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EBM普及推進公開討論会 質問について

EBM普及推進公開討論会
根拠に基づく医療のあるべき姿
−EBMの理解と活用を進めるために−

公開討論会にご参加頂いた皆様からの質問について


<掲載にあたって>
(注1) 特定のパネリストを指名してのご質問は、ホームページ掲載に当たり「(パネリスト宛)」と記載させていただきました。
(注2) 上記以外は、原則として、当日参加者の皆様方からいただいたご質問等をそのまま掲載しています。(1件のみ、長文にわたるご体験の記述を割愛させていただいたものがあります。)

<ご質問やご感想について>
根拠に基づく医療の根拠とはどのようなものか、その基準はあるのでしょうか。治療法について患者さんに示すのは良いとしても、どの程度確立された治療法なら出せるのか等疑問を持ちました。
また、経験に基づく医療と根拠に基づく医療のどちらかを医師が選択するのかとなったら、安全な経験に基づく方を選ぶのではないかと思われます。
医療者がEBMについての取り組みは必要不可欠であり、患者にも情報発信をきちんとしなくてはいけないということは改めて認識しました。医療というのは患者がなくてはなりたちません。患者の治療に対する参加意欲を高めるために何をすべきかが重要なのではないかと思います。日本人の文化としての「おまかせ医療」をどのように変えるかについてマスメディアとしての考えはあるか?よくアンケート調査とかで情報を浸透させるための知識はあると思います。また、そのノウハウを医療施設にも情報提供してすべてのところでどんどん情報が聞けるシステム構築も必要ではないでしょうか?
EBMの普及推進については、インフラ整備が最も大切ではないかと思います。いかがでしょうか?
○日本語によるEBM情報の流通のために、医師、一般への情報提供の支援のための情報専門家(情報の収集から評価までを行う)が必要とされるのではないか。
○学会、医療界から一般の人々へのEBM情報の提供、啓蒙はどのようにあればよいのだろうか。より強力にすべきであると思うが。
EBMの確立も大切と思いますが、それを活用する医者の教育も合わせて行う必要があるように思います。
(EBMが十分に活用されたか、それが隠れ蓑になってしまう)
技術であれば、技術が標準化されればそれを運用できる技術者の養成が求められます。EBMが推進すると同時に、それを理解、消化して臨床に適用できる医師はどう養成されるのでしょうか?
今後の医学教育のあり方について厚労省、医学界はどう考えておられますか?
EBMを一般国民に伝えたいと思うとき2点の障害があります。
(1)医療側からは、「妙な知恵を患者につけないでほしい、外来がパンクしてしまう」というような意見
(2)患者側からは、「こんな知識を持っても、今の担当医に嫌われるだけ、知っても、それを実践としてくれる医療機関が身近にない」
この2点を乗り越えるための現時点でのポイントは何になるのでしょうか?
(1)「根拠」の信頼性と価値は誰が判断するのか。論文や統計データが異なる場合、どちらが正しいのか。「根拠」の定義は何なのか。
(2)「必要性は感じています」「今作成中です」「前向きに検討しています」というのは良くわかりますが、EBMが未完成の中で医療提供が行われていることをどうお考えなのでしょう。お話を伺っていますと医療は「科学」ではなく、「経験」なのかと思ってしまいますが。
(3)専門医が存在する疾病に対して、非専門医が診断治療を行うとはどういうことなのか。もともと専門医は必要ないのか。EBMも同じように思えてしまいますが。
(4)メディアが社会に対してEBMの必要性を訴えるのは良いが、それは国民が根拠の乏しい医療を受けていることを知る。そんな医療に30兆円もお金を使っていることを知る。と言うもとになってしまいますが、医師が科学的視点に立った改革を先に行った方が混乱を起こす可能性は低いように思いますが。
(5)「EBM」は必要とは思いますが、日本人の国民性や文化をふまえた使用方法にすべきと思います。
(6)EBMは最新の医療をすべての医療提供者に早く正確に伝える手段にすぎないのではないですか。
(もっともそれすらないのが今の状態ですか)
EBMとはガイドラインづくりという前提で議論が進められているが、医療者が患者個々人のそれぞれに最適のエビデンスを探す努力、すなわちその患者に最も合った医療を提供し、患者の利益を追求することにあるのではないのか。
「正しい答えがあるはずなら、ガイドラインは必要ない」(パネラー)というのはまさにその通りで、EBMはまず医療者教育のための根本的課題として議論されるべきではないのか?
