○ | 平成10年に訪問看護業務の難易度を調査したが、気管内吸引は、130項目中26番であり、非常に難易度の高いケアとして挙げられている。 |
○ | ALS患者は様々な症状の変化があるし、一人一人の状態が異なるという特徴がある。吸引により引き起こされる合併症やリスクも多く、医学・看護学の知識・技術に基づいた個別の判断力が必要である。 |
○ | たんの吸引については、単に吸引方法の指導を受けて行えるような行為ではない。それをすることによって予測される危険など、医学的な知識も同時に修得しなければできない。 |
○ | 現状のホームヘルパーの養成課程から考えて、命に関わる行為をホームヘルパー一般の業務として拡大することは難しいのではないか。 |
○ | 患者自身の要望や、その方に合った吸引の仕方があるので、家族のように特別のなじみの関係で、長く付き添える方が必要になる。ホームヘルパーが誰でも業として行うケアではない。 |
○ | 医療行為ということは、やはり看護職がきちんと守って、患者の生命、患者の負担なども軽減していかなければいけない。 |
○ | 介護職の医療的行為についてのアンケート調査の中で、261名の介護士のうち14名が日常的に吸引を行っている。その約23%の者が医療職あるいは看護職の指示によって行っている。 |
○ | きちんとした教育が整備されていない中での、対患者との関係、対ドクター、対看護職の関係の中で、ヘルパーのたんの吸引が行われているということは大きな悩みである。 |
○ | 一人一人のホームヘルパーの経験や介護技術のレベルは様々であり、一律にたんの吸引を担うことについては、ニーズや期待の高さを感じながらも大きな不安は拭えない。 |
○ | ALS患者のたんの吸引をホームヘルパーが業務として行うことについて法的な整備が必要。 |
○ | 担当するホームヘルパーは、介護福祉士の資格を有し、かつ、介護職としての一定の経験を有することを要件とすることが必要である。さらに、実施の業務に当たっては、専門的な研修及び利用者や家族と一緒にかかりつけ医や看護師から具体的な実施方法を修得できる体制の整備を図るべき。 |
○ | ホームヘルプサービス事業所として業務を行う仕組みとしていただきたい。ホームヘルプサービス事業者と医師や訪問看護などの医療機関との連携体制を明確にし、それぞれの責任の所在を明らかにすること。担当するヘルパーの管理・教育、事故対応、賠償保険への加入など事業者の責務を明確にし、ホームヘルプサービス事業者が必要な業務体制を整備することを義務付けること。こうした仕組み作りに対して、国、自治体等が必要な支援を行うべき。 |
○ | ヘルパーも経験年数が大変短い者が多く、パートや登録のヘルパーが主流を占めている。そういう中で、責任もって、ヘルパーが吸引をできるとは言えない。 |
○ | 吸引は、本来は、訪問看護の使いやすい体制で行われるのが筋である。 |
○ | 常時訪問看護師がいない限り、ヘルパーが訪問している間に痰の吸引を行う必要性が出てくるため、緊急時対応ができるように目指したい。 |
○ | きちんと教えれば、ヘルパーはたんの吸引をきちんとできる。たんの吸引は難しくて大変だ、という視点から考えるべきではない。 |
○ | (何か資格を持っているからすなわちできるという理解ではなく、特別な関係がそこにあって、周りにいる人が「この人なら大丈夫だ」ということで初めて成立する関係だと認識すればいいのか、との質問に対して)そうである。 |
○ | 実施者に関しては、医師、看護師の指導を受け、研修を修了したヘルパーと介護者を望んでいる。必要な知識と技術、吸引を安全に実施できるようにするための知識や技術を修得する教育体制が必要である。 |
○ | ALS協会の平成12年9月調査では、ALS患者全体の約48%に対し、看護師以外の者がたんの吸引を実施している。 |