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ALS等在宅人工呼吸器装着者への
訪問看護の現状と取り組み


平成15年2月10日

社団法人秋田県看護協会
訪問看護ステーションあきた
石川 セツ子


<ステーションあきたの概要>

(1)職員数 看護師 14人
(常勤4人・非常勤10人)
(2)開設主体(社) 秋田県看護協会
(3)併設施設 居宅介護支援事業所
(4)営業日 月~金 平日 9:00~17:00
(5)加算の届出
24時間連絡体制加
重症者管理加算
緊急時訪問看護加算
特別管理加算
(6)利用者数(H15・12月現在)
        健康保険法等の利用者 31人
介護保険法等の利用者 54人
一ヶ月間の延べ訪問回数  514回
(7)緊急時の対応方法
        電話対応・緊急時の指示受け
臨時訪問・緊急搬送時の同行
往診依頼・指示受け
関係機関との連携(医療機関等へ連絡)
(8)医療依存度の高い利用者への対応状況
      小児・難病・ハイテクケア ・ターミナルケア
(9)夜間滞在訪問の実施状況
      現在、定期的な訪問看護は行っていない。緊急時の対応では状況により異なるが、かなりの時間を費やし対応している。
(人工呼吸器装着者以外のターミナル等の利用者が多い)
(10)1日複数回訪問看護・長時間訪問看護の実施状況
       難病(特にALS等の人工呼吸器装着者)
ターミナルケアの利用者を受入れるためには複数
回訪問は必須条件。
 診療報酬上の評価が低い事からステーションとして運営上の問題がある。
現在、6名の人工呼吸器装着者への訪問看護を行っている。
うち2名は毎日複数回の訪問看護


訪問看護実施事例-1

68歳 女性 ALS(人工呼吸器装着)
項目 主な内容
距離 片道2Km(STから利用者宅まで)
訪問頻度 月~金(毎日訪問)
1日3回の訪問
看護内容 一般状態の観察・洗面介助・口腔ケア
カニューレ管理・吸引・リハビリ(肺)
ROM等(QOL面での支援)
ケアプラン
(他職種との連携)
(1)訪問看護  月~金
(2)訪問介護  月~金
(3)障害ヘルパー  毎日
(4)訪問入浴  火、金
(5)訪問診療  2週に1回
評価
(1) 病状が安定している。
(2) ケアチームの効果的な連携により、その人らしい生活がほぼ出来ている。


訪問看護実施事例-2

60歳 男性 ALS(人工呼吸器装着)
項目 主な内容
距離 片道45Km(STから利用者宅まで)
訪問頻度 月~金(毎日訪問)
長時間(4時間)訪問(週1回)
看護内容 一般状態の観察・洗面介助・口腔ケア
カニューレ管理・吸引・リハビリ(肺)
ROM等(QOL面での支援)・入浴介助
ケアプラン
(他職種との連携)
(1)訪問看護  月~金
(2)訪問介護  週に1回
(3)訪問入浴  週に1回
(4)訪問診療  2週に1回
評価
(1) 病状が安定している。
(2) 長時間訪問により介護者がリフレッシュできる。


<人工呼吸器装着者への対応について>

職員の資質面に関する事例
適切なケアにより介護に係る時間が短縮できた。
呼吸・肺リハビリを中心に肺痰援助を行い(気管内分泌物の減少、吸引時間の間隔が延長、発熱回数減)

QOLの向上面において
旅行・外出・映画鑑賞・ALSに関する研修、セミナー・パーティ・養護学校のイベント参加等
介護者のリフレッシュ・外出・介護力の軽減等

夜間訪問についての課題
今は緊急時のみ対応している。現在、夜間の訪問看護の希望者はおりませんが、今後、全体的なALS患者等の実態把握が必要。


<利用者本人・ご家族の要望>
(STあきたの利用者からの聞き取り)

(1) 介護者のリフレッシュタイムが欲しい。(長時間訪問の希望)
(2) 吸引に関する行為について
主介護者以外の身内や親戚の者にはさせたくない。
看護職以外にはお願いしたくない。
出来る方であれば誰でもいい。
ヘルパーには医療処置ではなく家事援助を希望
(掃除・洗濯・買い物・調理・入浴介助等)
(3) 小児難病の場合、介護保険の適応外
サービスを受けにくいのが現状
母親への支援が必要(家事援助を希望)


<利用者に安全なケアを提供するための提案>

医療行為はあくまでも看護職で担うことが基本原則である。
そのための方策
(1) 在宅ケアはあらゆるステーションが共同でかかわる。
(2) ステーションの質の均等化
(3) 医療職(看護職OBへの働きかけ)ボランティア導入の制度化
(4) 訪問看護ステーションの職員配置にALS患者等専属NS採用
(5) 地域医療・保健・福祉の連携強化
(6) 積極的な在宅看護教育
訪問看護師の現任継続教育
訪問看護師の養成・育成
臨地実習における看護学生への在宅看護教育・後輩育成


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