10○ガイドライン作成に患者代表を入れるという事は当初は予定されていたのに、何故、中止されたのか?
(福井班のガイドライン作成のガイドラインには、当初はあったはず)
○今日は、何故、医師だけが医療の代表なのか?
○医療の専門家支配の問題は?
11 近年、日本でつくられているGLは、一般医、専門医、そして患者向けにつくられています。それぞれの違いは、どこにあるのでしょうか?
また、患者向けはどのように活用されているのでしょうか。どのようにして患者に伝えられているのでしょうか。もっと、オープンにできないものでしょうか?
12クスリの場合は、利益を得る製薬会社が負担してevidenceを集める慣行となっているが、数多くある手法の中からガイドラインという暫定的なベストパフォーマンスを作成するにあたっての予算を誰が担うのか。医療というサービスによって利益を得る医師とすれば済むのでしょうか?
13(1)EBMが医療現場で使われない最も大きな理由は何ですか?
(2)EBMを使いたいと思った時に最も欲しいと思うアイデアは何ですか?
(3)EBMの為のデータ作り(大規模臨床試験など)のスポンサーは誰がやるべきですか?
理想的には国だと思いますが、現実的にはメーカーになるのですか?
14 「ガイドライン」とはどういうものか。その医学的、法的位置づけはどうなっているのか。もう一度共通認識としておく必要があると思われます。
○GL作成の主体は学会であって、あくまでもコンセンサスを得た治療法、診断法の一部ですといっているだけです。
○GL自体を評価していく研究が必要
○混合診療を認めること
15(1)ガイドライン=標準治療に縛られるのは問題だが、ガイドラインを踏まえずに個人特性を考慮した診療は出来ないと思う。その意味でガイドラインは重要だと思うが、現状のガイドラインは多くの医師のニーズに応えてないものが多いようだが、これはどうしてなのか?
(2)ガイドラインは学会が作っているようだが、本当にそれで良いのか。誰がどのような過程を経て作るべきなのか?
(3)EBMを普及推進する為には医師の能力(EBMを理解するために必要な疫学、統計などの)が格段に向上しなければならないが、それは可能なのか?(能力だけでなく文化(数値で表す)を変える必要?)
(4)米国では一般紙にかなり詳細な医療記事が頻々載っている。日本では「一般向け」は「平易な言葉で」書くことが多く、内容が「すかすか」になっているような気がする。どうしてなのか?
16(1)エビデンスとして、レベルが低いものしかない場合でも、診療ガイドラインは必要だと思いますがどうでしょうか?
(2)日本におけるRCTによるエビデンス創出のためには、メディアの協力が必要ですが、その他に法的な助力、とくに経費的補助、刑法的補助が必要と思うがいかが?
(3)ガイドラインの改訂は、大きな新しいエビデンスが出たときとされています。
17日本癌治療学会が音頭をとって、各種(がん)ガイドラインを作りネットで公表していく予定の様ですが、
(1)ガイドラインを策定した委員の専門と氏名を公開すること
(2)ガイドラインの、医師にとっての、国民にとっての位置づけを明確にすること。
  EBMは単なるベース、その上にnarrativeや、QOL、個々の価値観を加味することが必要
    ↓
ここの部分が医師、患者のコミュニケーションの中でやりとりされていくことに診療時間が使える。
○EBM公開により、EBMの部分はすっとばせる
(3)学閥、医局が生きたままで、このEBMは生かされるのでしょうか?
