳未満) | (75歳以上) | 医療保険計 | ||||
政管健保 | 健保組合 | 共済組合 | 市町村 | 高齢者 | ||
所要保険料(兆円) | 6.2 | 5.4 | 1.8 | 3.5 | 0.8 | 18.2 |
加入者数(万人) | 3,500 | 2,900 | 900 | 3,700 | 1,300 | 12,700 |
加入者1人当所要保険料(万円) | 17.8 | 18.4 | 20.5 | 9.4 | 6.3 | 14.3 |
※ | 高齢者の所要保険料については、各制度の所要保険料のうち高齢者が負担することとなる分を推計。 |
※ | 一般制度は75歳以上の高齢者に係る分を除いている。 |
※ | 医療保険制度全体の国庫負担8.3兆円、地方負担2.1兆円。 |
(75歳未満) | (75歳以上) | 医療保険計 | ||||
政管健保 | 健保組合 | 共済組合 | 市町村 | 高齢者 | ||
所要保険料(兆円) | 5.9 | 5.2 | 1.8 | 4.2 | 1.1 | 18.7 |
加入者数(万人) | 3,500 | 2,900 | 900 | 3,700 | 1,300 | 12,700 |
加入者1人当所要保険料(万円) | 17.0 | 17.8 | 19.6 | 11.2 | 8.7 | 14.6 |
(75歳未満) | (75歳以上) | 医療保険計 | ||||
政管健保 | 健保組合 | 共済組合 | 市町村 | 高齢者 | ||
所要保険料(兆円) | ▲0.3 | ▲0.2 | ▲0.1 | 0.6 | 0.3 | 0.4 |
加入者1人当所要保険料(万円) | ▲0.7 | ▲0.7 | ▲0.9 | 1.7 | 2.4 | 0.3 |