18(1)ガイドラインは、日本国内で受けられる治療の最低限の基準というものであり、様々な治療方針の中での最大公約数であると思われる。厳守すべき至上のものではなく利用しやすく、且つ、汎用性のあるものに作成して欲しい。日本でのevidenceを集めるとするなら、各地域、各施設でのなわばり意識など取り払わなければ確実な日本人のstandardとならないのではないか。
(2)EBMと言っても必ずしも大規模試験が必要というわけではないが、日本国内ではあたかもそれが重要であるように取り沙汰されているのはおかしくないか。さらに、保険適応の枠によりEBMの探求に制限がついている。
(3)ガイドラインの作成について、学会や医師会主導でつくる際に、常に更新できていくような仕組みが必要ではないか。また、失礼ながら高齢の医師(幹部となるような)ではなく、若手中心に推進できないのか。
(4)(パネリスト宛):「患者のためのEBM」あるいは、「医師はガイドラインに頼らないで」とおっしゃいましたが、ガイドラインすら到達できなければ意味ありません。しかし、都会はともかく地方では特に重要だと思います。病院を簡単に変えられませんので。医師だけでなく、患者向けのガイドラインもあればと思いますが、確かに患者の理解が重要です。EBMで統計的なことを説明しても、やはり自分の都合の良いように解釈をされる方々が多く、トラブルになりやすいのです。
(5)厚生労働省の安全対策課だけでは無理でしょう。日本国内でもNCIのようなデータは必要と思いますが予算がありますか?医療費負担は少なくして、そういう情報提供だけはしっかりしろというのは無理と思います。日本でガイドラインをNCIのように充実させるには、日常診療で雑用ばかりに忙殺させるのではなく、助手、秘書など充実させ、センター病院でのインフラを充実させるようにすべきではないか。
医師だけでなく、患者にpublicが賛同しなければ無理です。
(6)ホジキン症のABVDの"D=ダカルバジン"を適応拡大するにしてもオーファンであるという制約があったと思います。これは小児への薬剤も同じでしょう。現在、医師主導臨床試験で造血幹細胞移植の薬剤について適応拡大を狙う研究が行われています。単純なスタディーですが、たったこれだけでも実行への障害は数多くあり、体制の変化が求められていると思います。
19治療ガイドラインを作る以前の課題として、病名の標準化とその普及がなければデータとして集積されないと思われる。
我が国では、病名の標準化が叫ばれながら、何故、臨床現場で標準病名が用いられないのか、その要因と解決策は?
(現在、MEDISの「病名くん」があることは承知していますが、普及についてはあまり期待できないように思われる。根本的に医学教育の問題があるのでしょうか)
20 「患者向けガイドライン」はどの程度の内容(情報)が記載されるべきか。
21EBMの限界とは何ですか。
診療ガイドラインは、どのようなプロセスで作成されるのでしょうか。作成する委員会のメンバーはどのような方(立場)なのでしょうか。
一般向け(患者)のガイドラインは、かかっている医師以外から入手する方法として何がありますか。
22(パネリスト宛)
(1)日本の臨床現場でCa拮抗剤が多用されていることも、Ca拮抗剤のエビデンスだというのは理解できません。それはEBMだけにおけるエビデンスではありません。日本の高血圧治療ガイドラインにCa拮抗剤が優先される薬として採用されている理由(根拠)は、本当に"現場で多用されていること"ですか?
(2)血圧の適正管理を考えるときに、降圧剤(使用)を多用しすぎているのではないでしょうか。生活指導での適正化が十分に行われていないのが現状ではないでしょうか。
(パネリスト宛)
科学的根拠として提出された医学論文をクリティカルに評価するのは裁判所自身ですか。正しく評価できる裁判官がどれくらいいるのでしょうか?
23(ガイドラインについて)
社会的にも納得いくものにするために医学会だけにまかせず、世界のEBMを生かしたものにしてほしい。
(パネリスト宛)
医療費の有効活用を考えると、EBMを生かしたガイドラインを一般の医療に医師が生かすためにはどうすべきか。
 例:喘息の外国のGLは明白だが、日本では効果がはっきりしない
抗アレルギー薬が多用される
又、これが日本のガイドラインに入っている、無駄であると思う。先生はどう思われるか。
24整形の腰のヘルニアで手術すれば痛みは確かになくなるが、生活の支障がこの位起きる。手術せず放っておけば痛みは続くが、日常生活はふつう。これはevidenceがあったとしても平均的な事実であり、その人がどうなるのは確率的なことがある。確率を推測することが医療では重要だと思う。
25「高血圧治療ガイドライン」 日本の薬物療法は、メーカーのすすめる薬剤が中心になっている。
学会としての独立性は、どのようにして確保するのか?
26診療ガイドライン作り委員です。こうすれば良いというエビデンスはあるが、こうしてはいけない(トラブル発生)ということに関するエビデンスのある論文はあまりない。
どうすれば良いと考えますか?
27高血圧、高脂血症などの生活習慣病は、患者数が数千万人と多いですが、その治療の費用効果(cost benefit)は患者の背景因子(性別、その他の危険因子)の有無によって大きくかわってきます。その治療のcost benefitの指標の1つとして、NNT(number needed to treat=1人の患者の発症予防のために必要な患者数)についても、メディアを通じて広く一般の人に認識させ、医療にコスト意識を持たせるべきではないか?
28(パネリスト宛)
○二次情報データベースの日本語化についてすでにある国内データベースはUpToDateのようには使えないのか。エビデンスの強いものだけをセレクトしていけないという点でよくないのか
( 国内データベース: JMED(by JST)、医中誌)
○日本産のエビデンスがないことについて医療分野はなんとかしようと思っているのか。プロモーションに直接結びつく論文がやはり優先なのでは?
○ハードとデータベースさえあれば価格の問題はさておき、個人もエビデンスにアクセスできる。一般人がEBMを知ることのデメリットを医師が感じるのでは?
29 EBMの普及促進と同様に、医療機関のIT化が進められていますが、IT化した医療機関とそうでない医療機関とでは、EBM普及に差異がでるのでしょうか?
どのような機能を実現した電子カルテシステムがEBM普及に貢献するのでしょうか?(医療情報システムの研究の立場から)
30(1)電子カルテの「ブーム」とEBMとの関係について、どう思いますか?
(2)本来、ガイドラインは誰が作るべきか、又、彼らは医療機関とのネットワーク形成に何から始めるべきか?
(診療ガイドラインの継続的見直しのために)
31(1)(パネリスト宛):整形外科領域ではグローバルな治験は出来ますか?
診断名が異なる可能性もありますね。
(2)(パネリスト宛):EBMについて、我が国では臨床研究のインフラ整備が不十分であるにもかかわらず、いま、EBMを出すために臨床試験を行って、そのデータは信頼出来るデータが得られるか?
32日本人でのEBMがないのなら、日本人でのEBMを求める研究を得るためのシステムを早急にスタートして欲しい。
33社会的な問題、国民全体の意識改革が最重要課題という感じを受けた。権利は主張するが義務は果たさない・・・根元的な問題だというのはその通りだと思うが、それならばもっと様々な分野の方々を集めて討論してみても良いのではないでしょうか。教育関係者(小、中、高は特に)に大きな問題があると感じている。
各分野との総体的なコミュニケーションが必要と感じた。こういった社会全体の問題を解決する具体的な方法というものはどういったものになるのでしょうか?
34何を一番優先すると最善と考えるか、教えてください。
(1)政治を変える
(2)国民が進んで臨床研究に
(3)情報公開(質の担保しつつ)
35ガイドラインが出来ればすべてよくなると思うのは幻想ではないか。現場での医師、患者のbehabiour、医療文化の変容がおこらないと、所期の目的は達成されない。時間のかかることではないか。
36EBMは誰の為に検証しているのか、疑問が大きい。
 例 ○社会保障費抑制→役所の為
 ○学会、Drの満足
 ○患者の為 ?
 EBMより、Communicationか?
 Drは一般社会人より劣っているのでは
37これまでの議論で出ましたが、改めてパネリストの意思を伺いたいと思います。
(1)日本でなぜランダム化試験が広く行われないのか。EBMの本を読むと、大体海外のデータが使われています。日本では久山町のケーススタディがあるぐらい。障害となっていることは何でしょうか。国民意識の問題の前に、募集できないように思いますが・・・。
(2)EBMの統一は必要か。「今日の医療指針」「クリニカルエビデンス」「UpToDate」などなど沢山の文献があります。
加えて厚労省、日本医療機能評価機構が中心となってガイドラインをまとめようとしています。
あちこちでEBMの基準がありますが、これらを統一する国家的な統一は必要でしょうか?
(3)薬害エイズの安部被告は、EBMの観点からすると、どう考えるか?
皆さんの率直なご意見を伺いたいと思います。
38米国においては、国立医学図書館(NLM)が医学、医療情報の下支え(基盤)として存在しているが、日本においても同様の網羅的な情報支援組織が必要ではないか。
AHRQを支えているのもNLMと考えられる。
39「EBM」と「標準的な治療」は、もともと全く違うものだと思います。議論の中でだんだん混同されてしまっているように感じました。はっきりと2つの違いを表明して下さい。「EBM」と「診療スタンダード」は結びつけられて語られることに、厚労省の医療費削減への誘導を感じます。
40(1)EBM診療と保険診療上の制限の問題、EBMに基づく診療を行おうとしても保険診療上の制限のために行えないことがある。
(2)日本のエビデンスを作るだけでなく、日本の文献エビデンスのデータベースを整備する必要がある。
(キーワード索引などきわめて非能率、非効率である。エビデンスがあっても収集できない)
(3)疾患概念の異なるものをどうするのか。日本では早期胃癌、外国ではdysplasia、これでは同一の基準でエビデンスを論じられない。
41EBMと日本での保険制度との整合性は?
42(1)EBMが一般化してきた時に、医療保険制度にはどのような影響が考えられるでしょうか?
(2)在宅医療サービスを提供する企業を経営していますが、evidenceを作成するのに、何かお役に立てることはないでしょうか?
43EBMを推進していくなかで、最終的なところでコストということが関わってくる。
一層のこと、公的保険の範囲をはなれて医療を実施していけば、「患者」「医師」も自己責任が働くのではないか。
44今年4月より特定機能病院にDPC導入される予定ですが、包括評価とEBMとが連動して始めて良質かつ効率的な医療が提供されると考えます。(クリティカルパスも含めて)
EBMがこれからという段階で、先に包括が一歩先んじて導入され、必要な医療がcutされてしまうおそれはないのでしょうか。
EBM普及のためのこれからのスケジュールを明示していただければありがたいです。宜しくお願い致します。
45保険適用を行うためには、医療経済性の証明を行う必要があると思います。DRG/PPSも開始され、EBMと医療経済について教えてください。
46EBMの国内データの整備が求められているが、治験に参加するボランティアを確保するためには、メディア、医療現場、行政、製薬会社は何をすべきかとお考えでしょうか?
国民への医療情報の開示、啓発によって医療の質が向上すると思います。今までは、国民(素人)に"専門情報は理解できない"という前提でしたが、インターネットの普及等で状況は変化しています。
各立場では、どのような対応が望まれるのでしょうか?
特に製薬会社に求められる行動とは何でしょうか?
47(1)素朴な疑問ですが、EBMの先進国米国の死亡率と日本の死亡率にどの程度の差があるのでしょうか?
例えば、「がん」「高血圧」などでどのような状況ですか。
(2)欧米のスタディをもとに日本で行うブリッジング・スタディという言葉を聞いたことがあるのですが、現在、どの程度行われているのでしょうか、予定は?
48(1)コルゲンコーワET錠とスティーブンス・ジョンソン症候群の訴えについて
○患者さんが亡くなられたことは非常に残念だが、患者側が勝訴する可能性はあるのだろうか。
○メディアにおいて「風邪薬で死亡」等と過激に報じられているが、日本ではメディアがEBMをつくる傾向にある。いかがなものか。
(2)製薬メーカーには市販後の薬剤の使用成績&安全性に関するデータが蓄積されている。何故、メーカーも医師も厚労省も有効利用しないのか。
(3)日本の研究は、EBMに耐えないと考える。EBMに耐えうるstudyを今後どのようにつくっていくつもりなのか?
(4)アメリカでは「良かれと思ってやったことが最悪の結果になっても問われない」と聞きました。医師が患者のためにリスクがあっても最善をつくせるようにしてほしいです。
(5)包括医療(マルメ)にEBMは実践されるのか?
49混合診療の禁止ということが問題となっていますが、どうしてこのような法律があるのでしょうか。
これを撤廃すれば抗癌剤と保険の問題は、ある程度解決できるように思えるのですが。
50最近、独法化法案が通過した医療機器医薬品審査センターには何を臨まれますか?
51イレッサの副作用死が日本で多く発現したのは、何故か?
52価値観、社会構造が研究(臨床研究)に影響するか?
参加同意を得る為の生命倫理は?文化は影響するか?
患者が参加したいと思える臨床研究は何か?
53本日の討論は、医療現場における患者への対処の問題と理解しました。
座長又はパネラーにお伺いします。
「人間は、本来病気にならない事を最良としますが」労働者が入職の時(18〜22歳)から定年まで疾病を発症させないためのノウハウを臨床経験の豊富な皆さんからアドバイスして下さい。
労務管理のシステムに導入したい。一次予防(火の用心)は臨床現場(火事現場)の結果がいかされるのでは。
54(1)心不全、腎不全あり、国立病院に約4ケ月入院。いくつも入院患者には理解出来ないことがありました。(介護日記つけてみました)
(以下、3ページにわたり、病院での付き添い事のご苦労について記述…入力者注)。
今お話の患者向きガイドライン大切だと思いました。病院においてほしい。
55厚生労働省主催の会なので、日本の現状、今後の計画などを聞ける会だと思っていましたが、非常に残念でした。もっと具体的に問題点をどう解決しようとしているのか現在のガイドライン作成状況はどうか、今後どのようにエビデンスを作っていく計画があるのか(誰が何のstudy protocolを書き、実行しているのか)を公開するべきです。予算がない、評価されない、情報公開がない等の問題提起も重要ですが、すでに長いこと指摘されてきたことであり、その状況をいかに打開し改善していく計画なのか具体策を打ち出していかなければこれから先も進展が望めないことになります。
日本のデータが足りないので、UpTpDateのような米国産のstandardを使わざるを得ない面もありますが、直輸入は危険です。
例えば、お話に出たThiazideは日本人には効かない、脱水、電解質異常が多い、β-blockerは日本人高齢者では血圧低下が多く危険だと言われます。日本人のデータを作っていくことが急務であることは医師、メディア、国民の(少なくとも会場の)consensusと思われます。しかし、各立場で責任をなすりつけあっているように、今日の討論では見受けられました。各職種で国民に対し、治験、臨床試験の必要性、倫理性を説明し参加を呼びかけることができるはずです。
パネリストのお話に、アメリカのmedical oncologistの例がありましたが、これもアメリカ医療直輸入が危険である例の一つです。アメリカのoncologistは一般に抗ガン剤を知っていても各臓器をあまり知りません。日本の外科医が各臓器や各疾患を知り尽くした上で抗ガン剤を投与するのと、どちらが良いかという比較に答えはありません。私たちに必要なことは盲目的な米国追随ではなく日本人のデータを出し、その情報を浸透させることです。
海外で認可された薬が日本では手に入らないという事例も日本人のデータを早く出し、厚労省の承認を早くとることが必要である例の一つです。今日の結論は「日本人のデータを作ることが急務である。」ことにつきると思います。私たちの課題は、これから臨床試験を計画し遂行し、その情報を公開・浸透させるためにどのような具体案があるか考えることです。今日の討論にいらした方はデータを「作る」仕事をメインにされているわけではなく、片手間に今日だけいらしたという印象でした。この仕事に本気でcontributeする「人材がない」のも事実ですね。
ガイドライン作成は末端の医療レベルを上げるため、新しい情報を浸透させるため、非常に重要なことだと考えます。しかし、討論でもありましたようにもっと早いペースでupdateしていく必要があります。
日本人のデータがないのなら、ガイドラインも海外データからの推測でしかあり得ません。当座のガイドラインは必要ですが近い将来日本人のデータを築き日本人のデータに基づいたガイドラインを作る見通しを立てる必要があります。
ガイドラインは末端のpracticeに忙しい医師や患者が参考にするため重要ですが、医師の臨床判断を規定するものであってはなりません。個々の患者はそれぞれ違う経過をたどり、ガイドラインにあてはまらない患者はそれぞれ違う経過をたどりガイドラインにあてはまらない患者は必ず存在します。ガイドラインからはずれた治療を行うことイコール訴訟で負けるという風潮ができてしまったら、ガイドラインからはずれる患者はすべて適切な治療を受けられないという悲劇が生まれます。誤ったEBMの認識、誤ったガイドラインの普及、誤った報道は容易に日本国民の悲劇につながります。報道関係の方々にはくれぐれも報道内容がどのような社会的影響をもつか考えてから報道してほしいものです。
56(パネリスト宛)
医療鑑定書が裁判で果たす役割とEBMの関係
=EBMからみた時に大きくずれた鑑定者が被告側から提出される事案をみることがあります。多いに疑問です。
(パネリスト宛)
医療訴訟でEBMが活かされる事は、原告側弁護にとっては有用ですが、総合的に判断する上で、EBMが被告側によって「一般論」として適応されるおそれはないのでしょうか?
57○マンガ「ブラックジャックによろしく」は、結構今日の話に通じるものがあると思うのですが、読まれたことはあるでしょうか。
○HRTは、心血管系に対する治療にはEBMがない、と言われたが、これからこのようなことは増えていくか。
58(1)医師、弁護士、国会議員を先生と呼ぶ科学的根拠はあるのでしょうか?石田さま、飯野さまと表記するなら、生坂さま、児玉さまというのもいいのではないでしょうか?
(2)EBMを各医師が実践するよう義務付けられるとついていけない医師もいると思うので、是非教育をお願いします。
59パネリストの発言の中で、インターネット情報について述べられましたので、天然物の薬物に携わる者として、インターネットでの情報の天然物の情報はかなり問題が多くあるように感じる。不知火菊という問い合わせが昨日薬局薬剤師からあったので、すぐ、インターネットで見たら、基の植物名がどれもなく、効能・効果の出どころもなかった。ただ効くとある。これは、近い話が多くある。食・薬の区別の作業もかなり進んでいるが、どのように考えているのか。

以上


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